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1. (WO2018043727) ENDOSCOPE SYSTEM
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明 細 書

発明の名称 内視鏡システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083  

符号の説明

0084  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 内視鏡システム

技術分野

[0001]
 本発明は、生体組織の撮影により生成した画像データに基づいて、生体組織中の生体情報を画像表示する内視鏡システムに関する。

背景技術

[0002]
 内視鏡によって得られた画像データから、被写体である生体組織中の生体物質、例えば、ヘモグロビンの量やヘモグロビンの酸素飽和度の情報を求め画像表示する機能を備えた内視鏡システムが知られている。このような内視システムの一例が特許文献1に記載されている。
[0003]
 特許文献1に記載の内視鏡システムは、体腔内において所定波長領域の分光画像を撮影して分光画像データを得る撮影手段と、分光画像データに所定の処理を施して、生体組織の特徴量、例えば酸素飽和度を強調した合成画像データを生成する処理手段と、合成画像データに基づいて画面表示を行う表示手段と、を備える。内視鏡システムは、この合成画像を、病変部を健常部と区別して特定するための画像として表示することができる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2013-240401号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 上記内視鏡システムでは、分光画像を得るために異なる狭い波長帯域の複数の光で、生体組織を、時間間隔をあけて照明して撮像するので、生体組織の動きや撮像素子の手ぶれ等により、異なる分光画像の間で生体組織の像の位置ずれが生じる場合がある。この結果、生体組織の特徴量の分布を強調した合成画像を生成したとき、合成画像において、生体組織の像の位置ずれに起因した酸素飽和度の異常値を示す領域を、低い酸素飽和度の領域として誤って表示し、あるいは高い酸素飽和度の領域として誤って画像表示し、酸素飽和度分布画像にアーチファクトが生じる不都合な問題が生じる。この問題は、分光画像に限らず、波長帯域の異なる複数の光を、時間間隔をあけて照明して、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のカラー画像データで構成された生体組織のカラー画像データを取得する場合においても生じ得る問題である。
[0006]
 本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、生体組織の画像データを用いてヘモグロビンの酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度分布画像を表示するとき、生体組織の像の位置ずれに起因して生じる酸素飽和度分布画像中の異常値を目立たなくして画像表示することができる内視鏡システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明の内視鏡システムは、以下の形態を有する。
(形態1)
 波長帯域の異なる少なくとも2つの光を出射するように構成された光源装置と、
 少なくとも2つの前記光でそれぞれ照明された生体組織を撮像することにより、各光に対応した前記生体組織の像のカラー画像データを生成するように構成された撮像素子を備えた撮像部を含む内視鏡と、
 前記カラー画像データの成分を用いて前記生体組織におけるヘモグロビンの量及び前記ヘモグロビンの酸素飽和度を算出し、前記酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度分布画像を生成するように構成された特徴量取得部と、前記酸素飽和度分布画像の表示形態を制御するように構成された画像表示制御部と、を含むプロセッサと、
 前記撮像部で撮像された前記生体組織の像に前記酸素飽和度分布画像を重ねて表示するように構成されたディスプレイと、を備え、
 前記特徴量取得部は、前記カラー画像データの成分を用いて得られる第1比率に基づいて前記ヘモグロビンの量を算出するように構成されたヘモグロビン量算出部と、前記カラー画像データの成分を用いて得られる第2比率と前記ヘモグロビンの量あるいは前記第1比率とに基づいて前記ヘモグロビンの酸素飽和度を算出するように構成された酸素飽和度算出部と、を含み、
 前記画像表示制御部は、前記第2比率の値が、前記ヘモグロビンの量に応じて定めた前記第2比率の許容範囲をはずれる画素について、前記生体組織の像に重ねる該画素の透過率を調整するように構成された、ことを特徴とする内視鏡システム。
[0008]
(形態2)
 前記光源装置は、第1の波長帯域の第1の光、前記第1の波長帯域と異なる第2の波長帯域の第2の光、及び第1の波長帯域及び前記第2の波長帯域と異なる第3の波長帯域の第3の光を含む少なくとも3以上の光を出射するように構成され、
 前記撮像部は、前記第1の光、前記第2の光、及び前記第3の光でそれぞれ照明された生体組織を撮像することにより、前記第1の光に対応した第1のカラー画像データ、前記第2の光に対応した第2のカラー画像データ、及び前記第3の光に対応した第3のカラー画像データを生成するように構成され、
 前記第1比率は、前記第1のカラー画像データの一成分と前記第2のカラー画像データの一成分との比率であり、
 前記第2比率は、前記第2のカラー画像データの一成分と前記第3のカラー画像データの一成分との比率である、形態1に記載の内視鏡システム。
[0009]
(形態3)
 前記第1の波長帯域は、前記第2の波長帯域及び前記第3の波長帯域に比べて広く、前記第2の波長帯域は、前記第3の波長帯域に比べて広く、
 前記第1の波長帯域は、前記第1のカラー画像データの成分の1つが、前記生体組織のヘモグロビンの量の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含む、形態2に記載の内視鏡システム。
[0010]
(形態4)
 前記第2の波長帯域は、前記第2のカラー画像データの成分の1つが、前記生体組織のヘモグロビン量の変化に対して感度を有するが、前記酸素飽和度の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含む、形態2または3に記載の内視鏡システム。
[0011]
(形態5)
 前記第1比率は、前記第2のカラー画像データの輝度成分と、前記第1のカラー画像データのR成分、あるいはR成分及びG成分の合計成分との比率である、形態2~4のいずれか1つに記載の内視鏡システム。
[0012]
(形態6)
 前記第2比率は、前記第3のカラー画像データの輝度成分と前記第2のカラー画像データの輝度成分との比率である、形態2~5のいずれか1つに記載の内視鏡システム。
[0013]
(形態7)
 前記第2の波長帯域は、500nm~600nmの範囲内にあり、
 前記第3の波長帯域は、前記第2の波長帯域内の前記前記第2の波長帯域より狭い波長帯域であり、
 前記第2の光は、光学フィルタで、前記第2の波長帯域の光成分を透過させた前記第1の光の濾過光であり、前記第3の光は、光学フィルタで、前記第3の波長帯域の光成分を透過させた前記第1の光の濾過光である、形態2~6のいずれか1つに記載の内視鏡システム。
[0014]
(形態8)
 前記光源装置は、第4の波長帯域の光成分及び前記第4の波長帯域と異なる第5の波長帯域の光成分を含む第1の光、及び前記第4の波長帯域及び前記第5の波長帯域と異なる第3の波長帯域の第3の光を出射するように構成され、
 前記撮像部は、前記第1の光及び前記第3の光でそれぞれ照明された生体組織を撮像することにより、前記第1の光に対応した第1のカラー画像データ及び前記第3の光に対応した第3のカラー画像データを生成するように構成され、
 前記第1比率は、前記第1のカラー画像データから、前記第4の波長帯域及び前記第5の波長帯域のそれぞれに対応した前記第1のカラー画像データの対応成分同士の比から得られる比率であり、
 前記第2比率は、前記対応成分の一つと前記第3のカラー画像データの一成分との比率である、形態1に記載の内視鏡システム。
[0015]
(形態9)
 前記第5の波長帯域は、前記対応成分のうち前記第5の波長帯域に対応した対応成分が、前記生体組織のヘモグロビン量の変化に対して感度を有するが、前記酸素飽和度の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含む、形態8に記載の内視鏡システム。
[0016]
(形態10)
 前記第3の波長帯域は、前記第3のカラー画像データの成分の1つが、前記酸素飽和度の変化に対して感度を有するような波長帯域を含む、形態2~9のいずれか1つに記載の内視鏡システム。
[0017]
(形態11)
 波長帯域の異なる少なくとも3つの光成分を含む光を出射するように構成された光源装置と、
 前記光で照明された生体組織を撮像することによりカラー画像データを生成するように構成された撮像素子を備えた撮像部を含む内視鏡と、
 前記光成分の波長帯域それぞれに対応した前記カラー画像データの対応成分を用いて、前記生体組織におけるヘモグロビンの量及び前記ヘモグロビンの酸素飽和度を算出し、前記酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度分布画像を生成する特徴量取得部と、前記酸素飽和度分布画像の表示形態を制御する画像表示制御部と、を含むプロセッサと、
 前記撮像部で撮像された前記生体組織の像に前記酸素飽和度分布画像を重ねて表示するディスプレイと、を備え、
 前記特徴量取得部は、前記対応成分を用いて得られる第1比率に基づいて前記ヘモグロビンの量を算出するヘモグロビン量算出部と、前記対応成分を用いて得られる第2比率と前記ヘモグロビンの量あるいは前記第1比率とに基づいて前記ヘモグロビンの酸素飽和度を算出する酸素飽和度算出部と、を含み、
 前記画像表示制御部は、前記第2比率の値が、前記ヘモグロビンの量に応じて定めた前記第2比率の許容範囲をはずれる画素について、前記生体組織の像に重ねる該画素の透過率を調整する、ことを特徴とする内視鏡システム。
[0018]
(形態12)
 前記画像表示制御部は、前記第2比率が許容範囲をはずれる画素の透過率を、前記第2比率が許容範囲内にある画素の透過率に比べて高くする、形態1~11のいずれか1つに記載の内視鏡システム。

発明の効果

[0019]
 本発明の上述の内視鏡システムによれば、生体組織の像の位置ずれに起因して生じる酸素飽和度分布画像中の異常値を目立たなくして酸素飽和度分布画像を表示することができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 一実施形態の内視鏡システムの一例の構成のブロック図である。
[図2] 一実施形態で用いる撮像素子の赤(R)、緑(G)、青(B)の各フィルタの分光特性の一例を示す図である。
[図3] 一実施形態の光源装置で用いる回転フィルタの一例の外観図(正面図)である。
[図4] 550nm付近のヘモグロビンの吸収スペクトルの一例を示す図である。
[図5] 一実施形態で用いる第1比率とヘモグロビンの量との関係の一例を示す図である。
[図6] 一実施形態で用いる第2比率の上限値及び下限値とヘモグロビンの量の関係の一例を示す図である。
[図7] (a)~(c)は、各光で照明して撮像した生体組織の像の位置ずれの一例を説明する図である。
[図8] (a)~(d)は、各光で照明して撮像した生体組織の像の位置ずれの一例を説明する図である。
[図9] 撮像部で撮像された生体組織の像の位置ずれによって生じる酸素飽和度Satのアーチファクトの形成を説明する図である。
[図10] (a)は、一実施形態における画素の透過率の調整の一例を説明する図であり、(b)は、従来の画素のグラデーションを説明する図である。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下に説明する一実施形態の内視鏡システムは、波長帯域の異なる光で生体組織を被写体として照明し撮像した複数のカラー画像データに基づいて生体組織のヘモグロビンの量と酸素飽和度を定量的に算出して、酸素飽和度分布画像を表示するシステムである。後述するように、別の一実施形態では、波長帯域の異なる複数の光で生体組織を照明して撮像した複数のカラー画像データを得る実施形態に限定されない。別の一実施形態によれば、所望の波長帯域の光成分を含む1つの光で生体組織を照明して撮像した1つのカラー画像データに基づいて生体組織のヘモグロビンの量と酸素飽和度を定量的に算出して、酸素飽和度分布画像を表示することもできる。
[0022]
 一実施形態の内視鏡システムでは、光源装置から出射した波長帯域の異なる少なくとも2つの光でそれぞれ照明された生体組織を撮像素子で撮像することにより、撮像素子は各光に対応した生体組織の像のカラー画像データを生成する。プロセッサは、生成したカラー画像データの成分を用いて生体組織におけるヘモグロビンの量及びヘモグロビンの酸素飽和度を算出する。具体的には、プロセッサは、カラー画像データの成分を用いて得られる後述する第1比率に基づいてヘモグロビンの量を算出し、さらに、カラー画像データの成分を用いて得られる後述する第2比率と算出したヘモグロビンの量とに基づいてヘモグロビンの酸素飽和度を算出し、酸素飽和度の分布を示した酸素飽和度分布画像を生成する。さらに、プロセッサは、生成した酸素飽和度分布画像を、撮像素子で撮像された生体組織の像に重ねてディスプレイに画像表示するように画像の表示形態を制御する。この画像の表示形態の制御では、第2比率の値が、ヘモグロビンの量に応じて定めた第2比率の許容範囲をはずれる画素について、生体組織の像に重ねて表示する該画素の透過率を調整する。このように、第2比率の許容範囲をはずれる酸素飽和度分布画像の画素について、その画素の透過率(透過の程度)を調整するので、生体組織の像の位置ずれに起因して生じる酸素飽和度分布画像中の異常値を目立たなくして酸素飽和度分布画像を表示することができる。なお、酸素飽和度は、第2比率と算出したヘモグロビンの量とに基づいて算出されるが、この酸素飽和度の算出は、ヘモグロビンの量が第1比率に基づいて算出されることから、酸素飽和度が第2比率と第1比率に基づいて算出されることも含む。
 以降では、上記許容範囲をはずれた画素の透過率を0%超100%以下で調整した画素を透過画素と呼ぶ。したがって、透過画素は、重ねた下層の生体組織の像が完全に透けて見える透過率100%の画素から、重ねた下層の生体組織の像がわずかにしか見えない透過率数%の画素まで、種々の透過率の画素を含む。
 以下、一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[0023]
 (内視鏡システムの構成)
 図1は、一実施形態に係る内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。内視鏡システム1は、電子内視鏡(内視鏡)100、プロセッサ200、ディスプレイ300、及び光源装置400を備える。電子内視鏡100及びディスプレイ300は、プロセッサ200に着脱可能に接続されている。プロセッサ200は、画像処理部500を備える。光源装置400は、プロセッサ200に着脱自在に接続されている。光源装置400は、プロセッサ200の筐体内に組み込まれてもよい。
[0024]
 電子内視鏡100は、被検者の体内に挿入される挿入管110を有する。挿入管110の内部には、挿入管110の略全長に亘って延びるライトガイド131が設けられている。ライトガイド131の一端部である先端部131aは、挿入管110の先端部、すなわち挿入管先端部111近傍に位置し、ライトガイド131の他端部である基端部131bは、光源装置400との接続部に位置する。したがって、ライトガイド131は、光源装置400との接続部から挿入管先端部111近傍まで延びている。
 光源装置400は、キセノンランプ等の光量の大きい光を生成する光源ランプ430を光源として備える。光源装置400から出射した光は照明光ILとして、ライトガイド131の基端部131bに入射する。ライトガイド131の基端部131bに入射した光は、ライトガイド131を通ってその先端部131aに導かれ、先端部131aから出射される。電子内視鏡100の挿入管先端部111には、ライトガイド131の先端部131aと対向して配置された配光レンズ132が設けられている。ライトガイド131の先端部131aから出射する照明光ILは、配光レンズ132を通過して、挿入管先端部111の近傍の生体組織Tを照明する。
[0025]
 電子内視鏡100の挿入管先端部111には対物レンズ群121及び撮像素子141が設けられている。対物レンズ群121及び撮像素子141は撮像部を形成する。照明光ILのうち、生体組織Tの表面で反射又は散乱された光は、対物レンズ群121に入射し、集光されて、撮像素子141の受光面上で結像する。撮像素子141は、その受光面にカラーフィルタ141aを備えたカラー画像撮像用のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の公知撮像素子を使用することができる。
[0026]
 カラーフィルタ141aは、赤色の光を通過させるRカラーフィルタと、緑色の光を通過させるGカラーフィルタと、青色の光を通過させるBカラーフィルタとが配列され、撮像素子141の各受光素子上に直接形成された、いわゆるオンチップフィルタである。図2は、一実施形態で用いる撮像素子の赤(R)、緑(G)、青(B)の各フィルタの分光特性の一例を示す図である。Rカラーフィルタは、波長約570nmより長波長、(例えば580nm~700nm)の光を通過させるフィルタであり、Gカラーフィルタは、波長約470nm~620nmの光を通過させるフィルタであり、Bカラーフィルタは、波長約530nmより短波長(例えば420nm~520nm)の光を通過させるフィルタである。
[0027]
 撮像素子141は、複数の光のそれぞれで照明された生体組織Tを撮像して、各光に対応したカラー画像データを生成する撮像手段であり、波長範囲が異なる複数の光で生体組織Tを照明することにより生体組織T上で反射したあるいは散乱した光に対応するカラー画像データを生成する画像データ生成手段である。撮像素子141は、後述する画像処理部500と同期して駆動するように制御され、受光面上で結像した生体組織Tの像に対応するカラー画像データを、周期的に(例えば、1/30秒間隔で)出力する。撮像素子141から出力されたカラー画像データは、ケーブル142を介してプロセッサ200の画像処理部500に送られる。
[0028]
 画像処理部500は、A/D変換回路502、プレ画像処理部504、フレームメモリ部506、ポスト画像処理部508、特徴量取得部510、メモリ512、画像表示制御部514、及びコントローラ516を主に備える。
[0029]
 A/D変換回路502は、電子内視鏡100の撮像素子141からケーブル142を介して入力されるカラー画像データをA/D変換してデジタルデータを出力する。A/D変換回路502から出力されるデジタルデータは、プレ画像処理部504に送られる。
[0030]
 プレ画像処理部504は、デジタルデータを、Rカラーフィルタが装着された撮像素子141中の受光素子によって撮像されたRデジタル画像データ、Gカラーフィルタが装着された撮像素子141中の受光素子によって撮像されたGデジタル画像データ、及びBカラーフィルタが装着された撮像素子141中の受光素子によって撮像されたBデジタル画像データからデモザイク処理により、画像を構成するR,G,B成分あるいは所望の波長帯域の成分からなるカラー画像データを生成する。さらに、プレ画像処理部504は、生成したR,G,Bのカラー画像データに対して、色補正、マトリックス演算、及びホワイトバランス補正等の所定の信号処理を施す部分である。
[0031]
 フレームメモリ部506は、撮像素子141で撮像され、信号処理の施された1画像毎のカラー画像データを一時記憶する。
[0032]
 ポスト画像処理部508は、フレームメモリ部506に記憶されたカラー画像データを読み出して、あるいは後述する画像表示制御部514で生成された画像データを信号処理(γ補正等)してディスプレイ表示用の画面データを生成する。画像表示制御部514で生成された画像データは、後述するように、生体組織Tのヘモグロビンの酸素飽和度等の特徴量の分布画像のデータを含む。生成された画面データ(ビデオフォーマット信号)は、ディスプレイ300に出力される。これにより、生体組織Tの画像や生体組織Tの特徴量の分布画像等がディスプレイ300の画面に表示される。
[0033]
 特徴量取得部510は、コントローラ516の指示に応じて、後述するように、撮像された生体組織Tのヘモグロビンの量とヘモグロビンの酸素飽和度を特徴量として算出し、これらの特徴量の、撮像した生体組織Tの像上の分布画像の画像データを生成する。
 特徴量取得部510は、波長帯域の異なる複数の光で照明した生体組織Tのカラー画像データを用いて演算することにより特徴量を算出するので、フレームメモリ部506あるいはメモリ512から、特徴量取得部510で用いるカラー画像データ及び各種情報を呼び出す。
[0034]
 画像表示制御部514は、特徴量取得部510で算出した特徴量の分布画像の表示形態を、コントローラ516の指示に応じて制御する。画像表示制御部514は、撮像した生体組織Tの像にヘモグロビンの酸素飽和度の分布画像(酸素飽和度分布画像)を重ねて表示するように制御する。
 コントローラ516は、画像処理部500の各部分の動作指示及び動作制御を行う他、光源装置400、撮像素子141を含む電子内視鏡100の各部分の動作指示及び動作制御を行う部分である。
 なお、特徴量取得部510及び画像表示制御部514は、コンピュータ上でプログラムを起動して実行することで上述した各機能を担うソフトウェアモジュールで構成されてもよいし、ハードウェアで構成されてもよい。
[0035]
 このように、プロセッサ200は、電子内視鏡100の撮像素子141から出力されるカラー画像データを処理する機能と、電子内視鏡100、光源装置400、及びディスプレイ300の動作を指示し制御する機能とを兼ね備える。
[0036]
 光源装置400は、一実施形態によれば、光源装置400は、第1の光、第2の光、及び第3の光を出射する光出射手段であり、第1の光、第2の光、及び第3の光をライトガイド131に入射させる。光源装置400は、波長帯域の異なる第1の光、第2の光、及び第3の光を出射するが、1つまたは2つの光を出射させてもよく、4つ以上の光を出射させてもよい。4つ以上の光を出射させる場合、第4の光は、第1の光と同じ波長帯域の光としてもよい。光源装置400は、光源ランプ430の他に、集光レンズ440、回転フィルタ410、フィルタ制御部420及び集光レンズ450を備えている。光源ランプ430から射出される略平行光である光は、例えば白色光であり、集光レンズ440によって集光され、回転フィルタ410を通過した後、集光レンズ450によって再度集光されて、ライトガイド131の基端131bに入射する。なお、回転フィルタ410は、リニアガイドウェイ等の図示されない移動機構によって、光源ランプ430から放射される光の光路上の位置と光路外の退避位置との間で移動可能になっている。回転フィルタ410は、透過特性の異なる複数のフィルタを含むので、光源ランプ430から放射される光の光路を横切る回転フィルタ410の種類によって、光源装置400から出射する光の波長帯域は異なる。
[0037]
 なお、光源装置400の構成は、図1に示されるものに限定されない。例えば、光源ランプ430に平行光でなく収束光を発生するランプを採用してもよい。この場合、例えば、光源ランプ430からの放射される光を集光レンズ440の手前で集光させ、拡散光として集光レンズ440に入射させる構成を採用してもよい。また、集光レンズ440を使用せず、光源ランプ430が発生する略平行光を直接回転フィルタ410に入射させる構成を採用してもよい。また、収束光を発生するランプを使用する場合、集光レンズ440の替わりにコリメータレンズを使用して、略平行光の状態で光を回転フィルタ410に入射させる構成を採用してもよい。例えば、回転フィルタ410に誘電体多層膜フィルタ等の干渉型の光学フィルタを使用する場合、略平行光の光を回転フィルタ410に入射させることで、光学フィルタへの光の入射角を均一にすることにより、より良好なフィルタ特性を得ることができる。また、光源ランプ430に発散光を発生するランプを採用してもよい。この場合にも、集光レンズ440の替わりにコリメータレンズを使用して、略平行光の光を回転フィルタ410に入射させる構成を採用することができる。
[0038]
 また、光源装置400は、1つの光源ランプ430から放射された光を光学フィルタに透過させることで、異なる波長帯域の複数の光を出射する構成であるが、光源ランプ430の代わりに、異なる波長帯域の異なる複数の光、例えば発光ダイオードやレーザ光を出力するレーザ素子等の半導体光源を光源装置400の光源として用いることもできる。この場合、回転フィルタ410を用いなくてもよい。また、光源装置400は、例えば、所定の波長帯域の励起光とその励起光によって励起発光する蛍光とを含む合成白色光と、所定の狭い波長帯域の光を別々に出射するように光源装置400を構成することもできる。
 光源装置400は、波長帯域の異なる複数の光を出射するものであれば構成は特に制限されない。
 光源装置400は、電子内視鏡100に外付けされた外部装置であるが、光源装置400がレーザ素子のような小型の光源で構成される場合、光源装置400は、電子内視鏡100の挿入管先端部111に設けられてもよい。この場合、ライトガイド131は不要となる。
[0039]
 回転フィルタ410は、複数の光学フィルタを備えた円盤型の光学ユニットであり、その回転角度に応じて光の通過波長域が切り替わるように構成されている。回転フィルタ410は、通過波長帯域が異なる3つの光学フィルタを備えるが、4つ、5つ、または6以上の光学フィルタを備えてもよい。回転フィルタ410の回転角度は、コントローラ516に接続されたフィルタ制御部420によって制御される。コントローラ516がフィルタ制御部420を介して回転フィルタ410の回転角度を制御することにより、回転フィルタ410を通過してライトガイド131に供給される照明光ILの波長帯域が切り替えられる。
[0040]
 図3は、回転フィルタ410の外観図(正面図)である。回転フィルタ410は、略円盤状のフレーム411と、3つの扇形の光学フィルタ415、416及び418を備えている。フレーム411の中心軸の周りには3つの扇状の窓414a、414b及び414cが等間隔で形成されており、各窓414a、414b及び414cには、それぞれ光学フィルタ415、416及び418が嵌め込まれている。なお、実施形態の光学フィルタは、いずれも誘電体多層膜フィルタであるが、他の方式の光学フィルタ(例えば、吸収型の光学フィルタや誘電体多層膜を反射膜として用いたエタロンフィルタ等)を用いてもよい。
[0041]
 また、フレーム411の中心軸上にはボス穴412が形成されている。ボス穴412には、フィルタ制御部420が備える図示されないサーボモータの出力軸が差し込まれて固定され、回転フィルタ410はサーボモータの出力軸と共に回転する。
[0042]
 回転フィルタ410が図3中の矢印で示される方向に回転すると、この光が入射する光学フィルタが、光学フィルタ415、416、418の順に切り替わり、これにより回転フィルタ410を通過する照明光ILの波長帯域が順次切り替えられる。
[0043]
 光学フィルタ415及び416は、550nm帯の光を選択的に通過させる光バンドパスフィルタである。図4に示されるように、光学フィルタ415は、等吸収点E1からE4までの波長帯域R0(W帯)の光を低損失で通過させ、それ以外の波長領域の光を遮断するように構成されている。また、光学フィルタ416は、等吸収点E2からE3までの波長帯域R2(N帯)の光を低損失で通過させ、それ以外の波長領域の光を遮断するように構成されている。
 また、光学フィルタ418は、紫外線カットフィルタであり、可視光波長領域では、光源ランプ430から放射された光は光学フィルタ418を透過する。光学フィルタ418を透過した光は、白色光WLとして通常観察像の撮像に使用される。なお、光学フィルタ418を使用せず、フレーム411の窓414cを開放した構成としてもよい。
 したがって、光源ランプ430から放射される光のうち光学フィルタ415を透過した光を、以降Wide光といい、光源ランプ430から放射される光のうち光学フィルタ416を透過した光を、以降Narrow光といい、光源ランプ430から放射される光のうち光学フィルタ418を透過した光を、以降白色光WLという。
[0044]
 図4に示されるように、波長帯域R1は酸素化ヘモグロビンに由来する吸収ピークP1のピーク波長が含まれる帯域であり、波長帯域R2は還元ヘモグロビンに由来する吸収ピークP2のピーク波長が含まれる帯域であり、波長帯域R3は酸素化ヘモグロビンに由来する吸収ピークP3のピーク波長が含まれる帯域である。また、波長域R0には、3つの吸収ピークP1、P2、P3の各ピーク波長が含まれている。なお、図4は、550nm付近のヘモグロビンの吸収スペクトルの一例を示す図である。
[0045]
 また、光学フィルタ415の波長帯域R0及び光学フィルタ416の波長帯域R2は、カラーフィルタ141aのGカラーフィルタの通過波長域(図2)に含まれている。従って、光学フィルタ415又は416を通過した光によって形成される生体組織Tの像は、撮像素子141で撮像されたカラー画像データのG成分の像として得られる。なお、光学フィルタ415から生成されるWide光の光強度と光学フィルタ418から生成される白色光WLの光強度が略同程度になるように光フィルタ415あるいは光学フィルタ418の透過率及び開口の大きさが調整されている。Wide光の光強度とNarrowの光強度は異なっている。
[0046]
 フレーム411の周縁部には、貫通孔413が形成されている。貫通孔413は、フレーム411の回転方向において、窓414aと窓414cとの境界部と同じ位置(位相)に形成されている。フレーム411の周囲には、貫通孔413を検出するためのフォトインタラプタ422が、フレーム411の周縁部の一部を囲むように配置されている。フォトインタラプタ422は、フィルタ制御部420に接続されている。
[0047]
 このように、光源装置400は、複数の光学フィルタ415,416,418を光源ランプ430の放射した光の光路中で順次切り替えることにより波長帯域の異なる光、すなわちWide光、Narrow光、及び白色光WLを照明光ILとして出射する構成を備えることが好ましい。
[0048]
(生体組織の特徴量の算出)
 生体組織Tの特徴量は、プロセッサ500の特徴量取得部510で算出される。撮像した生体組織Tの画像から生体組織Tのヘモグロビンの量、及びヘモグロビンの酸素飽和度Satを特徴量として算出する処理を以下説明する。
[0049]
 図4に示すように、ヘモグロビンは、550nm付近にポルフィリンに由来するQ帯と呼ばれる強い吸収帯を有する。ヘモグロビンの吸収スペクトルは、全ヘモグロビンのうち酸素化ヘモグロビンHbOが占める割合を表す酸素飽和度Satに応じて変化する。図4における実線の波形は、酸素飽和度Satが100%、すなわち、酸素化ヘモグロビンHbOの吸収スペクトルであり、長破線の波形は、酸素飽和度Satが0%、すなわち、還元ヘモグロビンHbの吸収スペクトルである。また、短破線は、その中間の酸素飽和度Sat=10、20、30、・・・90%におけるヘモグロビン、すなわち酸素化ヘモグロビンHbOと還元ヘモグロビンHbの混合物の吸収スペクトルである。
[0050]
 図4に示すように、Q帯において、酸素化ヘモグロビンHbOと還元ヘモグロビンHbは互いに異なるピーク波長を有する。具体的には、酸素化ヘモグロビンHbOは、波長542nm付近の吸収ピークP1と、波長576nm付近の吸収ピークP3を有している。一方、還元ヘモグロビンHbは、556nm付近に吸収ピークP2を有している。図4は、酸素化ヘモグロビンHbO、還元ヘモグロビンHbの濃度の和が一定となる場合の吸収スペクトルであるため、酸素化ヘモグロビンHbO及び還元ヘモグロビンHbの比率、すなわち、酸素飽和度によらず吸光度が一定となる等吸収点E1、E2、E3、E4が現れる。以下の説明では、等吸収点E1とE2とで挟まれた波長帯域は、先に光学フィルタ410で説明した波長帯域R1であり、等吸収点E2とE3とで挟まれた波長領域は波長帯域R2であり、等吸収点E3とE4とで挟まれた波長帯域は波長帯域R3であり、等吸収点E1とE4とで挟まれた波長帯域、すなわち波長帯域R1、R2及びR3を合わせた帯域は、波長帯域R0である。したがって、光源ランプ430から放射された光のうち光学フィルタ415を透過した透過光であるWide光の波長帯域は、波長帯域R0であり、光源ランプ430から放射された光のうち光学フィルタ416を透過した透過光であるNarrow光の波長帯域は、波長帯域R2である。
[0051]
 図4に示されるように、波長帯域R1,R2,R3では、ヘモグロビンの吸収は酸素飽和度に対して線形的に増加又は減少する。具体的には、波長帯域R1,R3におけるヘモグロビンの吸収AR1,AR3は、酸素化ヘモグロビンの濃度、すなわち酸素飽和度に対して線形的に増加する。また、波長帯域R2におけるヘモグロビンの吸収AR2は、還元ヘモグロビンの濃度に対して線形的に増加する。
[0052]
 ここで、酸素飽和度は次の式(1)により定義される。
[0053]
式(1):
[数1]



   但し、
    Sat:酸素飽和度
    [Hb]:還元ヘモグロビンの濃度
    [HbO]:酸素化ヘモグロビンの濃度
    [Hb]+[HbO]:ヘモグロビンの量(tHb)
[0054]
 また、式(1)より、酸素化ヘモグロビンHbO及び還元ヘモグロビンHbの濃度を表す式(2)、式(3)が得られる。
[0055]
式(2):
[数2]


[0056]
式(3):
[数3]


[0057]
 したがって、ヘモグロビンの吸収AR1、AR2及びAR3は、酸素飽和度とヘモグロビンの量の両方に依存する特徴量となる。
[0058]
 ここで、波長帯域R0における吸光度の合計値は、酸素飽和度Satには依存せず、ヘモグロビンの量によって決まる値となることが判明している。したがって、波長帯域R0における吸光度の合計値に基づいてヘモグロビンの量を定量することができる。また、波長帯域R1、波長帯域R2、あるいは波長帯域R3における吸光度の合計値と、波長帯域R0の合計値に基づいて定量したヘモグロビンの量とに基づいて、酸素飽和度Satを定量することができる。
[0059]
 特徴量取得部510は、生体組織Tのヘモグロビンの量(第1特徴量)の変化に対して感度を有する後述する第1比率に基づいて生体組織Tのヘモグロビンの量を算出し取得するヘモグロビン量算出部510aと、算出したヘモグロビンの量(第1特徴量)とヘモグロビンの酸素飽和度(第2特徴量)の変化に対して感度を有する後述する第2比率に基づいて生体組織Tのヘモグロビンの酸素飽和度を算出し取得する酸素飽和度算出部510bと、を含む。第1比率あるいは第2比率がヘモグロビンの量の変化あるいは酸素飽和度の変化に対して感度を有するとは、第1比率あるいは第2比率が、ヘモグロビンの量の変化あるいは酸素飽和度の変化に対して変化することをいう。
[0060]
 Wide光(光学フィルタ415を透過した波長帯域R0の光)で照明した生体組織Tのカラー画像データの輝度成分の値が、上述の波長帯域R0における吸光度の合計値に対応することから、特徴量取得部510のヘモグロビン量算出部510aは、波長帯域R0のカラー画像データの輝度成分に基づいてヘモグロビンの量を算出する。ここで、輝度成分は、カラー画像データのR成分に所定の係数を掛け算し、カラー画像データのG成分に所定の係数を掛け算し、カラー画像データのB成分の値に所定の係数を掛け算し、これらの掛け算した結果を合算することで算出することができる。
 特徴量取得部510のヘモグロビン量算出部510aは、具体的には、Wide光(第2の光)を照明光ILとして用いた生体組織Tのカラー画像データ(第2のカラー画像データ)の輝度成分Wide(Yh)を、白色光WL(第1の光)を照明光ILとして用いた生体組織Tのカラー画像データ(第1のカラー画像データ)のR成分WL(R)、あるいはR成分WL(R)及びG成分WL(G)の合計成分WL(R)+WL(G)で割った比率Wide(Yh)/WL(R)またはWide(Yh)/{WL(R)+WL(G)}(第1比率)に基づいてヘモグロビンの量を算出する。ヘモグロビンの量の算出において、輝度成分Wide(Yh)を、WL(R)あるいは{WL(R)+WL(G)}で割った比率Wide(Yh)/WL(R)またはWide(Yh)/{WL(R)+WL(G)}を用いるのは、照明光ILが生体組織Tの表面で散乱する程度によって生体組織Tの分光特性が変化することを除去するためである。特に、消化管内壁等の生体組織Tの反射スペクトルは、生体組織Tを構成する成分による吸収の波長特性(具体的には、酸素化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸収スペクトル特性)に加えて、生体組織Tによる照明光の散乱の波長特性の影響を受け易い。白色光WL(第1の光)を照明光ILとして用いた生体組織Tのカラー画像データ(第1のカラー画像データ)のR成分WL(R)、あるいはR成分及びG成分の合計成分WL(R)+WL(G)は、ヘモグロビンの量や酸素飽和度Satの影響を受けず、照明光ILの生体組織Tにおける散乱の程度を表す。したがって、生体組織Tの反射スペクトルから、照明光ILの生体組織Tにおける散乱の影響を除去するために、白色光WL(基準光)の波長帯域は、第1のカラー画像データの成分の1つが、生体組織Tのヘモグロビンの量の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含むように設定されていることが好ましい。これに加えて、白色光WL(基準光)の波長帯域は、第1のカラー画像データの成分の1つが、酸素飽和度の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含むように設定されていることが好ましい。
 一実施形態では、ヘモグロビンの量が既知の生体組織における上述の第1比率の情報とヘモグロビンの量の対応関係を表した参照テーブルをメモリ512に予め記憶しておき、特徴量取得部510のヘモグロビン量算出部510aは、この参照テーブルを用いて、生体組織Tの撮像したカラー画像データにおける上記第1比率の値に基づいてヘモグロビンの量を算出する。
[0061]
 一実施形態のヘモグロビンの量の算出では、第1比率として、Wide光(第2の光)を照明光ILとして用いた生体組織Tのカラー画像データ(第2のカラー画像データ)の輝度成分Wide(Yh)と、白色光WL(第1の光)を照明光ILとして用いた生体組織Tのカラー画像データ(第1のカラー画像データ)のR成分WL(R)、あるいはR成分及びG成分の合計成分WL(R)+WL(G)の比率Wide(Yh)/WL(R)またはWide(Yh)/{WL(R)+WL(G)}を用いることが好ましいが、Wide光(第2の光)を照明光ILとして用いた生体組織Tのカラー画像データ(第2のカラー画像データ)の輝度成分Wide(Yh)の代わりにG成分Wide(G)を用いることも好ましい。
[0062]
 さらに、上述したように、酸素飽和度Satの上昇とともに波長帯域R2における吸光度の合計値が低下すること、及び、波長帯域R0における吸光度の合計値はヘモグロビンの量に応じて変化するが、酸素飽和度Satの変化に係わらず一定であることから、特徴量取得部510の酸素飽和度算出部510bは、以下に定める第2比率に基づいて酸素飽和度を算出する。すなわち、特徴量取得部510の酸素飽和度算出部510bは、光学フィルタ416を通過した波長帯域R2の光であるNarrow光で照明した生体組織Tのカラー画像データ(第3のカラー画像データ)の輝度成分Narrow(Yh)と、Wide光(光学フィルタ416を透過した波長帯域R0の光)で照明した生体組織Tのカラー画像データ(第2のカラー画像データ)の輝度成分Wide(Yh)との比率Narrow(Yh)/Wide(Yh)を、第2比率として算出する。一方、ヘモグロビンの量と、酸素飽和度Sat=0%における第2比率の下限値及び酸素飽和度Sat=100%における第2比率Narrow(Yh)/Wide(Yh)の上限値との関係を表した対応関係を、既知の試料から求めてメモリ512に予め記憶しておく。特徴量取得部510の酸素飽和度算出部510bは、生体組織Tの撮像によって生成したカラー画像データから得られるヘモグロビンの量の算出結果と上記対応関係を用いて、第2比率の下限値及び上限値を求める。さらに、酸素飽和度算出部510bは、求めた下限値と上限値の間で酸素飽和度Satは第2比率に応じて線形的に変化することを利用して、撮像した生体組織Tの第2比率Narrow(Yh)/Wide(Yh)の値が上限値と下限値の間の範囲のどの位置にあるか、を算出する。このようにして、特徴量取得部510の酸素飽和度算出部510bは、酸素飽和度Satの算出を行う。
 また、一実施形態によれば、ヘモグロビンの量及び第2比率の値とヘモグロビンの酸素飽和度Satとの対応関係を表した参照テーブルを既知の試料から求めて予めメモリ512に記憶しておき、この参照テーブルを参照して、算出した第2比率からヘモグロビンの酸素飽和度Satを算出することもできる。
[0063]
 一実施形態では、第2比率を、Narrow光で照明した生体組織Tのカラー画像データ(第3のカラー画像データ)の輝度成分Narrow(Yh)と、Wide光で照明した生体組織Tのカラー画像データ(第2のカラー画像データ)の輝度成分Wide(Yh)との比率として用いるが、Narrow光で照明した生体組織Tのカラー画像データ(第3のカラー画像データ)のG成分Narrow(G)と、Wide光で照明した生体組織Tのカラー画像データ(第2のカラー画像データ)のG成分Wide(G)との比率を用いることもできる。
[0064]
 また、一実施形態では、第2比率の算出のために、生体組織Tの照明のために波長帯域R2のNarrow光を用いるが、Narrow光には限られない。例えば、酸素飽和度Satの変化に対して吸光度の合計値が変化する波長帯域R1あるいは波長帯域R2を利用することを意図して、波長帯域R1あるいは波長帯域R2を波長帯域とする光を用いこともできる。この場合、光学フィルタ416のフィルタ特性を波長帯域R1あるいは波長帯域R2に設定するとよい。
[0065]
 このように、一実施形態では、酸素飽和度Satを正確に算出するには、Narrow光(第3の光)の波長帯域は、Wide光(第2の光)の波長帯域に含まれることが好ましい。また、Wide光(第2の光)の波長帯域は、第2のカラー画像データの成分の1つ、例えば輝度成分やG成分が、ヘモグロビンの量の変化に対して感度を有するが、酸素飽和度の変化に対して感度を有しないような波長帯域R0を含むように設定されていることが、正確に酸素飽和度Satを算出することができる点から好ましい。Narrow光(第3の光)の波長帯域は、第3のカラー画像データの成分の1つ、例えば輝度成分やG成分が、生体組織Tの酸素飽和度Satの変化に対して感度を有するような波長帯域R2を含むように設定されていることが、正確に酸素飽和度Satを算出することができる点から好ましい。
 また、白色光WL(第1の光)の波長帯域は、第1のカラー画像データの1つの成分が、生体組織Tのヘモグロビンの量の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含むように設定されていることが、生体組織Tにおける散乱光の分光特性の影響を除去することができる点から好ましい。
[0066]
 また、上述のWide光(第2の光)は、光学フィルタの1つで、白色光WL(第1の光)の波長帯域のうち、例えば500nm~600nmの範囲内の第1波長帯域、例えば等吸収点E1と等吸収点E4間の波長帯域を透過させた白色光WL(第1の光)の濾過光であり、Narrow光(第3の光)は、光学フィルタの1つで、第1波長帯域の範囲内の、第1波長帯域より狭い第2波長帯域、例えば等吸収点E2と等吸収点E3間の波長帯域を透過させた白色光WL(第1の光)の濾過光であることが好ましい。上記第1波長帯域は、例えば、510nm~590nmの範囲内の帯域であることが好ましい。また、上記第2波長帯域は、例えば、510nm~590nmの範囲内の帯域であることが好ましく、530nm~580nmの範囲内の帯域であることがより好ましい。
[0067]
 また、上述の実施形態では、ヘモグロビンの吸光度を利用してヘモグロビン量及び酸素飽和度を算出するときに、550nm付近の波長帯域の光を照明光として利用するが、これは一例である。ヘモグロビンの吸光度において、550nm付近の波長帯域以外にも、大きな吸収ピークが420~450nmに存在し、かつ等吸収点を備える。この等吸収点の周りで、酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸収スペクトルの波形が交互に入れ替わる。このため、一実施形態では、400~460nmの波長帯域内の、異なる波長あるいは波長帯域の光を照明光として利用して、ヘモグロビン量及び酸素飽和度を算出することも好ましい。この場合においても、ヘモグロビン量及び酸素飽和度の算出は、下記のように行うことができる。
[0068]
 図5は、第1比率とヘモグロビンの量との関係の一例を示す図である。特徴量取得部510のヘモグロビン量算出部510aは、上述したように第1比率を求めると、図5に示すような関係を表した参照テーブルを参照して、求めた第1比率に基づいてヘモグロビンの量を求める。図5は、第1比率の値に基づいてヘモグロビンの量H1を求めたことを表している。図5の横軸及び縦軸の数値は、便宜的に0~1024の値で表されている。
[0069]
 図6は、第2比率の上限値及び下限値とヘモグロビンの量の関係の一例を示す図である。6の横軸及び縦軸の数値は、便宜的に0~1024の値で表されている。
 特徴量取得部510の酸素飽和度量算出部510bは、上述したように第2比率を求めると、ヘモグロビン量算出部510aで求めたヘモグロビンの量と第2比率とに基づいて、図6に示す対応関係を用いて、求めたヘモグロビンの量における第2比率の上限値及び下限値を求める。この上限値が酸素飽和度Sat=100%を示し、下限値が酸素飽和度Sat=0%を示す。この上限値と下限値の間のどの位置に求めた第2比率はあるかを求めることで、酸素飽和度量算出部510bは、酸素飽和度Satの値を求める。酸素飽和度0~100%の間は、第2比率の値に応じて線形的に変化するとして、第2比率の値から酸素飽和度の値を算出する。図6では、ヘモグロビンの量がH1であるときの上限値Max(100%)と下限値Min(0%)を求めている。この上限値Max(100%)と下限値Min(0%)と第2比率の値Yから、酸素飽和度Satの値が求められる。
[0070]
 こうして求められた酸素飽和度Satは、生体組織Tの画像の画素毎に行われるので、生体組織Tの像上の酸素飽和度Satの分布は、酸素飽和度分布画像として表すことができる。酸素飽和分布画像は、各画素における酸素飽和度Satの値によって画素の色相を変化させた(例えば赤色から青色に変化させた)グラデーションで表される。
[0071]
(酸素飽和度分布画像の表示)
 上述したように、内視鏡システム1では、複数の光で生体組織Tを照明し撮像することにより生成される各光に対応するカラー画像データの成分から求められる比率(第2比率)に基づいてヘモグロビンの酸素飽和度Satを算出するので、酸素飽和度Satの値によって酸素飽和度Satの分布を色のグラデーションで表した酸素飽和度分布画像も、撮像した画像中の生体組織Tの像の位置ずれを反映した画像となる。
 より具体的に説明すると、酸素飽和度Satの算出は、第1比率に基づいてヘモグロビンの量を算出することと、第2比率とヘモグロビンの量に基づいて酸素飽和度Satを算出することにより行われる。ここで、第1比率及び第2比率のそれぞれは、波長帯域の異なる白色光WL、Wide光、及びNarrow光でそれぞれ時間間隔をあけて照明された生体組織Tを撮像することにより生成されるカラー画像データの成分間の比である。これらの撮像された各画像上の生体組織Tの像は、生体組織の動きや撮像素子の手ぶれ等により、異なる画像間で生体組織Tの像が位置ずれしている場合がある。例えば、白色光WLに対応する生体組織Tの像とWide光に対応する生体組織の像が、画像中で位置ずれする場合や、Wide光に対応する生体組織Tの像とNarrow光に対応する生体組織の像が、画像中で位置ずれする場合や、白色光WLに対応する生体組織Tの像とWide光に対応する生体組織の像とNarrow光に対応する生体組織の像とが、互いに画像中で位置ずれする場合等がある。
[0072]
 図7(a)~(c)は、各光で照明して撮像した生体組織の像の位置ずれの一例を説明する図である。図7(a)~(c)は、順番に、白色光WLで照明して撮像した生体組織Tの像1、Wide光で照明して撮像した生体組織Tの像であって、像1に対して位置ずれした像2、及び、像1と像2の画像データから得られるヘモグロビンの量の分布画像3を示す。
 像1に対して、像2は、画像中で左下方に位置ずれしている。このような像1及び像2の画像データから得られる第1比率は、位置ずれにより本来の像とは関係のない位置で値が高くなり、あるいは低くなる。このため、第1比率に基づいて求められるヘモグロビンの量の分布画像には、位置ずれによって、図7(c)に示すように、ヘモグロビンの量の高い場所と、ヘモグロビンの低い場所がアーチファクトとして形成される。
[0073]
 図8(a)~(d)は、各光で照明して撮像した生体組織の像の位置ずれの一例を説明する図である。図8(a)~(d)は、順番に、白色光WLで照明して撮像した生体組織Tの像3、Wide光で照明して撮像した生体組織Tの像であって、像3に対して位置ずれしていない像4、Narrow光で照明して撮像した生体組織Tの像であって、像3及び像4に対して位置ずれした像5、及び、像3~像5の画像データから得られるヘモグロビンの量の分布画像6を示す。
 像3に対して、像4は、位置ずれしていないので、ヘモグロビンの量の分布画像には位置ずれに起因するアートファクトは形成されない。しかし、像5は、像4に対して画像中で左下方に位置ずれしている。このような像4及び像5の画像データから得られる第2比率は、位置ずれにより本来の像とは関係のない位置で値が高くなり、あるいは低くなる。このため、第2比率とアーチファクトの形成されないヘモグロビンの量の分布画像に基づいて求められるヘモグロビンの酸素飽和度分布画像(Sat分布画像)には、位置ずれによって、図8(d)に示すように、酸素飽和度の高い場所(黒い部分)と、酸素飽和度の低い場所(白抜き部分)がアーチファクトとして形成される。
[0074]
 図9は、像の位置ずれによって生じる酸素飽和度Satのアーチファクトの形成を説明する図である。図9に示すグラフの横軸及び縦軸の数値は、便宜的に0~1024の値で表されている。本来、ヘモグロビンの量が値H1であるべきところを、図7(a),(b)に示すように、像1と像2の位置ずれにより形成される図7(c)に示すようなヘモグロビンの量の分布画像により、図9に示すように、ヘモグロビンの量として値H1より低い値H2を求める場合がある。この場合、Wide光で照明し撮像された生体組織Tの像とNarrow光で照明し撮像された生体組織Tの像の間で位置ずれがない場合でも、第2比率の上限値及び下限値は、Max1,Min1からMax2、Min2に低下する。このため、第2比率が、図9に示すように、上限値Max2と下限値Min2の間の範囲からはずれる場合があり、第2比率が上限値Max2を超える場合、例えば赤色の表示をし、第2比率が下限値Min2を下回る場合、例えば青色の表示をする。このため、図7(c)に示すように、酸素飽和度Satの値を色で表示した酸素濃度分布画像では、赤色あるいは青色のアーチファクトが発生する場合がある。
 また、図8(a)~(c)に示すように、像3と像4に位置ずれがないので、正しいヘモグロビンの量の分布画像が得られるとしても、像4と像5が位置ずれすることにより、像4と像5の画像データから得られる第2比率には、位置ずれに起因した値の高い場所と低い場所が生まれる。この場合、ヘモグロビンの量の値が本来あるべき正しい値H1であっても、第2比率が上限値Max1と下限値Min1の間の範囲からはずれる場合があり、第2比率が上限値Max1を超える場合、例えば赤色の表示をし、第2比率が下限値Min1を下回る場合、例えば青色の表示をする。このため、図8(d)に示すように、酸素飽和度Satの値を色で表示した酸素濃度分布画像では、赤色あるいは青色のアーチファクトが発生する。
[0075]
 このようなアートファクトの発生を抑制するために、一実施形態では、第2比率の値が、ヘモグロビンの量に応じて定めた第2比率の許容範囲、すなわち上限値及び下限値の間の範囲をはずれる酸素飽和度分布画像の画素について透過率を調整する。具体的には、画像表示制御部514は、生体組織Tの像に酸素飽和度分布画像を重ねて表示するように画像データの制御を行う。このとき、画像表示制御部514は、第2比率の値が、ヘモグロビンの量に応じて定めた第2比率の許容範囲、すなわち上限値及び下限値の間の範囲をはずれる酸素飽和度分布画像の画素について、その画素の透過率の調整をする。具体的には、画像表示制御部514は、第2比率の許容範囲をはずれる画素の透過率を、第2比率の許容範囲内の画素の透過率に比べて高くする。例えば、第2の比率が許容範囲内の画素は、透過率0の非透過画素であり、第2比率が許容範囲をはずれる画素は透過画素にする。透過画素は、上述したように、透過率0%超から透過率100%まで透過率の画素を含む。上記実施形態では第2比率の許容範囲をはずれた第2比率の画素をいずれも例えば透過率100%の画素とするが、第2比率の値と第2比率の上限値あるいは下限値との差が増えるにしたがって、透過率が徐々に大きくなるように、透過率を徐々に変化させる調整を行うこともできる。
[0076]
 図10(a)は、一実施形態における画素の透過率の調整の一例を説明する図であり、図10(b)は、従来の画素のグラデーションの設定を説明する図である。
 ヘモグロビンの量に応じて定まる第2比率の上限値と下限値との間の領域を、酸素飽和度Satに応じて色を変化させるグラデーション領域GDとし、第2比率が上限値を超える領域及び第2比率が下限値を下回る領域を、透過画素領域TP1,TP2とする。従来のグラデーションは、図10(b)に示すように、第2比率が上限値と下限値との間の領域をはずれる領域も、赤色や青色で表示するグラデーション領域GDであった。
 このように、第2比率の許容範囲をはずれる酸素飽和度分布画像の画素を透過画素にすることにより、この部分の生体組織Tの像が見えることになるので、像の位置ずれに起因した異常値やアーチファクトを目立たなくして酸素飽和度分布画像を表示することができる。このため、内視鏡システムを利用する操作者は、体腔内の酸素飽和度の低い領域に基づいて悪性腫瘍部の有無を判断しその位置を特定する際、誤判断と間違った位置特定の可能性を低くすることができる。
[0077]
 以上の実施形態では、ヘモグロビンの量及び酸素飽和度Satを求める際に、波長帯域の異なる3つの光が照明光として用いられる。しかし、一実施形態によれば、ヘモグロビンの量及び酸素飽和度Satを求めるために、光源装置400は、第4の波長帯域の光成分及び第4の波長帯域と異なる第5の波長帯域の光成分を含む第1の光と、第4の波長帯域及び第5の波長帯域と異なる第3の波長帯域の第3の光を照明光として出射することも好ましい。この場合、ヘモグロビン量算出部510aは、第1の光を照明光としたときに生成される第1のカラー画像データから抽出される第4の波長帯域及び第5の波長帯域に対応した対応成分である成分aと成分bの比から得られる第1比率に基づいてヘモグロビンの量を算出し、酸素飽和度算出部510bは、上記成分aと成分bの1つと、第3の光を照明光としたときに生成される第3のカラー画像データの成分の1つ(第3の波長帯域の成分)から第2比率を生成し、この第2比率と、ヘモグロビン量算出部510aで算出されたヘモグロビンの量と、に基づいてヘモグロビンの酸素飽和度Satを算出することも好ましい。第1のカラー画像データから抽出される2つの光成分の波長帯域に対応した対応成分は、図1に示すプロセッサ200では、画像処理部504(対応成分抽出部)において、マトリックス演算により抽出することができる。
[0078]
 このとき、一実施形態によれば、第5の波長帯域は、第1のカラー画像データの第5の波長帯域に対応した対応成分が、生体組織のヘモグロビン量の変化に対して感度を有するが、酸素飽和度の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含むことが、精度の高いヘモグロビンの量を算出することができる点で好ましい。
 その際、第3の波長帯域は、第3のカラー画像データの成分の1つが、酸素飽和度の変化に対して感度を有するような波長帯域を含むことが、精度の高い酸素飽和度を算出することができる点で好ましい。
[0079]
 例えば、第1の光に、620~670nmの第4の波長帯域の光成分(赤光成分)、525~582nmの第5の波長帯域の光成分(緑光成分)を含ませる。第2の光の第3の波長帯域は、545~570nmとする。この場合、一実施形態によれば、ヘモグロビンの量を求めるための指標となる第1比率は、対応成分のうちの緑光成分に対応した対応成分(525~582nmの波長帯域の成分)の、緑光成分に対応した対応成分(525~582nmの波長帯域の成分)と赤光成分に対応した対応成分(620~670nmの波長帯域の成分)の和、すなわち合成した対応成分に対する比率とし、酸素飽和度Satを求めるための指標となる第2比率は、第3のカラー画像データの545~570nmの波長帯域に対応した成分の、上記第1のカラー画像データの緑光成分に対応した対応成分(525~582nmの波長帯域の成分)に対する比率とすることができる。
[0080]
 また、一実施形態によれば、照明光として用いる3つの光に代えて3つの光成分を有する1つの光を用いて1つのカラー画像データを得て、このカラー画像データの成分を用いて、ヘモグロビン量及び酸素飽和度Satを求めることもできる。この場合、1つの光を照明光として用いるので、光源装置400の構成が簡素化する他、複数のカラー画像データを生成する必要が無いので、プロセッサ200における各部分の構成が簡素化する。さらに、内視鏡100は1回の照明光による撮像しかしないので、上述した複数回の撮像による生体組織の像の位置ずれに起因して生じる酸素飽和度分布画像中の異常値は生じない。しかし、カラー画像データにノイズ成分が含まれ、あるいは、1回の撮像により、生体組織の像にぶれが生じる場合があり、酸素飽和度分布画像中にアーチファクトが生じる場合もある。このため、第2比率の値が、ヘモグロビンの量に応じて定めた第2比率の許容範囲をはずれる画素について、画像表示制御部514が、生体組織の像に重ねる画素の透過率を調整することは好ましい。
 この場合、ヘモグロビン量算出部510aは、カラー画像データから抽出される3つの光成分の波長帯域に対応した対応成分を用いて得られる第1比率に基づいてヘモグロビンの量を算出し、酸素飽和度算出部510bは、抽出した対応成分を用いて得られる第2比率と算出したヘモグロビンの量あるいは第1比率とに基づいてヘモグロビンの酸素飽和度を算出する。
[0081]
 この場合、1つの光に、例えば、450~500nmの波長帯域の光成分(青光成分)、525~582nmの波長帯域の光成分(緑光成分)、620~670nmの波長帯域の光成分(赤光成分)を含ませるとよい。このような光で得られたカラー画像データを、図1に示すプレ画像処理部504にてマトリックス演算を行って上記波長帯域に対応したカラー画像データの3つの対応成分を求めることができる。この場合、一実施形態によれば、ヘモグロビンの量を求めるための指標となる第1比率は、緑光成分に対応した対応成分(525~582nmの波長帯域の成分)の、3つの対応成分から得られる合成した対応成分(例えば、3つの対応成分の値を加重平均した値を有する対応成分)に対する比率とすることができる。さらに、酸素飽和度Satを求めるための指標となる第2比率は、青光成分に対応した対応成分(450~500nmの波長帯域の成分)の、緑光成分に対応した対応成分(525~582nmの波長帯域の成分)に対する比率とすることができる。すなわち、光源装置400は、波長帯域の異なる3つの光成分を含む1つの光を出射するように構成される。これにより電子内視鏡100で生成されたカラー画像データから、プロセッサ200のプレ画像処理部504(対応成分抽出部)は、光成分の波長帯域それぞれに対応した第1のカラー画像データの対応成分を抽出する。抽出した対応成分を用いて、特徴量取得部510はヘモグロビンの量及び酸素飽和度Satを生体組織の特徴量として取得する。
[0082]
 内視鏡システム1では、精度の高い診断を行うために、酸素飽和度Satの分布を示す酸素飽和度分布画像は高画質であることが求められる。このため、酸素飽和度分布画像は、好ましくは100万画素以上、より好ましくは200万画素以上、さらに好ましくは800万画素以上である。一方、取り扱う画像の画素数が多くなる程、プロセッサ200の演算回路は大きくなり、処理負荷も大きくなる傾向にある。特に、100万画素以上の高画素(高画質)では上記傾向は顕著である。上述の一実施形態では、ヘモグロビンの量や酸素飽和度Satとカラー画像データを関連付けた参照テーブルや対応関係の情報を予め設けておき、この参照テーブル及び対応関係を用いてヘモグロビンの量及び酸素飽和度Satを算出するので、上述の実施形態は、カラー画像データの取得の度にヘモグロビンの量及び酸素飽和度Satを、参照テーブル及び対応関係を用いずに算出する場合に比べて効率よくヘモグロビンの量及び酸素飽和度Satを算出することができる。このため、プロセッサ200の演算回路を小さくすることができ、これにより、高画質な画像を生成するとしても、低コストで、低発熱量で、低省電力のプロセッサ200を提供することができる。
[0083]
 以上、実施形態を説明したが、本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。

符号の説明

[0084]
1  内視鏡システム
100  電子内視鏡
110  挿入管
111  挿入管先端部
121  対物レンズ群
131  ライトガイド
131a 先端部
131b 基端部
132  レンズ
141  撮像素子
141a カラーフィルタ
142  ケーブル
200  プロセッサ
300  ディスプレイ
400  光源部
410  回転フィルタ
420  フィルタ制御部
430  光源ランプ
440  集光レンズ
450  集光レンズ
500  画像処理部
502  A/D変換回路
504  プレ画像処理部
506  フレームメモリ部
508  ポスト画像処理部
510  特徴量取得部
512  メモリ
514  画像表示制御部
516  コントローラ

請求の範囲

[請求項1]
 波長帯域の異なる少なくとも2つの光を出射するように構成された光源装置と、
 少なくとも2つの前記光でそれぞれ照明された生体組織を撮像することにより、各光に対応した前記生体組織の像のカラー画像データを生成するように構成された撮像素子を備えた撮像部を含む内視鏡と、
 前記カラー画像データの成分を用いて前記生体組織におけるヘモグロビンの量及び前記ヘモグロビンの酸素飽和度を算出し、前記酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度分布画像を生成するように構成された特徴量取得部と、前記酸素飽和度分布画像の表示形態を制御するように構成された画像表示制御部と、を含むプロセッサと、
 前記撮像部で撮像された前記生体組織の像に前記酸素飽和度分布画像を重ねて表示するように構成されたディスプレイと、を備え、
 前記特徴量取得部は、前記カラー画像データの成分を用いて得られる第1比率に基づいて前記ヘモグロビンの量を算出するように構成されたヘモグロビン量算出部と、前記カラー画像データの成分を用いて得られる第2比率と前記ヘモグロビンの量とに基づいて前記ヘモグロビンの酸素飽和度を算出するように構成された酸素飽和度算出部と、を含み、
 前記画像表示制御部は、前記第2比率の値が、前記ヘモグロビンの量に応じて定めた前記第2比率の許容範囲をはずれる画素について、前記生体組織の像に重ねる該画素の透過率を調整するように構成された、ことを特徴とする内視鏡システム。
[請求項2]
 前記光源装置は、第1の波長帯域の第1の光、前記第1の波長帯域と異なる第2の波長帯域の第2の光、及び第1の波長帯域及び前記第2の波長帯域と異なる第3の波長帯域の第3の光を含む少なくとも3以上の光を出射するように構成され、
 前記撮像部は、前記第1の光、前記第2の光、及び前記第3の光でそれぞれ照明された生体組織を撮像することにより、前記第1の光に対応した第1のカラー画像データ、前記第2の光に対応した第2のカラー画像データ、及び前記第3の光に対応した第3のカラー画像データを生成するように構成され、
 前記第1比率は、前記第1のカラー画像データの一成分と前記第2のカラー画像データの一成分との比率であり、
 前記第2比率は、前記第2のカラー画像データの一成分と前記第3のカラー画像データの一成分との比率である、請求項1に記載の内視鏡システム。
[請求項3]
 前記第1の波長帯域は、前記第2の波長帯域及び前記第3の波長帯域に比べて広く、前記第2の波長帯域は、前記第3の波長帯域に比べて広く、
 前記第1の波長帯域は、前記第1のカラー画像データの成分の1つが、前記生体組織のヘモグロビンの量の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含む、請求項2に記載の内視鏡システム。
[請求項4]
 前記第2の波長帯域は、前記第2のカラー画像データの成分の1つが、前記生体組織のヘモグロビン量の変化に対して感度を有するが、前記酸素飽和度の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含む、請求項2または3に記載の内視鏡システム。
[請求項5]
 前記第1比率は、前記第2のカラー画像データの輝度成分と、前記第1のカラー画像データのR成分、あるいはR成分及びG成分の合計成分との比率である、請求項2~4のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
[請求項6]
 前記第2比率は、前記第3のカラー画像データの輝度成分と前記第2のカラー画像データの輝度成分との比率である、請求項2~5のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
[請求項7]
 前記第2の波長帯域は、500nm~600nmの範囲内にあり、
 前記第3の波長帯域は、前記第2の波長帯域内の前記前記第2の波長帯域より狭い波長帯域であり、
 前記第2の光は、光学フィルタで、前記第2の波長帯域の光成分を透過させた前記第1の光の濾過光であり、前記第3の光は、光学フィルタで、前記第3の波長帯域の光成分を透過させた前記第1の光の濾過光である、請求項2~6のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
[請求項8]
 前記光源装置は、第4の波長帯域の光成分及び前記第4の波長帯域と異なる第5の波長帯域の光成分を含む第1の光、及び前記第4の波長帯域及び前記第5の波長帯域と異なる第3の波長帯域の第3の光を出射するように構成され、
 前記撮像部は、前記第1の光及び前記第3の光でそれぞれ照明された生体組織を撮像することにより、前記第1の光に対応した第1のカラー画像データ及び前記第3の光に対応した第3のカラー画像データを生成するように構成され、
 前記第1比率は、前記第1のカラー画像データから、前記第4の波長帯域及び前記第5の波長帯域のそれぞれに対応した前記第1のカラー画像データの対応成分同士の比から得られる比率であり、
 前記第2比率は、前記対応成分の一つと前記第3のカラー画像データの一成分との比率である、請求項1に記載の内視鏡システム。
[請求項9]
 前記第5の波長帯域は、前記対応成分のうち前記第5の波長帯域に対応した対応成分が、前記生体組織のヘモグロビン量の変化に対して感度を有するが、前記酸素飽和度の変化に対して感度を有しないような波長帯域を含む、請求項8に記載の内視鏡システム。
[請求項10]
 前記第3の波長帯域は、前記第3のカラー画像データの成分の1つが、前記酸素飽和度の変化に対して感度を有するような波長帯域を含む、請求項2~9のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
[請求項11]
 波長帯域の異なる少なくとも3つの光成分を含む光を出射するように構成された光源装置と、
 前記光で照明された生体組織を撮像することによりカラー画像データを生成するように構成された撮像素子を備えた撮像部を含む内視鏡と、 
 前記光成分の波長帯域それぞれに対応した前記カラー画像データの対応成分を用いて、前記生体組織におけるヘモグロビンの量及び前記ヘモグロビンの酸素飽和度を算出し、前記酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度分布画像を生成する特徴量取得部と、前記酸素飽和度分布画像の表示形態を制御する画像表示制御部と、を含むプロセッサと、
 前記撮像部で撮像された前記生体組織の像に前記酸素飽和度分布画像を重ねて表示するディスプレイと、を備え、
 前記特徴量取得部は、前記対応成分を用いて得られる第1比率に基づいて前記ヘモグロビンの量を算出するヘモグロビン量算出部と、前記対応成分を用いて得られる第2比率と前記ヘモグロビンの量とに基づいて前記ヘモグロビンの酸素飽和度を算出する酸素飽和度算出部と、を含み、
 前記画像表示制御部は、前記第2比率の値が、前記ヘモグロビンの量に応じて定めた前記第2比率の許容範囲をはずれる画素について、前記生体組織の像に重ねる該画素の透過率を調整する、ことを特徴とする内視鏡システム。
[請求項12]
 前記画像表示制御部は、前記第2比率が許容範囲をはずれる画素の透過率を、前記第2比率が許容範囲内にある画素の透過率に比べて高くする、請求項1~11のいずれか1項に記載の内視鏡システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]