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1. WO2012053277 - DISPOSITIF SANS FIL

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明 細 書

発明の名称 無線機

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015  

先行技術文献

特許文献

0016  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0017   0018   0019  

課題を解決するための手段

0020  

発明の効果

0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024  

実施例 1

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070  

実施例 2

0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113  

産業上の利用可能性

0114  

符号の説明

0115  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1 (R26)   2 (R26)   3   4 (R26)   5 (R26)   6   7   8 (R26)  

明 細 書

発明の名称 : 無線機

技術分野

[0001]
 本発明は、無線機に係り、特に、トーンスケルチ信号検出においてトーン信号を確実に検出し、検出時間を短縮できる無線機に関する。

背景技術

[0002]
[従来の技術]
 無線機において、無信号時にスピーカから出力される耳障りで不快な雑音(ノイズ)や、交信する必要のない相手方の送信する音声を遮断し、無音状態にするためにスケルチ回路が設けられる。
[0003]
[スケルチ回路の方式]
 スケルチ回路の方式には、(1)キャリアスケルチ、(2)ノイズスケルチ、(3)トーンスケルチ、(4)デジタルコードスケルチがある。
 キャリアスケルチは、受信キャリアのレベルによりスピーカをミュート(消音)する方式である。ノイズスケルチは、復調器出力のノイズ成分を検出し、そのレベルによりスピーカをミュートする方式である。両者は送信側で特別な信号を付加する必要がない。
[0004]
 一方、トーンスケルチは、ベースバンド信号の低域(例えば0~300Hzの帯域)にトーンを重畳し、受信側でそのトーンを検出してスピーカのミュートの制御を行う方式である。デジタルコードスケルチは、ベースバンド信号の0~300Hzの帯域にNRZ(Non Return to Zero)の符号列を重畳して、受信側でその符号列を検出してスピーカのミュートの制御を行う方式である。
 以下、トーンスケルチに関して、従来技術の説明を行う。
[0005]
[トーンスケルチ信号]
 例えば、標準規格「400MHz帯簡易無線局の無線設備」(RCR STD-10 4.1版)では、67Hzから250.3Hzの周波数範囲の中に、33種類(周波数)のトーンスケルチ信号が規定されている。
 上記標準規格に準拠した無線機では、これら33種類のトーンスケルチ信号の全てを識別する必要がある。これら33種類のトーンスケルチ信号の中で、周波数が最も隣接しているのは100Hzのトーンスケルチ信号と103.5Hzのトーンスケルチ信号であり、その差は3.5Hzである。
[0006]
[従来の第1のトーンスケルチ検出部:図8(a)]
 従来の第1のトーンスケルチ検出部について図8(a)を参照して説明する。図8(a)は、従来の第1のトーンスケルチ検出部の構成ブロック図である。尚、図8(a)の構成では、バンドパスフィルタ(BPF)でトーン成分を検出する方法を用いる。
 従来の第1のトーンスケルチ検出部は、図示のように、ローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter:低域通過フィルタ)801と、ダウンサンプラ(DS)802と、バンドパスフィルタ(BPF)803と、2乗演算部804と、ローパスフィルタ(LPF)805と、判定部806と、前方/後方保護処理部807とを備えている。
[0007]
[従来の第1のトーンスケルチ検出部の動作]
 従来の第1のトーンスケルチ検出部の動作を説明する。
 LPF801により、ベースバンド信号から300Hz以下の成分のみを取り出し、ダウンサンプラ702によりサンプリング周波数を落とした後、BPF803により所望のトーン周波数成分のみ抽出する。
[0008]
 BPF803により抽出したトーン信号をする目的で2乗演算部804とLPF805に通し、判定部806でそのレベル判定を行い、判定しきい値より高い場合は”1”を、そうでない場合は”0”を、前方/後方保護処理部807に入力する。
 前方/後方保護処理部807は、後方保護段数N B 回連続で”1”が入力されると”1”を出力し、アンミュート制御を行い、前方保護段数N F 回連続で”0”が入力されると”0”を出力し、ミュート制御を行う。
[0009]
 ここで、LPF801は、その後段のダウンサンプラ802でダウンサンプルすることによる周波数の折り返しを防ぐ目的で用いられているので、急峻な特性である必要はなく、群遅延は小さくできる。
 しなしながら、BPF803は、前述の33種類のトーン信号を識別するため、例えば、通過域をf TONE-2Hz≦f≦f TONE+2Hz、遮断域をf≦f TONE-3Hz,f≧f TONE+3Hz(f TONEは識別しようとするトーン信号の周波数)のように狭帯域とする必要があり、このような条件でフィルタを設計すると、群遅延が100~200msと大きくなってしまう。
[0010]
 さらに、BPF805(例えば80ms)と前方/後方保護処理部807(例えば70ms)で遅延が発生(合計360ms=200+80+80)するため、上述の標準規格で規定される受信レスポンスタイム250ms以下を実現するのが困難である。
[0011]
[従来の第2のトーンスケルチ検出部:図8(b)]
 従来の第2のトーンスケルチ検出部について図8(b)を参照しながら説明する。図8(b)は、従来の第2のトーンスケルチ検出部の構成ブロック図である。尚、図8(b)の構成では、時間波形の周期検出による方法を用いる。
 従来の第2のトーンスケルチ検出部は、図示のように、ローパスフィルタ(LPF)808と、周期検出部809と、判定部810と、前方/後方保護処理部811とを備えている。
[0012]
[従来の第2のトーンスケルチ検出部の動作]
 従来の第2のトーンスケルチ検出部の動作を説明する。
 LPF808により、ベースバンド信号から例えば250Hz以下の成分を取り出し、周期検出部809によりその周期を検出し、判定部810に入力する。
 判定部810は、入力された周期が所望のトーン信号の周波数に対応する周期の範囲に入っているか否かを判定し、範囲内であれば”1”を、そうでなければ”0”を前方/後方保護処理部811に入力する。
 前方/後方保護処理部811は、従来の第1のトーンスケルチ検出部の場合と同様の動作をし、その結果により、スピーカのアンミュートの制御、又はミュートの制御を行う。
[0013]
 ここで、LPF808は、上記した標準規格で規定されるトーンスケルチ信号で最も高い周波数は250.3Hzであることから、通過域はf≦250Hzに設定し、音声帯域が300Hz以上であることから、遮断域(阻止域)はf≧300Hzに設定する。
 第2のトーンスケルチ検出部では、周期検出によりトーンスケルチ信号の周波数を推定するので、例えば、推定周波数誤差を所望のトーンスケルチ信号の周波数の3%以内とするためには、サンプリング周波数はf s ≧f TONE/0.03=250.3Hz/0.03=8.3kHz(f TONEを最高周波数の250.3Hzとした場合)となり、トーンスケルチ信号の周波数の30倍以上のサンプリング周波数が必要となる。
[0014]
 また、周期検出はゼロクロス(交流電源のオン・オフの切り替えの際に交流電圧のゼロ地点(ゼロクロス点)の通過を検出する)により行うため、受信キャリアの周波数偏差により現れるベースバンド信号のDCオフセット除去が必要となる。
 更に、受信入力の信号のピーク電力と雑音のピーク電力が等しくなるスレッショールドレベルより低い受信入力レベルにおいては、ベースバンド信号にパルス状の雑音が現れるため、周期検出の精度が大幅に劣化する。
[0015]
[関連技術]
 尚、関連する先行技術として、特開2009-177523号公報「FM無線受信装置」[特許文献1]がある。

先行技術文献

特許文献

[0016]
特許文献1 : 特開2009-177523号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0017]
 従来の第1のトーンスケルチ検出部における帯域幅の狭い(Qの高い)BPFにより所望のトーン成分を検出する方法では、BPFの群遅延が大きくなるという問題点があった。
[0018]
 また、従来の第2のトーンスケルチ検出部における時間波形の周期を検出して周波数を推定する方法では、サンプリング周波数を信号成分に対して非常に高くする必要があり、更にDCオフセット補正が必要であるため、低受信入力レベルでの検出精度が劣化するという問題点があった。
[0019]
 本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、第1の目的は、トーンスケルチ信号を短時間で確実に検出する無線機を提供することにあり、第2の目的は、周波数検出に必要なサンプリング周波数を低くすることのできる無線機を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0020]
 上記課題を解決するために、本発明に係る無線機にあっては、受信ベースバンド信号に含まれるトーンスケルチ信号を検出する無線機であって、前記受信ベースバンド信号を、予め設定された前記トーンスケルチ信号の周波数分だけ負の周波数方向にシフトする周波数シフト部と、前記周波数シフト部の出力から不要周波数成分を除去するLPFと、前記LPFの出力に基づいてトーンスケルチ信号の有無を判定する判定部と、を備えるように構成した。

発明の効果

[0021]
 本発明によれば、受信ベースバンド信号に含まれるトーンスケルチ信号を検出する無線機であって、前記受信ベースバンド信号を、予め設定された前記トーンスケルチ信号の周波数分だけ負の周波数方向にシフトする周波数シフト部と、前記周波数シフト部の出力から不要周波数成分を除去するLPFと、前記LPFの出力に基づいてトーンスケルチ信号の有無を判定する判定部と、を備えるように構成したので、トーンスケルチ信号を短時間で確実に検出することができる。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1] 本発明の第1の実施の形態に係る無線機の構成を示すブロック図
[図2] 図1のトーンスケルチ検出部の構成を示すブロック図
[図3] 図1のトーンスケルチ検出部における内部信号スペクトルを示す図
[図4] 本発明の第2の実施の形態に係る無線機の構成を示すブロック図
[図5] 図4に示すトーンスケルチ検出部の構成を示すブロック図
[図6] 図4のトーンスケルチ検出部における内部信号スペクトルを示す図
[図7] 図4のトーンスケルチ検出部で実行される処理の概要を示す説明図
[図8] 従来のトーンスケルチ検出部の構成を示すブロック図

発明を実施するための形態

[0023]
 本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[0024]
[無線機]
 本発明の実施の形態に係る無線機は、アナログFM(Frequency Modulation)変調方式の無線機であり、図1にその構成を示す。
 なお、図1に示す無線機では、上述した標準規格のトーンスケルチ信号を用いるものとする。
実施例 1
[0025]
 図1に示すように、無線機1は、アンテナ101と、アンテナスイッチ102と、受信RF(Radio Frequency)/IF(Intermediate Frequency)部103と、A/D(Analogue to Digital)変換器104と、周波数復調部105と、BPF(Band Pass Filter:帯域通過フィルタ)108と、D/A(Digital to Analogue)変換器109と、オーディオアンプ110と、スピーカ111と、トーンスケルチ検出部112とを備えている。
[0026]
 なお、A/D変換器104と周波数復調部105の代わりに、接続の順序を逆にし、周波数復調部106とA/D変換器107で構成するようにしてもよい。ここで、周波数復調部106は、アナログ回路によって周波数復調を行うものである。
 また、無線機1は送信系も備えるが、送信系の構成は、トーンスケルチ機能を搭載した一般的なアナログFM変調方式の無線機と同様であり、本発明の要旨とは直接の関係を有しないため図示および説明は省略する。
[0027]
[受信動作]
 アンテナ101から受信したFM変調信号は、アンテナスイッチ102を経由して受信RF/IF部103で増幅され、周波数変換されてIF信号となる。
 IF信号は、A/D変換器104でサンプリングされ、量子化されてデジタル信号に変換される。
 変換されたデジタル信号は、周波数復調部105で周波数復調され、ベースバンド信号がBPF108とトーンスケルチ検出部112に入力される。
[0028]
 若しくは、受信RF/IF部103で周波数変換されたIF信号は、周波数部106で周波数復調され、更にA/D変換器107でサンプリングされ、量子化されてデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は、BPF108とトーンスケルチ検出部112に入力される。
[0029]
 BPF108は、周波数復調部105あるいはA/D変換器107から入力されるベースバンド信号から音声成分である300Hz~3kHzの成分を取り出し、D/A変換器109でアナログ信号に変換し、その後、オーディオアンプ110を経由してスピーカ111に出力される。
[0030]
 尚、BPF108とD/A変換器109との間、あるいはD/A変換器109とオーディオアンプ110との間には、一般に、出力電圧が周波数に逆比例する処理を施すディエンファシス(de-emphasis)回路、音声信号のダイナミックレンジを伸長するエキスパンダ回路、秘話を解除する秘話解除回路が含まれるが、ここでは省略する。
[0031]
 トーンスケルチ検出部112は、周波数復調部105或いはA/D変換器107から入力されるベースバンド信号から0~300Hzの成分を抽出し、その中に含まれるトーン信号の識別を行い、所望のトーン信号が含まれる場合に、オーディオアンプ110に対してアンミュート(発音)の制御を行い、所望のトーン信号が含まれない場合はミュート(消音)の制御を行う。
[0032]
[トーンスケルチ検出部]
 本発明の第1の実施の形態に係るトーンスケルチ検出部112について図2を参照して説明する。図2は、トーンスケルチ検出部112の構成を示すブロック図である。
 トーンスケルチ検出部112は、図示のように、ローパスフィルタ(LPF)201と、ダウンサンプラ(DS)202と、直交復調部203と、2つのローパスフィルタ(LPF)204-1,204-2と、周波数復調部205と、ローパスフィルタ(LPF)206と、電力検出部207と、ローパスフィルタ(LPF)208と、判定部209と、前方/後方保護処理部210とを有している。
[0033]
 トーンスケルチ検出部112の各部について具体的に説明する。
 LPF201は、入力されるベースバンド信号x(t)について低域の周波数を通過させるフィルタであり、通過域は300Hzに設定される。即ち、LPF201は、音声送信に用いられる300Hz以上の信号を除去し、300Hzより低域の信号を通過させる。
[0034]
 ダウンサンプラ(DS)202は、LPF201を通過した信号についてダウンサンプリングしてサンプリング周波数を下げ、トーンスケルチ信号s(t)を直交復調部103に出力する。
 直交復調部203は、DS202から入力されるトーンスケルチ信号s(t)について周波数を-f TONEだけシフト(自機に設定されたトーンスケルチ信号、即ち、受信した場合にアンミュートとするトーンスケルチ信号の周波数だけ負の周波数方向にシフト)させ、直交復調し、直交復調出力q(t)の実数部をLPF204-1に、虚数部をLPF204-2に出力する。
 尚、直交復調部による周波数シフトに代え、FFTを行って周波数領域で処理し、IFFTを行うことも考えられる。ただし、処理量の観点から、直交復調部による周波数シフトの方が好適である。
[0035]
 LPF204-1とLPF204-2は、それぞれ、直交復調出力q(t)の実数部と虚数部について低域の周波数を通過させ、不要な周波数成分を除去するフィルタである。
 LPF204-1,204-2は、具体的には通過域が10Hzに設定され(即ち、通過域のエッジ周波数(カットオフ周波数)が10Hzに設定され)、遮断域(阻止域)が20Hzに設定される(即ち、遮断域のエッジ周波数が20Hzに設定される)。なお、この明細書で遮断域とは、通過する信号の減衰量が任意の減衰量(たとえば-30dB)となる周波数帯を意味する。
 なお、本実施例で使用される各LPFとしては、例えばデジタルフィルタ(IIR(Infinite impulse response)フィルタ)を用いる。
[0036]
 周波数復調部205は、LPF204-1の出力信号Re[q´(t)]と、LPF204-2の出力信号Im[q´(t)]を入力し、周波数復調を行って瞬時周波数f(t)を検出し、その瞬時周波数f(t)をLPF206に出力する。
 周波数復調部205は、具体的には、位相検出部と微分処理部とから構成される。位相検出部では、下式によって複素平面上の位相(時間tの関数である瞬時位相)を求める。θ(t)=tan -1(虚数/実数)また、微分処理部では、θ(t)を下式の如く時間微分することによって瞬時周波数f(t)を求める。
f(t)=dθ(t)/dt
[0037]
 LPF206は、周波数復調部205から入力された瞬時周波数f(t)のゆらぎを平滑化し、判定部209に出力する。
[0038]
 電力検出部207は、LPF204-1の出力信号Re[q´(t)]と、LPF204-2の出力信号Im[q´(t)]を入力し、電力検出を行って、瞬時電力p(t)をLPF208に出力する。尚、電力検出は、例えば、信号Re[q´(t)]の2乗値と 信号Im[q´(t)]の2乗値を加算して求める。
 LPF208は、電力検出部207から入力された瞬時電力p(t)のゆらぎを平滑化し、判定部209に出力する。
[0039]
 判定部209は、LPF206で平滑化された周波数(周波数情報)を入力すると共に、LPF208で平滑化された電力(電力情報)を入力し、周波数情報が予め設定された所定周波数範囲(±f th。例えば0Hz±2Hz)内か否かを判定し、更に、電力情報が予め設定された所定電力値以上か否かを判定する。
[0040]
 そして、判定部209は、周波数情報が予め設定された所定周波数範囲内であって、電力情報が予め設定された所定電力値以上である場合に、前方/後方保護処理部210に“1”を出力し、周波数情報が予め設定された所定周波数範囲外である場合、若しくは周波数情報が予め設定された範囲内であって、電力情報が予め設定された所定電力値未満である場合に、前方/後方保護処理部210に“0”を出力する。
[0041]
 前方/後方保護処理部210は、後方保護段数N B 回連続で判定部209から”1”が入力されるとオーディオアンプ110に対してアンミュート制御(ミュートOFF)を行い、前方保護段数N F 回連続で判定部209から”0”が入力されるとオーディオアンプ110に対してミュート制御(ミュートON)を行う。
[0042]
 ここで、判定部209における判定が、周波数情報と電力情報の両方に基づいて行われる理由について説明する。
 送信側でトーンスケルチ信号を載せていない信号を受信側で復調すると、トーンスケルチ信号が重畳される0~300Hzの帯域には信号がなく、その帯域には受信機の熱雑音(受信機のRFの入力レベルにより変わる)のみが検出され得る状態となる。
[0043]
 トーンスケルチ信号の周波数は、これを周波数復調して検出するため、熱雑音により、検出周波数がランダムに変化する。ランダムに変化するため、所望の周波数範囲(上述した所定周波数範囲(±f th))内からはずれていることが多いが、時々±f thの範囲に入り、誤検出する可能性がある。そこで、トーンスケルチ信号の電力情報もアンド条件として見るようにしている。
 また、送信側でトーンスケルチ信号を重畳させる場合は、その振幅が規定されているので、判定部209では、それよりも十分低い電力値を上記した所定電力値として使用する。
[0044]
[内部信号スペクトル]
 次に、トーンスケルチ検出部112における内部信号スペクトルについて図3を参照して説明する。
 図3(a)では、LPF201に入力されるベースバンド信号x(t)のスペクトルを表し、図3(b)では、DS202からのトーンスケルチ信号s(t)のスペクトルを表し、図3(c)では、直交復調部203からの直交復調出力q(t)を表し、図3(d)では、LPF204-1,204-2からの直交復調出力q´(t)を表している。
[0045]
[トーンスケルチ検出部の動作]
 LPF201には、周波数復調されたベースバンド信号x(t)が入力される。ベースバンド信号x(t)は、以下の数1に示す式で表すことができる。
[0046]
[数1]


[0047]
 ここで、s(t)は、受信したトーンスケルチ信号で、v(t)は、音声帯域の信号成分である。そして、トーンスケルチ信号s(t)は、以下の数2に示す式で表すことができる。
[0048]
[数2]


[0049]
 ここで、Aは、送信側で重畳されたトーンスケルチ信号の振幅で、f TONEは、トーンスケルチ信号の周波数(上述した33種類の信号のいずれかの周波数)、Δfは、送信側で生成されたトーン周波数の偏差である。
[0050]
 LPF201は、ベースバンド信号x(t)から音声帯域の信号が含まれる300Hz以上の信号成分v(t)を除去したトーンスケルチ信号s(t)を、ダウンサンプラ202によりサンプリング周波数を下げ、直交復調部203に入力する。
[0051]
 直交復調部203は、上記トーンスケルチ信号s(t)の周波数を-f TONEだけシフトし、直交復調した実数部をLPF204-1に、虚数部をLPF204-2へそれぞれ入力する。
 直交復調部203で、周波数をシフトさせなければ、本来、-f TONE-Δfとf TONE+Δfの成分が出力されることになるが、周波数を-f TONEだけシフトさせることで、-2f TONE-ΔfとΔfの成分が出力されることになる。
 直交復調部203からの直交復調出力q(t)は、以下の数3に示す式で表すことができる。
[0052]
[数3]


[0053]
 直交復調出力q(t)のスペクトルは、図3の(c)に示すように、Δfの成分と-2f TONE-Δfの成分が含まれ、-2f TONE-Δfの成分は不要であるから、LPF204-1及びLPF204-2により除去する。
 つまり、直交復調部203で周波数を-f TONEだけシフトさせたのは、LPF204-1,LPF204-2で-2f TONE-Δfの成分を除去しやすくするためである。
 LPF204-1,LPF204-2の出力は、上記数3に示す式の第2項が除去され、以下の数4に示す式で表すことができる。
[0054]
[数4]


[0055]
 周波数復調部205は、q´(t)の瞬時周波数f(t)を検出する。雑音が無い状態では、その出力は、送信側で生成したトーン周波数の偏差Δfそのものが検出されるが、受信レベルによっては、図1に示す周波数復調部105又は周波数復調部106に入力される雑音により、x(t)にパルス状の雑音が重畳され、検出周波数がゆらぐことになる。
[0056]
 そこで、LPF206によって、検出周波数のゆらぎを平滑化する。また、0~300Hzにスケルチ信号が重畳されていない場合を検出から除外するため、電力検出部207により、q´(t)の瞬時電力p(t)を算出する。瞬時電力p(t)は、以下の数5に示す式で表すことができる。
[0057]
[数5]


[0058]
 瞬時電力p(t)も瞬時周波数f(t)と同様に、受信レベルによってはゆらぐため、LPF208により平滑化を行う。
 判定部209は、LPF206から出力される周波数情報と、LPF208から入力される電力情報を入力し、周波数情報が、あらかじめ設定される所定周波数範囲(±f th(例えばf th=2Hz))内であり、かつ電力情報があらかじめ設定される所定電力値p th(例えばp th=0.1×A 2/4(A 2/4の-20dB))以上ならば、前方/後方保護処理部210へ”1”を入力し、そうでなければ、”0”を入力する。前方/後方保護処理部210の動作は、従来技術と変わらないため、説明を省略する。
[0059]
 LPF206とLPF208の平滑化処理及び前方/後方保護処理部210の前方保護の処理により、受信レベルが低く、ベースバンド信号にパルス状の雑音が重畳される場合においても、安定してトーンスケルチ信号を検出してスピーカ811をアンミュートすることができる。また、前方/後方保護処理部210の後方保護処理により、電波が入感していない場合の誤検出を防ぐことができる。
[0060]
 上述した標準規格ではトーン周波数が33種類あるが、本実施の形態に係るトーンスケルチ検出回路では、そのうちの任意(1種類)の信号を検出する。
 実際の使い方としては、無線機の設定で、33種類のうち、1種類の周波数を設定し、送信する場合は、設定した周波数のトーンスケルチ信号を音声に重畳して送信し、受信側は、設定した周波数と同じ周波数のトーンスケルチ信号を検出した場合のみスピーカを鳴らす(アンミュート制御する)ものである。
 なお、トーンスケルチ信号の周波数の設定は、製造時に無線機固有の値として上記33種類の中から任意に選定して設定してもよいし、無線機に設けられた図示しないスイッチ等によってユーザ等によって任意の値に設定してもよい。
[0061]
 また、受信キャリアの周波数偏差によるベースバンド信号x(t)のDCオフセットは、LPF204-1,LPF104-2の帯域外成分となって除去されるため、DCオフセット補正の必要がない。
[0062]
 ここで、受信キャリアの周波数偏差によるベースバンド信号のDCオフセットはLPF204-1,LPF204-2の通過域外成分となることの理由について説明する。
 DCオフセットは、DS202から出力されたトーンスケルチ信号s(t)(図3(b))の時点では0Hzである。
[0063]
 直交復調部203の出力(図3(c))では、-f TONE(Hz)だけ周波数シフトするため、上記DC成分は-f TONE(Hz)となる。f TONE は一番低いもので67Hz(上述した標準規格のトーンスケルチ信号で最も低い周波数)であるから、この周波数が一番スペクトルの内側に来ることになり、取り得るDC成分の最小値は-67Hzということになる。
[0064]
 送信側でのトーン信号の偏差は上述した標準規格において最大で0.5%とされていることから、最も偏差が大きい状態で-67Hz×(1-0.05)=-63.65Hzとなる。
 LPF204-1,LPF204-2の遮断域は、群遅延を考慮してQを設定したとしても20Hz程度に設定できるので、Δfを考慮してもDC成分は遮断域となり、完全に除去される。
[0065]
 一例として、LPF206,LPF208の処理は、80msの移動平均処理を行い、前方保護段数は80msに相当する段数を、後方保護段数も80msに相当する段数を設定する。
 検出に要する時間を積み上げると、LPF201の群遅延が3ms以下、LPF204-1,LPF204-2の群遅延が50ms以下、これに、LPF206,LPF208の移動平均処理時間80msと後方保護の80msを加算し、合計213ms以下となり、上述した受信レスポンスタイム250ms以下を満足できる。
[0066]
 以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る無線機1にあっては、直交復調部203で受信ベースバンド信号の周波数を、自機に設定されたトーンスケルチ信号、即ち、受信した場合にアンミュートとするトーンスケルチ信号の周波数だけ負の周波数方向に(0Hzに向けて)シフトするようにした。そのため、帯域制限をLPFで実現でき、BPFで同じ帯域幅を実現した場合と比べ群遅延を大幅に小さくすることが可能なため、トーンスケルチ信号を短時間で確実に検出することができる。
[0067]
さらに、直交復調後の複素信号を用いるため、実数部と虚数部から位相情報を検出できる。そのため、周波数検出に必要なサンプリング周波数を低く設定することができる。
[0068]
 また、直交復調部203の出力信号をフィルタリングするLPF204-1,204-2の帯域は、群遅延を考慮しても狭帯域化することができるため、音声の最低周波数である300Hzや、RFの周波数オフセットによるDC成分(0Hz)を完全に除去でき、それらによる誤動作を生じることがない。
 即ち、トーンスケルチ信号で最大の周波数は250.3Hzであるため、音声の最低周波数である300Hzを250.3Hzだけ負の方向にシフトしたとしても、それがLPF204-1,204-2を通過することはない。
 また、トーンスケルチ信号で最小の周波数は67Hzであるため、DC成分(0Hz)は最大でも-67Hz以下になり、同様にLPF204-1,204-2を通過することはない。
[0069]
 尚、LPF204-1,204-2の通過域は10Hz以下のため、所望のトーン周波数との差が10Hz以内のトーン信号は、LPF204-1,204-2を通過する。
 しかし、判定部209において、33種類のトーンスケルチ信号の周波数差の最小値(3.5Hz)未満の判定閾値(所定周波数範囲)を設けることで、所望しないトーン信号による誤動作を抑制することができる。
[0070]
 また、所望のトーン周波数の有無だけではなく、その電力情報も勘案してトーンスケルチ信号の有無を判定しているため、熱雑音による誤動作を抑制することができる。
実施例 2
[0071]
 トーンスケルチを搭載した無線機においては、一般に、送信側で音声信号の低域成分(本明細書では300Hz以下)をHPFにより除去し、その帯域にトーンスケルチ信号を重畳する。しかし、無線機によっては上記HPFの遮断特性が十分でなく、トーンスケルチ信号を重畳する帯域(300Hz以下)に音声成分が残ることがある。
[0072]
上記した第1の実施の形態にあっては、周波数復調部205によりトーンスケルチ信号の周波数検出を行うことにより、トーンスケルチ信号の識別を行うようにしたが、300Hz以下の帯域に音声成分が残っていると、周波数復調部205による周波数検出に誤動作が生じ、トーンスケルチ信号の識別ができず、通話中にも関わらずミュート制御されて音切れが発生する可能性がある。
[0073]
 また、LPF204-1,204-2(通過域10Hz)と周波数復調部205により、トーンスケルチ信号の周波数の±10Hzの成分を取り出し、周波数検出を行うが、受信入力が無くトーンスケルチ検出部112にランダムな雑音が入力される場合、その雑音もトーンスケルチ信号の周波数の±10Hzに帯域制限される。そして、その帯域制限された雑音が周波数復調されることにより、周波数の振れ幅の小さい検出値が判定部209に入力されるため、雑音をトーンスケルチ信号と誤検出してしまうおそれがある。
[0074]
 そこで、本発明の第2の実施の形態に係る無線機にあっては、トーンスケルチ信号を短時間で確実に検出すると共に、サンプリング周波数を低くすることに加え、トーンスケルチ信号の重畳帯域(300Hz以下)に音声成分が混入した場合であってもトーンスケルチ信号を検出すると共に、無入力時の雑音をトーンスケルチ信号と誤検出しないように改良した。
 以下、第1の実施の形態との相違点を中心に、第2の実施の形態に係る無線機について説明する。
[0075]
[無線機]
 図4は、第2の実施の形態に係る無線機の構成を示すブロック図である。図4において、第1の実施の形態に係る無線機1と同じ構成については、無線機1と同じ符号を付し、説明を省略する。
 図示の如く、第2の実施の形態に係る無線機2は、トーンスケルチ検出部412が無線機1と相違する。
[0076]
[トーンスケルチ検出部]
 図5は、トーンスケルチ検出部412の構成を示すブロック図である。
 図示のように、トーンスケルチ検出部412は、バンドパスフィルタ(BPF)501と、ダウンサンプラ(DS)502と、直交復調部503と、2つのローパスフィルタ(LPF)504-1,504-2と、周波数復調部505と、ローパスフィルタ(LPF)506と、2つのローパスフィルタ(LPF)507-1,507-2と、電力検出部508と、ローパスフィルタ(LPF)509と、判定部510とを有している。
[0077]
 トーンスケルチ検出部412の各部について具体的に説明する。
 BPF201は、入力されるベースバンド信号x(t)について所定の帯域のみ通過させるフィルタであり、トーンスケルチ信号の周波数範囲外の信号を遮断する。上述した標準規格においてトーンスケルチ信号の周波数範囲は67Hzから250.3Hzであることから、BPFの通過域は、例えば60から260Hzに設定する。
 なお、BPF201に代え、第1の実施の形態に係る無線機1と同様にLPFを用いてもよい。
[0078]
 ダウンサンプラ(DS)502は、BPF501を通過した信号についてダウンサンプリングしてサンプリング周波数を下げ、トーンスケルチ信号s(t)を直交復調部503に出力する。
 直交復調部503は、DS502から入力されるトーンスケルチ信号s(t)について周波数を-f TONEだけシフト(自機に設定されたトーンスケルチ信号、即ち、受信した場合にアンミュートとするトーンスケルチ信号の周波数だけシフト)させ、直交復調し、直交復調出力q(t)の実数部と虚数部を出力する。
[0079]
 LPF504-1とLPF504-2は、それぞれ、直交復調出力q(t)の実数部と虚数部について低域の周波数を通過させ、不要な周波数成分を除去するフィルタである。
 LPF504-1,504-2は、トーンスケルチ信号の周波数(f TONE=67Hzから250.3Hz)に対して、DC成分(LPF504-1,504-2の入力では-f TONE)と、音声信号の伝送に使用される300Hz以上の成分(LPF504-1,504-2の入力では300-f TONE)が除去できるよう、例えば通過域が35Hzに設定され、遮断域が45Hzに設定される。すなわち、LPF504-1,504-2の通過域は、受信する可能性のあるトーンスケルチ信号の最低周波数(67Hz)未満であり、かつ、音声信号が重畳される最低周波数(300Hz)から受信する可能性のあるトーンスケルチ信号の最高周波数(250.3Hz)を減算した周波数未満に設定される。
 なお、本実施例で使用する各LPFとしては、第1の実施の形態と同様に、例えばデジタルフィルタ(IIRフィルタ)を用いる。
[0080]
 周波数復調部505は、LPF504-1の出力信号Re[q ´(t)]と、LPF204-2の出力信号Im[q ´(t)] を入力し、周波数復調を行って瞬時周波数f(t)を検出し、その瞬時周波数f(t)をLPF506に出力する。周波数復調部505は、第1の実施の形態と同様に位相検出部と微分処理部とから構成される。
[0081]
 LPF506は、周波数復調部505から入力された瞬時周波数f(t)のゆらぎを平滑化し、判定部510に出力する。
[0082]
LPF507-1とLPF507-2は、それぞれ、直交復調出力q(t)の実数部と虚数部について低域の周波数を通過させ、不要な周波数成分を除去するフィルタである。LPF507-1,507-2は、所望のトーンスケルチ信号およびその周辺(誤差許容値。例えば±2Hz)以外の成分が除去できるよう、例えば通過域が2Hz、遮断域が3Hzに設定される。
[0083]
 電力検出部508は、LPF507-1の出力信号Re[q ´(t)]と、LPF204-2の出力信号Im[q ´(t)]を入力し、電力検出を行って、瞬時電力p(t)をLPF509に出力する。尚、電力検出は、例えば、信号Re[q ´(t)]の2乗値と 信号Im[q ´(t)]の2乗値を加算して求める。
 LPF509は、電力検出部508から入力された瞬時電力p(t)のゆらぎを平滑化し、判定部510に出力する。
[0084]
 判定部510は、LPF506で平滑化された周波数(周波数情報)を入力すると共に、LPF509で平滑化された電力(電力情報)を入力し、それらの情報に基づいてトーンスケルチ信号の有無を判定する。判定部510は、トーンスケルチ信号有りと判定した場合、オーディオアンプ110に対してアンミュート制御(ミュートOFF)を行い、トーンスケルチ信号無しと判定した場合、オーディオアンプ110に対してミュート制御(ミュートON)を行う。
 判定部510によるトーンスケルチ信号の有無判定処理については、後に詳説する。
[0085]
[内部信号スペクトル]
 次に、トーンスケルチ検出部412における内部信号スペクトルについて図6を参照して説明する。
 図6(a)では、BPF501に入力されるベースバンド信号x(t)のスペクトルを表し、図6(b)では、DS502からのトーンスケルチ信号s(t)のスペクトルを表し、図6(c)では、直交復調部503からの直交復調出力q(t)を表し、図6(d)では、LPF504-1,504-2からの直交復調出力q ´(t)を表している。
[0086]
[トーンスケルチ検出部の動作]
 BPF501には、周波数復調されたベースバンド信号x(t)が入力される。ベースバンド信号x(t)は、第1の実施の形態と同様に、以下の数6に示す式で表すことができる。
[0087]
[数6]


[0088]
 ここで、s(t)は、受信したトーンスケルチ信号で、v(t)は、音声帯域の信号成分である。そして、トーンスケルチ信号s(t)は、以下の数7に示す式で表すことができる。
[0089]
[数7]


[0090]
 ここで、Aは、送信側で重畳されたトーンスケルチ信号の振幅で、f TONEは、トーンスケルチ信号の周波数(上述した33種類の信号のいずれかの周波数)、Δfは、送信側で生成されたトーン周波数の偏差である。
[0091]
 BPF501は、ベースバンド信号x(t)から音声帯域の信号が含まれる300Hz以上の信号成分v(t)を除去したトーンスケルチ信号s(t)を、ダウンサンプラ502によりサンプリング周波数を下げ、直交復調部503に入力する。
[0092]
 直交復調部503は、上記トーンスケルチ信号s(t)の周波数を-f TONEだけシフトし、直交復調した実数部をLPF204-1とLPF507-1に、虚数部をLPF204-2とLPF507-2へそれぞれ入力する。
 直交復調部503で、周波数をシフトさせなければ、本来、-f TONE-Δfとf TONE+Δfの成分が出力されることになるが、周波数を-f TONEだけシフトさせることで、-2f TONE-ΔfとΔfの成分が出力されることになる。
 直交復調部503からの直交復調出力q(t)は、以下の数8に示す式で表すことができる。
[0093]
[数8]


[0094]
 直交復調出力q(t)のスペクトルは、図6の(c)に示すように、Δfの成分と-2f TONE-Δfの成分が含まれ、-2f TONE-Δfの成分は不要であるから、LPF504-1,504-2およびLPF507-1,507-2により除去する。
 つまり、直交復調部503で周波数を-f TONEだけシフトさせたのは、LPF504-1,504-2およびLPF507-1,507-2で-2f TONE-Δfの成分を除去しやすくするためである。
 LPF204-1,LPF204-2とLPF507-1,LPF507-2の出力は、上記数3に示す式の第2項が除去され、以下の数9に示す式で表すことができる。
[0095]
[数9]


[0096]
 以下、LPF504-1,504-2の出力をq ´(t)と表し、LPF507-1,507-2の出力をq ´(t)周波数復調部505は、q ´(t)の瞬時周波数f(t)を検出する。雑音が無い状態では、その出力は、送信側で生成したトーン周波数の偏差Δfそのものが検出されるが、受信レベルによっては、図4に示す周波数復調部105又は周波数復調部106に入力される雑音により、x(t)にパルス状の雑音が重畳され、検出周波数がゆらぐことになる。
[0097]
 そこで、LPF506によって、検出周波数のゆらぎを平滑化する。また、0~300Hzにスケルチ信号が重畳されていない場合を検出から除外するため、電力検出部508により、q ´(t)の瞬時電力p(t)を算出する。瞬時電力p(t)は、以下の数10に示す式で表すことができる。
[0098]
[数10]


[0099]
 瞬時電力p(t)も瞬時周波数f(t)と同様に、受信レベルによってはゆらぐため、LPF509により平滑化を行う。
[0100]
 ここで、判定部510によるトーンスケルチ信号の有無判定処理について説明する。
 判定部510は、トーンスケルチの立上りの検出には、LPF506から入力される周波数情報を用い、トーンスケルチの立下りの検出には、LPF509から入力される電力情報を用いる。
[0101]
 図7に、判定部510によるトーンスケルチ信号の有無判定処理の概要を示す。図7において、「待受け状態」とは、受信を待受けている状態であり、この状態ではミュートされている。また、「受信状態1」、「受信状態2」とは、トーンスケルチ信号を検出し、アンミュートされている状態である。
[0102]
 無線機2の起動時における初期状態は、「待受け状態」である。この「待受け状態」では、LPF506から出力された周波数情報を監視する。この状態において、検出周波数が所定時間T bw(例えばT bw=80ms)連続して所定周波数範囲±f th(例えばf th=2Hz)であれば、トーンスケルチ信号有りと判定し、オーディオアンプ110に対してアンミュート制御を行うと共に、「受信状態1」に状態遷移する。
[0103]
「受信状態1」では、周波数情報の監視も電力情報の監視も行わない。この理由は後述する。「受信状態1」の間、オーディオアンプ110はアンミュートとされる。「受信状態1」となって所定時間T dが経過すると、「受信状態2」に状態遷移する。
[0104]
「受信状態2」では、LPF509から出力された電力情報を監視する。「受信状態2」において、検出電力が所定時間T fw(例えばT fw=40ms)連続して所定電力値P th(例えばP th=0.1×A 2/A(A 2/4の-20dB))以下であれば、オーディオアンプ110に対してミュート制御を行うと共に、「待受け状態」へ状態遷移する。
[0105]
上記のように、「待受け状態」ではLPF506から出力された周波数情報を監視し、「受信状態2」ではLPF509から出力された電力情報を監視する。ここで、LPF506の前段に位置するLPF 504-1,504-2と、LPF509の前段に位置するLPF507-1,507-2とを比較すると、LPF507-1,507-2の方が狭帯域(遮断特性が急峻)に設定されるため、遅延時間が大きい。そのため、「受信状態1」では、LPF506に対するLPF509の出力遅延に相当する所定時間T dだけ、アンミュートを維持したまま待機する。
[0106]
このように、判定部510は、音声信号の受信待受け状態(トーンスケルチ信号を未だ検出していない状態)では、LPF507-1,507-2よりも通過域の広いLPF 504-1,504-2により帯域制限を行った信号に基づいて周波数検出を行い、この検出した周波数に基づいてトーンスケルチ信号の有無を判定する。そのため、音声信号が無入力であるときにランダムな雑音が入力されても、検出周波数が広範囲(LPF 504-1,504-2の通過域)に変動するため、連続してf thの範囲に入る可能性は低く、トーンスケルチ信号の誤検出を防止できる。
[0107]
また、音声信号を受信している状態(トーンスケルチ信号を検出している状態)では、通過域の狭い(トーンスケルチ信号の許容周波数誤差の範囲)LPF507-1,507-2により帯域制限を行った信号に基づいて電力検出を行い、この検出した電力に基づいてトーンスケルチ信号の有無を判定する。仮にトーンスケルチ信号が重畳される300Hz以下の帯域に音声成分が混入したとしても、所望周波数(受信すべきトーンスケルチ信号の周波数)成分の信号を受信している限り、その信号の検出電力は減少しないため、トーンスケルチ信号の検出状態を維持することができる。即ち、300Hz以下の帯域に音声成分が混入したとしても、トーンスケルチ信号が識別できなくなることはない。
[0108]
 以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る無線機2にあっては、直交復調部503で受信ベースバンド信号の周波数を、所望周波数(自機に設定されたトーンスケルチ信号、即ち、受信した場合にアンミュートとするトーンスケルチ信号)の周波数だけ負の周波数方向に(0Hzに向けて)シフトするようにした。そのため、帯域制限をLPFで実現でき、BPFで同じ帯域幅を実現した場合と比べ群遅延を大幅に小さくすることが可能なため、トーンスケルチ信号を短時間で確実に検出することができる。
[0109]
 さらに、直交復調後の複素信号を用いるため、実数部と虚数部から位相情報を検出できる。そのため、周波数検出に必要なサンプリング周波数を低く設定することができる。
[0110]
また、音声信号の受信待受け状態ではトーンスケルチ信号の許容周波数誤差の範囲に帯域制限するLPF507-1,507-2により通過域の広いLPF 504-1,504-2により帯域制限を行った信号に基づいて周波数検出を行い、この検出した周波数に基づいてトーンスケルチ信号の有無を判定するようにしたことから、音声信号が無入力であるときにランダムな雑音が入力されると検出周波数が広範囲に変動するため、連続して所望の周波数範囲に入る可能性は低く、トーンスケルチ信号の誤検出を防止できる。
[0111]
また、音声信号を受信している状態では通過域の狭い(トーンスケルチ信号の許容周波数誤差の範囲)LPF507-1,507-2により帯域制限を行った信号に基づいて電力検出を行い、この検出した電力に基づいてトーンスケルチ信号の有無を判定するようにしたことから、仮に300Hz以下の帯域に音声成分が混入したとしても、所望周波数成分の信号を受信している限り、その信号の検出電力は減少しないため、トーンスケルチ信号が識別できなくなることもない。
[0112]
 また、「待受け状態」において、検出した周波数が所定時間連続して所定周波数範囲内であったときにトーンスケルチ信号有りと判定し、「受信状態1」に状態遷移してアンミュートの制御を行い、「受信状態1」に状態遷移してから所定時間経過後に「受信状態2」に状態遷移し、「受信状態2」において、検出電力が所定時間連続して所定電力値以下となったときにトーンスケルチ信号無しと判定し、「待受け状態」に状態遷移してミュート制御を行うようにした。
 これにより、LPF507-1,507-2の遮断特性がLPF 504-1,504-2よりも急峻に設定される場合において、周波数検出に対する電力検出の遅延を「受信状態1」で吸収することができ、トーンスケルチ信号の検出をより安定に行うことができる。
[0113]
 また、LPF504-1,504-2の通過域は、トーンスケルチ信号の周波数未満であり、かつ、音声信号が重畳される最低周波数からトーンスケルチ信号の周波数を減算した周波数未満であるように構成したことから、LPF 504-1,504-2においてDC成分と音声帯域の成分を除去することができ、周波数検出の精度をより向上させることができる。

産業上の利用可能性

[0114]
 本発明は、アナログFM方式等の、周波数の異なる複数のトーン信号をミュートのために利用する無線機全般に利用できる。無線機には、通信が片方向のもの(例えばワイヤレスマイク)も含まれ、ミュートの対象は可聴音声に限らず、トーンは単一トーンに限らず同時に送信された複数トーンを識別するものも含まれうる。

符号の説明

[0115]
1,2・・・無線機、203,503・・・直交復調部(周波数シフト部)、204・・・LPF、205,505・・・周波数復調部(周波数検出部)、208・・・電力検出部209・・・判定部504・・・LPF(第1のLPF)、507・・・LPF(第2のLPF)、508・・・電力検出部510・・・判定部

請求の範囲

[請求項1]
受信ベースバンド信号に含まれるトーンスケルチ信号を検出する無線機であって、前記受信ベースバンド信号を、予め設定された前記トーンスケルチ信号の周波数分だけ負の周波数方向にシフトする周波数シフト部と、前記周波数シフト部の出力から不要周波数成分を除去するLPFと、前記LPFの出力に基づいてトーンスケルチ信号の有無を判定する判定部と、を備えることを特徴とする無線機。
[請求項2]
前記周波数シフト部は、受信ベースバンド信号に対して直交復調を行うことによって周波数をシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の無線機。
[請求項3]
さらに、前記LPFの出力に基づいて周波数を検出する周波数検出部と、前記LPFの出力の電力を検出する電力検出部と、を備え、前記判定部は、前記検出した周波数が所定周波数範囲であり、かつ、前記検出した電力が所定電力以上であるときに前記トーンスケルチ信号有りと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の無線機。
[請求項4]
 受信ベースバンド信号に含まれるトーンスケルチ信号を検出する無線機であって、
 前記受信ベースバンド信号を、予め設定された前記トーンスケルチ信号の周波数分だけ負の周波数方向にシフトする周波数シフト部と、
 前記周波数シフト部の出力から不要周波数成分を除去する第1のLPFと、
 前記周波数シフト部の出力から不要周波数成分を除去する第2のLPFと、
 前記第1のLPFの出力に基づいて周波数を検出する周波数検出部と、
 前記第2のLPFの出力の電力を検出する電力検出部と、
 受信待受け状態において、前記周波数検出部で検出した周波数が第1の所定時間連続して所定周波数範囲内であったときにトーンスケルチ信号有りと判定し、受信状態において、前記電力検出部で検出した電力が第2の所定時間連続して所定電力値以下となったときにトーンスケルチ信号無しと判定する判定部と、を備えることを特徴とする無線機。
[請求項5]
 前記第2のLPFは、前記第1のLPFよりも遮断特性が急峻に設定され、
 前記判定部は、受信待受け状態において、前記周波数検出部で検出した周波数が第1の所定時間連続して所定周波数範囲内であったときにトーンスケルチ信号有りと判定して第1の受信状態に状態遷移し、前記第1の受信状態に状態遷移してから第3の所定時間経過後に第2の受信状態に状態遷移し、前記第2の受信状態において、前記電力検出部で検出した電力が第2の所定時間連続して所定電力値以下となったときにトーンスケルチ信号無しと判定することを特徴とする請求項4に記載の無線機。
[請求項6]
前記第2のLPFは、通過域が前記トーンスケルチ信号の許容誤差周波数に設定され、前記第1のLPFは、通過域が、前記第2のLPFの通過域よりも高い周波数に設定されることを特徴とする請求項4または5に記載の無線機。
[請求項7]
 前記第1のLPFの通過域は、前記トーンスケルチ信号の周波数未満であり、かつ、音声信号の帯域から前記トーンスケルチ信号の周波数を減算した周波数未満であることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の無線機。

図面

[ 図 1]   [規則26に基づく補充 20.09.2011] 

[ 図 2]   [規則26に基づく補充 20.09.2011] 

[ 図 3]

[ 図 4]   [規則26に基づく補充 20.09.2011] 

[ 図 5]   [規則26に基づく補充 20.09.2011] 

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]   [規則26に基づく補充 20.09.2011]