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1. (WO2018225494) BATTERIE SECONDAIRE AU SODIUM-ION ENTIÈREMENT SOLIDE
Document

明 細 書

発明の名称 全固体ナトリウムイオン二次電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101  

実施例

0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132  

符号の説明

0133  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 全固体ナトリウムイオン二次電池

技術分野

[0001]
 本発明は、ナトリウムイオン伝導性酸化物からなる固体電解質層を備える、全固体ナトリウムイオン二次電池に関する。

背景技術

[0002]
 リチウムイオン二次電池は、モバイル機器や電気自動車等の分野において、高容量で軽量な電池として用いられている。しかしながら、リチウムイオン二次電池においては、電解質として、可燃性の有機系電解液が主に用いられている。有機系電解液は、高いイオン伝導性を示すものの、液体であり可燃性であることから、蓄電デバイスに用いた場合に、発火や漏液等の安全性上の問題がある。このような安全性の問題を解決するために、有機系電解液に代えて固体電解質を使用した全固体リチウムイオン二次電池の開発が進められている(特許文献1)。
[0003]
 ところで、全固体リチウムイオン二次電池に用いられるリチウムは、世界的な原材料の高騰や枯渇問題等が懸念されている。そこで、リチウムイオンの代替として、ナトリウムイオンが注目されており、全固体ナトリウムイオン二次電池の開発も進められている(特許文献2)。
[0004]
 特許文献2の全固体ナトリウムイオン二次電池では、ナトリウムイオン伝導性固体電解質層の両面に、それぞれ、電極合材(正極合材又は負極合材)からなる電極層が設けられている。また、電極層の上には、集電体が設けられている。特許文献2では、集電体として、スパッタリングにより成膜した金薄膜が用いられている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平5-205741号公報
特許文献2 : 国際公開第2015/087734号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、特許文献2の全固体ナトリウムイオン二次電池では、セル積層時の擦れや、運搬時のハンドリングにより、集電体としての金薄膜が電極層から剥離することがあった。この際、集電体が剥離すると、電池の内部抵抗が増加し、放電容量や放電電圧が低下するという問題がある。
[0007]
 本発明の目的は、電極層から集電体が剥離しにくく、放電容量や放電電圧の低下を抑制することが可能な全固体ナトリウムイオン二次電池を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明の全固体ナトリウムイオン二次電池は、互いに対向している第1の主面及び第2の主面を有し、ナトリウムイオン伝導性酸化物からなる、固体電解質層と、前記固体電解質層の前記第1の主面上に設けられている、正極層と、前記固体電解質層の前記第2の主面上に設けられている、負極層と、前記正極層及び前記負極層のうち、少なくとも一方の主面上に設けられている、集電体層と、を備え、前記集電体層が、アルミニウム、チタン、銀、銅、ステンレス鋼及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種の金属材料により構成されており、前記集電体層の厚みが、10nm以上、10μm以下であることを特徴としている。
[0009]
 本発明の全固体ナトリウムイオン二次電池は、前記正極層及び前記負極層の双方の主面上に、それぞれ、前記集電体層が設けられていることが好ましい。
[0010]
 本発明の全固体ナトリウムイオン二次電池は、前記集電体層が、アルミニウム又は該アルミニウムを含む合金からなることが好ましい。
[0011]
 本発明の全固体ナトリウムイオン二次電池は、前記固体電解質層が、β-アルミナ、β”-アルミナ及びNASICON結晶から選ばれる少なくとも1種のナトリウムイオン伝導性酸化物を含むことが好ましい。

発明の効果

[0012]
 本発明によれば、電極層から集電体が剥離しにくく、放電容量や放電電圧の低下を抑制することが可能な全固体ナトリウムイオン二次電池を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態に係る全固体ナトリウムイオン二次電池を示す模式的断面図である。
[図2] 図2は、実施例及び比較例で作製した正極層上に設けられている集電体層の厚みと、重量エネルギー密度との関係を示す図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
[0015]
 図1は、本発明の一実施形態に係る全固体ナトリウムイオン二次電池を示す模式的断面図である。図1に示すように、本実施形態の全固体ナトリウムイオン二次電池1は、固体電解質層2、正極層3、負極層4、第1の集電体層5及び第2の集電体層6を備える。
[0016]
 固体電解質層2は、ナトリウムイオン伝導性酸化物からなる。また、固体電解質層2は、互いに対向している第1の主面2a及び第2の主面2bを有する。
[0017]
 固体電解質層2の第1の主面2a上に、正極層3が設けられている。正極層3は、ナトリウムを吸蔵・放出可能な正極活物質を含んでいる。正極層3の固体電解質層2とは反対側の主面上に、第1の集電体層5が設けられている。
[0018]
 一方、固体電解質層2の第2の主面2b上には、負極層4が設けられている。負極層4は、ナトリウムを吸蔵・放出可能な負極活物質を含んでいる。負極層4の固体電解質層2とは反対側の主面上に、第2の集電体層6が設けられている。
[0019]
 本実施形態において、第1の集電体層5は、アルミニウム、チタン、銀、銅、ステンレス鋼又はこれらの合金などの金属材料により構成されている。上記金属材料は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。なお、これらの合金とは、少なくとも1種の上記金属を含む合金である。また、本実施形態において、第1の集電体層5の厚みは、10nm以上、10μm以下である。
[0020]
 本実施形態において、第2の集電体層6は、アルミニウム、チタン、銀、銅、ステンレス鋼又はこれらの合金などの金属材料により構成されている。上記金属材料は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。なお、これらの合金とは、少なくとも1種の上記金属を含む合金である。また、本実施形態において、第2の集電体層6の厚みは、10nm以上、10μm以下である。
[0021]
 本実施形態の全固体ナトリウムイオン二次電池1においては、第1の集電体層5及び第2の集電体層6が、アルミニウム、チタン、銀、銅、ステンレス鋼又はこれらの合金などの金属材料により構成されている。そのため、セル積層時の擦れや、運搬時のハンドリングにより、第1の集電体層5及び第2の集電体層6が、正極層3又は負極層4から剥離し難い。第1の集電体層5及び第2の集電体層6が、正極層3又は負極層4から剥離し難いので、全固体ナトリウムイオン二次電池1では、電池の内部抵抗が増加し難く、放電容量や放電電圧が低下し難い。
[0022]
 なお、本実施形態の全固体ナトリウムイオン二次電池1において、第1の集電体層5及び第2の集電体層6が、正極層3又は負極層4から剥離し難い理由については、以下のように説明することができる。
[0023]
 まず、従来の全固体ナトリウムイオン二次電池においては、上述したように、集電体層が金により構成されている。この場合、金は、反応性が低いことから、ファンデルワールス力のみで電極材と結合するものと考えられる。そのため、電極材との結合力が弱く、セル積層時の擦れや、運搬時のハンドリングにより、集電体層が電極層から剥離することとなる。
[0024]
 これに対して、本実施形態の全固体ナトリウムイオン二次電池1では、第1の集電体層5及び第2の集電体層6が、それぞれ、アルミニウム、チタン、銀、銅、ステンレス鋼又はこれらの合金により構成されている。これらの金属材料は、酸化されやすく、正極層3又は負極層4を構成する電極材と化学結合をする。そのため、金を用いた場合と比較して正極層3又は負極層4との結合力が強く、第1の集電体層5及び第2の集電体層6が、正極層3又は負極層4から剥離し難い。
[0025]
 なお、第1の集電体層5及び第2の集電体層6を構成する上記金属材料は、金と比べて密度が低い。よって、本実施形態の全固体ナトリウムイオン二次電池1では、単位重量当たりのエネルギー密度を高めることができるという利点もある。
[0026]
 さらに、本実施形態の全固体ナトリウムイオン二次電池1では、第1の集電体層5及び第2の集電体層6の厚みが、それぞれ10μm以下であり、従来の全固体ナトリウムイオン二次電池より、集電体層の厚みが薄い。そのため、本実施形態の全固体ナトリウムイオン二次電池1では、単位体積当たりのエネルギー密度も高めることができる。なお、集電体層の厚みが小さすぎると、導電性が低下することにより電池の内部抵抗が増加して放電容量の低下が起こり、結果的に重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度が低下する傾向がある。そこで、本実施形態の全固体ナトリウムイオン二次電池1では、第1の集電体層5及び第2の集電体層6の厚みを、それぞれ10nm以上とすることにより、そのような問題を生じにくくしている。
[0027]
 第1の集電体層5及び第2の集電体層6は、それぞれ、アルミニウム又は該アルミニウムを含む合金により構成されていることが好ましい。この場合、全固体ナトリウムイオン二次電池1のエネルギー密度をより一層高めることができる。
[0028]
 第1の集電体層5及び第2の集電体層6の厚みは、それぞれ、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは1μm以下である。この場合、全固体ナトリウムイオン二次電池1のエネルギー密度をより一層高めることができる。また、第1の集電体層5及び第2の集電体層6の厚みは、それぞれ、好ましくは30nm以上であり、より好ましくは50nm以上である。この場合、導電性の低下により電池の内部抵抗が増加して放電容量が低下すること、及び、それに起因する重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度の低下をより一層抑制することができる。
[0029]
 なお、本発明においては、上記実施形態のように第1の集電体層5及び第2の集電体層6の双方が上記金属材料により構成されており、かつ第1の集電体層5及び第2の集電体層6の双方の厚みが上記範囲内にあることが好ましい。
[0030]
 もっとも、本発明においては、第1の集電体層及び第2の集電体層のうち一方の集電体層のみが、アルミニウム、チタン、銀、銅、ステンレス鋼又はこれらの合金により構成されており、かつその集電体層の厚みが10nm以上、10μm以下であってもよい。その場合においても、全固体ナトリウムイオン二次電池1のエネルギー密度を高めることができる。なお、この場合、他の集電体層は、他の金属材料によって構成されていてもよく、厚みが上記範囲内になくてもよい。
[0031]
 以下、全固体ナトリウムイオン二次電池1に用いられる固体電解質層2、正極層3及び負極層4の詳細について説明する。
[0032]
 (固体電解質層)
 固体電解質層2を構成する固体電解質は、ナトリウムイオン伝導性酸化物から形成されている。ナトリウムイオン伝導性酸化物としては、Al、Y、Zr、Si及びPから選ばれる少なくとも1種、Na、並びにOを含有する化合物が挙げられる。ナトリウムイオン伝導性酸化物は、結晶、結晶化ガラス、ガラスのいずれでもよいが、結晶が比較的イオン伝導性に優れるため好ましい。さらに、結晶は、単結晶、多結晶のいずれでもよいが、粒界が少なくイオン伝導性に優れる点で単結晶がより好ましい。その具体例としては、β-アルミナ、β”-アルミナ、又はNASICON型結晶を含有する酸化物材料が挙げられる。
[0033]
 β-アルミナやβ”-アルミナを含有する酸化物材料としては、モル%で、Al  65%~98%、Na O 2%~20%、MgO+Li O 0.3%~15%を含有するものが挙げられる。組成をこのように限定した理由を以下に説明する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。また、「○+○+・・・」は該当する各成分の合量を意味する。
[0034]
 Al は、β-アルミナ及びβ”-アルミナを構成する主成分である。Al の含有量は、好ましくは65%~98%、より好ましくは70%~95%である。Al が少なすぎると、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、Al が多すぎると、ナトリウムイオン伝導性を有さないα-アルミナが残存し、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
[0035]
 Na Oは、固体電解質にナトリウムイオン伝導性を付与する成分である。Na Oの含有量は、好ましくは2%~20%、より好ましくは3%~18%、さらに好ましくは4%~16%である。Na Oが少なすぎると、上記ナトリウムイオン伝導性が得られにくくなる。一方、Na Oが多すぎると、余剰のナトリウムがNaAlO 等のナトリウムイオン伝導性に寄与しない化合物を形成するため、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
[0036]
 MgO及びLi Oは、β-アルミナ及びβ”-アルミナの構造を安定化させる成分(安定化剤)である。MgO+Li Oの含有量は、好ましくは0.3%~15%、より好ましくは0.5%~10%、さらに好ましくは0.8%~8%である。MgO+Li Oが少なすぎると、固体電解質中にα-アルミナが残存してナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、MgO+Li Oが多すぎると、安定化剤として機能しなかったMgO又はLi Oが固体電解質中に残存して、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
[0037]
 固体電解質は、上記成分以外にも、ZrO やY を含有することが好ましい。ZrO 及びY は、原料を焼成して固体電解質を作製する際のβ-アルミナ及び/またはβ”-アルミナの異常粒成長を抑制し、β-アルミナ及び/またはβ”-アルミナの各粒子の密着性をより一層向上させる効果がある。ZrO の含有量は、好ましくは0%~15%、より好ましくは1%~13%、さらに好ましくは2%~10%である。また、Y の含有量は、好ましくは0%~5%、より好ましくは0.01%~4%、さらに好ましくは0.02%~3%である。ZrO 又はY が多すぎると、β-アルミナ及び/またはβ”-アルミナの生成量が低下して、ナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。
[0038]
 NASICON型結晶を含有する酸化物材料としては、一般式Na A1 A2 (A1はAl、Y、Yb、Nd、Nb、Ti、Hf及びZrから選択される少なくとも1種、A2はSi及びPから選択される少なくとも1種、s=1.4~5.2、t=1~2.9、u=2.8~4.1、v=9~14)で表される結晶を含有するものが挙げられる。上記一般式において、A1はY、Nb、Ti及びZrから選択される少なくとも1種であることが好ましい。このようにすることでナトリウムイオン伝導性により一層優れた結晶を得ることができる。
[0039]
 なお、上記一般式における各係数の好ましい範囲は以下の通りである。
[0040]
 sは1.4~5.2、好ましくは2.5~3.5、特に2.8~3.1であることが好ましい。sが小さすぎると、ナトリウムイオンが少なくなるためイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、sが大きすぎると、余剰のナトリウムがリン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウム等のイオン伝導に寄与しない化合物を形成するため、イオン伝導性が低下しやすくなる。
[0041]
 tは1~2.9、好ましくは1~2.5、特に1.3~2であることが好ましい。tが小さすぎると、結晶中の三次元網目構造が減少するためイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、tが大きすぎると、ジルコニアやアルミナ等のイオン伝導に寄与しない化合物を形成するため、イオン伝導性が低下しやすくなる。
[0042]
 uは2.8~4.1、好ましくは2.9~3.2、特に2.95~3.1であることが好ましい。uが小さすぎると、結晶中の三次元網目構造が減少するためイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、uが大きすぎると、イオン伝導に寄与しない結晶を形成するためイオン伝導性が低下しやすくなる。
[0043]
 vは9~14、好ましくは9~12、より好ましくは9.5~12、特に11~12であることが好ましい。vが小さすぎると、アルミニウム成分が低価数になるため電気絶縁性が低下しやすくなる。一方、vが大きすぎると、過酸化状態となってナトリウムイオンが酸素原子の孤立電子対から束縛されるため、イオン伝導性が低下しやすくなる。
[0044]
 上記NASICON型結晶は、単斜晶系又は三方晶系であればイオン伝導性に優れるため好ましい。
[0045]
 上記一般式Na A1 A2 で表される結晶の具体例としては、Na Zr Si PO 12、Na 3.2Zr 1.3Si 2.20.810.5、Na Zr 1.6Ti 0.4Si PO 12、Na Hf Si PO 12、Na 3.4Zr 0.9Hf 1.4Al 0.6Si 1.21.812、Na Zr 1.7Nb 0.24Si PO 12、Na 3.6Ti 0.20.8Si 2.8、Na Zr 1.880.12Si PO 12、Na 3.12Zr 1.880.12Si PO 12、Na 3.6Zr 0.13Yb 1.67Si 0.112.912等が挙げられる。
[0046]
 固体電解質層2の厚みは、10μm~2000μmの範囲であることが好ましく、50μm~200μmの範囲であることがより好ましい。固体電解質層2の厚みが薄すぎると、機械的強度が低下して破損しやすくなるため、内部短絡が起こりやすくなる。固体電解質層2の厚みが厚すぎると、充放電に伴うナトリウムイオン伝導距離が長くなるため内部抵抗が高くなり、放電容量及び作動電圧が低下しやすくなる。また、全固体ナトリウムイオン二次電池1の単位体積当たりのエネルギー密度も低下することがある。
[0047]
 固体電解質層2は、原料粉末を混合し、混合した原料粉末を成形した後、焼成することにより製造することができる。例えば、原料粉末をスラリー化してグリーンシートを作製した後、グリーンシートを焼成することにより製造することができる。また、ゾルゲル法により製造してもよい。
[0048]
 (正極層)
 正極層3は、ナトリウムを吸蔵・放出可能な正極活物質を含み、正極層として機能するものであれば特に限定されない。正極活物質は、例えば、ガラス粉末等の正極活物質前駆体粉末を焼成して形成してもよい。正極活物質前駆体粉末を焼成することにより、正極活物質結晶が析出し、この正極活物質結晶が正極活物質として作用する。
[0049]
 正極活物質として作用する正極活物質結晶としては、Na、M(MはCr、Fe、Mn、Co、V及びNiからから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素)、P及びOを含むナトリウム遷移金属リン酸塩結晶が挙げられる。具体例としては、Na FeP 、NaFePO 、Na (PO 、Na NiP 、Na 3.64Ni 2.18(P 、Na Ni (PO (P )等が挙げられる。当該ナトリウム遷移金属リン酸塩結晶は、高容量で化学的安定性に優れるため好ましい。なかでも空間群P1またはP-1に属する三斜晶系結晶、特に一般式Na (1.2≦x≦2.8、0.95≦y≦1.6、6.5≦z≦8)で表される結晶がサイクル特性に優れるため好ましい。その他に正極活物質として作用する正極活物質結晶としては、NaCrO 、Na 0.7MnO 、NaFe 0.2Mn 0.4Ni 0.4等の層状ナトリウム遷移金属酸化物結晶が挙げられる。
[0050]
 正極活物質前駆体粉末としては、(i)Cr、Fe、Mn、Co、Ni、Ti及びNbからなる群より選ばれた少なくとも1種の遷移金属元素、(ii)P、Si及びBから選択される少なくとも1種の元素、並びに(iii)Oを含むものが挙げられる。
[0051]
 正極活物質前駆体粉末としては、特に酸化物換算のモル%で、Na O 8%~55%、CrO+FeO+MnO+CoO+NiO 10%~70%、P +SiO +B  15%~70%を含有するものが挙げられる。各成分をこのように限定した理由を以下に説明する。なお、以下の各成分の含有量に関する説明において、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。また、「○+○+・・・」は該当する各成分の合量を意味する。
[0052]
 Na Oは、充放電の際に正極活物質と負極活物質との間を移動するナトリウムイオンの供給源となる。Na Oの含有量は、好ましくは8%~55%、より好ましくは15%~45%、さらに好ましくは25%~35%である。Na Oが少なすぎると、吸蔵及び放出に寄与するナトリウムイオンが少なくなるため、放電容量が低下する傾向にある。一方、Na Oが多すぎると、Na PO 等の充放電に寄与しない異種結晶が析出しやすくなるため、放電容量が低下する傾向にある。
[0053]
 CrO、FeO、MnO、CoO、NiOは、充放電の際に各遷移元素の価数が変化してレドックス反応を起こすことにより、ナトリウムイオンの吸蔵及び放出の駆動力として作用する成分である。なかでも、NiO及びMnOは酸化還元電位を高める効果が大きい。また、FeOは充放電において特に構造を安定化させやすく、サイクル特性を向上させやすい。CrO+FeO+MnO+CoO+NiOの含有量は、好ましくは10%~70%、より好ましくは15%~60%、さらに好ましくは20%~55%、さらに好ましくは23%~50%、特に好ましくは25%~40%、最も好ましくは26%~36%である。CrO+FeO+MnO+CoO+NiOが少なすぎると、充放電に伴うレドックス反応が起こりにくくなり、吸蔵及び放出されるナトリウムイオンが少なくなるため放電容量が低下する傾向にある。一方、CrO+FeO+MnO+CoO+NiOが多すぎると、異種結晶が析出して放電容量が低下する傾向にある。
[0054]
 P 、SiO 及びB は3次元網目構造を形成するため、正極活物質の構造を安定化させる効果を有する。特に、P 、SiO がナトリウムイオン伝導性に優れるために好ましく、P がより好ましい。P +SiO +B の含有量は、好ましくは15%~70%、より好ましくは20%~60%、さらに好ましくは25%~45%である。P +SiO +B が少なすぎると、繰り返し充放電した際に放電容量が低下しやすくなる傾向にある。一方、P +SiO +B が多すぎると、P 等の充放電に寄与しない異種結晶が析出する傾向にある。なお、P 、SiO 及びB の各成分の含有量は各々好ましくは0%~70%、より好ましくは15%~70%、さらに好ましくは20%~60%、特に好ましくは25%~45%である。
[0055]
 また、正極活物質としての効果を損なわない範囲で、上記成分に加えて種々の成分を含有させることでガラス化を容易にすることができる。このような成分としては、酸化物表記でMgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、CuO、Al 、GeO 、Nb 、TiO 、ZrO 、V 、Sb が挙げられ、特に網目形成酸化物として働くAl や活物質成分となるV が好ましい。上記成分の含有量は、合量で、好ましくは0%~30%、より好ましくは0.1%~20%、さらに好ましくは0.5%~10%である。
[0056]
 正極活物質前駆体粉末は、焼成により、正極活物質結晶とともに非晶質相が形成されるものであることが好ましい。非晶質相が形成されることにより、正極層3内及び正極層3と固体電解質層2との界面におけるナトリウムイオン伝導性を向上させることができる。
[0057]
 正極活物質前駆体粉末の平均粒子径は、好ましくは0.01μm~15μm、より好ましくは0.05μm~12μm、さらに好ましくは0.1μm~10μmである。正極活物質前駆体粉末の平均粒子径が小さすぎると、正極活物質前駆体粉末同士の凝集力が強くなり、ペースト化した際に分散性に劣る傾向がある。その結果、電池の内部抵抗が高くなり作動電圧が低下しやすくなる。また、電極密度が低下して電池の単位体積あたりの容量が低下する傾向がある。一方、活物質前駆体粉末の平均粒子径が大きすぎると、ナトリウムイオンが拡散しにくくなるとともに、内部抵抗が大きくなる傾向がある。また、電極の表面平滑性に劣る傾向がある。
[0058]
 なお、本発明において、平均粒子径は、D50(体積基準の平均粒子径)を意味し、レーザー回折散乱法により測定された値を指すものとする。
[0059]
 正極層3の厚みは、3μm~300μmの範囲であることが好ましく、10μm~150μmの範囲であることがより好ましい。正極層3の厚みが薄すぎると、全固体ナトリウムイオン二次電池1自体の容量が小さくなることから、エネルギー密度が低下する場合がある。正極層3の厚みが厚すぎると、電子伝導に対する抵抗が大きくなるため放電容量及び作動電圧が低下する傾向にある。
[0060]
 正極層3には、必要に応じて、固体電解質粉末が含まれていてもよい。従って、正極層3は、正極活物質と、固体電解質粉末との合材である正極合材であってもよい。固体電解質粉末としては、上述の固体電解質層2と同様の材料の粉末を用いることができる。固体電解質粉末を含むことにより、正極層3内及び正極層3と固体電解質層2との界面におけるナトリウムイオン伝導性を向上させることができる。固体電解質粉末の平均粒子径は、好ましくは0.01μm~15μm、より好ましくは0.05μm~10μm、さらに好ましくは0.1μm~5μmである。
[0061]
 固体電解質粉末の平均粒子径が大きすぎると、ナトリウムイオン伝導に要する距離が長くなりナトリウムイオン伝導性が低下する傾向がある。また、正極活物質粉末と固体電解質粉末との間のナトリウムイオン伝導パスが減少する傾向がある。結果として、放電容量が低下しやすくなる。一方、固体電解質粉末の平均粒子径が小さすぎると、ナトリウムイオンの溶出や炭酸ガスとの反応による劣化が起こってナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。また、空隙が形成されやすくなるため電極密度も低下しやすくなる。結果として、放電容量が低下する傾向がある。
[0062]
 正極活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比は、好ましくは20:80~95:5、より好ましくは30:70~90:10、さらに好ましくは35:65~88:12である。
[0063]
 また、正極層3には、必要に応じて、カーボン粉末等の導電助剤やバインダーが含まれていてもよい。導電助剤が含まれることにより、正極層3の内部抵抗を低減することができる。導電助剤は、正極層3中に0質量%~20質量%で含有させることが好ましく、1質量%~10質量%の割合で含有させることがより好ましい。
[0064]
 バインダーとしては、不活性雰囲気で低温分解するポリプロピレンカーボネート(PPC)が好ましい。また、ナトリウムイオン伝導性に優れるカルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
[0065]
 正極層3は、活物質前駆体粉末、必要に応じて、上述の割合で固体電解質粉末及び/または導電助剤を含むスラリーを用いて作製することができる。スラリーには、必要に応じて、バインダー、可塑剤、溶剤等が添加される。スラリーを塗布した後、乾燥し、これを焼成することにより、正極層3を作製することができる。また、スラリーをPET(ポリエチレンテレフタレート)等の基材の上に塗布した後乾燥し、グリーンシートを作製し、このグリーンシートを焼成することにより作製してもよい。
[0066]
 (負極層)
 負極層4は、ナトリウムを吸蔵・放出可能な負極活物質を含み、負極層として機能するものであれば特に限定されない。負極活物質は、例えば、ガラス粉末等の負極活物質前駆体粉末を焼成して形成してもよい。負極活物質前駆体粉末を焼成することにより、負極活物質結晶が析出し、この負極活物質結晶が負極活物質として作用する。
[0067]
 負極活物質として作用する負極活物質結晶としては、例えば、Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶、Sn、Bi及びSbから選ばれる少なくとも1種の金属結晶、またはSn、Bi及びSbから選ばれる少なくとも1種を含む合金結晶を挙げることができる。
[0068]
 Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶は、サイクル特性に優れるため好ましい。さらに、Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶が、Na及び/又はLiを含むと、充放電効率(充電容量に対する放電容量の比率)が高まり、高い充放電容量を維持することができるため好ましい。なかでも、Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶が、斜方晶系結晶、六方晶系結晶、立方晶系結晶又は単斜晶系結晶、特に空間群P2 /mに属する単斜晶系結晶であれば、大電流で充放電しても容量の低下が起こりにくいため、より好ましい。
[0069]
 斜方晶系結晶としては、NaTi 等が挙げられる。六方晶系結晶としては、Na TiO 、NaTi 13、NaTiO 、LiNbO 、LiNbO 、Li NbO 、Li Ti 等が挙げられる。立方晶系結晶としては、Na TiO 、NaNbO 、Li Ti 12、Li NbO 等が挙げられる。単斜晶系結晶としては、Na Ti 13、NaTi 、Na TiO 、Na Ti 12、Na Ti 、Na Ti 19、Na Ti 、Na Ti 、Li 1.7Nb 、Li 1.9Nb 、Li 12Nb 1333、LiNb 等が挙げられる。空間群P2 /mに属する単斜晶系結晶としては、Na Ti 等が挙げられる。
[0070]
 Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶は、さらに、B、Si、P及びGeから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの成分は、負極活物質結晶とともに非晶質相を形成させやすくし、ナトリウムイオン伝導性をより一層向上させる効果を有する。
[0071]
 その他に、Sn、Bi及びSbから選ばれる少なくとも1種の金属結晶や、Sn、Bi及びSbから選ばれる少なくとも1種を含む合金結晶(例えばSn-Cu合金、Bi-Cu合金、Bi-Zn合金)、Sn、Bi及びSbから選ばれる少なくとも1種を含有するガラスを用いることができる。これらは、高容量であり、大電流で充放電しても容量の低下が起こりにくいため好ましい。
[0072]
 負極活物質前駆体粉末としては、酸化物換算のモル%で、SnO 0%~90%、Bi  0%~90%、TiO  0%~90%、Fe  0%~90%、Nb  0%~90%、SiO +B +P  5%~75%、Na O 0%~80%を含有することが好ましい。上記構成にすることにより、負極活物質成分であるSnイオン、Biイオン、Tiイオン、Feイオン又はNbイオンが、Si、B又はPを含有する酸化物マトリクス中により均一に分散した構造が形成される。また、Na Oを含有することにより、ナトリウムイオン伝導性により一層優れた材料となる。結果として、ナトリウムイオンを吸蔵及び放出する際の体積変化を抑制でき、サイクル特性により一層優れた負極活物質を得ることが可能となる。
[0073]
 負極活物質前駆体粉末の組成を上記の通り限定した理由を以下に説明する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。また、「○+○+・・・」は該当する各成分の合量を意味する。
[0074]
 SnO、Bi 、TiO 、Fe 及びNb は、アルカリイオンを吸蔵及び放出するサイトとなる負極活物質成分である。これらの成分を含有させることにより、負極活物質の単位質量当たりの放電容量がより大きくなり、かつ、初回充放電時の充放電効率(充電容量に対する放電容量の比率)がより向上しやすくなる。但し、これらの成分の含有量が多すぎると、充放電時のナトリウムイオンの吸蔵及び放出に伴う体積変化を緩和できずに、サイクル特性が低下する傾向がある。以上に鑑み、各成分の含有量範囲は以下の通りとすることが好ましい。
[0075]
 SnOの含有量は、好ましくは0%~90%、より好ましくは45%~85%、さらに好ましくは55%~75%、特に好ましくは60%~72%である。
[0076]
 Bi の含有量は、好ましくは0%~90%、より好ましくは10%~70%、さらに好ましくは15%~65%、特に好ましくは25%~55%である。
[0077]
 TiO の含有量は、好ましくは0%~90%、より好ましくは5%~72%、さらに好ましくは10%~68%、さらに好ましくは12%~58%、特に好ましくは15%~49%、最も好ましくは15%~39%である。
[0078]
 Fe の含有量は、好ましくは0%~90%、より好ましくは15%~85%、さらに好ましくは20%~80%、特に好ましくは25%~75%である。
[0079]
 Nb の含有量は、好ましくは0%~90%、より好ましくは7%~79%、さらに好ましくは9%~69%、さらに好ましくは11%~59%、特に好ましくは13%~49%、最も好ましくは15%~39%である。なお、SnO+Bi +TiO +Fe +Nb は、好ましくは0%~90%、より好ましくは5%~85%、さらに好ましくは10%~80%である。
[0080]
 また、SiO 、B 及びP は、網目形成酸化物であり、上記負活物質成分におけるナトリウムイオンの吸蔵及び放出サイトを取り囲み、サイクル特性をより一層向上させる作用がある。なかでも、SiO 及びP は、サイクル特性をより一層向上させるだけでなく、ナトリウムイオン伝導性に優れるため、レート特性をより一層向上させる効果がある。
[0081]
 SiO +B +P は、好ましくは5%~85%、より好ましくは6%~79%、さらに好ましくは7%~69%、さらに好ましくは8%~59%、特に好ましくは9%~49%、最も好ましくは10%~39%である。SiO +B +P が少なすぎると、充放電時のナトリウムイオンの吸蔵及び放出に伴う負極活物質成分の体積変化を緩和できず構造破壊を起こすため、サイクル特性が低下しやすくなる。一方、SiO +B +P が多すぎると、相対的に負極活物質成分の含有量が少なくなり、負極活物質の単位質量当たりの充放電容量が小さくなる傾向がある。
[0082]
 なお、SiO 、B 及びP の各々の含有量の好ましい範囲は以下の通りである。
[0083]
 SiO の含有量は、好ましくは0%~75%、より好ましくは5%~75%、さらに好ましくは7%~60%、さらに好ましくは10%~50%、特に好ましくは12%~40%、最も好ましくは20%~35%である。SiO の含有量が多すぎると、放電容量が低下しやすくなる。
[0084]
 P の含有量は、好ましくは5%~75%、より好ましくは7%~60%、さらに好ましくは10%~50%、特に好ましくは12%~40%、最も好ましくは20%~35%である。P の含有量が少なすぎると、上記サイクル特性が得られにくくなる。一方、P の含有量が多すぎると、放電容量が低下しやすくなるとともに、耐水性が低下しやすくなる。また、水系電極ペーストを作製した際に、望まない異種結晶が生じてP ネットワークが切断されるため、サイクル特性が低下しやすくなる。
[0085]
 B の含有量は、好ましくは0%~75%、より好ましくは5%~75%、さらに好ましくは7%~60%、さらに好ましくは10%~50%、特に好ましくは12%~40%、最も好ましくは20%~35%である。B の含有量が多すぎると、放電容量が低下しやすくなるとともに、化学的耐久性が低下しやすくなる。
[0086]
 負極活物質前駆体粉末は、焼成により、負極活物質結晶とともに非晶質相が形成されるものであることが好ましい。非晶質相が形成されることにより、負極層4内及び負極層4と固体電解質層2との界面におけるナトリウムイオン伝導性を向上させることができる。
[0087]
 負極活物質前駆体粉末の平均粒子径は、好ましくは0.01μm~15μm、より好ましくは0.05μm~12μm、さらに好ましくは0.1μm~10μmである。負極活物質前駆体粉末の平均粒子径が小さすぎると、負極活物質前駆体粉末同士の凝集力が強くなり、ペースト化した際に分散性に劣る傾向がある。その結果、電池の内部抵抗が高くなり作動電圧が低下しやすくなる。また、電極密度が低下して電池の単位体積あたりの容量が低下する傾向がある。一方、負極活物質前駆体粉末の平均粒子径が大きすぎると、ナトリウムイオンが拡散しにくくなるとともに、内部抵抗が大きくなる傾向がある。また、電極の表面平滑性に劣る傾向がある。
[0088]
 なお、本発明において、平均粒子径は、D50(体積基準の平均粒子径)を意味し、レーザー回折散乱法により測定された値を指すものとする。
[0089]
 負極層4の厚みは、0.3μm~300μmの範囲であることが好ましく、3μm~150μmの範囲であることがより好ましい。負極層4の厚みが薄すぎると、負極の絶対容量(mAh)が低下する傾向にある。負極層4の厚みが厚すぎると、抵抗が大きくなるため容量(mAh/g)が低下する傾向にある。
[0090]
 負極層4には、固体電解質粉末、導電助剤、バインダー等が含有されていてもよい。固体電解質粉末を含有させ負極合材とすることにより、負極活物質と固体電解質粉末の接触界面が増加し、充放電に伴うナトリウムイオンの吸蔵・放出が行いやすくなり、その結果レート特性をより一層向上させることができる。
[0091]
 固体電解質粉末としては、上述の固体電解質層2と同様の材料の粉末を用いることができる。固体電解質粉末の平均粒子径は、好ましくは0.01μm~15μm、より好ましくは0.05μm~10μm、さらに好ましくは0.1μm~5μmである。
[0092]
 固体電解質粉末の平均粒子径が大きすぎると、ナトリウムイオン伝導に要する距離が長くなりナトリウムイオン伝導性が低下する傾向がある。また、負極活物質粉末と固体電解質粉末との間のナトリウムイオン伝導パスが減少する傾向がある。結果として、放電容量が低下しやすくなる。一方、固体電解質粉末の平均粒子径が小さすぎると、ナトリウムイオンの溶出や炭酸ガスとの反応による劣化が起こってナトリウムイオン伝導性が低下しやすくなる。また、空隙が形成されやすくなるため電極密度も低下しやすくなる。結果として、放電容量が低下する傾向がある。
[0093]
 負極活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比は、好ましくは20:80~95:5、より好ましくは30:70~90:10、さらに好ましくは35:65~88:12である。
[0094]
 導電助剤としては、例えば、カーボン粉末等が挙げられる。導電助剤が含まれることにより、負極層4の内部抵抗を低減することができる。導電助剤は、負極層4中に0質量%~20質量%で含有させることが好ましく、1質量%~10質量%の割合で含有させることがより好ましい。
[0095]
 バインダーとしては、不活性雰囲気で低温分解するポリプロピレンカーボネート(PPC)が好ましい。また、イオン伝導性に優れるカルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
[0096]
 負極層4は、負極活物質前駆体粉末、必要に応じて、上述の割合で固体電解質粉末及び/または導電助剤を含むスラリーを用いて作製することができる。スラリーには、必要に応じて、バインダー、可塑剤、溶剤等が添加される。スラリーを塗布した後、乾燥し、これを焼成することにより、負極層4を作製することができる。また、スラリーをPET(ポリエチレンテレフタレート)等の基材の上に塗布した後乾燥し、グリーンシートを作製し、このグリーンシートを焼成することにより作製してもよい。
[0097]
 以下、全固体ナトリウムイオン二次電池1の製造方法の一例について説明する。
[0098]
 (全固体ナトリウムイオン二次電池の製造方法)
 図1に示す全固体ナトリウムイオン二次電池1の製造方法は、特に限定されない。
[0099]
 例えば、まず、固体電解質層2の第1の主面2a上に正極層3を形成した後、第2の主面2b上に負極層4を形成する。この場合、固体電解質層2の第1の主面2a上に、正極層形成用スラリーを塗布した後、乾燥し、焼成して正極層3を形成してもよい。次に、固体電解質層2の第2の主面2b上に、負極層形成用スラリーを塗布した後、乾燥し、焼成して負極層4を形成してもよい。もっとも、正極層3及び負極層4は同時に焼成して形成してもよい。
[0100]
 あるいは、負極層形成用グリーンシートと固体電解質層形成用グリーンシートと正極層形成用グリーンシートとをこの順に積層し、これらのグリーンシートを焼成して、負極層4、固体電解質層2及び正極層3を同時に形成してもよい。
[0101]
 次に、第1の集電体層5及び第2の集電体層6を形成する。第1の集電体層5及び第2の集電体層6の形成方法としては、特に限定されず、例えば、蒸着又はスパッタリング等の物理的気相法や、熱CVD、MOCVD、プラズマCVD等の化学的気相法が挙げられる。第1の集電体層5及び第2の集電体層6のその他の形成方法として、メッキ、ゾルゲル法、スピンコートによる液相成膜法が挙げられる。もっとも、第1の集電体層5及び第2の集電体層6は、正極層3又は負極層4上にスパッタリング法により形成することが、密着性に優れるため好ましい。第1の集電体層5及び第2の集電体層6は、固体電解質層2上に正極層3及び負極層4を形成した後にそれぞれ形成してもよい。また、予め、正極層3上に第1の集電体層5を作製し、負極層4上に第2の集電体層6を作製した後に、組み合わせて全固体ナトリウムイオン二次電池1を得てもよい。
実施例
[0102]
 以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[0103]
 (a)固体電解質粉末の作製
 (a-1)固体電解質粉末Aの作製
 炭酸ナトリウム(Na CO )、炭酸水素ナトリウム(NaHCO )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al )、酸化ジルコニウム(ZrO )、酸化イットリウム(Y )を用いて、モル%で、Na O 14.2%、MgO 5.5%、Al  75.4%、ZrO  4.7%、Y  0.2%の組成となるように原料粉末を調合した。原料粉末をφ20mmの金型を用いて40MPaで一軸プレスにより成型し、1600℃で30分間焼成してβ”-アルミナを得た。なお、焼成後のβ”-アルミナの取り扱いは露点-40℃以下の雰囲気下で行った。
[0104]
 得られたβ”-アルミナをアルミナ乳鉢及び乳棒で粉砕し、目開き300μmのメッシュを通過させた。通過した粉末を、φ5mmのYTZ(イットリア安定化ジルコニア)玉石を投入したFritsch社製、「遊星ボールミルP6」を用いて300rpm-30分間(15分毎に15分間休止)粉砕し、さらに目開き20μmのメッシュを通過させた。その後、空気分級機(日本ニューマチック工業社製、「MDS-1型」)を使用して空気分級することにより、β”-アルミナからなる固体電解質粉末Aを得た。なお、いずれの作業も露点-40℃以下の雰囲気下で行った。
[0105]
 (a-2)固体電解質粉末Bの作製
 炭酸ナトリウム(Na CO )、イットリア安定化ジルコニア((ZrO 0.97(Y 0.03))、二酸化ケイ素(SiO )、メタリン酸ナトリウム(NaPO )を用いて、モル%で、Na O 25.3%、ZrO  31.6%、Y  1%、SiO  33.7%、P  8.4%の組成となるように原料粉末を調合した。次に、エタノールを媒体として、原料粉末を4時間湿式混合した。その後エタノールを蒸発させ、原料粉末を1100℃で8時間仮焼成した後、粉砕し空気分級機(日本ニューマチック工業株式会社製 MDS-3型)を使用して分級した。分級した粉末をφ20mmの金型を用いて40MPaで一軸プレスにより成型し、1220℃、40時間熱処理を行うことでNASICON結晶を含有する固体電解質を得た。なお、いずれの作業も露点-40℃以下の雰囲気で行った。
[0106]
 得られた固体電解質をアルミナ製の乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、目開き300μmのメッシュを通過させた。得られた粉末を、φ5mmのZrO 玉石を投入したFritsch社製遊星ボールミルP6を用いて300rpm-30分間(15分毎に15分間休止)粉砕し、目開き20μmのメッシュを通過させた。その後、空気分級機(日本ニューマチック工業株式会社製 MDS-3型)を使用して分級することにより、NASICON結晶を含有する固体電解質粉末Bを得た。
[0107]
 (b)固体電解質層の作製
 (b-1)固体電解質層Aの作製
 炭酸ナトリウム(Na CO )、炭酸水素ナトリウム(NaHCO )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al )、酸化ジルコニウム(ZrO )、酸化イットリウム(Y )を用いて、モル%で、Na O 14.2%、MgO 5.5%、Al  75.4%、ZrO  4.7%、Y  0.2%の組成となるように原料粉末を調合した。その後、エタノールを媒体として原料粉末を4時間湿式混合した。エタノールを蒸発させた後、バインダーとしてアクリル酸エステル系共重合体(共栄社化学社製、「オリコックス1700」)、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチルを用い、原料粉末:バインダー:可塑剤=83.5:15:1.5(質量比)となるように秤量し、これらをN-メチルピロリドン中に分散させ、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化した。
[0108]
 PETフィルム上に、間隙250μmのドクターブレードを用いて上記で得られたスラリーを塗布し、70℃で乾燥することによりグリーンシートを得た。その後、得られたグリーンシートを、等方圧プレス装置を用いて、90℃、40MPaで5分間プレスした。
[0109]
 プレス後のグリーンシートを1600℃で30分間焼成することにより、β”-アルミナからなる厚さ50μmの固体電解質層Aを得た。なお、焼成後の固体電解質層の取り扱いは露点-40℃以下の雰囲気下で行った。
[0110]
 (b-2)固体電解質層Bの作製
 炭酸ナトリウム(Na CO )、イットリア安定化ジルコニア((ZrO 0.97(Y 0.03))、二酸化ケイ素(SiO )、メタリン酸ナトリウム(NaPO )を用いて、モル%で、Na O 25.3%、ZrO  31.6%、Y  1%、SiO  33.7%、P  8.4%の組成となるように原料粉末を調合した。次に、エタノールを媒体として、原料粉末を4時間湿式混合した。その後エタノールを蒸発させ、原料粉末を1100℃で8時間仮焼成した後、粉砕し空気分級機(日本ニューマチック工業株式会社製 MDS-3型)を使用して分級した。分級した粉末、バインダーとしてアクリル酸エステル系共重合体(共栄社化学製オリコックスKC-7000)、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチルを、原料粉末:バインダー:可塑剤=83.5:15:1.5(質量比)となるように秤量し、N-メチルピロリドン中に分散させ、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化した。
[0111]
 PETフィルム上に、間隙350μmのドクターブレードを用いて上記で得られたスラリーを塗布し、70℃で乾燥することによりグリーンシートを得た。得られたグリーンシートを、等方圧プレス装置を用いて90℃、40MPaで5分間プレスした。プレス後のグリーンシートを露点-40℃以下の雰囲気で1220℃で40時間焼成することにより、NASICON結晶を含有する厚さ70μmの固体電解質層Bを得た。
[0112]
 (c)活物質前駆体粉末の作製
 (c-1)正極活物質前駆体粉末の作製
 下記の表1及び表2に示す組成となるように、原料として各種酸化物、炭酸塩原料等を用いて原料粉末を調製した。原料粉末を白金ルツボに投入し、電気炉を用いて大気中にて1200℃~1500℃で90分間の溶融を行った。次いで、溶融ガラスを一対の回転ローラー間に流し出し、急冷しながら成形し、厚み0.1mm~2mmのフィルム状のガラス体を得た。
[0113]
 得られたフィルム状のガラス体について、φ20mmのZrO 玉石を使用したボールミル粉砕を5時間行い、目開き120μmの樹脂製篩に通過させ、平均粒子径3μm~15μmのガラス粗粉末を得た。次いで、このガラス粗粉末に対し、粉砕助剤にエタノールを用い、φ3mmのZrO 玉石を使用したボールミル粉砕を80時間行うことで、平均粒子径0.7μmのガラス粉末(正極活物質前駆体粉末)を得た。
[0114]
 (c-2)負極活物質前駆体粉末の作製
 下記の表3及び表4に示す組成となるように、原料として各種酸化物、炭酸塩原料等を用いて原料粉末を調製した。原料粉末を白金ルツボに投入し、電気炉を用いて1300℃で1時間溶融を行った。その後、溶融ガラスを一対の回転ローラー間に流し出し、急冷しながら成形し、厚み0.1mm~2mmのフィルム状のガラス体を得た。
[0115]
 得られたフィルム状のガラス体について、φ20mmのZrO 玉石を使用したボールミル粉砕を5時間行い、目開き120μmの樹脂製篩に通過させ、平均粒子径3μm~15μmのガラス粗粉末を得た。次いで、このガラス粗粉末に対し、粉砕助剤にエタノールを用い、φ3mmのZrO 玉石を使用したボールミル粉砕を80時間行うことで、平均粒子径0.7μmのガラス粉末(負極活物質前駆体粉末)を得た。
[0116]
 (d)電極合材層の作製
 (d-1)正極合材層(正極層)の作製
 質量%で、正極活物質前駆体粉末 72%、(a-1)で作製した固体電解質粉末A 25%、アセチレンブラック 3%(正極活物質前駆体粉末と固体電解質粉末Aの体積比は76:24)となるように秤量し、メノウ製の乳鉢及び乳棒を用いて2時間混合した。得られた混合粉末100質量部に対し、N-メチルピロリドンを20質量部(10質量%のポリプロピレンカーボネートを含有)添加して、自転・公転ミキサーを用いて十分に撹拌し、スラリー化した。なお、上記の操作はすべて露点-40℃以下の雰囲気下で行った。
[0117]
 得られたスラリーを、(b-1)で作製した固体電解質層Aの一方の表面に、1cm の面積、100μmの厚さで塗布し、70℃で3時間乾燥させた。次に、窒素ガス雰囲気中575℃にて30分間焼成した。これにより、固体電解質層Aの一方の表面に正極合材層を形成した。得られた正極合材層を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、一部の領域において結晶構造に相当する格子像は見られず、非晶質相の存在が確認された。
[0118]
 なお、実施例2及び比較例2では、固体電解質粉末Aの代わりに(a-2)で作製した固体電解質粉末Bを使用したこと以外は上記と同様にして正極合材層を作製した。また、実施例3及び比較例3では、固体電解質層Aの代わりに(b-2)で作製した固体電解質層Bを使用したこと以外は上記と同様にして正極合材層を作製した。
[0119]
 (d-2)負極合材層(負極層)の作製
 質量%で、負極活物質前駆体粉末 72%、(a-1)で作製した固体電解質粉末 25%、アセチレンブラック 3%(負極活物質前駆体粉末と固体電解質粉末の体積比は76:24)となるように秤量し、メノウ製の乳鉢及び乳棒を用いて2時間混合した。得られた混合粉末100質量部に対し、N-メチルピロリドン(10質量%のポリプロピレンカーボネートを含有)を20質量部添加して、自転・公転ミキサーを用いて十分に撹拌し、スラリー化した。なお、上記の操作はすべて露点-40℃以下の雰囲気下で行った。
[0120]
 得られたスラリーを、(b-1)で作製した固体電解質層Aの一方の表面に、1cm の面積、100μmの厚さで塗布し、70℃で3時間乾燥させた。次に、窒素雰囲気中650℃にて1時間焼成した。これにより、固体電解質層Aの一方の表面に負極合材層を形成した。得られた負極合材層を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、一部の領域において結晶構造に相当する格子像は見られず、非晶質相の存在が確認された。
[0121]
 なお、実施例13及び比較例12では、固体電解質粉末Aの代わりに(a-2)で作製した固体電解質粉末Bを使用した以外は上記と同様にして負極合材層を作製した。また、実施例14及び比較例13では、固体電解質層Aの代わりに(b-2)で作製した固体電解質層Bを使用した以外は上記と同様にして負極合材層を作製した。
[0122]
 (実施例1~11及び比較例1~10)
 (e-1)全固体電池の作製
 (d-1)で得られた固体電解質層と正極層との積層体について、正極層の固体電解質層とは反対側の表面に、スパッタ装置(サンユー電子社製、「SC-701AT」)を用いて、下記の表1及び表2に記載の金属及び厚みの第1の集電体層を形成した。その後、露点-60℃以下のアルゴン雰囲気中にて、固体電解質層の正極層とは反対側の表面に、対極となる金属ナトリウムを圧着し、コインセルの下蓋の上に載置した後、上蓋を被せてCR2032型試験電池を作製した。
[0123]
 (実施例12~22及び比較例11~20)
 (e-2)全固体電池の作製
 (d-2)で得られた固体電解質層と負極層との積層体について、負極層の固体電解質層とは反対側の表面に、スパッタ装置(サンユー電子社製、「SC-701AT」)を用いて、下記の表3及び表4に記載の金属及び厚みの第2の集電体層を形成した。その後、露点-60℃以下のアルゴン雰囲気中にて、固体電解質層の負極層とは反対側の表面に、対極となる金属ナトリウムを圧着し、コインセルの下蓋の上に載置した後、上蓋を被せてCR2032型試験電池を作製した。
[0124]
 (f)充放電試験
 実施例1~22及び比較例1~20で得られたCR2032型試験電池を用いて60℃で充放電試験を行い、重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を測定した。なお、充放電試験において、実施例1~11及び比較例1~10で得られた電池については、充電(正極活物質からのナトリウムイオン放出)は、開回路電圧(OCV)から5.2VまでCC(定電流)充電により行い、放電(正極活物質へのナトリウムイオン吸蔵)は、5.2Vから2VまでCC放電により行った。
[0125]
 一方、実施例12~22及び比較例11~20で得られた電池については、充電(負極活物質へのナトリウムイオン吸蔵)は、開回路電圧(OCV)から0.1VまでCC充電により行い、放電(負極活物質からのナトリウムイオン放出)は、0.1Vから2VまでCC放電により行った。Cレートは0.01Cとした。なお、放電容量は、電極合材層(正極層又は負極層)に含まれる電極活物質(正極活物質又は負極活物質)の単位質量当たりに対して放電された電気量とした。結果を下記の表1~表4に示す。
[0126]
 (g)剥離試験
 (e-1)及び(e-2)で集電体層(第1の集電体層又は第2の集電体層)を形成した後、集電体層を貫通するようにカッターナイフで4本の傷を端部から2mmの間隔で入れ、スコッチテープ(スリーエム社製、「#610」)を4本の傷を跨るように貼った後に、上記スコッチテープを剥がす作業を5回繰り返した。その結果、集電体層が電極合材層(正極層又は負極層)から剥離したものを「×」とし、剥離が生じなかったものを「〇」として評価した。結果を下記の表1~表4に示す。
[0127]
[表1]


[0128]
[表2]


[0129]
[表3]


[0130]
[表4]


[0131]
 表1及び表2に示されるように、正極層にAl、Ti、Ag、CuまたはSUSからなる第1の集電体層を形成した場合、いずれの厚みでも剥離試験において剥離が生じなかった。また、体積エネルギー密度、重量エネルギー密度が優れていた。特に、第1の集電体層がAlである場合は他の金属に比べて重量エネルギー密度が優れていた。一方、第1の集電体層がAuである比較例1~7では剥離試験において剥離が生じた。また、比較例8,9では第1の集電体層の厚みが15μm、30μmと厚いため、体積エネルギー密度が低下した。さらに、比較例10では、第1の集電体層の厚みが0.005μmと薄いことから導電性が低下し、電池の内部抵抗が増加したため放電容量の低下が起こり、結果的に重量エネルギー密度、体積エネルギー密度ともに低下した。なお、表3及び表4に示すように、負極層に各第2の集電体層を形成した場合も同様の結果となった。
[0132]
 また、図2は、実施例1、4~7及び比較例1、4~9で作製した正極層上に設けられている集電体層(第1の集電体層)の厚みと、重量エネルギー密度との関係を示す図である。図2に示すように、第1の集電体層にAlを用いた場合、第1の集電体層の厚みに関わらず、Auと比べて重量エネルギー密度が高められていることが確認できた。なお、この傾向は、負極層上に設けられている集電体層(第2の集電体層)についても同様であった。

符号の説明

[0133]
1…全固体ナトリウムイオン二次電池
2…固体電解質層
2a,2b…第1,第2の主面
3…正極層
4…負極層
5,6…第1,第2の集電体層

請求の範囲

[請求項1]
 互いに対向している第1の主面及び第2の主面を有し、ナトリウムイオン伝導性酸化物からなる、固体電解質層と、
 前記固体電解質層の前記第1の主面上に設けられている、正極層と、
 前記固体電解質層の前記第2の主面上に設けられている、負極層と、
 前記正極層及び前記負極層のうち、少なくとも一方の主面上に設けられている、集電体層と、
を備え、
 前記集電体層が、アルミニウム、チタン、銀、銅、ステンレス鋼及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種の金属材料により構成されており、
 前記集電体層の厚みが、10nm以上、10μm以下である、全固体ナトリウムイオン二次電池。
[請求項2]
 前記正極層及び前記負極層の双方の主面上に、それぞれ、前記集電体層が設けられている、請求項1に記載の全固体ナトリウムイオン二次電池。
[請求項3]
 前記集電体層が、アルミニウム又は該アルミニウムを含む合金からなる、請求項1又は2に記載の全固体ナトリウムイオン二次電池。
[請求項4]
 前記固体電解質層が、β-アルミナ、β”-アルミナ及びNASICON結晶から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の全固体ナトリウムイオン二次電池。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]