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1. (WO2018088372) DISPOSITIF D'AFFICHAGE ET PROCÉDÉ D'AFFICHAGE DE SOUDAGE À L'ARC
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明 細 書

発明の名称 アーク溶接の表示装置及び表示方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010  

先行技術文献

特許文献

0011  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0012   0013   0014   0015   0016  

課題を解決するための手段

0017   0018   0019   0020   0021   0022  

発明の効果

0023  

図面の簡単な説明

0024  

発明を実施するための形態

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046  

実施例

0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055  

符号の説明

0056  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2A   2B   2C   3A   3B   3C   3D   4A   4B   4C   5A   5B  

明 細 書

発明の名称 : アーク溶接の表示装置及び表示方法

技術分野

[0001]
 本発明は、例えば、自動溶接装置または溶接ロボットを用いたアーク溶接技術に関するものであって、特に、アーク倣い溶接での倣い状況の可視化を可能とする表示技術に関する。

背景技術

[0002]
 アーク溶接においては、溶接電流や溶接電圧等の変化に基づいて、溶接すべき継手位置とワイヤ先端位置とのズレ量を検出し、これを補正することによって溶接線を自動追従する「アーク倣い」がよく用いられている。これは、対象ワークの設置誤差、加工誤差、加工中の変形等によって発生する加工具(溶接トーチ)の狙い位置のズレを検出して補正することにより、溶接欠陥を防止し、自動化率を向上させることを目的としている。
[0003]
 このようなアーク倣いの原理は、溶接ワイヤの突き出し長さ(正確に言えば、トーチ給電箇所~母材間の距離L)の変化に応じて、溶接電流あるいは溶接電圧が変化することを利用して、ウィービング動作時のアーク電流波形またはアーク電圧波形の非対称性から、トーチの狙い位置のズレを検出して、これを自動溶接装置あるいは溶接ロボットシステムにフィードバックして、トーチ先端位置のズレがなくなる方向に修正することにより、溶接線を自動追従する。
[0004]
 このようなアーク倣いにおいては、以下のような問題があることが知られている。
 例えば、実際の溶接においては、溶接条件(電流、電圧、溶接速度、ウィービング幅、ウィービング周波数)と、倣いパラメータ(ゲインや左右電流差のオフセット)によって、溶接時のロボット動作軌跡(倣いの軌跡)が変わることがある。そのため、作業者が、ロボットをティーチング後に溶接を行い、さらに、溶接後にアーク倣いの確認が必要である。
[0005]
 このとき、図1に示すように、作業者は溶接条件と倣いパラメータを入力条件として設定して、その出力であるロボットの動作軌跡(倣い制御がかかった修正動作軌跡)を得ている。言い換えれば、溶接中の情報である溶接電流波形などを見ることなく、倣いの確認を行っている。
 それ故、ロボットの動作軌跡などの確認後、倣いが上手くいかなかったと判断しても、なぜアーク倣いがズレたかの原因把握が正確には行われず、作業者の経験と勘により、試行錯誤を繰り返し、望みの軌跡となるように溶接条件と倣いパラメータを調整するのが常であった。なお、アーク倣いが上手くいかない場合には、具体的には、溶接軌跡のズレや溶接線の蛇行や溶接欠陥が発生し、不良品発生の原因となる。
[0006]
 前述した如く、現状、溶接中の溶接電流波形を見ずに、結果であるロボットの動作軌跡のみを見ることで、アーク倣いの確認を行っている。しかし、アーク倣い不良を減らすべく、作業者が、溶接中の溶接電流波形を見ようと思い、単純に電流波形を画面に表示しただけでは、人が見ても直ちにズレとの関係が分からない波形(ウィービングに起因する波形)となっている。
[0007]
 このように、アーク倣い溶接時に起こり得る問題を解決することを意図した技術として、以下の特許文献1~4に挙げるものがある。
 例えば、特許文献1は、溶接現象の変化を利用して溶接トーチの位置を補正するアークセンサを使用する溶接ロボットシステムにおいて、アークセンサ回路から出力される溶接トーチチップと母材間の位置補正情報即ち上下方向補正情報、及び溶接トーチチップの各オシレート端部位置補正情報即ち左右方向補正情報、を入力する手段と、該各情報に応じて、リアルタイムで該各情報の値の程度をグラフィック表示する出力手段と、を有するアークセンサモニター装置を開示する。
[0008]
 特許文献2は、溶接トーチを左右にウィービングさせながら溶接線に倣って溶接を行なう消耗電極式アーク溶接において、左から右に至る右進ウィービング期間に、ウィービング左端部電流値を検出したのち、前記右進ウィービング期間における溶接電流最小値を検出し、かつ、右から左に至る左進ウィービング期間に、ウィービング右端都電流値を検出したのち、前記左進ウィービング期間における溶接電流最小値を検出し、その後、前記右進ウィービング期間中における各検出電流の差電流値と前記左進ウィービング期間中における各検出電流の差電流値とを演算して両差電流値を互に比較し、両差電流値の偏差に応じて溶接トーチのウィービング幅中心位置を移動制御する消耗電極式アーク溶接方法を開示する。
[0009]
 特許文献3は、シフト量が異なる複数の区間で区切られた教示線上に沿って溶接トーチを溶接させながら移動させる際、前記区間毎に定められているシフト量に応じて前記溶接トーチをシフトさせて移動させる移動工程と、前記区間毎に移動中の溶接トーチに供給されてサンプリングされた電気量を、該サンプリングする周期(以下、サンプリング周期という)よりも長い所定周期毎に平均化する平均化工程と、該平均化した値と基準値との差分値を算出する差分値算出工程と、前記区間毎の前記差分値の平均差分値を算出する平均差分値算出工程と、前記区間毎の前記差分値の平均差分値に基づいて回帰直線及び該回帰直線と前記平均差分値との相関係数を求める回帰直線及び相関係数取得工程と、前記回帰直線の傾き、及び切片に関係する倣いに関するパラメータを前記相関係数に基づいて評価して、該パラメータを倣いパラメータとして設定する評価工程を含むロボット用アークセンサの倣いパラメータの設定方法を開示する。
[0010]
 特許文献4は、アーク溶接用ロボット制御装置のアーク溶接表示装置おいて、溶接電流および溶接電圧のうち少なくとも一方を検出する溶接電気信号検出手段と、前記検出した溶接電気信号を保存するデータ保存手段と、ロボットの動作軌跡を記憶する動作軌跡記憶手段と、前記溶接電気信号検出手段で検出した溶接電流および溶接電圧のうち少なくとも一方と、前記動作軌跡記憶手段で記憶されたロボットの動作軌跡をディスプレイ上で表示する表示手段と、前記表示を行う範囲を設定する表示範囲設定手段と、を備えたアーク溶接表示装置を開示する。

先行技術文献

特許文献

[0011]
特許文献1 : 日本国特開平5-329645号公報
特許文献2 : 日本国特開昭58-53375号公報
特許文献3 : 日本国特開2010-120042号公報
特許文献4 : 日本国特開平11-58007号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0012]
 上記した特許文献1~4は様々な技術を開示しているものの、本願が意図する問題を解決するに足りるものはない。
 例えば、特許文献1に開示されたアークセンサモニター装置及びその使用法は、倣いの軌跡をペンダントに表示するものとし、トーチ位置の補正情報をモニタリングしている。しかしながら、特許文献1の技術では、補正結果をモニタリングすることはできるが、どのような電流が流れているか等の溶接中の情報を、作業者の認識しやすい形で知ることができず、所望とするアーク倣いを実現することができなかった。
[0013]
 特許文献2に開示された消耗電極式アーク溶接方法は、ウィービング時の右端左端における最大電流値、最小電流値により、ウィービングの中心位置を溶接線に正しく倣わせるものとなっている。しかしながら、この技術を採用したとしても、実際には、開先形状や、溶接条件、ウィービング条件、倣いの制御ゲインによっては、倣い制御後のウィービング中心位置の軌跡が変化し、蛇行などが発生するため、作業者による各種条件やパラメータの調整が必要であり、所望とするアーク倣いを実現することが困難であると思われる。
[0014]
 特許文献3に開示されたロボット用アークセンサの倣いパラメータの設定方法、及びロボット用アークセンサの倣いパラメータの設定装置は、自動で倣いのパラメータを調整する技術を開示する。しかしながら、この技術を採用したとしても、例えば、溶接施工の観点から、溶接条件やウィービング条件を変更した場合に、再度、自動調整の一連のシーケンス実施が必要である。また、実物に近いワークで、溶接箇所からズレた位置を溶接する必要があるため、ワークを無駄にしてしまう。実際には、作業者は、ロボットによる溶接を見ながら、所望の溶接品質と倣い精度を確保できるための溶接条件と倣いパラメータとを、リアルタイムに同時に調節するため、特許文献3の技術を採用した場合、効率が悪いものとなる。
[0015]
 特許文献4に開示されたアーク溶接表示装置は、ロボットの動作軌跡と溶接電流波形を表示する表示手段と、表示範囲を設定する表示範囲設定手段と、を備えて、ロボットの動作軌跡における指定した範囲を表示するものとなっている。しかしながら、この技術を採用したとしても、ウィービングの倣いの調整に用いる際には、設定範囲をどうすれば良いかわからないし、表示の粒度が広すぎること、言い換えれば、適切な範囲を指定することが難しいことが考えられる。また、溶接を確認しながら、設定変更をリアルタイムで行うことが困難である。
[0016]
 本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、アーク倣い溶接を行うに際し、作業者が溶接中の情報を確認することを可能とし、確認した情報を基に、正確なアーク倣い溶接を可能とするアーク溶接の表示技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0017]
 上記課題を解決するため、本発明のアーク溶接の表示装置は、以下の技術的手段を講じている。
 即ち、本発明にかかるアーク溶接の表示装置の形態は、溶接方向に対してトーチを揺動させるウィービング機能を備えた溶接装置に備えられたアーク溶接の表示装置であって、前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧の少なくとも1つを、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切って、画面に表示することを特徴とする。
[0018]
 好ましくは、前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧から、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電流、もしくは少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電圧を減算し、前記減算後の値を画面に表示するとよい。
 好ましくは、前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切った波形を、数周期分を重ねて画面に表示するとよい。
[0019]
 好ましくは、前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、ウィービング動作の左端又は右端に対応する位置を示す表示を画面に表示するとよい。
 好ましくは、前記アーク溶接に必要とされる情報を画面に表示するとよい。
[0020]
 また、本発明にかかるアーク溶接の表示方法の形態は、溶接方向に対してトーチを揺動させるウィービング機能を備えた溶接装置にてアーク溶接の状況を表示する方法であって、前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧の少なくとも1つを、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切って、表示することを特徴とする。
 好ましくは、前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧から、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電流、もしくは少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電圧を減算し、前記減算後の値を表示するとよい。
[0021]
 好ましくは、前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切った波形を、数周期分を重ねて表示するとよい。
 好ましくは、前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、ウィービング動作の左端又は右端に対応する位置を示す表示を表示するとよい。
[0022]
 好ましくは、前記アーク溶接に必要とされる情報を表示するとよい。

発明の効果

[0023]
 本発明のアーク溶接の表示技術を用いることで、アーク倣い溶接を行うに際し、作業者が溶接中の情報を確認することができ、確認した情報を基に、正確なアーク倣い溶接を行うことが可能となる。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] アーク倣い溶接を行う様子を模式的に示した図である。
[図2A] 溶接時の電流波形を示した図である(ズレ=0mm)。
[図2B] 溶接時の電流波形を示した図である(ズレ=1mm)。
[図2C] 溶接時の電流波形を示した図である(ズレ=2mm)。
[図3A] 少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期での電流波形を示した図である(ズレ=0mm)。
[図3B] 少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期での電流波形を示した図である(ズレ=1mm)。
[図3C] 少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期での電流波形を示した図である(ズレ=2mm)。
[図3D] 少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期での電流波形を示した図である(ズレ=2mm、倣いの左右電流差の検出ロジックに使われる点を強調)。
[図4A] 少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期での電流波形からウィービング毎の平均電流を引いた結果を示した図である(ズレ=0mm)。
[図4B] 少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期での電流波形からウィービング毎の平均電流を引いた結果を示した図である(ズレ=1mm)。
[図4C] 少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期での電流波形からウィービング毎の平均電流を引いた結果を示した図である(ズレ=2mm)。
[図5A] 溶接システムの構成を示した図である。
[図5B] 溶接システムの構成を示した図である(トーチ部)。

発明を実施するための形態

[0025]
 以下、本発明の実施の形態にかかるアーク溶接の表示装置及び表示方法について、図面に基づき詳しく説明する。
 以下においては、溶接動作を行う機器を、溶接トーチを揺動動作(ウィービング動作)させる多関節の溶接ロボットとして説明するが、これは一例に過ぎず、専用の自動溶接装置であっても構わない。
[0026]
 本実施の形態に係る表示装置及び表示方法は、例えば、図5Aに示されるような垂直多関節型のロボットシステムに適用される。垂直多関節型のロボットシステムの概要は以下の通りである。
 例えば、垂直多関節型のロボットシステムは、溶接ロボット1と、教示ペンダント2を備えた制御装置3と、パーソナルコンピュータとを含む。図5Aに示すように、溶接ロボット1は垂直多関節型の6軸の産業用ロボットであり、その先端に溶接トーチ5などから構成される溶接ツールが設けられている。この溶接ロボット1はそれ自体を移動させるスライダに搭載されていてもよい。
[0027]
 制御装置3は、溶接ロボット1を、予め教示したプログラムに従って制御する。このプログラムは、制御装置3に接続された教示ペンダント2を使用して作成する場合や、パーソナルコンピュータを利用したオフライン教示システムを使用して作成する場合がある。いずれの場合であっても、このプログラムは、実際の動作の前に予め作成される。パーソナルコンピュータにより作成されたプログラムは、記憶媒体等を介して制御装置3に受渡しされたり、データ通信により制御装置3に転送されたりする。
[0028]
 パーソナルコンピュータ、すなわちオフライン教示システムは、グラフィック表示可能なディスプレイを備え、入力装置としてキーボードまたはマウスを備える。また、ワークのCAD情報を取込むために、記憶装置または通信装置が設けられている。
 本実施の形態に係る表示方法は、制御装置3内に設けられたプログラムとして実現されている。
[0029]
 以下、本実施の形態に係る表示装置及び表示方法について、詳細に説明する。
 図5Bにアーク溶接の模式図を示す。
 アーク溶接は溶接トーチ5から供給される溶接ワイヤ6(消耗電極)と母材4(ワーク)の間に溶接電源7で電圧を印加し、溶接ワイヤ6と母材4の間でアークを発生させる。そのアーク熱で母材4と溶接ワイヤ6を溶融させながら溶接する。アーク溶接に伴い溶接ワイヤ6は溶け落ちてゆくため、溶接中は送給装置により溶接トーチ5内を経由して溶接ワイヤ6が供給され続ける。
[0030]
 母材4と溶接ワイヤ6が溶融した溶接金属が凝固し、溶接ビードが形成され、強固な溶接が実現される。厚鋼板の溶接に代表される中厚板溶接では溶接部の強度を維持するために溶接ビードの幅を広くし、溶着量や溶け込み深さを確保する必要がある。そのため中厚板溶接では、溶接トーチ5を左右に揺動させるウィービングという動作を行いながら溶接することで、溶接ビードを拡幅し溶接強度を確保している。
[0031]
 また溶接トーチ5からはシールドガスも合わせて供給され、アークを大気から保護している。また溶融後の溶融金属も溶接ワイヤ6に含まれるフラックスの分解によって発生するガスにより大気から保護され、ブローホールなどの溶接欠陥を抑制している。
 さて、例えば、中厚板の溶接分野では、溶接ワークの加工精度が悪い、溶接ワークの設置精度が悪い、溶接ワークが溶接中に熱ひずみで変形する等、溶接すべき位置である溶接線が常に決められた位置にあるとは限らない。溶接線のズレはおおむね数mmからcmオーダーで発生する。
[0032]
 しかし、溶接品質の観点から厚板分野でアーク溶接ロボット1に許容される溶接線とのズレは一般に1mm未満であり、事前に決められた位置を動作するプレイバック方式のロボットでは溶接できない。すなわち中厚板向け溶接ロボット1では、予め教示された溶接位置と実ワークの溶接位置とのズレをリアルタイムに検出しながら、都度これに適応してサブmmオーダーの精度で溶接線を「倣う」ことが必須条件であり、欠くことができない非常に重要な機能の一つである。
[0033]
 以上述べたアーク溶接の表示装置及び表示方法を行うに際し、本実施形態では、図5Aに示すように、アーク溶接の状態を表示しモニタ可能とする表示装置8を備えている。この表示装置8として、本実施形態では、教示ペンダント2の表示画面を採用している。しかしながら、表示装置8として、オフライン教示システムを構成するパーソナルコンピュータを用いてもよい。
[0034]
 本実施形態の表示装置8では、以下のような情報が画面上に表示され、作業者に提示されることとなる。
 (i) 表示装置8は、アーク倣い溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧が表示される。表示される区間としては、溶接電流又は溶接電圧の少なくとも1つを、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切って、画面に表示し、作業者(溶接オペレータ)に提示するようにする。好ましくは、溶接トーチ5が一方端に達した時点から次に一方端に達するまでの1ウィービング周期が含まれるように、一定周期毎に区切って画面に表示するとよい。
[0035]
 一般的なMIG,MAGアーク溶接は、定電圧電源を用いて溶接を行うため、溶接線の中心からのズレが電流に表れる。一方で、TIG溶接は定電流電源を用いているため、溶接線の中心からのズレが電圧に表れる。それ故、表示装置8は、アーク倣い溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧の少なくとも1つ乃至は両方を表示するようにする。
 このように、一定周期毎に区切って、表示装置8に、溶接電流乃至は溶接電圧を表示することで、アーク倣いに必要十分な適切な範囲(時間幅)で、電流波形や電圧波形を観察することができる。
[0036]
 ウィービング毎に表示を更新することで、1ウィービング周期毎の電流波形や電圧波形が観察でき、現在の溶接状況を的確に知ることが可能となる。
 (ii) 表示装置8においては、アーク倣い溶接中における溶接電流もしくは溶接電圧の波形から、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電流、もしくは少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電圧を減算したものを表示する。
[0037]
 これにより、溶接トーチ5の上下位置変動による電流波形や電圧波形の上下のオフセットが除去されることから、作業者は、純粋に左右の電流バランスに注視することができる。なお、上下方向(トーチ方向)のズレは、上下方向倣いにより取り除くことが望ましい。上下方向の倣いは、一般的には、単純に平均電流を見ていて、基準より大きいか小さいかによって制御されているため、作業者は気にする必要性が少ない。
[0038]
 (iii) 上記した(ii)の表示を行うに際しては、必要に応じて、表示装置8では、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切った波形を、数周期分を重ねて表示するとよい。
 このように、電流波形や電圧波形の数周期分を重ねることで、今回のウィービングにおける電流波形を、一定時間(数周期のウィービング)後に確認することができるし、逆に数周期前からの電流波形あるいは電圧波形が変化していないか否かの確認もできる。
[0039]
 また、重ねて表示することで、ウィービング数周期分の波形を同時に見ることができるため、ウィービング1周期における低周波ノイズや、アーク現象による瞬時的な電流変化の影響を受けにくく、作業者は、的確な波形を観察することが可能となる。また、異常な電流波形が連続して続けば、作業者は、アーク倣いができないことや、溶接条件設定がおかしい事にも気づくことができる。
[0040]
 従来であれば、電流波形を適切な時間幅に区切って見ていないため、作業者は、異常な波形であることに気づかないことが考えられる。アーク倣いは、左右の電流差を2点か4点程度のサンプルで行うことが一般的で、異常な波形であっても、短い溶接区間など、たまたま倣いが出来てしまうことも考えられる。しかし、同じ形状の新しいワークを溶接する際には、倣いが出来なくなることが考えられる。しかしながら、本実施形態の技術であれば、このような不都合を回避することができる。
[0041]
 (iv) 表示装置8においては、ウィービング動作における左端、右端(一方端、他方端)を示す目印を画面に表示することもできる。また、画面に、アーク倣い溶接に必要な情報として、倣いの制御に使われている数値や、補助的な情報を表示することも可能である。表示する情報としては、例えば、左右の電流差、平均電流、左右の電圧差、左右の平均電圧などが挙げられる。
[0042]
 これにより、左右の目印があることで、作業者が、ウィービングのどちら側の電流が高いかを瞬時に知ることができる。加えて、アーク倣い溶接に必要な情報(倣いの制御に使われている数値や、補助的な情報)が表示装置8上で認識できるので、作業者は、これらを参考にしながら溶接作業を適切に行うことができる。
 以上述べたように、本発明に係るアーク溶接の表示装置及び表示方法を用いることで、アーク倣い溶接を行うに際し、作業者が、溶接条件と倣いのパラメータを決める際に、表示装置8の画面表示を見て効率よく作業ができ、作業時間や試行回数を短縮することを可能としつつ、現場においても正確なアーク倣い溶接が可能となる。
[0043]
 なお、前述したように、電流波形等の表示は、教示ペンダント2に限定されるものではなく、リアルタイムにパーソナルコンピュータや表示装置8にデータを転送して、転送先の機器に表示してもよい。溶接電源7やコントローラ内部にデータをためておいて、それをパーソナルコンピュータ等に転送して、パーソナルコンピュータの表示モニタに表示してもよい。
[0044]
 上記した(i)~(iv)の波形を表示するに際しては、溶接電流・溶接電圧は高周波ノイズを多分に含むものであり、アナログフィルタや、FIRフィルタなどのローパスフィルタをかけ、処理後の波形を表示するようにすることが好ましい。
 ところで、溶接電源7からの電流フィードバック値や電圧フィードバック値と、溶接ロボット1のウィービングが左端や右端に達するタイミングとには、時間差がある。例えば、溶接ロボット1がウィービング左端に相当する位置の指令を出した後、各々のモータがウィービング左端に相当する位置に行くまでには、通信や制御周期などで若干の時間遅れがある。
[0045]
 さらに、ウィービングにおける左端の位置で溶接された電流や電圧を溶接電源7が認識し、フィードバック値として制御装置3に通信し、制御装置3が、フィードバックされた電流や電圧値を認識するまでには、通信遅れ時間がある。制御装置3で、認識した値にローパスフィルタをかけるとフィルタ分だけの遅れ時間がある。
 通常のアーク倣いでは、これらの遅れ時間を、実験により予め試算しており、時間差を調整している。具体的には、左右端を指令したタイミングと、電流波形や電圧波形がピークとなるタイミングが、その時間差に相当するため、単純に時間を測定してやればよい。
[0046]
 すなわち、指令値ベースである左右端の認識と、フィードバックされてきた電流電圧との時間差は既知である。したがって、本実施形態の波形表示技術においても、これらアーク倣いで用いられている時間差を考慮して、波形を表示するとよい。アーク倣いを行わない装置であっても、時間差は、同様の実験により予め試算しておくとよい。
実施例
[0047]
 以下、上記技術により、表示される波形の幾つかを実施例として説明する。
 図2A~図2Cは、従来の表示技術に関するものであって、アーク倣い溶接時の電流波形を示したものである。波形の表示時間は0秒~25秒の範囲である。このように長い時間の波形を示した場合、アーク倣いにズレが生じていたとしても、作業者はそれを認識することが困難である。すなわち、図2A~図2Cに表示された波形は、高周波ノイズを取り除いた波形であるが、単純に画面上にプロットしただけでは、電流波形自体がウィービングやアーク溶接現象の影響等で歪んでおり、作業者にとって理解しにくい波形である。
[0048]
 そこで、アーク倣い溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧の少なくとも1つを、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切って、画面に表示するようにし、作業者(溶接オペレータ)に提示するようにする。
 図3A~図3Cは、1周期をやや超える時間での溶接電流の変化を示したものである。すなわち、溶接トーチ5が右端に達した時点から次に右端に達した時点までの1ウィービング周期を表示するとともに、その1ウィービング周期の前後も表示している。
[0049]
 図3A~図3Cでは、480msec周期でウィービングしている。右端と左端の間隔は240msecである。
 図3Aは、ズレが無い場合の電流波形を示している。この図から明らかなように、右端の最大電流値と、左端の最大電流値がほぼ同じであることが瞬時に把握でき、アーク倣いが正常に行われていることが確認できる。
[0050]
 一方、図3B、図3Cは倣い予定線に対してズレが生じている場合を示している。この図から明らかなように、右端の最大電流値と、左端の最大電流値が大きく異なっており、アーク倣いに異常が発生していることが瞬時に把握できる。
 なお、波形の表示においては、ウィービングの半周期程度、表示する時間を増やすと、見やすくなる。つまり、ウィービング1.5周期分程度を表示すると、右端と左端が、前後の挙動を含めて十分に取れるため、作業者に認識しやすい波形となる。
[0051]
 さらには、表示手法(iv)で示したように、アーク倣いの左右電流差の検出ロジックに使われる点を、丸印などで囲うことで強調すると、右端の最大電流値と左端の最大電流値とがより分かりやすくなる(図3Dを参照)。さらに、電流差(右端の最大電流値と左端の最大電流値との差)を数値として表示するようにすることは非常に好ましい。
 また、表示手法(ii)(iii)で示したように、ウィービング毎に区切った電流波形から、ウィービング毎の平均電流を引いたものや、それらを複数重ねたものを表示するとよい(図4A~図4Cを参照)。
[0052]
 図4Aは、ズレが無い場合の電流波形を示す。右端の最大電流値と、左端の最大電流値がほぼ同じであることが瞬時に把握できる。ウィービング毎の平均電流を引いた上で、数周期分の波形を重ねることによって、左右の電流のバランスが極めてよく観察できることがわかる。波形を重ねているため、1周期毎のバラつきによらず、大局的な観察が可能となる。
[0053]
 一方で、図4B、図4Cは、ズレがある場合の電流波形を示す。ウィービング毎の平均電流を引いた上で、数周期分の波形を重ねることによって、右端の最大電流値と左端の最大電流値との差が顕著になって現れている。
 以上述べたように、本発明に係るアーク溶接の表示装置及び表示方法を用いることで、アーク倣い溶接を行うに際し、作業者が、溶接条件と倣いのパラメータを決める際に、画面表示を見て効率よく作業ができ、作業時間や試行回数を短縮することを可能としつつ、現場においても正確なアーク倣い溶接が可能となる。
[0054]
 なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
[0055]
 本出願は、2016年11月11日出願の日本国特許出願(特願2016-220666)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

符号の説明

[0056]
 1 溶接ロボット(溶接装置)
 2 教示ペンダント
 3 制御装置
 4 母材
 5 溶接トーチ
 6 溶接ワイヤ
 7 溶接電源
 8 表示装置

請求の範囲

[請求項1]
 溶接方向に対してトーチを揺動させるウィービング機能を備えた溶接装置に備えられたアーク溶接の表示装置であって、
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧の少なくとも1つを、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切って、画面に表示することを特徴とするアーク溶接の表示装置。
[請求項2]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧から、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電流、もしくは少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電圧を減算し、前記減算後の値を画面に表示することを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接の表示装置。
[請求項3]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切った波形を、数周期分を重ねて画面に表示することを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接の表示装置。
[請求項4]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、ウィービング動作の左端又は右端に対応する位置を示す表示を画面に表示することを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接の表示装置。
[請求項5]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、ウィービング動作の左端又は右端に対応する位置を示す表示を画面に表示することを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接の表示装置。
[請求項6]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、ウィービング動作の左端又は右端に対応する位置を示す表示を画面に表示することを特徴とする請求項3に記載のアーク溶接の表示装置。
[請求項7]
 前記アーク溶接に必要とされる情報を画面に表示することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のアーク溶接の表示装置。
[請求項8]
 溶接方向に対してトーチを揺動させるウィービング機能を備えた溶接装置にてアーク溶接の状況を表示する方法であって、
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧の少なくとも1つを、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切って、表示することを特徴とするアーク溶接の表示方法。
[請求項9]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧から、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電流、もしくは少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎の平均溶接電圧を減算し、前記減算後の値を表示することを特徴とする請求項8に記載のアーク溶接の表示方法。
[請求項10]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、少なくとも1ウィービング周期を含む一定周期毎に区切った波形を、数周期分を重ねて表示することを特徴とする請求項9に記載のアーク溶接の表示方法。
[請求項11]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、ウィービング動作の左端又は右端に対応する位置を示す表示を表示することを特徴とする請求項8に記載のアーク溶接の表示方法。
[請求項12]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、ウィービング動作の左端又は右端に対応する位置を示す表示を表示することを特徴とする請求項9に記載のアーク溶接の表示方法。
[請求項13]
 前記アーク溶接中における溶接電流、もしくは溶接電圧に関し、ウィービング動作の左端又は右端に対応する位置を示す表示を表示することを特徴とする請求項10に記載のアーク溶接の表示方法。
[請求項14]
 前記アーク溶接に必要とされる情報を表示することを特徴とする請求項8~13のいずれか1項に記載のアーク溶接の表示方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 2C]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 3C]

[ 図 3D]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 4C]

[ 図 5A]

[ 図 5B]