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1. (WO2018123377) DISPOSITIF D'IMAGERIE, ET PROCÉDÉ D'IMAGERIE
Document

明 細 書

発明の名称 撮像装置および撮像方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015  

発明の効果

0016   0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117  

産業上の利用可能性

0118  

符号の説明

0119  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2A   2B   3A   3B   4   5A   5B   5C   6A   6B   7   8A   8B   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 撮像装置および撮像方法

技術分野

[0001]
 この発明は、被撮像物からの反射光と参照光との干渉光成分を検出して撮像を行う技術に関し、特に光透過性を有する容器内の被撮像物を撮像する技術に関するものである。

背景技術

[0002]
 医学や生化学の技術分野では、容器中で培養された細胞や微生物を観察することが行われる。観察対象となる細胞等に影響を与えることなく観察を行う方法として、顕微鏡等を用いて細胞等を撮像する技術が提案されている。このような技術の1つとして、光コヒーレンストモグラフィ技術を利用したものがある。この技術は、光源から出射される低コヒーレンス光を照明光として被撮像物に入射させ、被撮像物からの反射光(信号光)と光路長が既知である参照光との干渉光を検出することで、被撮像物からの反射光の深さ方向における強度分布を求めて断層画像化するものである。
[0003]
 このうち、それぞれ広帯域成分を含む信号光と参照光とを干渉させ、干渉光のスペクトルをフーリエ変換することで深さ方向の反射光強度分布を得る技術は、フーリエドメイン光干渉断層撮像技術(Fourier Domain Optical Coherence Tomography;FD-OCT)と呼ばれる。FD-OCT技術では、干渉光のスペクトルにおける波長が被撮像物の深さ方向に対応する情報となるため、光学系の被写界深度内の被撮像物の断層情報を一括して取得することができ、高速撮像が可能である。
[0004]
 FD-OCT技術においては、画像に複素共役ノイズと呼ばれるノイズが被撮像物の像に生じることが知られている。これは、フーリエ変換によって干渉光のスペクトルを深さ方向の反射光強度分布に変換するという原理上、不可避的に発生するものである。このようなノイズの影響を排除するための技術としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、複素共役ノイズをキャンセルするための従来技術である位相シフト法が複数回の撮像を要するという問題を解決するため、光路長の異なる2つの参照光をチョッパで切り替えながら信号光と干渉させるようにしたものである。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2010-164574号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 容器中に担持された細胞等を被撮像物とする場合、光透過性を有する容器の壁部(例えば底部)を介して撮像が行われる場合がある。このような場合、容器壁面が強い反射面として作用するため、断層画像には容器壁面からの反射光に起因する複素共役ノイズが重畳される。参照基準面の設定によっては、必要とされる被撮像物の像と容器壁面の複素共役像とが重なることがあり、被撮像物の正確な断層情報が得られないという問題が生じ得る。
[0007]
 上記従来技術のノイズ除去方法は、このようなケースにも一定の効果を奏し得ると考えられる。しかしながら、容器壁部からの強い反射がある場合を想定したものではないため、この場合の実効性は不明である。また、複数の参照系を有する特殊な装置構成が必要となり、装置が複雑化、大型化して高コストになるという問題がある。このことから、このような複雑な装置構成を必要とせずに、容器壁面からの反射光に起因する複素共役ノイズの影響を抑制することのできる技術の確立が望まれる。

課題を解決するための手段

[0008]
 この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、被撮像物からの反射光と参照光との干渉を利用して容器内の被撮像物を撮像する技術において、簡単な構成で、容器壁面での反射に起因する画像ノイズの影響のない、画像品質の良好な断層画像を得ることのできる技術を提供することを目的とする。
[0009]
 この発明の一の態様は、光透過性の壁部を有する容器内に収容された被撮像物を断層撮像する撮像装置において、上記目的を達成するため、光源から出射される広帯域の低コヒーレンス光が分岐された一の分岐光を照明光として前記壁部を介して前記被撮像物に入射させ、前記壁部を介して出射される前記被撮像物の反射光を物体光学系により集光した信号光と、他の一の分岐光から生成された参照光とが干渉して生じる干渉光を検出し、検出された前記干渉光に応じた干渉信号を出力する検出手段と、前記干渉信号に基づき、前記干渉光のスペクトルをフーリエ変換して前記照明光の入射方向における前記被撮像物の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から断層画像を作成する信号処理手段と、前記被撮像物に対する前記物体光学系の前記入射方向における焦点深さおよび前記参照光の光路長を変更設定する制御手段とを備える。そして、前記制御手段は、前記壁部の表面のうち前記被撮像物側の第1表面から前記物体光学系の焦点までの距離が、前記壁部の厚さより小さい所定の閾値よりも小さくなるように前記焦点深さを設定するとき、前記参照光の光路長を、前記第1表面までの前記照明光の光路長と等しい値に設定する。
[0010]
 また、この発明の他の態様は、光透過性の壁部を有する容器内に収容された被撮像物を断層撮像する撮像方法において、上記目的を達成するため、光源から出射される広帯域の低コヒーレンス光が分岐された一の分岐光を照明光として前記壁部を介して前記被撮像物に入射させ、前記壁部を介して出射される前記被撮像物の反射光を物体光学系により集光した信号光と、他の一の分岐光から生成された参照光とが干渉して生じる干渉光を検出し、検出された前記干渉光に応じた干渉信号を出力する工程と、前記干渉信号に基づき、前記干渉光のスペクトルをフーリエ変換して前記照明光の入射方向における前記被撮像物の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から断層画像を作成する工程とを備える。そして、前記被撮像物に対する前記物体光学系の前記入射方向における焦点深さおよび前記参照光の光路長が変更設定可能であり、前記壁部の表面のうち前記被撮像物側の第1表面から前記物体光学系の焦点までの距離が、前記壁部の厚さより小さい所定の閾値よりも小さくなるように前記焦点深さが設定されるとき、前記参照光の光路長が、前記第1表面までの前記照明光の光路長と等しい値に設定される。
[0011]
 この発明における撮像原理は、広帯域成分を含む信号光と参照光とを干渉させ、干渉光のスペクトルをフーリエ変換することで深さ方向の反射光強度分布を得る、FD-OCT技術によるものである。容器壁部を介したFD-OCT撮像では、壁部の表面のうち被撮像物に近い側の表面、および該表面を挟んで被撮像物とは反対側の表面それぞれの複素共役像が、被撮像物の像に重なってノイズとなり得る。
[0012]
 容器壁面の複素共役像は、容器壁面の像が現れる位置に対して共役な、すなわち当該位置に対し参照光の光路長で規定される参照基準面に関して対称な位置に現れる。したがって、その出現位置は参照基準面の設定に依存する。このため、参照基準面を被撮像物から十分に離すことで、容器壁面の複素共役像を被撮像物の像から分離するという対応も考えられる。しかしながら、画像品質の点では参照基準面を被撮像物の近傍に設定することが望ましい。より具体的には、被撮像物からの反射光を集光する物体光学系の焦点面と参照基準面とが、できるだけ近いことが好ましい。
[0013]
 そこで本発明では、参照基準面の位置が、物体光学系の焦点深さに応じて設定される。具体的には、壁部の表面のうち被撮像物側の第1表面から物体光学系の焦点までの距離が、壁部の厚さより小さい所定の閾値よりも小さくなるように焦点深さが設定されるとき、参照光の光路長が、第1表面までの照明光の光路長と等しい値に設定される。このことは、壁部の表面のうち被撮像物とは反対側の第2表面から、照明光の光路に直交する仮想的な平面であって当該平面までの照明光の光路長が参照光の光路長と等しい参照基準面までの距離と、壁部の厚さとが等しくなるように、参照光の光路長あるいは基準参照面の位置を設定することと等価である。このように参照光の光路長を設定するとき、第1表面の複素共役像は、断層画像における第1表面の実像と同じ位置に重なって現れる。一方、第2表面の複素共役像は、断層画像において第1表面から壁部の厚さ分だけ離れた位置に現れる。
[0014]
 したがって、容器内の断層画像の深さ方向において、第1表面からの距離が壁部の厚さよりも小さい範囲には、容器壁面に起因する複素共役像は現れない。そして、物体光学系の焦点位置から第1表面までの距離は壁部の厚さより小さい。そのため、焦点位置は、容器壁面に起因する複素共役像のない範囲に含まれる。つまり、焦点面の近傍では、容器壁面に起因する複素共役ノイズの影響を受けずに被撮像物の断層情報を取得することが可能である。
[0015]
 使用される容器の形状から、壁部の厚さを予め把握しておくことが可能である。また、撮像時において第1表面および第2表面が占める空間位置も推定可能である。したがって、第1表面の複素共役像が上記の位置に出現するような参照光の光路長を、焦点深さの設定に連動させて設定することが可能である。参照基準面を焦点面から大きく離して設定する必要がないので、画像品質も良好なものとすることができる。

発明の効果

[0016]
 上記のように、本発明によれば、物体光学系の焦点深さに相当する位置の近傍において、容器壁面に起因する複素共役ノイズの影響を排除することができる。物体光学系の焦点深さの設定に連動させて参照光の光路長を設定する機能があれば、上記効果が得られる。そのため、簡単な装置構成で、複素共役ノイズの影響を排除した断層画像を取得することができる。
[0017]
 この発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、添付図面を参照しながら次の詳細な説明を読めば、より完全に明らかとなるであろう。ただし、図面は専ら解説のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 本発明が適用された画像処理装置の構成例を示す原理図である。
[図2A] この画像処理装置における撮像原理を説明する図である。
[図2B] この画像処理装置における撮像原理を説明する図である。
[図3A] OCT装置の具体的構成例を示す図である。
[図3B] OCT装置の具体的構成例を示す図である。
[図4] 物体光学系の焦点深さと参照基準面との位置関係を模式的に示す図である。
[図5A] 参照基準面の位置と反射光強度分布との関係を示す図である。
[図5B] 参照基準面の位置と反射光強度分布との関係を示す図である。
[図5C] 参照基準面の位置と反射光強度分布との関係を示す図である。
[図6A] この画像処理装置における撮像動作の原理を説明する図である。
[図6B] この画像処理装置における撮像動作の原理を説明する図である。
[図7] 焦点深さに応じた参照基準面の設定原理を示す図である。
[図8A] 複素共役信号のピークが広がりを有する場合の考え方を示す図である。
[図8B] 複素共役信号のピークが広がりを有する場合の考え方を示す図である。
[図9] この画像処理装置における撮像動作を示すフローチャートである。
[図10] 焦点深さが容器底部厚さの半分未満であるときの反射光ピーク位置を示す図である。

発明を実施するための形態

[0019]
 図1は本発明が適用された画像処理装置の構成例を示す原理図である。この画像処理装置1は、培地中で培養されたスフェロイド(細胞集塊)を被撮像物として断層撮像し、得られた断層画像を画像処理して、スフェロイドの立体像を作成する。なお、ここでは培地中のスフェロイドを被撮像物とした例を説明するが、被撮像物はこれに限定されない。以下の各図における方向を統一的に示すために、図1に示すようにXYZ直交座標軸を設定する。ここでXY平面が水平面を表す。また、Z軸が鉛直軸を表し、より詳しくは(-Z)方向が鉛直下向き方向を表している。
[0020]
 画像処理装置1は保持部10を備えている。保持部10は、容器11をその開口面を上向きにして略水平姿勢に保持する。容器11は、例えばガラス製または樹脂製の、透明で均質な平底を有する浅皿状のディッシュと呼ばれる器具である。容器11には予め適宜の培地Mが所定量注入されており、培地中では容器11の底部111にスフェロイドSpが培養されている。図1では1つのスフェロイドSpのみが記載されているが、1つの容器11内で複数のスフェロイドSpが培養されていてもよい。
[0021]
 保持部10により保持された容器11の下方に、撮像ユニット20が配置される。撮像ユニット20には、被撮像物の断層画像を非接触、非破壊(非侵襲)で撮像することが可能な光干渉断層撮像(Optical Coherence Tomography;OCT)装置が用いられる。OCT装置である撮像ユニット20は、被撮像物への照明光を発生する光源21と、ビームスプリッタ22と、物体光学系23と、参照ミラー24と、分光器25と、光検出器26とを備えている。
[0022]
 また、画像処理装置1はさらに、装置の動作を制御する制御ユニット30と、撮像ユニット20の可動機構を制御する駆動制御部40とを備えている。制御ユニット30は、CPU(Central Processing Unit)31、A/Dコンバータ32、信号処理部33、3D復元部34、インターフェース(IF)部35、画像メモリ36およびメモリ37などを備えている。
[0023]
 CPU31は、所定の制御プログラムを実行することで装置全体の動作を司り、CPU31が実行する制御プログラムや処理中に生成したデータは、メモリ37に保存される。A/Dコンバータ32は、撮像ユニット20の光検出器26から受光光量に応じて出力される信号をデジタルデータに変換する。信号処理部33は、A/Dコンバータ32から出力されるデジタルデータに基づき適宜の信号処理を行って、被撮像物の断層画像を作成する。3D復元部34は、作成された複数の断層画像の画像データに基づいて、撮像された細胞集塊の立体像(3D像)を作成する機能を有する。信号処理部33により作成された断層画像の画像データおよび3D復元部34により作成された立体像の画像データは、画像メモリ36により適宜記憶保存される。
[0024]
 インターフェース部35は画像処理装置1と外部との通信を担う。具体的には、インターフェース部35は、外部機器と通信を行うための通信機能と、ユーザからの操作入力を受け付け、また各種の情報をユーザに報知するためのユーザインターフェース機能とを有する。この目的のために、インターフェース部35には入力デバイス351および表示部352が接続されている。入力デバイス351は、装置の機能選択や動作条件設定などに関する操作入力を受け付け可能な例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどである。表示部352は、信号処理部33により作成された断層画像や3D復元部34により作成された立体像など各種の処理結果を表示する、例えば液晶ディスプレイである。
[0025]
 また、CPU31は駆動制御部40に制御指令を与え、これに応じて駆動制御部40は撮像ユニット20の可動機構に所定の動作を行わせる。次に説明するように、駆動制御部40により実行される撮像ユニット20の走査移動と、光検出器26による受光光量の検出との組み合わせにより、被撮像物であるスフェロイド(細胞集塊)の断層画像が取得される。
[0026]
 図2Aおよび図2Bはこの画像処理装置における撮像原理を説明する図である。より具体的には、図2Aは撮像ユニット20における光路を示す図であり、図2Bはスフェロイドの断層撮像の様子を模式的に示す図である。前記したように、撮像ユニット20は光干渉断層撮像(OCT)装置として機能するものである。
[0027]
 撮像ユニット20では、例えば発光ダイオードまたはスーパールミネッセントダイオード(SLD)などの発光素子を有する光源21から、広帯域の波長成分を含む低コヒーレンス光ビームL1が出射される。光ビームL1はビームスプリッタ22に入射して分岐し、破線矢印で示すように一部の光L2が容器11に向かい、一点鎖線矢印で示すように一部の光L3が参照ミラー24に向かう。
[0028]
 容器11に向かった光L2は、物体光学系23を経て容器11に入射する。より具体的には、ビームスプリッタ22から出射される光L2は、物体光学系23を介して容器底部111に入射する。物体光学系23は、ビームスプリッタ22から容器11に向かう光L2を容器11内の被撮像物(この場合にはスフェロイドSp)に収束させる機能と、被撮像物から出射される反射光を集光してビームスプリッタ22に向かわせる機能とを有する。図では物体光学系23は単一の対物レンズにより代表的に表されているが、複数の光学素子が組み合わされたものであってもよい。
[0029]
 物体光学系23は、駆動制御部40に設けられた焦点調整機構41により、Z方向に移動可能となっている。これにより、被撮像物に対する物体光学系23の焦点位置がZ方向に変更可能となっている。以下、深さ方向(Z方向)における物体光学系23の焦点位置を「焦点深さ」と称する。物体光学系23の光軸は鉛直方向と平行であり、したがって平面状の容器底部111に垂直である。また、物体光学系23への照明光の入射方向は光軸と平行であり、その光中心が光軸と一致するように、物体光学系23の配置が定められている。
[0030]
 スフェロイドSpが光L2に対する透過性を有するものでなければ、容器底部111を介して入射した光L2はスフェロイドSpの表面で反射される。一方、スフェロイドSpが光L2に対してある程度の透過性を有するものである場合、光L2はスフェロイドSp内まで進入してその内部の構造物により反射される。光L2として例えば近赤外線を用いることで、入射光をスフェロイドSp内部まで到達させることが可能である。スフェロイドSpからの反射光は散乱光として種々の方向に放射される。そのうち物体光学系23の集光範囲内に放射された光L4が、物体光学系23で収束されてビームスプリッタ22へ送られる。
[0031]
 参照ミラー24は、駆動制御部40に設けられたミラー駆動機構42により移動可能に支持されている。これにより、参照ミラー24は、その反射面を光L3の入射方向に対し垂直姿勢に、しかも該入射方向に沿った方向(図ではY方向)に移動可能となっている。参照ミラー24に入射した光L3は反射面で反射されて、入射光路を逆向きに辿るように進む光L5としてビームスプリッタ22に向かう。この光L5が参照光となる。ミラー駆動機構42により参照ミラー24の位置が変更されることにより、参照光の光路長が変化する。
[0032]
 スフェロイドSpの表面もしくは内部の反射面で反射された反射光L4と、参照ミラー24で反射された参照光L5とは、ビームスプリッタ22を介して光検出器26に入射する。このとき、反射光L4と参照光L5との間で位相差に起因する干渉が生じるが、干渉光の分光スペクトルは反射面の深さにより異なる。つまり、干渉光の分光スペクトルは被撮像物の深さ方向の情報を有している。したがって、干渉光を波長ごとに分光して光量を検出し、検出された干渉信号をフーリエ変換することにより、被撮像物の深さ方向における反射光強度分布を求めることができる。このような原理に基づくOCT撮像技術は、フーリエドメイン(Fourier Domain)OCT(FD-OCT)と称される。
[0033]
 この実施形態の撮像ユニット20は、ビームスプリッタ22から光検出器26に至る干渉光の光路上に分光器25が設けられている。分光器25としては、例えばプリズムを利用したもの、回折格子を利用したもの等を用いることができる。干渉光は分光器25により波長成分ごとに分光されて光検出器26に受光される。
[0034]
 光検出器26が検出した干渉光に応じて光検出器26から出力される干渉信号をフーリエ変換することで、スフェロイドSpのうち、光ビームL2の入射位置における深さ方向、つまりZ方向の反射光強度分布が求められる。容器11に入射する光ビームL2をX方向に走査することで、XZ平面と平行な平面における反射光強度分布が求められ、その結果から当該平面を断面とするスフェロイドSpの断層画像を作成することができる。以下、本明細書では、X方向へのビーム走査によってXZ平面と平行な断面における1つの断層画像Itを取得する一連の動作を、1回の撮像と称することとする。
[0035]
 Y方向におけるビーム入射位置を多段階に変更しながら、その都度断層画像の撮像が行われる。図2Bに示すように、スフェロイドSpをXZ平面と平行な断面で断層撮像した多数の断層画像Itを得ることができる。Y方向の走査ピッチを小さくすれば、スフェロイドSpの立体構造を把握するのに十分な分解能の画像データを得ることができる。X方向およびY方向へのビーム走査は、例えば図示しないガルバノミラー等の光路を変化させる光学部品を用いてビーム入射位置をXY方向に変化させる方法、スフェロイドSpを担持する容器11と撮像ユニット20とのいずれかをXY方向に移動させてこれらの相対位置を変化させる方法などにより実現可能である。
[0036]
 なお、上記の原理説明では、撮像ユニット20において光源21からの光を照明光と参照光とに分岐させる分波機能、および信号光と参照光とを合成して干渉光を生じさせる機能がビームスプリッタ22により実現されている。一方、近年では、OCT装置においてこのような分波・合波機能を担うものとして、以下に例示するような光ファイバカプラが用いられる場合がある。
[0037]
 図3Aおよび図3BはOCT装置の具体的構成例を示す図である。なお、理解を容易にするために、以下の説明では、上記した原理図の構成と同一のまたは相当する構成に同一符号を付すものとする。その構造および機能は、特に説明のない限り上記原理図のものと基本的に同じであり、詳しい説明は省略する。また、光ファイバカプラによる干渉光を検出するOCT撮像原理も基本的に上記と同じであるので、詳しい説明を省略する。
[0038]
 図3Aに示す構成例では、撮像ユニット20aは、ビームスプリッタ22に代わる分波・合波器として光ファイバカプラ220を備えている。光ファイバカプラ220を構成する光ファイバの1つ221は光源21に接続されており、光源21から出射される低コヒーレンス光は、光ファイバカプラ220により2つの光ファイバ222,224への光に分岐される。光ファイバ222は物体系光路を構成する。より具体的には、光ファイバ222の端部から出射される光はコリメータレンズ223を介して物体光学系23に入射する。被撮像物からの反射光(信号光)は物体光学系23、コリメータレンズ223を介して光ファイバ222に入射する。
[0039]
 他の光ファイバ224は参照系光路を構成する。より具体的には、光ファイバ224の端部から出射される光はコリメータレンズ225を介して参照ミラー24に入射する。参照ミラー24からの反射光(参照光)はコリメータレンズ225を介して光ファイバ224に入射する。光ファイバ222を伝搬する信号光と光ファイバ224を伝搬する参照光とが光ファイバカプラ220において干渉する。干渉光は、光ファイバ226および分光器25を介して光検出器26に入射する。光検出器26により受光された干渉光から被撮像物における反射光の強度分布が求められることは上記原理通りである。
[0040]
 図3Bに示す例でも、撮像ユニット20bに光ファイバカプラ220が設けられる。ただし光ファイバ224は使用されず、光ファイバ222から出射される光の光路に対してコリメータレンズ223および光分岐器としてのビームスプリッタ227が設けられる。そして、前述の原理通り、ビームスプリッタ227により分岐される2つの光路にそれぞれ物体光学系23、参照ミラー24が配置される。このような構成ではビームスプリッタ227により信号光と参照光とが合成され、それにより生じた干渉光が光ファイバ222,226を通って光検出器26へ導かれる。
[0041]
 これらの例では、図2Aの原理図では空間中を進行する、各光の光路の一部が光ファイバに置き換えられているが、動作原理は同じである。これらの例においても、焦点調整機構41が物体光学系23を容器11に対し接近・離間方向に移動させる。これにより、被撮像物に対する物体光学系23の焦点深さを調整することが可能である。また、ミラー駆動機構42が参照ミラー24を光の入射方向に沿って移動させる。これにより、参照光の光路長を変更可能である。
[0042]
 以下、この画像処理装置1による撮像動作について説明する。撮像ユニットの構成は、上記したビームスプリッタを用いるもの、光ファイバカプラを用いるもののいずれであっても同じ撮像動作が可能である。
[0043]
 図4は物体光学系の焦点深さと参照基準面との位置関係を模式的に示す図である。また、図5Aないし図5Cは参照基準面の位置と反射光強度分布との関係を示す図である。OCT撮像装置では、その原理上、信号光の光路長が参照光の光路長と同じになる位置が、画像における深さ方向の基準位置となる。
[0044]
 以下の説明では、図4に示すように、物体光学系23を介して照明光L2および信号光L4が伝搬する物体系光路において、参照系光路における参照ミラー24の反射面と対応する位置を参照基準面Srと称する。また、容器11の底部111のうち被撮像物であるスフェロイドSpに近い側の表面(つまり培地と接触する内底面)を上部底面Sa、容器11の底部111のうち上部底面Saとは反対側の外底面を下部底面Sbと称する。さらに、物体光学系23の焦点面、つまり物体光学系23の物体側焦点FPを含み物体光学系23の光軸AXに垂直な平面を符号Sfにより表す。
[0045]
 また、後の説明のために、上部底面Saと下部底面Sbとの距離、つまり容器底部111の厚さを符号Tにより表す。また、上部底面Saと焦点面Sfとの距離、つまり容器11の内底面から焦点FPまでの距離を符号Dにより表す。この距離Dは、容器11の内底面(上部底面Sa)を起点としたときの物体光学系23の焦点深さであるとも言える。
[0046]
 物体系光路において参照基準面Srに仮想的な反射面があるとき、当該反射面で反射される光の(光源21から光検出器26までの)光路長は、参照ミラー24の反射面で反射される光の(光源21から光検出器26までの)光路長と等しくなる。被撮像物近傍にある各反射面の深さ方向位置は、参照基準面SrからのZ方向距離により表される。
[0047]
 被撮像物(スフェロイドSp)が焦点面Sfに反射面を有するとき、フーリエ変換後の反射光強度分布においては、当該反射面からの反射光強度に対応する大きさの信号が、参照基準面Srから当該反射面(すなわち焦点面Sf)までの距離に対応する深さの位置に現れる。実際の被撮像物においては、種々の深さにある反射面からの反射光に対応する信号が各位置に現れ、反射光強度分布はそれらの信号が重畳されたものなる。ただし、ここでは理解を容易にするために、焦点面Sfにある反射面からの信号のみを考えることとする。
[0048]
 容器底部111の平坦な表面Sa、Sbも強い反射面であり、反射光強度分布においては、これらに対応する信号が参照基準面Srからの距離に応じた位置にそれぞれ現れる。例えば図5Aに示すように、反射光強度分布においては焦点面Sfに対応する信号P1f、上部底面Saに対応する信号P1a、下部底面Sbに対応する信号P1bが、それぞれ参照基準面Srからの距離に応じた位置に現れる。これらの信号は、実空間において各反射面が離隔していれば反射光強度分布においても異なる位置に現れるため、画像処理装置1の分解能が十分に高ければ相互に分離が可能である。
[0049]
 一方、FD-OCT撮像技術において得られる反射光強度分布では、参照基準面Srに関して各反射面と対称な位置に、各反射面からの信号と複素共役な信号が原理的に現れる。すなわち、焦点面Sfに対応する信号P1fと共役な位置にその複素共役信号P2fが現れる。同様に、上部底面Saに対応する信号P1aと共役な位置にその複素共役信号P2aが、下部底面Sbに対応する信号P1bと共役な位置にその複素共役信号P2bが、それぞれ現れる。以下では、実空間に存在する反射面からの信号を、複素共役信号と区別するために「実信号」ということがある。
[0050]
 図5Aに示すように、参照基準面Srが容器11の下部底面Sbよりも下方にあるとき、複素共役信号P2f,P2a,P2bは計算上の仮想空間である(-Z)側に現れる。そのため、(+Z)側で検出される実空間における反射面からの反射光強度には影響を及ぼさない。しかしながら、図5Bおよび図5Cに示すように、参照基準面Srの設定によっては(-Z)側に現れる実信号の複素共役信号が(+Z)側の共役位置に現れることがある。
[0051]
 例えば図5Bに示す例では、焦点面Sfと上部底面Saとの間に参照基準面Srがあり、上部底面Saおよび下部底面Sbに対応する複素共役信号P2a,P2bが(+Z)側に現れている。この場合でも、焦点面Sfに対応する実信号P1fは他の複素共役信号からは離隔しているので検出可能である。しかしながら、参照基準面Sfの設定が図5Bの例とは僅かに異なる図5Cに示す例では、焦点面Sfに対応する実信号P1fと上部底面Saに対応する複素共役信号P2aとが(+Z)領域で重なってしまっており、焦点面Sfに対応する信号P1fを単独で検出することが不可能となっている。
[0052]
 このように、原理的には深さ方向の広い範囲を撮像可能なFD-OCT技術であっても、強い反射面として作用する容器底面を介した撮像においては、底面に対応する複素共役信号が被撮像物からの実信号と重なることで、実信号の検出が困難になる場合があり得る。特に底面が強い反射面として作用するとき、単なる画像ノイズのレベルを超えて、実信号自体を遮蔽してしまうことが起こり得る。したがって、容器底面に起因する複素共役ノイズの影響は、被撮像物自身に起因する複素共役ノイズよりも遥かに大きなものとなることがある。
[0053]
 ところで、形状やサイズ、内部構造等が不特定であるスフェロイドSp等の被撮像物とは異なり、被撮像物を担持する容器11については、その底面の形状や寸法を予め把握することが可能である。すなわち、容器底部111において強い反射面となるのは上部底面Saと下部底面Sbとであり、両者の間に強い反射面は存在しない。したがって、現れる複素共役信号は上部底面Saおよび下部底面Sbに起因するもののみであり、それらの間には他の複素共役信号は現れない。
[0054]
 また、上部底面Saおよび下部底面Sbが平滑な面であれば、これに起因する複素共役信号P2a,P2bは鋭いピークとなって現れその広がりは小さい。そして、参照基準面Srがある位置に設定されるとき、上部底面Saおよび下部底面Sbに起因する複素共役信号のピークが反射光強度分布においてどの位置に現れるかは事前に推定することが可能である。さらに、それらのピークの位置は参照基準面Srの設定に応じて変化するが、両ピーク間の距離は容器底部111の厚さTにより決まり、参照基準面Srの設定に対し不変である。
[0055]
 これらのことから、参照基準面Srを適宜に設定し複素共役信号の出現位置を管理することで、少なくとも撮像対象とする一部の領域については容器底面の影響が現れないようにすることができると期待される。具体的には、次に説明するように、物体光学系23の焦点面Sfおよびその近傍からできるだけ離れた位置に、容器底面に起因する複素共役信号が現れるようにすればよい。こうすることで、少なくとも焦点深さおよびその近傍範囲で複素共役ノイズの影響を受けない反射光強度分布を取得することができる。
[0056]
 図6Aおよび図6Bはこの画像処理装置における撮像動作の原理を説明する図である。より具体的には、図6Aはこの画像処理装置1における焦点位置と底面に起因する複素共役信号との位置関係を示す図であり、図6Bは一の断層画像を複数の部分画像から構成する方法を模式的に示す図である。図6Aに示すように、深さ方向(Z方向)の反射光強度分布においては、物体光学系23の焦点深さZfの位置に、焦点面Sfからの実信号P1fが現れる。容器11の上部底面Saに対応する複素共役信号P2aのピークおよび下部底面Sbに対応する複素共役信号P2bのピークは、参照基準面Srの設定に応じてZ方向に位置を変えるがピーク間距離は不変である。
[0057]
 図6Aに示すように、複素共役信号の2つのピークが焦点深さZfに対応する位置を挟むように出現するとき、これらのピークに挟まれる領域Reの内部においては、容器底面に起因する複素共役ノイズの影響を受けることがない。この領域Reは焦点深さZfに対応する位置を含んでおり、深さ方向においては最も良好な分解能が得られる領域でもある。したがって、この領域Re内の反射光強度分布から得られる断層画像では、容器底面に起因する複素共役ノイズの影響がなく、しかも合焦状態で検出されているため画像品質も良好なものとなる。この意味において、この領域Reをここでは「有効領域」と称し、そのZ方向の長さを「有効高さ」と称し符号Zeにより表すこととする。
[0058]
 FD-OCT撮像では原理的には深さ方向に広い範囲を一括して撮像することができる。しかしながら、図6Aから明らかなように、複素共役ノイズの影響を受けない断層画像を得ることができるのは、複素共役信号の2つのピークP2a,P2bに挟まれた有効領域Re内のみである。
[0059]
 撮像対象とされる範囲のZ方向高さが有効高さZeよりも大きい場合には、図6Bに示すように、Z方向に撮像位置を異ならせて撮像された複数の部分画像IpをZ方向に並べて合成することにより、撮像対象範囲の全体をカバーする断層画像Itを作成することが可能である。
[0060]
 被撮像物がスフェロイドSpであるとき、その高さは概ね数μmから数百μm程度である。一方、容器底部111の厚さTは、数百μmないし数mmのものが一般的である。したがって、1回の撮像で得られる断層画像に被撮像物の全体が収まる場合とそうでない場合とがあり得る。1回の撮像で得られる断層画像に被撮像物の全体が収まらない場合には、上記したようにZ方向に撮像位置を異ならせて複数回撮像を行えばよい。
[0061]
 このとき、各部分画像Ipにおいて画像品質を良好なものとするために、各部分画像Ipの撮像ごとに、物体光学系23の焦点深さZfを撮像範囲に合わせて変更することが望ましい。ここで、焦点深さZfの変更に連動させて、参照基準面Srの設定も変更されることがさらに望ましい。容器底面に起因する複素共役ノイズの影響をなくすためには焦点深さZfの変更に伴って有効領域ReもZ方向に位置をシフトさせることが望ましく、そのために複素共役信号のピーク出現位置を焦点位置に連動させる必要があるからである。
[0062]
 言い換えれば、撮像時の焦点深さZfに連動させて参照基準面Srの位置を変更することで、容器底面に起因する複素共役ノイズの影響がなく、しかも合焦状態で撮像された部分画像Ipを取得することができる。そして、焦点深さZfを異ならせた複数の部分画像Ipを合成することで、画像全体において容器底面に起因する複素共役ノイズの影響がなく、しかも各深さに合焦した優れた画像品質の断層画像Itを得ることができる。
[0063]
 次に、上記条件に合致する参照基準面の設定方法について説明する。上記したように、この画像処理装置1の撮像動作においては、物体光学系23の焦点深さの設定に応じて参照基準面が設定される。参照基準面の設定は、参照光の光路長を設定することによってなされる。
[0064]
 図7は焦点深さに応じた参照基準面の設定原理を示す図である。図7左端に示すように、容器11の上部底面Saと下部底面Sbとの距離が容器底部の厚さTとして表され、物体光学系23の焦点FPを含む焦点面Sfと容器11の上部底面Saとの距離が、焦点深さDとして表される。
[0065]
 図7(a)に示されるように、フーリエ変換後の反射光強度分布においては、焦点面Sf、上部底面Saおよび下部底面Sbに対応する実信号P1f,P1a,P1bが、各面の深さ方向位置に応じた位置に現れる。実際にフーリエ変換を行って求められる反射光強度分布には、各信号の複素共役信号が重畳される。ここでは、焦点面Sfに対応する実信号が容器底面に対応する複素共役信号のピーク間に挟まれるための条件の導出を試みる。
[0066]
 焦点面Sfに対応する実信号P1fが容器底面に起因する複素共役信号P2a,P2bに挟まれる条件を求めるために、図7(b)に示すように焦点面Sfに対応する実信号P1fが上部底面Saに起因する複素共役信号P2aと重なる条件と、図7(c)に示すように実信号P1fが下部底面Sbに起因する複素共役信号P2bと重なる条件とを考える。
[0067]
 まず、図7(b)に示すように、焦点面Sfに対応する実信号P1fと上部底面Saに起因する複素共役信号P2aとが重なる条件を考える。ここで、基準参照面SrのZ方向位置を符号Zrで表し、容器11の下部底面Sbから基準参照面Srまでの距離を符号Rにより表すとする。そうすると、図7(b)に示す位置関係から、次式:
  R=D/2+T=(D+2T)/2 … (1)
の関係が得られる。値Dは撮像時の焦点深さが決まれば一意に決まる。値Tは容器11が決まれば一意に決まる。
[0068]
 一方、図7(c)に示すように、焦点面Sfに対応する実信号P1fと下部底面Sbに起因する複素共役信号P2bとが重なる条件を考える。このとき、図7(c)に示す位置関係から、次式:
  R=(D+T)/2 … (2)
の関係が得られる。
[0069]
 焦点面Sfに対応する実信号P1fが容器底面に対応する複素共役信号のピークP2a,P2bの間に位置するための条件は、値Rが上記式(1)で表される値と式(2)で表される値との間にあることである。したがって、このための条件は次式:
  (D+T)/2<R<(D+2T)/2 … (3)
により表される。したがって、値Rが上記式(3)の関係を満たすように、焦点深さに応じて参照基準面Srの位置を設定すればよいことがわかる。
[0070]
 特別な例として、図7(d)に示すように、実信号P1fが2つの複素共役信号P2a,P2bのちょうど中間位置に現れる条件を考える。図7(d)に示す位置関係から、次式:
  R=D/2+3T/4 … (4)
となるように、参照基準面Srの位置が設定されればよい。このような条件が満たされるとき、有効領域Reは焦点深さZfを中心として(+Z)方向および(-Z)方向に同程度の広がりを有することになる。物体光学系23が焦点位置FPを中心として(+Z)方向および(-Z)方向に同程度の合焦範囲(被写界深度内の範囲)を有する場合、上記式(4)の条件を満たすように参照基準面Srの位置を設定することで、物体光学系23の合焦範囲を最も有効に活用して良好な画像品質で撮像を行うことが可能となる。
[0071]
 なお、上記の考察は複素共役信号のピークP2a,P2bの広がりが無視できる場合に成り立つものである。これらのピークP2a,P2bの広がりが大きいとき、式(3)で表される値Rの範囲のうち上限および下限に近い領域では、これらのピークP2a,P2bが実信号P1fと不可分に重なってしまうことがあり得る。ピークの広がりを考慮した場合の条件は次のようにして求めることができる。
[0072]
 図8Aおよび図8Bは複素共役信号のピークが一定の広がりを有する場合の考え方を示す図である。図8Aに示すように、複素共役信号のピークP2a,P2bがそれぞれ2Δ程度の広がりを有するものとする。値Δは例えばピークの半値半幅によって特定することができる。図8Aは図7(b)のケースにピーク幅の影響を加味した場合に相当する。すなわち、図8Aは、実信号P1fが複素共役信号のピークP2aと完全に一致せず、ピークP2aの半値半幅Δ程度だけもう1つの複素共役信号のピークP1a側にシフトした位置に現れる条件を示している。このようなケースでは、実信号P1fが複素共役信号のピークP2aによって遮蔽されてしまうことが回避される。
[0073]
 このとき、図8Aに示す位置関係から次式:
  R=(D-Δ)/2+T=(D-Δ+2T)/2 … (1a)
が成り立つ。
[0074]
 図示を省略するが、図7(c)のケースについても同様にピーク幅を加味すると、次式:
  R=(D+Δ+T)/2 … (2a)
の関係が成り立つ。これらの式(1a)、(2a)から、複素共役信号のピーク幅を考慮したときでも実信号P1fが遮蔽されないための条件は、次式:
  (D+Δ+T)/2<R<(D-Δ+2T)/2 … (3a)
となる。値Rが取り得る範囲は式(3)で示される範囲より狭くなるが、複素共役信号のピークの広がりによって実信号P1fが遮蔽されてしまうことはより確実に防止される。
[0075]
 さらに実信号P1fと複素共役信号P2a,P2bとをより確実に分離可能とするために、図8Bに示されるように、実信号P1fが複素共役信号のピークP2aの半値半幅Δの2倍程度シフトした位置に現れるようにしてもよい。このための条件は次式:
  R=(D-2Δ)/2+T=(D-2Δ+2T)/2=D/2-Δ+T
       … (1b)
で表される。同様に、図7(c)に対応するケースは次式:
  R=(D+2Δ+T)/2 … (2b)
により表される。これらから、値Rが取り得る好ましい範囲は、次式:
  (D+2Δ+T)/2<R<(D-2Δ+2T)/2 … (3b)
により表される。
[0076]
 被撮像物から得られる実信号と容器底面に起因する複素共役信号とをどの程度分離させる必要があるかに応じて、上記条件式(3)、(3a)、(3b)を使い分けることができる。具体的には、複素共役信号のピークの幅がほぼ無視できる場合には式(3)を適用することができる。一方、複素共役信号のピークが比較的大きな広がりを有している場合や、実信号のレベルが複素共役信号に対して小さい場合等には、複素共役ノイズの影響をより確実に排除するために、式(3b)が適用されることが好ましい。それらの中間的な場合には式(3a)が適用されればよい。
[0077]
 容器底面に起因する複素共役信号の広がりの程度は、容器底面の表面状態に依存する。すなわち、容器11の上部底面Saおよび下部底面Sbが高精度の平滑面である場合、複素共役信号のピークは鋭くなる。上部底面Saおよび下部底面Sbの表面粗さが大きくなるほどピーク幅が広くなる。したがって、複素共役信号の広がりは容器底面の状態から見積もることが可能である。
[0078]
 なお、上記の条件式(3)、(3a)、(3b)は焦点深さDおよび容器底部厚さTに対応する参照基準面の位置を表す値Rの好ましい範囲を示す式である。しかしながら、容器底部厚さTおよび焦点深さDに応じて参照基準面の位置を導出するに当たって、値Rにこのような幅を持たせることを要するものではない。すなわち、値Rは値D,Tを変数とする関数、すなわち次式:
  R=F(D,T) … (5)
を用いて一意に定められればよい。要するに、式(5)に示される関数F(D,T)が返す値Rが、任意の値D,Tに対して条件式(3)、(3a)、(3b)のいずれかで表される範囲に入るように、関数F(D,T)が定められていればよい。
[0079]
 この実施形態では、物体光学系23の焦点位置近傍の合焦範囲からの信号を有効に活用するため、上記の式(4)を用いて参照基準面Srの位置が定められるものとする。すなわち、容器底部の厚さTと、容器の上部底面Saを基準としたときの物体光学系23の焦点深さDとが与えられたとき、容器の下部底面Sbを基準としたときの参照基準面の位置に対応する値Rが式(4)で示される値となるように、参照光の光路長を規定する参照ミラー24の位置が設定される。
[0080]
 図9はこの画像処理装置における撮像動作を示すフローチャートである。被撮像物となるスフェロイドSpを担持する容器11が保持部10にセットされると(ステップS101)、CPU31は当該容器11の底部厚さTに関する情報を取得する(ステップS102)。この情報については、ユーザが入力デバイス351を介して入力する態様であってもよく、また予めメモリ37に登録されている容器に関するデータベースから、使用される容器11に応じた情報が読み出される態様であってもよい。このようにしてCPU31は容器11の底部厚さTに関する情報を取得する。
[0081]
 被撮像物の撮像は、焦点深さを多段階に変更設定しながら複数回実行される。すなわち、最初に物体光学系23の焦点深さDが、焦点調整機構41により予め定められた初期値に設定される(ステップS103)。次に、CPU31は、設定された焦点深さDが、容器底部厚さTの半分以上であるか否かを判定する(ステップS104)。
[0082]
 焦点深さDが容器底部厚さTの半分以上であるときには(ステップS104においてYES)、CPU31は上記した式(4)を用いて参照ミラー24の位置を導出する。これに応じて、ミラー駆動部42が参照ミラー24を求められた位置に位置決めする(ステップS105)。一方、焦点深さDが容器底部厚さTの半分より小さいときには(ステップS104においてNO)、CPU31は特殊なケースとして参照基準面の位置に対応する値Rが容器11の底部厚さTと一致するようにミラー駆動部42を制御し、この条件を満たすように参照ミラー24の位置が設定される(ステップS106)。このようにする理由については後述する。
[0083]
 こうして焦点深さおよび参照基準面が設定された状態で、光源21から広帯域の低コヒーレンス光が出射され、被撮像物から出射される信号光と参照光との干渉光が検出される。干渉光は分光器25により分光されて波長成分ごとの強度が光検出器26により検出され、光検出器26の出力信号がスペクトル情報としてCPU31に与えられる。被撮像物への光照射および干渉光の検出は、光入射位置をX方向へ走査しながら複数回実行され、その都度反射光の分光スペクトル情報が取得される(ステップS107)。
[0084]
 信号処理部33は、CPU31から与えられた分光スペクトル情報をフーリエ変換することで、焦点深さ付近に存在する反射面からの反射光強度分布を求める(ステップS108)。なお、この演算は、全ての撮像の終了後に行われてもよい。前記したように、被撮像物からの反射光強度を有効に求めることができるのは、容器底面に対応する複素共役信号のピークの間の有効領域Re内である。有効領域Reの外側の領域については反射光強度分布の算出対象から除外されてもよく、また反射光強度分布の算出時点では処理対象に含まれた上で後の画像合成時に削除されてもよい。
[0085]
 焦点深さの設定値が所定の最終値に到達するまで(ステップS109)、焦点深さを1ステップずつ段階的に変更しながら(ステップS110)、撮像が繰り返される。焦点深さの変更ステップ幅については、予め定められていてもよく、また容器11の底部厚さTに応じてステップ幅が設定されてもよい。画像全体で合焦した断層画像を得るためには、変更ステップ幅は有効領域Reの高さZe以下であることが望ましい。
[0086]
 なお、例えば物体光学系23が高倍率である、開口数が大きいなどの理由により、物体光学系23の被写界深度が、複素共役信号の間隔で決まる有効高さZeよりも小さい場合があり得る。この場合、有効領域Reの端部が物体光学系23の合焦範囲から部分的に外れることを許容した上で上記の有効領域Reを維持してもよく、また有効領域Reを物体光学系23の被写界深度で決まる深さの範囲に限定するようにしてもよい。
[0087]
 撮像が終了すると(ステップS109においてYES)、信号処理部33は、各焦点深さで取得された部分画像Ipを合成することで、XZ平面に平行な1つの断面における被撮像物の断層画像Itを作成する(ステップS111)。必要に応じて、Y方向に位置を変えながら上記の撮像動作を繰り返せば、Y方向に位置の異なる複数の断層画像Itが得られる。3D復元部34は、これらの断層画像Itから被撮像物の立体像を作成することができる。
[0088]
 次に、設定された焦点深さDが容器底部厚さの半分(T/2)よりも小さい場合に(ステップS104においてNO)、R=Tとして参照ミラー24の位置を設定する理由について説明する。これまで述べてきたように、式(4)に基づいて参照ミラー24の位置を設定する理由は、物体光学系23の合焦範囲を有効に利用するために、容器底面に起因する2つの複素共役信号の中央に焦点位置が来るようにするためである。このとき、複素共役信号のピーク幅を無視すれば、有効領域Reの範囲は焦点深さを中心として(+Z)方向および(-Z)方向にそれぞれ(T/2)ずつとなる(図7(d)参照)。
[0089]
 図10は焦点深さが容器底部厚さの半分未満であるときの反射光ピーク位置を示す図である。図10(a)に示すように、焦点面Sfが容器11の上部底面Saに近く、焦点深さDが容器底部厚さTの半分より小さい場合を考える。このとき、式(4)に従って2つの複素共役信号P2a,P2bの中央に実信号P1fが来るように参照基準面を設定すると、図10(b)に示すように、2つの複素共役信号P2a,P2bが、実信号P1fの位置からそれぞれ(T/2)ずつ離れた位置に出現する。
[0090]
 しかしながら、実信号P1fから距離Dだけ離れた位置に、容器11の上部底面Saに対応する実信号P1aが現れている。D<(T/2)であるから、このときの有効領域Reは、容器11の上部底面Saに対応する実信号P1aと、下部底面Sbに対応する複素共役信号P2bとに挟まれた領域に限定されてしまう。つまり、2つの複素共役信号P2a,P2bの中央に実信号P1fが来るように参照ミラー24の位置を設定する意義がなく、むしろ有効領域Reを狭くしてしまう。
[0091]
 そこで、図10(c)に示すように、容器11の上部底面Saに対応する実信号P1aとこれに共役な複素共役信号P2aとが重なるように、つまりR=Tとなるように参照ミラー24の位置が設定される。この場合の有効領域Reは、容器11の上部底面Saに対応する実信号P1aまたはこれに共役で同じ位置に現れる複素共役信号P2aと、もう1つの複素共役信号P2bとで挟まれた領域となり、図10(b)に示す場合よりも有効領域Reを広くすることができる。
[0092]
 これを可能とするために、図9の撮像動作においては、設定された焦点深さDについてD<(T/2)の関係が成立するとき、式(4)によらずR=Tとなるように参照ミラー24の位置が設定される。このことは、参照基準面Srを容器11の上部底面Saに一致させることと等価である。また、式(1)においてD=0とした場合に相当する。
[0093]
 これにより、物体光学系23の合焦範囲を有効に利用して撮像を行うことができる。複数の部分画像Ipを合成して断層画像Itを作成する構成においては、各撮像における物体光学系23の合焦範囲を最大限に利用することで必要な部分画像Ipの数を削減し、画像の作成に要する時間を短縮することが可能になる。D<(T/2)の関係がそれぞれ成立する複数の焦点深さで撮像が行われる際にも、参照ミラー24は焦点深さの設定によらずR=Tとなる位置に固定される。参照ミラー24が移動する工程を省くことができるので、処理時間も短縮することが可能である。
[0094]
 なお、このように参照基準面Srと容器11の上部底面Saとが一致するように参照ミラー24の位置を設定するとき、断層画像において複素共役信号を含まない有効領域Reは次のようになる。図10(c)に示されるように、参照基準面Srに対応する位置に(実信号P1aに重畳されて)現れる上部底面Saの複素共役信号P2aと、これから容器底部厚さTに対応する距離だけ離れた位置に現れる下部底面Sbの複素共役信号P2bとの間の領域が、有効領域Reである。したがって、焦点面Sfに現れる実信号P1fが複素共役ノイズの影響を受けないようにするという観点からは、焦点面Sfは、設定値Rにより決まる有効領域Re内に含まれる限り、どの位置にあってもよいことになる。
[0095]
 言い換えれば、このように参照基準面Srを容器11の上部底面Saと一致させるような参照ミラー24の位置設定方法は、焦点面Sfと容器11の上部底面Saとの距離Dが底部厚さTよりも小さくなるように焦点深さが設定される場合の全般において有効に機能する。したがって、参照ミラー24の位置Zrの決定を式(4)に基づいて行うかR=Tとなるようにするかの場合分けについては、焦点深さの設定値Dと、底部厚さTよりも小さい適宜の閾値との比較に基づき判断することができる。すなわち、設定された焦点深さDが予め定められた閾値より大きければ式(4)に基づいて参照ミラー位置を決定し、小さければR=Tとなるように決定すればよい。
[0096]
 なお、原理上は閾値は0より大きくTより小さい数値範囲内の任意の値とすることができる。しかしながら、現実には複素共役信号P2a,P2bが深さ方向においてある程度の広がりを有する。このことを考慮すれば、閾値は、上記範囲のうち上限および下限のそれぞれにおいて、複素共役信号の広がり量の半分程度が除外された範囲内で定められることが好ましい。
[0097]
 本実施形態では、有効領域Reが焦点面Sfを含みかつその範囲が複素共役信号の広がりの影響を抑えてできるだけ広くなるようにするとの観点から、ステップS104の判断工程が次のように構成されている。式(4)によって焦点面Sfを有効領域Reの中央に位置させることのできる焦点深さDの範囲、すなわちD≧(T/2)においては、式(4)が適用される。一方、焦点深さDがこれより小さい場合にはR=Tとして参照ミラー位置が決められる。これは、上記した閾値を底部厚さの半分(T/2)に設定した場合に相当している。
[0098]
 以上のように、この実施形態の画像処理装置1は、フーリエドメイン(FD)OCT撮像原理を利用した撮像装置であるが、物体光学系23の焦点深さを変更するための機能を有している。そして、容器11底部を介して撮像が行われる際、焦点深さの設定に応じて、参照基準面を規定する参照光の光路長が参照ミラー24の位置調整により設定される。参照基準面の位置を導出する計算式は、焦点深さDおよび容器11底部の厚さTの関数として与えられる。
[0099]
 このような構成によれば、深さ方向の反射光強度分布において、容器11の上部底面Saと下部底面Sbとに対応する複素共役信号が焦点深さに対応する位置を挟んで出現するようにすることができる。2つの複素共役信号の間隔は容器11底部の厚さTにより決まる一定値であるので、結果として、焦点位置およびその近傍の一定幅の範囲において複素共役ノイズの影響を排除した撮像を行うことが可能となる。
[0100]
 ただし、焦点深さが容器底部厚さの半分未満であるときには、その範囲における焦点位置の設定に関わらず、参照基準面が容器11の上部底面Saに対応する位置となるように、参照光の光路長が設定される。これにより、上部底面Saに起因する複素共役信号は上部底面Saに対応する位置に現れる一方、下部底面Sbに起因する複素共役信号は上部底面Saから容器底部厚さ分だけ離れた位置に現れることとなる。その結果、これらの間に現れる焦点位置の近傍からの信号が、複素共役ノイズの影響を受けることが防止される。
[0101]
 必要に応じて、深さ方向に焦点位置を異ならせた複数回の撮像で得られた結果を合成することで、深さ方向において2つの複素共役信号の間隔よりも広い範囲を含む断層画像を作成することが可能である。このとき、焦点位置の変更に伴って参照ミラー24の位置を変更することにより、焦点位置の近傍では常に複素共役ノイズの影響を排除することができる。しかも合焦状態で撮像された比較的狭い範囲の部分画像を合成してより広範囲の断層画像を作成することで、断層画像全体の画像品質を良好なものとすることができる。
[0102]
 以上説明したように、この実施形態の画像処理装置1は、スフェロイドSp等を「被撮像物」とする本発明の「撮像装置」に相当するものである。そして、撮像ユニット20,20a,20bがそれぞれ本発明の「検出手段」として機能し、制御ユニット30のうちCPU31が本発明の「制御手段」として、また信号処理部33が本発明の「信号処理手段」としてそれぞれ機能している。
[0103]
 また、上記実施形態においては、容器11の底部111が本発明の「壁部」に相当し、その上部底面Saおよび下部底面Sbがそれぞれ本発明の「第1表面」および「第2表面」に相当している。また、値(T/2)が本発明の「閾値」に相当している。
[0104]
 なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態における参照基準面Srの位置の導出処理では、物体光学系23の焦点深さが容器11の上部底面Saから起算した値Dによって、また参照基準面Srの位置が容器11の下部底面Sbから起算した値Rによって表されている。しかしながら、どの位置を基準として各位置を表すかは任意であり、基準位置に応じて各式を適宜改変することにより、上記技術思想と実質的に等価な処理を実現することが可能である。
[0105]
 また例えば、上記実施形態の被撮像物は浅皿型のディッシュと呼ばれる容器11に担持されたスフェロイドSpであるが、被撮像物およびそれを担持する容器の種類はこれに限定されない。例えば、試料を担持可能な複数のウェルが1つのプレートに設けられたウェルプレートで培養された細胞等が被撮像物とされてもよい。
[0106]
 また例えば、上記実施形態の画像処理装置1は、容器11の底部111を介して容器内の被撮像物を撮像する。しかしながら、撮像の方向はこれに限定されない。例えば被撮像物を収容する容器の側壁面を介して撮像を行う場合にも、本発明を好適に適用することが可能である。
[0107]
 また例えば、上記実施形態では、焦点深さDが容器底部厚さTの半分よりも大きいか小さいかによって値Rの求め方が変更される。しかしながら、式(4)による値Rの求め方は、焦点深さDが容器底部厚さTの半分よりも小さい場合にも有効である。例えば有効領域Reの範囲が狭くなることが許容される状況であれば、焦点深さDの可変範囲の全体において一律に式(4)が適用されてもよい。
[0108]
 また例えば、上記実施形態では容器底面に起因する2つの複素共役信号のピークに挟まれる領域の中央に焦点位置が来るように式(4)が採用されている。しかしながら、焦点位置が2つのピークのちょうど中間である必要は必ずしもない。例えば、2つのピークの間隔よりも物体光学系の被写界深度の方が大きければ、焦点位置が両ピークの中央からずれていても両ピーク間の領域全体を合焦範囲に含めることが可能であり、得られる画像の品質も上記実施形態と変わりないものとなる。式(4)に適宜のオフセットを加えた式、あるいは、図7(d)の値「T/2」を適宜に改変して式(4)と同様にして求めた式を用いて、このような焦点位置と複素共役信号のピークとの位置関係を実現することが可能である。
[0109]
 また例えば、上記実施形態では、焦点深さを多段階に設定して撮像された部分画像Ipを合成することで断層画像Itが得られる。しかしながら、例えば被撮像物の高さに対して容器底部厚さおよび物体光学系の被写界深度が十分に大きければ、1回の撮像で被撮像物の全体像を得ることが可能である。この場合にも、焦点位置の設定に応じて、上記した条件を満たすように参照光の光路長が設定されることにより、撮像結果に容器底面に起因する複素共役ノイズの影響が現れるのを効果的に防止することができる。
[0110]
 また、本発明において物体光学系の分解能は特に限定されないが、高倍率または高分解能での撮像を必要とする場合において本発明は特に有効である。その理由は以下の通りである。高倍率、高分解能を求めると物体光学系の被写界深度が浅くなるため、本来的には深さ方向に広く撮像可能なFD-OCT装置であっても、1回の撮像で得られる画像の深さ方向の範囲は限定される。したがって、本発明の技術思想とは直接関係のない理由で複数回の撮像が必要となる場合がある。このような場合に本発明を適用することで、1回の撮像で得られる画像は複素共役ノイズの影響がなく、また全体を合焦状態とすることができる。そのため、良好な画像品質で撮像を行うことが可能となる。
[0111]
 また、上記実施形態の制御ユニット30としては、パーソナルコンピュータやワークステーション等の一般的な構成の汎用処理装置を用いることも可能である。すなわち、撮像ユニット20、駆動制御部40およびこれらの動作させるための最小限の制御機能を有する撮像装置と、上記処理内容を記述した制御プログラムを実行することで制御ユニット30として機能するパーソナルコンピュータ等との組み合わせにより、画像処理装置1が構成されてもよい。
[0112]
 以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、この発明においては、一の撮像において得られる反射光強度分布から求められる断層画像のうち第1表面の像と第2表面の共役像との間の領域が、有効な画像領域とされてもよい。このような構成によれば、第1表面および第2表面の共役像に起因するノイズを含まない画像領域を、有効なものとして抽出することができる。
[0113]
 また、同一の被撮像物に対し焦点深さを互いに異ならせて複数回干渉光の検出が行われ、焦点深さを設定する度に参照光の光路長が設定され、得られた複数の検出結果から各々の焦点近傍における反射光強度分布が求められる構成であってもよい。本発明の原理によれば、一の撮像で複素共役ノイズを排除した反射光強度分布が得られる深さの範囲は、容器壁部の厚さにより制限される。焦点深さを互いに異ならせた複数回の検出結果を重ね合わせれば、容器壁部の厚さを超える範囲を含む、画像品質の良好な断層画像を得ることが可能となる。
[0114]
 また、第1表面から物体光学系の焦点までの距離が閾値より大きくなるように焦点深さが設定されるときには、壁部の厚さをT、第1表面から物体光学系の焦点までの距離をD、第2表面から、照明光の光路に垂直な仮想的な平面であって当該平面までの照明光の光路長が参照光の光路長と等しい参照基準面までの距離をRとするとき、
  (D+T)/2<R<(D+2T)/2
の関係が成立するように、参照光の光路長が設定されてもよい。値Rがこのような条件を満たすように参照基準面が設定されるとき、第1表面および第2表面の共役像の出現位置を、確実に物体光学系の焦点を挟む位置とすることができる。したがって、焦点近傍における複素共役ノイズの影響を排除することができる。このように焦点の深さと壁部の厚さとの関係に応じて参照基準面を設定することで、任意の焦点深さにおいて壁部に起因する複素共役ノイズの影響をなくすことができる。
[0115]
 また、この発明にかかる撮像装置は、検出手段が参照光の光路に配置されて参照光の光路長を規定する参照ミラーを備え、制御手段が、参照ミラーの位置を変化させて参照光の光路長を調整するミラー駆動機構と、物体光学系を駆動して焦点深さを調整する焦点調整機構とを備えるものであってもよい。このような構成は、物体光学系の焦点深さに応じて参照ミラーの位置を変化させることで参照光の光路長を変更設定することができるものであり、上記発明を実施するのに好適なものである。
[0116]
 また、この発明にかかる撮像方法は、参照光の光路長を設定する前に、壁部の厚さに関する情報を取得する工程を備えるものであってもよい。このような構成によれば、焦点深さの設定値と壁部の厚さに関する情報とに基づき、参照光の光路長を上記条件に合致するように調整することが容易となる。
[0117]
 以上、特定の実施例に沿って発明を説明したが、この説明は限定的な意味で解釈されることを意図したものではない。発明の説明を参照すれば、本発明のその他の実施形態と同様に、開示された実施形態の様々な変形例が、この技術に精通した者に明らかとなるであろう。故に、添付の特許請求の範囲は、発明の真の範囲を逸脱しない範囲内で、当該変形例または実施形態を含むものと考えられる。

産業上の利用可能性

[0118]
 この発明は、FD-OCT撮像技術全般に適用することができる。特に、ディッシュ等の容器中で培養された細胞や細胞集塊を撮像する医学・生化学・創薬の分野において好適に適用することができる。

符号の説明

[0119]
 1 画像処理装置(撮像装置)
 11 容器
 20,20a,20b 撮像ユニット(検出手段)
 22 ビームスプリッタ
 23 物体光学系
 24 参照ミラー
 30 制御ユニット
 31 CPU(制御手段)
 33 信号処理部(信号処理手段)
 40 駆動制御部
 41 焦点調整機構
 42 ミラー駆動機構
 111 (容器11の)底部(壁部)
 220 光ファイバカプラ
 Sa (容器11の)上部底面(第1表面)
 Sb (容器11の)下部底面(第2表面)
 Sf 焦点面
 Sp スフェロイド(被撮像物)
 Sr 基準参照面

請求の範囲

[請求項1]
 光透過性の壁部を有する容器内に収容された被撮像物を断層撮像する撮像装置において、
 光源から出射される広帯域の低コヒーレンス光が分岐された一の分岐光を照明光として前記壁部を介して前記被撮像物に入射させ、前記壁部を介して出射される前記被撮像物の反射光を物体光学系により集光した信号光と、他の一の分岐光から生成された参照光とが干渉して生じる干渉光を検出し、検出された前記干渉光に応じた干渉信号を出力する検出手段と、
 前記干渉信号に基づき、前記干渉光のスペクトルをフーリエ変換して前記照明光の入射方向における前記被撮像物の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から断層画像を作成する信号処理手段と、
 前記被撮像物に対する前記物体光学系の前記入射方向における焦点深さおよび前記参照光の光路長を変更設定する制御手段と
を備え、
 前記制御手段は、
 前記壁部の表面のうち前記被撮像物側の第1表面から前記物体光学系の焦点までの距離が、前記壁部の厚さより小さい所定の閾値よりも小さくなるように前記焦点深さを設定するとき、
 前記参照光の光路長を、前記第1表面までの前記照明光の光路長と等しい値に設定する、
撮像装置。
[請求項2]
 前記制御手段は、
 前記壁部の表面のうち前記被撮像物とは反対側の第2表面から、前記照明光の光路に直交する仮想的な平面であって当該平面までの前記照明光の光路長が前記参照光の光路長と等しい、参照基準面までの距離と、
 前記壁部の厚さと
が等しくなるように、前記参照光の光路長を設定する請求項1に記載の撮像装置。
[請求項3]
 前記信号処理手段は、前記反射光強度分布から求められる前記断層画像のうち、前記第1表面の像と前記第2表面の共役像との間の領域を、有効な画像領域とする請求項2に記載の撮像装置。
[請求項4]
 前記信号処理手段は、同一の前記被撮像物に対し前記焦点深さを互いに異ならせて得られた複数の検出結果から、各々の焦点近傍における前記反射光強度分布を求める請求項2または3に記載の撮像装置。
[請求項5]
 前記制御手段は、前記第1表面から前記物体光学系の焦点までの距離が前記閾値より大きくなるように前記焦点深さを設定するとき、
 前記壁部の厚さをT、
 前記第1表面から前記物体光学系の焦点までの距離をD、
 前記第2表面から、前記照明光の光路に垂直な平面であって当該平面までの前記照明光の光路長が前記参照光の光路長と等しい参照基準面までの距離をRとするとき、
  (D+T)/2<R<(D+2T)/2
の関係が成立するように、前記参照光の光路長を設定する請求項4に記載の撮像装置。
[請求項6]
 前記閾値は、前記壁部の厚さの半分である請求項1ないし5のいずれかに記載の撮像装置。
[請求項7]
 前記検出手段は、前記参照光の光路に配置されて前記参照光の光路長を規定する参照ミラーを有し、
 前記制御手段は、
 前記参照ミラーの位置を変化させて前記参照光の光路長を調整するミラー駆動機構と、
 前記物体光学系を駆動して前記焦点深さを調整する焦点調整機構と
を有する、請求項1ないし6のいずれかに記載の撮像装置。
[請求項8]
 光透過性の壁部を有する容器内に収容された被撮像物を断層撮像する撮像方法において、
 光源から出射される広帯域の低コヒーレンス光が分岐された一の分岐光を照明光として前記壁部を介して前記被撮像物に入射させ、前記壁部を介して出射される前記被撮像物の反射光を物体光学系により集光した信号光と、他の一の分岐光から生成された参照光とが干渉して生じる干渉光を検出し、検出された前記干渉光に応じた干渉信号を出力する工程と、
 前記干渉信号に基づき、前記干渉光のスペクトルをフーリエ変換して前記照明光の入射方向における前記被撮像物の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から断層画像を作成する工程と
を備え、
 前記被撮像物に対する前記物体光学系の前記入射方向における焦点深さおよび前記参照光の光路長を変更設定可能であり、
 前記壁部の表面のうち前記被撮像物側の第1表面から前記物体光学系の焦点までの距離が、前記壁部の厚さより小さい所定の閾値よりも小さくなるように前記焦点深さが設定されるとき、前記参照光の光路長が、前記第1表面までの前記照明光の光路長と等しい値に設定される撮像方法。
[請求項9]
 前記壁部の表面のうち前記被撮像物とは反対側の第2表面から、前記照明光の光路に直交する仮想的な平面であって当該平面までの前記照明光の光路長が前記参照光の光路長と等しい参照基準面までの距離と、
 前記壁部の厚さと
が等しくなるように、前記参照光の光路長が設定される請求項8に記載の撮像方法。
[請求項10]
 前記反射光強度分布から求められる前記断層画像のうち前記第1表面の像と前記第2表面の共役像との間の領域が有効な画像領域とされる請求項9に記載の撮像方法。
[請求項11]
 同一の前記被撮像物に対し前記焦点深さを多段階に互いに異ならせて複数回前記干渉光の検出が行われ、前記焦点深さが設定される度に前記参照光の光路長が設定される請求項9または10に記載の撮像方法。
[請求項12]
 前記第1表面から前記物体光学系の焦点までの距離が前記閾値よりも大きくなるように前記焦点深さが設定されるとき、
 前記壁部の厚さをT、
 前記第1表面から前記物体光学系の焦点までの距離をD、
 前記第2表面から、前記照明光の光路に垂直な平面であって当該平面までの前記照明光の光路長が前記参照光の光路長と等しい参照基準面までの距離をRとするとき、
  (D+T)/2<R<(D+2T)/2
の関係が成立するように前記参照光の光路長が設定される請求項11に記載の撮像方法。
[請求項13]
 前記参照光の光路長が設定される前に、前記壁部の厚さに関する情報を取得する工程を備える請求項9ないし12のいずれかに記載の撮像方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 5C]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7]

[ 図 8A]

[ 図 8B]

[ 図 9]

[ 図 10]