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1. WO2020116135 - MATÉRIAU DE RÉSINE DE SILICONE POUR MOULE DE MOULAGE PAR INJECTION, ET MOULE DE MOULAGE PAR INJECTION

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明 細 書

発明の名称 射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、射出成形型

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015   0016   0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032  

実施例

0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、射出成形型

技術分野

[0001]
 本発明は、射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、前記射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型に関する。

背景技術

[0002]
射出成形はプラスチックをはじめとする熱可塑性樹脂の成型時に採用される加工方法として知られているが、その成形型の素材は従来、ステンレス、アルミ、鉄等の金属が主流であった。
[0003]
しかし、これら金属を素材とする射出成形型は、NC工作機等によって、金属隗から切削加工を用いて削り出すことにより製作されるため、製作にコストも日数もかかり、金型製作後の管理維持に関しても多大な場所と管理コストを要することが難点であった。
[0004]
この点、特許文献1では、シリコーン樹脂に所定の充填剤を混錬したシリコーン樹脂材料を素材とする成形型について開示する。
シリコーン樹脂を基材とする成形型は、従来、耐熱変形性が低く、熱による強度劣化を起こすので、成形時の充填圧力や加熱温度により変形が生じるという難点を有していたところ、特許文献1においては、シリコーン樹脂にチタン酸カリウム繊維を配合したシリコーン樹脂材料により上記難点を解消でき、その樹脂材料では耐熱変形性、硬度、強度、耐久性が高く維持されるので、射出成形用としても好適であるという旨記載がある。
[0005]
しかし、特許文献1には以下の技術的課題が存する。
第一に、チタン酸カリウム繊維を配合したシリコーン樹脂材料では熱伝導性が低下するので、射出成形時の温度調整に時間を要してしまい、射出成形品の生産効率が下がる。また、材料内の温度差に起因する熱膨張応力による破壊も懸念される。
第二に、チタン酸カリウム繊維は絶縁性が高いため、これを配合したシリコーン樹脂材料では静電気を帯電しやすく、ダスト付着が懸念される。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : WO2014/141529号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
以上から、シリコーン樹脂を基材とする射出成形用の成形型は、射出成形時の加熱温度と充填圧力による変形を抑えるために、その素材の硬度と、靭性に依存する強度とを高く維持しようとすると、熱伝導率、および、体積抵抗率の低下が発生するので、熱膨張による破壊、ダスト付着、射出成型品の生産効率の低下、を引き起こすことが難点であった。
[0008]
本発明は上記の事情に鑑みたものであって、シリコーン樹脂を基材とする射出成型用の成形型において、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形を抑え、射出成形品の生産効率を向上させ、射出成形時の熱膨張による破壊を防止することを可能にする、射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型を提供することを目的とする。
[0009]
本発明は上記の事情に鑑みたものであって、シリコーン樹脂を基材とする射出成型用の成形型において、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形を抑え、ダスト付着を低減することを可能にする、射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型を提供することを目的とする。
[0010]
本発明は上記の事情に鑑みたものであって、シリコーン樹脂を基材とする射出成型用の成形型において、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形を抑え、射出成形品の生産効率を向上させ、射出成形時の熱膨張による破壊を防止し、ダスト付着を低減することを可能にする、射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、硬度、引張強度、引裂強度が所定の下限値以上を満たし、かつ、所定の下限値以上を満たす熱伝導率、を有することを特徴とする射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型によって、課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
[0012]
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、硬度、引張強度、引裂強度が所定の下限値以上を満たし、かつ、所定の上限値以下を満たす体積抵抗率、を有することを特徴とする射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型によって、課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
[0013]
さらに本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、硬度、引張強度、引裂強度が所定の下限値以上を満たし、かつ、所定の下限値以上を満たす熱伝導率、および、所定の上限値以下を満たす体積抵抗率、を有することを特徴とする射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型によって、課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
[0014]
 したがって本発明は下記の射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成型用の成形型を提供する。
〔1〕射出成形型用シリコーン樹脂材料であって、前記射出成形型用シリコーン樹脂材料の硬度、引張強度、引裂強度が各々所定の下限値以上を満たし、かつ、熱伝導率が所定の下限値以上を満たすことを特徴とする、射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔2〕前記硬度の下限値が70、前記引張強度の下限値が6MPa、および、前記引裂強度の下限値が8kN/mであって、前記熱伝導率の下限値が0.7W/mK、であることを特徴とする、〔1〕に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔3〕前記射出成形型用シリコーン樹脂材料が、シリコーン樹脂と、粒状および繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤と、の混錬物であって、前記粒状および前記繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤は、硬度、引張強度、および、引裂強度が各々前記下限値以上を満たしつつ、熱伝導率が前記下限値以上、を満たすよう作用するものであることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔4〕前記粒状の高熱伝導性の充填剤が炭化ケイ素化合物であって、シリコーン樹脂100質量部に対して50~400質量部混錬されていることを特徴とする〔1〕~〔3〕のいずれか1に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔5〕前記繊維状の高熱伝導性の充填剤が炭素繊維であって、シリコーン樹脂100質量部に対して1~40質量部混錬されていることを特徴とする〔1〕~〔4〕のいずれか1に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔6〕射出成形型用シリコーン樹脂材料であって、前記射出成形型用シリコーン樹脂材料の硬度、引張強度、引裂強度が所定の下限値以上を満たし、かつ、体積抵抗率が所定の上限値以下を満たすことを特徴とする、射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔7〕前記硬度の下限値が70、前記引張強度の下限値が6MPa、および、前記引裂強度の下限値が8kN/mであって、前記体積抵抗率の上限値が10 Ω・cm、であることを特徴とする、〔6〕に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔8〕前記射出成形型用シリコーン樹脂材料が、シリコーン樹脂と、粒状および繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤と、の混錬物であって、前記粒状および前記繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤は、硬度、引張強度、および、引裂強度が各々前記下限値以上を満たしつつ、体積抵抗率が前記上限値以下、を満たすよう作用するものであることを特徴とする〔6〕または〔7〕に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔9〕前記粒状の高熱伝導性の充填剤が炭化ケイ素化合物であって、シリコーン樹脂100質量部に対して50~400質量部混錬されていることを特徴とする〔6〕~〔8〕のいずれか1に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔10〕前記繊維状の高熱伝導性の充填剤が炭素繊維であって、シリコーン樹脂100質量部に対して1~40質量部混錬されていることを特徴とする〔6〕~〔9〕のいずれか1に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔11〕射出成形型用シリコーン樹脂材料であって、前記射出成形型用シリコーン樹脂材料の硬度、引張強度、引裂強度が所定の下限値以上を満たし、かつ、熱伝導率が所定の下限値以上を、体積抵抗率が所定の上限値以下を、同時に満たすことを特徴とする、射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔12〕前記硬度の下限値が70、前記引張強度の下限値が6MPa、および、前記引裂強度の下限値が8kN/mであって、前記熱伝導率の下限値が0.7W/mK、前記体積抵抗率の上限値が10 Ω・cm、であることを特徴とする、〔11〕に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔13〕前記射出成形型用シリコーン樹脂材料が、シリコーン樹脂と、粒状および繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤と、の混錬物であって、前記粒状および前記繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤は、硬度、引張強度、および、引裂強度が各々前記下限値以上を満たしつつ、熱伝導率が前記下限値以上、体積抵抗率が前記上限値以下、を満たすよう作用するものであることを特徴とする〔11〕または〔12〕に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔14〕前記粒状の高熱伝導性の充填剤が炭化ケイ素化合物であって、シリコーン樹脂100質量部に対して50~400質量部混錬されていることを特徴とする〔11〕~〔13〕のいずれか1に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔15〕前記繊維状の高熱伝導性の充填剤が炭素繊維であって、シリコーン樹脂100質量部に対して1~40質量部混錬されていることを特徴とする〔11〕~〔14〕のいずれか1に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
〔16〕〔1〕~〔15〕のいずれか1に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型。

発明の効果

[0015]
本発明によれば、シリコーン樹脂を基材とする射出成型用の成形型において、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形を抑え、射出成形品の生産効率を向上させ、射出成形時の熱膨張による破壊を防止することを可能にする、射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型を提供することができる。
[0016]
本発明によれば、シリコーン樹脂を基材とする射出成型用の成形型において、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形を抑え、ダスト付着を低減することを可能にする、射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型を提供することができる。
[0017]
本発明によれば、シリコーン樹脂を基材とする射出成型用の成形型において、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形を抑え、射出成形品の生産効率を向上させ、射出成形時の熱膨張による破壊を防止し、ダスト付着を低減することを可能にする、射出成形型用シリコーン樹脂材料、および、当該射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0018]
[射出成形型用シリコーン樹脂材料の実施形態]
 以下に、本発明の射出成形型用シリコーン樹脂材料について説明する。
 本発明の射出成形型用シリコーン樹脂材料は、その硬度、引張強度、および、引裂強度が、各々に設けられた下限値以上を同時に満たすので、シリコーン樹脂を基材とする射出成型用の成形型において、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形を抑えることができる。
硬度の下限値は70であることが好ましく、80であるとより好ましい。引張強度の下限値は6MPaであると好ましく、7.4MPaであるとより好ましい。引裂強度の下限値は8kN/mであることが好ましく、10kN/mであるとより好ましい。硬度、引張強度、引裂強度のすべてが、各々に対応する上記下限値以上を満たすと、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形および破壊が起きにくくなり、射出成形型の寸法精度も良くなる。
なお本発明における射出成形時の加熱温度は200~300℃を意味する。
硬度の下限値はショアAによって得られるものであり、その下限値以上を満たす硬度も同様に、ショアAにより得られるものとする。また、引張強度と引裂強度は、特に本発明の射出成形型用シリコーン樹脂材料の靭性を決定する物性であって、これらが高いほど、当該樹脂シリコーン樹脂材料が高靭性となっていく。
[0019]
本発明の射出成形型用シリコーン樹脂材料は、その熱伝導率が所定の下限値以上を満たすので、シリコーン樹脂を基材とする射出成型用の成形型において、射出成型品の生産効率を向上させ、かつ、射出成形時の熱膨張による破壊を防止することができる。その下限値は0.7W/mKであることが好ましく、1W/mKであるとより好ましい。熱伝導率がこの下限値以上を満たすことで、射出成型品の生産効率の向上と、射出成形時に懸念される熱膨張による破壊の防止が確実に可能となる。
[0020]
本発明の射出成形型用シリコーン樹脂材料は、その体積抵抗率が所定の上限値以下を満たすので、シリコーン樹脂を基材とする射出成型用の成形型において、ダストの付着を低減することができる。その上限値は10 Ω・cmであることが好ましく、10 Ω・cmであるとより好ましい。体積抵抗率がこの上限値以下を満たすことで、ダスト付着が低減され、射出成型品の異物混入を防ぐこともできる。
[0021]
 硬度、引張強度、引裂強度が各々の上記下限値以上を満たし、さらに、熱伝導率が上記下限値以上、かつ/または、体積抵抗率が上記上限値以下、を満たすのは、粒状および繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤が、シリコーン樹脂に対して、所定の範囲内で混錬されるためである。したがって、本発明の射出成形型用シリコーン樹脂材料は、シリコーン樹脂と、粒状および繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤との混錬物であることが好ましい。
なお、本発明に記載のシリコーン樹脂は、熱硬化型液状シリコーンゴムであってもよく、硬化温度は200℃以下、ショアAにより得られる硬度が25以上である付加型シリコーン樹脂であってもよい。また、「混錬」には、シリコーン樹脂に、これら2種の高熱伝導性の充填剤を少量ずつ混入して攪拌する方法のほか、シリコーン樹脂を押したり叩いたりしながら混ぜ込む方法も含まれる。混錬は手作業でも、汎用の撹拌機でも行うことができる。
[0022]
粒状の高熱伝導性の充填剤はシリコーン樹脂に混錬されることで、具体的に、シリコーン樹脂の硬度、熱伝導率を高くし、体積抵抗率を低くする方向に作用し、繊維状の高熱伝導性の充填剤は同樹脂の引張強度、引裂強度および熱伝導率を高くする方向に作用する。一般的にシリコーン樹脂は、その硬度を高くしようとすると、反対に引張強度や引裂強度は低下していく傾向があるので、それらを互いに高い物性値として両立したい場合には、粒状の高熱伝導性の充填剤と、繊維状の高熱伝導性の充填剤が必ず両方混錬されている必要がある。
硬度、ならびに、引張強度および引裂強度が、上述したような下限値以上の具体的な物性値を各々両立するのは、粒状の高熱伝導性の充填剤、および繊維状の高熱伝導性の充填剤が、各々で規定される範囲内で、シリコーン樹脂に混錬されている場合である。この所定の範囲内で粒状および繊維状の高熱伝導性の充填剤を混錬することは、シリコーン樹脂の硬度、ならびに、引張強度および引裂強度を各々上記の下限値(すなわち、順に70、6MPa、8kN/mが好ましいとされる下限値)以上の物性値で両立させるだけでなく、さらに熱伝導率を、上記の下限値(すなわち0.7W/mKが好ましいとされる下限値)以上にする。また、繊維状の高熱伝導性の充填剤はさらに、その所定範囲内の混錬量で、体積抵抗率を上記上限値(すなわち10 Ω・cmが好ましいとされる上限値)以下に抑えることができる。
[0023]
つまり、当該充填剤は、粒状と繊維状とを所定範囲内でシリコーン樹脂に混錬させることで、射出成形時の変形を抑える程度に、硬度、ならびに引張強度および引裂強度を両立させることができる一方で、射出成形時の熱膨張による破壊の防止と、射出成型品の生産効率の向上と、ができる程度に熱伝導率を与えること、かつ/または、ダスト付着を防止させる程度に体積抵抗率を抑えることが、シリコーン樹脂に対してできる。これは、シリコーン樹脂を基材とする成形型において、射出成形時の加熱温度と充填圧力による変形を抑えるために素材の硬度と靭性を高くしようとすると、熱伝導率、および、体積抵抗率が低下するために、射出成形時の熱膨張による破壊、射出成型品の生産効率の低下、ダスト付着、を引き起こす懸念があった従来の充填剤に比べ、本発明における粒状および繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤が、非常に画期的な充填剤であることを意味する。
[0024]
 粒状の高熱伝導性の充填剤は炭化ケイ素化合物であることが好ましく、シリコーン樹脂の重量に対し50~400質量部混錬されていることが好ましく、50~250質量部混錬されていることがより好ましい。また、上記の繊維状の高熱伝導性の充填剤は炭素繊維であることが好ましく、シリコーン樹脂の重量に対し1~40質量部混錬されていることが好ましく、2~30質量部混錬されていることがより好ましい。これら2つの範囲は互いに同時に満たされている必要がある。粒状の高熱伝導性の充填剤の混錬が50質量部未満、かつ/または、繊維状の高熱伝導性の充填剤が1質量部未満であると、硬度、引張強度、引裂強度のいずれか、あるいは、すべてが各々の下限値以上の値を満たさない。また熱伝導率と、体積抵抗率とが、各々下限値以上、上限値以下を同時に、あるいは、どちらか片方のみ、満たさないことがある。そのため、得られた成形型を用いて射出成形するときに、成形型が充填圧力と加熱温度によって変形したり、射出成型品の生産効率の低下、ダスト付着の恐れがある。また、粒状の高熱伝導性の充填剤の混錬量が400質量部より多い、かつ/または、繊維状の高熱伝導性の充填剤が40質量部より多いと、硬化前の粘度が上昇するので、作業性、射出成型品の形状の再現性が悪くなる可能性がある。
[0025]
 上記の粒状の高熱伝導性の充填剤が炭化ケイ素化合物化合物である場合、その粒径は250μm以下であることが好ましい。炭化ケイ素化合物化合物がこの粒径以下であって、かつ、シリコーン樹脂に対して50~400質量部で混錬されることで、混錬時の充填剤の沈殿を抑えることができる。この粒状の高熱伝導性の充填剤は、1種類を単独で使用してもよいが、前記粒径以下の範囲内で、粒径の異なる2種類以上を組み合わせると、より効果が発揮されやすい。
なお粒径は、レーザ回析方法によって測定されるものであり、市販品の炭化ケイ素化合物化合物を使用する場合、そのメーカーが示す公称値も同様にレーザ回析方法によって得られるものである。
[0026]
上記の繊維状の高熱伝導性の充填剤が炭素繊維である場合、その繊維は半径5μm以上、長さは20μm以上であることが好ましい。繊維状の充填剤がこの半径、長さを満たし、かつ、シリコーン樹脂に対して1~40質量部混錬されることで、混錬時の充填剤の沈殿を抑えることができる。
[0027]
 本発明の射出成形型用シリコーン樹脂材料には、本発明の主旨に反しない限り、窒化ホウ素微粒子、沈殿防止剤、硬化触媒を添加してもよい。
[0028]
窒化ホウ素微粒子は、本発明における射出成形型用シリコーン樹脂材料で作製される成形型に離型性、熱伝導性を増強させる必要があった場合に、粒径5~400μmのものを、シリコーン樹脂100質量部に対して10質量部を上限として、任意に添加されてもよい。この上限を超えて添加すると、硬化前の粘度が上昇するため、2種の高熱伝導性の充填剤が上述した適正範囲内の混錬量であった場合でも、作業性が悪くなり、射出成型品の形状の再現性が悪くなる可能性がある。
なおこの場合の粒径も、レーザ回析方法によって測定されるものであり、市販品の窒化ホウ素を使用する場合、そのメーカーが示す公称値も同様にレーザ回析方法によって得られるものである。
[0029]
沈殿防止剤は、本発明における射出成形型用シリコーン樹脂材料の作製時に、高熱伝導性の充填剤混錬時の充填剤の沈殿を抑制するために、任意に添加されてもよい。添加量はシリコーン樹脂100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましい。
[0030]
硬化触媒は、本発明における射出成形型用シリコーン樹脂材料の型取りの際に、その硬化を速めることを目的に、任意で添加されてもよい。添加量はシリコーン樹脂100質量部に対して0.1~3質量部であることが好ましい。添加量が0.1質量部以下であると、硬化促進という触媒の効果が得られず、3質量部以上であると、硬化が早まりすぎてしまい、作業可能時間が短くなる。
[0031]
[射出成形用の成形型の実施形態]
本発明の射出成型用の成形型は、上述したような本発明の射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、従来の型取り方法を採用し、200℃以下で硬化することによって製作することができる。これによって、本発明の射出成型用の成形型についても、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形を抑え、射出成形品の生産効率を向上し、熱膨張による破壊を抑え、ダスト付着が低減されるような特性を付与することができる。
[0032]
従来の型取り方法には例えば、一般的な型取り方法、反転型の型取り方法、高精度な型取り方法等が挙げられる。一般的な型取り方法は、原型からシリコーン樹脂材料の母型を作製し、この母型の中へ液状樹脂などを流し込んで、複製品を作る方法である。反転型取り方法は、原型からシリコーン樹脂材料の母型を作製し、この母型の中へエポキシ樹脂などを流し込んで複製品を作製し、簡易金型を作製する反転工程で次の型を作るための母型として使用する方法である。高精度な型取り方法は真空注型装置を用いて、シリコーン樹脂材料の高精度な母型を作り、この型を真空槽の中へ入れ、真空でエポキシ樹脂などの液体樹脂を細部まで注入し、精密な樹脂成型品を作る方法である。本発明の成形型はこれ以外の型取り方法でも製作できる。
実施例
[0033]
以下の実施例によって、本発明を説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。実施例および比較例における射出成型用シリコーン樹脂材料の構成成分を以下に記載し、これら成分を混錬して作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、硬度試験、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、体積抵抗率の測定、折曲げ試験、温度上昇時間の測定、ダスト付着数の計測を以下の通り実施した。
[0034]
[射出成形型用シリコーン樹脂材料の構成成分]
以下の6成分を混錬し、射出成形型用シリコーン樹脂材料を得た。
成分A:シリコーン樹脂(商品名:LR3391/70、メーカー:旭化成ワッカーシリコーン株式会社)
成分B:粒径30~300μ、球形および不定形炭化ケイ素化合物化合物
成分C:直径5μm、長さ30~250μmの炭素繊維
成分D:ホモゲノールおよびニガリ系沈殿防止剤
成分E:白金触媒
成分F:粒径5~400μm、球形および凝集不定形窒化ホウ素微粒子
[0035]
各種、試験方法、測定方法、および計測方法は以下の通りである。
[硬度測定]
 作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料について、JIS K 6251に準拠して硬さを測定した。測定の詳細内容は以下の通りである。
測定項目:デュロメーター硬さ
試験片:30×30×t2(mm)、3枚重ねて6mm以上とした。
試験条件:タイプA、測定数n=5(5回測定した中央値を採用した)
試験機器:株式会社テクロック製 デュロメーター用低圧荷重器
[0036]
[引張試験]
 作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料について、JIS K 6251に準拠して引張強さを測定した。測定の詳細内容は以下の通りである。
測定項目:強さ
試験片:ダンベル2号形
試験条件:試験速度500mm/min
    :測定数n=5(5回測定した中央値を採用した)
試験機器:インストロン社製 万能材料試験機
[0037]
[引裂試験]
作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料について、JIS K 6252に準拠して引裂強さを測定した。測定の詳細内容は以下の通りである。
測定項目:引裂強さ
試験片:切り込みなしアングル形
試験条件:試験速度500mm/min
    :測定数n=5(5回測定した中央値を採用した)
試験機器:インストロン社製 万能材料試験機
[0038]
[熱伝導率の測定]
作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料のシートについて、厚み方向の熱拡散率α(m /s)、定圧比熱Cp(J/g・K)、および比重ρ(g/cm )を測定し、その測定値を以下の式(1)に当てはめ、熱伝導率λ(W/mK)を求めた。定圧比熱は示差走査熱量計を使用し、10℃/分の昇温条件下、温度25℃において測定した。
λ=α×Cp×ρ (1)
[0039]
[体積抵抗率の測定]
 厚さ1mmとした射出成形型用シリコーン樹脂材料のシートを円形電極の間に挟み、500Vの印加電圧を1分間かけ、体積抵抗値R (Ω)求めた。これと、電極の内円の外径d(cm)、および、シートの厚さt(cm)を下記式(2)にあてはめ、体積抵抗率ρ (Ω・cm)を計算した。
ρ =πd /4t×R  (2)
[0040]
[折曲げ試験]
 厚み1mm、外寸100mm×100mmとした射出成型用シリコーン樹脂材料の試験片を作製し、180℃で5回折り曲げを繰り返した。試験結果の評価基準は以下の通りである。
5回繰り返し折り曲げて亀裂が生じない:〇
5回繰り返し折り曲げて亀裂が生じる、または割れる:×
[0041]
[温度上昇時間の測定]
 厚み15mm、外寸40mm×40mmとした射出成形型用シリコーン樹脂材料の試験片を作製し、ホットプレートで加熱した。試験片の上部の温度をサーミグラフィで確認し、上部が200℃に達するまでの時間を測定した。
[0042]
[ダスト付着数の測定]
厚み15mm、外寸40mm×40mmとした射出成形型用シリコーン樹脂材料の試験片を作製し、1週間、室温で放置して付着するダストの数を確認した。ダスト付着は目視で判断した。
[0043]
[実施例1]
実施例1で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:120質量部
成分C:4質量部
成分D:2質量部
成分E:1.6質量部
成分F:2質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、温度上昇時間の測定を行った。
[0044]
[実施例2]
実施例2で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:150質量部
成分C:0質量部
成分D:1質量部
成分E:1.6質量部
成分F:5質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、温度上昇時間の測定を行った。
[0045]
[実施例3]
実施例3で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:120質量部
成分C:4質量部
成分D:2質量部
成分E:1.6質量部
成分F:2質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、体積抵抗率、ダスト付着数の測定を行った。
[0046]
[実施例4]
実施例4で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:150質量部
成分C:0質量部
成分D:1質量部
成分E:1.6質量部
成分F:5質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、体積抵抗率、ダスト付着数の測定を行った。
[0047]
[実施例5]
実施例5で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:120質量部
成分C:4質量部
成分D:2質量部
成分E:1.6質量部
成分F:2質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、体積抵抗率の測定、温度上昇時間の測定、ダスト付着数の測定を行った。
[0048]
[実施例6]
実施例6で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:150質量部
成分C:0質量部
成分D:1質量部
成分E:1.6質量部
成分F:5質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、体積抵抗率の測定、温度上昇時間の測定、ダスト付着数の測定を行った。
[0049]
[比較例1]
比較例1で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:0質量部
成分C:0質量部
成分D:0質量部
成分E:1.6質量部
成分F:0質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、体積抵抗率の測定、温度上昇時間の測定を行った。
[0050]
[比較例2]
比較例2で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:0質量部
成分C:40質量部
成分D:1質量部
成分E:1.6質量部
成分F:2質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、温度上昇時間の測定を行った。
[0051]
[比較例3]
比較例3で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:120質量部
成分C:0質量部
成分D:0質量部
成分E:1.6質量部
成分F:0質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、温度上昇時間の測定を行った。
[0052]
[比較例4]
比較例4で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:0質量部
成分C:0質量部
成分D:0質量部
成分E:1.6質量部
成分F:0質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、体積抵抗率の測定、ダスト付着数の測定を行った。
[0053]
[比較例5]
比較例5で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:0質量部
成分C:40質量部
成分D:1質量部
成分E:1.6質量部
成分F:2質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、体積抵抗率の測定、ダスト付着数の測定を行った。
[0054]
[比較例6]
比較例6で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:120質量部
成分C:0質量部
成分D:0質量部
成分E:1.6質量部
成分F:0質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、体積抵抗率の測定、ダスト付着数の測定を行った。
[0055]
[比較例7]
比較例7で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:0質量部
成分C:0質量部
成分D:0質量部
成分E:1.6質量部
成分F:0質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、体積抵抗率の測定、温度上昇時間の測定、ダスト付着数の測定を行った。
[0056]
[比較例8]
比較例8で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:0質量部
成分C:40質量部
成分D:1質量部
成分E:1.6質量部
成分F:2質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、体積抵抗率の測定、温度上昇時間の測定、ダスト付着数の測定を行った。
[0057]
[比較例9]
比較例9で作製した射出成形型用シリコーン樹脂材料は、上記成分A100質量部に対して、残りの成分B~Fを以下の通り配合し、60℃で3時間硬化させたものである。
成分B:120質量部
成分C:0質量部
成分D:0質量部
成分E:1.6質量部
成分F:0質量部
この射出成形型用シリコーン樹脂材料に対して、上記の、硬度測定、引張試験、引裂試験、折曲げ試験、熱伝導率の測定、体積抵抗率の測定、温度上昇時間の測定、ダスト付着数の測定を行った。
[0058]
[表1]


[0059]
[表2]


[0060]
[表3]


[0061]
 表1から分かるように、実施例1~2で得られる射出成形型用シリコーン樹脂材料は、硬度、引張強度、引裂強度が順に下限値70、6MPa、8kN/m以上を満たしていながら、熱伝導率が、下限値である0.7W/mKを上回っている。このとき、各実施例で得られる射出成形型用シリコーン樹脂材料では、連続して5回折り曲げても亀裂が生じず、温度を20から200℃へ上昇させるのに約50~70秒の時間で済むことが分かる。
これは、本実施例で得られた射出成形型用シリコーン樹脂材料が、射出成形時の充填圧力と加熱温度によって変形せず、射出成形品の生産効率を向上させ、射出成形時の熱膨張によって破壊しない、射出成形型用シリコーン樹脂材料であることを意味する。また、本実施例より得られる射出成形型用シリコーン樹脂材料で作製された射出成型用の成形型も、射出成形時の充填圧力と加熱温度による変形が生じにくく、射出成形品の生産効率を向上させ、射出成形時の熱膨張による破壊が防止されたものとなると期待できる。
[0062]
 表2から分かるように、実施例3~4で得られる射出成形型用シリコーン樹脂材料は、硬度、引張強度、引裂強度が順に下限値70、6MPa、8kN/m以上を満たしていながら、体積抵抗率が、上限値である10 Ω・cmを下回っている。またこのとき、実施例において得られた射出成形型用シリコーン樹脂材料では、連続して5回折り曲げても亀裂が生じず、ダスト付着が確認されなかった。
 これは、本実施例で得られた射出成形型用シリコーン樹脂材料が、射出成形時の充填圧力と加熱温度によって変形せず、射出成型品の異物混入を避けられる程度にダスト付着を低減することができる、射出成形型用シリコーン樹脂材料であることを意味する。また、本実施例より得られる射出成形型用シリコーン樹脂材料で作製された射出成型用の成形型も、射出成形時の充填圧力と加熱温度によって変形せず、ダスト付着が低減されると期待できる
[0063]
 表3から分かるように、実施例5~6で得られる射出成形型用シリコーン樹脂材料は、硬度、引張強度、引裂強度が順に下限値70、6MPa、8kN/m以上を満たしていながら、熱伝導率が下限値である0.7W/mK以上を満たし、体積抵抗率が上限値である10 Ω・cm以下を満たしている。このとき、各実施例で得られる射出成形型用シリコーン樹脂材料では、連続して5回折り曲げても亀裂が生じず、当該シリコーン樹脂材料の温度を20から200℃へ上昇させるのに約50~70秒の時間で済むことが分かる。また、各実施例において得られた射出成形型用シリコーン樹脂材料ではダスト付着が確認されなかった。
 これは、本実施例にて得られた射出成形型用シリコーン樹脂材料が、射出成形時の充填圧力と加熱温度によって変形せず、射出成形品の生産効率を向上させ、射出成形時の熱膨張によって破壊されず、射出成型品の異物混入を避けられる程度にダスト付着を低減することができる、射出成形型用シリコーン樹脂材料であることを意味する。また、本実施例より得られる射出成形型用シリコーン樹脂材料で作製された射出成型用の成形型も、射出成形時の充填圧力と加熱温度によって変形しにくくなり、射出成形品の生産効率を向上させ、射出成形時の熱膨張によって破壊されず、ダスト付着が低減されると期待できる。

請求の範囲

[請求項1]
射出成形型用シリコーン樹脂材料であって、
前記射出成形型用シリコーン樹脂材料の硬度、引張強度、引裂強度が各々所定の下限値以上を満たし、かつ、熱伝導率が所定の下限値以上を満たすことを特徴とする、射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項2]
前記硬度の下限値が70、前記引張強度の下限値が6MPa、および、前記引裂強度の下限値が8kN/mであって、前記熱伝導率の下限値が0.7W/mK、であることを特徴とする、請求項1に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項3]
前記射出成形型用シリコーン樹脂材料が、シリコーン樹脂と、粒状および繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤と、の混錬物であって、
前記粒状および前記繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤は、硬度、引張強度、および、引裂強度がそれぞれ前記下限値以上を満たしつつ、熱伝導率が前記下限値以上、を満たすよう作用するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項4]
前記粒状の高熱伝導性の充填剤が炭化ケイ素化合物であって、シリコーン樹脂100質量部に対して50~400質量部混錬されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項5]
前記繊維状の高熱伝導性の充填剤が炭素繊維であって、シリコーン樹脂100質量部に対して1~40質量部混錬されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項6]
射出成形型用シリコーン樹脂材料であって、
前記射出成形型用シリコーン樹脂材料の硬度、引張強度、引裂強度が各々所定の下限値以上を満たし、かつ、体積抵抗率が所定の上限値以下を満たすことを特徴とする、射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項7]
前記硬度の下限値が70、前記引張強度の下限値が6MPa、および、前記引裂強度の下限値が8kN/mであって、前記体積抵抗率の上限値が10 Ω・cm、であることを特徴とする、請求項6に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項8]
前記射出成形型用シリコーン樹脂材料が、シリコーン樹脂と、粒状および繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤と、の混錬物であって、
前記粒状および前記繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤は、硬度、引張強度、および、引裂強度がそれぞれ前記下限値以上を満たしつつ、体積抵抗率が前記上限値以下、を満たすよう作用するものであることを特徴とする請求項6または7に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項9]
前記粒状の高熱伝導性の充填剤が炭化ケイ素化合物であって、シリコーン樹脂100質量部に対して50~400質量部混錬されていることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項10]
前記繊維状の高熱伝導性の充填剤が炭素繊維であって、シリコーン樹脂100質量部に対して1~40質量部混錬されていることを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項11]
射出成形型用シリコーン樹脂材料であって、
前記射出成形型用シリコーン樹脂材料の硬度、引張強度、引裂強度が各々所定の下限値以上を満たし、かつ、熱伝導率が所定の下限値以上を、体積抵抗率が所定の上限値以下を、同時に満たすことを特徴とする、射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項12]
前記硬度の下限値が70、前記引張強度の下限値が6MPa、および、前記引裂強度の下限値が8kN/mであって、前記熱伝導率の下限値が0.7W/mK、前記体積抵抗率の上限値が10 Ω・cm、であることを特徴とする、請求項11に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項13]
前記射出成形型用シリコーン樹脂材料が、シリコーン樹脂と、粒状および繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤と、の混錬物であって、
前記粒状および前記繊維状の2種の高熱伝導性の充填剤は、硬度、引張強度、および、引裂強度がそれぞれ前記下限値以上を満たしつつ、熱伝導率が前記下限値以上、体積抵抗率が前記上限値以下、を満たすよう作用するものであることを特徴とする請求項11または12に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項14]
前記粒状の高熱伝導性の充填剤が炭化ケイ素化合物であって、シリコーン樹脂100質量部に対して50~400質量部混錬されていることを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項15]
前記繊維状の高熱伝導性の充填剤が炭素繊維であって、シリコーン樹脂100質量部に対して1~40質量部混錬されていることを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料。
[請求項16]
請求項1~15のいずれか1項に記載の射出成形型用シリコーン樹脂材料で製作された射出成形用の成形型。