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1. (WO2019065375) REINFORCED FILM
Document

明 細 書

発明の名称 補強フィルム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106  

実施例

0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 補強フィルム

技術分野

[0001]
 本発明は、デバイス表面に貼設される補強フィルムに関する。

背景技術

[0002]
 ディスプレイ等の光学デバイスや電子デバイスの表面には、表面保護や耐衝撃性付与等を目的として、粘着性フィルムが貼着される場合がある。このような粘着性フィルムは、通常、フィルム基材の主面に粘着剤層が固着積層されており、この粘着剤層を介してデバイス表面に貼り合わせられる。
[0003]
 デバイスの組み立て、加工、輸送等の使用前の状態において、デバイスまたはデバイス構成部品の表面に粘着性フィルムを仮着することにより、被着体の傷つきや破損を抑制できる。このような粘着性フィルムは工程材であり、デバイスの使用前に剥離除去される。特許文献1に記載されているように、工程材として用いられる粘着性フィルムは、低粘着性であり、被着体から容易に剥離可能であり、被着体への糊残りが生じないことが求められる。
[0004]
 特許文献2には、デバイスの組み立て、加工、輸送等に加えて、デバイスの使用時にもデバイス表面に貼着したままの状態で使用される粘着性フィルムが開示されている。このような粘着性フィルムは、表面保護に加えて、デバイスへの衝撃の分散や、フレキシブルデバイスへの剛性付与等により、デバイスを補強する機能を有している。
[0005]
 粘着性フィルムを被着体に貼り合わせる際に、気泡の混入や貼り位置のずれ等の貼り合わせ不良が生じる場合がある。貼り合わせ不良が生じた場合には、被着体から粘着性フィルムを剥離し、別の粘着性フィルムを貼り合わせる作業(リワーク)が行われる。工程材として用いられる粘着性フィルムは、被着体からの剥離を前提として設計されているため、リワークが容易である。一方、補強フィルムは、一般には、デバイスから剥離することは想定されておらず、デバイスの表面に強固に接着しているため、リワークが困難である。
[0006]
 特許文献3では、被着体との貼り合わせ直後は低粘着性であり、経時的に接着力が上昇するように設計された粘着シート(粘着剤層)が開示されている。フィルム基材上にこのような粘着剤層が固着積層された粘着性フィルムは、被着体との貼り合わせ直後は被着体からの剥離が容易であり、所定時間経過後には被着体と強固に接着するため、リワーク性を有する補強フィルムとして利用可能である。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2013-185007号公報
特許文献2 : 特開2017-132977号公報
特許文献3 : WO2015/163115号パンフレット

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 被着体との接着力が経時的に変化する補強フィルムは、工程のリードタイムに対する柔軟性が十分とは言い難い。例えば、接着力が経時的に上昇する粘着剤層を備える補強フィルムは、被着体との貼り合わせ後、接着力が上昇するまでの所定時間内に、貼り合わせ状態の検査およびリワークを実施する必要がある。また、デバイスやデバイス部品の全面に補強フィルムを貼り合わせた後、一部の領域から補強フィルムを除去する等の加工を行う場合には、接着力が上昇するまでの期間に加工を行う必要がある。
[0009]
 上記に鑑み、本発明は、被着体との貼り合わせ直後はリワークが容易であり、被着体との貼り合わせ後、接着力が向上するまでの時間を任意に設定可能であり、かつ接着力向上により被着体と強固に接着可能な補強フィルムの提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明の補強フィルムは、フィルム基材の一主面上に固着積層された粘着剤層を備える。粘着剤層は、ベースポリマーおよび光硬化剤を含む光硬化性組成物からなる。粘着剤層の25℃におけるせん断貯蔵弾性率は、1×10 ~1.2×10 Paが好ましい。粘着剤層の光硬化後の25℃におけるせん断貯蔵弾性率は、1.5×10 ~2×10 Paが好ましい。粘着剤層の光硬化後の25℃におけるせん断貯蔵弾性率は、光硬化前の25℃におけるせん断貯蔵弾性率の2倍以上が好ましい。
[0011]
 本発明の補強フィルムにおいて、粘着剤層は、摩擦力顕微鏡により測定される周波数5Hzでの摩擦力が、周波数0.1Hzでの摩擦力の2~5倍であることが好ましく、摩擦力顕微鏡により測定される周波数5Hzでの摩擦力が、周波数0.1Hzでの摩擦力の2~5倍であることが好ましい。光硬化後の粘着剤層は、周波数5Hzでの摩擦力が、周波数0.1Hzでの摩擦力の5倍以上であることが好ましい。
[0012]
 粘着剤層を構成する光硬化性組成物のゲル分率は60%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。光硬化性組成物のベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーが好ましく、ベースポリマーの分子量は10万以上が好ましい。アクリル系ベースポリマーには、架橋構造が導入されていることが好ましい。アクリル系ベースポリマーは、モノマーユニットとして、ヒドロキシ基含有モノマーおよび/またはカルボキシ基含有モノマーを含むものが好ましい。これらのモノマーユニットは架橋構造の導入点となり得る。アクリル系ベースポリマーは、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上のモノマー成分を5~50重量%程度含んでいてもよい。
[0013]
 粘着剤層を構成する光硬化性組成物は、ベースポリマー100重量部に対して、1~50重量部の光硬化剤を含むことが好ましい。光硬化剤としては、例えば多官能(メタ)アクリレートが用いられる。光硬化剤の官能基当量は、100~500g/eqが好ましい。

発明の効果

[0014]
 本発明の補強フィルムは、粘着剤層が光硬化性組成物からなり、被着体との接着後に粘着剤層を光硬化することにより、被着体との接着力が上昇する。光硬化前は被着体との接着力が小さいため、リワークが容易であり、光硬化後は高い接着力を示すため、デバイスの補強および信頼性の向上に寄与する。光硬化性の粘着剤は、被着体との貼り合わせ後の硬化のタイミングを任意に設定できるため、本発明の補強フィルムは、工程のリードタイムに柔軟に対応可能である。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 補強フィルムの積層構成を示す断面図である。
[図2] 補強フィルムの積層構成を示す断面図である。
[図3] 補強フィルムが貼設されたデバイスを示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 図1は、補強フィルムの一実施形態を表す断面図である。補強フィルム10は、フィルム基材1の一主面上に粘着剤層2を備える。粘着剤層2は、基材フィルム1の一主面上に固着積層されている。粘着剤層2は光硬化性組成物からなる光硬化性粘着剤であり、紫外線等の活性光線の照射により硬化して、被着体との接着強度が上昇する。
[0017]
 図2は、粘着剤層2の主面上にセパレータ5が仮着された補強フィルムの断面図である。図3は、デバイス20の表面に補強フィルム10が貼設された状態を示す断面図である。
[0018]
 粘着剤層2の表面からセパレータ5を剥離除去し、粘着剤層2の露出面をデバイス20の表面に貼り合わせることにより、デバイス20の表面に補強フィルム10が貼設される。この状態では、粘着剤層2は光硬化前であり、デバイス20上に補強フィルム10(粘着剤層2)が仮着された状態である。粘着剤層2を光硬化することにより、デバイス20と粘着剤層2との界面での接着力が上昇し、デバイス20と補強フィルム10とが固着される。
[0019]
 「固着」とは積層された2つの層が強固に接着しており、両者の界面での剥離が不可能または困難な状態である。「仮着」とは、積層された2つの層間の接着力が小さく、両者の界面で容易に剥離できる状態である。
[0020]
 図2に示す補強フィルムでは、フィルム基材1と粘着剤層2とが固着しており、セパレータ5は粘着剤層2に仮着されている。フィルム基材1とセパレータ5を剥離すると、粘着剤層2とセパレータ5との界面で剥離が生じ、フィルム基材1上に粘着剤層2が固着した状態が維持される。剥離後のセパレータ5上には粘着剤は残存しない。
[0021]
 図3に示す補強フィルム10が貼設されたデバイスは、粘着剤層2の光硬化前においては、デバイス20と粘着剤層2とが仮着状態である。フィルム基材1とデバイス20を剥離すると、粘着剤層2とデバイス20との界面で剥離が生じ、フィルム基材1上に粘着剤層2が固着した状態が維持される。デバイス20上には粘着剤が残存しないため、リワークが容易である。粘着剤層2を光硬化後は、粘着剤層2とデバイス20との接着力が上昇するため、デバイス20からフィルム1を剥離することは困難であり、両者を剥離すると粘着剤層2の凝集破壊が生じる場合がある。
[0022]
[フィルム基材]
 フィルム基材1としては、プラスチックフィルムが用いられる。フィルム基材1と粘着剤層2とを固着するために、フィルム基材1の粘着剤層2付設面は離型処理が施されていないことが好ましい。
[0023]
 フィルム基材の厚みは、例えば4~500μm程度である。剛性付与や衝撃緩和等によりデバイスを補強する観点から、フィルム基材1の厚みは12μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましく、45μm以上が特に好ましい。補強フィルムに可撓性を持たせハンドリング性を高める観点から、フィルム基材1の厚みは300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。機械強度と可撓性とを両立する観点から、フィルム基材1の圧縮強さは、100~3000kg/cm が好ましく、200~2900kg/cm がより好ましく、300~2800kg/cm がさらに好ましく、400~2700kg/cm が特に好ましい。
[0024]
 フィルム基材1を構成するプラスチック材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。ディスプレイ等の光学デバイス用の補強フィルムにおいては、フィルム基材1は透明フィルムであることが好ましい。また、フィルム基材1側から活性光線を照射して粘着剤層2の光硬化を行う場合は、フィルム基材1は、粘着剤層の硬化に用いられる活性光線に対する透明性を有することが好ましい。機械強度と透明性とを兼ね備えることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂が好適に用いられる。被着体側から活性光線を照射する場合は、被着体が活性光線に対する透明性を有していればよく、フィルム基材1は活性光線に対して透明でなくてもよい。
[0025]
 フィルム基材1の表面には、易接着層、易滑層、離型層、帯電防止層、ハードコート層、反射防止層等の機能性コーティングが設けられていてもよい。なお、前述のように、フィルム基材1と粘着剤層2とを固着するために、フィルム基材1の粘着剤層2付設面には離型層が設けられていないことが好ましい。
[0026]
[粘着剤層]
 フィルム基材1上に固着積層される粘着剤層2は、ベースポリマーおよび光硬化剤を含む光硬化性組成物からなる。粘着剤層2は、光硬化前はデバイスやデバイス部品等の被着体との接着力が小さいため、リワークが容易である。粘着剤層2は、光硬化により被着体との接着力が向上するため、デバイスの使用時においても補強フィルムがデバイス表面から剥離し難く、接着信頼性に優れる。
[0027]
 熱硬化性の粘着剤は、保管状態で経時的に硬化が進行する場合があるのに対して、光硬化性の粘着剤は一般的な保管環境では硬化はほとんど進行せず、紫外線等の活性光線の照射により硬化する。そのため、本発明の補強フィルムは、粘着剤層2の硬化のタイミングを任意に設定可能であり、工程のリードタイム等に柔軟に対応できるとの利点を有する。
[0028]
<接着強度>
 被着体からの剥離を容易とし、補強フィルムを剥離後の被着体への糊残りを防止する観点から、光硬化前の粘着剤層2と被着体との接着力は、5N/25mm以下が好ましく、2N/25mm以下がより好ましく、1.3N/25mm以下がさらに好ましい。保管やハンドリングの際の補強シートの剥離を防止する観点から、光硬化前の粘着剤層2と被着体との接着力は、0.005N/25mm以上が好ましく、0.01N/25mm以上がより好ましく、0.1N/25mm以上がさらに好ましく、0.3N/25mm以上が特に好ましい。
[0029]
 デバイスの実用時の接着信頼性の観点から、光硬化後の粘着剤層2と被着体との接着力は、5N/25mm以上であってもよく、6N/25mm以上が好ましく、10N/25mm以上がより好ましく、12N/25mm以上がさらに好ましく、14N/25mm以上が特に好ましい。光硬化後の粘着剤層2と被着体との接着力は、光硬化前の粘着剤層2と被着体との接着力の4倍以上が好ましく、8倍以上がより好ましく、10倍以上がさらに好ましい。
[0030]
 フレキシブルディスプレイパネル、フレキシブルプリント配線板(FPC)、ディスプレイパネルと配線板とを一体化したデバイス等においては、可撓性の基板材料が用いられ、耐熱性や寸法安定性の観点から、一般的に、ポリイミドフィルムが用いられる。粘着剤層が基板としてのポリイミドフィルムに対して上記の接着力を有する補強フィルムは、粘着剤の光硬化前には剥離が容易であり、光硬化後は接着信頼性に優れる。
[0031]
<貯蔵弾性率>
 粘着剤層2は、光硬化前の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’ が1×10 ~1.2×10 Paであることが好ましい。せん断貯蔵弾性率(以下、単に「貯蔵弾性率」と記載する)は、JIS K7244-1「プラスチック-動的機械特性の試験方法」に記載の方法に準拠して、周波数1Hzの条件で、-50~150℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定した際の、所定温度における値を読み取ることにより求められる。
[0032]
 粘着剤のように粘弾性を示す物質において、貯蔵弾性率G’は硬さの程度を表す指標として用いられる。粘着剤層の貯蔵弾性率は凝集力と高い相関を有しており、粘着剤の凝集力が高いほど被着体への投錨力が大きくなる傾向がある。光硬化前の粘着剤層2の貯蔵弾性率が1×10 Pa以上であれば、粘着剤が十分な硬さと凝集力を有するため、被着体から補強フィルムを剥離した際に被着体への糊残りが生じ難い。また、粘着剤層2の貯蔵弾性率が大きい場合は、補強フィルムの端面からの粘着剤のはみ出しを抑制できる。光硬化前の粘着剤層2の貯蔵弾性率が1.2×10 Pa以下であれば、粘着剤層2と被着体との界面での剥離が容易であり、リワークを行った場合でも、粘着剤層の凝集破壊や被着体表面への糊残りが生じ難い。
[0033]
 補強シートのリワーク性を高め、リワーク時の被着体への糊残りを抑制する観点から、粘着剤層2の光硬化前の25℃における貯蔵弾性率G’ は、3×10 ~1×10 Paがより好ましく、4×10 ~9.5×10 Paがさらに好ましい。
[0034]
 粘着剤層2は、光硬化後の25℃における貯蔵弾性率G’ が1.5×10 Pa以上であることが好ましい。光硬化後の粘着剤層2の貯蔵弾性率が1.5×10 Pa以上であれば、凝集力の増大に伴って被着体との接着力が向上し、高い接着信頼性が得られる。一方、貯蔵弾性率が過度に大きい場合は、粘着剤が濡れ拡がり難く被着体との接触面積が小さくなる。また、粘着剤の応力分散性が低下するため、剥離力が接着界面に伝播しやすく、被着体との接着力が低下する傾向がある。そのため、粘着剤層2の光硬化後の25℃における貯蔵弾性率G’ は2×10 Pa以下が好ましい。粘着剤層を光硬化後の補強シートの接着信頼性を高める観点から、G’ は、1.8×10 ~1.2×10 Paがより好ましく、2×10 ~1×10 Paがさらに好ましい。
[0035]
 粘着剤層2の光硬化前後の25℃における貯蔵弾性率の比G’ /G’ は、2以上が好ましい。G’ がG’ の2倍以上であれば、光硬化によるG’の増加が大きく、光硬化前のリワーク性と光硬化後の接着信頼性とを両立できる。G’ /G’ は4以上がより好ましく、8以上がさらに好ましく、10以上が特に好ましい。G’ /G’ の上限は特に限定されないが、G’ /G’ が過度に大きい場合は、光硬化前のG’が小さいことによる初期接着不良、または光硬化後のG’が過度に大きいことによる接着信頼性の低下に繋がりやすい。そのため、G’ /G’ は、100以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下がさらに好ましく、25以下が特に好ましい。
[0036]
<厚み>
 粘着剤層2の厚みは、例えば、1~300μm程度である。粘着剤層2の厚みが大きいほど被着体との接着性が向上する傾向がある。一方、粘着剤層2の厚みが過度に大きい場合は、光硬化前の流動性が高く、ハンドリングが困難となる場合がある。そのため、粘着剤層2の厚みは5~100μmが好ましく、8~50μmがより好ましく、10~40μmがさらに好ましく、13~30μmが特に好ましい。
[0037]
<透明性>
 補強フィルムが、ディスプレイ等の光学デバイスに用いられる場合、粘着剤層2の全光線透過率は80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。粘着剤層2のヘイズは2%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.7%以下がさらに好ましく、0.5%以下が特に好ましい。
[0038]
<組成>
 粘着剤層2は、ベースポリマーおよび光硬化剤を含み、光硬化により貯蔵弾性率が向上するものであれば、その組成は特に限定されない。活性光線の照射による硬化の効率を高める観点から、粘着剤層2を構成する粘着剤組成物(光硬化性組成物)は、光重合開始剤を含んでいることが好ましい。光硬化前の粘着剤層の貯蔵弾性率を高める観点から、ベースポリマーには架橋構造が導入されていることが好ましい。
[0039]
(ベースポリマー)
 ベースポリマーは粘着剤組成物の主構成成分であり、光硬化前の粘着剤層の貯蔵弾性率を決定する主要素である。ベースポリマーの種類は特に限定されず、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ゴム系ポリマー等を適宜に選択すればよい。特に、光学的透明性および接着性に優れ、かつ貯蔵弾性率の制御が容易であることから、粘着剤組成物は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有するものが好ましく、粘着剤組成物の50重量%以上がアクリル系ポリマーであることが好ましい。
[0040]
 アクリル系ポリマーとしては、主たるモノマー成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むものが好適に用いられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
[0041]
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適に用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は直鎖でもよく分枝を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソトリドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸アラルキル等が挙げられる。
[0042]
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、ベースポリマーを構成するモノマー成分全量に対して40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、55重量%以上がさらに好ましい。
[0043]
 アクリル系ベースポリマーは、共重合成分として、架橋可能な官能基を有するモノマー成分を含有することが好ましい。架橋可能な官能基を有するモノマーとしてはヒドロキシ基含有モノマーや、カルボキシ基含有モノマーが挙げられる。ベースポリマーは、共重合成分として、ヒドロキシ基含有モノマーおよびカルボキシ基含有モノマーの両方を有していてもよく、いずれか一方のみを有していてもよい。ベースポリマーは共重合成分として、ヒドロキシ基含有モノマーを含有することが好ましい。ベースポリマーのヒロドキシ基やカルボキシ基は、後述の架橋剤との反応点となる。ベースポリマーに架橋構造が導入されることにより、凝集力が向上し、粘着剤層2の貯蔵弾性率が高められる傾向がある。
[0044]
 ヒドロキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)メチル等が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-カルボキシエチル、カルボキシペンチル(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。
[0045]
 アクリル系ベースポリマーは、構成モノマー成分全量に対するヒドロキシ基含有モノマーとカルボキシ基含有モノマーの合計量が、1~30重量%であることが好ましく、3~25重量%であることがより好ましく、5~20重量%であることがさらに好ましい。特に、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル酸エステルの含有量が上記範囲であることが好ましい。
[0046]
 アクリル系ベースポリマーは、構成モノマー成分として、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N-アクリロイルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類、N-ビニルカプロラクタム等の窒素含有モノマーを含有することが好ましい。窒素含有モノマー成分を含有するアクリル系ベースポリマーは、湿熱環境下で適度な吸水性を発現し粘着剤の局所的な吸水が抑制されるため、粘着剤層の局所的な白化、局所的膨潤、剥離等の防止に寄与する。
[0047]
 アクリル系ベースポリマーは、構成モノマー成分全量に対する窒素含有モノマーの含有量が、1~30重量%であることが好ましく、3~25重量%であることがより好ましく、5~20重量%であることがさらに好ましい。アクリル系ベースポリマーは、窒素含有モノマーとして、N-ビニルピロリドンを上記範囲で含有することが好ましい。
[0048]
 アクリル系ベースポリマーがモノマー成分としてヒドロキシ基含有モノマーと窒素含有モノマーの両方を含む場合に、粘着剤の凝集力および透明性が高められる傾向がある。アクリル系ベースポリマーは、構成モノマー成分全量に対するヒドロキシ基含有モノマーと窒素含有モノマーの合計量が5~50重量%であることが好ましく、10~40重量%であることがより好ましく、15~35重量%であることがさらに好ましい。
[0049]
 アクリル系ベースポリマーは、上記以外のモノマー成分を含んでいてもよい。アクリル系ベースポリマーは、モノマー成分として、例えば、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテルモノマー、スルホ基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー等を含んでいてもよい。
[0050]
 光硬化前の粘着剤層の貯蔵弾性率G’ は、ベースポリマーの構成成分および分子量に左右されやすい。ベースポリマーの分子量が大きいほど、G’ が大きく、粘着剤が硬くなる傾向がある。アクリル系ベースポリマーの重量平均分子量は、10万~500万が好ましく、30万~300万がより好ましく、50万~200万がさらに好ましい。なお、ベースポリマーに架橋構造が導入される場合、ベースポリマーの分子量とは、架橋構造導入前の分子量を指す。
[0051]
 ベースポリマーの構成成分における、高Tgモノマー成分の含有量が多いほど、粘着剤が硬くなり、G’ が大きくなる傾向がある。なお、高Tgモノマーとは、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が高いモノマーを意味する。ホモポリマーのTgが40℃以上のモノマーとしては、ジシクロペンタニルメタクリレート(Tg:175℃)、ジシクロペンタニルアクリレート(Tg:120℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg:173℃)、イソボルニルアクリレート(Tg:97℃)、メチルメタクリレート(Tg:105℃)、1-アダマンチルメタクリレート(Tg:250℃)、1-アダマンチルアクリレート(Tg:153℃)等の(メタ)アクリル系モノマー;アクリロイルモルホリン(Tg:145℃)、ジメチルアクリルアミド(Tg:119℃)、ジエチルアクリルアミド(Tg:81℃)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(Tg:134℃)、イソプロピルアクリルアミド(Tg:134℃)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(Tg:98℃)等のアミド基含有ビニルモノマー;N-ビニルピロリドン(Tg:54℃)等が挙げられる。
[0052]
 アクリル系ベースポリマーは、ホモポリマーのTgが40℃以上のモノマーの含有量が、構成モノマー成分全量に対して3重量%以上であることが好ましく、5~50重量%であることがより好ましく、10~40重量%であることがさらに好ましい。適度な硬さを有しリワーク性に優れる粘着剤層を形成するためには、ベースポリマーのモノマー成分として、ホモポリマーのTgが80℃以上のモノマー成分を含むことが好ましく、ホモポリマーのTgが100℃以上のモノマー成分を含むことがより好ましい。アクリル系ベースポリマーは、構成モノマー成分全量に対するホモポリマーのTgが100℃以上のモノマーの含有量が、0.1重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましく、1重量%以上であることがさらに好ましく、3重量%以上であることが特に好ましい。特に、メタクリル酸メチルの含有量が上記範囲であることが好ましい。
[0053]
 上記モノマー成分を、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の各種公知の方法により重合することによりベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーが得られる。粘着剤の接着力、保持力等の特性のバランスや、コスト等の観点から、溶液重合法が好ましい。溶液重合の溶媒としては、酢酸エチル、トルエン等が用いられる。溶液濃度は通常20~80重量%程度である。重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系等の各種公知のものを使用できる。分子量を調整するために、連鎖移動剤が用いられていてもよい。反応温度は通常50~80℃程度、反応時間は通常1~8時間程度である。
[0054]
(架橋剤)
 粘着剤に適度の凝集力を持たせ、G’ を上記範囲とする観点から、ベースポリマーには架橋構造が導入されることが好ましい。例えば、ベースポリマーを重合後の溶液に架橋剤を添加し、必要に応じて加熱を行うことにより、架橋構造が導入される。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は、ベースポリマー中に導入されたヒドロキシ基、カルボキシ基等の官能基と反応して架橋構造を形成する。ベースポリマーのヒドロキシ基やカルボキシ基との反応性が高く、架橋構造の導入が容易であることから、イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤が好ましい。
[0055]
 イソシアネート系架橋剤としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが用いられる。ポリイソシアネート系架橋剤としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、東ソー製「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、東ソー製「コロネートHL」)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(例えば、三井化学製「タケネートD110N」、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(例えば、東ソー製「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物等が挙げられる。
[0056]
 エポキシ系架橋剤としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物が用いられる。エポキシ系架橋剤のエポキシ基はグリシジル基であってもよい。エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ系架橋剤として、ナガセケムテックス製の「デナコール」、三菱ガス化学製の「テトラッドX」「テトラッドC」等の市販品を用いてもよい。
[0057]
 架橋剤の使用量は、ベースポリマーの組成や分子量等に応じて適宜に調整すればよい。架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して、0.1~10重量部程度であり、好ましくは0.3~7重量部、より好ましくは0.5~5重量部、さらに好ましくは1~4重量部である。また、ベースポリマー100重量部に対する架橋剤の使用量(重量部)を架橋剤の官能基当量(g/eq)で割った値は、0.00015~0.11が好ましく、0.001~0.077がより好ましく、0.003~0.055がさらに好ましく、0.0045~0.044が特に好ましい。一般的なアクリル系の光学用透明粘着剤よりも架橋剤の使用量を大きくすることによりゲル分率が上昇し、粘着剤のG’ が大きくなり、リワーク性が向上する傾向がある。
[0058]
 架橋構造の形成を促進するために架橋触媒を用いてもよい。例えば、イソシアネート系架橋剤の架橋触媒としては、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ナーセム第二鉄、ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート等の金属系架橋触媒(特にスズ系架橋触媒)等が挙げられる。架橋触媒の使用量は、一般には、ベースポリマー100重量部に対して0.05重量部以下である。
[0059]
(光硬化剤)
 粘着剤層2を構成する粘着剤組成物は、ベースポリマーに加えて光硬化剤を含有する。光硬化性の粘着剤組成物からなる粘着剤層2は、被着体との貼り合わせ後に光硬化を行うと、貯蔵弾性率が大きくなり、被着体との接着力が向上する。
[0060]
 光硬化剤としては、光硬化性モノマー、または光硬化性オリゴマーが用いられる。光硬化剤としては、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましい。また、光硬化剤は、ベースポリマーとの相溶性を示す化合物が好ましい。ベースポリマーとの適度な相溶性を示すことから、光硬化剤は常温で液体であるものが好ましい。光硬化剤がベースポリマーと相溶し、組成物中で均一に分散することにより、被着体との接触面積を確保可能であり、かつ透明性の高い粘着剤層2を形成できる。また、ベースポリマーと光硬化剤とが適度な相溶性を示すことにより、粘着剤層2内に光架橋構造が均一に導入されるため、光硬化後の貯蔵弾性率G’ が適切に上昇する傾向がある。
[0061]
 ベースポリマーと光硬化剤との相溶性は、主に、化合物の構造の影響を受ける。化合物の構造と相溶性は、例えばハンセン溶解度パラメータにより評価可能であり、ベースポリマーと光硬化剤の溶解度パラメータの差が小さいほど相溶性が高くなる傾向がある。
[0062]
 アクリル系ベースポリマーとの相溶性が高いことから、光硬化剤として多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ブタジエン(メタ)アクリレート、イソプレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[0063]
 ベースポリマーと光硬化剤との相溶性は、化合物の分子量にも左右される。光硬化性化合物の分子量が小さいほど、ベースポリマーとの相溶性が高くなる傾向がある。ベースポリマーとの相溶性の観点から、光硬化剤の分子量は1500以下が好ましく、1000以下がより好ましい。
[0064]
 粘着剤組成物のベースポリマーが同一であれば、光硬化剤の種類が異なっても、光硬化前の粘着剤層の貯蔵弾性率G’ の変化は小さい。一方、光硬化剤の含有量が大きくなると、組成物中のベースポリマーの含有量が相対的に小さくなるため、G’ が小さくなる傾向がある。
[0065]
 光硬化剤の種類や含有量は、主に光硬化後の粘着剤層の貯蔵弾性率G’ に影響を与える。官能基当量が小さく(すなわち、単位分子量あたりの官能基数が大きく)、光硬化剤の含有量が大きいほど、G’ およびG’ /G’ が大きくなる傾向がある。
[0066]
 G’ およびG’ /G’ を高める観点から、光硬化剤の官能基当量(g/eq)は500以下が好ましく、450以下がより好ましい。一方、G’ およびG’ /G’ の過度の上昇を抑制する観点から、光硬化剤の官能基当量は100以上が好ましく、130以上がより好ましく、150以上がさらに好ましく、180以上が特に好ましい。
[0067]
 アクリル系ベースポリマーと多官能アクリレート光硬化剤との組み合わせにおいては、光硬化剤の官能基当量が小さい場合は、ベースポリマーと光硬化剤の相互作用が強く、初期接着力が上昇する傾向がある。本発明の用途においては、初期接着力の過度の上昇がリワーク性の低下につながる場合がある。光硬化前の粘着剤層2と被着体との接着力を適切な範囲に保持する観点からも、光硬化剤の官能基当量は上記の範囲内であることが好ましい。
[0068]
 G’ およびG’ /G’ を適切な範囲に調整する観点から、粘着剤組成物における光硬化剤の含有量は、ベースポリマー100重量部に対して、1~50重量部が好ましく、5~40重量部がより好ましく、10~35重量部がさらに好ましい。光硬化性化合物が、未硬化のモノマーまたはオリゴマーとして粘着剤組成物に含まれることにより、光硬化性の粘着剤層2が得られる。光硬化剤を未硬化の状態で組成物中に含めるために、ベースポリマーを重合後のポリマー溶液に光硬化剤を添加することが好ましい。
[0069]
 粘着剤組成物における光硬化剤の含有量が大きくなると、光硬化剤が表面にブリードアウトしやすくなる。光硬化剤が大量にブリードアウトすると、透明性の低下や、接着力の低下を招く場合がある。一方、後に詳述するように、少量の光硬化剤が表面にブリードアウトした場合は、粘着剤層の貯蔵弾性率を保持したまま被着体との接着力を適度に減少させることが可能であり、リワーク性が向上する傾向がある。
[0070]
(光開始剤)
 粘着剤層2は、光開始剤を含むことが好ましい。光開始剤は、活性光線の照射により活性種を発生し、光硬化剤の硬化反応を促進する。光開始剤としては、光硬化剤の種類等に応じて、光カチオン開始剤(光酸発生剤)、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤(光塩基発生剤)等が用いられる。光硬化剤として多官能アクリレートが用いられる場合は、光ラジカル開始剤を用いることが好ましい。光ラジカル開始剤としては、波長450nmよりも短波長の可視光または紫外線により開裂してラジカルを発生する光ラジカル発生剤が好ましく、ヒドロキシケトン類、ベンジルジメチルケタール類、アミノケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾフェノン類、トリクロロメチル基含有トリアジン誘導体等が挙げられる。光ラジカル発生剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
[0071]
 粘着剤層2に透明性が求められる場合、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)は、400nmよりも長波長の光(可視光)に対する感度が小さいことが好ましく、例えば、波長405nmにおける吸光係数が1×10 [mLg -1cm -1]以下である光重合開始剤が好ましく用いられる。また、可視光の感度が小さい光重合開始剤を用いれば、保管環境での外光に起因する光重合開始剤の開裂が生じ難いため、補強フィルムの保管安定性を向上できる。
[0072]
 保管環境下での蛍光灯からの光による光開裂を抑制するためには、360nmよりも長波長に吸収極大を示さない光重合開始剤を用いることが好ましい。360nmよりも長波長に吸収極大を示す光重合開始剤は、蛍光灯からの紫外線(主に365nmおよび405nmの水銀輝線)を吸収して光開裂するため、経時的に粘着剤の光硬化が進行しやすい。光吸収開始剤の光吸収の極大波長が360nm以下であれば、蛍光灯等の保管環境下での光に起因する開裂が生じ難いため、補強フィルムの保管安定性を向上できる。紫外線等による開裂を抑制する観点から、光重合開始剤の光吸収の極大波長は350nm以下が好ましく、345nm以下がより好ましい。一方、紫外線照射による硬化効率を高めるためには、光重合開始剤は310nmよりも長波長に光吸収極大を有することが好ましい。以上より、保管安定性と光硬化効率とを両立する観点から、光重合開始剤は、波長360nmよりも長波長に吸収極大を有さず、かつ波長310~350nmの範囲に吸収極大を有するものが好ましい。
[0073]
 粘着剤層2における光重合開始剤の含有量は、ベースポリマー100重量部に対して、0.001~10重量部が好ましく、0.01~5重量部がより好ましい。補強フィルムを長期保管する際や、被着体と貼り合わせた後光硬化前の状態で保管する際の粘着剤層2の経時的な接着力の変化を抑制する観点から、粘着剤層2における光重合開始剤の含有量は、0.1重量部以下が好ましく、0.07重量部以下がより好ましく、0.05重量部以下がさらに好ましい。一方、紫外線照射等により、十分に光硬化を進行させて接着信頼性を高める観点から、粘着剤層2における光重合開始剤の含有量は、0.01重量部以上が好ましく、0.02重量部以上がより好ましい。
[0074]
(その他の添加剤)
 上記例示の各成分の他、粘着剤層中は、シランカップリング剤、粘着性付与剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で含有していてもよい。
[0075]
[補強フィルムの作製]
 フィルム基材1上に光硬化性の粘着剤層2を積層することにより、補強フィルムが得られる。粘着剤層2は、フィルム基材1上に直接形成してもよく、他の基材上でシート状に形成された粘着剤層をフィルム基材1上に転写してもよい。
[0076]
 上記の粘着剤組成物を、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等により、基材上に塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥除去することにより粘着剤層が形成される。乾燥方法としては、適宜、適切な方法が採用され得る。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃~200℃、より好ましくは50℃~180℃、さらに好ましくは70℃~170℃である。乾燥時間は、好ましくは5秒~20分、より好ましくは5秒~15分、さらに好ましくは10秒~10分である。
[0077]
 粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合は、溶媒の乾燥と同時、または溶媒の乾燥後に、加熱またはエージングにより架橋を進行させることが好ましい。加熱温度や加熱時間は、使用する架橋剤の種類によって適宜設定され、通常、20℃~160℃の範囲で、1分から7日程度の加熱により架橋が行われる。溶媒を乾燥除去するための加熱が、架橋のための加熱を兼ねていてもよい。
[0078]
 ベースポリマーに架橋構造が導入されることにより、ゲル分率が上昇し、粘着剤層2の貯蔵弾性率が上昇する傾向がある。ゲル分率が高いほど粘着剤が硬く、リワーク等による被着体からの補強フィルムの剥離時に、被着体への糊残りが抑制される傾向がある。粘着剤層2の光硬化前のゲル分率(すなわち、粘着剤層を構成する光硬化性組成物のゲル分率)は、30%以上または50%以上であり得る。光硬化性組成物のゲル分率は、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。ゲル分率は75%以上であってもよい。粘着剤層2の光硬化前のゲル分率が過度に大きいと、被着体に対する投錨力が低下し、初期接着力が不十分となる場合がある。そのため、粘着剤層2の光硬化前のゲル分率は、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、85%以下がさらに好ましく、80%以下が特に好ましい。ゲル分率は、酢酸エチル等の溶媒に対する不溶分として求めることができ、具体的には、粘着剤層を酢酸エチル中に23℃で7日間浸漬した後の不溶成分の、浸漬前の試料に対する重量分率(単位:重量%)として求められる。一般に、ポリマーのゲル分率は架橋度に等しく、ポリマー中の架橋された部分が多いほど、ゲル分率が大きくなる。
[0079]
 架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入後も、光硬化剤は未反応の状態を維持している。そのため、ベースポリマーと光硬化剤とを含む光硬化性の粘着剤層2が形成される。フィルム基材1上に粘着剤層2を形成する場合は、粘着剤層2の保護等を目的として、粘着剤層2上にセパレータ5を付設することが好ましい。粘着剤層2上にセパレータ5を付設後に架橋を行ってもよい。
[0080]
 他の基材上に粘着剤層2を形成する場合は、溶媒を乾燥後に、フィルム基材1上に粘着剤層2を転写することにより補強フィルムが得られる。粘着剤層の形成に用いた基材を、そのままセパレータ5としてもよい。
[0081]
 セパレータ5としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムが好ましく用いられる。セパレータの厚みは、通常3~200μm、好ましくは10~100μm程度である。セパレータ5の粘着剤層2との接触面には、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系、もしくは脂肪酸アミド系等の離型剤、またはシリカ粉等による離型処理が施されていることが好ましい。セパレータ5の表面が離型処理されていることにより、フィルム基材1とセパレータ5を剥離した際に、粘着剤層2とセパレータ5との界面で剥離が生じ、フィルム基材1上に粘着剤層2が固着した状態が維持される。
[0082]
[補強フィルムの使用]
 本発明の補強フィルムは、デバイスまたはデバイス構成部品に貼り合わせて用いられる。補強フィルム10は、粘着剤層2がフィルム基材1と固着されており、被着体との貼り合わせ後光硬化前は、被着体への接着力が小さい。そのため、光硬化前は被着体からの補強フィルムの剥離が容易であり、リワーク性に優れる。また、光硬化前は補強フィルムを切断し、被着体表面の一部の領域の補強フィルムを除去する等の加工も容易に行い得る。
[0083]
(光硬化前の粘着剤層の特性)
 前述のように、光硬化前の粘着剤層2は、所定の貯蔵弾性率を有することが好ましい。光硬化前の粘着剤層2の75℃における貯蔵弾性率は、8×10 ~1×10 Paが好ましく、2×10 ~9.5×10 Paがより好ましく、3×10 ~9×10 Paがさらに好ましい。光硬化前の粘着剤層2の100℃における貯蔵弾性率は、7.5×10 ~1×10 Paが好ましく、1.5×10 ~9×10 Paがより好ましく、3×10 ~8.5×10 Paがさらに好ましい。
[0084]
 光硬化前の粘着剤層2は、25~100℃の範囲での貯蔵弾性率の変化が小さいことが好ましい。加熱時の貯蔵弾性率の変化が小さいことにより、被着体と補強フィルムとを貼り合わせた仕掛品が保管環境等において高温に曝された場合でも、端部からの粘着剤のはみ出しや接着力の低下を防止できる。なお、一般には高温ほど粘着剤の貯蔵弾性率が小さくなる傾向があるが、粘着剤組成物中の未架橋の架橋剤の反応や、揮発成分(溶媒、光硬化剤、光重合開始剤等)の揮発、エントロピー弾性の影響等により、高温の貯蔵弾性率が低温の貯蔵弾性率よりも大きくなる場合がある。
[0085]
 光硬化前の粘着剤層2の100℃における貯蔵弾性率は、25℃における貯蔵弾性率の70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、78%以上がさらに好ましい。光硬化前の粘着剤層2の100℃における貯蔵弾性率は、25℃における貯蔵弾性率の80%以上または82%以上であってもよい。
[0086]
 光硬化前の粘着剤層2の750℃における貯蔵弾性率は、25℃における貯蔵弾性率の70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、78%以上がさらに好ましい。光硬化前の粘着剤層2の75℃における貯蔵弾性率は、25℃における貯蔵弾性率の80%以上または82%以上であってもよい。
[0087]
 光硬化前の粘着剤層2の被着体からの不所望の剥離を抑制し、かつリワーク等の際の剥離を容易とする観点から、粘着剤層2は、摩擦力顕微鏡(FFM)のタッピングモードにより測定される周波数5Hzでの摩擦力が、周波数0.1Hzでの摩擦力の2~5倍であることが好ましい。また、光硬化前の粘着剤層2の周波数0.1Hzと5Hzの摩擦力の比が2~5の範囲内である場合に、光硬化後の被着体に対する接着力が増加して接着信頼性が向上する傾向がある。
[0088]
 FFMでは、走査型プローブ顕微鏡(SPM)のプローブと試料表面との間に働く力を、カンチレバーの板バネの変位(ねじれ量)に変換し、この変位を電気的に検出する。変位量は差分電圧に比例し、摩擦力はカンチレバーのバネ定数および変位量に比例する。したがって、摩擦力はFFM差分電圧に比例する。周波数5Hzでの摩擦力と、周波数0.1Hzでの摩擦力との比は、両者のFFM差分信号の比に等しい。粘着剤層の摩擦力は真空下で測定する。ただし、真空下でフィルムのうねり等が生じて正確な測定が困難である場合は、大気圧下(常圧)にて測定を行う。真空下での測定値と常圧下での測定値はほぼ同一である。
[0089]
 貯蔵弾性率は、粘着剤層のバルクの特性を反映するのに対して、ナノトライボロジーによる摩擦力は、粘着剤層の表面の被着体との接着性をより顕著に反映する傾向があり、摩擦力が小さいことは、粘着剤の表面が液状に近く、粘りが小さいことを意味する。粘着剤層の表面が粘性を有する場合は、摩擦力が大きくなるとともに、FFMにより測定される摩擦力に周波数依存性が現れる。特定の周波数で測定される摩擦力は、粘着剤組成物の構成成分の個々の物性を反映しやすいのに対して、周波数依存は表面の特性をより的確に反映する傾向がある。摩擦力の周波数依存が小さいほど、粘性が小さく液状の特性が強いことを表し、摩擦力の周波数依存が大きいほど、粘性が大きく被着体に対する接着性が高くなる傾向がある。例えば、粘着剤層のベースポリマーと光硬化剤とが完全相溶系ではない場合は、液状の光硬化剤が表面にブリードアウトして、被着体との接着界面に接着阻害層(Weak Boundary Layer; WBL)が形成され、液状の特性が強くなるため、周波数依存が小さくなる傾向がある。
[0090]
 ベースポリマーと光硬化剤との相溶性を制御することにより、少量の光硬化剤が粘着剤層表面にブリードアウトして、WBLが形成される場合がある。前述のように、ベースポリマーと光硬化剤との相溶性は、両者の化学構造の類似性(溶解度パラメータ)、光硬化剤の分子量および官能基当量等により調整できる。
[0091]
 常温の貯蔵弾性率が高い粘着剤層は、被着体との接着性が高くリワークが困難となる場合がある。一方、WBLが形成されると、粘着剤層のバルクの特性を保持したまま、表面(接着界面)の特性が変化する。すなわち、WBLが形成されると、バルク特性である貯蔵弾性率を保持したまま、摩擦力の周波数依存が小さくなる傾向がある。光硬化前の粘着剤層の周波数5Hzでの摩擦力が、周波数0.1Hzでの摩擦力の5倍以下の場合に、光硬化前の粘着剤層2と被着体との剥離が容易となる傾向がある。
[0092]
 ベースポリマーと光硬化剤との相溶性が過度に低い場合は、光硬化剤のブリードアウトが大きく、粘着剤層の表面にほぼ液状のWBLが形成され、摩擦力が大幅に低下し、これに伴って摩擦力の周波数依存も小さくなる傾向がある。摩擦力が過度に低下すると、せん段保持が困難であるために接着不良が生じやすい。また、粘着剤層の摩擦力が過度に小さい場合は、光硬化剤のブリードアウトによる被着体の汚染や、粘着剤層とフィルム基材との界面での剥離が生じる場合がある。そのため、光硬化前の粘着剤層の周波数5Hzでの摩擦力は、周波数0.1Hzでの摩擦力の2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、3.5倍以上がさらに好ましい。
[0093]
 被着体に対する適度な接着性と剥離性とを両立する観点から、バネ定数40N/mのカンチレバーを用いて測定した光硬化前の粘着剤層2の周波数5HzでのFFM差分信号は、0.01~1Vが好ましく、0.05~0.9Vがより好ましく、0.1~0.8Vがさらに好ましく、0.2~0.7Vが特に好ましい。
[0094]
(被着体との貼り合わせおよび光硬化)
 補強フィルムが貼り合わせられる被着体は特に限定されず、各種の電子デバイス、光学デバイスおよびその構成部品等が挙げられる。補強フィルムは被着体の全面に貼り合わせられてもよく、補強を必要とする部分にのみ選択的に貼り合わせられてもよい。また、被着体の全面に補強フィルムを貼り合わせ後、補強を必要としない箇所の補強フィルムを切断し、補強フィルムを剥離除去してもよい。光硬化前であれば、補強フィルムは被着体表面に仮着された状態であるため、被着体の表面から補強フィルムを容易に剥離除去できる。
[0095]
 被着体に補強フィルムを貼り合わせ後、粘着剤層2に活性光線を照射することにより、粘着剤層を光硬化させる。活性光線としては、紫外線、可視光、赤外線、X線、α線、β線、およびγ線等が挙げられる。保管状態における粘着剤層の硬化を抑制可能であり、かつ硬化が容易であることから、活性光線としては紫外線が好ましい。活性光線の照射強度や照射時間は、粘着剤層の組成や厚み等に応じて適宜設定すればよい。粘着剤層2への活性光線の照射は、フィルム基材1側および被着体側のいずれの面から実施してもよく、両方の面から活性光線の照射を行ってもよい。
[0096]
 前述のように、保管状態における粘着剤層の硬化を抑制するためには、光重合開始剤の種類(吸収波長)や添加量を適切な範囲とすることが好ましい。保管状態における粘着剤層の硬化を抑制する方法としては、光重合開始剤の種類や添加量を調整する以外に、基材フィルム1およびセパレータ5に紫外線遮蔽性を持たせる(例えば紫外線吸収剤を添加する)ことが考えられる。しかし、基材フィルム1に紫外線遮蔽性を持たせると、補強フィルムを被着体と貼り合わせ後に基材フィルム1側から紫外線を照射して粘着剤層2を光硬化する際に、基材フィルム1が紫外線を遮蔽するため、光硬化の効率が低下する。また、紫外線遮蔽性を高める目的で基材フィルム1の紫外線吸収剤の含有量を高めると、透明性が低下する傾向がある。そのため、補強フィルムの保管安定性を向上する方法としては、光重合開始剤の種類や添加量の調整により、保管環境下での蛍光灯等に起因する光重合開始剤の開裂を防止する方法が好ましい。
[0097]
 本発明の補強フィルムは、粘着剤層2が光硬化性であり、硬化のタイミングを任意に設定可能である。リワークや補強フィルムの加工等の処理は、被着体に補強フィルムを貼設後、粘着剤を光硬化するまでの間の任意のタイミングで実施可能であるため、デバイスの製造工程のリードタイムに柔軟に対応可能である。
[0098]
(光硬化後の粘着剤層の特性)
 前述のように、光硬化後の粘着剤層2は、所定の貯蔵弾性率を有することが好ましい。補強フィルムを付設後の被着体は、複数の積層部材の積層界面の親和性向上等を目的としたオートクレーブ処理や、回路部材接合のための熱圧着等の加熱処理が行われる場合がある。このような加熱処理が行われた際に、補強フィルムと被着体との間の粘着剤が、端面から流動しないことが好ましい。
[0099]
 高温加熱時の粘着剤のはみ出しを抑制する観点から、光硬化後の粘着剤層2の100℃における貯蔵弾性率は、5×10 Pa以上が好ましく、8×10 Pa以上がより好ましく、1×10 Pa以上がさらに好ましい。加熱時の粘着剤のはみ出し防止に加えて、加熱時の接着力低下を防止する観点から、光硬化後の粘着剤層2の100℃における貯蔵弾性率は、50℃における貯蔵弾性率の60%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、75%以上が特に好ましい。
[0100]
 補強フィルムの接着信頼性を高める観点から、光硬化後の粘着剤層2は、FFMにより測定される周波数5Hzでの摩擦力が、周波数0.1Hzでの摩擦力の5倍以上であることが好ましく、5.5倍以上であることがより好ましい。バネ定数40N/mのカンチレバーを用いて測定した光硬化後の粘着剤層2の周波数5HzでのFFM差分信号は0.1V以上が好ましく、0.2V以上がより好ましく、0.3V以上がさらに好ましい。接着信頼性を高める観点においては、光硬化後の粘着剤層の摩擦力は大きいほど好ましい。そのため、摩擦力の上限は特に制限されないが、バネ定数40N/mのカンチレバーを用いて測定した5HzでのFFM差分信号は、一般には10V以下であり、粘着剤の特性のバランスを考慮すると5V以下が好ましい。
[0101]
 光硬化後の粘着剤層2の周波数5Hzでの摩擦力は、光硬化前の粘着剤層2の周波数5Hzでの摩擦力の1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましく、2.5倍以上がさらに好ましく、3倍以上が特に好ましい。光硬化前後の摩擦力の比が大きいほど、光硬化による接着力の増加率が高くなる傾向がある。光硬化後の摩擦力は、一般的には、光硬化前の摩擦力の20倍以下であり、好ましくは10倍以下である。
[0102]
[補強フィルムの使用形態]
 本発明の補強フィルムは、各種デバイスの構成部材(仕掛品)や、完成後のデバイスに貼り合わせて用いられる。補強フィルムを貼り合わせることにより、適度な剛性が付与されるため、ハンドリング性向上や破損防止効果が期待される。デバイスの製造工程において、仕掛品に補強フィルムが貼り合わせられる場合は、製品サイズに切断される前の大判の仕掛品に補強フィルムを貼り合わせてもよい。ロールトゥーロールプロセスにより製造されるデバイスのマザーロールに、補強フィルムをロールトゥーロールで貼り合わせてもよい。
[0103]
 デバイスの高度集積化、小型軽量化および薄型化に伴って、デバイスを構成する部材の厚みが小さくなる傾向がある。構成部材の薄型化により、積層界面での応力や等に起因する湾曲やカールが生じやすくなる。また、薄型化により自重による撓みが生じやすくなる。補強フィルムを貼り合わせることにより、被着体に剛性を付与できるため、応力や自重等による湾曲、カール、撓み等が抑制され、ハンドリング性が向上する。そのため、デバイスの製造工程で仕掛品に補強フィルムを貼り合わせることにより、自動化された装置による搬送や加工の際の不良や不具合を防止できる。
[0104]
 自動搬送においては、搬送対象の仕掛品と、搬送アームやピン等との接触が不可避である。また、形状の調整や不要部分除去のために、仕掛品の切断加工がおこなわれる場合がある。高度集積化、小型軽量化および薄型化されたデバイスでは、搬送装置等との接触や切断加工の際に、局所的な応力の集中による破損が生じやすい。複数の部材が積層されたデバイスの製造工程においては、部材を順次積層するだけでなく、仕掛品から部材の一部や工程材等が剥離除去される場合がある。部材が薄型化されている場合は、剥離箇所およびその近傍に局所的に応力が集中して、破損や寸法変化が生じる場合がある。補強フィルムは粘着剤層による応力分散性を有しているため、搬送対象物および加工対象物に補強フィルムが貼り合わせられることにより、適度な剛性が付与されるとともに、応力が緩和・分散され、クラック、割れ、剥がれ、寸法変化等の不具合を抑制できる。
[0105]
 このように、本発明の補強フィルムを貼り合わせることにより、被着体である仕掛品に適度な剛性が付与されるとともに、応力が緩和・分散されるため、製造工程において生じ得る種々の不具合を抑制し、生産効率を向上し、歩留まりを改善できる。また、補強フィルムは、粘着剤層を光硬化する前は、被着体からの剥離が容易であるため、積層や貼り合わせ不良が生じた場合もリワークが容易である。
[0106]
 完成後のデバイスの使用において、デバイスの落下、デバイス上への重量物の載置、デバイスへの飛来物の衝突等により、不意に外力が負荷された場合でも、補強フィルムが貼り合わせられていることにより、デバイスの破損を防止できる。また、粘着剤を光硬化後の補強フィルムはデバイスに強固に接着しているため、長期使用においても補強フィルムが剥がれ難く、信頼性に優れている。
実施例
[0107]
 以下に実施例および比較例を挙げてさらに説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[0108]
[アクリル系ポリマーの重合]
<ポリマーA>
 温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、モノマーとして、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)63重量部、N-ビニルピロリドン(NVP)15重量部、メチルメタクリレート(MMA)9重量部、およびヒドロキシエチルアクリレート(HEA)13重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、ならびに溶媒として酢酸エチル233重量部を投入し、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃に加熱し、7時間反応させて、重量平均分子量(Mw)が120万のアクリル系ポリマーAの溶液を得た。
[0109]
<ポリマーB>
 モノマーの仕込み量を、2EHA:72重量部、NVP:14重量部、MMA:1重量部、およびHEA:13重量部に変更した。それ以外はポリマーAと同様に重合を行い、Mw100万のアクリル系ポリマーBの溶液を得た。
[0110]
<ポリマーC>
 モノマーの仕込み量を、2EHA:96重量部、およびNVP:4重量部に変更した。それ以外はポリマーAと同様に重合を行い、Mw55万のアクリル系ポリマーCの溶液を得た。
[0111]
<ポリマーD>
 モノマーの仕込み量を、2EHA:95重量部、およびHEA:5重量部に変更した。それ以外はポリマーAと同様に重合を行い、Mw44万のアクリル系ポリマーDの溶液を得た。
[0112]
<ポリマーE>
 モノマーの仕込み量を、ブチルアクリレート(BA):75重量部、MMA:20重量部、およびHEA:5重量部に変更した。それ以外はポリマーAと同様に重合を行い、Mw60万のアクリル系ポリマーEの溶液を得た。
[0113]
<ポリマーF>
 モノマーの仕込み量を、BA:95重量部、およびアクリル酸(AA):5重量部に変更した。それ以外はポリマーAと同様に重合を行い、Mw60万のアクリル系ポリマーFの溶液を得た。
[0114]
 アクリル系ポリマーA~Fの仕込みモノマー比率および重量平均分子量を表1に一覧で示す。
[0115]
[表1]


[0116]
[補強フィルムの作製]
<粘着剤組成物の調製>
 アクリル系ポリマー溶液に、架橋剤、光硬化剤、および光重合開始剤を添加し、均一に混合して、表2に示す粘着剤組成物1~21を調製した。光重合開始剤としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製「イルガキュア184」;吸収極大波長:246nm、280nm、333nm)をポリマーの固形分100重量部に対して0.1重量部添加した。架橋剤および光硬化剤は、表2に示す組成となるように添加した。表2における添加量は、ベースポリマー100重量部に対する添加量(固形分の重量部)である。架橋剤および光硬化剤の詳細は下記の通りである。
[0117]
(架橋剤)
 タケネートD110N:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の75%酢酸エチル溶液(三井化学製)
 コロネートHX:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー製)
 テトラッドC:N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン(4官能のエポキシ化合物、三菱ガス化学製)
[0118]
(光硬化剤)
 APG200:ポリプロピレングリコール#200(n=3)ジアクリレート;官能基当量150g/eq
 APG400:ポリプロピレングリコール#400(n=7)ジアクリレート;官能基当量268g/eq
 APG700:ポリプロピレングリコール#700(n=12)ジアクリレート;官能基当量404g/eq
 A200:ポリエチレングリコール#200(n=4)ジアクリレート;官能基当量154g/eq
 A400:ポリエチレングリコール#400(n=9)ジアクリレート;官能基当量254g/eq
 TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート;官能基当量99g/eq
 A-DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;官能基当量96g/eq
 A-DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート;官能基当量152g/eq
 A-HD-N:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート;官能基当量113g/eq
(上記いずれも新中村化学工業製)
[0119]
<粘着剤溶液の塗布および架橋>
 表面処理がされていない厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製「ルミラーS10」;以下「フィルム基材A」と記載する場合がある)上に、上記の粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、ファウンテンロールを用いて塗布した。130℃で1分間乾燥して溶媒を除去後、粘着剤の塗布面に、セパレータ(表面がシリコーン離型処理された厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の離型処理面を貼り合わせた。その後、25℃の雰囲気で4日間のエージング処理を行い、架橋を進行させ、フィルム基材A上に光硬化性粘着シートが固着積層され、その上にセパレータが仮着された補強フィルムを得た。
[0120]
[評価]
<分子量>
 ベースポリマー重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、GPC(東ソー製「HLC-8220GPC」)を用い下記の条件により測定した。
  サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
  サンプル注入量:10μl
  溶離液:THF
  流速:0.6ml/min
  測定温度:40℃
  サンプルカラム: TSKguardcolumn SuperHZ-H(1本)+TSKgel SuperHZM-H(2本)
  参照カラム: TSKgel SuperH-RC(1本)
  検出器:RI
[0121]
<ゲル分率>
 補強フィルムの粘着剤層を採取して精秤し、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜で包み、包んだ口をタコ糸で縛った。この試料の重量から、予め測定しておいた多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜およびタコ糸の重量の合計(A)を差し引いて、粘着剤試料の重量(B)を算出した。多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜で包まれた粘着剤試料を、約50mLの酢酸エチル中に、23℃で7日間浸漬し、粘着剤のゾル成分を多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜外へ溶出させた。浸漬後、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜で包まれた粘着剤を取出し、130℃で2時間乾燥させ、約30分間放冷した後、乾燥重量(C)を測定した。粘着剤のゲル分率は、次式により算出した。
    ゲル分率(%)=100×(C-A)/B
[0122]
<貯蔵弾性率>
 セパレータ上に、上記と同様に粘着剤組成物の塗布および架橋を行い、粘着シート(光硬化前)を作製した。光硬化前の粘着シートの粘着剤層の表面にセパレータを付設して酸素から遮断し、ケミカルランプを用いて照度5mW/cm の紫外線を360秒間照射して光硬化させた。光硬化前の粘着シートおよび光硬化後の粘着シートのそれぞれを積層して、厚さ約1.5mmの測定用試料を作成し、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、以下の条件により、動的粘弾性測定を行った。
(測定条件)
  変形モード:ねじり
  測定周波数:1Hz
  昇温速度:5℃/分
  測定温度:-50~150℃
  形状:パラレルプレート 8.0mmφ
[0123]
<摩擦力>
 補強フィルムからセパレータを剥離したものを光硬化前の粘着剤の摩擦力測定用試料とした。補強フィルムからセパレータを剥離した後、粘着剤層の露出面から紫外線を照射して粘着剤層を光硬化したものを光硬化後の粘着剤の摩擦力測定用試料とした。走査型プローブ顕微鏡(日立ハイテクサイエンス製「AFM5300E」のFFMモードで、下記の条件により測定を行い、一方向のスキャン幅5μm(往復で10μm走査)でフリクショナル測定を行い、測定範囲の左側から3μmの位置での差分電圧を読み取った。
(測定条件)
  カンチレバー:BudgetSensors製「Tap300E-G」(バネ定数40N/m相当品)
  ADD値:8.44V、DIF値:0.4V、FFM値:0V
  雰囲気:真空または大気圧、室温
  スキャン速度:0.1Hz,1Hzおよび5Hz
 組成1~20の粘着シートを備える補強フィルムについては、真空下で測定を行った。組成21の粘着シートを備える補強フィルムは、粘着剤を光硬化前の試料が真空下で波打っており正確な測定ができなかったため、光硬化前後のいずれについても大気圧下で測定を行った。
[0124]
<接着力>
 厚み12.5μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製「カプトン50EN」)を、両面接着テープ(日東電工製「No.531」)を介してガラス板に貼付し、測定用ポリイミドフィルム基板を得た。幅25mm×長さ100mmに切り出した補強フィルムの表面からセパレータを剥離除去し、測定用ポリイミドフィルム基板にハンドローラを用いて貼り合わせ、光硬化前の試験サンプルとした。光硬化前の試験サンプルの補強フィルム側(フィルム基材A側)から紫外線を照射して粘着剤層を光硬化したものを光硬化後の試験サンプルとした。これらの試験サンプルを用い、補強フィルムのポリエチレンテレフタレートフィルムの端部をチャックで保持して、引張速度300mm/分で、補強フィルムの180°ピールを行い、ピール強度を測定した。
[0125]
 各補強シートの粘着剤の組成および貯蔵弾性率の測定結果を表2、摩擦力および接着力の測定結果を表3に示す。表3における光硬化前周波数依存および光硬化後周波数依存は、それぞれ、光硬化前および光硬化後の粘着剤層の周波数0.1Hzで測定したFFM電圧に対する周波数5Hzで測定したFFM電圧の比である。FFM電圧と摩擦力とが比例するから、FFM電圧の比は摩擦力の比に等しい。
[0126]
[表2]


[0127]
[表3]


[0128]
 組成1~6、組成10,組成12~14、組成16、組成18の粘着剤(アクリル系ベースポリマーとイソシアネート系架橋剤と光硬化剤の組合せ)を用いた補強フィルムは、光硬化前の接着強度が5N/25mm以下であり、光硬化後の接着強度が6N/25mm以上であり、かつ光硬化後の接着強度が光硬化前の4倍以上であった。アクリル系ベースポリマーとエポキシ系架橋剤と光硬化剤を含有する組成21の粘着剤を用いた補強フィルムも同様であった。これらの結果から、光硬化前後の貯蔵弾性率が所定範囲であることにより、光硬化前は被着体からの剥離が容易であり、光硬化後は被着体と強固に接着可能な補強フィルムが得られることが分かる。
[0129]
 組成1~4および組成6~10は、同一のベースポリマーを用いており、光硬化剤の含有量が同一(組成物中のベースポリマーの含有量が同一)であるため、光硬化前の粘着剤層のゲル分率および貯蔵弾性率に大きな差はみられなかった。すなわち、光硬化剤の種類が異なる場合でも、光硬化前の粘着剤層の貯蔵弾性率には大きな差がないことが分かる。一方、光硬化後の粘着剤層の貯蔵弾性率には大きな差がみられ、光硬化剤の官能基当量が小さい(同一質量あたりの重合性官能基数が多い)ほど、光硬化後の粘着剤層の貯蔵弾性率が大きくなる傾向がみられた。組成7~9では、光硬化剤の官能基当量が小さいために、光硬化により粘着剤層の貯蔵弾性率が過度に上昇し、光硬化後の接着力が低いことが分かる。また、官能基当量の小さい光硬化剤を用いた組成7~9では、光硬化後の粘着剤層のG’ 100℃/G’ 50℃の値が小さく、温度上昇に伴って貯蔵弾性率が低下しやすい傾向がみられた。組成14と組成15との対比、組成16と組成17との対比、および組成18と組成19との対比においても、光硬化剤の種類の相違に起因して、光硬化後の粘着剤層の貯蔵弾性率およびその温度依存ならびに接着力に差異がみられた。
[0130]
 組成3,11~13は、ベースポリマーおよび光硬化剤の種類は同一であるが、光硬化剤の添加量が異なっており、光硬化剤の添加量の増加(組成物中のベースポリマーの比率の低下)に伴って、光硬化前の粘着剤層のゲル分率および貯蔵弾性率が低下していることが分かる。組成4と組成5との対比においても同様の傾向がみられた。光硬化剤の添加量が10重量部の組成11では、初期の貯蔵弾性率が高く、光硬化前の接着力(初期接着力)が高いために、リワーク性に劣っていた。また、組成11では、光硬化剤の含有量が小さいために、光硬化による貯蔵弾性率の増加が1.8倍にとどまっており、光硬化による接着力の増加が十分ではなかった。
[0131]
 ベースポリマーCを用いた組成20では、ベースポリマーへの架橋構造の導入が十分ではなかったこと等に起因して、光硬化前後のいずれにおいても粘着剤層の貯蔵弾性率が小さく、接着性が十分ではなかった。
[0132]
 組成1~10の粘着剤層の光硬化前の特性に着目すると、これらの組成では、光硬化前の貯蔵弾性率には大きな差異はないが、組成1,7~10は、光硬化前の粘着剤層の摩擦力の周波数依存が大きく、初期接着力が増大しており、組成6では光硬化前の粘着剤層の摩擦力の周波数依存が小さく、初期接着力が低下していた。
[0133]
 これらの結果から、光硬化前の粘着剤層の摩擦力の周波数依存は、初期接着力と高い相関を有しており、周波数依存が大きいほど初期接着力が高くなる傾向があることが分かる。光硬化剤の種類および含有量の変化に伴う初期接着力の変化は、ベースポリマーと光硬化剤との相溶性や光硬化剤の粘着剤層表面へのブリードアウトが関連していると考えられる。光硬化剤の分子量が大きいほど、ベースポリマーと光硬化剤との相溶性が低下するために、粘着剤層表面への光硬化剤のブリードアウトが生じやすく、初期接着力が低下する傾向があると考えられる。
[0134]
 光硬化剤としてA400(ポリエチレングリコール#400ジアクリレート)を用いた組成6では、光硬化剤の親水性が高いためにベースポリマーとの親和性が低く、かつ分子量および官能基当量が大きいために、ベースポリマーと光硬化剤との相溶性が低く、粘着剤層表面への光硬化剤のブリードアウトにより、初期接着力が低下したと考えられる。一方、光硬化剤としてAPG700(ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート)を用いた組成3では、組成6よりも光硬化剤が疎水的であるため、光硬化剤のブリードアウトが抑制され、初期接着力を維持していると考えられる。光硬化剤として6官能のアクリレートを用いた組成8では、分子中のアクリロイル基の密度が高く、光硬化剤のC=C、C-O-C、およびC=O等の官能基が、ベースポリマーと被着体との相互作用を高めるように作用したことが、初期接着力の上昇につながったと考えられる。
[0135]
 組成3,11~13においては、光硬化剤の添加量の増加に伴って、光硬化前の粘着剤層の摩擦力の周波数依存が小さくなり、初期接着力が低下する傾向がみられた。光硬化剤の添加量の増加による貯蔵弾性率の低下に加えて、粘着剤層表面への光硬化剤のブリードアウト量が増加したことが、初期接着力を低下させる要因であると考えられる。
[0136]
[補強フィルムの保管性(接着力の経時安定性)]
 組成3,4,5,12の粘着剤を備える補強シートを常温の明室下で静置し、1週間後(1W)、4週間後(4W)、8週間後(8W)および12週間後(12W)に、ポリイミドフィルムとの接着力を測定した。1週間後、4週間後および12週間後の試料については、粘着剤を光硬化後の接着力の評価も実施した。補強シートを遮光袋内で保管した試料についても、粘着剤の光前後の接着力を評価した。
[0137]
 組成3,4,5,12の粘着剤組成物における光重合開始剤(イルガキュア814)の添加量を、ポリマーの固形分100重量部に対して0.3重量部に変更した粘着剤(組成33、組成31、組成31、組成34)を用いて補強フィルムを作製し、明室下で静置した試料および遮光袋に入れて保管した試料について、光硬化前後の接着力を評価した。
[0138]
 それぞれの補強フィルムの粘着剤の組成、および光硬化前後の接着力の測定結果を表4に示す。
[0139]
[表4]


[0140]
 いずれの組成においても、光硬化後の接着力については、保管環境による明確な差は見られなかった。一方、光硬化前の接着力についてみると、明室で保管した試料では、遮光保管した試料に比べて接着力が大きくなる傾向がみられた。また、組成4と組成31の対比、組成5と組成32との対比、組成3と組成33との対比、および組成12と組成34との対比から、光重合開始剤の添加量が大きい場合に、光硬化前の接着力の上昇が顕著であることが分かる。
[0141]
 これらの結果から、明室下で保管した試料では、蛍光灯等の光による光重合開始剤の開裂が生じやすく、光重合開始剤の開裂に伴って粘着剤組成物の光硬化反応が進行して接着力が上昇したと考えられる。
[0142]
[光重合開始剤の保管性への影響の評価]
 組成5の粘着剤組成物における光重合剤の種類および添加量を種々に変更した粘着剤(組成32,組成41~51)、および組成12の粘着剤組成物における光重合剤の添加量を変更した粘着剤(組成34,61,62)を用いて補強フィルムを作製し、作製直後の試料、および明室下で1週間または4週間保管後の試料について、光硬化前の接着力を測定した。作製直後の試料については、光硬化後の接着力も測定した。光重合開始剤の詳細は下記の通りである。
[0143]
 IRG184:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製「イルガキュア184」、吸収極大波長:246nm、280nm、333nm)
 IRG651:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(BASF製「イルガキュア651」、吸収極大波長:250nm、340nm)
 IRG819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASF製「イルガキュア819」、吸収極大波長:295nm、370nm)
 IRG2959:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(BASF製「イルガキュア2959」、吸収極大波長:276nm)
[0144]
 それぞれの補強フィルムの粘着剤の組成、および光硬化前後の接着力の測定結果を表5に示す。
[0145]
[表5]


[0146]
 光重合開始剤の添加量を組成5の半分にした組成41では、明室で4週間保管後の試料においても、組成32および組成5のような光硬化前接着力の顕著な上昇はみられず、保管安定性に優れていた。光重合開始剤の添加剤をさらに低減した組成42も、組成41と同様に光硬化前接着力の上昇が抑制されており、保管性に優れていた。組成34,12,61,62の対比においても、光重合開始剤の添加量が少ない場合に、光硬化前接着力の上昇が抑制されていた。
[0147]
 組成43~45の対比、組成46~48の対比、および組成49~51の対比から、光重合開始剤の種類を変更した場合も、光重合開始剤の添加量を低減することにより、光硬化前接着力の上昇が抑制され、保管性に優れる補強フィルムが得られることが分かる。
[0148]
 一方、組成51および組成62では、光硬化後の接着力の上昇が不十分であった。これは、光重合開始剤の含有量が少ないために、紫外線照射時の光ラジカルの生成量が小さく、重合の反応効率が低下したことに起因すると考えられる。
[0149]
 以上の結果から、粘着剤の組成等に応じて光重合開始剤の添加量を調整することにより、光硬化後は被着体と強固に接着可能であり、かつ保管安定性に優れる補強フィルムが得られることが分かる。
[0150]
[異なるフィルム基材を用いた補強フィルムの接着力の評価]
<補強フィルムの作製>
 厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、下記のフィルム基材を用い、フィルム基材上に、組成12の粘着剤組成物を塗布し、乾燥後にセパレータを貼り合わせた後、エージング処理を行い、補強フィルムを得た。
 フィルム基材B:片面(粘着剤組成物の塗布面と反対側の面)に帯電防止層が設けられた厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
 フィルム基材C:厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製「ルミラーS10」)
 フィルム基材D:厚み100μmの環状オレフィンフィルム(日本ゼオン製「ゼオノアイルムZF14」
 フィルム基材E:厚み50μmの紫外線透過性透明ポリイミドフィルム(三菱ガス化学製「ネオプリムS-100」)
 フィルム基材F:厚み50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製「カプトン200H」
 フィルム基材G」厚み50μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックス50S」)
[0151]
 フィルム基材Bの帯電防止層は以下の手順で形成した。
 水とエタノールとの混合溶媒に、下記(A)~(D)の成分を加え、約20分間攪拌混合して、固形分約0.3%の帯電防止処理液を調製した。
(A)導電性ポリマーとしてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)0.5%およびポリスチレンスルホネート(数平均分子量15万)0.8%を含む水溶液(Heraeus製「Clevios P」):固形分で50重量部
(B)飽和共重合ポリエステル樹脂の25%水分散液(東洋紡製「バイナロールMD-1480」):固形分で100重量部
(C)カルナバワックスの水分散液:固形分で40重量部(滑り剤として)
(D)メラミン系架橋剤:10重量部
 フィルム基材A(厚み75μmのPETフィルム)の片面に、上記の処理液をバーコーターにて塗布し、130℃で30秒間加熱して乾燥させ、厚み40nmの帯電防止層を形成した。
[0152]
<接着力の評価>
 フィルム基材B~Eを用いた補強フィルムについては、フィルム基材Aを用いた補強フィルムと同様にして、光硬化前後の接着力を評価した。フィルム基材F,Gを用いた補強フィルムについては、表面からセパレータを剥離除去し、ガラス基板にハンドローラを用いて貼り合わせて、光硬化前の試験サンプルとし、ガラス基板側から紫外線を照射して粘着剤層を光硬化したものを光硬化後の試験サンプルとして、接着力を評価した。それぞれの補強フィルムの基材の種類、紫外線照射面、および光硬化前後の接着力の測定結果を表6に示す。
[0153]
[表6]


[0154]
 表6に示すように、フィルム基材の種類、被着体の種類、光照射面を変更すると、接着力が変化したが、いずれも例においても、粘着剤の光硬化によって接着力が上昇していた。フィルム基材F,Gは、紫外線透過性を有していないが、被着体として紫外線透過性のガラスを用い、ガラス面側から紫外線を照射することにより、粘着剤の光硬化が可能であることが分かる。これらの結果から、フィルム基材の種類や、被着体の種類に関わらず、光硬化により貯蔵弾性率が上昇する粘着剤層をフィルム基材上に固着することにより、光硬化前は被着体からの剥離が容易であり、光硬化後は被着体と強固に接着可能な補強フィルムが得られることが分かる。

請求の範囲

[請求項1]
 フィルム基材と、前記フィルム基材の一主面上に固着積層された粘着剤層とを備え、
 前記粘着剤層は、アクリル系ベースポリマーおよび光硬化剤を含む光硬化性組成物からなり、25℃におけるせん断貯蔵弾性率が1×10 ~1.2×10 Paであり、
 前記アクリル系ベースポリマーは、モノマーユニットとして、ヒドロキシ基含有モノマーおよびカルボキシ基含有モノマーからなる群から選択される1以上を含有し、前記アクリル系ベースポリマーには架橋構造が導入されており、
 前記光硬化性組成物のゲル分率が60%以上であり、
 前記粘着剤層の光硬化後の25℃におけるせん断貯蔵弾性率が、1.5×10 ~2×10 Paである、補強フィルム。
[請求項2]
 前記粘着剤層の光硬化後の25℃におけるせん断貯蔵弾性率が、光硬化前の25℃におけるせん断貯蔵弾性率の2倍以上である、請求項1に記載の補強フィルム。
[請求項3]
 前記粘着剤層は、摩擦力顕微鏡により測定される周波数5Hzでの摩擦力が、周波数0.1Hzでの摩擦力の2~5倍である、請求項1または2に記載の補強フィルム。
[請求項4]
 前記粘着剤層の光硬化後の摩擦力顕微鏡により測定される周波数5Hzでの摩擦力が、周波数0.1Hzでの摩擦力の5倍以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の補強フィルム。
[請求項5]
 前記粘着剤の光硬化後の100℃におけるせん断貯蔵弾性率貯蔵弾性率が、50℃におけるせん断貯蔵弾性率の60%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の補強フィルム。
[請求項6]
 前記アクリル系ベースポリマーの重量平均分子量が10万以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の補強フィルム。
[請求項7]
 前記アクリル系ベースポリマーが、モノマーユニットとしてヒドロキシ基含有モノマーおよび窒素含有モノマーを含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の補強フィルム。
[請求項8]
 前記アクリル系ベースポリマーは、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上のモノマー成分を5~50重量%含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の補強フィルム。
[請求項9]
 前記光硬化性組成物のゲル分率が70%以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の補強フィルム。
[請求項10]
 前記光硬化性組成物は、前記アクリル系ベースポリマー100重量部に対して、前記光硬化剤を1~50重量部含有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の補強フィルム。
[請求項11]
 前記光硬化剤が多官能(メタ)アクリレートである、請求項1~10のいずれか1項に記載の補強フィルム。
[請求項12]
 前記光硬化剤の官能基当量が、100~500g/eqである、請求項1~11のいずれか1項に記載の補強フィルム。
[請求項13]
 前記粘着剤層は、前記アクリル系ベースポリマー100重量部に対して、光重合開始剤を0.01~0.1重量部含有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の補強フィルム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]