Поиск по международным и национальным патентным фондам
Некоторое содержание этого приложения в настоящий момент недоступно.
Если эта ситуация сохраняется, свяжитесь с нами по адресуОтзывы и контакты
1. (WO2018189954) ION EXCHANGE MEMBRANE, ION EXCHANGE MEMBRANE LAMINATE PROVIDED WITH SAME, AND WATER TREATMENT DEVICE
Document

明 細 書

発明の名称 イオン交換膜およびそれを備えたイオン交換膜積層体、ならびに水処理装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

0004   0005   0006   0007   0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114  

産業上の利用可能性

0115  

符号の説明

0116  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : イオン交換膜およびそれを備えたイオン交換膜積層体、ならびに水処理装置

技術分野

[0001]
 本開示は、イオン交換膜およびそれを備えたイオン交換膜積層体、ならびに水処理装置に関するものである。

背景技術

[0002]
 この種の水処理装置として、イオン交換樹脂粒子により、陽イオン又は陰イオンを吸着除去することで水中の不純物を除去するものが提案されている。当該水処理装置では、一方の面に陽イオン交換基が配置され、他方の面に陰イオン交換基が配置されているイオン交換膜が使用される(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2016-391号公報

発明の概要

[0004]
 特許文献1に開示されているイオン交換膜を有する電気化学セルにおいては、膜のイオン吸着能力を高めるためにイオン交換樹脂粒子のバインダーに対する比率を高くする必要がある。しかしながら、生産時において必要以上の膜強度を有する膜とするためには、バインダー比率を高くする必要がある。これにより、相対的にイオン交換樹脂粒子の比率が低くなり、硬度成分の吸着能力を高めるのに限界があるという課題があった。
[0005]
 また、特許文献1に開示されているイオン交換膜においては、バインダーが熱可塑性樹脂だけの場合は、膜の生産時に装置のロールなどから膜が離れにくいという課題もあった。
[0006]
 本開示は、上記従来の課題を解決するもので、硬度成分の吸着能力および生産性を向上させたイオン交換膜およびそれを備えたイオン交換膜積層体、ならびに、水処理装置を提供することを目的とする。
[0007]
 前記従来の課題を解決するために、本開示のイオン交換膜は、陽イオン交換樹脂粒子とバインダー樹脂とから成る陽イオン交換組成体と、陰イオン交換樹脂粒子とバインダー樹脂とから成る陰イオン交換組成体と、を備えている。前記陽イオン交換組成体と前記陰イオン交換組成体とのうち、少なくともどちらか一方には、熱不溶性の添加剤が含有されている。
[0008]
 これにより、バインダー樹脂の比率を高くしなくても、イオン交換樹脂粒子の比率が高く、生産時における必要以上の膜強度を維持でき、かつ、加工時のロールからの離れ性もよく、さらにはイオン交換樹脂粒子の脱落も少なくできる。従って、硬度成分の吸着能力および生産性を向上させたイオン交換膜を提供することができる。
[0009]
 本開示によれば、硬度成分の吸着能力および生産性を向上させたイオン交換膜およびそれを備えたイオン交換膜積層体、ならびに水処理装置を提供できる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本実施の形態1に係る電気化学セルの概略構成を示す正面方向の断面図
[図2] 図1に示す電気化学セルのA-A断面図
[図3] 同電気化学セルのイオン交換膜の一例を示す模式図
[図4] 同水処理装置の概略構成を示す模式図

発明を実施するための形態

[0011]
 第1の開示に係るイオン交換膜は、陽イオン交換樹脂粒子とバインダー樹脂とから成る陽イオン交換組成体と、陰イオン交換樹脂粒子とバインダー樹脂とから成る陰イオン交換組成体と、を備えている。前記陽イオン交換組成体と前記陰イオン交換組成体とのうち、少なくともどちらか一方には、熱不溶性の添加剤が含有されている。
[0012]
 これにより、バインダー樹脂の比率を高くしなくても、イオン交換樹脂粒子の比率が高く、生産時における必要以上の膜強度を維持でき、かつ、加工時のロールからの離れ性が良好であり、さらにはイオン交換樹脂粒子の脱落を少なくできる。したがって、硬度成分の吸着能力および生産性を向上させたイオン交換膜を提供することができる。
[0013]
 第2の開示は、特に、第1の開示において、前記熱不溶性の添加剤は、フッ素系樹脂からなる。
[0014]
 PTFEやPVDF等のフッ素系樹脂からなる熱不溶性の添加剤は、ロール等でせん段力が与えられると、バインダー樹脂中に繊維状(くもの巣状)に広がり、膜を強固に固定する。このため、バインダー樹脂比率を少なくしても、イオン交換樹脂粒子の脱落の少ない強固な膜を形成することができる。
[0015]
 第3の開示に係るイオン交換膜積層体においては、第1または第2の開示に係るイオン交換膜が対向して配置されており、隣接する前記イオン交換膜の間にスペーサー部材が配置されている。
[0016]
 これにより、水がイオン交換膜内部に浸透しやすくなり、効率的にイオン交換膜内のイオン交換樹脂粒子と接触することができるため、水処理を効率よく実行することができる。
[0017]
 第4の開示に係る水処理装置は、陽極及び陰極からなる電極と、第1または第2の開示のイオン交換膜を有する電気化学セルと、前記電極に電力を供給する電源と、前記電気化学セルに接続され、取水口に連通する第1水流路と、前記第1水流路から分岐され、排水口に連通する第2水流路と、前記電気化学セルからの水が、前記取水口に流れるか、あるいは、前記排水口に流れるかを切り替える流路切替装置と、を備えている。
[0018]
 これにより、充分に硬度成分を吸着することができる水処理装置を提供できる。
[0019]
 以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本開示が限定されるものではない。
[0020]
 (実施の形態1)
 以下、本実施の形態1に係るおよびそれを備えたイオン交換膜積層体、ならびに、水処理装置の一例について、図1~図4を参照しながら説明する。
[0021]
 図1は、本実施の形態1に係る電気化学セルの概略構成を示す正面方向の断面図である。図2は、図1に示す電気化学セルのA-A断面図である。なお、図1及び図2においては、電気化学セルの上下方向、左右方向、及び前後方向を図における上下方向、左右方向、及び前後方向として表している。
[0022]
 図1及び図2に示すように、本実施の形態1に係る電気化学セル10は、陽極11、陰極12、イオン交換膜積層体15、第1整流部材24、第2整流部材23、ケーシング20、第1外板26、及び第2外板27を備えている。陽極11及び陰極12は、ケーシング20を前後方向から挟むように配置されている。
[0023]
 陽極11及び陰極12は、チタンで構成されていて、白金及び酸化イリジウムで表面がコーティングされている。陽極11及び陰極12は、後述するケーシング20の貫通孔28を覆うように形成されている。
[0024]
 なお、本実施の形態1に係る電気化学セル10では、陽極11の端子11Aと陰極12の端子12Aを左側に配置し、端子11Aを上部に配置し、端子12Aを下部に配置する形態を採用したが、これに限定されない。例えば、端子11A及び端子12Aが、それぞれ、上部に位置するように、左右に配置する形態を採用してもよい。
[0025]
 また、第1外板26及び第2外板27は、陽極11、第2シール部材19、ケーシング20、及び陰極12を挟むように配置されていて、これらの部材は、例えば、ネジ等により固定されている。
[0026]
 ケーシング20は、板状に形成されていて、その主面には、貫通孔(内部空間)28が設けられている。ケーシング20の内周面(貫通孔28の開口)は、本実施の形態1においては、四角形状に形成されている。また、ケーシング20の内周面には、第1シール部材29が配設されている。第1シール部材29は、環状に形成されていて、例えば、オレフィン系のフォーム材等で構成されている。
[0027]
 図1において、第1シール部材29はイオン交換膜積層体15の上方と下方にも配置されているが、イオン交換膜積層体15の側方のみの配置でもよい。さらに、ケーシング20の周縁部には、貫通孔28を囲むように、第2シール部材19が配置されている。なお、第2シール部材19は、例えば、シリコン系のゴム等で構成されている。
[0028]
 また、ケーシング20の下端面には、上下方向に延び、ケーシング20の主面の貫通孔28と連通する貫通孔が形成されていて、該貫通孔が流入口22を構成する。流入口22には、適宜な配管が接続されていて、当該配管が、第3水流路18を構成する。第3水流路18には、処理用水又は再生用水が供給される。
[0029]
 同様に、ケーシング20の上端面には、上下方向に延び、ケーシング20の主面の貫通孔28と連通する貫通孔が形成されていて、該貫通孔が流出口21を構成する。流出口21には、適宜な配管が接続されていて、当該配管が、第1水流路17を構成する。第1水流路17には、硬度成分等が除去された水、又はイオン交換樹脂粒子を再生した後の水が排出される。
[0030]
 なお、電気化学セル10により、硬度成分等が除去される水を処理用水といい、イオン交換膜積層体15等のイオン交換樹脂粒子を再生するために使用する水を再生用水という。
[0031]
 ケーシング20の貫通孔28には、下から順に、第1整流部材24、イオン交換膜積層体15、及び第2整流部材23が配設されていて、これらの部材は、第1シール部材29により、貫通孔28と嵌合するように形成されている。
[0032]
 第1整流部材24及び第2整流部材23は、本実施の形態1においては、板状に形成されている。また、第1整流部材24又は第2整流部材23は、イオン交換膜積層体15を通流する水に電流が流れ、他の部分には、電流が漏れないようにする観点から、絶縁性の材料で構成されている方がよい。
[0033]
 さらに、第1整流部材24又は第2整流部材23は、第3水流路18から供給される水が、電気化学セル10内を均一に通流させる観点から、イオン交換膜積層体15よりも通水抵抗が大きくてもよい。第1整流部材24又は第2整流部材23としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等で構成されていてもよく、多孔質のシートで形成されていてもよい。また、親水性処理がなされた材料を用いてもよい。
[0034]
 イオン交換膜積層体15は、2以上のイオン交換膜13と網状のスペーサー部材14を備えていて、イオン交換膜13の間にスペーサー部材14が配置されている。ここで、図2及び図3を参照しながら、イオン交換膜13について説明する。
[0035]
 図3は、本実施の形態1に係る電気化学セルのイオン交換膜の一例を示す模式図である。
[0036]
 図3に示すように、イオン交換膜13は、陽イオン交換組成体1と、陰イオン交換組成体2と、を備えている。陽イオン交換組成体1、及び陰イオン交換組成体2は、シート状に形成されている。
[0037]
 陽イオン交換組成体1と第1陰イオン交換組成体2は、互いにその主面が対向(接触)するように積層されている。なお、陽イオン交換組成体1と陰イオン交換組成体2の接触している主面は、接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。
[0038]
 陽イオン交換組成体1は、陽イオン交換樹脂粒子4とバインダー樹脂5を有していて、陰イオン交換組成体2は、陰イオン交換樹脂粒子6とバインダー樹脂7を有している。
[0039]
 陽イオン交換樹脂粒子4としては、例えば、交換基-SO Hを有する強酸性陽イオン交換樹脂粒子を用いてもよく、交換基-RCOOHを有する弱酸性陽イオン交換樹脂粒子を用いてもよい。また、陰イオン交換樹脂粒子6は、交換基-NR OH有する強塩基性陰イオン交換樹脂粒子を用いてもよく、-NR を有する弱塩基性陰イオン交換樹脂粒子を用いてもよい。
[0040]
 陽イオン交換樹脂粒子4と陰イオン交換樹脂粒子6の組み合わせとしては、強酸性陽イオン交換樹脂粒子と強塩基性陰イオン交換樹脂粒子であってもよい。この場合には、硬度成分の吸着速度が向上し、より軟水化することができる。
[0041]
 また、陽イオン交換樹脂粒子4と陰イオン交換樹脂粒子6の組み合わせとしては、弱酸性陽イオン交換樹脂粒子と弱塩基性陰イオン交換樹脂粒子であってもよい。この場合には、イオン交換容量を増加することができ、軟水化処理量を増加することができる。
[0042]
 また、陽イオン交換樹脂粒子4と陰イオン交換樹脂粒子6の組み合わせとしては、強酸性陽イオン交換樹脂粒子と弱塩基性陰イオン交換樹脂粒子であってもよく、弱酸性陽イオン交換樹脂粒子と強塩基性陰イオン交換樹脂粒子であってもよい。
[0043]
 弱酸性陽イオン交換樹脂粒子と強塩基性陰イオン交換樹脂粒子の組み合わせの場合には、イオン交換容量を増加できて軟水化処理量を増加する。弱酸性陽イオン交換樹脂粒子と強塩基性陰イオン交換樹脂粒子の組み合わせでは膜の抵抗が低くなり、強塩基では水解離の触媒作用を有すると考えられる。
[0044]
 そのため、イオン交換膜13の界面13Cでの電位差が大きくなり、水解離を促進することができる。このため、イオン交換膜13の再生を充分に実行することができる。
[0045]
 また、陽イオン交換樹脂粒子4及び陰イオン交換樹脂粒子6の平均粒子径は、空孔率を小さくする観点から、1~150μmであってもよい。
[0046]
 バインダー樹脂5およびバインダー樹脂7は熱可塑性樹脂で構成されていてもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体等を使用することができる。
[0047]
 なお、バインダー樹脂5を構成する熱可塑性樹脂と、バインダー樹脂7を構成する熱可塑性樹脂は、同じ種類の熱可塑性樹脂を使用してもよく、異なる種類の熱可塑性樹脂を使用してもよい。
[0048]
 ここで、本開示の実施の形態1におけるイオン交換膜13は、陽イオン交換樹脂粒子4と熱可塑性のバインダー樹脂5とを有する陽イオン交換組成体1、および、陰イオン交換樹脂粒子6とバインダー樹脂7とを有する陰イオン交換組成体2のうち、少なくともどちらか一方は、熱不溶性の添加剤8を有する。
[0049]
 通常、イオン交換樹脂粒子を熱可塑性バインダー樹脂等で製膜する場合には、溶融したバインダー樹脂とイオン交換樹脂粒子を混練して、イオン交換樹脂粒子をバインダー樹脂に埋設させて固定し膜にする。
[0050]
 しかし、イオン交換樹脂粒子をバインダー樹脂で確実に固定するには、バインダー樹脂比率を高める必要があり、相対的にイオン交換樹脂粒子の含有率が低くなり、イオン交換性能が低くなるという傾向があった。また、バインダー樹脂の量が増えると、ロール装置等で混練して製膜する際に、ロールから膜が離れにくくなり、製膜しにくい傾向があった。
[0051]
 本開示の実施の形態1では、PTFEやPVDF等のフッ素系樹脂からなる熱不溶性の添加剤8を加えることにより、上記不具合を解消することができる。すなわち、PTFEやPVDF等のフッ素系樹脂からなる熱不溶性の添加剤8はロール等でせん段力を与えるとバインダー樹脂中に繊維状(くもの巣状)に広がり、繊維強化プラスチックの如く膜を強固に固定する。したがって、バインダー樹脂比率を少なくしても、イオン交換樹脂粒子の脱落の少ない強固な膜を形成することができる。
[0052]
 通常、イオン交換樹脂とバインダー樹脂のみで膜を形成する場合には、イオン交換樹脂が略50部に対し、バインダー樹脂が略50部は必要であった。本実施の形態によれば、イオン交換樹脂が略70部に対して、バインダー樹脂が略30部、添加剤が略3部~8部で、強固な膜を形成することが可能となり、イオン交換性能を向上させることができる(なお、部は単位質量を示す)。
[0053]
 さらに、PTFEやPVDFから成る添加剤は、本来、離形剤として用いられる材料であり、ロール等でイオン交換樹脂粒子とバインダー樹脂とに添加剤を加えることにより、ロール離れが良好となり、製膜性も格段に向上する。PTFEの中でも、例えば、アクリル変性されたものが最適である。
[0054]
 具体的には、陽イオン交換組成体1には、空孔率を小さくする観点から、バインダー樹脂5が10~70重量%含有されていてもよい。望ましくは20~50%がよい。同様に、陰イオン交換組成体2には、空孔率を小さくする観点から、バインダー樹脂7が10~70重量%で含有されていてもよい。望ましくは20~50%がよい。
[0055]
 また、陽イオン交換組成体1、および、陰イオン交換組成体2は、それぞれ、導電性材料を有していてもよい。導電性材料としては、例えば、カーボンからなる粒子が挙げられる。カーボン材料としては、グラファイト、カーボンブラック、活性炭等が挙げられ、これらの材料を単独で使用してもよく、また、複数の材料を組み合わせて使用してもよい。また、上記カーボン材料の原料形態としては、粉末状、繊維状、粒状、燐片状等のいずれの形状でもよい。導電性材料を含有することにより、イオン交換膜13の界面13Cでの電位差が大きくなり、水解離を促進することができる。
[0056]
 次に、スペーサー部材14について説明する。スペーサー部材14は、隣接するイオン交換膜13の間で、電流が流れることを防止する観点から、絶縁性を有していてよい。また、スペーサー部材14は、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ポリエステルといった材料を用いてもよい。
[0057]
 そして、図2に示すように、イオン交換膜積層体15においては、イオン交換膜13の陽イオン交換面13Aが陰極12と対向し、陰イオン交換面13Bが陽極11と対向するように配置されていて、複数のイオン交換膜13が鉛直方向に対して垂直な方向に積層されている。また、隣接するイオン交換膜13の層間には、スペーサー部材14が配置されている。
[0058]
 また、陽極11とイオン交換膜積層体15との間には、セパレーター31が配置されていて、陰極12とイオン交換膜積層体15の間には、セパレーター32が配置されている。セパレーター31及びセパレーター32は、絶縁性を有する材料で構成されている。絶縁性を有する材料としては、例えば、ポリオレフィンが挙げられる。
[0059]
 また、セパレーター31及びセパレーター32は、表裏面間で連通構造を有している。具体的には、セパレーター31及びセパレーター32は、不織布で形成されていてもよい。
[0060]
 次に、図1~図3を参照しながら、本実施の形態1に係る電気化学セル10の動作及び作用効果について説明する。
[0061]
 軟水化処理(水処理)時は、流入口22から流出口21に向けて、処理用水を通流させる。通常、陽イオン交換組成体に対向する電極を陽極、陰イオン交換組成体に対向する電極を陰極として電圧を印加する。ただし、原水の硬度が比較的低い地域で使用する場合は電極には通電せずに処理水を通流しても相当程度硬度成分を除去できる。
[0062]
 一方、イオン交換樹脂粒子の再生時(再生処理時)には、流入口22から流出口21に向けて、再生用水を通流させると共に、軟水化処理時とは反対の極性の電圧を印加するため、陽イオン交換組成体に対向する電極を陰極、陰イオン交換組成体に対向する電極を陽極として電圧を印加する。
[0063]
 流入口22から第1整流部材24に供給された水は、第1整流部材24内を通流する間に、左右方向に拡がって、均一にイオン交換膜積層体15に供給される。
[0064]
 軟水化処理時には、マグネシウム成分等の硬度成分(陽イオン)は、イオン交換膜13内に存在する陽イオン交換樹脂粒子4と接触して、吸着除去される。また、処理用水中の塩化物イオン等の陰イオンは、陰イオン交換樹脂粒子6により吸着除去される。
[0065]
 一方、再生処理時には、イオン交換膜13に電位差が発生し、イオン交換膜13の陽イオン交換組成体1の陽イオン交換樹脂粒子4と陰イオン交換組成体2の陰イオン交換樹脂粒子6とで形成される界面13Cでは、水が解離して、陰極12側の面、すなわち陽イオン交換組成体1側に水素イオンが生成され、陽極11側の面、すなわち陰イオン交換組成体2側に水酸化物イオンが生成される。
[0066]
 そして、陽イオン交換組成体1内に吸着されたカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の硬度成分(陽イオン)が、生成された水素イオンとイオン交換することで脱離し、陽イオン交換組成体1内の陽イオン交換樹脂粒子4が再生される。
[0067]
 また、陰イオン交換組成体2内に吸着された塩化物イオン等の陰イオンが、生成された水酸化物イオンとイオン交換することで脱離し、陰イオン交換組成体2内の陰イオン交換樹脂粒子6が再生される。
[0068]
 なお、陽極11と陰極12間に印加される電圧は、直流電圧であり、本実施の形態では軟水化処理時は0~300V、再生時は10V~500Vの電圧を印加している。印加電圧については、ケーシング20内に配置したイオン交換膜13の枚数及び処理用水の硬度等に応じて適宜に設定されればよい。
[0069]
 そして、イオン交換膜積層体15を通流した水は、第2整流部材23に供給される。第2整流部材23に供給された水は、第2整流部材23を通流する間に、流出口21に向かって収束し、流出口21から電気化学セル10外に排出される。
[0070]
 また、水の再生処理時に、電極で発生するガス(例えば、塩素、酸素、水素)は、イオン交換膜積層体15内へ幾分浸入し水に押し流されて、上方向に移動し、流出口21から電気化学セル10外に排出される。
[0071]
 ここで、第1整流部材24及び第2整流部材23は連通構造を成している為、ガスを排出し易い。また、電極と対向するイオン交換膜積層体以外の部位の絶縁を保てるので、イオン交換膜積層体以外の部位間で電流のショートパス発生を防止することができる。
[0072]
 また、本実施の形態1に係る電気化学セル10では、ケーシング20の内周面と、第2整流部材23、イオン交換膜積層体15、及び第1整流部材24と、の間に、第1シール部材29を配設することにより、これらの間で隙間が形成されることを抑制できる。
[0073]
 このため、流入口22からケーシング20内に供給された水が、イオン交換膜積層体15内を通過せずに、当該隙間を通過して、流出口21から排出することを抑制することができ、水処理及び再生処理を充分に実行することができる。
[0074]
 また、本実施の形態1に係る電気化学セル10では、陽極11とイオン交換膜積層体15との間にセパレーター31が配置され、陰極12とイオン交換膜積層体15との間にセパレーター32が配置されている。
[0075]
 これにより、陽極11と陰極12の間に電圧を印加したときに発生する熱がイオン交換膜積層体15に伝達されることが抑制される。このため、イオン交換膜積層体15の熱変性を抑制することができ、水処理及び再生処理を充分に実行することができる。
[0076]
 また、本実施の形態1に係る電気化学セル10では、第1整流部材24及び第2整流部材23を絶縁性材料で構成すると、これらの部材には、電流が流れないので、イオン交換膜積層体15にのみ電荷をかけることができる。このため、電流効率を向上させることができる。
[0077]
 さらに、本実施の形態1に係る電気化学セル10では、隣接するイオン交換膜13の層間に網状のスペーサー部材14を配置することにより、スペーサー部材14の空間(図示せず)に位置する水が、上方向に移動するときに、第2部材(図示せず)と接触する。第2部材は、水を透過させないため、第2部材と接触した水は、前後方向に移動しやすくなる。
[0078]
 このため、当該空間内の水が、イオン交換膜13内部に浸透しやすくなり、効率的にイオン交換膜13内のイオン交換樹脂粒子と接触することができる。したがって、本実施の形態1に係る電気化学セル10では、水処理を効率よく実行することができる。
[0079]
 図4は、本実施の形態1に係る水処理装置の概略構成を示す模式図である。
[0080]
 図4に示すように、本実施の形態1に係る水処理装置50は、電気化学セル10、電源39、第1水流路17、第2水流路33、第3水流路18、第1切替弁35、スケール抑制剤38、入力装置42、及び制御装置40を備える。
[0081]
 上述したように、電気化学セル10の流出口21には、第1水流路17の上流端が接続されていて、第1水流路17の下流端は取水口を構成している。また、第1水流路17の途中には、第2水流路33の上流端が接続されていて、第2水流路33の下流端は、排水口を構成している。
[0082]
 さらに、第1水流路17と第2水流路33の接続点には、流路切替装置として、第1切替弁35が設けられている。第1切替弁35は、第1水流路17を通流する水を、取水口に供給するか、第2水流路33を通流して、排水口に供給するかを切り替えるように構成されている。第1切替弁35としては、例えば、三方弁等を使用することができる。
[0083]
 なお、本実施の形態1に係る水処理装置50では、流路切替装置として、第1切替弁35を用いる形態を採用したがこれに限定されない。例えば、第2水流路33と、第2水流路33の接続点よりも下流側の第1水流路17と、のそれぞれに二方弁を設け、制御装置40がそれぞれの二方弁の開閉を切り替えることにより、流路切替装置として機能させる形態を採用してもよい。
[0084]
 また、電気化学セル10の流入口22には、第3水流路18が接続されている。第3水流路18の途中には、第4水流路34が接続されていて、第3水流路18の第4水流路34の上流端が接続されている部分には、第2切替弁36が設けられている。また、第3水流路18の第4水流路34の下流端が接続されている部分には、第3切替弁37が設けられている。
[0085]
 第2切替弁36及び第3切替弁37は、第3水流路18を通流する水が、第4水流路34を通流するか否かを切り替えるように構成されている。第2切替弁36及び第3切替弁37としては、例えば、三方弁等を使用することができる。
[0086]
 また、第3水流路18の途中には、濾過フィルター41が設けられていて、第4水流路34の途中には、スケール抑制剤38が設けられている。スケール抑制剤38は、スケールの析出を抑制し、又は析出したスケールを除去することができれば、どのような形態であってもよい。
[0087]
 スケール抑制剤38としては、例えば、ポリリン酢塩を用いれば、スケール抑制剤38に通水される際に、ポリリン酢塩が除溶し、電気化学セル10内の膜表面、第3切替弁37、又は第1水流路17にCaCO が析出することを抑制することができる。
[0088]
 また、スケール抑制剤38としては、クエン酸を用いれば、電気化学セル10内、第3切替弁37、又は第1水流路17にスケールが析出しても、スケールを除去し、スケールの固着を抑制することができる。
[0089]
 濾過フィルター41としては、例えば、孔径が0.3~10μm程度のマイクロフィルターを用いることで、電気化学セル10内に異物が侵入することを防止することができる。
[0090]
 この濾過フィルター41は、鉄塩等を含む赤水が濾過フィルター41の下流へ侵入することも抑制できるので、電気化学セル10内の膜表面の鉄塩等の析出を抑制でき、膜自体の耐久性を向上することができる。
[0091]
 なお、濾過フィルター41は、本実施の形態1においては、第2切替弁36よりも上流側に配置する形態を採用したが、これに限定されない。例えば、濾過フィルター41は、第3水流路18における第2切替弁36と第3切替弁37の間に配置してもよく、第3水流路18の第3切替弁37よりも下流側に配置してもよい。
[0092]
 電源39は、電気化学セル10に電力を供給することができれば、どのような形態であってもよく、例えば、商用電源等の交流電源から供給される交流電圧をAC/DCコンバータで直流電圧に変更することで構成してもよく、二次電池等の直流電源で構成されていてもよい。
[0093]
 入力装置42は、電圧値、電流値、処理時間の少なくともいずれかを設定するように構成されている。入力装置42は、軟水化処理/再生処理のそれぞれの処理時間を直接入力するように構成されていてもよく、また、処理する水のイオン濃度を入力するように構成されていてもよい。入力装置42としては、タッチパネル、キーボード、リモコン等で構成されていてもよい。
[0094]
 制御装置40は、第1切替弁35等の切替弁と、電源39と、を制御するように構成されている。制御装置40は、マイクロプロセッサ、CPU等に例示される演算処理部40Aと、各制御動作を実行するためのプログラムを格納した、メモリ等から構成される記憶部40Bと、カレンダー機能を有する時計部40Cと、を備えている。
[0095]
 そして、制御装置40は、演算処理部40Aが、記憶部40Bに格納された所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより、水処理装置50に関する各種の制御を行う。
[0096]
 演算処理部40Aは、電源39の電圧値及び/又は電流値を決定する電圧電流変更部401と、軟水化処理の処理時間と再生処理の処理時間との長さを決定する処理時間変更部402と、を有する。なお、電圧電流変更部401及び処理時間変更部402は、記憶部40Bに格納された所定の制御プログラムを実行することにより実現される。
[0097]
 電圧電流変更部401は、水処理時及び/又は再生処理時に、電源39から電極に印加する電圧を変更するように構成されている。これにより、硬度成分の除去量を調整することができ、処理用水中の硬度レベルを適宜調整することができる。また、再生処理時に、イオン交換組成体のイオン交換基の再生量を適宜調整することができる。
[0098]
 ところで、単位時間当たりのイオン交換量の多少は、電極に印加する電圧値及び/又は電流値により変動することが知られている。一方、電気化学セル10が軟水化処理可能な水の総量は、処理する水のイオン濃度によって変動する。
[0099]
 したがって、処理時間変更部402は、処理する水のイオン濃度に応じて、軟水化処理と再生処理との処理時間を変更できるように構成されている。これにより、使用環境に応じて柔軟な水処理が可能な、水処理装置50を実現することができる。
[0100]
 具体的には、処理時間変更部402は、処理水のイオン濃度が大きいときの方が、イオン濃度が小さいときよりも、軟水化処理の処理時間が短くなるように処理時間を変更するように構成されている。また、処理時間変更部402は、処理水のイオン濃度が大きいときの方が、イオン濃度が小さいときよりも、再生処理の処理時間が長くなるように処理時間を変更するように構成されている。
[0101]
 より好ましくは、処理時間変更部は、イオン濃度が相対的に大きいときの方が、軟水化処理の処理時間T1と再生処理の処理時間T2との比(T1/T2)が大きくなるように、処理時間を変更するように構成されている。
[0102]
 なお、本実施の形態1に係る水処理装置50は、電気化学セル10よりも上流側の第3水流路18にイオン濃度、PH値等の処理用水中のイオン含有量を測定するためのセンサを設け、このセンサの測定値により、処理時間変更部402が自動的に処理時間を変更するように構成されていてもよい。
[0103]
 なお、制御装置40は、単独の制御装置で構成される形態だけでなく、複数の制御装置が協働して、水処理装置50の制御を実行する制御装置群で構成される形態であっても構わない。また、制御装置40は、マイクロコントロールで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。
[0104]
 このように構成された、本実施の形態1に係る水処理装置では、電気化学セル10と同様の作用効果を奏する。
[0105]
 また、本実施の形態1に係る水処理装置では、スケール抑制剤38が、電気化学セル10の上流側に配置されているので、再生処理時に生成されるCaCO が、電気化学セル10内のイオン交換膜13等、第1水流路17内、又は第1切替弁35等に析出することを抑制することができる。
[0106]
 また、本実施の形態1に係る水処理装置では、制御装置40が、再生処理の後に、軟水化処理を実行するときに、電極への電力供給を所定時間(例えば、1~10秒)停止した後、電極の極性を切り替えるように電源39から電極に電力を供給して、軟水処理を実行するように構成されている。なお、電源39から電極への電力供給を停止している間も電気化学セル10へ水は供給されている。
[0107]
 これにより、再生処理時に脱離されたカルシウムイオン等が電気化学セル10内から第2水流路33を通流して、排水口から排出することができる。したがって、水の再生処理後に再度水を軟水化処理する際には、再生処理時に脱離した硬水の影響を受けにくくなり、取水口から良好な軟水を採水することができる。
[0108]
 さらに、本実施の形態1に係る水処理装置では、制御装置40が、再生処理を実行するときに、電極へ供給する電力を徐々に(段階的に)上昇させるように電源を制御している。これにより、再生処理開始時に、Caイオンが大量に脱離することが抑制され、過電流が発生することが抑制される。
[0109]
 また、本実施の形態1に係る水処理装置50は、第3水流路18に流量調整弁をさらに備え、制御装置40が再生処理時に、水処理時に比して、電気化学セル10に供給される水の流量が減少するように流量調整弁を制御してもよい。これにより、再生処理時に排出する水量を減少させることができ、効率よく再生処理を実行することができる。
[0110]
 さらに、本実施の形態1に係る水処理装置50は、第2水流路33に流量調整器を設ける形態を採用してもよい。流量調整器は、第1水流路17を構成する配管よりも第2水流路33を構成する配管の断面積を小さくすることで構成してもよい。また、流量調整器は、流量調整弁で構成されていてもよい。
[0111]
 この場合、制御装置40が再生処理時に、水処理時に比して、電気化学セル10に供給される水の流量が減少するように流量調整弁を制御してもよい。これにより、再生処理時に排出する水量を減少させることができ、効率よく再生処理を実行することができる。
[0112]
 以上より、本開示に係るイオン交換膜13およびそれを備えたイオン交換膜積層体15、ならびに、水処理装置50によれば、充分に硬度成分を吸着することができると共に、イオン交換組成体の再生を効率よく実行することができる。
[0113]
 上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の形態を当業者に教示する目的で提供されたものである。
[0114]
 本開示の要旨を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の開示を形成できる。

産業上の利用可能性

[0115]
 本開示に係るイオン交換膜およびそれを備えたイオン交換膜積層体、ならびに、水処理装置は、充分に硬度成分を吸着することができると共に、イオン交換組成体の再生を効率よく実行することができるので、水処理の分野で有用である。

符号の説明

[0116]
 1 陽イオン交換組成体
 2 陰イオン交換組成体
 4 陽イオン交換樹脂粒子
 5 バインダー樹脂(陽イオン交換組成体側)
 6 陰イオン交換樹脂粒子
 7 バインダー樹脂(陰イオン交換組成体側)
 8 添加剤
 10 電気化学セル
 11 陽極
 12 陰極
 13 イオン交換膜
 14 スペーサー部材
 15 イオン交換膜積層体
 17 第1水流路
 21 流出口
 22 流入口
 35 第1切替弁
 39 電源
 40 制御装置
 50 水処理装置

請求の範囲

[請求項1]
 陽イオン交換樹脂粒子とバインダー樹脂とから成る陽イオン交換組成体と、
 陰イオン交換樹脂粒子とバインダー樹脂とから成る陰イオン交換組成体と、を備え、
 前記陽イオン交換組成体と前記陰イオン交換組成体とのうち、
 少なくともどちらか一方には、
 熱不溶性の添加剤が含有されている、イオン交換膜。
[請求項2]
 前記熱不溶性の添加剤は、フッ素系樹脂からなる、請求項1に記載のイオン交換膜。
[請求項3]
 請求項1または2に記載のイオン交換膜が対向して配置されており、隣接する前記イオン交換膜の間にスペーサー部材が配置されている、イオン交換膜積層体。
[請求項4]
 陽極及び陰極からなる電極と、
 請求項1または2に記載のイオン交換膜を有する電気化学セルと、
 前記電極に電力を供給する電源と、
 前記電気化学セルに接続され、取水口に連通する第1水流路と、
 前記第1水流路から分岐され、排水口に連通する第2水流路と、
 前記電気化学セルからの水が、前記取水口に流れるか、あるいは、前記排水口に流れるかを切り替える流路切替装置と、
 を備えている水処理装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]