Algum conteúdo deste aplicativo está indisponível no momento.
Se esta situação persistir, por favor entre em contato conoscoFale conosco & Contato
1. (WO2019031361) PELLICLE AND METHOD FOR PRODUCING PELLICLE
Document

明 細 書

発明の名称 ペリクルおよびペリクルの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031  

発明の効果

0032  

図面の簡単な説明

0033  

発明を実施するための形態

0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117  

符号の説明

0118  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25  

明 細 書

発明の名称 : ペリクルおよびペリクルの製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、ペリクルおよびペリクルの製造方法に関し、より特定的には、SiC膜を含むペリクルおよびペリクルの製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 半導体デバイスの製造プロセスに用いられるフォトリソグラフィ技術においては、半導体ウエハにレジストを塗布し、塗布したレジストの必要な箇所に対してフォトマスクを用いて露光光を照射することにより、半導体ウエハ上に必要な形状のレジストパターンが作製される。レジストに対して露光光を照射する際には、ペリクルと呼ばれる防塵用のカバーでフォトマスク覆うことにより、フォトマスクへの異物の付着が防止される。ペリクルのペリクル膜としては、露光光の透過性が高く、露光光に対する耐性が高い(高温時の変質や変形が少ない)材料が適しており、Si(ケイ素)などが用いられている。
[0003]
 半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体デバイスの微細化に伴い、フォトリソグラフィ技術の微細化に対する要求が高まっている。近年では、露光光として従来のKrF(フッ化クリプトン)エキシマレーザーを光源とする光(248nm)やArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザーを光源とする光(193nm)などよりも短波長であるEUV(Extreme Ultra Violet)光(13.5nm)などを用いることが検討されている。
[0004]
 光のエネルギーは波長の長さに反比例して大きくなるため、露光光の波長が短くなるとペリクル膜が露光光から受けるエネルギーは大きくなる。このため、露光光の短波長化に伴って、ペリクル膜には露光光に対するより高い耐性が要求されており、このようなペリクル膜の材料として、Siよりも熱的および化学的に安定であるSiC(炭化ケイ素)を用いることが提案されている。
[0005]
 SiCよりなるペリクル膜の製造方法に関する技術は、たとえば下記特許文献1~3などに開示されている。
[0006]
 下記特許文献1には、シリコンウエハ上にLPCVD法により多結晶SiC膜を成膜し、CMP法により多結晶SiC膜を150nmの厚さに研磨し、KOH(水酸化カリウム)水溶液を用いてシリコンウエハをウエットエッチングすることにより、メッシュ状のシリコンウエハを支持材とするSiCよりなるペリクル膜を作製する技術が開示されている。
[0007]
 下記特許文献2には、10nm以上100nm以下の厚さのペリクル膜を基板上に形成し、ペリクル膜が形成された面とは反対側の基板の面をエッチングし、基板の一部を除去して、ペリクル膜を露出させるペリクル膜の製造方法が開示されている。ペリクル膜の材料としては、SiCなどが挙げられており、基板としてはシリコン基板などが挙げられている。
[0008]
 下記特許文献3には、Si基板の表面全体を炭化し、続いてLPCVD法を用いて約1μmの厚さのSiC膜をSi基板の表面全体に形成し、Si基板のいずれか一方の面のSiC膜を任意の面積で除去し、SiC膜のウインドウ部に露出したSi基板を溶解除去することで、SiC膜のウインドウ部においてSiC膜が自立した構造を作製する技術が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 国際公開第2014/188710号パンフレット
特許文献2 : 特開2017-83791号公報
特許文献3 : 特開平9-310170号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 SiCよりなるペリクル膜には、大きい面積のフォトマスクを覆うことを実現するために大面積化の要望があり、高い透過率を実現するために薄膜化の要望がある。しかし、SiC膜を大面積化および薄膜化しようとすると(たとえば100nm以下の厚さにしようとすると)、SiC膜の機械的強度が低くなるため、SiC膜にクラックが入ったり、Si基板からSiC膜が剥がれたりする現象が起き、製造歩留まりが著しく低かった。
[0011]
 本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、製造歩留まりを向上することのできるペリクルおよびペリクルの製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

[0012]
 本発明の一の局面に従うペリクルは、環状の平面形状を有し、Siを含む支持体と、支持体の一方の主面に形成されたペリクル膜とを備え、ペリクル膜は、10nm以上100nm以下の厚さを有するSiC膜を含み、SiC膜は、支持体の一方の主面に形成され、第1の平均炭素濃度を有する第1のSiC膜と、第1のSiC膜の一方の主面に形成され、第1の平均炭素濃度とは異なる第2の平均炭素濃度を有する第2のSiC膜とを含む。
[0013]
 上記ペリクルにおいて好ましくは、支持体の他方の主面には、SiC膜は形成されていない。
[0014]
 上記ペリクルにおいて好ましくは、SiC膜の支持体が形成されている側とは反対側の主面には、Si酸化膜は形成されていない。
[0015]
 上記ペリクルにおいて好ましくは、ペリクル膜は、第2のSiC膜の一方の主面に形成された輻射膜であって、第1および第2のSiC膜の輻射率よりも高い輻射率を有する輻射膜をさらに含む。
[0016]
 上記ペリクルにおいて好ましくは、輻射膜はRuを含む。
[0017]
 上記ペリクルにおいて好ましくは、第1のSiC膜の厚さは0より大きく10nm以下であり、第1の平均炭素濃度は第2の平均炭素濃度よりも低い。
[0018]
 上記ペリクルにおいて好ましくは、13.5nmの波長を有する光に対するペリクル膜の透過率は70%以上である。
[0019]
 上記ペリクルにおいて好ましくは、支持体はSi基板よりなる。
[0020]
 上記ペリクルにおいて好ましくは、支持体は、Si基板と、Si基板の一方の主面に形成されたSi酸化膜とを含む。
[0021]
 本発明の他の局面に従うペリクルの製造方法は、Siを含む支持体を準備する工程と、支持体の一方の主面にペリクル膜を形成する工程とを備え、ペリクル膜を形成する工程は、支持体の一方の主面のSiを炭化することにより、支持体の一方の主面に、第1の平均炭素濃度を有する第1のSiC膜を形成する工程と、第1のSiC膜の一方の主面に、第1の平均炭素濃度とは異なる第2の平均炭素濃度を有する第2のSiC膜を成膜する工程とを含み、ウエットエッチングにより第1のSiC膜の他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程をさらに備える。
[0022]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、ペリクル膜を形成する工程は、第2のSiC膜の一方の主面に、第1および第2のSiC膜の輻射率よりも高い輻射率を有する輻射膜を形成する工程をさらに含む。
[0023]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、第1のSiC膜の他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程は、輻射膜を形成する工程の後に行われる。
[0024]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、第1のSiC膜の他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、ウエットエッチングに用いる薬液に対して少なくとも支持体および第1のSiC膜を相対的に動かす。
[0025]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、第1のSiC膜の他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、少なくとも支持体および第1のSiC膜を、第1のSiC膜の他方の主面に対して平行な平面内の方向に動かす。
[0026]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、第1のSiC膜の他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、少なくとも支持体および第1のSiC膜を回転させた状態で、ウエットエッチングに用いる薬液を支持体の他方の主面に注入する。
[0027]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、支持体の他方の主面の中央部にSiを底面とする凹部を形成する工程をさらに備え、第1のSiC膜の他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、凹部の底面に第1のSiC膜を露出させる。
[0028]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、支持体の他方の主面の中央部に凹部を形成する工程において、支持体の他方の主面に形成された酸化膜または窒化膜よりなるマスク層をマスクとして、支持体の他方の主面の中央部をウエットエッチングにより除去する。
[0029]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、第1のSiC膜の他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、ウエットエッチングに用いる薬液としてフッ酸および硝酸を含む混酸を用いる。
[0030]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、支持体を準備する工程において、支持体としてSi基板を準備する。
[0031]
 上記ペリクルの製造方法において好ましくは、支持体を準備する工程において、Si基板と、Si基板の一方の主面に形成されたSi酸化膜と、Si酸化膜の一方の主面に形成されたSi膜とを含む支持体を準備し、第1のSiC膜を形成する工程において、Si膜の少なくとも一部を炭化する。

発明の効果

[0032]
 本発明によれば、製造歩留まりを向上することのできるペリクルおよびペリクルの製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0033]
[図1] 本発明の第1の実施の形態におけるペリクル1の構成を示す断面図である。
[図2] 本発明の第1の実施の形態において、SiC膜12の表面12aに対して垂直な方向から見た場合のペリクル1の構成を示す平面図である。
[図3] 本発明の第1の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第1の工程を示す断面図である。
[図4] 本発明の第1の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第2の工程を示す断面図である。
[図5] 本発明の第1の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第3の工程を示す断面図である。
[図6] 本発明の第1の実施の形態におけるSiC膜12内の炭素濃度分布を模式的に示す図である。
[図7] 本発明の第1の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第4の工程を示す断面図である。
[図8] 図7に示す工程の変形例の第1の工程を示す断面図である。
[図9] 図7に示す工程の変形例の第2の工程を示す断面図である。
[図10] 本発明の第1の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第4の工程の直後の状態を示す断面図である。
[図11] 本発明の第1の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第5の工程を示す断面図である。
[図12] 本発明の第1の実施の形態におけるSiのウエットエッチングの第1の方法を模式的に示す図である。
[図13] 本発明の第1の実施の形態におけるSiのウエットエッチングの第2の方法を模式的に示す図である。
[図14] 本発明の第1の実施の形態におけるSiのウエットエッチングの第3の方法を模式的に示す図である。
[図15] 図1に示すペリクル1におけるA部拡大図である。
[図16] 本発明の第1の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の変形例を示す断面図である。
[図17] 本発明の第1の実施の形態の製造方法を用いて作製したペリクルの写真である。
[図18] 本発明の第2の実施の形態におけるペリクル1の構成を示す断面図である。
[図19] 本発明の第3の実施の形態におけるペリクル1の構成を示す断面図である。
[図20] 本発明の第3の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第1の工程を示す断面図である。
[図21] 本発明の第3の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第2の工程を示す断面図である。
[図22] 本発明の第3の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第3の工程を示す断面図である。
[図23] 本発明の第3の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第4の工程を示す断面図である。
[図24] 本発明の第3の実施の形態におけるペリクル1の製造方法の第5の工程を示す断面図である。
[図25] 本発明の第4の実施の形態におけるペリクル1の使用方法の一例を示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0034]
 以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
[0035]
 [第1の実施の形態]
[0036]
 図1は、本発明の第1の実施の形態におけるペリクル1の構成を示す断面図である。なお図1は、SiC膜12の表面12aに対して垂直な平面で切った場合の断面図である。
[0037]
 図1を参照して、ペリクル1は、Siを含む支持体3と、SiC膜12を含むペリクル膜4とを備えている。本実施の形態において、支持体3はSi基板11よりなっており、ペリクル膜4はSiC膜12よりなっている。
[0038]
 Si基板11は、環状の平面形状を有している。Si基板11は表面11aと、裏面11bと、側面11cとを含んでいる。Si基板11の表面11aには(111)面が露出している。Si基板11の表面11aには(100)面や(110)面が露出していてもよい。
[0039]
 SiC膜12は、Si基板11の表面11aに形成されている。SiC膜12は、SiC膜121(第1のSiC膜の一例)と、SiC膜122(第2のSiC膜の一例)とを含んでいる。SiC膜121は、Si基板11の表面11aに形成されており、第1の平均炭素濃度を有している。SiC膜122は、SiC膜121の表面121aに形成されており、第1の平均炭素濃度とは異なる第2の平均炭素濃度を有している。
[0040]
 SiC膜12は、表面12aと、裏面12bと、側面12cとを含んでいる。SiC膜12の表面12aは、SiC膜122の表面122aに相当する。SiC膜12の裏面12bは、SiC膜121の裏面121bに相当し、環状のSi基板11の内側の凹部13に露出している。SiC膜12は、Si基板11の裏面11bには形成されておらず、Si基板11の裏面11bは露出している。
[0041]
 SiC膜12は、10nm以上100nm以下の厚さwを有している。SiC膜12は、単結晶3C-SiC、多結晶3C-SiC、またはアモルファスSiCなどよりなっている。特に、SiC膜12がSi基板11の表面にエピタキシャル成長されたものである場合、一般的に、SiC膜12は3C-SiCよりなっている。
[0042]
 ペリクル1において、13.5nmの波長を有する光に対するペリクル膜4の透過率は70%以上であることが好ましい。
[0043]
 なお、Si基板11の裏面11bには、SiC膜は形成されていない。また、SiC膜12の表面(Si基板11が形成されている側とは反対側の主面)12aには、Si酸化膜は形成されておらず、ペリクル膜1はSi酸化膜を含んでいない。
[0044]
 図2は、本発明の第1の実施の形態において、SiC膜12の表面12aに対して垂直な方向から見た場合のペリクル1の構成を示す平面図である。図2では、Si基板11の形状を示す目的で、Si基板11は点線で示されているが、実際にはSi基板11は直接には見えない。
[0045]
 図2を参照して、Si基板11、SiC膜12、および凹部13の各々は、任意の平面形状を有している。SiC膜12はその外周端部を環状のSi基板11によって支持されている。これにより、SiC膜12の機械的強度がSi基板11によって補強されている。Si基板11、SiC膜12、および凹部13の各々は、たとえば図2(a)に示すように、円の平面形状を有していてもよいし、図2(b)に示すように、矩形の平面形状を有していてもよい。図2(b)では、Si基板11は四角環状の平面形状を有している。さらに図2(c)に示すように、Si基板11およびSiC膜12の各々は円の平面形状を有しており、凹部13は矩形の平面形状を有していてもよい。凹部13の大きさは任意であり、ペリクル1に要求される機械的強度などに応じて決定されてもよい。
[0046]
 次に、本実施の形態におけるペリクル1の製造方法について、図3~図11を用いて説明する。
[0047]
 図3を参照して、たとえば円板状の(凹部13が形成されていない)Si基板11を準備する。
[0048]
 図4を参照して、次に、炭化水素系ガス雰囲気中でSi基板11の表面11aを炭化(浸炭)することにより、表面11aにSiC膜121を形成する。炭化する前にSi基板11の表面11aであった部分は炭化によりSiC膜121に変わり、Si基板11の表面11aは炭化により裏面11b側へ後退する。雰囲気中の温度は900℃~1405℃であることが好ましい。炭化水素系ガスはプロパンガスであり、さらにキャリアガスとして水素ガスが使用されることが好ましい。プロパンガスの流量はたとえば10sccmであり、水素ガスの流量はたとえば1000sccmである。
[0049]
 図5を参照して、続いて、SiC膜121の表面121aにSiC膜122をエピタキシャル成長させる。これにより、Si基板11の表面11aにSiC膜12が成膜される。SiC膜122は、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて成膜される。なお、SiC膜122の成膜の際には、Si基板11の側面11cにもSiC膜122が形成されてもよい。
[0050]
 SiC膜122のエピタキシャル成長は、たとえばメチルシラン系ガスよりなる原料ガスを約1.0sccm程度の流量で供給しながら、SiC膜121が形成された基板を900℃以上1405℃以下の温度に加熱することにより行われる。
[0051]
 図6は、本発明の第1の実施の形態におけるSiC膜12内の炭素濃度分布を模式的に示す図である。
[0052]
 図6を参照して、SiC膜122の成膜の際には、一定の成膜条件でSiC膜122が成膜されるため、SiC膜122内では、Si原子とC原子とはほぼ同じ割合で存在する。一方、Si基板11の炭化によりSiC膜121を形成する際には、C原子は、Si基板11の表面11aを通じてSi基板11の内部に侵入する。その結果、SiC膜121内では、SiC膜122との界面から離れるに従って炭素濃度が低くなる。また、Si基板11の炭化によりSiC膜121を形成する際には、SiC膜122の成膜の際に比べて、膜内にC原子が入り込みにくい。このため、通常、SiC膜121の厚さw1は0よりも大きく10nm以下であり、SiC膜121の平均炭素濃度はSiC膜122の平均炭素濃度よりも低い。
[0053]
 なお、SiC膜121および122内の炭素濃度分布および平均炭素濃度は任意であり、SiC膜121の平均炭素濃度とSiC膜122の平均炭素濃度とは互いに異なっていればよい。
[0054]
 図7を参照して、次に、Si基板11の裏面11bの中央部RG1のSiを除去する(Si基板11の裏面11bをザグリ加工する)。中央部RG1のSiの除去は、Si基板11の中央部RG1のSiを機械的に研削することにより行われてもよい。また、中央部RG1のSiの除去は、Si基板11の裏面11bにおける中央部RG1を除く領域にフォトレジストを形成し、形成したフォトレジストをマスクとして中央部RG1のSiをエッチングすることにより行われてもよい。
[0055]
 また、Siのウエットエッチングに用いられる薬液に対するマスクの耐性を高める場合には、中央部RG1のSiの除去は次の方法により行われてもよい。
[0056]
 図8を参照して、Si基板11の裏面11b全面に、Si酸化膜またはSi窒化膜よりなるマスク層14を形成する。続いてマスク層14上に、必要な形状にパターニングしたフォトレジスト15を形成する。
[0057]
 図9を参照して、次に、フォトレジスト15をマスクとしてマスク層14をウエットエッチングによりパターニングする。これにより、マスク層14の外周部のみが残される。マスク層14がSi酸化膜よりなる場合、マスク層14のウエットエッチングの薬液としてはフッ酸溶液などが用いられる。マスク層14がSi窒化膜よりなる場合、マスク層14のウエットエッチングの薬液としてはリン酸溶液などが用いられる。続いて、パターニングされたマスク層14をマスクとして、混酸などの薬液を用いて中央部RG1のSiをウエットエッチングにより除去する。その後、フォトレジスト15およびマスク層14を除去する。なお、フォトレジスト15は、Siのウエットエッチングの前に除去されてもよい。
[0058]
 なお、図3に示す工程において、Si基板11の裏面11bにマスク層14が予め形成された基板を準備することにより、図8に示すマスク層14を形成する工程が省略されてもよい。また、マスク層14としては、Si酸化膜およびSi酸化膜以外の酸化膜または窒化膜が用いられてもよい。
[0059]
 図10を参照して、中央部RG1のSiが除去された結果、Si基板11の裏面11bには凹部13が形成される。図10において、凹部13はSi基板11を貫通しない程度の深さを有しており、凹部13の底面はSiにより構成されている。凹部13の存在により、Si基板11の中央部の厚さ(図10中縦方向の長さ)は、Si基板11の外周部の厚さよりも薄くなる。
[0060]
 図11を参照して、続いて、Si基板11の凹部13の底面RG2をウエットエッチングにより除去する。底面RG2は、Si基板の裏面11bの一部を構成している。底面RG2のSiが除去された結果、凹部13の底面にはSiC膜12の裏面12b(SiC膜121の裏面121b)が露出する。また、このウエットエッチングの際には、底面RG2のSiとともにSi基板11の裏面11bの外周部RG3のSiも除去される。ウエットエッチングを採用することで、Si基板を除去する際にSiC膜12へ与えるダメージを抑止することができる。以上の工程により、図1に示すペリクル1が完成する。
[0061]
 底面RG2のSiのウエットエッチングは、ウエットエッチングに用いる薬液に対してSi基板11およびSiC膜12を相対的に動かすことにより行われることが好ましい。Si基板11およびSiC膜12を動かすことには、Si基板11およびSiC膜12の位置を変えずにSi基板11およびSiC膜12を回転させることと、Si基板11およびSiC膜12の位置を変える(言い換えれば、Si基板11およびSiC膜12を移動させる)ことと、Si基板11およびSiC膜12の位置を変えながらSi基板11およびSiC膜12を回転させることなどが含まれる。Siのウエットエッチングに用いる薬液としては、たとえばフッ酸および硝酸を含む混酸や、水酸化カリウム(KOH)水溶液などが用いられる。
[0062]
 Siのウエットエッチングの薬液として、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ溶液を用いた場合、SiC膜12中に低密度で存在するピンホールを通じてSiC膜12までもがエッチングされることがある。SiC膜12がエッチングされることを抑止し、SiC膜12の品質を良好にするためには、Siのウエットエッチングの薬液として上述の混酸を用いることが好ましい。
[0063]
 Siのウエットエッチングの際にSi基板11およびSiC膜12を動かす方向は任意である。しかし、Si基板11およびSiC膜12を動かしている間に薬液から受ける圧力によりSiC膜12が破損する事態を回避するためには、以下の第1~第3の方法のように、SiC膜12の裏面12b(SiC膜121の裏面121b)に対して平行な平面(図12~図14中の平面PL)内の方向にSi基板11およびSiC膜12を動かすことが好ましい。
[0064]
 図12~図14は、本発明の第1の実施の形態におけるSiのウエットエッチングの第1~第3の方法を模式的に示す図である。なお、図12~図14の説明では、Siのウエットエッチング直前の構造を中間体2と記している。本実施の形態では、図10の工程を経た直後の構造が中間体2に相当する。
[0065]
 図12を参照して、第1の方法は、スピンエッチングによりSiを除去する方法である。第1の方法では、Si基板11の裏面11bが上を向くように中間体2を固定台HPに固定する。そして、矢印AR1で示すように、裏面11bと直交する方向に延在する回転軸を中心として固定台HPを回転させる。このようにして、中間体2の位置を変えずに中間体2を回転させた状態で、ウエットエッチングに用いる薬液MA(エッチング液)をSi基板11の裏面11bに注入する。固定台HPの回転数は、たとえば100~1500rpm程度に設定される。
[0066]
 図13を参照して、第2の方法では、複数の中間体2を立てた状態で固定台HPに固定する。そして、反応容器CSの内部に充填された薬液MAに複数の中間体2を浸漬し、SiC膜12の裏面12bに対して平行な平面PL内で、矢印AR2で示すように中間体2の位置を変えながら中間体2および固定台HPを回転させる。
[0067]
 図14を参照して、第3の方法では、Si基板11の裏面11bが上を向くように中間体2を固定台HPに固定する。そして、反応容器CSの内部に充填された薬液MAに中間体2を浸漬し、SiC膜12の裏面12bに対して平行な平面PL内で、矢印AR3で示すように中間体2および固定台HPを直線上で往復移動させる。
[0068]
 図15は、図1に示すペリクル1におけるA部拡大図である。なお、図15では、Si基板11の幅の変化量を実際のものよりも強調して示している。
[0069]
 図15を参照して、フッ酸および硝酸を含む混酸は、Siを等方的にエッチングする作用を有している。このため、フッ酸および硝酸を含む混酸を薬液として用いてSiのウエットエッチングした場合には、その痕跡として、Si基板11の幅d(図15中横方向の長さ)は、SiC膜12から離れるに従って(SiC膜12からSi基板11の裏面11bに向かって)減少している。
[0070]
 なお、本実施の形態の製造方法の変形例として、図16に示すように、Si基板11の裏面11bの中央部RG1のSiを除去して凹部13を形成した後で、Si基板11の表面11aにSiC膜12を形成することで、図10に示す構造が作製されてもよい。
[0071]
 本実施の形態によれば、Si基板11の表面11aを炭化することにより得られたSiC膜121と、成膜により得られたSiC膜122との密着性が良好であるため、SiC膜12全体の機械的強度を向上することができる。これにより、SiC膜12を大面積化および薄膜化した場合のSiC膜12の機械的強度の低下を抑止することができ、製造歩留まりを向上することができる。
[0072]
 加えて、本実施の形態によれば、Si基板11のウエットエッチングの際に、ウエットエッチングの薬液に対してSi基板11およびSiC膜12を相対的に動かすことにより、Si基板11のウエットエッチング中にSiC膜12にクラックが入ったり、Si基板11からSiC膜12が剥がれたりする事態を抑止することができ、ペリクル1におけるSiC膜12の薄膜化を図ることができる。
[0073]
 本願発明者は、Si基板11のウエットエッチング中(Si基板11の薬液への浸漬中)にSiC膜12にクラックが入ったり、Si基板11からSiC膜12が剥がれたりする原因は、Si基板11の反応面(Si基板11の裏面11bにおける薬液と反応する部分の面)に局所的に反応後の薬液が滞留し、それによってSiのエッチング速度が不均一になり、Si基板11の反応面に荒れを生じさせるためであることを見出した。また本願発明者は、ウエットエッチングの薬液として混酸を用いた場合には、薬液とSiとの反応によって発生する大きな泡がSi基板11の反応面に局所的に滞留し、この泡がSi基板11の反応面の薬液との反応を局所的に妨げ、Si基板11の反応面に荒れを生じさせることを見出した。
[0074]
 SiC膜12が比較的厚い場合(たとえば厚さが100nmより大きい場合)には、SiC膜12自体の機械的強度が高いため、Si基板11の反応面の荒れはSiC膜12に対してそれほど悪影響を及ぼさない。しかし、SiC膜12が比較的薄い場合(たとえば厚さが100nm以下の場合)には、Si基板11の反応面の荒れはSiC膜12に対して悪影響を及ぼす。すなわち、Si基板11の反応面の荒れによってSiC膜12に不均一な応力が加わり、Siエッチング中にSiC膜12にクラックが入ったりSiC膜12がSi基板11から剥がれたりする事態を招く。
[0075]
 そこで、本実施の形態では、Si基板11のウエットエッチングの際に、ウエットエッチングの薬液に対してSi基板11およびSiC膜12を相対的に動かすことにより、Si基板11の反応面に局所的に反応後の薬液や泡が滞留することを抑止し、Si基板11の反応面の荒れを抑止することができる。その結果、SiC膜12に不均一な応力が加わることを抑止することができ、SiC膜12の薄膜化を図ることができる。
[0076]
 特に、Siのウエットエッチングの方法として、スピンエッチングによりSiを除去する方法(図12に示す第1の方法)を採用した場合には、ウエットエッチング中にSiC膜12が薬液に曝されるのは、凹部13の底部にSiC膜12の裏面12bが露出している間だけである。また、ウエットエッチング中にSiC膜12の表面12aは薬液に曝されることはない。このため、薬液によるSiC膜12のダメージを最小限に留めることができる。
[0077]
 また、Siのウエットエッチングの薬液として混酸を用いることにより、薬液によるSiC膜12のダメージを抑止することができる。その結果、SiC膜12の製造歩留まりを向上することができ、SiC膜を大面積で形成することができる。
[0078]
 図17は、本発明の第1の実施の形態の製造方法を用いて作製したペリクルの写真である。
[0079]
 図17を参照して、このペリクルは、直径200mmのSi基板よりなる支持体と、支持体上に形成された厚さ30nm、サイズ11cm×14cmのSiC膜よりなるペリクル膜とを備えている。
[0080]
 [第2の実施の形態]
[0081]
 図18は、本発明の第2の実施の形態におけるペリクル1の構成を示す断面図である。なお図18は、SiC膜12の表面12aに対して垂直な平面で切った場合の断面図である。
[0082]
 図18を参照して、本実施の形態におけるペリクル1は、ペリクル膜4が輻射膜18をさらに含んでいる点において、第1の実施の形態におけるペリクル1と異なっている。輻射膜18はSiC膜12の表面12a(SiC膜122の表面122a)に形成されており、SiC膜12と同一の平面形状を有している。輻射膜18は、SiC膜121および122の輻射率よりも高い輻射率を有している。輻射膜18は、たとえばRu(ルテニウム)を含んでおり、Ruよりなっていることが好ましい。
[0083]
 輻射膜18は、SiC膜122を形成した後に、SiC膜122の表面122aにスパッタリング法やALD(Atomic Layer Deposition)法などを用いて形成される。輻射膜18は、ウエットエッチングによりSiC膜12の裏面12bを露出させる前に形成されてもよいし、ウエットエッチングによりSiC膜12の裏面12bを露出させた後で形成されてもよい。ウエットエッチング時のSiC膜12を輻射膜18で補強する目的で、輻射膜18は、ウエットエッチングによりSiC膜12の裏面12bを露出させる前に形成されることが好ましい。
[0084]
 なお、上述以外のペリクル1の構成および製造方法は、第1の実施の形態におけるペリクルの構成および製造方法と同様である。従って、同一の部材には同一の符号を付し、それらの説明は繰り返さない。
[0085]
 SiC膜12が薄膜化されると、表面12aに対して平行な方向(図18中横方向)のSiC膜12の伝熱性が低くなる。このため、ペリクル1の使用時に露光光のエネルギーによるSiC膜12の温度上昇が顕著になる。本実施の形態によれば、SiC膜12に蓄積した熱が輻射膜18を通じて外部に輻射されるため、SiC膜12の温度上昇を抑えることができる。
[0086]
 [第3の実施の形態]
[0087]
 図19は、本発明の第3の実施の形態におけるペリクル1の構成を示す断面図である。なお図19は、SiC膜12の表面12aに対して垂直な平面で切った場合の断面図である。
[0088]
 図19を参照して、本実施の形態におけるペリクル1は、支持体3がSi基板11と、Si酸化膜16とを含んでいる点において、第1の実施の形態におけるペリクル1と異なっている。Si酸化膜16はSi基板11の表面11aに形成されており、Si基板11と同一の平面形状を有している。SiC膜12は、Si酸化膜16の表面16a(Si基板11の表面11a側)に形成されている。支持体3は、Si基板11およびSi酸化膜16により構成されている。
[0089]
 Si酸化膜16は、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)、またはSiO 2などよりなっており、たとえば100nm以上2000nm以下の厚さを有している。
[0090]
 なお、Si酸化膜16とSiC膜12との間にSi膜(図示無し)が形成されていてもよい。
[0091]
 次に、本実施の形態におけるペリクル1の製造方法について、図20~図24を用いて説明する。
[0092]
 図20を参照して、たとえば円板状の(凹部13が形成されていない)SOI(Silicon on Insulator)基板を準備する。SOI基板は、Si基板11と、Si基板11の表面11aに形成されたSiO 2よりなるSi酸化膜16と、Si酸化膜16の表面16aに形成されたSi膜17とを含んでいる。Si膜17の厚さは限定されないが、後の炭化工程においてSi膜17を残存させずに良好なSiC膜121を形成するために、Si膜17は、4nm以上10nm以下の厚さを有していることが好ましい。
[0093]
 Si膜17の厚さが上記範囲になるように、Si膜17は薄膜化されてもよい。Si膜17の薄膜化は、たとえばSOI基板を酸化雰囲気で加熱処理することによりSi膜17の表面17aを酸化し、続いてSi膜17の表面17aに形成された酸化物をウエットエッチングで除去することで行われてもよい。
[0094]
 また、SOI基板を使用する代わりに、Si基板11の表面11aにSi酸化膜16を形成し、Si酸化膜16の表面16aにSi膜17を形成することにより、図20の構造が作成されてもよい。
[0095]
 図21を参照して、必要に応じて、Si膜17の表面17aからSi酸化膜16に対してP(リン)、またはB(ボロン)およびPのイオンを導入してもよい。これにより、Si酸化膜16の組成は、BやPを含まないSiO 2から、PSGまたはBPSGに変わる。なお、上記のイオンの導入を省略し、BやPを含まないSiO 2にてSi酸化膜16を形成してもよい。
[0096]
 PSGよりなるSi酸化膜16を形成する場合、Pイオンの導入量は1×10 15個/cm 2以上5×10 18個/cm 2以下であり、Si酸化膜16中のP原子のドープ量は5原子%以上7原子%以下であることが好ましい。これにより、Si酸化膜16の吸湿性の増加を抑止しつつSi酸化膜16を十分に軟化させることができる。また、Pイオンの導入時の基板温度は200℃以上550℃以下であることが好ましい。これにより、Si膜17の結晶性の低下を抑止することができる。さらに、Pイオンの加速エネルギーは5keV以上30keV以下であることが好ましい。これにより、後に形成されるSiC膜12の結晶性および適切な膜厚を維持することができる。
[0097]
 図22を参照して、次に、炭化水素系ガス雰囲気中でSi膜17を加熱することにより、Si膜17を炭化する。その結果、Si膜17はSiC膜121に変化する。雰囲気中の温度は900℃~1405℃であることが好ましい。炭化水素系ガスはプロパンガスであり、さらにキャリアガスとして水素ガスが使用されることが好ましい。プロパンガスの流量はたとえば10sccmであり、水素ガスの流量はたとえば1000sccmである。
[0098]
 Si膜17の炭化後に基板が冷却される際には、SiC膜121とSi基板11との収縮率の差に起因する引張応力がSiC膜121内に発生する。しかし、比較的柔らかい材料であるSi酸化膜16を介在させることにより、SiC膜121内部の引張応力を緩和することができる。
[0099]
 なお、Si膜17が完全に炭化されず、その一部がSi酸化膜16との界面付近に残されてもよい。この場合、Si酸化膜16とSiC膜121との間に介在するSi膜17により、Si酸化膜16とSiC膜121との界面の平坦性を向上することができる。Si膜17が完全に炭化されたか否かに関わらず、SiC膜121は、Si酸化膜16の表面16a側に形成される。
[0100]
 図23を参照して、続いて、SiC膜121の表面121aに、エピタキシャル成長によりSiC膜122を形成する。これにより、Si酸化膜16の表面16aに、SiC膜121および122よりなるSiC膜12が得られる。
[0101]
 SiC膜122のエピタキシャル成長は、たとえばメチルシラン系ガスよりなる原料ガスを約1.0sccm程度の流量で供給しながら、SiC膜121が形成された基板を900℃以上1405℃以下の温度に加熱することにより行われる。
[0102]
 SiC膜122のエピタキシャル成長後に基板が冷却される際にも、SiC膜12とSi基板11との収縮率の差に起因する引張応力がSiC膜12内に発生する。しかし、比較的柔らかい材料であるSi酸化膜16を介在させることにより、SiC膜12内部の引張応力を緩和することができる。
[0103]
 図24を参照して、続いて、第1の実施の形態と同様の方法で、Si基板11の裏面11bの中央部RG1のSiを除去して凹部13を形成する。凹部13の形成の際には、中央部RG1のSiが完全に除去され、Si酸化膜16に達する深さで凹部13が形成されてもよい。これにより中間体2が得られる。
[0104]
 その後、第1の実施の形態と同様の方法で、凹部13の底面RG2のSi基板11およびSi酸化膜16(凹部13の底面RG2のSi基板11が凹部13の形成の際に完全に除去されている場合には、凹部13の底面RG2のSi酸化膜16)、およびSi基板11の裏面11bの外周部RG3のSiをウエットエッチングにより除去し、SiC膜12の裏面12bを露出させる。一般的にSiのウエットエッチングに用いられる薬液(混酸など)は、Si酸化膜を溶解する性質を有しているため、Si酸化膜16は、第1の実施の形態におけるSiのウエットエッチングと同様の方法で除去することができる。以上の工程により、図19に示すペリクル1が得られる。
[0105]
 なお、上述以外のペリクル1の構成および製造方法は、第1の実施の形態におけるペリクルの構成および製造方法と同様である。従って、同一の部材には同一の符号を付し、それらの説明は繰り返さない。
[0106]
 本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。加えて、Si基板11とSiC膜12との間にSi酸化膜16を介在させることにより、SiC膜12内部の引張応力を緩和することができる。その結果、製造時のSiC膜12の破損を抑制することができ、SiC膜12の製造歩留を向上することができる。
[0107]
 なお、本実施の形態の製造方法の変形例として、第1の実施の形態の図16に示す変形例と同様に、Si基板11の裏面11bの中央部RG1のSiを除去して凹部13を形成した後で、Si酸化膜16の表面16aにSiC膜12を形成し、その後ウエットエッチングによりSiC膜12の裏面12bを露出させることで、ペリクル1が作製されてもよい。
[0108]
 [第4の実施の形態]
[0109]
 図25は、本発明の第4の実施の形態におけるペリクル1の使用方法の一例を示す断面図である。
[0110]
 図25を参照して、本実施の形態では、第1~第3の実施の形態のペリクル1が、マスクMKを覆うペリクルとして使用されている。マスクMKの表面には、露光光を遮光するためのパターンPNと、ペリクル1を支持するためのペリクルフレームPFとが設けられている。ペリクル1は、マスクMK側をSi基板11とし、マスクMKとは反対側をSiC膜12(ペリクル膜4が輻射膜18を含む場合には輻射膜18)とした状態で、ペリクルフレームPFに対して接着などにより固定されている。ペリクル1は、必要に応じて、マスクMKやペリクルフレームPFの形状に合わせて加工されてもよい。
[0111]
 ペリクル1は、露光の際にマスクMKに付着した異物が露光対象物(半導体基板など)上で焦点を結ぶことによる露光トラブルを防止するためのものである。露光光は、矢印AR5で示すように、ペリクル1を透過してマスクMKの表面に進入する。パターンPNの隙間を通過した一部の露光光は、マスクMKの表面で反射し、ペリクル1を透過する。その後、露光光は、露光対象物の表面に塗布されたフォトレジスト(図示無し)に照射される。
[0112]
 露光光としては任意の波長のものを用いることができるが、高い解像度のリソグラフィー技術を実現するためには、露光光として、数10nm~数nmの波長を有するEUV光が用いられることが好ましい。SiCはSiに比べて化学的に安定であり、EUV光に対して高い透過率および高い耐光性を有しているため、露光光としてEUV光を用いる場合のペリクルとして好適である。特に、第1~第3の実施の形態のペリクル1のように、20nm以上100nm以下という非常に薄いSiC膜12を含むペリクル1を用いることにより、一層高い透過率を実現することができる。
[0113]
 なお、ペリクル1は、上述の固定方法の代わりに、マスクMK側をSiC膜12(ペリクル膜4が輻射膜18を含む場合にはマスクMK側を輻射膜18)とし、マスクMKとは反対側をSi基板11とした状態で、ペリクルフレームPFに対して接着などにより固定されてもよい。
[0114]
 [その他]
[0115]
 上述の実施の形態では凹部13の底面のSiがウエットエッチングにより除去される場合について示したが、本発明においてウエットエッチングにより除去される部分は、Si基板の他方の主面の少なくとも一部であればよく、除去される部分の位置、大きさ、および形状は任意である。
[0116]
 上述の実施の形態は互いに組合わせることが可能である。たとえば、第2の実施の形態と第3の実施の形態とを組合わせることにより、Si酸化膜16の表面16aにSiC膜12が形成されており、SiC膜12の表面12aに輻射膜18が形成されていてもよい。
[0117]
 上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

符号の説明

[0118]
 1 ペリクル
 2 中間体
 3 支持体
 4 ペリクル膜
 11 Si(ケイ素)基板
 11a Si基板の表面
 11b Si基板の裏面
 11c Si基板の側面
 12,121,122 SiC(炭化ケイ素)膜
 12a,121a,122a SiC膜の表面
 12b,121b SiC膜の裏面
 12c SiC膜の側面
 13 凹部
 14 マスク層
 15 フォトレジスト
 16 Si酸化膜
 16a Si酸化膜の表面
 17 Si膜
 17a Si膜の表面
 18 輻射膜
 CS 反応容器
 HP 固定台
 MA 薬液
 MK マスク
 PF ペリクルフレーム
 PL SiC膜の表面に対して平行な平面
 PN パターン
 RG1 Si基板の裏面の中央部
 RG2 Si基板の凹部の底面
 RG3 Si基板の裏面の外周部

請求の範囲

[請求項1]
 環状の平面形状を有し、Siを含む支持体と、
 前記支持体の一方の主面に形成されたペリクル膜とを備え、
 前記ペリクル膜は、10nm以上100nm以下の厚さを有するSiC膜を含み、
 前記SiC膜は、
  前記支持体の前記一方の主面に形成され、第1の平均炭素濃度を有する第1のSiC膜と、
  前記第1のSiC膜の一方の主面に形成され、前記第1の平均炭素濃度とは異なる第2の平均炭素濃度を有する第2のSiC膜とを含む、ペリクル。
[請求項2]
 前記支持体の他方の主面には、SiC膜は形成されていない、請求項1に記載のペリクル。
[請求項3]
 前記SiC膜の前記支持体が形成されている側とは反対側の主面には、Si酸化膜は形成されていない、請求項1に記載のペリクル。
[請求項4]
 前記ペリクル膜は、前記第2のSiC膜の一方の主面に形成された輻射膜であって、前記第1および第2のSiC膜の輻射率よりも高い輻射率を有する輻射膜をさらに含む、請求項1に記載のペリクル。
[請求項5]
 前記輻射膜はRuを含む、請求項4に記載のペリクル。
[請求項6]
 前記第1のSiC膜の厚さは0より大きく10nm以下であり、
 前記第1の平均炭素濃度は前記第2の平均炭素濃度よりも低い、請求項1に記載のペリクル。
[請求項7]
 13.5nmの波長を有する光に対する前記ペリクル膜の透過率は70%以上である、請求項1に記載のペリクル。
[請求項8]
 前記支持体はSi基板よりなる、請求項1に記載のペリクル。
[請求項9]
 前記支持体は、Si基板と、前記Si基板の一方の主面に形成されたSi酸化膜とを含む、請求項1に記載のペリクル。
[請求項10]
 Siを含む支持体を準備する工程と、
 前記支持体の一方の主面にペリクル膜を形成する工程とを備え、
 前記ペリクル膜を形成する工程は、
  前記支持体の前記一方の主面のSiを炭化することにより、前記支持体の前記一方の主面に、第1の平均炭素濃度を有する第1のSiC膜を形成する工程と、
  前記第1のSiC膜の一方の主面に、前記第1の平均炭素濃度とは異なる第2の平均炭素濃度を有する第2のSiC膜を成膜する工程とを含み、
 ウエットエッチングにより前記第1のSiC膜の他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程をさらに備えた、ペリクルの製造方法。
[請求項11]
 前記ペリクル膜を形成する工程は、前記第2のSiC膜の一方の主面に、前記第1および第2のSiC膜の輻射率よりも高い輻射率を有する輻射膜を形成する工程をさらに含む、請求項10に記載のペリクルの製造方法。
[請求項12]
 前記第1のSiC膜の前記他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程は、前記輻射膜を形成する工程の後に行われる、請求項11に記載のペリクルの製造方法。
[請求項13]
 前記第1のSiC膜の前記他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、前記ウエットエッチングに用いる薬液に対して少なくとも前記支持体および前記第1のSiC膜を相対的に動かす、請求項10に記載のペリクルの製造方法。
[請求項14]
 前記第1のSiC膜の前記他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、少なくとも前記支持体および前記第1のSiC膜を、前記第1のSiC膜の前記他方の主面に対して平行な平面内の方向に動かす、請求項13に記載のペリクルの製造方法。
[請求項15]
 前記第1のSiC膜の前記他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、少なくとも前記支持体および前記第1のSiC膜を回転させた状態で、前記ウエットエッチングに用いる薬液を前記支持体の前記他方の主面に注入する、請求項14に記載のペリクルの製造方法。
[請求項16]
 前記支持体の他方の主面の中央部にSiを底面とする凹部を形成する工程をさらに備え、
 前記第1のSiC膜の前記他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、前記凹部の底面に前記第1のSiC膜を露出させる、請求項10に記載のペリクルの製造方法。
[請求項17]
 前記支持体の前記他方の主面の中央部に前記凹部を形成する工程において、前記支持体の前記他方の主面に形成された酸化膜または窒化膜よりなるマスク層をマスクとして、前記支持体の前記他方の主面の中央部をウエットエッチングにより除去する、請求項16に記載のペリクルの製造方法。
[請求項18]
 前記第1のSiC膜の前記他方の主面の少なくとも一部を露出させる工程において、前記ウエットエッチングに用いる薬液としてフッ酸および硝酸を含む混酸を用いる、請求項10に記載のペリクルの製造方法。
[請求項19]
 前記支持体を準備する工程において、前記支持体としてSi基板を準備する、請求項10に記載のペリクルの製造方法。
[請求項20]
 前記支持体を準備する工程において、Si基板と、前記Si基板の一方の主面に形成されたSi酸化膜と、前記Si酸化膜の一方の主面に形成されたSi膜とを含む前記支持体を準備し、
 前記第1のSiC膜を形成する工程において、前記Si膜の少なくとも一部を炭化する、請求項10に記載のペリクルの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]