処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2020204028 - 作業車両、作業車両の制御装置および制御方法

Document

明 細 書

発明の名称 作業車両、作業車両の制御装置および制御方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005  

発明の効果

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050  

産業上の利用可能性

0051  

符号の説明

0052  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 作業車両、作業車両の制御装置および制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は、作業車両、作業車両の制御装置および制御方法に関する。
 本願は、2019年4月4日に日本に出願された特願2019-072268号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 無段変速機を搭載するホイールローダなどの作業車両が知られている。無段変速機の例としては、HST(Hydraulic Static Transmission)およびHMT(Hydraulic Mechanical Transmission)が挙げられる。特許文献1には、無段変速機を搭載する作業車両のアクセルの入力に基づいて、変速機の出力軸の回転数と要求牽引力との関係を示す牽引力関数を変形することで、オペレータの意図に沿った牽引力を実現する技術が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 国際公開第2014/208614号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 特許文献1に開示された技術によれば、作業車両を加速させるための牽引力を、アクセルの入力に基づいて適切に制御することができる。他方、作業車両を減速させるための制動力の特性が変化しないため、オペレータは任意の制動力を得るために微細なアクセル操作およびブレーキ操作が要求されている。
 本発明の目的は、オペレータが任意の制動力を容易に得ることができる作業車両、作業車両の制御装置および制御方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明の一態様によれば、作業車両の制御装置は、駆動源と、前記駆動源の駆動力によって駆動される走行装置と、入力軸が前記駆動源に接続され、出力軸が前記走行装置に接続され、前記入力軸に入力される駆動力を前記出力軸に伝達する動力伝達装置と、前記走行装置の牽引力および負の牽引力である制動力の強さを指示する牽引力指示を受け付けるための牽引力指示装置とを備える作業車両の制御装置であって、前記出力軸の回転数と要求制動力との関係を示し、回転数に対して要求制動力が単調増加する制動力関数の、要求制動力に対するオフセットおよび傾きの少なくとも一方を、前記牽引力指示装置からの牽引力指示が強いほど、オフセットおよび傾きの少なくとも一方の絶対値が大きくなるように決定する制動力関数決定部と、前記出力軸の回転数と前記制動力関数とに基づいて要求制動力を決定する要求制動力決定部とを備える。

発明の効果

[0006]
 上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、オペレータは任意の制動力を容易に得ることができる。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 第1の実施形態に係る作業車両の側面図である。
[図2] 第1の実施形態に係る運転室の内部の構成を示す上面図である。
[図3] 第1の実施形態に係る作業車両の動力系統を示す模式図である。
[図4] 第1の実施形態に係る作業車両の制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
[図5] 基礎牽引力関数の例を示す図である。
[図6] 牽引力関数の例を示す図である。
[図7] 制動力関数の例を示す図である。
[図8] 補正牽引力関数の例を示す図である。
[図9] 第1の実施形態に係る作業車両の制御方法を示すフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0008]
〈第1の実施形態〉
 以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
 図1は、第1の実施形態に係る作業車両の側面図である。
 第1の実施形態に係る作業車両100は、ホイールローダである。作業車両100は、車体110、作業機120、前輪部130、後輪部140、運転室150を備える。
[0009]
 車体110は、前車体111、後車体112、およびステアリングシリンダ113を備える。前車体111と後車体112とは車体110の上下方向に伸びるステアリング軸回りに回動可能に取り付けられている。前輪部130は、前車体111の下部に設けられ、後輪部140は、後車体112の下部に設けられる。
 ステアリングシリンダ113は、油圧シリンダである。ステアリングシリンダ113の基端部は後車体112に取り付けられ、先端部は前車体111に取り付けられる。ステアリングシリンダ113は、作動油によって伸縮することで、前車体111と後車体112とのなす角度を規定する。つまり、ステアリングシリンダ113の伸縮により、前輪部130の舵角が規定される。
[0010]
 作業機120は、土砂等の作業対象物の掘削および運搬に用いられる。作業機120は、車体110の前部に設けられる。作業機120は、ブーム121、バケット122、ベルクランク123、リフトシリンダ124、バケットシリンダ125を備える。
[0011]
 ブーム121の基端部は、前車体111の前部にピンを介して取り付けられる。
 バケット122は、作業対象物を掘削するための刃と、掘削した作業対象物を運搬するための容器とを備える。バケット122の基端部は、ブーム121の先端部にピンを介して取り付けられる。
 ベルクランク123は、バケットシリンダ125の動力をバケット122に伝達する。ベルクランク123の第1端は、バケット122の底部にリンク機構を介して取り付けられる。ベルクランク123の第2端は、バケットシリンダ125の先端部にピンを介して取り付けられる。
[0012]
 リフトシリンダ124は、油圧シリンダである。リフトシリンダ124の基端部は前車体111の前部に取り付けられる。リフトシリンダ124の先端部はブーム121に取り付けられる。リフトシリンダ124が作動油によって伸縮することによって、ブーム121が上げ方向または下げ方向に駆動する。
 バケットシリンダ125は、油圧シリンダである。バケットシリンダ125の基端部は、前車体111の前部に取り付けられる。バケットシリンダ125の先端部は、ベルクランク123を介してバケット122に取り付けられている。バケットシリンダ125が、作動油によって伸縮することによって、バケット122がチルト方向またはダンプ方向に駆動する。
[0013]
 運転室150は、オペレータが搭乗し、作業車両100の操作を行うためのスペースである。運転室150は、後車体112の上部に設けられる。
 図2は、第1の実施形態に係る運転室の内部の構成を示す上面図である。運転室150の内部には、シート151、アクセルペダル152、ブレーキペダル153、ステアリングハンドル155、前後切替スイッチ156、シフトスイッチ157、ブームレバー158、バケットレバー159が設けられる。
[0014]
 アクセルペダル152は、作業車両100に生じさせる牽引力の強さを指定するために操作される。アクセルペダル152の操作量が大きいほど、目標駆動力が高く設定される。アクセルペダル152の操作量は、0%以上100%以下の値をとる。アクセルペダル152は、駆動力操作装置の一例である。
 ブレーキペダル153は、作業車両100に生じさせる走行の制動力を設定するために操作される。ブレーキペダル153の操作量が大きいほど、強い制動力が設定される。ブレーキペダル153の操作量は、0%以上100%以下の値をとる。
 ステアリングハンドル155は、作業車両100の舵角を設定するために操作される。
[0015]
 前後切替スイッチ156は、作業車両100の進行方向を設定するために操作される。作業車両の進行方向は、前進(F:Forward)、後進(R:Rear)、または中立(N:Neutral)のいずれかである。
 シフトスイッチ157は、作業車両100に生じさせる走行の駆動力(牽引力)の強さを指定するために操作される。シフトスイッチ157の操作によって、任意に設定可能な複数の速度段、例えば8段の速度段の中から1つの速度段が選択される。速度段は、段数が小さいほど牽引力対走行速度比が低く、段数が大きいほど牽引力対走行速度比が高い。つまり、速度段の段数が小さいほど強い牽引力が要求される。シフトスイッチ157は、牽引力指示装置の一例である。なお、制動力は、負の牽引力としても表され、牽引力の強さは、牽引力の絶対値の大きさを示す。すなわち、速度段の段数が小さいほど、強い制動力が発揮される。
[0016]
 ブームレバー158は、ブーム121の上げ操作または下げ操作の速度を設定するために操作される。ブームレバー158は、前方へ傾けられることにより下げ操作を受け付け、後方へ傾けられることにより上げ操作を受け付ける。
 バケットレバー159は、バケット122のダンプ操作またはチルト操作の速度を設定するために操作される。バケットレバー159は、前方へ傾けられることによりダンプ操作を受け付け、後方へ傾けられることによりチルト操作を受け付ける。
 ブームレバー158およびバケットレバー159は、作業機操作部材の一例である。
[0017]
《動力系統》
 図3は、第1の実施形態に係る作業車両の動力系統を示す模式図である。
 作業車両100は、エンジン210、PTO220(Power Take Off:動力取出装置)、変速機230、フロントアクスル240、リアアクスル250、可変容量ポンプ260を備える。
[0018]
 エンジン210は、例えばディーゼルエンジンである。エンジン210には、燃料噴射装置211が設けられる。燃料噴射装置211は、エンジン210のシリンダ内に噴射する燃料量を調整することで、エンジン210の駆動力を制御する。
[0019]
 PTO220は、エンジン210の駆動力の一部を、可変容量ポンプ260に伝達する。つまり、PTO220は、エンジン210の駆動力を、変速機230および可変容量ポンプ260に分配する。
[0020]
 変速機230は、HST231(静油圧式無段変速機)を備える無段変速機である。変速機230は、HST231のみによって変速制御を行うものであってもよいし、HST231と遊星歯車機構との組み合わせによって変速制御を行うHMT(油圧機械式無段変速機)であってもよい。さらに、変速機230はHSTもしくはHMTの油圧モータを電動モータに置き換えた電気ハイブリッドの構成であってもよい。また、作業車両100が、エンジンを持たずに蓄電池などの動力源から電動モータにより直接駆動力を得る電動車である場合には、変速機230は、電動モータの回転数を制御するものであってもよい。変速機230は、入力軸に入力される駆動力を変速して出力軸から出力する。変速機230の入力軸はPTO220に接続され、出力軸はフロントアクスル240およびリアアクスル250に接続される。つまり、変速機230は、PTO220によって分配されたエンジン210の駆動力をフロントアクスル240およびリアアクスル250に伝達する。変速機230の出力軸には、回転数計232が設けられる。
[0021]
 フロントアクスル240は、変速機230が出力する駆動力を前輪部130に伝達する。これにより、前輪部130が回転する。
 リアアクスル250は、変速機230が出力する駆動力を後輪部140に伝達する。これにより、後輪部140が回転する。
[0022]
 可変容量ポンプ260は、エンジン210からの駆動力によって駆動される。可変容量ポンプ260の吐出容量は、例えば可変容量ポンプ260内に設けられた斜板の傾転角の制御により変更される。可変容量ポンプ260から吐出された作動油は、コントロールバルブ261を介してリフトシリンダ124、およびバケットシリンダ125に供給され、ステアリングバルブ262を介してステアリングシリンダ113に供給される。
 コントロールバルブ261は、可変容量ポンプ260から吐出された作動油の流量を制御し、作動油をリフトシリンダ124とバケットシリンダ125とに分配する。ステアリングバルブ262は、ステアリングシリンダ113に供給する作動油の流量を制御する。
[0023]
《制御装置》
 作業車両100は、作業車両100を制御するための制御装置300を備える。
 制御装置300は、運転室150内の各操作装置(アクセルペダル152、ブレーキペダル153、前後切替スイッチ156、シフトスイッチ157、ブームレバー158、バケットレバー159)の操作量に応じて、燃料噴射装置211、変速機230、可変容量ポンプ260、コントロールバルブ261に制御信号を出力する。
[0024]
 図4は、第1の実施形態に係る作業車両の制御装置の構成を示す概略ブロック図である。制御装置300は、プロセッサ310、メインメモリ330、ストレージ350、インタフェース370を備えるコンピュータである。
[0025]
 ストレージ350は、一時的でない有形の記憶媒体である。ストレージ350の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ350は、制御装置300のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース370または通信回線を介して制御装置300に接続される外部メディアであってもよい。ストレージ350は、作業車両100を制御するためのプログラムを記憶する。
[0026]
 プログラムは、制御装置300に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
[0027]
 プログラムが通信回線によって制御装置300に配信される場合、配信を受けた制御装置300が当該プログラムをメインメモリ330に展開し、上記処理を実行してもよい。
 また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ350に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
[0028]
 プロセッサ310は、プログラムを実行することで、操作量取得部311、計測値取得部312、基礎牽引力関数決定部313、牽引力関数決定部314、制動力関数決定部315、牽引力関数補正部316、目標牽引力決定部317、目標エンジントルク決定部318、エンジン制御部319を備える。
[0029]
 操作量取得部311は、アクセルペダル152、ブレーキペダル153、前後切替スイッチ156、およびシフトスイッチ157の操作量を取得する。
 以下、アクセルペダル152の操作量をアクセル操作量ともいう。また、ブレーキペダル153の操作量をブレーキ操作量ともいう。また、前後切替スイッチ156の切替位置を方向操作量ともいう。また、シフトスイッチ157によって指示される速度段の段数をシフト操作量ともいう。
 計測値取得部312は、回転数計232から車速の計測値を取得する。
[0030]
 基礎牽引力関数決定部313は、操作量取得部311が取得したシフト操作量に基づいて速度段を選択し、変速機230の出力軸の回転数と要求牽引力との関係を示す基礎牽引力関数Fsを決定する。図5は、基礎牽引力関数の例を示す図である。基礎牽引力関数Fsは、アクセル操作量が100%のときにおける変速機230の出力軸の回転数と要求制動力との関係を示す関数である。基礎牽引力関数Fsは、ベースカーブ関数Fs1と調整カーブ関数Fs2とに基づいて決定される。ベースカーブ関数Fs1は、速度段選択によらずに変化しない関数である。調整カーブ関数Fs2は、速度段選択によって傾きが変化する関数である。具体的には、調整カーブ関数Fs2は、速度段選択が小さいほど(すなわち指示される牽引力が強いほど)、傾きの絶対値が大きくなる。なお、調整カーブ関数Fs2は、正のオフセットを有し、負の傾きを有する。基礎牽引力関数決定部313は、ベースカーブ関数Fs1のうちベースカーブ関数Fs1と調整カーブ関数Fs2との交点Psに係る回転数より小さい回転数を定義域に持つ部分関数と、調整カーブ関数Fs2のうち交点Psに係る回転数以上の回転数に係る部分関数とを組み合わせることで、基礎牽引力関数Fsを生成する。
[0031]
 牽引力関数決定部314は、操作量取得部311が取得したアクセル操作量に基づいて、基礎牽引力関数Fsを縮小することで、牽引力関数Ftを決定する。図6は、牽引力関数の例を示す図である。具体的には、牽引力関数決定部314は、以下の方法で牽引力関数Ftを決定する。牽引力関数決定部314は、アクセル操作量に基づいて、回転数の縮小比R1および牽引力の縮小比R2を決定する。アクセルとブレーキを同時操作された場合には、ブレーキ操作量に応じてアクセル操作量を補正し、最終的なアクセル操作量としてもよい。牽引力関数決定部314は、基礎牽引力関数Fsの回転数に縮小比R1を乗算し、基礎牽引力関数Fsの牽引力に縮小比R2を乗算することで、牽引力関数Ftを決定する。縮小比R1および縮小比R2は、いずれも0以上かつ1以下の値である。
[0032]
 制動力関数決定部315は、操作量取得部311が取得したシフト操作量から決定した速度段に基づき、変速機230の出力軸の回転数と要求制動力との関係を示す制動力関数Fbを決定する。図7は、制動力関数の例を示す図である。制動力関数Fbは、シフト操作量から決定した速度段によってオフセットおよび傾きが変化する関数である。具体的には、制動力関数Fbは、シフト操作量から決定した速度段が小さいほど(すなわち指示される牽引力・制動力が強いほど)、オフセットおよび傾きの絶対値が大きくなる。なお、制動力関数Fbは、負のオフセットを有し、負の傾きを有する。
[0033]
 牽引力関数補正部316は、牽引力関数Ft、基礎牽引力関数Fs、および制動力関数Fbに基づいて、補正牽引力関数Ft´を生成する。図8は、補正牽引力関数の例を示す図である。具体的には、牽引力関数補正部316は、部分牽引力関数Ft1と、部分制動力関数Ft2と、部分基礎牽引力関数Ft3と、部分限界制動力関数Ft4とを組み合わせることで、補正牽引力関数Ft´を生成する。
 部分牽引力関数Ft1は、牽引力関数Ftのうち、牽引力関数Ftと制動力関数Fbとの交点Pt1に係る回転数未満の回転数を定義域に持つ部分関数である。
 部分制動力関数Ft2は、制動力関数Fbのうち、牽引力関数Ftと制動力関数Fbとの交点Pt1に係る回転数以上、かつ制動力関数Fbと基礎牽引力関数Fsとの交点Pt2に係る回転数未満の回転数を定義域に持つ部分関数である。
 部分基礎牽引力関数Ft3は、基礎牽引力関数Fsのうち、制動力関数Fbと基礎牽引力関数Fsとの交点Pt2に係る回転数以上、かつ基礎牽引力関数Fsと限界制動力関数Flとの交点Pt3に係る回転数未満の回転数を定義域に持つ部分関数である。限界制動力関数Flは、変速機230の出力軸の回転数と、変速機230によって実現可能な最大の制動力との関係を示す関数である。
 部分限界制動力関数Ft4は、基礎牽引力関数Fsと限界制動力関数Flとの交点Pt3に係る回転数以上の回転数を定義域に持つ部分関数である。
[0034]
 目標牽引力決定部317は、操作量取得部311が取得したFNR操作量と、計測値取得部312が取得した変速機230の出力軸の回転数と、牽引力関数補正部316が生成した補正牽引力関数Ft´とに基づいて、目標牽引力を決定する。目標牽引力決定部317は、要求制動力決定部の一例である。エンジン210および変速機230は、作業車両100に生じさせる走行の牽引力がこの目標牽引力に追従するよう制御される。
[0035]
 目標エンジントルク決定部318は、変速機230の入出力速度比および目標牽引力決定部317が決定した目標牽引力に基づいて、エンジン210が出力すべきトルクである目標エンジントルクを決定する。具体的には、目標エンジントルク決定部318は、目標牽引力を変速機230の目標出力軸トルクに換算し、その目標出力軸トルクに変速機230の入出力速度比を乗算することで、目標エンジントルクを決定する。
[0036]
 エンジン制御部319は、燃料噴射装置211に、エンジントルク指令を出力する。具体的には、エンジン制御部319は、目標エンジントルク決定部318が決定した目標エンジントルクを示すエンジントルク指令を出力する。
[0037]
《作業車両の制御方法》
 図9は、第1の実施形態に係る作業車両の制御方法を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、作業車両100の進行方向が前進(方向操作量がF)であるときの制御について説明する。なお、作業車両100の進行方向が後進(方向操作量がR)であるときも同様の制御がなされてよい。
[0038]
 まず、操作量取得部311は、アクセルペダル152、ブレーキペダル153、ステアリングハンドル155、前後切替スイッチ156、シフトスイッチ157のそれぞれから操作量を取得する(ステップS1)。また、計測値取得部312は、回転数計232から車速の計測値を取得する(ステップS2)。
[0039]
 基礎牽引力関数決定部313は、ステップS1で取得したシフト操作量から速度段を決定し、その速度段に基づいて調整カーブ関数Fs2を決定する(ステップS3)。基礎牽引力関数決定部313は、予め定められたベースカーブ関数Fs1のうちベースカーブ関数Fs1と調整カーブ関数Fs2とを組み合わせることで、基礎牽引力関数Fsを生成する(ステップS4)。
[0040]
 次に、牽引力関数決定部314は、ステップS1で取得したアクセル操作量とブレーキ操作量から補正アクセル操作量を算出する(ステップS5)。なお、牽引力関数決定部314は、アクセル操作量がブレーキ操作量未満である場合、補正アクセル操作量を「0」とする。牽引力関数決定部314は、補正アクセル操作量に基づいて、回転数の縮小比R1および牽引力の縮小比R2を決定する(ステップS6)。牽引力関数決定部314は、基礎牽引力関数Fsの回転数に縮小比R1を乗算し、基礎牽引力関数Fsの牽引力に縮小比R2を乗算することで、牽引力関数Ftを決定する(ステップS7)。
[0041]
 制動力関数決定部315は、ステップS1で取得したシフト操作量から速度段を決定し、その速度段に基づいて、変速機230の出力軸の回転数と要求制動力との関係を示す制動力関数Fbを決定する(ステップS8)。
 牽引力関数補正部316は、ステップS4で決定した基礎牽引力関数Fs、ステップS7で決定した牽引力関数Ft、ステップS8で決定した制動力関数Fbに基づいて、および予め定められた限界制動力関数Flとを組み合わせることで、補正牽引力関数Ft´を生成する(ステップS9)。
[0042]
 目標牽引力決定部317は、ステップS2で取得した変速機230の出力軸の回転数を牽引力関数補正部316が生成した補正牽引力関数Ft´に代入することで、進行方向を考慮しない目標牽引力を決定する(ステップS10)。目標牽引力決定部317は、ステップS1で取得したFNR操作量が前進、後進、および中立のいずれを示すかを判定する(ステップS11)。
[0043]
 FNR操作量が前進を示す場合(ステップS11:F)、目標牽引力決定部317は、目標牽引力を、ステップS10で決定した進行方向を考慮しない目標牽引力に決定する(ステップS12)。
 FNR操作量が後進を示す場合(ステップS11:R)、目標牽引力決定部317は、目標牽引力を、ステップS10で決定した進行方向を考慮しない目標牽引力に「-1」を乗算した値に決定する(ステップS13)。
 FNR操作量が中立を示す場合(ステップS11:N)、目標牽引力決定部317は、目標牽引力を「0」に決定する(ステップS14)。
[0044]
 目標エンジントルク決定部318は、ステップS12、S13、またはS14で決定した要求出力トルクに基づいて、エンジン210が出力すべきトルクである目標エンジントルクを決定する(ステップS15)。エンジン制御部319は、ステップS15で決定した目標エンジントルクを示すエンジントルク指令を出力する(ステップS16)。
[0045]
《作用・効果》
 このように、第1の実施形態によれば、制御装置300は、制動力関数Fbの要求制動力に対するオフセットおよび傾きを、シフト操作量から決定した速度段によって指示される牽引力が強いほど絶対値が大きくなるように決定し、変速機230の出力軸の回転数と制動力関数Fbとに基づいて要求制動力を決定する。つまり制御装置300は、シフト操作量によって制動力を調整することができる。これにより、オペレータは、任意の制動力を容易に得ることができる。なお、第1の実施形態では、シフトスイッチ157の操作によって速度段の決定および牽引力の指示を行うが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態においては、シフトスイッチ157に代えてブレーキペダル153や図示しないインチングペダルの操作量に基づいて制動力関数Fbを決定してもよい。この場合におけるブレーキペダル153およびインチングペダルは、牽引力指示装置の一例である。また、第1の実施形態に係る制御装置300は、制動力関数Fbの要求制動力に対するオフセットおよび傾きを、シフト操作量から決定した速度段によって指示される牽引力が強いほど絶対値が大きくなるように決定するが、他の実施形態においては、制動力関数Fbの要求制動力に対するオフセットおよび傾きのいずれか一方を決定するものであってよい。
[0046]
 また、第1の実施形態によれば、制御装置300は、牽引力関数Ft、基礎牽引力関数Fs、および制動力関数Fbに基づいて補正牽引力関数Ft´を生成し、出力軸の回転数と補正牽引力関数Ft´とに基づいて要求制動力を決定する。これにより、制御装置300は、基礎牽引力関数Fsと制動力関数Fbとの交点を境に2段階の減速を実現することができる。なお、第1の実施形態において、シフト操作量から決定した速度段に応じて基礎牽引力関数Fsが変化するが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置300は、基礎牽引力関数Fsとしてベースカーブ関数を用いてもよい。
[0047]
 以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。例えば、他の実施形態においては、上述の処理の順序は適宜変更されてよい。また、一部の処理は並列に実行されてよい。
[0048]
 上述の実施形態に係る作業車両100はホイールローダであるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る作業車両100は、ダンプトラックや、モーターグレーダーや、ブルドーザなどの他の作業車両であってもよい。
[0049]
 上述の実施形態に係る制御装置300は、ベースカーブ関数と調整カーブ関数とに基づいて基礎牽引力関数を決定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、予めシフト操作量から決定される速度段ごとに基礎牽引力関数が関連付けられていてもよい。
[0050]
 上述の実施形態に係る制御装置300は、進行方向にかかわらず同一のベースカーブ関数と調整カーブ関数とに基づいて基礎牽引力関数を決定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、前進と後進では別の基礎牽引力関数を用いてもよい。その場合、ステップS3、S4で進行方向に応じた基礎牽引力関数Fsを生成する。またS12、S13は省略される。

産業上の利用可能性

[0051]
 本願発明の上記開示によれば、オペレータは任意の制動力を容易に得ることができる。

符号の説明

[0052]
100…作業車両 110…車体 120…作業機 130…前輪部 140…後輪部 150…運転室 111…前車体 112…後車体 113…ステアリングシリンダ 121…ブーム 122…バケット 123…ベルクランク 124…リフトシリンダ 125…バケットシリンダ 151…シート 152…アクセルペダル 153…ブレーキペダル 155…ステアリングハンドル 156…前後切替スイッチ 157…シフトスイッチ 158…ブームレバー 159…バケットレバー 210…エンジン 211…燃料噴射装置 220…PTO 230…変速機 231…HST 232…回転数計 240…フロントアクスル 250…リアアクスル 260…可変容量ポンプ 261…コントロールバルブ 262…ステアリングバルブ 300…制御装置 310…プロセッサ 330…メインメモリ 350…ストレージ 370…インタフェース 311…操作量取得部 312…計測値取得部 313…基礎牽引力関数決定部 314…牽引力関数決定部 315…制動力関数決定部 316…牽引力関数補正部 317…目標牽引力決定部 318…目標エンジントルク決定部 319…エンジン制御部

請求の範囲

[請求項1]
 駆動源と、
 前記駆動源の駆動力によって駆動される走行装置と、
 入力軸が前記駆動源に接続され、出力軸が前記走行装置に接続され、前記入力軸に入力される駆動力を前記出力軸に伝達する動力伝達装置と、
 前記走行装置の牽引力の強さを指示する牽引力指示を受け付けるための牽引力指示装置と
 を備える作業車両の制御装置であって、
 前記出力軸の回転数と要求制動力との関係を示し、回転数に対して要求制動力が単調増加する制動力関数の、要求制動力に対するオフセットおよび傾きの少なくとも一方を、前記牽引力指示装置からの牽引力指示が示す牽引力が強いほど、オフセットおよび傾きの少なくとも一方の絶対値が大きくなるように決定する制動力関数決定部と、
 前記出力軸の回転数と前記制動力関数とに基づいて要求制動力を決定する要求制動力決定部と
 を備える作業車両の制御装置。
[請求項2]
 前記作業車両は、前記駆動源の駆動力の強さを指示する駆動力指示を受け付けるための駆動力指示装置をさらに備え、
 前記出力軸の回転数と要求牽引力との関係を示し、負の要求牽引力として前記要求制動力を示す基礎牽引力関数に、前記駆動力指示装置からの駆動力指示に応じた1以下の係数を乗算することで、牽引力関数を決定する牽引力関数決定部と、
 前記牽引力関数のうち、前記牽引力関数と前記制動力関数の交点より小さい回転数に係る部分と、前記制動力関数のうち、前記牽引力関数と前記制動力関数の交点より大きい回転数に係る部分とに基づいて、前記出力軸の回転数と要求牽引力との関係を示す補正牽引力関数を決定する牽引力関数補正部と
 を備え、
 前記要求制動力決定部は、前記出力軸の回転数と前記補正牽引力関数とに基づいて前記要求制動力を決定する
 請求項1に記載の作業車両の制御装置。
[請求項3]
 前記牽引力関数補正部は、前記基礎牽引力関数のうち、前記基礎牽引力関数と前記制動力関数の交点より大きい回転数に係る部分に基づいて、前記補正牽引力関数を決定する
 請求項2に記載の作業車両の制御装置。
[請求項4]
 駆動源と、
 前記駆動源の駆動力によって駆動される走行装置と、
 入力軸が前記駆動源に接続され、出力軸が前記走行装置に接続され、前記入力軸に入力される駆動力を前記出力軸に伝達する動力伝達装置と、
 前記走行装置の牽引力の強さを指示するための牽引力指示装置と
 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制御装置と
 を備える作業車両。
[請求項5]
 駆動源と、
 前記駆動源の駆動力によって駆動される走行装置と、
 入力軸が前記駆動源に接続され、出力軸が前記走行装置に接続され、前記入力軸に入力される駆動力を前記出力軸に伝達する動力伝達装置と、
 前記走行装置の牽引力の強さを指示する牽引力指示を受け付けるための牽引力指示装置と
 を備える作業車両の制御方法であって、
 前記出力軸の回転数と要求制動力との関係を示し、回転数に対して要求制動力が単調増加する制動力関数の、要求制動力に対するオフセットおよび傾きの少なくとも一方を、前記牽引力指示装置からの牽引力指示が示す牽引力が強いほど、オフセットおよび傾きの少なくとも一方の絶対値が大きくなるように決定するステップと、
 前記出力軸の回転数と前記制動力関数とに基づいて要求制動力を決定するステップと
 を備える作業車両の制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]