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1. WO2020202652 - ホイール式作業車両

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明 細 書

発明の名称 ホイール式作業車両

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105  

符号の説明

0106  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : ホイール式作業車両

技術分野

[0001]
 本発明は、ホイール式作業車両に係り、さらに詳しくは、トランスミッションを備えたホイール式作業車両に関する。

背景技術

[0002]
 ホイール式油圧ショベルやホイールローダ等のホイール式作業車両では、走行用の油圧モータと車輪の間にトランスミッションを介在させたものがある。トランスミッションは、走行用の油圧モータの回転動力を車輪に対して変速して伝達する。このようなホイール式作業車両の中には、トランスミッションの変速時のショックを抑えるため、トランスミッションをハイ(第1の変速比)からロー(第2の変速比)に切り換える際に、油圧ポンプからの圧油により駆動する可変容量型の油圧モータの傾転角(容量)を所定値まで低下させるものがある(例えば、特許文献1を参照)。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2012-52580号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 特許文献1に記載の作業車両の走行制御装置は、ホイールローダに適用されたものである。ホイールローダでは、走行用の油圧モータに圧油を供給する走行用の油圧ポンプに加えて、フロント作業機を駆動する油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)に圧油を供給する作業機用の油圧ポンプを更に備えることが一般的である。このような構成では、走行用の油圧ポンプの傾転角(容量)の制御と作業機用の油圧ポンプの傾転角(容量)の制御は独立して行われる。また、走行用の油圧ポンプの傾転角は、一般的に、走行用の油圧モータの傾転角の変化に応じて変更するように制御される。
[0005]
 したがって、特許文献1に記載の作業車両の走行制御装置のように、トランスミッションをハイからローに切り換える際に走行用の油圧モータの傾転角を変更する場合、それに応じて走行用の油圧ポンプの傾転角も変更されることとなる。走行用の油圧ポンプの傾転角の制御と作業機用の油圧ポンプの傾転角の制御とは個別に独立して行われるので、走行用の油圧ポンプの傾転角が変更されても、作業機用の油圧ポンプの傾転角が変更されることはない。したがって、上述したようなホイールローダでは、トランスミッションのハイからローへの切換え時に走行用の油圧モータの傾転角を変更しても、フロント作業機の操作に影響を及ぼすことはない。
[0006]
 ところで、ホイール式油圧ショベルでは、一般的に、走行用の油圧モータに圧油を供給する油圧ポンプが作業機用の油圧アクチュエータに対しても圧油を供給する。また、ホイール式油圧ショベルでも、ホイールローダと同様に、油圧ポンプの傾転角を走行用の油圧モータの傾転角の変化に応じて制御することが一般的である。このような構成のホイール式油圧ショベルにおいて、特許文献1に記載の作業車両の走行制御装置と同様に、トランスミッションをハイからローに切り換える際に走行用の油圧モータの傾転角を変更すると、それに応じて油圧ポンプの傾転角も変更される。ホイール式油圧ショベルの油圧ポンプは、走行用の油圧モータだけでなく、作業機用の油圧アクチュエータに対しても圧油を供給するので、走行用の油圧モータの傾転角の変更に伴う油圧ポンプの傾転角の制御により作業機用の油圧アクチュエータの駆動に影響を及ぼすことがある。
[0007]
 このように、走行用の油圧モータに圧油を供給する油圧ポンプと作業機用の油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプが共通であるホイール式作業車両においては、トランスミッションのハイからローへの切換時における走行用の油圧モータの傾転角の変更によって、フロント作業機の操作性に影響が生じて作業効率の低下を招く虞がある。
[0008]
 本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、作業機の操作性に影響を及ぼすことなくトランスミッションの高速段から低速段への切換え時のショックを緩和することができるホイール式作業車両を提供することである。

課題を解決するための手段

[0009]
 本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、原動機と、前記原動機により駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給される圧油により駆動する走行用油圧モータと、前記走行用油圧モータの回転動力により駆動する車輪と、第1速度段と前記第1速度段よりも高速段の第2速度段の少なくとも2段階の速度段を有し、前記走行用油圧モータと前記車輪との間に介在して前記走行用油圧モータの回転動力を前記車輪に対して変速して伝達するトランスミッションと、前記油圧ポンプから前記走行用油圧モータへの圧油の供給を遮断する第1遮断位置を有し、前記油圧ポンプから前記走行用油圧モータに供給される圧油の方向及び流量を制御する走行用制御弁と、位置を選択的に切り換えることで前記トランスミッションに対する圧油の給排により前記トランスミッションの速度段を切り換える切換弁と、前記走行用制御弁及び前記切換弁を制御するコントローラとを備えたホイール式作業車両において、前記コントローラは、前記トランスミッションの速度段を前記第2速度段から前記第1速度段へ切り換える場合、前記走行用制御弁を前記第1遮断位置へ切り換えた後、前記トランスミッションの速度段が前記第2速度段から前記第1速度段へ切り換わるように前記切換弁の位置を切り換え、前記走行用制御弁を前記第1遮断位置から切換前の元の位置側へ切り換えることを特徴とする。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、コントローラが走行用制御弁を第1遮断位置へ切り換えた後に切換弁の位置を切り換えるように制御するので、油圧ポンプから走行用油圧モータへの圧油の供給が遮断されて走行用油圧モータの回転速度が低下してからトランスミッションを高速段の第2速度段から低速段の第1速度段へ切り換えることができる。この場合、トランスミッションの低速段への切換時に油圧ポンプや走行用油圧モータの容量を変更する必要がない。したがって、ホイール式作業車両が作業機を備えている場合でも、作業機の操作性に影響を及ぼすことなくトランスミッションの高速段から低速段へ切換時のショックを緩和することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態としてのホイール式油圧ショベルを示す側面図である。
[図2] 本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態における油圧回路及び走行用動力伝達機構を示す図である。
[図3] 図2に示す本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラの機能ブロック図である。
[図4] 図3に示す本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラにおけるトランスミッションの高速段から低速段への切換時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
[図5] 本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の変形例における油圧回路及び走行用動力伝達機構を示す図である。
[図6] 図5に示す本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の変形例の一部を構成するコントローラの機能ブロック図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、本発明のホイール式作業車両の実施の形態について図面を用いて説明する。本説明では、本発明を適用するホイール式作業車両の一例としてホイール式油圧ショベルを例示する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明のホイール式作業車両の第1の実施形態としてのホイール式油圧ショベルの構成について図1を用いて説明する。図1は本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態としてのホイール式油圧ショベルを示す側面図である。図1中の左右方向をホイール式油圧ショベルの前後方向として説明する。
[0013]
 図1において、ホイール式油圧ショベル1は、自走可能なホイール式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えている。下部走行体2と上部旋回体3は、ホイール式油圧ショベル1の車両本体を構成している。上部旋回体3の前部には、フロント作業機4が俯仰動可能に設けられている。
[0014]
 下部走行体2は、前後方向に延在したボックス構造体からなるシャーシ11と、シャーシ11の前側に設けられた左右の前輪12(左側のみ図示)及びシャーシ11の後側に設けられた左右の後輪13(左側のみ図示)とを備えている。シャーシ11の前後方向中央部の下側には、走行用油圧モータ52及び走行用油圧モータ52に連結されたトランスミッション15が配置されている。下部走行体2には、後述の傾斜角センサ30(図2参照)が取り付けられている。
[0015]
 上部旋回体3は、オペレータが搭乗する運転室21と、各種装置を収容する機械室22とを含んでいる。運転室21には、オペレータがフロント作業機4を操作するための作業機用操作装置(図示せず)、後述の走行ペダル62a(図2参照)、後述の前後進切換指示装置25(図2参照)、後述の変速指示装置26(図2参照)などが配置されている。機械室22には、例えば、後述の原動機28や油圧ポンプ51(共に図2参照)などが収容されている。
[0016]
 フロント作業機4は、掘削作業等を行うための多関節型の作業装置であり、例えば、ブーム41、アーム42、アタッチメントとしてのバケット43を備えている。ブーム41は、上部旋回体3の前部に回動可能に連結されている。アーム42は、ブーム41の先端部に回動可能に連結されている。バケット43は、アーム42の先端部に回動可能に連結されている。ブーム41、アーム42、バケット43は、それぞれ油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ45、アームシリンダ46、バケットシリンダ47によって駆動される。
[0017]
 次に、本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態における油圧回路及び走行用動力伝達機構の構成について図2を用いて説明する。図2は本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態における油圧回路及び走行用動力伝達機構を示す図である。
[0018]
 図2において、油圧回路は、エンジン又は電動モータ等の原動機28により駆動される油圧ポンプ51と、油圧ポンプ51から供給される圧油により駆動する走行用油圧モータ52と、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52に供給される圧油の方向及び流量を制御する走行用制御弁53とを備えている。油圧ポンプ51は、吐出管路54を介して走行用制御弁53に接続されている。走行用油圧モータ52は、第1主管路55及び第2主管路56を介して走行用制御弁53に接続されている。走行用制御弁53と走行用油圧モータ52の間には、第1主管路55又は第2主管路56内に生じる走行用油圧モータ52の駆動圧(負荷圧)に応じて位置が切り換わるカウンタバランス弁57が介装されている。第1主管路55と第2主管路56との間には、第1主管路55及び第2主管路56の最高圧力をそれぞれ規制する第1リリーフ弁58及び第2リリーフ弁59が設けられている。
[0019]
 油圧ポンプ51は、例えば、可変容量型の油圧ポンプであり、ポンプ容量(斜板や斜軸の傾転角)を調整するポンプレギュレータ51aを有している。ポンプレギュレータ51aは、後述のコントローラ100からポンプ容量制御信号が入力され、当該制御信号に基づき斜板や斜軸の傾転角を変更することで、油圧ポンプ51のポンプ容量を調整する。
[0020]
 走行用油圧モータ52は、例えば、可変容量型の油圧モータであり、モータ容量(斜板又は斜軸の傾転角)を調整するモータレギュレータ52aを有している。モータレギュレータ52aは、後述のコントローラ100からモータ容量制御信号が入力され、当該制御信号に基づき斜板や斜軸の傾転角を変更することで、走行用油圧モータ52のモータ容量を調整する。
[0021]
 走行用制御弁53は、例えば、4ポート3位置型の制御弁であり、中立位置(遮断位置)Nから前進位置F(図2中、左側)又は後進位置R(図2中、右側)に連続的に切換可能である。走行用制御弁53は、油圧ポンプ51からの圧油が吐出管路54を介して供給されるポンプポート53a、作動油タンク60に連通するタンクポート53b、走行用油圧モータ52側に接続される第1接続ポート53c及び第2接続ポート53dを有している。走行用制御弁53の中立位置(遮断位置)Nは、ポンプポート53aと第1及び第2接続ポート53c、53dとの連通が遮断されると共にタンクポート53bと第1及び第2接続ポート53c、53dとの連通が遮断される一方、第1接続ポート53cと第2接続ポート53dとが連通し、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52への圧油の供給を遮断する位置である。中立位置Nでは、第1接続ポート53cと第2接続ポート53dとに連通する油路に絞り53jが設けられている。前進位置Fは、ポンプポート53aと第1接続ポート53cとが連通すると共にタンクポート53bと第2接続ポート53dとが連通し、油圧ポンプ51からの圧油により走行用油圧モータ52が正転する位置である。後進位置Rは、ポンプポート53aと第2接続ポート53dとが連通すると共にタンクポート53bと第1接続ポート53cとが連通し、油圧ポンプ51からの圧油により走行用油圧モータ52が逆転する位置である。
[0022]
 走行用制御弁53は、例えば、両端部にそれぞれ第1パイロット受圧部53f(図2中、左側の受圧部)及び第2パイロット受圧部53g(図2中、右側の受圧部)を有し、操作パイロット圧の供給により駆動する油圧パイロット式の制御弁である。走行用制御弁53は、走行パイロット油圧回路からの操作パイロット圧(パイロット2次圧)を第1パイロット受圧部53f又は第2パイロット受圧部53gに作用させることで、スプールの位置(切換方向とストローク量)が制御され、スプールの位置(ストローク量)に応じて弁開口面積が連続的に変化する。また、走行用制御弁53は、操作パイロット圧の供給が遮断されて両端部にそれぞれ設けられたスプリング53hによって中立位置Nに保持される。
[0023]
 走行パイロット油圧回路は、パイロット油圧源61と、パイロット油圧源61の吐出圧を1次圧として、走行ペダル62aの操作量(踏込量)に応じてパイロット2次圧を生成する走行パイロット弁62と、走行パイロット弁62に後続し、前後進切換指示装置25の操作位置に応じて前進位置f、後進位置r、中立位置nが選択されるセレクタ弁63とを有している。
[0024]
 走行ペダル62a及び走行パイロット弁62は、走行を指示する走行操作装置を構成し、走行ペダル62aの操作量に応じて生成したパイロット2次圧(操作パイロット圧)により走行用制御弁53のストローク量を調整する。これより、走行用油圧モータ52へ供給される圧油の流量が制御され、最終的に車両の走行速度が調整される。
[0025]
 前後進切換指示装置25は、切換操作レバー25aの操作位置に応じて車両の前進、後進、中立(停止)のいずれかの走行方向を指示するものである。具体的には、前後進切換指示装置25は、前進位置F、後進位置R、中立位置Nの切換操作レバー25aの3つの操作位置に応じて前進指示信号、後進指示信号、中立指示信号のいずれかの走行方向指示信号をコントローラ100へ出力する。
[0026]
 セレクタ弁63は、走行用制御弁53の第1パイロット受圧部53f及び第2パイロット受圧部53gに対して操作パイロット圧の供給又は供給の遮断を行うことで走行用制御弁53の駆動を制御するものであり、第1パイロットライン64及び第2パイロットライン65を介して走行用制御弁53の第1パイロット受圧部53f及び第2パイロット受圧部53gに接続されている。セレクタ弁63は、例えば、4ポート3位置型の切換弁であり、前後進切換指示装置25の前進位置Fに対応する前進位置f、前後進切換指示装置25の後進位置Rに対応する後進位置r、前後進切換指示装置25の中立位置Nに対応する中立位置nへ選択的に切り換えることが可能である。セレクタ弁63の中立位置(遮断位置)nは、走行パイロット弁62からの操作パイロット圧(パイロット2次圧)の走行用制御弁53への供給を遮断する位置である。前進位置fは、走行用制御弁53の第1パイロット受圧部53fに操作パイロット圧を供給する位置である。後進位置rは、走行用制御弁53の第2パイロット受圧部53gに操作パイロット圧を供給する位置である。
[0027]
 また、セレクタ弁63は、両端部にそれぞれ第1ソレノイド63a及び第2ソレノイド63bを有する電磁式の切換弁である。セレクタ弁63は、後述のコントローラ100から第1ソレノイド63aへの駆動電力の供給により前進位置fに切り換わる一方、第2ソレノイド63bへの駆動電力の供給により後進位置rに切り換わる。また、後述のコントローラ100からの第1及び第2ソレノイド63a、63bへの駆動電力の供給が停止され、両端部にそれぞれ設けられたスプリング63cによって中立位置nに保持される。
[0028]
 セレクタ弁63が前進位置fまたは後進位置rに切り換えられた状態で走行ペダル62aが踏み込み操作されると、操作量に応じたパイロット2次圧が走行パイロット弁62により生成されて走行用制御弁53の第1又は第2パイロット受圧部53f、53gに作用し、走行用制御弁53が中立位置Nから前進位置F側又は後進位置R側へパイロット2次圧の大きさに応じて切り換わる。これにより、油圧ポンプ51から走行用制御弁53を介して走行用油圧モータ52に圧油が流量調整された状態で供給され、走行用油圧モータ52が圧油の流量に応じて回転駆動する。一方、セレクタ弁63が中立位置nに切り換えられた状態では、走行用制御弁53の第1及び第2パイロット受圧部53f、53gにパイロット2次圧が作用せず、走行用制御弁53は中立位置Nに切り換わる。これにより、走行ペダル62aの操作に関わらず油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52への圧油の供給が遮断される。すなわち、走行用油圧モータ52の駆動力がなくなる。
[0029]
 カウンタバランス弁57は、走行用制御弁53と走行用油圧モータ52の間の第1主管路55又は第2主管路56内の圧力がパイロット圧として作用して、中立位置Nから前進位置F側(図2中、左側)または後進位置R側(図2中、右側)に連続的に切り換わるものである。カウンタバランス弁57は、中立位置Nにおいて絞り57aを有している。カウンタバランス弁57は、走行用油圧モータ52がポンプ作用をするような運転状態において走行用油圧モータ52の吐出側となる第1主管路55又は第2主管路56に背圧(ブレーキ圧)を発生させる機能を有している。
[0030]
 具体的には、カウンタバランス弁57は、走行用制御弁53と走行用油圧モータ52の間の第1主管路55又は第2主管路56内に生じる走行用油圧モータ52の駆動圧が上昇すると、中立位置Nから前進位置F側または後進位置R側に切り換わり、当該駆動圧が低下すると中立位置N側に切り換わる。カウンタバランス弁57が中立位置Nに切り換わった状態では、走行用油圧モータ52からの戻り油がカウンタバランス弁57の絞り57aによって、カウンタバランス弁57と走行用油圧モータ52の間の第1主管路55又は第2主管路56に走行用油圧モータ52の回転に対抗する制動圧力(ブレーキ圧)が発生する。走行用油圧モータ52に対する制動圧力の最高圧は第1及び第2リリーフ弁58、59により制限される。第1及び第2リリーフ弁58、59を通過した戻り油は走行用油圧モータ52の吸入側に導かれる。
[0031]
 走行用油圧モータ52の回転動力は、動力伝達機構を介して前輪12及び後輪13に伝達される。具体的には、走行用油圧モータ52の出力軸には、トランスミッション15の入力軸71が連結されている。トランスミッション15の出力軸78は、前後のプロペラシャフト16に連結されている。走行用油圧モータ52からトランスミッション15を介して前後のプロペラシャフト16に伝達された回転動力は、それぞれ前後の車軸(アクスル)17を介して前輪12及び後輪13に伝達される。
[0032]
 トランスミッション15は、走行用油圧モータ52と前輪12及び後輪13(車輪)との間に介在し、走行用油圧モータ52の回転動力を前輪12及び後輪13に変速して伝達するものである。トランスミッション15は、後述の変速指示装置26の切換操作レバー26aの操作位置に応じて、低速段(第1速度段)と高速段(第1速度段よりも高速段の第2速度段)の2段階の速度段に圧油の給排により切換可能なものである。
[0033]
 トランスミッション15は、例えば、入力軸71に固定された入力ギア72と、入力ギア72の回転数を減速する減速ギア73と、減速ギア73の回転を高速側ギア列74に接続する高速側クラッチ機構75と、減速ギア73の回転を低速側ギア列76に接続する低速側クラッチ機構77とを備えている。高速側クラッチ機構75及び低速側クラッチ機構77は、パイロット油圧源61からのパイロット圧の供給により押圧されることでクラッチが接続する一方、パイロット圧の供給の遮断により押圧力が除去されることでクラッチの接続が解除される(切断される)。このトランスミッション15は、例えば、高速側クラッチ機構75及び低速側クラッチ機構77のクラッチを完全な接続状態と完全な切断状態とのみに切り換えることができるように構成されたものである。ただし、クラッチの接続時のショックを緩和するために、クラッチの低速な接続が可能な構成である。例えば、高速側クラッチ機構75及び低速側クラッチ機構77にパイロット圧を作用させるパイロットラインに絞りを設けることで、クラッチの移動速度を低下させることが可能である。
[0034]
 変速指示装置26は、切換操作レバー26aの操作位置に応じてトランスミッション15の速度段を低速段または高速段のいずれかに指示するものである。具体的には、変速指示装置26は、高速段位置Hまたは低速段位置Lの切換操作レバー26aの2つの操作位置に応じて、トランスミッション15の速度段を高速段に指示する高速段指示信号またはトランスミッション15の速度段を低速段に指示する低速段指示信号のいずれかの変速指示信号をコントローラ100へ出力する。
[0035]
 トランスミッション15の速度段の切換には、変速用切換弁79が用いられている。変速用切換弁79は、位置を選択的に切り換えることで、トランスミッション15の高速側クラッチ機構75及び低速側クラッチ機構77に対する圧油の給排によりトランスミッション15の速度段を切り換えるものである。
[0036]
 変速用切換弁79は、例えば、4ポ一ト2位置型の切換弁であり、変速指示装置26の高速段位置Hの操作位置に対応する高速段位置H、または、変速指示装置26の低速段位置Lの操作位置に対応する低速段位置Lへ選択的に切り換えることが可能である。変速用切換弁79は、一端部にソレノイド79aを他端部にスプリング79bを有する電磁式の切換弁である。変速用切換弁79は、スプリング79bによって高速段位置Hに保持される一方、後述のコントローラ100からソレノイド79aへの駆動電力の供給により低速段位置Lに切り換わる。
[0037]
 変速用切換弁79の高速段位置Hでは、パイロット油圧源61からのパイロット圧油が高速側クラッチ機構75に供給される一方、低速側クラッチ機構77からパイロット圧油が作動油タンク60に排出される。低速段位置Lでは、パイロット油圧源61からのパイロット圧油が低速側クラッチ機構77に供給される一方、高速側クラッチ機構75からパイロット圧油が作動油タンク60に排出される。変速用切換弁79が高速段位置Hに切換えられると、高速側クラッチ機構75により減速ギア73と高速側ギア列74が接続される一方、低速側クラッチ機構77による減速ギア73と低速側ギア列76との接続が切断される。一方、変速用切換弁79が低速側位置に切り換えられると、低速側クラッチ機構77により減速ギア73と低速側ギア列76が接続される一方、高速側クラッチ機構75による減速ギア73と高速側ギア列74との接続が切断される。
[0038]
 油圧回路は、さらに、油圧ポンプ51から供給される圧油により駆動する作業機用油圧アクチュエータ81と、油圧ポンプ51から作業機用油圧アクチュエータ81に供給される圧油の方向及び流量を制御する作業機用制御弁82とを備えている。ホイール式油圧ショベル1(図1参照)は、作業機用油圧アクチュエータ及びそれに対応する制御弁を複数備えるものであるが、図2中、作業機用油圧アクチュエータ及びそれに対応する制御弁をそれぞれ1つのみ図示している。作業機用油圧アクチュエータ81は、例えば、フロント作業機4を駆動するブームシリンダ45、アームシリンダ46、バケットシリンダ47等である。作業機用制御弁82は、例えば、3位置型の制御弁であり、連続的に切り換えることが可能である。作業機用制御弁82は、吐出管路54及び吐出管路54から分岐した分岐管路84を介して油圧ポンプ51に接続されている。作業機用制御弁82は、一対の主管路85を介して作業機用油圧アクチュエータ81に接続されている。
[0039]
 コントローラ100は、前後進切換指示装置25と電気的に接続されており、前後進切換指示装置25から切換操作レバー25aの操作位置に応じて前進指示信号、後進指示信号、又は中立指示信号のいずれかの走行方向指示信号が入力される。また、コントローラ100は、変速指示装置26と電気的に接続されており、変速指示装置26から切換操作レバー26aの操作位置に応じて高速段指示信号又は低速段指示信号のいずれかの変速指示信号が入力される。また、コントローラ100には、傾斜角センサ30が電気的に接続されている。傾斜角センサ30は、ホイール式作業車両1の車両本体の進行方向の水平面に対する傾斜角を検出するものであり、検出信号(検出値)をコントローラ100に出力する。
[0040]
 コントローラ100は、セレクタ弁63の第1及び第2ソレノイド63a、63bに電気的に接続されており、セレクタ弁63の位置を直接的に制御することで、セレクタ弁63を介して間接的に走行用制御弁53の位置を制御するものである。具体的には、コントローラ100は、セレクタ弁63を前進位置f、後進位置r、または、中立位置nのいずれかの位置に制御する走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力する。本構成では、コントローラ100のセレクタ弁63への走行用弁制御信号の出力とは、セレクタ弁63を前進位置fに切り換える場合には第1ソレノイド63aへの駆動電力の出力を、後進位置rへの切換の場合には第2ソレノイド63bへの駆動電力の出力を、中立位置nへの切換の場合には第1ソレノイド63a及び第2ソレノイド63bへの駆動電力の出力の停止を意味する。
[0041]
 コントローラ100は、変速用切換弁79のソレノイド79aに電気的に接続されており、変速用切換弁79の位置を制御するものである。具体的には、コントローラ100は、変速用切換弁79を高速段位置Hまたは低速段位置Lのいずれかの位置に制御する変速用弁制御信号を変速用切換弁79へ出力する。本構成では、コントローラ100の変速用切換弁79への変速用弁制御信号の出力とは、変速用切換弁79を低速段位置Lに切り換える場合にはソレノイド79aへの駆動電力の出力を、高速段位置Hへの切換の場合にはソレノイド79aへの駆動電力の出力の停止を意味する。
[0042]
 コントローラ100は、走行用油圧モータ52のモータレギュレータ52aに電気的に接続されており、各種センサの検出値等に基づいてモータ容量(傾転角)を調整するモータ容量制御信号をモータレギュレータ52aへ出力する。また、コントローラ100は、油圧ポンプ51のポンプレギュレータ51aに電気的に接続されており、作業機用操作装置の操作量や各種センサの検出値、走行用油圧モータ52のモータ容量等に基づいてポンプ容量(傾転角)を調整するポンプ容量制御信号をポンプレギュレータ51aへ出力する。コントローラ100は、例えば、走行用油圧モータ52のモータ容量の増減に連動させて油圧ポンプ51のモータ容量を調整することが可能である。
[0043]
 次に、本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラについて図3を用いて説明する。図3は図2に示す本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラの機能ブロック図である。
[0044]
 コントローラ100は、例えば、RAMやROM等からなる記憶装置101と、CPUを含む処理装置102とを備えている。記憶装置101には、処理装置102の演算に必要なプラグラムや各種情報が予め記憶されている。記憶装置101として、ROM及びRAMの半導体メモリに代えて又は加えて、ハードディスクドライブ等の磁気記憶装置を備える構成も可能である。処理装置102は、記憶装置101からプログラムや各種情報を適宜読み込み、当該プログラムに従って処理を実行することで以下の機能を含む各種の機能を実現する。
[0045]
 コントローラ100は、記憶部111、低速段切換判定部112、登坂走行判定部113、弁制御部114として機能する構成を備えている。
[0046]
 記憶部111には、予め定められた設定傾斜角θsが記憶されている。設定傾斜角θsは、傾斜角センサ30から入力される検出値(検出傾斜角)Θの比較対象であり、ホイール式作業車両1の登坂走行の有無を判定するために用いられる値である。また、記憶部111には、予め定められた設定時間ts及びΔtが記憶されている。設定時間tsは、弁制御部114が計測する後述の経過時間Tの比較対象であり、弁制御部114のセレクタ弁63に対する後述の制御のために用いられる値である。設定時間tsは、変速用切換弁79の位置の切換により高速側クラッチ機構75及び低速側クラッチ機構77が切断状態から完全に接続された状態へ移行するまでの所定の時間よりも長くなるように設定されている。Δtは、設定時間tsから差し引く値であり、ホイール式作業車両1の登坂走行時に、弁制御部114の経過時間Tの比較対象(閾値)を設定時間tsよりも短い時間となるように設定するものである。
[0047]
 低速段切換判定部112は、変速指示装置26から出力された変速指示信号に基づき、トランスミッション15の速度段を高速段から低速段へ切り換えるシフトダウンの指示の有無を判定する。具体的には、変速指示装置26からの変速指示信号が高速段指示信号から低速段指示信号へ切り換わったか否かを判定する。変速指示信号が高速段指示信号から低速段指示信号へ切り換わった場合には、シフトダウンの指示有りと判定して弁制御部114へ出力する。一方、高速段指示信号から低速段指示信号への切換えが行われていない場合には、シフトダウンの指示が無いと判定して弁制御部114へ出力する。
[0048]
 登坂走行判定部113は、傾斜角センサ30から入力された検出値(検出傾斜角)Θに基づきホイール式作業車両1が登坂走行しているか否かを判定する。具体的には、傾斜角センサ30からの検出値Θを記憶部111に予め記憶されている設定傾斜角θsと比較することで作業車両が登坂走行しているか否かを判定する。傾斜角センサ30からの検出値Θが設定傾斜角θsよりも大きい場合には、作業車両が登坂走行していると判定して弁制御部114へ出力する。一方、傾斜角センサ30からの検出値Θが設定傾斜角θs以下の場合には、作業車両が登坂走行してないと判定して弁制御部114へ出力する。
[0049]
 弁制御部114は、前後進切換指示装置25の走行方向指示信号、低速段切換判定部112の判定、登坂走行判定部113の判定に基づき、セレクタ弁63の位置を制御する走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力する。また、変速指示装置26の変速指示信号、低速段切換判定部112の判定、登坂走行判定部113の判定に基づき、変速用切換弁79の位置を制御する変速用弁制御信号を変速用切換弁79へ出力する。
[0050]
 具体的には、シフトダウンの指示が無いと低速段切換判定部112が判定した場合、弁制御部114は、前後進切換指示装置25からの走行方向指示信号に基づき、セレクタ弁63を前進位置f、後進位置r、または、中立位置nのいずれかの位置に制御する走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力する。また、変速指示装置26からの変速指示信号に基づき、変速用切換弁79を高速段位置Hまたは低速段位置Lのいずれかの位置に制御する変速用弁制御信号を変速用切換弁79へ出力する。
[0051]
 一方、シフトダウンの指示が有りと低速段切換判定部112が判定した場合、弁制御部114は、前後進切換指示装置25からの走行方向指示信号にも関わらずセレクタ弁63を中立位置nへ切り換える走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力した後に、変速用切換弁79を低速段位置Lに切り換える変速用弁制御信号を変速用切換弁79へ出力する。続いて、変速用弁制御信号を出力してからの経過時間Tを計測し、当該経過時間Tが後述の閾値を超えた後にセレクタ弁63を中立位置nから切換前の元の位置である前進位置f又は後進位置rへ切り換える走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力する。
[0052]
 本実施の形態においては、弁制御部114が登坂走行判定部113の判定に基づき経過時間Tと比較する閾値を変更する。具体的には、ホイール式作業車両1が登坂走行していないと登坂走行判定部113が判定した場合には、閾値として記憶部111に予め記憶されている設定時間tsを用いる。一方、ホイール式作業車両1が登坂走行していると登坂走行判定部113が判定した場合には、閾値として記憶部111に予め記憶されているΔtを設定時間tsから差し引いたts-Δtを用いる。なお、Δtは、傾斜角センサ30の検出値の大きさに応じて調整することも可能である。
[0053]
 次に、本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラにおけるトランスミッションのシフトダウン時の処理手順の一例を図3及び図4を用いて説明する。図4は図3に示す本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラにおけるトランスミッションの高速段から低速段への切換時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
[0054]
 図3に示すコントローラ100では、変速指示装置26からの変速指示信号に基づき、低速段切換判定部112がトランスミッション15(図2参照)のシフトダウンの指示の有無を判定する(図4に示すステップS10)。具体的には、変速指示装置26の変速指示信号が高速段指示信号から低速段指示信号へ切り換えられた場合には、シフトダウンの指示が有り(YES)と判定する。一方、変速指示装置26の変速指示信号が高速段指示信号の維持、低速段指示信号の維持、又は、低速段指示信号から高速段指示信号への切換の場合には、シフトダウンの指示が無い(NO)と判定する。シフトダウンの指示が有り(YES)と判定した場合には、ステップS20に進む。一方、シフトダウンの指示が無い(NO)と判定した場合には、シフトダウン時の処理手順を終了する。
[0055]
 ステップS10においてYESと判定した場合、コントローラ100の弁制御部114がセレクタ弁63を中立位置n(図2参照)に切り換える走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力する(図4に示すステップS20)。シフトダウンの指示が行われる場合、通常、ホイール式作業車両1(図2参照)は前進方向又は後進方向へ走行中である。つまり、前後進切換指示装置25は、前進指示信号又は後進指示信号のいずれかの走行方向指示信号をコントローラ100へ出力している。この走行方向指示信号に基づき、弁制御部114はセレクタ弁63を前進位置fまたは後進位置rのいずれかに制御する走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力している。この状態においてシフトダウンの指示が有りと判定した場合、トランスミッション15をシフトダウンする前に、弁制御部114は、前後進切換指示装置25の走行方向指示信号に関わらず、セレクタ弁63を前進位置fまたは後進位置rから中立位置nへ切り換える。これにより、走行用制御弁53(図2参照)の第1パイロット受圧部53f及び第2パイロット受圧部53gへの操作パイロット圧の供給を一時的に遮断させ、走行用制御弁53を中立位置Nに切り換える。この結果、走行動力が消失した状態となる。
[0056]
 次に、弁制御部114は、変速用切換弁79を低速段位置Lへ切り換える変速用弁制御信号を変速用切換弁79へ出力する(図4に示すステップS30)。これにより、変速用切換弁79を高速段位置Hから低速段位置L(図2参照)へ切り換え、高速側クラッチ機構75(図2参照)の接続を切断する一方、低速側クラッチ機構77(図2参照)を接続させる。ただし、変速用切換弁79の低速段位置Lへの切換により、高速側クラッチ機構75へのパイロット圧油の供給の遮断及び低速側クラッチ機構77へのパイロット圧油の供給が開始された後、高速側クラッチ機構75の機械的な切断の完了及び低速側クラッチ機構77の機械的な接続の完了までには所定の時間を要する。
[0057]
 次いで、変速用切換弁79への変速用弁制御信号の出力からの経過時間Tを弁制御部114が計測する(図4に示すステップS40)。これは、高速側クラッチ機構75の機械的な切断が完了し、かつ、低速側クラッチ機構77の機械的な接続が完了した後に、中立位置nへ切り換えたセレクタ弁63を元の位置(前進位置fまたは後進位置r)に戻すようにするためである。
[0058]
 それから、コントローラ100の登坂走行判定部113が傾斜角センサ30からの検出値Θに基づきホイール式作業車両が登坂走行しているか否かを判定する(図4に示すステップS50)。具体的には、傾斜角センサ30からの検出値Θが記憶部111に予め記憶されている設定傾斜角θs以下の場合には、ホイール式作業車両が登坂走行していない(NO)と判定する。一方、傾斜角センサ30からの検出値Θが設定傾斜角θsよりも大きい場合には、ホイール式作業車両が登坂走行している(YES)と判定する。ホイール式作業車両1が登坂走行していない(NO)と判定した場合には、ステップS60に進む。一方、ホイール式作業車両1が登坂走行している(YES)と判定した場合には、ステップS70に進む。
[0059]
 ステップS50においてNOと判定した場合、弁制御部114の計測する経過時間Tが閾値を超えているか否かを弁制御部114が判定する(図4に示すステップS60)。ホイール式作業車両1が登坂走行していない場合、記憶部111に予め記憶されている設定時間tsが閾値として用いられる。経過時間Tが閾値(設定時間ts)を超えていない(NO)と判定した場合には、ステップS60に戻り、経過時間Tが閾値(設定時間ts)を超えるまでステップS60の処理を繰り返す。一方、経過時間Tが閾値(設定時間ts)を超えた(YES)と判定した場合には、ステップS80に進む。
[0060]
 一方、ステップS50においてYESと判定した場合、弁制御部114の計測する経過時間Tが閾値を超えているか否かを弁制御部114が判定する(図4に示すステップS70)。この場合、設定時間tsからΔtを差し引いた値が閾値として用いられる。これは、ホイール式作業車両1が登坂走行しているときに走行動力の消失状態が継続されると、ホイール式作業車両1が重力により進行方向とは逆向きにずり落ちる虞がある。そこで、登坂走行時にはそれ以外の場合よりも走行動力の消失状態の早期終了を図るものである。経過時間Tが閾値(設定時間ts-Δt)を超えていない(NO)と判定した場合には、ステップS70に戻り、経過時間Tが閾値(設定時間ts-Δt)を超えるまでステップS70の処理を繰り返す。一方、経過時間Tが閾値(設定時間ts-Δt)を超えた(YES)と判定した場合には、ステップS80に進む。
[0061]
 ステップS60又はステップS70においてYESと判定した場合、弁制御部114は、前後進切換指示装置25の走行方向指示信号に基づいて、中立位置nへ切り換えたセレクタ弁63を元の位置(前進位置fまたは後進位置r)に切り換える走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力する(図4に示すステップS80)。これにより、走行用制御弁53への操作パイロット圧の供給の一時的な遮断が解除され、走行用制御弁53が中立位置Nから前進位置F側または後進位置R側へ変位する。この結果、走行動力が回復する。
[0062]
 このように、コントローラ100は、トランスミッション15のシフトダウンの指示が有ると、先ず、セレクタ弁63を前進位置fまたは後進位置rから中立位置nへ切り換え、その後、変速用切換弁79を低速段位置Lへ切り換える。さらに、変速用切換弁79の切換からの経過時間Tが閾値を超えた後に、すなわちトランスミッション15のシフトダウンの完了後にセレクタ弁63を切換前の元の位置へ切り換え、トランスミッション15のシフトダウン時の一連の処理を終了する。
[0063]
 次に、本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の動作を図2及び図4を用いて説明する。先ず、ホイール式作業車両がトランスミッションの速度段を高速段とした状態で前進方向へ走行している場合について説明する。
[0064]
 この場合、図2に示す前後進切換指示装置25の切換操作レバー25aが前進位置Fにあり、変速指示装置26の切換操作レバー26aが高速段位置Hにある。コントローラ100は、変速指示装置26からの高速段指示信号に基づき、トランスミッション15のシフトダウンの指示が無い(図4に示すステップS10におけるNO)と判定し、シフトダウン時の処理手順を終了する。
[0065]
 この場合、コントローラ100は、前後進切換指示装置25の前進指示信号に基づき、セレクタ弁63を前進位置fに制御する走行用弁制御信号の出力を維持している。具体的には、コントローラ100は、セレクタ弁63の第1ソレノイド63aへの駆動電力の出力を維持している。これにより、セレクタ弁63が前進位置fに維持され、走行ペダル62aの操作量に応じて生成されたパイロット2次圧(操作パイロット圧)がセレクタ弁63を介して走行用制御弁53の第1パイロット受圧部53fに作用する。操作パイロット圧の大きさに応じて走行用制御弁53の位置が前進位置F側に制御される。
[0066]
 油圧ポンプ51から吐出された圧油は、走行用制御弁53及びカウンタバランス弁57を介して走行用油圧モータ52へ供給される。走行用油圧モータ52へ供給される圧油の流量は走行用制御弁53の位置に応じて制御され、走行用油圧モータ52の回転速度が制御される。すなわち、走行用油圧モータ52の回転速度は、走行ペダル62aの操作量に応じて制御される。また、第1主管路55に生じた走行用油圧モータ52の駆動圧によってカウンタバランス弁57が前進位置F側(図2中、右側)へ移動した状態となっている。
[0067]
 走行用油圧モータ52の回転動力は、トランスミッション15によって変速されてプロペラシャフト16及び車軸17を介して前輪12及び後輪13に伝達される。これにより、前輪12及び後輪13が駆動してホイール式作業車両1が走行する。
[0068]
 このとき、コントローラ100は、変速指示装置26の高速段指示信号に基づき、変速用切換弁79を高速段位置Hに制御する変速用弁制御信号の出力を維持している。具体的には、コントローラ100は、変速用切換弁79のソレノイド79aへの駆動電力の出力の停止を維持している。これにより、変速用切換弁79が高速段位置Hに維持され、高速側クラッチ機構75へのパイロット圧油の供給が維持されていると共に低速側クラッチ機構77へのパイロット圧油の供給の遮断が維持されている。このため、高速側クラッチ機構75による減速ギア73と高速側ギア列74の接続が維持されている一方、減速ギア73と低速側ギア列76の切断が維持されている。
[0069]
 走行用油圧モータ52の回転は、トランスミッション15に入力され、減速ギア73に接続された高速側ギア列74によって変速され、トランスミッション15の出力軸78を介してプロペラシャフト16に出力された後、最終的に前輪12及び後輪13に伝達される。このように、前輪12及び後輪13の回転速度は、走行用油圧モータ52の回転速度及びトランスミッション15の速度段に応じて調整される。つまり、ホイール式作業車両1の走行速度は、走行ペダル62aの操作量及びトランスミッション15の速度段に応じて調整される。
[0070]
 この走行中、コントローラ100は、各種センサの検出値等に基づいて走行用油圧モータ52のモータ容量を調整することが可能である。例えば、走行用油圧モータ52の駆動圧の大きさに応じてモータ容量を調整する。また、コントローラ100は、作業機用操作装置の操作量や各種センサの検出値、走行用油圧モータ52のモータ容量に基づいて油圧ポンプ51のポンプ容量を調整することが可能である。例えば、フロント作業機4(図1参照)の操作や走行用油圧モータ52のモータ容量の増減に連動させて油圧ポンプ51のモータ容量を調整する。
[0071]
 次に、前述のように走行しているホイール式作業車両がトランスミッションをシフトダウンする場合について説明する。シフトダウンの操作前、前述したように、図2に示す前後進切換指示装置25からの前進指示信号に基づきセレクタ弁63が前進位置fにあり、変速指示装置26の高速段指示信号に基づき変速用切換弁79が高速段位置Hにある。
[0072]
 この状態において変速指示装置26の切換操作レバー26aを高速段位置Hから低速段位置Lへ切換操作する。これにより、コントローラ100は、変速指示装置26の変速指示信号の高速段指示信号から低速段指示信号への切換を検知し、トランスミッション15のシフトダウンの指示が有り(YES)と判定する(図4に示すステップS10)。
[0073]
 次に、コントローラ100は、前後進切換指示装置25からの前進指示信号にも関わらず、前進位置fにあるセレクタ弁63を中立位置nへ切り換える走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力する(図4に示すステップS20)。具体的には、コントローラ100は、第1及び第2ソレノイド63a、63bへの駆動電力の出力を停止する。これにより、セレクタ弁63が前進位置fから中立位置nへ選択的に切り換わり、走行パイロット弁62で生成されたパイロット2次圧の走行用制御弁53の第1パイロット受圧部53f及び第2パイロット受圧部53gへの供給が遮断される。その結果、走行用制御弁53が中立位置Nに切り換わり、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52への圧油の供給が遮断されて走行用油圧モータ52の駆動力が消失する。
[0074]
 この場合、走行用油圧モータ52の回転がホイール式作業車両1の慣性走行によって維持されるので、走行用油圧モータ52がポンプとして機能する。つまり、ホイール式作業車両1の慣性走行により回転する走行用油圧モータ52は、第1主管路55から作動油を吸い込んで第2主管路56へ吐出する状態となる。このため、第1主管路55内の圧力が低下する一方、第2主管路56内の圧力が上昇する。第2主管路56内の上昇した圧力が走行用油圧モータ52の回転を制動するブレーキ圧となり、ホイール式作業車両1の走行速度が低下する。
[0075]
 また、第1主管路55内の圧力が低下する一方で第2主管路56内の圧力が上昇することで、カウンタバランス弁57が前進位置F側から中立位置N側へ移動する。これにより、カウンタバランス弁57の第2主管路56側を流れる作動油(走行用油圧モータ52からの戻り油)が中立位置Nの絞り57aを通過するので、第2主管路56内にブレーキ圧が発生してホイール式作業車両1の走行速度が低下する。
[0076]
 加えて、走行用制御弁53の中立位置Nには第1主管路55と第2主管路56とを連通させる連通路に絞り53jが設けられている。このため、走行用油圧モータ52からの戻り油が中立位置Nに切り換わった走行用制御弁53を流れる際に絞り53jを通過するので、第2主管路56内にブレーキ圧が発生してホイール式作業車両1の走行速度がさらに低下する。
[0077]
 このように、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52への圧油の供給を走行用制御弁53の中立位置Nへの切換によって遮断することで、走行用油圧モータ52がポンプ作用する。これにより、第1主管路55内の圧力が低下する一方、第2主管路56内の圧力が上昇するので、走行用油圧モータ52の回転を制動するブレーキ圧が発生してホイール式作業車両1の走行速度が低下する。
[0078]
 次に、コントローラ100は、変速用切換弁79を低速段位置Lに切り換える変速用弁制御信号を変速用切換弁79へ出力する(図4に示すステップS30)。具体的には、コントローラ100は、変速用切換弁79のソレノイド79aへ駆動電力を出力する。これにより、変速用切換弁79が高速段位置Hから低速段位置Lへ切り換わることで、高速側クラッチ機構75へのパイロット圧の供給が遮断されると共に、低速側クラッチ機構77へパイロット圧が供給される。このため、接続状態の高速側クラッチ機構75が切断されると共に、切断状態の低速側クラッチ機構77が接続される。ただし、パイロット圧の遮断による高速側クラッチ機構75の接続状態から完全な切断状態へ移行及びパイロット圧の供給による低速側クラッチ機構77の切断状態から完全な接続状態への移行は所定の時間を要する。
[0079]
 本実施の形態においては、走行用油圧モータ52の回転速度を一時的に低下させた後に低速側クラッチ機構77の接続を行うので、その分、トランスミッション15の減速ギア73と低速側クラッチ機構77の速度偏差が小さくなり、シフトダウン時の変速ショックを緩和することができる。この場合、走行用油圧モータ52の回転速度を低下させるために、走行用油圧モータ52のモータ容量および油圧ポンプ51のポンプ容量を変更する必要がない。したがって、フロント作業機4の操作に影響が及ぶことがない。
[0080]
 次いで、コントローラ100は、変速用切換弁79を低速段位置Lへ切り換える変速用弁制御信号の出力からの経過時間Tの計測を開始する(図4に示すステップS40)。
[0081]
 続いて、コントローラ100は、傾斜角センサ30からの検出値Θに基づきホイール式作業車両1が登坂走行しているか否かを判定する(図4に示すステップS50)。傾斜角センサ30からの検出値Θが設定傾斜角θs以下の場合、コントローラ100は、作業車両が登坂走行していない(NO)と判定し、経過時間Tが閾値(設定時間ts)を超えているか否かを判定する(図4に示すステップS60)。一方、傾斜角センサ30からの検出値Θが設定傾斜角θsよりも大きい場合、コントローラ100は、作業車両が登坂走行している(YES)と判定し、経過時間Tが閾値(設定時間ts-Δt)を超えているか否かを判定する(図4に示すステップS70)。
[0082]
 経過時間Tが閾値としてのts(図4に示すステップS60の場合)又はts-Δt(図4に示すステップS70の場合)を超えた(YES)と判定すると、コントローラ100は、前進位置fから中立位置nへ切り換えたセレクタ弁63を元の前進位置fに切り換える走行用弁制御信号をセレクタ弁63へ出力する(図4に示すステップS80)。具体的には、コントローラ100は、前後進切換指示装置25の前進指示信号に基づき、第1ソレノイド63aへ駆動電力を出力する。これにより、セレクタ弁63が中立位置nから前進位置f(元の位置)へ切り換わり、操作パイロット圧の走行用制御弁53への供給の遮断が解除される。
[0083]
 このため、走行ペダル62aの操作量に応じて生成された操作パイロット圧がセレクタ弁63を介して走行用制御弁53の第1パイロット受圧部53fに作用し、操作パイロット圧の大きさに応じて走行用制御弁53の位置が前進位置F側に制御される。これにより、油圧ポンプ51から吐出された圧油が走行用制御弁53及びカウンタバランス弁57を介して走行用油圧モータ52へ再び供給され、走行用油圧モータ52の駆動力が回復する。走行用油圧モータ52へ供給される圧油の流量は走行用制御弁53の位置に応じて制御され、走行用油圧モータ52の回転速度が制御される。また、第1主管路55に生じた走行用油圧モータ52の駆動圧によってカウンタバランス弁57が中立位置Nから前進位置F側へ移動する。すなわち、油圧回路は、前後進切換指示装置25及び走行ペダル62aの操作に応じた元の状態に戻る。
[0084]
 この場合、走行用油圧モータ52の回転は、トランスミッション15の低速側クラッチ機構77により減速ギア73に接続された低速側ギア列76によって変速されてから最終的に前輪12及び後輪13に伝達される。したがって、ホイール式作業車両1は、トランスミッション15の速度段が低速段である走行状態へ移行する。
[0085]
 本実施の形態においては、変速用切換弁79の低速段位置Lへの切換後から予め定めた設定時間tsの経過後にセレクタ弁63を元の位置へ切り換えるように構成している。低速側クラッチ機構77が切断状態から完全な接続状態へ移行するまでに一定時間を要するが、設定時間tsを当該一定時間よりも長くなるように設定している。したがって、トランスミッション15の高速段から低速段への切換が確実に完了した後に、走行用油圧モータ52の駆動力を回復させることができ、トランスミッション15のシフトダウン時のショックを緩和することができる。
[0086]
 また、本実施の形態においては、走行用制御弁53を中立位置Nに切り換えて走行用油圧モータ52の駆動力(走行動力)を一時的に消失させることで、トランスミッション15のシフトダウン時のショックを緩和している。しかし、ホイール式作業車両1が登坂走行している場合、走行用油圧モータ52の駆動力の消失状態を長く維持し過ぎると、作業車両が自身の重力により進行方向とは逆方向にずり落ちてしまう虞がある。そこで、ホイール式作業車両1の登坂走行時には、経過時間Tの比較対象の閾値をtsからts-Δtと短くなるように変更することで、登坂走行していない場合と比較して走行用油圧モータ52の駆動力の一時的な消失時間を短くしている。これにより、登坂走行している作業車両のトランスミッション15のシフトダウン時におけるずり落ちを防止することができる。
[0087]
 上述した本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態によれば、原動機28と、原動機28により駆動される油圧ポンプ51と、油圧ポンプ51から供給される圧油により駆動する走行用油圧モータ52と、走行用油圧モータ52の回転動力により駆動する車輪12、13と、低速段(第1速度段)と高速段の少なくとも2段階の速度段を有し、走行用油圧モータ52と車輪12、13との間に介在して走行用油圧モータ52の回転動力を車輪12、13に対して変速して伝達するトランスミッション15と、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52への圧油の供給を遮断する中立位置(第1遮断位置)Nを有し、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52に供給される圧油の方向及び流量を制御する走行用制御弁53と、位置を選択的に切り換えることでトランスミッション15に対する圧油の給排によりトランスミッション15の速度段を切り換える変速用切換弁79と、走行用制御弁53及び変速用切換弁79を制御するコントローラ100とを備えたホイール式作業車両1において、コントローラ100は、トランスミッション15の速度段を高速段から低速段へ切り換える場合、走行用制御弁53を中立位置(第1遮断位置)Nへ切り換えた後、トランスミッション15の速度段が高速段から低速段へ切り換わるように変速用切換弁79の位置を切り換え、走行用制御弁53を中立位置(第1遮断位置)Nから切換前の元の位置側へ切り換える。これにより、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52への圧油の供給が遮断されて走行用油圧モータ52の回転速度が低下してからトランスミッション15の速度段を高速段から低速段へ切り換えることができる。この場合、トランスミッション15の低速段への切換時に油圧ポンプ51のポンプ容量や走行用油圧モータ52のモータ容量を変更する必要がない。したがって、ホイール式作業車両1が作業機4を備えている場合でも、作業機4の操作性に影響を及ぼすことなくトランスミッション15の高速段から低速段へ切換時のショックを緩和することができる。
[0088]
 また、本実施の形態においては、走行用制御弁53が操作パイロット圧の供給により駆動し、操作パイロット圧の供給の遮断により中立位置(第1遮断位置)Nに切り換わるパイロット式の弁であり、セレクタ弁63は走行用制御弁53への操作パイロット圧の供給を遮断する中立位置(第2遮断位置)nを有し、走行用制御弁53への操作パイロット圧の供給により走行用制御弁53の駆動を制御するものである。さらに、コントローラ100は、セレクタ弁63を中立位置(第2遮断位置)nへ切り換えることで、走行用制御弁53を中立位置(第1遮断位置)Nへ切り換えるように走行用制御弁53を間接的に制御し、セレクタ弁63を中立位置(第2遮断位置)nから切換前の元の位置側へ切り換えることで、走行用制御弁53を中立位置(第1遮断位置)Nから切換前の元の位置側へ切り換えるように走行用制御弁53を間接的に制御する。したがって、コントローラ100は、セレクタ弁63を介することで、走行用制御弁53の中立位置(第1遮断位置)Nへ切換制御が容易となる。
[0089]
 また、本実施の形態においては、コントローラ100が変速用切換弁79の位置を切り換える制御を開始してからの経過時間Tを計測し、計測した経過時間Tが閾値を超えた後に走行用制御弁53を中立位置(第1遮断位置)Nから切換前の元の位置側へ切り換える制御を開始する。これにより、トランスミッション15の高速段から低速段への切換が確実に完了した後に、走行用油圧モータ52の駆動力(走行動力)を復帰させることができる。したがって、トランスミッション15の高速段から低速段への切換時のショックを確実に緩和することができる。
[0090]
 また、本実施の形態においては、車両の進行方向の水平面に対する傾斜角を検出する傾斜角センサ30を備えている。さらに、コントローラ100は、傾斜角センサ30の検出値Θが予め定められた設定傾斜角θsよりも大きい場合には、傾斜角センサ30の検出値Θが設定傾斜角θs以下の場合よりも閾値を小さくする。これにより、登坂走行している際に、走行用油圧モータ52の駆動力(走行動力)の復帰時期を早めている。したがって、登坂走行しているホイール式作業車両1のずり落ちを防止することができる。
[0091]
 [第1の実施の形態の変形例]
次に、本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の変形例を図5及び図6を用いて説明する。図5は本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の変形例における油圧回路及び走行用動力伝達機構を示す図である。図6は図5に示す本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の変形例の一部を構成するコントローラの機能ブロック図である。なお、図5及び図6において、図1乃至図4に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
[0092]
 図5に示す本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の変形例が第1の実施の形態と相違する主な点は、次の3つである。第1に、第1の実施の形態における走行ペダル62aの操作量に応じてパイロット2次圧(操作パイロット圧)を生成する走行パイロット弁62に代えて(図2参照)、走行ペダル62aの操作量に応じた走行を指示する走行指示信号をコントローラ100Aへ出力する走行操作装置62Aを備えている。第2に、セレクタ弁63Aは、電磁比例弁であり、コントローラ100Aから第1ソレノイド63a及び第2ソレノイド63bに入力される駆動電力の大きさに応じて位置(ストローク量)が連続的に制御されるものである。セレクタ弁63Aは、パイロット油圧源61から走行用制御弁53へ供給される操作パイロット圧の大きさ及び方向を制御する機能を有する。第3に、コントローラ100Aは、走行操作装置62Aと電気的に接続されており、走行操作装置62Aからの走行指示信号に基づきセレクタ弁63Aの位置(ストローク量)を連続的に制御するものである。
[0093]
 コントローラ100Aの弁制御部114Aは、図6に示すように、トランスミッション15のシフトダウンの指示が無いと低速段切換判定部112が判定した場合、走行操作装置62Aからの走行指示信号および前後進切換指示装置25からの走行方向指示信号に基づき、セレクタ弁63Aの位置を制御する走行用弁制御信号をセレクタ弁63Aへ出力する。具体的には、コントローラ100Aは、前後進切換指示装置25の走行方向指示信号に応じたセレクタ弁63Aの第1ソレノイド63aまたは第2ソレノイド63bに対して、図5に示す走行ペダル62aの操作量に応じた駆動電力を供給する。これにより、前後進切換指示装置25の操作位置に応じた走行用制御弁53の第1パイロット受圧部53fまたは第2パイロット受圧部53gへ対して作用させる操作パイロット圧の大きさを制御する。一方、シフトダウンの指示が有りと低速段切換判定部112が判定した場合、弁制御部114Aは、走行操作装置62Aからの走行指示信号および前後進切換指示装置25からの走行方向指示信号に関わらず、セレクタ弁63Aを中立位置nに切り換える走行用弁制御信号をセレクタ弁63Aへ出力する。具体的には、セレクタ弁63Aの第1及び第2ソレノイド63a、63bへの駆動電力の供給を停止する。
[0094]
 本変形例では、トランスミッション15のシフトダウン時に、コントローラ100Aが第1の実施の形態の場合と同様な処理手順(図4に示すフローチャート)を実行することが可能である。
[0095]
 また、本変形例では、図4に示すフローチャートのステップS80において、コントローラ100Aがセレクタ弁63Aを中立位置nから元の位置側に切り換えるとき、コントローラ100Aは、セレクタ弁63Aの第1ソレノイド63aまたは第2ソレノイド63bへ供給する駆動電力を徐々に増加させることが可能である。これにより、セレクタ弁63Aの中立位置nから元の位置への切換が徐々に行われ、セレクタ弁63Aの切換速度が第1の実施の形態の場合よりも低下する。これに応じて、走行用制御弁53の中立位置Nからの切換も徐々に行われるので、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52へ供給される圧油の流量が徐々に増加し、走行用油圧モータ52の回転速度が滑らかに上昇する。
[0096]
 上述した本発明のホイール式作業車両の第1の実施の形態の変形例によれば、前述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
[0097]
 また、本変形例においては、セレクタ弁63Aがコントローラ100Aから入力される駆動電力の大きさに応じて位置が制御される電磁比例弁である。さらに、コントローラ100Aは、セレクタ弁63Aへ入力する駆動電力を徐々に増加させてセレクタ弁63Aを中立位置(第2遮断位置)nから切換前の元の位置側へ切り換える。これにより、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52へ供給される圧油の流量が徐々に増加するので、走行用油圧モータ52の回転速度を滑らかに上昇させることができる。したがって、走行用油圧モータ52の駆動力(走行動力)の復帰時の車体挙動の不快感を防止することができる。
[0098]
 [その他の実施の形態]
 なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
[0099]
 例えば、上述した第1の実施の形態およびその変形例においては、本発明を適用するホイール式作業車両としてホイール式油圧ショベル1を例に説明したが、走行用油圧モータと車輪の間に介在させたトランスミッションを備えるホイール式作業車両に広く適用することができる。
[0100]
 また、上述した実施の形態においては、高速段と低速段の2段階に変速可能なトランスミッション15の場合におけるシフトダウン時の処理について説明した。しかし、3段階以上に変速可能なトランスミッションの場合でも、トランスミッションのシフトダウン時の処理を同様に適用することが可能である。
[0101]
 また、上述した実施の形態においては、コントローラ100、100Aが変速指示装置26からの変速指示信号に基づき、トランスミッション15の速度段を高速段または低速段に切り換えるように構成した例を示した。しかし、コントローラは、所定の条件を満たした場合に、トランスミッション15の速度段を自動的に高速段または低速段に切り換えるように構成することも可能である。例えば、ホイール式作業車両の走行速度が所定の速度以下の場合には、トランスミッション15を自動的にシフトダウンさせるように構成することが可能である。また、走行用油圧モータ52の駆動圧(第1主管路55または第2主管路56内の圧力)が所定以上の場合かつ走行用油圧モータ52の回転速度が所定以下の場合には、トランスミッション15を自動的にシフトダウンさせるように構成することが可能である。
[0102]
 また、上述した実施の形態においては、高速側クラッチ機構75の接続および切断と低速側クラッチ機構77の接続および切断とを1つの変速用切換弁79により行う構成の例を示した。しかし、高速側クラッチ機構75に対して1つの切換弁を用いると共に、低速側クラッチ機構77に対して別のもう1つの切換弁を用いる構成も可能である。この場合でも、各切換弁を2つの位置を選択的に切り換えることで、トランスミッション15の高速側クラッチ機構75及び低速側クラッチ機構77に対する圧油の給排によってトランスミッションの速度段を切り換えるものである。
[0103]
 また、上述した実施の形態においては、前後進切換指示装置25および変速指示装置26がレバー方式により指示信号を出力する構成の例を示した。しかし、前後進切換指示装置および変速指示装置をスイッチ式により指示信号を出力するように構成することも可能である。
[0104]
 また、上述した実施の形態においては、油圧ポンプ51から走行用油圧モータ52に供給される圧油の方向及び流量を制御する制御弁として、セレクタ弁63を介した操作パイロット圧の供給により駆動する油圧パイロット式の走行用制御弁53を用いた構成の例を示した。しかし、当該走行用制御弁をコントローラ100、100Aからの制御信号によって直接的に駆動する電磁比例弁で構成することも可能である。
[0105]
 また、上述した実施の形態においては、傾斜角センサ30からの検出値Θが記憶部111に予め記憶されている設定傾斜角θs以下の場合には、ホイール式作業車両が登坂走行していない(NO)と、コントローラ100、100Aの登坂走行判定部113が判定してステップS60に進む一方、傾斜角センサ30からの検出値Θが設定傾斜角θsよりも大きい場合には、ホイール式作業車両が登坂走行している(YES)と判定してステップS70に進むように構成した例を示した(図4に示すステップS50~S70を参照)。しかし、作動油タンク60内の油温が、トルク伝達が遅れるレベルの低い温度の場合には、設定傾斜角θsよりも緩い登り坂を走行していても、ステップS70に進み、経過時間Tと比較する閾値としてts-Δtを用いるようにコントローラを構成することも可能である。すなわち、図4に示すステップS50において、作動油タンク60内の油温が予め定めた設定温度よりも低い場合には、傾斜角センサ30からの検出値Θと比較する閾値を設定傾斜角θsからθs-Δθへ小さく変更するようにコントローラの登坂走行判定部を構成することが可能である。この場合、ホイール式油圧ショベルは、例えば図2及び図3の二点鎖線で示すように、温度センサ31を備える。温度センサ31は、作動油タンク60内に貯留されている作動油の油温を検出し、検出した油温をコントローラ100の登坂走行判定部113へ出力する。

符号の説明

[0106]
 1…ホイール式油圧ショベル(ホイール式作業車両)、 12…前輪(車輪)、 13…後輪(車輪)、 15…トランスミッション、 28…原動機、 30…傾斜角センサ、 51…油圧ポンプ、 52…走行用油圧モータ、 53…走行用制御弁、 63、63A…セレクタ弁、 79…変速用切換弁、 100、100A…コントローラ

請求の範囲

[請求項1]
 原動機と、
 前記原動機により駆動される油圧ポンプと、
 前記油圧ポンプから供給される圧油により駆動する走行用油圧モータと、
 前記走行用油圧モータの回転動力により駆動する車輪と、
 第1速度段と前記第1速度段よりも高速段の第2速度段の少なくとも2段階の速度段を有し、前記走行用油圧モータと前記車輪との間に介在して前記走行用油圧モータの回転動力を前記車輪に対して変速して伝達するトランスミッションと、
 前記油圧ポンプから前記走行用油圧モータへの圧油の供給を遮断する第1遮断位置を有し、前記油圧ポンプから前記走行用油圧モータに供給される圧油の方向及び流量を制御する走行用制御弁と、
 位置を選択的に切り換えることで前記トランスミッションに対する圧油の給排により前記トランスミッションの速度段を切り換える切換弁と、
 前記走行用制御弁及び前記切換弁を制御するコントローラとを備えたホイール式作業車両において、
 前記コントローラは、
 前記トランスミッションの速度段を前記第2速度段から前記第1速度段へ切り換える場合、
 前記走行用制御弁を前記第1遮断位置へ切り換えた後、
 前記トランスミッションの速度段が前記第2速度段から前記第1速度段へ切り換わるように前記切換弁の位置を切り換え、
 前記走行用制御弁を前記第1遮断位置から切換前の元の位置側へ切り換える
 ことを特徴とするホイール式作業車両。
[請求項2]
 請求項1に記載のホイール式作業車両において、
 前記走行用制御弁は、操作パイロット圧の供給により駆動し、操作パイロット圧の供給の遮断により前記第1遮断位置に切り換わるパイロット式の弁であり、
 前記走行用制御弁への操作パイロット圧の供給を遮断する第2遮断位置を有し、前記走行用制御弁への操作パイロット圧の供給により前記走行用制御弁の駆動を制御するセレクタ弁を更に備え、
 前記コントローラは、
 前記セレクタ弁を前記第2遮断位置へ切り換えることで、前記走行用制御弁を前記第1遮断位置へ切り換えるように前記走行用制御弁を間接的に制御し、
 前記セレクタ弁を前記第2遮断位置から切換前の元の位置側へ切り換えることで、前記走行用制御弁を前記第1遮断位置から切換前の元の位置側へ切り換えるように前記走行用制御弁を間接的に制御する
 ことを特徴とするホイール式作業車両。
[請求項3]
 請求項2に記載のホイール式作業車両において、
 前記セレクタ弁は、前記コントローラから入力される駆動電力の大きさに応じて位置が制御される電磁比例弁であり、
 前記コントローラは、前記セレクタ弁へ入力する駆動電力を徐々に増加させて前記セレクタ弁を前記第2遮断位置から切換前の元の位置側へ切り換える
 ことを特徴とするホイール式作業車両。
[請求項4]
 請求項1に記載のホイール式作業車両において、
 前記コントローラは、
 前記切換弁の位置を切り換える制御を開始してからの経過時間を計測し、
 計測した経過時間が閾値を超えた後に、前記走行用制御弁を前記第1遮断位置から切換前の元の位置側へ切り換える制御を開始する
 ことを特徴とするホイール式作業車両。
[請求項5]
 請求項4に記載のホイール式作業車両において、
 車両の進行方向の水平面に対する傾斜角を検出する傾斜角センサをさらに備え、
 前記コントローラは、前記傾斜角センサの検出値が予め定められた設定傾斜角よりも大きい場合には、前記傾斜角センサの検出値が前記設定傾斜角以下の場合よりも前記閾値を小さくする
 ことを特徴とするホイール式作業車両。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]