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1. (WO2018124215) METAL/FIBER-REINFORCED RESIN MATERIAL COMPOSITE BODY, METHOD FOR PRODUCING SAME AND BONDING SHEET
Document

明 細 書

発明の名称 金属-繊維強化樹脂材料複合体、その製造方法及び接着シート

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010  

先行技術文献

特許文献

0011  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0012  

課題を解決するための手段

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

発明の効果

0023  

図面の簡単な説明

0024  

発明を実施するための形態

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112  

実施例

0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179  

符号の説明

0180  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 金属-繊維強化樹脂材料複合体、その製造方法及び接着シート

技術分野

[0001]
 本発明は、例えば鉄鋼材料からなる金属部材と樹脂材料とが積層された金属-繊維強化樹脂材料複合体、その製造方法及び接着シートに関するものである。

背景技術

[0002]
 ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチック(FRP)は、軽量で力学特性に優れることから、民生分野から産業用途まで広く利用されている。特に自動車産業においては、車体重量の軽量化が性能および燃費の向上に最も寄与するため、これまで主に使用されていた鉄鋼材料から、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)や、金属部材とCFRPとの複合材料などへの置き換えが積極的に検討されている。
[0003]
 CFRPと金属部材が複合化した部品や構造体の製造においては、複数の部材を一体化するために、部材ないし材料同士を接合する工程が必要であり、エポキシ樹脂系の熱硬化性接着剤を使用する接合方法が一般に知られている。
[0004]
 また、近年では、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に加えて熱可塑性樹脂も加工性やリサイクル性の向上を目的に、繊維強化樹脂材料のマトリックス樹脂や金属部材との複合化の接着剤として検討が行われている。ここで、繊維強化樹脂材料と金属部材との接合・接着手段に関しては、主に金属部材と接着剤の接合力を強固なものとする観点から技術開発が活発に行われている。
[0005]
 例えば、特許文献1及び特許文献2では、金属部材の接着面に、特定の表面形状パラメータを持つような表面粗化処理を行って硬質で高結晶性の熱可塑性樹脂を射出成形したり、金属部材にエポキシ樹脂の接着層を設けることによって金属部材とCFRPとの接着強度を向上させる技術が開示されている。しかしながら、これらの技術は、特殊な表面微細構造をとるようにケミカルエッチング加工をした金属部材表面の粗化面を硬質の高結晶性の熱可塑性樹脂で埋めることによって強度を発現させている。そのため、粗化や防錆に特別な処理を行わなければならないほか、複合化に際しては、溶融粘度や高い融点の問題から高温プロセスが必要であるために、生産性やコストに問題がある。
[0006]
 特許文献3では、炭素繊維基材の金属部材との貼合面にエポキシ系等の接着樹脂を含浸させ、他面に熱可塑性樹脂を含浸させてプリプレグとした強化繊維基材と金属との複合体が開示されている。本方法によれば、繊維強化樹脂材料と金属部材という、異なる部材の接合においても、強固な接合強度を有する一体化成形品を提供することができるとしている。しかしながら、本手法は、接着剤層としてエポキシ系の熱硬化性樹脂を使用しているほか、前記接着剤層内に強化繊維を貫入させることにより繊維強化シートと金属層との接合性を保っている。そのため、強化繊維基材として特定の長さの繊維からなる不織布を用いなければならず、一方向繊維強化材やクロス材よりも補強効果が限られてしまう。
[0007]
 また、特許文献4では、ポリウレタン樹脂マトリックスを使用したCFRP成形材料を使用した鋼板とのサンドイッチ構造体の製造方法が開示されている。本文献の材料は、熱可塑性ポリウレタン樹脂の良成形性を利用するとともに、アフターキュアでポリウレタン樹脂に架橋反応を起こすことによって熱硬化性樹脂とすることにより高強度化を図っている。しかし、ポリウレタン樹脂は耐熱性に劣るため、高温に曝される部材への適用が難しく、用途が限定されてしまうことが問題である。
[0008]
 さらに、特許文献5には、フェノキシ樹脂又はフェノキシ樹脂に結晶性エポキシ樹脂と架橋剤としての酸無水物を配合した樹脂組成物の粉体を、粉体塗装法により強化繊維基材に塗工してプリプレグを作製し、これを熱プレスにて成形硬化してCFRPとすることが開示されている。また、特許文献5には、アルミ箔やステンレス箔をCFRPに積層できることも示唆されている。しかし、特許文献5では、CFRPと金属部材との複合体に関する実施例がないため、該複合体に関する曲げ強度などの機械強度については検討されていない。
[0009]
 また、特許文献6には、金属及び繊維強化された熱可塑性材料などからなる平板状の担体材料と、熱可塑性材料からなる支持材料とによって構成される複合材料を加熱し、支持材料にリブ構造を形成するとともに、担体材料を三次元の部品に成形する車体用構造部品の製造方法が提案されている。
[0010]
 さらに、特許文献7では、積層状態で加熱及び加圧されて使用される繊維強化樹脂中間材であって、強化繊維基材が外面に開口した空隙を有し、粉体の形態の樹脂が半含浸状態にあるものが提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0011]
特許文献1 : 国際公開WO2009/116484号
特許文献2 : 特開2011-240620号公報
特許文献3 : 特開2016-3257号公報
特許文献4 : 特開2015-212085号公報
特許文献5 : 国際公開WO2016/152856号
特許文献6 : 特表2015-536850号公報
特許文献7 : 特許第5999721号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0012]
 本発明は、金属部材と繊維強化樹脂材料とが強固に接合し、軽量且つ加工性に優れ、簡易な方法で製造可能な金属-繊維強化樹脂材料複合体を安価に提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0013]
 本発明者らは、鋭意検討を行った結果、金属部材と繊維強化樹脂材料とを、フェノキシ樹脂(A)単独の固化物、または、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物の硬化物により接合することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
[0014]
 本発明の第1の観点において、金属-繊維強化樹脂材料複合体は、
 金属部材と、
 前記金属部材と複合化された第1の繊維強化樹脂材料と、
 前記金属部材の少なくとも1つの面に積層され、前記金属部材と前記第1の繊維強化樹脂材料との間に介在してこれらを接着する接着樹脂層と、
を備えている。
 そして、本発明の第1の観点において、前記金属-繊維強化樹脂材料複合体は、前記接着樹脂層が、フェノキシ樹脂(A)単独の固化物、または、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物の硬化物を含むものである。
[0015]
 本発明の第1の観点において、前記金属-繊維強化樹脂材料複合体は、前記接着樹脂層が、マトリックス樹脂としての前記固化物、または、前記硬化物と、該マトリックス樹脂中に含有される強化繊維基材とを有する第2の繊維強化樹脂材料、であってもよい。
[0016]
 本発明の第1の観点において、前記金属-繊維強化樹脂材料複合体は、前記接着樹脂組成物が、前記フェノキシ樹脂(A)100重量部に対して、さらに5~85重量部の範囲内のエポキシ樹脂(B)と、酸二無水物を含む架橋剤(C)と、を含有する架橋性接着樹脂組成物であってもよい。この場合、前記硬化物が架橋硬化物であって、そのガラス転移温度(Tg)が160℃以上であってもよい。
[0017]
 本発明の第1の観点の金属-繊維強化樹脂材料複合体は、前記金属部材の材質が、鉄鋼材料、鉄系合金又はアルミニウムであってもよい。
[0018]
 本発明の第2の観点において、金属-繊維強化樹脂材料複合体は、
 金属部材と、
 前記金属部材と複合化された第1の繊維強化樹脂材料と、
 前記金属部材の少なくとも1つの面に積層され、前記金属部材と前記第1の繊維強化樹脂材料との間に介在してこれらを接着する接着樹脂層と、
を備えている。
 本発明の第2の観点において、前記金属-繊維強化樹脂材料複合体は、前記接着樹脂層が、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂による第1の硬化状態の硬化物を含んでいる。
 そして、本発明の第2の観点において、金属-繊維強化樹脂材料複合体は、加熱によって、前記接着樹脂が第1の硬化状態の硬化物から第2の硬化状態の架橋硬化物へ変化する前後において、ガラス転移温度(Tg)が変化することを特徴とする。
[0019]
 本発明の第2の観点において、前記金属-繊維強化樹脂材料複合体は、
 前記接着樹脂層が、マトリックス樹脂中に強化繊維基材を含有する第2の繊維強化樹脂材料であってもよく、該マトリックス樹脂が前記第1の硬化状態の硬化物であってもよい。
[0020]
 本発明の第3の観点において、接着シートは、金属部材と、繊維強化樹脂材料とを接着するものである。
 そして、本発明の第3の観点において、前記接着シートは、フェノキシ樹脂(A)単独、または、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物、と、
 強化繊維基材と、
を含有するプリプレグであることを特徴とする。
[0021]
 本発明の第4の観点において、金属-繊維強化樹脂材料複合体の製造方法は、金属部材と、前記金属部材と複合化された第1の繊維強化樹脂材料と、前記金属部材の少なくとも1つの面に積層され、前記金属部材と前記第1の繊維強化樹脂材料との間に介在してこれらを接着する接着樹脂層と、を備えた金属-繊維強化樹脂材料複合体を製造する方法である。
 そして、本発明の第4の観点において、前記製造方法は、
 フェノキシ樹脂(A)単独、または、樹脂成分100重量部中、フェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物を前記金属部材に塗布して塗布膜を形成する工程と、
 前記第1の繊維強化樹脂材料の前駆体である第1のプリプレグを前記塗布膜上に配置し、熱プレスにより、前記塗布膜中の前記フェノキシ樹脂(A)を溶融させた後固化させるか、または、前記接着樹脂組成物を溶融させた後硬化させることによって、前記接着樹脂層を形成するとともに、前記第1の繊維強化樹脂材料と前記金属部材とを接合して複合化する工程と、
を含むことを特徴とする。
[0022]
 本発明の第5の観点において、金属-繊維強化樹脂材料複合体の製造方法は、金属部材と、前記金属部材と複合化された第1の繊維強化樹脂材料と、前記金属部材の少なくとも1つの面に積層され、前記金属部材と前記第1の繊維強化樹脂材料との間に介在してこれらを接着する接着樹脂層と、を備えるとともに、前記接着樹脂層が、マトリックス樹脂と、該マトリックス樹脂中に含有される強化繊維基材とを有する第2の繊維強化樹脂材料である金属-繊維強化樹脂材料複合体を製造する方法である。
 そして、本発明の第5の観点において、前記製造方法は、フェノキシ樹脂(A)単独、または、樹脂成分100重量部中、フェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む常温固形の接着樹脂組成物の微粉末を、粉体塗装によって前記強化繊維基材に付着させて樹脂組成物の割合(RC)が20~50%の範囲内である、前記第2の繊維強化樹脂材料の前駆体としての第2のプリプレグを作製する工程と、
 前記金属部材と、前記第2のプリプレグと、前記第1の繊維強化樹脂材料の前駆体である第1のプリプレグと、をこの順序で積層配置し、熱プレスにより、前記フェノキシ樹脂(A)を溶融させた後固化させるか、または、前記接着樹脂組成物を溶融させた後硬化させることによって前記接着樹脂層を形成するとともに、前記第1の繊維強化樹脂材料と前記金属部材とを接合して複合化する工程と、
を含むことを特徴とする。

発明の効果

[0023]
 本発明によれば、金属部材と繊維強化樹脂材料とが接着樹脂層を介して強固に接合された金属-繊維強化樹脂材料複合体が提供される。この金属-繊維強化樹脂材料複合体は、軽量且つ加工性に優れ、簡易な方法で製造できるものである。例えば金属部材が防錆処理の施された鉄鋼材料であっても、特別な表面粗化処理などを行わずに、金属部材と繊維強化樹脂材料とが高い接着強度を備えている。また、金属部材と繊維強化樹脂材料との複合化に当たっては、熱プレスによる金属部材の成形と同時に一括加工が可能であるため、製造コストに優れている。従って、本発明の金属-繊維強化樹脂材料複合体は、軽量且つ高強度な材料として、電気・電子機器などの筐体のみならず、自動車部材、航空機部材などの用途における構造部材としても好適に使用することができる。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] 本発明の第1の実施の形態にかかる金属-繊維強化樹脂材料複合体の断面構造を示す模式的図面である。
[図2] 本発明の第1の実施の形態にかかる金属-繊維強化樹脂材料複合体の別の態様の断面構造を示す模式的図面である。
[図3] 本発明の第2の実施の形態にかかる金属-繊維強化樹脂材料複合体の断面構造を示す模式的図面である。
[図4] 本発明の第2の実施の形態にかかる金属-繊維強化樹脂材料複合体の別の態様の断面構造を示す模式的図面である。
[図5] 金属-繊維強化樹脂材料複合体の製造工程の一例を示す説明図である。
[図6] 金属-繊維強化樹脂材料複合体の製造工程の別の例を示す説明図である。
[図7] 金属-繊維強化樹脂材料複合体の製造工程のさらに別の例を示す説明図である。
[図8] 粉体塗装による接着シートの製造工程の一例を模式的に示す図面である。
[図9] 図8で得た接着シートと金属部材との熱圧着の態様を模式的に示す図面である。
[図10] 実施例及び比較例における曲げ試験用金属-FRP複合体のサンプルの構成を示す説明図である。
[図11] 実施例及び比較例におけるせん断試験用金属-FRP複合体のサンプルの構成を示す説明図である。

発明を実施するための形態

[0025]
 以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[0026]
[第1の実施の形態]
 図1及び図2は、本発明の第1の実施の形態に係る金属-繊維強化樹脂材料複合体としての金属-FRP複合体の積層方向における断面構造を示す模式的図面である。図1に示すように、金属-FRP複合体100は、金属部材101と、第1の繊維強化樹脂材料としてのFRP層102と、金属部材101とFRP層102との間に介在する接着樹脂層103と、を備えている。接着樹脂層103は、後述するように、フェノキシ樹脂(A)単独の固化物、または、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物の硬化物である。なお、単に「硬化物」というときは、接着樹脂組成物に含まれるフェノキシ樹脂(A)などが溶融した後、固化しているが架橋成形はされていない第1の硬化状態の硬化物のほかに、後述する第2の硬化状態の架橋硬化物も含まれる。金属-FRP複合体100において、FRP層102は、マトリックス樹脂104と、該マトリックス樹脂104中に含有され、複合化された強化繊維材料105と、を有している。接着樹脂層103は、金属部材101の少なくとも片側の面に接して設けられており、金属部材101とFRP層102とを強固に接着している。なお、接着樹脂層103とFRP層102は、金属部材101の両面にそれぞれ形成されていてもよい。また、接着樹脂層103とFRP層102とを含む積層体を挟み込むように、その両側に金属部材101を配置してもよい。
[0027]
 金属-FRP複合体100において、FRP層102は、少なくとも1枚以上のFRP成形用プリプレグを用いて形成されたものである。FRP層102は、1層に限らず、例えば図2に示すように、2層以上であってもよい。FRP層102の厚みや、FRP層102を複数層とする場合のFRP成形用プリプレグの枚数やFRP層102の層数nは、使用目的に応じて適宜設定できる。FRP層102を形成するFRPプリプレグの各層は、同一の構成であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、FRP層102を構成するマトリックス樹脂104の樹脂種、強化繊維材料105の種類や含有比率などは、層ごとに異なっていてもよい。
 また、FRP層102は、金属部材101と複合する際は、予め成形されていてもよいし、FRP成形用プリプレグの状態であってもよいが、より均一なFRP層102を形成できる後者の状態であることが好ましい。
[0028]
 また、金属-FRP複合体100において、接着樹脂層103を構成する樹脂と、接着樹脂層103に接する1番目のFRP層102のマトリックス樹脂104は、同一の樹脂であってもよいし、異なっていてもよい。接着樹脂層103と1番目のFRP層102との接着性を確保する観点から、同一もしくは同種の樹脂や、ポリマー中に含まれる極性基の比率などが近似した樹脂種を選択することが好ましい。ここで、「同一の樹脂」とは、同じ成分によって構成され、組成比率まで同じであることを意味し、「同種の樹脂」とは、主成分が同じであれば、組成比率は異なっていてもよいことを意味する。「同種の樹脂」の中には、「同一の樹脂」が含まれる。また、「主成分」とは、樹脂成分100重量部のうち、50重量部以上含まれる成分を意味する。なお、「樹脂成分」には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が含まれるが、架橋剤などの非樹脂成分は含まれない。
[0029]
[第2の実施の形態]
 図3及び図4は、本発明の第2の実施の形態に係る金属-繊維強化樹脂材料複合体としての金属-FRP複合体の断面構造を示す模式的図面である。図3に示すように、金属-FRP複合体200は、金属部材101と、第1の繊維強化樹脂材料としてのFRP層102と、金属部材101とFRP層102との間に介在する接着樹脂層103Aと、を備えている。接着樹脂層103Aは、マトリックス樹脂106と、該マトリックス樹脂106中に含有され、複合化された強化繊維材料107と、を有する第2の繊維強化樹脂材料である。マトリックス樹脂106は、後述するように、フェノキシ樹脂(A)単独の固化物、または、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物の硬化物である。ここで、FRP層102の構成は、第1の実施の形態と同様である。接着樹脂層103Aは、金属部材101の少なくとも片側の面に接して設けられており、金属部材101とFRP層102とを強固に接着している。なお、接着樹脂層103AとFRP層102は、金属部材101の両面にそれぞれ形成されていてもよい。また、接着樹脂層103AとFRP層102とを含む積層体を挟み込むように、その両側に金属部材101を配置してもよい。
[0030]
 金属-FRP複合体200において、FRP層102は、少なくとも1枚以上のFRP成形用プリプレグで構成されたものであり、かつFRP層102は、1層に限らず、例えば図4に示すように、2層以上であってもよい。FRP層102を複数層とする場合のFRP層102の層数nは、使用目的に応じて適宜設定できる。FRP層102の各層は、同一の構成であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、FRP層102を構成するマトリックス樹脂104の樹脂種、強化繊維材料105の種類や含有比率などは、層ごとに異なっていてもよい。
[0031]
 また、金属-FRP複合体200において、接着樹脂層103Aのマトリックス樹脂106を構成する樹脂種と、接着樹脂層103Aに接する1番目のFRP層102のマトリックス樹脂104の樹脂種は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。接着樹脂層103Aと1番目のFRP層102との接着性を確保する観点から、マトリックス樹脂106及びマトリックス樹脂104の樹脂種として、同一もしくは同種の樹脂や、ポリマー中に含まれる極性基の比率などが近似した樹脂種の組み合わせを選択することが好ましい。特に、接着樹脂層103Aのマトリックス樹脂106とFRP層102のマトリックス樹脂104の樹脂種は、同一もしくは同種であることが好ましい。
[0032]
 第1及び第2の実施形態の金属-FRP複合体100,200において、接着樹脂層103,103Aの厚みとしては、金属部材101とFRP層102との接着性を十分に確保する観点から、例えば3~100μmの範囲内が好ましく、5~75μmの範囲内がより好ましい。接着樹脂層103,103Aの厚みが3μm未満では、金属部材101とFRP層102との接着が不十分となり、金属-FRP複合体100,200において十分な機械的強度が得られない。一方、接着樹脂層103,103Aの厚みが100μmを超えると、接着樹脂層が過大となるために、金属-FRP複合体100,200において強化繊維による補強効果が充分に得られなくなる。
[0033]
 以下、金属-FRP複合体100,200の各構成要素について説明する。
[0034]
<金属部材>
 金属部材101の材質や形状、厚みなどについては、プレス等による成形加工が可能であれば特に限定されるものではないが、形状は薄板状が好ましい。金属部材101の材質としては、例えば鉄、チタン、アルミニウム、マグネシウムおよびこれらの合金などが好ましい。ここで、合金とは、例えば、鉄系合金(ステンレス鋼含む)、Ti系合金、Al系合金、Mg合金などを意味する。金属部材101の材質のより好ましい例としては、鉄鋼材料、鉄系合金、アルミニウムであり、鉄鋼材料が最も好ましい。そのような鉄鋼材料としては、例えば日本工業規格(JIS)等で規格された鉄鋼材料であり、一般構造用や機械構造用として使用される炭素鋼、合金鋼、高張力鋼等を挙げることができる。このような鉄鋼材料の具体例としては、冷間圧延鋼材、熱間圧延鋼材、自動車構造用熱間圧延鋼板材、自動車加工用熱間圧延高張力鋼板材などを挙げることができる。
[0035]
 鉄鋼材料については、表面に任意の表面処理が施されていてもよい。ここで、表面処理とは、例えば、亜鉛めっきやアルミニウムめっきなどの各種めっき処理、クロメート処理、ノンクロメート処理などの化成処理や、サンドブラストのような物理的もしくはケミカルエッチングなどによる化学的な表面粗化処理が挙げられるが、特にこれらに限られるものではない。また、複数種の表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、少なくとも防錆処理が行われていることが好ましい。
[0036]
 FRP層102との接着性を高めるために、金属部材101の表面をプライマーにて処理することも好ましい。プライマーとしては、例えばシランカップリング剤やトリアジンチオール誘導体が好ましい。シランカップリング剤としては、エポキシ系シランカップリング剤やアミノ系シランカップリング剤、イミダゾールシラン化合物が例示される。トリアジンチオール誘導体としては、6-ジアリルアミノ-2,4-ジチオール-1,3,5-トリアジン、6-メトキシ-2,4-ジチオール-1,3,5-トリアジンモノナトリウム、6-プロピル-2,4-ジチオールアミノ-1,3,5-トリアジンモノナトリウム及び2,4,6-トリチオール-1,3,5-トリアジンなどが例示される。
[0037]
<強化繊維材料>
 金属-FRP複合体100,200に使用される強化繊維材料105,107としては、特に制限はないが、例えば、炭素繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などが好ましく、炭素繊維がより好ましい。炭素繊維の種類については、例えば、PAN系、ピッチ系のいずれも使用可能であり、目的や用途に応じて、これらを単独で使用してもよいし、又は併用してもよい。
[0038]
<接着樹脂層・接着樹脂組成物>
 金属-FRP複合体100,200の金属部材101とFRP層102とを接合する接着樹脂層103,103Aを構成する接着樹脂(接着樹脂層103Aについてはマトリックス樹脂106)は、フェノキシ樹脂(A)単独の固化物、または、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物の硬化物である。このように、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物を使用することによって、金属部材101とFRP層102とを強固に接合することが可能になる。接着樹脂組成物は、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を55重量部以上含むことが好ましい。フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の形態は、例えば粉末、ワニスなどの液状、フィルム状などの固体とすることができる。
[0039]
 「フェノキシ樹脂」とは、2価フェノール化合物とエピハロヒドリンとの縮合反応、あるいは2価フェノール化合物と2官能エポキシ樹脂との重付加反応から得られる線形の高分子であり、非晶質の熱可塑性樹脂である。フェノキシ樹脂(A)は、溶液中あるいは無溶媒下で従来公知の方法で得ることができ、ワニスやフィルム、粉体のいずれの形態でも使用することができる。フェノキシ樹脂(A)の平均分子量は、質量平均分子量(Mw)として、例えば10,000~200,000の範囲内であるが、好ましくは20,000~100,000の範囲内であり、より好ましくは30,000~80,000の範囲内である。フェノキシ樹脂(A)のMwが低すぎると成形体の強度が劣り、高すぎると作業性や加工性に劣るものとなり易い。なお、Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
[0040]
 本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)の水酸基当量(g/eq)は、例えば50~1000の範囲内であるが、好ましくは50~750の範囲内であり、特に好ましくは50~500の範囲内である。フェノキシ樹脂(A)の水酸基当量が低すぎると水酸基が増えることで吸水率が上がるため、硬化物の機械物性が低下する懸念がある。一方、フェノキシ樹脂(A)の水酸基当量が高すぎると水酸基が少なくなるので、被着体との親和性が低下してしまい、金属-FRP複合体100,200の機械物性が低下する恐れがある。
[0041]
 また、フェノキシ樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、例えば、65℃~150℃の範囲内のものが適するが、好ましくは70℃~150℃の範囲内である。Tgが65℃よりも低いと成形性は良くなるが、樹脂の流動性が大きすぎるために接着樹脂層103,103Aの厚みを確保することが難しくなり、Tgが150℃よりも高いと溶融粘度が高くなる傾向にあるために、強化繊維基材にボイドなどの欠陥なく含浸させることが難しく、より高温の接合プロセスが必要とされるからである。なお、フェノキシ樹脂(A)のTgは、示差走査熱量測定装置を用い、10℃/分の昇温条件で、20~280℃の範囲内の温度で測定し、セカンドスキャンのピーク値より計算された数値である。
[0042]
 フェノキシ樹脂(A)としては、上記の物性を満たしたものであれば特に限定されないが、好ましいものとして、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製フェノトートYP-50、フェノトートYP-50S、フェノトートYP-55U)、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製フェノトートFX-316)、ビスフェノールAとビスフェノールFの共重合型フェノキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製YP-70)、前記以外の臭素化フェノキシ樹脂やリン含有フェノキシ樹脂、スルホン基含有フェノキシ樹脂などの特殊フェノキシ樹脂(例えば新日鉄住金化学株式会社製フェノトートYPB-43C、フェノトートFX293、YPS-007等)等を挙げることができる。これらは、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
[0043]
 接着樹脂組成物は、フェノキシ樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂の種類は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィンおよびその酸変性物、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、熱可塑性エポキシ等から選ばれる1種以上を使用することができる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等から選ばれる1種以上を使用することができる。
[0044]
 接着樹脂(組成物)は、160~250℃の範囲内の温度域のいずれかで、溶融粘度が3,000Pa・s以下になるものが好ましく、90~2,900Pa・sの範囲内の溶融粘度となるものがより好ましく、100~2,800Pa・sの範囲内の溶融粘度となるものがさらに好ましい。160~250℃の範囲内の温度域における溶融粘度が3,000Pa・sを超えると溶融時の流動性が悪くなり、接着樹脂層103,103Aにボイド等の欠陥を生じやすくなる。
[0045]
 架橋性接着樹脂組成物:
 フェノキシ樹脂(A)を含有する接着樹脂組成物に、例えば、酸無水物、イソシアネート、カプロラクタムなどを架橋剤として配合することにより、フェノキシ樹脂(A)に含まれる2級水酸基を利用した架橋性接着樹脂組成物とすることもできる。架橋反応を利用することにより、フェノキシ樹脂の欠点であった耐熱性を向上させ得るので、より高温環境下で使用される部材への適用が可能となる。フェノキシ樹脂(A)の2級水酸基を利用した架橋形成には、エポキシ樹脂(B)と架橋剤(C)を配合した架橋性接着樹脂組成物を用いることが好ましい。このような架橋性接着樹脂組成物を用いることによって、Tgがフェノキシ樹脂(A)単独よりも大きく向上した第2の硬化状態である架橋硬化物が得られる。架橋性接着樹脂組成物の架橋硬化物のTgは、例えば160℃以上であり、170~220℃の範囲内であることが好ましい。
[0046]
 架橋性接着樹脂組成物において、フェノキシ樹脂(A)に配合するエポキシ樹脂(B)としては、2官能性以上のエポキシ樹脂が好ましい。2官能性以上のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYD-011、エポトートYD-7011、エポトートYD-900)、ビスフェノールFタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYDF-2001)、ジフェニルエーテルタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製YSLV-80DE)、テトラメチルビスフェノールFタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製YSLV-80XY)、ビスフェノールスルフィドタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製YSLV-120TE)、ハイドロキノンタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYDC-1312)、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂、(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYDPN-638)、オルソクレゾールノボラックタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYDCN-701、エポトートYDCN-702、エポトートYDCN-703、エポトートYDCN-704)、アラルキルナフタレンジオールノボラックタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製ESN-355)、トリフェニルメタンタイプエポキシ樹脂(例えば、日本化薬株式会社製EPPN-502H)等が例示されるが、これらに限定されるものではない。また、これらのエポキシ樹脂は、2種類以上混合して使用しても良い。
[0047]
 また、エポキシ樹脂(B)としては、特に限定する意味ではないが、結晶性エポキシ樹脂が好ましく、融点が70℃~145℃の範囲内で、150℃における溶融粘度が2.0Pa・s以下である結晶性エポキシ樹脂がより好ましい。かかる溶融特性を示す結晶性エポキシ樹脂を使用することにより、接着樹脂組成物としての架橋性接着樹脂組成物の溶融粘度を低下させることができ、接着性を向上させることができる。溶融粘度が2.0Pa・sを超えると、架橋性接着樹脂組成物の成形性が低下し、金属-FRP複合体100,200の均質性が低下することがある。
[0048]
 好ましい結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYSLV-80XY、YSLV-70XY、YSLV-120TE、YDC-1312、三菱化学株式会社製YX-4000、YX-4000H、YX-8800、YL-6121H、YL-6640等、DIC株式会社製HP-4032、HP-4032D、HP-4700等、日本化薬株式会社製NC-3000等を挙げることができる。
[0049]
 架橋剤(C)は、フェノキシ樹脂(A)の2級水酸基とエステル結合を形成することによって、フェノキシ樹脂(A)を3次元架橋させる。そのため、熱硬化性樹脂の硬化の如き強固な架橋とは異なり、加水分解反応により架橋を解くことができるので、金属部材101とFRP層102とを容易に剥離することが可能になる。従って、金属部材101、FRP層102をそれぞれリサイクルすることが可能である。
[0050]
 架橋剤(C)としては、酸無水物が好ましい。酸無水物は、常温で固体であり、昇華性があまり無いものであれば特に限定されるものではないが、金属-FRP複合体100,200への耐熱性付与や反応性の点からフェノキシ樹脂(A)の水酸基と反応する酸無水物を2つ以上有する芳香族酸二無水物が好ましい。特に、ピロメリット酸無水物のように2つの酸無水物基を有する芳香族化合物は、トリメリット酸無水物に水酸基と比べて架橋密度が高くなり、耐熱性が向上するので好ましく使用される。芳香族酸二無水物でも、例えば4,4’―オキシジフタル酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物といったフェノキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂(B)に対して相溶性を有する芳香族酸二無水物は、Tgを向上させる効果が大きくより好ましいものである。特に、ピロメリット酸無水物のように2つの酸無水物基を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物は、例えば酸無水物基を1つしか有しない無水フタル酸に比べて架橋密度が向上し、耐熱性が向上するので好ましく使用される。すなわち、芳香族テトラカルボン酸二無水物は、酸無水物基が2つあるために反応性が良好で、短い成形時間で脱型に十分な強度の架橋硬化物が得られとともに、フェノキシ樹脂(A)中の2級水酸基とのエステル化反応により、4つのカルボキシル基を生成させるために、最終的な架橋密度を高くすることができる。
[0051]
 フェノキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)及び架橋剤(C)の反応は、フェノキシ樹脂(A)中の2級水酸基と架橋剤(C)の酸無水物基とのエステル化反応、更にはこのエステル化反応により生成したカルボキシル基とエポキシ樹脂(B)のエポキシ基との反応によって架橋、硬化される。フェノキシ樹脂(A)と架橋剤(C)との反応によってフェノキシ樹脂架橋体を得ることができるが、エポキシ樹脂(B)の共存によって接着樹脂組成物の溶融粘度を低下させ得るため、被着体との含浸性の向上、架橋反応の促進や、架橋密度の向上、機械強度の向上などの優れた特性を示す。
 なお、架橋性接着樹脂組成物は、エポキシ樹脂(B)を共存してはいるが、熱可塑性樹脂であるフェノキシ樹脂(A)を主成分としており、その2級水酸基と架橋剤(C)の酸無水物基とのエステル化反応が優先していると考えられる。すなわち、架橋剤(C)として使用される酸無水物とエポキシ樹脂(B)との反応は時間がかかるため、架橋剤(C)とフェノキシ樹脂(A)の2級水酸基との反応が先ず起こり、次いで、先の反応で残留した架橋剤(C)や、架橋剤(C)に由来する残存カルボキシル基とエポキシ樹脂(B)とが反応することで更なる架橋密度の向上が図られる。そのため、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分とする樹脂組成物とは異なり、架橋性接着樹脂組成物によって得られる架橋硬化物はその架橋硬化の仕組みから熱可塑性樹脂としての性格が残るほか、硬化剤に酸無水物を使用したエポキシ樹脂組成物よりも貯蔵安定性にも優れる。
[0052]
 フェノキシ樹脂(A)の架橋を利用する架橋性接着樹脂組成物においては、フェノキシ樹脂(A)100重量部に対して、エポキシ樹脂(B)を5~85重量部の範囲内となるように配合することが好ましい。フェノキシ樹脂(A)100重量部に対するエポキシ樹脂(B)の配合量は、より好ましくは9~83重量部の範囲内であり、さらに好ましくは10~80重量部の範囲内である。エポキシ樹脂(B)の配合量が85重量部を超えるとエポキシ樹脂(B)の硬化に時間を要するため、脱型に必要な強度を短時間で得にくくなる他、FRP層102のリサイクル性が低下する。また、エポキシ樹脂(B)の配合量が5重量部未満になるとエポキシ樹脂(B)の配合による架橋密度の向上効果が得られなくなり、架橋性接着樹脂組成物の架橋硬化物が160℃以上のTgを発現しにくくなったり、流動性が悪化するため好ましくない。
[0053]
 架橋剤(C)の配合量は、通常、フェノキシ樹脂(A)の2級水酸基1モルに対して酸無水物基0.6~1.3モルの範囲内の量であり、好ましくは0.7~1.3モルの範囲内の量であり、より好ましくは1.1~1.3モルの範囲内である。酸無水物基の量が少なすぎると架橋密度が低いため、機械物性や耐熱性に劣り、多すぎると未反応の酸無水物やカルボキシル基が硬化特性や架橋密度に悪影響を与える。このため、架橋剤(C)の配合量に応じて、エポキシ樹脂(B)の配合量を調整することが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂(B)により、フェノキシ樹脂(A)の2級水酸基と架橋剤(C)の酸無水物基との反応により生じるカルボキシル基を反応させることを目的に、エポキシ樹脂(B)の配合量を架橋剤(C)との当量比で0.5~1.2モルの範囲内となるようにするとよい。好ましくは、架橋剤(C)とエポキシ樹脂(B)の当量比が、0.7~1.0モルの範囲内である。
 なお、架橋剤(C)の配合量を重量部に換算した場合、使用する架橋剤の種類にもよるものの、フェノキシ樹脂100重量部に対して20~100重量部であり、好ましくは30~100重量部、最も好ましくは40~100重量部となる。
[0054]
 架橋剤(C)をフェノキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)と共に配合すれば、架橋性接着樹脂組成物を得ることができるが、架橋反応が確実に行われるように触媒としての促進剤(D)をさらに添加してもよい。促進剤(D)は、常温で固体であり、昇華性が無いものであれば特に限定はされるものではなく、例えば、トリエチレンジアミン等の3級アミン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニルー4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルフォスフィン等の有機フォスフィン類、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらの促進剤(D)は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。なお、架橋性接着樹脂組成物を微粉末とし、静電場による粉体塗装法を用いて強化繊維基材に付着させてマトリックス樹脂106を形成する場合は、促進剤(D)として、触媒活性温度が130℃以上である常温で固体のイミダゾール系の潜在性触媒を用いることが好ましい。促進剤(D)を使用する場合、促進剤(D)の配合量は、フェノキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)及び架橋剤(C)の合計量100重量部に対して、0.1~5重量部の範囲内とすることが好ましい。
[0055]
 架橋性接着樹脂組成物は、常温で固形であり、その溶融粘度は、160~250℃の範囲内の温度域における溶融粘度の下限値である最低溶融粘度が3,000Pa・s以下であることが好ましく、2,900Pa・s以下であることがより好ましく、2,800Pa・s以下であることがさらに好ましい。160~250℃の範囲内の温度域における最低溶融粘度が3,000Pa・sを超えると熱プレスなどによる加熱圧着時に架橋性接着樹脂組成物の被着体への含浸が不十分となり、接着樹脂層103,103Aにボイド等の欠陥を生じる可能性があるため、金属-FRP複合体100,200の機械物性が低下する。
[0056]
 以上の接着樹脂組成物(架橋性接着樹脂組成物を含む)には、その接着性や物性を損なわない範囲において、例えば、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー等や、種々の無機フィラー、溶剤、体質顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、難燃剤、難燃助剤等その他添加物を配合することもできる。
[0057]
<FRP層>
 金属-FRP複合体100,200のFRP層102に用いられるFRPにおいて、強化繊維材料105となる強化繊維基材としては、例えば、チョップドファイバーを使用した不織布基材や連続繊維を使用したクロス材、一方向強化繊維基材(UD材)などを使用することができるが、補強効果の面から、クロス材やUD材の使用が好ましい。
[0058]
 また、FRP層102に用いられるFRPのマトリックス樹脂104としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、フェノキシ樹脂、ポリオレフィンおよびその酸変性物、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等の熱可塑性樹脂のいずれも使用することができるが、フェノキシ樹脂(A)と良接着性を示す樹脂組成物によってマトリックス樹脂104を形成することが好ましい。ここで、フェノキシ樹脂(A)と良接着性を示す樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、無水マレイン酸などにより酸変性されたポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホンを挙げることができる。これらの樹脂の中には、金属部材101に対する接着性が低いものも含まれるが、接着樹脂層103,103Aを介在させることによって、間接的に金属部材101に接合できる。
[0059]
 また、FRP層102と接着樹脂層103,103Aとの接着性を十分に確保する観点から、接着樹脂層103,103Aを構成する樹脂(接着樹脂層103Aについてはマトリックス樹脂106)を形成する樹脂と同一又は同種の樹脂によってマトリックス樹脂104を形成することがより好ましい。
[0060]
 以上の構成を有する金属-FRP複合体100,200において、金属部材101と、FRP層102及び接着樹脂層103,103Aを含む繊維強化樹脂材料とのせん断強度は、40N/5mm以上であることが好ましく、45N/5mm以上であることがより好ましい。最も好ましくは、せん断強度が50~1500N/5mmである。せん断強度が40N/5mm未満では、金属-FRP複合体100,200の機械的強度が足りず、優れた耐久性が得られない場合がある。
[0061]
 また、第1及び第2の実施形態の金属-FRP複合体100,200は、後記実施例で示す曲げ試験において、金属-FRP複合体100,200からの金属部材101の剥離が、凝集剥離を示すことが好ましく、剥離が生じないことがより好ましい。曲げ試験では、剥離した金属部材101の剥離面を観察することにより、凝集剥離と界面剥離を峻別することが可能である。一般に、金属とFRPとを複合化する場合には、接着部分が界面剥離よりも凝集剥離することが好ましいとされている。その理由として、界面剥離の場合は、冷熱サイクルに弱く、密着力にばらつきが出て品質の管理が難しく、欠陥品が出やすいことが挙げられる。
[0062]
[金属-FRP複合体の製造方法]
 次に、図5~図7を参照しながら金属-FRP複合体100,200の製造方法について説明する。
[0063]
<第1の実施の形態の金属-FRP複合体の製造方法>
 金属-FRP複合体100は、FRP層102となる、所望の形状に加工されたFRP(又はその前駆体であるFRP成形用プリプレグ)と金属部材101とを、接着樹脂層103となるフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物で接着し、フェノキシ樹脂(A)を固化させるか、または、接着樹脂組成物を硬化させることによって得られる。金属部材101とFRPをフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物で接着し、接合することによって複合化を行う場合、例えば以下の方法A、方法Bによって行うことができるが、方法Aが好ましい。
[0064]
 方法A:
 フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物による塗膜(接着樹脂層103となるもの)を金属部材101の表面に形成した後、FRP層102となるFRP又はFRP成形用プリプレグ(第1のプリプレグ)を積層して加熱圧着する方法。
 この方法Aでは、例えば、図5(a)に示すように、金属部材101の少なくとも片側の面に、粉状又は液状のフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物を塗工し、塗膜110を形成する。なお、方法Aでは、金属部材101側でなく、FRP層102となるFRP側又はFRP成形用プリプレグ111(第1のプリプレグ)側に塗膜110を形成してもよいが、ここでは、金属部材101側に塗膜110を形成する場合について説明する。
[0065]
 次に、図5(b)に示すように、塗膜110が形成された側に、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111を重ねて配置し、金属部材101と塗膜110とFRP成形用プリプレグ111とがこの順序に積層された積層体を形成する。なお、図5(b)において、FRP成形用プリプレグ111に代えて、FRPを積層することもできるが、このときFRPの接着面は、例えば、ブラスト処理等による粗化や、プラズマ処理、コロナ処理などによる活性化がなされていることが好ましい。次に、この積層体を加熱・加圧することによって、図5(c)に示すように、金属-FRP複合体100を得ることができる。
[0066]
 方法Aにおいて、接着樹脂層103となる塗膜110を形成する方法としては、金属部材101の表面に、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の粉末を粉体塗装する方法が好ましい。粉体塗装により形成された接着樹脂層103は、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物が微粒子であるが故に溶融しやすく、かつ塗膜110内に適度な空隙を持つためボイドが抜けやすい。そして、FRP又はFRP成形用プリプレグ111を加熱圧着する際にフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物が金属部材101の表面を良く濡らすためワニス塗工のような脱気工程が不要であり、フィルムで見られるようなボイドの発生などの濡れ性の不足に起因した不良が起こりにくい。
[0067]
 方法Aでは、図5(a)において、金属部材101の両面に塗膜110を形成し、図5(b)において、両方の塗膜110のそれぞれに、FRP成形用プリプレグ111(又はFRP)を積層してもよい。また、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)は、1層に限らず、複数層であってもよい(図2参照)。また、2枚以上の金属部材101を使用して、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)をサンドウィッチ状に挟み込むように積層してもよい。
[0068]
 方法B:
 フィルム化したフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物と、FRP層102となるFRP又はFRP成形用プリプレグ(第1のプリプレグ)を金属部材101に積層して加熱圧着する方法。
 この方法Bでは、例えば図6(a)に示すように、金属部材101の少なくとも片側の面に、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物をフィルム状にした接着シート110Aと、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111とを重ねて配置し、金属部材101と接着シート110AとFRP成形用プリプレグ111とがこの順序に積層された積層体を形成する。なお、図6(a)において、FRP成形用プリプレグ111に代えて、FRPを積層することもできるが、このときFRPの接着面は、例えば、ブラスト処理等による粗化や、プラズマ処理、コロナ処理などによる活性化がなされていることが好ましい。次に、この積層体を加熱・加圧することによって、図6(b)に示すように、金属-FRP複合体100を得ることができる。
[0069]
 方法Bでは、図6(a)において、金属部材101の両面に、それぞれ接着シート110AとFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)を積層してもよい。また、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)は、1層に限らず、複数層であってもよい(図2参照)。また、2枚以上の金属部材101を使用して、接着シート110A及びFRP層102となるFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)をサンドウィッチ状に挟み込むように積層してもよい。
[0070]
<第2の実施の形態の金属-FRP複合体の製造方法>
 金属-FRP複合体200は、所望の形状に加工された、FRP層102となるFRP(又はFRP成形用プリプレグ111)と金属部材101とを、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物と、強化繊維材料107とを含有する接着シート(接着樹脂層103Aとなるもの)で接着し、フェノキシ樹脂(A)を固化させるか、または、接着樹脂組成物を硬化させることによって得られる。金属部材101とFRPを、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物と、強化繊維材料107とを含有する接着シートで接着し、接合することによって複合化を行う場合、例えば以下の方法Cによって行うことができる。
[0071]
 方法C:
 フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物と強化繊維材料107とを含有する接着シート(第2のプリプレグ)と、FRP層102となるFRP又はFRP成形用プリプレグ111(第1のプリプレグ)を金属部材101に積層して加熱圧着する方法。
 この方法Cでは、例えば図7(a)に示すように、金属部材101の少なくとも片側の面に、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物と強化繊維材料107とを含有する接着シート110Bと、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111とを重ねて配置し、金属部材101と接着シート110BとFRP成形用プリプレグ111とがこの順序に積層された積層体を形成する。ここで、接着シート110Bは、金属部材101とFRP層102とを接着するためのシート状のプリプレグである。なお、図7(a)において、FRP成形用プリプレグ111に代えて、FRPを積層することもできるが、このときFRPの接着面は、例えば、ブラスト処理等による粗化や、プラズマ処理、コロナ処理などによる活性化がなされていることが好ましい。次に、この積層体を加熱・加圧することによって、図7(b)に示すように、金属-FRP複合体200を得ることができる。
[0072]
 方法Cでは、FRP成形用プリプレグ111(又はFRP)を、強化繊維材料107を含有する接着シート110Bによって金属部材101と接合する。この場合、強化繊維材料107に含浸させたフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物に由来する樹脂成分(マトリックス樹脂106となる部分)が、接着樹脂として機能する。
[0073]
 方法Cでは、図7(a)において、金属部材101の両面に、それぞれ接着シート110BとFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)を積層してもよい。また、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)は、1層に限らず、複数層であってもよい(図4参照)。また、2枚以上の金属部材101を使用して、接着シート110B及びFRP層102となるFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)をサンドウィッチ状に挟み込むように積層してもよい。
[0074]
 金属部材との複合化:
 金属部材101とFRPの複合化は、例えば、以下のように実施することが好ましい。
 i)上記方法Aでは、金属部材101の接着面の所定の位置に、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物を粉体又はワニスとして塗工し、接着樹脂層103となる塗膜110を形成する。次に、その上にFRP層102となるFRP成形用プリプレグ111を積層して加圧成形機にセットし、加圧成形して接着樹脂層103を形成する。
 ii)上記方法B又は方法Cでは、金属部材101の接着面の所定の位置に、接着樹脂層103となる接着シート110A、又は接着樹脂層103Aとなる接着シート110Bを配置する。次に、その上にFRP層102となるFRP成形用プリプレグ111を積層して加圧成形機にこれらをセットし、加圧成形して接着樹脂層103,103Aを形成する。
[0075]
<加熱圧着条件>
 以上の方法A~Cにおいて、金属部材101と、接着シート110Aもしくは110Bと、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)と、を複合化するための加熱圧着条件は以下のとおりである。
[0076]
 加熱圧着温度は特に限定されないが、例えば100℃~400℃の範囲内、好ましくは150~300℃、より好ましくは160℃~270℃の範囲内、最も好ましくは180℃~250℃の範囲内がよい。このような温度範囲内において、結晶性樹脂であれば融点以上の温度が、非結晶性樹脂であればTg+150℃以上の温度がより好ましい。上限温度を超えると、過剰な熱を加えてしまうため樹脂の分解が起きる可能性があり、また下限温度を下回ると樹脂の溶融粘度が高いため、強化繊維基材への含浸性が悪くなる。
[0077]
 圧着する際の圧力は、例えば3MPa以上が好ましく、3~5MPaの範囲内がより好ましい。圧力が上限を超えると、過剰な圧力を加えてしまうため、変形や損傷が発生する可能性があり、また下限を下回ると強化繊維基材への含浸性が悪くなる。
[0078]
 加熱加圧処理時間については、少なくとも3分以上あれば十分に加熱圧着が可能であり、5~20分間の範囲内が好ましい。
[0079]
 なお、加熱圧着工程では、加圧成形機により、金属部材101と、接着シート110Aもしくは110Bと、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111(又はFRP)と、の複合一括成形をおこなってもよい。複合一括成形は、ホットプレスで行われることが好ましいが、あらかじ所定の温度まで余熱した材料を速やかに低温の加圧成形機にセットして加工を行うこともできる。
[0080]
<追加の加熱工程>
 方法A~Cにおいて、接着樹脂層103,103Aを形成するための接着樹脂組成物や、マトリックス樹脂104を形成するための原料樹脂として、フェノキシ樹脂(A)にエポキシ樹脂(B)及び架橋剤(C)を配合した架橋性接着樹脂組成物を使用する場合、さらに、追加の加熱工程を含めることができる。
 架橋性接着樹脂組成物を使用する場合は、上記加熱圧着工程で、架橋性接着樹脂組成物のフェノキシ樹脂等が溶融後、固化しているが架橋形成はしていない第1の硬化状態の硬化物によって接着樹脂層103,103Aを形成することができる。また、FRP層102となるFRP成形用プリプレグ111のマトリックス樹脂に、架橋性接着樹脂組成物と同一又は同種のものを用いる場合には、第1の硬化状態の硬化物からなるマトリックス樹脂104を含むFRP層102を形成することができる。
 このように、上記加熱圧着工程を経て、金属部材101と、第1の硬化状態の硬化物による接着樹脂層103,103Aと、FRP層102と、が積層され一体化された、金属-FRP複合体100,200の中間体(プリフォーム)を作製することができ、例えば金属部材101とFRP層102を一括で成形および複合化する際に両者の位置ずれ防止などに適用することなどができる。この中間体では、必要により、FRP層102として、マトリックス樹脂104が第1の硬化状態の硬化物であるものを用いてもよい。そして、この中間体に対し、加熱圧着工程の後で、さらに追加の加熱を伴う工程を実施することによって、少なくとも第1の硬化状態の硬化物による接着樹脂層103,103Aの樹脂を架橋硬化させて第2の硬化状態の架橋硬化物へ変化させることができる。また、好ましくは、FRP層102についても追加の加熱を伴う工程を実施することで、第1の硬化状態の硬化物からなるマトリックス樹脂104を架橋硬化させて第2の硬化状態の架橋硬化物へ変化させることができる。
[0081]
 第1の硬化状態の硬化物を得るための加熱圧着工程における温度は160℃未満、好ましくは120~150℃であり、圧力は1MPa以上、1~5MPaが好ましい。また、第1の硬化状態の硬化物から第2の硬化状態の硬化物へ変化させるための追加の加熱工程は、例えば160~250℃の範囲内の温度で10~30分間程度の時間をかけて行うことが好ましい。なお、このときに強化繊維基材への樹脂の確実な含浸や、金属部材101への密着性の向上を図ることを目的に3MPa以上の圧力をかけることも可能である。
[0082]
 また、金属部材101との複合化に際して、架橋性接着樹脂組成物によってFRP層102や、接着樹脂層103、もしくは接着樹脂層103Aを形成する場合は、加熱圧着後の金属-FRP複合体100,200に対し、例えば200~250℃の範囲内の温度で30~60分程度、ポストキュアを行うことが好ましい。塗装などの後工程での熱履歴をポストキュアとして利用することも可能である。
[0083]
 上述のとおり、架橋性接着樹脂組成物を用いると、架橋硬化後のTgが、フェノキシ樹脂(A)単独よりも大きく向上する。そのため、前記中間体に対して追加の加熱工程を行う前後(つまり、樹脂が第1の硬化状態の硬化物から第2の硬化状態の架橋硬化物へ変化する過程)で、Tgが変化する。具体的には、中間体における架橋前の樹脂のTgは、例えば150℃以下であるのに対し、追加の加熱工程後の架橋形成された樹脂のTgは、例えば160℃以上、好ましくは170~220℃の範囲内に向上するので、耐熱性を大幅に高めることができる。
[0084]
<後工程>
 金属-FRP複合体100,200に対する後工程では、塗装の他、他の部材とのボルトやリベット留めなどによる機械的な接合のための穴あけ加工、接着接合のための接着剤の塗布などが行われ、組立が行われる。
[0085]
 接着シートの製造方法:
 ここで、接着樹脂層103Aを形成する際に用いる接着シート110B(第2のプリプレグ)の製造方法について説明する。なお、FRP層102を、接着樹脂層103Aのマトリックス樹脂106と同種の樹脂により形成する場合も、以下に述べる方法で製造することができる。
[0086]
 接着樹脂層103Aを形成する接着シート110Bにおいて、強化繊維材料107となる強化繊維基材は、FRP層102と同様に、例えば、チョップドファイバーを使用した不織布基材や連続繊維を使用したクロス材、一方向強化繊維基材(UD材)などを使用することができるが、補強効果の面から、クロス材やUD材の使用が好ましい。
[0087]
 接着シート110Bは、ウェットメルトやフィルムスタック法などの従来公知の方法で作製されたプリプレグよりも、粉体塗装法を用いて作製されたプリプレグを使用することが好ましい。粉体塗装法により作製されたプリプレグは、樹脂が微粒子の状態で強化繊維基材に含浸されていることからドレープ性が良好であり、被着体が複雑な形状であっても追従することが可能であるために一括成形熱プレスに適する。
[0088]
 粉体塗装法としては、例えば、静電塗装法、流動床法、サスペンジョン法が主な工法であるが、強化繊維基材やマトリックス樹脂種に応じてこれらいずれかの手法を適宜選択することが好ましい。これらの中でも、静電塗装法および流動床法は、熱可塑性樹脂に適した方法であり、工程が簡便で生産性が良好であることから好ましく、特に静電塗装法は、強化繊維基材へのフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の付着の均一性が良好であることから最も好適な手法である。
[0089]
 接着シート110Bを形成する際に、フェノキシ樹脂(A)またはフェノキシ樹脂(A)を含有する接着樹脂組成物(マトリックス樹脂106となるもの)の粉体塗装を行う場合、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物を所定の微粉末とし、この微粉末を粉体塗装により強化繊維基材に付着させることでプリプレグを得ることが好ましい。
[0090]
 フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の微粉末化は、低温乾燥粉砕機(セントリドライミル)等の粉砕混合機の使用が好適であるが、これらに制限されるものではない。また、マトリックス樹脂106用のフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の粉砕に際しては、各成分を粉砕してから混合してもよいし、あらかじめ各成分を配合した後に粉砕してもよい。この場合、各微粉末が後述の平均粒子径になるように、粉砕条件を設定するとよい。このようにして得られる微粉末としては、平均粒子径が10~100μmの範囲内、好ましくは40~80μmの範囲内であり、より好ましくは40~50μmの範囲内である。平均粒子径が100μmを超えると、静電場における粉体塗装において、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物が繊維に衝突する際のエネルギーが大きくなり、強化繊維基材への付着率が低下してしまう。また、平均粒子径が10μm未満であると、随伴気流によって粒子が飛散してしまい付着効率が低下するほか、大気中を浮遊する樹脂微粉末が作業環境の悪化を引き起こす可能性がある。
[0091]
 接着シート110Bを形成するための接着樹脂組成物として、フェノキシ樹脂(A)にエポキシ樹脂(B)及び架橋剤(C)を配合した架橋性接着樹脂組成物の粉体塗装を行う場合は、フェノキシ樹脂(A)の微粉末及びエポキシ樹脂(B)の微粉末の平均粒子径が、架橋剤(C)の微粉末の平均粒子径の1~1.5倍の範囲内であることが好ましい。架橋剤(C)の微粉末の粒子径をフェノキシ樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)の微粉末の粒子径よりも微細にすることにより、強化繊維基材の内部にまで架橋剤(C)が入り込み、付着するとともに、架橋剤(C)がフェノキシ樹脂(A)の粒子及びエポキシ樹脂(B)の粒子の周囲に万遍なく存在することで、架橋反応を確実に進行させることができる。
[0092]
 接着シート110Bを形成するための粉体塗装では、強化繊維基材へのフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物(マトリックス樹脂106となるもの)の付着量(樹脂割合:RC)が、例えば、20~50%の範囲内となるように塗工することが好ましく、25~45%の範囲内がより好ましく、25~40%の範囲内がさらに好ましい。RCが50%を超えるとFRPの引張・曲げ弾性率等の機械物性が低下してしまい、20%を下回ると樹脂の付着量が極端に少ないことから強化繊維基材の内部へのマトリックス樹脂106の含浸が不十分になり、熱物性、機械物性ともに低くなる懸念がある。
[0093]
 粉体塗装されたフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物(マトリックス樹脂106となるもの)の微粉末は、加熱溶融により強化繊維基材に固定される。この場合、粉体を強化繊維基材に塗工した後に加熱融着してもよいし、あらかじめ加熱された強化繊維基材に粉体塗装することにより、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の微粉末の強化繊維基材への塗工と同時に融着させてもよい。この加熱によって、強化繊維基材表面のフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の微粉末を不完全に溶融させ、後述する部分融着構造を形成しておくことで、強化繊維基材への密着性を高め、塗装されたフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の微粉末の脱落が防止される。ここで、「不完全に溶融」させるとは、原料樹脂の微粉末108の全部が液滴化し流動するまで溶融させるのではなく、微粉末108の一部分は完全に液滴化するが、大部分の微粉末108は表面のみが溶融により液状化し、中心部分は固体状を保っている状態を意味する。
 ただし、この段階では、マトリックス樹脂106となるフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物は強化繊維基材の表面に集中しており、加熱加圧成形後の成形体のように強化繊維基材の内部にまで行き渡っていない。なお、粉体塗装後にフェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の部分融着構造を形成するための加熱時間は、特に制限されないが、通常1~2分間が適する。溶融温度は150~240℃の範囲内であり、好ましくは160~220℃の範囲内、より好ましくは180~200℃の範囲内である。溶融温度が上限を超えると硬化反応が進行してしまう可能性があり、また、下限を下回ると熱融着が不十分となり、取扱作業時に、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物の微粉末の粉落ち、脱落等が発生する懸念がある。
[0094]
 ここで、粉体塗装法により接着シート110Bを製造する方法について、図8及び図9を参照しながら、さらに詳細に説明する。ここでは、強化繊維基材の両面に、フェノキシ樹脂(A)または接着樹脂組成物(これらを以下「原料樹脂」と総称する)の部分融着構造108Aが形成された接着シート110Bを製造する場合を例に挙げる。例えば、以下の方法A1又は方法A2により実施できる。
[0095]
(方法A1)
 方法A1は、以下の工程a及び工程bを含むことができる。
 工程a:
 工程aでは、図8(a)、(b)に示すように、強化繊維材料107からなるシート状をなす強化繊維基材の少なくとも片側の面に対し、常温で固体の原料樹脂の微粉末108を粉体塗装法によって付着させて樹脂付着繊維基材107Aを形成する。粉体塗装法は、原料樹脂組成物が微粒子であるが故に溶融しやすく、かつ塗布後の塗膜内に適度な空隙を持つため、空気の逃げ道となり、ボイドが発生しにくい。後述するように、接着シート110Bと金属部材101とを加熱圧着する際は、プリプレグ表面で溶融した樹脂が、まず、はじめに金属部材101の表面に速やかに濡れ広がってから強化繊維基材の内部へと含浸する。そのため、従来技術の溶融含浸法に比べ、金属部材101表面への溶融樹脂の濡れ性の不足に起因した不良が起こりにくい。すなわち、強化繊維基材から押し出された樹脂により金属部材101と接着する溶融含浸法では、作製されたプリプレグにおいて、溶融樹脂による金属部材101表面への濡れ性が不十分となりやすいが、粉体塗装法では、この問題を回避できる。好ましい粉体塗装法の種類、塗装条件、樹脂割合(RC)などは、前記のとおりである。
[0096]
 なお、図8(b)では、樹脂付着繊維基材107Aの両側の面に原料樹脂の微粉末108が付着した状態を示しているが、樹脂付着繊維基材107Aの片側の面にのみ微粉末108が付着していてもよい。
[0097]
 工程b:
 工程bでは、図8(b)、(c)に示すように、樹脂付着繊維基材107Aに加熱処理を施し、原料樹脂の微粉末108を不完全に溶融させた後、固化させることによって、原料樹脂による部分融着構造108Aを有するプリプレグである接着シート110Bを形成する。「部分融着構造108A」は、強化繊維基材の表層部近傍において、微粉末108が加熱処理によって部分的に溶融し、近接する微粉末108の溶融物が融着して網目状に連携した状態で固化したものである。部分融着構造108Aによって、強化繊維基材への密着性が高まり、微粉末108の脱落を防止できるとともに、強化繊維基材の厚み方向に一定の通気性が確保される。そのため、金属部材101に加熱圧着させる加熱加圧処理において、強化繊維基材内の空気の逃げ道が確保され、ボイドの発生を回避できる。部分融着構造108Aは、接着シート110Bの面全体に均等に形成されていることが好ましいが、微視的には偏在していてもよい。
[0098]
 なお、図8(c)では、接着シート110Bの両側の面に部分融着構造108Aが形成された状態を示しているが、接着シート110Bの片側の面にのみ部分融着構造108Aが形成されていてもよい。
[0099]
(加熱処理条件)
 部分融着構造108Aを形成するための加熱処理では、原料樹脂の微粉末108を不完全に溶融させるため、使用する原料樹脂の融点やTgによるものの、おおよそ100℃~400℃の範囲内の温度により行うことが好ましく、原料樹脂が結晶性樹脂であれば融点以下の温度が、非結晶性樹脂であれば、Tg+150℃以内の温度がより好ましい。加熱処理が上限を超えると、微粉末108の熱融解が進み過ぎて部分融着構造108Aが形成されず、通気性が損なわれる可能性がある。また、加熱温度の下限を下回ると、部分融着構造108Aが形成されず、強化繊維基材への熱融着が不十分となり、接着シート110Bの取扱作業時に、微粉末108の粉落ち、脱落等が発生する懸念がある。
 また、加熱処理時間については、強化繊維基材に付着した原料樹脂の微粉末108を強化繊維基材に固定できれば特に制限はされないが、例えば1~5分間が適する。すなわち、成形時よりも遥かに短時間で熱処理を行うことによって、強化繊維基材に樹脂を部分融着構造108Aの状態で固定し、粉落ちを防止することができる。
[0100]
 加熱処理後の接着シート110Bの段階では、原料樹脂(部分融着構造108A及び微粉末108のままのもの)は強化繊維基材の表面付近に集中しており、加熱加圧後の成形体のように強化繊維基材の内部にまで行き渡っていない。なお、加熱処理は、樹脂付着繊維基材107Aと金属部材101とを接触させた状態で行ってもよい。
[0101]
(厚み)
 接着シート110Bは、厚みが40~200μmの範囲内であることが好ましく、50~150μmの範囲内であることがより好ましい。接着シート110Bの厚みが40μm未満であると、ハンドリング性の悪化や樹脂不足による含浸不良を生じることとなる。接着シート110Bの厚みが200μmを超えると、加熱加圧後に強化繊維基材への溶融樹脂の含浸が不十分となって機械的強度の低下を招く可能性がある。
[0102]
(通気度)
 接着シート110Bは、厚みが40~200μmのときの厚み方向における通気度が500~1000cc/cm /secの範囲内であることが好ましく、700~900cc/cm /secの範囲内であることがより好ましい。通気度が500cc/cm /sec未満であると、金属部材101に加熱圧着させる加熱加圧処理において、接着シート110B内の空気の逃げ道が少なくなって、ボイドが発生しやすくなる。すなわち、緻密な金属部材101との接着においては、接着シート110B中に存在する空気は、その厚み方向に、接着面と反対側へ逃がすことが重要であるため、通気度を500cc/cm /sec以上に制御することによって、接着シート110Bからの脱気を容易にすることができる。一方、通気度が1000cc/cm /secを超えると、原料樹脂の微粉末108が脱落しやすくなって、ハンドリング性が低下する可能性がある。
[0103]
 接着シート110Bは、その表面の凹凸が表面粗さとして算術平均粗さ(Ra)で0.010~0.100mmであることが好ましく、0.015~0.075mmがより好ましい。Raが上記範囲内であることにより、金属部材101に加熱圧着させる加熱加圧処理において、接着シート110B内の空気が側面からも抜けることができる。このため、接着シート110Bを緻密な金属部材101で挟み込むような接着においても接着シート110Bと金属部材101が強固に接着し、機械強度の優れた金属-FRP複合体200が得られる。
 なお、Raが0.010mm未満であると加熱加圧処理で接着シート110Bと他のプリプレグとが容易に融着してしまうために空気の逃げ道がなくなりボイド発生の原因となるほか、Raが0.100mmを超えるとボイドの抜け残りを生じたりするので適さない。
[0104]
(プリプレグにおける樹脂濃度勾配)
 原料樹脂による部分融着構造108Aが形成された接着シート110Bでは、元の強化繊維基材の端面を基準にして、該強化繊維基材の厚さに対して、厚み方向の0~50%の範囲内に原料樹脂の10重量%以上が付着していることが好ましく、10~40重量%が付着していることがより好ましい。このように、原料樹脂の付着濃度に勾配を設けることによって、接着シート110Bにおける部分融着構造108Aが形成された面を金属部材101と当接して加熱加圧する際に、接着シート110Bと金属部材101との境界に溶融樹脂を十分に展延させることができる。すなわち、熱伝導率が高く、加熱されやすい金属部材101の性質を利用し、その表面に、部分融着構造108Aを含む高濃度の固体状の原料樹脂を接触させることで、樹脂の溶融を促進し、接着境界に多量の溶融樹脂を供給できる。そのため、溶融粘度が比較的大きな原料樹脂についても、短時間で接着シート110Bの全体に浸透させ得るとともに、接着樹脂層103Aの形成が可能になる。なお、部分融着構造108Aの形成によって、金属部材101と接着する面側の樹脂濃度を高くしておいても、通気度を上記範囲内に制御しておくことによって、金属部材101に加熱圧着させる際に、接着シート110B中に存在する空気を、接着シート110Bの厚み方向に接着面とは反対側へ逃がすことができるので、ボイドの発生を回避できる。
[0105]
(方法A2)
 方法A2は、上記方法A1における工程a及び工程bを一括して行う方法である。すなわち、図示は省略するが、所定温度まで加熱したシート状をなす強化繊維基材の少なくとも片側の面に対し、常温で固体の原料樹脂の微粉末108を粉体塗装法によって付着させ、微粉末108を不完全に溶融させた後、固化させることによって、部分融着構造108Aが形成された接着シート110Bを形成する。方法A1では、粉体塗装された微粉末108を加熱処理により強化繊維基材に固定したが、方法A2では、あらかじめ加熱された強化繊維基材に微粉末108を粉体塗装することにより、強化繊維基材への塗工と同時に融着させて部分融着構造108Aを形成させる。
[0106]
 方法A2における諸条件は、上記方法A1に準ずるため、省略する。
[0107]
 図9は、金属部材101と、接着シート110Bと、FRP層102の前駆体のFRP成形用プリプレグ111と、を加熱圧着させる態様の一例を示している。接着シート110Bの部分融着構造108Aが形成された面を、少なくとも金属部材101の表面に、好ましくは金属部材101の表面とFRP成形用プリプレグ111の表面に、当接させた状態で加熱加圧処理を施すことによって、接着シート110Bに付着している原料樹脂を完全に溶融させて金属部材101の表面に濡れ広げると同時に、強化繊維基材に含浸させる。このように含浸させた原料樹脂が硬化することによって、マトリックス樹脂106となり、接着樹脂層103Aが形成されるとともに、この接着樹脂層103Aが金属部材101及びFRP層102に強固に接着する。また、接着シート110Bにおける原料樹脂の部分融着構造108Aが、加熱加圧処理において金属部材101に当接して薄膜状に濡れ広がることによって、接着樹脂層103Aと金属部材101、並びに、接着樹脂層103AとFRP層102との接着性が増し、FRP層102と金属部材101とが強固に接着してなる金属-FRP複合体200を形成することができる。
[0108]
 加熱圧着工程では、加熱によって原料樹脂が完全に溶融して液状となり、加圧によって接着シート110B内に浸透していく。所定の通気度に制御された接着シート110B内では、空気の逃げ道が確保されているため、溶融樹脂が空気を追い出しながら浸透していき、比較的低い圧力でも短時間で含浸が完了し、ボイドの発生も回避できる。
[0109]
 加熱圧着温度は、原料樹脂の微粉末108と部分融着構造108Aを完全に溶融させて強化繊維基材の全体に含浸させるため、使用する原料樹脂の融点やTgに応じて適宜設定できる。なお、接着シート110Bを金属部材101と加熱圧着させるための条件は前記のとおりである。
[0110]
 加熱圧着と同時に、金属部材101と接着シート110BとFRP成形用プリプレグ111を任意の3次元的形状に成形加工してもよい。この場合、金属部材101と接着シート110BとFRP成形用プリプレグ111とを圧着し、成形する際の圧力は、金属部材101のプレス成形に必要な圧力を基準とすることが好ましい。このように、金属部材101と接着シート110BとFRP成形用プリプレグ111を一括成形することによって3次元形状を有する複合体を作製することが好ましいが、予め任意の3次元的形状に成形された金属部材101に接着シート110BとFRP成形用プリプレグ111を圧着してもよい。
[0111]
 加圧成形機による金属部材101とFRP層102の複合一括成形は、ホットプレスで行われることが好ましいが、あらかじめ所定の温度まで余熱した材料を速やかに低温の加圧成形機にセットして加工を行うこともできる。加熱成型機に部材をセットするときに、金属部材101と接着シート110BとFRP成形用プリプレグ111を予め仮止めしていてもよい。仮止め条件は、接着シート110Bの部分融着構造108Aが保たれ、通気性が確保されている状態であるならば特に条件は問わない。
[0112]
 なお、FRP層102の形成に使用されるFRP成形用プリプレグ111についても、少なくとも接着樹脂層103、103Aに隣接するものは、上記粉体塗装法によって製造されたプリプレグを使用することが好ましい。特に、接着樹脂層103AとFRP成形用プリプレグ111がいずれも粉体塗装法により製造されたものを使用することにより、加熱圧着時に両者の界面が粗な状態で混じり合って混然一体となるため、接着樹脂層103AとFRP層102の接着強度を向上させることができる。
実施例
[0113]
 以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における各種物性の試験及び測定方法は以下のとおりである。
[0114]
[平均粒子径(D50)]
 平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX、日機装社製)により、体積基準で累積体積が50%となるときの粒子径を測定した。
[0115]
[溶融粘度]
 レオメータ(Anton Paar社製)を用いて、サンプルサイズ4.3cm をパラレルプレートに挟み、20℃/minで昇温しながら、周波数:1Hz、負荷ひずみ:5%の条件にて、250℃における溶融粘度を測定した。ただし、架橋性(接着)樹脂組成物については、160℃~250℃における粘度の最小値を溶融粘度とした。
[0116]
[樹脂割合(RC:%)]
 マトリックス樹脂付着前の強化繊維基材の重量(W1)と、樹脂付着後のFRP成形用材料の重量(W2)から下記の式を用いて算出した。
 樹脂割合(RC:%)=(W2-W1)/W2×100
   W1:樹脂付着前の強化繊維基材重量
   W2:樹脂付着後のFRP成形用材料の重量
[0117]
[接着樹脂層の厚みの測定]
 金属-FRP複合体100をダイヤモンドカッターを用いて切断し、得られた断面を研磨紙およびダイヤモンド砥粒で研磨した後、CP(クロスセクションポリッシャ)処理を用いて琢磨し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することによって測定した。
[0118]
[曲げ試験]
 JIS K 7074:1988 繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準拠して、得られた金属-FRP複合体の機械物性(曲げ強度及び曲げ弾性率)を測定した。
 図10に示すように、厚さtmmの金属部材101の両側に、総厚み(ここでは、FRP層102と接着樹脂層103又は103Aの合計の厚みを意味する)がそれぞれ0.4mm厚となるようにFRP積層体を配置し、各実施例・比較例に示す条件で加熱圧着することによって、曲げ試験用金属-FRP複合体のサンプルとした。図10における白矢印は、荷重の印加方向である。
 なお、機械強度の測定時に、サンプルが破壊したときにFRP積層体から金属板が界面剥離したものを×(不良)、凝集剥離したものを△(良)、剥離しなかった場合を○(最良)と評価した。
[0119]
[せん断試験]
 JIS K 6850:1999 接着剤の引張りせん断接着強さ試験方法を参考にして測定を行った。
 図11に示すように、厚さtmm、幅5mm×長さ60mmの大きさに加工した2枚の金属部材101を準備し、各金属部材101の端部からそれぞれ10mmの部分を、総厚みが0.4mm(ここでは、FRP層102と接着樹脂層103又は103Aの合計の厚みを意味する)となるように形成したFRP積層体により接着して、せん断試験用金属-FRP複合体のサンプルを作製した。つまり、せん断試験用金属-FRP複合体のサンプルは、上下2枚の金属部材101の端部付近の間に、FRP積層体を挟み込み、各実施例・比較例に示す条件で加熱圧着することによって作製した。図11における2つの白矢印は、引張り荷重の印加方向である。
[0120]
[FRPプリプレグ] 
・ポリアミド樹脂CFRPプリプレグ(プリプレグF)
  サカイオーベックス社製BHH-100GWODPT1/PA、Vf(繊維体積含有率):47%
・ポリカーボネート樹脂CFRPプリプレグ(プリプレグG)
  サカイオーベックス社製BHH-100GWODPT1/PC、Vf(繊維体積含有率):47%
・ポリプロピレン樹脂CFRPプリプレグ(プリプレグH)
  サカイオーベックス社製BHH-100GWODPT1/PP、Vf(繊維体積含有率):47%
[0121]
[フェノキシ樹脂(A)]
 (A-1):フェノトートYP-50S(新日鉄住金化学株式会社製ビスフェノールA型、Mw=40,000、水酸基当量=284g/eq)、250℃における溶融粘度=90Pa・s、Tg=83℃
 (A-2):フェノトートYPB-43C(新日鉄住金化学株式会社製臭素化フェノキシ樹脂、Mw=60,000、水酸基等量=600g/eq)、250℃における溶融粘度=500Pa・s、Tg=149℃
[0122]
[エポキシ樹脂(B)]
 YSLV-80XY(新日鉄住金化学株式会社製テトラメチルビスフェノールF型、エポキシ当量=192g/eq、融点=72℃)
[0123]
[架橋剤(C)]
 エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート:TMEG
(酸無水物等量:207、融点:160℃)
[0124]
[ポリアミド樹脂(R-1)]
 CM1017(東レ社製、融点=225℃、250℃における溶融粘度=125Pa・s、Tg=55℃)
[0125]
[作製例1] 
[フェノキシ樹脂CFRPプリプレグAの作製]
 フェノキシ樹脂(A)として、A-1を粉砕、分級した平均粒子径D50が80μmである粉体を、炭素繊維(UD材:三菱レイヨン社製、パイロフィル TR50S 15L)を開繊して一方向に引き揃えたものを基材として、静電場において、電荷70kV、吹き付け空気圧0.32MPaの条件で粉体塗装を行った。その後、オーブンで170℃、1分間加熱溶融して樹脂を熱融着させて部分融着構造を形成し、厚みが0.15mmであり、樹脂割合(RC)は48%の一方向繊維強化フェノキシ樹脂CFRPプリプレグAを作製した。
[0126]
[作製例2] 
[フェノキシ樹脂CFRPプリプレグBの作製]
 フェノキシ樹脂(A)としてA-2を粉砕、分級した平均粒子径D50が80μmである粉体を、炭素繊維(UD材:三菱レイヨン社製、パイロフィル TR50S 15L)を開繊して一方向に引き揃えたものを強化繊維基材として、静電場において、電荷70kV、吹き付け空気圧0.32MPaの条件で粉体塗装を行った。その後、オーブンで170℃、1分間加熱溶融して樹脂を熱融着させて、厚みが0.15mmであり、樹脂割合(RC)は50%の一方向繊維強化フェノキシ樹脂CFRPプリプレグBを作製した。
[0127]
[作製例3] 
[架橋フェノキシ樹脂CFRPプリプレグCの作製]
 フェノキシ樹脂(A)としてA-1を100重量部、エポキシ樹脂(B)を30重量部、架橋剤(C)を73重量部準備し、それぞれ粉砕、分級して平均粒子径D50が80μmである粉体にしたものを、乾式粉体混合機(愛知電気社製、ロッキングミキサー)によってドライブレンドした。得られた架橋性フェノキシ樹脂組成物を、炭素繊維(UD材:三菱レイヨン社製、パイロフィル TR50S 15L)を開繊して一方向に引き揃えたものを強化繊維基材として、静電場において、電荷70kV、吹き付け空気圧0.32MPaの条件で粉体塗装を行った。その後、オーブンで170℃、1分間加熱溶融して樹脂を熱融着させて部分融着構造を形成し、厚みが0.16mmであり、樹脂割合(RC)は48%の架橋フェノキシ樹脂CFRPプリプレグCを作製した。
 なお、架橋性フェノキシ樹脂組成物の250℃における溶融粘度は、250Pa・sであった。また架橋硬化後のフェノキシ樹脂のTgについては、作製したプリプレグを複数枚積層して200℃に加熱したプレス機で3MPa、3分間プレスして厚さ2mmのCFRP積層体を作製し、170℃で30分間ポストキュアを行った後にダイヤモンドカッターで幅10mm、長さ10mmの試験片を切り出して、動的粘弾性測定装置(Perkin Elmer社製 DMA 7e)を用いて、5℃/分の昇温条件、25~250℃の範囲で測定し、得られるtanδの極大ピークをTgとした。
[0128]
[作製例4] 
[フェノキシ樹脂CFRPプリプレグDの作製]
 フェノキシ樹脂(A)として、A-1を粉砕、分級した平均粒子径D50が80μmである粉体を、炭素繊維からなる平織の強化繊維基材(クロス材:東邦テナックス社製 IMS60)の開繊品(サカイオーベックス社製、SA-3203)に静電場において、電荷70kV、吹き付け空気圧0.32MPaの条件で粉体塗装を行った。その後、オーブンで170℃、1分間加熱溶融して樹脂を熱融着させて部分融着構造を形成し、厚みが0.24mmであり、樹脂割合(RC)は48%の一方向繊維強化フェノキシ樹脂CFRPプリプレグDを作製した。
[0129]
[作製例5]
[架橋フェノキシ樹脂CFRPプリプレグEの作製]
 フェノキシ樹脂(A)としてA-1を100重量部、エポキシ樹脂(B)を30重量部、架橋剤(C)を73重量部準備し、それぞれ粉砕、分級して平均粒子径D50が80μmである粉体にしたものを、乾式粉体混合機(愛知電気社製、ロッキングミキサー)によってドライブレンドした。得られた架橋性フェノキシ樹脂組成物を、炭素繊維からなる平織の強化繊維基材(クロス材:東邦テナックス社製 IMS60)の開繊品(サカイオーベックス社製、SA-3203)に静電場において、電荷70kV、吹き付け空気圧0.32MPaの条件で粉体塗装を行った。その後、オーブンで170℃、1分間加熱溶融して樹脂を熱融着させて部分融着構造を形成し、厚みが0.25mmであり、樹脂割合(RC)は48%の架橋フェノキシ樹脂CFRPプリプレグEを作製した。
[0130]
[作製例6]
[エポキシ樹脂CFRPプリプレグKの作製]
 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製、YD-128)26重量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製、YDPN-638)50重量部、フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学社製、YP-70)15重量部を混練機で160℃まで加温しながら混錬し、固形成分を完全に溶解させることにより透明な粘調液を得た。続いて混錬を続けたまま50~60℃の温度まで降温させた後、硬化剤としてのジシアンアミドを5重量部、硬化促進剤としてのジメチル尿素を4重量部加えて均一に分散するように撹拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。なお、該エポキシ樹脂組成物はコーンプレート粘度計を用いて所定の温度(90℃)で測定された粘度が4Pa・sであり、硬化物のTgは136℃であった。
 次いで、離形処理されたPETフィルムに、前記エポキシ樹脂組成物をコーターを用いて塗工し、厚み20μmエポキシ樹脂フィルムを作製した。次に、炭素繊維からなる平織の強化繊維基材(クロス材:東邦テナックス社製 IMS60)の開繊品(サカイオーベックス社製、SA-3203)に、上記の樹脂フィルムを両面から重ね、温度95℃、圧力0.2MPaの条件で加熱加圧して、炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を含浸させて樹脂割合(RC)が48%、厚みが0.20mmのエポキシ樹脂CFRPプリプレグKを作製した。
[0131]
[接着樹脂シートAの作製] 
 フェノキシ樹脂(A)としてA-1を使用し、200~230℃に加熱した押出し機にてフェノキシ樹脂を溶融し、インフレーション法にて厚さ0.02mmの接着樹脂シートAを作製した。
[0132]
[接着樹脂粉末の作製]
[接着樹脂粉末a] 
 作製例3で使用した架橋性フェノキシ樹脂組成物粉末をそのまま使用した。
[0133]
[接着樹脂粉末b] 
 フェノキシ樹脂A-1の粉末50重量部と、低温乾燥粉砕機で作製した平均粒径50μmのポリアミド樹脂R-1粉末50重量部を乾式粉体混合機(愛知電気社製、ロッキングミキサー)によってドライブレンドすることにより、接着樹脂粉末bを作製した。
[0134]
[接着樹脂粉末c]
 フェノキシ樹脂A-1の粉末20重量部と、低温乾燥粉砕機で作製した平均粒径50μmのポリアミド樹脂R-1粉末80重量部を乾式粉体混合機(愛知電気社製、ロッキングミキサー)によってドライブレンドすることにより、接着樹脂粉末cを作製した。
[0135]
[金属部材]
・金属部材(M-1):EG
  新日鐵住金社製電気亜鉛メッキ鋼板 NSECC、厚み0.4mm、化成処理なし
・金属部材(M-2):アルミニウム
  株式会社光社製 BACS厚板シリーズ、アルミ(A1050P)、厚み1mm
・金属部材(M-3):ステンレス鋼
  岩田製作所社製 シムプレート、ステンレス(SUS304)、厚み0.4mm
・金属部材(M-4):TFS
  新日鐵住金社製 ティンフリースチール鋼板、厚み0.2mm
・金属部材(M-5):チタン
  ニラコ社製 純チタン板、厚み0.1mm
・金属部材(M-6):マグネシウム合金
  日本金属社製 AZ31B、厚み0.1mm
[0136]
[実施例1] 
 金属部材101としてM-1を、接着樹脂層103AおよびFRP層102として作製例1のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグAを使用し、図10に示す構造の曲げ試験用金属-CFRP複合体のサンプルと、図11に示す構造のせん断試験用金属-CFRP複合体のサンプルを、それぞれ、200℃に加熱したプレス機で、3MPaで3分間プレスすることで作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0137]
[実施例2]
 接着樹脂層103AおよびFRP層102として作製例4のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグDを使用した以外は実施例1と同様にして、2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.08mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0138]
[実施例3]
 接着樹脂層103Aに替えて接着樹脂層103として接着樹脂シートA一枚を使用し、FRP層102として作製例4のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグDを使用した以外は実施例1と同様にして、2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103の厚みは0.02mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0139]
[実施例4] 
 接着樹脂層103Aに替えて接着樹脂層103の原料として接着樹脂粉末aを用い、前記接着樹脂粉末aが20μmの厚みの膜となった場合と同じ重量の粉末を金属部材101であるM-1に粉体塗工を行った。次いで180℃に熱したオーブンで1分間加熱することで接着樹脂粉末aを金属部材101に固定した。次に、FRP層102となる複数枚の作製例4のフェノキシ樹脂プリプレグDとともに200℃に加熱したプレス機で3~5MPaの圧力で5分間加熱して、図10および図11に示す2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103の厚みは0.02mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0140]
[実施例5] 
 接着樹脂層103Aに替えて接着樹脂層103の原料として接着樹脂粉末bを用い、前記接着樹脂粉末bが20μmの厚みの膜となった場合と同じ重量の粉末を金属部材101であるM-1に粉体塗工を行った。次いで180℃に熱したオーブンで1分間加熱することで接着樹脂粉末bを金属部材101に固定し、FRP層102となる複数枚の作製例4のフェノキシ樹脂プリプレグDとともに240℃に加熱したプレス機で3~5MPaの圧力で5分間加熱して、図10および図11に示す2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103の厚みは0.02mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0141]
[実施例6] 
 接着樹脂層103AおよびFRP層102として作製例5の架橋フェノキシ樹脂CFRPプリプレグEを使用し、プレス後にオーブンで170℃、30分間ポストキュアを行ったこと以外は実施例1と同様にして、図10および図11に示す2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。また、接着樹脂層103AおよびFRP層102を形成する架橋フェノキシ樹脂CFRPにおけるマトリックス樹脂のTgは、架橋硬化前の第1の硬化状態の硬化物が83℃であり、ポストキュア後の第2の硬化状態の架橋硬化物が186℃であった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験およびせん断試験を行った。
[0142]
[実施例7] 
 接着樹脂層103Aに替えて接着樹脂層103として接着樹脂シートA一枚を、FRP層102として複数枚の作製例5の架橋フェノキシ樹脂CFRPプリプレグEを使用した以外は実施例6と同様にして、図10および図11に示す2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103の厚みは0.02mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0143]
[実施例8] 
 接着樹脂層103Aとして作製例4のフェノキシ樹脂プリプレグD一枚を、FRP層102として複数枚の作製例5の架橋フェノキシ樹脂CFRPプリプレグEを使用した以外は実施例6と同様にして、図10および図11に示す2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.08mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0144]
[実施例9] 
 接着樹脂層103Aとして作製例1のフェノキシ樹脂プリプレグA一枚を、FRP層102として複数枚の作製例2のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグBを使用した以外は実施例1と同様にして、図10および図11に示す2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.08mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0145]
[実施例10]
 接着樹脂層103Aとして作製例1のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグAを一枚と、FRP層102として複数枚の市販のポリアミド樹脂CFRPプリプレグF(炭素繊維からなる強化繊維基材としてUD材を使用したもの)を使用し、プレス温度を230℃としたこと以外は実施例1と同様にして、図10および図11に示す2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験およびせん断試験を行った。
[0146]
[実施例11] 
 作製例4のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグDを複数枚積層して200℃に加熱したプレス機で5MPaの圧力で5分間熱プレスすることにより厚み0.4mmのCFRP成形体を作製した。これをFRP層102として使用し、接着樹脂層103として接着樹脂フィルムAを一枚用い、M-1を用いた金属部材101と200℃に加熱したプレス機で、3~5MPaで3分間プレスすることで、図10に示す構造の曲げ試験用金属-CFRP複合体のサンプルと、図11に示す構造のせん断試験用金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103の厚みは0.02mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験およびせん断試験を行った。
[0147]
[実施例12] 
 金属部材101としてM-2を使用し、接着樹脂層103AおよびFRP層102として作製例1のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグAを使用し、図10に示す構造の曲げ試験用金属-CFRP複合体のサンプルと、図11に示す構造のせん断試験用金属-CFRP複合体のサンプルを、それぞれ、200℃に加熱したプレス機で、3~5MPaで3分間プレスすることで作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0148]
[実施例13] 
 金属部材101としてM-3を使用した以外は実施例12と同様にして、図10および図11に示す2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0149]
[実施例14]
 金属部材101としてM-2を、接着樹脂層103AおよびFRP層102として作製例3の架橋フェノキシ樹脂プリプレグCを使用して、図10に示す構造の曲げ試験用金属-CFRP複合体のサンプルと、図11に示す構造のせん断試験用金属-CFRP複合体のサンプルを、それぞれ、120℃に加熱したプレス機で1MPaで1分間プレスして接着樹脂層103AおよびFRP層102を第1の硬化状態とした。次いで、200℃に加熱したプレス機で、3~5MPaで3分間プレスし、その後オーブンで170℃、30分間ポストキュアすることで2種類のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。また、接着樹脂層103AおよびFRP層102を形成する架橋フェノキシ樹脂CFRPにおけるマトリックス樹脂のTgは、架橋硬化前の第1の硬化状態の硬化物が83℃であり、ポストキュア後の第2の硬化状態の架橋硬化物が186℃であった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0150]
[実施例15] 
金属部材101としてM-3を使用した以外は、実施例14と同様にして、図10および図11に示す2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。また、接着樹脂層103AおよびFRP層102を形成する架橋フェノキシ樹脂CFRPにおけるマトリックス樹脂のTgは、架橋硬化前の第1の硬化状態の硬化物が83℃であり、ポストキュア後の第2の硬化状態の架橋硬化物が186℃であった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0151]
[実施例16] 
 金属部材101としてM-4を使用し、接着樹脂層103AおよびFRP層102として作製例1のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグAを使用し、図10に示す構造の金属-CFRP複合体のサンプルを、200℃に加熱したプレス機で、3MPaで3分間プレスすることで作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られたサンプルは、冷却後にJIS K 7074:1988に準拠して曲げ試験を行ったところ、曲げ強度が734MPa、曲げ弾性率が68GPaであった。
[0152]
[実施例17] 
 金属部材101としてM-5を使用した以外は実施例16と同様にして、図10に示す金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られたサンプルは、冷却後にJIS K 7074:1988に準拠して曲げ試験を行ったところ、曲げ強度が812MPa、曲げ弾性率が53GPaであった。
[0153]
[実施例18] 
 金属部材101としてM-6を使用した以外は実施例16と同様にして、図10に示す金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られたサンプルは、冷却後にJIS K 7074:1988に準拠して曲げ試験を行ったところ、曲げ強度が684MPa、曲げ弾性率が54GPaであった。
[0154]
[実施例19] 
 金属部材101としてM-4を、接着樹脂層103AおよびFRP層102として作製例3の架橋フェノキシ樹脂CFRPプリプレグCを使用して、図10に示す構造の金属-CFRP複合体を200℃に加熱したプレス機で、3MPaで3分間プレスし、その後オーブンで170℃、30分間ポストキュアすることで作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られたサンプルは、冷却後にJIS K 7074:1988に準拠して曲げ試験を行ったところ、曲げ強度が622MPa、曲げ弾性率が76GPaであった。
[0155]
[実施例20] 
 金属部材101としてM-5を使用した以外は実施例19と同様にして、図10に示す金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られたサンプルは、冷却後にJIS K 7074:1988に準拠して曲げ試験を行ったところ、曲げ強度が688MPa、曲げ弾性率が59GPaであった。
[0156]
[実施例21] 
 金属部材101としてM-6を使用した以外は実施例19と同様にして、図10に示す金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層103Aの厚みは0.07mmであった。得られたサンプルは、冷却後にJIS K 7074:1988に準拠して曲げ試験を行ったところ、曲げ強度が580MPa、曲げ弾性率が60GPaであった。
[0157]
[比較例1] 
 接着樹脂層103Aを設けなかったこと、及び、FRP層102として市販のポリアミド樹脂CFRPプリプレグF(炭素繊維からなる強化繊維基材としてUD材を使用したもの)を使用し、プレス温度を230℃としたこと以外は実施例1と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験およびせん断試験を行った。
[0158]
[比較例2] 
 接着樹脂層103Aを設けなかったこと、及び、FRP層102として市販のポリカーボネート樹脂CFRPプリプレグG(炭素繊維からなる強化繊維基材としてUD材を使用したもの)を使用し、プレス温度を230℃としたこと以外は実施例1と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験およびせん断試験を行った。
[0159]
[比較例3] 
 接着樹脂層103Aを設けなかったこと、及び、FRP層102として市販のポリプロピレン樹脂CFRPプリプレグH(炭素繊維からなる強化繊維基材としてUD材を使用したもの)を使用し、プレス温度を230℃としたこと以外は実施例1と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験およびせん断試験を行った。
[0160]
[比較例4] 
 接着樹脂層103Aを設けず、金属部材101としてM-1を、FRP層102として作製例6のエポキシ樹脂CFRPプリプレグKを使用し、図10に準じた構造の曲げ試験用金属-CFRP複合体のサンプルと、図11に準じた構造のせん断試験用金属-CFRP複合体のサンプルを作製し、それぞれ、200℃に加熱したプレス機で、3MPaで3分間プレスした。その後、各サンプルはオーブンで170℃、30分間ポストキュアを行った。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0161]
[比較例5] 
 作製例4のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグDを複数枚積層して200℃に加熱したプレス機で5MPaの圧力で5分間熱プレスすることにより厚み0.4mmのCFRP成形体を作製した。これをFRP層102として、接着樹脂層103Aを設けることなくダイレクトにM-1を用いた金属部材101と200℃に加熱したプレス機で、3~5MPaで3分間プレスすることで、図10に準じた構造の曲げ試験用金属-CFRP複合体のサンプルと、図11に準じた構造のせん断試験用金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。なお、このとき金属部材101とFRP層102は、FRP層102から染み出した樹脂成分により接着される。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験およびせん断試験を行った。
[0162]
[比較例6] 
 作製例4のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグDを複数枚積層して200℃に加熱したプレス機で5MPaの圧力で5分間プレスすることにより厚み0.4mmのCFRP成形体を作製した。これをFRP層102として、接着樹脂層となるエポキシ樹脂ワニス(ハンツマン社製 アラルダイト)を塗工したM-1を用いた金属部材101と接合し、接合面をクリップで固定しながら常温にて24時間養生することによって、図10に準じた構造の曲げ試験用金属-CFRP複合体のサンプルと、図11に準じた構造のせん断試験用金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層の厚みは0.09mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験およびせん断試験を行った。
[0163]
[比較例7] 
 接着樹脂層の原料として接着樹脂粉末cを、FRP層102として作製例4のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグDを使用した以外は実施例5と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。接着樹脂層の厚みは0.016mmであった。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0164]
[比較例8] 
 接着樹脂層103Aを設けなかったこと、及び、FRP層102として市販のポリアミド樹脂CFRPプリプレグFを使用し、プレス温度を230℃とした以外は実施例12と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0165]
[比較例9] 
 接着樹脂層103Aを設けなかったこと、及び、FRP層102として市販のポリカーボネート樹脂CFRPプリプレグGを使用し、プレス温度を230℃とした以外は実施例12と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0166]
[比較例10] 
 接着樹脂層103Aを設けなかったこと、及び、FRP層102として市販のポリプロピレン樹脂CFRPプリプレグHを使用し、プレス温度を230℃とした以外は実施例12と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0167]
[比較例11] 
 接着樹脂層103Aを設けなかったこと、及び、FRP層102として市販のポリアミド樹脂CFRPプリプレグFを使用し、プレス温度を230℃とした以外は実施例13と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0168]
[比較例12]
 接着樹脂層103Aを設けなかったこと、及び、FRP層102として市販のポリカーボネート樹脂CFRPプリプレグGを使用し、プレス温度を230℃とした以外は実施例13と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0169]
[比較例13]
 接着樹脂層103Aを設けなかったこと、及び、FRP層102として市販のポリプロピレン樹脂CFRPプリプレグHを使用し、プレス温度を230℃とした以外は実施例13と同様にして、図10および図11に準じた構造の2種類の金属-CFRP複合体のサンプルを作製した。得られた2種類のサンプルに対し、冷却後、曲げ試験及びせん断試験を行った。
[0170]
 実施例1~15の結果を表1~3に、比較例1~13の結果を表4~表6に示した。
[0171]
[表1]


[0172]
[表2]


[0173]
[表3]


[0174]
[表4]


[0175]
[表5]


[0176]
[表6]


[0177]
 表1~表6に示されるように、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物の硬化物を接着樹脂層103,103Aとして設けた実施例1~15は、接着樹脂層を設けなかった比較例1~5、8~13に比べ、機械強度及びせん断接着強度のいずれにおいても優れていた。特に、実施例のサンプルは曲げ試験を行った際に金属部材101とFRP層102の剥離が比較例のように発生しないことは特筆すべき現象であり、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として使用した比較例1~3および一般的なエポキシ樹脂をマトリックス樹脂とした比較例4とは大きく異なる結果であった。
 また、実施例では、例えば鉄合金(実施例13、実施例15)や、難接着材として知られる軽金属であるアルミニウム(実施例12、実施例14)との複合化を行っても、得られた金属-繊維強化樹脂材料複合体が良好な機械強度とせん断接着性を示すことが確認された。同様の構成で複合化を行ったポリアミドやポリカーボネート、ポリプロピレンのCFRP(比較例8~13)よりも優れており、本発明の大きな有効性を示す結果となった。
[0178]
 以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。
[0179]
 本出願は、2016年12月28日に出願された日本国特許出願2016-256617号、及び、2017年3月31日に出願された日本国特許出願2017-073196号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容をここに援用する。

符号の説明

[0180]
 100,200…金属-FRP複合体、101…金属部材、102…FRP層、103,103A…接着樹脂層、104…マトリックス樹脂、105…強化繊維材料、106…マトリックス樹脂、107…強化繊維材料、110…塗膜、110A,110B…接着シート、111…FRP成形用プリプレグ

請求の範囲

[請求項1]
 金属部材と、
 前記金属部材と複合化された第1の繊維強化樹脂材料と、
 前記金属部材の少なくとも1つの面に積層され、前記金属部材と前記第1の繊維強化樹脂材料との間に介在してこれらを接着する接着樹脂層と、
を備え、
 前記接着樹脂層が、フェノキシ樹脂(A)単独の固化物、または、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物の硬化物を含む金属-繊維強化樹脂材料複合体。
[請求項2]
 前記接着樹脂層が、マトリックス樹脂としての前記固化物、または、前記硬化物と、該マトリックス樹脂中に含有される強化繊維基材とを有する第2の繊維強化樹脂材料、である請求項1に記載の金属-繊維強化樹脂材料複合体。
[請求項3]
 前記接着樹脂組成物が、前記フェノキシ樹脂(A)100重量部に対して、さらに5~85重量部の範囲内のエポキシ樹脂(B)と、酸二無水物を含む架橋剤(C)と、を含有する架橋性接着樹脂組成物であり、
 前記硬化物が架橋硬化物であって、そのガラス転移温度(Tg)が160℃以上である請求項1又は2に記載の金属-繊維強化樹脂材料複合体。
[請求項4]
 前記金属部材の材質が、鉄鋼材料、鉄系合金又はアルミニウムである請求項1~3のいずれかに記載の金属-繊維強化樹脂材料複合体。
[請求項5]
 金属部材と、
 前記金属部材と複合化された第1の繊維強化樹脂材料と、
 前記金属部材の少なくとも1つの面に積層され、前記金属部材と前記第1の繊維強化樹脂材料との間に介在してこれらを接着する接着樹脂層と、
を備えた金属-繊維強化樹脂材料複合体であって、
 前記接着樹脂層が、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂による第1の硬化状態の硬化物を含み、
 加熱によって、前記接着樹脂が第1の硬化状態の硬化物から第2の硬化状態の架橋硬化物へ変化する前後において、ガラス転移温度(Tg)が変化することを特徴とする金属-繊維強化樹脂材料複合体。
[請求項6]
 前記接着樹脂層が、マトリックス樹脂中に強化繊維基材を含有する第2の繊維強化樹脂材料であり、該マトリックス樹脂が前記第1の硬化状態の硬化物である請求項5に記載の金属-繊維強化樹脂材料複合体。
[請求項7]
 金属部材と、繊維強化樹脂材料とを接着する接着シートであって、
 フェノキシ樹脂(A)単独、または、樹脂成分100重量部のうちフェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物、と、
 強化繊維基材と、
を含有するプリプレグであることを特徴とする接着シート。
[請求項8]
 金属部材と、前記金属部材と複合化された第1の繊維強化樹脂材料と、前記金属部材の少なくとも1つの面に積層され、前記金属部材と前記第1の繊維強化樹脂材料との間に介在してこれらを接着する接着樹脂層と、を備えた金属-繊維強化樹脂材料複合体の製造方法であって、
 フェノキシ樹脂(A)単独、または、樹脂成分100重量部中、フェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む接着樹脂組成物を前記金属部材に塗布して塗布膜を形成する工程と、
 前記第1の繊維強化樹脂材料の前駆体である第1のプリプレグを前記塗布膜上に配置し、熱プレスにより、前記塗布膜中の前記フェノキシ樹脂(A)を溶融させた後固化させるか、または、前記接着樹脂組成物を溶融させた後硬化させることによって、前記接着樹脂層を形成するとともに、前記第1の繊維強化樹脂材料と前記金属部材とを接合して複合化する工程と、
を含むことを特徴とする金属-繊維強化樹脂材料複合体の製造方法。
[請求項9]
 金属部材と、前記金属部材と複合化された第1の繊維強化樹脂材料と、前記金属部材の少なくとも1つの面に積層され、前記金属部材と前記第1の繊維強化樹脂材料との間に介在してこれらを接着する接着樹脂層と、を備えるとともに、前記接着樹脂層が、マトリックス樹脂と、該マトリックス樹脂中に含有される強化繊維基材とを有する第2の繊維強化樹脂材料である金属-繊維強化樹脂材料複合体の製造方法であって、
 フェノキシ樹脂(A)単独、または、樹脂成分100重量部中、フェノキシ樹脂(A)を50重量部以上含む常温固形の接着樹脂組成物の微粉末を、粉体塗装によって前記強化繊維基材に付着させて樹脂組成物の割合(RC)が20~50%の範囲内である、前記第2の繊維強化樹脂材料の前駆体としての第2のプリプレグを作製する工程と、
 前記金属部材と、前記第2のプリプレグと、前記第1の繊維強化樹脂材料の前駆体である第1のプリプレグと、をこの順序で積層配置し、熱プレスにより、前記フェノキシ樹脂(A)を溶融させた後固化させるか、または、前記接着樹脂組成物を溶融させた後硬化させることによって前記接着樹脂層を形成するとともに、前記第1の繊維強化樹脂材料と前記金属部材とを接合して複合化する工程と、
を含むことを特徴とする金属-繊維強化樹脂材料複合体の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]