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1. (WO2019039496) METHOD FOR PRODUCING CELL DEATH INDUCER FOR CANCER CELLS, AND METHOD FOR INDUCING CELL DEATH OF CANCER CELLS
Document

明 細 書

発明の名称 がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法、及びがん細胞の細胞死誘導方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

0004   0005   0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046  

実施例

0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060  

符号の説明

0061  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2A   2B   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法、及びがん細胞の細胞死誘導方法

技術分野

[0001]
 本発明は、がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法、及びがん細胞の細胞死誘導方法に関する。
 本願は、2017年8月23日に、日本に出願された特願2017-160045号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 プラズマ技術は、電気、化学、材料の各分野に応用されている。近年においては、プラズマ技術の医療への応用が検討されている。プラズマの内部では、電子やイオン等の荷電粒子の他に、紫外線やラジカルが発生する。これらには、生体組織の殺菌をはじめとして、生体組織に対する種々の効果があることが分かってきている。
 例えば、特許文献1には、60Hzの非平衡大気圧プラズマを培養液に照射して、抗腫瘍水溶液を製造することが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2016-169164号公報

発明の概要

[0004]
 本発明の一実施形態は、マイクロ波電源を用いて大気圧下で気体を電離して生成したプラズマを、水又は水を含む組成物に照射する工程を含む、がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法である。
[0005]
 また、本発明の一実施形態は、上記実施形態の製造方法により製造されたがん細胞の細胞死誘導剤を、がん細胞に接触させる工程を含む、がん細胞の細胞死誘導方法である。
[0006]
 また、本発明の一実施形態は、マイクロ波電源を用いて大気圧下で気体を電離して生成したプラズマを、がん細胞に照射する工程を含む、がん細胞の細胞死誘導方法である。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] プラズマ発生システムの一例を示す概略図である。
[図2A] 本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された、がん細胞の細胞死誘導剤(がん細胞死誘導剤)の、正常細胞(MCF10A細胞)及びがん細胞(HeLa細胞)に対する細胞死誘導活性を示す。細胞生存率は、プラズマ非照射の培地で培養した細胞における細胞生存率を1としたときの相対値で示した。図2Aは、がん細胞死誘導剤で処理したMCF10A細胞及びHeLa細胞の細胞生存率を示す。
[図2B] 本発明の一実施形態にかかる製造方法により製造された、がん細胞の細胞死誘導剤(がん細胞死誘導剤)の、正常細胞(MCF10A細胞)及びがん細胞(HeLa細胞)に対する細胞死誘導活性を示す。細胞生存率は、プラズマ非照射の培地で培養した細胞における細胞生存率を1としたときの相対値で示した。図2Bは、がん細胞死誘導剤を1~256倍に希釈し、当該希釈した各がん細胞死誘導剤で処理したMCF10A細胞及びHeLa細胞の細胞生存率を示す。
[図3] マイクロ波電源を用いて大気圧下で気体を電離して生成したプラズマ(マイクロ波励起プラズマ)の照射時間と、がん細胞死誘導剤中の過酸化水素濃度及び亜硝酸イオン濃度との関係を示す。
[図4] マイクロ波励起プラズマを照射して製造したがん細胞死誘導剤(がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ))、及び60Hz非平衡大気圧プラズマを照射して製造したがん細胞死誘導剤(がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ))の、がん細胞(HeLa細胞)に対する細胞死誘導活性を示す。がん細胞死誘導剤は、それぞれ図4に示す照射時間で、プラズマをDMEM培地に照射して製造した。図4中、「60Hz大気圧プラズマ」は、がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)を示す。「マイクロ波励起プラズマ」は、がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)を示す。細胞生存率は、プラズマ非照射の培地で培養した細胞における細胞生存率を1としたときの相対値で示した。
[図5] がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)、及びがん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)の、がん細胞(HeLa細胞)に対する細胞死誘導活性を示す。がん細胞死誘導剤は、それぞれ図5に示す照射距離で、プラズマをDMEM培地に照射して製造した。図5中、「60Hz大気圧プラズマ」は、がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)を示す。「マイクロ波励起プラズマ」は、がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)を示す。細胞生存率は、プラズマ非照射の培地で培養した細胞における細胞生存率を1としたときの相対値で示した。

発明を実施するための形態

[0008]
≪がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法≫
 一実施形態において、本発明は、がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法を提供する。本実施形態の製造方法は、マイクロ波電源を用いて大気圧下で気体を電離して生成したプラズマ(以下、「マイクロ波励起プラズマ」という。)を、水又は水を含む組成物に照射する工程(以下、「マイクロ波励起プラズマ照射工程」という。)を含む。
[0009]
[マイクロ波励起プラズマ照射工程]
(マイクロ波励起プラズマの発生)
 マイクロ波励起プラズマは、例えば、図1に例示するようなプラズマ発生システムを用いて、発生させることができる。図1に例示するプラズマ発生システム100では、プラズマ発生装置1とマイクロ波電源2とが、同軸ケーブル3で接続されている。また、プロセスガスとして気体を供給するガスボンベ4から、ガス供給管5を介して、プラズマ発生装置1に気体が供給される。マイクロ波電源2により発生されたマイクロ波は、同軸ケーブル3を介して、プラズマ発生装置1に伝送される。プラズマ発生装置1では、マイクロ波により気体が電離し、プラズマ発生領域においてプラズマが発生する。
[0010]
 マイクロ波励起プラズマの発生方法は、図1に例示したシステムに限定されず、マイクロ波励起プラズマを発生可能な装置、システム等を特に制限なく用いることができる。マイクロ波励起プラズマを発生するための装置又はシステムは、市販のものを用いてもよい。
[0011]
 本明細書において、「マイクロ波」とは、周波数300MHz~300GHzの範囲の電波を指す。本実施形態の製造方法に用いるマイクロ波としては、特に限定されないが、例えば、周波数900MHz~6GHz、1.5GHz~4GHz、2GHz~3GHz、2.4GHz~2.5GHzの範囲のものを用いることができる。
[0012]
 マイクロ波を発生させる際のマイクロ波電源の投入電力としては、20~2000Wが挙げられる。一例として、マイクロ波電源の投入電力は、50Wとすることができる。
[0013]
 マイクロ波で電離する気体(プロセスガス)としては、特に限定されないが、例えば、酸素、窒素、二酸化炭素、空気、希ガス(ヘリウム、アルゴン、ネオン等)等が挙げられる。
[0014]
 プラズマ発生の際のプロセスガスの流速としては、特に限定されないが、0.5~10 standard liter/分(slm)が挙げられる。一例として、プロセスガスの流速は、2 slmとすることができる。プロセスガスの流速は、例えば、マスフローコントローラを用いて制御することができる。
[0015]
 マイクロ波励起プラズマのプラズマ条件の一例を表1に示す。
[0016]
[表1]


[0017]
(プラズマの照射)
 本実施形態の製造方法においては、水又は水を含む組成物に、マイクロ波励起プラズマを照射する。水にマイクロ波励起プラズマを照射することにより、過酸化水素、亜硝酸イオン等が生成される。水を含む組成物にマイクロ波励起プラズマを照射すると、当該組成物に含まれる水において、過酸化水素、亜硝酸イオン等が生成される。これらの過酸化水素、亜硝酸イオン等の物質により、マイクロ波励起プラズマを照射された水又は水を含む組成物は、がん細胞特異的な細胞死誘導活性を有するようになる。
[0018]
 水を含む組成物は、特に限定されず、水を含んでいればよい。水を含む組成物は、水溶液であってもよく、エマルションであってもよく、懸濁液であってもよく、ゲル状であってもよい。一例として、水を含む組成物は、水溶液である。
 水を含む組成物における水の含有量としては、例えば、50~99.99質量%、60~99.99質量%、70~99.99質量%、80~99.99質量%、90~99.99質量%等が挙げられる。
[0019]
 水を含む組成物としては、例えば、正常細胞に対して細胞傷害活性を示さないものが挙げられる。そのような組成物としては、細胞培養用の培地、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、各種緩衝液(リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、クエン酸緩衝液など)等が挙げられる。細胞培養用の培地は、特に限定されず、細胞培養に一般的に用いられる培地を用いることができる。例えば、ヒト細胞の培養用培地としては、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM培地)、イーグル最少必須培地、グラスゴー最少必須培地、栄養混合物F-12ハム、イスコフ改変ダルベッコ培地、RPMI-1640、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、ハンクス平衡塩類溶液等が例示されるが、これらに限定されない。また、市販の細胞培養用培地を用いてもよい。
[0020]
 水又は水を含む組成物に対するマイクロ波励起プラズマの照射は、例えば、図1に例示するように行うことができる。具体的には、プラズマ発生装置1のプラズマ発生領域の下方に、水又は水を含む組成物11を入れた容器10を置き、マイクロ波励起プラズマを発生させる。これにより、水又は水を含む組成物11に、マイクロ波励起プラズマが照射される。プラズマ噴出口6から、水又は水を含む組成物のプラズマ照射面までの距離としては、1~30mm、2~20mm、3~15mm等を例示できる。
[0021]
 水又は水を含む組成物に対するマイクロ波励起プラズマの照射時間としては、例えば、10秒以上、20秒以上、30秒以上、60秒以上、又は100秒以上が挙げられる。照射時間の上限は、特に限定されないが、エネルギー投入量と細胞死誘導活性とのバランスから、例えば、5分以下、4分以下、又は3分以下が挙げられる。マイクロ波励起プラズマの照射時間の範囲としては、20秒~5分、30秒~4分、60~200秒、100~180秒等が例示される。
[0022]
 マイクロ波励起プラズマを照射した水又は水を含む組成物は、がん細胞に対して細胞死誘導活性を示すが、正常細胞に対しては細胞死誘導活性を示さない。そのため、がん細胞特異的に細胞死を誘導する細胞死誘導剤として用いることができる。
 また、本実施形態の製造方法により製造された細胞死誘導剤は、60Hz大気圧プラズマを照射して製造された細胞死誘導剤よりも、がん細胞に対する細胞死誘導効果が高い。
そのため、がん細胞を効率よく殺傷することができる。
[0023]
 本実施形態の製造方法により製造された細胞死誘導剤が、細胞死を誘導し得るがん細胞としては、上皮腫瘍細胞、造血器腫瘍細胞、肉腫細胞等が挙げられる。上皮腫瘍細胞としては、子宮頸がん細胞、肺がん細胞、肝がん細胞、胃がん細胞、大腸がん細胞、乳がん細胞、膀胱がん細胞、前立腺がん細胞、卵巣がん細胞、皮膚がん細胞、咽頭がん細胞、舌がん細胞等が挙げられるが、これらに限定されない。がん細胞が由来する生物は、特に限定されず、ヒト、ヒト以外の哺乳類(ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、サル等)が例示される。
[0024]
[他の工程]
 本実施形態の製造方法は、上記マイクロ波励起プラズマ照射工程に加えて、他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては、マイクロ波励起プラズマ照射後の水又は水を含む組成物を希釈する工程(希釈工程)、マイクロ波励起プラズマ照射後の水又は水を含む組成物に他の成分を添加する工程(成分添加工程)等が挙げられる。
[0025]
(希釈工程)
 本実施形態の製造方法は、上記マイクロ波励起プラズマ照射工程の後に、希釈工程を含んでいてもよい。マイクロ波励起プラズマ照射後の水又は水を含む組成物は、10倍程度まで希釈しても、がん細胞に対する細胞死誘導活性を有する。そのため、マイクロ波励起プラズマ照射後の水又は水を含む組成物を、1.1~10倍程度、又は1.1~5倍程度、1.1~3倍程度に希釈して、がん細胞の細胞死誘導剤としてもよい。
 希釈は、マイクロ波励起プラズマ照射前の水又は水を含む組成物を用いて行ってもよく、他の水溶液を用いて行ってもよい。
[0026]
(成分添加工程)
 本実施形態の製造方法は、上記マイクロ波励起プラズマ照射工程の後に、成分添加工程を含んでいてもよい。添加する成分としては、例えば、正常細胞の生存に必要な成分等が挙げられる。例えば、水にマイクロ波励起プラズマを照射した場合には、マイクロ波励起プラズマ照射後の水に、アミノ酸、糖類、ビタミン類、無機塩類等の培地成分を添加してもよい。そのような培地成分を添加することにより、がん細胞に細胞死を誘導する一方、正常細胞の生存率を高めることができる。
[0027]
≪がん細胞の細胞死誘導方法≫
[第1実施形態]
 一実施形態において、本発明は、上記実施形態の製造方法により製造されたがん細胞の細胞死誘導剤(以下、「本がん細胞死誘導剤」という。)を、がん細胞に接触させる工程を含む、がん細胞の細胞死誘導方法を提供する。
[0028]
 本実施形態の方法において、本がん細胞死誘導剤と接触させるがん細胞は、特に限定されず、上記「≪がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法≫」で挙げたがん細胞と同様のものが挙げられる。
[0029]
 一態様において、本がん細胞死誘導剤とがん細胞との接触は、生体外(ex vivo又はin vitro)で行われる。この場合、がん細胞は、培養細胞であってもよく、生体から採取されたがん細胞であってもよい。なお、本明細書において、「培養細胞」とは、生体外において、任意の時間培養された細胞を指す。培養時間は、特に限定されず、例えば、1時間以上であってよい。がん細胞が培養細胞である場合、樹立されたがん細胞株であってもよい。
[0030]
 また、がん細胞は、正常細胞が混在する細胞集団中のがん細胞であってもよい。本がん細胞死誘導剤は、がん細胞に対しては高い細胞死誘導活性を有するが、正常細胞に対しては細胞死誘導活性を有しない。そのため、がん細胞と正常細胞とが混在する細胞集団に、本がん細胞死誘導剤を接触させた場合、がん細胞のみに細胞死が誘導される。これにより、がん細胞と正常細胞とが混在する細胞集団において、がん細胞のみを選択的に殺傷することができる。
[0031]
 本がん細胞死誘導剤を、生体外で、がん細胞と接触させる場合、接触方法は特に限定されない。例えば、がん細胞が培養細胞である場合、がん細胞を培養している培地に、本がん細胞死誘導剤を添加してもよい。あるいは、がん細胞を培養している培地を、本がん細胞死誘導剤で置換してもよい。また、がん細胞が生体から採取された細胞である場合、採取した細胞を本がん細胞死誘導剤に懸濁してもよい。
[0032]
 本がん細胞死誘導剤を、生体外で、がん細胞と接触させる場合、本がん細胞死誘導剤とがん細胞との接触時間は、例えば、5時間以上、10時間以上、15時間以上、又は20時間以上とすることができる。接触時間の上限は、特に限定されないが、例えば、50時間以下とすることができる。また、本がん細胞死誘導剤が、DMEM培地等の細胞培養培地にマイクロ波照射プラズマを照射して製造されたものである場合、そのまま本がん細胞死誘導剤の存在下で培養を続けてもよい。がん細胞と正常細胞とが混在している場合、本がん細胞死誘導剤の存在下で培養を続けることにより、がん細胞の比率が低下し、正常細胞の比率が上昇した細胞集団を得ることができる。あるいは、正常細胞のみで構成される細胞集団を得ることができる。
 なお、本がん細胞死誘導剤とがん細胞との接触期間中の条件は、通常の細胞培養の条件と同様の条件とすることができる。例えば、ヒト細胞である場合、接触期間中の条件として、310K、5% CO 等が例示される。
[0033]
 一態様において、本がん細胞死誘導剤とがん細胞との接触は、生体内(in vivo)で行ってもよい。この場合、がん細胞は、生体内で発生した腫瘍中のがん細胞であり得る。
[0034]
 本がん細胞死誘導剤を、生体内で、がん細胞と接触させる場合、接触方法は特に限定されない。例えば、点滴や注射等により、腫瘍部位又は腫瘍近傍に、本がん細胞死誘導剤を投与してもよい。あるいは、手術で腫瘍を摘出した後、摘出部位に本がん細胞死誘導剤を投与し、摘出部位に残存するがん細胞に本がん細胞死誘導剤を接触させてもよい。また、がん細胞がメラノーマ細胞等の皮膚がん細胞である場合、病変部位に、本がん細胞死誘導剤を塗布してもよい。
 本がん細胞死誘導剤は、正常細胞に対しては細胞死を誘導しないため、生体に投与した場合であっても、正常細胞を殺傷することなく、がん細胞のみを殺傷することができる。
[0035]
[第2実施形態]
 一実施形態において、本発明は、マイクロ波電源を用いて大気圧下で気体を電離して発生させたプラズマ(マイクロ波励起プラズマ)を、がん細胞に照射する工程を含む、がん細胞の細胞死誘導方法を提供する。
[0036]
 マイクロ波励起プラズマの発生方法としては、上記「≪がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法≫」で例示した方法と同様の方法が例示される。
 また、マイクロ波励起プラズマを照射するがん細胞は、特に限定されず、上記「≪がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法≫」で挙げたがん細胞と同様のものが挙げられる。
[0037]
 一態様において、がん細胞に対するマイクロ波励起プラズマの照射は、生体外(ex vivo又はin vitro)で行われる。この場合、がん細胞は、培養細胞であってもよく、生体から採取されたがん細胞であってもよい。がん細胞が培養細胞である場合、樹立されたがん細胞株であってもよい。また、がん細胞は、正常細胞が混在する細胞集団中のがん細胞であってもよい。
[0038]
 細胞にマイクロ波励起プラズマを照射すると、細胞の細胞内液中に、過酸化水素、亜硝酸イオン等が生成される。細胞ががん細胞である場合、これらの過酸化水素、亜硝酸イオン等の物質により、がん細胞の細胞死が誘導される。一方、細胞が正常細胞である場合、正常細胞の細胞死は誘導されない。そのため、がん細胞と正常細胞とが混在する細胞集団に、マイクロ波励起プラズマを照射した場合、がん細胞のみに細胞死が誘導される。これにより、がん細胞と正常細胞とが混在する細胞集団において、がん細胞のみを選択的に殺傷することができる。
[0039]
 がん細胞に対するマイクロ波励起プラズマの照射は、例えば、図1において、容器10内の水又は水を含む組成物11を、がん細胞に置き換えることにより行うことができる。例えば、プラズマ発生装置1のプラズマ発生領域の下方に、がん細胞を入れた容器10を置き、マイクロ波励起プラズマを発生させる。これにより、がん細胞にマイクロ波励起プラズマが照射される。プラズマ噴出口6から、がん細胞までの距離としては、1~30mm、2~20mm、3~15mm等を例示できる。
[0040]
 がん細胞に対するマイクロ波励起プラズマの照射時間としては、例えば、20秒以上、30秒以上、60秒以上、又は100秒以上が挙げられる。照射時間の上限は、特に限定されないが、エネルギー投入量と細胞死誘導活性とのバランスから、例えば、5分以下、4分以下、又は3分以下が挙げられる。マイクロ波励起プラズマの照射時間の範囲としては、20秒~5分、30秒~4分、60~200秒、100~180秒等が例示される。
[0041]
 また、マイクロ波励起プラズマを照射するがん細胞は、水又は水を含む組成物(細胞培養用の培地、緩衝液など)に懸濁されていてもよい。例えば、がん細胞が培養細胞である場合、培地中のがん細胞にマイクロ波励起プラズマを照射してもよい。あるいは、がん細胞を培地や緩衝液に懸濁し、当該培地や緩衝液とともにがん細胞にマイクロ波励起プラズマを照射してもよい。
 この場合、マイクロ波励起プラズマの照射により、がん細胞の細胞内液中に加えて、培地や緩衝液中にも、過酸化水素、亜硝酸イオン等が生成される。これらの過酸化水素、亜硝酸イオン等の物質により、がん細胞の細胞死が誘導される。
[0042]
 一態様において、がん細胞に対するマイクロ波励起プラズマの照射は、生体内(in vivo)のがん細胞に対して行ってもよい。この場合、がん細胞は、生体内で発生した腫瘍中のがん細胞であり得る。
[0043]
 生体内のがん細胞に対しても、図1に例示されるようなプラズマ発生システムを用いて、マイクロ波励起プラズマの照射を行うことができる。例えば、プラズマ発生装置1のプラズマ発生領域の下方に、腫瘍部位を配置し、マイクロ波励起プラズマを発生させる。これにより、当該腫瘍中のがん細胞に、マイクロ波励起プラズマが照射される。プラズマ噴出口6から、腫瘍部位までの距離としては、1~30mm、2~20mm、3~15mm等を例示できる。
[0044]
 生体内のがん細胞が、皮膚がん(メラノーマなど)等の体表に存在する腫瘍中のがん細胞である場合、当該体表の病変部位に対してマイクロ波励起プラズマを照射すればよい。また、生体内のがん細胞が、体表近傍に存在する腫瘍中のがん細胞である場合、当該腫瘍が存在する部位の体表に対して、マイクロ波励起プラズマを照射すればよい。また、生体内のがん細胞が、体内に存在する腫瘍中のがん細胞である場合、手術で腫瘍部位を露出させ、露出した腫瘍に対してマイクロ波励起プラズマを照射してもよい。あるいは、手術で腫瘍を摘出した後、摘出部位にマイクロ波励起プラズマを照射し、摘出部位に残存するがん細胞の細胞死を誘導してもよい。
[0045]
 生体内のがん細胞に対して、マイクロ波励起プラズマを照射した場合、がん細胞の細胞内液及びがん細胞近傍の細胞外液(間質液、血漿、リンパなど)中に、過酸化水素、亜硝酸イオン等が生成する。これらの過酸化水素、亜硝酸イオン等の物質により、がん細胞の細胞死が誘導される。一方、正常細胞の細胞死は誘導されないため、生体内のがん細胞に対してマイクロ波励起プラズマを照射した場合であっても、正常細胞を殺傷することなく、がん細胞のみを選択的に殺傷することができる。
[0046]
 以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
実施例
[0047]
 以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[0048]
[実施例1]がん細胞の細胞死誘導剤の製造
 図1に例示するプラズマ発生システム100と同様のプラズマ発生システムを用いて、マイクロ波励起プラズマを発生させた。マイクロ波電源には2.45GHzマイクロ波電源を用い、マイクロ波電源とプラズマ発生装置とを、同軸ケーブル及びスリースタブチューナを介して接続した。マイクロ波電力は、50Wに設定した。プロセスガスとしてアルゴンガスを使用した。アルゴンガスの流速は、マスフローコントローラを用いて、2 standard liter/分(slm)に固定した。
[0049]
 全量3mLのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM培地、カタログno.5796、Sigma-Aldrich)を35mmディッシュに入れ、プラズマ発生装置の下方に置いた。プラズマ発生装置において、大気圧下で、アルゴンガスを2.45GHzのマイクロ波で電離してプラズマを発生させ、DMEM培地にプラズマを所定時間照射した。プラズマ噴出口とDMEM培地のプラズマ照射面との距離は、5mmとした。プラズマ照射後のDMEM培地を、がん細胞の細胞死誘導剤(以下、「がん細胞死誘導剤」という。)として以下の実施例に用いた。
[0050]
 なお、2.45GHzのマイクロ波で発生させたプラズマのプラズマプルームの長さは、プラズマ噴出口から約13mmであった。また、プラズマの電子密度は、約7.3×10 14cm -3であった。
[0051]
[実施例2]細胞増殖アッセイ
 実施例1に記載の方法でがん細胞死誘導剤を製造した。DMEM培地に対するマイクロ波励起プラズマの照射時間は30秒とした。
 細胞増殖アッセイ用の細胞として、HeLa細胞(ヒト上皮腫瘍細胞)及びMCF10A細胞(ヒト乳房上皮細胞)を用いた。これらの細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)及びペニシリン(100 U/mL)-ストレプトマイシン(100 μg/mL)を補充したDMEM培地で培養し、310K、5% CO の加湿されたインキュベータで維持した。
 次に、HeLa細胞又はMCF10AをDMEM培地に懸濁し、その懸濁液200μLを、96ウェルプレートの各ウェルに添加し、24時間培養した。細胞濃度は、10,000個/ウェルとした。続いて、各ウェルから200μLの培地を除去し、200μLのがん細胞死誘導剤を添加して、再度培養した。20時間後、各ウェルからがん細胞死誘導剤を除去し、3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3carboxymethoxyphenyl)-2-(4-sulfophenyl)-2H-tetrazolium, inner salt reagent(Promega Corp)を含有するDMEM培地を100μL添加した。1時間培養した後、490nmの吸光度(生細胞の数に直線的に比例する)を測定した。
[0052]
 細胞増殖アッセイの結果を図2に示す。図2(A)は、がん細胞死誘導剤で処理したMCF10A細胞及びHeLa細胞の細胞生存率を示す。細胞生存率は、プラズマ非照射のDMEM培地で培養したコントロール細胞における吸光度を1としたときの相対値で示した。図2(A)に示されるように、HeLa細胞では、がん細胞死誘導剤で培養することにより、細胞生存率が大きく低下した。一方、MCF10A細胞では、がん細胞死誘導剤で培養しても、細胞生存率はそれほど低下しなかった。
[0053]
 図2(B)は、がん細胞死誘導剤を、FBS及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充しないDMEM培地で1倍、2倍、4倍、8倍、16倍、32倍、64倍、128倍又は256倍に希釈し、当該希釈したがん細胞死誘導剤で細胞増殖アッセイを行った結果を示す。細胞生存率は、プラズマ非照射のDMEM培地で培養したコントロール細胞における吸光度を1としたときの相対値で示した。図2(B)に示されるように、MCF10A細胞では、いずれの希釈率でも、細胞生存率は0.8以上だった。一方、HeLa細胞では、1倍及び2倍希釈したがん細胞死誘導剤で培養した場合、細胞生存率は0.1以下だった。がん細胞死誘導剤の希釈率が4倍以上の範囲では、希釈率が大きくなるほど、HeLa細胞の細胞生存率が上昇した。
 これらの結果は、正常細胞であるMCF10A細胞においては、がん細胞死誘導剤の濃度に関わらず、細胞死は誘導されないのに対し、がん細胞であるHeLa細胞においては、がん細胞死誘導剤の濃度に依存して細胞死が誘導されることを示している。
[0054]
[実施例3]過酸化水素濃度、亜硝酸イオン濃度の測定
 実施例1に記載の方法でがん細胞死誘導剤を製造した。DMEM培地に対するマイクロ波励起プラズマの照射時間は、10~180秒の間で変化させた。
(過酸化水素濃度の測定)
 がん細胞死誘導剤に0.25Mのリン酸ナトリウムを添加して、がん細胞死誘導剤を適当な濃度に希釈した。希釈したがん細胞死誘導剤50μLを96ウェルプレートの各ウェルに添加した。続いて、各ウェルに、50μLのAmplex Red TM試薬(Invitrogen)を添加した。室温、遮光下で30分間培養した後、マイクロプレートリーダー(Powerscan HT、DS Pharma Biomedical)を用いて、560nmの吸光度を測定した。測定された吸光度から、プラズマ照射する前のDMEM培地の吸光度を差し引いた。過酸化水素の絶対濃度は、0.25Mのリン酸ナトリウムを用いて20μMまで希釈した過酸化水素の検量線により算出した。
[0055]
(亜硝酸イオン濃度の測定)
 がん細胞死誘導剤に純水を添加して、がん細胞死誘導剤を適当な濃度に希釈した。希釈したがん細胞死誘導剤50μLを96ウェルプレートの各ウェルに添加した。続いて、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Gibco,Sigma-Aldrich;50μL)を各ウェルに添加した。さらに、100μLのOxisSelect in vitro nitric oxide(nitrite/nitrate) assay solution(Cell Biolabs Inc.)を各ウェルに添加した。室温で10分間培養した後、マイクロプレートリーダーを用いて、540nmの吸光度を測定した。測定された吸光度から、プラズマ照射する前のDMEM培地の吸光度を差し引いた。亜硝酸イオンの絶対濃度は、純水を用いて140μMまで希釈した亜硝酸イオンの検量線により算出した。
[0056]
 マイクロ波励起プラズマの照射時間と、がん細胞死誘導剤における過酸化水素濃度及び亜硝酸イオン濃度との関係を図3に示す。がん細胞死誘導剤における過酸化水素濃度及び亜硝酸イオン濃度は、6.0μM/秒及び2.2μM/秒の割合でそれぞれ増加した。プラズマ照射時間30秒の場合、がん細胞死誘導剤における過酸化水素濃度は180μMであり、亜硝酸イオン濃度は77μMであった。
[0057]
[実施例4]60Hz大気圧プラズマで製造したがん細胞死誘導剤との比較(照射時間)
 実施例1に記載の方法でがん細胞死誘導剤(以下、「がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)」という。)を製造した。また、DMEM培地に、60Hz非平衡大気圧プラズマを照射して、がん細胞死誘導剤(以下、「がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)」という。)を製造した。60Hz非平衡大気圧プラズマの照射は、特開2016-169164号公報に記載の方法で行った。DMEM培地に対する、マイクロ波励起プラズマ又は60Hz非平衡大気圧プラズマの照射時間は、30秒、60秒、120秒、又は180秒とした。
 がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)及びがん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)を用いて、実施例2と同様の方法で、細胞増殖アッセイを行った。細胞増殖アッセイの細胞としては、HeLa細胞を用いた。
[0058]
 細胞増殖アッセイの結果を図4に示す。図4中、「60Hz大気圧プラズマ」は、がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)による結果を示す。「マイクロ波励起プラズマ」は、がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)による結果を示す。細胞生存率は、プラズマ非照射のDMEM培地で培養したコントロール細胞における吸光度を1としたときの相対値で示した。
 図4に示されるように、がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)では、いずれの照射時間でも、細胞生存率が0.25以下であった。マイクロ波励起プラズマの照射時間が長くなるほど細胞生存率が低下し、照射時間が120秒及び180秒のものでは、細胞生存率は0.1以下であった。
 一方、がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)でも、照射時間が長くなるほど細胞生存率が低下したが、照射時間が120秒のものでも、細胞生存率は0.4以上であった。
[0059]
[実施例5]60Hz大気圧プラズマで製造したがん細胞死誘導剤との比較(照射距離)
 実施例1に記載の方法でがん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)を製造した。また、DMEM培地に、60Hz非平衡大気圧プラズマを照射して、がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)を製造した。プラズマ噴出口とDMEM培地のプラズマ照射面との距離は、3~13mmの間で変化させた。なお、プラズマ照射時間は、30秒とした。
 がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)及びがん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)を用いて、実施例2と同様の方法で、細胞増殖アッセイを行った。細胞増殖アッセイの細胞としては、HeLa細胞を用いた。
[0060]
 細胞増殖アッセイの結果を図5に示す。図5中、「60Hz大気圧プラズマ」は、がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)による結果を示す。また、「マイクロ波励起プラズマ」は、がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)による結果を示す。細胞生存率は、プラズマ非照射のDMEM培地で培養したコントロール細胞における吸光度を1としたときの相対値で示した。
 図5に示されるように、がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)では、いずれの照射距離でも、細胞生存率が0.10以下であった。照射距離によって、細胞生存率に大きな差は認められなかった。
 一方、がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)では、照射距離が小さくなるほど、細胞生存率が低下した。しかし、いずれの照射距離でも、細胞生存率は0.4以上であった。
 実施例4及び5の結果から、がん細胞死誘導剤(マイクロ波励起プラズマ)は、がん細胞死誘導剤(60Hz大気圧プラズマ)と比較して、がん細胞の細胞死誘導活性が高いことが示された。

符号の説明

[0061]
 1 プラズマ発生装置
 2 マイクロ波電源
 3 同軸ケーブル
 4 ガスボンベ
 5 ガス供給管 
 6 プラズマ噴出口
 10 容器
 11 水又は水を含む組成物
 100 プラズマ発生システム

請求の範囲

[請求項1]
 マイクロ波電源を用いて大気圧下で気体を電離して生成したプラズマを、水又は水を含む組成物に照射する工程を含む、がん細胞の細胞死誘導剤の製造方法。
[請求項2]
 前記マイクロ波の周波数が、900MHz~6GHzである、請求項1に記載のがん細胞の細胞死誘導剤の製造方法。
[請求項3]
 請求項1又は請求項2に記載の製造方法により製造されたがん細胞の細胞死誘導剤を、がん細胞に接触させる工程を含む、がん細胞の細胞死誘導方法。
[請求項4]
 マイクロ波電源を用いて大気圧下で気体を電離して生成したプラズマを、がん細胞に照射する工程を含む、がん細胞の細胞死誘導方法。
[請求項5]
 前記マイクロ波の周波数が、900MHz~6GHzである、請求項4に記載のがん細胞の細胞死誘導方法。
[請求項6]
 前記がん細胞が、水又は水を含む組成物内に配置されている、請求項4又は5に記載のがん細胞の細胞死誘導方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]