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1. (WO2019044115) MASTER CYLINDER
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明 細 書

発明の名称 マスタシリンダ

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075  

産業上の利用可能性

0076  

符号の説明

0077  

請求の範囲

1   2  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : マスタシリンダ

技術分野

[0001]
 本発明は、車両の制動用シリンダへ液圧を供給するマスタシリンダに関する。
 本願は、2017年8月29日に、日本に出願された特願2017-164362号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 シール部材が配置される周溝に、シール部材のセンタリップ部の径方向外方への移動を規制する傾斜面を形成したマスタシリンダが知られている(例えば特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 日本国特許第5784228号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 圧力室からリザーバへのブレーキ液の流通を遮断するとともに逆方向のブレーキ液の流通を許容するシール部材を有するマスタシリンダにおいて、ブレーキ液流通時の流量を増大させる要望がある。
[0005]
 本発明は、ブレーキ液流通時の流量を増大させることが可能なマスタシリンダを提供する。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明の一態様によれば、マスタシリンダは、周溝が、溝底におけるシリンダ本体の底部側の端部から径方向内方に向けて径方向内側ほど前記底部側に位置するように傾斜する傾斜部を有し、前記シリンダ本体には、前記傾斜部に開口して前記周溝から前記底部側に向けて圧力室に延びる溝が形成されている。

発明の効果

[0007]
 上記したマスタシリンダによれば、ブレーキ液流通時の流量を増大させることが可能となる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 本発明の実施形態に係るマスタシリンダを示す断面図である。
[図2] 本発明の実施形態に係るマスタシリンダの要部を示す基本状態の部分拡大断面図である。
[図3] 本発明の実施形態に係るマスタシリンダの要部を示す通常制動時の状態を示す部分拡大断面図である。
[図4] 本発明の実施形態に係るマスタシリンダの要部を示すブレーキ液のポンプアップ時の状態を示す部分拡大断面図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すマスタシリンダ11は、図示略のブレーキペダルの操作量に応じた力が図示略のブレーキブースタの出力軸を介して導入され、ブレーキペダルの操作量に応じたブレーキ液圧を発生させる。このマスタシリンダ11には、鉛直方向上側にブレーキ液を給排するリザーバ12(図1において一部のみ図示)が取り付けられている。なお、本実施形態においては、マスタシリンダ11に直接リザーバ12を取り付けているが、マスタシリンダ11から離間した位置にリザーバを配置し、リザーバとマスタシリンダ11とを配管で接続するようにしても良い。
[0010]
 マスタシリンダ11は、シリンダ本体15を有している。シリンダ本体15は、底部13と筒部14とを有する有底筒状に一つの素材から加工されて形成される。シリンダ本体15は、第一側が開口部16とされ、第二側が底部13とされている。このシリンダ本体15内の開口部16側には、シリンダ本体15から一部突出して金属製のプライマリピストン18(ピストン)が移動可能に配置されている。また、シリンダ本体15内のプライマリピストン18よりも底部13側には、同じく金属製のセカンダリピストン19(ピストン)が移動可能に配置されている。プライマリピストン18には底面を有する内周孔21が形成されている。セカンダリピストン19には底面を有する内周孔22が形成されている。マスタシリンダ11は、いわゆるプランジャ型である。マスタシリンダ11は、上記したように2つのプライマリピストン18およびセカンダリピストン19を有するタンデムタイプのマスタシリンダである。なお、本発明の実施形態は、上記タンデムタイプのマスタシリンダに限られるものではなく、プランジャ型のマスタシリンダであれば、シリンダ本体に1つのピストンを配したシングルタイプのマスタシリンダや、3つ以上のピストンを有するマスタシリンダ等のいかなるプランジャ型のマスタシリンダにも適用できる。
[0011]
 シリンダ本体15には、その筒部14の中心軸線に直交する径方向(以下、シリンダ径方向と称す)の外側、すなわち中心軸線から遠い側に突出する取付台部23が、その筒部14の円周方向(以下、シリンダ周方向と称す)における所定位置に一体に形成されている。この取付台部23には、リザーバ12を取り付けるための取付穴24および取付穴25が形成されている。なお、本実施形態においては、取付穴24および取付穴25は、互いにシリンダ周方向における位置を一致させた状態で、シリンダ本体15の筒部14の中心軸線(以下、シリンダ軸と称す)方向における位置をずらして鉛直方向上部に形成されている。シリンダ本体15は、シリンダ軸方向が車両前後方向に沿う姿勢で車両に配置される。
[0012]
 シリンダ本体15の筒部14の取付台部23側には、底部13の近傍にブレーキ液の吐出路であるセカンダリ吐出路26(吐出路)が形成されている。また、セカンダリ吐出路26よりもシリンダ本体15の開口部16側にブレーキ液の吐出路であるプライマリ吐出路27(吐出路)が形成されている。これらセカンダリ吐出路26およびプライマリ吐出路27は、図示は略すが、ブレーキ配管を介してディスクブレーキやドラムブレーキ等の制動用シリンダに連通しており、制動用シリンダに向けてブレーキ液を吐出する。なお、本実施形態においては、これらセカンダリ吐出路26およびプライマリ吐出路27が、互いにシリンダ周方向における位置を一致させた状態でシリンダ軸方向における位置をずらして形成されている。
[0013]
 セカンダリ吐出路26およびプライマリ吐出路27には、マスタシリンダ11からブレーキ液をポンプアップして制動用シリンダに向けて吐出する等、制動用シリンダへのブレーキ液圧を制御して車両の姿勢制御や自動緊急ブレーキに用いられる図示略のESC装置が設けられている。
[0014]
 シリンダ本体15の筒部14の底部13側の内周部には、摺動内径部28が形成されている。摺動内径部28は、シリンダ径方向の内方に突出し、シリンダ周方向に環状に形成されている。セカンダリピストン19は、この摺動内径部28の最小内径面28aに摺動可能に嵌合されている。セカンダリピストン19は、この最小内径面28aで案内されてシリンダ軸方向に移動する。シリンダ本体15の筒部14の開口部16側の内周部には、摺動内径部29が形成されている。摺動内径部29は、シリンダ径方向の内方に突出し、シリンダ周方向に環状に形成されている。プライマリピストン18は、この摺動内径部29の最小内径面29aに摺動可能に嵌合されており、この最小内径面29aで案内されてシリンダ軸方向に移動する。
[0015]
 摺動内径部28には、シリンダ軸方向における位置をずらして複数、具体的には2カ所の、いずれも円環状をなす周溝30、周溝31が底部13側からこの順に形成されている。また、摺動内径部29にも、シリンダ軸方向における位置をずらして複数、具体的には2カ所の、いずれも円環状をなす周溝32、周溝33が底部13側からこの順に形成されている。
 周溝30,31は、シリンダ周方向に環状をなして最小内径面28aよりもシリンダ径方向の外側に凹む形状を有している。周溝32,33は、シリンダ周方向に環状をなして最小内径面29aよりもシリンダ径方向の外側に凹む形状を有している。周溝30~33は、シリンダ本体15内に形成されている。周溝30~33は、いずれも全体が切削加工により形成されている。
[0016]
 周溝30~33のうち最も底部13側にある周溝30は、取付穴24および取付穴25のうちの底部13側の取付穴24の近傍に形成されている。この周溝30内には、周溝30に保持されるように、円環状のピストンシール35(シール部材)が配置されている。
[0017]
 シリンダ本体15の摺動内径部28における周溝30よりも開口部16側には、開口溝37が形成されている。開口溝37は、最小内径面28aよりもシリンダ径方向の外側に凹む環状の溝である。この開口溝37は、底部13側の取付穴24から穿設される連通穴36を筒部14内に開口させる。ここで、この開口溝37と連通穴36とが、シリンダ本体15に設けられてリザーバ12に常時連通するセカンダリ補給路38(補給路)を構成している。言い換えれば、シリンダ本体15は、リザーバ12に連通するセカンダリ補給路38を有している。
[0018]
 シリンダ本体15の摺動内径部28の周溝30よりも底部13側には、連通溝41(溝)が形成されている。連通溝41は、周溝30に開口するとともに周溝30からシリンダ軸方向に直線状に底部13側に向けて延びる。連通溝41(溝)は、最小内径面28aよりもシリンダ径方向の外側に凹むように形成されている。この連通溝41は、底部13と周溝30との間であって底部13の近傍となる位置に形成されたセカンダリ吐出路26と周溝30とを後述のセカンダリ圧力室68を介して連通させる。連通溝41は、周溝30から底部13側に向けてセカンダリ圧力室68に延びている。
[0019]
 シリンダ本体15の摺動内径部28には、シリンダ軸線方向における上記開口溝37の周溝30とは反対側つまり開口部16側に、上記周溝31が形成されている。この周溝31内には、周溝31に保持されるように、円環状の区画シール42が配置されている。
[0020]
 シリンダ本体15の摺動内径部29には、開口部16側の取付穴25の近傍に、上記した周溝32が形成されている。この周溝32内には、周溝32に保持されるように、円環状のピストンシール45(シール部材)が配置されている。
[0021]
 シリンダ本体15の摺動内径部29におけるこの周溝32の開口部16側には、開口溝47が形成されている。開口溝47は、最小内径面29aよりもシリンダ径方向の外側に凹む環状の溝である。この開口溝47は、開口部16側の取付穴25から穿設される連通穴46を筒部14内に開口させる。ここで、この開口溝47と連通穴46とが、シリンダ本体15に設けられてリザーバ12に常時連通するプライマリ補給路48(補給路)を主に構成している。言い換えれば、シリンダ本体15は、リザーバ12に連通するプライマリ補給路48を有している。
[0022]
 シリンダ本体15の摺動内径部29の周溝32よりも底部13側には、連通溝51(溝)が形成されている。連通溝51は、周溝32に開口するとともに周溝32からシリンダ軸方向に直線状に底部13側に向けて延びる。連通溝51(溝)は、最小内径面29aよりもシリンダ径方向の外側に凹むように形成されている。この連通溝51は、周溝31と周溝32との間であって周溝31の近傍となる位置に形成されたプライマリ吐出路27と、周溝32とを後述するプライマリ圧力室85を介して連通させる。連通溝51は、周溝32から底部13側に向けてプライマリ圧力室85に延びている。
[0023]
 シリンダ本体15の摺動内径部29における上記開口溝47の周溝32とは反対側つまり開口部16に周溝33が形成されている。この周溝33内には、周溝33に保持されるように、円環状の区画シール52が配置されている。
[0024]
 シリンダ本体15の底部13側に配置されるセカンダリピストン19は、第1円筒状部55と、第1円筒状部55の軸線方向における一側に形成された底部56と、底部56の第1円筒状部55とは反対側に形成された第2円筒状部57とを有する形状をなしている。上記内周孔22は、第1円筒状部55と底部56とにより形成されている。セカンダリピストン19は、第1円筒状部55をシリンダ本体15の底部13側に配置した状態で、シリンダ本体15の摺動内径部28に設けられたピストンシール35および区画シール42のそれぞれの内周に摺動可能に嵌合される。
[0025]
 第1円筒状部55の底部56とは反対の端側外周部には、円環状の凹部59が形成されている。凹部59は、セカンダリピストン19の外周面19Aにおいて最も大径の最大外径面19aよりも径方向内方に凹む。この凹部59には、その底部56側にシリンダ径方向に貫通するポート60が複数、シリンダ周方向の等間隔位置に放射状に形成されている。
[0026]
 セカンダリピストン19とシリンダ本体15の底部13との間には、間隔調整部63が設けられている。間隔調整部63は、図示略のブレーキブースタの出力軸から入力がない非制動状態でこれらの間隔を決めるセカンダリピストンスプリング62を含む。この間隔調整部63は、シリンダ本体15の底部13に当接する係止部材64と、この係止部材64に所定範囲内でのみ摺動するように連結されてセカンダリピストン19の底部56に当接する係止部材65とを有している。上記セカンダリピストンスプリング62は、係止部材64と係止部材65との間に介装されている。
[0027]
 シリンダ本体15の底部13および筒部14の底部13側とセカンダリピストン19とで囲まれて形成される部分が、ブレーキ液圧を発生してセカンダリ吐出路26にブレーキ液圧を供給するセカンダリ圧力室68(圧力室)を構成する。言い換えれば、セカンダリピストン19は、シリンダ本体15との間に、セカンダリ吐出路26に液圧を供給するセカンダリ圧力室68を形成している。このセカンダリ圧力室68は、セカンダリピストン19がポート60をセカンダリ補給路38に開口させる位置にあるとき、セカンダリ補給路38つまりリザーバ12に連通する。
[0028]
 シリンダ本体15の周溝31に保持される区画シール42は、合成ゴムからなる一体成形品である。区画シール42は、その中心線を含む径方向断面の片側形状がC字状をなしている。区画シール42は、内周が、シリンダ軸方向に移動するセカンダリピストン19の外周面19Aに摺接するとともに、外周がシリンダ本体15の周溝31に当接する。これにより、区画シール42は、セカンダリピストン19およびシリンダ本体15の区画シール42の位置の隙間を常時密封する。
[0029]
 シリンダ本体15の周溝30に保持されるピストンシール35は、EPDM等の合成ゴムからなる一体成形品である。ピストンシール35は、その中心線を含む径方向断面の片側形状がE字状をなしている。ピストンシール35の内周は、シリンダ軸方向に移動するセカンダリピストン19の外周面19Aに摺接する。また、ピストンシール35の外周は、シリンダ本体15の周溝30に当接する。周溝30に設けられるこのピストンシール35は、セカンダリピストン19がポート60をピストンシール35よりも底部13側に位置させた状態では、セカンダリ補給路38とセカンダリ圧力室68との間を密封可能に構成されている。つまり、ピストンシール35は、セカンダリ圧力室68と、セカンダリ補給路38およびリザーバ12との連通を遮断して密封することが可能となっている。この密封状態で、セカンダリピストン19が、シリンダ本体15の摺動内径部28およびシリンダ本体15に保持されたピストンシール35および区画シール42の内周で摺動して底部13側に移動することによって、セカンダリ圧力室68内のブレーキ液が加圧される。セカンダリ圧力室68内で加圧されたブレーキ液は、セカンダリ吐出路26から車輪側の制動用シリンダに供給される。
[0030]
 図示略のブレーキブースタの出力軸から入力がなく、上述のセカンダリピストン19が図1に示すようにポート60をセカンダリ補給路38に開口させる基本位置(非制動位置)にあるときに、ピストンシール35は、上記セカンダリピストン19の凹部59内にあって、ポート60にその一部がシリンダ軸方向に重複する。そして、セカンダリピストン19がシリンダ本体15の底部13側へ移動してピストンシール35の内周部がポート60に全て重なると、セカンダリ圧力室68とリザーバ12との連通が遮断される。
[0031]
 シリンダ本体15の開口部16側に配置されるプライマリピストン18は、第1円筒状部71と、第1円筒状部71の軸線方向における一側に形成された底部72と、底部72の第1円筒状部71とは反対側に形成された第2円筒状部73とを有する形状をなしている。上記内周孔21は、第1円筒状部71と底部72とにより形成されている。プライマリピストン18は、第1円筒状部71をシリンダ本体15内のセカンダリピストン19側に配置した状態で、シリンダ本体15の摺動内径部29に設けられたピストンシール45および区画シール52のそれぞれの内周に摺動可能に嵌合される。第2円筒状部73の内側には、図示略のブレーキブースタの出力軸が挿入される。この出力軸によって底部72が押圧される。
[0032]
 第1円筒状部71の底部72とは反対の端側外周部には、円環状の凹部75が形成されている。凹部75は、プライマリピストン18の外周面18Aにおいて最も大径の最大外径面18aよりも径方向内方に凹む。この凹部75には、その底部72側に径方向に貫通するポート76が複数、シリンダ周方向の等間隔位置に、放射状に形成されている。
[0033]
 セカンダリピストン19とプライマリピストン18との間には、間隔調整部79が設けられている。間隔調整部79は、図示略のブレーキブースタの出力軸から入力がない非制動状態でこれらの間隔を決めるプライマリピストンスプリング78を含む。この間隔調整部79は、プライマリピストン18の底部72に当接する係止部材81と、セカンダリピストン19の底部56に当接する係止部材82と、係止部材81に一端部が固定されるとともに係止部材82を所定範囲内でのみ摺動自在に支持する軸部材83とを有している。上記プライマリピストンスプリング78は、係止部材81と係止部材82との間に介装されている。
[0034]
 ここで、シリンダ本体15の筒部14とプライマリピストン18とセカンダリピストン19とで囲まれて形成される部分が、ブレーキ液圧を発生してプライマリ吐出路27にブレーキ液を供給するプライマリ圧力室85(圧力室)を構成する。言い換えれば、プライマリピストン18は、セカンダリピストン19およびシリンダ本体15との間に、プライマリ吐出路27に液圧を供給するプライマリ圧力室85を形成している。このプライマリ圧力室85は、プライマリピストン18がポート76をプライマリ補給路48に開口させる位置にあるとき、プライマリ補給路48つまりリザーバ12に連通する。
[0035]
 シリンダ本体15の周溝33に保持される区画シール52は、区画シール42と共通の部品である。区画シール52は、合成ゴムからなる一体成形品である。区画シール52は、その中心線を含む径方向断面の片側形状がC字状をなしている。区画シール52は、内周が、シリンダ軸方向に移動するプライマリピストン18の外周面18Aに摺接するとともに、外周がシリンダ本体15の周溝33に当接する。これにより、区画シール52は、プライマリピストン18およびシリンダ本体15の区画シール52の位置の隙間を常時密封する。
[0036]
 シリンダ本体15の周溝32に保持されるピストンシール45は、ピストンシール35と共通の部品である。ピストンシール45は、EPDM等の合成ゴムからなる一体成形品である。ピストンシール45は、その中心線を含む径方向断面の片側形状がE字状をなしている。ピストンシール45の内周は、シリンダ軸方向に移動するプライマリピストン18の外周面18Aに摺接する。ピストンシール45の外周は、シリンダ本体15の周溝32に当接する。周溝32に設けられるこのピストンシール45は、プライマリピストン18がポート76をピストンシール45よりも底部13側に位置させた状態では、プライマリ補給路48とプライマリ圧力室85との間を密封可能となっている。つまり、ピストンシール45は、プライマリ圧力室85と、プライマリ補給路48およびリザーバ12との連通を遮断して密封することが可能となっている。この密封状態で、プライマリピストン18が、シリンダ本体15の摺動内径部29およびシリンダ本体15に保持されたピストンシール45および区画シール52の内周で摺動して底部13側に移動することによって、プライマリ圧力室85内のブレーキ液が加圧される。プライマリ圧力室85内で加圧されたブレーキ液は、プライマリ吐出路27から車輪側の制動用シリンダに供給される。
[0037]
 図示略のブレーキブースタの出力軸から入力がなく、プライマリピストン18が図1に示すようにポート76をプライマリ補給路48に開口させる基本位置(非制動位置)にあるときに、ピストンシール45は、上記プライマリピストン18の凹部75内にあって、ポート76にその一部がシリンダ軸方向に重複する。そして、プライマリピストン18がシリンダ本体15の底部13側へ移動してピストンシール45の内周部がポート76に全て重なると、プライマリ圧力室85とリザーバ12との連通が遮断される。
[0038]
 ここで、シリンダ本体15の周溝30、連通溝41およびこれらの近傍部分と、ピストンシール35と、ピストンシール35の摺接部分である、セカンダリピストン19の凹部59およびポート60を含む第1円筒状部55の先端部分とからなる構造部を、セカンダリ補給路38とセカンダリ圧力室68との連通および遮断を切り替えるセカンダリ側のシール構造部SSと称する。また、シリンダ本体15の周溝32、連通溝51およびこれらの近傍部分と、ピストンシール45と、ピストンシール45の摺接部分である、プライマリピストン18の凹部75およびポート76を含む第1円筒状部71の先端部分とからなる構造部を、プライマリ補給路48とプライマリ圧力室85との連通および遮断を切り替えるプライマリ側のシール構造部SPと称する。
[0039]
 ピストンシール35およびピストンシール45は同形状の共通部品である。周溝30および連通溝41は、周溝32および連通溝51と同形状である。凹部59およびポート60は、凹部75およびポート76と同形状であって、セカンダリ側のシール構造部SSとプライマリ側のシール構造部SPとは同様の構造である。したがって、以下においては、これらの詳細についてプライマリ側のシール構造部SPを例にとり、主に図2~図4を参照して説明する。シリンダ軸方向におけるシリンダ本体15の開口部16側を、シリンダ開口側と称する。シリンダ軸方向におけるシリンダ本体15の底部13側を、シリンダ底側と称す。
[0040]
 図2に示すように、周溝32は、その凹み方向の奥側、すなわちシリンダ径方向の外側に溝底88を有している。また、周溝32は、周壁89を有している。周壁89は、溝底88におけるシリンダ開口側の端縁部からシリンダ径方向の内方に延出する。さらに、周溝32は、周壁90を有している。周壁90は、溝底88におけるシリンダ底側の端縁部からシリンダ径方向の内方に延出する。これら溝底88、周壁89および周壁90は、シリンダ本体15自体に形成されている。溝底88、周壁89および周壁90は、シリンダ本体15に対する切削加工により形成されている。
[0041]
 溝底88は溝底面部88aを有している。溝底面部88aは、シリンダ軸を中心とする円筒面であり、シリンダ軸方向の長さがシリンダ周方向の全周に亘って一定となっている。
[0042]
 周溝32のシリンダ開口側の周壁89は、シリンダ軸の直交面に平行な平坦面からなる壁面部89aを有している。壁面部89aは、溝底面部88aのシリンダ開口側の端縁部からシリンダ径方向の内方に広がっている。壁面部89aは、シリンダ周方向の全周に亘って、一定内径かつ一定外径でシリンダ径方向に一定幅である。壁面部89aは、シリンダ軸を中心とする円環状をなしている。
[0043]
 周溝32のシリンダ底側の周壁90は、周壁89に対し、シリンダ径方向の位置を重ね合わせてシリンダ軸方向に対向している。周壁90は、シリンダ径方向の外側、すなわち周溝32の径方向の外側の傾斜部91と、シリンダ径方向の内側、すなわち周溝32の径方向の内側の軸直交部92とを有している。
[0044]
 傾斜部91は、傾斜壁面部91aを有している。傾斜壁面部91aは、溝底面部88aのシリンダ底側の端縁部から周溝32の径方向の内方に向けて、径方向の内側ほどシリンダ軸方向においてシリンダ底側に位置するように傾斜して延出する。傾斜壁面部91aは、テーパ面である。傾斜壁面部91aは、言い換えれば、周溝32の溝底88のシリンダ底側の端部から、周溝32の径方向の内側に向けて形成された面であって、周溝32の径方向の内側になるにつれてシリンダ底側になるように傾斜している。よって、傾斜部91は、溝底88のシリンダ底側の端縁部から周溝32の径方向の内方に向けて周溝32の径方向の内側ほどシリンダ底側に位置するように傾斜して延出している。さらに言い換えれば、溝底88は片側の軸方向端部がテーパ面である傾斜壁面部91a、すなわち傾斜部91で埋められた形状となっている。
[0045]
 軸直交部92は、軸直交壁面部92aと、R面取面92bと、を有している。軸直交壁面部92aは、周溝32の径方向における傾斜壁面部91aの内側の端縁部から、シリンダ軸に対し直交する面に平行なして周溝32の径方向の内側に広がる平坦面から構成されている。R面取面92bは、周溝32の径方向における軸直交壁面部92aの内側の端縁部と周溝32よりもシリンダ底側の摺動内径部29の最小内径面29aとを繋ぐ湾曲面から構成されている。
[0046]
 ここで、上記した連通溝51は、傾斜部91の傾斜壁面部91aと、軸直交部92の軸直交壁面部92aおよびR面取面92bと、周溝32よりもシリンダ底側の摺動内径部29の最小内径面29aとに連続して開口している。よって、シリンダ本体15には、傾斜部91に開口して周溝32からシリンダ底側に向けて延びる連通溝51が形成されている。連通溝51は、傾斜部91の傾斜壁面部91aに対しては、周溝32の径方向における中間位置から内側の一部のみに開口している。言い換えれば、シリンダ径方向において、連通溝51は、最も深さが深い最深部51aの位置が、傾斜壁面部91aの中間部と一致している。
[0047]
 傾斜壁面部91aは、連通溝51の開口部分を除き、シリンダ周方向の全周に亘って、一定内径かつ一定外径でシリンダ径方向に一定幅となっている。傾斜壁面部91aは、シリンダ軸を中心とする円環状をなしている。軸直交壁面部92aも、連通溝51の開口部分を除き、シリンダ周方向の全周に亘って、一定内径かつ一定外径でシリンダ径方向に一定幅となっており、シリンダ軸を中心とする円環状をなしている。
[0048]
 プライマリピストン18の第1円筒状部71に形成された凹部75は、円筒面75aとテーパ面75bとテーパ面75cとを有している。円筒面75aは、プライマリピストン18において最も大径である円筒面状の最大外径面18aよりも小径となっており、全周にわたって軸方向に一定幅となっている。テーパ面75bは、円筒面75aのシリンダ開口側の端縁部からシリンダ開口側ほど大径となるように傾斜して延出し、最大外径面18aの凹部75よりもシリンダ開口側の部分に繋がっている。プライマリ圧力室85に常時連通するポート76は、テーパ面75b内のシリンダ開口側に形成されており、そのシリンダ開口側の端部がテーパ面75bのシリンダ開口側の端部と一致している。テーパ面75bは、ポート76の形成部分を除いて軸方向に一定幅となっている。テーパ面75cは、円筒面75aのシリンダ底側の端縁部からシリンダ底側ほど大径となるように傾斜して延出し、最大外径面18aの凹部75よりもシリンダ底側の部分に繋がっている。テーパ面75cは、全周に亘って軸方向に一定幅となっている。
[0049]
 これら円筒面75a、テーパ面75bおよびテーパ面75cは、最大外径面18aと同様にプライマリピストン18の中心軸を中心に形成されている。テーパ面75bはテーパ面75cよりも軸方向の長さが長い。よって、テーパ面75bはテーパ面75cよりも小さいテーパとなっている。
[0050]
 周溝32に配置されるピストンシール45は、ベース部101と内周リップ部102と外周リップ部103と中間リップ部104とを有している。ベース部101は、ピストンシール45におけるシリンダ開口側に配置されている。ベース部101は、ピストンシール45の軸直交面に平行な円環板状をなしている。内周リップ部102は、ベース部101の内周端縁部からシリンダ軸方向に沿ってシリンダ底側に向け延出する円環筒状をなしている。外周リップ部103は、ベース部101の外周端縁部からシリンダ軸方向に沿ってシリンダ底側に向けて延出する円環筒状をなしている。中間リップ部104は、外周リップ部103と内周リップ部102との間にあってベース部101からシリンダ軸方向に沿ってシリンダ底側に向けて突出する円環筒状をなしている。中間リップ部104、内周リップ部102および外周リップ部103は、ベース部101からのシリンダ軸方向の突出量がほぼ同等になっている。
[0051]
 ピストンシール45の内周リップ部102は、シリンダ軸方向に移動するプライマリピストン18の、上記した円筒面75a、テーパ面75b、テーパ面75cおよび最大外径面18aを含む外周面18Aに摺接する。ピストンシール45の外周リップ部103は、シリンダ本体15の周溝32の溝底88の溝底面部88aに当接する。言い換えれば、ピストンシール45は、プライマリピストン18の外周面18Aに摺接する内周リップ部102と、シリンダ本体15の周溝32に当接する外周リップ部103と、これらの間の中間リップ部104と、これらが突出して設けられる円環状のベース部101と、を有している。ピストンシール45は、ベース部101のシリンダ開口側の端面101aが、周壁89の壁面部89aに当接可能となっている。
[0052]
 図2は、図示略のブレーキブースタの出力軸側から入力がないマスタシリンダ11の基本状態(ブレーキペダルが操作される前の非制動状態)を示している。この基本状態にあるとき、ピストンシール45の内周リップ部102は、プライマリピストン18の凹部75の円筒面75aおよびテーパ面75bに密着しており、外周リップ部103は、周溝32の溝底88の溝底面部88aに当接している。また、この基本状態にあるとき、ピストンシール45は、ベース部101の端面101aが周壁89の壁面部89aに当接している。
[0053]
 マスタシリンダ11が基本状態にあるとき、プライマリピストン18は、図2に示す基本位置(非制動位置)に位置する。プライマリピストン18がこの基本位置にあるときに、ポート76はプライマリ補給路48に連通している。プライマリピストン18が基本位置にあるときに、ピストンシール45は、その内周リップ部102がプライマリピストン18の凹部75の円筒面75aの位置にあり、ベース部101がテーパ面75bの位置にあって、ベース部101の内周部がポート76のシリンダ底側の一部にシリンダ軸方向の位置を重ね合わせている。
[0054]
 マスタシリンダ11が基本状態にあるとき、ピストンシール45は、外周リップ部103が周溝32の傾斜部91の傾斜壁面部91aとシリンダ径方向の位置を重ね合わせてシリンダ軸方向に対向し当接している。言い換えれば、ピストンシール45は、シリンダ底側に移動した際に外周リップ部103の先端が傾斜部91と当接する位置に配置されている。また、この基本状態で、外周リップ部103は、連通溝51の最深部51aの位置とシリンダ径方向の位置を重ね合わせてシリンダ軸方向に対向している。また、この基本状態では、中間リップ部104が軸直交部92の軸直交壁面部92aとシリンダ径方向の位置を重ね合わせてシリンダ軸方向に対向して離間しており、内周リップ部102が軸直交部92の軸直交壁面部92aおよびR面取面92bとシリンダ径方向の位置を重ね合わせてシリンダ軸方向に対向して離間している。
[0055]
 そして、通常制動時に、図示略のブレーキブースタの出力軸側から入力があって、プライマリピストン18が基本位置からシリンダ底側へ移動すると、ピストンシール45は、プライマリピストン18とともに周溝32内で周壁90側に移動する。その結果、ピストンシール45は、内周リップ部102の先端部および中間リップ部104の先端部において周壁90の軸直交壁面部92aに当接して、シリンダ底側への移動が規制される。なお、ピストンシール45が周溝32内で周壁90側に移動すると、外周リップ部103は、傾斜部91の傾斜壁面部91aに当接するその先端部が、この傾斜壁面部91aの傾斜によって、周溝32の径方向の内方に移動する。また、ベース部101の端面101aが周壁89の壁面部89aから離れる。
[0056]
 プライマリピストン18が、さらにシリンダ底側へ移動すると、周壁90の軸直交壁面部92aに当接してシリンダ底側への移動が規制されているピストンシール45は、移動するプライマリピストン18に対し、その外周面18Aを摺動して、ベース部101および内周リップ部102が凹部75のテーパ面75bをシリンダ開口側に移動する。
[0057]
 プライマリピストン18が、さらにシリンダ底側へ移動すると、プライマリピストン18の外周面18Aを摺接するピストンシール45は、ポート76を越えポート76を閉塞して、プライマリ圧力室85とプライマリ補給路48とのポート76を介しての連通を遮断した後、全体としてプライマリピストン18の最大外径面18aのシリンダ開口側の部分に乗り上げる。
[0058]
 上記のようにピストンシール45が、プライマリ圧力室85とプライマリ補給路48とのポート76を介しての連通を遮断する位置からプライマリピストン18がシリンダ底側に位置する範囲では、基本的に、大気圧であるプライマリ補給路48の液圧よりもプライマリ圧力室85の液圧の方が高くなる。すると、この液圧差で、ピストンシール45は、外周リップ部103が溝底88の溝底面部88aに全周に亘って押し付けられる。これにより、常時プライマリピストン18に押し付けられている内周リップ部102およびこれらを結ぶベース部101とで、プライマリ圧力室85とプライマリ補給路48との間の周溝32とプライマリピストン18との間を介しての連通を遮断する。これにより、プライマリ圧力室85を密封する。その結果、プライマリ圧力室85内の液圧が上昇しプライマリ圧力室85内のブレーキ液が図1に示すプライマリ吐出路27から車輪側の制動用シリンダに供給される。
[0059]
 ピストンシール45は、上記したプライマリ圧力室85の液圧上昇によって周溝32内でプライマリ補給路48側つまり周壁89側に移動する。すると、中間リップ部104および内周リップ部102が周壁90から離れた後、図3に示すように、ベース部101が端面101aにおいて周壁89の壁面部89aに当接する。この間も、ピストンシール45は、プライマリ圧力室85とプライマリ補給路48との液圧差で、外周リップ部103が溝底88の溝底面部88aに全周に亘って押し付けられた状態を維持する。これにより、プライマリ圧力室85とプライマリ補給路48との周溝32とプライマリピストン18との間を介しての連通を遮断する。
[0060]
 プライマリピストン18がシリンダ底側へ移動した状態から、制動を解除するために図示略のブレーキペダルを戻すと、図1に示す間隔調整部63の付勢力によってシリンダ開口側に移動するプライマリピストン18と、図1に示す間隔調整部79の付勢力とによって、プライマリピストン18が図2に示す基本位置に戻る。
[0061]
 図3に示すように、プライマリピストン18がポート76をピストンシール45よりシリンダ底側に位置させた液圧保持状態で、ESC装置によるポンプアップによってプライマリ圧力室85内の液圧が低下すると、大気圧であるプライマリ補給路48の液圧とプライマリ圧力室85の液圧とが等しくなった後、プライマリ圧力室85内の液圧は負圧となり、大気圧であるプライマリ補給路48の液圧よりもプライマリ圧力室85の液圧の方が低くなる。
[0062]
 すると、このプライマリ圧力室85内の負圧が、図4に示すように、ピストンシール45を吸引して周壁90側に移動させてベース部101を周壁89から離間させるとともに、ピストンシール45の外周リップ部103を周溝32の溝底88から離間させる。しかも、このピストンシール45の周壁90側への移動で、外周リップ部103は、傾斜部91の傾斜壁面部91aに当接するその先端部が、この傾斜壁面部91aの傾斜によって、シリンダ径方向の内方に移動する。すると、外周リップ部103は、ベース部101側を中心としてシリンダ径方向の内方に倒れ込み、周壁90への当接位置が連通溝51の最深部51aよりもシリンダ径方向の内側に位置する。これにより、連通溝51が周溝32の溝底88とピストンシール45との間の部分に連通する。
[0063]
 その結果、プライマリ補給路48のブレーキ液が、図4に破線矢印Xで示すように、周壁89とベース部101との隙間と、溝底88と外周リップ部103との隙間と、連通溝51内の通路とを介して、プライマリ圧力室85に補給される。これにより、ESC装置によるポンプアップに対して、大流量でブレーキ液を補給することができる。
[0064]
 なお、ピストンシール45の周壁90側への移動時に、外周リップ部103は、傾斜壁面部91aを基点として変形するため、姿勢が安定する。よって、溝底88と外周リップ部103との隙間と、連通溝51内の通路とを安定した通路面積で連通させることができる。
[0065]
 ここで、マスタシリンダ11においては、プライマリピストン18がポート76をプライマリ補給路48に開口させた状態でのプライマリ補給路48からプライマリ圧力室85へのブレーキ液の流量である静的フローレートより、プライマリピストン18がポート76をプライマリ補給路48に開口させない状態でのプライマリ補給路48からプライマリ圧力室85へのブレーキ液の流量である動的フローレートの方が、ポート76が閉じられているため低い。本実施形態のマスタシリンダ11は、この動的フローレートを向上することができる。
[0066]
 上記した特許文献1に記載のマスタシリンダは、シール部材が配置される周溝に、シール部材のセンタリップ部の径方向外方への移動を規制する傾斜面を形成している。ところで、圧力室からリザーバへのブレーキ液の流通を遮断するとともに逆方向のブレーキ液の流通を許容するシール部材を有するマスタシリンダにおいて、ブレーキ液流通時の流量を増大させる要望がある。上記のマスタシリンダでは、リザーバから圧力室へのブレーキ液の流通時に、シール部材の外周リップ部が周溝の溝底から離れてブレーキ液を流す。しかしながら、圧力室側に吸引されたシール部材は、周溝内で圧力室側に移動して周溝のシリンダ底側の周壁に当接する。このシール部材の周壁への当接によって、リザーバから圧力室へのブレーキ液の流量を所望のようには増大できない可能性がある。
[0067]
 これに対して、本実施形態のマスタシリンダ11は、周溝32が、溝底88におけるシリンダ底側の端部から周溝32の径方向の内方に向けて径方向の内側ほどシリンダ底側に位置するように傾斜して延出する傾斜部91を有している。このため、プライマリ圧力室85の液圧が下がり、ピストンシール45がプライマリ圧力室85側に吸引されてシリンダ底側に移動すると、その外周リップ部103が傾斜部91の傾斜で案内されて径方向の内方に変形する。これにより、傾斜部91に開口する連通溝51を外周リップ部103と溝底88との間に連通させることができ、ブレーキ液流通時の流量を増大させることができる。
[0068]
 また、このようにブレーキ液流通時の流量を増大させることができる結果、ブレーキペダルの早戻しにてプライマリ圧力室85が負圧状態となるが、プライマリピストン18のポート76がプライマリ補給路48まで達することにより、プライマリ圧力室85の負圧が急激に解除されることで生じるウォータハンマノイズを低減することができる。
[0069]
 また、ピストンシール45は、シリンダ底側に移動した際に外周リップ部103の先端が傾斜部91と当接する位置に配置されている。このため、ピストンシール45がプライマリ圧力室85側に吸引されてシリンダ底側に移動したときに、その外周リップ部103を傾斜部91の傾斜で円滑に周溝32の径方向の内方に変形させることができる。これにより、傾斜部91に開口する連通溝51を外周リップ部103と溝底88との間に円滑に連通させることができ、ブレーキ液流通時の流量を円滑に増大させることができる。
[0070]
 ピストンシール45がシリンダ底側に移動した際に、外周リップ部103は、周溝32の傾斜部91を基点として倒れるため、ピストンシール45の姿勢を安定させることができる。
[0071]
 上記のように傾斜部91に開口する連通溝51を外周リップ部103と溝底88との間に連通させることができるため、ピストンシール45の中間リップ部104の先端部に流路形成用の溝を形成しなくても済み、中間リップ部104の強度を向上させることができる。
[0072]
 なお、以上の実施形態においては、ピストンシール45と、シリンダ本体15の周溝32および連通溝51と、凹部75およびポート76を有する第1円筒状部71と、を含むプライマリ側のシール構造部SPを例にとり詳細に説明したが、ピストンシール45と同形状のピストンシール35と、周溝32および連通溝51と同形状の周溝30および連通溝41と、凹部75およびポート76と同形状の凹部59およびポート60と、を含むセカンダリ側のシール構造部SSも同様の構造で同様に動作する。よって、シール構造部SSもシール構造部SPと同様の効果を奏する。
[0073]
 また、以上の実施形態においては、ベース部101、内周リップ部102、外周リップ部103および中間リップ部104を有する断面E字状のピストンシール35,45を例にとり説明したが、上記構成は、ベース部と内周リップ部と外周リップ部とからなり、中間リップ部のない断面C字状のピストンシールを使用する場合についても有効である。
[0074]
 以上の実施形態の第1の態様によれば、マスタシリンダは、一側が開口部とされ他側が底部とされる有底筒状をなしてブレーキ液の吐出路とリザーバに連通する補給路とを有するシリンダ本体と、該シリンダ本体内に移動可能に配置され、該シリンダ本体との間に前記吐出路から液圧を供給する圧力室を形成するピストンと、前記シリンダ本体内に形成される周溝内に設けられ前記補給路と前記圧力室との間を密封可能なシール部材とを有する。前記シール部材は、前記周溝における前記開口部側の周壁に当接可能なベース部と、該ベース部から前記底部側に向けて延出して前記ピストンの外周に摺接する内周リップ部と、前記ベース部から前記底部側に向けて延出して前記周溝の溝底に当接する外周リップ部と、を有する。前記周溝は、前記溝底の前記底部側の端部から径方向内方に向けて径方向内側ほど前記底部側に位置するように傾斜する傾斜部を有する。前記シリンダ本体には、前記傾斜部に開口して前記周溝から前記底部側に向けて前記圧力室に延びる溝が形成されている。これにより、ブレーキ液流通時の流量を増大させることが可能となる。
[0075]
 第2の態様によれば、上記第1の態様において、前記シール部材は、前記底部側に移動した際に前記外周リップ部の先端が前記傾斜部と当接する位置に配置されていてもよい。これにより、ブレーキ液流通時の流量を円滑に増大させることが可能となる。

産業上の利用可能性

[0076]
 上記したマスタシリンダによれば、ブレーキ液流通時の流量を増大させることが可能となる。

符号の説明

[0077]
 11  マスタシリンダ
 12  リザーバ
 13  底部
 15  シリンダ本体
 16  開口部
 18  プライマリピストン(ピストン)
 19  セカンダリピストン(ピストン)
 26  セカンダリ吐出路(吐出路)
 27  プライマリ吐出路(吐出路)
 30,32  周溝
 35,45  ピストンシール(シール部材)
 38  セカンダリ補給路(補給路)
 41,51  連通溝(溝)
 48  プライマリ補給路(補給路)
 68  セカンダリ圧力室(圧力室)
 85  プライマリ圧力室(圧力室)
 88  溝底
 89  周壁
 91  傾斜部
 101  ベース部
 102  内周リップ部
 103  外周リップ部

請求の範囲

[請求項1]
 第一側が開口部とされ第二側が底部とされる有底筒状をなして、ブレーキ液の吐出路とリザーバに連通する補給路とを有するシリンダ本体と、
 該シリンダ本体内に移動可能に配置され、該シリンダ本体との間に前記吐出路から液圧を供給する圧力室を形成するピストンと、
 前記シリンダ本体内に形成される周溝内に設けられ前記補給路と前記圧力室との間を密封可能なシール部材と、
 を備え、
 前記シール部材は、
 前記周溝における前記開口部側の周壁に当接可能なベース部と、
 該ベース部から前記底部側に向けて延出して前記ピストンの外周に摺接する内周リップ部と、
 前記ベース部から前記底部側に向けて延出して前記周溝の溝底に当接する外周リップ部と、を有し、
 前記周溝は、前記溝底の前記底部側の端部から径方向内方に向けて径方向内側ほど前記底部側に位置するように傾斜する傾斜部を有し、
 前記シリンダ本体には、前記傾斜部に開口して前記周溝から前記底部側に向けて前記圧力室に延びる溝が形成されている
 マスタシリンダ。
[請求項2]
 前記シール部材は、前記底部側に移動した際に前記外周リップ部の先端が前記傾斜部と当接する位置に配置されている
 請求項1記載のマスタシリンダ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]