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1. (WO2019045076) CELLULOSE NANOFIBER LIQUID DISPERSION, CELLULOSE NANOFIBER COMPOSITE RESIN, AND METHODS FOR PRODUCING DISPERSION AND RESIN
Document

明 細 書

発明の名称 セルロースナノファイバー分散液、セルロースナノファイバー複合樹脂、及びそれらの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009  

先行技術文献

特許文献

0010  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

発明の効果

0023  

図面の簡単な説明

0024  

発明を実施するための形態

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079  

実施例

0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098  

産業上の利用可能性

0099   0100  

符号の説明

0101  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : セルロースナノファイバー分散液、セルロースナノファイバー複合樹脂、及びそれらの製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、セルロースナノファイバー分散液、セルロースナノファイバー複合樹脂、及びそれらの製造方法に関し、特に、本分散液を用いることにより、射出機や押出機などで製造される各種製品の強度や耐熱性を向上させ、各種樹脂製品の強度や耐熱性を向上させることが可能である。

背景技術

[0002]
 近年、樹脂製品の特性を向上させるために、繊維と樹脂の複合化に関する研究開発が行われている。例えば、強度を向上させるために、ガラス繊維と樹脂の複合化に関する提案がなされている(特許文献1)。また、ガラス繊維などの無機フィラーと樹脂を複合化することで、強度や剛性が大きく向上する。しかし、ガラス繊維自体の比重が大きいため、製品重量が大きくなり、軽量化が要求される自動車用部品などへの適用が困難であった。そのため、ガラス繊維よりも比重が低いアラミド、アクリル、レーヨンなどの合成繊維と樹脂を複合化することで、軽量化は達成されるが、機械強度や剛性の向上が不十分であると云った課題があった。さらに、これらの繊維の直径は約20μmであるため、薄膜化が進んでいるフィルム製品へ適用した場合、繊維径がフィルム厚みより太いため、凹凸が形成されてしまい、厚み不良が生じるといった問題もあった。
[0003]
 そこで、近年、自然界に豊富に存在し、比重が小さい植物繊維が注目されており、その中でも特に針葉樹や広葉樹、竹などの植物から産出されるセルロースナノファイバー(CeNF)に注目が集まっている。CeNFは、植物由来であるため、紙と同様に環境負荷が小さく、リサイクル性に優れた材料である。また、温度変化に伴う収縮の度合いを示す線熱膨張係数がガラス繊維並みに低く、弾性率が高いという特徴を有する。そのため、近年では植物よりCeNFを産出し、これを利用するための研究が盛んに行われている。
 例えば、高バリア性が要求される製品である食品包装材の分野が挙げられる。従来まで、ガスバリア性を有する包材として、金属を用いた缶製品、ガラスによる瓶製品が用いられていたが、近年では環境負荷が高いため、紙やプラスチックを主体とした製品への代替が進んでいる。例えば、包装材の分野では、ガスバリア層を含む多層構造が必要な場合、紫外線照射処理を施したCeNFを含有したガスバリア層を紙基材上に設ける方法が提案されている(特許文献2、特許文献3)。
[0004]
 前記CeNFは、自身が水酸基を有する構造のため、親水性が高く、一度乾燥するとナノファイバー同士が水素結合により強固に凝集する。そのため、水媒体中で物理的もしくは化学的解繊処理したCeNF分散スラリーを製造するのが一般的である。この分散スラリー中のCeNFは、パルプなどのセルロース繊維を水中に添加して含浸後、機械的処理により解繊処理する方法が一般的である。CeNF表面の化学修飾処理方法は、CeNF表面の水酸基の一部または全てを修飾基により化学修飾し、水酸基を減じる方法(特許文献4)や、水酸基の一部を多塩基酸モノエステル化処理することにより、ポリオレフィン樹脂中における均一分散性を向上させる方法が提案されている(特許文献5)。
 前記CeNFを製造する方法としては、物理的方法と化学的方法が挙げられる。まず、物理的方法には、高圧ホモジナイザーや、ボールミル、石臼方式などが挙げられる(特許文献6、特許文献7)。
[0005]
 また、化学的方法では、有機溶媒である2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン-1-オキシルラジカル(TEMPO)とセルロースをTEMPO触媒酸化反応処理することにより、マイクロサイズの繊維幅を有するCeNF表面の水酸基をカルボキシル基に変換してNa塩にすることで、水中でCeNF間の静電反発と浸透圧効果が作用し、軽微な機械的処理で解繊する方法が検討されている(特許文献8)。
 前記CeNFを利用するにあたり、問題となるのがCeNFの相溶性である。CeNFはセルロース分子に由来する水酸基を有しているため、繊維表面は親水性の特徴を有する。そのため、プラスチックなどの樹脂に対して補強材として添加した場合、相溶性が悪いため、CeNF同士が凝集してしまう。そのため、CeNF表面に疎水基を化学修飾することで、疎水性であるプラスチックや油中での分散状態を大きく向上させることができる。
[0006]
 CeNF分散液は、二軸押出機のような混練装置内で樹脂と混練することによって、CeNFと樹脂が複合化したペレットやシートを得ることが可能である。前記ペレットは、射出成形機やブロー装置などへ原料として適用することにより、CeNFと樹脂が複合化された製品を得ることが可能である。また、製造したシートは、延伸機などによりフィルム化することで、非水二次電池用セパレータや高バリア性フィルムなどへの適用が可能である。このうち、特に非水二次電池用セパレータでは、電池の安全性を向上するための耐熱性と強度特性向上が求められている。本発明では、一般的な非水二次電池用セパレータ製造方法への適用を例に説明する。
[0007]
 一般に、リチウムイオン電池用セパレータの製造方法は、主に乾式法と湿式法に大別される。このうち、湿式法では、流動パラフィンなどの可塑剤とポリオレフィン樹脂を周知の押出機に代表される連続式の混練装置を用いて溶融混練して、Tダイによりシート状に成形する。このシートを延伸装置などにより、逐次延伸方式または同時二軸延伸方式によりフィルム化し、さらにジクロロメタンなどの抽出溶剤により、流動パラフィンを除去する。その後、抽出工程で閉塞した微細孔を横延伸機もしくは同時二軸延伸機を用いて再開孔し、延伸時の残留応力を除去する熱固定を行うことにより得られる。本方式により得られるセパレータは、電解液の濡れ性や保液性が高く、リチウムデンドライトが析出した際も電池の内部短絡を引き起こす可能性が低い特徴を有するが、可塑剤を抽出除去する際に溶剤を用いる必要があるためコストが高くなり、また脱脂工程に時間を要するため、ライン速度が制限されるといった欠点がある。
[0008]
 一方、乾式法は湿式法とは異なり、結晶性のポリオレフィン樹脂を溶融して押出し、高ドラフト比でシート状に冷却固化したシートを製造し、機械方向に延伸することで、微多孔を形成する一軸延伸法が提案されている(特許文献9、特許文献10)。この方法で得られる微多孔フィルムは、可塑剤を使用しないため、抽出溶剤が必要なく、湿式法と比較して低コストであり、高速成形も可能である。しかし、電解液の濡れ性や保液性が悪く、また幅方向への強度が低いため、電池化する際に、縦裂けが生じてしまう欠点があった。また、乾式法の製造方法としては、ポリプロピレンのβ晶と呼ばれる結晶形態を利用した多孔化方法も提案されている。
[0009]
 結晶性ポリプロピレン(PP)の結晶形態には、α晶、β晶、γ晶、σ晶と溶融ポリプロピレンを急冷した際に生じるスメチック晶がある。通常の結晶化条件では、最も安定なα晶が生成されるが、溶融ポリプロピレンを温度勾配下で結晶化させた場合や、微量の核剤(以下、β晶核剤)を添加して混合した場合において、β晶が形成されることが知られている。このβ晶は、α晶と比較して、低融点、低密度であり、結晶状態や破壊の状態等が異なるといった特性を有していることが知られている。また、β晶は熱的及び力学的な要因で、安定なα晶へ結晶転移することが知られており、延伸することにより、β晶がα晶へと転移して亀裂が形成される。現在、この結晶転移を利用した微多孔フィルムの製造方法は、すでに特許化されている(特許文献11、特許文献12、特許文献13)。この方法で得られる微多孔フィルムは、一般的な製膜装置及び延伸装置を用いることで、低コスト化することが可能である。しかし、一方で結晶の制御方法が難しく、微細孔の形状が不均一になるといった課題がある。
 また、本発明による分散液を用いることにより、疎水性処理を施したCeNFと界面活性剤を溶媒中に添加することで、従来まで課題であった解繊処理時間の短縮化を達成できる。

先行技術文献

特許文献

[0010]
特許文献1 : 日本国特開2004-269579号公報
特許文献2 : 日本国特開2012-76231号公報
特許文献3 : 日本国特開2016-11392号公報
特許文献4 : 日本国特開2014-74145号公報
特許文献5 : 日本国特開2015-65829号公報
特許文献6 : 日本国特開2016-30809号公報
特許文献7 : 日本国特開2016-132241号公報
特許文献8 : 日本国特開2008-308802号公報
特許文献9 : 日本国特開2014-77127号公報
特許文献10 : 日本国特開2014-40231号公報
特許文献11 : 日本国特開平9-176352号公報
特許文献12 : 日本国特開平6-100720号公報
特許文献13 : 日本国特開平9-255804号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0011]
 前述したように、CeNFの解繊処理方法は、物理的解繊処理方法と、化学的解繊処理方法とに大別される。
 まず、石臼方式やホモジナイザー、ボールミル処理などに代表される物理的解繊処理方法では、CeNFの繊維径を均一化させるためには、解繊処理の回数を増加させる必要がある。これらの物理的解繊処理方法は、添加したセルロース原料に対して、せん断や衝突などを加えることにより、解繊を促す方法である。この方法により得られる繊維は、不均一であるため、複数回の処理が必要である。しかし、解繊処理の回数を減らすために、過剰なせん断力を付加すると、繊維がダメージを受けて繊維長が短くなってしまい、特性向上が阻害される可能性がある。
[0012]
 また、解繊効率を向上させるために、化学修飾処理を施したCeNFを溶媒中に添加して、膨潤させる方法が提案されている。本方法では、膨潤することによりCeNFの水素結合間に溶媒が浸透するため、解繊効率は向上する。しかし、化学的解繊処理方法では、セルロース原料と溶媒の浸透に時間を要するため、連続処理が難しいといった問題がある。例えば、CeNFの中央まで溶媒を浸透させるまでには、長時間必要となり、圧力を付加しても短時間で膨潤させることが難しい。
 また、TEMPO触媒を用いる化学的解繊処理方法は、物理的解繊処理方法と比較すると、均一性が高く、また微細なCeNFが得られる。しかし、一方でTEMPO触媒の値段が高く、CeNF分散液の価格も高くなる。また、TEMPO触媒とセルロース原料との反応に長時間を要するため、連続製造が難しい。
[0013]
 本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、特定の化学修飾セルロースを分散させた溶媒中に特定の界面活性剤を添加することにより、解繊度合(率、効果)を大きく向上させ、分散性に優れたセルロースナノファイバー分散液、これを用いたセルロースナノファイバー複合樹脂、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0014]
 本発明の一態様は、化学修飾セルロースを0.01~30wt%と、界面活性剤を0.01~20wt%と、分散溶媒を50~99.8wt%とを含むセルロースナノファイバー分散液であって、
 前記化学修飾セルロースは、セルロースに含まれる水酸基に対して二塩基酸無水物を修飾する半エステル化処理された微粉末の化学修飾セルロースであり、
 前記界面活性剤は、ウィルヘルミー法による表面張力の測定値が70m・N/m以下であって、かつ液滴と固体表面の接触角が90°以下の界面活性剤より選択される少なくとも1種であるセルロースナノファイバー分散液に関する。
[0015]
 本発明の一態様において、前記化学修飾セルロースは、更にアルキレンオキシド処理されたものであってもよい。
[0016]
 本発明の一態様において、前記化学修飾セルロースは、平均繊維径が3~200nmであることが好ましい。
[0017]
 本発明の一態様において、前記分散溶媒は、カルシウムを1~400mg/l、及びマグネシウムを1~400mg/l含み、pHが4~8の水道水または純水であることが好ましい。
[0018]
 本発明の一態様において、前記分散溶媒は、分子量が30~100であり、沸点が50~300℃の有機溶剤であることが好ましい。
[0019]
 本発明の一態様において、前記分散溶媒は、粘度が2,000,000mPa・s以下の油であることが好ましい。
[0020]
 本発明の一態様は、セルロースを半エステル化処理して化学修飾セルロースを得る工程、及び
 前記化学修飾セルロースを0.01~30wt%と、界面活性剤を0.01~20wt%と、分散溶媒を50~99.8wt%とを含む組成物を解繊処理する分散工程を含み、
 前記セルロースの平均繊維径が、20~70μmであり、
 前記界面活性剤は、ウィルヘルミー法による表面張力の測定値が70m・N/m以下であって、かつ液滴と固体表面の接触角が90°以下の界面活性剤より選択される少なくとも1種であるセルロースナノファイバー分散液の製造方法に関する。
[0021]
 本発明の一態様は、前記セルロースナノファイバー分散液が含有する前記化学修飾セルロースと、
 ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び生分解性樹脂より選択される少なくとも一種の樹脂とを含み、
 前記化学修飾セルロースの含有量が40wt%以下であるセルロースナノファイバー複合樹脂に関する。
[0022]
 本発明の一態様は、前記セルロースナノファイバー分散液を、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び生分解性樹脂より選択される少なくとも1種の樹脂の表面に塗布、または混練する工程、及び
前記分散溶媒を脱揮又は脱脂により処理して除去する工程を含み、
前記化学修飾セルロースの含有量が40wt%以下であるセルロースナノファイバー複合樹脂の製造方法に関する。

発明の効果

[0023]
 本発明によるセルロースナノファイバー分散液、及びセルロースナノファイバー複合樹脂は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
 すなわち、化学修飾処理により半エステル化処理を施したセルロースと溶媒に対して、特定の界面活性剤を添加した組成物を解繊処理することにより、添加しない場合と比較して効率的に十分に解繊処理されたセルロースナノファイバー分散液を得られる。また、この分散液を用いて製造したセルロースナノファイバー複合樹脂を用いることにより、フィルム等の強度特性や品質を向上することができる効果がある。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] 図1は、実施例1に係るセルロース複合樹脂を模式的に示す概略断面図である。
[図2] 図2は、実施例1及び2、比較例1及び2において製造した分散液の72時間後の沈降状態を示した図である。
[図3] 図3は、実施例1及び2、比較例1及び2で製作した微多孔フィルムのSEM像を示す図である。
[図4] 図4は、比較例6において成形した微多孔フィルムのSEM像を示す図である。

発明を実施するための形態

[0025]
 以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
[0026]
 なお、本発明の実施形態における「セルロース」とは、多数のグルコースがβ-1,4-グリコシド結合によって結合した高分子化合物であって、セルロースのグルコース環における2位、3位、6位の炭素原子に結合している水酸基が無置換であるものを意味する。また、「セルロースに含まれる水酸基」とは、セルロースのグルコース環における2位、3位、6位の炭素原子に結合している水酸基を指す。
 「化学修飾セルロース」とは、セルロースに含まれる水酸基が化学的に修飾されたものをであって、水酸基の水素原子が置換基により置換されたものをいう。
[0027]
〔セルロースナノファイバー分散液〕
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液は、化学修飾セルロースを0.01~30wt%と、界面活性剤を0.01~20wt%と、分散溶媒を50~99.8wt%とを含むセルロースナノファイバー分散液であって、
 前記化学修飾セルロースは、セルロースに含まれる水酸基に対して二塩基酸無水物を修飾する半エステル化処理された、微粉末の化学修飾セルロースであり、
 前記界面活性剤は、ウィルヘルミー法による表面張力の測定値が70m・N/m以下であって、かつ液滴と固体表面の接触角が90°以下の界面活性剤より選択される少なくとも1種である。
 樹脂と本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液を、樹脂に混練、又は塗布等により複合化することにより、樹脂の強度特性と耐熱性を向上させ、各種樹脂製品の強度や耐熱性を向上させることができる。
[0028]
<化学修飾セルロース>
 本発明の実施形態に係る化学修飾セルロースは、セルロースに含まれる水酸基に対して二塩基酸無水物を修飾する半エステル化処理されたものであり、微粉末の化学修飾セルロースである。
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液中、化学修飾セルロースの含有量は0.01~30wt%である。化学修飾セルロースの含有量が0.01wt%未満であると、CeNF複合樹脂に適用した際に、十分な強度が得られない。化学修飾セルロースの含有量は、CeNF複合樹脂に適用した際の強度の観点から、好ましくは1wt%以上であり、より好ましくは3wt%以上である。また、化学修飾セルロースの含有量が30wt%より多いと、分散液の粘度が上昇し、均一に分散できなくなったり、固化する等の問題がある。化学修飾セルロースの含有量は、分散液の粘度、分散性、作業性等の観点から、好ましくは10wt%以下であり、より好ましくは5wt%以下である。
[0029]
 微粉末の化学修飾セルロースは、セルロースが半エステル化処理により化学修飾され、解繊された微粉末の化学修飾セルロースである。
 微粉末の化学修飾セルロースは、化学修飾セルロースの平均繊維径が、ナノサイズであることが好ましい。具体的には、分散液中における分散性の観点から、化学修飾セルロースの平均繊維径が200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、30nm以下であることがより更に好ましい。また、セルロースナノファイバー複合樹脂とした際の、耐熱性や強度の観点から、化学修飾セルロースの平均繊維径は、3nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましい。なお、化学修飾セルロースの平均繊維径は、実施例に記載の方法により測定でき、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)の画像を観察し、200箇所の繊維径を測定した測定値の平均値を加算平均して算出してもよい。
[0030]
 本発明の実施形態に係るセルロース(セルロース原料)としては、木材や植物から産出されるリグニンやヘミセルロースと結合した状態であるかは問わない。また、セルロース原料は結晶性セルロースやパルプなどであっても使用することができる。
 セルロース原料の平均繊維径は、通常1μm以上であり、例えば、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上であってもよい。また、セルロース原料の平均繊維径は、例えば、500μm以下が好ましく、より好ましくは300μmであり、さらに好ましくは100μm以下であり、よりさらに好ましくは70μm以下であってもよい。なお、セルロース原料の平均繊維径は、実施例に記載の方法により測定でき、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)の画像を観察し、200箇所の繊維径を測定した測定値を、加算平均して算出してもよい。
[0031]
 半エステル化処理とは、セルロースを二塩基酸無水物と反応させてセルロースに含まれる水酸基の少なくとも一部をエステル化してカルボキシル基を導入(化学修飾)し、セルロースエステル(化学修飾セルロース)とする化学的解繊処理である。
 半エステル化処理によって、セルロースの繊維表面の水酸基の少なくとも一部を化学的に修飾することにより、セルロースの繊維間の水素結合が切れ、化学修飾セルロースが効率良く解繊し、高い分散性が得られる。
[0032]
 半エステル化処理は、慣用のエステル化方法を用いることができ、必要に応じてTEMPO触媒(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル (2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl))等の触媒を用いてエステル化度を調整してもよい。
 触媒を用いる場合は、触媒と反応処理した反応処理物に対して、半エステル化処理及び二次的化学修飾処理を施したものを用いても良い。ただし、TEMPO触媒等の触媒を用いる場合は、分散液のコストが高くなるため、前述のセルロースに対して、半エステル化処理したもの、又は半エステル化処理し、二次的にアルキレンオキシド処理したものが好適である。
[0033]
 二塩基酸無水物としては、二塩基カルボン酸無水物が好ましく、例えば、無水酢酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸などが挙げられ、セルロースに対する修飾性、及び解繊性の点から、無水コハク酸が好ましい。これらの二塩基カルボン酸無水物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
[0034]
 化学修飾セルロースの平均エステル化度は、0.1以上が好ましく、より好ましくは0.1~2.5、よりさらに好ましくは0.5~2.5、特に好ましくは1.0~2.5程度である。平均エステル化度は、セルロースの基本構成単位であるグルコース当たりのエステル化された水酸基の平均数であり、ガスクロマトグラフを使用するなどの方法で測定できる。
 化学修飾セルロースのエステル化度は、セルロースエステルの酸価により評価することができ、酸価は通常の方法により測定することができる。例えば、JIS K2501「酸価滴定評価方法」に準拠される方法で測定することができる。
 化学修飾セルロースの酸価は、20以上であることがより好ましく、40以上であることが更に好ましい。また、50以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、70以上であることが更に好ましい。
[0035]
 化学修飾セルロースは、更にアルキレンオキシド処理されたものであってもよい。
 ここで、二次的にアルキレンオキシド処理するとは、セルロースを半エステル化処理した後に、更にアルキレンオキシド処理することをいう。
 アルキレンオキシド処理とは、セルロースを半エステル化処理して得られた化学修飾セルロースとアルキレンオキシドとを反応させる処理である。
 セルロースを半エステル化処理し、二次的にアルキレンオキシド処理することにより、半エステル化処理後の化学修飾セルロースに残存する水酸基の水素原子が、疎水性基で置換(化学修飾)され、より疎水性の高い化学修飾セルロースが得られる。
[0036]
 アルキレンオキシド処理に用いるアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、ヘプチレンオキシド、オクチレンオキシド、ノニレンオキシド、デシレンオキシド等が挙げられ、これらの内1種類又は2種類以上を併用することができる。
 アルキレンオキシド処理により、半エステル化処理後の化学修飾セルロースに用いたアルキレンオキシドに対応するアルキルエーテル基が導入される。
[0037]
 化学修飾セルロースは、その全体のいずれかの部分の水酸基がエステル化されていればよく、好ましくは、更にアルキレンオキシド処理により水酸基がエーテル化されていてもよく、同一の繰り返し単位からなるものであってもよいし、複数の種類の繰り返し単位からなるものであってもよい。また、化学修飾セルロースは、ひとつの繰り返し単位においてエステル化、及びエーテル化されている必要はない。
[0038]
<界面活性剤>
 本発明の実施形態に係る界面活性剤は、ウィルヘルミー法による表面張力の測定値が70m・N/m以下であって、かつ液滴と固体表面の接触角が90°以下の界面活性剤より選択される少なくとも1種である。
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液中、界面活性剤の含有量は0.01wt%~20wt%である。界面活性剤の含有量が0.01wt%未満であると、CeNFの分散性が悪くなる、また、CeNFが十分に解繊せず繊維径にバラツキが生じる等の問題がある。その結果、CeNF複合樹脂とした際に、十分な強度が得られなくなる。界面活性剤の含有量は、CeNFの分散性を向上し、繊維径を好ましい範囲としやすくなる点から、好ましくは0.05wt%以上であり、より好ましくは0.1wt%以上である。また、界面活性剤の含有量が20wt%より多いと、分散液を製造する際に気泡が発生し、送液が困難になる等、作業性が低下する。界面活性剤の含有量は、分散液の気泡の発生を抑制し作業性を高める観点から、好ましくは5wt%以下であり、より好ましくは3wt%以下である。
[0039]
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液は、樹脂中に添加して用いることが可能である。しかし、セルロースナノファイバー分散液の表面張力が樹脂の表面張力と大きく異なると、樹脂中において分離し、均一に分散させることが難しくなる。そのため、本発明の実施形態に係る界面活性剤の表面張力は、汎用樹脂の表面張力より小さい値であることが好ましい。
 本発明の実施形態に係る界面活性剤の表面張力は、70m・N/m以下であり、分散・浸透作用の向上の観点から60m・N/m以下であることが好ましく、40m・N/m以下であることがより好ましい。界面活性剤の表面張力の下限値に特に制限は無く、0m・N/m以上であればよい。
 界面活性剤の表面張力は、ウィルヘルミー法やリング法、懸滴法等の方法により測定することができる。
[0040]
 本発明の実施形態に係る界面活性剤は、液滴と固体表面の接触角が90°以下である。すなわち、界面活性剤の液滴を固体表面上に滴下した際の、固体表面に対する界面活性剤の接触角が、90°以下であり、溶媒の浸透作用の観点から、45°以下であることが好ましく、30°以下であることがより好ましい。接触角の下限値に特に制限は無く、0°以上であればよい。
 本発明の実施形態に係る界面活性剤と固体表面の接触角は、接線法により測定することができ、例えば、AND社製動的接触角測定装置(DCA-100W)など接触角計を用いて測定できる。
[0041]
 また、本発明の実施形態における分散液は、樹脂製品や金属製品などへの塗工も可能である。しかし、添加した界面活性剤において、接触角が大きいものを選択すると、塗工した製品の表面から塗工層が剥離する可能性がある。そのため、添加する界面活性剤の接触角は、一般的に塗工性が安定する90°以下であることが好ましい。
 本発明の実施形態における界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などのいずれであってもよく、また2種類以上を組み合わせて用いても良い。
 本発明の実施形態に係る界面活性剤としては、熱分解温度が樹脂の融点よりも20℃以上高いものを選択することが好ましい。
[0042]
 アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル型アニオン界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、第2級アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アシルイセチオン酸塩、N-アシル-N-メチルタウリン塩などのスルホン酸型アニオン界面活性剤;脂肪酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルケニルコハク酸塩、N-アシルアミノ酸塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤が挙げられる。
[0043]
 カチオン界面活性剤としては、アミド基、エステル基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数12以上28以下の炭化水素基を有する4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、3級アミン若しくは2級アミンの鉱酸、有機酸塩が挙げられる。
 両性界面活性剤としては、アルキルカルボベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドアミン型ベタイン、アルキルイミダゾリン型ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸ヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、N-脂肪酸アシル-L-アルギネート塩、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。
[0044]
 ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソレビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン鎖型界面活性剤、ゾルビタンエステル型界面活性剤、グリセリライド系(グリセリン(モノ、ジ)脂肪酸エステル類)界面活性剤、12-ヒドロキシステアリン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、アルキルグリセリエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸等のポリオキシエチレンエーテルエステル型ノニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンエーテル型ノニオン界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤;アルキルグリコシド等の多価アルコールアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤;脂肪酸モノアルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルポリオキシエチレン脂肪酸アミド等の含窒素型ノニオン界面活性剤が挙げられる。
 両性界面活性剤としては、レシチン等が挙げられる。
[0045]
 本発明の実施形態に係る界面活性剤としては、ウィルヘルミー法による表面張力の測定値が70m・N/m以下であって、かつ液滴と固体表面の接触角が90°以下の界面活性剤を、上記に挙げたものより適宜選択して使用することができ、23±2℃、相対湿度50±5%において、表面張力が70m・N/m以下であって、接触角が90°以下であることが好ましい。
 本発明の実施形態に係る界面活性剤としては、中でも、レシチン(表面張力:2mN/m、接触角:22°)、アルキル硫酸エステル塩(表面張力:50m・N/m、接触角:30°)、ポリオキシエチレンアルキルアミン(表面張力:10m・N/m、接触角:40°)、イミダゾリン等が挙げられ、アルキル硫酸エステル塩が好ましい。なお、アルキル硫酸エステル塩は炭素数12~18等のヤシ油などの植物油より得た界面活性剤である。
[0046]
<分散溶媒>
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液中、分散溶媒の含有量は50wt%以上であり、好ましくは60wt%以上であり、より好ましくは70wt%以上である。また、99.8wt%以下であり、好ましくは99wt%以下であり、より好ましくは98wt%以下である。
 前記CeNF分散液に用いる分散溶媒としては、水や有機溶剤、分子量100~2000以下の油などのいずれであってもよく、これらを混ぜ合わせたものを用いても良い。
 上記の水としては、カルシウムが1~400mg/l、マグネシウムが1~400mg/l、pHが4~8の水道水または純水を用いてもよい。
[0047]
 有機溶剤としては、分子量が30~100であり、沸点が50~300℃の有機溶剤であることが好ましい。
 有機溶剤としては、例えば、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、オルト-ジクロルベンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ノルマル-ブチル、酢酸ノルマル-プロピル、酢酸ノルマル-ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,4-ジオキサン、ジクロルメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、スチレン、テトラクロルエチレン、テトラヒドロフラン、1,1,1-トリクロルエタン、トルエン、ノルマルヘキサン、1-ブタノール、2-ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチル-ノルマル-ブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、二硫化炭素、2‐ブタノールノルマルヘキサンイソペンチルアルコール、1,2‐ジクロロエチレン(別名二塩化アセチレン)、1,2‐ジクロロエタン(別名二塩化エチレン)、ジエチルエーテルなどが挙げられる。
[0048]
 中でも好ましくは、N,N‐ジメチルホルムアミド、2‐ブタノールノルマルヘキサンイソペンチルアルコール(別名イソアミルアルコール)、1,2‐ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン)、シクロヘキサノン、1,2‐ジクロロエタン(別名二塩化エチレン)、二硫化炭素、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(別名セロソルブ)、エチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルセロソルブ)、酢酸エチル、酢酸メチル、1,4‐ジオキサン、ジクロロメタン(別名二塩化メチレン)、テトラヒドロフラン、トルエン、ノルマルヘキサン、1‐ブタノール、2‐ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンであり、より好ましくは、1,2‐ジクロロエタン、二硫化炭素、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸メチル、1,4‐ジオキサン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、ノルマルヘキサン、1‐ブタノール、2‐ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンである。
[0049]
 上記の油としては、例えば、ガソリン、コールタールナフサ、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレビン油、ミネラルスピリット、流動パラフィン、工業用潤滑油などが挙げられる。上記の有機溶剤、これらのうち1種類または2種類以上を組み合わせて用いても良い。
 ただし、本発明の実施形態における分散液中の溶媒として用いる有機溶剤又は油は、樹脂中に添加することが可能である。そのため、沸点が樹脂の成形温度から大きく逸脱すると安定した成形が困難となる。そこで本発明において用いる有機溶剤又は油の沸点は、樹脂の成形温度から大きく逸脱しない範囲であることが好ましい。したがって、これらの溶媒の沸点は、50~450℃の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは50~400℃の範囲である方がさらに好ましく、最も好ましくは50~300℃の範囲である。また、溶媒として用いる油は、粘度が高いほど、装置内へ圧入することが困難になる。そのため、本発明において用いる油は、一般的なポンプで送液が可能な粘度である2,000,000mPa・s以下の油であることが好ましく、1,000,000mPa・s以下の油であることがより好ましく、500,000mPa・s以下の油であることが更に好ましい。粘度の下限値としては、2mPa・s以上の油であることが好ましく5mPa・s以上の油であることが好ましく8mPa・s以上の油であることが好ましい。溶媒として用いる油は、流動パラフィンであることが特に好ましい。
[0050]
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液は、セルロースナノファイバー、界面活性剤、及び分散溶媒の他に、必要に応じて、酸化防止剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
[0051]
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液の用途は、特に限定されるものではないが、例えば、任意の樹脂材料の補強材として用いることができ、後述のCeNF複合樹脂に用いることが好ましい。セルロースナノファイバー分散液を任意の樹脂と混練し、ペレット、シート、フィルム等に成形して利用することができる。また、セルロースナノファイバー分散液を任意の樹脂の表面に塗布してもよい。非水二次電池用セパレータや高バリア性フィルムなどへの適用が可能である。このうち、電池の安全性を向上するために、特に耐熱性と強度特性向上が求められている、非水二次電池用セパレータへの利用にも適している。
[0052]
 セルロースナノファイバー分散液は、二軸押出機のような混練装置内で樹脂と混練することによって、CeNFと樹脂が複合化したペレット、シート、フィルム等のセルロースナノファイバー複合樹脂を得ることが可能である。
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液は、下記の製造方法により製造することが好ましい。
[0053]
〔セルロースナノファイバー分散液の製造方法〕
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液の製造方法は、
 セルロースを半エステル化処理して化学修飾セルロースを得る工程、及び
 前記化学修飾セルロースを0.01~30wt%と、界面活性剤を0.01~20wt%と、分散溶媒を50~99.8wt%とを含む組成物を分散する分散工程を含み、
 前記セルロースの平均繊維径が、20~70μmであり、
 前記界面活性剤は、ウィルヘルミー法による表面張力の測定値が70m・N/m以下であって、かつ液滴と固体表面の接触角が90°以下の界面活性剤より選択される少なくとも1種である。
[0054]
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液、半エステル化処理、化学修飾セルロース、界面活性剤、及び分散溶媒としては、上述の記載を適用することができる。
[0055]
 化学修飾セルロースを得る工程は、セルロースを半エステル化処理することにより行う。
 半エステル化処理とは、上述の通り、セルロースを二塩基酸無水物と反応させてセルロースに含まれる水酸基の少なくとも一部をエステル化してカルボキシル基を導入(化学修飾)し、セルロースエステル(化学修飾セルロース)とする化学的解繊処理である。
 半エステル化処理方法は特に限定されないが、二塩基酸無水物とセルロースとを混合する方法を利用できる。その際、必要に応じ、触媒や溶媒を用いても良く、攪拌や混練を行ってもよい。
[0056]
 半エステル化処理における反応温度は、反応を促進するためには、60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが更に好ましい。また、セルロースの熱劣化の観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下程度である。
[0057]
 半エステル化処理における反応時間は、二塩基酸無水物の種類や量、反応温度等によって適宜選択でき、セルロースの水酸基を十分にエステル化するには、好ましくは1分以上、好ましくは3分以上、さらに好ましくは5分以上である。また、製造効率の観点から、好ましくは6時間以下、好ましくは4時間以下、さらに好ましくは2時間以下である。反応時間が上記の範囲であれば、二塩基酸無水物がセルロースの繊維間まで浸透し、半エステル化反応が進行して、解繊度合いが向上する。
[0058]
 攪拌は、通常、化学反応で汎用されているマグネティックスターラ、又は攪拌翼等による攪拌であればよい。また、攪拌は、連続的に攪拌してもよいいし、断続的に攪拌してもよい。
[0059]
 混練は、慣用の混練手段により行うことができる。慣用の混練方法としては、例えば、ミキシングローラ、ニーダ、バンバリーミキサー、押出機(一軸又は二軸押出機など)などを用いた方法などが挙げられる。
[0060]
 半エステル化処理における二塩基酸無水物の使用量は、所望の酸価とし得る範囲で選択でき、例えば、セルロース100質量部に対して、反応速度、生産性及びコストの観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは25質量部以上、より更に好ましくは40質量部以上である。また、コストの観点から、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは55質量部以下である。
[0061]
 化学修飾セルロースを得る工程は、更にアルキレンオキシド処理を含んでいてもよい。
 二次的にアルキレンオキシド処理するとは、セルロースを半エステル化処理した後に、更にアルキレンオキシドと反応させることをいう。
 アルキレンオキシド処理は、上述の通り、セルロースを半エステル化処理して得られた化学修飾セルロースとアルキレンオキシドとを反応させる処理である。アルキレンオキシド処理により、半エステル化処理後のセルロースの残存水酸基の水素原子を疎水基で置換(化学修飾)され、より疎水性の高い化学修飾セルロースが得られる。
 アルキレンオキシド処理の方法は特に限定されないが、半エステル化処理して得られた反応混合物とアルキレンオキシドとを混合する方法を利用できる。その際、必要に応じ、触媒や溶媒を用いても良く、攪拌や混練を行ってもよい。
[0062]
 アルキレンオキシド処理における反応温度は、反応を促進するためには、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることが更に好ましい。また、セルロースの熱劣化の観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下程度である。
[0063]
 アルキレンオキシド処理における反応時間は、アルキレンオキシドの種類や使用量、反応温度等によって適宜選択でき、化学修飾セルロースの残存水酸基に、疎水性基を十分に導入するには、好ましくは10分以上、好ましくは20分以上、さらに好ましくは30分以上である。また、製造効率の観点から、好ましくは6時間以下、好ましくは5時間以下、さらに好ましくは4時間以下である。
[0064]
 アルキレンオキシド処理におけるアルキレンオキシドの使用量は、適宜選択でき、例えば、セルロース100質量部に対して、アルキレンオキシド処理の効率化及びコストの観点から、好ましくは2.5質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7.5質量部以上、より更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは12.5質量部以上、最も好ましくは15質量部以上である。また、コストの観点から、上限値は50質量部以下であることが好ましい。
 アルキレンオキシド処理における温度は、適宜選択でき、反応処理速度の観点から、例えば、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上、更に好ましくは130℃以上、より更に好ましくは135℃以上、特に好ましくは145℃以上である。また、セルロースの劣化の観点から、200℃以下であることが好ましい。
[0065]
 半エステル化処理し、必要に応じて更にアルキレンオキシド処理して得られた化学修飾セルロースは、反応終了後、遠心分離、濾過、濃縮、抽出等の慣用の方法により洗浄してもよい。例えば、溶媒を反応混合物に添加し、遠心分離、濾過、抽出などの分離法で洗浄してもよい。溶媒としては、例えば、水、アセトンなどのケトン類、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類等が挙げられる。
[0066]
<分散工程>
 分散工程は、化学修飾セルロースを0.01~30wt%と、界面活性剤を0.01~20wt%と、分散溶媒を50~99.8wt%とを含む組成物を解繊処理する工程である。
[0067]
 解繊処理とは、化学修飾セルロースを解繊し、分散溶媒中に分散させる処理である。
 化学修飾セルロースは、半エステル化処理により解繊されているが、一部にミクロンサイズの繊維が残存している。そのため、分散工程において、化学修飾セルロースと、特定の分散溶媒と、特定の界面活性剤とを所定の割合で混合した組成物を、解繊処理することにより、ナノサイズの繊維径の化学修飾セルロースが均一に分散したセルロースナノファイバー分散液が得られる。
 解繊処理は、攪拌や混練等により行うことができる。
[0068]
 半エステル化処理、及び、必要に応じて更にアルキレンオキシド処理して得られた化学修飾セルロースを含む溶液中に0.01~30wt%の界面活性剤を添加してセルロース分散液を製造する。これを、解繊処理装置である石臼式解繊処理装置やボールミル、高圧ホモジナイザー、二軸押出機、短軸押出機など等で攪拌、又は混練し、解繊処理を行うことでCeNF分散液が得られる。
[0069]
〔セルロースナノファイバー複合樹脂〕
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー複合樹脂は、本発明の実施形態におけるセルロースナノファイバー分散液が含有する化学修飾セルロースと、
 ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び生分解性樹脂より選択される少なくとも一種の樹脂とを含み、
 前記セルロースナノファイバー複合樹脂における前記化学修飾セルロースの含有量が40wt%以下である。
[0070]
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液、及び化学修飾セルロースとしては、上述の記載を適用することができる。
[0071]
 ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、エチレンプロピレン共重合体樹脂等が挙げられる。
 ポリビニル系樹脂としては、例えば、酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等が挙げられる。
 ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66等が挙げられる。
 ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
 生分解性樹脂としては、例えば、多糖類、デンプンを含むポリマー等が挙げられる。
[0072]
 セルロースナノファイバー複合樹脂におけるセルロースナノファイバーの含有量は、製造コストの観点から、好ましくは30wt%以下であり、より好ましくは20wt%以下である。また、セルロースナノファイバーの含有量は、セルロースナノファイバー複合樹脂強度の確保の観点から、好ましくは1wt%以上であり、より好ましくは3wt%以上である。
[0073]
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー複合樹脂は、セルロースナノファイバー、及び上記樹脂の他に、必要に応じて、酸化防止剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
[0074]
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー複合樹脂の用途は、特に限定されるものではないが、例えば、ペレット、シート、フィルム等に成形して利用することができる。例えば、非水二次電池用セパレータや高バリア性フィルムなどへの適用が可能である。このうち、電池の安全性を向上するために、特に耐熱性と強度特性向上が求められている、非水二次電池用セパレータへの利用にも適している。
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー複合樹脂は、下記の製造方法により製造することが好ましい。
[0075]
<セルロースナノファイバー複合樹脂の製造方法>
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー複合樹脂の製造方法は、上記セルロースナノファイバー分散液を、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び生分解性樹脂より選択される少なくとも1種の樹脂の表面に塗布、または混練する工程、及び前記分散溶媒を、脱揮又は脱脂により処理して除去する工程を含み、
前記セルロースナノファイバー複合樹脂における前記セルロースナノファイバーの含有量が40wt%以下である。
[0076]
 本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー分散液、及び化学修飾セルロースとしては、上述の記載を適用することができる。
[0077]
 上記混練工程により、CeNF分散液を、上記ポリオレフィン等の樹脂と混合し、二軸押出機などの装置内で樹脂を溶融及び/又は混練を行い、付帯設備を用いて成型することにより、ストランド(ペレット)やシートを得ることができる。
 また、セルロースナノファイバー分散液を上記ポリオレフィン等の樹脂の表面に塗布する工程は、コーター装置や噴霧等により行うことができる。
[0078]
 分散溶媒を脱揮又は脱脂により処理して除去する工程は、上記混練工程により得たフィルムやシート、ストランドなどを塩化メチレンなどの有機溶剤中を通過させる方法で行われる。脱脂に使用した有機溶剤中の分散溶媒は、上記のフィルムやストランドなどが通過する量が増加すると、脱脂能力が低下する。そのため、使用した有機溶剤の分留装置などの付帯設備を有する。
[0079]
 セルロースナノファイバー複合樹脂の製造方法におけるセルロースナノファイバーの含有量は、製造コストの観点から、好ましくは30wt%以下であり、より好ましくは20wt%以下である。また、セルロースナノファイバーの含有量は、セルロースナノファイバー複合樹脂強度の確保の観点から、好ましくは1wt%以上であり、より好ましくは3wt%以上である。
実施例
[0080]
 以下、図面と共に本発明によるセルロースナノファイバー分散液、及び、セルロースナノファイバー複合樹脂の好適な実施の形態について説明する。
 以下、本発明により得られた分散液を用いて製造したセパレータの特性結果の実施例を説明する。本発明により得られた各物性値は、以下に示す方法で得られた値である。本発明における実施例1~6及び比較例1~7のセルロースナノファイバー分散液を表1に示す。
[0081]
[表1]


[0082]
突刺強度:作製したシートを50mm×50mm角に切出し、自動突刺強度計(カトーテック社製:KES-FB3-AUTO)を用いて、針が貫通したときの最大の荷重を測定した。なお、同一シートで10点測定を行い、平均値を算出した。
ガーレ値:作製したシートを50mm×50mm角に切出し、ガーレ式自動計測機(TESTING MACHINES INC 社製)を用いて、測定を行った。本測定ではJISP8177で規定されている100ccの空気がシートを通過するまでの時間をガーレ値とした。
表面観察:作製したシートを真空蒸着装置(日立ハイテク社製E-1045)で0.3nmの厚みの白金蒸着を施した。このシートをFE-SEM(カールツァイス社製SUPRA55VP)を使用して表面観察を行った。
空孔率と膜厚:膜厚は、作製したシートを50×50mm角に切出し、マイクロメータを用いてシートの各部10点を計測し、平均値を膜厚とした。空孔率は、シートの実測重量と、密度と体積より算出した理論重量より、算出した。
沈降率:分散液中のCeNFの時間経過毎の沈降状態を観察し、初期高さと測定時の高さの比率から沈降率を算出して比較した。
解繊状態:製造した分散液中のCeNFの解繊状態を光学顕微鏡(Nikon)により観察した。
熱収縮率:作製したシートを50×50mm角に切出して、120℃雰囲気の炉内に1時間静置した。このシートの寸法を測定し、炉内に投入する前の寸法差から収縮率を算出した。
表面張力:幅60mm、厚さ5mmの平板を試料溶液中に浸漬し、溶液中から吊り上げた際の荷重を、平板の周囲長と液体の接触角により除した値を、表面張力とした。(ウィルヘルミー法)
化学修飾セルロースの酸価:JIS K2501「酸価滴定評価方法」に準拠される方法で行った。まず100mlビーカに化学修飾処理を施したセルロースを1g計り取り、蒸留水とアセトンを10mlずつ加えて、マグネチックスターラーにより400 rpm、10分間攪拌した。この混合溶液を200rpmで攪拌した状態で、0.1NのKOH-エタノール溶液を用いて滴定し、酸価を測定した。
[0083]
(実施例1)
 結晶性セルロース原料であるセオラスFD101(旭化成ケミカルズ)に対し13.5wt%の無水コハク酸を添加し、130℃に加熱した容器内で15分間、撹拌して反応させた。その後、反応生成物をアセトン洗浄して、未反応物を除去し、乾燥することで半エステル化処理を施した化学修飾セルロースを得た。
[0084]
 得られた化学修飾セルロースを流動パラフィンP-350P(モレスコ)中に1wt%添加し混合物を得た。次いで、得られた混合物に対して、食品由来であり、人体への影響が小さい界面活性剤であるレシチンを0.2wt%添加し、グラインダー式の解繊処理装置であるスーパーマスコロイダー(増幸産業社製 MKCA6-2)により、装置内を10回通過させてCeNF分散液を製造した。用いた流動パラフィンの40℃における動粘度は67.65mm /s、レシチンの表面張力は2mN/m、水への接触角は22°であった。
[0085]
 次いで、超高分子量ポリエチレン(三井ハイゼックスミリオン030S(三井化学))とCeNF分散液を質量比で30:70の比率でニーダー(ブラベンダー社製)中で溶融・混練した後、プレス機(テスター産業社製 SA-302-I)により厚さ1mmの図1のシートを成形した。シートは卓上延伸装置(東洋精機社製)により、同時二軸延伸してフィルム1化した。混練条件及び延伸条件を表2及び3に示す。
 得られたフィルム1は、φ100mmの金枠に固定した状態で、塩化メチレン中に浸漬し、フィルム1内の流動パラフィンを抽出した。その後、金枠に固定した状態で120℃×5分間の熱固定を行い、延伸時の残留応力を除去した。得られたフィルム1は微多孔フィルムであった。
[0086]
[表2]


[0087]
[表3]


[0088]
(実施例2)
 実施例1における半エステル化処理を施したセルロースに対して、さらにプロピレンオキシド処理を施した。実施例1で行った半エステル化処理を施したCeNF分散液86.5質量部に対して、プロピレンオキシドを13.5質量部を添加して、耐圧容器内に投入し、140℃雰囲気下で1時間反応させることで、プロピレンオキシド化処理を施した化学修飾セルロースを得た。この化学修飾セルロースを実施例1に示す方法で解繊処理した分散液を得た。その後、実施例1に示す方法でシート成形を行った。
(実施例3)
 実施例1における化学修飾を施したセルロースを、流動パラフィン中に30wt%添加後、解繊処理した分散液を得た。
(実施例4)
 実施例2における化学修飾を施したセルロースを、流動パラフィン中に30wt%添加後、解繊処理した分散液を得た。
(実施例5)
 実施例1における分散液中の界面活性剤の添加量を20wt%とした。これを解繊装置に投入し、CeNFの解繊処理を施した分散液を得た。
(実施例6)
 実施例2における分散液中の界面活性剤の添加量を20wt%とした。これを解繊装置に投入し、CeNFの解繊処理を施した分散液を得た。
[0089]
(比較例1)
 セルロース原料に対して、半エステル化処理を施した後、界面活性剤を添加していない状態で、解繊処理を施した分散液を製造した。この分散液を用いて実施例1に示す方法でシート化した。
[0090]
(比較例2)
 セルロース原料に対して、半エステル化処理を施した後、さらにプロピレンオキシド処理を施したセルロースを製造した。このセルロースを用いて、界面活性剤を添加しない状態で解繊処理を施した分散液を製造した。また製造した分散液を用いて、実施例1に示す方法でシート化した。
[0091]
(比較例3)
 CeNF分散液を添加していない流動パラフィンと超高分子量PEのみで実施例1の成形方法をシート化した。
(比較例4)
 実施例1における化学修飾を施したセルロースを、流動パラフィン中に35wt%添加後、解繊処理した分散液を得た。
(比較例5)
 実施例2における化学修飾を施したセルロースを、流動パラフィン中に35wt%添加後、解繊処理した分散液を得た。
(比較例6)
 実施例1における分散液中の界面活性剤の添加量を25wt%とした。これを解繊装置に投入し、CeNFの解繊処理を施した分散液を得た。
(比較例7)
 実施例2における分散液中の界面活性剤の添加量を25wt%とした。これを解繊装置に投入し、CeNFの解繊処理を施した分散液を得た。
(比較例8)
 実施例1および2における化学修飾を施したセルロースを、流動パラフィン中に45wt%添加後、実施例1の解繊処理した分散液を得た。これを用いて、実施例1に記載する成形方法でシート化した。
[0092]
結果比較
 図2に前述の実施例1、2及び比較例1、2において製造した分散液をそれぞれ50ml分取し、72時間静置した後の沈降状態を示す。界面活性剤を添加していない分散液(比較例1及び比較例2)は、いずれも50%以上沈降した。一方、界面活性剤を添加した分散液(実施例1及び実施例2)では、72時間経過しても、沈降率が10%以下であり、分散を長時間維持できる様子が確認された。沈降率は、容器内の溶液の液面の高さと72時間経過した際の溶媒中に沈降したCeNFの高さの比率により求めた。
[0093]
 図2に実施例1及び2、比較例1及び2において製造した分散液の72時間後の沈降状態を示した図を示す。
 図2及び図3において、界面活性剤を添加した分散液中のCeNFについて、分散状態及び解繊状態の向上が見られた。これは、界面活性剤の特性である浸透作用と分散作用による効果と推察される。特に、界面活性剤の浸透作用により、セルロース原料の中心に溶媒が浸透したことで、膨潤が促進されたため、解繊しやすくなったと考えられる。
 図3に実施例1及び2、比較例1及び2で製作した微多孔フィルムのSEM像を示す。製造したそれぞれの分散液中のCeNF解繊状態を比較した結果、界面活性剤を添加していない分散液(比較例1及び比較例2)中のCeNFは、粗大な繊維径のCeNFが一部に確認された。一方、界面活性剤を添加した分散液(実施例1及び実施例2)では、CeNFの解繊状態が進行している状態が確認された。
[0094]
 下記の表4に実施例及び比較例において製造したセパレータの特性値を示す。CeNFを添加したサンプルは、いずれもCeNFを添加していないサンプル(比較例3)よりも特性が良好である傾向が見られた。また、界面活性剤を添加した実施例1及び実施例2は、界面活性剤を添加していない比較例1及び2と比較して、リチウムイオン電池の電池特性に影響するガーレ値が低く、空孔率が高い傾向が見られた。さらに、経時劣化により生じるリチウムイオンデンドライトや電池製造時の異物混入により破膜する際の強度を示す突刺強度が、10%以上向上した。通常、セパレータでは、空孔率が大きいほど、フィルムの破膜の起点となる微細孔の割合が多くなるため、突刺強度が低下する。実施例では比較例と比較すると、空孔率が高いにも関わらず、突刺強度の低下は見られなかった。
[0095]
 一方、比較例では、空孔率が低いのにも関わらず、突刺強度が低くなった。実施例ではいずれも、界面活性剤を添加しているため、樹脂中においてCeNFの分散状態が向上したものと考えられる。また、流動パラフィン中にセルロースを30wt%添加した実施例3、及び4は、は解繊処理装置内へ投入することができた。一方、流動パラフィン中にセルロースを35wt%添加した比較例4、及び5は、セルロース原料が固化してしまい、解繊処理装置内へ供することが困難であった。さらに、界面活性剤の添加量を20wt%とした実施例5、及び6では液添ポンプの送液に支障がない程度の気泡の発生であった。これに対して、界面活性剤の添加量を25wt%とした比較例6、及び7は、気泡が大量に発生し、液添ポンプでの送液が困難であることが確認された。
[0096]
 比較例8において、CeNF添加量を10wt%としてシート成形を行った。その結果、延伸工程でフィルムが破断してしまい、特性評価するには至らなかった。比較例6のセパレータの表面には、図4に示すような粗大な繊維径のCeNFが見られるため、この部位が起点となり破膜したものと推察される。
 以上から、界面活性剤を添加することにより、解繊状態と分散状態が向上した分散液となり、セパレータ特性が向上することが示された。
[0097]
[表4]


[0098]
 尚、前述の表1は実施例及び比較例における使用原料及び比率をまとめたものであり、表2は実施例及び比較例における混練条件であり、表3は実施例及び比較例における延伸条件であり、表4は実施例及び比較例において製造したセパレータの物性値である。

産業上の利用可能性

[0099]
 本発明によるセルロースナノファイバー分散液、及び、セルロースナノファイバー複合樹脂は、樹脂とセルロースナノファイバー分散液の複合化により、樹脂の強度特性と耐熱性を向上させ、各種樹脂製品の強度や耐熱性を向上させることが出来ると共に、LIBのセパレータの性能も向上させることができる。
[0100]
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
 本出願は、2017年9月4日出願の日本特許出願(特願2017-169271)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

符号の説明

[0101]
 1  フィルム

請求の範囲

[請求項1]
 化学修飾セルロースを0.01~30wt%と、界面活性剤を0.01~20wt%と、分散溶媒を50~99.8wt%とを含むセルロースナノファイバー分散液であって、
 前記化学修飾セルロースは、セルロースに含まれる水酸基に対して二塩基酸無水物を修飾する半エステル化処理された微粉末の化学修飾セルロースであり、
 前記界面活性剤は、ウィルヘルミー法による表面張力の測定値が70m・N/m以下であって、かつ液滴と固体表面の接触角が90°以下の界面活性剤より選択される少なくとも1種であるセルロースナノファイバー分散液。
[請求項2]
 前記化学修飾セルロースが更にアルキレンオキシド処理されたものである請求項1に記載のセルロースナノファイバー分散液。
[請求項3]
 前記化学修飾セルロースは、平均繊維径が3~200nmである請求項1又は2に記載のセルロースナノファイバー分散液。
[請求項4]
 前記分散溶媒は、カルシウムを1~400mg/l、及びマグネシウムを1~400mg/l含み、pHが4~8の水道水または純水である請求項1~3のいずれか一項に記載のセルロースナノファイバー分散液。
[請求項5]
 前記分散溶媒は、分子量が30~100であり、沸点が50~300℃の有機溶剤である請求項1~3のいずれか一項に記載のセルロースナノファイバー分散液。
[請求項6]
 前記分散溶媒は、粘度が2,000,000mPa・s以下の油である請求項1~3のいずれか一項に記載のセルロースナノファイバー分散液。
[請求項7]
 セルロースを半エステル化処理して化学修飾セルロースを得る工程、及び
 前記化学修飾セルロースを0.01~30wt%と、界面活性剤を0.01~20wt%と、分散溶媒を50~99.8wt%とを含む組成物を解繊処理する分散工程を含み、
 前記セルロースの平均繊維径が、20~70μmであり、
 前記界面活性剤は、ウィルヘルミー法による表面張力の測定値が70m・N/m以下であって、かつ液滴と固体表面の接触角が90°以下の界面活性剤より選択される少なくとも1種であるセルロースナノファイバー分散液の製造方法。
[請求項8]
 請求項1~6のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー分散液が含有する前記化学修飾セルロースと、
 ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び生分解性樹脂より選択される少なくとも一種の樹脂とを含み、
 前記化学修飾セルロースの含有量が40wt%以下であるセルロースナノファイバー複合樹脂。
[請求項9]
 請求項1~6のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー分散液を、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び生分解性樹脂より選択される少なくとも1種の樹脂の表面に塗布、または混練する工程、及び
 前記分散溶媒を脱揮又は脱脂により処理して除去する工程を含み、
 前記化学修飾セルロースの含有量が40wt%以下であるセルロースナノファイバー複合樹脂の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]