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1. (WO2019044910) COMPOSITE SPUN YARN WITH LONG AND SHORT FIBERS, PRODUCTION METHOD THEREFOR, AND WOVEN FABRIC, KNIT FABRIC OR FIBER CLOTHING PRODUCT COMPRISING COMPOSITE SPUN YARN WITH LONG AND SHORT FIBERS
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明 細 書

発明の名称 長短複合紡績糸、その製造方法、及び長短複合紡績糸を含む織物、編み物又は衣料用繊維製品

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034  

実施例

0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041  

産業上の利用可能性

0042  

符号の説明

0043  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 長短複合紡績糸、その製造方法、及び長短複合紡績糸を含む織物、編み物又は衣料用繊維製品

技術分野

[0001]
 本発明は、長短複合紡績糸、その製造方法、及び当該長短複合紡績糸を含む織物、編み物又は衣料用繊維製品に関する。

背景技術

[0002]
 長短複合紡績糸は、フィラメント糸と短繊維の持つそれぞれの長所を生かせることから、従来から様々な提案がされている。特許文献1には、マルチフィラメント糸を電気開繊して短繊維と撚糸し、均一混繊構造の長短複合紡績糸を作る方法が提案されている。特許文献2には、芯部にコンジュゲート複合繊維糸からなるフィラメント糸を配置し、鞘部に短繊維を配置した長短複合紡績糸が提案されている。特許文献3~4には、芯部にマルチフィラメント仮撚糸を配置し、鞘部に短繊維束を配置した長短複合紡績糸が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2012-102445号公報
特許文献2 : 特開2015-045112号公報
特許文献3 : 特開平11-217736号公報
特許文献4 : 特開平11-061558号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかし、従来技術では、マルチフィラメント糸の構成繊維を分散して短繊維束の構成繊維と均一混合することは困難であった。例えば特許文献1の発明は、マルチフィラメント糸を静電気によって開繊するが、開繊した部分の両側は収束部となり、マルチフィラメント糸の長さ方向に連続して開繊することはできず、不均一部が発生してしまう問題があった。特許文献2~4の発明も、マルチフィラメント糸を開繊して短繊維束と一体化することは不十分であり、さらなる改良が求められていた。
[0005]
 本発明は、前記従来の問題を解決するため、マルチフィラメント糸を分散して短繊維束に均一混合した長短複合紡績糸を提供する。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明の長短複合紡績糸は、マルチフィラメント糸と短繊維束とから構成される長短複合紡績糸であって、前記マルチフィラメント糸は実質的に無撚りの状態で前記短繊維束と撚り合わされることにより、前記マルチフィラメント糸の撚り数は実質的に前記長短複合紡績糸と同じであり、前記無撚りのマルチフィラメント糸の構成繊維と短繊維束の構成繊維は互いに分散された状態で、かつ、その状態が長さ方向に連続していることを特徴とする。
[0007]
 本発明の長短複合紡績糸の製造方法は、前記の長短複合紡績糸の製造方法であって、精紡機のドラフトゾーンに短繊維束を供給し、フロントローラの上流側に実質的に無撚りのマルチフィラメント糸を開繊した状態で供給し、前記紡績機の前記フロントローラのニップ線上で、ドラフトされた前記短繊維束に前記開繊した状態のマルチフィラメント糸を重ね合わせ、次いで実撚りを加えることを特徴とする。
[0008]
 本発明の織物又は編み物は、前記の長短複合紡績糸を含むことを特徴とする。また、本発明の衣料用繊維製品は、前記の織物又は編み物を衣料用繊維製品としたことを特徴とする。

発明の効果

[0009]
 本発明では、マルチフィラメント糸は実質的に無撚りの状態で短繊維束と撚り合わされることにより、マルチフィラメント糸の撚り数は実質的に長短複合紡績糸と同じであり、無撚りのマルチフィラメント糸の構成繊維と短繊維束の構成繊維は互い分散された状態で、かつ、その状態が長さ方向に連続していることにより、マルチフィラメント糸の構成繊維が分散して短繊維束の構成繊維(短繊維)と均一混合した長短複合紡績糸を提供できる。
 マルチフィラメント糸の構成繊維が分散して短繊維束の構成繊維(短繊維)と均一混合していると、染色斑はなく、外観筋もなく、品位の高い長短複合紡績糸とすることができる。また、マルチフィラメント糸が捲縮糸又は潜在捲縮糸のときは、捲縮が発現しやすく、柔らかく膨らみ感のある長短複合紡績糸、織物、編み物、又は衣料用繊維製品が得られる。本発明の長短複合紡績糸の製造方法では、実質的に無撚りのマルチフィラメント糸を開繊した状態で短繊維束と一体化することにより、効率よくマルチフィラメント糸の構成繊維が分散されて短繊維束の構成繊維(短繊維)と均一混合した長短複合紡績糸を提供できる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は本発明の一実施態様の長短複合紡績糸の模式的断面図である。
[図2] 図2は同、長短複合紡績糸を製造するためのリング精紡機の要部を示す斜視図である。
[図3] 図3は同、リング精紡機のフロントローラ要部の模式的説明図である。
[図4] 図4Aは本発明でマルチフィラメント糸として使用する仮撚り加工糸の製造装置の模式的説明図、図4Bは同マルチフィラメント糸の加工状態を示す側面図、図4Cは同マルチフィラメント糸の構成繊維の加工状態を示す側面図である。
[図5] 図5は従来の仮撚り加工糸の製造方法の一例の模式的工程図である。
[図6] 図6A-Bは従来のマルチフィラメント糸を電気開繊させて短繊維束と撚り合わせた長短複合紡績糸の模式的断面図であり、図6Aは当該マルチフィラメント糸の分散部、図6Bは同収束部を示す。

発明を実施するための形態

[0011]
 本発明の長短複合紡績糸は、マルチフィラメント糸と短繊維束とから構成される。長短複合紡績糸は、長短精紡交撚糸とも言われる。
[0012]
 本発明で使用するマルチフィラメント糸は実質的に無撚りであり、かつ長短複合紡績糸内におけるマルチフィラメント糸の撚り数は実質的に長短複合紡績糸と同じである。ここで実質的に無撚りとは、撚り数0~1回/mをいい、前記マルチフィラメント糸の撚り数は実質的に前記長短複合紡績糸と同じとは、撚り合わせ後のマルチフィラメント糸の撚り数と長短複合紡績糸の撚り数の差が0~1回/mの範囲内をいう。通常は1回の巻き糸体からの解舒撚りだけでも3~5回/mの撚りが加わる。解舒撚りは巻き糸体から糸を取り出す際に加わる撚りのことである。実質的に無撚りとするためには、例えば次のような工夫が必要である。
(1)紡糸-延伸後の糸の巻き取りは、巻き糸体を横に向けて(巻き糸体の軸を水平に)配置し、糸道を巻き糸体の軸と直交させる(横方向巻取り)。延伸後の糸の巻き取りは比較的高速(数百m~数万m/分)であるので、横方向巻取りが有効である。
(2)仮撚加工、糸の巻き返し、糸の供給等においては、前記横方向巻取りが好ましい。糸の取り出し及び糸の巻き取りは、ともに糸速度に合わせて巻き糸体を回転させる。別の方法として、巻き糸体からの糸の取り出しを巻き糸体の軸の長手方向と同方向とし、糸の取り出し速度に合わせて撚りの入らない方向に巻き糸体を回転させる。糸の巻き取りの場合も同様にする。
[0013]
 長短複合紡績糸において、無撚りのマルチフィラメント糸の構成繊維と短繊維束の構成繊維は互いに分散された状態で存在しており、かつ前記分散された状態は長さ方向に連続している。分散とは、長短複合紡績糸の長手方向に直行する任意の断面において、マルチフィラメント糸が複数本の構成繊維単位で分散されて配置されていてもよいし、構成繊維毎に分散されていてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。換言すると、長短複合紡績糸の長手方向に直行する任意の断面において、短繊維束に対して、マルチフィラメント糸を構成する複数の構成繊維が複数の構成繊維束に分割されて配置されていてもよいし、各構成繊維が分散されて配置されていてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。これにより、長繊維と短繊維が均一混合した長短複合紡績糸を提供できる。
[0014]
[マルチフィラメント糸]
 マルチフィラメント糸は、捲縮糸及び潜在捲縮糸から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。マルチフィラメント糸として捲縮糸及び潜在捲縮糸等の捲縮を発現させた糸を用いると、柔らかく膨らみ感のある糸、織物、編み物、衣料用繊維製品が得られる。
[0015]
 マルチフィラメント糸は、生糸でもよいが、仮撚り捲縮糸、押し込み捲縮糸、ギア捲縮糸、ニットデニット捲縮糸、及び複合繊維を含む潜在捲縮糸から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。この中でも仮撚り捲縮糸はウーリー加工糸とも呼ばれ、ウールのような柔らかさと膨らみ感を有する。それ故、ウーリー加工糸とウールを組み合わせたときは相乗的にさらに優れた柔らかさと膨らみ感を有する。
[0016]
 撚り合わせ前のマルチフィラメント糸の撚り数は0~1回/mであり、撚り合わせ後のマルチフィラメント糸の撚り数と長短複合紡績糸の撚り数の差は0~1回/mであるのが好ましい。これにより、長繊維と短繊維が均一混合した長短複合紡績糸を提供できる。
[0017]
 長短複合紡績糸を100質量%としたとき、マルチフィラメント糸5~80質量%、短繊維95~20質量%の質量割合であるのが好ましい。さらに好ましくはマルチフィラメント糸10~60質量%、短繊維は90~40質量%、より好ましくはマルチフィラメント糸が10質量%以上50質量%未満、短繊維が50質量%を超え90質量%以下であるのが好ましい。このように短繊維束がリッチであると、短繊維束の長所を生かしやすい。
[0018]
 短繊維束の構成繊維(「短繊維」とも言う。)は、合成繊維、再生繊維、天然繊維のいずれでもよいが、好ましくは獣毛繊維、又は獣毛繊維とポリエステル繊維、獣毛繊維とナイロン繊維、獣毛繊維とセルロースアセテート繊維、獣毛繊維とキュプラ繊維若しくは獣毛繊維とシルク繊維との混紡糸である。長短複合紡績糸が獣毛繊維を含むことにより、獣毛繊維の温かい性質などの長所を生かしやすい。獣毛繊維は、ウール、カシミヤ、モヘヤ、キャメル等の毛繊維である。ウールはとくに有用であるが、カシミヤやモヘヤを混合したウールは軽くて色つやもよく、高級素材となる。短繊維の繊維長は20~200mmが好ましく、さらに好ましくは30~180mmである。
[0019]
 マルチフィラメント糸は、ポリエステル繊維糸、ナイロン繊維糸、セルロースアセテート繊維糸、キュプラ繊維糸及びシルク繊維糸から選ばれる少なくとも一つの繊維が好ましい。これらの糸は獣毛繊維と組み合わせるとより高付加価値の交撚糸となる。なかでもポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸は強度も高く腰もあり、仮撚加工により膨らみ感のあるウーリー加工糸となる。また、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとのコンジュゲート糸(複合糸)は、原糸はストレート状であるが、熱をかけると捲縮糸となる。マルチフィラメント捲縮糸は油剤無しであるのが好ましい。油剤が無いとマルチフィラメント糸は開繊しやすく、長短複合紡績糸において、マルチフィラメント糸の構成繊維がより分散しやすい。マルチフィラメント糸を油剤無しとするには、紡糸油剤を付与し、仮撚加工の際に当該紡糸油剤を加熱分解させる方法、或いは洗浄により当該紡糸油剤を除去する方法がある。
[0020]
 長短複合紡績糸は、リング紡績糸であるのが好ましい。リング紡績糸は、リング紡績機を使用して実撚りを加えて紡績糸とする。
[0021]
 リング紡績糸の場合、長短複合紡績糸の撚り係数Kは70~200が好ましい。さらに好ましい撚り係数Kは75~190であり、80~180がさらにより好ましい。リング紡績機で紡績される単糸の撚り係数Kが前記の範囲であると、さらに好ましい特性、すなわちシャリ感を抑え、通常のウール紡績糸のようなふっくらとした柔らかい風合いの長短複合紡績糸となる。この糸は単糸のままでニット糸又はジャージ糸として有用である。撚り係数Kは下記の式(1)で算出する。
K=T/(10,000/D) 1/2・・・式(1)
T:1m間の撚り数
D:長短複合紡績糸の繊度(decitex)
[0022]
 本発明の長短複合紡績糸の製造方法は、精紡機のドラフトゾーンに短繊維束を供給し、前記精紡機のフロントローラの上流側に実質的に無撚りのマルチフィラメント糸を開繊した状態で供給し、前記紡績機のフロントローラのニップ線上で、ドラフトされた前記短繊維束に前記開繊した状態のマルチフィラメント糸を重ね合わせ、次いで実撚りを加える。実撚りにより、糸強度その他の物性を保持している。
[0023]
 フロントローラの表面速度に対する前記マルチフィラメント糸のオーバーフィード率は、0.5~5%が好ましく、さらに好ましくは1~4%である。前記の範囲であれば、無撚りマルチフィラメント糸は開繊しやすい。
[0024]
 本発明の長短複合紡績糸は、単糸繊度で58.8~556decitex(18~170メートル番手単糸単糸、1/18~1/170と表示)が好ましく、さらに好ましくは64.5~333.3decitex(30~155メートル番手単糸、1/30~1/155と表示)である。双糸の好ましい繊度は117.6~1112decitex(2/18~2/170と表示)である。
[0025]
 本発明においてJIS L1096(C法)に規定されている方法でタテ、ヨコとも寸法変化は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.8%以下である。このように寸法変化が少ない理由は、本発明の長短複合紡績糸は、マルチフィラメント糸の構成繊維が分散して短繊維束の構成繊維と均一混合しており、短繊維束の構成繊維の動きを制約しているからと推定される。したがって、短繊維束の構成繊維がウールのような収縮を起こしやすい繊維であっても、良好な寸法安定性を発揮する。
[0026]
 以下、図面を用いて説明する。図面において同一符号は同一物を示す。図1は本発明の一実施態様の長短複合紡績糸20の模式的断面図である。この長短複合紡績糸20は、無撚りのマルチフィラメント糸の構成繊維22と短繊維束の構成繊維(短繊維)21とが一体的に撚られ、マルチフィラメント糸の構成繊維22は短繊維束に分散された状態で、かつ長さ方向に連続している。
[0027]
 図2は同、長短複合紡績糸を製造するためのリング精紡機の要部を示す斜視図である。積極回転駆動するフロントボトムメインシャフト3にはフロントボトムローラ4を錘ごとに設ける。フロントボトムローラ4の上にはフロントトップローラ5をのせる。フロントトップローラ5はゴムコットで被覆され、荷重を掛けた共通のアーバー6にそれぞれ独立に転動可能に外嵌する。粗糸ボビン1から引き出した短繊維束15は、ガイドバーからトランペットフィーダー7を介してバックローラ8に供給する。バックローラ8から送出されてドラフトエプロン9でドラフトされた短繊維束15は、フロントボトムローラ4とフロントトップローラ5にニップされて紡出される。
[0028]
 一方、糸巻き体(パーン)2から引き出されたマルチフィラメント糸16は、ニップローラ(供給ローラ)19を通過し、0.5~5%オーバーフィードの状態でヤーンガイド14を通し、フロントトップローラ5の上流側に供給し、フロントボトムローラ4とフロントトップローラ5との当接線であるニップ線上で短繊維束と重ね合わせ、次いで実撚りが加えられる。実撚りは、糸をスネルワイヤ10とアンチノードリング11を通過させ、トラベラ12を介して錘上の糸管13に巻き取ることにより加えられる。得られた長短複合紡績糸20は糸管13に巻き取られる。ここで重要な第1点は、糸巻き体(パーン)2は回転させ、マルチフィラメント糸16を無撚り状態に保つことである。重要な第2点は、ニップローラ(供給ローラ)19からフロントボトムローラ4とフロントトップローラ5との当接線であるニップ線上までの区域のオーバーフィード率を0.5~5%に保つことである。これにより、マルチフィラメント糸16を無撚りかつ開繊させて短繊維束15と撚り合わせることができる。
[0029]
 図3は短繊維束とマルチフィラメント糸を合撚する際に、フロントトップローラ5の上方から見た説明図である。フロントボトムローラとフロントトップローラ5と当接線であるニップ線17上において、短繊維束と無撚りかつ開繊させたマルチフィラメント糸を合体させ、短繊維束の構成繊維(短繊維)21とマルチフィラメント糸の構成繊維22とがニップ線17を通過した後に撚りを加えて長短複合紡績糸20とする。無撚りかつ開繊させたマルチフィラメント糸は平行状に短繊維束と合体される。
[0030]
 図4Aは本発明で使用する仮撚り加工装置30の模式的説明図である。まず、無撚りのマルチフィラメント糸の原糸巻き糸体31及び仮撚り加工糸の巻き糸体37は横向きに(各巻き糸体の軸の長手方向が水平となるように)かつ互いに平行状態に配置し、糸の供給及び巻取りをすることにより無撚り状態を保つ。原糸巻き糸体31から供給される原糸(供給糸)32aはニップローラ33,36間で加熱ヒーター34とツイスタ35により、加撚された状態で加熱加工される。ツイスタ35はスピンドルでもよいし、外接型仮撚り装置でもよい。ツイスタ35を出た糸は解撚され無撚り状態に戻り、巻き糸体37で巻き取られる。32bは仮撚り加撚域の糸の形態、32cは仮撚り解撚域及び加工後の糸の形態である。図4Bは同マルチフィラメント糸の加工状態を示す側面図、図4Cはマルチフィラメント糸の構成繊維の加工状態を示す側面図である。図4Cにおいて、32a'は原糸巻き糸体31から供給される原糸の構成繊維、32b'は仮撚り加撚域の糸の構成繊維、32c'は仮撚り解撚域及び加工後の糸の構成繊維である。ヒーター34の温度はポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸の場合、一例として120~250℃とし、ツイスタ35による仮撚り数は、一例として下記の範囲とする。
12000/D f 1/2≦T k≦32000/D f 1/2
k:1m間の仮撚り数
f:マルチフィラメント糸の繊度(decitex)
[0031]
 図5は従来の仮撚り加工糸の一例製造方法の模式的工程図である。図4と異なる部分は、原糸巻き糸体38が縦向き(巻き糸体38の軸の長手方向が縦向き)に固定して配置され、供給糸に解舒撚りが加わる点である。これでは無撚り状態は保てない。
[0032]
 図6A-Bは従来のマルチフィラメント糸を電気開繊させて短繊維束と撚り合わせた長短複合紡績糸23の模式的断面図であり、図6Aでは、長短複合紡績糸23においてマルチフィラメント糸の構成繊維25が複数に分散しているが、図6Bでは、マルチフィラメント糸の構成繊維25が1か所に収束している。電気開繊は、マルチフィラメント糸を静電気によって開繊するが、開繊した部分の長手方向両側は収束部となり、長さ方向に連続して開繊することはできず、不均一部が発生してしまう。図5のように解舒撚りが加わった場合も、撚りのある部分は図6Bのように収束部となる。
[0033]
 次に本発明の布帛について説明する。本発明の布帛は前記長短複合紡績糸を含む織物又は編み物である。布帛全体を100質量%としたとき、前記長短複合紡績糸は10~100質量%が好ましい。前記長短複合紡績糸に使用する短繊維が獣毛繊維(例えばウール)の場合は、短繊維の質量割合が布帛全体の5質量%程度で柔らかい風合いと暖かさを発揮でき、良好な着心地が得られる。布帛は一般的な織物、編み物に広く使用できる。織物は例えば平織、斜文織、朱子織など任意の組織を含む。編物は例えばタテ編、ヨコ編、両面編など任意の組織を含む。織物、編み物の好ましい目付は100~300g/m 2である。染色は、綿(わた)、糸、布帛(織物、編み物)等いかなる段階で行ってもよく、染色方法は常法を採用できる。
[0034]
 本発明の前記布帛を縫製して衣料用繊維製品とする。衣料用繊維製品としては、一例としてスーツ、ユニホーム、学生服、作業着、スポーツ用衣類、シャツ、インナーウエア、靴下などがある。これらの衣料用繊維製品は秋~春物にかけての3シーズン着用するのに好適である。
実施例
[0035]
 以下、実施例を用いてさらに具体的に説明する。本発明の実施例、比較例における各パラメータの測定方法は、下記及び表1に記載とおりとした。
(1)糸の強伸度
 JIS L1095 9.5.1法に従って測定した。
(2)織物強度
 JIS L 1096A法に従って測定した。
(3)その他の物性
 JIS又は業界規格にしたがって測定した。
[0036]
 (実施例1)
(1)長短複合紡績糸の製造
 図2~3を用いて説明した方法によって長短複合紡績糸を製造した。短繊維束15としてメリノ種ウールの粗糸4.0メートル番手(2500decitex)を供給し、精紡機のドラフトゾーンで17.5倍にドラフトした。マルチフィラメント糸16は無撚りのポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメント仮撚り糸(トータル繊度:84decitex,フィラメント数:24本、図4に示す方法によって製造)をオーバーフィード2.5%でフロントローラの上流側に供給した。そして、フロントローラのニップ線上でドラフトされたウール繊維束に無撚りのPETマルチフィラメント仮撚り糸を重ね合わせ、次いで実撚りを加えて長短複合紡績糸を製造した。得られた長短複合紡績糸は、44メートル番手単糸(1/44と表示、繊度227.3decitex)、撚り係数K=166Z撚り、強度410cN/227.3 decitex、伸度29.4%)であった。
(2)織物製造
 前記長短複合紡績糸を経糸と緯糸にそれぞれ使用し、2/2綾組織の織物を作製した。得られた織物の物性は表1にまとめて示す。
[0037]
 (比較例1)
 無撚りのPETマルチフィラメント仮撚り糸に代えて、撚り数が5回/mのPETマルチフィラメント仮撚り糸を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の長短複合紡績糸を得た。得られた長短複合紡績糸を経糸と緯糸にそれぞれ使用し、2/2綾組織の織物を作製した。得られた織物の物性は表1にまとめて示す。
[0038]
 (実施例2)
 ウール50質量%、無撚りのPETマルチフィラメント仮撚り糸50質量%とし、52メートル番手双糸(2/52と表示、繊度384.6decitex)とし、2/2綾組織とし、表1に示す以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
[0039]
 (比較例2)
 無撚りのPETマルチフィラメント仮撚り糸に代えて、撚り数が5回/mのPETマルチフィラメント仮撚り糸を使用し、表1に示す以外は、実施例2と同様に実施した。結果を表1に示す。
[0040]
[表1]


[0041]
 本発明の各実施例は、マルチフィラメント糸の構成繊維が分散して短繊維束の構成繊維と均一混合した長短複合紡績糸であり、染色斑はなく、外観筋もなく、品位の高い長短複合紡績糸とすることができた。これに対して、各比較例については、各実施例品と比較して、マルチフィラメント糸の構成繊維の短繊維束に対する分散性が劣っており、染色斑や、外観筋が観察された。
 実施例1の織物と比較例1の織物との対比では、実施例1の織物の方が、摩耗強さ、寸法安定性(寸法変化及び洗濯寸法変化)が優れており、実施例2の織物と比較例2の織物との対比では、実施例2の織物の方が、寸法安定性(洗濯寸法変化)が優れていた。また、マルチフィラメント糸が捲縮糸又は潜在捲縮糸のときは捲縮が発現しやすく、柔らかく膨らみ感のある糸、織物、編み物、衣料用繊維製品が得られた。

産業上の利用可能性

[0042]
 本発明の長短複合紡績糸は、家庭洗濯を含めたウォッシャブル性、強度、耐久性、寸法安定性などに優れ、学生服、ユニホーム、スーツ、作業着、スポーツ用衣類、シャツ、肌着などに好適である。

符号の説明

[0043]
1 粗糸ボビン
2 パーン
3 フロントボトムメインシャフト
4 フロントボトムローラ
5 フロントトップローラ
6 アーバー
7 トランペットフィーダー
8 バックローラ
9 ドラフトエプロン
10 スネルワイヤ
11 アンチノードリング
12 トラベラ
13 糸管
14 ヤーンガイド
15 短繊維束
16 マルチフィラメント糸
17 ニップ線
18 マルチフィラメント糸巻き糸体の回転方向
19 ニップローラ
20,23 長短複合紡績糸
21,24 短繊維束の構成繊維
22,25 マルチフィラメントの構成繊維
30 仮撚り加工装置
31,38 原糸巻き糸体
32a 原糸(供給糸)
32b 仮撚り加撚域の糸
32c 仮撚り解撚域及び加工後の糸
33,36 ニップローラ
34 加熱ヒーター
35 ツイスタ
37 仮撚り加工糸の巻き糸体

請求の範囲

[請求項1]
 マルチフィラメント糸と短繊維束とから構成される長短複合紡績糸であって、
 前記マルチフィラメント糸は実質的に無撚りの状態で前記短繊維束と撚り合わされることにより、前記マルチフィラメント糸の撚り数は実質的に前記長短複合紡績糸と同じであり、
 前記無撚りのマルチフィラメント糸の構成繊維と短繊維束の構成繊維は互いに分散された状態で、かつ、その状態が長さ方向に連続していることを特徴とする長短複合紡績糸。
[請求項2]
 前記マルチフィラメント糸は、捲縮糸及び潜在捲縮糸から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の長短複合紡績糸。
[請求項3]
 前記マルチフィラメント糸は、仮撚り捲縮糸、押し込み捲縮糸、ギア捲縮糸、ニットデニット捲縮糸、及び複合繊維を含む潜在捲縮糸から選ばれる少なくとも一つである、請求項1又は2に記載の長短複合紡績糸。
[請求項4]
 前記撚り合わせ前のマルチフィラメント糸の撚り数は0~1回/mであり、撚り合わせ後のマルチフィラメント糸の撚り数と長短複合紡績糸の撚り数の差は0~1回/mである、請求項1~3のいずれかの項に記載の長短複合紡績糸。
[請求項5]
 前記長短複合紡績糸を100質量%としたとき、マルチフィラメント糸は15~80質量%、短繊維束は85~20質量%の質量割合である、請求項1~4のいずれかの項に記載の長短複合紡績糸。
[請求項6]
 前記短繊維束の構成繊維は、獣毛繊維、又は獣毛繊維とポリエステル繊維、獣毛繊維とナイロン繊維、獣毛繊維とセルロースアセテート繊維、獣毛繊維とキュプラ繊維若しくは獣毛繊維とシルク繊維との混紡糸である、請求項1~5のいずれかの項に記載の長短複合紡績糸。
[請求項7]
 前記マルチフィラメント糸は、ポリエステル繊維糸、ナイロン繊維糸、セルロースアセテート繊維糸、キュプラ繊維糸及びシルク繊維糸から選ばれる少なくとも一つの繊維糸である、請求項1~6のいずれかの項に記載の長短複合紡績糸。
[請求項8]
 前記長短複合紡績糸は、リング紡績糸である、請求項1~7のいずれかの項に記載の長短複合紡績糸。
[請求項9]
 請求項1~8のいずれかの項に記載の長短複合紡績糸の製造方法であって、
 精紡機のドラフトゾーンに短繊維束を供給し、
 前記精紡機のフロントローラの上流側に実質的に無撚りのマルチフィラメント糸を開繊した状態で供給し、
 前記フロントローラのニップ線上で、ドラフトされた前記短繊維束に前記開繊した状態のマルチフィラメント糸を重ね合わせ、次いで実撚りを加える、長短複合紡績糸の製造方法。
[請求項10]
 前記フロントローラの表面速度に対する前記マルチフィラメント糸のオーバーフィード率は、0.5~5%である、請求項9に記載の長短複合紡績糸の製造方法。
[請求項11]
 請求項1~8のいずれかの項に記載の長短複合紡績糸を含む織物又は編み物。
[請求項12]
 請求項11に記載の織物又は編み物を含む衣料用繊維製品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]