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1. WO2020183818 - TRANSMISSION AUTOMATIQUE ET PROCÉDÉ DE DÉTERMINATION D'EMPLACEMENT D'UNE VIBRATION DANS UNE TRANSMISSION AUTOMATIQUE

Document

明 細 書

発明の名称 自動変速機及び自動変速機における振動箇所判定方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

発明の概要

0003   0004   0005   0006   0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 自動変速機及び自動変速機における振動箇所判定方法

技術分野

[0001]
 本発明は、自動変速機及び自動変速機における振動箇所判定方法に関する。

背景技術

[0002]
 JP2017-78474Aには、走行用駆動源と駆動輪との間に、トルクコンバータと、バリエータと、少なくとも2段の変速比を有する有段変速機構と、が直列に設けられた自動変速機が開示されている。

発明の概要

[0003]
 自動変速機においては、摩擦締結要素やオイルの経年劣化に伴い振動(ジャダー)が発生することがある。このような振動が発生した場合、摩擦締結要素やオイルを交換することになるが、振動の発生箇所を特定するために、時間を要していた。
[0004]
 本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、振動の発生箇所を簡単に特定できる自動変速機を提供することを目的とする。
[0005]
 本発明のある態様に係る自動変速機は、駆動源と駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられたトルクコンバータと、トルクコンバータの動力伝達経路における下流に設けられた無段変速機構と、無段変速機構の動力伝達経路における下流に設けられた有段変速機構と、有段変速機構の出力軸側の回転速度を検出する回転速度検出器と、トルクコンバータ、無段変速機構、及び有段変速機構の動作を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、回転速度検出器によって検出された回転速度に基づいて、回転速度の振動成分における所定の周波数領域での振動レベルを演算する演算部と、演算部によって演算された所定の周波数領域における振動レベルに基づいて振動の発生箇所を判定する判定部と、を備える。
[0006]
 本発明のある態様に係る自動変速機における振動箇所判定方法は、駆動源と駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられたトルクコンバータと、トルクコンバータの前記動力伝達経路における下流に設けられた無段変速機構と、無段変速機構の動力伝達経路における下流に設けられた有段変速機構と、有段変速機構の出力軸側の回転速度を検出する回転速度検出器と、トルクコンバータ、前記無段変速機構、及び有段変速機構の動作を制御する制御装置と、を備えた自動変速機における振動箇所判定方法であって、回転速度検出器によって検出された回転速度に基づいて、回転速度の振動成分における所定の周波数領域での振動レベルを演算し、演算された所定の周波数領域における振動レベルに基づいて振動の発生箇所を判定する。
[0007]
 これらの態様によれば、自動変速機における振動の発生箇所を簡単に特定できる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 図1は、本実施形態に係る自動変速機の概略構成図である。
[図2] 図2は、本実施形態に係るコントローラのブロック図である。
[図3] 図3は、本実施形態に係る振動レベルを説明するための図である。
[図4] 図4は、本実施形態に係る副変速機構における変速制御の一例を示すタイムチャートである。
[図5] 図5は、本実施形態に係る振動の発生箇所の判定方法を説明するためのフローチャートである。
[図6] 図6は、本実施形態に係る振動の発生箇所の判定方法を説明するためのフローチャートであり、図5の続きである。
[図7] 図7は、本実施形態に係る圧力の振動幅を説明するための図である。
[図8] 図8は、本実施形態に係る摩擦締結要素のμ-V特性を説明するための図である。
[図9] 図9は、本実施形態に係るトルクコンバータにおける走行距離とオイルの塩基価との関係を示す図である。
[図10] 図10は、変形例に係る振動の発生箇所の判定方法を説明するためのフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[0010]
 図1は、車両100の要部を示す図である。車両100は、エンジン1と、自動変速機T/Mと、車軸部4と、駆動輪5と、を備える。
[0011]
 エンジン1は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、走行用駆動源として機能する。エンジン1は、ECU(図示せず)からの指令に基づいて、回転速度、トルク等が制御される。
[0012]
 自動変速機T/Mは、エンジン1と駆動輪5との間の動力伝達経路上に設けられたトルクコンバータ2と、トルクコンバータ2の動力伝達経路における下流に設けられた自動変速機構部3と、トルクコンバータ2及び自動変速機構部3の動作を制御する制御装置としてのコントローラ10と、油圧制御装置50と、オイルポンプ6と、を備える。
[0013]
 トルクコンバータ2は、流体を介して動力を伝達する。トルクコンバータ2では、ロックアップクラッチ2aを締結することで、動力伝達効率を高めることができる。
[0014]
 自動変速機構部3は、コントローラ10からの指令に基づき、入力された回転速度を変速比に応じた回転速度で出力する。自動変速機構部3は、トルクコンバータ2の動力伝達経路における下流に設けられた無段変速機構としてのバリエータ20と、バリエータ20の動力伝達経路における下流に設けられた有段変速機構としての副変速機構30と、を備える。
[0015]
 車軸部4は、減速ギヤ、差動装置及び駆動車軸を有して構成される。エンジン1の動力は、トルクコンバータ2、バリエータ20、副変速機構30及び車軸部4によって構成される動力伝達経路を介して駆動輪5に伝達される。
[0016]
 バリエータ20は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、ベルト23と、を備える。バリエータ20は、プライマリプーリ21とセカンダリプーリ22の溝幅をそれぞれ変更することで、ベルト23の巻掛け径を変更して変速を行うベルト式の無段変速機構を構成している。以下では、プライマリをPRIと称し、セカンダリをSECと称す。
[0017]
 PRIプーリ21は、固定プーリ21aと、可動プーリ21bと、PRI油室21cと、を有する。PRI油室21cには、油圧制御装置50によって制御されたPRI圧が通路51を通じて供給される。PRI圧が供給されることにより、可動プーリ21bが作動し、PRIプーリ21の溝幅がPRI圧に応じて変更される。
[0018]
 SECプーリ22は、固定プーリ22aと、可動プーリ22bと、SEC油室22cと、を有する。SEC油室22cには、油圧制御装置50によって制御されたSEC圧が通路51を通じて供給される。SEC圧が供給されることにより、可動プーリ22bが作動し、SECプーリ22の溝幅がSEC圧に応じて変更される。
[0019]
 ベルト23は、PRIプーリ21とSECプーリ22との間に巻き掛けられる。具体的には、ベルト23は、PRIプーリ21の固定プーリ21aと可動プーリ21bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、SECプーリ22の固定プーリ22aと可動プーリ22bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に巻き掛けられる。
[0020]
 ベルト23の支持は、PRI油室21c及びSEC油室22cに供給されるPRI圧及びSEC圧によって発生する油圧支持力であるベルト挟持力により確保される。
[0021]
 副変速機構30は、前進2段、後進1段の変速段を有する。副変速機構30は、前進用変速段として、1速と、1速よりも変速比が小さい2速と、を有する。副変速機構30は、バリエータ20の出力側(動力伝達経路における下流側)に直列に設けられる。
[0022]
 バリエータ20と副変速機構30とは構造上、個別の変速機構として構成されてもよい。また、副変速機構30は、バリエータ20に直接接続されてもよく、ギヤ列など他の構成を介してバリエータ20に間接的に接続されてもよい。
[0023]
 副変速機構30は、第1摩擦締結要素としてのLowブレーキ31と、第2摩擦締結要素としてのHighクラッチ32と、第3摩擦締結要素としての後進ブレーキ33と、を備える。Lowブレーキ31と、Highクラッチ32、及び後進ブレーキ33は、供給される油圧によって各伝達トルク容量が制御され、締結、解放可能な油圧式クラッチである。Lowブレーキ31が締結され、Highクラッチ32及び後進ブレーキ33が解放されると、副変速機構30の変速段は1速段となる。Highクラッチ32が締結され、Lowブレーキ31及び後進ブレーキ33が解放されると、副変速機構30の変速段は1速段よりも変速比が小さい2速段となる。また、後進ブレーキ33が締結され、Lowブレーキ31及びHighクラッチ32が解放されると、副変速機構30の変速段は後進段となる。さらに、Lowブレーキ31、Highクラッチ32、及び後進ブレーキ33が解放されると、副変速機構30は動力遮断状態になり、自動変速機構部3はニュートラル状態となる。
[0024]
 オイルポンプ6は、エンジン1の回転がベルト(図示せず)を介して伝達されることによって駆動され、タンクから吸い込んだ作動油を吐出する。オイルポンプ6から吐出された作動油は、油圧制御装置50及び通路51を通じてトルクコンバータ2(ロックアップクラッチ2a)、バリエータ20、副変速機構30等に供給される。
[0025]
 油圧制御装置50は、複数のソレノイドバルブ(図示せず)を備える。油圧制御装置50は、オイルポンプ6が吐出した作動油の圧力を調整し、通路51を通じてバリエータ20や副変速機構30の各部位に所定の油圧を供給する。油圧制御装置50では、ライン圧、PRI圧、SEC圧、各摩擦締結要素(ロックアップクラッチ2a、Lowブレーキ31、Highクラッチ32及び後進ブレーキ33)の締結圧の調整等が行われる。なお、本実施形態では、油圧制御装置50及び通路51が、油圧制御回路Cを構成する。
[0026]
 コントローラ10は、自動変速機T/Mの各種動作を制御するATCUである。コントローラ10は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ10は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。なお、コントローラ10は、ATCUの他に、シフトレンジを制御するSCU、エンジン1の制御を行うECU等の機能を有するように構成することもできる。
[0027]
 コントローラ10には、バリエータ20の入力軸側の回転速度を検出するための第1回転速度センサ41、副変速機構30の入力軸側(バリエータ20の出力軸側)の回転速度を検出するための第2回転速度センサ42、副変速機構30の出力軸側の回転速度Noutを検出する第3回転速度センサ43からの信号が入力される。コントローラ10には、この他、アクセル開度センサ44、ブレーキセンサ45、イグニッションスイッチ46、インヒビタスイッチ47、エンジン回転速度センサ48、車速センサ49、圧力センサ52等からの信号も入力される。
[0028]
 アクセル開度センサ44は、アクセルペダルの操作量を表すアクセル開度APOを検出する。アクセル開度APOは、運転者による加速要求を指標する。ブレーキセンサ45は、ブレーキペダルの踏み込みの有無を検知する。ブレーキペダルの踏み込みは、運転者による減速要求を指標する。ブレーキセンサ45は、ブレーキペダルの踏力を表すブレーキ踏力を検出するものであってもよい。インヒビタスイッチ47は、セレクトレバーの位置を検出する。エンジン回転速度センサ48は、エンジン1の回転速度Neを検出する。圧力センサ52は、SEC油室22cに供給されるSEC圧(圧力P)を検出する。
[0029]
 コントローラ10は、これらの信号に基づき変速制御信号を生成し、生成した変速制御信号を油圧制御装置50に出力する。油圧制御装置50は、コントローラ10からの変速制御信号に基づき、ライン圧、PRI圧、SEC圧、副変速機構30及びトルクコンバータ2の各摩擦締結要素の締結圧を制御するとともに、油圧経路の切り換えを行う。これにより、油圧制御装置50からロックアップクラッチ2a、バリエータ20及び副変速機構30の各部位に変速制御信号に応じた油圧が供給され、また、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ2aの締結制御が行われるとともに、バリエータ20及び副変速機構30の変速比が、変速制御信号に応じた変速比すなわち目標変速比に変更される。
[0030]
 図2に示すように、コントローラ10は、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ2a、バリエータ20及び副変速機構30の動作を制御する変速制御部11と、第3回転速度センサ43によって検出された回転速度Noutから、回転速度Noutの振動成分における所定の周波数領域での振動レベルLfnを演算する演算部12と、演算部12によって演算された所定の周波数領域での振動レベルLfnに基づいて振動の発生箇所を判定する判定部13と、副変速機構30におけるLowブレーキ31及びHighクラッチ32が滑り始める締結圧を学習する学習制御部14と、判定部13によって判定された結果を車両100の走行距離Dとともに記憶する記憶部15と、を備える。なお、変速制御部11、演算部12、判定部13、及び学習制御部14とは、コントローラ10における自動変速機T/Mの動作を制御するための機能、及び後述する振動(ジャダー)の発生箇所を特定するための機能を仮想的なユニットとしたものである。演算部12、判定部13、学習制御部14、及び記憶部15の機能については、後で詳しく説明する。
[0031]
 なお、振動レベルLfnとは、図3に示すように、後述するバンドパスフィルタ処理後の回転速度Noutの波形(変動)における最大値(正側のピーク)と最小値(最小のピーク)との差に相当する値である。
[0032]
 次に、図4に示すタイムチャートを参照しながら、副変速機構30の変速制御及び学習制御について説明する。図4は、副変速機構30のアップシフト(すなわち1-2変速)時におけるタイムチャートの一例である。なお、図4に示す締結圧(油圧)は、コントローラ10からの指示圧を示すものであって、実際の締結圧(油圧)を示すものではない。
[0033]
 図4に示すように、副変速機構30の変速制御は、準備フェーズ、トルクフェーズ、イナーシャフェーズ、終了フェーズの4つのフェーズで構成されており、アップシフトではこの順で実施される。さらに、副変速機構30の変速制御の前後に、Lowブレーキ31の締結圧を学習するLowブレーキ学習、及びHighクラッチ32の締結圧を学習するHighクラッチ学習、が実施される。
[0034]
 時刻t1、具体的には、副変速機構30の1速から2速への変速が行われる前に、コントローラ10(学習制御部14)は、Lowブレーキ学習を実行する。Lowブレーキ学習では、Lowブレーキ31が滑り始める締結圧(以下では、Lowブレーキ31が滑り始める締結圧を「第1圧力PL」という。)を学習する。コントローラ10は、油圧制御装置50を制御して、Lowブレーキ31に供給する油圧(締結圧)を徐々に低下させる。そして、コントローラ10は、第2回転速度センサ42によって検出された副変速機構30の入力軸側の回転速度と、第3回転速度センサ43によって検出された副変速機構30の出力軸側の回転速度Noutと、の回転速度差が所定値以上になった時、つまり、Lowブレーキ31が滑り始めた時の圧力を第1圧力PLとして記憶部15に記憶する(時刻t2)。
[0035]
 時刻t3において、Lowブレーキ学習が終了すると、コントローラ10(変速制御部11)は、油圧制御装置50を制御して、Lowブレーキ31に供給する油圧(締結圧)を通常の締結圧まで上昇させる。
[0036]
 時刻t4において、副変速機構30の変速制御が開始されると、準備フェーズとして、副変速機構30におけるHighクラッチ32への油圧のプリチャージを行うとともに、Lowブレーキ31への油圧を低下させる。具体的には、コントローラ10は、油圧制御装置50を制御して、Highクラッチ32へ供給する油圧を上昇させ、Lowブレーキ31の油圧を低下させる。このとき、Highクラッチ32にプリチャージとして一時的に高圧を供給することにより、Highクラッチ32における締結動作の立ち上がりをより速くすることができる。
[0037]
 変速制御は、準備フェーズが終了するとトルクフェーズに移行する(時刻t5)。トルクフェーズでは、Highクラッチ32への油圧をさらに上昇させるとともに、Lowブレーキ31への油圧をさらに低下させ、トルクの伝達を受け持つ変速段を1速から2速に移行させる。トルクフェーズは、開始から所定時間が経過した時点(時刻t6)で終了する。
[0038]
 時刻t6において、変速制御がトルクフェーズからイナーシャフェーズに移行する。イナーシャフェーズは、副変速機構30の変速比を1速(変速前変速段)の変速比から2速(変速後変速段)の変速比まで滑らかに変化させるとともに、バリエータ20を副変速機構30の変速方向と逆方向(High側からLow側)に変速させるフェーズである。
[0039]
 イナーシャフェーズに移行すると、コントローラ10(変速制御部11)は、油圧制御装置50を制御して、Highクラッチ32への油圧をさらに上昇させるとともに、Lowブレーキ31への油圧をさらに低下させる。これと同時に、バリエータ20の変速を開始する。バリエータ20の変速速度は副変速機構30の変速速度と同程度で互いに逆方向になるようにして変速を行う。
[0040]
 副変速機構30の変速が終了すると(時刻t7)、イナーシャフェーズが終了し、終了フェーズに移行する。イナーシャフェーズの終了、つまり、副変速機構30の変速の終了は、例えば、第2回転速度センサ42で検出される回転速度と、第3回転速度センサ43で検出される回転速度Noutと、に基づいて判断される。
[0041]
 終了フェーズでは、コントローラ10は、油圧制御装置50を制御して、Lowブレーキ31への油圧を0としてLowブレーキ31を完全解放させるとともに、Highクラッチ32への油圧を上昇させてHighクラッチ32を完全締結させる。終了フェーズは、イナーシャフェーズの終了時点(時刻t7)から開始し、開始から所定時間が経過した時点(時刻t8)で終了する。これにより、副変速機構30が2速に完全に切り替わる。
[0042]
 時刻t9において、コントローラ10(学習制御部14)は、Highクラッチ学習を実行する。Highクラッチ学習では、Highクラッチ32が滑り始める締結圧(以下では、「第2圧力PH」という。)を学習する。具体的には、コントローラ10は、油圧制御装置50を制御して、Highクラッチ32に供給する油圧(締結圧)を徐々に低下させる。コントローラ10は、第2回転速度センサ42によって検出された副変速機構30の入力軸側の回転速度と、第3回転速度センサ43によって検出された副変速機構30の出力軸側の回転速度Noutと、の回転速度差が所定値以上になった時、つまり、Highクラッチ32が滑り始めた時の圧力を第2圧力PHとして記憶部15に記憶する。
[0043]
 このようにして記憶部15に記憶された第1圧力PL及び第2圧力PHは、次回以降の副変速機構30の変速制御において補正値として用いられる。
[0044]
 次に、自動変速機T/Mにおいて生じるジャダー(振動)について説明する。
[0045]
 自動変速機T/Mにおいては、摩擦締結要素(クラッチ板)やオイルの経年劣化に伴い振動が発生することがある。具体的には、副変速機構30のLowブレーキ31、Highクラッチ32、及びトルクコンバータ2のロックアップクラッチ2aにおけるクラッチ板の劣化、あるいは潤滑油の組成の変化に起因して、車両全体が振動するジャダーが発生することがある。ジャダーは、摩擦締結要素の締結を開始した時や摩擦締結要素が滑り始めた時に生じやすい(図4参照)。
[0046]
 このようなジャダーが発生した場合、交換等のために、ジャダーの発生箇所を特定する必要がある。ジャダーの発生箇所を特定するために、例えば、車速やエンジン回転速度に基づいて特定することが考えられる。しかしながら、副変速機構30においてジャダーが発生する領域とトルクコンバータ2においてジャダーが発生する領域とは、重複している。
[0047]
 また、油圧制御回路Cにおいて発生する油圧振動に起因して、ジャダーが発生することがある。この油圧制御回路Cにおける油圧振動が発生する領域も、副変速機構30においてジャダーが発生する領域及びトルクコンバータ2においてジャダーが発生する領域と重複する。
[0048]
 このため、車速やエンジン回転速度に基づいて、ジャダーの発生箇所を特定することは難しい。そこで、本実施形態では、第3回転速度センサ43によって検出された自動変速機T/M(副変速機構30)の出力軸側の回転速度Noutに基づいて、ジャダー(振動)の発生箇所が、副変速機構30(Lowブレーキ31やHighクラッチ32)であるのか、あるいは、副変速機構30におけるそれ以外の箇所(トルクコンバータ2(ロックアップクラッチ2a)や油圧制御回路C)であるのかを判定する。
[0049]
 副変速機構30(Lowブレーキ31やHighクラッチ32)においてジャダーが発生した場合と、トルクコンバータ2(ロックアップクラッチ2a)においてジャダーが発生した場合とでは、振動の特性が異なる。Lowブレーキ31、Highクラッチ32、ロックアップクラッチ2aで発生するジャダーは、動力伝達経路におけるトルクコンバータ2から駆動輪5までの質量に比例する。このため、副変速機構30(Lowブレーキ31やHighクラッチ32)におけるジャダーの共振周波数(25~35Hz程度)は、トルクコンバータ2(ロックアップクラッチ2a)におけるジャダーの共振周波数(5~10Hz程度)よりも高くなる。
[0050]
 そこで、副変速機構30(Lowブレーキ31やHighクラッチ32)におけるジャダーの共振周波数(第1周波数領域F1)を予め実験等を基に定め、第1周波数領域F1(例えば、25~35Hz程度)の振動レベルLf1が、第1所定値L1以上であるか否かを判定することにより、発生したジャダーが副変速機構30(Lowブレーキ31やHighクラッチ32)において発生したものであるか否かを判定することができる。さらに、トルクコンバータ2(ロックアップクラッチ2a)におけるジャダーの共振周波数(第2周波数領域F2)を予め実験等を基に定め、第2周波数領域F2(例えば、5~10Hz程度)内の振動レベルLf2が、第2所定値L2以上であるか否かを判定することにより、発生したジャダーがトルクコンバータ2(ロックアップクラッチ2a)において発生したものであるか否かを判定することができる。
[0051]
 以下に、本実施形態の振動箇所の判定方法について、図5及び図6を参照しながら、具体的に説明する。図5及び図6は、本実施形態の振動箇所の判定方法の流れを示すフローチャートである。
[0052]
 ステップS1では、回転速度Noutを取得する。具体的には、コントローラ10は、第3回転速度センサ43によって検出された回転速度Noutを取得する。
[0053]
 ステップS2では、回転速度Noutにバンドパスフィルタ処理を行う。具体的には、演算部12は、第3回転速度センサ43によって検出された回転速度Noutにバンドパスフィルタ処理を行い、回転速度Noutの振動成分のうち、第1周波数領域F1の振動成分(波形)を抽出する。第1周波数領域F1は、副変速機構30の摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32)に起因するジャダーの共振周波数を含む領域であり、例えば、25Hz~35Hzである。
[0054]
 ステップS3では、回転速度Noutにバンドパスフィルタ処理を行う。具体的には、演算部12は、第3回転速度センサ43によって検出された回転速度Noutにバンドパスフィルタ処理を行い、回転速度Noutの振動成分(波形)のうち、第1周波数領域F1よりも小さい第2周波数領域F2の振動成分(波形)を抽出する。第2周波数領域F2は、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ2aに起因するジャダーの共振周波数を含む領域であり、例えば、5Hz~10Hzである。
[0055]
 ステップS4では、振動レベルLfnを演算する。具体的には、演算部12は、ステップS2で抽出した第1周波数領域F1とステップS3で抽出した第2周波数領域F2の各周波領域における振動レベルLf1、Lf2を演算する。
[0056]
 ステップS5では、第1周波数領域F1の振動レベルLf1が第1所定値L1以上であるか否かを判定する。具体的には、判定部13は、ステップS4で算出された第1周波数領域F1の振動レベルLf1が、所定時間の間、第1所定値L1以上であるか否かを判定する。このステップS5の判定を行うことによって、ジャダーが副変速機構30において発生しているものであるか否かを判定することができる。
[0057]
 ステップS5において、第1周波数領域F1の振動レベルLf1が第1所定値L1以上であると判定されれば、ステップS6に進み、第1周波数領域F1の振動レベルLf1が第1所定値L1未満であると判定されればステップS10に進む。
[0058]
 ステップS6では、車両100の走行距離Dが第1所定距離D1以上であるか否かを判定する。走行距離Dが第1所定距離D1未満の場合には、摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32)が充分になじんでいない可能性があり、これに起因してジャダーが発生している可能性がある。そこで、摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32)が充分になじんだと判定できる走行距離(第1所定距離D1)を予め実験等により求め、この走行距離(第1所定距離D1)に基づいて判定を行うことで、Lowブレーキ31、Highクラッチ32におけるクラッチ板の劣化、あるいは潤滑油の劣化などに起因するジャダーか否かをより正確に判定できる。
[0059]
 ステップS7では、副変速機構30が掛け替え中であるか否かを判定する。副変速機構30が掛け替え中であれば、ステップS9に進む。ステップS9では、コントローラ10は、車両100の走行距離Dとともに副変速機構30の掛け替え中においてジャダー(振動)が発生したことを記憶部15に記憶する。走行距離Dを所定の距離ごと(例えば、5000kmごと)に区切り、ジャダーが発生したときに、その区切られた範囲とジャダーの発生した回数をカウントするようにして記憶させる。
[0060]
 これに対し、ステップS7において、副変速機構30が掛け替え中でないと判定されれば、ステップS8に進む。
[0061]
 ステップS8では、学習制御中であるか否かを判定する。判定部13は、副変速機構30の学習制御中であるか否かを判定する。学習制御中であれば、ステップS9に進む。学習制御中でなれば、検出されたジャダーが副変速機構30に起因するジャダーではないと判定してENDに進む。
[0062]
 ステップS9では、コントローラ10は、車両100の走行距離Dとともに副変速機構30の学習制御中においてジャダー(振動)が発生したことを記憶部15に記憶する。この場合も、走行距離Dを所定の距離ごと(例えば、5000kmごと)に区切り、ジャダーが発生したときに、その区切られた範囲とジャダー(振動)の発生した回数をカウントするようにして記憶させる。
[0063]
 次に、ステップS5において第1周波数領域F1の振動レベルLf1が第1所定値L1未満であると判定され、ステップS10に進んだ場合のフローについて説明する。
[0064]
 ステップS10では、圧力Pを検出する。具体的には、圧力センサ52によってSEC油室22cに供給されるSEC圧(圧力P)を検出する。検出された圧力Pは、コントローラ10に入力される。
[0065]
 ステップS11では、振動幅Pwを演算する。具体的には、演算部12は、入力された圧力Pから振動幅Pw(変動幅)を演算する。なお、振動幅Pwとは、図7に示すように、圧力Pの波形(変動)における最大値(正側のピーク)と最小値(最小のピーク)との差に相当する値である。
[0066]
 ステップS12では、副変速機構30の変速段がLow側(1速)か否かを判定する。副変速機構30の変速段がLow側(1速)であれば、ステップS13に進み、副変速機構30の変速段がLow側(1速)でない、つまりHigh側(2速)であれば、ステップS14に進む。
[0067]
 ステップS13では、第4所定値P1に設定する。具体的には、判定部13は、ステップS15での判定に用いる閾値を、Low側(1速)の閾値である第4所定値P1に設定する。ステップS14では、第5所定値P2に設定する。具体的には、判定部13は、ステップS15での判定に用いる閾値を、High側(2速)の閾値である第5所定値P2に設定する。なお、このように、副変速機構30の変速段によって設定値を変える理由は、Low側(1速)とHigh側(2速)とでは変速比が異なるため、振動幅の変動に差ができるためである。
[0068]
 ステップS15では、振動幅Pwが第4所定値P1または第5所定値P2以上であるか否かを判定する。具体的には、判定部13は、ステップS11で演算された振動幅Pwが、ステップS13またはステップS14のいずれかで設定された第4所定値P1または第5所定値P2以上であるか否かを判定する。
[0069]
 振動幅Pwが所定値(第4所定値P1または第5所定値P2)以上であれば、油圧制御回路Cにおいて油圧振動が発生している可能性が高いことになる。そこで、ステップS15の判定を行うことにより、自動変速機T/Mにおいて発生しているジャダーの要因として、ジャダーが油圧制御装置50における油圧振動に起因するものであるか否かを判定することができる。
[0070]
 振動幅Pwが設定された所定値(第4所定値P1または第5所定値P2)以上であれば、ステップS16へ進む。これに対し、振動幅Pwが設定された所定値(第4所定値P1または第5所定値P2)未満であれば、ステップS19へ進む。
[0071]
 ステップS16では、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第3所定値L3以上であるか否かを判定する。具体的には、判定部13は、ステップS4で算出された第2周波数領域F2の振動レベルLf2が、所定時間の間、第3所定値L3以上であるか否かを判定する。
[0072]
 ステップS16において、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第3所定値L3以上であると判定されれば、ステップS17に進み、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第3所定値L3未満であると判定されればENDに進む。
[0073]
 ステップS17では、油圧振動検知条件を満足しているか否かを判定する。ステップS15において、振動幅Pwが第4所定値P1または第5所定値P2以上であると判定されても、油圧制御回路Cにおいて油圧振動が発生していない、つまり他の要因で油圧振動が発生していることも考えられる。そこで、ステップS17において、油圧制御回路Cで振動が発生するための前提となる条件(油圧振動検知条件)を満足しているか否かを判定する。油圧振動検知条件は、例えば、以下に示すとおりである。
[0074]
 (a):25[km/h]≦車速Vc≦125[km/h]
 (b):800[rpm]≦エンジン回転速度Neng≦4500[rpm]
 (c):40[℃]≦油温T≦100[℃]
 (d):ロックアップクラッチ2aが締結状態
[0075]
 上記条件(a)~(d)の全てを満たしていれば、判定部13は、油圧振動検知条件を満足していると判定し、ステップS18に進む。これに対し、上記条件(a)~(d)の全てを満たしていなければ、判定部13は、油圧振動検知条件を満足していないと判定して、ENDに進む。なお、車両100がコースト状態(慣性走行状態)にあるときには、条件(a)が、例えば、以下の条件(a1)に変更される。
[0076]
 (a1):40[km/h]≦車速Vc≦120[km/h]
[0077]
 ステップS18では、コントローラ10は、車両100の走行距離Dとともに油圧制御回路Cにおいて振動(ジャダー)が発生したことを記憶部15に記憶する。この場合、さらにジャダーの発生した時点での車速、油温などを記憶させてもよい。
[0078]
 ステップS19では、車両100の走行距離Dが第2所定距離D2以上であるか否かを判定する。走行距離Dが第2所定距離D2未満の場合には、ロックアップクラッチ2aが充分になじんでいない可能性があり、これに起因してジャダーが発生している可能性がある。そこで、ロックアップクラッチ2aが充分になじんだと判定できる走行距離(第2所定距離D2)を予め実験等により求め、この走行距離(第2所定距離D2)に基づいて判定を行うことで、ロックアップクラッチ2aのクラッチ板の劣化、あるいは潤滑油の劣化などに起因するジャダーか否かをより正確に判定できる。なお、第2所定距離D2は、第1所定距離D1と同じ値であってもよい。
[0079]
 ステップS20では、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第2所定値L2以上であるか否かを判定する。具体的には、判定部13は、ステップS4で算出された第2周波数領域F2の振動レベルLf2が、所定時間の間、第2所定値L2以上であるか否かを判定する。
[0080]
 ステップS20において、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第2所定値L2以上であると判定されれば、ステップS17に進み、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第2所定値L2未満であると判定されればENDに進む。なお、第2所定値L2は、第3所定値L3以上の大きさに設定されるが、第2所定値L2と第3所定値L3とは、同じ値であってもよい。
[0081]
 ステップS21では、ロックアップジャダー検知条件を満足しているか否かを判定する。ステップS20において、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第2所定値L2以上であると判定されても、トルクコンバータ2(ロックアップクラッチ2a)において振動が発生していない、つまり他の要因でジャダーが発生していることも考えられる。そこで、ステップS21において、トルクコンバータ2でジャダー(振動)が発生するための前提となる条件(ロックアップジャダー検知条件)を満足しているか否かを判定する。ロックアップジャダー検知条件は、以下に示すとおりである。
[0082]
 (e):8[km/h]≦車速Vc≦50[km/h]
 (f):エンジン回転速度Nengとトルクコンバータ2の出力軸の回転速度Ntの差回転Ndが≦300[rpm]
 (g):40[℃]≦油温T≦100[℃]
[0083]
 上記条件(e)~(g)の全てを満たしていれば、判定部13は、ロックアップジャダー検知条件を満足していると判定し、ステップS22に進む。これに対し、上記条件(e)~(g)の全てを満たしていなければ、判定部13は、ロックアップジャダー検知条件を満足していないと判定して、ENDに進む。
[0084]
 ステップS22では、コントローラ10は、車両100の走行距離Dとともにトルクコンバータ2で振動(ジャダー)が発生したことを記憶部15に記憶する。この場合、走行距離Dを所定の距離ごと(例えば、5000kmごと)に区切り、ジャダーが発生したときに、その区切られた範囲とジャダーの発生した回数をカウントするようにして記憶させる。
[0085]
 以上のように、本実施形態では、自動変速機T/Mにジャダーが発生した場合に、所定の周波数領域(第1周波数領域F1、第2周波数領域F2)における振動レベルLf1,Lf2に基づいて振動の発生箇所を判定することができるので、ジャダーの発生箇所を簡単に、かつ、より正確に特定できる。また、本実施形態では、ジャダーが発生したことを記憶部15に記憶させている。このため、メンテナンスの際に、記憶部15に記憶された情報から、修理を要する箇所を簡単に特定することができる。
[0086]
なお、油圧振動によるジャダーの判定が不要であれば、ステップS10~S18は実施しなくてもよい。この場合のフローチャートは、図10に示すものとなる。
[0087]
 次に、副変速機構30におけるジャダーの発生要因について説明する。
[0088]
 まず、Lowブレーキ31及びHighクラッチ32のμ-V特性について説明する。μ-V特性とは、摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32のクラッチ板)の摩擦係数μの滑り速度V(回転速度差)に対する変化特性である。図8に示すように、μ-V特性が、正の勾配(実線)が保たれていればジャダーの発生がみられない。しかしながら、摩擦締結要素のμ-V特性が負の勾配(滑り速度Vが上がるほど摩擦係数μが小さくなる(点線))になると、ジャダーが発生することがある。
[0089]
 μ-V特性が負の勾配になる要因として、μ 0(最大静摩擦係数、滑る始める直前の摩擦係数)の上昇、あるいは、μ d(動摩擦係数)の低下が考えられる。μ 0(最大静摩擦係数)が上昇する要因として、例えば、オイル中の減摩剤の消耗など、オイルの劣化がある。また、μ d(動摩擦係数)が低下する要因として、例えば、摩擦材の目詰まりなどの摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32のクラッチ板)の劣化がある。
[0090]
 さらに、副変速機構30におけるμ 0(最大静摩擦係数)の上昇に起因するジャダーが発生する状況として、上記学習制御実行時があげられる。上述のように、学習制御は、Lowブレーキ31またはHighクラッチ32が滑り始める締結圧を学習するものである。つまり、学習制御実行時にジャダーが発生した場合には、Lowブレーキ31またはHighクラッチ32が滑り始めたときにジャダーが発生したことになるので、μ 0(最大静摩擦係数)の変化(上昇)が、ジャダーの要因と考えることができる。
[0091]
 上述のように、μ 0(最大静摩擦係数)の上昇している要因は、オイルの劣化であると考えることができる。したがって、本実施形態のように、記憶部15に学習制御実行時にジャダーが発生したと記憶させておくことにより、メンテナンスの際に、オイル交換が必要であると判断することができる。
[0092]
 また、副変速機構30におけるμ d(動摩擦係数)の低下に起因するジャダーが発生する状況として、副変速機構30における掛け替え制御の実行時があげられる。上述のように、掛け替え制御は、Lowブレーキ31またはHighクラッチ32を滑らせながらトルクの伝達を入れ替えるものである。つまり、掛け替え制御実行時にジャダーが発生した場合には、Lowブレーキ31またはHighクラッチ32が滑っているときにジャダーが発生したことになるので、μ d(動摩擦係数)の低下が、ジャダーの要因と考えることができる。
[0093]
 上述のように、μ d(動摩擦係数)の低下している要因は、摩擦材の目詰まりなどの摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32のクラッチ板)の劣化であると考えることができる。したがって、本実施形態のように、記憶部15に掛け替え制御実行時にジャダーが発生したと記憶させておくことにより、メンテナンスの際に、クラッチ交換が必要であると判断することができる。なお、クラッチ交換を行う際には、合わせてオイル交換を行う必要がある。
[0094]
 次に、車両100の走行距離Dとオイルの劣化との関係について説明する。図9は、トルクコンバータ2における車両100の走行距離Dとオイルの全塩基価との関係を示す図である。図9に示されるように、オイルの全塩基価は、走行距離Dが多くなるほど低下する。つまり、走行距離Dが多くなるほど、オイルは劣化する。
[0095]
 そのため、本実施形態では、ジャダーの発生した状況を車両100の走行距離Dとともに記憶部15に記憶させる。これにより、メンテナンスを行う際、走行距離Dを勘案することにより、オイルの劣化状況をより適切に推定することができる。なお、車両100の走行距離Dとオイルの劣化との関係は、副変速機構30においても、図9に示す特性に近似する。
[0096]
 以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
[0097]
 自動変速機T/Mは、駆動源(エンジン1)と駆動輪5との間の動力伝達経路上に設けられたトルクコンバータ2と、トルクコンバータ2の動力伝達経路における下流に設けられた無段変速機構(バリエータ20)と、無段変速機構(バリエータ20)の動力伝達経路における下流に設けられた有段変速機構(副変速機構30)と、有段変速機構(副変速機構30)の出力軸側の回転速度Noutを検出する回転速度検出器(第3回転速度センサ43)と、トルクコンバータ2、無段変速機構(バリエータ20)、及び有段変速機構(副変速機構30)の動作を制御する制御装置(コントローラ10)と、を備える。
[0098]
 制御装置(コントローラ10)は、回転速度検出器(第3回転速度センサ43)によって検出された回転速度Noutに基づいて、回転速度Noutの振動成分における所定の周波数領域(第1周波数領域F1、第2周波数領域F2)での振動レベルLfnを演算する演算部12と、演算部12によって演算された所定の周波数領域(第1周波数領域F1、第2周波数領域F2)における振動レベルLfnに基づいて振動の発生箇所を判定する判定部13と、を備える。
[0099]
 この構成では、回転速度Noutの振動成分における所定の周波数領域(第1周波数領域F1、第2周波数領域F2)での振動レベルLfnを演算し、演算された振動レベルLfnの大きさを判定することで、自動変速機T/Mにおける振動の発生箇所を特定できる。これにより、自動変速機T/Mにおける振動の発生箇所を簡単に特定することができる。よって、ユニット全体を交換する必要がなく、適切なメンテナンスを施すことができる。
[0100]
 自動変速機T/Mでは、所定の周波数領域は、第1周波数領域F1と、第1周波数領域F1よりも周波数が小さい第2周波数領域F2と、を有し、判定部13は、第1周波数領域F1における振動レベルLf1が第1所定値L1以上の場合には、有段変速機構(副変速機構30)において振動が発生していると判定し、第2周波数領域F2における振動レベルLf2が第2所定値L2以上の場合には、有段変速機構(副変速機構30)以外(トルクコンバータ2または油圧制御回路C)において振動が発生していると判定する。
[0101]
 有段変速機構(副変速機構30)におけるジャダーの周波数と、トルクコンバータ2及び油圧制御回路Cにおけるジャダーの周波数とは互いに異なる。そこで、振動成分において、第1周波数領域F1及び第2周波数領域F2における振動レベルLf1,Lf2を用いて判定を行うことで、自動変速機T/Mにおける振動発生箇所をより細かく判定することができる。
[0102]
 自動変速機T/Mでは、判定部13は、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第2所定値L2以上であるときに、車両100の走行距離Dが所定値(第2所定距離D2)以上である場合には、トルクコンバータ2において振動が発生していると判定する。
[0103]
 油圧振動による判定が不要の場合には、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第2所定値L2以上であるかを判定することにより、トルクコンバータ2において振動が発生していると判定することができる。
[0104]
 自動変速機T/Mでは、有段変速機構(副変速機構30)は、1速段を実現するための第1摩擦締結要素(Lowブレーキ31)と、1速段(Lowブレーキ31)よりも変速比が小さい2速段を実現するための第2摩擦締結要素(Highクラッチ32)と、を有し、制御装置(コントローラ10)は、第1及び第2摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32)の一方から第1及び第2摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32)の他方に掛け替えを行っているときに、判定部13によって有段変速機構(副変速機構30)において振動が発生していると判定された場合には、車両100の走行距離Dとともに振動が発生したことを記憶する記憶部15をさらに備える。
[0105]
 有段変速機構(副変速機構30)の掛け替えを行っている際に、振動が発生したと判定された場合には、上述のように、摩擦材の目詰まりなどの第1及び第2摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32のクラッチ板)の劣化であると考えることができる。したがって、記憶部15に掛け替え制御実行時に振動が発生したと記憶させておくことにより、メンテナンスの際に、クラッチ交換が必要であると判断することができる。これにより、不要な交換や作業を行うことなく、適切なメンテナンスを行うことができる。
[0106]
 自動変速機T/Mでは、制御装置(コントローラ10)は、有段変速機構(副変速機構30)における第1及び第2摩擦締結要素(Lowブレーキ31及びHighクラッチ32)が滑り始める締結圧を学習する学習制御部14をさらに備え、学習制御部14による学習が行われているときに、判定部13によって有段変速機構(副変速機構30)において振動が発生していると判定された場合には、車両100の走行距離Dとともに振動が発生したことを記憶部15に記憶する。
[0107]
 有段変速機構(副変速機構30)の学習制御実行時に振動が発生した場合には、上述のように、オイルの劣化であると考えることができる。したがって、記憶部15に学習制御実行時に振動が発生したと記憶させておくことにより、メンテナンスの際に、オイル交換が必要であると判断することができる。これにより、不要な交換や作業を行うことなく、適切なメンテナンスを行うことができる。
[0108]
 自動変速機T/Mでは、無段変速機構(バリエータ20)は、プライマリ油室21cを有するプライマリプーリ21と、セカンダリ油室22cを有するセカンダリプーリ22と、プライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22に巻き掛けられるベルト23と、プライマリ油室21c及びセカンダリ油室22cに供給される油圧を制御する油圧制御回路C(油圧制御装置50、通路51)と、油圧制御回路C(油圧制御装置50、通路51)内の圧力を検出する圧力センサ52と、を有し、判定部13は、圧力センサ52によって検出された圧力Pの振動幅Pwが所定値(第4所定値P1または第5所定値P2)以上であるときに、第2周波数領域F2の振動レベルLf2が第3所定値L3以上の場合には、油圧制御回路C(油圧制御装置50、通路51)において油圧振動が発生していると判定する。
[0109]
 この構成では、副変速機構30、トルクコンバータ2に起因する振動に加え、油圧制御回路Cに起因する振動も判別することができる。
[0110]
 以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
[0111]
 上記実施形態では、圧力センサ52が、SEC油室22cに供給されるSEC圧(圧力P)を検出するように構成された場合を例に説明したが、これに限らず、PRI油室21cに供給されるPRI圧や、ライン圧に基づいて油圧振動を判定するようにしてもよい。
[0112]
 上記実施形態では、各判定結果を記憶部15に記憶する場合を例に説明したが、これに限らず、例えば、判定結果を車内の表示装置に表示するようにしてもよい。
[0113]
 本願は、2019年3月13日に日本国特許庁に出願された特願2019-46140号に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 駆動源と駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられたトルクコンバータと、
 前記トルクコンバータの前記動力伝達経路における下流に設けられた無段変速機構と、
 前記無段変速機構の前記動力伝達経路における下流に設けられた有段変速機構と、
 前記有段変速機構の出力軸側の回転速度を検出する回転速度検出器と、
 前記トルクコンバータ、前記無段変速機構、及び前記有段変速機構の動作を制御する制御装置と、を備え、
 前記制御装置は、
 前記回転速度検出器によって検出された前記回転速度に基づいて、前記回転速度の振動成分における所定の周波数領域での振動レベルを演算する演算部と、
 前記演算部によって演算された前記所定の周波数領域における前記振動レベルに基づいて振動の発生箇所を判定する判定部と、を備える自動変速機。
[請求項2]
 請求項1に記載の自動変速機において、
 前記所定の周波数領域は、第1周波数領域と、前記第1周波数領域よりも周波数が小さい第2周波数領域と、を有し、
 前記判定部は、
 前記第1周波数領域における前記振動レベルが第1所定値以上の場合には、前記有段変速機構において振動が発生していると判定し、
 前記第2周波数領域における前記振動レベルが第2所定値以上の場合には、前記有段変速機構以外において振動が発生していると判定する自動変速機。
[請求項3]
 請求項2に記載の自動変速機において、
 前記判定部は、前記第2周波数領域における前記振動レベルが前記第2所定値以上であるときに、車両の走行距離が所定値以上である場合には、前記トルクコンバータにおいて振動が発生していると判定する自動変速機。
[請求項4]
 請求項2または3に記載の自動変速機において、
 前記有段変速機構は、1速段を実現するための第1摩擦締結要素と、前記1速段よりも変速比が小さい2速段を実現するための第2摩擦締結要素と、を有し、
 前記制御装置は、
 前記第1及び第2摩擦締結要素の一方から前記第1及び第2摩擦締結要素の他方に掛け替えを行っているときに、前記判定部によって前記有段変速機構において振動が発生していると判定された場合には、車両の走行距離とともに振動が発生したことを記憶する記憶部をさらに備える自動変速機。
[請求項5]
 請求項4に記載の自動変速機において、
 前記制御装置は、
 前記有段変速機構における前記第1及び第2摩擦締結要素が滑り始める締結圧を学習する学習制御部をさらに備え、
 前記学習制御部による学習が行われているときに、前記判定部によって前記有段変速機構において振動が発生していると判定された場合には、車両の走行距離とともに振動が発生したことを前記記憶部に記憶する自動変速機。
[請求項6]
 請求項2から5のいずれか1つに記載の自動変速機において、
 前記無段変速機構は、
 プライマリ油室を有するプライマリプーリと、
 セカンダリ油室を有するセカンダリプーリと、
 前記プライマリプーリ及び前記セカンダリプーリに巻き掛けられるベルトと、
 前記プライマリ油室及び前記セカンダリ油室に供給される油圧を制御する油圧制御回路と、
 前記油圧制御回路内の圧力を検出する圧力センサと、を有し、
 前記判定部は、
 前記圧力センサによって検出された圧力の振動幅が所定値以上であるときに、前記第2周波数領域内における前記振動レベルが第3所定値以上の場合には、前記油圧制御回路において油圧振動が発生していると判定する自動変速機。
[請求項7]
 駆動源と駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられたトルクコンバータと、
 前記トルクコンバータの前記動力伝達経路における下流に設けられた無段変速機構と、
 前記無段変速機構の前記動力伝達経路における下流に設けられた有段変速機構と、
 前記有段変速機構の出力軸側の回転速度を検出する回転速度検出器と、
 前記トルクコンバータ、前記無段変速機構、及び前記有段変速機構の動作を制御する制御装置と、を備えた自動変速機における振動箇所判定方法であって、
 前記回転速度検出器によって検出された前回転速度に基づいて、前記回転速度の振動成分における所定の周波数領域での振動レベルを演算し、
 演算された前記所定の周波数領域における前記振動レベルに基づいて振動の発生箇所を判定する自動変速機における振動箇所判定方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]