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1. WO2020203790 - フォトレジスト組成物およびその硬化物

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明 細 書

発明の名称 フォトレジスト組成物およびその硬化物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015  

発明の効果

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087  

実施例

0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : フォトレジスト組成物およびその硬化物

技術分野

[0001]
 本発明は、フォトレジスト組成物およびその硬化物に関する。

背景技術

[0002]
 IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)等の半導体デバイスの製造プロセスにおける微細加工は、露光、現像によりパターンの形成されたレジスト膜を介して、下地の絶縁膜・半導体膜・金属膜をエッチングすることにより行われる。微細加工、すなわちエッチングが完了した後、通常は、マスクに用いたレジスト膜は、N-メチルピロリドン(NMP)等の剥離液を用いて基板表面から除去するレジスト剥離工程が行われる。
[0003]
 上記のようなレジスト膜のパターニングは、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、薬液によるエッチングやプラズマを用いたドライエッチングによりパターンを形成する方法が、半導体等多くの電子デバイスの製造方法として広く適用されている。また、エッチングを行うことが困難な材料に対するパターニング方法としては、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成後、蒸着等の手段により金属や絶縁体などの薄膜を成膜し、レジスト剥離工程の際に不要な部分も同時に剥離して薄膜パターンを形成するいわゆるリフトオフによる方法がある。
[0004]
 近年、半導体集積回路等の電子デバイスの小型化、高密度化に伴い、レジスト膜にも微細なパターニングが必要となり、レジスト材料には高い解像性が求められている。また、従来の現像工程では、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)等の強アルカリの現像液が使用されていたが、酸化物半導体等を用いた電子デバイスでは腐食等の問題が生じるため、炭酸ナトリウム水溶液等の弱アルカリ現像液を使用する必要がある(特許文献1等)。このため、レジスト材料には、弱アルカリ現像液でも高解像の微細パターニングができることが求められるようになってきた。
[0005]
 また、レジスト膜のエッチング耐久性を向上させるために、現像後に短波長の露光装置を用いて露光する半永久レジスト膜の硬化処理が行われる場合がある(特許文献2等)。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開平10-073923号公報
特許文献2 : 特開平11-202501号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 レジストパターンの現像後に上記のような短波長の露光装置を用いて露光を行うと、エッチング耐性や寸法安定性に優れるレジスト膜を形成できるものの、その後のレジスト剥離工程においてレジスト膜が剥離しにくくなるといった問題がある。また、上記のように、レジスト材料には弱アルカリ現像液でも高解像の微細パターニングが可能な性能が求められている。このような複数の相反する要求を同時に満足できるレジスト材料は未だ開発されていない。
[0008]
 したがって、本発明の目的は、弱アルカリ現像液でも現像が可能で、高解像の微細パターニングが得られ、かつ剥離性にも優れるフォトレジスト組成物を提供することである。
[0009]
 また、本発明の別の目的は、フォトレジスト組成物を硬化させて得られる硬化物を提供することである。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、プリベーク、露光、現像の各工程を経て得られたレジスト膜の表面状態と、プリベーク、露光および現像工程の後さらに紫外線照射したレジスト膜の表面状態とに着目し、フォトレジスト組成物によっては両者の関係が大きく異なることに気付いた。具体的には、プリベーク、露光、および現像工程を経たレジスト膜よりも、さらに紫外線照射を行ったレジスト膜の方が表面粗度が低くなる場合があった。この現象ついてさらに検討したところ、プリベーク、露光、および現像工程を経たレジスト膜の表面状態に対して、さらに紫外線照射を行ったレジスト膜の表面状態が平滑であるほど、弱アルカリ現像液で現像した場合であってもプリベーク、露光および現像を経て得られたレジスト膜は解像性が優れるとともに、その後さらに紫外線照射を行ったレジスト膜は優れた剥離性を有していることが判明した。本発明は係る知見によるものである。
[0011]
 すなわち、本発明によるフォトレジスト組成物は、
(A)カルボキシル基含有樹脂、
(B)光重合性モノマー、および
(C)熱硬化性成分、
を含んでなる、フォトレジスト組成物であって、
 平面基板上に前記フォトレジスト組成物を、硬化後の膜厚が2μm±0.5μmとなるように塗布し、75℃で30分間のプリベーク後に、波長375nmを含む紫外線1を大気雰囲気下で1,000mJ/cm の露光量で露光して前記フォトレジスト組成物を硬化させ、続く30℃で1wt%のNa CO 水溶液を用いた180秒間の現像処理により形成した硬化被膜1の表面の算術平均粗さRaをRa1とし、
 前記硬化被膜1に対してさらに、波長185nmおよび254nmを含む紫外線2を酸素雰囲気下で25.2J/cm の露光量で露光して形成した硬化被膜2の表面の算術平均粗さRaをRa2とした場合に、下記式:
  Ra2/Ra1≦4.5×10 -1
を満たすことを特徴とするものである。
[0012]
 本発明の実施態様においては、前記(B)光重合性モノマーが(メタ)アクリレート類から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
[0013]
 本発明の実施態様においては、前記(A)カルボキシル基含有樹脂は、酸価50~200mgKOH/gを有することが好ましい。
[0014]
 本発明の実施態様においては、前記(A)カルボキシル基含有樹脂は、重量平均分子量5,000~100,000を有することが好ましい。
[0015]
 また、本発明の別の実施態様による硬化物は、フォトレジスト組成物を硬化させて得られることを特徴とする。

発明の効果

[0016]
 本発明によれば、カルボキシル基含有樹脂、光重合性モノマーおよび熱硬化性成分を含むフォトレジスト組成物において、プリベーク、露光、現像して得られた硬化被膜の表面状態(Ra1)に対して、当該硬化被膜にさらに露光時の波長よりも短波長の紫外線を照射した硬化被膜の表面状態(Ra2)が、Ra2/Ra1≦4.5×10 -1の関係を満足するようなフォトレジスト組成物とすることにより、弱アルカリ現像液で現像した場合であってもプリベーク、露光および現像を経て得られたレジスト膜は解像性が優れるとともに、その後さらに紫外線照射を行ったレジスト膜は優れた剥離性を有する。
 さらに本発明の別の態様においては、フォトレジスト組成物を硬化させて得られる硬化物を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0017]
[フォトレジスト組成物]
 本発明におけるフォトレジスト組成物は、必須成分として、(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)光重合性モノマー、および(C)熱硬化性成分、を含有するものであり、Ra2/Ra1≦4.5×10 -1の関係を満足することに特徴を有するものである。すなわち、平面基板上に前記フォトレジスト組成物を、硬化後の膜厚が2μm±0.5μmとなるように塗布し、75℃で30分間のプリベーク後に、波長375nmを含む紫外線1を大気雰囲気下で1,000mJ/cm の露光量で露光して前記フォトレジスト組成物を硬化させ、続く30℃で1wt%のNa CO 水溶液を用いた180秒間の現像処理により形成した硬化被膜1の表面の算術平均粗さRaをRa1とし、
 前記硬化被膜1に対してさらに、波長185nmおよび254nmを含む紫外線2を酸素雰囲気下で25.2J/cm の露光量で露光して形成した硬化被膜2の表面の算術平均粗さRaをRa2とした場合に、下記式:
  Ra2/Ra1≦4.5×10 -1
を満足するものである。ここで、本発明における算術平均粗さRaとは、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)に準拠して測定される表面粗さを意味し、三次元表面性状測定機等により測定することができる。また、本発明におけるRa1およびRa2の値は、硬化被膜の表面をランダムに10箇所測定したその平均値をいうものとする。具体的には非接触測定法に対応したレーザー顕微鏡VK-Xシリーズ(キーエンス株式会社製)を用いて、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)に準拠して、200μm×200μmの範囲における硬化被膜の表面を、顕微鏡の倍率を100倍としてランダムに10箇所測定し、その平均値を算出する。また、前記Ra1およびRa2を測定するための条件として、硬化被膜を形成する平面基板にはガラス基板(例えば、Corning(登録商標) EAGLE XG(登録商標)Slim等の無アルカリガラス)が用いられる。なお、硬化被膜の表面粗さは、一般的に硬化被膜を形成する際の基板表面状態にも影響されるが、硬化被膜の表面に比べてガラス基板表面は十分に平滑であるため、ガラス基板の種類によってRa1およびRa2の値が影響されることはない。さらに、紫外線1の照射には、メタルハライドランプが用いられ、紫外線2の照射には、UVオゾンクリーナー(UVランプ光源から照射面までの距離が1cm、種類:低圧水銀ランプ(溶融石英)、形状:高密度高出力グリッド型ランプ、紫外線強度:28mW/cm )が用いられる。
[0018]
 上記のようにして測定したRa1およびRa2がRa2/Ra1≦4.5×10 -1の関係を満足するようなフォトレジスト組成物であれば、弱アルカリ現像液で現像した場合であってもプリベーク、紫外線1での露光および現像を経て得られたレジスト膜は解像性が優れるとともに、その後さらに紫外線2の露光を行ったレジスト膜は優れた剥離性を有する理由は明らかではないが、以下のように推測できる。すなわち、解像性の良好な硬化被膜を得るためにはフォトレジスト組成物には光反応成分が含まれている必要がある。しかしながら、光反応成分のみであると、硬化が進み過ぎて硬化被膜の剥離性が悪化する。その一方、光に反応しない成分をフォトレジスト組成物に配合することにより剥離性は改善されるものの、解像性が不十分となる傾向にある。その他、フォトレジスト組成物にはフィラー等が配合される場合もあり、これらの成分も解像性や剥離性に影響を与えるものと考えられる。これらフォトレジスト組成物に含まれる種々の成分のバランスによって解像性や剥離性の特性が決定されるものと考えられるが、同時に、これら配合成分は硬化被膜の表面状態にも影響を与え、上記したような特定の条件を満足する表面状態が達成されるような成分バランスであれば、相反する課題である解像性と剥離性の両立が実現できるもの推察できる。但しあくまでも推察であり、本発明がかかる理論に拘束されるものではない。
[0019]
 本発明においては、解像性の観点からはRa1は10~200nmであることが好ましく、30~150nmであることがより好ましい。また、剥離性の観点からは、Ra2は4~60nmであることが好ましく、10~50nmであることがより好ましい。
[0020]
 また、Ra1およびRa2は、Ra2/Ra1≦4.5×10 -1を満足する必要があり、Ra2/Ra1≦4.0×10 -1を満足することが好ましい。
[0021]
 上記したRa1およびRa2の関係やRa1およびRa2の好ましい範囲は、上記したように、フォトレジスト組成物に含まれる露光により反応する成分(即ち、硬化性成分)とそれ以外の成分とのバランスによって調整することができる。例えば、本発明のフォトレジスト組成物を構成する成分である(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)光重合性モノマー、および(C)熱硬化性成分の種類や配合量等により調整することができ、さらには任意成分であるフィラー等の種類や配合量等によっても適宜調整することができる。以下、本発明のフォトレジスト組成物を構成する各成分について説明する。
[0022]
<(A)カルボキシル基含有樹脂>
 (A)カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種樹脂を使用できる。感光性樹脂組成物が、カルボキシル基含有樹脂を含むことにより、フォトレジスト組成物に対し弱アルカリ性の現像液であっても現像性を付与することができる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
[0023]
 (1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂、
 (2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂、
 (3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂、
 (4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂、
 (5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂、
 (6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂、
 (7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂、
 (8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、
 (9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
 (10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
 (11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
 (12)前記(1)~(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂、
等が挙げられる。
 なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
[0024]
 本発明に使用できる(A)カルボキシル基含有樹脂は、上記列挙したものに限られない。また。上記列挙した(A)カルボキシル基含有樹脂は1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。上記列挙したなかでも、カルボキシル基含有樹脂(10)、(11)等のようなフェノール性水酸基を有する化合物を出発原料と使用して合成されるカルボキシル基含有樹脂を好適に用いることができる。
[0025]
 本発明において、炭酸ナトリウム水溶液等の弱アルカリ現像液を用いる際の現像性、解像性、レジストパターンの描画性を考慮すると、(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価は50~200mgKOH/gの範囲であることが好ましく、45~120mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価は高いほど現像性や解像性は向上するものの、現像液による露光部の溶解が進むために、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離する場合がある。
[0026]
 (A)カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000の範囲であり、5,000~100,000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が2,000以上の(A)カルボキシル基含有樹脂を用いることにより、解像性やタックフリー性能を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下の(A)カルボキシル基含有樹脂を用いることにより現像性、解像性、貯蔵安定性を向上させることができる。
[0027]
 (A)カルボキシル基含有樹脂の配合量は、揮発分を含むフォトレジスト組成物の総量に対して40~80質量%であることが好ましい。40質量%以上とすることにより硬化被膜の強度を向上させることができる。また80質量%以下とすることでフォトレジスト組成物の粘性が適当となり加工性が向上する。より好ましい配合量は、50~75質量%であり、さらに好ましい配合量は、50~70質量%である。
[0028]
<(B)光重合性モノマー>
 本発明のフォトレジスト組成物に含まれる(B)光重合性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーである。光重合性モノマーとしては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類のいずれか少なくとも1種から適宜選択して用いることができる。このような光重合性モノマーは、反応性希釈剤としても用いることができる。
[0029]
 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などを光重合性モノマーとして用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
[0030]
 光重合性モノマーの配合量は、(A)カルボキシ含有樹脂のワニス100質量部に対して10~40質量部であることが好ましく、15~25質量部であることがより好ましい。光重合性モノマーの配合量を10質量部以上とすることにより、フォトレジスト組成物の光硬化性が向上する。また、配合量を40質量部以下とすることにより、硬化被膜の解像性を向上させることができる。
[0031]
 光重合性モノマーは、特にエチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有非感光性樹脂を使用した場合、組成物を光硬化性とするために光重合性モノマーを併用する必要があるため、有効である。
[0032]
<(C)熱硬化性成分>
 本発明のフォトレジスト組成物に含まれる(C)熱硬化性成分により、後工程での硬化被膜のバリアー性(例えば、エッチング耐性等)が向上するとともに、解像性と剥離性とを高次元で両立させることができる。熱硬化性成分としては、公知のものをいずれも用いることができる。例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の化合物を使用できる。特に好ましくは、分子中に複数の環状エーテル基または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する化合物を使用することができる。これらの熱硬化性成分は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0033]
 上記の分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する化合物は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
[0034]
 このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
[0035]
 市販されるエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER 828、806、807、YX8000、YX8034、834、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYD-128、YDF-170、ZX-1059、ST-3000、DIC株式会社製のEPICLON 830、835、840、850、N-730A、N-695、および日本化薬株式会社製のRE-306等が挙げられる。
[0036]
 多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
[0037]
 分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
[0038]
 メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂としては、メチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等が挙げられる。
[0039]
 イソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物を配合することができる。ポリイソシアネート化合物としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートおよび2,4-トリレンダイマー等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;並びに先に挙げたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
[0040]
 ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物を用いることができる。イソシアネートブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール系ブロック剤;ラクタム系ブロック剤;活性メチレン系ブロック剤;アルコール系ブロック剤;オキシム系ブロック剤;メルカプタン系ブロック剤;酸アミド系ブロック剤;イミド系ブロック剤;アミン系ブロック剤;イミダゾール系ブロック剤;イミン系ブロック剤等が挙げられる。
[0041]
 (C)熱硬化性成分の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂の含有するカルボキシル基1.0molあたりに対し、反応する熱硬化性成分の官能基数が0.8~2.5molが好ましく、より好ましくは1.0~2.0molである。
[0042]
 特に、(C)熱硬化性成分としてエポキシ樹脂を使用する場合は、エポキシ樹脂のエポキシ基は、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基1.0molあたり1.0~2.0molであることが好ましい。1mol以上とすることで、硬化被膜におけるカルボキシル基の残存を防止して、良好な耐熱性や耐アルカリ性、電気絶縁性等を得ることができる。また、上記配合量を2mol以下とすることで、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することを防止して、硬化被膜の強度等を良好に確保することができる。
[0043]
 本発明のフォトレジスト組成物は、上記した(A)カルボキシル基含有樹脂や(B)光重合性モノマーを露光により反応させるための(D)光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、公知のものをいずれも用いることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0044]
 光重合開始剤としては、具体的には例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィン酸エチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
[0045]
 α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 907、369、369E、 379等が挙げられる。また、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad TPO、819等が挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、BASFジャパン株式会社製のIrgacure OXE01、OXE02、株式会社ADEKA製N-1919、アデカアークルズ NCI-831、NCI-831E、常州強力電子新材料社製TR-PBG-304などが挙げられる。
[0046]
 その他、特開2004-359639号公報、特開2005-097141号公報、特開2005-220097号公報、特開2006-160634号公報、特開2008-094770号公報、特表2008-509967号公報、特表2009-040762号公報、特開2011-80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
[0047]
 光重合開始剤の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂のワニス100質量部に対して、1~20質量部であることが好ましい。1質量部以上の場合、樹脂組成物の光硬化性が良好となり、耐薬品性等の被膜特性も良好となる。また、20質量部以下の場合、アウトガスの低減効果が得られ、さらにレジスト膜(硬化被膜)表面での光吸収が良好となり、深部硬化性が低下しにくい。より好ましくは2~7質量部である。
[0048]
 上記した(D)光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。特に、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を用いることが好ましい。チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0049]
 なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として機能することがある。しかしながら、これらは樹脂組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストパターンのライン形状および開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の精度を向上させることができる。
[0050]
<(E)熱硬化触媒>
 本発明のフォトレジスト組成物は、上記した(C)熱硬化性成分の硬化を促進するための熱硬化触媒を含んでいてもよい。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業株式会社製の2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU-CAT 3513N(ジメチルアミン系化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CAT SA 102(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。
[0051]
 上記した化合物に限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくとも何れか1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。
[0052]
 上記した(E)熱硬化触媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。(E)熱硬化触媒の配合量は、樹脂組成物の保存安定性や硬化被膜の耐熱性の観点から、カルボキシル基含有樹脂のワニス100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましく、0.05~1質量部であることがより好ましい。
[0053]
<その他の成分>
 本発明のフォトレジスト組成物は、硬化被膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じてフィラーを配合することができる。フィラーとしては、公知の無機または有機フィラーが使用できるが、特に、硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイトおよびタルクが好ましく用いられる。また、難燃性を得るために金属酸化物や水酸化アルミ等の金属水酸化物を体質顔料フィラーとして使用することができる。
[0054]
 上記したフィラーのなかでも、球状シリカを好ましく使用することができる。球状シリカとしては、平均粒子径が1nm~100nmの球状シリカを用いることが好ましく、より好ましくは、平均粒子径が1nm~50nmであり、さらに好ましくは、平均粒径が2nm~50nmである。上記したような平均粒子径を有する球状シリカを配合することによっても、上記した硬化被膜の表面状態Ra1およびRa2を調整することができる。なお、平均粒子径とは、一次粒子の粒子径だけでなく、二次粒子(凝集体)の粒子径も含めた平均粒子径(D50)であり、レーザー回折法により測定されたD50の値である。レーザー回折法による測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製のMicrotrac MT3300EXII)を用いて平均粒子径を求めることができる。
[0055]
 フィラーの配合量は特に限定されるものではないが、粘度、塗布性、成形性等の観点から、樹脂組成物全体量に対して30質量%以下であることが好ましく、0~15質量%であることがより好ましい。
[0056]
 また、上記したフィラーは、フォトレジスト組成物中での分散性を高めるために表面処理されたものであってもよい。表面処理がされているフィラーを使用することで、凝集を抑制することができる。表面処理方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いればよいが、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理することが好ましい。
[0057]
 カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコアルミネート系等のカップリング剤が使用できる。中でもシラン系カップリング剤が好ましい。かかるシラン系カップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノメチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは併用して使用することができる。これらのシラン系カップリング剤は、あらかじめフィラーの表面に吸着あるいは反応により固定化されていることが好ましい。ここで、球状シリカ100質量部に対するカップリング剤の処理量は、0.5~10質量部であることが好ましい。
[0058]
 本発明のフォトレジスト組成物は、必要に応じて着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよいが、環境負荷の低減や人体への影響が少ない観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
[0059]
 赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のようなカラ-インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyersand Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
[0060]
 モノアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等が挙げられる。
 また、ジスアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 37,38,41等が挙げられる。
 また、モノアゾレーキ系赤色着色剤としては、Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等が挙げられる。
 また、ベンズイミダゾロン系赤色着色剤としては、Pigment Red 171,175,176、185、208等が挙げられる。
 また、ぺリレン系赤色着色剤としては、Solvent Red 135,179,Pigment Red 123,149,166,178,179,190,194,224等が挙げられる。
 また、ジケトピロロピロール系赤色着色剤としては、Pigment Red 254,255,264,270,272等が挙げられる。
 また、縮合アゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 220,144,166,214,220,221,242等が挙げられる。
 また、アントラキノン系赤色着色剤としては、Pigment Red 168,177,216、Solvent Red 149,150,52,207等が挙げられる。
 また、キナクリドン系赤色着色剤としては、Pigment Red 122,202,206,207,209等が挙げられる。
[0061]
 青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられ、例えば、Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,60。染料系としては、Solvent Blue 35,63,68,70,83,87,94,97,122,136,67,70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換または無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
[0062]
 黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられ、例えば、アントラキノン系黄色着色剤としては、Solvent Yellow 163,Pigment Yellow 24,108,193,147,199,202等が挙げられる。
 イソインドリノン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 110,109,139,179,185等が挙げられる。
 縮合アゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。
 ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。
 また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。
 また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
[0063]
 その他、紫、オレンジ、茶色、黒、白等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13,36、C.I.Pigment Orange 1,5,13,14,16,17,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73、PigmentBrown 23,25,カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
[0064]
 フォトレジスト組成物中の着色剤の配合量は特に限定されるものではないが、カルボキシル基含有樹脂のワニス100質量部に対して、0~5質量部とすることができる。
[0065]
 本発明のフォトレジスト組成物には、調製のし易さや塗布性の観点から有機溶剤を配合してもよい。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0066]
 本発明のフォトレジスト組成物には、さらに必要に応じてエラストマー、メルカプト化合物、ウレタン化触媒、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、重合禁止剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくともいずれか1種、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
[0067]
[ドライフィルム]
 本発明においては、液状のフォトレジスト組成物を直接基材に塗布する方法以外にも、予めポリエチレンテレフタレート等の支持フィルムにフォトレジスト組成物を塗布、乾燥して形成した樹脂層を有するドライフィルムの形態で使用することもできる。本発明のフォトレジスト組成物をドライフィルムとして使用する場合について、以下説明する。
[0068]
 ドライフィルムは、支持フィルムと、樹脂層と、必要に応じて用いられる剥離可能な保護フィルムとが、この順序に積層された構造を有するものである。樹脂層は、本発明のフォトレジスト組成物を支持フィルムまたは保護フィルムに塗布、乾燥して得られる層である。支持フィルムに樹脂層を形成した後に、保護フィルムをその上に積層するか、保護フィルムに樹脂層を形成し、この積層体を支持フィルムに積層すればドライフィルムが得られる。
[0069]
 ドライフィルムとする場合は、フォトレジスト組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、60~90℃の温度で1~40分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で150μm以下であることが好ましく、より好ましくは1~15μmの範囲で適宜選択される。
[0070]
 支持フィルムとしては、公知のものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。また、これらフィルムの積層体を支持フィルムとして使用することもできる。
[0071]
 上記したような熱可塑性樹脂フィルムは、機械的強度向上の観点から、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
[0072]
 支持フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、10μm~150μmとすることができる。
[0073]
 保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、保護フィルムを剥離するときに樹脂層と支持フィルムとの接着力よりも樹脂層と保護フィルムとの接着力がより小さいものであればよい。
[0074]
 保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、10μm~150μmとすることができる。
[0075]
 ドライフィルムを用いて後記するような基材上に硬化被膜を作製するには、ドライフィルムから保護フィルムを剥離し、ドライフィルムの露出した樹脂層を基材に重ね、ラミネーター等を用いて貼り合わせ、基材上に樹脂層を形成する。次いで、形成された樹脂層に対し、露光、現像すれば、露光時の光硬化により硬化被膜を形成することができる。
[0076]
 本発明のフォトレジスト組成物は、上記のようにドライフィルム化して用いてもよく、また液状のまま用いてもよい。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。特に保存安定性の観点から、2液にすることが好ましい。2液にした場合、上記した(A)カルボキシル基含有樹脂と、(D)光重合開始剤やそれ以外の成分とを同一の製剤に配合しても異なる製剤に配合してもよい。
[0077]
[硬化物]
 本発明のフォトレジスト組成物を硬化させることにより硬化被膜のような硬化物を得ることができる。本発明のフォトレジスト組成物は、集積回路等半導体用途に広く用いることができ、製造途中での剥離、すなわち、半永久被膜として好適に使用することができる。
[0078]
 硬化被膜を形成する基材としては、ウェハ基板、ガラス基板、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、セラミック基板等を挙げることができる。なかでも基板の平坦性の観点より、ウェハ基板やガラス基板が好ましい。ウェハ基板の中ではシリコンウェハ基板が好ましい。一方、ガラス基板の中では、Corning(登録商標)EAGLE XG(登録商標)Slim等の無アルカリガラス基板が好ましい。
[0079]
 ドライフィルムの基材上への貼合は、真空ラミネーター等を用いて、加圧および加熱下で行うことが好ましい。このような真空ラミネーターを使用することにより、回路形成された基板を用いた場合に、回路基板表面に凹凸があっても、ドライフィルムが回路基板に密着するため、気泡の混入がなく、また、基板表面の凹部の穴埋め性も向上する。加圧条件は、0.1~2.0MPa程度であることが好ましく、また、加熱条件は、40~120℃、1~5分であることが好ましい。
[0080]
 本発明のフォトレジスト組成物を塗布した後に行う揮発乾燥(プリベーク)は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。プリベークは通常80℃の温度で、20~40分間程度行われる。プリベークによりタックフリーの塗膜(樹脂層)を形成することができる。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、支持フィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
[0081]
 基材上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に紫外線1により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3~3質量%炭酸ソーダ水溶液)により30~300秒現像して硬化物のパターンを形成する。ドライフィルムの場合には、露光後、ドライフィルムから支持フィルムを剥離して現像を行うことにより、基材上にパターニングされた硬化物を形成する。なお、特性を損なわない範囲であれば、露光前にドライフィルムから支持フィルムを剥離して、露出した樹脂層を露光および現像しても良い。また、本発明においてドライフィルムのRa2/Ra1が所定の範囲内(≦4.5×10 -1)に入るか否かを確認する場合、膜厚が2μm±0.5μmの樹脂層を用いて、本発明のフォトレジスト組成物に従い確認するが、支持フィルムの剥離については露光前に剥離するものとする。
[0082]
 紫外線1の照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線1を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~450nmの範囲にあるものでよい。画像形成および光硬化のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10~2,000mJ/cm 、好ましくは20~1,500mJ/cm の範囲内とすることができる。また、露光は大気雰囲気下で行うことが好ましい。
[0083]
 現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できるが、本発明のフォトレジスト組成物であれば、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のpHが11.6以下の弱アルカリ水溶液を使用して現像しても高解像の微細パターニングが得られる。
[0084]
 樹脂層の現像を行った後、必要に応じ、特性を損なわない範囲内で、加熱処理(ポストベーク)を行ってもよい。現像後に行う加熱処理の温度や時間は、樹脂層を構成するフォトレジスト組成物の組成にもよるが、例えば90℃で20分以下とすることができる。
[0085]
 上記のようなプリベーク、露光および現像、所望によりポストベークの各工程を経た後に、硬化物にさらに露光時よりも短波長の紫外線(紫外線2)を用いて露光を行うことが好ましい。紫外線2を用いたさらなる露光により、硬化物中に残存するモノマー成分を架橋させるとともに、重合体の分解を行うことができる。残存モノマーの架橋や重合体の分解は、例えば、UVオゾンクリーナー(UVランプ光源から照射面までの距離が1cm、種類:低圧水銀ランプ(溶融石英)、形状:高密度高出力グリッド型ランプ、紫外線強度:28mW/cm )等の装置を用いて、上記した紫外線1よりも短波長の紫外線2(例えば185nm、254nm)を硬化物に照射することにより行うことができる。紫外線1を用いた露光および現像を行った硬化物に、さらに紫外線2を用いた露光を行うことにより、硬化物が下地から剥離しやすくなり、剥離性が向上する。紫外線2を用いた露光は、酸素雰囲気下で行うのが好ましい。紫外線2を用いた露光時の温度は、最高温度が80~200℃の範囲内にあることが好ましく、100~150℃の範囲内にあることがより好ましい。
[0086]
 剥離方法としては、浸漬法、噴霧法及び、枚葉方式を用いた方法等によることができ、剥離温度としては、40~60℃、剥離液としては、N-メチルピロリドン溶液等が使用できる。
[0087]
 本発明のフォトレジスト組成物は、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)等の半導体デバイスの製造プロセスにおけるリソグラフィーによる微細加工に好適に使用することができる。例えば、ウェハレベルパッケージの再配線等の形成工程に使用することができる。具体的にはLSIチップにおけるシリコーン基板等の基板のUBM層(バンプ下地金属)上にフォトレジスト組成物を用いて、パターニングされたレジスト層を形成する。パターニングされたレジスト層の塗布されていない箇所に銅配線めっきを行う。その後、レジスト層を剥離して再配線層を形成する。しかしながら、あくまでも一例であって、これに限られるものではない。
実施例
[0088]
 以下に実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
[0089]
<合成例1>
 温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(アイカ工業株式会社製、商品名「ショーノールCRG951」、OH当量:119.4)119.4g、水酸化カリウム1.19gおよびトルエン119.4gを仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8gを徐々に滴下し、125~132℃、0~4.8kg/cm で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56gを添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。次いで、得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0g、アクリル酸43.2g、メタンスルホン酸11.53g、メチルハイドロキノン0.18gおよびトルエン252.9gを、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6gの水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35gで中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1gで置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5gおよびトリフェニルフォスフィン1.22gを、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8gを徐々に加え、95~101℃で6時間反応させた。このようにして、固形分酸価88mgKOH/g、固形分71%、重量平均分子量2,000のカルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂溶液を得た。これをカルボキシル基含有樹脂ワニス1とする。
[0090]
<合成例2>
 攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けたフラスコに、GBL(ガンマブチロラクトン)848.8gとMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)57.5g(0.23モル)、DMBPDI(4,4’-ジイソシアネート-3,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル)59.4g(0.225モル)とTMA(無水トリメリット酸)67.2g(0.35モル)とTMA-H(シクロヘキサン-1,3,4-トリカルボン酸-3,4-無水物)29.7g(0.15モル)を仕込み、攪拌を行いながら発熱に注意して80℃に昇温し、この温度で1時間かけて溶解、反応させ、さらに2時間かけて160℃まで昇温した後、この温度で5時間反応させた。反応は炭酸ガスの発泡とともに進行し、系内は茶色の透明液体となった。このようにして、25℃での粘度が7Pa・sの固形分17%で溶液酸価が5.3(KOHmg/g)のカルボキシル基含有アミドイミド樹脂の溶液(樹脂がγ-ブチロラクトンに溶解した樹脂組成物)を得た。なお、樹脂の固形分酸価は31.2(KOHmg/g)、重量平均分子量は34,000であった。これをカルボキシル基含有樹脂ワニス2とする。
[0091]
<フォトレジスト組成物の調製>
 下記表1に示す成分を下記表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、各フォトレジスト組成物を調製した。なお、表1中の各成分*1~*8は、以下のとおりである。なお、表中のカルボキシル基含有樹脂ワニスの配合量はワニスの量であり、フィラーの配合量は固形分と揮発成分の合計量である。
[0092]
 *1:合成例1で得られたカルボキシル基含有樹脂ワニス1(固形分71%)
 *2:合成例2で得られたカルボキシル基含有樹脂ワニス2(固形分17%)
 *3:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad TPO、IGM Resins社製)
 *4:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村工業株式会社製)
 *5:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(A-DPH、新中村工業株式会社製)
 *6:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER 828、三菱ケミカル株式会社製)
 *7:イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤(キュアゾール 1B2PZ、四国化成株式会社製)
 *8:ナノシリカ微粒子(YA050C、株式会社アドマテックス製、平均粒子径50nm)
 *9:シリカ粒子(SO-E6、株式会社アドマテックス製、平均粒子径1.8~2.3μm)
[0093]
<硬化被膜1の作製>
 上記のようにして得られた各フォトレジスト組成物を、5cm×5cm×0.7mmtのガラス基板(Corning(登録商標) EAGLE XG(登録商標)Slim)に、乾燥後の塗膜の厚さが2±0.5μmとなるようにスピンコート法により塗布して、75℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させてプリベークを行った。次いで、塗膜に、L/S=10/10、7/7、5/5、4/4、3/3、2/2、1/1(単位はいずれもμm)のラインパターンが形成されたフォトマスクを介して、メタルハライドランプを用いて、露光量1,000mJ/cm で波長375nmの紫外線1を大気雰囲気下で照射し、その後30℃、1wt%のNa CO 水溶液を用いて180秒間の現像を行うことにより、硬化被膜1を形成した。
[0094]
 上記のようにして得られた硬化被膜1の表面の任意の10箇所を、非接触測定法に対応したレーザー顕微鏡VK-Xシリーズ(キーエンス株式会社製)を用いて、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)に準拠して算術平均粗さRaを測定し、その平均値をRa1(nm)とした。具体的には200μm×200μmの範囲における硬化被膜1の表面を、顕微鏡の倍率を100倍としてランダムに10箇所測定し、その平均値を取った。
[0095]
<硬化被膜2の作製>
 続いて、上記のようにして得られた硬化被膜1に、UVオゾンクリーナー(UVランプ光源から照射面までの距離が1cm、種類:低圧水銀ランプ(溶融石英)、形状:高密度高出力グリッド型ランプ、紫外線強度:28mW/cm )等の装置を用いて、25.2J/cm の露光量で波長185nm(10%)+254nm(90%)の紫外線2を酸素雰囲気下で照射することにより硬化被膜2を形成した。
 上記のようにして得られた硬化被膜2表面の算術平均粗さRaを、硬化被膜1と同様にして測定し、その平均値をR2(nm)とした。
 硬化被膜1のRa1、硬化被膜2のRa2、およびRa2/Ra1の値は、下記表1に示すとおりであった。なお、比較例1および2については現像不可によりファインパターン形成不可(解像性評価)のため、測定は不能であった。
[0096]
<表面硬度評価>
 硬化被膜1および硬化被膜2の表面硬度を、JIS K 5400に準拠して測定した。測定結果は下記表1に示されるとおりであった。なお、比較例1および2については現像不可によりファインパターン形成不可(解像性評価)のため、他の評価は行わなかった。
[0097]
<解像性評価>
 硬化被膜1の表面を顕微鏡で観察し、下記基準によりパターニング評価を行った。
 ○:ファインパターン(L/S≦10μm)の形成が可能
 ×:ファインパターン(L/S≦10μm)の形成不可
 評価結果は下記表1に示されるとおりであった。
[0098]
<剥離性評価>
 ガラス基板に代えてシリコンウェハ基板を用いた以外は、上記した硬化被膜2の形成と同様にして、シリコンウェハ基板上に硬化被膜を形成した。表面に硬化被膜が形成されたシリコンウェハ基板を、50℃のN-メチルピロリドン溶液に15分間浸漬させた後、シリコンウェハ基板と硬化被膜の密着状態を目視にて確認し、下記基準により剥離性の評価を行った。評価結果は下記表1に示されるとおりであった。なお、比較例1および2については現像不可によりファインパターン形成不可(解像性評価)のため、他の評価は行わなかった。
 ○:硬化被膜が基板から完全に剥離している
 ×:一部の硬化被膜が基板に付着している
 評価結果は下記表1に示されるとおりであった。
[0099]
[表1]


[0100]
 表1の結果から明らかなように、算術平均粗さの割合(Ra2/Ra1)等が本発明の構成を満たしている硬化性樹脂組成物を適用した実施例1~4は、解像性の結果より弱アルカリ現像液でも現像が可能であり、また、高解像の微細パターニングが得られることがわかり、かつ剥離性にも優れることがわかる。これに対し、本発明の必須成分を欠く比較例1および2は、各実施例に比べ、解像性に劣ることがわかる。また、算術平均粗さの割合(Ra2/Ra1)が本発明の構成を満たさない比較例3および4は、各実施例に比べ、剥離性または解像性に劣ることがわかる。

                 

請求の範囲

[請求項1]
(A)カルボキシル基含有樹脂、
(B)光重合性モノマー、および
(C)熱硬化性成分、
を含んでなる、フォトレジスト組成物であって、
 平面基板上に前記フォトレジスト組成物を、硬化後の膜厚が2μm±0.5μmとなるように塗布し、75℃で30分間のプリベーク後に、波長375nmを含む紫外線1を大気雰囲気下で1,000mJ/cm の露光量で露光して前記フォトレジスト組成物を硬化させ、続く30℃で1wt%のNa CO 水溶液を用いた180秒間の現像処理により形成した硬化被膜1の表面の算術平均粗さRaをRa1とし、
 前記硬化被膜1に対してさらに、波長185nmおよび254nmを含む紫外線2を酸素雰囲気下で25.2J/cm の露光量で露光して形成した硬化被膜2の表面の算術平均粗さRaをRa2とした場合に、下記式:
  Ra2/Ra1≦4.5×10 -1
を満たすことを特徴とする、フォトレジスト組成物。
[請求項2]
 前記(B)光重合性モノマーが(メタ)アクリレート類から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
[請求項3]
 前記(A)カルボキシル基含有樹脂は、酸価50~200mgKOH/gを有する、請求項1または2に記載のフォトレジスト組成物。
[請求項4]
 前記(A)カルボキシル基含有樹脂は、重量平均分子量5,000~100,000を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物を硬化させて得られることを特徴とする、硬化物。