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1. WO2020022357 - APPAREIL ET PROCÉDÉ D'ÉLIMINATION DE SELS D'ALIMENTS LIQUIDES, ET ALIMENT LIQUIDE À PARTIR DUQUEL LES SELS SONT ÉLIMINÉS

Document

明 細 書

発明の名称 液体状の食品から塩類を除去する装置、方法、及び塩類が除去された液体状の食品

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010   0011   0012  

課題を解決するための手段

0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071  

符号の説明

0072  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 液体状の食品から塩類を除去する装置、方法、及び塩類が除去された液体状の食品

技術分野

[0001]
 液体から通電することによって塩類を除去する装置、及び前記装置を用いて塩類を除去する方法に関する。特に、ジュースなどの液体状の食品からカリウムを除去する方法、装置及び低カリウム液体状食品に関する。

背景技術

[0002]
 日本透析医学会の調査によれば、わが国の慢性透析患者は2016年には、約33万人と1000人あたり約2.6人が透析治療を受けていることになる。さらに、慢性腎臓病(CKD)の患者は約1330万人、すなわち日本人成人の8人に1人が慢性腎臓病患者であるとも言われており、腎機能の低下は大きな問題と考えられている。腎機能が低下している患者ではカリウムの排泄機能が低下しており、致死性の不整脈による突然死をきたす高カリウム血症を引き起こしやすい。
[0003]
 そのため、慢性腎臓病患者には、カリウム制限の食事指導が継続して行われる必要がある。一日に摂取可能なカリウム量は病期によっても異なるが、1500~2000mg以下に制限する必要がある。これは、生活習慣病の発症予防などの観点から厚生労働省が定めた日本人の食事摂取基準(2015年版)における成人の1日のカリウム摂取量の目標量が男性3000mg、女性2600mgであることから1/2から3/4程度に制限することに相当する。
[0004]
 カリウムは、ほぼ全ての食品に含有されており、カリウム制限が必要な場合には、食品の選択や調理法を工夫することによってカリウム摂取量の低減を図る必要がある。慢性腎臓病患者は、カリウム摂取量をはじめ食生活において種々の制限を受けていることから、日々の食事管理は患者自身にとっても、家族にとっても負担が大きい。
[0005]
 食事に関しては、茹でこぼす、水にさらすなどの調理法によってカリウム除去を図ることができるが、「飲み物」からは、水にさらすなどの従来の方法によりカリウムを除去することができない。しかし、乳飲料、果実ジュース、果実・野菜ミックスジュースなどは、100gあたりのカリウム含有量が100mg以上とカリウムを多く含んでいる。また、緑茶は、玉露では100gあたり340mgとカリウム含有量が非常に高い。カリウム含有量の高い玉露以外でも100g30mg程度含まれており、日本人の通常の食生活を考えると緑茶からもかなりの量のカリウムを摂取しているものと考えられる。
[0006]
 そこで、野菜ジュース、豆乳など液体状の食品から、カリウムを除去し、慢性腎臓病患者であっても安心して摂取することができる低カリウム飲料を製造する方法が提案されている(特許文献1~5)。特許文献1~3にはジュースを陽イオン交換樹脂によって処理することによってカリウムを除去し、炭酸カルシウム、あるいは水酸化カルシウムによって中和する低カリウムジュースの製造方法が記載されている。特許文献4は、液状の食品を袋状の金属イオン透過膜で包囲された状態にして電解液中に浸漬して、陽電極と陰電極間へ通電し、金属成分を電解しカリウム等の金属成分を除去する方法が記載されている。特許文献5には、電気透析によってジュースからカリウムオンを除去する方法が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2000-69947号公報
特許文献2 : 特開2001-103945号公報
特許文献3 : 特表2003-511052号公報
特許文献4 : 特開平10-165113号公報
特許文献5 : 米国特許出願公開第2006/0147559号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 しかしながら、陽イオン交換樹脂を使用する方法を用いた場合には、ジュースなどの液状食品に含まれるイオン濃度が高濃度であることから、陽イオン交換樹脂を頻繁に洗浄・再生したり、交換する必要があった。また、野菜ジュースなどパルプ成分の多いジュースでは、カラム式製法ではすぐに目詰まりを起こすため、パルプと分離した後にイオン交換樹脂と接触させなければならない。そのため、製造工程数が多くなるという問題が生じていた。また、バッチ式製法では、カリウムイオンを吸着させた後に樹脂をジュースと分離する工程でパルプ成分との分離が困難であった。さらに、陽イオンをすべて吸着することから、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなど、摂取することが望ましい陽イオンまで除去するという問題が生じていた。
[0009]
 また、特許文献4に記載されているように、食品を袋状の金属イオン透過膜で包囲された状態にして電解液中に浸漬して通電しカリウムを除去する方法では、電解液中に食品を浸漬することから、食品だけではなく浸漬している電解液中も通電されることから、食品からのイオンの除去率が低いという問題があった。
[0010]
 また、電気透析に用いるイオン交換膜は、孔径が小さいことから、流水抵抗が大きく、処理速度が遅い。処理速度を上げるためには高い電圧をかける必要があるが、高電圧をかけるとジュール熱が発生し、ジュースに変質が生じるという問題が生じる。そのため、高電圧はかけられず処理に時間がかかり、ジュースなどの食品からカリウムを除去する場合には、鮮度が低下するという問題が生じていた。さらに、電気透析によってカリウムオンを除去する方法は、装置が大掛かりになるという欠点がある。
[0011]
 本発明は、工程が単純であり、かつ効率良く液体状の食品から塩類を除去する装置、及び方法を提供することを課題とする。特に、液状食品からカリウムを除去する装置、方法、及びこれにより製造された低カリウム液状食品を提供することを課題とする。さらに、本発明は、液体状の食品からカリウムなど陽イオンを除去する代わりに、陰イオンを選択的に除去することを課題とする。特に、ヒト体内で有害となる発がん性物質や、乳幼児においてメトヘモグロビン血症を引き起こす可能性のある亜硝酸に体内で還元される硝酸イオンを除去することを課題とする。
[0012]
 さらに、液状食品から陽イオン、陰イオンを同時に除去する方法を提供する。この方法は、醤油などナトリウムイオンが多く含まれた液状の食品からイオンを除去するのに有効である。ナトリウムやカリウムなどの陽イオンを選択的に除去する方法では、pHが酸性に傾く。ジュースのように、もともと酸味のある食品の場合、カリウムイオンなどの陽イオンを除去することによる味の酸性への変化に気づく者はほとんどいない。しかし、醤油など酸味を感じることの少ない食品の場合、官能試験を行うとpHの酸性への変化に多くの試験者が気が付く。本実施例で示す方法によれば、既存の製品から陽イオン、陰イオンどちらもほぼ等量除去することとなり、味がほとんど変化することがない。

課題を解決するための手段

[0013]
 本発明は、以下の塩類を除去する装置、及び前記装置を用いてアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンあるいはハロゲンイオンからなる塩類を除去する方法、これを用いて製造された低カリウム食品に関する。
(1)液体状の食品から陽イオン、又は陰イオンを除去する液体状の食品の製造方法であって、対向して配置される陰極、及び陽極と一定の孔径を備えた膜を備え、陽イオンを除去する場合には前記膜の前記陽極に対向する面の反対側に陰極を接するように配置し、陰イオンを除去する場合には前記膜の前記陰極に対向する面の反対側に陽極を接するように配置し、前記膜によって区切られた空間を液体状の食品で満たし、通電することによって陽イオン、又は陰イオンを除去する液体状の食品の製造方法。
(2)前記膜の孔径が1nm以上0.7μm未満であることを特徴とする(1)記載の液体状の食品の製造方法。
(3)対向する陰極と陽極を備え、前記陰極、又は陽極のいずれか一方の内側には一定の孔径を備えた膜が接するように配置されており、前記陽極と陰極間に通電することによって電気泳動によって液体状の食品から塩類を除去する装置。
(4)1対の陰極と陽極が設けられ、前記陰極、又は陽極は膜に接し、膜を介して陽極、又は陰極が対向するように設けられている(3)記載の液体状の食品から塩類を除去する装置。
(5)2つの陰極、又は2つの陽極が対向して配置され、前記2つの対向する陰極、又は陽極の中央に、陽極、又は陰極が設けられ、前記2つの対向する陰極、又は陽極は夫々膜を介して中央の陽極、又は陰極に対向している(3)記載の液体状の食品から塩類を除去する装置。
(6)前記膜の孔径が1nm以上0.7μm未満であることを特徴とする(3)~(5)いずれか1つ記載の液体状の食品から塩類を除去する装置。
(7)前記膜が接するように配置されている陰極、又は陽極が水に浸漬され、水を循環、及び/又は撹拌する手段を備えていることを特徴とする(3)~(6)いずれか1つ記載の液体状の食品から塩類を除去する装置。
(8)処理後のカリウム含有量が原料とする液体状の食品の50%以下であり、少なくとも1つ以上の遊離酸性アミノ酸、有機酸、及び/又は陰イオンは原料とする液体状の食品とほぼ等量であることを特徴とする低カリウム化された液体状の食品。
(9)液体状の食品から陽イオン、及び陰イオンを同時に除去する液体状の食品の製造方法であって、一対の電極と一定の孔径を備えた膜を備え、一対の電極の内側に膜を接するように配置し、前記膜によって区切られた空間を液体状の食品で満たし、通電することによって陽イオン、又は陰イオンを同時に除去する液体状の食品の製造方法。
(10)前記膜の孔径が1nm以上0.7μm未満であることを特徴とする(9)記載の液体状の食品の製造方法。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 液体状の食品から塩類を除去する装置の例を示す図。
[図2] 液体状の食品から陽イオン、陰イオンを同時に除去する装置の例を示す図。

発明を実施するための形態

[0015]
 電気泳動によって液体状の食品から塩類を除去する方法、及び装置、また、これを用いて塩類が除去された食品を提供する。まず、カリウムなど陽イオンのみ、あるいは硝酸など陰イオンのみを除去する方法について説明する。以下の実施例で示すように、塩類を除去する装置は通電することによって、電極と接している膜を通して滲出してくるイオンを除去する装置である。カリウムなどの陽イオンを除去する場合には、陰極側に膜を配置し、膜にある細孔を通して滲出してくるイオンを溶媒とともに除去する。このとき陽極側からはイオンを除去しないので、陰イオンの量は変化しない。また、陽極を電気的に膜と接するように配置すれば、硝酸イオンなどの陰イオンを除去することができる。このとき陰極側には膜を配置しないので、陰極側から陽イオンが除去されることはない。すなわち、陽イオン、あるいは陰イオンを選択的に除去することができる。
[0016]
 以下の実施例では、低カリウム食品を製造する目的で、果実ジュース、果実・野菜ミックスジュース、青汁などの飲料から塩類、特に野菜や果物に多く含まれているカリウムの除去について説明するが、実施例に限定されることなく、種々の液体からカリウムイオン、ナトリウムイオンなどの陽イオン、あるいは、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオンなどの陰イオンを除去することが可能である。
[0017]
 本発明で液体状の食品とは、食品衛生法で定める食品であって、粘度が10 から10 mPa・s(cp)であるものをいう。例えば、果実ジュース、果実ミックスジュース、果実・野菜ミックスジュース、青汁などの野菜汁、緑茶、紅茶、コーヒー、清涼飲料、飲料水、ワインなど液体状の飲料をいう。また、粥やトマトケチャップ、野菜ペースト、果物ペースト、すり身、流動食など固形分を含む食品も含まれる。
[0018]
 以下の実施例で示すように、液体状の食品から塩類を除去するためには、孔径によって物質の大きさによりふるい分け透過させる膜が良い。孔径が一定以下の膜としては、精密濾過膜、限外濾過膜、イオン交換膜、逆浸透膜、半透膜などがあるが、孔径の小さい膜は流水抵抗が大きく、処理速度が遅いことから、精密濾過膜、限外濾過膜のうち、一定範囲の孔径を備えた膜が適している。
[0019]
 また、用いる膜の孔径は、0.7μmの孔径の膜を用いた場合には、ジュースが膜を通過してしまうことから、0.7μm未満の孔径の膜を使用する必要がある。また、1nm未満の孔径の膜では小さい孔径の膜を通すための流水抵抗は高いため、ジュール熱が多量に発生して食品が変質してしまう。したがって、1nm以上の孔径の膜を使用する必要がある。この範囲の孔径を備えた膜であれば、どのような膜を使用してもよい。
[0020]
 電極は、陽極は電気分解が起こらない白金、金を使用することが好ましい。また、チタンに白金をメッキして用いてもよい。陰極は、白金、金などの他、ステンレス、チタンなどを使用することができる。また、膜から排出されたイオンを除去するために電極は有孔電極を用いる必要がある。例えば、網状の電極などを好ましく用いることができる。また、陽イオンを除去する場合は陰極を、陰イオンを除去する場合は陽極を膜に接触させて通電することから、膜との接触面積の多い形状とすることが好ましい。ここで、「電極を膜に接触させる」とは、膜と電極の一部が接触するだけでもよい。実施例に記載する網状の電極を使用する場合には、電極と膜の一部が接触するだけにとどまる。また、電極と膜が数mm以下の近傍にあるように配置するだけでもよい。膜の中にジュース等の液体を入れると、膜孔からジュースが滲出してくる。滲出した液体はイオンを含むことから、液体を介して電極と膜が接することになり、電気的には十分な接触が得られ、イオンを泳動させることができる。また、電極との間を水で満たしてもよい。水を満たすことによって、容易に電気的な接触を得ることができる。
[0021]
 以下低カリウム食品の製造方法、製造装置を中心に記載するが、硝酸イオンなどの陰イオンを除去する場合には、膜と接する極を陽極に代えて通電すればよい。低カリウム食品を製造する場合、腎臓病患者の食事制限がどの程度であるか、また、一日に摂取する量によって、カリウム除去率を適宜定めることが望ましい。腎臓病患者は病期によって、一日に摂取可能なカリウム量は異なっている。患者の必要に応じてジュース、あるいはコーヒーなどの原料食品に対して65%以下、50%以下、30%以下と異なるカリウム含有量の低カリウム食品を提供することにより、異なる病期の患者に対して対応することができる。また、例えば、緑茶、コーヒーなど摂取する総量が多い飲料に関しては、含有するカリウム量を30%以下にしておくことによって、カリウム量を気にせず安心して摂取することが可能となる。
[0022]
 カリウムなど陽イオンを除去することによって、液体のpHは酸性に傾く。果実ジュースなど、原料飲料のpHが酸性の食品では、官能試験を行った結果、カリウムを除去しpHが酸性に傾いてもさほど気にならないことが明らかになった。したがって、もともと酸性であり、酸味がある食品では味に違和感がない限り中和する必要がない。実施例で示すように電気的な方法で選択的に陽イオンを除去した場合には、カリウム、ナトリウムなど半径の小さいイオンから先に除去され、大きいイオンは除去されにくい。そのため、イオン交換樹脂を使用して陽イオンを除去した場合に比べてpHの低下率が少ない。そのため、果実ジュースなどでは味の変化をほとんど感じない。一方、豆乳などpHが中性付近の飲料や、酸性になることによって凝集体が生じるものについては、味に違和感がなく、凝集体を生じない程度にカリウム除去率を抑えるか、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリによって中和すればよい。以下に図面を用いて塩類を除去する装置について説明するが、実施態様で示した装置に限定されることがないのは言うまでもない。
[0023]
 [実施態様1]
 一対の電極間に液体状の食品を配置し、塩類を除去する装置、及び方法について説明する(図1(A))。塩類除去装置1は、槽2の中に、1対の電極を備えた構造となっている。塩類除去装置1は、槽2に陰極3と陽極4が対向して配置され、電極間に挟まれた空間にジュースなどの液体状の食品5を入れることができる。陰極3の内側には膜6が配置されており、液体状の食品5は膜6の外側の槽内の空間7には漏れ出ないように膜で空間が区切られている。陰極3の内側に配置されている膜6は、陰極に接触するように配置されている。陰極3が膜6に接触していることから、通電することによって、膜に開いている細孔から、カリウムなどの陽イオンを積極的に除去することができる。また、硝酸イオンなどの陰イオンを除去する場合には、陽極を膜に接するように配置すればよい。さらに、陽イオンと陰イオンを同時に除去する場合には、陰極、陽極の両方を膜に接するように配置し、同時に除去する構成としてもよい(図2参照)。
[0024]
 電極間の距離が離れていると抵抗が高くなりジュール熱が多量に発生し、液状食品の温度が上昇し変質する。したがって、電極間の距離は、ジュール熱の発生により食品が変質しない程度の距離とすることが望ましい。
[0025]
 実施態様1で示している脱塩装置は、通電することによって、電気泳動の原理で、陰極側にカリウムなどの陽イオンを引き寄せ、膜の細孔から排出させる。したがって、膜の外側の空間7には水などの溶媒を配置する必要はない。しかし、水を入れておくことによって拡散によっても塩類を除去することができる。拡散の利用によって、非常に迅速にカリウムなどの塩類の除去が可能となる。膜の外側の空間7に配置する水は、撹拌、流水を使用する、あるいは、槽外で陽イオンを除去し、再度ポンプで循環させることによって、膜近傍の陽イオンを速やかに除去し、常に低濃度に維持することが好ましい。ジュースなどの液状食品は、水に比べ粘度が高いため、膜の内側から空間7に移動しにくい。そのため、空間7に水を満たしておいても水圧等の補償作用によって、空間7から水が流入し、液体状の食品5に混合し、食品自体が水によって薄まることはない。しかし、、膜孔径が0.7μm以上であると、液状食品が空間7に移動し、代わりに空間7の水が水圧等の補償作用によって膜内に移動することから、食品が水っぽくなる。
[0026]
 空間7に水を満たして使用する場合、液体状の食品5の界面が、空間7を満たしている水の界面よりも幾分高くなるようにすれば、圧力により膜6と陰極3が密着することから好ましい。また、水はカリウムの迅速な除去だけではなく、冷却にも寄与する。冷却は、装置自体を低温室などの低温環境に設置することによって行ってもよい。
[0027]
 また、ここでは槽内に膜と電極を配置し、槽内の膜と電極との間にジュースなどの液体食品を入れる装置にしているが、流路の片側に膜と接した電極を配置し、他方の側面に電極を配置し、流路内を液体食品を流しながら通電し、塩類を除去する構成としてもよい。
[0028]
 陽極4は液体状の食品5に浸漬されているので、陰イオンが排除されることはない。そのため、塩類除去装置1では陽イオンのみが除去される。したがって、液体状の食品に含まれている塩素イオンや有機酸などの陰イオン、酸性アミノ酸は、通電処理を行った後でも原料となる液体状の食品と同等の濃度である。有機酸とは、食品成分表に記載されているギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、α-ケトグルタン酸、クエン酸、サリチル酸、p-クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、クロロゲン酸、キナ酸、オロト酸などをいい、酸性アミノ酸とはアスパラギン酸、グルタミン酸をいうが、これらの量を測定しても通電前後で変化することはない。これら有機酸、酸性アミノ酸の含有量が変化しないことは電気透析とは大きく異なる点であり、利点である。また、後述するように、カリウムなど小さなイオンは除去されるものの、マグネシウム、カルシウムは除去されるのに時間がかかる。アミノ酸も分子量が大きいことから、塩基性アミノ酸であるアルギニン、リジンは正電荷を有しているが除去されにくい。
[0029]
 実施態様で示す塩類除去装置は、陽イオンを選択的に除去できることから、陰イオンの量や組成は原料飲料と大きく変動することはない。したがって、陽イオンを除去した場合には、少なくとも1つ以上の陰イオン、酸性アミノ酸や中性アミノ酸、又は有機酸を測定することによって、電気透析によって陽イオン、陰イオンを除去した食品と区別することができる。また、陽イオン交換樹脂により選択的に陽イオンを除去した場合には、サイズの大きい陽イオンも同時に除去することから、マグネシウム、カルシウム、あるいは塩基性アミノ酸など分子量の大きい陽イオンを測定することによって区別をすることが可能となる。したがって、複数の有機酸、アミノ酸を測定し、その量や組成を解析することで、他の方法でカリウム等の陽イオンを除去した食品と区別することができる。
[0030]
[実施態様2]
 異なる形状の塩類除去装置11について説明する。図1(B)に示すように、塩類除去装置11は、槽12内に2つの陰極13、13’と中央に陽極14が配置されている。陰極13、13’の内側には膜16、16’が配置されている。2つの膜16、16’で仕切られていることから、膜16、16’の間に液体状の食品15を入れても両側に漏れることがない。
[0031]
 陰極13、13’と陽極14間で通電することによって、液体状の食品中の陽イオンは陰極13、13’に泳動し、膜16、16’の細孔から溶媒とともに除去される。槽12の膜の外側の空間17、17’を水で満たしておけば、膜の細孔から排出された陽イオンを迅速に除去することができる。実施態様2の装置を使用することにより、実施態様1の装置の2倍の容量の液状食品を処理することができるので、大量の食品を処理することができる。なお、陰イオンを除去する場合には、陽極と陰極の位置を入れ替えて、膜の外側に1対の陽極を配置すればよい。
[0032]
[実施態様3]
 次に醤油など、酸味を感じることの少ない食品から陰イオン、陽イオンを除去し、脱塩する方法について記載する。カリウムイオンを制限されている腎臓病患者は、塩化ナトリウムの摂取も制限されていることが多い。そのため、味を変化させることなく、既存の製品からナトリウムイオンを減少させることができれば、大きなメリットがある。陰イオン、陽イオンを同時に除去することによって、pHに変化をきたすことなく、食品から塩の除去を行うことができる。
[0033]
 図2に示す陽イオン陰イオン除去装置21は、槽22の中に、1対の電極23、24を備えた構造となっている。陽イオン陰イオン除去装置21は、槽22に陰極23と陽極24が対向して配置され、電極間に挟まれた空間に醤油など陽イオン、陰イオンを同時に除去することが好ましい液体状の食品25を入れることができる。陰極23、陽極24の内側には膜26、26’がそれぞれ電気的に接するように配置されており、液体状の食品25は膜26、26’の外側の槽内の空間27には漏れ出ないように膜で空間が区切られている。陰極23、及び陽極24が膜26、26’に接触していることから、通電することによって、膜に開いている細孔から、陰極側からはナトリウムなどの陽イオン、及び陽極側から塩素イオンを積極的に除去することができる。また、空間27には水を満たすこともできる。空間27に満たす水は、脱イオン水などでもよいが、水道水など、含有イオンの少ない水であればどのようなものを使用してもよい。
[0034]
[実施例1]
 実施態様1の装置を使用して、種々の膜を用い、カリウムを除去した結果を以下に示す。使用した膜、及び入手先は以下のとおりである。0.70μm、0.45μm、又は0.10μmの孔径のニトロセルロース膜(東洋濾紙株式会社)、半透膜(セロファン)、ポリエチレン膜(ポリラップ(登録商標)、宇部フィルム株式会社)。なお、実施例1において、膜がジュースと接している面積は膜全体の約30%である。また、試料としては、ブロッコリー、セロリ、キャベツなどの野菜を用いて製造されている野菜・果実汁を含む青汁飲料(商品a、A社製)を用いた。
[0035]
 通電密度8mA/cm で30分、又は45分通電した結果を表1に示す。電極間距離は2.5cmに設定している。なお、以下で測定に用いたジュース、コーヒーで、通電により発生するジュール熱を検討したところ、電極間の距離が4.0cm以下、好ましくは3.5cm、より好ましくは2.5cm以下であれば、ジュール熱が発生したとしても食品が変質することはなかった。原液からのカリウム(K)の除去率、通電後の液温、pH、及び官能試験結果を示す。なお、原液のカリウム濃度は、製品のロットによって異なり153.8~170.2mg/100gであった。原料の飲料から除去されたカリウムの量を測定し、除去率(%)として表している。カリウムは、試料を乾燥・湿式灰化後、原子吸光光度法により測定した。なお、原液の液温は20℃、pHは3.86であった。
[0036]
 また、処理後のジュースを風味識別能力に優れた専門パネラー10名によって風味の評価を実施した。評価は5:風味が変わらない、4:風味があまり変わらない、3:どちらともいえない、2:風味がやや変化、1:風味が大きく劣化の5段階評価とし、平均を記載している。
[0037]
[表1]


[0038]
 表1に示すように、0.45μm、0.10μmの孔径のニトロセルロース膜、半透膜を使用した場合には、通電45分という短時間で、80~90%のカリウムを飲料から除去することができた。このときのpHは原料の清涼飲料と比較して1.0から1.2ほど低下している。また、通電30分では、原料からカリウムを5割から7割ほど除去することができた。この場合のpHの低下は0.7程度であった。
[0039]
 30分通電した際のK除去率から明らかなように、孔径が大きいものほど、一定時間当たりのK除去率が高い。すなわち、孔径の大きいものほど、処理効率が高い。また、ポリエチレンフォルムや半透膜は孔径が小さいため、目詰まりを起こし、すぐに使用できなくなる。したがって、孔径はジュースが漏れ出ない程度に大きい方が好ましい。膜の種類としては精密濾過膜、限外濾過膜は孔径が比較的大きいことから、これらの膜を使用することが好ましい。
[0040]
 いずれの通電条件でも、官能試験の結果、評価は4.5であり、風味が原料飲料とほとんど変わらなかったことを示している。カリウムが80%以上除去されている通電45分の条件であっても、官能試験結果は、元のジュースと比べて遜色ない風味であることを示しており、中和処理を行う必要がない。従来のイオン交換樹脂を用いたカリウム除去法では、カリウム以外の分子量の大きい陽イオンも同時に除去されることからpHの変化が大きく処理後に中和する必要があったが、膜を用いた除去法では中和の必要がない場合も多い。
[0041]
 孔径0.70μmの膜を用いた場合には、細孔からジュースが膜の外側に漏れ出るのが観察されたため、測定を行わなかった。また、不透膜であるポリエチレンフィルムを用いた場合には、30分の通電で液温が52℃と高くなり、これ以上通電すると液温がさらに上昇すると考えられたので、通電45分の試験は行わなかった。
[0042]
 以上のように、半透膜を用いた場合には、カリウム除去を行うことができた。半透膜の孔径は1nm~10nmと言われている。したがって、1nm以上の孔径の膜であればカリウムなどの塩類を除去することができると考えられる。しかし、処理時間や目詰まりを考慮すると、10nm以上の孔径を有する膜を使用することが好ましい。また、孔径0.70μmのニトロセルロース膜では飲料が膜の外側に漏れ出たことから、孔径0.70μm未満の膜を使用する必要がある。
[0043]
 次に、0.45μm、0.10μmの孔径のニトロセルロース膜、半透膜について、実施例1の通電30分の条件で陽イオン除去を行い、カリウム、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)量を測定した。ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウムの測定はカリウムと同様、試料を乾燥・湿式灰化後、原子吸光光度法により測定した(表2)。
[0044]
[表2]


[0045]
 いずれの膜を使用して陽イオン除去を行った場合でも、多量に含まれているカリウムの除去率が最も高く、原子の大きいカルシウム、マグネシウムはほとんど除去されていない。このように、塩類除去装置でカリウムを除去した液状食品は、カリウム含有量が少なく、カルシウム、マグネシウム含有量は除去前の食品とほとんど差がない。したがって、カリウム、ナトリウムを選択的に除去した飲料を提供することができる。
[0046]
 電気泳動法によって、カリウムを除去した場合には、カルシウム、マグネシウムがほとんど除去されないことから、イオン交換樹脂によるカリウム除去法に比べて、pHが低下する割合が少ない。したがって、果実ジュースなど原料とする飲料が酸性の場合にはほとんど中和する必要がない。しかし、中性付近の飲料、例えば緑茶などからカリウムを除去する場合には、酸性だと味に違和感が生じることから、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのpH調整剤を用いて中和する必要がある。電気泳動によってカリウムを除去し、中和する場合には、除去されたカリウムによるpH低下に見合った量のアルカリ塩を加える必要がある。そのため、ナトリウム、カルシウム、又はマグネシウム量が原料とする飲料よりも多く含まれることになる。
[0047]
[実施例2]
 通電密度を変えて、カリウム除去量を検討した(表3)。通電密度を12mA/cm に上げたほかは実施例1と同じ条件で処理を行い、処理後の飲料のカリウム除去率、液温、pHを測定し、官能試験を実施した。
[0048]
[表3]


[0049]
 通電密度を上げて通電することにより、より短時間でカリウムを除去することができた。いずれの膜を使用した場合でも30分で75%以上のカリウムを飲料から除去することができる。しかし、液温上昇のためか、カリウム除去に要する時間は短かったものの、官能試験の結果は、通電30分でいずれの膜でも3.5、通電45分では1と通電密度8mA/cm の場合と比較して風味が劣化していた。通電密度を上げることによる液温の上昇は避けることができないことから、通電密度を上げる場合には、槽を低温室に設置して通電する、あるいは槽内に冷却水を入れたり、冷却装置を設けるなど冷却しながら通電する必要がある。
[0050]
[実施例3]
 次に種々の飲料を通電密度8mA/cm 、電極間距離2.5cm、通電時間30分、0.45μmニトロセルロース膜の条件で通電し、陽イオンの量を測定し、除去率を求めた。試料は以下の飲料を用いた。オレンジジュース(濃縮還元オレンジジュース、果汁100%、商品b1、B社製)、アップルジュース(濃縮還元アップルジュース、果汁100%、商品b2、B社製)、野菜・果実飲料(緑黄色野菜ミックスジュース、野菜汁果汁100%、商品c、C社製)、トマトジュース(濃縮還元トマトジュース100%、商品d、D社製)、コーヒー(無糖、商品e、E社製)。
[0051]
[表4]


[0052]
 いずれの飲料を用いた場合でも、通電密度8mA/cm 、30分の通電で、原料飲料の36.9~95.5%と効率良くカリウムを除去することができた。トマトジュースのように、元の飲料に含まれるカリウム量が多い場合には、カリウム除去率では36.9%と低い値を示しているが、100gあたり約100mgのカリウムが除去されている。カリウム除去量を処理前後で比較すると、いずれの飲料でも30分の通電で100mg/100g程度のカリウムが除去されている。
[0053]
[実施例4]
 実施例1と同様にして陽イオンを除去した場合には、カリウム、ナトリウムなどの比較的小さい陽イオンに比べて、アミノ酸など比較的大きい分子は除去されにくいことを示す。実施態様1の装置を使用して、実施例1と同様に、0.10μmの孔径のニトロセルロース膜を用い、野菜・果実汁を含む青汁飲料(商品a、A社製)から陽イオンを除去する試験を行った。
[0054]
 通電密度8mA/cm で60分通電した。電極間距離は3.5cmに設定している。原液から除去されたカリウム量、全遊離アミノ酸量を測定し、除去率(%)として表している。カリウムは、上記と同様に試料を乾燥・湿式灰化後、原子吸光光度法により測定した。全遊離アミノ酸濃度は、生試料を70~80℃で30分間加温し、ろ過液をニンヒドリン比色法により測定した。原液、処理液のカリウム濃度、カリウム除去率、全遊離アミノ酸濃度、全遊離アミノ酸除去率、液温、pHを示す。
[0055]
 表5に示すように、カリウムが84%除去されたが、全遊離アミノ酸は12%しか除去されなかった。カリウムが80%以上除去されている条件であっても、アミノ酸は10%程度しか除去されておらず、処理前後で野菜・果汁飲料、ジュースなどの食品に含まれるアミノ酸の量や組成に大きな変化はないと考えられる。特に、陽イオンが除去される条件では、酸性アミノ酸、あるいは中性アミノ酸はほとんど除去されていないと考えられる。通電処理によって塩類を除去した場合は、イオン交換樹脂によって塩類を除去した場合と比較して、小さいイオンが選択的に除去され、質量の大きいイオン、分子は除去されにくい。したがって、質量の大きいアミノ酸などの量や組成は変化しにくい。また、上記で示したように、酸などの陰イオンの除去は起こらないことから、処理前後でジュースなどの食品に含まれる酸の組成にも大きな変化はない。また、pHが低下することは、選択的に陽イオンのみが除去されており、塩素イオンなどの陰イオンは除去されていないことを示している。
[0056]
[表5]


[0057]
[実施例5]
 陽極と陰極を入れ替え、膜に接する電極を陽極とすることによって、陰イオンが除去できることを示す(表6)。実施態様1の装置の陰極と陽極を入れ替え、膜に陽極が接するようにして硝酸イオンの除去試験を行った。
[0058]
 食品中の硝酸性窒素含量は材料により異なる。日本食品標準成分表(七訂)によれば、ほうれんそうでは0.2g/100g、チンゲンサイでは0.5g/100gと葉物野菜に比較的多量に含まれている。そこで、試験は硝酸カリウム(富士フィルム和光純薬株式会社)を用いて、100mg/L(0.1g/100g)の硝酸濃度(NO )の溶液を作製して実施した。
[0059]
 0.10μmの孔径のニトロセルロース膜を用い、通電密度4mA/cm で10分通電した。電極間距離は2.5cmに設定している。硝酸の濃度、原液からの除去率、液温、pHを示す。除去率(%)は、原液から除去された硝酸の量を%で表している。硝酸濃度は、比色法により測定した。
[0060]
[表6]


[0061]
 試験溶液には、パルプなどの繊維成分が含まれていないことから、低い通電密度、かつ短時間で90%以上の硝酸を除去することができた。陰イオンであっても、陽イオンと同様に除去できることが示された。
[0062]
 上記処理によって、原料とする液状食品の50%以下など、所望の濃度に硝酸塩含有量を低減させることができる。硝酸イオンなどの陰イオンを除去する場合には、液体食品からは陽イオンは除去されにくい。したがって、遊離アミノ酸のうち、塩基性アミノ酸及び中性アミノ酸は除去されにくい。
[0063]
[比較例1]従来法によるカリウム除去
 ジュース、豆乳からカリウムを除去する方法として従来から用いられているイオン交換樹脂によるカリウム除去法と実施例で開示している方法との比較を行った。用いた試料は下記の飲料である。オレンジジュース(商品b1、B社製)、野菜・果実飲料(商品c、C社製)、トマトジュース(商品d、D社製)、コーヒー(商品e、E社製)、野菜・果実汁を含む青汁飲料(商品a、A社製)
[0064]
 特許文献3に記載の方法に沿って、オレンジジュース、トマトジュース、コーヒーは、試料100mlに対し、乾燥重量5g(湿重量7.53g)のH型イオン交換樹脂を添加し、野菜・果実飲料、野菜・果実汁を含む青汁飲料は試料100mlに対し、乾燥重量70g(湿重量105.45g)を添加し、30分間振盪した後に陽イオン交換樹脂を沈殿させ、上澄み液を測定した。トマトジュースはパルプが多く、樹脂との分離が不十分であり樹脂が多量に混入し、正確な測定値を得ることができなかったので測定結果からは除いている。オレンジジュース、野菜・果実汁を含む青汁飲料はわずかに樹脂が混入したが測定結果を得ることができた。結果を表7に示す。
[0065]
[表7]



[0066]
 カリウムイオンは95.3%~99.7%と非常に良く除去されていた。また、樹脂を使用する方法では、カルシウム、マグネシウムも高率に除去されている。イオン交換樹脂を用いた場合には、質量の大きさによらずカルシウム、マグネシウムなどのイオンも高率に除去される。
[0067]
 また、バッチ式で樹脂と試料を混合し、カリウムを除去した場合には、試料から樹脂を除くのが非常に困難であった。特にパルプの多いトマトジュースでは、樹脂とジュースを分離することは困難であった。電気泳動による方法では、パルプの多い飲料や、流動食であっても、30分程度の短時間でカリウムを除去することが可能である。
[0068]
 [実施例6]
 次に、陰イオン、陽イオンを同時に除去した結果を示す。醤油(商品f、F社製)を図2に示す装置を用い、通電密度8mA/cm 、ナイロン膜(GE社製)孔径0.2μmの膜を用い、30分間処理を行った。結果を表8に示す。
[表8]


[0069]
 測定した陽イオン全体の総除去モル数は243.8mM、陰イオンの総除去モル数は249.2mMであり、陽イオン、陰イオンほぼ等量のイオンが除去されていた。その結果、pHの変化がほとんどなく、味の変化も認められなかった。醤油には、塩化ナトリウムが多量に含まれていることから、30分間の通電では100gあたり526mgのナトリウムが除去されているものの除去率が9.4%の除去率にとどまっていた。しかし、より長時間通電することによって、より多くの塩化ナトリウムを除去することが可能である。本実施例に示す方法は、既存の製品をもとに、味を変化させることなく塩化ナトリウムを減らすことができることから有用な方法となる。
[0070]
 電気透析により脱塩する場合にも、陽イオン、陰イオンが除去されることから、pHの変化がほとんどなく、味の変化は認められないが、電気透析に比べ、孔径の大きい膜を使用することから、より短時間、低電圧で処理を行うことができる。そのため、熱の発生も少なく、食品の鮮度を保つことができる。
[0071]
 以上示したように、本実施例で示した孔径の大きい膜を使用して塩を除去する方法は、イオン交換樹脂、電気透析法に比べ、簡便でありながら、味の変化を伴うことなく、既存の製品からカリウムなどの陽イオン、あるいは塩化ナトリウムを除去することができる有用な方法である。

符号の説明

[0072]
1、11…塩類除去装置、2、12、22…槽、3、13、13’、23…陰極、4、14、24…陽極、5、15、25…液体状の食品、6、16、16’、26、26’…膜、21…陽イオン陰イオン除去装置

請求の範囲

[請求項1]
 液体状の食品から陽イオン、又は陰イオンを除去する液体状の食品の製造方法であって、
 対向して配置される陰極、及び陽極と
 一定の孔径を備えた膜を備え、
 陽イオンを除去する場合には前記膜の前記陽極に対向する面の反対側に陰極を接するように配置し、
 陰イオンを除去する場合には前記膜の前記陰極に対向する面の反対側に陽極を接するように配置し、
 前記膜によって区切られた空間を液体状の食品で満たし、
 通電することによって陽イオン、又は陰イオンを除去する液体状の食品の製造方法。
[請求項2]
 前記膜の孔径が1nm以上0.7μm未満であることを特徴とする請求項1記載の液体状の食品の製造方法。
[請求項3]
 対向する陰極と陽極を備え、
 前記陰極、又は陽極のいずれか一方の内側には一定の孔径を備えた膜が接するように配置されており、
 前記陽極と陰極間に通電することによって電気泳動によって液体状の食品から塩類を除去する装置。
[請求項4]
 1対の陰極と陽極が設けられ、
 前記陰極、又は陽極は膜に接し、
 膜を介して陽極、又は陰極が対向するように設けられている請求項3記載の液体状の食品から塩類を除去する装置。
[請求項5]
 2つの陰極、又は2つの陽極が対向して配置され、
 前記2つの対向する陰極、又は陽極の中央に、陽極、又は陰極が設けられ、
 前記2つの対向する陰極、又は陽極は夫々膜を介して中央の陽極、又は陰極に対向している請求項3記載の液体状の食品から塩類を除去する装置。
[請求項6]
 前記膜の孔径が1nm以上0.7μm未満であることを特徴とする請求項3~5いずれか1項記載の液体状の食品から塩類を除去する装置。
[請求項7]
 前記膜が接するように配置されている陰極、又は陽極が水に浸漬され、
 水を循環、及び/又は撹拌する手段を備えていることを特徴とする請求項3~6いずれか1項記載の液体状の食品から塩類を除去する装置。
[請求項8]
 処理後のカリウム含有量が原料とする液体状の食品の50%以下であり、
 少なくとも1つ以上の遊離酸性アミノ酸、有機酸、及び/又は陰イオンは原料とする液体状の食品とほぼ等量であることを特徴とする低カリウム化された液体状の食品。
[請求項9]
 液体状の食品から陽イオン、及び陰イオンを同時に除去する液体状の食品の製造方法であって、
 一対の電極と
 一定の孔径を備えた膜を備え、
 一対の電極の内側に膜を接するように配置し、
 前記膜によって区切られた空間を液体状の食品で満たし、
 通電することによって陽イオン、又は陰イオンを同時に除去する液体状の食品の製造方法。
[請求項10]
 前記膜の孔径が1nm以上0.7μm未満であることを特徴とする請求項9記載の液体状の食品の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]