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1. (WO2017208359) PROCÉDÉ DE VISUALISATION DE LA DYNAMIQUE MOLÉCULAIRE
Document

明 細 書

発明の名称 分子動態の可視化方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の概要

0006   0007   0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028  

実施例

0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29  

明 細 書

発明の名称 : 分子動態の可視化方法

技術分野

[0001]
 本発明は、多層状態の細胞群に関する分子動態を可視化する方法に関する。

背景技術

[0002]
 細胞に発光タンパク質を発現させ、当該発光タンパク質による生物発光に基づく発光を撮影し、発光画像を取得することが行われている。このように発光画像を取得することで分子動態を可視化することは、注目する遺伝子又はタンパク質の発現の状態の解析等に利用されている。一方で、発光タンパク質の発現量は非常に微量であるため、組織切片や単層培養のような厚みの小さい対象を撮像することで、種々の研究が提案されてきた。
[0003]
 例えば、日本国特開2009-65848号公報には、ほぼ単層状態で培養された細胞内の遺伝子発現解析方法として、細胞核で発現する発光タンパク質をコードする遺伝子を複数の細胞に導入することが開示されている。この文献では、細胞核に局在するようなマーカーシグナルを生じる発光タンパク質を発現させるとともに、発光波長の異なるレポータシグナルを生じる発光タンパク質を細胞全体に発現させることで、細胞核の形状に基づき同一の細胞を追跡する遺伝子発現解析方法が開示されている。
[0004]
 また、日本国特開2014-89193号公報には、ほぼ単層状態で培養された異なる発光色の発光遺伝子を用いて細胞質と細胞核とを標識し、細胞の認識精度を高めることが開示されている。この文献では、細胞核と細胞質とを標識する発光タンパク質の発光波長がなるべく重ならないようにすることにより、細胞認識の精度を向上させることが開示されている。さらに、細胞質を認識することにより、小核、多核、G蛋白受容体(GPCR)、凝集体等といった同一細胞内の多様な画像化可能な成分を他の細胞と区別することが開示されている。
[0005]
 上記何れの文献も、シャーレ等の容器に単層状態で培養した細胞について、発光シグナルを撮影する場合について開示している。このように、発光タンパク質による分子動態の可視化は、厚みの小さい状態でのみ、種々の用途に適用できることを証明してきた。生物発光を種々の研究に適用することで、蛍光で必須とされるような、励起光を撮影の間に照明することなく細胞を可視化できるので、細胞内部における光散乱の影響を受けず、分子動態を忠実に反映した光量を得られる。

発明の概要

[0006]
 特に高さ方向に細胞が重なった多層状態の細胞群について発光画像を取得する場合、細胞ごとの発光シグナルが互いに干渉して、個々の細胞を区別することが困難になることがある。細胞内の分子動態を可視化するにあたっては、細胞ごとに個々に区別できることが好ましい。
[0007]
 本発明は、多層状態の細胞群に関する分子動態を個々の細胞ごとに可視化する方法を提供することを目的とする。
[0008]
 本発明の一態様によれば、可視化方法は、多層状態の細胞群に関する分子動態を可視化する方法であって、可視化の対象としての個々の細胞における細胞内の部分領域に対し発光シグナルを生じうる物質が局在状態で導入された状態で、前記細胞群を含む視野において前記発光シグナルに係る撮影を行う。
[0009]
 本発明によれば、多層状態の細胞群に関する分子動態を個々の細胞ごとに可視化する方法を提供できる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態の概略を示すフローチャートである。
[図2] 図2は、一実施形態を説明するための図であって、細胞核に発光シグナルを生じうる物質を局在させた例の模式図である。
[図3] 図3は、一実施形態を説明するための図であって、細胞核に発光シグナルを生じうる物質を局在させた場合に取得される発光画像の例の模式図である。
[図4] 図4は、一実施形態を説明するための図であって、比較例として発光シグナルを生じうる物質を局在させなかった例の模式図である。
[図5] 図5は、一実施形態を説明するための図であって、比較例として発光シグナルを生じうる物質を局在させなかった場合に取得される発光画像の例の模式図である。
[図6] 図6は、非核局在型の発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpRI201AN-luc2のT-DNA領域を示す図である。
[図7] 図7は、核局在型の発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpRI201AN-luc2NLS3のT-DNA領域を示す図である。
[図8] 図8は、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの各部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ10x)で観察した結果を示す図である。
[図9] 図9は、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの根の部位を、実体顕微鏡SZX16(対物レンズ1x, Zoom 0.8x)で観察した結果を示す図である。
[図10] 図10は、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの根の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を示す図である。
[図11] 図11は、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの根の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で合焦位置を変えながら撮影を行った結果を示す図である。
[図12] 図12は、非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたシロイヌナズナの根の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で合焦位置を変えながら撮影を行った結果を示す図である。
[図13] 図13は、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの根端分裂組織の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を示す図である。
[図14] 図14は、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの根端分裂組織の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で合焦位置を変えながら撮影を行った結果を示す図である。
[図15] 図15は、非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたシロイヌナズナの根端分裂組織の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で合焦位置を変えながら撮影を行った結果を示す図である。
[図16] 図16は、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの子葉の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を示す図である。
[図17] 図17は、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの子葉の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で合焦位置を変えながら撮影を行った結果を示す図である。
[図18] 図18は、非核局在型の発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpcDNA-luc2のCMVプロモーターの下流領域を示す図である。
[図19] 図19は、核局在型の発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpcDNA-luc2NLS3のCMVプロモーターの下流領域を示す図である。
[図20] 図20は、非核局在型の発光遺伝子を用いたプラスミドpGL4.14-NRの領域拡大図である。
[図21] 図21は、核局在型の発光遺伝子を用いたプラスミドpGL4.14N-NRの領域拡大図である。
[図22] 図22は、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたHela細胞の積層化サンプルを、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を示す図である。
[図23] 図23は、非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたHela細胞の積層化サンプルを、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を示す図である。
[図24] 図24は、pcDNA-luc2NLS3を用いて核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたHela細胞の単層培養サンプルの発光を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を示す図である。
[図25] 図25は、pcDNA-luc2を用いて非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたHela細胞の単層培養サンプルの発光を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を示す図である。
[図26] 図26は、pcDNA-luc2NLS3を用いて核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させた細胞各々の発光強度を示す図である。
[図27] 図27は、pcDNA-luc2を用いて非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させた細胞各々の発光強度を示す図である。
[図28] 図28は、pGL4.14-NR又はpGL4.14N-NRを導入したHela細胞にPMA又はDMSOを添加した際の時間経過に対する発光強度の変化の測定結果を示す図である。
[図29] 図29は、核局在型の発光遺伝子luc2-NLS3を含むpGL4.14N-NRを導入したHela細胞を用いたNF-κBのレポーターアッセイにおける倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ40x)による観察結果を示す図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、多層状態の細胞群に関する分子動態を可視化する方法に関する。この方法は、図1に示すように、多層状態の細胞群に含まれる個々の細胞における細胞内の部分領域に、発光シグナルを生じうる物質を局在状態で導入すること(ステップS1)を含む。このステップS1では、後述するような発光画像を取得するための装置又はシステムが使用される。使用者は、この装置又はシステムに対し、ステップS1により部分領域に発光シグナルを生じうる物質を局在させた細胞群をセットする。こうして、発光シグナルを検出する検出デバイスの撮影用の視野に、撮影の対象となる細胞群が配置される。また、この方法は、導入された物質に係る発光シグナルを撮影すること(ステップS2)を含む。装置又はシステムの仕様によっては、これらステップS1とステップS2の少なくとも一部のステップを自動的に実行するように設計することができる。使用者が所定の搬送ラインのスタート位置に対象を置くだけで、検出デバイスの撮像視野への移送及び撮像が実行されうる。
[0012]
 多層状態の細胞群の例としては、植物の組織、動物等の組織、多層状態で培養された培養細胞、iPS細胞又はES細胞といった幹細胞由来の胚様体又はスフェロイドといった組織体、ゲル又は担体内で培養した3次元細胞試料、積層化された細胞シート、自己増殖した細胞又はコロニー、3次元空間に密集した単細胞などが挙げられる。また、細胞群は、in vivoであってもex vivoであってもよい。
[0013]
 上述の方法において、発光シグナルを生じうる物質を局在させる細胞内の部分領域は、細胞膜内部の領域において、当該細胞膜(植物の場合は細胞膜と細胞壁の両方)から任意の距離で3次元的に離間した位置に在る1以上の領域であり、好ましくは細胞内で特定できる体積を有する。ここで「3次元的に離間する」とは、部分領域が、全ての方向において細胞膜とは接触しないように存在することを意味する。核やミトコンドリアを含むオルガネラは、これらを囲う細胞膜とは3次元的に離間している。よって、細胞内に細胞膜から3次元的に離れた領域で自己発光(生物発光又は化学発光)することで、3次元的に隣接又は接近している状態の他の細胞に対して自己発光が干渉することを有効に防止する。ここで、細胞膜は、自己発光しないようにすることが重要である。なぜなら、細胞膜内外の光散乱性は高いので、細胞膜が自己発光すると、膜内外で光散乱が発生して細胞の輪郭を濁らせてしまうからである。一方、部分領域で発生した自己発光は、細胞内をほぼ均一に散乱することで、細胞膜を含む周囲を適度に照らし、輪郭を浮き出させる。かかる部分領域として好適な例は、細胞内小器官である。細胞内小器官のうち、細胞の核はとくに部分領域として好ましい。この場合、発光シグナルを生じうる物質は、核全体を標識してもよいし、核内の部分的なボリュームに標識してもよい。この部分領域は、核に限らず、細胞内で光学的に認識可能でかつ、発光シグナルを生じうる物質で標識可能な部分領域であればよい。部分領域は、例えばミトコンドリア等のオルガネラ等であってもよい。
[0014]
 上述の方法において、発光シグナルを生じうる物質は、蛍光のような励起光を必要としない、化学反応により自己発光する物質であり、分子動態を可視化するためには生物発光であることが好ましい。生物発光としては、細胞内で発現する発光タンパク質であってもよい。生物発光による発光シグナルには、生物発光共鳴エネルギー移動(いわゆるBRET)で生じるシグナルも含まれる。この場合、発光シグナルは、発光タンパク質とそれに応じた基質との発光反応によって発生する生物発光シグナルとなる。すなわち、発光シグナルを生じうる物質は、その物質自体が発光する物質に限らず、他の物質を発光させる物質であってもよい。生物発光による発光シグナルには、生物発光共鳴エネルギー移動(いわゆるBRET)で生じるシグナルも含まれる。さらに、発光シグナルを生じうる物質は、例えばレポーターアッセイに用いられる発光タンパク質であってもよい。すなわち、発光シグナルを生じうる物質は、分子動態を可視化する対象であるタンパク質をコードする遺伝子とともに発現する発光遺伝子によってコードされた発光タンパク質であってもよい。
[0015]
 また、前記発光シグナルを生じうる物質は、遺伝子発現を介さずに細胞外から導入した物質であってもよい。この場合、物質を局在させる細胞内の部分領域は、例えば、細胞内に導入された有機合成カプセルであってもよい。
[0016]
 上述の方法において、発光シグナルの撮影は、細胞群の厚さ方向の一部の層に対し合焦した状態で行われうる。ここで、「細胞群の厚さ方向の一部」とは、対象の表面付近又は表面から特定の距離の深さに在る細胞が1個以上含まれる撮像のためのボリュームである。この撮像用のボリュームは、特定の深さに在る細胞に加えて、厚さ方向の少なくとも一方(倒立型又は正立型の光学機器においては上下のいずれか一方の側)に別の細胞が1個以上が含まれるような焦点深度の深い(大きい)ボリュームであってもよい。特定の深さに在る細胞が概ね1個だけ含まれるような浅い(小さい)焦点深度である場合には、焦点位置を移動させることにより、それぞれの深さに在る細胞群を多層状態にある細胞群から選んで撮像することができる。合焦の工程は、既存の光学顕微鏡が有する焦点位置調整機構により、任意の厚さ方向に焦点を移動することで実行される。合焦させながら焦点位置を移動するためには、対物レンズを含む結像光学系及び/又は細胞群を保持する可動ステージを移動する機構で実行することができる。焦点位置を厚さ方向に移動させることにより、生体組織のような厚みのある対象について、異なる深さでの可視化が可能となる。さらに好ましい合焦の工程は、厚さ方向の焦点深度を適宜調節できるものである。焦点深度を変更することで、多層状態の細胞群について、異なる厚さでの可視化を実行できる。
[0017]
 一例として、細胞核に発光シグナルを生じうる物質を局在させた場合の模式図を図2に示す。図2は、多層状態をとっている細胞群10を側面から見た図である。細胞群10は、第1の細胞層12と第2の細胞層14とを含む。細胞群10に含まれる各々の細胞20において、発光シグナルを生じうる物質は、核24に局在しており、細胞質22には存在しない。このような細胞群10を細胞が層をなす面と垂直な矢印で示した方向から観察する。合焦面30を第1の細胞層12に合せるものとする。この場合に取得される発光画像の例の模式図を図3に示す。
[0018]
 図3に示すように、各々の細胞20の核24が発光するので、合焦している第1の細胞層12の核24が第1の核画像42として明るく写る。また、合焦していない第2の細胞層14の核24が第2の核画像44としてぼやけて暗く写る。このように、発光シグナルを生じうる物質が核24に局在しているため、異なる細胞に由来する発光シグナルの干渉を低減できる。その結果、得られる画像40では、個々の細胞が区別して高精度で認識されうる。合焦面30の位置を変更することによって、深さ方向に注目する細胞を変更することも可能である。核24から発せられる発光シグナルは、細胞の内側から細胞膜を照らすことで、細胞膜を可視化する。
[0019]
 比較例として、細胞核に発光シグナルを生じうる物質を局在させず、細胞20全体に当該物質が存在する場合の模式図を図4に示す。図4も図2と同様に、第1の細胞層12と第2の細胞層14とを含む細胞群10を側面から見た図である。このような細胞群10を、合焦面30を第1の細胞層12に合せて、細胞が層をなす面と垂直な矢印で示した方向から観察する。この場合に取得される発光画像の例の模式図を図5に示す。
[0020]
 図5に示すように、第1の細胞層12において隣接している複数の細胞20の全体が発光し、さらにこのような細胞層が重なっているので、細胞群10全体が明るく写る。すなわち、複数の細胞で発せられた光が重なり合い、互いに干渉する。その結果、得られる画像50では、個々の細胞を区別して認識することは困難である。
[0021]
 以上のように、可視化の対象としての個々の細胞における細胞内の部分領域に対し発光シグナルを生じうる物質を導入することで、細胞内で局在状態で発光シグナルが自己発光により放出される。この状態で発光シグナルに係る撮影を行うことで、多層状態の細胞群に関する分子動態が安定かつ鮮明に可視化される。さらに、発光シグナルを生じうる物質を細胞内で局在させることにより、発光画像において個々の細胞が識別されうる。その結果、個々の細胞ごとに発光強度等を解析することが可能になる。さらに、発光画像を経時的に取得することで、個々の細胞における発光強度の変化を正確に連続的又は時系列に得ることができる。
[0022]
 例えば、注目する遺伝子の発現量等に応じて発光強度が変化するように調製されたサンプルに対して本実施形態に係る方法を用いれば、個々の細胞ごとに注目する遺伝子の発現量を定量的に解析することが可能になる。その結果、個々の細胞ごとに細胞機能が評価されうる。遺伝子発現の変化をイメージングするレポーターアッセイにおいては、発光シグナルの局在が評価の対象とならないことも多く、このような場合に本実施形態に係る方法が用いられうる。このように、本実施形態によれば、多層状態の細胞群に関する分子動態を個々の細胞ごとに解析できる。
[0023]
 また、核は、細胞ごとに大きさの差異が小さいので、規則的な発光画像を得ることができる。また、核から細胞質への物質移動は起こりにくいので、経時的にも安定した発光画像が得られる。
[0024]
 以上のように、局在させることで不要な光干渉が低減される発光シグナルを生じうる物質の例としては、生物発光を利用した発光タンパク質、発光色素等が挙げられる。発光タンパク質の例としては、ルシフェラーゼが挙げられる。発光タンパク質としてルシフェラーゼが用いられる場合、細胞には、発光基質であるルシフェリンが導入される。また、ルシフェラーゼを細胞の核に局在させるために、例えばnuclear localization signal(NLS)配列といった核局在シグナルをルシフェラーゼ等の発光タンパク質に融合させることができる。また、発光色素の例としては、基質となる物質との酵素反応により発光を示すような発光色素が挙げられ、例えばルミノールが挙げられる。
[0025]
 また、発光シグナルを生じうる物質を細胞内に導入したら即時に発光反応とカップリングするような生化学反応の変化においても、本方法によれば定量的な画像情報を得ることができる。
[0026]
 発光を検出するデバイスとしては、CCD又はCMOS等を用いたイメージセンサ、フォトマルチプライヤー、シンチレーションカウンター等が用いられうる。これら検出デバイスの検出条件(例えば露光時間、ビニング値等)は、細胞を光学的に拡大するための各種レンズの総合的な倍率、それらレンズのN.A.(開口数)、結像レンズの各倍率を考慮した倍率)、対象となる細胞のサイズ、細胞群の密集度(細胞群を構成する細胞の個数)、焦点深度、発光シグナルを生じうる物質の濃度等に応じて、任意に設定してよい。発光シグナルの撮影には、比較的高倍率な顕微鏡が用いられてもよいし、比較的低倍率な実体顕微鏡が用いられてもよいし、その他の画像取得装置が用いられてもよい。検出デバイスは、分子動態に関連する発光シグナルを得るために、任意のインターバルを介して時系列に検出を行うのが好ましい。検出デバイスにより検出された発光シグナルは、画像構築及び/又は画像解析された後、ディスプレイ機器の画面に表示される。画像解析された発光シグナルは、数値又は時系列のグラフとしてディスプレイ機器の画面に表示される。
[0027]
 また、細胞内の発光シグナルを生じうる物質の量が等量であると仮定すると、当該物質を細胞内の部分領域に局在させることで、密度が増加する。その結果、当該物質から発せられる発光シグナルも増加する。これにより、発光シグナルの検出感度が向上し、分子動態をより高感度に可視化できる。
[0028]
 上述の細胞群が例えば植物の組織のように細胞質間連絡があり立体的な構造を有している生物組織である場合、次のような効果も得られる。すなわち、植物細胞には、原形質連絡があるため、細胞間を物質が移動する。このため、1つの細胞に注目していても、発光シグナルを生じうる物質を細胞質に位置させると、当該物質は、隣接する細胞に移行してしまう。このような原形質連絡による物質の細胞間移行を抑止するための一つの方法は、当該物質の分子量を大きくすることである。排除分子量限界は、例えば1k~数十Kdaであり、器官や組織によって異なる。一方、本実施形態のように発光シグナルを生じうる物質を細胞内小器官に局在させると、当該物質の分子量を大きくしなくても、当該物質が細胞質間で移動せず、原形質連絡による細胞間移行を抑止することができる。
実施例
[0029]
 1. 植物の器官毎の発光シグナルの観察
 1.1. 方法
 1.1.1. 形質転換用プラスミドの作製
 植物に発光遺伝子を導入するために2種類のプラスミドを作製した。1つは、植物細胞内に非核局在型発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpRI201AN-luc2である。もう1つは、植物細胞内に核局在型発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpRI201AN-luc2NLS3である。いずれのプラスミドも、pRI201AN(タカラバイオ)の制限酵素サイトに発光遺伝子を組み込むことで作製した。
[0030]
 図6は、非核局在型の発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpRI201AN-luc2のT-DNA領域拡大図を示す。pRI201AN-luc2には、ルシフェラーゼの遺伝子(luc2)が挿入されている。図7は、核局在型の発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpRI201AN-luc2NLS3のT-DNA領域拡大図を示す。pRI201AN-luc2NLS3には、C末端に核局在シグナル(nuclear localization signal; NLS)が3つ連なった配列が付加されたルシフェラーゼの遺伝子(luc2-NLS3)が挿入されている。NLSは、SV40 Large T antigenに類似した哺乳類でしばしば用いられる配列である。
[0031]
 pRI201AN-luc2では、pRI201ANの35Sプロモーターの下流にある制限酵素サイトNdeI及びSalIの間に、非核局在型発光遺伝子を挿入した。非核局在型発光遺伝子は、pGL4.14を鋳型とし、下記の配列を有するプライマーNde_GL4Fw(配列番号1)とプライマーSal_GL4Rev(配列番号2)とを用いたPCR反応によって増幅した。PCR反応産物とpRI201ANとを、制限酵素NdeI及びSalIで消化し、非核局在型発光遺伝子をpRI201ANに挿入した。
[0032]
 pRI201AN-luc2NLS3では、pRI201ANの35Sプロモーターの下流にある制限酵素サイトNdeI及びSalIの間に、核局在シグナルを付加させた発光遺伝子を挿入した。核局在型発光遺伝子は、pGL4.14を鋳型とし、下記の配列を有するプライマーNde_GL4Fw(配列番号1)とプライマーSalNLS3GL4Rev(配列番号3)とを用いたPCR反応によって増幅した。PCR反応産物とpRI201ANとを、制限酵素NdeI及びSalIで消化し、核局在型発光遺伝子をpRI201ANに挿入した。
[0033]
 Nde_GL4Fw:ATGCCATATGGAAGATGCCAAAAACATTAA(配列番号1)
 Sal_GL4Rev:TGCGTCGACTTACACGGCGATCTTGCCGCCCT(配列番号2)
 SalNLS3GL4Rev:GCGTCGACTATACCTTTCTCTTCTTTTTTGGATCTACCTTTCTCTTCTTTTTTGGATCTACCTTTCTCTTCTTTTTTGGATCCACGGCGATCTTGCCGCC(配列番号3)
[0034]
 1.1.2. 土壌細菌へのプラスミドの導入
 pRI201AN-luc2又はpRI201AN-luc2NLS3をエレクトロポレーション法を用いてAgrobacterium tumefaciens LBA4404 Electro-Cells(タカラバイオ)に遺伝子導入した。エレクトロポレーションには、MicroPulser(Bio Rad)を用いた。形質転換は、Agrobacterium tumefaciens LBA4404 Electro-Cellsの説明書(http://catalog.takara-bio.co.jp/PDFS/9115_j.pdf)(参考文献1)に記載の方法で行った。
[0035]
 1.1.3. 植物への遺伝子導入
 Floral Dip法を用いて植物への遺伝子導入を行った。Floral Dip法のプロトコルは、島本功ら監修、「モデル植物の実験プロトコル」、改訂3版、学研メディカル秀潤社、2005年4月、p. 149-154、大門靖史ら著、「4-4 減圧湿潤法および花序浸し法によるシロイヌナズナの形質転換」(参考文献2)に記載のとおりである。
[0036]
 遺伝子導入後の植物から種子を回収して、カナマイシンを含む培地を用いて芽生え時に薬剤耐性を示す株を選択した。薬剤耐性株の選択についても参考文献2に記載のとおりに行った。耐性株を結実するまで栽培し、回収した種子を発光観察の材料とした。
[0037]
 1.1.4. 発光観察用の植物の栽培
 シロイヌナズナの種子を滅菌した後に寒天培地上で4日間~7日間栽培し、発光観察と明視野観察を行った。種子の滅菌は、0.1% 次亜塩素酸ナトリウム、0.02% Triton X-100を含む蒸留水内で攪拌した後、5分間室温で放置し、次いで種子を滅菌蒸留水で5回洗うことにより行った。栽培用の寒天培地は、次のように作製した。蒸留水にガンボーグB5ビタミン入りムラシゲアンドスクーグ培地粉末を2.2 g/lの濃度で調製し、スクロース(和光純薬)(終濃度:1.5%)と寒天末(和光純薬)(終濃度:1.5%)を加え、オートクレーブ後にシャーレに注いで固化させた。滅菌した種子を寒天培地上に播種し、約3日間冷暗所に置いた。その後、シャーレを垂直に立てた状態で約20℃に設定したインキュベータに移して4日間~7日間栽培した。栽培時には、約50-65 μmol m -2 s -1の強度の光を連続で照射した。
[0038]
 1.1.5. 基質溶液の噴霧
 発光観察と明視野観察を行う前に、基質溶液を植物個体全体に噴霧した。基質溶液は2.5 mM D-luciferin(プロメガ)を含む0.05% Tween 20水溶液である。噴霧処理後のシロイヌナズナをガラスボトムディッシュ(松浪硝子工業)に移して観察を行った。
[0039]
 以上のようにして調製したサンプルを観察した。器官レベルでの観察には、倒立型の発光イメージングシステムLV200(オリンパス)又は正立型の実体顕微鏡SZX16(オリンパス)を用いた。細胞レベルでの観察には、倒立型の発光イメージングシステムLV200(オリンパス)を用いた。
[0040]
 1.1.6. LV200による植物の器官ごとの発光シグナルの観察
 発光イメージングシステムLV200(オリンパス)による植物の器官ごとの観察は、10倍の対物レンズUPlanSApo 10x(オリンパス)を用いて行った。LV200による植物の根、根端分裂組織、子葉のそれぞれの詳細な観察は、100倍の対物レンズUPlanFL N 100x(オリンパス)を用いて行った。画像の取得には、EM-CCDカメラImagEM(C9100-13)(浜松ホトニクス)を用いた。発光観察では、EM-CCD読み出しモードを用い、露出時間は488 msから5 sまでの間に設定し、binning 1x1に設定した。明視野観察では、NORMAL-CCD読み出しモードを用い、露出時間は122 msに設定し、binning 1x1に設定した。撮像により取得し保存した各画像を、画像解析ソフトウェアAQUACOSMOS(浜松ホトニクス)又はImageJ(アメリカ国立衛生研究所)を用いて解析した。
[0041]
 1.1.7. SZX16による植物の根の発光シグナルの観察
 実体顕微鏡SZX16(オリンパス)によるシロイヌナズナの根の観察は、1倍の対物レンズPLAPO 1x PF(オリンパス)を用いて行った。画像の取得には、EM-CCDカメラImagEM(C9100-13)(浜松ホトニクス)を用いた。発光観察では、EM-CCD読み出しモードを用い、露出時間は10 sに設定し、binning 1x1に設定した。明視野観察では、NORMAL-CCD読み出しモードを用い、露出時間は122 msに設定し、binning 1x1に設定した。撮像され保存された各画像を、画像解析ソフトウェアAQUACOSMOS(浜松ホトニクス)又はImageJ(アメリカ国立衛生研究所)を用いて解析した。
[0042]
 1.2 結果及び考察
 1.2.1. LV200を用いた植物の器官ごとの観察
 核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの各部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200を用いて低倍率(対物レンズ10x)で観察した結果を図8に示す。図8において、上段は発光観察で取得された発光像を示し、下段は明視野観察で取得された明視野像を示す。左列は子葉と胚軸部分の画像であり、中列は根部分の画像であり、右列は根端分裂組織部分の画像である。何れの部位においても、発光シグナルが検出された。特に、画像中に矢印で示した胚軸や根等の部分に認められる大きい細胞では、1細胞ごとのシグナルを検出できることが明らかになった。
[0043]
 1.2.2. SZX16を用いた植物の器官の観察
 核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの根の部位を、実体顕微鏡SZX16(対物レンズ1x, Zoom 0.8x)で観察した結果を図9に示す。図9において、左図は明視野観察で取得された明視野像を示し、右図は発光観察で取得された発光像を示す。実体顕微鏡を用いても、1細胞ごとのシグナルを検出できることが明らかになった。
[0044]
 1.2.3. LV200を用いた高倍率での観察
 核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの根の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200を用いて高倍率(対物レンズ100x)で観察した結果を図10に示す。図10において、左図は明視野観察で取得された明視野像を示し、右図は発光観察で取得された発光像を示す。図10に示す画像の取得においては、対物レンズに近い位置の表皮細胞(Z = 90 μm)に合焦するように調整した。図10に示すように、複数の発光スポットが観察できた。発光像と明視野像とを比較することで、発光シグナルを示す細胞の位置がおおよそ分かる。例えば、発光像におけるA,B,Cで示した発光は、それぞれ明視野像におけるA,B,Cで示した細胞に係る発光であることが分かる。
[0045]
 さらに、合焦位置を変えながら撮影を行った結果を図11に示す。図11において、上段は発光観察で取得された発光像を示し、下段は明視野観察で取得された明視野像を示す。左列は、Z = 50 μmであり、内部細胞層に相当する部位の画像である。中列は、Z = 70 μmであり、内部細胞層に相当する部位の画像である。右列は、Z = 90 μmであり、対物レンズに近い表皮細胞層に相当する部位の画像である。
[0046]
 異なる合焦位置で撮影を行うことで、表皮細胞や内部細胞層における発光スポットを、それぞれ個別に認識することができた。
[0047]
 コントロールとしての非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたシロイヌナズナの根の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200を用いて高倍率(対物レンズ100x)で観察した結果を図12に示す。図12において、上段は発光観察で取得された発光像を示し、下段は明視野観察で取得された明視野像を示す。左列は、Z = 20 μmであり、表皮細胞層に相当する部位の画像である。右列は、Z = 55 μmであり、内部細胞層に相当する部位の画像である。図12に示すように、非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたシロイヌナズナでは、細胞ごとに発光シグナルを区別することは難しい。図11と図12とを比較すると、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させて発光タンパク質を細胞核に局在させることで、1細胞ごとに特定してシグナルを検出することができることが明らかになった。
[0048]
 核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの根端分裂組織の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を図13に示す。図13において、左図は明視野観察で取得された明視野像を示し、右図は発光観察で取得された発光像を示す。図13に示す画像の取得においては、対物レンズに近い位置(Z = 70 μm)の表皮細胞に合焦するように調整した。図13に示すように、複数の異なる表皮細胞が発する発光シグナルをそれぞれ個別に識別できた。
[0049]
 さらに、合焦位置を変えながら撮影を行った結果を図14に示す。図14において、上段は発光観察で取得された発光像を示し、下段は明視野観察で取得された明視野像を示す。左列から順に、Z = 30 μm、Z = 40 μm、Z = 50 μm、Z = 60 μm、Z = 70 μm、Z = 84 μmの部位の画像を示す。対物レンズに近い位置の表皮細胞層と対物レンズから少し遠い外側の表皮細胞とが、異なる焦点位置で撮影することによって区別できた。
[0050]
 コントロールとしての非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたシロイヌナズナの根端分裂組織の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を図15に示す。図15において、上段は発光観察で取得された発光像を示し、下段は明視野観察で取得された明視野像を示す。左列から順に、Z = 70 μm、Z = 80 μm、Z = 90 μm、Z = 100 μm、Z = 110 μmの部位の画像を示す。図15に示すように、非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたシロイヌナズナでは、表皮細胞であっても細胞ごとに発光シグナルを区別することは困難であった。図14と図15とを比較すると、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させて発光タンパク質を細胞核に局在させることで、1細胞ごとに特定してシグナルを検出することができることが明らかになった。
[0051]
 核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの子葉の部位を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を図16に示す。図16において、左図は明視野観察で取得された明視野像を示し、右図は発光観察で取得された発光像を示す。図16に示す画像の取得においては、対物レンズに近い位置(Z = 120 μm)の表皮細胞に合焦するように調整した。ただし、サンプルの表面が水平でないために、一部分にしか合焦していない。図16に示すように、複数の異なる表皮細胞が発する発光シグナルを、それぞれ個別に認識できた。
[0052]
 さらに、合焦位置を変えながら撮影を行った結果を図17に示す。図17において、上段は発光観察で取得された発光像を示し、下段は明視野観察で取得された明視野像を示す。左列から順に、Z = 80 μm、Z = 100 μm、Z = 120 μm、Z = 140 μmの部位の画像を示す。斜めに拡がっている表皮細胞が、それぞれ異なる焦点位置で区別して認識できた。
[0053]
 1.3. まとめ
 以上のように、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたシロイヌナズナの観察では、多くの細胞層から構成されている厚みのある子葉、根などの器官において、表皮細胞の発光シグナルを細胞ごとに区別して検出することができた。内部の細胞については、器官ごとに区別できる場合と区別できない場合とがあった。これには、細胞の大きさや透明度などが影響していると考えられる。核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を用いて発光シグナルを細胞ごとに区別して検出できることは、非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させて、細胞全体に発光タンパク質が存在する状態におけるシロイヌナズナの観察では各細胞の発光シグナルの認識精度は低くなるのとは対照的であった。
[0054]
 上に示したような、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させることで細胞ごとに識別されうるシロイヌナズナの画像は、経時的に複数の発光画像を取得するタイムラプス撮影の場合にも得られた。このような画像では、細胞ごとに一定の動態変化の傾向が見られた。このように、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させることで、分子動態を可視化し、多層状態の細胞についての正確なモニタリング又は解析を実施できることが明らかになった。
[0055]
 2. Hela細胞を用いたシグナル強度の定量評価
 2.1. 方法
 2.1.1. 形質転換用プラスミドの作製
 2.1.1.1. pcDNA-luc2とpcDNA-luc2NLS3との作製
 核局在型発光遺伝子と非核局在型発光遺伝子とをHela細胞内に発現させた際の発光強度を比較するために、2種類のプラスミドを作製した。1つは、Hela細胞内に非核局在型発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpcDNA-luc2である。もう1つは、Hela細胞内に核局在型発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpcDNA-luc2NLS3である。いずれのプラスミドも、pcDNA3.1(+)(Thermo Fisher Scientific)のMultiple Cloning Siteに存在する制限酵素サイトに発光遺伝子を組み込むことで作製した。
[0056]
 図18は、非核局在型の発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpcDNA-luc2のCMVプロモーターの下流領域拡大図を示す。pcDNA-luc2には、ルシフェラーゼの遺伝子(luc2)が挿入されている。図19は、核局在型の発光遺伝子を発現させるためのプラスミドpcDNA-luc2NLS3のCMVプロモーターの下流領域拡大図を示す。pcDNA-luc2NLS3には、C末端に核局在シグナル(nuclear localization signal; NLS)が3つ連なった配列が付加されたルシフェラーゼの遺伝子(luc2-NLS3)が挿入されている。
[0057]
 pcDNA-luc2では、pcDNA3.1(+)のCMVプロモーターの下流にある制限酵素サイトEcoRI及びXhoIの間に、非核局在型発光遺伝子を挿入した。非核局在型発光遺伝子は、pGL4.14を鋳型とし、下記の配列を有するプライマーERI_GL4Fw(配列番号4)と上述のプライマーSal_GL4Rev(配列番号2)とを用いたPCR反応によって増幅した。PCR反応産物を、制限酵素EcoRI及びSalIで消化し、非核局在型発光遺伝子をpcDNA3.1(+)に挿入した。XhoIの消化によって生じたDNAの突出末端とSalIの消化によって生じたDNAの突出末端は、一般的なDNAリガーゼ反応によって結合させることが可能である。
[0058]
 pcDNA-luc2NLS3では、pcDNA3.1(+)のCMVプロモーターの下流にある制限酵素サイトEcoRI及びXhoIの間に、核局在型発光遺伝子を挿入した。核局在型発光遺伝子は、pGL4.14を鋳型とし、上述のプライマーERI_GL4Fw(配列番号4)とプライマーSalNLS3GL4Rev(配列番号3)とを用いたPCR反応によって増幅した。PCR反応産物を、制限酵素EcoRI及びSalIで消化し、非核局在型発光遺伝子をpcDNA3.1(+)に挿入した。XhoIの消化によって生じたDNAの突出末端とSalIの消化によって生じたDNAの突出末端は、一般的なDNAリガーゼ反応によって結合させることが可能である。
[0059]
 ERI_GL4Fw:AATGGAATTCATGGAAGATGCCAAAAACATTAA(配列番号4)
[0060]
 2.1.1.2. pGL4.14-NRとpGL4.14N-NRとの作製
 核局在型発光遺伝子と非核局在型発光遺伝子とを用いたレポーターアッセイをHela細胞を用いて行うために、2種類のプラスミドを作製した。1つは、Hela細胞内で非核局在型発光遺伝子が発現するプラスミドpGL4.14-NRである。もう1つは、Hela細胞内で核局在型発光遺伝子が発現するプラスミドpGL4.14N-NRである。いずれのプラスミドも、pGL4.14(Promega)のMultiple Cloning Siteに存在する制限酵素サイトに発光遺伝子を組み込むことで作製した。
[0061]
 図20は、非核局在型の発光遺伝子を用いたプラスミドpGL4.14-NRの領域拡大図を示す。pGL4.14-NRには、NF-κB response elementとその下流のルシフェラーゼの遺伝子(luc2)とが挿入されている。図21は、核局在型の発光遺伝子を用いたプラスミドpGL4.14N-NRの領域拡大図を示す。pGL4.14N-NRには、NF-κB response elementとその下流のC末端に核局在シグナル(nuclear localization signal; NLS)が3つ連なった配列が付加されたルシフェラーゼの遺伝子(luc2-NLS3)とが挿入されている。
[0062]
 pGL4.14-NRの作製では、pGL4.14の発光遺伝子の上流にある制限酵素サイトKpnI及びHindIIIの間に、NF-κB response elementを挿入した。NF-κB response elementは、NFkB(1) Luciferase Reporter Vector(Panomics)をKpnI及びHindIIIで消化して取り出した約110 bpの配列を利用した。
[0063]
 pGL4.14N-NRの作製では、初めにpGL4.14の発光遺伝子を核局在シグナルを付加させた発光遺伝子に入れ替えた。入れ替えは制限酵素のHindIIIとFseIの認識配列の間で行った。核局在シグナルを付加させた発光遺伝子はpcDNA-luc2NLS3を鋳型とし、下記の配列を有するプライマーHinGL4.14Fw(配列番号5)とプライマーFseIXbaNLS3GL4Rev(配列番号6)とを用いたPCR反応によって増幅した。PCR反応産物を、制限酵素HindIII及びFseIで消化し、核局在型発光遺伝子をpGL4.14に挿入した。続いて、発光遺伝子の上流にある制限酵素サイトKpnI及びHindIIIの間に、NF-κB response elementを挿入した。NF-κB response elementは、NFkB(1) Luciferase Reporter VectorをKpnI及びHindIIIで消化して取り出した約110 bpの配列を利用した。
[0064]
 HinGL4.14Fw:GGCCAAGCTTGGCAATCCGGTACTGTTGGTAAAGCCACCATGGAAGATGCCAAAAACATTAA(配列番号5)
 FseIXbaNLS3GL4Rev:AAGCGGCCGGCCGCCCCGACTCTAGAAACTCGACTATACCTTTCTCTT(配列番号6)
[0065]
 2.1.2. Hela細胞の培養、遺伝子導入、安定発現株の作製
 Hela細胞の培養は、DMEM(Sigma-Aldrich)に10% FBS(SERANA)と1% ペニシリン-ストレプトマイシン-アンホテリシンB混合溶液(Antibiotic-Antimycotic, 100X, カタログ番号:15240062)(Thermo Fisher Scientific)を添加した培地で行った。
[0066]
 遺伝子の導入には、FuGene HD(Promega)を利用した。実験プロトコルは、Promegaのウェブサイトにあるプロトコルデータベース(http://www.promega.com/techserv/tools/FugeneHdTool/)において、Cell line: Hela細胞、Plate tyoe: 35mm dishで検索される結果(参考文献3)の通りである。
[0067]
 非核局在型発光遺伝子の安定発現株の作製には、pcDNA-luc2を用いた。核局在型発光遺伝子の安定発現株の作製には、pcDNA-luc2NLS3を用いた。それぞれ、遺伝子導入後のHela細胞を最終濃度が625 μg/mlとなるようにGeneticin(Thermo Fisher Scientific)を添加した培地で選択し、限界希釈法でクローニングすることによって、安定発現株を得た。
[0068]
 2.1.3. Hela細胞の積層化サンプルの作製
 非核局在型発光遺伝子又は核局在型発光遺伝子の安定発現株の積層化サンプルは、UpCell(セルシード)及びCellShifter(セルシード)を用いて作製した。実験プロトコルは、セルシードのカタログ(http://www.cellseed.com/product/img/CellSeed_New_Brochure01.pdf)(参考文献4)の9ページに記載の通りである。
[0069]
 2.1.4. Hela細胞の積層化サンプルの観察
 積層化サンプルについては、積層後に1日間培養した後に、培地をDMEMに1 mMのD-luciferinを添加した培地に交換した。培地交換後、LV200(オリンパス)で100倍の対物レンズUPlanFL N 100x(オリンパス)を用いて、積層化サンプルの撮影を行った。画像の取得には、EM-CCDカメラImagEM(C9100-13)(浜松ホトニクス)を用いた。発光観察では、EM-CCD読み出しモードを用い、露出時間は5 sから10 sまでの間に設定し、binning 1x1に設定した。
[0070]
 2.1.5. Hela細胞の単層培養時の発光シグナルの観察とシグナル強度の定量評価
 核局在型発光遺伝子を発現させたHela細胞及び非核局在型発光遺伝子を発現させたHela細胞を用いて、発光画像の強度比較を行った。pcDNA-luc2又はpcDNA-luc2NLS3の導入を行った後約24時間後の細胞を用いた。また、pGL4.14-NR又はpGL4.14N-NRの導入を行った後約4時間後の細胞を用いた。LV200(オリンパス)で100倍の対物レンズUPlanFL N 100x(オリンパス)を用いて撮像した。画像の取得には、EM-CCDカメラImagEM(C9100-13)(浜松ホトニクス)を用いた。発光観察では、EM-CCD読み出しモードを用い、露出時間は10 sに設定し、binning 1x1に設定した。
[0071]
 それぞれの発光画像上において、核由来の発光シグナルを示す領域と細胞全体に由来する発光シグナルを示す領域を約60領域ずつ選び出し、発光シグナルの強度分布をt検定により統計解析した。
[0072]
 2.2. 結果及び考察
 2.2.1. Hela細胞の積層化サンプルの観察
 核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたHela細胞の積層化サンプルを、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を図22に示す。図22において、左図は明視野観察で取得された明視野像を示し、右図は発光観察で取得された発光像を示す。図22に示すように、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させたHela細胞の積層化サンプルでは、細胞ごとに発光シグナルを個別に認識できた。
[0073]
 比較例として、非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたHela細胞の積層化サンプルを、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を図23に示す。図23において、左図は明視野観察で取得された明視野像を示し、右図は発光観察で取得された発光像を示す。図23に示すように、非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させたHela細胞の積層化サンプルでは、細胞ごとに発光シグナルを認識することは困難であった。
[0074]
 2.2.2. Hela細胞の単層培養時の発光シグナルの観察とシグナル強度の定量評価
 Hela細胞の単層培養サンプルの発光を、倒立型の発光イメージングシステムLV200(対物レンズ100x)で観察した結果を図24及び図25に示す。図24は、pcDNA-luc2NLS3を用いて核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させた細胞の発光画像である。図25は、pcDNA-luc2を用いて非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させた細胞の発光画像である。得られた画像において、図24及び図25に四角形で示すように、細胞核内の領域に面積が等しい関心領域(region of interest; ROI)を設定した。
[0075]
 pcDNA-luc2NLS3を用いて核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を発現させた細胞各々の発光強度を図26に示す。各点が、1つの細胞の発光強度を示す。同様に、pcDNA-luc2を用いて非核局在型のルシフェラーゼLucを発現させた細胞各々の発光強度を図27に示す。
[0076]
 図26及び図27に示す発光シグナルの強度分布をt検定により統計解析した。その結果、1~5%の水準の有意性をもって、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3の方が、非核局在型のルシフェラーゼLucよりも発光強度が強いことが明らかになった。
[0077]
 核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を利用して発光タンパク質が発現する領域を細胞核に限定することで、発光タンパク質の密度が高くなり、発光シグナルの凝縮(濃縮)作用によって発光シグナル強度が増強すると考えられる。このことは、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3を利用することで、発光画像を用いた定量的な解析の精度を向上させることができることを示している。
[0078]
 3. レポーターアッセイの定量評価
 3.1. 方法
 3.1.1. レポーターアッセイの定量評価
 NF-κB response elementの下流に非核局在型の発光遺伝子luc2が配置されたpGL4.14-NR、又はNF-κB response elementの下流に核局在型の発光遺伝子luc2-NLS3が配置されたpGL4.14N-NRをHela細胞に導入した。pGL4.14-NR又はpGL4.14N-NRの導入を行ってから4時間後のHela細胞の培地を、DMEMに0.5 mMのD-luciferinを添加した培地に交換した。
[0079]
 培地交換後、培養容器をルミノメーター クロノス(アトー)にセットして発光シグナルの経時変化を記録した。各データポイントの発光シグナルは、10秒間に得られたシグナルの和とし、5分ごとに計測を行った。
[0080]
 培地交換から約5時間後に、NF-κBを活性化させるPMA(終濃度30 ng/ml)を添加し、さらに17時間計測を続けた。また、対照実験として、培地交換から約5時間後に、DMSO(終濃度0.03%)を添加し、さらに17時間計測を続けた。
[0081]
 3.1.2. レポーターアッセイ時の発光シグナルの観察
 pGL4.14N-NRを導入したHela細胞の培地を、DMEMに0.5 mM D-luciferinを添加した培地に交換した。培地交換後、LV200(オリンパス)で40倍の対物レンズUPlanFL N 40x(オリンパス)を用いて撮像した。培地交換から約6時間後に最終濃度が30 ng/mlとなるようにPMAを添加し、約8時間連続で観察を行った。
[0082]
 3.2. 結果及び考察
 3.2.1. ルミノメーターによる発光強度の変化の測定
 pGL4.14-NR又はpGL4.14N-NRを導入したHela細胞にPMA又はDMSOを添加した際の時間経過に対する発光強度の変化の測定結果を図28に示す。実線は、pGL4.14-NRを導入したHela細胞にPMAを添加した結果を示し、一点鎖線はpGL4.14-NRを導入したHela細胞にDMSOを添加した結果を示す。破線は、pGL4.14N-NRを導入したHela細胞にPMAを添加した結果を示し、点線はpGL4.14N-NRを導入したHela細胞にDMSOを添加した結果を示す。矢印Eで示した計測開始から263.7 min後にPMA又はDMSOを添加した。
[0083]
 図28に示すとおり、非核局在型の発光遺伝子luc2を含むpGL4.14-NRを導入したHela細胞においても、核局在型の発光遺伝子luc2-NLS3を含むpGL4.14N-NRを導入したHela細胞においても、PMAを添加した後に、同様に発光強度が上昇することが明らかになった。発光強度は、PMA添加後約7時間で最高になり、その後減少した。一方、pGL4.14-NRを導入したHela細胞においても、pGL4.14N-NRを導入したHela細胞においても、DMSOを添加した際に発光強度はほとんど変化しなかった。
[0084]
 3.2.2. LV200による発光強度の変化の観察
 核局在型の発光遺伝子luc2-NLS3を含むpGL4.14N-NRを導入したHela細胞のNF-κBのレポーターアッセイにおいて、倒立型の発光イメージングシステムLV200で発光の状況を確認した。LV200(対物レンズ40x)による観察結果を図29に示す。図29において、左図は明視野観察で取得された明視野像を示し、右図は発光観察で取得された発光像を示す。各細胞において、PMA添加後5-8時間で発光強度がピークを示すことが確認できた。
[0085]
 以上のとおり、核局在型のルシフェラーゼLuc-NLS3は、レポーターアッセイにも用いられうることが確認できた。
[0086]
 上記実施例では、核局在型の発光遺伝子を用いたプラスミドpGL4.14N-NRを例にしたが、他のresponse elementとその下流のC末端に核局在シグナル(nuclear localization signal; NLS)が付加されたルシフェラーゼの遺伝子が挿入されたプラスミドであってもよく、NLSの付加の態様も種々変更してよい。また、細胞核だけでなく、他のオルガネラ(例えばミトコンドリア)も発光を生じうる物質で標識することで、発光強度を意図的に高めることも可能である。

請求の範囲

[請求項1]
 多層状態の細胞群に関する分子動態を可視化する方法であって、
 可視化の対象としての個々の細胞における細胞内の部分領域に対し発光シグナルを生じうる物質が局在状態で導入された状態で、
 前記細胞群を含む視野において前記発光シグナルに係る撮影を行う可視化方法。
[請求項2]
 前記部分領域は、前記細胞の細胞膜から3次元的に離間した位置に在る、請求項1に記載の可視化方法。
[請求項3]
 前記撮影は、前記細胞群の厚さ方向の一部の層に対し焦点を合わせた状態で行う、請求項1又は2に記載の可視化方法。
[請求項4]
 前記部分領域は、細胞内小器官又は合成カプセルである、請求項1に記載の可視化方法。
[請求項5]
 前記部分領域は細胞核であり、
 前記発光シグナルを生じうる物質は核全体を標識する、
 請求項4に記載の可視化方法。
[請求項6]
 前記細胞群は、細胞質間の連絡がある立体的な生物組織である、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の可視化方法。
[請求項7]
 前記発光シグナルを生じうる物質は、前記分子動態を可視化する対象であるタンパク質をコードする遺伝子とともに発現する発光遺伝子によってコードされた発光タンパク質であり、
 前記発光シグナルは、前記発光タンパク質と基質との発光反応によって発生する生物発光シグナルである、
 請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の可視化方法。
[請求項8]
 前記発光シグナルを生じうる物質はルシフェラーゼである、請求項7に記載の可視化方法。
[請求項9]
 前記発光シグナルを生じうる物質は、遺伝子発現を介さずに細胞外から導入した物質である、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の可視化方法。

図面

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[ 図 3]

[ 図 4]

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[ 図 7]

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[ 図 28]

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