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1. (WO2019044480) BLACK POWDER, AND METHOD FOR PRODUCING SAME
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明 細 書

発明の名称 黒色粉体及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049  

実施例

0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 黒色粉体及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、黒色粉体及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 従来、例えば、液晶表示装置のスペーサーとして用いられる黒色の粒子が知られている(特許文献1)。特許文献1には、オルガノポリシロキサンとビニル系重合体とを複合した複合粒子の粉体から得られる黒色粉体が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2014-115399号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 近年、黒色粉体が用いられる機器の駆動電圧は上昇する傾向があり、これに伴って黒色粉体に高い耐電圧性能が要求される場合がある。上記従来の黒色粉体では、比較的高い電圧が印加された場合、電気的絶縁性を確保することが困難であるおそれがあった。
[0005]
 本発明の目的は、より高い耐電圧性能を得ることができる黒色粉体及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記課題を解決する黒色粉体は、炭素を含有するシリカ粒子から構成される黒色粉体であって、前記シリカ粒子は、単層構造を有し、X線光電子分光法により測定される、前記シリカ粒子の表面に含まれる炭素の含有量が1質量%以下である。
[0007]
 上記黒色粉体において、前記シリカ粒子中の炭素の含有量が5質量%以上であることが好ましい。
 上記黒色粉体の製造方法は、下記一般式(1):
 R Si(OR ・・・(1)
 (一般式(1)中、R は非加水分解性基であって、炭素数1~20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、又は、炭素数7~20のアラルキル基を示し、R は炭素数1~6のアルキル基を示し、各OR は互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表されるトリアルコキシシランから得られる縮合物を含む第1の粒子を得る工程と、前記第1の粒子中の有機成分を炭化させることで炭素を含有する第2の粒子を得る工程と、前記第2の粒子の表面に含まれる炭素を除去する工程と、を備える。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、より高い耐電圧性能を得ることができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 耐電圧試験に用いるパネルを示す概略斜視図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、黒色粉体及びその製造方法の実施形態について説明する。
 <黒色粉体>
 黒色粉体は、炭素を含有するシリカ粒子から構成されている。シリカ粒子は、単層構造を有している。シリカ粒子の表面に含まれる炭素の含有量は、1質量%以下である。シリカ粒子の表面に含まれる炭素の含有量は、X線光電子分光法により測定することができる。
[0011]
 単層構造を有するシリカ粒子は、粒子全体にわたってシリカの界面やシリカと他の層との界面が存在しない。換言すると、シリカ粒子は、シロキサン骨格により構成される連続構造を有し、この連続構造は、粒子の全体にわたって形成されている。このシリカ粒子の表面は、被覆層を有していない。
[0012]
 シリカ粒子の表面に含まれる炭素の含有量は、1質量%以下である。シリカ粒子中の炭素の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは、9質量%以上である。シリカ粒子中の炭素の含有量が5質量%以上の場合、より高い黒色度を得ることができる。シリカ粒子中の炭素の含有量は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。シリカ粒子中の炭素の含有量が25質量%以下の場合、耐電圧性能をより高めることができる。シリカ粒子中の炭素の含有量は、高周波誘導加熱燃焼-赤外線吸収法により測定することができる。
[0013]
 黒色粉体のXYZ表色系におけるY値は6%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下である。XYZ表色系におけるY値は、JIS Z8701:1999に準拠して測定される値である。なお、JIS Z8701:1999は、これに関連する国際規格のISO/CIE 10526, CIE standard colorimetric illuminants, 1st Ed.: 1991及びISO/CIE 10527, CIE standard colorimetric observers, 1st Ed.: 1991と技術的内容は同等である。
[0014]
 黒色粉体の粒径分布は、下記CV値(変動係数)により示される。
 CV値(%)={粒子径の標準偏差[μm]/平均粒子径[μm]}×100
 黒色粉体のCV値は、5%以下であることが好ましく、より好ましくは2.5%以下である。
[0015]
 黒色粉体の10%K値は、30000N/mm 以上、100000N/mm 以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは50000N/mm 以上、80000N/mm 以下の範囲である。
[0016]
 10%K値は、微小圧縮試験機を用いて、圧縮速度0.029g/秒、最大荷重10gの条件下で黒色粉体を圧縮した場合の変位[mm]を測定し、下記関係式によって求められる。
[0017]
 10%K値[N/mm ]=(3/2 1/2)×F×S -3/2×R -1/2
 上記関係式中のFは、黒色粉体の10%圧縮変形における荷重[N]であり、Sは黒色粉体の10%圧縮変形における変位[mm]であり、Rは黒色粉体の半径[mm]である。
[0018]
 黒色粉体の平均粒子径は、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは3μm以上である。この場合、黒色粉体の黒色度を容易に高めることができる。黒色粉体の平均粒子径は、200μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下である。
[0019]
 黒色粉体の用途としては、例えば、液晶パネル用のスペーサー(面内スペーサー)、光学素子や各種センサの精密ギャップ材、各種センサの精密ギャップ材等が挙げられる。液晶パネル用のスペーサー用途の場合、黒色粉体を構成するシリカ粒子の粒径は、例えば、3μm以上、40μm以下の範囲である。精密ギャップ材用途の場合、黒色粉体を構成するシリカ粒子の粒径は、例えば、10μm以上、100μm以下の範囲である。また、絶縁性の高い黒色充填材としても適用可能である。
[0020]
 <黒色粉体の製造方法>
 次に、黒色粉体の製造方法について説明する。
 黒色粉体の製造方法は、トリアルコキシシランから得られる縮合物を含む第1の粒子を得る工程と、第1の粒子中の有機成分を炭化させることで炭素を含有する第2の粒子を得る工程(炭化工程)とを備える。黒色粉体の製造方法は、第2の粒子の表面に含まれる炭素を除去する工程(除去工程)をさらに備えている。
[0021]
 第1の粒子は、シード粒子形成工程及び成長粒子形成工程を通じて得ることができる。
 シード粒子形成工程では、少なくともトリアルコキシシランを含むアルコキシシランを水性溶媒に溶解した溶液に、触媒を添加することでアルコキシシランを加水分解及び縮合させる。これにより、トリアルコキシシランの縮合物を含むシード粒子が形成される。なお、シード粒子形成工程では、シード粒子が液滴として水性分散媒に分散したシード粒子水性分散液が得られる。
[0022]
 トリアルコキシシランは、下記一般式(1)で表すことができる。
 R Si(OR ・・・(1)
 一般式(1)中、R は非加水分解性基であって、炭素数1~20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、又は、炭素数7~20のアラルキル基を示し、R は炭素数1~6のアルキル基を示し、各OR は互いに同一であっても異なっていてもよい。
[0023]
 一般式(1)で示されるトリアルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
[0024]
 一般式(1)で示されるトリアルコキシシランは、一種又は二種以上を用いることができる。
 なお、トリアルコキシシランと、テトラアルコキシシラン、ジアルコキシシラン及びモノアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種とを組み合わせて用いてもよい。これらシラン化合物や有機置換基の種類を種々選択することで、黒色粉体の炭素含有量を任意に設計することもできる。
[0025]
 水性溶媒としては、水と水混和性有機溶剤との混合溶媒、又は水が挙げられる。水混和性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、及び、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類が挙げられる。水混和性有機溶剤は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0026]
 水性溶媒には、トリアルコキシシランの溶解性を高めるとともに、生成したシード粒子を安定化させるという観点から、安定化剤を含有させることもできる。安定化剤としては、例えば界面活性剤及び高分子分散剤が挙げられる。なお、シリカ粒子中に残留するイオン系物質を低減させることが望まれる場合は、ノニオン系の安定化剤を用いることが好ましい。
[0027]
 加水分解及び縮合反応の触媒としては、アンモニア及びアミンの少なくとも一方が挙げられる。アミンとしては、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン及びエチレンジアミンが挙げられる。触媒は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。触媒の中でも、毒性が少なく、粒子から除去することが容易であり、かつ安価であるという観点から、アンモニアが好適である。
[0028]
 加水分解及び縮合の反応は、トリアルコキシシラン及び触媒を水性溶媒中で撹拌しながら行われる。反応開始時の触媒量は、例えば、トリアルコキシシランの種類や濃度、得られる粒子の目的とする粒径に応じて設定することができる。反応温度は、トリアルコキシシランの種類に応じて適宜設定されるが、例えば0~50℃の範囲が好適である。
[0029]
 シード粒子の平均粒子径は、0.3μm以上、15μm以下の範囲であることが好ましい。シード粒子のCV値は、5%以下であることが好ましい。
 成長粒子形成工程では、少なくともトリアルコキシシランを含むアルコキシシラン水性溶液を用いる。このアルコキシシラン水性溶液と上記シード粒子水性分散液とを混合し、シード粒子にアルコキシシランを吸収させる。これにより、シード粒子が成長した成長粒子が形成される。この成長粒子形成工程では、成長粒子水性分散液が得られる。
[0030]
 粒子成長用溶液中のトリアルコキシシランとしては、上記一般式(1)で示されるトリアルコキシシランが挙げられる。
 なお、トリアルコキシシランと、テトラアルコキシシラン、ジアルコキシシラン及びモノアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種とを組み合わせて用いてもよい。また、成長粒子形成工程で用いるシラン化合物は、シード粒子に用いたシラン化合物と同一であってもよいし、異なってもよい。成長粒子形成工程において、シード粒子とは異なるシラン化合物を選択することで、成長粒子中にシード粒子とは異なる有機置換基を導入し、黒色粉体の炭素含有量を任意に設計することもできる。
[0031]
 粒子成長用溶液に用いる水性溶媒としては、シード粒子形成工程で用いる水性溶媒として例示したものが挙げられる。粒子成長用溶液には、シード粒子形成工程と同様に安定化剤を含有させることもできる。
[0032]
 以上のように成長粒子形成工程で得られた成長粒子を第1の粒子として用いることができる。
 第1の粒子は、例えば、上記トリアルコキシシランの縮合物(オルガノポリシロキサン)と、ビニル系重合体とを複合した複合粒子であってもよい。ビニル系重合体としては、ニトリル基を有するビニル系重合体を含むことが好ましい。ニトリル基を有するビニル系重合体は、構成単位としてアクリロニトリル及びメタクリロニトリルの少なくとも一方を含むものが挙げられる。ニトリル基を有するビニル系重合体の構成単位は、例えば、アクリル酸メチル、酢酸ビニル、及びメタクリル酸メチル等を含んでもよい。ニトリル基を有するビニル系重合体は、アクリロニトリルを構成単位として含むビニル系重合体を含むことが好ましく、アクリロニトリルが50モル%以上含まれることがより好ましい。
[0033]
 複合粒子は、成長粒子形成工程の後に複合工程を行うことで得ることができる。複合工程では、まず、ビニル系単量体を含むエマルションを調製する。ビニル系単量体を常法に従って乳化剤とともに水性分散媒に分散することで、ビニル系単量体が油滴として分散したエマルションが得られる。エマルションには、一種又は二種以上のビニル系単量体を含有させることができる。
[0034]
 水性分散媒としては、シード粒子形成工程で用いる水性溶媒として例示したものを用いることができる。エマルション中のビニル系単量体の含有量は、例えば、10~70質量%とされる。
[0035]
 乳化剤は、例えば、HLB値(親水性親油性バランス値)を指標として適宜選択して用いることができる。乳化剤としては、例えば炭素数6~30のアルキル基を有するアルキル硫酸塩が好適に使用される。アルキル硫酸塩の塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
[0036]
 エマルションには、更にラジカル重合開始剤が含有される。ラジカル重合開始剤の種類は、特に限定されず、例えばアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル等の過酸化物が挙げられる。エマルション中のラジカル重合開始剤の含有量は、単量体1モルに対して、好ましくは0.001~20モル、より好ましくは0.01~10モルの範囲である。
[0037]
 調製されたエマルションは、成長粒子水性分散液と混合される。得られた混合液中でビニル系単量体が成長粒子に吸収される。その後、混合液を加熱することで、ビニル系単量体がラジカル重合される。これにより、固体状の複合粒子としての第1の粒子が形成される。
[0038]
 第1の粒子は、成長粒子をカップリング剤で処理したものであってもよい。
 次に、第2の粒子を得るための炭化工程について説明する。炭化工程は、空気よりも酸素濃度の低いガス中で行われる。空気よりも酸素濃度の低いガスとしては、不活性ガス及び還元性ガスから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、及びアルゴンガスが挙げられる。還元性ガスとしては、例えば、アンモニアガスが挙げられる。炭化工程では、不活性ガス及び還元性ガスから選ばれる少なくとも一種と空気とを混合した混合ガスを用いてもよいし、不活性ガス及び還元性ガスから選ばれる少なくとも一種のみを用いてもよい。炭化工程における雰囲気中の酸素濃度は、炭化工程の効率を向上させるという観点から、7.0体積%未満であることが好ましく、より好ましくは3.0体積%未満である。
[0039]
 炭化工程における加熱温度は、600℃以上、1500℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは、800℃以上、1300℃以下の範囲である。この加熱温度が600℃以上の場合、炭化工程を効率的に行うことができる。この加熱温度が1500℃以下の場合、熱による変形等が起こり難く、安定した形状(真球形状)の第2の粒子が得られ易くなる。また、第2の粒子の凝集の発生を抑えることができる。炭化工程における加熱時間は、例えば、1時間以上、48時間以下の範囲である。
[0040]
 次に、黒色粉体を得るための除去工程について説明する。除去工程は、第2の粒子の表面に含まれる炭素の含有量を低下させる。除去工程は、第2の粒子を酸素の存在下(酸化雰囲気下)で加熱することで、二酸化炭素、一酸化炭素等の炭素酸化物ガスを生成させる。すなわち、除去工程では、第2の粒子の表面に含まれる炭素の一部又は全体を炭素酸化物ガスとして揮発させる。
[0041]
 除去工程は、雰囲気中の酸素濃度を調整することで行ってもよいし、空気の雰囲気下で行ってもよい。焼成炉内に存在する所定量の酸素により炭素成分の酸化分解を促進することで、除去工程の効率を向上させるという観点から、除去工程における雰囲気中の酸素濃度は、7.0体積%以上の範囲であることが好ましい。除去工程における加熱温度は、400℃以上、1500℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは、600℃以上、1100℃以下の範囲である。この加熱温度が400℃以上の場合、除去工程を効率的に行うことができる。この加熱温度が1500℃以下の場合、熱による変形等が起こり難く、安定した形状(真球状)のシリカ粒子が得られ易くなる。また、シリカ粒子の凝集の発生を抑えることができる。除去工程における加熱時間は、例えば、1時間以上、48時間以下の範囲である。
[0042]
 除去工程では、第2の粒子の径方向において表面側に向かうほど、第2の粒子中の炭素と雰囲気中の酸素とが反応し易い。このため、黒色粉体を構成するシリカ粒子では、表面から内部に向かうにつれて炭素の含有量が増大する傾斜構造を有していると推測される。
[0043]
 本実施形態の第1の粒子は、シロキサン骨格中に、均一に有機成分が導入されている。そのため、炭化工程にて得られる第2の粒子は、粒子表面及び粒子内部に均一に炭素が分布している。このように炭素が局在せず均一分布していることで、除去工程において、第2の粒子の表面から炭素の一部又は全体を効率的かつ安定的に除去することができる。
[0044]
 以上詳述した実施形態によれば、次のような作用効果が発揮される。
 (1)黒色粉体は、炭素を含有するシリカ粒子から構成されている。シリカ粒子は、単層構造を有している。すなわち、シリカ粒子は、粒子全体にわたってシリカの界面が存在しない。このため、シリカの構造破壊や絶縁破壊が生じ難くなり、シリカ本来の絶縁性能が発揮され易くなる。また、シリカ粒子の表面に含まれる炭素の含有量は、1質量%以下である。すなわち、シリカ粒子の表面は、高純度のシリカにより形成されているため、高い絶縁性能が得られる。従って、より高い耐電圧性能を得ることができる。
[0045]
 (2)シリカ粒子中の炭素の含有量は、5質量%以上であることが好ましい。この場合、シリカ粒子の黒色度をより高めることができる。
 (3)液晶パネルでは、スペーサーと液晶との界面で液晶分子の異常配向が生じると、光抜けが起こることで液晶表示装置の画面上で明点又は暗点が視認される場合がある。こうした明点又は暗点は、液晶表示装置の画面の表示品質を低下させる一因となっている。ここで、液晶分子の異常配向は、スペーサーとなる粒子表面の官能基によって液晶が配列することで生じることが知られており、スペーサーとなる粒子の表面処理により液晶分子の異常配向は改善される。すなわち、液晶分子の異常配向を防止するには、スペーサーとなる粒子の表面処理が一般的な対策として知られている。
[0046]
 本実施形態の黒色粉体を液晶パネル用のスペーサー(面内スペーサー)に用いる場合、カップリング剤等を用いた表面処理等の表面状態の改質を省略したとしても、液晶分子の異常配向が確認されない。すなわち、本実施形態の黒色粉体を構成するシリカ粒子は、特別な後処理を必要とせず、そのまま用いたとしても、液晶分子の異常配向の発生が抑制される。この理由としては、本実施形態のシリカ粒子の表面には、より安定なシリカ骨格が形成されており、かつ水酸基や有機基等の官能基が実質的に存在しないため、液晶分子の配向規制力が弱く、液晶分子の配向に影響を与え難いと考えられる。特に、炭化工程及び除去工程の少なくとも一方の工程において、800℃以上の温度まで加熱することで、シリカ粒子の表面におけるシリカの純度が高められるため、液晶分子の配向にさらに影響を与え難くなる。
[0047]
 上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
 (イ)前記炭素を除去する工程は、酸素を含む雰囲気下で前記第2の粒子を加熱し、前記第2の粒子の表面に含まれる炭素を炭素酸化物ガスとして揮発させる工程である上記黒色粉体の製造方法。
[0048]
 (ロ)前記炭素を除去する工程において、前記第2の粒子を加熱する温度は、400℃以上である上記黒色粉体の製造方法。
 (ハ)コアとシェルとを有する粒子から構成される黒色粉体であって、前記シェルは炭素を含有し、かつシリカの単層構造を有し、X線光電子分光法により測定される、前記シェルの表面に含まれる炭素の含有量が1質量%以下である黒色粉体。
[0049]
 黒色粉体を構成する粒子の少なくとも表面側がシロキサン骨格により構成される連続構造を有していれば、構造破壊や絶縁破壊は生じ難くなると考えられる。このため、シリカとは異なる骨格のコアを有する粒子、すなわち単層ではなく、複層の粒子から黒色粉体を構成した場合であっても、高い絶縁性能と耐電圧性能を期待できる。
実施例
[0050]
 次に、実施例及び比較例を説明する。
 (実施例1)
 <シード粒子の調製>
 メチルトリメトキシシラン(MTMS)140gと水1200gとを20℃で1時間撹拌した後、1N-アンモニア水溶液11gを添加し、さらに20分間撹拌することにより、シード粒子の分散液を得た。
[0051]
 <粒子成長工程>
 メチルトリメトキシシラン240gと水1187gとを25℃で1時間撹拌した溶液に、1%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液13gを混合することで、粒子成長用溶液を調製した。粒子成長用溶液に上記シード粒子の分散液240gを添加し、光学顕微鏡で粒径を随時確認しながら撹拌することで、シード粒子を成長させた。約2時間経過後、粒子の成長が停止した。次に、25質量%アンモニア水を50g添加し、成長粒子を固化させることで、第1の粒子を得た。得られた第1の粒子をデカンテーションにより固液分離し、メタノールで3回洗浄した。洗浄後の第1の粒子を2日間かけて自然乾燥し、さらに110℃で加熱乾燥させた。得られた第1の粒子の色は、白色であった。
[0052]
 <炭化工程>
 乾燥させた固化粒子を窒素雰囲気下、1000℃で4時間加熱することで、第1の粒子中の有機成分が炭化した第2の粒子を得た。
[0053]
 <除去工程>
 得られた第2の粒子を空気雰囲気下、1000℃で4時間加熱することで黒色粉体を得た。
[0054]
 (実施例2)
 <シード粒子の調製>
 ビニルトリメトキシシラン(VTMS)350gと水1000gとを20℃で1時間撹拌した後、1N-アンモニア水溶液0.4gを添加し、さらに120分間撹拌することにより、シード粒子の分散液を得た。
[0055]
 <粒子成長工程>
 ビニルトリメトキシシラン166gと水475gとを25℃で1時間撹拌した溶液に、1%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液5gを混合することで、粒子成長用溶液を調製した。粒子成長用溶液に上記シード粒子の分散液180gを添加し、20分撹拌することで、シード粒子が成長した成長粒子の分散液を得た。
[0056]
 <複合工程>
 単量体エマルションと上記成長粒子の分散液とを用いて、重合体と成長粒子との複合粒子(第1の粒子)を得る複合工程を行った。単量体エマルションは、次のように調製した。まず、アクリロニトリル50gに、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)5gを溶解することで混合液を調製した。この混合液と、乳化剤としての硫酸エステル塩(商品名:ニューコール707SF、日本乳化剤株式会社、固形分30質量%水溶液)3gをイオン交換水100gで溶解させた溶液とをホモジナイザーにより20000rpmで1分間撹拌することで、単量体エマルションを調製した。
[0057]
 単量体エマルションを上記成長粒子の分散液に添加し、2時間撹拌した。その後、70℃で6時間保持することで単量体のラジカル重合を行い、複合粒子(第1の粒子)の分散液を得た。この分散液を冷却した後、デカンテーションにより固液分離し、メタノールで3回洗浄した。次いで、2日間かけて自然乾燥し、さらに80℃、1時間の条件で加熱乾燥することで、第1の粒子を得た。得られた第1の粒子の色は、白色であった。
[0058]
 <炭化工程>
 乾燥させた第1の粒子を窒素雰囲気下、680℃で1時間加熱することで、複合粒子(第1の粒子)中の有機成分が炭化した第2の粒子を得た。
[0059]
 <除去工程>
 得られた第2の粒子を空気雰囲気下、750℃で4時間加熱することで、黒色粉体を得た。
[0060]
 (実施例3)
 <シード粒子の調製>
 実施例3のシード粒子の調製では、メチルトリメトキシシランの配合量を100gに変更した以外は実施例1と同様にシード粒子の分散液を得た。
[0061]
 <粒子成長工程>
 メチルトリメトキシシラン240gと水1187gとを25℃で1時間撹拌した溶液に、1%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液13gを混合することで、粒子成長用溶液を調製した。粒子成長用溶液に上記シード粒子の分散液200gを添加し、約2時間撹拌することで成長粒子の分散液を得た。
[0062]
 <カップリング剤分散液の調製>
 メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン36gと水142gとを25℃で1時間撹拌することで、カップリング剤分散液を調製した。カップリング剤分散液を上記成長粒子の分散液に添加した。約2時間経過後、粒子の成長が停止した。次に、25質量%アンモニア水を50g添加し、成長粒子を固化させることで、第1の粒子を得た。得られた第1の粒子をデカンテーションにより固液分離し、メタノールで3回洗浄した。洗浄後の第1の粒子を2日間かけて自然乾燥し、さらに80℃、1時間の条件で加熱乾燥した。得られた第1の粒子の色は、白色であった。
[0063]
 <炭化工程>
 乾燥された第1の粒子を、窒素雰囲気下、1100℃で1時間加熱することで、第1の粒子中の有機成分が炭化した第2の粒子を得た。
[0064]
 <除去工程>
 得られた第2の粒子を空気雰囲気下、1100℃で1時間加熱することで、黒色粉体を得た。
[0065]
 (実施例4)
 <シード粒子の調製>
 メチルトリメトキシシラン240gと水24gとを30℃で3時間撹拌した後、水1200gと1N-アンモニア水溶液12gとを添加し、さらに20℃で30分間撹拌することにより、シード粒子の分散液を得た。
[0066]
 <粒子成長工程>
 実施例4では、粒子成長工程を2回繰り返すことで、第1の粒子を得た。
 1回目の粒子成長工程では、まずメチルトリメトキシシラン240gと水1187gとを25℃で1時間撹拌した溶液に、1%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液13gを混合して、粒子成長用溶液を調製した。この粒子成長用溶液にシード粒子の分散液400gを添加し、光学顕微鏡で粒径を随時確認しながら撹拌した。これによって、1回目の成長粒子の分散液を得た。
[0067]
 2回目の粒子成長工程では、まず、メチルトリメトキシシラン240gと水1187gとを25℃で1時間撹拌した溶液に、1%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液13gを混合することで、粒子成長用溶液を調製した。この粒子成長用溶液に1回目の粒子成長工程で得られた成長粒子の分散液400gを添加し、光学顕微鏡で粒径を随時確認しながら撹拌した。これによって、さらに成長した成長粒子の分散液を得た。粒子の成長が停止した後、25質量%アンモニア水を50g添加し、成長粒子を固化させることで、第1の粒子を得た。得られた第1の粒子をデカンテーションにより固液分離し、メタノールで3回洗浄した。洗浄後の固化粒子を2日間かけて自然乾燥し、さらに110℃で加熱乾燥させた。得られた第1の粒子の色は、白色であった。
[0068]
 <炭化工程>
 得られた第1の粒子を実施例1と同じ条件で加熱することで、第2の粒子を得た。
 <除去工程>
 得られた第2の粒子を実施例1と同じ条件で加熱することで、黒色粉体を得た。
[0069]
 (実施例5)
 実施例5では、粒子成長工程を4回繰り返した以外は、実施例4と同様に黒色粉体を得た。
[0070]
 (比較例1)
 比較例1では、除去工程を省略した以外は実施例1と同様に粉体を得た。
 (比較例2)
 比較例2では、除去工程を省略した以外は実施例2と同様に粉体を得た。
[0071]
 (比較例3)
 比較例3では、除去工程の条件を300℃、10時間に変更した以外は実施例1と同様に粉体を得た。
[0072]
 (比較例4)
 比較例4では、炭化工程を省略した以外は実施例1と同様に粉体を得た。
 (比較例5)
 比較例5では、比較例2と同様に炭化工程で得られた第2の粒子50gにメタノール300gと25質量%アンモニア水100gとを加え、30℃で撹拌しながらテトラエトキシシラン(TEOS)24gを10分間の滴下時間で滴下した。2時間後にデカンテーションにより固液分離し、メタノールで3回洗浄した。次いで、自然乾燥を2日間行った後、さらに300℃で加熱乾燥することで、粉体を得た。この粉体を構成する粒子は、シリカ層と絶縁層(TEOS層)とからなる二層構造を有している。
[0073]
 (比較例6)
 比較例6では、粒子成長工程まで実施例2と同様に行うことで成長粒子の分散液を得た。
[0074]
 次に、成長粒子にカーボンブラックを吸収させた後、成長粒子を固化させることで、固化粒子を得た。カーボンブラックの吸収は、次のように行った。まず、水5000gに成長粒子の分散液100gを添加し、25℃で撹拌しながらカーボンブラックイソプロパノール分散液(固形分30質量%)20gを5分間かけて滴下することで、成長粒子の内部にカーボンブラックを吸収させた。約1時間経過後、5質量%ポリビニルアルコール水溶液600gを加えて30分撹拌し、次いで、25質量%アンモニア水を30g添加し、粒子を固化させることで、固化粒子を得た。得られた固化粒子をデカンテーションにより固液分離し、メタノールで3回洗浄した。洗浄後の固化粒子を2日間かけて自然乾燥し、さらに110℃で加熱乾燥させた。得られた固化粒子の色は、黒色であった。
[0075]
 黒色の固化粒子を大気雰囲気下、1000℃で3時間加熱することで、粉体を得た。
 (粒子の表面炭素分析:X線光電子分光法)
 粉体サンプルについて、粒子の表面の炭素含有量を測定した。まず、粉体をアルミニウム製の皿に敷き詰めた後、試料台に固定し、X線光電子分光装置内にセットした。X線光電子分光装置により、粉体の表面原子濃度を測定し、粒子表面炭素量(質量%)を算出した。X線光電子分光装置としては、アルバック・ファイ社製、商品名:PHI-5000 VersaprobeIIを用いた。X線光電子分光装置のX線源は、AlKα(1486.7eV、25W、モノクロ)であり、分析領域は、φ100μmとし、電子中和銃を使用した。なお、表面原子濃度は、検出元素(C、O、Si)のナロースペクトルにおけるピーク強度を基にして、アルバック・ファイ社提供の相対感度因子を用いて計算した。
[0076]
 (シリカ粒子中の炭素含有量測定)
 粉体サンプルについて、粒子中の炭素含有量測定を行った。炭素含有量測定では、炭素・硫黄分析装置(LECO社製、CS844型)を用いた高周波誘導加熱燃焼-赤外線吸収法によって炭素を定量した。炭素・硫黄分析装置の運転条件は、以下の通りである。
[0077]
 分析時間:40秒
 サイクルタイム:90秒
 キャリアガス:酸素(純度99.6%)
 駆動ガス:窒素
 キャリアガス流量:3L/分
 なお、炭素・硫黄分析装置のガスドージングは使用せず、標準試料としてLECO社製スチールレンズを使用し、1点検量線で定量した。
[0078]
 (Y値の測定)
 粉体サンプルのXYZ表色系におけるY値をJIS Z8701:1999に準拠して測定した。まず、分光光度計(V-670、日本分光株式会社製)に石英製の粉体用ホルダーをセットしてゼロ点補正を行った。次に、粉体用ホルダーに粉体を入れ、Y値の測定を行った。
[0079]
 (10%K値の測定)
 粉体サンプルにおける粒子10個の10%K値を測定し、それら10%K値の平均値を求めた。この測定には、微小圧縮試験機(MCTE-200、株式会社島津製作所製)を用いた。
[0080]
 (平均粒子径及びCV値)
 製造過程の粒子(粉体)、製造後の粉体をサンプリングし、コールターカウンターにて平均粒子径及びCV値を求めた。
[0081]
 (耐電圧試験)
 図1に示すように、耐電圧試験では、まず試験用のパネル10を作製した。パネル10は、上下一対のITO膜付き基板11,11の間に粒子12aと熱硬化性樹脂12bとの混合物からなる絶縁層12が挟み込まれたサンドイッチ状の構造を有する。上側のITO膜付き基板11と絶縁層12との接触面積、下側のITO膜付き基板11との接触面積は、いずれも500mm である。
[0082]
 パネル10を作成するには、まず熱硬化性樹脂(三井化学株式会社製、商品名:LCストラクトボンド XN-21-S)92質量部と粉体サンプル8質量部とを混合することで樹脂組成物を調製した。
[0083]
 次に、一対のITO膜付き基板11,11(30mm×25mm×1.1mm、株式会社イーエッチシー)の間に上記樹脂組成物を挟み込むことで積層体を作製した。この積層体の厚み方向に0.5MPaの圧力をかけながら、80℃1時間の熱処理で樹脂組成物を軟化させた後、120℃1時間の熱処理で樹脂組成物の硬化を行うことで上記パネル10を得た。
[0084]
 このパネル10において、一対のITO膜付き基板11,11の間に0Vから240Vまで毎秒5Vの速度で昇圧し、ITO膜付き基板11,11の間でショートが発生したときの電圧を求めた。1つの粒子サンプル毎に、パネル10を3枚作製し、1サンプル当たり電圧測定を合計3回行った。3回の電圧測定における実測値と、3回の電圧の平均値(耐電圧)を表1に示す。なお、電圧測定における実測値が240V以上の場合は、オーバーレンジ(O.L.)と判定した。
[0085]
 耐電圧試験の合否判定の基準値は、次のように設定した。一対の基板間のギャップが大きくなるほど、例えば、液晶の駆動電圧は高くなる傾向にあるため、粒子に対してもより高い耐電圧性能が要求される。一対の基板間のギャップの寸法、すなわち所定の粒径を有する粒子の絶縁破壊電圧について、ガラスの厚さとの絶縁破壊電圧との関係に基づく下記式によって算出した。
[0086]
 粒子の絶縁破壊電圧(V)=粒子の粒径(μm)×20(V/μm)
 上記粒子の絶縁破壊電圧を合否判定の基準値とし、この基準値を満たす粒子を合格と判定した。また、上記式により求められる粒子の絶縁破壊電圧が240Vを超える場合は、240Vを基準値とした。なお、海外での家庭用電源の電圧は、240Vである。
[0087]
 以上の結果を表1,2に示す。
[0088]
[表1]


[0089]
[表2]


 各実施例では、比較的高い黒色度を有し、かつ耐電圧試験にも合格した黒色粉体が得られることが分かる。
[0090]
 比較例1~3,5,6の粉体では、耐電圧試験の結果が不合格であった。比較例4では、黒色の粉体が得られなかった。
 比較例2の粉体について、JIS B9915に準拠し、水分量10体積%、測定温度80℃にて、粒子の体積抵抗値(見掛け電気抵抗率)を測定した結果、7.5×10 10Ω・cmであり、比較的高い値であった。すなわち、高電圧環境下の使用を想定した上記耐電圧試験では、比較的高い体積抵抗値を有していても、不合格の結果となることが分かる。
[0091]
 比較例5の粉体を構成する粒子は、シリカ層と絶縁層を有する二層構造を有するため、加圧時に絶縁層に生じた割れや、絶縁層自体の絶縁破壊電圧が低いことを要因として、耐電圧試験の結果が不合格になったと推測される。
[0092]
 比較例6の粉体を構成する粒子は、粒子表面に点在するカーボンブラックが除去され難く、粒子表面に所定量以上の炭素が残存しているため、耐電圧試験の結果が不合格になった。
[0093]
 なお、各実施例の黒色粉体を構成するシリカ粒子を比較的緻密に敷き詰められた状態とした場合、光の照射方法や視認する角度が所定の条件を満たすと、構造色を確認することができる。構造色の発現は、敷き詰められたシリカ粒子の配列が規則的であっても無秩序であっても確認することができた。例えば、重力や遠心力によって沈降させることで敷き詰められた状態の黒色粉体や、振動充填等により敷き詰められた状態の黒色粉体の表層において、赤色や緑色の構造色が確認される。実施例1の黒色粉体を光学顕微鏡で観察すると、個々のシリカ粒子の色は、いずれも黒色であることが確認できたが、実施例1の黒色粉体を透明容器に入れて振動充填を行い、ある程度緻密な粒子集合体とした場合、その表層部は全体として赤紫色の構造色を呈した。
[0094]
 また、実施例1で得られた黒色粉体を液晶パネルのスペーサーとして用いた場合の液晶分子の配向の状態について次のように評価した。
 まず、図1の試験用のパネル10の絶縁層12を構成する熱硬化性樹脂12bを液晶材料に変更した以外は、耐電圧試験用のパネル10と同様にして、試験用の液晶パネルを作製した。以下、図1と同様の構成については、図1の符号を援用して説明する。
[0095]
 液晶パネルは、上下一対のITO膜付き基板11,11の間に粒子12aと液晶材料との混合物からなる液晶層が挟み込まれたサンドイッチ状の構造を有する。上側のITO膜付き基板11と液晶層との接触面積、下側のITO膜付き基板11との接触面積は、いずれも500mm である。
[0096]
 液晶パネルを作製するには、まず液晶材料(メルク社製、ZLI-2293)92質量部と実施例1で得られた黒色粉体8質量部とを混合することで液晶組成物を調製した。
 次に、一対のITO膜付き基板11,11(30mm×25mm×1.1mm、株式会社イーエッチシー)の間に上記液晶組成物を挟み込むことで積層体を作製した。そして、積層体の外縁部の1辺を除いてシールし、この積層体の厚み方向に0.5MPaの圧力をかけ、余分な液晶組成物を取り除いた後、外縁部の残り1辺をシールし、試験用の液晶パネルを得た。
[0097]
 作製した液晶パネルに100Vの電圧を5秒間隔で切り替えながら印加し、72時間後に光学顕微鏡で粒子を観察し、光抜けを調べた。
 この液晶セルを用いた液晶表示素子は、点灯作動時に液晶分子とスペーサー粒子界面での液晶分子の異常配向に起因する光り抜けはほとんどなかった。これより、液晶分子におけるスペーサー界面からの影響は小さいことが分かった。
[0098]
 なお、比較例2で得られた粉体についても、上記と同様に試験用の液晶パネルを作製し、液晶分子の配向の状態について評価した結果、光抜けが発生した。

請求の範囲

[請求項1]
 炭素を含有するシリカ粒子から構成される黒色粉体であって、
 前記シリカ粒子は、単層構造を有し、
 X線光電子分光法により測定される、前記シリカ粒子の表面に含まれる炭素の含有量が1質量%以下であることを特徴とする黒色粉体。
[請求項2]
 前記シリカ粒子中の炭素の含有量が5質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の黒色粉体。
[請求項3]
 請求項1又は請求項2に記載の黒色粉体の製造方法であって、
 下記一般式(1):
 R Si(OR ・・・(1)
 (一般式(1)中、R は非加水分解性基であって、炭素数1~20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、又は、炭素数7~20のアラルキル基を示し、R は炭素数1~6のアルキル基を示し、各OR は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
 で表されるトリアルコキシシランから得られる縮合物を含む第1の粒子を得る工程と、
 前記第1の粒子中の有機成分を炭化させることで炭素を含有する第2の粒子を得る工程と、
 前記第2の粒子の表面に含まれる炭素を除去する工程と、を備えることを特徴とする黒色粉体の製造方法。

図面

[ 図 1]