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1. WO2020158081 - PROCÉDÉ D'ASSEMBLAGE

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明 細 書

発明の名称 接合方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

符号の説明

0062  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 接合方法

技術分野

[0001]
 本発明は、接合方法に関する。

背景技術

[0002]
 例えば、特許文献1には、液冷ジャケットの製造方法が開示されている。図11は、従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。従来の液冷ジャケットの製造方法では、アルミニウム合金製のジャケット本体101の段差部に設けられた段差側面101cと、アルミニウム合金製の封止体102の側面102cとを突き合わせて形成された突合せ部J10に対して摩擦攪拌接合を行うというものである。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールF40の連結部F41をジャケット本体101及び封止体102から離間させつつ、攪拌ピンF42のみを突合せ部J10に挿入して摩擦攪拌接合を行っている。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールF40の回転中心軸Zを突合せ部J10に重ねて相対移動させるというものである。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2015-131321号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 ここで、ジャケット本体101は複雑な形状となりやすく、例えば、4000系アルミニウム合金の鋳造材で形成し、封止体102のように比較的単純な形状のものは、1000系アルミニウム合金の展伸材で形成するというような場合がある。このように、アルミニウム合金の材種の異なる部材同士を接合して、液冷ジャケットを製造する場合がある。このような場合は、ジャケット本体101の方が封止体102よりも硬度が高くなることが一般的であるため、図11のように摩擦攪拌接合を行うと、攪拌ピンが封止体102側から受ける材料抵抗に比べて、ジャケット本体101側から受ける材料抵抗が大きくなる。そのため、回転ツールF40の攪拌ピンF42によって異なる材種をバランスよく攪拌することが困難となり、接合後の塑性化領域に空洞欠陥が発生し接合強度が低下するという問題がある。
[0005]
 このような観点から、本発明は、材種の異なる支柱及び部材を好適に接合することができる接合方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明は、支柱と、前記支柱の先端が挿入される孔部を有する部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、前記支柱は、第一アルミニウム合金で形成されており、前記部材は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材料であり、摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きく、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、前記支柱の先端に段差底面と、当該段差底面から前記支柱の先端が先細りとなるように斜めに立ち上がる段差側面とを有する支柱段差部を形成する準備工程と、前記支柱に前記部材を載置することにより、前記支柱段差部の段差側面と前記孔部の孔壁とを突き合せた際に隙間があるように第一突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記先端側ピンを前記部材に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記部材に接触させつつ、前記先端側ピンの外周面を前記支柱段差部の段差側面にわずかに接触させた状態で、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させる際に前記部材の第二アルミニウム合金を前記隙間に流入させながら摩擦攪拌を行う本接合工程とを含むことを特徴とする。
[0007]
 本発明によれば、部材と先端側ピンとの摩擦熱によって第一突合せ部の主として部材側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化される。そのため、第一突合せ部において支柱段差部の段差側面と孔部の孔壁とを接合することができる。また、先端側ピンの外周面を支柱段差部の段差側面にわずかに接触させるに留めるため、支柱から部材への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、第一突合せ部においては主として部材側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、基端側ピンの外周面で部材を押さえることで、バリの発生を抑制することができる。
[0008]
 また、前記載置工程では、前記支柱段差部の段差底面と前記部材の裏面を重ね合わせて第二突合せ部を形成し、前記本接合工程では、前記先端側ピンを前記支柱段差部の段差底面にわずかに接触させた状態で、前記第二突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行うことが好ましい。
[0009]
 本発明によれば、第二突合せ部の接合強度を高めることができる。
[0010]
 また、本発明は、支柱と、前記支柱の先端が挿入される孔部を有する部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、前記支柱は、銅又は銅合金で形成されており、前記部材はアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きく、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、前記支柱の先端に段差底面と、当該段差底面から前記支柱の先端が先細りとなるように斜めに立ち上がる段差側面とを有する支柱段差部を形成する準備工程と、前記支柱に前記部材を載置することにより、前記支柱段差部の段差側面と前記孔部の孔壁とを突き合せた際に隙間があるように第一突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記先端側ピンを前記部材に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記部材に接触させつつ、前記先端側ピンの外周面を前記支柱段差部の段差側面に接触させない状態で、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させる際に前記部材のアルミニウム又はアルミニウム合金を前記隙間に流入させながら摩擦攪拌を行う本接合工程とを含むことを特徴とする。
[0011]
 本発明によれば、部材と先端側ピンとの摩擦熱によって第一突合せ部の主として部材側のアルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、第一突合せ部において段差側面と孔部の孔壁とを接合することができる。また、先端側ピンを部材のみに接触させて摩擦攪拌を行うため、支柱から部材への銅又は銅合金の混入は殆どない。これにより、第一突合せ部においては主として部材側のアルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、基端側ピンの外周面で部材を押さえることで、バリの発生を抑制することができる。
[0012]
 また、前記載置工程では、前記支柱段差部の段差底面と前記部材の裏面を重ね合わせて第二突合せ部を形成し、前記本接合工程では、前記先端側ピンを前記支柱段差部の段差底面に接触させない状態で、前記第二突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行うことが好ましい。
[0013]
 本発明によれば、第二突合せ部において、支柱から部材側への銅又は銅合金の流入を防ぐことができる。
[0014]
 また、前記準備工程では、前記部材の厚さを前記支柱段差部の段差側面の高さ寸法よりも大きくなるように設定することが好ましい。
[0015]
 本発明によれば、本接合工程における接合部の金属不足を防ぐことができる。
[0016]
 また、前記本接合工程では、前記回転ツールのアドバンシング側が前記支柱側となるように前記回転ツールの進行方向及び回転方向を設定することが好ましい。
[0017]
 本発明によれば、第一突合せ部の周囲における基端側ピン及び先端側ピンによる攪拌作用が高まり、第一突合せ部における温度上昇が期待でき、第一突合せ部において段差側面と部材とをより確実に接合することができる。
[0018]
 また、前記本接合工程では、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させ前記支柱の周りを一周させて摩擦攪拌を行うことが好ましい。
[0019]
 本発明によれば、支柱の全周にわたって支柱と部材とを接合することができる。

発明の効果

[0020]
 本発明によれば、材種の異なる支柱及び部材を好適に接合することができる接合方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 本発明の実施形態に係る回転ツールを示す側面図である。
[図2] 回転ツールの拡大断面図である。
[図3] 回転ツールの第一変形例を示す断面図である。
[図4] 回転ツールの第二変形例を示す断面図である。
[図5] 回転ツールの第三変形例を示す断面図である。
[図6] 本発明の実施形態に係る接合方法の準備工程を示す斜視図である。
[図7] 実施形態に係る接合方法の載置工程を示す断面図である。
[図8] 実施形態に係る接合方法の接合工程を示す斜視図である。
[図9] 実施形態に係る接合方法の接合工程を示す断面図である。
[図10] 変形例に係る接合方法の接合工程を示す断面図である。
[図11] 従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0022]
 本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。まずは、本実施形態に係る接合方法で用いる回転ツールについて説明する。回転ツールは、摩擦攪拌接合に用いられるツールである。図1に示すように、回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されており、基軸部F1と、基端側ピンF2と、先端側ピンF3とで主に構成されている。基軸部F1は、円柱状を呈し、摩擦攪拌装置の主軸に接続される部位である。
[0023]
 基端側ピンF2は、基軸部F1に連続し、先端に向けて先細りになっている。基端側ピンF2は、円錐台形状を呈する。基端側ピンF2のテーパー角度Aは適宜設定すればよいが、例えば、135~160°になっている。テーパー角度Aが135°未満であるか、又は、160°を超えると摩擦攪拌後の接合表面粗さが大きくなる。テーパー角度Aは、後記する先端側ピンF3のテーパー角度Bよりも大きくなっている。図2に示すように、基端側ピンF2の外周面には、階段状のピン段差部F21が高さ方向の全体に亘って形成されている。ピン段差部F21は、右回り又は左回りで螺旋状に形成されている。つまり、ピン段差部F21は、平面視して螺旋状であり、側面視すると階段状になっている。本実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、ピン段差部F21は基端側から先端側に向けて左回りに設定している。
[0024]
 なお、回転ツールFを左回転させる場合は、ピン段差部F21を基端側から先端側に向けて右回りに設定することが好ましい。これにより、ピン段差部F21によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。ピン段差部F21は、段差底面F21aと、段差側面F21bとで構成されている。隣り合うピン段差部F21の各頂点F21c,F21cの距離X1(水平方向距離)は、後記する段差角度C及び段差側面F21bの高さY1に応じて適宜設定される。
[0025]
 段差側面F21bの高さY1は適宜設定すればよいが、例えば、0.1~0.4mmで設定されている。高さY1が0.1mm未満であると接合表面粗さが大きくなる。一方、高さY1が0.4mmを超えると接合表面粗さが大きくなる傾向があるとともに、有効段差部数(被接合金属部材と接触しているピン段差部F21の数)も減少する。
[0026]
 段差底面F21aと段差側面F21bとでなす段差角度Cは適宜設定すればよいが、例えば、85~120°で設定されている。段差底面F21aは、本実施形態では水平面と平行になっている。段差底面F21aは、ツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して-5°~15°内の範囲で傾斜していてもよい(マイナスは水平面に対して下方、プラスは水平面に対して上方)。距離X1、段差側面F21bの高さY1、段差角度C及び水平面に対する段差底面F21aの角度は、摩擦攪拌を行う際に、塑性流動材がピン段差部F21の内部に滞留して付着することなく外部に抜けるとともに、段差底面F21aで塑性流動材を押えて接合表面粗さを小さくすることができるように適宜設定する。
[0027]
 図1に示すように、先端側ピンF3は、基端側ピンF2に連続して形成されている。先端側ピンF3は円錐台形状を呈する。先端側ピンF3の先端は回転軸に対いて垂直な平坦面F4になっている。先端側ピンF3のテーパー角度Bは、基端側ピンF2のテーパー角度Aよりも小さくなっている。図2に示すように、先端側ピンF3の外周面には、螺旋溝F31が刻設されている。螺旋溝F31は、右回り、左回りのどちらでもよいが、本実施形態では回転ツールFを右回転させるため、基端側から先端側に向けて左回りに刻設されている。
[0028]
 なお、回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝F31を基端側から先端側に向けて右回りに設定することが好ましい。これにより、螺旋溝F31によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。螺旋溝F31は、螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成されている。隣り合う螺旋溝F31の頂点F31c,F31cの距離(水平方向距離)を長さX2とする。螺旋側面F31bの高さを高さY2とする。螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成される螺旋角度Dは例えば、45~90°で形成されている。螺旋溝F31は、被接合金属部材と接触することにより摩擦熱を上昇させるとともに、塑性流動材を先端側に導く役割を備えている。
[0029]
 回転ツールFは、適宜設計変更が可能である。図3は、本発明の回転ツールの第一変形例を示す側面図である。図3に示すように、第一変形例に係る回転ツールFAでは、ピン段差部F21の段差底面F21aと段差側面F21bとのなす段差角度Cが85°になっている。段差底面F21aは、水平面と平行である。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、段差角度Cは、摩擦攪拌中にピン段差部F21内に塑性流動材が滞留して付着することなく外部に抜ける範囲で鋭角としてもよい。
[0030]
 図4は、本発明の回転ツールの第二変形例を示す側面図である。図4に示すように、第二変形例に係る回転ツールFBでは、ピン段差部F21の段差角度Cが115°になっている。段差底面F21aは水平面と平行になっている。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、ピン段差部F21として機能する範囲で段差角度Cが鈍角となってもよい。
[0031]
 図5は、本発明の回転ツールの第三変形例を示す側面図である。図5に示すように、第三変形例に係る回転ツールFCでは、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して10°上方に傾斜している。段差側面F21bは、鉛直面と平行になっている。このように、摩擦攪拌中に塑性流動材を押さえることができる範囲で、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面よりも上方に傾斜するように形成されていてもよい。上記の回転ツールの第一~第三変形例によっても、下記の実施形態と同等の効果を奏することができる。
[0032]
 次に、本発明の実施形態に係る接合方法について図面を参照して説明する。図6に示すように、本実施形態の接合方法は、支柱15と部材(以下、「封止体」とも言う。)3を摩擦攪拌で接合するというものであるが、ここでは、支柱15を備えたジャケット本体2と、封止体3とを接合する場合を例示する。本発明は、支柱と部材とを接合する接合方法であって、支柱の形状や部材の形状、用途等は特に制限されるものではない。
[0033]
 本実施形態の接合方法は、ジャケット本体2と、封止体3とを摩擦攪拌接合して液冷ジャケット1を製造するものである。液冷ジャケット1は、封止体3の上に発熱体(図示省略)を設置するとともに、内部に流体を流して発熱体と熱交換を行う部材である。なお、以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面という意味である。
[0034]
 本実施形態に係る接合方法は、準備工程と、載置工程と、本接合工程と、を行う。準備工程は、ジャケット本体2と封止体3とを準備する工程である。ジャケット本体2は、底部10と、周壁部11と、複数の支柱15と、で主に構成されている。ジャケット本体2は、第一アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第一アルミニウム合金は、例えば、JISH5302 ADC12(Al-Si-Cu系)等のアルミニウム合金鋳造材を用いている。
[0035]
 図6に示すように、底部10は、平面視矩形を呈する板状部材である。周壁部11は、底部10の周縁部から矩形枠状に立ち上がる壁部である。周壁部11の内周縁には周壁段差部12が形成されている。周壁段差部12は、段差底面12aと、段差底面12aから立ち上がる段差側面12bとで構成されている。図2に示すように、段差側面12bは、段差底面12aから開口部に向かって外側に広がるように傾斜している。段差側面12bの傾斜角度β(図7)は適宜設定すればよいが、例えば、鉛直面に対して3°~30°になっている。底部10及び周壁部11で凹部13が形成されている。
[0036]
 図6に示すように、支柱15は、底部10から垂直に立ちあがっている。支柱15の本数は特に制限がされないが、本実施形態では4本形成されている。また、支柱15の形状は本実施形態では円柱状になっているが、角柱など他の形状であってもよい。支柱15の先端には突出部16が形成されている。突出部16の形状は特に制限されないが、本実施形態では円錐台状になっている。突出部16の高さは、封止体3の板厚よりも小さくなっている。
[0037]
 突出部16が形成されることにより、支柱15の先端には支柱段差部17が形成されている。支柱段差部17は、段差底面17aと、段差底面17aから立ち上がる段差側面17bとで構成されている。段差底面17aは、周壁段差部12の段差底面12aと同じ高さ位置に形成されている。段差側面17bの高さ寸法は、封止体3の板厚よりも小さくなっている。段差側面17bは、先端に向かうにつれて先細りとなるように、孔壁4aから離間するように傾斜している。
[0038]
 封止体3は、ジャケット本体2の開口部を封止する板状部材である。封止体3は、周壁段差部12に載置される大きさになっている。封止体3の板厚は、段差側面12bの高さよりも大きくなっている。封止体3には、支柱15と対応する位置に孔部4が形成されている。孔部4は突出部16が嵌め合わされるように形成されている。封止体3は、第二アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第二アルミニウム合金は、第一アルミニウム合金よりも硬度の低い材料である。第二アルミニウム合金は、例えば、JIS A1050,A1100,A6063等のアルミニウム合金展伸材で形成されている。
[0039]
 載置工程は、図7に示すように、ジャケット本体2に封止体3を載置する工程である。載置工程では、段差底面12aに封止体3の裏面3bを載置する。段差側面12bと封止体3の外周側面3cとが突き合わされて突合せ部J11が形成される。また、段差底面12aと、封止体3の裏面3bとが突き合わされて突合せ部J12が形成される。
[0040]
 また、載置工程によって孔部4の孔壁4aと支柱段差部17の段差側面17bとが突き合わされて第一突合せ部J1が形成される。第一突合せ部J1は、孔壁4aと支柱段差部17の段差側面17bとが断面略V字状の隙間をあけて突き合わされる場合を含み得る。さらに、封止体3の裏面3bと支柱段差部17の段差底面17aとが突き合わされて第二突合せ部J2が形成される。
[0041]
 本接合工程は、図8及び図9に示すように、回転ツールFを用いて第一突合せ部J1を摩擦攪拌接合する工程である。本工程では、封止体3の表面3aに設定した開始位置Spに右回転した先端側ピンF3を挿入する。このとき、基端側ピンF2の外周面を封止体3に接触させつつ、先端側ピンF3の外周面を支柱段差部17の段差側面17bにわずかに接触させた状態とする。この状態で、第一突合せ部J1に沿って回転ツールFを移動させる際に封止体3の第二アルミニウム合金を前記の第一突合せ部J1の隙間に流入させながら摩擦攪拌を行う。回転ツールFは、第一突合せ部J1に沿って一周させる。回転ツールFの移動軌跡には摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W1が形成される。本実施形態では、先端側ピンF3の外周面を支柱段差部17の段差側面17bにわずかに接触させ、かつ、先端側ピンF3の平坦面F4を段差底面17aに接触させていない。
[0042]
 ここで、段差側面17bに対する先端側ピンF3の外周面の接触代をオフセット量Nとする。本実施形態のように、先端側ピンF3の外周面を段差側面17bにわずかに接触させ、かつ、先端側ピンF3の平坦面F4を段差底面17aに接触させない場合は、オフセット量Nを、例えば、0<N≦0.5mmの間で設定し、好ましくは0<N≦0.25mmの間で設定する。
[0043]
 回転ツールFを突出部16の廻りに一周させたら、塑性化領域W1の始端と終端とを重複させる。回転ツールFは、封止体3の表面3aにおいて、回転ツールFを相対移動させながら徐々に上昇させて引き抜くようにしてもよい。
[0044]
 以上説明した本実施形態に係る接合方法によれば、封止体(部材)3と先端側ピンF3との摩擦熱によって第一突合せ部J1の主として封止体3側の第二アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化される。そのため、第一突合せ部J1において支柱段差部17の段差側面17bと孔部4の孔壁4aとを接合することができる。同様に第一突合せ部J1において支柱段差部17の段差底面17aと封止体3の裏面3bとを接合することができる。また、先端側ピンF3の外周面を支柱段差部17の段差側面17bにわずかに接触させるに留めるため、支柱15から封止体3への第一アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、第一突合せ部J1においては主として封止体3側の第二アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。
[0045]
 また、本接合工程では、支柱段差部17の段差側面17bを先端に向かうにつれて孔壁4aから離間する方向に(支柱15の先端が先細りとなるように)傾斜させているため、先端側ピンF3と支柱15との接触を容易に回避することができる。また、本実施形態では、段差側面17bの傾斜角度γ(図7)と、先端側ピンF3の傾斜角度α(図1)とを同一(段差側面17bと先端側ピンF3の外周面とを平行)にしているため、先端側ピンF3と段差側面17bとの接触を避けつつ、先端側ピンF3と段差側面17bとを極力近接させることもできる。
[0046]
 また、本実施形態の回転ツールFは、基端側ピンF2と、基端側ピンF2のテーパー角度Aよりもテーパー角度が小さい先端側ピンF3を備えた構成になっている。これにより、封止体3に回転ツールFを挿入しやすくなる。また、先端側ピンF3のテーパー角度Bが小さいため、封止体3の深い位置まで回転ツールFを容易に挿入することができる。
[0047]
 また、基端側ピンF2の外周面で塑性流動材を押えることができるため、接合表面に形成される段差凹溝を小さくすることができるとともに、段差凹溝の脇に形成される膨出部を無くすか若しくは小さくすることができる。また、階段状のピン段差部F21は浅く、かつ、出口が広いため、塑性流動材を段差底面F21aで押えつつ塑性流動材がピン段差部F21の外部に抜けやすくなっている。そのため、基端側ピンF2で塑性流動材を押えても基端側ピンF2の外周面に塑性流動材が付着し難い。よって、接合表面粗さを小さくすることができるとともに、接合品質を好適に安定させることができる。
[0048]
 また、本接合工程では、回転ツールFの回転方向及び進行方向は適宜設定すればよいが、回転ツールFの移動軌跡に形成される塑性化領域W1のうち、支柱15側がシアー側となり、封止体3側がフロー側となるように回転ツールFの回転方向及び進行方向を設定した。支柱15側がシアー側となるように設定することで、第一突合せ部J1の周囲における基端側ピンF2及び先端側ピンF3による攪拌作用が高まり、第一突合せ部J1における温度上昇が期待でき、第一突合せ部J1において段差側面17bと封止体3とをより確実に接合することができる。
[0049]
 なお、シアー側(Advancing side:アドバンシング側)とは、被接合部に対する回転ツールの外周の相対速度が、回転ツールの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを加算した値となる側を意味する。一方、フロー側(Retreating side:リトリーティング側)とは、回転ツールの移動方向の反対方向に回転ツールが回動することで、被接合部に対する回転ツールの相対速度が低速になる側を言う。
[0050]
 また、準備工程において、封止体3の厚さを支柱段差部17の段差側面17bの高さ寸法よりも大きくなるように設定している。かかる接合方法によれば、接合部の金属不足を防ぐことができる。
[0051]
 また、本接合工程では、支柱段差部17の段差底面17aと先端側ピンF3の平坦面F4とは離間させているが、塑性化領域W1は段差底面17aに達している。これにより、第二突合せ部J2の接合強度を高めることができる。
[0052]
 なお、本接合工程において、さらに先端側ピンF3を支柱段差部17の段差底面17aにわずかに接触させた状態で、第二突合せ部J2に沿って回転ツールFを移動させて摩擦攪拌を行ってもよい(図示省略)。かかる接合方法によれば、接合強度をより高めることができるとともに、支柱15側から封止体3側への第一アルミニウム合金の混入を極力防ぐことができる。また、突合せ部J11,J12に対しては、例えば、摩擦攪拌などの方法により適宜接合すればよい。
[0053]
 [変形例]
 次に、本発明の変形例に係る接合方法について説明する。変形例では、図10に示すように、準備工程においてジャケット本体2と封止体3との材料が異なる点と、本接合工程の形態が前記実施形態と相違する。当該変形例の準備工程では、ジャケット本体2を銅又は銅合金で形成する。なお、変形例において、銅又は銅合金製のジャケット本体2と、アルミニウム又はアルミニウム合金製の封止体(部材)3とを例示したが、例えば、銅又は銅合金製の支柱と、当該支柱に接合されるアルミニウム又はアルミニウム合金製の部材とを接合してもよい。
[0054]
 当該変形例の本接合工程では、図10に示すように、回転ツールFを用いてジャケット本体2と封止体3とを摩擦攪拌接合する。本接合工程では、支柱段差17の段差側面17bに先端側ピンF3の外周面を接触させない状態で突出部16周りに一周させて摩擦攪拌を行う。先端側ピンF3の先端は、本実施形態では段差底面17aに接触させないように設定する。
[0055]
 段差側面17bから先端側ピンF3の外周面までの距離が遠すぎると第一突合せ部J1の接合強度が低下する。段差側面17bから先端側ピンF3の外周面までの離間距離Lは段差側面17b及び封止体3の材料によって適宜設定すればよい。本実施形態のように先端側ピンF3の外周面F10を段差側面17bに接触させず、かつ、平坦面F4を段差底面17aに接触させない場合は、例えば、0≦L≦0.5mmに設定し、好ましくは0≦L≦0.3mmに設定することがよい。
[0056]
 以上説明した変形例によれば、回転ツールFの先端側ピンF3と支柱段差部17の段差側面17bとは接触させていない。しかしながら、封止体3と先端側ピンF3との摩擦熱によって第一突合せ部J1の主として封止体3側のアルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、第一突合せ部J1において段差側面17bと孔部4の孔壁4aとを接合することができる。また、先端側ピンF3を封止体3のみに接触させて摩擦攪拌を行うため、支柱15から封止体3への銅又は銅合金の混入は殆どない。これにより、第一突合せ部J1においては主として封止体3側のアルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。
[0057]
 また、第二突合せ部J2においても、先端側ピンF3を段差底面17aに接触させていないが、塑性化領域W1が段差底面17aに達するため第二突合せ部J2の接合強度を高めることができる。また、第二突合せ部J2においても、先端側ピンF3を段差底面17aに接触させていないため、支柱15から封止体3への銅又は銅合金の混入は殆どない。これにより、第二突合せ部J2においても主として封止体3側のアルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。
[0058]
 前記実施形態同様、本変形例において回転ツールFは、基端側ピンF2と、基端側ピンF2のテーパー角度Aよりもテーパー角度が小さい先端側ピンF3を備えた構成になっている。これにより、封止体3に回転ツールFを挿入しやすくなる。また、先端側ピンF3のテーパー角度Bが小さいため、封止体3の深い位置まで回転ツールFを容易に挿入することができる。
[0059]
 また、本変形例では、第一突合せ部J1に断面V字状の隙間が形成されるが、封止体3の板厚を段差側面17bよりも大きくすることで、本接合工程における接合部(塑性化領域W1)の金属不足を防ぐことができる。
[0060]
 また、本接合工程では、段差側面17bの傾斜角度γ(図7)と、先端側ピンF3の傾斜角度α(図1)とを同一(段差側面17bと先端側ピンF3の外周面とを平行)にしているため、先端側ピンF3と段差側面17bとの接触を避けつつ、先端側ピンF3と段差側面17bとを極力近接させることができる。
[0061]
 なお、封止体3の板厚は突出部16の高さ寸法と同一に設定してもよい。

符号の説明

[0062]
 3   封止体(部材)
 4   孔部
 4a  孔壁
 15  支柱
 17  支柱段差部
 17a 段差底面
 17b 段差側面
 J1  第一突合せ部
 J2  第二突合せ部
 F   回転ツール
 F2  基端側ピン
 F3  先端側ピン
 F21 ピン段差部
 A   テーパー角度
 B   テーパー角度

請求の範囲

[請求項1]
 支柱と、前記支柱の先端が挿入される孔部を有する部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、
 前記支柱は、第一アルミニウム合金で形成されており、前記部材は第二アルミニウム合金で形成されており、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材料であり、
 摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きく、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、
 前記支柱の先端に段差底面と、当該段差底面から前記支柱の先端が先細りとなるように斜めに立ち上がる段差側面とを有する支柱段差部を形成する準備工程と、
 前記支柱に前記部材を載置することにより、前記支柱段差部の段差側面と前記孔部の孔壁とを突き合せた際に隙間があるように第一突合せ部を形成する載置工程と、
 回転する前記先端側ピンを前記部材に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記部材に接触させつつ、前記先端側ピンの外周面を前記支柱段差部の段差側面にわずかに接触させた状態で、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させる際に前記部材の第二アルミニウム合金を前記隙間に流入させながら摩擦攪拌を行う本接合工程とを含むことを特徴とする接合方法。
[請求項2]
 前記載置工程では、前記支柱段差部の段差底面と前記部材の裏面を重ね合わせて第二突合せ部を形成し、
 前記本接合工程では、前記先端側ピンを前記支柱段差部の段差底面にわずかに接触させた状態で、前記第二突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
[請求項3]
 前記準備工程では、前記部材の厚さを前記支柱段差部の段差側面の高さ寸法よりも大きくなるように設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接合方法。
[請求項4]
 前記本接合工程では、前記回転ツールのアドバンシング側が前記支柱側となるように前記回転ツールの進行方向及び回転方向を設定することを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
[請求項5]
 支柱と、前記支柱の先端が挿入される孔部を有する部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、
 前記支柱は、銅又は銅合金で形成されており、前記部材はアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、
 摩擦攪拌で用いる回転ツールは、基端側ピンと、先端側ピンとを備え、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きく、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、
 前記支柱の先端に段差底面と、当該段差底面から前記支柱の先端が先細りとなるように斜めに立ち上がる段差側面とを有する支柱段差部を形成する準備工程と、
 前記支柱に前記部材を載置することにより、前記支柱段差部の段差側面と前記孔部の孔壁とを突き合せた際に隙間があるように第一突合せ部を形成する載置工程と、
 回転する前記先端側ピンを前記部材に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記部材に接触させつつ、前記先端側ピンの外周面を前記支柱段差部の段差側面に接触させない状態で、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させる際に前記部材のアルミニウム又はアルミニウム合金を前記隙間に流入させながら摩擦攪拌を行う本接合工程とを含むことを特徴とする接合方法。
[請求項6]
 前記載置工程では、前記支柱段差部の段差底面と前記部材の裏面を重ね合わせて第二突合せ部を形成し、
 前記本接合工程では、前記先端側ピンを前記支柱段差部の段差底面に接触させない状態で、前記第二突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項5に記載の接合方法。
[請求項7]
 前記準備工程では、前記部材の厚さを前記支柱段差部の段差側面の高さ寸法よりも大きくなるように設定することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の接合方法。
[請求項8]
 前記本接合工程では、前記回転ツールのアドバンシング側が前記支柱側となるように前記回転ツールの進行方向及び回転方向を設定することを特徴とする請求項5に記載の接合方法。
[請求項9]
 前記本接合工程では、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させ前記支柱の周りを一周させて摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の接合方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]