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1. (WO2018159233) CRYSTALLINE FORM OF SODIUM HYPOCHLORITE PENTAHYDRATE AND METHOD FOR PRODUCING SAME
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明 細 書

発明の名称 次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶体およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012  

先行技術文献

特許文献

0013  

非特許文献

0014  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0015  

課題を解決するための手段

0016   0017  

発明の効果

0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶体およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、安定性の高い次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶体および、その製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、優れた殺菌作用や漂白作用を有することが知られており、プール、上水道、下水道、および家庭用等の殺菌用途、更には製紙工業、繊維工業等における漂白用途、排水処理用薬品として用いられ、また有機合成の分野でも酸化剤として広く用いられている。汎用グレードの次亜塩素酸ナトリウムは、工業的には有効塩素濃度12質量%程度の水溶液として市販されており、副生物である塩化ナトリウム(NaCl)を約12質量%程度含有する。また、浄水や殺菌剤用途では、塩化ナトリウム濃度が4質量%以下、もしくは2質量%以下の低塩化ナトリウム次亜塩素酸ナトリウム水溶液が市販されている。
[0003]
 我が国の水道水は、水道法における水道水質管理によって安全な水が飲める環境が整備されてきた。水道法第4条において、水道により供給される水の要件が定められ、「水質基準に関する省令」(平成15年5月30日厚生労働省令第101号)で具体的に規定されている。
 水道水に利用する水道用薬品の評価方法については、「水道用薬品の評価のための試験方法ガイドラインについて」(平成12年3月31日衛水第21号水道整備課長通知)で規定されている。
 日本水道規格(JWWA)では浄水用薬剤としての品質を規定している。浄水用薬剤としては次亜塩素酸ナトリウム水溶液が一般的に広く使用されており、これに含まれる不純物の臭素酸や塩素酸は、規制が強化され、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の規格が改訂され、1級、特級の規格ができた。あらたに制定された特級規格では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の臭素酸10mg/kg以下、塩素酸2000mg/kg以下と厳しく制限されている。
[0004]
 このような不純物濃度が極めて低く、所定の有効塩素濃度を有する高純度次亜塩素酸ナトリウム水溶液を製造する方法として、次亜塩素酸ナトリウムを、次亜塩素酸ナトリウム5水和物の形で結晶として析出させ、得られた次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶を水に溶解する方法が知られている(特許文献2)。
 不純物である塩素酸ナトリウムは水溶液中で下記式記載の不均化反応によって生成することが知られている。この反応は、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が高いほど起こりやすく、保管温度が高いほど起こりやすく、そして、塩化ナトリウムが共存すると起こりやすいことが知られている。つまり、水溶液の場合は保管中に塩素酸ナトリウムが増加してしまうことは避けられないため、その生成を抑えるために、依然としてそのほとんどが12質量%程度の水溶液として流通している。
  3NaOCl → NaClO  + 2NaCl    (式1)
[0005]
 安定で高濃度な次亜塩素酸ナトリウム5水和物(理論有効塩素濃度43.1質量%)の形態で流通することが可能であれば、臭素酸ナトリウムや塩素酸ナトリウムを含まない高純度な次亜塩素酸ナトリウムを水道水用に供給することが可能となる。また、高濃度輸送により輸送効率の向上が図れ、有機合成用の酸化剤として使用する場合には反応槽の容積効率向上や排水量の削減が見込める。
 しかし、従来の次亜塩素酸ナトリウム5水和物では室温付近での安定性が悪く、保管中に分解してしまうという問題があった。
[0006]
 非特許文献1では、50%質量水酸化ナトリウムを1℃~3℃で塩素化し、析出した塩化ナトリウムを、温度10℃で濾過し、濾液を強冷して得られた緑かかった黄色の結晶を濾別後に、水で再結晶することで次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶の針状結晶(融点25.5℃)を得ている。さらにこのX線構造解析結果が報告されており、5水和物結晶は直方晶系の単純格子をとり、単位格子の大きさがそれぞれa=8.08Å、b=16.06Å、c=5.33Å、空間群はPmm2、Pmmm、P222のいずれかを取り、格子中に次亜塩素酸ナトリウム5水和物が4ユニット充填されていると報告している。また、同文献中でフェヘール&タルパイは1944年に、単位格子の大きさがa=7.91、b=15.84、c=5.28Åと報告していることを明らかにしている。
[0007]
 非特許文献2では、24質量%の水酸化ナトリウム水溶液に都度固形水酸化ナトリウムを追加して、塩素を吹き込み、有効塩素が30%質量以上の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を製造し、析出した塩化ナトリウムを濾別後に、この溶液の一部をドライアイスで冷却して、次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶の核をつくり、元の溶液に戻すことで薄黄色針状の結晶である次亜塩素酸ナトリウム5水和物得ている。非特許文献2では、この有効塩素濃度40.1質量%の次亜塩素酸ナトリウム5水和物を、温度10℃、大気密栓下で保管して保存安定性を調査している。1日目で有効塩素濃度が38.6質量%まで減少し、7日目では36.2質量%まで有効塩素濃度が低下しており、保存安定性が得られていなかった。
[0008]
 特許文献1では、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら塩素化し、析出する塩化ナトリウムを分離して20質量%以上の(実施例1では25.2質量%)の有効塩素を有する次亜塩素酸ナトリウム溶液を製造し、これを冷却し-10~5℃に保持して析出する結晶を遠心分離して次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を得ている。特許文献1では次亜塩素酸ナトリウム5水和物の21~24℃での安定性が開示されており、開始時には有効塩素濃度が41.3質量%であったが7日目では20.8質量%まで減少しており、依然として保存安定性が低かった。
[0009]
 特許文献2では次亜塩素酸ナトリウム5水和物の製造方法が開示されている。その方法の概要は、塩素化工程で38~60重量%水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを導入して反応温度25~30℃で塩素化し、析出した副生塩化ナトリウムの結晶を分離除去して次亜塩素酸ナトリウム濃度30~38重量%の高濃度次亜塩素酸ナトリウム水溶液を回収し、晶析工程では、冷却器と晶出器とが一体となった晶析槽において、上記高濃度次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウム5水和物の種晶の存在下に冷却温度10~22℃まで冷却して次亜塩素酸ナトリウム5水和物を析出せしめ、次いで固液分離して次亜塩素酸ナトリウム5水和物を得る、次亜塩素酸ナトリウム5水和物の製造法である。
[0010]
 特許文献3では、次亜塩素酸ナトリウム5水和物の製造方法が開示されている。その方法の概要は、48質量%水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを導入して塩素化反応を行わせる塩素化工程と、塩素化工程で析出した副生塩化ナトリウムを反応液から分離して濾液1を得る分離工程(1)と、濾液1を冷却して高純度次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶1を種子存在下15℃で析出させる晶析工程(1)と、晶析工程(1)を経た反応液から結晶1を分離して回収するとともに、濾液2を得る分離工程(2)と、濾液2を次亜塩素酸ナトリウム5水和物の種晶の存在下で5℃に冷却して高純度次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶2を析出させる晶析工程(2)と、晶析工程(2)を経た反応液から結晶2を分離して回収するとともに、濾液3を得る分離工程(3)とを含むことを特徴とする。つまり、2段階で次亜塩素酸ナトリウム5水和物を析出させることを特徴としている。
 特許文献2および3では、いずれも、塩素ガスをだけを吹き込んで、次亜塩素酸ナトリウム5水和物を析出させているが、その5水和物結晶の安定性については言及されていない。
[0011]
 特許文献4には高純度な次亜塩素酸ナトリウム5水和物およびその製造方法が開示されている。その方法は、45質量%以上の水酸化ナトリウム水溶液と塩素ガスをpH=10以上で反応させて母液を得る第1工程と、母液から塩化ナトリウムを固液分離する第2工程と、所定の冷却開始温度に設定した母液(有効塩素濃度20質量%以上)に、水酸化ナトリウムと種晶を添加する第3工程と、所定の冷却終了温度まで1~20℃/時間の冷却速度で母液を冷却し次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を析出させる第4工程と、次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶から次亜塩素酸ナトリウムを固液分離する第5工程を備えている。
 特許文献4では温度22℃での安定性を調査している。開始時には有効塩素濃度が41.5質量%であったが、7日目では39.4質量%、14日目では32.5質量%まで減少している。また特許文献4では三か月以上にわたって安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物を製造したと述べているが、温度15℃下での微冷蔵下で保管した場合の結果であり、室温付近で安定とは言い難い。また温度15℃下でも三か月経過時には有効塩素濃度が29.7~36.5質量%まで低下している。
[0012]
 これらの文献が示すように室温付近で安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物を製造することは難しく、不均化反応を主とする分解反応を抑えることは困難であったため、5水和物を輸送・保管するには冷却設備コストおよび冷却ランニングコストが必要になり、製品コストの上昇を引き起こしていた。

先行技術文献

特許文献

[0013]
特許文献1 : 特公昭48-42797号公報
特許文献2 : 特開2000-290003号公報
特許文献3 : 特開2015-124108号公報
特許文献4 : 特開2014-169215号公報

非特許文献

[0014]
非特許文献1 : Acta Crystallographica,1962,15,1188.
非特許文献2 : 佐世保高専研究報告,1970,7,133.

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0015]
 本発明の目的は、次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶構造を、従来品より安定なものにし、保存安定性の高い次亜塩素酸ナトリウム5水和物を提供することである。

課題を解決するための手段

[0016]
 発明者らはこれまで報告されている次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶の製造方法を検討し、より安定な結晶構造を持つ次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体を製造すべく、鋭意研究した結果、保存安定性の高い構造の結晶体が得られることを見出し、本発明に至った。
[0017]
(1) CuK α線源を用いる粉末X線回折測定で、10°≦2θ(回折角)≦65°の範囲において、表1に示す回折角の位置にピークが現れる次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体。
[表1]


(2) 10°≦2θ(回折角)≦65°の範囲において、表2に示す回折角の位置にピークが現れる次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体。
[表2]


(3)
 10°≦2θ(回折角)≦65°の範囲において、さらに表3に示す回折角の位置にピークが現れる前記(2)に記載の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体。
[表3]


(4) 結晶構造が、直方晶系であって、単純結晶格子を有し、ユニットセルの大きさがa=16.3±0.1(Å)、b=5.4±0.1(Å)、c=16.2±0.1(Å)である前記(1)~(3)のいずれかに記載の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体。
(5) 40~48質量%水酸化ナトリウム水溶液に塩素を導入して反応温度20~32℃で塩素化する第1工程であって、空気で希釈した塩素を二段階に分けて導入する第1工程と、
 析出した副生塩化ナトリウムの結晶を含むスラリーを固液分離して次亜塩素酸ナトリウム濃度28質量%以上の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を回収する第2工程と、
 冷却器と晶出器とが一体となった晶析槽において、前記第2工程で回収された次亜塩素酸ナトリウム5水和物を含む水溶液を冷却温度5~25℃まで冷却して次亜塩素酸ナトリウム5水和物を析出させる第3工程と、
 前記第3工程で析出した次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を固液分離して次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶粒子を得る第4工程と
を含むことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶粒子の製造方法。

発明の効果

[0018]
 本発明によって、室温付近でも安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物を製造できるので、保管時の冷却設備を省略することができ、冷却ランニングコストの削減および輸送時冷却コストの削減が可能になる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 本発明に関わる次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体の製造工程フローの一つの態様を概略図として図1に示した。
[図2] 実施例1の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を、粉末X線回折法で測定した測定データ。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下、本発明に関わる安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物の製造方法の製造方法について詳細に説明する。
[0021]
 [安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物の製造方法]
 本発明の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体の製造方法は、図1に示すように、塩素化工程(第1工程)、塩化ナトリウム分離工程(第2工程)、晶析工程(第3工程)と、固液分離工程(第4工程)とを含む。
[0022]
 [塩素化工程(第1工程)]
 塩素化工程では、水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを導入することによって下記式の反応が進行して次亜塩素酸ナトリウムの水溶液が得られる。
  2NaOH + Cl  → NaOCl + NaCl + H O    (式2)
 本発明の反応工程においては、単槽で連続塩素化することもできるが、原料の水酸化ナトリウム水溶液を塩素化する第一塩素化工程と、この工程で得られた第一反応液を更に塩素化する第二塩素化工程を有する2段のCSTR(continuous stirred tank reactor)を採用することを要する。また、3段以上のCSTRを利用することもできる。
[0023]
 第1塩素化工程では、濃度40~48質量%の水酸化ナトリウムを用いる事が好ましく、反応温度は、次亜塩素酸ナトリウムの分解を抑制するためにも20~32℃とすることが好ましい。この範囲であれば、塩素化反応がスムーズに進行し、かつ、不均化反応に伴う塩素酸ナトリウム等の生成を抑制することができ、不純物の少ない亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を製造することが出来る。第1塩素化工程では、次亜塩素酸ナトリウム濃度29質量%以上、水酸化ナトリウム濃度 3~6質量%となるよう、塩素化反応を進行させる。仕上がった反応混合液は、第2塩素化工程へ送られる。
[0024]
 前記塩素ガスは窒素や大気等で希釈して使用することがでもできるが、空気で希釈して利用することが好ましい。塩素ガスを空気で希釈して反応器に投入することで気液界面での塩素の反応による発熱が緩和され塩素酸ナトリウムなどの副生成物の生成を抑制することができる。スクラバー等を利用する場合は、塩素ガスと空気を事前に混合せず、別々に吹き込むことでその効果を発揮することもできる。エジェクター等での吹き込みの場合は吹き込み直前での混合でも対応出来る。塩素ガスの希釈倍率は塩素ガス/大気の体積比率は0.5~1.0が好ましい。0.5よりも比率が小さいと生産性の悪化を招き、1.0よりも比率大きいと塩素酸ナトリウム等の副生物の生成量が増加してしまう。空気で希釈することで空気中の二酸化炭素が水酸化ナトリウム中に溶けこみ、炭酸ナトリウムを共存させていることになる。
[0025]
 塩素化工程の反応液温は20~30℃の範囲が好ましく、次亜塩素酸ナトリウム濃度が23~27質量%、塩化ナトリウム濃度が22~26質量%、水酸化ナトリウム濃度が1.1~1.5質量%まで塩素化を進める。仕上がった液は過飽和分の塩化ナトリウムが析出しているスラリーである。
[0026]
 第1工程の塩素化工程を二段階または三段階に分けることにより、気液界面における過加熱による次亜塩素酸の分解を抑制でき、反応終了液の組成制御を行いやすくなる利点がある。
[0027]
 [塩化ナトリウム分離工程 (第2工程)]
 塩化ナトリウム分離工程では、塩素化終了液から塩化ナトリウムを固液分離したものを、次の晶析工程での母液とする。具体的には、塩素化されて生成した次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、副生した塩化ナトリウム結晶を多量に含有する。そこで塩化ナトリウム分離工程では、特に限定されないが、例えば、遠心分離機または濾過機等によって固液分離する。得られた濾液を次工程の晶析装置に送液する際には予冷することが望ましい。予冷により、次工程の晶析槽での除熱量を低減することが目的であり、濾液温度が晶析開始温度+2℃以内、より好ましくは晶析開始温度+0~+1℃以内となるようにするのが好ましい。予冷温度を晶析開始温度以下とすると、熱交換器内で結晶が析出し、ライン凍結が発生しやすい状況となる。
 次工程で行う晶析効率の関係から、塩化ナトリウム分離後の次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度は28質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上34質量%以下が好ましい。34質量%以上の場合には、次亜塩素酸ナトリウム溶液が過飽和となることにより冷却器表面でスケーリングし、伝熱効率の悪化を招くことがあるので軟水による希釈をすることが好ましい。
[0028]
 [晶析工程(第3工程)]
 本発明では前工程(第2工程)を施した次亜塩素酸ナトリウム水溶液(固液分離工程の濾液)を晶析装置に導入して晶析を行う。
 この晶析開始温度としては、5℃以上25℃以下が望ましく、より好ましくは10℃以上24℃以下である。バッチ処理で析出させる場合は、15℃~22℃程度の温度から析出させることがより望ましい。
 前工程で得られた次亜塩素酸ナトリウムの濾液を、晶析開始温度まで冷却し、種結晶となる次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶を、シード添加比Cs=0.04~0.08(Cs=Ws/Wth:Wsシード量、Wth:理論析出量)となるよう投入する。この時、種晶を入れなくても特に問題はないが、晶析が晶析槽壁面で起こるのを抑制し晶析速度を上げる目的で、上記のような少量の種結晶を使用することも可能である。冷却に関しては、過冷却による冷却器表面へのスケーリングを防止するために、母液温度と冷媒温度の温度差ΔTが3~4℃となるように、冷媒温度を制御しながら、晶析開始時の液温から10~15℃まで4~6時間かけて冷却することで次亜塩素酸ナトリウム5水和物のスラリー水溶液を得ることができる。
[0029]
 [分離工程(第4工程)]
 本発明では、晶析工程で得られた次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を含むスラリー水溶液を、遠心分離機を用いて固液分離して、室温付近で安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を得ることができる。遠心分離条件としては、遠心効果が大きいほど結晶の付着液量が減少するので遠心効果1000G以上で固液分離を実施するのが好ましく、さらに好ましくは1500G以上で実施するのが好ましい。
 また、二酸化炭素との過剰接触により次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶が分解してしまう危険があるので、密閉系や窒素雰囲気下で分離工程を行うことが好ましい。しかし、付着する苛性分を中和する量以下での二酸化炭素との接触は問題ない。
[0030]
 このようにして得られた、次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶の安定性を20℃で測定したところ、初期有効塩素濃度42.1質量%の次亜塩素酸ナトリウム5水和物は、1週間後であっても41.6質量%の有効塩素濃度を有しており、有効な保存安定性が確認できた。
[0031]
 上記のようにして製造した次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶について、液体窒素で冷却下、X線回折で結晶構造を測定した。また得られたデータをリートベルト法と密度汎関数(DFT)計算による分子動力学(MD)シミュレーションを用いて解析した。解析方法の詳細と結果は以下のとおりである。
[0032]
 (1)解析に使用した装置(社名 型番)
株式会社リガク、UltimaIII(CuK α線(λ=1.5418Å)源、40kV,40mA)
 (2)試料の処理手順
 液体窒素で乳鉢と乳棒を-100℃程度にまで冷やし、試料を30分間擦りつぶし、粉末化した。平板状で深さ2mmの窪みを持つガラス製試料ホルダーに試料を充てんした。ここまでの作業は乾燥窒素雰囲気のグローブバッグ内で行った。あらかじめ-150℃に冷やしておいたX線装置内の試料ステージに試料ホルダーを乗せ、温度コントロールしながら粉末X線回折測定を行った。
[0033]
 (3)使用した解析ソフト(社名 ソフトの名称)
 粉末X線回折パターンの指数付けには、BIOVIA社のMaterials Studio X-CellならびにBruker社のTOPASを使用した。初期構造モデルの探索、空間群決定にはBruker社のTOPASを使用した。粉末X線回折パターンのリートベルト解析には、BIOVIA社のMaterials Studio Reflexを使用した。DFT計算による水素の原子座標の最適化、MDシミュレーションにはBIOVIA社のMaterials Studio Castepを用いた。解析方法の詳細と結果は以下のとおりである。
 (4)解析法
 粉末X線回折パターンの低角側から約20本のピークの回折角を読み取り、指数付けすることにより斜方晶(=直方晶)の格子を得た。消滅則から許される各種空間群候補それぞれについて、X線回折パターンのピーク強度を再現できる構造モデルを組み立てることができるかを検証した。その結果空間群Pbcaが最適であることが分かった。
 得られた構造モデルをリートベルト解析により、格子定数と水素以外の原子座標を最適化した。水分子の水素の原子座標をDFT計算による構造最適化とエンタルピー計算により推定した。得られた構造モデルに対しDFT計算によるMDシミュレーションを行い、モデルが安定的であることを確認した。
[0034]
 (5)解析結果
 得られた構造モデルは直方晶系の単純格子をとり、ユニットセルの大きさがそれぞれa=16.3±0.1(Å)、b=5.4±0.1(Å)、C=16.2±0.1(Å)であった。なお、a,b,cの取り方はサイクリックに交換可能である。したがって、軸の順序を入れ替えたa=16.2±0.1(Å)、b=16.3±0.1(Å)、c=5.4±0.1(Å)、さらにa=5.4±0.1(Å)、b=16.2±0.1(Å)、c=16.3±0.1(Å)もこれと等価な格子である。
 これから得られた次亜塩素酸ナトリウム5水和物は非特許文献1で報告されている結晶構造とは異なることが分かった。つまり、当該次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶のユニットセルは今まで知られている次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶と異なる結晶格子を有している。つまり、当該次塩素酸ナトリウム5水和物結晶構造が保存安定性を有していることがわかる。
[0035]
 本発明の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体の製造では、上記、第1工程から第3工程までの製造プロセスにすることで、室温付近で安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体を得ることができた。
 本発明の完成には、第1工程 から第3工程までの各工程の中の種々の要因を検討する必要があった。当業者の努力にもかかわらず、長年待ち望まれていた室温付近で安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物を提供することは達成できていなかった。すなわち、第1工程では、塩素吹き込み、塩素の希釈、使用するNaOHの濃度、塩素化温度、塩素化時間に加え、NaOCl、NaCl、NaOHなどの終了組成のそれぞれの要因、第2工程では、終了温度、NaOCl、NaClなどの終了組成、軟水希釈のそれぞれの要因、さらに第3工程では、運転方式、晶析開始温度、冷却時間、冷却速度、終了温度のそれぞれの要因を検討する必要があった。
[0036]
 本発明の発明者らは、上記要因を鋭意検討、精査した結果、特に第1工程では、塩素吹き込みを二段階とし、空気を吹き込むことによって塩素希釈を実施したこと、第2工程では、NaOCl溶液を第3工程での晶析開始温度制御を実施したこと、第3工程では、バッチ式の運転方式にし、冷却時間、冷却速度、終了温度を制御したことで本明の次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶を得ることに成功した。また、第3工程では種子が存在する中では連続的な運転でも、目的となる安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体が得られている。これらの中のどの要因がどのくらい目的の達成に奏功しているかは、現時点でははっきりとはしていないが、本発明者らは、このような種々の要因を変化させ、目的の室温付近で安定な次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶を得ることに成功したのである。このことは、たとえ当業者であっても容易に想到できるものではないことは明白である。
 本発明は、まさに長年待ち望まれていた室温付近で安定な新規次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶に関する技術思想を開示するものである。
[0037]
 以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[0038]
  実施例1(発明例)
 塩素化工程(第1工程)では、撹拌器、スクラバーおよび外部循環型冷却器を備えた2段CSTR反応槽(容量3.5m 3×2槽)を用いた。これに、原料として48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を860kg/Hrで投入すると共に、残水酸化ナトリウム濃度が2質量%となるように、スクラバーに空気で1/2濃度に希釈した塩素ガスを、供給量を調整しながら導入し、反応温度が24~30℃となるように冷却しながら塩素化を行った。この際、反応槽内での滞留時間は約720分であった。
[0039]
 塩化ナトリウム分離工程(第2工程)では、塩素化工程の反応槽から1188kg/hrで抜き出した反応物スラリーを、遠心分離器で固液分離した。これにより、析出した塩化ナトリウム254kg/hrと、濃度が35質量%である次亜塩素酸ナトリウムと、濃度が5.4質量%である塩化ナトリウムから成る次亜塩素酸ナトリウム水溶液(濾液1)934kg/hrを得た。
 濾液1に軟水を添加し、次亜塩素酸ナトリウム濃度を31.9質量%、塩化ナトリウム濃度4.9質量%、水酸化ナトリウム濃度1.5質量%に調整した。
[0040]
 晶析工程(第3工程)では、撹拌器、ジャケット、コイル冷却器および外部循環ポンプを備えたチタン製晶析槽(容量7m 3)へ、温度を24℃に調整しながら、前記濾液1を8942kg投入し、濾液1の温度と冷媒温度の温度差ΔTが3~4℃となるように冷却を開始し、14℃に成るまで7時間かけて冷却した。晶析槽内では19℃から結晶の生成が観察された。
[0041]
 分離工程(第4工程)では、晶析槽の温度を14℃に保ちながら晶析工程(第3工程)の晶析槽から抜き出したスラリーを遠心分離器で固液分離した。これにより、高純度次亜塩素酸ナトリウム5水和物次亜塩素酸ナトリウム5和物結晶を2850kg得た。晶析工程(第3工程)に用いた次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、分離工程(第4工程)によって得られた次亜塩素酸ナトリウム5水和物の物性を表4に示す。
[0042]
[表4]


[0043]
 このようにして製造した次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体について、液体窒素で冷却下、X線回折で結晶構造を測定した。測定データを図2に示す。
[0044]
 この測定結果のうち最も強度が大きかった2θ=32.2°のカウント数を100とした時の換算強度値5以上の強度を示したピークは下表5のとおりである。
[0045]
[表5]


[0046]
 さらに同じ基準で1以上5未満を示したピークは下表6のとおりである。
[表6]


[0047]
 これらの結果は、測定条件などで発生する誤差により多少数値が前後する可能性はあるが、本発明の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体の結晶構造を示す特徴的なピークである。
 また得られたデータをリートベルト法と密度汎関数(DFT)計算による分子動力学(MD)シミュレーションを用いて解析した。解析方法の詳細と結果は前述のとおりであり、解析より得られた構造モデルは直方晶系の単純格子をとり、空間群はPbca、ユニットセルの大きさが、それぞれa=16.3±0.1(Å)、b=5.4±0.1(Å)、C=16.2±0.1(Å)であった。
[0048]
 非特許文献1によると、従来の結晶はa=8.08Å、b=16.06Å、c=5.33Åの直方晶格子を組んでおり、この中に次亜塩素酸ナトリウム5水和物を4ユニット含んでいるとされている。この文献1の格子から計算されるピークの2θ位置と上表6のそれとを照合した。すると文献1の格子では出現不可能な2θ位置に、複数のピークが本結晶では観測されていた。このことは本結晶と文献1の結晶では、構造の基本となる結晶格子自体が異なっていることを示す。これらのピークを下表7に示す。すなわち、既存の結晶ではこの表7の位置のピークが現れないため、本発明にかかる次亜塩素酸ナトリウム5水和物の結晶構造を示す特徴的なピークと言える。特に下表7で○をつけた4つのピークは強度も大きく、見分けやすい。
[0049]
[表7]


[0050]
 上述したように、実施例1の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体は非特許文献1で報告されている保存安定性のない従来の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶とは結晶構造が異なることが分かった。
[0051]
  保存安定性試験
 実施例1で得られた次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体を、ポリエチレン製の袋に入れてエア抜きをし、窒素封入した。さらにポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミニウム(Al)/ポリエチレン(PE)の三重構造を有する株式会社セイニチ製のラミジップ(登録商標)に入れエア抜き、窒素封入して密閉した。三菱電機エンジニアリング株式会社製クールインキュベーター(型式:CN-25C)内において20℃と22℃で保管した。実施例1の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体と、比較例として先行技術文献記載の次亜塩素酸ナトリウム5水和物との比較結果を表8に示す。比較例として用いた。
 比較例1は、非特許文献2に記載の方法で得られた次亜塩素酸ナトリウム5水和物である。比較例2は、特許文献1に記載の方法で得られた次亜塩素酸ナトリウム5水和物である。比較例3は、特許文献2に記載の方法で得られた次亜塩素酸ナトリウム5水和物である。比較例4は、特許文献4に記載の方法で得られた次亜塩素酸ナトリウム5水和物である。
[0052]
[表8]


[0053]
  有効塩素濃度、次亜塩素酸ナトリウム濃度の測定
 有効塩素濃度は、下記方法に従ってヨウ素法によって算出した。まず、ビーカーに次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を約0.1g秤量し、それをイオン交換水約20mLで溶解した。これにヨウ化カリウム約2.0gおよび10mLの50%酢酸水溶液を加えた。遊離したヨウ素を0.1Nのチオ硫酸ナトリウム水溶液(容量分析用)で滴定した。この際、滴定に要した0.1Nのチオ硫酸ナトリウム水溶液をAmLとし、下式(1)に代入することで有効塩素濃度(質量%)を求めた。
 また、次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、前記算出された有効塩素濃度から、以下の式(2)により算出した。
[0054]
[数1]


[0055]
 本発明の実施例1が保存安定性試験において最も良い結果が得られた。この安定性は結晶構造の違いによるものと考えられる。

請求の範囲

[請求項1]
 CuK α線源を用いる粉末X線回折測定で、10°≦2θ(回折角)≦65°の範囲において、表1に示す回折角の位置にピークが現れる次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体。
[表1]


[請求項2]
 10°≦2θ(回折角)≦65°の範囲において、表2に示す回折角の位置にピークが現れる請求項1記載の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体。
[表2]


[請求項3]
 10°≦2θ(回折角)≦65°の範囲において、さらに表3に示す回折角の位置にピークが現れる請求項2記載の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体。
[表3]


[請求項4]
 結晶構造が、直方晶系であって、単純結晶格子を有し、ユニットセルの大きさがa=16.3±0.1(Å)、b=5.4±0.1(Å)、c=16.2±0.1(Å)である請求項1~3のいずれか1項に記載の次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶体。
[請求項5]
 40~48質量%水酸化ナトリウム水溶液に塩素を導入して反応温度20~32℃で塩素化する第1工程であって、空気で希釈した塩素を二段階に分けて導入する第1工程と、
 析出した副生塩化ナトリウムの結晶を含むスラリーを固液分離して次亜塩素酸ナトリウム濃度28質量%以上の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を回収する第2工程と、
 冷却器と晶出器とが一体となった晶析槽において、前記第2工程で回収された次亜塩素酸ナトリウム5水和物を含む水溶液を冷却温度5~25℃まで冷却して次亜塩素酸ナトリウム5水和物を析出させる第3工程と、
 前記第3工程で析出した次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を固液分離して次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶粒子を得る第4工程と
を含むことを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶粒子の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]