Traitement en cours

Veuillez attendre...

Paramétrages

Paramétrages

Aller à Demande

1. JP2000511888 - 混合キメリズム及び寛容

Note: Texte fondé sur des processus automatiques de reconnaissance optique de caractères. Seule la version PDF a une valeur juridique

[ JA ]
【発明の詳細な説明】
混合キメリズム及び寛容 発明の背景
この発明は、組織及び臓器の移植に関係する。 発明の要約
この発明は、外来抗原に対する寛容を誘導する方法を提供する。これらの方法は、造血空間を造るための照射特に調製用全身照射の必要性を最小化するか排除する調製養生法を特徴とする。特に、比較的多数の幹細胞の投与は、胸腺空間の創造と組み合わせて、寛容の誘導を、全身照射(WBI)を必要とせずに、可能にすることが発見されてた。
従って、この発明は、第1の種のレシピエント哺乳動物における、第2の種のドナー哺乳動物由来の移植片に対する寛容を誘導する方法を特徴とする。この方法は、例えば静脈注射により、レシピエント哺乳動物に、造血幹細胞を導入すること及び、好ましくは、移植片をレシピエントに移植することを含む。造血細胞は、レシピエントに、B細胞及びT細胞レベルでの寛容を誘導することにより、後続の移植片に対する準備をさせるものと考えられる。
レシピエント哺乳動物は、例えば、ヒトであってよい。ドナー哺乳動物は、例えば、ブタ例えばミニブタであってよい。移植片は、好ましくは、不一致の種からのものである。移植片は、好ましくは、主要組織適合性複合体(MHC)抗原、好ましくは、クラスII抗原を発現する。特に好適な具体例において、レシピエントは、霊長類例えばヒトであり、ドナーは、ブタ例えばミニブタである。
本明細書の他所で論じるように、本発明者は、この方法が、造血空間を造るための照射例えば全身照射の施与なしで実施できることを発見した。全身照射は、造血空間を造り、そうして、植え付け、キメリズム及び寛容を促進するために、当分野でしばしば用いられる。造血空間を造るための照射の必要性は、下記のステップの少なくとも1つを方法に取り入れることにより減じ又は完全に排除することができる:
(1)十分多数のドナーの造血細胞をレシピエントに投与して、ドナー幹細胞を植え付かせ、混合キメリズムを生じさせ、そして寛容を誘導すること(好ましくは、これらの幹細胞は、ここに開示した処理例えば直ぐ後で説明する(2)、(3)又は(4)の1つ以上と組み合わせて投与する);
(2)造血空間を造る抗体又は薬物をレシピエントに投与すること。例えば、細胞増殖の阻害剤例えばDSG又は代謝拮抗剤例えばブレキナー又は抗T細胞抗体例えば抗CD4若しくは抗CD8抗体の一方若しくは両方を投与すること。
(3)宿主骨髄細胞と競争するドナー細胞の能力を増大させることにより、例えば、間質細胞を投与することにより又はドナー特異的な成長因子若しくはサイトカインを投与することにより、植え付け及び混合キメリズムの形成を促進する処理を与えること(例えば、ドナーは、ミニブタであり、ブタSCF、ブタIL−3又はブタGM−SCFの1つ以上をレシピエントに投与する)。
(4)レシピエント中に胸腺空間を、例えばレシピエントの胸腺を照射することにより、例えば100〜10,000ラド、一層好ましくは300〜700ラド(例えば、700ラド)の胸腺照射を施与することにより、又は抗T細胞抗体を胸腺細胞を不活性化するのに十分な投与量で投与することによって造ること。胸腺空間を造るための他の方法には、ステロイド、コルチコステロイド、ブレキナー又は免疫抑制性の化学物質又は薬物例えばラパマイシン、シクロスポリン若しくはFK506の投与が含まれる。胸腺空間を造るための処理は、造血幹細胞の投与の前に投与し又は少なくとも投与開始すべきである。有効な処理は、単一陽性の胸腺細胞を、造血空間の創造がない場合に例えば全身照射により造られた造血空間がない場台に混合キメリズムの植え付け及び形成を最適にする程度に涸渇させる。好適具体例において、患者の単一陽性胸腺細胞は、少なくとも20,40,60又は80%涸渇される。10〜90%の涸渇を生じる処理が好ましい。この処理の長さは、薬剤の投薬量及び効力によって変化するが、一般に、60,30又は15日未満である。この処理は、少なくとも7日間、一層好ましくは10日間又は14日間持続すべきである。好適な処理のコースにおいて、例えば免疫抑制性の化学物質又は薬物例えばシクロスポリンの投与を、7〜30日間持続すべきである。この処理例えばシクロスポリンの投与は、それが幹細胞の投与前に完了するような時点に開始すべきである。この薬剤の投与は、日ベースとするか、又は所望の涸渇レベルを与える薬剤のレベルを維持する必要に応じたものとすべきである。特に好適な処理は、免疫抑制性の化学物質例えばシクロスポリンの7日間より長期で且つ30日間未満の投与である。ゲッ歯類における有用な養生法は、幹細胞投与の3日前に終了する14日間にわたる20mg/kg/日のシクロスポリンである。
従って、好適具体例において、造血空間を造るための照射を必要とせずに寛容を誘導するのに十分な量の造血幹細胞をレシピエントに投与する。好適具体例において、ドナーの造血細胞の数は、成体のレシピエント種で見出される骨髄細胞の数の少なくとも2倍、少なくとも同数、又は少なくとも75,50,若しくは25%である。好適具体例において、ドナーの造血幹細胞の数は、成体のレシピエント種で見出される骨髄造血幹細胞の数の少なくとも2倍、少なくとも同数、又は少なくとも75,50,若しくは25%である。ドナー種の同系交配集団が存在する場合、例えばドナー種がミニブタである場合、利用可能なドナー細胞の数は、単一の動物から得ることのできる細胞数に限られない。従って、かかる場合には、レシピエントに投与されるドナー細胞は、一匹より多い例えば2,3,4匹又はそれより多くの動物からのものであってよい。以下で論じるように、ドナーの幹細胞は、2回以上の別々の投与にて与えることができる。
好適具体例において、混合キメリズムをレシピエントにおいて誘導し、混合キメリズムの状態を、造血空間の誘導なしで、例えば空間を造る照射(例えば、全身照射)により造られた造血空間なしで形成する。
レシピエントに投与されるドナー細胞の数は、特定の投与において与えられる幹細胞の数を増加させるか又はドナー幹細胞の反復投与を与えることにより増加させることができる。
反復幹細胞投与は、移植片レシピエントにおける植え付け、混合キメリズム、及び長期間の欠失性の寛容を促進することができる。従って、この発明は又、多数回の造血幹細胞投与をレシピエントに与える方法をも含む。多数回の投与は、実質的に、造血空間を造るための照射の必要性を減じ又は排除することができる。投与は、移植片の移植の前、移植の時、又は移植後に与えることができる。好適具体例において、幹細胞の多数回の投与を、移植片の移植の前に与える。2,3,4,5回の又はそれより多い投与を与えることができる。造血幹細胞の投与の間の期間は、変わり得る。好適具体例において、前の幹細胞投与の少なくとも2日、1週間、1月又は6月後に;レシピエントがドナー抗原に対する宿主リンパ球応答の徴候を示し始めた場合;キメリズムのレベルが減少した場合;キメリズムのレベルが予め決めた値を下回った場合;キメリズムのレベルがドナーのPBMC抗原に特異的なモノクローナル抗体での染色がPBMCに結合しないイソ型の対照での染色以下の場合、例えばドナー特異的モノクローナルがこれらの細胞の1〜2%未満を染色する場合;又は一般に、ドナー抗原に対する寛容を維持するのに十分な混合キメリズムのレベルを維持することが必要なときには、造血幹細胞の引き続く投与を与える。
ドナー幹細胞の1回以上の移植片移植後投与を与えて、照射の必要性を最小化し又は排除することもできる。造血幹細胞の移植片後投与を、幹細胞の前の投与の少なくとも2日、1週間、1月又は6月後に;移植片の移植の少なくとも2日、1週間、1月、6月後、又はレシピエントの寿命の任意の時点において;レシピエントが拒絶の徴候を示し始めたとき(例えば、移植された臓器の機能の低下により、宿主のドナー特異的抗体応答の変化により、又は宿主のドナー抗原に対するリンパ球応答の変化により明示される);キメリズムのレベルが減少したとき;キメリズムのレベルが予め決めた値を下回ったとき;キメリズムのレベルがドナーのPBMC抗原に特異的なモノクローナル抗体での染色がPBMCに結合しないイソ型の対照での染色以下の場合、例えばドナー特異的モノクローナルがこれらの細胞の1〜2%未満を染色する場合;又は一般に、寛容を維持することが必要なとき或いは移植片の受容を延長することが必要なときに与えることができる。
多数回の幹細胞投与を与える場合には、これらの投与の少なくとも1回は、成体のレシピエント種で見出される骨髄細胞の数の少なくとも2倍、同数、又は少なくとも75,50若しくは25%である多数のドナーの造血細胞を含むことができ;成体のレシピエント種で見出される骨髄造血幹細胞の数の少なくとも2倍、同数、又は少なくとも75,50若しくは25%である多数のドナーの造血幹細胞を含むことができる。
好適具体例において、この方法は、レシピエント哺乳動物のナチュラルキラー細胞好ましくは移植片反応性の又は異種反応性(例えば、ブタ反応性)のNK細胞を不活性化することを含む。これは、例えば、レシピエント哺乳動物に、そのレシピエント咄乳動物のナチュラルキラー細胞に結合することのできる抗体を導入することにより達成することができる。抗体の投与、又は他のナチュラルキラー細胞を不活性化する処理は、造血幹細胞をレシピエント哺乳動物に導入する前に又はレシピエントにおける移植片の移植の前に与えることができる。この抗体は、T細胞を不活性化するのに用いる抗体と同じであっても異なってもよい。
好適具体例において、この方法は、レシピエント哺乳動物のT細胞を、好ましくは、移植片反応性の又は異種反応性(例えば、ブタ反応性)のT細胞を不活性化することを含む。これは、例えば、レシピエント哺乳動物に、そのレシピエント咄乳動物のT細胞に結合することのできる抗体を導入することにより達成することができる。抗体の投与、又は他のT細胞を不活性化する処理は、造血幹細胞をレシピエント哺乳動物に導入する前に又はレシピエントにおける移植片の移植の前に与えることができる。この抗体は、ナチュラルキラー細胞を不活性化するのに用いる抗体と同じであっても異なってもよい。
抗NK抗体の一つの源は、抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗血清である。好ましくは、T細胞並びにNK細胞を溶解させる第二の抗成熟T細胞抗体をも投与することができる。T細胞を溶解させることは、骨髄及び移植片生存の両方に有利である。抗T細胞抗体は、抗胸腺細胞抗血清中に、抗NK抗体と共に存在する。抗体例えば抗NK又は抗T細胞抗体の反復投与量は、好適であり得る。モノクローナル標品を、この発明の方法において用いることができる。
好適具体例において、レシピエントは、成熟T細胞によるサイトカインの放出を刺激する処理を受けない。例えば、レシピエントは、ステロイド薬物例えばプレドニゾン(17,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,11,20−トリオン)等の物質を、そのレシピエントにおける成熟T細胞によるサイトカインの放出を剌激する投薬量又は濃度で受けるべきではない。好ましくは、レシピエントは、幹細胞を最初に投与する時点から移植片を移植するまで又は混合キメリズム及び寛容が確立されるまで、かかる処理を受けない。
好適具体例において、この方法は、レシピエントに導入された移植片上の不一致のクラスI及び/又はマイナー抗原に対する寛容を誘導する補助の減少処理例えば薬物又は他の化学剤の短期コースの投与をふくむ。この補助の減少処理の短期コース例えば高投与量シクロスポリンの短期コースは、一般に、移植片をレシピエントに導入する時点に施与する。この補助の減少処理の短期コースの継続期間は、レシピエント種の成熟T細胞が抗原により最初に剌激を受けた後にその抗原の拒絶を開始するのに要する期間とほぼ等しいかそれより短く;一層好適な具体例においては、この継続期間は、レシピエント種の成熟T細胞が抗原により最初に剌激された後にその抗原の拒絶を開始するのに要する期間の2,3,4,5又は10倍にほぼ等しいかそれより短い。これらの方法は、共有の出願である第08/458,720号(1995年6月1日出願)に一層詳細に記載されており、それを参考として本明細書中に援用する。この第08/458,720号の方法は、ここに記載の方法と組み合わせることができる。
他の好適具体例は、レシピエント哺乳動物に、ドナー種特異的な間質組織好ましくは造血間質組織(例えば、胎児肝又は胸腺)を導入するステップを含む。好適具体例において、間質組織を、造血幹細胞と同時に又は該幹細胞の前に導入し;造血幹細胞を、抗体と同時に又は抗体の前に導入する。
他の好適具体例は、更に、レシピエントのT細胞特に胸腺又はリンパ節の胸腺細胞又はT細胞を不活性化する処理を含む。そうでないと、胸腺又はリンパ節の胸腺細胞又はT細胞は、投与された細胞の植え付け又は生存を阻害するであろう。かかる不活性化は、次の少なくとも1つにより達成することができる:レシピエント哺乳動物の胸腺を、胸腺細胞を不活性化するのに十分な照射線量で照射すること、例えば100〜1,000ラド、一層好ましくは300〜700ラド(例えば、約350又は700ラド)の胸腺照射;抗T細胞又は抗胸腺細胞抗体の単一又は反復投与量を投与すること;又はレシピエントに、ここに記載したような免疫抑制性の化学物質又は薬物の短期コースを施与すること。胸腺細胞又はT細胞の不活性化は、造血幹細胞又は移植片の移植の前に行うことができる。好適具体例において、この方法は、胸腺細胞又はT細胞活性を、好ましくは胸腺又はリンパ節のT細胞の活性をレシピエントに胸腺細胞又はT細胞(好ましくは、胸腺又はリンパ節のT細胞)を不活性化するのに十分な免疫抑制性薬剤(例えば化学物質又は薬物例えばシクロスポリン)の短期コースを施与することにより減じ又は阻害することを含む。免疫抑制性薬剤の短期コースの継続期間は、ほぼ30日間に等しく;約8〜12日間以下、好ましくは約10日間であり;約8〜12又は10日間の2,3,4,5又は10倍以下である。この短期コースは、寛容を誘導する処理を開始する時点の前又はその時点付近に、例えば幹細胞をレシピエントに導入する時点付近に始めることができ;寛容を誘導する処理を開始する日に、例えば幹細胞をレシピエントに導入する日に始めることができ;寛容を誘導する処理を開始する前又は後1,2,4,6,8,10又は30日以内、例えば幹細胞をレシピエントに導入する1,2,4,6,8,10又は30日前又は後以内に始めることができる。免疫抑制剤の短期コースは、抗T細胞抗体と共に施与することができる。免疫抑制剤の短期コースは、T細胞例えば胸腺又はリンパ節T細胞(これらは、T細胞の抗体ベースの不活性化例えばATG抗体等の製剤の静脈投与による不活性化によっては不活性化されないであろう)を不活性化するのに十分な濃度及び継続期間であるべきである。
他の具体例は(適宜)、造血幹細胞移植の前に、例えばレシピエント哺乳動物を低線量例えば400ラド未満の、好ましくは300ラド未満の、一層好ましくは200又は100ラド未満の全身照射で照射してレシピエントの骨髄を涸渇させ又は部分的に涸渇させることにより造血空間を造るステップを含む。ここで論じるように、この処理は、減じ又は完全に排除することができる。
他の好適具体例は、好ましくは造血幹細胞移植の前にレシピエント哺乳動物の血液から天然の抗体を涸渇させるステップを含む。涸渇は、例えば、レシピエントの血液を予め形成した抗ドナー抗体を吸収するエピトープと接触させることにより達成することができる。このエピトープを不溶性基質と結合して、例えば、アフィニティーカラムとして供給することができる。例えば、α1−3ガラクトース結合エピトープアフィニティーマトリクス例えばマトリクス結合した線状BVI型炭水化物を用いて天然の抗体を涸渇させることができる。涸渇は又、ドナー種の哺乳動物から得た臓器例えば肝臓又は腎臓を血液灌流することによっても達成することができる。(臓器血液灌流において、血液中の抗体は、臓器の細胞表面上の抗原に結合し、それ故、血液から除去される。)
他の好適具体例は、第二の種の同じ哺乳動物が移植片及び造血細胞の一方又は両方のドナーであるもの;及び抗体が、例えばウマ又はブタから得られた抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗血清であるものを含む。
好適具体例において、この方法は、レシピエントに、ドナーから得た移植片を導入するステップを含み、それは、造血幹細胞以外の異なる臓器例えば心臓、膵臓、肝臓又は腎臓から得られる。
造血空間を作る照射の必要性を実質的に減じ又は排除するこの発明の方法を、同種異系の幹細胞を移植する場合に用いることができる。従って、他の面において、この発明は、第一の種のレシピエント哺乳動物において、同じ種のドナー哺乳動物由来の移植片に対する寛容を誘導する方法を特徴とする。このレシピエント哺乳動物は、例えばヒトであってよい。移植片は、好ましくは、主要組織適合性複合体(MHC)抗原、好ましくはクラス抗II原を発現する。
この方法は、例えば静脈注射により、レシピエント哺乳動物に、造血幹細胞を導入すること;及び好ましくは、移植片をそのレシピエントに移植することを含む。これらの造血細胞は、レシピエントに、B細胞及びT細胞レベルの両方において寛容を誘導することにより、後続の移植片に対する準備をさせるものと考えられる。
この方法は、造血空間を造る照射例えば全身照射の施与なしで実施することができる。全身照射は、造血空間を造り、そうして、植え付け、キメリズム及び寛容を促進するために、当分野でしばしば用いられる。造血空間を造るための照射の必要性は、下記のステップの少なくとも1つを方法に取り入れることにより減じ又は完全に排除することができる:
(1)十分多数のドナーの造血細胞をレシピエントに投与して、ドナー幹細胞を植え付かせ、混合キメリズムを生じさせ、そして寛容を誘導すること(好ましくは、これらの幹細胞は、ここに開示した処理例えば直ぐ後で説明する(2)又は(3)の1つ以上と組み合わせて投与する);
(2)造血空間を造る抗体又は薬物をレシピエントに投与すること。例えば、細胞増殖の阻害剤例えばDSG又は代謝拮抗剤例えばブレキナー又は抗T細胞抗体例えば抗CD4若しくは抗CD8抗体の一方若しくは両方を投与すること。
(3)レシピエント中に胸腺空間を、例えばレシピエントの胸腺を照射することにより、例えば100〜10,000ラド、一層好ましくは300〜700ラド(例えば、700ラド)の胸腺照射を施与することにより、又は抗T細胞抗体を胸腺細胞を不活性化するのに十分な投与量で投与することによって造ること。胸腺空間を造るための他の方法には、ステロイド、コルチコステロイド、ブレキナー又は免疫抑制性の化学物質又は薬物例えばラパマイシン、シクロスポリン若しくはFK506の投与が含まれる。胸腺空間を造るための処理は、造血幹細胞の投与の前に投与し又は少なくとも投与開始すべきである。有効な処理は、単一陽性の胸腺細胞を、造血空間の創造がない場合に例えば全身照射により造られた造血空間がない場台に混合キメリズムの植え付け及び形成を最適にする程度に涸渇させる。好適具体例において、患者の単一陽性胸腺細胞は、少なくとも20,40,60又は80%涸渇される。10〜90%の涸渇を生じる処理が好ましい。この処理の長さは、薬剤の投薬量及び効力によって変化するが、一般に、60,30又は15日未満である。この処理は、少なくとも7日間、一層好ましくは10日間又は14日間持続すべきである。好適な処理のコースにおいて、例えば免疫抑制性の化学物質又は薬物例えばシクロスポリンの投与を、7〜30日間持続すべきである。この処理例えばシクロスポリンの投与は、それが幹細胞の投与前に完了するような時点に開始すべきである。この薬剤の投与は、日ベースとするか、又は所望の涸渇レベルを与える薬剤のレベルを維持する必要に応じたものとすべきである。特に好適な処理は、免疫抑制性の化学物質例えばシクロスポリンの7日間より長期で且つ30日間未満の投与である。ゲッ歯類における有用な養生法は、幹細胞投与の3日前に終了する14日間にわたる20mg/kg/日のシクロスポリンである。
従って、好適具体例において、造血空間を造るための照射を必要とせずに寛容を誘導するのに十分な量の造血幹細胞をレシピエントに投与する。好適具体例において、ドナーの造血細胞の数は、成体のレシピエント種で見出される骨髄細胞の数の少なくとも2倍、少なくとも同数、又は少なくとも75,50,若しくは25%である。好適具体例において、ドナーの造血幹細胞の数は、成体のレシピエント種で見出される骨髄造血幹細胞の数の少なくとも2倍、少なくとも同数、又は少なくとも75,50,若しくは25%である。
好適具体例において、混合キメリズムをレシピエントにおいて誘導し、混合キメリズムの状態を、造血空間の誘導なしで、例えば空間を造る照射(例えば、全身照射)により造られた造血空間なしで形成する。
レシピエントに投与されるドナー細胞の数は、特定の投与において与えられる幹細胞の数を増加させるか又はドナー幹細胞の反復投与を与えることにより増加させることができる。
反復幹細胞投与は、移植片レシピエントにおける植え付け、混合キメリズム、及び長期間の欠失性の寛容を促進することができる。従って、この発明は又、多数回の造血幹細胞投与をレシピエントに与える方法をも含む。多数回の投与は、実質的に、造血空間を造るための照射の必要性を減じ又は排除することができる。投与は、移植片の移植の前、移植の時、又は移植後に与えることができる。好適具体例において、幹細胞の多数回の投与を、移植片の移植の前に与える。2,3,4,5回の又はそれより多い投与を与えることができる。造血幹細胞の投与の間の期間は、変わり得る。好適具体例において、前の幹細胞投与の少なくとも2日、1週間、1月又は6月後に;レシピエントがドナー抗原に対する宿主リンパ球応答の徴候を示し始めた場合;キメリズムのレベルが減少した場合;キメリズムのレベルが予め決めた値を下回った場合;キメリズムのレベルがドナーのPBMC抗原に特異的なモノクローナル抗体での染色がPBMCに結合しないイソ型の対照での染色以下の場合、例えばドナー特異的モノクローナルがこれらの細胞の1〜2%未満を染色する場合;又は一般に、ドナー抗原に対する寛容を維持するのに十分な混合キメリズムのレベルを維持することが必要なときには、造血幹細胞の引き続く投与を与える。
ドナー幹細胞の1回以上の移植片移植後投与を与えて、照射の必要性を最小化し又は排除することもできる。造血幹細胞の移植片後投与を、幹細胞の前の投与の少なくとも2日、1週間、1月又は6月後に;移植片の移植の少なくとも2日、1週間、1月、6月後、又はレシピエントの寿命の任意の時点において;レシピエントが拒絶の徴候を示し始めたとき(例えば、移植された臓器の機能の低下により、宿主のドナー特異的抗体応答の変化により、又は宿主のドナー抗原に対するリンパ球応答の変化により明示される);キメリズムのレベルが減少したとき;キメリズムのレベルが予め決めた値を下回ったとき;キメリズムのレベルがドナーのPBMC抗原に特異的なモノクローナル抗体での染色がPBMCに結合しないイソ型の対照での染色以下の場合、例えばドナー特異的モノクローナルがこれらの細胞の1〜2%未満を染色する場合;又は一般に、寛容を維持することが必要なとき或いは移植片の受容を延長することが必要なときに与えることができる。
多数回の幹細胞投与を与える場合には、これらの投与の少なくとも1回は、成体のレシピエント種で見出される骨髄細胞の数の少なくとも2倍、同数、又は少なくとも75,50若しくは25%である多数のドナーの造血細胞を含むことができ;成体のレシピエント種で見出される骨髄造血幹細胞の数の少なくとも2倍、同数、又は少なくとも75,50若しくは25%である多数のドナーの造血幹細胞を含むことができる。
好適具体例において、この方法は、レシピエント哺乳動物のナチュラルキラー細胞好ましくは移植片反応性の又はドナー反応性のNK細胞を不活性化することを含む。これは、例えば、レシピエント哺乳動物に、そのレシピエント哺乳動物のナチュラルキラー細胞に結合することのできる抗体を導入することにより達成することができる。抗体の投与、又は他のナチュラルキラー細胞を不活性化する処理は、造血幹細胞をレシピエント哺乳動物に導入する前に又はレシピエントにおける移植片の移植の前に与えることができる。この抗体は、T細胞を不活性化するのに用いる抗体と同じであっても異なってもよい。
好適具体例において、この方法は、レシピエント哺乳動物のT細胞を、好ましくは、移植片反応性の又はドナー反応性のT細胞を不活性化することを含む。これは、例えば、レシピエント哺乳動物に、そのレシピエント哺乳動物のT細胞に結合することのできる抗体を導入することにより達成することができる。抗体の投与、又は他のT細胞を不活性化する処理は、造血幹細胞をレシピエント哺乳動物に導入する前に又はレシピエントにおける移植片の移植の前に与えることができる。この抗体は、ナチュラルキラー細胞を不活性化するのに用いる抗体と同じであっても異なってもよい。
抗NK抗体の一つの源は、抗ヒト胸腺細胞ポリクローナル抗血清である。好ましくは、T細胞並びにNK細胞を溶解させる第二の抗成熟T細胞抗体をも投与することができる。T細胞を溶解させることは、骨髄及び移植片生存の両方に有利である。抗T細胞抗体は、抗胸腺細胞抗血清中に、抗NK抗体と共に存在する。抗体例えば抗NK又は抗T細胞抗体の反復投与量は、好適であり得る。モノクローナル標品を、この発明の方法において用いることができる。
好適具体例において、レシピエントは、成熟T細胞によるサイトカインの放出を刺激する処理を受けない。例えば、レシピエントは、ステロイド薬物例えばプレドニゾン(17,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,11,20−トリオン)等の物質を、そのレシピエントにおける成熟T細胞によるサイトカインの放出を刺激する投薬量又は濃度で受けるべきではない。好ましくは、レシピエントは、幹細胞を最初に投与する時点から移植片を移植するまで又は混合キメリズム及び寛容が確立されるまで、かかる処理を受けない。
好適具体例において、この方法は、レシピエントに導入された移植片上の不一致のクラスI及び/又はマイナー抗原に対する寛容を誘導する補助の減少処理例えば薬物又は他の化学剤の短期コースの投与をふくむ。この補助の減少処理の短期コース例えば高投与量シクロスポリンの短期コースは、一般に、移植片をレシピエントに導入する時点に施与する。この補助の減少処理の短期コースの継続期間は、レシピエント種の成熟T細胞が抗原により最初に刺激を受けた後にその抗原の拒絶を開始するのに要する期間とほぼ等しいかそれより短く;一層好適な具体例においては、この継続期問は、レシピエント種の成熟T細胞が抗原により最初に刺激された後にその抗原の拒絶を開始するのに要する期間の2,3,4,5又は10倍にほぼ等しいかそれより短い。これらの方法は、共有の出願である第08/458,720号(1995年6月1日出願)に一層詳細に記載されており、それを参考として本明細書中に援用する。この第08/458,720号の方法は、ここに記載の方法と組み合わせることができる。
他の好適具体例は、更に、レシピエントのT細胞特に胸腺又はリンパ節の胸腺細胞又はT細胞を不活性化する処理を含む。そうでないと、胸腺又はリンパ節の胸腺細胞又はT細胞は、投与された細胞の植え付け又は生存を阻害するであろう。かかる不活性化は、次の少なくとも1つにより達成することができる:レシピエント哺乳動物の胸腺を、胸腺細胞を不活性化するのに十分な照射線量で照射すること、例えば100〜1,000ラド、一層好ましくは300〜700ラド(例えば、約350又は700ラド)の胸腺照射;抗T細胞又は抗胸腺細胞抗体の単一又は反復投与量を投与すること;又はレシピエントに、ここに記載したような免疫抑制性の化学物質又は薬物の短期コースを施与すること。胸腺細胞又はT細胞の不活性化は、造血幹細胞又は移植片の移植の前に行うことができる。好適具体例において、この方法は、胸腺細胞又はT細胞活性を、好ましくは胸腺又はリンパ節のT細胞の活性をレシピエントに胸腺細胞又はT細胞(好ましくは、胸腺又はリンパ節のT細胞)を不活性化するのに十分な免疫抑制性薬剤(例えばシクロスポリン)の短期コースを施与することにより減じ又は阻害することを含む。免疫抑制性薬剤の短期コースの継続期間は、ほぼ30日間に等しく;約8〜12日間以下、好ましくは約10日間であり;約8〜12又は10日間の2,3,4,5又は10倍以下である。この短期コースは、寛容を誘導する処理を開始する時点の前又はその時点付近に、例えば幹細胞をレシピエントに導入する時点付近に始めることができ;寛容を誘導する処理を開始する日に、例えば幹細胞をレシピエントに導入する日に始めることができ;寛容を誘導する処理を開始する前又は後1,2,4,6,8,10又は30日以内、例えば幹細胞をレシピエントに導入する1,2,4,6,8,10又は30日前又は後以内に始めることができる。免疫抑制剤の短期コースは、抗T細胞抗体と共に施与することができる。免疫抑制剤の短期コースは、T細胞例えば胸腺又はリンパ節T細胞(これらは、T細胞の抗体ベースの不活性化例えばATG抗体等の製剤の静脈投与による不活性化によっては不活性化されないであろう)を不活性化するのに十分な濃度及び継続期間であるべきである。
他の具体例は(適宜)、造血幹細胞移植の前に、例えばレシピエント哺乳動物を低線量例えば400ラド未満の、好ましくは300ラド未満の、一層好ましくは200又は100ラド未満の全身照射で照射してレシピエントの骨髄を涸渇させ又は部分的に涸渇させることにより造血空間を造るステップを含む。ここで論じるように、この処理は、減じ又は完全に排除することができる。
他の面において、この発明は、ドナー哺乳動物由来の移植片に対する寛容を誘導し又は受容を延長する方法を特徴とする。この方法は、胸腺細胞又はT細胞の活性好ましくは胸腺又はリンパ節のT細胞の活性を、そのレシピエントに、胸腺細胞又はT細胞好ましくは胸腺又はリンパ節のT細胞を不活性化するのに十分な免疫抑制剤例えばシクロスポリン等の薬物又は他の化学物質の短期コースを施与することにより減じ又は阻害することを含む。この免疫抑制剤の短期コースの継続期間は、約30日間に等しく;約8〜12日間以下、好ましくは約10日間であり;約8〜12又は10日間の2,3,4,5又は10倍以下である。この短期コースは、ドナー組織のレシピエントへの導入の前に、好ましくは、ドナー組織の導入の1,2,4,6,8,10又は30日前に開始することができる。
好適具体例において、レシピエントは、霊長類例えばヒトであり、移植片は、同種異系移植片であり;レシピエントは、霊長類例えばヒトであり、ドナーは、第二の種例えば第二の霊長類又はブタに由来する。
この方法は、ここに記載の任意の他の方法と組み合わせることができる。
「不一致の種の組合せ」は、ここで用いる場合、移植片を一方から他方へ移植した場合に、超急性拒絶が起きる2つの種をいう。一般に、不一致の種は、異なる目に由来し、他方、不一致でない種は、同じ目に由来する。例えば、ラットとマウスは、不一致でない調和性の種である。調和性の種の組合せは、超急性拒絶を示さない。
「移植片」は、ここで用いる場合、身体の部分、臓器、組織又は細胞をいう。臓器例えば肝臓、腎臓、心臓又は肺、或いは他の身体部分例えば骨又は骨格マトリクス、組織例えば皮膚、腸、内分泌腺、或いは、種々の型の前駆幹細胞は、すべて移植片の例である。
「補助の減少剤」は、ここで用いる場合、サイトカイン放出の減少を生じる薬剤例えば免疫抑制性の薬物である。補助の減少剤の例は、シクロスポリン、FK−506及びラパマイシンである。抗T細胞抗体は、T細胞を排除することができるので、補助の減少剤として用いるのに好適でない。補助の減少剤は、寛容を生じるサイトカイン放出の阻害のレベルを与えるのに十分な投与量で投与しなければならない。この補助の減少剤は、サイトカイン例えばIL−2の放出を促進する処理なしで投与すべきである。推定の補助の減少剤は、イン・ビトロ又はイン・ビボ試験により、例えば推定の薬剤をT細胞と接触させて処理されたT細胞のサイトカイン例えばIL−2を放出する能力を測定することにより予備スクリーニングすることができる。サイトカイン放出の阻害は、推定の薬剤の補助の減少剤としての効力を示すものである。かかる予備スクリーニングした推定の薬剤を、次いで、腎臓移植アッセイにおいて更に試験することができる。腎臓移植アッセイにおいては、推定の補助の減少剤を効力について、その推定の薬剤をレシピエントのサルに投与し、次いで、クラスIIマッチでクラスI及びマイナー抗原ミスマッチのドナーサルからの腎臓をこのレシピエントに移植することにより試験する。ドナー腎臓に対する寛容(移植片の延長された受容により示される)は、推定の薬剤が、試験した投薬量において、補助の減少剤であることを示す。
「補助の減少」は、ここで用いる場合、寛容が望まれる抗原に最初にさらしたときの、レシピエントのT細胞からの少なくとも一種のサイトカイン例えばIL−2,IL−4,IL−6、ガンマインターフェロン又はTNFのいずれかの放出の阻害によるT細胞補助の減少を意味する。レシピエントのT細胞のサイトカイン分泌において誘導される阻害は、補助の減少中に投与される抗原に対してレシピエントが寛容化されるだけ十分なものでなければならない。理論に拘束されるものではないが、減少のレベルは、外来抗原の最初の認識に伴うIL−2の初期バーストを実質的に排除するが、すべての成熟T細胞(これらの細胞は、寛容の教育及び生成に重要であり得る)を排除するのではないものであると考えられる。
「造血空間」は、ここで用いる場合、投与された幹細胞の植え付けを促進する骨髄内に造られる状況をいう。造血空間を造る最も普通の方法は、全身照射を用いる骨髄の照射によるものである。
「造血幹細胞」は、ここで用いる場合、すべての骨髄及びリンパ系列に発生し得て、自己回復できることにより、長期間の造血再構成を与えることができる細胞例えば骨髄細胞又は胎児肝若しくは脾臓細胞をいう。造血細胞の精製標品又は他の細胞型を含有する骨髄などの標品を、この発明の方法において用いることができる。理論に拘束されることは望まないが、造血幹細胞は、レシピエント哺乳動物においてある部位に向かうと考えられる。この標品は、未成熟細胞即ち未分化造血幹細胞を含むべきであり;これらの所望の細胞は、標品から分離することができ、又は複合標品を投与することができる。例えば、骨髄幹細胞の場合、所望の初期の細胞を標品から分離することができ、又はかかる細胞を含む複合骨髄試料を用いることができる。造血幹細胞は、胎児、新生児、未成熟又は成熟動物由来であってよい。レシピエント又はドナーの臍帯血に由来する幹細胞を、この発明の方法において用いることができる。米国特許第5,192,553号(本明細書中に参考として援用する)及び米国特許第5,004,681号(本明細書中に参考として援用する)を参照されたい。
「胸腺又はリンパ節T細胞を不活性化することのできる免疫抑制剤」は、ここで用いる場合、適当な投薬量で投与した場合に胸腺又はリンパ節T細胞の不活性化を生じる薬剤例えば化学薬剤例えば薬物である。かかる薬剤の例は、シクロスポリン、FK−506及びラパマイシンである。抗T細胞抗体も又、用いることができる。薬剤は、抗T細胞抗体例えば抗ATG製剤の投与によって不活性化されない胸腺又はリンパ節T細胞の有意の不活性化を生じるのに十分な投与量で投与すべきである。推定の薬剤及びその有用な濃度を、例えば、その推定の薬剤を試験動物に投与し、胸腺又はリンパ節組織の試料を取り出し、そしてイン・ビトロ又はイン・ビボアッセイにて活性なT細胞の存在について試験することにより、イン・ビトロ又はイン・ビボ試験により予備スクリーニングすることができる。かかる予備スクリーニングした推定の薬剤を、次いで、更に、移植アッセイにおいて試験することができる。
「胸腺又はリンパ節又は胸腺細胞又はT細胞」は、ここで用いる場合、T細胞不活性化の伝統的方法による不活性化例えば抗T細胞抗体例えば抗−体例えばATG製剤の単一の静脈投与による不活性化に耐性の胸腺細胞又はT細胞をいう。
「胸腺照射」は、ここで用いる場合、施与した照射の少なくとも半分、好ましくは少なくとも75,90又は95%が胸腺を標的とする処理をいう。全身照射は、その全身照射の送達の過程で胸腺が照射されるとしても、胸腺照射とは考えない。
「MHC抗原」は、ここで用いる場合、1つ以上のMHC遺伝子の蛋白質産物をいい;この用語は、レシピエント生物において免疫応答を引き起こすことのできるMHC遺伝子産物の断片又はアナログを包含する。MHC抗原の例には、ヒトMHC遺伝子例えばHLA遺伝子の産物(及びその断片又はアナログ)が含まれる。ブタ例えばミニブタ中のMHC抗原は、SLA遺伝子例えばDRB遺伝子の産物(及びその断片及びアナログ)を包含する。
「ミニブタ」は、ここで用いる場合、完全に又は部分的に同系交配のブタをいう。
「造血空間を造るための照射」は、ここで用いる場合、造血組織即ち幹細胞が見出される組織例えば骨髄に向けた照射をいう。それは、相当数の造血細胞を殺し又は不活性化するのに十分な強度のものである。
「胸腺空間」は、ここで用いる場合、ドナー抗原を認識する宿主の胸腺細胞を消去し又は不活性化する型のドナー造血細胞の胸腺への移動及び/又は胸腺における発生を促進する処理により造られた状態をいう。この効果は、胸腺中の宿主細胞の排除により媒介されるものと考えられる。
「補助の減少剤の短期コース」は、ここで用いる場合、一時的な非慢性的処理のコースを意味する。この処理は、移植片の移植の前に又はほぼ移植の時点において開始すべきである。或いは、この処理は、レシピエントが最初にドナー抗原にさらされる時点の前又はほぼその時点において開始することができる。最適には、この処理を、レシピエント種の成熟T細胞が最初に抗原により刺激された後にその抗原の拒絶を開始するのに要する期間にほぼ等しいかそれ以下の時間にわたって続ける。この処理の継続期間は、レシピエント種の成熟T細胞が最初に抗原により刺激された後にその抗原の拒絶を開始するのに要する期間の2,3,4,5又は10倍にほぼ等しいかそれ以下の時間に及び得る。この継続期間は、通常、少なくともレシピエント種の成熟T細胞が最初に抗原により刺激された後にその抗原の拒絶を開始するのに要する時間に等しい。ブタ及びサルにおいては、約12日間の処理で十分である。サルにおける他の実験は、シクロスポリンA処理の8,9又は10日目に投与したIL−2が移植組織の拒絶を生じることを示す。従って、8,9又は10日目は、おそらく、ブタにおいては、十分でない。サルでは、10mg/kgのシクロスポリンの投与量(約500〜1,000ng/mlの血中レベル)が、クラスIIマッチしクラスI及びマイナー抗原ミスマッチの腎臓に対する寛容を誘導するのに十分である。同じ血中レベル(500〜1,000ng/ml)は、ブタにおける寛容を誘導するのに十分である。5mg/kgの長期投与は、(長期間の免疫抑制により)拒絶を阻止するが、寛容を誘導しない。
「免疫抑制剤の短期コース」は、ここで用いる場合、一時的な非慢性的処理のコースを意味する。この処理は、寛容を誘導する処理を開始する時点の前に又はほぼその時点において、例えば、異種の、同種異系の、遺伝子工学処理した同系の、又は遺伝子工学処理した自家移植した幹細胞をレシピエントに導入する時点の近辺で開始すべきであり、例えば、この短期コースは、寛容を誘導する処理を開始する日に、例えば、異種の、同種異系の、遺伝子工学処理した同系の、又は遺伝子工学処理した自家移植した幹細胞をレシピエントに導入する日に開始することができ、或いは、この短期コースは、寛容を誘導する処理を開始する前後1,2,4,6,8又は10日以内に開始することができ、例えば、異種の、同種異系の、遺伝子工学処理した同系の、又は遺伝子工学処理した自家移植した幹細胞をレシピエントに導入する前後1,2,4,6,8又は10日以内に開始することができる。この短期コースは、約8〜12日以下の期間好ましくは約10日間にわたって、又は8〜12又は10日間の2,3,4,5又は10倍にほぼ等しいか又はそれ以下の期間続けることができる。最適には、この短期コースは、約30日間続ける。その投薬量は、胸腺又はリンパ節T細胞を不活性化するのに十分な血中レベルを維持するのに十分であるべきである。約15mg/kg/日の投薬量が霊長類において有功であることが見出された。
「間質組織」は、ここで用いる場合、臓器の機能的要素又は実質と区別される支持組織又はマトリクスをいう。
「寛容」は、ここで用いる場合、移植片レシピエントの免疫応答の阻害をいい、阻害しなければ、該免疫応答が、例えば異物のMHC抗原のレシピエントへの導入に応答して生じる。寛容は、体液性、細胞性、又は体液性と細胞性の両方の応答を包含することができる。寛容は、ここで用いる場合、抗原に対する完全な免疫学的寛容だけでなく、部分的な免疫学的寛容、即ちこの発明の方法を用いなかったならば見られたであろうものより大きい抗原に対する寛容の程度をもいう。寛容は、ここで用いる場合、免疫抑制剤を用いて見られる免疫系の広いスペクトルの阻害に対して、免疫系のドナー抗原特異的な阻害をいう。
この発明の方法は、寛容誘導の多くの方法における造血空間を造るための処理例えば照射の必要性を最小化し又は排除する。
この発明の方法において、胸腺照射、レシピエントの末梢T細胞及び胸腺細胞の不活性化及び十分多数の異種又は同種異系のドナー幹細胞の投与による胸腺空間の創造は、レシピエントをWBIにかけずに、寛容の誘導を可能にする。胸腺空間の誘導は、ドナー反応性胸腺細胞のレベルを減じるが、更なるステップ(ここに記載)を加えて、更に、ドナー胸腺細胞反応性を減じることができる。
この発明の他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明及び請求の範囲から明らかとなろう。
詳細な説明
先ず、図面を簡単に説明する。 図面
図1は、BMCの単一の注射(----)又は5回の注射(—)を受けた動物におけるドナー再増殖の多系統分析の描写である。
図2(左パネル)は、長期間のドナーの単球(〇)、顆粒球(■)及びB細胞(中実三角形)の、抗CD4及びCD8mAbを−5、−1及び7日目に受け、6GyのTIを0日目に受けた(0〜4日目の5日間にわたって174×10 6のB10.A BMCを伴う)B6マウス間の安定キメラのWBCにおける再増殖のグラフである(n=7)。標準偏差を各データ点に示してある。右パネルは、左パネルに示したのと同じマウスのWBCにおけるドナー起源の全CD4(△)及びCD8(■)細胞の平均±SDパーセンテージを示す。
図3は、安定な混合キメラ由来の脾臓細胞のCML応答の描写である。−5、−1及び7日目に抗CD4及びCD8mAbで処理し、0日目にTIで処理し、そして高投与量のB10.A BMC(0〜4日目にわたる174×10 6細胞)で処理したB6マウスを、BMT後25〜29週間分析した。宿主型(上段左パネル)、ドナー型(上段右パネル)及び第三者(下段パネル)の刺激剤及び標的に対するCML反応性を、混合キメラ(□);非BMT対照(*)/正常B6マウス(○);正常B10.Aマウス(◆)について示す。特異的溶解パーセントを、次の式を用いて計算した:100%×(実験 51Cr放出−自然 51Cr放出)/(最大 51Cr放出−自然 51Cr放出)。この図の下段の表は、3つの更なるキメラについて得られた最大特異的溶解%を示す。
図4は、同種異系B10.A BMT(174×10 6、0〜4日目)のB6レシピエントにおけるドナー特異的な皮膚移植片の特異的受容(−5,−1及び7日目の抗CD4及びCD8mAb処理及び0日目の7GyのTI処理後)を示すグラフである。左パネルは、同様に処理した非BMT対照マウス(—)とBMTレシピエント(---)におけるドナー型皮膚の生存である。右パネルは、同じグループのマウスにおける第三者(SJL/J)の皮膚の生存である。移植は、BMT後7週にて行った。
図5は、BMT後24〜29週目に犠牲にしたキメラのCD4+脾臓細胞間の及び成熟(クラスI high)宿主型(K bhigh)胸腺細胞間のVβ5+及びVβ11+細胞の特異的消失の描写である。b10.A対照マウスについては、ゲートしたH−2D bhigh胸腺細胞を代わりに分析した。B6マウスは、抗CD4及びCD8mAb及び7GyのTIで調整した後0〜4日目に174×10 6のB10.A BMCを受けた。10 4のゲートされた細胞に対して、関心ある各集団についてのFCM分析を行った。同じゲート中のTCRaβ high細胞の全数をも測定し、個々のVβについて得られた結果を、TCRaβ high細胞の画分で割ることにより補正した。安定キメラについての結果を与える(n=6)。*は、P<0.05を;***は、P<0.005を;****は、P<0.0005を;*****は、P<0.00005を示す(同時に同様に処理した非BMT対照(n=4)と比較)。 概観
この発明は、外来抗原例えば同種異系又は異種の組織又は臓器移植片上の抗原に対する寛容を誘導する幾つかの方法を提供する。これらの方法は、個別に又は組み合わせて用いることができる。
下記の第I節は、植付け、混合キメリズム及び寛容を、造血空間を造るための照射を必要としないで誘導できる動物試験を提供する。
下記の第II節は、移植のための細胞源を説明する。
下記の第III節は、MHC不同に対する寛容を誘導するための骨髄細胞の移植を論じる。I.実施例1:高投与量のドナー骨髄を用いる同系の植付けに対する胸腺照射の
効果
動物 雌のC57BL/6NCR(B6;H−2b.Ly−5.2)及びLy−5コンジェニックB6.Ly−5.2(Ly−5.1)マウスをFrederick Cancer Research Facility(
メリーランド
、Frederick在)から得た。Ly−5対立遺伝子は、Morse等の命名法(1987.Immunogenetics 25:71)に従って記載する。すべてのマウスを滅菌したマイクロアイソレーターケージに収容し、オートクレーブにかけた食餌を与え、オートクレーブをかけた酸性化飲料水を与えた。レシピエントを、週齢を合わせて、12〜16週齢で用いた。
BMT C57BL/6NCR(B6;H−2b.Ly−5.2)マウスは、−6日及び−1日及び+7日に、腹腔内注射により、抗CD4mAbGK1.5及び抗CD8mAb 2.43を含む腹水を各々100ml受けた。この容積の腹水は、ラットIgG2b特異的ELISAにより測定して、1〜2mgのGK1.5及び1.25〜1.5mgの2.43をそれぞれ含んだ。0日目に、動物を、0,3.5又は7Gyの胸腺照射により照射した。1シリーズのマウスを、2億の骨髄細胞(BMC)の一投与量により処理した。第2のシリーズのマウスを、Ly−5コンジェニックB6.Ly−5.2(Ly−5.1)マウス由来の4000万のBMCでO日目0処理し、全部で5日間毎日繰り返した(全部で2億のBMC)(これらを、静脈投与した)。BM細胞(BMC、200×10 6)を、性の一致した6〜14週齢のB6,Ly−5.2ドナーの脛骨及び大腿骨から得た。T細胞涸渇を、Sykes等(1990.PNAS,87:5633-5637)に記載されたように、抗CD4及びCD8mAb及びラット補体を用いて行った。
細胞計数 ヘパリン化した末梢血液をAutomatcd Cell Counter(Systcm 9000;Serono-Baker Diagnostics Inc.,
ペンシルベニア
、Allentown在)にて分析した。
表現型分類 BMTの2週間後に始めて、様々な時点で表現型分類を行った。動物を尾から採血し、全血液細胞(WBC)を、低張ショックにより調製した。脾臓細胞、胸腺細胞の懸濁液。BMC及びBMコロニーも又、分析した。ドナー特異的及びレシピエント特異的なmAbでの染色を、各キメラ及び対照用動物に対して行った。細胞を、A20−1.7(抗Ly−5.1mAb;マウスIgG2a)又は104−2.1(抗Ly−5.2mAB;マウスIgG2a)(ハイブリドーマは、
ニューヨーク
、New York在、Sloan Kettering Cancer InstituteのS.Kimura博士から親切に提供された)の20mLの未希釈の培養上清と30分間4℃でインキュベートし、次いで、2回洗った。標識した抗体の非特異的FcgR結合をブロックするために、10mLの2.4G2(ラット抗マウスFcgRmAb)の未希釈培養上清を最初のインキュベーションに加えた。細胞結合したmAbを、フルオロセインイソチオシアネート(FITC)結合したラット抗マウスIgG2amAb(Zymed laboratories.Inc.
イリノイ
、Mundelein在)を用いて検出した(30分間4℃でインキュベートした後に、2回洗い、FACScan(Becton Dickinson,
カリフォルニア
、Mountain View在)にて分析した)。すべての実験において、各mAbで染色される細胞のパーセンテージを、一色蛍光ヒストグラム及び正常のドナーと宿主型動物(これらを、陽性及び陰性対照として用いた)から得られるものとの比較から決定した。mAbでの染色後に陽性と考えられた細胞のパーセンテージは、選択したカットオフを用い(陽性対照株の陽性ピークの開始時における蛍光レベルとして)、且つ無関係のmAb(非反応性IgG2a mAb HOPC1及びFITC結合した抗マウスIgG2a mAb)で染色した細胞のパーセンテージを減じることにより測定した。mAbを用いたキメラの相対的染色パーセントを、次の式を用いて計算した:100%×(正味の陽性キメラパーセント)−(正味の陰性対照陽性パーセント)/(正味の陽性対照陽性パーセント)−(正味の陰性対照陽性パーセント)。式中、正味の陽性パーセントは、HOPC1での染色を減じた後に得られるパーセンテージをいい、陽性及び陰性対照は、適当な正常のLy−5.1+及びLy−5.2+マウスに由来する細胞であった。抗Ly−5mAbでの染色が陰性対照の染色より弱く、それ故、計算されたキメリズムパーセントが0より小さい試験細胞集団については、これらの値は、0と報告される。この計算方法を用いて、0.1%未満の夾雑Ly−5.1+細胞を、人工のLy−5.2(99.9%)/Ly−5.1(0.1%)混合物において検出することができた。しかしながら、可視的な陽性ピークは、0.1;又は一層少ないLy−5.1+細胞を含む人工的混合物において検出できなかったが、1%夾雑Ly−5.1+細胞では可視的であった(データは示してない)。すべての造血系統は、抗Ly−5mAbで強く染色された。フォワード及び90度光散乱(それぞれ、FSC及びSSC)のドットプロットを用いて、リンパ球(FSC及びSSC−低集団)、顆粒球(SSC−高集団)及び単球(FSC−高であるが、SSC−低の集団)の集団をゲートし、キメリズムを各集団について別々に測定した。顆粒球ゲート中のすべてのSSC−高細胞は、FITC結合した抗マウス顆粒球mAb(Gr−1)で染色された。死んだ細胞は、低FSC/高ヨウ化プロピジウム保持細胞をゲートで除くことにより排除した。
胸腺照射を用いない植付け 2つのグループの動物に、20×10 7BMCの一回の注射又は40×10 6BMCの1日ベースの5回の注射を施与した。ドナー再増殖の多系統分析は、すべての系統が少なくとも30週間にわたって安定であり続ける10〜25%長期のキメリズムを示すことを示した(図1)。従って、多数回の高投与量の骨髄細胞をレシピエントマウスに注射した場合には、造血幹細胞の安定な植付けが生じ得る。
胸腺照射を用いる植付け マウスを胸腺照射(表1)を用いて前処理した場合には、かなり高レベルの植付けがCD4T細胞集団において認められた(約0〜10%から20〜60%に増加)。単球系統の再増殖は、約20%のレベルから30〜40%に増加した。これは、3.5GyのWBIが同系定植において安定な植付けを可能にするのに十分であるという以前に示された結果と一致する。これらの結果は、植付けは、WBI又はTIなしで達成し得るが、比較的低線量の胸腺照射(3.5Gy)が一層高レベルの同系の植付けを得ることを可能にすることを示している。
実施例2:同種異系の造血再構成及びドナー特異的寛容の骨髄抑制性調節を用いない高レベルの誘導
多能性造血幹細胞(PHSC)は、高投与量の同系の又はLy5コンジェニック骨髄を受けた未調節のレシピエントにおいて植付く。同種異系PHSCの植付けは、高投与量(200×10 6)の完全にMHCミスマッチのB10.A(H−2 a)BMCのB6(H−2 b)レシピエントへの投与により達成された。これらのレシピエントは、−5,−1及び7日目に抗CD4及び抗CD8mAbを涸渇させることによってのみ調節した。初期キメリズムを、末梢血液リンパ球、単球及び顆粒球間で達成した(BMT後4〜6週で、15〜33%のドナー細胞のピークレベル)。しかしながら、初期T細胞キメリズムは、低く(<10%)、多系統キメリズムは、時間と共に減少する傾向があった。表2は、BMTの12〜25週後に犠牲にした動物の脾臓、骨髄及び胸腺における低レベルのキメリズムを示している。
植付けを最適にするために、胸腺照射(TI)の施与により胸腺空間を誘導した。B6マウスは、上記のように抗T細胞mAbを受け、0日目に7GyのTIを、そして全部で174×10 6の完全にMHCミスマッチのB10.ABMCを0〜4日目に受けた。10匹の動物の内の7匹において、ドナー細胞は、高比率のWBC単球、顆粒球、B細胞並びにCD4及びCD8細胞をすべての時点において構成した(図2)。7匹の動物において、初期ドナ−CD4T細胞のレベルは、他の系統のそれと類似し、すべての系統におけるキメリズムは、6ケ月の追跡期間中安定であった(図2)。しかしながら、3匹の動物においては、最初には高レベルのキメリズムであっても、ドナー表現は、幾つかの又はすべての系統において、時間を超えて減少した(データは示してない)。
TIを含む高投与量の同種異系BMT養生法のレシピエントを、BMTの24〜29週後に犠牲にし、キメリズムを他の組織において評価した。最も安定なWBCキメラは、BMC、脾臓B細胞及びT細胞並びにクラスI high、成熟胸腺細胞間の実質的キメリズムを示した(表2)。これらの胸腺は又、ドナーのクラスI low、未成熟胸腺細胞をも含んだ。安定なキメラと異なり、3匹の「不安定な」キメラ(表2)からの胸腺は、僅かのドナー由来のクラスI high細胞しか含まず、変化しやすい脾臓T及びB細胞並びにBMCキメリズムを示した(表2)。
殆どのマウスで認められた安定な高レベルの多系統キメリズムは、実質的な同種異系のPHSCの植付けが、T細胞を涸渇させるmAb、7GyのTI及び高投与量の同種異系骨髄を受けたマウスにおいてWBIなしで達成され得ることを示している。ドナーの表現は、同様に処理したLy5コンジェニック骨髄のレシピエントにおいて認められたものと類似したが、これは、免疫学的同種異系抵抗性が完全に克服されたことを示している。これらの結果は、レシピエントのNK細胞による同種異系PHSC植付けに対する最小バリヤーが更なるBMCの投与により容易に克服され得たことを示す我々の以前の研究と一致し、これは、NK細胞媒介の抵抗が飽和可能であることを示唆している。同系の精製した幹細胞より多数の同種異系細胞が、致死的に照射されたマウスを救助するのに必要とされるという観察は、T細胞媒介の同種異系抵抗を完全に克服することができないことを反映しているのであろう。全骨髄接種物中の
促進する
細胞集団の存在は、かかる細胞型は、一般に、CD4又はCD8を発現すると報告されており、ドナーCD4及びCD8細胞は、BMTの時に循環中に存在するmAbにより涸渇されるので、我々の結果に影響したということはありそうもないことである。
これらのマウスを骨髄抑制について評価した。完全な血液計数を、TIを0日目に受けた動物(mAb処理は行い又は行わず、BMTは行わない)について、−1,1,3,6,8,10,13及び20日目に測定した。TI±mAbのレシピエントにおいては、平均WBC計数は、1日目に、3,000/μlの最下点に達し、8日目までに正常に戻った。任意の個々のマウスにおいて到達された最低レベルは、2,600/μlであった。血小板計数もヘモグロビン濃度も、何れのグループでも、何れの時間にも、有意に減少しなかった。すべての動物は、何らの臨床的毒性を有さずに生存した。従って、mAb/TIでの宿主の調節は、臨床的に、有意の骨髄抑制又は毒性を引き起こさず、しかも高投与量の同種異系骨髄からのPGHSCの植付けを可能にする。
高投与量の同種異系のBMTのレシピエントは、検出可能な体重減少又は他の急性若しくは慢性のGVHDの臨床的徴候を示さなかった。T細胞回収のタイミングは、mAb/TI調節を受けた動物(高投与量の同種異系BMTは、行い又は行わない)において同様であり、胸腺及び脾臓細胞生成は、両グループにおいて同様であった。GVHDと関連する臨床的徴候又はリンパ退行からのレシピエントの自由度は、おそらく、BMTの時に血清中にまだ存在しているmAbによるドナー骨髄中の成熟T細胞の涸渇を反映している。
寛容を評価するために、混台リンパ球反応(MLR)及び細胞媒介のリンパ球溶解(CML)研究を、BMTレシピエント及び同時の同様に処理した非MBT対照において、調節の24〜29週後に行った。安定な多系統キメリズムを有する4匹のすべての動物は、ドナー及び宿主に対する特異的CML寛容を示したが、非BMT対照マウスと類似の抗第三者応答を伴った(図3)。後者のグループは、未処理のB6マウスと類似の抗B10.A応答を示した(図3)。6匹の安定なキメラの内の4匹は、ドナー特異的なMLR不寛容を示したが、他方、2匹の動物は、一般に、低反応性であった。対照的に、すべての4匹の非BMT対照は、B6マウスと類似の抗B10.A応答を示した(BMTマウスと比べて、P<0.01)。全体として、これらの結果は、非骨髄抑制性調節を伴う高投与量の同種異系BMTを受けたマウスにおけるドナー特異的なCML及びMLR寛容を示す。
表2の2匹の「不安定なキメラ」の内で、1匹は、ドナー特異的なCML不寛容を示し、他の1匹は、CMLにおける一般化された不寛容を示した。3匹の不安定なキメラの内の2匹は、ドナー特異的なMLR不寛容を示したが、他方、第三者は、一般化された不寛容を示した(データは示してない)。調製した非BMT対照について認められた強い応答は、調節養生法自体を、この低応答性の原因として排除し、不安定キメラ中のその存在、及びGVHDの証拠の欠如は、GVHと関連した免疫不全をありそうもない説明にする。第三者抗原の、動物が寛容であるドナー抗原との交叉反応性は、幾つかのBMTレシピエントにおける弱い第三者応答の故に、最もありそうな説明である。
幾つかの不安定並びに安定キメラは、ドナー特異的な不寛容をイン・ビトロで示したので、不安定キメラにおけるキメリズムの減少は、MLR又はCMLより一層鋭敏な不完全寛容の指標であり得る。或いは、キメリズムの減少は、非免疫学的機構(例えば、乏しいPHSC植付け)を反映し得る。これらの可能性を区別するために、最も厳格な試験である皮膚移植により寛容を評価した。すべての安定なキメラは、ドナーの皮膚移植片を永久に受容したが、第三者移植片は急速に拒絶され、それにより、ドナー特異的な寛容が示されている(図4)。キメリズムの減少がT細胞系統に限られている一匹の不安定キメラ(
不安定キメラ
#2、表2)も、ドナーの皮膚を受容した。他の2匹の不安定キメラは、ドナー型皮膚を、それぞれ、105日及び48日目までに慢性的に拒絶した。安定キメラにおいて、BMTの31週後に移植された反復ドナー皮膚(及び元の移植片)は、3〜8週間後に犠牲にする時まで、完全な状態のままであった。従って、皮膚移植の最も厳重な基準によって、これらの動物は、永久的なドナー特異的な寛容を示した。
高投与量の同種異系骨髄により調製したキメラにおける寛容の機構を調べるためにVβ使用を分析した。B6/B10バックグラウンドゲノム中にコードされるMtv由来のスーパー抗原を与えるのに必要なドナー株であるB10.Aは、I−Eを発現する。TCRがVβ11又はVβ5(これらは、これらのスーパー抗原に結合する)を含む胸腺細胞の発生は、B10.Aマウスでは、消失するが、I−Eを発現しないB6(H−2 b)マウスでは、消失しない(図5)。Vβ11+及びVβ5+成熟宿主胸腺細胞(ゲートされたH−2K bhigh細胞)及び末梢CD4+細胞を数えた。長期間安定なキメラは、PBL中のVβ5及びVβ11CD4+細胞、脾臓細胞及び成熟B6胸腺細胞の消失を示した(正常B10.Aドナーと類似)。これらのVβは、非BMT対照においては、消失しなかった。対照Vβ8.1/2細胞のパーセンテージは、すべてのグループにおいて正常であった(図5;PBLデータは示してない)。表2の「不安定キメラ」は、安定キメラよりも、Vβ5+及びVβ11+宿主型胸腺細胞(1.4〜4.2%のVβ5,1.1〜5.1%のVβ11)及びCD4脾臓細胞及びPBL(示してない)の一層完全でない消失を示した。従って、ドナーI−Eプラススーパー抗原を認識するVβの完全な消失は、ドナー特異的な皮膚移植片の寛容及び永久の安定な混合キメリズムの存在と関連し、これは、胸腺内での消失が寛容の機構であることを示唆している。
造血細胞は、効率的に、胸腺におけるクローン消失を誘導することができるので、我々は、レシピエント胸腺中で、免疫組織化学を用いて、ドナーのI−Eを探した。ドナーのI−E+細胞は、BMTの24〜29週後に、殆どの安定キメラの胸腺において、明らかに、検出可能であった(表2)。対照的に、3匹の不安定キメラの内の2匹は、それらの胸腺中に検出可能なドナーのI−E+細胞を含まなかった(表2)。全体として、これらの結果は、ドナー由来のクラスII+細胞の長期間の胸腺内の存在と、ドナーMHC分子により提示されたスーパー抗原を認識するVβの消失との間の相関関係を示している。宿主のクラスII+細胞は、すべてのレシピエントの胸腺に正常に分布された。胸腺照射は、安定キメリズムの最適化及び永久の皮膚移植片の寛容に必須であった(表1)。7GyのTIは、有意に骨髄抑制性でなかったが、それは、高レベルのPHSC植付け及び永久の、消失性の、ドナー特異的な寛容を可能にした。
末梢キメリズムは、高投与量の骨髄により達成され得、全身照射の必要はない。しかしながら、中央消失性寛容を達成するには、高レベルの胸腺内キメリズムを発生させるために胸腺中に空間を造るのが最善である。これは、照射により又は抗T細胞抗体の多数回の投与の利用により又は胸腺を消失させる薬物により達成することができる。3〜7Gyの胸腺照射のレベルは、適当であり得る。材料及び方法 動物 雌のC57BL/6(B6:H−2 b)、B10.A(B10.A:H−2 a 、K k、I−A k、I−E k、D d)、BALB/c(H−2 d)、SJL(H−2 a)及びA.SW(H−2 a)マウスを、Frederick CamcerResearch Facility(
メリーランド
、Frederick在)又はThe Jackson Laboratory(
メイン
、Bar Harbor在)から購入した。マウスを特殊な病原体を含まないマイクロアイソレーター環境中に維持した。 調節及びBMT 週齢のマッチした(7〜14週齢)雌のB6レシピエントマウスは、2mg及び1.4mgのラットIgG 2b抗マウスCD4mAbGK1.5(Dialynas等、J.Immunol.131:2445-2451(1983),参考として本明細書中に援用する)及び抗マウスCD8mAb2.43(Sarmiento J.Immunol.125:2665(1980)、参考として本明細書中に援用する)を、それぞれ、BMTに関して、−5,−1及び7日目に、腹腔内注射(i.p.)により受けた。7Gyの選択的胸腺照射を0日目に与えた(Sharabi等、J.Exp.Med.169:493-502(1989)、参考として本明細書中に援用する)。35〜40×10 6のB10.Aマウス由来の未処理のBMCを、0〜4日目に毎日(全部で5回の注射)投与した(全部で、174〜200×10 6BMC)。 mAb 非特異的FcgR結合を、抗マウスFcgRmAb2.4G2ブロックした(Sherman等、Immunogenetics 12:183-189(1981)、参考として本明細書中に援用する)。FITC結合したmAbは、抗CD4(Pharmingen,
カリフォルニア
、San Dicgo在)、抗CD8(Caltag,
カリフォルニア
、San Diego在及びPharmingen)及び抗MAC1(Caltage)及びラット抗マウスIghM(ymed)mAb、並びに抗TCRaβ、−Vb5,−Vb11及びVb8.1/2mAb(Pharmingenより購入)を包含した。陰性対照mAbHOPC1−FITC(マウス細胞に対する反応性を有しない)を、我々の研究室で調製した。ビオチン化抗H−2D dmAb34−2−12(Ozato等、Transplantation 34:113-120(1982)、参考として本明細書中に援用する)、抗H−2K bmAb5F1(Sherman等、Immunogenctics 12:183-189(1981)、参考として本明細書中に援用する)及び対照用mAbHOPC1を、フィコエリトリン−ストレプトアビジン(PEA)を用いて開発した。フィトエリトリン結合した抗CD4mAb(Pharmingen,
カリフォルニア
、SanDiego在)及び非特異的ラットIgG2a(陰性対照)を、Pharmingenより購入した。 多系統キメリズムのフローサイトメトリー(FCM)分析 WBC中の種々の系統の同種異系再構成、脾臓骨髄及び胸腺を2色FCMにより評価した。フォワードアングル及び90度光散乱特性を用いて、記載のように、WBC中のリンパ球、顆粒球及び単球を区別した。2色FCMを用いて、特定の系統のドナーと宿主を区別し、ドナー細胞のパーセンテージを記載されたようにして(Lee等、Transplantation 61:125-132(1996);及びTomita等J.Immunol.153:1087-1098(1994)、参考として本明細書中に援用する)、特定の型のドナー及び宿主細胞を含む四分円からの対照用染色を減じ、正味のドナー細胞のパーセンテージをその表現型のドナープラス宿主細胞のすべての正味のパーセンテージで割ることにより計算した。死んだ細胞を、低FSC/高ヨウ化プロピジウム反応性細胞をゲートで除くことにより排除した。T細胞レセプター(TCR)Vβファミリーの分析のために、10 4のゲートされたCD4+T細胞(PBL及び脾臓)又は10 4のゲートされたH−2クラスI high胸腺細胞を記載されたように分析した(Tomita等、J.Immunol.153:1087-1098(1994)、参考として本明細書中に援用する)。クラスI high胸腺細胞は、主として、成熟した単一陽性T細胞を含む(Scollay等、J.Immunol.124:2845(1980)、参考として、本明細書中に援用する)。 混合リンパ球反応(MLR) 脾臓細胞を、15%(v/v)の制御された処理された血清置換物(CPSR−2;Sigma)、4%栄養混合物(7.3mg/ml L−グルタミン、4×非必須アミノ酸(Gibco)、2.75mg/ml ピルビン酸ナトリウム、250U/mlペニシリン及び250mg/mlストレプトマイシン)、1%Hepes緩衝液及び10mM 2−メルカプトエタノールを補ったRPMI1640培地中の4×10 5の応答者及び4×10 5の剌激者(30Gy)を含むウェル中で、37℃で、5%CO2中で、3〜4日間、それらが 3H標識されたチミジンでパルスラベルされるまで、三連で、培養し、18時間後に収穫した。刺激インデックス(S.I.)を、抗ドナー及び抗第三者応答を抗宿主応答(これらは、バックグラウンド計数(即ち、刺激者細胞集団がないときのcpm)と類似した)と比較することにより計算した。 細胞媒介のリンパ球溶解(CML)反応 CML反応を、記載されたように行った(Sykcs等、J.Immunol.140:2903-2911(1988)、参考として本明細書中に援用する)、但し、8×10 5の応答者を、各ウェル中で、8×10 5の刺激者(30Gy照射したもの)と培養し、8000の 51C標識した48時間コンカナバリンAリンパ芽球を5日目に加えた。 皮膚移植 ドナー型及び第三者(SJL)の全層尾皮膚移植片を、記載されたように移植した(Sharabi等、J.Exp.Med.169:493-502(1989)、参考として本明細書中に援用する)。移植片を、それらが、完全な状態で、尾毛及びうろこを有するならば、受容されたと規定し、完全に脱落したとき又は乾いたかさぶたを形成したときに拒絶されたとみなした。 免疫組織化学 4ミクロンの切片を凍結胸腺組織から調製し、mAbISCR(Watanabe等、Transplantation 36:712-718(1983)、参考として本明細書中に援用する)(マウスIgG 2b抗I−E)、25−9−17(マウスIgG 2a抗I−A b)(Ozato等、J.Immunol.126:317-321(1981)、参考として本明細書中に援用する)、HOPC−1(マウスIgG 2aアイソトープ対照)又は74−11−10(マウスIgG 2bアイソトープ対照)で染色し、ビオチン化ラット抗マウスIgG 2a又は抗IgG 2b(Pharmingen)、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼと基質を用いて、記載されたように発色させた(Tomita等、J.Immunol.153:1087-1098(1994)、参考として本明細書中に援用する)。染色された切片を、組織が得られた動物を知らない観察者が分析した。 統計的分析 平均値の比較にスチュアートのt検定を用いて、統計的有意を決定した。0.05未満のp値を、統計的に有意であると考えた。II. 同種異系幹細胞移植のための細胞源
生きているヒトドナーは、約7.5×10 8の骨髄細胞/kgを提供することができる。この発明の方法は、この数の少なくとも2乃至3倍の投与(kg当たり)を、好ましくは、この数の少なくとも10,15又は20倍の投与を含むことができる。骨髄細胞の必要数は、ヒト幹細胞のエキス・ビボ拡大又は増幅により与えることができる。エキス・ビボ拡大は、Emerson,1996,Blood 87:3082に概説されており、参考として本明細書中に援用する。エキス・ビボ拡大の方法は、Petzer等、1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:1470;Zindstra等、1994,Bio Technology 12:909;及びWO9511692(Davis等)に、一層詳細に記載されており、これらのすべてを参考として本明細書中に援用する。造血幹細胞源には、骨髄細胞、動員された末梢血液細胞、及び利用可能であれば臍帯血細胞が含まれる。
異種幹細胞移植のための細胞源
同系のドナー動物例えば同系のミニブタの場合には、供給できる数が、単一ドナーから収穫し得る数に限定されないので、非常に多数の幹細胞が利用可能である。
レシピエントが霊長類例えばヒトであり、ドナーがブタ例えばミニブタである場合は、7.5×10 9以上の好ましくは7.5×10 9〜15×10 10のブタの骨髄細胞/kgを投与することができる(もっとも、これは、調製養生法の強度及び個々のレシピエントの健康状態等の因子により変化する)。ここで論じるように、これらの細胞は、2回以上の投与にて与えることができる。
寛容を誘導するのに必要なブタ骨髄細胞数の測定
下記のシステムを用いて、ブター霊長類モデルにおいて植付けて、寛容を誘導するのに必要なブタ細胞数を決定し又は正確にすることができる。種々の投与量のドナー細胞をカニクイザルに投与して、キメリズムの確立及び寛容の誘導に必要な細胞数を記載したアッセイにより測定することができる。時間0を、レシピエントの動脈及び静脈カニューレを灌流すべき肝臓に接続した瞬間として定義する。
胸腺空間を、700ラドの胸腺照射を−1〜−8日目に施与することにより誘導する。
−1日目に、ウマ抗ヒト抗胸腺グロブリン(ATG)の市販品(Upjohn)レシピエントに注射する。このレシピエントを麻酔し、カテーテルIVをそのレシピエントに挿入し、6mlのヘパリン化全血を注入前に取り出す。次いで、ATG製剤(50mg/kg)を静脈注射する。ヘパリン化全血液の6mlの試料を試験のために、30分、24時間及び48時間の時点に吸い出す。血液試料を、抗体処理のナチュラルキラー細胞に対する効果について分析し(K562標的にて試験)、リンパ球サブポピュレーション(CD4、CD8、CD3、CD11b及びCD16を含む)についてFACS分析により分析する。成熟T細胞及びNK細胞が排除されなければ、ATGを、この手順のもっと遅い時に再投与することができる。
天然抗体を移植前にレシピエントの循環から除去するために、0日目に、天然抗体(nAB)の機能的吸着をミニブタ肝臓を用いて下記のように行う。−90分に、ブタドナーを麻酔して、肝臓を、標準的な操作手順により取り出す用意をする。−60分に、レシピエントのサルを麻酔する。末梢カテーテルIVを挿入して全血液の6mlの試料を吸い出す。中線切開により、腹大動脈及び大静脈を引き出す。血液サンプリング用のサイドポートを有するシラスティックカニューレを、これらの血管に挿入する。
−30分に、肝臓を、イン・シトゥーで、それが白くなるまで灌流し、次いで、ブタドナーから取り出して冷リンゲルラクテート中に置く。この肝臓を、サルにおける再灌流の直前まで冷やしておく。肝臓バイオプシーを行う。−10分に、この肝臓を、暖めたアルブミン溶液で、肝臓が暖まる(37度)まで、灌流する。
0時間において、レシピエントの動脈及び静脈カニューレをドナーの肝臓の門脈及び大静脈に接続して、灌流を開始する。肝臓バイオプシーを、30分と60分に、それぞれ、行う。レシピエントの血液の試料をも、血清用に、30分と60分に、それぞれ、吸い出す。60分に、この肝臓をカニューレから分離して、レシピエントの大血管を修復する。このレシピエントのサルから有害な天然抗体を吸着する機能を果たした肝臓を捨てる。血清用の更なる血液試料を、レシピエントから、2,24及び48時間目に吸い出す。臓器灌流を、α1−3ガラクトース結合エピトープアフィニティーマトリクス(例えば、アフィニティーカラム形態、例えばマトリクスに結合したリニアーBVI型炭水化物)の灌流により置き換えることができる。
ブタドナー骨髄細胞を、静脈注射により投与する。骨髄を、以前に記載されたようにして(Pennington等、1988,Transplantation 45:21-26)収穫し、静脈注射する。典型的には、7.5×10 8/kgの骨髄細胞を、WBIを含む養生法において投与する。WBIを欠く養生法において投与すべき細胞の適当な数を決定する初期の試験は、その数の数倍〜20倍の投与量の範囲で開始すべきである。投薬量範囲の上端においては、複数回の投与が望ましい。ブタのサイトカインを投与して、植付けを促進することができる。
キメリズムの後に、2色のフローサイトメトリーを利用することができる。このアッセイは、モノクローナル抗体を用いて、ドナークラスI主要組織適合性抗原と、レシピエントクラスI主要組織適合性抗原に対する白血球共通抗原との間を区別する。或いは、キメリズムの後にPCRを行うことができる。寛容が誘導される前に天然抗体が再発することが見出され、これらの抗体がドナー組織にダメージを生じるならば、このプロトコールを改変して、BMT後に体液性寛容が確立されるのに十分な時間を与えてから臓器を移植する。ドナー抗原に対する寛容の後に、標準的方法例えばMLRアッセイを行うことができる。III. 骨髄移植による寛容の誘導
下記の手順をデザインして、拒絶前の、異種宿主における移植臓器(異種移植片)の生存時間を長引かせた。この臓器は、任意の臓器例えば肝臓、腎臓、膵臓又は心臓であってよい。この方法の主なストラテジーには、次のうちの少なくとも1つが含まれる:天然抗体の排除(例えば、レシピエントの血液をドナー反応性の天然抗体と反応するエピトープと接触させることによる);宿主T細胞の不活性化;宿主NK細胞の不活性化;寛容を誘導する幹細胞例えば骨髄幹細胞の移植(適宜のドナー間質組織を移植又はドナーサイトカインを投与);及び胸腺照射の施与。胸腺照射と組み合わせた十分多数の投与されたドナー幹細胞は、WBIの必要性を有意に減じ又は排除する。この方法は、これらのステップの何れか又はすべてを含む。好ましくは、それらを、下記の順序で行う。
第1に、ウマ抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)製剤を、レシピエントに静脈注射する。この抗体製剤は、成熟T細胞及びナチュラルキラー細胞を排除する。排除されなければ、成熟T細胞は、骨髄移植物の拒絶及び感作後の移植片自体の拒絶の両方を促進するであろう。ATG製剤は又、ナチュラルキラー(NK)細胞をも排除する。NK細胞は、おそらく、移植された臓器に何の影響も有しないが、新たに導入された骨髄を直ぐに拒絶するように作用するであろう。任意の哺乳動物宿主から得られた抗ヒトATG例えばブタで生成されたATGを用いることができる(もっとも、今までは、ブタATG製剤は、ウマ由来のATGより低力価であった)。抗NKモノクローナル抗体は、一般に、すべての宿主NK細胞を溶解させるものではないが、ATG中のポリクローナル混合物はすべての宿主NK細胞を溶解させ得るので、ATGは、抗NKモノクローナル抗体より優れている。しかしながら、抗NKモノクローナル抗体を用いることはできる。
宿主T細胞が移植後再生中であるときの宿主の胸腺中のドナー抗原の存在は、宿主T細胞の寛容化に決定的に重要である。もしドナーの造血幹細胞が宿主の胸腺中で確立し得ず且つ宿主のT細胞が再生する前に寛容を誘導できないならば、抗レシピエントT細胞抗体の反復投与量が、この非骨髄芽球養生法中で必要であり得る。宿主のT細胞の持続的な涸渇は、数週間にわたって必要とされ得る。
貧血を回避するには、レシピエントに脾臓摘出術を施すことも必要であるか又は望ましい。
第2に、天然抗体をレシピエントの血液から血液灌流により吸着する。前に形成された天然抗体(nAB)は、移植片拒絶の一次抗体である。天然抗体は、異種個体の内皮細胞に結合する。これらの抗体は、異種個体ドナーの抗原に対する任意の既知の以前の曝露に無関係である。新たに発生するB細胞が寛容化される機構は、不明である。α1−3ガラクトース結合エピトープ−アフィニティーマトリクス(例えば、アフィニティーカラム形態、例えばマトリクス結合リニアーBVI型炭水化物)は、抗ブタ抗体をレシピエントの血液から除くのに有用である。
非骨髄芽球手順における第三のステップは、ドナー特異的成長因子又はサイトカインを供給することである。
肝臓は、胎児における造血の主要部位であり、胎児肝は又、造血幹細胞の源として骨髄の代わりとして働くことができる。胸腺は、T細胞成熟の主要部位である。各臓器は、宿主に移植されたそれぞれの未分化幹細胞の分化を支持することのできる臓器特異的間質マトリクスを含む。成体の胸腺を用いることもできるが、妊娠の十分初期に得られた胎児組織が、GVHDを引き起こし得る成熟Tリンパ球を有しないので、好適である。胎児組織は又、移植したときに、成体組織よりよく生存する傾向がある。GVHDに対する追加の用心として、胸腺間質組織を、移植前に、例えば1000ラドで、照射することができる。別報として又は移植の補助として、胎児肝細胞を液体懸濁液として投与することができる。
第四に、ドナーの骨髄細胞(BMC)、又は他の造血幹細胞源例えば胎児肝懸濁液をレシピエントに注射することができる。ドナーのBMCは、レシピエントの適当な部位に向かい、残りの宿主細胞と共に連続的に成長して増殖し、キメラのリンパ造血集団を形成する。このプロセスにより、新規に形成されるB細胞(及びそれらが生成する抗体)を、移植物が自己として認識されるようにドナー抗原にさらす。ドナーに対する寛容は又、造血幹細胞例えばBMCの植え付けが達成された動物において、T細胞レベルにおいても認められる。臓器移植片を、骨髄キメリズムが誘導された数ヶ月後にかかるレシピエント中に置くと、ドナーに対する天然抗体は消失しており、移植片は、免疫系の体液性及び細胞性の両防護により受容される。このアプローチは、造血細胞例えばBMT例えば胎児肝懸濁液の移植後に、臓器移植時点で正常の健康及び免疫適格が回復されるだけ十分長期間臓器移植を行うことを可能にするという追加の利点を有する。異種個体ドナーの利用は、同じ動物又は遺伝的にマッチした動物に由来する骨髄細胞及び臓器の利用の可能性を与える。
この分野で議論されている方法の多くは、全身照射を利用して造血空間を造り、それにより、植え付けを促進する。この照射の必要性は、十分な数のドナー骨髄細胞を投与することにより、実質的に減じ又は排除することができる。これは、胸腺空間を誘導する処理例えば胸腺照射と組み合わせるべきである。
最後に、T細胞特に胸腺又はリンパ節T細胞を、更に、レシピエントに、免疫抑制剤例えばシクロスポリンの短期コースを施与することにより抑制することができる。
これらの手順の何れでも移植臓器の生存を助けることができるが、最良の結果は、すべてのステップを組み合わせて用いるときに達成される。この発明の方法を用いて、同種異系移植片に寛容を与えることができ(移植片ドナーとレシピエントの両者がヒトの場合)、そして異種移植片に寛容を与えることができる(移植片ドナーが非ヒト動物例えばブタ例えばミニブタであり、移植片レシピエントが霊長類例えばヒトである場合)。
異種移植片の場合、移植片のドナー及び、寛容誘導性造血細胞又は灌流すべき肝臓の何れかを供給する個体は、同じ個体であるべきであり、又はできるだけ密接な関係であるべきである。例えば、高度に同系交配したドナーのコロニーから移植組織を取り出すのが好ましい。 詳細なプロトコール
カニクイザルにミニブタドナーからの腎臓を受けさせるための準備をする下記のプロトコールにおいて、ゼロ時間を、レシピエントの動脈及び静脈カニューレを灌流すべき肝臓に接続する瞬間として定義する。
−1日に、ウマ抗ヒト抗胸腺グロブリン(ATG)の市販品(Upjohn)を、レシピエントに注射する。ATGは、排除しないと寛容を誘導するのに用いる骨髄の拒絶を引き起こすであろう成熟T細胞及びナチュラルキラー細胞を排除する。レシピエントを麻酔し、IVカテーテルをそのレシピエントに挿入して、6mlのヘパリン化全血液を注入前に取り出す。次いで、ATG製剤を、静脈注射する(50mg/kg)。ヘパリン化全血液の6mlの試料を、30分、24時間及び48時間の時点で試験用に吸い出す。血液試料を、抗体処理のナチュラルキラー細胞活性に対する効果について分析し(K562標的にて試験)、CD4,CD8,CD3,CD11b及びCD16を含むリンパ球サブポピュレーションについてFACS分析により分析する。両アッセイからの予備的データは、両グループの細胞がATGの投与により排除されることを示している。もし、成熟T細胞及びNK細胞が排除されなければ、ATGを、この手順のもっと遅い時点(臓器移植の前及び後の両方)で再投与することができる。
多くの技術方法において施与される準致死的照射は、投与する幹細胞数を増すこと及び700ラドの胸腺照射を施与することにより省かれる。胸腺照射は、0日目に送達する。
天然抗体は、臓器拒絶の主要な原因である。天然抗体を、移植前に、レシピエントの循環から除去するために、0日目に、天然抗体(nAB)の機能的吸着を、下記のようにミニブタの肝臓を用いて行う。−90分に、ブタドナーを麻酔し、そして標準的操作手順により肝臓を取り出す準備をする。−60分に、レシピエントのサルを麻酔する。末梢IVカテーテルを挿入し、6mlの全血試料を吸い出す。中線切開により、腹大動脈及び大静脈を引き出す。血液サンプリング用サイドポートを有するシラスティックカニューレをこれらの血管に挿入する。
−30分に、肝臓を、イン・シトゥーで、それが白くなるまで灌流し、次いで、ブタドナーから取り出して冷リンゲルラクテート中に置く。この肝臓を、サルにおける灌流の直前まで冷やしておく。肝臓バイオプシーを行う。−10分に、この肝臓を、暖めたアルブミン溶液で、肝臓が暖まる(37度)まで、灌流する。
0時間において、レシピエントの動脈及び静脈カニューレをドナーの肝臓の門脈及び大静脈に接続して、灌流を開始する。肝臓バイオプシーを、30分と60分に、それぞれ、行う。レシピエントの血液の試料をも、血清用に、30分と60分に、それぞれ、吸い出す。60分に、この肝臓をカニューレから分離して、レシピエントの大血管を修復する。このレシピエントのサルから有害な天然抗体を吸着する機能を果たした肝臓を捨てる。血清用の更なる血液試料を、レシピエントから、2,24及び48時間目に吸い出す。T細胞及びB細胞媒介の寛容による移植臓器の長期間の生存を促進するために、ドナー骨髄細胞をレシピエントに投与してキメラ骨髄を形成する。骨髄中のドナー抗原の存在は、新たに発生するB細胞及び新たに感作されたT細胞がドナーの抗原を自己として認識することを可能にし、それにより、ドナーからの移植臓器に対する寛容を誘導する。ドナーBMCを安定化するために、ドナー組織(胎児肝、胸腺及び/又は胎児脾臓の組織スライスの形態)をレシピエントの腎臓カプセル下に移植する。間質組織を、好ましくは、造血幹細胞例えばBMC又は胎児肝細胞懸濁液の投与と同時に又は該投与の前に移植する。十分な幹細胞を投与して、調製用の又は造血空間を造るための照射の必要性を排除する。
キメリズムの後に、2色のフローサイトメトリーを利用することができる。このアッセイは、モノクローナル抗体を用いて、ドナークラスI主要組織適合性抗原と、レシピエントクラスI主要組織適合性抗原に対する白血球共通抗原との間を区別する。BMCを、更に、臓器移植と同時かまたはそれに先んじて注射することができる。骨髄を、以前に記載されたように(Pennington等、1988,Transplantation 45:21-26)収穫して、静脈注射する。寛容が誘導される前に天然抗体が再発することが見出され、これらの抗体が移植片にダメージを生じるならば、このプロトコールを改変して、BMT後に体液性寛容が確立されるのに十分な時間を与えてから臓器を移植する。
これらの上記のアプローチを、移植拒絶の問題を共同的に予防するようにデザインする。
この発明の方法は、上記のように組み合わせて用いてもよいし、部分的に用いてもよい。
骨髄細胞を導入する方法は、特に、(1)造血幹細胞の注射と移植片の移植との時間間隔を増大させること;(2)注射する造血幹細胞の量を増すこと;(3)造血幹細胞の注射回数を変えること;(4)造血幹細胞の送達方法を変えること;(5)造血幹細胞の組織源を変えること(例えば、胎児肝細胞懸濁液を用いることができる);又は(6)造血幹細胞のドナー源を変えることにより変更することができる。移植片ドナー由来の造血幹細胞が好適であっても、造血幹細胞は、他の個体若しくは種から、又は遺伝子工学処理した同系交配ドナー株から、又はイン・ビトロ細胞培養から得ることができる。
レシピエントに造血幹細胞の移植の用意をする方法は、変化し得る。例えば、レシピエントは、脾臓摘出術を受けてよい。後者は、好ましくは、非骨髄芽球養生法前に(例えば、−14日目に)施与する。
天然抗体の血液灌流は、(1)他の脈管系臓器例えば肝臓、腎臓、腸を利用することができ;(2)複数の順次的な臓器又はアフィニティーマトリクスを利用することができ;(3)各臓器又はアフィニティーマトリクスを灌流する時間の長さを変えることができ;(4)灌流する臓器のドナーを変えることができる。造血細胞移植前に導入する抗体は、(1)T細胞サブセット又はNK細胞に対するモノクロなる抗体(例えば、Hercend等の米国特許第4,772,552号に記載された抗NKH1 A、参考として本明細書中に援用する)を用いることにより;(2)抗ヒトATGを他の哺乳動物宿主(例えば、サル、ブタ、ウサギ、イヌ)中で調製することにより;又は(3)上記の宿主の何れかにおいて調製した抗サルATGを用いることにより変えることができる。
この発明の方法は、他の哺乳動物レシピエント(例えば、アカゲザル)に採用することができ、他の哺乳動物ドナー(例えば、霊長類、ヒツジ、又はイヌ)を用いることができる。血液灌流の別法又は補助として、宿主抗体を、過剰の造血細胞の投与により涸渇させることができる。
造血細胞移植(例えば、BMT)前に導入する間質組織は、(1)胎児の肝及び胸腺組織を細胞懸濁液として投与すること;(2)胎児肝若しくは胸腺間質組織を投与する(但し、両方ではない)こと;(3)間質移植組織を他のカプセル封入された十分血管形成された部位に置くこと、又は(4)間質組織源として成体胸腺若しくは胎児脾臓を用いることによって変え得る。
他の具体例
同種異系抗原又は同種異系移植片に対する寛容を誘導し又はこれらの受容を促進するためのここに記載の方法は、ドナーとレシピエント間で、移植片拒絶に影響を有するMHC遺伝子座又は他の遺伝子座に任意の程度のミスマッチがある場合において用いることができる。好ましくは、少なくとも1つのMHC遺伝子座において、又は認識及び拒絶を媒介する少なくとも1つの他の遺伝子座例えばマイナー抗原遺伝子座においてミスマッチが存在する。クラスI及びクラスIIMHC遺伝子座に関して、ドナー及びレシピエントは、クラスIでマッチし且つクラスIIでミスマッチであってよく;クラスIでミスマッチで且つクラスIIでマッチしてよく;クラスIでミスマッチで且つクラスIIでミスマッチであってよく;クラスIでマッチし、クラスIIでマッチしてよい。これらの組合せの何れかにおいて、認識及び拒絶を制御する他の遺伝子座例えばマイナー抗原遺伝子座は、マッチしてもミスマッチであってもよい。上記のように、少なくとも1遺伝子座において、ミスマッチがあることが好ましい。MHCクラスIにおいてミスマッチであるとは、少なくとも1つのMHCクラスI遺伝子座に関してミスマッチであることを意味する(例えば、ヒトの場合、HLA−A、HLA−B又はLHA−Cの少なくとも1つにおいてミスマッチであり、ブタの場合であれば、少なくとも1つのSLAクラスI遺伝子座例えばブタA又はB遺伝子座においてミスマッチである)。MHCクラスIIでミスマッチであるとは、少なくとも1つのMHCクラスII遺伝子座においてミスマッチであることを意味する(例えば、ヒトの場合、DPα、DPβ、DQα、DQβ、DRα又はDRβの少なくとも1つにおいてミスマッチであり、ブタの場合には、少なくとも1つのSLAクラスII遺伝子座例えばDQα若しくはβ又はDRα若しくはβにおいてミスマッチである)。
同種異系抗原又は同種異系移植片に対する寛容を誘導するためのここに記載の方法は、ドナーとレシピエント間で、混合リンパ球アッセイにおいて任意の程度の反応性がある場合において、たとえば、中間体がないか低い又は高い混合リンパ球反応性(ドナーとレシピエント間)がある場合において用いることができる。好適具体例において、混合リンパ球反応性を用いて、クラスIIについてのミスマッチを規定し、この発明は、混合リンパ球アッセイにより規定されるクラスIIのミスマッチを有する個体間での同種異系移植を行うための方法を含む。血清学的試験を用いて、クラスI又はII遺伝子座におけるミスマッチを測定することができ、この発明は、血清学的方法により測定してクラスI又はIIに任意の程度のミスマッチを有する個体間の同種異系移植を行うための方法を含む。好適具体例において、この発明は、血清学的及び又は混合リンパ球アッセイにより測定してクラスI及びクラスIIの両方にミスマッチを有する個体間の同種異系移植を行うための方法を特徴とする。
この発明の方法は、新生物疾患特に普通の治療例えば化学療法又は放射線療法に耐性の疾患に苦しめられている組織又は臓器を置き換えるのに特に有用である。この発明の方法を用いて、移植片例えば同種異系移植片例えば少なくとも1つのクラスI遺伝子座で、少なくとも1つのクラスII遺伝予座で、又は少なくとも1つのクラスI及びクラスIIの各遺伝子座でミスマッチであるドナー由来の同種異系移植片に対する寛容を誘導することができる。好適具体例において、移植片は、消化管又は腸からの組織、例えば胃からの組織、又は腸組織(例えば、小腸、大腸若しくは結腸)を含み;移植片は、レシピエントの消化系の一部を、例えば消化管又は腸、例えば胃、腸(例えば、小腸、大腸若しくは結腸)の全部又は一部を置き替える。
この発明の方法は、調製用WB照射の必要性を最小化し又は排除する。しかしながら、照射を施与する場合、照射腺量を分割することにより、即ち照射を2回以上の露出又は持続時間にて送達することにより、一層低い照射毒性で混合キメリズムを誘導することが可能である。従って、異種移植片又は同種移植片のレシピエント例えば霊長類例えばレシピエントの照射を要求するこの発明の如何なる方法においても、その照射は、単一露出にて送達してもよいし又は、一層好ましくは、2回以上の露出若しくは持続時間に分けてもよい。これらの分割した線量の総計は、好ましくは、ラド又はGyにて、単一露出にて与えた場合に混合キメリズムを生じ得る照射線量と等しい。これらの分割照射は、好ましくは、ほぼ等しい線量とする。照射線量の過剰分割も又、この発明の方法において用いることができる。これらの分割照射は、同じ日に送達することもできるし又は、1、2、3、4、5日以上の間隔にて分けることもできる。全身照射、胸腺照射、又はこれらの両方を分けることができる。
胸腺照射も又、分割することができる。例えば、700ラドの単一線量は、350ラドずつの2分割照射に置き替えることができ、又は100ラドずつの7回の分割照射に置き替えることができる。
この発明の方法は、レシピエントの脾臓摘出を含むことができる。
ここで論じるように、血液灌流(例えば、ドナー臓器を用いる血液灌流)を用いて、宿主の天然抗体を涸渇させることができる。他の天然抗体を涸渇させ或は不活性化させるための方法を、ここに記載の任意の方法と共に用いることができる。例えば、天然抗体を涸渇させ又は不活性化させる薬物例えばデオキシスパガリン(DSG)(Bristol)又は抗IgM抗体を、同種移植片又は異種移植片のレシピエントに投与することができる。DSG(又は
同様の薬物)、抗IgM及び血液灌流の内の一つ又は幾つかを用いて、この発明の方法において、レシピエントの天然抗体を涸渇させ或は不活性化させることができる。6mg/kg/日の濃度のDSG(静脈注射)が、ブタにおけるカニクイザル腎臓移植片に対する天然抗体機能を抑制するのに有用であることが見出された。
ここに記載の方法の何れか特に霊長類の又は臨床的方法においては、レシピエントの幹細胞をドナー細胞で完全に置き換えるのではなくて混合キメリズムを形成するのが好ましい。
胸腺T細胞の不活性化のための別法も又、この発明の具体例に含まれる。ここに記載の方法の幾つかは、胸腺照射を施して宿主の胸腺T細胞を不活性化させるか或はドナー抗原に対する宿主の胸腺T細胞媒介の応答を減じることを含む。この発明の同種又は異種移植法において要求される胸腺照射は、宿主の胸腺T細胞媒介の応答を減じる他の処理によって(例えば、胸腺T細胞を涸渇させること及び/又は1種以上のT細胞レセプター(TCR)、CD4コレセプター若しくはCD8コレセプターを下方制御することにより)補われ又は置き替えられ得ることが発見された。例えば、胸腺照射を、宿主の胸腺T細胞媒介の応答を減じるだけ十分な回数、十分な量で、十分な期間投与された抗T細胞抗体(例えば、抗CD4及び/又は抗CD8モノクローナル抗体)により、補い又は置き替えることができる。
最良の結果のためには、抗T細胞抗体を、繰り返し投与すべきである。例えば、抗T細胞抗体を、ドナー骨髄移植の前に、1、2、3回以上投与することができる。典型的には、骨髄移植前の抗体投与量は、骨髄移植の約5日前に患者に与えられる。骨髄移植の6、7又は8日前に更なる一層早い投与量を与えることもできる。最初の処理を施し、次いで、患者が血清中の過剰の抗体及び末梢T細胞の疫99%涸渇を示すまで骨髄前投与を1〜5日間毎日繰り返し、次いで、骨髄移植を実施するのが望ましい。抗T細胞抗体は又、ドナー骨髄移植後も、1、2、3回以上投与することができる。典型的には、骨髄移植後処理は、骨髄移植後2〜14日に与える。この骨髄移植後施与は、必要な回数悔い返すことができる。2回以上の施与を与える場合は、約1週間間隔でよい。もし患者が、早い又は望ましくないT細胞回復を受けるようならば、更なる投与量を与えることができる。好ましくは、抗T細胞抗体を、ドナー骨髄移植の前に、少なくとも1回(好ましくは、2、3回以上)投与し、且つドナー骨髄移植後に、少なくとも1回(このましくは、2、3回以上)投与する。
ここに記載の方法の幾つかは、造血幹細胞のレシピエントへの投与を含む。それらの方法の多くにおいて、造血幹細胞は、移植片(同種又は異種移植片)の移植前又は移植の時点に投与され、この造血幹細胞の投与の主な目的は移植片に対する寛容を誘導することである。本発明者は、その後の1回以上の造血幹細胞の投与(例えば、第2、3、4、5又はそれ以上の投与)が寛容の生成及び/又は維持に望ましいことを見出した。従って、この発明は又、ここで言及される方法の何れかの部分として造血幹細胞を以前に投与されたレシピエント例えば霊長類例えばヒトに、造血幹細胞を投与する方法をも含む。
理論に拘束されることは望まないが、本発明者は、反復幹細胞投与は、移植片レシピエントにおけるキメリズム及び恐らくは長期欠失性寛容を促進することができるものと考える。従って、ここで言及される造血幹細胞の投与を含む任意の方法は、更に、幹細胞の複数の投与を含むことができる。公的具体例において、幹細胞の第1及び第2の投与を、移植片の移植の前に与え;幹細胞の第1の投与を移植片の移植前に与え且つ幹細胞の第2の投与を移植片の移植時点に与える。他の好適具体例において、幹細胞の第1の投与を、移植片の移植の前又は移植の時点に与え、幹細胞の第2の投与を、移植片の移植の後に与える。造血幹細胞の投与を、幹細胞の前の投与の少なくとも2日後、1週間後、1月後又は6月後に与え;移植片の移植の少なくとも2日後、1週間後、1月後又は6月後に与える。
この方法は、更に、レシピエントが例えば移植された臓器の機能低下により、宿主のドナお特異的抗体応答の変化により又はドナー抗原に対する宿主リンパ球応答の変化により示される拒絶の徴候を示し始めるとき;キメリズムのレベルが低下するとき;キメリズムのレベルが予め決めた値より低下したとき;キメリズムのレベルが、ドナーPBMC抗原に特異的なモノクローナル抗体での染色がPBMCに結合しない同位体対照での染色以下であるレベルに達し又はそれより低下したとき(例えば、ドナー特異的モノクローナルが、これらの細胞の1〜2%未満を染色するとき);又は、一般に、寛容を維持し若しくは移植片の受容を延長させることが必要なときには、造血幹細胞の第2の又はその後の投与量を施与するステップを含むことができる。従って、この発明の方法を、造血幹細胞の1回以上の投与を受けた患者が造血幹細胞のその後の投与を必要としているかどうかを測定し、もし必要であるならば、その患者に造血幹細胞のその後の投与量を施与する更なるステップを含むように改変することができる。
ここで言及される任意の方法は、レシピエントにおける抗体の産生、レベル又は活性を阻止する薬剤例えば15−デオキシスパガリン、ミコフェノレートモフェチル(mofetil)、ブレクィナ(brequinar)ナトリウム、又は類似の薬剤の投与を含むことができる。これらの薬剤の一種以上を、ドナー組織の移植前(例えばドナー組織の移植の1、2若しくは3日前又は1、2若しくは3週間前)に;ドナー組織の移植の時点に;又は、ドナー組織の移植後(例えば、移植片の移植の1、2若しくは3日後又は1、2若しくは3週間後)に投与することができる。
この薬剤の投与は、レシピエントが、例えば、移植された臓器の機能低下により、宿主のドナー特異的抗体応答の変化により若しくはドナー抗原に対する宿主リンパ球応答の変化により示される拒絶の徴候を示し始めるとき;キメリズムのレベルが減少するとき;キメリズムのレベルが予め決めた値より添加するとき;キメリズムのレベルが、ドナーPBMC抗原に特異的なモノクローナル抗体での染色がPBMCに結合しない同位体対照での染色以下であるレベルに達し若しくはそれより低下するとき(例えば、ドナー特異的なモノクローナルが、これらの細胞の1〜2%未満を染色するとき);又は、一般に、寛容を維持し若しくは移植片の受容を延長することが必要であるときに開始することができる。
薬剤を投与する期間(又は、患者において臨床的に有効なレベルが維持される期間)は、長期間例えば6月以上又は1年以上でも、短期間例えば1年未満(一層好ましくは、6月以下、一層好ましくは1月以下、更に好ましくは2週間以下)であってもよい。この期間は、一般に、少なくとも約1週間、好ましくは少なくとも約2週間持続する。好適具体例において、この期間は、2週間又は3週間の長さである。
好適具体例は、移植片移植の日に開始して約2週間にわたる15−デオキシスパガリン(6mg/kg/日)の投与を含む。
ここで言及される方法の幾つかは、造血幹細胞のレシピエントへの投与を含む。本発明者は、一種以上のサイトカイン(好ましくは、これらの幹細胞を取り出した種由来のサイトカイン)の投与が植付け、混合キメリズム及び寛容を促進し或は移植片の受容を延長することを見出した。かかるサイトカインの利用は、全身照射の必要性を減じ又は排除することができる。従って、この発明は又、レシピエントに一種以上のサイトカイン(例えば、ドナー種のサイトカイン)を投与する方法をも含む。
理論に拘束されることは望まないが、本発明者は、これらのサイトカイン(特に、ドナー種サイトカイン)は、ドナー幹細胞又はそれらの子孫の細胞の植付け及び/又は機能を促進するものと考える。従って、造血幹細胞の投与を含むここで言及される任意の方法は、更に、サイトカイン例えばSCF、IL−3又はGM−CSFの投与を含むことができる。好適具体例において、このサイトカインは、標的細胞との相互作用において種特異的であるものである。
サイトカインの投与は、移植片の移植又は幹細胞の移植の前又は後に開始することができる。
この方法は、更に、レシピエントが、例えば移植された臓器の機能低下により、宿主のドナー特異的抗体応答の変化により若しくはドナー抗原に対する宿主リンパ球応答の変化により示される拒絶の徴候を示し始めたとき;キメリズムのレベルが低下したとき;キメリズムのレベルが予め決めた値より低下したとき;キメリズムのレベルが、ドナーのPBMC抗原に特異的なモノクローナル抗体での染色がPBMCに結合しない同位体対照での染色以下であるレベルに達し若しくはそれより低下したとき(例えば、ドナー特異的モノクローナルがこれらの細胞の1〜2%未満を染色するとき);又は、一般に、寛容を維持し或は移植片の受容を延長することが必要であるときに、サイトカインの第1の又はその後の投与量をそのレシピエントに投与するステップを含むことができる。従って、この発明の方法を、患者がサイトカイン治療を必要としているか否かを決定し、もし必要としているならばサイトカインを投与する更なるステップを含むように改変することができる。
サイトカインを投与する期間(又は、臨床的に有効なレベルが患者において維持される期間)は、長期間例えば6月以上若しくは1年以上であっても、又は短期間例えば1年以下、一層好ましくは6月以下、一層好ましくは1月以下、更に好ましくは2週間以下であってもよい。この期間は、一般に、少なくとも約1週間、好ましくは少なくとも約2週間維持する。
好適具体例において、レシピエントは、霊長類例えばヒトであり、ドナーは、異なる種からのものであり、例えばドナーはブタであり、ブタSCFを投与し;ブタIL−3を投与し;ブタSCFとブタIL−3の組合せを投与し;ブタ特異的な造血促進因子例えばブタGM−SCFを、例えば幹細胞の移植後に(例えば、幹細胞の移植の約1月後に)投与する。
特に好適な具体例は、シクロスポリン又は類似の薬剤の短期コース(例えば、約1月)、15−デオキシスパガリン又は類似の薬剤の短期コース(例えば、約2週間)及びドナー特異的なサイトカイン例えばSCF及びIL−3の短期コース(例えば、約2週間)を組合せる。ブタの移植片及びブタの幹細胞を受けたカニクイザルにおいて、シクロスポリン(15mg/kg/日で28日間)、15−デオキシスパガリン(6mg/kg/日で2週間)及び組換えブタサイトカイン(SCF及びIL−3、各々10μg/kg/日(静脈注射)で2週間)を含む処理が有用であることが見出された。投与を、移植片の移植の時点に開始した。(これらのサルは又、−6及び−5日目の3×100cGyの全身照射及び幹細胞投与直前のブタ肝臓を用いる血液灌流よりなる調製用養生法も受けた)。
抗CD2抗体(好ましくは、モノクローナル例えばBTI−322又は類似の若しくは重複するエピトープに対するモノクローナル)を、ここで言及される任意の方法における任意の抗T細胞抗体(例えば、ATG)に加えて又はそれに代えて用いることができる。
他の具体例は、後記の請求の範囲内にある。