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1. (WO2019049894) DOUBLE-ACTING FRICTION STIR SPOT WELDING METHOD
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明 細 書

発明の名称 複動式摩擦攪拌点接合方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082  

産業上の利用可能性

0083  

符号の説明

0084  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 複動式摩擦攪拌点接合方法

技術分野

[0001]
 本発明は、複動式摩擦攪拌点接合方法に関し、特に接合により形成された継手部分の疲労強度を向上させる技術に関する。

背景技術

[0002]
 例えば特許文献1に開示されるように、互いに独立して予め定められた軸線周りに回転可能且つ前記軸線方向に進退可能なピン部材及びショルダ部材と、ショルダ部材の外周を囲み且つ前記軸線方向に進退可能にクランプ部材とが設けられた複動式摩擦攪拌点接合装置が知られている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2012-196682号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 摩擦攪拌点接合により被接合物を接合する場合、接合により形成される継手部分の疲労強度を向上させることが求められている。この対策としては、例えば、摩擦攪拌接合界面を増大させることが考えられるが、被接合物の重量が大幅に増大したり、継手部分の疲労強度を向上させるための工程を追加することで接合体の製造効率が低下したりするおそれがある。
[0005]
 本発明はこの課題に鑑みてなされたものであって、複動式摩擦攪拌点接合により被接合物を接合する場合において、被接合物の重量増加を抑制しながら被接合物の継手部分における疲労強度の向上を効率よく図れるようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る摩擦攪拌点接合方法は、被接合物を部分的に攪拌するための回転工具と、前記被接合物が支持された状態で前記被接合物の表面を押圧するクランプ部材とを用いて前記被接合物を摩擦攪拌点接合する摩擦攪拌点接合方法であって、前記回転工具は、予め定められた軸線周りに回転し且つ前記軸線方向に進退可能に設けられたピン部材と、前記ピン部材の外周を囲んだ状態で前記軸線周りに回転し且つ前記ピン部材とは独立して前記軸線方向に進退可能に設けられたショルダ部材とを有し、前記クランプ部材は、円筒状の部材であって、前記ショルダ部材の外周を囲むようにして前記ショルダ部材の収容空間を形成する内周面と、前記被接合物の前記表面と面接触して該表面を押圧する円環状の端面と、前記内周面と前記端面との間に介在して前記内周面よりも拡径方向に窪むと共に前記被接合物側に開口するチャンバ部とを有し、前記クランプ部材の前記端面により前記被接合物の前記表面を押圧した状態において、前記ピン部材と前記ショルダ部材とにより前記被接合物を摩擦攪拌し、前記ピン部材又は前記ショルダ部材の少なくともいずれかを前記被接合物の塑性流動部に圧入することで前記チャンバ部内に軟化した前記被接合物の一部を充填して前記被接合物に肉盛部を形成する接合ステップと、前記ピン部材と前記ショルダ部材とを前記クランプ部材の前記収容空間内に退避させた状態において、前記肉盛部のうち前記ショルダ部材によって摩擦攪拌された領域、又は、前記肉盛部のうち前記摩擦攪拌された領域と隣接する隣接領域の少なくともいずれかの表面を、前記クランプ部材の前記端面により押圧する押圧ステップと、を備える。
[0007]
 上記方法によれば、接合ステップにおいて、被接合物に肉盛部を形成すると共に肉盛部において被接合物を摩擦攪拌点接合し、押圧ステップにおいて、肉盛部の摩擦攪拌された領域、又は、肉盛部のうち摩擦攪拌された領域と隣接する隣接領域の少なくともいずれかの表面を、クランプ部材の端面により押圧することで、肉盛部に圧縮部を形成できる。
[0008]
 これにより、被接合物の継手部分に局所的に残留応力を付与して、被接合物の継手部分の疲労強度を向上できると共に、被接合物の重量増加を抑制しながら、摩擦攪拌された領域とその隣接領域との間に位置する接合界面を増大でき、被接合物の継手部分の剛性を向上できる。
[0009]
 また、被接合物の肉盛部をクランプ部材の端面により押圧するので、押圧面積を小さくできる分、比較的小さい押圧力で適切な位置において被接合物を良好に押圧できる。このため、被接合物を押圧するための専用装置を別途用意しなくてもよく、また、一連の摩擦攪拌点接合動作の間に被接合物を迅速に押圧できる。従って、継手部分の疲労強度を向上させるためのコストや作業負担を軽減できると共に、継手部分の疲労強度を効率よく向上させることができる。
[0010]
 前記被接合物の前記回転工具側とは反対側において前記被接合物を支持するように配置され、前記被接合物との対向面に凹部が形成された裏当部を用い、前記接合ステップでは、前記凹部内に前記被接合物と摩擦攪拌混合可能な付加材料を供給した状態で、前記付加材料を前記被接合物と摩擦攪拌点接合してもよい。
[0011]
 上記方法によれば、裏当部の凹部に供給した付加材料を用いて、肉盛部の厚み寸法を更に増大させることができる。よって、被接合物の重量増加を抑制しながら、摩擦攪拌された領域とその隣接領域との間に位置する接合界面を一層増大させることができる。
[0012]
 前記接合ステップでは、正面視において円形状に前記肉盛部を形成し、前記押圧ステップでは、前記摩擦攪拌された領域と前記隣接領域とにわたって前記肉盛部の周方向に延びる前記被接合物の前記表面の領域を、前記クランプ部材の前記端面により押圧してもよい。上記方法によれば、被接合物の摩擦攪拌された領域と隣接領域とにわたる肉盛部の広い領域に残留応力を付与できる。
[0013]
 前記押圧ステップでは、前記被接合物の前記肉盛部を囲む領域と前記クランプ部材の前記端面との接触を回避しながら、前記被接合物の前記表面を前記クランプ部材の前記端面により押圧してもよい。上記方法によれば、押圧力を肉盛部に集中して付与できるので、押圧面積が小さい分、比較的小さい押圧力で被接合物を適切に押圧できる。
[0014]
 前記チャンバ部の内表面が、前記クランプ部材の前記端面の径方向内側の周縁から前記クランプ部材の前記軸線方向内部に向けて前記クランプ部材の内径が漸減するように傾斜する傾斜面である前記クランプ部材を用いてもよい。上記方法によれば、チャンバ部に形成された傾斜面を抜き勾配として利用して、接合ステップ後に肉盛部をチャンバ部から容易に抜くことができ、効率よく接合ステップと押圧ステップとを行える。

発明の効果

[0015]
 本発明の各態様によれば、複動式摩擦攪拌点接合により被接合物を接合する場合において、被接合物の重量増加を抑制しながら被接合物の継手部分における疲労強度の向上を効率よく図れる。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 第1実施形態に係る複動式摩擦攪拌点接合装置の要部構成図である。
[図2] 図1のクランプ部材の端面側から見た斜視図である。
[図3] 第1実施形態に係る摩擦攪拌点接合方法を示すステップ図である。
[図4] (a)~(f)は、第1実施形態に係る摩擦攪拌点接合方法を説明するための断面図である。
[図5] 第1実施形態の摩擦攪拌点接合方法により形成された被接合物の継手部分の正面図である。
[図6] 第1実施形態の摩擦攪拌点接合方法により形成された被接合物の継手部分に被接合物の両端から引張荷重を加えたときの様子を示す断面図である。
[図7] 第2実施形態に係る複動式摩擦攪拌点接合装置の要部構成図である。

発明を実施するための形態

[0017]
 以下、図面を参照して各実施形態を説明する。
[0018]
 (第1実施形態)
 図1は、第1実施形態に係る複動式摩擦攪拌点接合装置1(以下、単に装置1と称する。)の要部構成図である。図1では、回転工具2を断面で示すと共に、回転工具2と工具駆動部3との繋がりを破線により模式的に示している。
[0019]
 装置1は、被接合物W(一例として一対の板材(第1板材W1及び第2板材W2))を摩擦攪拌点接合する。装置1は、回転工具2、工具駆動部3、制御部4、裏当部5、及びクランプ部材8を備える。
[0020]
 工具駆動部3は、回転工具2を予め定められた複数の位置に移動させると共に、回転工具2を回転駆動させる。制御部4は、回転工具2が有する各部材6~8を駆動させるように、工具駆動部3を制御する。工具駆動部3の具体的な構造は限定されず、例えば公知の構造を利用できる。
[0021]
 制御部4は、一例として、CPU、ROM、及びRAM等を備えたコンピュータであり、工具駆動部3の動作を制御する。ROMには、所定の制御プログラムが格納され、RAMには、オペレータにより入力された設定情報が記憶される。この設定情報には、例えば、板材W1,W2の各板厚値の情報と、各接合位置の情報とが含まれる。裏当部5は支持部であり、被接合物Wを挟んで回転工具2とは反対側に配置されて被接合物Wを支持する。裏当部5の一部は、被接合物Wを挟んで回転工具2と対向する。
[0022]
 回転工具2は、被接合物Wを部分的に攪拌する。回転工具2は、ピン部材6とショルダ部材7とを有する。回転工具2は、ピン部材6の外側にショルダ部材7が配置され、ショルダ部材7の外側にクランプ部材8が配置された入れ子構造を有する。
[0023]
 ピン部材6は、予め定められた軸線P周りに回転し且つ軸線P方向に進退可能に設けられている。本実施形態のピン部材6は、軸線P方向に延びる円柱状に形成されている。ピン部材6の軸線P方向後端部(ピン部材6の被接合物W側とは反対側の端部)は、工具駆動部3の固定部(不図示)に支持されている。
[0024]
 ショルダ部材7は、ピン部材6の外周を囲んだ状態で軸線P周りに回転し且つピン部材6とは独立して軸線P方向に進退可能に設けられている。ショルダ部材7は中空部7aを有し、ピン部材6はショルダ部材7の中空部7aに内挿されている。
[0025]
 本実施形態の回転工具2では、ショルダ部材7の中空部7aにピン部材6が内挿された状態で、ピン部材6とショルダ部材7とが、それぞれ独立して軸線P周りに回転し且つ軸線P方向に進退可能に設けられている。またショルダ部材7は、軸線P方向に延びる円筒状に形成されている。
[0026]
 クランプ部材8は、ショルダ部材7の外周を囲むように設けられている。またクランプ部材8は、ピン部材6とショルダ部材7とは独立して、軸線P方向に進退可能に設けられている。
[0027]
 クランプ部材8の軸線P方向後端部には、軸線P方向に被接合物Wに向けてクランプ部材8に付勢力を付与するためのスプリング9が配置されている。クランプ部材8は、スプリング9からの付勢力により、裏当部5に支持された被接合物Wを軸線P方向に押圧する。クランプ部材8が被接合物Wから後退させられる際、クランプ部材8は、工具駆動部3により引き上げられ、被接合物Wから後退させられる。
[0028]
 図2は、図1のクランプ部材8の端面8a側から見た斜視図である。クランプ部材8は、通常の摩擦攪拌点接合装置の接合ステップに要する荷重出力範囲内において、被接合物Wの荷重伝達部位である接合界面に圧縮塑性歪を与えるための形状を有する。このように装置1は、被接合物Wに対する圧縮加工機構を備えている。
[0029]
 具体的には図1及び2に示すように、クランプ部材8は、円筒状の部材であって、内周面8cと端面8aとチャンバ部8bとを有する。内周面8cは、ショルダ部材7の外周を囲むようにしてショルダ部材7の収容空間(以下、単に収容空間と称する。)を形成する。端面(当接面)8aは円環状であり、被接合物Wの表面(ここでは第1板材W1の板面)と面接触して該表面を押圧する。端面8aは、軸線P方向に対して垂直な面に平行に延びている。
[0030]
 チャンバ部8bは、内周面8cと端面8aとの間に介在して、内周面8cよりも拡径方向に窪むと共に、被接合物W側に開口している。チャンバ部8bは、クランプ部材8の被接合物W側の端部(軸線P方向先端部)に設けられ、被接合物W側に開口している。即ちチャンバ部8bは、クランプ部材8の軸線P方向先端側で開口すると共に、クランプ部材8の軸線P方向内側に窪んでいる。チャンバ部8bは、被接合物Wに肉盛部W4(図4(d)参照)を形成するために用いられる。
[0031]
 本実施形態のチャンバ部8bの内表面は、端面8aの径方向内側の周縁からクランプ部材8の軸線P方向内部に向けてクランプ部材8の内径が漸減するように傾斜する傾斜面として形成されている。この内表面の端面8aの径方向中央には、収容空間の開口が形成されている。
[0032]
 本実施形態のチャンバ部8bの傾斜面(内表面)は、クランプ部材8の軸線P方向に垂直な方向から見て曲線状に延びている。一例として傾斜面は、軸線P方向に垂直な方向から見て、端面8aの径方向内側の周縁から円弧状に延びた後、軸線Pに向けて、軸線P方向に垂直に延びている。なお傾斜面は、軸線P方向に垂直な方向から見て、端面8aの径方向内側の周縁から軸線P方向に向けて、直線状に延びていてもよい。
[0033]
 また、軸線P方向に垂直な方向から見て、軸線Pの両側に位置する一対の傾斜面の形状は、本実施形態ではクランプ部材8の軸線P周りの全周において対称形状であるが、これに限定されない。
[0034]
 前記一対の傾斜面の形状は、軸線P方向に垂直な一方向から見て、非対称形状であってもよい。この場合、例えば、前記一対の傾斜面のうちの一方の傾斜面の形状が、他方の傾斜面に比べて軸線Pに垂直な方向に長く延びる形状であってもよい。
[0035]
 またこの場合、前記一対の傾斜面のうち、後述する圧縮部Q(図4(f)参照)の形成予定側における傾斜面の形状は、他方の傾斜面に比べて軸線Pに垂直な方向に長く延びる形状であってもよい。これにより、圧縮部Qを肉盛部W4の比較的広い領域に形成できる。
[0036]
 収容空間は、クランプ部材8のチャンバ部8bよりも軸線P方向内側に設けられている。被接合物Wを摩擦攪拌点接合しない場合、収容空間には、ショルダ部材7の外周を囲むようにショルダ部材7が収容される。収容空間を形成する内周面8cは、クランプ部材8の内部において軸線P方向に延びている。収容空間には、ショルダ部材7とは独立してピン部材6も収容される。収容空間にピン部材6とショルダ部材7とが収容された場合、収容空間の開口は、ピン部材6とショルダ部材7とにより塞がれる。被接合物Wを摩擦攪拌点接合する際、ピン部材6とショルダ部材7とは、収容空間からチャンバ部8bを介して被接合物W側に延びる。
[0037]
 ここで、チャンバ部8bの開口の内径は、収容空間の開口の内径(ショルダ部材7の外径)よりも大きい。従って、クランプ部材8を用いて被接合物Wを摩擦攪拌点接合した場合、チャンバ部8bによって形成される肉盛部W4に対して、ピン部材6とショルダ部材7とによる摩擦攪拌により生じる摩擦攪拌された領域Jと、これに隣接する隣接領域との接合界面が形成される。
[0038]
 なお装置1は、例えば、C型フレーム構造を有していてもよい。この場合、回転工具2、工具駆動部3、制御部4、及びクランプ部材8は、装置1の上部に配置され、裏当部5は、装置1の下部に配置されていてもよい。また装置1は、例えば、多関節ロボットに取り付けられていてもよい。また装置1は、回転工具2、工具駆動部3、制御部4、及びクランプ部材8が多関節ロボットに取り付けられ、裏当部5が前記多関節ロボットとは別の構成(ポジショナー等)に取り付けられていてもよい。
[0039]
 図3は、第1実施形態に係る摩擦攪拌点接合方法を示すステップ図である。図3に示すように、当該方法では、複数のステップS1~S4を順に含むシークエンスを行う。
[0040]
 具体的には、所定の接合位置において摩擦攪拌点接合を行うために被接合物Wに対して回転工具2の位置合わせを行う第1位置合わせステップS1と、第1位置合わせステップS1後に、前記接合位置においてピン部材6とショルダ部材7とを回転させながら被接合物Wに押し込んで(圧入して)被接合物Wを摩擦攪拌点接合すると共に、チャンバ部8b内に被接合物Wの一部を充填することで被接合物Wに肉盛部W4を形成する接合ステップS2とを行う。
[0041]
 また接合ステップS2後、ピン部材6とショルダ部材7とを被接合物Wから後退させ、且つ、肉盛部W4の表面の所定の押圧位置において被接合物Wを押圧するために被接合物Wに対してクランプ部材8の位置合わせを行う第2位置合わせステップS3と、第2位置合わせステップS3後に、押圧位置においてクランプ部材8の端面8aにより肉盛部W4を押圧する押圧ステップS4とを行う。この押圧ステップS4により、被接合物Wの肉盛部W4を圧縮して肉盛部W4に残留応力を付与し、被接合物Wの疲労強度を向上させる。
[0042]
 図4の(a)~(f)は、第1実施形態に係る摩擦攪拌点接合方法を説明するための断面図である。最初にオペレータは、前記設定情報を装置1に入力し、板材W1,W2を重ねた状態で裏当部5に支持させる。
[0043]
 制御部4は、チャンバ部8bの傾斜面の内周縁にショルダ部材7の被接合物W側端面の外周縁を一致させると共に、ショルダ部材7の被接合物W側端面の内周縁にピン部材6の被接合物W側端面の外周縁が一致するように、工具駆動部3を制御する。
[0044]
 また制御部4は、回転工具2が予め定められた接合位置まで移動されるように、工具駆動部3を制御する(図4(a))。これにより第1位置合わせステップS1が行われ、回転工具2が被接合物Wに対して位置合わせされる。
[0045]
 次に制御部4は、ピン部材6とショルダ部材7とが回転駆動されるように工具駆動部3を制御すると共に、ショルダ部材7とクランプ部材8とを被接合物Wの表面に当接するように、工具駆動部3を制御する。その後、制御部4は、ショルダ部材7を被接合物7に押圧するように、工具駆動部3を制御する。
[0046]
 これにより、端面8aにより被接合物Wの表面が押圧された状態において、ピン部材6とショルダ部材7とにより被接合物Wが摩擦攪拌され、ピン部材6又はショルダ部材7の少なくともいずれか(ここでは図4(c)の状態も含めて両方)が被接合物Wの塑性流動部W3に圧入されることで、チャンバ部8b内に軟化した被接合物Wの一部が充填されて被接合物Wに肉盛部W4が形成される(図4(b),(c))。
[0047]
 肉盛部W4は、ピン部材6とショルダ部材7とによる摩擦攪拌により生じた被接合物Wの塑性流動部W3と、塑性流動部W3の生成に伴って軟化した被接合物Wの軟化部とを含んでいる。
[0048]
 このとき制御部4は、ピン部材6の被接合物W側端面を、ショルダ部材7の被接合物W側端面よりも押し込み方向とは反対側に移動させるように、工具駆動部3を制御する。これにより、被接合物Wの塑性流動部W3をショルダ部材7の中空部7aに入り込ませる(図4(b))。
[0049]
 次に制御部4は、クランプ部材8の端面8aを被接合物Wの表面に面接触させた状態で、ピン部材6とショルダ部材7との被接合物W側端面を、ピン部材6とショルダ部材7とが被接合物Wの表面に接触する前の被接合物Wの表面位置に向けて移動させるように、工具駆動部3を制御する。
[0050]
 これにより、ショルダ部材7の内部に入り込んだ被接合物Wの塑性流動部W3をピン部材6により埋戻しながら、ショルダ部材7を収容空間内に退避させる。第1実施形態では、制御部4は、肉盛部W4の体積を考慮して、ピン部材6の被接合物W側端面が肉盛部W4の表面(頂面)よりも被接合物Wの内側に位置されるように、工具駆動部3を制御する(図4(c))。
[0051]
 以上により接合ステップS2が行われ、被接合物Wが摩擦攪拌点接合されて、肉盛部W4に摩擦攪拌された領域Jが形成される。摩擦攪拌された領域Jの中央には、ピン部材6によって凹部Rが形成される(図4(d)参照)。
[0052]
 次に制御部4は、ピン部材6、ショルダ部材7、及びクランプ部材8を被接合物Wから離隔(後退)させるように、工具駆動部3を制御する(図4(d))。その後、制御部4は、ピン部材6の被接合物Wに対する軸線P位置を、被接合物Wの表面に沿って、摩擦攪拌点接合時の位置X1から所定距離ずれた位置X2へ移動して回転工具2を位置合わせするように、工具駆動部3を制御する(図4(e))。以上により第2位置合わせステップS3が行われ、端面8aが肉盛部W4の頂面と対向するように位置合わせされる。
[0053]
 位置X2は、本実施形態では軸線P方向から見て端面8aが摩擦攪拌された領域Jと重なる位置に設定される。また端面8aは、位置X2において肉盛部W4の頂面と接する際、摩擦攪拌された領域Jとこれに隣接する隣接領域との各周縁と面接触し、且つ、摩擦攪拌された領域Jの周方向に延びる領域に面接触するように設定される。
[0054]
 言い換えると、肉盛部W4の頂部において、摩擦攪拌された領域Jとこれに隣接する隣接領域とにわたって後述する圧縮部Qを形成するように、端面8aが被接合物Wの表面を押圧可能に設定される。
[0055]
 なお、ピン部材6、ショルダ部材7、及びクランプ部材8を被接合物Wから後退させる動作と、第2位置合わせステップS3における回転工具2の位置合わせ動作とは、同時に行ってもよい。
[0056]
 次に、ピン部材6とショルダ部材7とをクランプ部材8の収容空間内に退避させた状態において、肉盛部W4のうちショルダ部材7により摩擦攪拌された領域J、又は、肉盛部W4のうち摩擦攪拌された領域Jと隣接する領域の少なくともいずれか(ここでは両方)の表面を、端面8aにより押圧する。
[0057]
 本実施形態では、第2位置合わせステップS3後、制御部4は、ピン部材6の被接合物Wに対する軸線P位置を位置X2に合わせた状態で、肉盛部W4の摩擦攪拌された領域Jと、これに隣接する隣接領域との表面を、クランプ部材8の端面8aにより押圧するように、工具駆動部3を制御する(図4(f))。
[0058]
 以上により押圧ステップS4が行われ、被接合物Wの肉盛部W4に圧縮部(圧縮塑性歪部)Qが形成されて、被接合物Wに残留応力が付与される。押圧ステップS4では、被接合物Wの肉盛部W4を囲む領域と端面8aとの接触を回避しながら、被接合物Wの表面が端面8aにより押圧される。
[0059]
 摩擦攪拌された領域Jの温度が摩擦攪拌温度よりも低下した状態で押圧ステップS4を行うことにより、被接合物Wは冷間圧縮される。その後、制御部4は、クランプ部材8による押圧を解除するように、工具駆動部3を制御する。
[0060]
 図5は、第1実施形態の摩擦攪拌点接合方法により形成された被接合物Wの継手部分の正面図である。図6は、第1実施形態の摩擦攪拌点接合方法により形成された被接合物Wの継手部分に被接合物Wの両端から引張荷重を加えたときの様子を示す断面図である。
[0061]
 図5に示すように、摩擦攪拌点接合後の被接合物Wには、正面視において(軸線P方向から見て)、肉盛部W4が円形状に形成されている。一例として肉盛部W4は、その裾部から頂部に向けて直径が漸減する円錐台状に形成されている。摩擦攪拌された領域Jは、肉盛部W4の頂部に円形状に形成されている。
[0062]
 摩擦攪拌された領域Jの中央には、ピン部材6によって凹部Rが形成されている。摩擦攪拌された領域Jと凹部Rとの径方向中心は一致している。圧縮部Qは、肉盛部W4の頂部において、摩擦攪拌された領域Jとこれに隣接する隣接領域との各周縁に沿って円弧状に形成されている。圧縮部Qと凹部Rとは、離隔して配置されている。被接合物Wは、圧縮部Qが形成されたことで残留応力(圧縮残留応力)が付与され、疲労強度が向上されている。
[0063]
 このため、例えば図6に示すように、被接合物Wの第1板材W1と第2板材W2とに、各板材W1,W2が延びる方向に引張力D1を繰り返し負荷する疲労荷重が及び、摩擦攪拌領域Jの境界(接合境界)等が疲労破壊の起点及び進展経路となる場合、被接合物Wは、圧縮部Kに残留応力が付与されたことにより、疲労寿命が延長される。
[0064]
 また、摩擦攪拌された領域Jが肉盛部W4に形成されたことにより、摩擦攪拌された領域Jとこれに隣接する隣接領域との間の接合界面が増大され、継手強度が向上されている。また、被接合物Wに部分的に肉盛部W4を形成することで、継手強度を向上させながら、被接合物Wの重量増加が抑制されている。
[0065]
 また、肉盛部W4に接合継手を設けたことで、被接合物Wの接合継手周辺の厚み寸法を部分的に増加させられるので、被接合物Wの剛性を向上させることができ、破断荷重や曲げ荷重等の荷重に対して良好な強度を発揮できる。
[0066]
 なお、圧縮部Qの長さは、摩擦攪拌された領域Jの全周長より短くてもよい。また、被接合物Wの継手部分に求められる強度や負荷される荷重レベル、組合せ荷重に応じて、圧縮部Kの長さは適宜設定してもよい。
[0067]
 本発明者らの検討により、圧縮部Kの長さは、例えば、図6に示す単軸引張荷重が負荷された場合、摩擦攪拌領域Jの全周長の1/2以下の範囲の値に設定してもよいことが分かっている。また、肉盛部W4の頂部において、1つの摩擦攪拌された領域Jの複数の位置に圧縮部Qを形成してもよい。複数の圧縮部Qは、肉盛部W4の正面視において、摩擦攪拌された領域Jの径方向に並んでいてもよいし、摩擦攪拌された領域Jの周方向に並んでいてもよい。
[0068]
 以上説明したように、本実施形態の摩擦攪拌点接合方法によれば、接合ステップS2において、被接合物Wに肉盛部W4を形成すると共に肉盛部W4において被接合物Wを摩擦攪拌点接合し、押圧ステップS4において、肉盛部W4の摩擦攪拌された領域J、又は、摩擦攪拌された領域Jと隣接する隣接領域の少なくともいずれかの表面を、クランプ部材8の端面8aにより押圧することで、肉盛部W4に圧縮部Qを形成できる。
[0069]
 これにより、被接合物Wの継手部分に局所的に残留応力を付与して、被接合物Wの継手部分の疲労強度を向上できると共に、被接合物Wの重量増加を抑制しながら、摩擦攪拌された領域Jとこれに隣接する隣接領域との間に位置する接合界面を増大でき、被接合物Wの継手部分の剛性を向上できる。
[0070]
 また、被接合物Wの肉盛部W4をクランプ部材8の端面8aにより押圧するので、押圧面積を小さくできる分、比較的小さい押圧力で適切な位置において被接合物Wを良好に押圧できる。このため、被接合物Wを押圧するための専用装置を別途用意しなくてもよく、また、一連の摩擦攪拌点接合動作の間に被接合物Wを迅速に押圧できる。従って、継手部分の疲労強度を向上させるためのコストや作業負担を軽減できると共に、継手部分の疲労強度を効率よく向上させることができる。
[0071]
 また接合ステップS2では、正面視において肉盛部W4を円形状に形成し、押圧ステップS4では、摩擦攪拌された領域Jとこれに隣接する隣接領域とにわたって肉盛部W4の周方向に延びる表面の領域を、端面8aにより押圧するので、被接合物Wの摩擦攪拌された領域Jとこれに隣接する隣接領域とにわたる肉盛部W4の広い領域に残留応力を付与できる。
[0072]
 また押圧ステップS4では、被接合物Wの肉盛部W4を囲む領域と端面8aとの接触を回避しながら、被接合物Wの表面を端面8aにより押圧するため、押圧力を肉盛部W4に集中して付与できるので、押圧面積が小さい分、比較的小さい押圧力で被接合物Wを適切に押圧できる。
[0073]
 またクランプ部材として、チャンバ部8bの内表面が、端面8aの径方向内側の周縁からクランプ部材8の軸線P方向内部に向けてクランプ部材8の内径が漸減するように傾斜する傾斜面であるクランプ部材8が用いられる。このため、チャンバ部8bに形成された傾斜面を抜き勾配として利用して、接合ステップS2後に肉盛部W4をチャンバ部8bから容易に抜くことができ、効率よく接合ステップS2と押圧ステップS4とを行える。次に第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に説明する。
[0074]
 (第2実施形態)
 図7は、第2実施形態に係る複動式摩擦攪拌点接合装置の要部構成図である。第1実施形態と異なる点として、裏当部15には、被接合物Wとの対向面に軸線P方向に窪む凹部15aが形成されている。凹部15aは、被接合物Wを挟んでチャンバ部8bと対応する位置に設けられ、被接合物Wの表面に沿って延びている。
[0075]
 一例として凹部15aは、正面視(軸線P方向から見て)円形状の周縁を有する。また凹部15aは、その周縁から裏当部15の軸線P方向内部に向けて内径が漸減する傾斜面と、傾斜面に囲まれた底面とを有する。凹部15aの周縁の内径は、適宜設定可能であり、ここではショルダ部材7の外径よりも大きく設定されている。
[0076]
 第2実施形態に係る摩擦攪拌点接合方法では、被接合物Wの回転工具2側とは反対側において被接合物Wを支持するように配置されて凹部15aが形成された裏当部15を用いる。接合ステップS2では、凹部15a内に被接合物Wと摩擦攪拌混合可能な付加材料W5を供給した状態で、付加材料W5を被接合物Wと摩擦攪拌点接合する。ここでは一例として、被接合物Wの板材W1,W2と付加材料W5との摩擦撹拌点接合を同時に行う。
[0077]
 これにより付加材料W5は、凹部15aを型として成形されながら、被接合物Wと一体化される。従って、第2実施形態において形成される肉盛部W4の厚み寸法は、第1実施形態において形成される肉盛部W4の厚み寸法よりも増大される。
[0078]
 このように、第2実施形態の摩擦攪拌点接合方法によれば、裏当部15の凹部15aに供給した付加材料W5を用いて、肉盛部W4の厚み寸法を更に増大させることができる。よって、被接合物Wの重量増加を抑制しながら、摩擦攪拌された領域Jとこれに隣接する隣接領域との間に位置する接合界面を一層増大させることができる。
[0079]
 また、摩擦撹拌混合前の被接合物Wと付加材料W5とを異なる材質に設定することで、被接合物Wに付加材料W5の材料特性を付加することもできる。よって、肉盛部W4の疲労強度を向上できると共に、摩擦攪拌点接合後の被接合物Wが有する特性の設計自由度を高めることができる。
[0080]
 なお、付加材料W5の形状は適宜設定できる。付加材料W5は板状に限定されず、例えばブロック状や粉末状であってもよい。また第2実施形態の接合ステップS2では、被接合物Wの板材W1,W2と付加材料W5との摩擦撹拌点接合を同時に行う必要はなく、例えば、被接合物Wの板材W1,W2とを摩擦攪拌点接合した後、被接合物Wに付加材料W5を摩擦攪拌点接合してもよい。
[0081]
 本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その構成又は方法を変更、追加、又は削除できる。当然ながら、被接合物Wは、一対の板材W1,W2に限定されない。被接合物Wは、航空機、自動車、及び鉄道車両等の乗物の部品でもよいし、建築物の部品でもよい。
[0082]
 また上記各実施形態では、単一の工具駆動部3によりピン部材6、ショルダ部材7、及びクランプ部材8を駆動する構成を示したが、この各部材のうちの1つ又は2つを別の駆動部により駆動してもよいし、この各部材を個別の駆動部により駆動してもよい。

産業上の利用可能性

[0083]
 本発明は、複動式摩擦攪拌点接合により被接合物を接合する場合において、被接合物の重量増加を抑制しながら被接合物の継手部分における疲労強度の向上を効率よく図れる。このため、複動式摩擦攪拌点接合を利用した各分野に広く好適に利用可能である。

符号の説明

[0084]
 J  摩擦攪拌された領域
 P  軸線
 W  被接合物
 W3  塑性流動部
 W4  肉盛部
 W5  追加材料
 2  回転工具
 5,15  裏当部
 6  ピン部材
 7  ショルダ部材
 8  クランプ部材
 8a  端面
 8b  チャンバ部
 8c  内周面
 15a  凹部

請求の範囲

[請求項1]
 被接合物を部分的に攪拌するための回転工具と、前記被接合物が支持された状態で前記被接合物の表面を押圧するクランプ部材とを用いて前記被接合物を摩擦攪拌点接合する摩擦攪拌点接合方法であって、
 前記回転工具は、予め定められた軸線周りに回転し且つ前記軸線方向に進退可能に設けられたピン部材と、前記ピン部材の外周を囲んだ状態で前記軸線周りに回転し且つ前記ピン部材とは独立して前記軸線方向に進退可能に設けられたショルダ部材とを有し、
 前記クランプ部材は、円筒状の部材であって、前記ショルダ部材の外周を囲むようにして前記ショルダ部材の収容空間を形成する内周面と、前記被接合物の前記表面と面接触して該表面を押圧する円環状の端面と、前記内周面と前記端面との間に介在して前記内周面よりも拡径方向に窪むと共に前記被接合物側に開口するチャンバ部とを有し、
 前記クランプ部材の前記端面により前記被接合物の前記表面を押圧した状態において、前記ピン部材と前記ショルダ部材とにより前記被接合物を摩擦攪拌し、前記ピン部材又は前記ショルダ部材の少なくともいずれかを前記被接合物の塑性流動部に圧入することで前記チャンバ部内に軟化した前記被接合物の一部を充填して前記被接合物に肉盛部を形成する接合ステップと、
 前記ピン部材と前記ショルダ部材とを前記クランプ部材の前記収容空間内に退避させた状態において、前記肉盛部のうち前記ショルダ部材によって摩擦攪拌された領域、又は、前記肉盛部のうち前記摩擦攪拌された領域と隣接する隣接領域の少なくともいずれかの表面を、前記クランプ部材の前記端面により押圧する押圧ステップと、を備える、摩擦攪拌点接合方法。
[請求項2]
 前記被接合物の前記回転工具側とは反対側において前記被接合物を支持するように配置され、前記被接合物との対向面に凹部が形成された裏当部を用い、
 前記接合ステップでは、前記凹部内に前記被接合物と摩擦攪拌混合可能な付加材料を供給した状態で、前記付加材料を前記被接合物と摩擦攪拌点接合する、請求項1に記載の摩擦攪拌点接合方法。
[請求項3]
 前記接合ステップでは、正面視において円形状に前記肉盛部を形成し、
 前記押圧ステップでは、前記摩擦攪拌された領域と前記隣接領域とにわたって前記肉盛部の周方向に延びる前記被接合物の前記表面の領域を、前記クランプ部材の前記端面により押圧する、請求項1又は2に記載の摩擦攪拌点接合方法。
[請求項4]
 前記押圧ステップでは、前記被接合物の前記肉盛部を囲む領域と前記クランプ部材の前記端面との接触を回避しながら、前記被接合物の前記表面を前記クランプ部材の前記端面により押圧する、請求項1~3のいずれか1項に記載の摩擦攪拌点接合方法。
[請求項5]
 前記チャンバ部の内表面が、前記クランプ部材の前記端面の径方向内側の周縁から前記クランプ部材の前記軸線方向内部に向けて前記クランプ部材の内径が漸減するように傾斜する傾斜面である前記クランプ部材を用いる、請求項1~4のいずれか1項に記載の摩擦攪拌点接合方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]