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1. (WO2019059147) ALUMINUM ALLOY FOR DIE CASTING AND FUNCTIONAL COMPONENTS USING SAME
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明 細 書

発明の名称 ダイカスト鋳造用アルミニウム合金及びそれを用いた機能性部品

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための最良の形態

0013   0014   0015  

産業上の利用可能性

0016  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : ダイカスト鋳造用アルミニウム合金及びそれを用いた機能性部品

技術分野

[0001]
 本発明は、ダイカスト鋳造用のアルミニウム合金に関し、特に高い引張強さと伸び特性に優れたアルミニウム合金及びそれを用いた機能性部品に係る。

背景技術

[0002]
 アルミニウム合金を用いたダイカスト鋳造は、金型内にアルミニウム合金の溶湯を高速,高圧にて射出成形する鋳造方法である。
 ショットサイクルが短く生産性が高いことから、自動車部品や機械部品等、多くの産業分野の部品製造に採用されている。
 ダイカスト鋳造においては、鋳造時の湯流れ性が要求されていることから、Al-Si系の合金が用いられている。
 例えば、JIS ADC12等のアルミニウム合金が一般的に使用されているが、伸びが低い問題がある。
 特に、高強度が必要な機能性部品においては、ダイカスト鋳造後に調質T5等の熱処理が施されるが、金属組織中に粗大な板状の共晶Siが晶出したり、アルミニウム合金中に含まれる鉄系の不純物により粗大な針状組織になり、これらが起点とした破壊モードにより伸びが低下し、機能性部品への適用が困難であった。
[0003]
 特許文献1には、0.08~0.25質量%のモリブテンを添加することで、伸び特性を改善する技術が開示されているが、機能性部品に適用するには強度が不充分であった。
 そこで本発明者らは、先にSr又はNaを添加することで、高強度で延性(伸び)を改善したダイカスト鋳造用アルミニウム合金を提案している(特許文献2)。
 同公報に開示するアルミニウム合金は、調質T6処理にて機能性部品に要求される高い強度と優れた伸び特性を得ることができるものの、T6処理よりも低コストな調質T5処理にて高強度と高い伸びを確保するには、さらなる改善の余地があった。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 日本国特許第4970709号公報
特許文献2 : 日本国特開016-102246号公報

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0005]
 本発明は、高強度でありながら優れた伸び特性を確保することができるダイカスト鋳造用アルミニウム合金及びそれを用いた機能性部品の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明に係るダイカスト鋳造用アルミニウム合金は、以下質量%にて、Si:6~9%,Mg:0.30~0.60%,Cu:0.30~0.60%,Fe:0.25%以下,Mn:0.60%以下,Ti:0.2%以下であって、Sr:200ppm以下,P:5ppm以下であり、かつ、Sr(ppm)-4.2×P(ppm)≧50であり、残部がAlと不可避的不純物であることを特徴とする。
 ここで、Sr:50~200ppmの範囲がこのましく、Fe:0.08~0.25%,Mn:0.20~0.60%の範囲が好ましい。
[0007]
 本発明に係る機能性部品は、請求項1~3のいずれかに記載のダイカスト鋳造用アルミニウム合金を用いたダイカスト鋳造後の調質T5処理にて引張強さ260MPa以上,伸び10%以上有することを特徴とする。
[0008]
 本発明において機能性部品とは、引張強さ260MPa以上で、伸び(延性)が10%以上要求される部品をいう。
 例えば自動車分野においては、トランスミッション部品,エンジン部品等の高強度で耐久性が要求される部品が例として挙げられる。
 調質T5処理とは、ダイカスト鋳造後に所定の温度にて人工時効処理を行うことをいい、例えば160~220℃,2~12時間の熱処理をいう。
 調質T6処理は、溶体化処理後に人工時効処理を行うことをいう。
 従って、T5処理はT6処理に比較して溶体化処理工程が不要で、その分だけ低コストであり、溶体化処理に伴う不具合の発生も防止できる。
[0009]
 次に、合金組成について説明する。
<Si>
 Si成分は、鋳造時の湯流れ性に大きな影響を与え、6%以上が必要である。
 Siは、合金組織中に粗大な晶出物を形成すると伸びが低下するので、9%以下が好ましい。
<Mg,Cu>
 Mg成分及びCu成分は、所定の添加により強度が向上するが、添加量が多すぎると伸びが低下するので、Mg:0.30~0.60%,Cu:0.30~0.60%の範囲とした。
<Fe>
 Fe成分は、原材料となるアルミインゴットの製造及び鋳造工程等にて不純物として混入しやすい成分であり、金属組織中に粗大な針状晶出物が晶出すると、それが起点として破断し、伸びが低下する原因となる。
 よって、Fe成分は0.25%以下が好ましく、本発明ではFe:0.08~0.25%とした。
<Sr,P>
 Sr成分は、Si共晶組織を微細化することで、伸び性が向上する。
 しかし、溶湯中にP成分が含まれると、Si共晶組織の微細化を阻害してしまう。
 そこで本発明は、Pの含有量を5ppm以下に抑え、Sr成分を質量のppm単位にて、Sr-4.2×P≧50を満足するように添加した点に特徴がある。
 なお、Sr成分を望ましくは50~200ppmの範囲にするのが好ましい。
 溶湯中のPの含有量を5ppm以下に抑えるには、溶解炉の炉壁材等にPが含まれていない材料を用いるのが好ましく、回転式の脱ガス装置とフラックス処理等を組み合せてPの混入を抑えるのが好ましい。
<Mn>
 Mn成分は、少量の添加量にて鋳造時に金型に焼き付くのを抑える効果がある。
 添加量が多くなると伸びが低下するので、添加する場合には0.20~0.60%の範囲が好ましい。
<Ti>
 Ti成分は、結晶粒の微細化に効果があり、添加する場合には0.2%以下が好ましい。
 その他の成分例えば、Zn,Ni,Sn,Cr等は不可避的不純物であり、0.05%以下に抑えるのが好ましい。
[0010]
 本発明においては、このようなアルミニウム合金を用いることで、ダイカスト鋳造後に人工時効処理(T5処理)の工程を経ることで、引張強さ260MPa以上の高強度でありながら、伸び10%以上の優れた延性を有する機能性部品が得られる。

発明の効果

[0011]
 本発明に係るアルミニウム合金は、Mg及びCu成分の添加により高強度を確保しつつ、Pの含有量を抑えるとともに所定量のSrを添加することで、伸び特性を改善することができる。
 これにより、耐久性が要求される機能性部品にも適用が可能となる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 評価に用いたアルミニウム合金の化学組成を示す。
[図2] 評価結果を示す。

発明を実施するための最良の形態

[0013]
 図1の実施例1~6と比較例1~24の評価に用いたアルミニウム合金溶融中の化学成分の分析結果を示す。
 Sr,Pは単位ppmであり、その他の成分は質量%の値を示す。
 これらの溶湯を用いて、それぞれ同形状の製品にダイカスト鋳造、そのままのF材、及びT5処理又はT6処理を行い、試験片を切り出し、JIS Z 2241に準じて機械的性質を評価した。
 T5処理条件は、180℃×4時間の人工時効処理した。
T6処理条件は、500℃にて溶体化処理後に水冷による焼入れを行い、その後に180℃×4時間の焼き戻しを実施した。
 試験片の大きさは、l80mm×w5mm×t5mm,標点間距離35mmとした。
[0014]
 その評価結果を図2の表に示す。
 本発明において、引張強さの目標260MPa以上,0.2%耐力の目標150MPa以上、伸びの目標10%以上として評価した。
 実施例1~6は、P成分の濃度が5ppmと上限に近いものであったが、(A)=Sr(ppm)-4.2×P(ppm)の値が50以上になるようにSrを添加した結果、他の化学成分を目標範囲内とすることで、引張強さと伸びとの両方を目標クリアーすることができた。
[0015]
 これに対して比較例1は、Pの量が5ppmを超え、伸びが低かった。
 比較例2,7,15は、(A)=Sr-4.2×Pの値が50未満であり、Cuの添加量が0.60%より多いので、引張強さは目標をクリアーしたが、伸びが低かった。
 比較例3は、Mnが添加されていない以外は実施例1~6と同様の成分範囲内である。
 よって、引張強さ及び伸びは目標をクリアーしているので、本発明の実施例に含めてもよいが、製品に焼き付きが認められたので、表では比較例に区分した。
 比較例4は、(A)の値が低いため伸びが低く、Mnが添加されていないため、金型への焼き付きが発生した。
 比較例5,6,9も(A)の値が低く、伸びが低い。
 比較例10は、Mg,Cuの添加量が多い方なので、引張強さは目標をクリアーしたが、(A)の値が低く、伸びが悪い。
 比較例12,13は、Cuの添加量が少なく、引張強さが弱い。
 比較例14,16,17,19,22は、T6処理した例であり、その中でも比較例16,17は引張強さ,伸びを目標クリアーしているが、T5処理では目標をクリアーできなかった。
 比較例20,21,23は、Cuの添加量を多くすることで、引張強さを高くすることができるものの、伸びが低くなっている。

産業上の利用可能性

[0016]
 ダイカスト鋳造に用いるアルミニウム合金であって、高い引張強度と伸びが要求される各種部品に利用できる。

請求の範囲

[請求項1]
 以下質量%にて、Si:6~9%,Mg:0.30~0.60%,Cu:0.30~0.60%,Fe:0.25%以下,Mn:0.60%以下,Ti:0.2%以下であって、
Sr:200ppm以下,P:5ppm以下であり、かつ、Sr(ppm)-4.2×P(ppm)≧50であり、残部がAlと不可避的不純物であることを特徴とするダイカスト鋳造用アルミニウム合金。
[請求項2]
 Sr:50~200ppmであることを特徴とする請求項1記載のダイカスト鋳造用アルミニウム合金。
[請求項3]
 Fe:0.08~0.25%,Mn:0.20~0.60%であることを特徴とする請求項1又は2記載のダイカスト鋳造用アルミニウム合金。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれかに記載のダイカスト鋳造用アルミニウム合金を用いたダイカスト鋳造後の調質T5処理にて引張強さ260MPa以上,伸び10%以上有することを特徴とする機能性部品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]