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1. (WO2018124246) AQUEOUS PIGMENT DISPERSION
Document

明 細 書

発明の名称 顔料水分散体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

発明の概要

0004  

発明を実施するための形態

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051  

実施例

0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 顔料水分散体

技術分野

[0001]
 本発明は、顔料水分散体、水系インク、及び顔料水分散体の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 水系の塗料やインキでは、耐アルカリ性、耐溶剤性等の物性に劣るという欠点を改善するものとして、例えば、イオン性基を有する架橋樹脂粒子で顔料を分散させることによって耐溶剤性を向上させ、貯蔵中の顔料の凝集を抑制した水性塗料組成物や、末端にイソシアネート基を有するウレタン系ポリマーの末端基を反応させて架橋させた水性架橋樹脂等が知られている。
 これらはいずれも架橋樹脂を顔料の分散剤として用いたものであるが、かかる架橋樹脂による顔料分散では、架橋樹脂自身の分子鎖が長く、顔料に吸着しにくいため、顔料粒子を微細化することが困難であり、経時安定性に問題がある。
 この問題を改善すべく、第三級有機アミンを用いた顔料分散体が提案されている。
[0003]
 例えば、国際公開第1999/52966号(特許文献1)には、耐アルカリ性、耐溶剤性、経時安定性等の改善を目的として、カルボキシ基含有熱可塑性樹脂を有機アミンで中和したもので顔料を分散させた後、架橋剤で架橋した水性顔料分散液が開示されている。
 特表2016-505651号(特許文献2)には、自己架橋型インクの保管寿命増大を目的として、顔料と、カルボキシ基を含むポリマーと、カルボキシ基との架橋反応を経ることができる架橋剤と、トリエタノールアミン等の三級アミンを含む阻害剤と、液体担体とを含む分散液が開示されている。

発明の概要

[0004]
 本発明は、[1]顔料(A)、カルボキシ基を有する架橋ポリマー(B)、及び酸解離定数(pKa)が8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)を含有する顔料水分散体、[2]該顔料水分散体と有機溶媒と界面活性剤とを含有する水系インク、及び[3]顔料水分散体の製造方法に関する。

発明を実施するための形態

[0005]
 特許文献1及び2の技術では顔料分散体の分散安定性の改善が不十分であり、インクジェット記録用インクに用いると、インクの吐出安定性が悪化する等の問題がある。
 本発明は、分散安定性に優れ、インクジェット記録用インクとして用いてもインク吐出性に優れる顔料水分散体に関する。
[0006]
 本発明者は、酸解離定数(pKa)が8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
 すなわち、本発明は、次の[1]~[3]に関する。
[1]顔料(A)、カルボキシ基を有する架橋ポリマー(B)、及び酸解離定数(pKa)が8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)を含有する顔料水分散体。
[2]上記[1]に記載の顔料水分散体と、有機溶媒と、界面活性剤とを含有する、水系インク。
[3]下記工程(I)~(III)を有する顔料水分散体の製造方法。
 工程(I):顔料(A)、カルボキシ基を有する架橋性ポリマー、酸解離定数(pKa)8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)、有機溶媒、及び水の混合物を分散処理し、顔料(A)に架橋性ポリマーが付着した顔料を含有するポリマー粒子の分散体を得る工程
 工程(II):工程(I)で得られた分散体から有機溶媒を除去し、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程
 工程(III):工程(II)で得られた顔料を含有するポリマー粒子を構成する架橋性ポリマーを架橋剤で架橋させて、顔料を含有する架橋ポリマー(B)粒子を含有する顔料水分散体を得る工程
[0007]
 本発明によれば、分散安定性に優れ、インクジェット記録用インクとして用いてもインク吐出性に優れる顔料水分散体を提供することができる。
[0008]
[顔料水分散体]
 本発明の顔料水分散体は、顔料(A)、カルボキシ基を有する架橋性ポリマー(B)、及び酸解離定数(pKa)が8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)を含有する。
[0009]
 本発明の顔料水分散体は、分散安定性に優れ、インクジェット記録用インクとして用いてもインク吐出性に優れる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
 本発明の顔料水分散体においては、カルボキシ基を有する架橋性ポリマーの中和剤として、酸解離定数(pKa)が8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)を用いるが、エタノールアミン(C)を用いると、架橋性ポリマーの解離度が向上し、顔料(A)の分散安定性が向上すると考えられる。
 また、水系インクが乾燥していくと、顔料(A)に吸着したポリマーの電荷反発が消失し、通常インクは増粘するが、前記エタノールアミン(C)を用いると、架橋性ポリマーが架橋して形成される架橋ポリマー(B)の電荷反発が維持され、インクが乾燥していってもインクが増粘し難いため、インクジェット記録装置からインクを吐出しても、吐出性に優れると考えられる。
[0010]
<顔料(A)>
 本発明に用いられる顔料(A)は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
 無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
 有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
 好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
 顔料としては、いわゆる自己分散型顔料を用いることもできる。自己分散型顔料とは、アニオン性親水基又はカチオン性親水基の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料を意味する。ここで、アニオン性親水基としては、特にカルボキシ基(-COOM 1)、スルホン酸基(-SO 31)が好ましく(式中、M 1は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムである)、カチオン性親水基としては、第4級アンモニウム基が好ましい。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
[0011]
<カルボキシ基を有する架橋性ポリマー、及び架橋ポリマー(B)>
 カルボキシ基を有する架橋性ポリマー(以下、単に「架橋性ポリマー」ともいう)は、架橋剤で架橋して形成される架橋ポリマー(B)の前段階の未架橋のポリマーであるか、又は、架橋剤を用いないで自己架橋して形成される架橋ポリマー(B)の前段階の未架橋のポリマーである。架橋性ポリマーとしては、架橋剤で架橋して架橋ポリマー(B)を形成するポリマーが好ましい。
 架橋性ポリマーの酸価は、分散安定性の観点から、好ましくは150mgKOH/g以上、より好ましくは170mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは250mgKOH/g以下、より好ましくは230mgKOH/g以下である。
 架橋性ポリマーの酸価(mgKOH/g)は、下記計算式(1)により算出される。
 酸価(mgKOH/g)=[ポリマー1gの塩生成基のモル数×水酸化カリウムの分子量(56.1)×1000]  (1)
[0012]
 本発明に用いる架橋性ポリマーは、分散安定性及びインクの吐出性を向上させる観点から、好ましくはイオン性モノマー(a)(以下、「(a)成分」ともいう)由来の構成単位、及び疎水性モノマー(b)(以下、「(b)成分」ともいう)由来の構成単位を有するビニル系ポリマーであり、より好ましくは、更にノニオン性モノマー(c)(以下、「(c)成分」ともいう)由来の構成単位を有するビニル系ポリマーである。このビニル系ポリマーは、(a)成分と、(b)成分と、さらに必要に応じて(c)成分を含むモノマー混合物(以下、「モノマー混合物」ともいう)を共重合させて得ることができる。
 架橋性ポリマーの構成単位は、架橋ポリマー(B)の構成単位と同じとなる。したがって、以下に説明する架橋性ポリマーのモノマー成分は、架橋ポリマー(B)のモノマー成分と読み替えることができる。
[0013]
〔イオン性モノマー(a)〕
 イオン性モノマー(a)は、顔料水分散体の分散安定性及びインクの保存安定性を向上させる観点から、架橋性ポリマーのモノマー成分として用いられる。
 イオン性モノマー(a)は、酸性、中性及びアルカリ性のいずれかの条件でイオンとなりうる基(以下、「イオン性基」ともいう)を有するモノマーであり、好ましくはモノマー又はその塩のいずれかにおいて、25℃におけるイオン交換水100gに対する溶解量が1g以上、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上のモノマーである。
 イオン性モノマー(a)は、後述する架橋剤と反応しうる反応性基を有する。
 イオン性モノマー(a)としては、該反応性基を有するアニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが挙げられ、顔料水分散液の分散安定性及びインクの保存安定性を向上させる観点、吐出性を向上させる観点から、前記反応性基を有するアニオン性モノマーが好ましい。
 アニオン性モノマーとしては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。架橋性ポリマーはカルボキシ基を有するため、アニオン性モノマーは、少なくともカルボン酸モノマーを含む。
[0014]
 カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2-メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
 スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-スルホプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
 上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性及びインクの保存安定性を向上させる観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上がより好ましく、メタクリル酸が更に好ましい。
 すなわち、架橋性ポリマー及び架橋ポリマー(B)は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上由来の構成単位と疎水性モノマー(b)由来の構成単位を有するビニル系共重合体が好ましく、メタクリル酸由来の構成単位と疎水性モノマー(b)由来の構成単位を有するビニル系共重合体がより好ましい。
 なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート及びメタクリレートから選ばれる1種以上」を意味する。以下においても同様である。
[0015]
〔疎水性モノマー(b)〕
 疎水性モノマー(b)は、顔料水分散液の分散安定性及びインクの保存安定性を向上させる観点から、架橋性ポリマーのモノマー成分として用いられる。
 疎水性モノマー(b)は、25℃におけるイオン交換水100gに対する溶解量が10g未満のモノマーである。疎水性モノマー(b)の25℃におけるイオン交換水100gに対する溶解量は、顔料表面へのポリマーの吸着性の観点から、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。疎水性モノマー(b)としては、芳香族基含有モノマー、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 芳香族基含有モノマーとしては、炭素数6~22の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、スチレン系モノマーや芳香族基含有(メタ)アクリレート等がより好ましい。
 スチレン系モノマーとしてはスチレン及び2-メチルスチレンから選ばれる1種以上が好ましく、スチレンがより好ましい。
 また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとスチレン系モノマーを併用することも好ましい。
[0016]
 アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1~22、好ましくは炭素数6~18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 なお、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。
[0017]
 疎水性モノマー(b)として、顔料水分散体の分散安定性を向上させる観点から、マクロモノマーを用いることも好ましい。
 マクロモノマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500以上100,000以下の化合物であり、好ましくは数平均分子量1,000以上10,000以下の化合物である。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される値である。
 片末端に存在する重合性官能基は、好ましくはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、より好ましくはメタクリロイルオキシ基である。
 マクロモノマーは、好ましくは芳香族基含有モノマー系マクロマー及びシリコーン系マクロマーから選ばれる1種以上であり、より好ましくは芳香族基含有モノマー系マクロマーである。
 芳香族基含有モノマー系マクロモノマーを構成する芳香族基含有モノマーとしては、前記疎水性モノマー(b)で記載した芳香族基含有モノマーが挙げられ、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
 スチレン系マクロモノマーの具体例としては、AS-6(S)、AN-6(S)、HS-6(S)(以上、東亞合成株式会社製の商品名)等が挙げられる。
 シリコーン系マクロモノマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
[0018]
〔ノニオン性モノマー(c)〕
 ノニオン性モノマー(c)は、イオン性基を有さず、好ましくは25℃におけるイオン交換水100gに対する溶解量が10g以上のモノマーである。
 ノニオン性モノマー(c)は、好ましくは水酸基及びポリアルキレンオキシ基の少なくとも一つを有するモノマーであり、その具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(n=2~30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2~30)モノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(n=1~30)(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシ(エチレングリコール-プロピレングリコール共重合)(n=1~30、その中のエチレングリコール:n=1~29)(メタ)アクリレート等のアラルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、ポリプロピレングリコール(n=2~30)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2~30)モノ(メタ)アクリレートがより好ましい。
 商業的に入手しうるノニオン性モノマー(c)の具体例としては、新中村化学工業株式会社製のNKエステルM-20G、同40G、同90G、同230G等、日油株式会社製のブレンマーPE-90、同200、同350、PME-100、同200、同400等、PP-500、同800、同1000等、AP-150、同400、同550等、50PEP-300、50POEP-800B、43PAPE-600B等が挙げられる。
 上記(a)~(c)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0019]
(架橋性ポリマーの製造)
 架橋性ポリマーは、前記モノマー混合物を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により共重合させることにより製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
 溶液重合法で用いる溶媒に特に制限はないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、炭素数1~3の脂肪族アルコール、炭素数3~5のケトン類、エーテル類、エステル類等が挙げられる。これらの中では、脂肪族アルコール、ケトン類、又はこれらと水との混合溶媒が好ましく、メチルエチルケトン又はそれと水との混合溶媒が好ましい。
 重合の際には、公知の重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができる。
 また、重合モノマーの連鎖の様式に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれの重合様式でもよい。
[0020]
 好ましい重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より80℃以下である。重合時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、そして、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下である。また、重合雰囲気は、好ましくは窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気である。
 重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。
[0021]
(架橋性ポリマーの各成分の含有量)
 架橋性ポリマー製造時における、イオン性モノマー(a)、疎水性モノマー(b)、ノニオン性モノマー(c)のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)、すなわち架橋性ポリマー中における(a)~(c)成分に由来の構成単位の含有量は、顔料水分散液及びインクの分散安定性を向上させる観点、及びインクの吐出性を向上させる観点から、次のとおりである。
 (a)成分の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは23質量%以下、更に好ましくは21質量%以下である。
 (b)成分の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは48質量%以上であり、そして、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
 (c)成分の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは31質量%以下である。
 (a)成分に対する(b)成分の質量比〔(b)成分/(a)成分〕は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.5以上、より更に好ましくは2.0以上であり、そして、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下である。
[0022]
 架橋性ポリマーの数平均分子量は、分散安定性及び印字濃度の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは4,000以上、より更に好ましくは8,000以上、より更に好ましくは10,000以上であり、そして、好ましくは10万以下、より好ましくは5万以下、更に好ましくは3万以下、より更に好ましくは2万以下である。
 なお、数平均分子量の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
[0023]
 本発明で用いられる架橋性ポリマーは、水分散体中に含有されていればよいが、顔料(A)の分散剤として用いられることが好ましい。分散剤として用いる場合は、架橋性ポリマーのイオン性モノマー(a)由来のイオン性基を、酸解離定数(pKa)が8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)(中和剤)で中和した後、該架橋性ポリマーと顔料(A)を混合し、顔料を分散した後に、該架橋性ポリマーを架橋剤で架橋し、顔料を含有する架橋ポリマー(B)粒子とすることが好ましい。架橋剤は、顔料水分散体の製造で記載のものを用いることができる。架橋ポリマー(B)は、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物で架橋されていることが好ましい。
[0024]
<pKaが8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)>
 酸解離定数(pKa)が8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)(以下、「エタノールアミン(C)」ともいう)は、顔料分散体の安定性及び吐出性を向上させる観点から、架橋性ポリマーのカルボキシ基の中和剤として用いられる。
 エタノールアミン(C)の酸解離指数(pKa)は、顔料分散体の安定性及び吐出性を向上させる観点から、好ましくは8.72以上、より好ましくは8.8以上であり、そして、好ましくは9.2以下、より好ましくは9.0以下である。
 なお、エタノールアミン(C)の酸解離指数(pKa)は、実施例に記載の方法により測定される。
[0025]
 エタノールアミン(C)のアルキル基の炭素数は、顔料分散体の安定性及び吐出性を向上させる観点から、エタノールアミン(C)が有するアルキル基の合計の炭素数で、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、そして、顔料水分散体の保存安定性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは8以下、より更に好ましくは6以下である。
 また、エタノールアミン(C)は、少なくとも炭素数2以上のアルキル基を有することが好ましく、少なくとも炭素数3以上のアルキル基を有することがより好ましく、少なくとも炭素数4以上のアルキル基を有することが更に好ましい。
[0026]
 エタノールアミン(C)は、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンから選ばれる1種以上が好ましいが、顔料分散体の安定性及び吐出性を向上させる観点から、ジエタノールアミンがより好ましい。
 エタノールアミン(C)は、好ましくは炭素数4以上20以下のアルキル基を有する、モノエタノールアミン、及びジエタノールアミンから選ばれる1種以上が好ましい。
 エタノールアミン(C)の具体例としては、ブチルエタノールアミン(pKa:10.03)、t-ブチルエタノールアミン、オクチルエタノールアミン、デシルエタノールアミン、ドデシルエタノールアミン等のアルキルエタノールアミン、n-ブチルジエタノールアミン(pKa:8.86)、t-ブチルジエタノールアミン(pKa:8.74)、N-ヘキシルジエタノールアミン、N-オクチルジエタノールアミン、N-デシルジエタノールアミン、N-ヤシアルキルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン等のアルキルエタノールアミンが挙げられる。これらの中では、pKaが8.7以上、好ましくはpKaが8.8以上で炭素鎖4以上8以下のアルキル鎖を有するジエタノールアミンが好ましく、n-ブチルジエタノールアミンがより好ましい。
[0027]
<顔料水分散体の製造>
 本発明の顔料水分散体の製造方法に特に制限はないが、下記の工程(I)~(III)を有する方法によれば、本発明の顔料水分散体を効率的に製造することができる。
 工程(I):顔料(A)、カルボキシ基を有する架橋性ポリマー、酸解離定数(pKa)が8.7以上であり、炭素数3以上20以下のアルキル基を有するエタノールアミン(C)、有機溶媒、及び水の混合物を分散処理し、顔料(A)に架橋性ポリマーが付着した顔料を含有するポリマー粒子の分散体を得る工程
 工程(II):工程(I)で得られた分散体から有機溶媒を除去し、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程
 工程(III):工程(II)で得られた顔料を含有するポリマー粒子を構成する架橋性ポリマーを架橋剤で架橋させて、顔料を含有する架橋ポリマー(B)粒子を含有する顔料水分散体を得る工程
[0028]
<工程(I)>
 工程(I)は、顔料(A)、カルボキシ基を有する架橋性ポリマー、酸解離定数(pKa)が8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)、有機溶媒、及び水の混合物(以下、「混合物A」ともいう)を分散処理し、顔料(A)に架橋性ポリマーが付着した顔料を含有するポリマー粒子の分散体を得る工程である。
 工程(I)では、まず、架橋性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に顔料(A)、エタノールアミン(C)、水、及び必要に応じて界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。前記の有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、エタノールアミン(C)、水、顔料(A)の順に加えることが好ましい。
 中和剤として、エタノールアミン(C)以外の前記の金属水酸化物等の中和剤を併用することができる。
 有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられ、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
[0029]
 混合物A中の各成分の含有量は、下記のとおりである。
 顔料(A)の含有量は、顔料水分散体の印字濃度を高める観点から、顔料水分散体中で、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
 架橋性ポリマーの含有量は、顔料水分散体の安定性及び吐出性を向上させる観点から、好ましく2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
[0030]
 エタノールアミン(C)(中和剤)の含有量は、顔料水分散体の安定性及び吐出性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、そして、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
 架橋性ポリマーを中和する場合の中和度には特に制限はないが、最終的に得られる顔料水分散体の液性のpHを4.5~10とすることが好ましい。架橋性ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
 中和剤として水酸化ナトリウム等の金属水酸化物を併用することもできるが、エタノールアミン(C)を、中和剤中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上で用いることが好ましい。
 架橋性ポリマーのイオン性基(カルボキシ基)の中和度は、顔料水分散体及びインク中における分散安定性及び保存安定性を向上させる観点から、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、好ましくは300モル%以下、より好ましくは200モル%以下、更に好ましくは150モル%以下である。
 ここで中和度とは、中和剤のモル当量を架橋性ポリマーのイオン性基のモル量で除したものであり、計算上の数値で100モル%を超えることがありうる。
[0031]
 架橋性ポリマーの量に対する顔料(A)の量の質量比〔顔料(A)/架橋性ポリマー〕は、分散安定性の観点から、好ましくは50/50~90/10、好ましくは55/45~85/15、より好ましくは60/40~80/20である。
 有機溶媒の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
 水の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
 また、混合物A中には、不揮発成分率が3~35%であることが好ましく、5~30%であることがより好ましく、10~25%であることがより更に好ましい。なお、混合物Aの「不揮発成分率」は、下記計算式(2)に基づいて算出される値である。
 不揮発成分率(質量%)=〔(ポリマー、着色剤、必要に応じて加える中和剤の合計質量)/(着色剤分散体の質量)〕×100   (2)
[0032]
 工程(I)における混合物Aの分散方法に特に制限はない。本分散だけで分散体の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、分散体の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(I)の分散における温度は、0~40℃が好ましく、5~30℃がより好ましく、分散時間は1~30時間が好ましく、2~25時間がより好ましい。
 混合物Aを予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄工株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー〔プライミクス株式会社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
 本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
[0033]
<工程(II)>
 工程(II)は、工程(I)で得られた分散体から有機溶媒を除去し、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程である。
 工程(II)では、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去することで、水分散体を得ることができる。得られた水分散体の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
 得られた水分散体は、顔料を含有するポリマー粒子の固形分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに顔料が内包された粒子形態、該ポリマー中に顔料が均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれ、これらの混合物も含まれる。
[0034]
<工程(III)>
 工程(III)は、工程(II)で得られた顔料を含有するポリマー粒子を構成する架橋性ポリマーを架橋剤で架橋させて、顔料を含有する架橋ポリマー(B)粒子を含有する顔料水分散体を得る工程である。
[0035]
(架橋剤)
 工程(III)で用いられる架橋剤は、架橋性ポリマーのカルボキシ基等の反応性官能基と反応する化合物である。
 架橋剤に含まれる反応性官能基の数は、分子量を制御して保存安定性を向上する観点から、2以上6以下が好ましい。反応性官能基としては、エポキシ基、オキサゾリン基、及びイソシアネート基から選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
 架橋剤は、ポリマーを効率よく表面架橋する観点から、25℃のイオン交換水100gに対する溶解量が、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下のものである。
[0036]
 架橋剤の具体例としては、次の(i)~(iii)が挙げられる。
(i)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル及び水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。これらの中でも、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルから選ばれる1種以上のグリシジルエーテル。
[0037]
(ii)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、脂肪族基又は芳香族基に2個以上、好ましくは2~3個のオキサゾリン基が結合した化合物、より具体的には、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-フェニレンビスオキサゾリン、1,3-ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物。
(iii)分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物:例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマー。
 有機ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;トリレン-2,4-ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート;芳香族トリイソシアネート;それらのウレタン変性体等の変性体が挙げられる。イソシアネート基末端プレポリマーは、有機ポリイソシアネート又はその変性体と低分子量ポリオール等とを反応させることにより得ることができる。
 上記の架橋剤の中では、(i)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
[0038]
 架橋剤の使用量は、インクの粘度の上昇を抑制する観点から、〔架橋剤/架橋性ポリマー〕の質量比で、好ましくは0.1/100~50/100、より好ましくは1/100~40/100、更に好ましくは3/100~30/100、より更に好ましくは4/100~25/100である。
 ここで、下記計算式(3)から求められる架橋ポリマー(B)の架橋率(モル%)は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは50モル%以下、より更に好ましくは40モル%以下である。
 架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数/架橋性ポリマーが有する架橋剤と反応し得る反応性基のモル数]×100   (3)
 式(3)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。架橋率は、架橋剤の使用量と反応性基のモル数、架橋性ポリマーの使用量と架橋剤の反応性基と反応できる架橋性ポリマーの反応性基のモル数から計算で求めることができる。
 架橋反応時の条件は、好ましくは60~95℃で0.5~7時間である。
[0039]
<顔料水分散体>
 上記のようにして得られる顔料水分散体の固形分濃度は、印字濃度、吐出安定性等の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下となるように調整することが好ましい。
 なお、顔料水分散体の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
 顔料水分散体の20質量%(固形分濃度)の粘度(25℃)は、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは2mPa・s以上であり、そして、好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9mPa・s以下、更に好ましくは6mPa・s以下、より更に好ましくは5mPa・s以下である。
 顔料水分散液中の顔料粒子の平均粒径は、顔料水分散液の分散安定性及びインクの保存安定性、吐出性、及び印字濃度の観点から、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは130nm以下である。
 顔料水分散体の表面張力(20℃)は、好ましくは30~70mN/m、より好ましくは35~65mN/mである。
[0040]
[水系インク]
 本発明の水系インクは、本発明の顔料水分散体と、有機溶媒と、界面活性剤とを含有するため、分散安定性に優れている。このため、本発明の水系インクは、フレキソ印刷用、グラビア印刷用、又はインクジェット記録用の水系インクとして好適に用いることができる。また、本発明の水系インクは、インクジェット方式における吐出性に優れていることから、インクジェット記録用の水系インクとして用いることが好ましい。
[0041]
<有機溶媒>
 有機溶媒としては、例えば、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物等が挙げられるが、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル及び含窒素複素環化合物から選ばれる1種以上が好ましく、多価アルコール及び含窒素複素環化合物から選ばれる1種以上がより好ましい。
 有機溶媒中の、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル及び含窒素複素環化合物から選ばれる1種以上の合計含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、実質的に100質量%がより更に好ましい。
[0042]
 多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール(沸点197℃)、ジエチレングリコール(沸点244℃)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(沸点188℃)、ジプロピレングリコール(沸点232℃)、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール(沸点210℃)、1,3-ブタンジオール(沸点208℃)、1,4-ブタンジオール(沸点230℃)、3-メチル-1,3-ブタンジオール(沸点203℃)、1,5-ペンタンジオール(沸点242℃)、1,6-ヘキサンジオール(沸点250℃)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(沸点196℃)、1,2,6-ヘキサントリオール(沸点178℃)、1,2,4-ブタントリオール(沸点190℃)、1,2,3-ブタントリオール(沸点175℃)、ペトリオール(沸点216℃)、等が挙げられる。
[0043]
 多価アルコールアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点207℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点122℃)、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点160℃)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点158℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点227℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点90℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点100℃)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらの中では、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
 含窒素複素環化合物としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(沸点202℃)、2-ピロリドン(沸点245℃)、1,3-ジメチルイミダゾリジノン(沸点220℃)、ε-カプロラクタム(沸点136℃)等が挙げられる。これらの中では、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドンが好ましい。
 また、低吸水性の記録媒体に印字する際に、吐出性、紙面上でのインクの乾燥性の観点から、多価アルコールの1種又は2種以上と、含窒素複素環化合物の1種又は2種以上を適宜組み合せて用いることも好ましい。
[0044]
<界面活性剤>
 界面活性剤としては、吐出安定性を更に向上させる観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤がより好ましい。
 アセチレングリコール系界面活性剤としては、好ましくは2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,5,8,11-テトラメチル-6-ドデシン-5,8-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、及びこれらのEO付加物から選ばれる1種以上であり、より好ましくは2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、及びこれらのEO付加物から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、及びそのEO付加物から選ばれる1種以上である。
 2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、及び2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオールは、アセチレンと、目的とするアセチレングリコールに対応するケトン又はアルデヒドとを反応させることにより合成することができ、例えば藤本武彦著、全訂版「新・界面活性剤入門」(三洋化成工業株式会社出版、1992年)94頁~107頁等に記載の方法で得ることができる。
[0045]
 アセチレングリコール系界面活性剤としては、インク粘度の上昇を抑制する観点から、アセチレングリコールのエチレンオキシド(以下、EOという)の平均付加モル数が好ましくは5以上、35以下の化合物が好ましい。
 アセチレングリコール系界面活性剤のEO平均付加モル数は、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、より更に好ましくは9以上、より更に好ましくは9.5以上であり、そして、より好ましくは30以下、更に好ましくは25以下である。
 アセチレングリコールのエチレンオキシド付加物は、上記の方法で得られたアセチレングリコールにエチレンオキシドを所望付加数となる様に付加反応を行うことにより得ることができる。
 界面活性剤、特にアセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社及びAir Products & Chemicals社製の「サーフィノール104(2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、EO平均付加モル数:0モル、有効分100質量%)」、「サーフィノール465(EO平均付加モル数:10)」、「サーフィノール485(EO平均付加モル数:30)」、川研ファインケミカル株式会社製の「アセチレノールE81(EO平均付加モル数:8.1)」、「アセチレノールE100(EO平均付加モル数:10)」、「アセチレノールE200(EO平均付加モル数:20)」等が挙げられる。
[0046]
 その他のノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアラルキルアリールエーテル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上が挙げられる。かかるノニオン性界面活性剤の市販品としては、「エマルゲン」(花王株式会社製)、「ノイゲン」(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
 ノニオン性界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合せて使用することができる。
[0047]
<水系インク中の各成分の含有量>
 水系インク中の顔料(A)の含有量は、印刷濃度を向上させる観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上であり、溶媒揮発時のインク粘度を下げて、吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、更に好ましく7.0質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下である。
 水系インク中の顔料(A)と架橋ポリマー(B)との合計含有量は、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上、より更に好ましくは3.5質量%以上であり、そして、好ましくは17.0質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下、更に好ましくは10.0質量%以下、より更に好ましくは8.0質量%以下、より更に好ましくは6.0質量%以下である。
 架橋ポリマー(B)の量に対する顔料(A)の量の質量比〔顔料(A)/架橋ポリマー(B)〕は、分散安定性の観点から、好ましくは50/50~90/10、より好ましくは70/30~85/15である。
[0048]
 水系インク中のエタノールアミン(C)の含有量は、好ましくは0.005質量%以上6質量%以下である。エタノールアミン(C)の含有量は、架橋性ポリマーの望まれる中和度により適宜調整することもできる。
 水系インクのpHは、インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは7.0以上、より好ましくは8.0以上、更に好ましくは8.5以上であり、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.0以下、更に好ましくは9.5以下である。
 水系インク中の有機溶媒の含有量は、インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは35質量%以下である。
 水系インク中の界面活性剤の含有量は、インク粘度の上昇を抑制し、インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下である。
 水系インク中の水の含有量は、環境負荷低減の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
[0049]
 本発明の水系インクは、本発明に係る顔料水分散体に有機溶媒、界面活性剤、及び水を添加、混合することにより得ることができる。水系インクには、必要に応じて、通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加することができる。
[0050]
(水系インク物性)
 20℃における水系インクのpHは、吐出安定性の観点から、好ましくは5.5以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは6.5以上であり、そして、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.0以下、更に好ましくは9.5以下、より更に好ましくは9.0以下である。
 なお、20℃における水系インクのpHは、実施例に記載の方法により測定される。
 20℃における水系インクの粘度は、吐出安定性の観点から、好ましくは2.0mPa・s以上、より好ましくは3.0mPa・s以上、更に好ましくは3.5mPa・s以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9.0mPa・s以下、更に好ましくは7.0mPa・s以下、より更に好ましくは5.5mPa・s以下、より更に好ましくは4.5mPa・s以下である。
[0051]
<記録方法>
 本発明の水系インクを用いる記録方法としては、インクジェット記録方法が好ましい。
 水系インクの吐出方式は、ピエゾ方式でもサーマル方式でもよいが、サーマルインクジェット記録方式が好ましい。サーマルインクジェット記録方式は、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させる方式であり、例えば米国特許第4723129号、米国特許第4740796号に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。より具体的には、特公昭61-59911号に記載されている方式等が挙げられる。
実施例
[0052]
 以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。
 なお、実施例及び比較例で用いたポリマー、水分散体、エタノールアミン等の各種物性を、下記方法により測定、評価した。
[0053]
(1)架橋性ポリマー(B)の数平均分子量の測定
 N,N-ジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製、高速液体クロマトグラフィー用)に、リン酸(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)及びリチウムブロマイド(東京化成工業株式会社製、試薬)をそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK-GEL、α-M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質として分子量が既知の単分散ポリスチレンを用いて測定した。
[0054]
(2)水分散体の固形分濃度の測定
 30mlのポリプロピレン製容器(φ:40mm、高さ:30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して、混合させた後、正確に秤量し、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、更にデシケーター内で更に15分間放置し、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度とした。
[0055]
(3)エタノールアミンのpKaの測定
 電位差自動滴定装置(京都電子工業株式会社製、商品名「AT-610」)を用いた。測定は、エタノールアミンを添加した水溶液を調製し(測定濃度1.0×10 -3質量%程度)、0.1N塩酸を用いて電位差滴定を行い、エタノールアミンのpKaを測定した。
[0056]
(4)分散安定性の評価
 スクリュー管に、顔料水分散体を含む水系インク及び撹拌子を入れ、窒素を吹きかけながら撹拌し、所定濃度(濃縮度:50%)まで濃縮した。濃縮後の濃縮粘度をそれぞれレオメーター(Anton Paar社製、商品名「physica MCR301」)で測定(測定条件:温度25℃、せん断速度10~1000s -1)を測定し、下記の基準で分散安定性を評価した。
、分散安定性を評価した。
(評価基準)
 A:せん断速度10s -1時の濃縮粘度が、9.8mPa未満である。
 B:せん断速度10s -1時の濃縮粘度が、9.8mPa以上10.6mPa未満である。
 C:せん断速度10s -1時の濃縮粘度が、10.6mPa以上11.1mPa未満である。
 D:せん断速度10s -1時の濃縮粘度が、11.1mPa以上である。
[0057]
(5)インク吐出性の評価
 サーマルインクジェットプリンター(LGエレクトロニクス社製、商品名:LPP-6010N)を用いて、水系インクの吐出性の評価を行った。
 評価は、普通紙(王子製紙株式会社製、横216mm×縦279mm)にベタ打ちを行った後に、印刷を一定時間停止し、再度印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ベストモード〕することで行い、このとき印字物に欠けがなければ吐出可能、印字物が欠けた場合を吐出不可と判断した。また、この印字物に欠けが生じるときの印刷停止時間をデキャップ時間(decap time)とし、この時間が長いほど吐出性は良好と判断した。
 なお、デキャップ時間とは、インクを充填したインクジェットプリントヘッドを、キャップをせずにアイドル状態で放置しても依然としてそのインクの液滴を噴射しうる時間量をいう。
(評価基準)
 A:デキャップ時間が、30分間以上である。
 B:デキャップ時間が、15分間以上30分未満である。
 C:デキャップ時間が、1分間以上15分未満である。
 D:デキャップ時間が、1分間未満である。
[0058]
実施例1
(1)予備分散工程
 カルボキシ基を有する架橋性ポリマー(ベンジルアクリレート/スチレンマクロモノマー(東亞合成株式会社製、AS-6S)/メタクリル酸/ポリエチレングリコール(4)モノメタクリレートの共重合体、酸価:130mgKOH/g、数平均分子量:11,218)を36.8%含むメチルエチルケトン溶液(以下ポリマー溶液)582gにイオン交換水1681g、n-ブチルジエタノールアミン(pKa:8.86)を80.4g(ポリマーの中和度が80%となる量)、メチルエチルケトン212.9gを加え、乳化液を得た。
 この乳化液に、黒色顔料(デグサ社製、NIPEX160IQ、ガスブラック)を500g加え、ディスパー翼を用いて15℃で1時間混合して予備分散体(前記計算式(2)により算出した不揮発成分率:20%)を得た。(工程I)
(2)本分散工程
 上記(1)で得られた予備分散体に対し、メチルエチルケトンを69g、イオン交換水841gを加えた。この分散体をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、高圧ホモジナイザー、商品名)を用いて、150MPaの圧力で15パスの連続方式による分散処理を行って、分散体を得た(工程I)。
(3)有機溶媒の除去
 上記(2)で得られた分散体を、減圧下、温水加熱媒体を用いてメチルエチルケトンを除去し、更に顔料水分散体の固形分が20%となるように水を除去し(残留有機溶媒量は0.01%)、2.5μmのフィルター(商品名「20L-MPX-025XS」、外径:9.1cm、株式会社ロキテクノ製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度20%の水分散体を得た。(工程II)
(4)架橋工程
 上記(3)で得られた水分散体200gに対し、架橋剤(ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX850L、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル)2.02gを加え、70℃で90分間撹拌し、前記架橋性ポリマーを架橋してなる架橋ポリマーB1を含む固形分濃度20%の顔料水分散体を得た。(工程III)架橋率は20モル%になるようにした。
[0059]
(5)水系インクの調製
 得られた顔料水分散体6.79部に、有機溶媒としてエチレングリコール8.3部、変性グリセリン(Lipo Chemicals社製、Liponic EG-1、エトキシ化グリセリン、エチレンオキシ基の平均付加モル数:26、湿潤剤)5部、サーフィノール104(日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール)/エマルゲン120(花王株式会社製、ノニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)/水=1:1:1の混合物1.3部、シルフェイスSAG-002(日信化学工業株式会社製、ポリエーテル変性シリコーン、表面調整剤)0.05部を混合し、水分量が78.61%になるように調製した。
 得られた混合液を、0.3μmフィルター(商品名「20L-MBP-003XS」、外径:9.1cm、株式会社ロキテクノ製)を用いて実施例1と同様に濾過して、水系インクを得た。
 得られた水系インクの評価結果を表1に示す。
[0060]
実施例2
 実施例1(1)予備分散工程における中和剤をt-ブチルジエタノールアミン(pKa:8.74)に変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋ポリマーB1を含む顔料水分散体及び水系インクを得た。結果を表1に示す。
[0061]
実施例3
 実施例1(4)架橋工程で使用した架橋剤:デナコールEX850Lを、架橋剤:デナコールEX-216L(ナガセケムテックス株式会社製、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋ポリマーB2を含む顔料水分散体及び水系インクを得た。結果を表1に示す。
実施例4
 実施例2において使用した架橋剤:デナコールEX850Lを、架橋剤:デナコールEX-216L(ナガセケムテックス株式会社製、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル)に変更した以外は、実施例2と同様にして、架橋ポリマーB2を含む顔料水分散体及び水系インクを得た。結果を表1に示す。
[0062]
実施例5
 実施例1(4)架橋工程で使用した架橋剤:デナコールEX850Lを、架橋剤:デナコールEX-321L(ナガセケムテックス株式会社製、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋ポリマーB3を含む顔料水分散体及び水系インクを得た。結果を表1に示す。
実施例6
 実施例2において使用した架橋剤:デナコールEX850Lを、架橋剤:デナコールEX-321L(ナガセケムテックス株式会社製、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)に変更した以外は、実施例2と同様にして、架橋ポリマーB3を含む顔料水分散体及び水系インクを得た。結果を表1に示す。
[0063]
実施例7
 実施例1(1)予備分散工程において、n-ブチルジエタノールアミンを88.4g(ポリマーの中和度が90%となる量)使用し、実施例1(4)架橋工程において、(工程III)架橋率を10モル%になるように変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋ポリマーB1を含む顔料水分散体及び水系インクを得た。結果を表1に示す。
[0064]
比較例1
 予備分散工程における中和剤をトリエタノールアミンに変更した以外は、実施例1と同様にして、顔料水分散体及び水系インクを得た。結果を表1に示す。
比較例2
 予備分散工程における中和剤をトリス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]アミンに変更した以外は、実施例1と同様にして、顔料水分散体及び水系インクを得た。結果を表1に示す。
比較例3
 予備分散工程における中和剤を水酸化ナトリウムに変更した以外は、実施例1と同様にして、顔料水分散体及び水系インクを得た。結果を表1に示す。
[0065]
[表1]


[0066]
 表1から、実施例1~7の水系インクは、比較例1~3の水系インクに比べて、分散安定性に優れ、インクジェット記録用インクとして用いてもインク吐出性が優れていることが分かる。

請求の範囲

[請求項1]
 顔料(A)、カルボキシ基を有する架橋ポリマー(B)、及び酸解離定数(pKa)が8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)を含有する顔料水分散体。
[請求項2]
 エタノールアミン(C)が、炭素数3以上20以下のアルキル基を有する、請求項1に記載の顔料水分散体。
[請求項3]
 エタノールアミン(C)が、炭素数4以上20以下のアルキル基を有する、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の顔料水分散体。
[請求項4]
 エタノールアミン(C)が、ジエタノールアミンである、請求項1~3のいずれかに記載の顔料水分散体。
[請求項5]
 エタノールアミン(C)が、炭素数4以上8以下のジエタノールアミンである、請求項1~4のいずれかに記載の顔料水分散体。
[請求項6]
 架橋ポリマー(B)が、メタクリル酸及びアクリル酸から選ばれる1種以上由来の構成単位を有する共重合体である、請求項1~5のいずれかに記載の顔料水分散体。
[請求項7]
 架橋ポリマー(B)が、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物で架橋されている、請求項1~6のいずれかに記載の顔料水分散体。
[請求項8]
 エタノールアミン(C)酸解離定数(pKa)が8.7以上9.2以下である、請求項1~7のいずれかに記載の顔料水分散体。
[請求項9]
 請求項1~8のいずれかに記載の顔料水分散体と、有機溶媒と、界面活性剤とを含有する、水系インク。
[請求項10]
 下記工程(I)~(III)を有する顔料水分散体の製造方法。
 工程(I):顔料(A)、カルボキシ基を有する架橋性ポリマー、酸解離定数(pKa)8.7以上のアルキル基を有するエタノールアミン(C)、有機溶媒、及び水の混合物を分散処理し、顔料(A)に架橋性ポリマーが付着した顔料を含有するポリマー粒子の分散体を得る工程
 工程(II):工程(I)で得られた分散体から有機溶媒を除去し、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程
 工程(III):工程(II)で得られた顔料を含有するポリマー粒子を構成する架橋性ポリマーを架橋剤で架橋させて、顔料を含有する架橋ポリマー(B)粒子を含有する顔料水分散体を得る工程
[請求項11]
 架橋剤が、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物である、請求項10に記載の顔料水分散体の製造方法。
[請求項12]
 工程(I)の混合物中のエタノールアミン(C)の含有量が、0.1質量%以上12質量%以下である、請求項10又は11に記載の顔料水分散体の製造方法。
[請求項13]
 工程(I)における、架橋性ポリマーのカルボキシ基の中和度が30モル%以上である、請求項10~12のいずれかに記載の顔料水分散体の製造方法。
[請求項14]
 工程(I)の混合物中の架橋性ポリマーの含有量が、2質量%以上40質量%以下である、請求項10~13のいずれかに記載の顔料水分散体の製造方法。
[請求項15]
 請求項10~14のいずれかに記載の製造方法で得られた顔料水分散体と、有機溶媒と、界面活性剤とを混合する工程を有する、水系インクの製造方法。
[請求項16]
 請求項1~8のいずれかに記載の顔料水分散体の水系インクの色材としての使用。