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1. (WO2019004106) CÂBLE POUR ANTENNE, ANTENNE DE CÂBLE ET SON PROCÉDÉ DE FABRICATION
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明 細 書

発明の名称 アンテナ用ケーブル、ケーブルアンテナおよびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027  

発明の効果

0028  

図面の簡単な説明

0029  

発明を実施するための形態

0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074  

実施例 1

0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082  

符号の説明

0083  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21  

明 細 書

発明の名称 : アンテナ用ケーブル、ケーブルアンテナおよびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、アンテナ用ケーブル、ケーブルアンテナおよびその製造方法に関し、より詳細には、情報漏洩の防止効果に優れた、限られた狭い領域で良好な通信品質を維持することができる、安価なアンテナ用ケーブル、ケーブルアンテナおよびその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 情報通信技術の発展に伴い、様々な機器がネットワークに接続されている。近年では、モノのインターネット(IoT: Internet of Things)化によりネットワークに接続される機器の台数が飛躍的に増加しており、有線による接続が不要であり接続機器の設置場所が固定されない、無線ネットワークの構築が急速に広まっている。
[0003]
 無線の電波が届きにくい、例えば高速道路または地下鉄のトンネル内、地下街等では、無線ネットワークの構築に、例えば、特許文献1に例示する漏洩同軸ケーブル(LCX: Leaky Coaxial Cable)が使用されている。漏洩同軸ケーブルには、外部導体の表面に一定の間隔でスロット部(スリット)が設けられており、このスロット部を通じて同軸ケーブル内部を流れる高周波信号が漏洩することにより、漏洩同軸ケーブルは送受信アンテナとして機能する。
[0004]
 同軸ケーブルは、例えば電線被覆工程、シールド工程およびシース工程により製造される。電線被覆工程は、押出機を用いて、線状の内部導体の周囲に誘電体を押し出して被覆する工程である。シールド工程は、編組機を用いて、誘電体被覆の表面に線状の導線を編み上げて網状の外部導体を形成する工程である。シース工程は、押出機を用いて最外層にポリマー等を押し出して、保護用の被覆を形成する工程である。このように、同軸ケーブルを製造するためには、線状の内部導体の周囲に、筒状に誘電体、外部導体および保護被覆を次々に形成していく工程が必要となる。漏洩同軸ケーブルでは、高周波信号を漏洩させるためのスロット部を設ける工程がさらに必要となる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2012-209636号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 IoT化により無線ネットワークの構築が広がる一方で、膨大な量の無線通信が行われることにより空間中の電波も過密状態となっており、電波の混信による情報漏洩のリスクも高まっている。例えば同じオフィスビル内には、隣接する区画または他のフロアに他社のオフィスが入居していることがあり、自社のオフィス内に構築した無線ネットワークの電波が他社のオフィスに意図せず届いてしまうという問題がある。
[0007]
 また例えば、自社オフィス内の電波が届かない不感知エリアを解消しようとして、無線ルータを増設すると、オフィス内の不感知エリアは解消するものの、部外者が立ち入り可能な共用スペース等へ意図せず電波が届いてしまうという問題もある。
[0008]
 このような情報漏洩のリスクを考慮して、無線ルータに代えて、例えば特許文献1に示すような漏洩同軸ケーブルを敷設することが考えられる。しかしながら、漏洩同軸ケーブルは、無線の電波が届きにくいエリアでの敷設を想定しているため、漏洩する電波の強度も比較的強く、通信エリアを漏洩同軸ケーブルの近傍に限定するためには、特許文献1に示されているように床面または天井等に垂直に敷設する必要がある。このような漏洩同軸ケーブルの敷設には、何らかの固定具を用いた敷設作業が必要となり、導入にはコストが掛かる。固定具を用いて漏洩同軸ケーブルを敷設すると美観も損なわれる。また、漏洩同軸ケーブルは製造工程が複雑であり高価である。したがって、情報漏洩の防止効果に優れた、限られた狭い領域で良好な通信品質を維持することができる、より安価なアンテナが求められている。
[0009]
 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、情報漏洩の防止効果に優れた、限られた狭い領域で良好な通信品質を維持することができる、安価なアンテナ用ケーブル、ケーブルアンテナおよびその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明に係るアンテナ用ケーブルは、導体と、導体の全周を全長にわたって覆う帯板状の誘電体層と、誘電体層の少なくとも一方の表面に積層され、前記導体および前記誘電体層と共に伝送路を構成する導体層とを含み、導体層は、導体の位置に対応する領域の外側に、少なくとも導体層を貫通する複数個のスリットを形成するための領域を備える。
[0011]
 アンテナ用ケーブルの形状は、同軸ケーブルのような筒状ではなく帯板状である。これにより、使用者が後加工によりアンテナ用ケーブルの所望の長さ位置に所望の数のスリットを形成しようとする際、スリットは、導体層の領域のうち、中心導体の位置に対応する領域の外側に形成される。中心導体の真上または真下を除く位置にスリットが形成されることにより、スリットを通じて漏洩する電波が弱まり、電波が届く範囲がケーブルアンテナの近傍に制限される。これにより、限られた狭い領域での通信品質を良好に確保することができ、情報漏洩の防止効果が向上する。アンテナ用ケーブルの形状も帯板状であるので、例えば会議室等のテーブル上に貼り付けて手軽に敷設することができる。さらにその上に化粧テープ等を貼り付けることにより、美観を向上させることもできる。
[0012]
 また、アンテナ用ケーブルの製造に用いる、誘電体層の表面に導体層が積層されたケーブル半体は、同軸ケーブルと比較して安価に提供または製造することができる。ケーブル半体は帯板状であるため、接着および穿孔等の工程により、アンテナ用ケーブルを安価に大量に製造することができる。これにより、同軸ケーブルと比較して安価なアンテナ用ケーブルを提供することができる。
[0013]
 好ましくは、導体層の表面または導体層が積層されていない誘電体層の表面に、粘着層がさらに設けられている。これにより、アンテナ用ケーブルを適所に固定することができる。
[0014]
 本発明に係るケーブルアンテナは、導体と、導体の全周を全長にわたって覆う帯板状の誘電体層と、誘電体層の少なくとも一方の表面に積層され、前記導体および前記誘電体層と共に伝送路を構成する導体層とを含み、導体層は、導体の位置に対応する領域の外側に、少なくとも導体層を貫通する複数個のスリットを備える。
[0015]
 ケーブルアンテナの形状は、同軸ケーブルのような筒状ではなく帯板状であり、スリットは、導体層の領域のうち、中心導体の位置に対応する領域の外側に形成されている。中心導体の真上または真下を除く位置にスリットが形成されることにより、スリットを通じて漏洩する電波が弱まり、電波が届く範囲がケーブルアンテナの近傍に制限される。これにより、限られた狭い領域での通信品質を良好に確保することができ、情報漏洩の防止効果が向上する。ケーブルアンテナの形状も帯板状であるので、例えば会議室等のテーブル上に貼り付けて手軽に敷設することができる。さらにその上に化粧テープ等を貼り付けることにより、美観を向上させることもできる。電波の漏洩を望まないスリットには、導体層の表面にスリットを覆う金属テープを貼り付けることにより、電波の漏洩を抑えることができる。これにより、電波を漏洩するスリットの数が制限され、情報漏洩の防止効果がさらに向上する。
[0016]
 このようなケーブルアンテナを敷設することにより、基地局として機能するアクセスポイントデバイスを増設することなく、無線通信領域(セルとも呼ばれる)を提供することができる。提供される無線通信の領域は、限られた狭い領域であることから、混信および情報漏洩の可能性は低く、通信品質も良好である。また、アクセスポイントデバイスが不要であるため、アクセスポイントデバイス用の電源を準備する必要はなく、新たな通信可能領域を手軽に構築することが可能となる。
[0017]
 好ましくは、導体層は、誘電体層の両方の表面に設けられており、各スリットは、一方の導体層、誘電体層、および他方の導体層の順に、各層を一連に貫通している。
[0018]
 好ましくは、導体層は、誘電体層の両方の表面に設けられており、の各スリットは、一方の導体層を貫通して誘電体層に達している。
[0019]
 好ましくは、各スリットは、それぞれが同一形状であって長さ方向へ列をなして設けられている。
[0020]
 好ましくは、各スリットは、導体層の導体の位置に対応する領域を挟む対称位置に、それぞれ列をなして設けられている。
[0021]
 好ましくは、各スリットは、列毎に個別の配列形態を有する。
[0022]
 好ましくは、導体層の表面または導体層が積層されていない誘電体層の表面に、粘着層がさらに設けられている。これにより、ケーブルアンテナを適所に固定することができる。
[0023]
 本発明の第1の態様に係るケーブルアンテナの製法は、誘電体層を形成するための帯板状の誘電体の一方の表面に導体層が積層された一対のケーブル半体を製作するステップと、各ケーブル半体の誘電体を、前記誘電体層および前記導体層と共に伝送路を構成する導体を中間に挟んで重ね合わせることにより、導体の全周が帯板状の誘電体層により全長にわたって覆われたケーブルを製作するステップと、ケーブルの導体層の導体の位置に対応する領域の外側に、複数個のスリットを、一方の導体層、誘電体層、および他方の導体層の順に、各層を一連に貫通するように形成するステップとを含む。
[0024]
 本発明の第2の態様に係るケーブルアンテナの製法は、誘電体層を形成するための帯板状の誘電体の一方の表面に導体層が積層された一対のケーブル半体を製作するステップと、少なくとも一方のケーブル半体に、少なくとも導電体層を貫通する複数個のスリットを形成するステップと、各ケーブル半体の誘電体を、前記誘電体層および前記導体層と共に伝送路を構成する導体を中間に挟んで重ね合わせることにより、導体の全周が帯板状の誘電体層により全長にわたって覆われたケーブルアンテナを製作するステップとを含む。
[0025]
 本発明の第3の態様に係るケーブルアンテナの製法は、誘電体層を形成するための帯板状の誘電体の一方の表面に導体層が積層されたケーブル半体を製作するステップと、ケーブル半体の誘電体と、誘電体層を形成するための他の帯板状の誘電体とを、前記誘電体層および前記導体層と共に伝送路を構成する導体を中間に挟んで重ね合わせることにより、導体の全周が帯板状の誘電体層により全長にわたって覆われたケーブルを製作するステップと、ケーブルの導体層の導体の位置に対応する領域の外側に、複数個のスリットを、導体層と誘電体層とを一連に貫通するように形成するステップとを含む。
[0026]
 本発明の第4の態様に係るケーブルアンテナの製法は、誘電体層を形成するための帯板状の誘電体の一方の表面に導体層が積層されたケーブル半体を製作するステップと、ケーブル半体に、少なくとも導電体層を貫通する複数個のスリットを形成するステップと、ケーブル半体の誘電体と、誘電体層を形成するための他の帯板状の誘電体とを、前記誘電体層および前記導体層と共に伝送路を構成する導体を中間に挟んで重ね合わせることにより、導体の全周が帯板状の誘電体層により全長にわたって覆われたケーブルアンテナを製作するステップとを含む。
[0027]
 本発明の第1~第4の態様に係るケーブルアンテナの製法において、ケーブルアンテナの製造に用いる、誘電体層の表面に導体層が積層されたケーブル半体は、同軸ケーブルと比較して安価に提供または製造することができる。ケーブル半体は帯板状であるため、接着および穿孔等の工程により、ケーブルアンテナを安価に大量に製造することができる。これにより、同軸ケーブルと比較して安価なケーブルアンテナを提供することができる。

発明の効果

[0028]
 本発明によると、情報漏洩の防止効果に優れた、限られた狭い領域で良好な通信品質を維持することができる、安価なアンテナ用ケーブルおよびケーブルアンテナを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0029]
[図1] 一実施形態に係るアンテナ用ケーブルを模式的に表した斜視図である。
[図2] 他の実施形態に係るアンテナ用ケーブルを模式的に表した斜視図である。
[図3] 第1の実施形態に係るケーブルアンテナを模式的に表した斜視図である。
[図4] 第1の実施形態に係るケーブルアンテナを模式的に表した平面図である。
[図5] 第1の実施形態に係るケーブルアンテナを模式的に表した側面図である。
[図6] ケーブルアンテナの使用態様を説明する斜視図である。
[図7] アンテナ用ケーブルの使用態様を模式的に表した図である。
[図8] 第1の実施形態に係るケーブルアンテナの第1の製造方法の工程を説明する断面図である。
[図9] 第1の実施形態に係るケーブルアンテナの第2の製造方法の工程を説明する断面図である。
[図10] 第2の実施形態に係るケーブルアンテナを模式的に表した斜視図である。
[図11] 第2の実施形態に係るケーブルアンテナを模式的に表した側面図である。
[図12] 第2の実施形態に係るケーブルアンテナの第1の製造方法の工程を説明する断面図である。
[図13] 第2の実施形態に係るケーブルアンテナの第2の製造方法の工程を説明する断面図である。
[図14] 第3の実施形態に係るケーブルアンテナを模式的に表した斜視図である。
[図15] 第3の実施形態に係るケーブルアンテナを模式的に表した側面図である。
[図16] 第3の実施形態に係るケーブルアンテナの第1の製造方法の工程を説明する断面図である。
[図17] 第3の実施形態に係るケーブルアンテナの第2の製造方法の工程を説明する断面図である。
[図18] スリット4の形状および配列の他の例を示すケーブルアンテナを模式的に表した平面図である。
[図19] 実施例においてインピーダンス値を計算する際に用いるケーブルアンテナの各部の寸法を模式的に示す断面図である。
[図20] 実施例において数値計算に基づくケーブル長さとアンテナゲインとの関係を示すグラフである。
[図21] 実施例において試作したケーブルアンテナの性能評価に関する測定結果である。

発明を実施するための形態

[0030]
 以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する説明を省略する。
[0031]
 以下ではまず、使用者がスリットを開設する前の構成であるアンテナ用ケーブルについて説明し、次に、ケーブルアンテナおよびその製造方法について説明する。
[0032]
[アンテナ用ケーブル]
 図1は、本発明の一実施形態に係るアンテナ用ケーブル90Aを示している。図示例のアンテナ用ケーブル90Aは、可撓性を有する帯板状またはテープ状のものであり、後述するケーブルアンテナ10Aの製作に用いられる。アンテナ用ケーブル90Aは、導体1と、導体1の全周を全長にわたって覆う帯板状の誘電体層2と、誘電体層2の上面および下面に積層される導体層3a,3bとを含んでいる。導体1、誘電体層2および導体層3a,3bが伝送路を構成しており、導体1および導体層3a,3bが信号を伝送する。導体層3a,3bと導体1の間には、伝送する高周波電圧が印加される。例示的には導体層3a,3bは接地される。導体1および導体層3a,3bは、いずれもシート状であり、例えば金属箔により形成されている。導体1および誘電体層2は、いずれも全長にわたって同一の幅および同一の厚みを有している。誘電体2の幅および厚みは、導体1の幅および厚みより十分に大きく設定される。導体1は、誘電体層2の幅および厚みの略中心に位置する。以下では、導体1を導体層3a,3bと区別するために中心導体1と呼ぶ。アンテナ用ケーブル90Aは、例えば巻回されたロールの状態で保管されている。
[0033]
 各導体層3a,3bは、共に全長にわたって同一の幅および同一の厚みを有している。導体層3a,3bと誘電体層2とは同一の幅であり、前後および両側面において端面が露出する。各端面は、導体層3a,3bの表面に対して略垂直をなしている。
[0034]
 誘電体層2の材料としては、ガラスエポキシ、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、ABS樹脂、ナイロン、およびアルミナ等の、種々の誘電材料が選択される。誘電体層2の材料は、伝搬しようとする高周波信号の特定の周波数において、インピーダンス整合が取れるように選択することが好ましい。誘電体層2の誘電率を制御するために、例えば、誘電体層2の材料は、2種以上の種々の誘電材料を混合した誘電材料であってもよく、例えば気泡等の空気部位が内部に含められた誘電材料であってもよい。
[0035]
 一方の導体層3aは、導体1の位置に対応する帯状の第1の領域P(図中に一点鎖線で示す。)の外側に、導体層3aを貫通する後述するスリットを形成することが可能な、対をなす帯状の第2の領域Q,R(図中に二点鎖線で示す。)を備えている。中心導体1の幅をd1とし、導体層3aの幅をd2とすると、第1の領域Pの幅はd1であり、第2の領域Q,Rの幅はいずれも(d2-d1)/2である。
[0036]
 第2の領域Q,Rに、後述するスリットを形成する場合、スリットの幅を(d2-d1)/2より小さな値に設定し、導体層3aの表面に対して垂直にスリットを穿設すれば、スリットの深さが誘電体層2の中心部に到達しても、スリットは中心導体1と干渉しない。他方の導体層3bについても、図示は省略するが、上記と同様の第2の領域Q、Rを備えており、中心導体1と干渉しないスリットの開設が可能である。スリットの開設には、例えば穿孔機(例えば、一穴タイプのハンディパンチ)を用いることができる。すなわち使用者は、接続したい機器の近傍においてのみ、アンテナ用ケーブルの所望の長さ位置に所望の数のスリットを設けることが可能となり、情報漏洩の防止効果が向上する。
[0037]
 なお、図示は省略するが、各導体層3a,3bに表面に、第2の領域Q,Rの境界を示す線を表すようにすれば、スリットの開設を容易に行うことができる。第2の領域Q,Rの境界を示す線は、例えば印刷やレーザマーキング等により形成することができる。
[0038]
 図2は、本発明の他の実施形態に係るアンテナ用ケーブル90Bを示している。この実施形態では、上記した導体層3a,3bのうち、一方の導体層3aのみが設けられている。他の構成は図1に示す実施形態と同様であり、対応する構成に同一の符号を付することで説明を省略する。
[0039]
 なお、本発明のアンテナ用ケーブルのさらなる態様として、図1に示す実施形態では、導体層3a,3bのいずれかの表面に、図2に示す実施形態では、導体層3aの表面または露出した誘電体層2の表面に、アンテナ用ケーブル90A,90Bを適所に固定するための粘着層5を設けることができる。粘着層5の表面には剥離紙(図示せず)を貼付し、粘着層を保護することが好ましい。
[0040]
[ケーブルアンテナ]
 図3~図5は、本発明の第1の実施形態に係るケーブルアンテナの模式図である。図3は斜視図であり、図4は平面図であり、図5は図3の側面図である。
[0041]
 図3~図5に示すように、本発明の第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aは、中心導体1と、中心導体1の全周を全長にわたって覆う帯板状の誘電体層2と、誘電体層2の上面および下面に積層される導体層3a,3bとを備え、導体層3aには、少なくとも導体層3aを貫通する複数のスリット4が設けられている。中心導体1、誘電体層2および導体層3a,3bが伝送路を構成しており、中心導体1および導体層3a,3bが高周波信号を伝送する。各スリット4は、平面視が長方形状であり、長辺側をケーブルアンテナ10Aの長さ方向に揃えて、一定の間隔で一直線状に整列配置されている。第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aはマイクロラインとして機能する。ケーブルアンテナ10Aは、帯板状に形成されており、例えば巻回されたロールの状態で保管されている。
[0042]
 第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aは、少なくとも導体層3aを貫通する複数のスリット4が導体層3aに設けられている点以外は、図1に示すアンテナ用ケーブル90Aの構成と同様であり、対応する構成に同一の符号を付することで説明を省略する。
[0043]
 図3および図4に示すように、ケーブルアンテナ10Aの形状は、同軸ケーブルのような筒状ではなく帯板状であり、複数のスリット4は、導体層3a,3bの領域のうち、中心導体1の位置に対応する領域の外側に形成されている。このように、スリット4が、中心導体1の真上または真下を除く位置に形成されることにより、スリット4を通じて漏洩する電波が弱まり、電波が届く範囲がケーブルアンテナ10Aの近傍に制限される。これにより、限られた狭い領域での通信品質を良好に確保することができ、情報漏洩の防止効果が向上する。
[0044]
 図6は、本発明の第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aの使用態様を説明する斜視図である。ケーブルアンテナ10Aは、巻回されたロールの状態で保管されており、使用時には、使用者がケーブルアンテナ10Aを所望の長さに切断して使用する。ケーブルアンテナ10Aの一端には、無線ルータ20への接続用のコネクタ21が接続され、他端には高周波終端用の終端抵抗器(ターミネータ)22が接続される。無線ルータ20は、例えば有線でLAN等のネットワークに接続されており、無線ネットワークの送受信機として機能する。ケーブルアンテナ10Aの中心導体1および導体層3a,3bのそれぞれは、コネクタ21を介して、同軸ケーブル23の中心導体および外部導体とそれぞれ接続される。これにより、ケーブルアンテナ10Aは、無線ルータ20が提供する無線ネットワークの送受信アンテナとして機能する。
[0045]
 図7は、アンテナ用ケーブルの使用態様を模式的に表した図である。図7に示すケーブルアンテナ10Aは、使用者がアンテナ用ケーブル90Aの所望の長さ位置にスリット4を所望の数だけ設けることにより製作されている。スリット4を形成することが可能なアンテナ用ケーブル90Aの第2の領域Q,Rのうち、スリット4が形成されていない箇所を符号8で示す。ケーブルアンテナ10Aは、例えば会議室等の会議用テーブル30の上に、粘着層または粘着シートによる貼付により、会議用テーブル30の略中心を横切って設置される。ケーブルアンテナ10Aには、所望の長さ位置にスリット4が設けられており、ラップトップコンピュータ31やスマートフォン32等の携帯情報端末は、スリット4の近傍においてのみ、無線ルータ20が提供する無線ネットワークに接続することができる。任意の敷設態様として、ケーブルアンテナ10Aの表面に、美観を向上させる化粧テープまたは防水性を付与する防水テープ等を貼り付けてもよい。
[0046]
 このように、アンテナ用ケーブル90Aおよびケーブルアンテナ10Aは、漏洩同軸ケーブルと比較して厚みが薄く、敷設作業もテーブル30等に貼り付けるだけで良い。また、アンテナ用ケーブル90Aの所望の長さ位置にスリット4を設けることにより、電波を漏洩する箇所およびスリット4の数を調整することができるため、例えばテーブル30の座席位置毎に通信エリアを設定することが可能となり、情報漏洩の防止効果が向上する。アンテナ用ケーブル90Aにおいてスリット4を設ける位置も、中心導体1の真上または真下を除く位置となるので、スリット4を通じて漏洩する電波が弱まり、電波が届く範囲がケーブルアンテナ10Aの近傍に制限される。これにより、限られた狭い領域での通信品質を良好に確保することができる。
[0047]
 なお、本発明において電波が届く範囲を表す表現として用いた、ケーブルアンテナ10Aの近傍とは、例えば会議室の会議用テーブル上のみの範囲や、ホテルの客室一室内のみの範囲等を意味する。好ましくは、ケーブルアンテナ10Aの近傍の電波強度が、特定省電力無線の電界強度を下回る微弱無線の電界強度許容値以下(2.4GHzでは3m距離で35μV/m以下)である距離を意味する。
[0048]
 図8は、本発明の第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aの第1の製造方法の工程を説明するための図3のA-A′線に沿う断面図である。第1の製造方法では、ケーブルアンテナ10Aを構成する各層を積層した後にスリット4を形成する。
[0049]
 まず、誘電体層2a,2bの表面に導体層3a,3bが積層されたケーブル半体9を準備する。ケーブル半体9は、導体層3a,3bが、例えば蒸着、スパッタリングまたはラミネート加工により誘電体層2a,2bに積層されたフィルム状の積層構造を有し、導体層3a,3bが予め積層された状態で提供されている。または、ケーブル半体9には、導体層3a,3bおよび誘電体層2a,2bを押出成形することにより予め製造されたものを用いることができる。または、ケーブル9自体を押出成形することもある。
[0050]
 次に、図8(a)に示すように、例えば接着により、2つのケーブル半体9の誘電体層2a,2bを、中心導体1を中間に挟んで重ね合わせることにより、図8(b)に示すアンテナ用ケーブル90Aを形成する。この図8(b)に示すアンテナ用ケーブル90Aが、図1に示すアンテナ用ケーブル90Aに対応する。
[0051]
 次に、図8(c)に示すように、アンテナ用ケーブル90Aの、中心導体1の真上または真下を除く位置にスリット4を形成し、ケーブルアンテナ10Aを形成する。スリット4は、上側のケーブル半体9の導体層3aおよび誘電体層2aと、下側のケーブル半体9の誘電体層2bおよび導体層3bとを一連に貫通する。
[0052]
 図9は、本発明の第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aの第2の製造方法の工程を説明するための図3のA-A′線に沿う断面図である。第2の製造方法では、ケーブルアンテナ10Aを構成する各層を積層する前に、2つのケーブル半体9のどちらか一方にスリット4を形成する。
[0053]
 まず、図9(a)に示すように、第1の製造方法と同様にケーブル半体9を準備する。次に、図9(b)に示すように、2つのケーブル半体9のどちらか一方にスリット4を形成する。スリット4を形成する水平方向の位置は、後の工程において介装する中心導体1の真上または真下を除く位置である。スリット4は、上側のケーブル半体9の導体層3aおよび誘電体層2aを一連に貫通する。第2の製造方法によるケーブルアンテナ10Aでは、下側のケーブル半体9の誘電体層2bおよび導体層3bにはスリット4は形成されない。
[0054]
 次に、例えば接着により、スリット4が形成された上側のケーブル半体9の誘電体層2aと下側のケーブル半体9の誘電体層2aとを、中心導体1を中間に挟んで重ね合わせることにより、図9(c)に示すケーブルアンテナ10Aを形成する。
[0055]
 誘電体層2a,2bの表面に導体層3a,3bが積層されたケーブル半体9は、同軸ケーブルと比較して安価に提供または製造することができる。また、ケーブル半体9は帯板状であるため、接着および穿孔等の工程により、ケーブルアンテナ10Aを安価に大量に製造することができる。これにより、同軸ケーブルと比較して安価なケーブルアンテナ10Aを提供することができる。
[0056]
 図10および図11は、本発明の第2の実施形態に係るケーブルアンテナの模式図である。図10は斜視図であり、図11は図10の側面図である。
[0057]
 図10および図11に示すように、本発明の第2の実施形態に係るケーブルアンテナ10Bは、誘電体層2の上面または下面のいずれか一方にのみ導体層3aを備える点において、第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aと異なる。第2の実施形態に係るケーブルアンテナ10Bはマイクロストリップラインとして機能する。第2の実施形態に係るケーブルアンテナ10Bの使用態様は、上記した第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aの使用態様と同じである。
[0058]
 図12は、本発明の第2の実施形態に係るケーブルアンテナ10Bの第1の製造方法の工程を説明するための図10のB-B′線に沿う断面図である。第1の製造方法では、ケーブルアンテナ10Bを構成する各層を積層した後にスリット4を形成する。
[0059]
 図12(a)~図12(c)に示すように、下側のケーブル半体9に導体層3bが形成されていない点以外については、第2の実施形態に係るケーブルアンテナ10Bの第1の製造方法は、図8(a)~図8(c)に示す、第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aの第1の製造方法と同様である。図12(b)に示すアンテナ用ケーブル90Bが、図2に示すアンテナ用ケーブル90Bに対応する。図12(c)において、スリット4は、上側のケーブル半体9の導体層3aおよび誘電体層2aと、下側のケーブル半体9の誘電体層2bとを一連に貫通する。
[0060]
 図13は、本発明の第2の実施形態に係るケーブルアンテナ10Bの第2の製造方法の工程を説明するための図10のB-B′線に沿う断面図である。第2の製造方法では、ケーブルアンテナ10Bを構成する各層を積層する前に、2つのケーブル半体9のどちらか一方にスリット4を形成する。
[0061]
 図13(a)~図13(c)に示すように、下側のケーブル半体9に導体層3bが形成されていない点以外については、第2の実施形態に係るケーブルアンテナ10Bの第2の製造方法は、図9(a)~図9(c)に示す、第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aの第2の製造方法と同様である。図13(b)において、スリット4は、上側のケーブル半体9の導体層3aおよび誘電体層2aを一連に貫通する。第2の製造方法によるケーブルアンテナ10Bでは、下側のケーブル半体9の誘電体層2bにはスリット4は形成されない。
[0062]
 図14および図15は、本発明の第3の実施形態に係るケーブルアンテナの模式図である。図14は斜視図であり、図15は図14の側面図である。
[0063]
 図14および図15に示すように、本発明の第3の実施形態に係るケーブルアンテナ10Cは、導体層3aまたは導体層3bの表面に粘着層5をさらに備える点において、第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aと異なる。第3の実施形態に係るケーブルアンテナ10Cはマイクロラインとして機能する。第3の実施形態に係るケーブルアンテナ10Cの使用態様は、上記した第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aの使用態様と同じである。
[0064]
 なお、図示する態様では、粘着層5は、下側のケーブル半体9の導体層3bの表面に形成されているが、粘着層5は、上側のケーブル半体9の導体層3aの表面に形成されてもよい。粘着層5の表面には剥離紙(図示せず)を貼付し、粘着層5を保護することが好ましい。
[0065]
 図16は、本発明の第3の実施形態に係るケーブルアンテナ10Cの第1の製造方法の工程を説明するための図14のC-C′線に沿う断面図である。第1の製造方法では、ケーブルアンテナ10Cを構成する各層を積層した後にスリット4を形成する。
[0066]
 図16(a)~図16(c)に示すように、導体層3bの表面に粘着層5が形成されている点以外については、第3の実施形態に係るケーブルアンテナ10Cの第1の製造方法は、図8(a)~図8(c)に示す、第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aの第1の製造方法と同様である。図16(c)において、スリット4は、上側のケーブル半体9の導体層3aおよび誘電体層2aと、下側のケーブル半体9の誘電体層2b、導体層3bおよび粘着層5とを一連に貫通する。
[0067]
 図17は、本発明の第3の実施形態に係るケーブルアンテナ10Cの第2の製造方法の工程を説明するための図14のC-C′線に沿う断面図である。第2の製造方法では、ケーブルアンテナ10Cを構成する各層を積層する前に、2つのケーブル半体9のどちらか一方にスリット4を形成する。
[0068]
 図17(a)~図17(c)に示すように、導体層3bの表面に粘着層5が形成されている点以外については、第3の実施形態に係るケーブルアンテナ10Cの第2の製造方法は、図9(a)~図9(c)に示す、第1の実施形態に係るケーブルアンテナ10Aの第2の製造方法と同様である。図17(b)において、スリット4は、上側のケーブル半体9の導体層3aおよび誘電体層2aを一連に貫通する。第2の製造方法によるケーブルアンテナ10Cでは、下側のケーブル半体9の誘電体層2b、導体層3bおよび粘着層5にはスリット4は形成されない。
[0069]
[その他の形態]
 以上、本発明を特定の実施の形態によって説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
[0070]
 上記第3の実施形態では、マイクロラインとして機能するケーブルアンテナ10Cにおいて、粘着層5は導体層3aまたは導体層3bの表面に形成されているが、粘着層5の形成位置はこれに限定されない。粘着層5は、例えば図10および図11に示すマイクロストリップラインとして機能するケーブルアンテナ10Bにおいて、導体層3aまたは誘電体層2bの表面に形成されてもよい。
[0071]
 上記第3の実施形態では、上側のケーブル半体9の導体層3aまたは下側のケーブル半体9の導体層3bの少なくとも一方の表面に、粘着層5が形成されているが、粘着層5は、上側のケーブル半体9および下側のケーブル半体9の両方の導体層3a,3bの表面に形成されてもよい。また、粘着層5が形成される工程も限定されるものではなく、ケーブルアンテナ10Cの第1の製造方法を説明する図16において、ケーブル半体9に予め粘着層5を形成したものを重ね合わせてもよいし、あるいは、粘着層5が形成されていない状態の上側のケーブル半体9と下側のケーブル半体9とを重ね合わせた後に、粘着層5を形成してもよい。
[0072]
 上記第1~第3の実施形態では、スリット4の形状は平面視で長方形状であるが、スリット4の形状はこれに限定されず、例えば円形または楕円形等の任意の形状であってもよい。また、上記第1~第3の実施形態では、スリット4は、形状が同一であり、ケーブルアンテナ10の長さ方向へ複数の列をなしてそれぞれ設けられているが、スリット4の形状および配列はこれに限定されない。スリット4の列は一列であってもよい。また、例えば図18の平面図に示すように、スリット4は列毎に個別の配列形態を有していてもよいし、スリット4は列毎に個別の形状を有していてもよい。
[0073]
 上記第1~第3の実施形態では、導体1は誘電体層2の幅および厚みの略中心に位置しているが、導体1の位置はこれに限定されず、導体1は、誘電体層2の幅方向または厚み方向にずれて配置されてもよい。また、上記第1および第3の実施形態では、各導体層3a,3bは共に同一の厚みを有しているが、導体層3aの厚みと導体層3bの厚みとは異なっていてもよい。また、上記第1~第3の実施形態では、導体層3a,3bと誘電体層2とは同一の幅を有しているが、導体層3a,3bの幅と誘電体層2の幅とは異なっていてもよい。
[0074]
 上記第1~第3の実施形態では、ケーブルアンテナ10A,10B,10Cにはスリット4が設けられているが、電波の漏洩を望まないスリット4には、導体層3a,3bの表面にスリット4を覆う金属テープを貼り付けて、電波の漏洩を抑えてもよい。これにより、電波を漏洩するスリット4の数が制限され、情報漏洩の防止効果がさらに向上する。
実施例 1
[0075]
 [インピーダンス値の計算例]
 ケーブルアンテナの試作品を作製するにあたり、インピーダンス値Z の計算を行った。図19に、インピーダンス値を計算する際のケーブルアンテナの各部の寸法を示す。インピーダンス値Z の計算例を表1に示す。
[0076]
[表1]


[0077]
 表1に示す計算例から以下の事項(1)~(4)を確認した。
 (1)中心導体1の幅W(d1)を小さくすると、インピーダンス値Z が小さくなる。
 (2)中心導体1の幅W(d1)および厚みTを小さくすると、伝送ロスが大きくなる。
 (3)誘電体層2の誘電率ε を小さくすると、インピーダンス値Z が高くなる。
 (4)誘電体層2の厚みHを小さくすると、ケーブルアンテナの柔軟性を改善することが可能である。
[0078]
 [得られる電波強度に関する考察]
 無線通信用の漏洩ケーブルアンテナを作製するにあたり、最適なケーブル長さとアンテナゲイン(利得)との関係について考察し、得られる電波強度が無線通信に十分な強度であるかを考察した。考察は数値計算に基づいて行った。
[0079]
 図20は、数値計算に基づくケーブル長さとアンテナゲインとの関係を示すグラフである。数値計算は、アンテナゲインおよびケーブルでの伝送ロスを、変化させた3種類のケーブルアンテナ(i)~(iii)について行った。グラフの上方に破線で示すアンテナゲインの値2.14dBiは、比較用に示すダイポールアンテナのゲインである。
[0080]
 図20に示すグラフから、ケーブルでの伝送ロスを増大させると、ゲインが飽和するアンテナ長さが短くなることを確認した。すなわち、ケーブルでの伝送ロスを増大させると、アンテナの単位長でのゲインを高く設定しても、短い長さの伝送路でトータルのアンテナゲインを飽和させることができる。この組み合わせにより、近距離の位置でのゲインを高くすることができ、高い電波強度を得ることができることを確認した。これにより、ケーブルでの伝送ロスを調整することにより、アンテナ長さが数メートル~数10メートルのケーブルアンテナにおいて、無線通信に十分な電波強度をケーブルアンテナから狭い領域において得ることができることを確認した。
[0081]
 [試作品の測定]
 ケーブルアンテナの試作品を作製して性能評価を行った。性能評価の測定は、一般社団法人電波産業会による標準規格番号「ARIB STD-T66」に沿って行った。測定項目の詳細を表2に示し、測定結果を図21に示す。図21に示す測定結果より、作製した試作品のケーブルアンテナが小電力データ通信システム/ワイヤレスLANシステムなどにおいて法規制を満足したアンテナとして使用できることを確認した。
[0082]
[表2]


符号の説明

[0083]
1 導体(中心導体)
2(2a,2b) 誘電体層
3a,3b 導体層
4 スリット
5 粘着層
9 ケーブル半体
10A,10B,10C ケーブルアンテナ
20 無線ルータ
21 コネクタ
22 終端抵抗器(ターミネータ)
23 同軸ケーブル
30 会議用テーブル
31 ラップトップコンピュータ
32 スマートフォン
90A,90B アンテナ用ケーブル

請求の範囲

[請求項1]
 導体と、
 前記導体の全周を全長にわたって覆う帯板状の誘電体層と、
 前記誘電体層の少なくとも一方の表面に積層され、前記導体および前記誘電体層と共に伝送路を構成する導体層とを含み、
 前記導体層は、前記導体の位置に対応する領域の外側に、少なくとも導体層を貫通する複数個のスリットを形成するための領域を備える、アンテナ用ケーブル。
[請求項2]
 前記導体層の表面または導体層が積層されていない前記誘電体層の表面に、粘着層がさらに設けられている、請求項1に記載のアンテナ用ケーブル。
[請求項3]
 導体と、
 前記導体の全周を全長にわたって覆う帯板状の誘電体層と、
 前記誘電体層の少なくとも一方の表面に積層され、前記導体および前記誘電体層と共に伝送路を構成する導体層とを含み、
 前記導体層は、前記導体の位置に対応する領域の外側に、少なくとも導体層を貫通する複数個のスリットを備える、ケーブルアンテナ。
[請求項4]
 前記導体層は、前記誘電体層の両方の表面に設けられており、前記の各スリットは、一方の導体層、誘電体層、および他方の導体層の順に、各層を一連に貫通している、請求項3に記載のケーブルアンテナ。
[請求項5]
 前記導体層は、前記誘電体層の両方の表面に設けられており、前記の各スリットは、一方の導体層を貫通して誘電体層に達している、請求項3に記載のケーブルアンテナ。
[請求項6]
 前記の各スリットは、それぞれが同一形状であって長さ方向へ列をなして設けられている、請求項3~5のいずれかに記載のケーブルアンテナ。
[請求項7]
 前記の各スリットは、前記導体層の前記導体の位置に対応する領域を挟む対称位置に、それぞれ列をなして設けられている、請求項3~6のいずれかに記載のケーブルアンテナ。
[請求項8]
 前記の各スリットは、列毎に個別の配列形態を有する、請求項7に記載のケーブルアンテナ。
[請求項9]
 前記導体層の表面または導体層が積層されていない前記誘電体層の表面に、粘着層がさらに設けられている、請求項3~8のいずれかに記載のケーブルアンテナ。
[請求項10]
 誘電体層を形成するための帯板状の誘電体の一方の表面に導体層が積層された一対のケーブル半体を製作するステップと、
 各ケーブル半体の誘電体を、前記誘電体層および前記導体層と共に伝送路を構成する導体を中間に挟んで重ね合わせることにより、前記導体の全周が帯板状の誘電体層により全長にわたって覆われたケーブルを製作するステップと、
 前記ケーブルの前記導体層の前記導体の位置に対応する領域の外側に、複数個のスリットを、一方の導体層、誘電体層、および他方の導体層の順に、各層を一連に貫通するように形成するステップとを含む、ケーブルアンテナの製法。
[請求項11]
 誘電体層を形成するための帯板状の誘電体の一方の表面に導体層が積層された一対のケーブル半体を製作するステップと、
 少なくとも一方のケーブル半体に、少なくとも導電体層を貫通する複数個のスリットを形成するステップと、
 各ケーブル半体の誘電体を、前記誘電体層および前記導体層と共に伝送路を構成する導体を中間に挟んで重ね合わせることにより、前記導体の全周が帯板状の誘電体層により全長にわたって覆われたケーブルアンテナを製作するステップとを含む、ケーブルアンテナの製法。
[請求項12]
 誘電体層を形成するための帯板状の誘電体の一方の表面に導体層が積層されたケーブル半体を製作するステップと、
 前記ケーブル半体の誘電体と、前記誘電体層を形成するための他の帯板状の誘電体とを、前記誘電体層および前記導体層と共に伝送路を構成する導体を中間に挟んで重ね合わせることにより、前記導体の全周が帯板状の誘電体層により全長にわたって覆われたケーブルを製作するステップと、
 前記ケーブルの前記導体層の前記導体の位置に対応する領域の外側に、複数個のスリットを、導体層と誘電体層とを一連に貫通するように形成するステップとを含む、ケーブルアンテナの製法。
[請求項13]
 誘電体層を形成するための帯板状の誘電体の一方の表面に導体層が積層されたケーブル半体を製作するステップと、
 前記ケーブル半体に、少なくとも導電体層を貫通する複数個のスリットを形成するステップと、
 前記ケーブル半体の誘電体と、前記誘電体層を形成するための他の帯板状の誘電体とを、前記誘電体層および前記導体層と共に伝送路を構成する導体を中間に挟んで重ね合わせることにより、前記導体の全周が帯板状の誘電体層により全長にわたって覆われたケーブルアンテナを製作するステップとを含む、ケーブルアンテナの製法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]