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1. WO2020196832 - 運動性細胞の選択装置

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明 細 書

発明の名称 運動性細胞の選択装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044  

実施例 1

0045   0046   0047   0048  

実施例 2

0049  

産業上の利用可能性

0050  

符号の説明

0051  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 運動性細胞の選択装置

技術分野

[0001]
 この発明は精子など運動性細胞の選択装置やその装置を用いた選択方法に関する。

背景技術

[0002]
 特表2016-514955号公報には,精子を選択するシステムが開示されている。このシステムは,女性外性器の通路に近い微細孔を用いることで,機能性精子を回収するという物である。
[0003]
 特許6196614号公報には,運動性細胞の分析及び選別が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特表2016-514955号公報
特許文献2 : 特許6196614号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特表2016-514955号公報や特許6196614号公報に記載されたシステムでは,効果的に機能性精子を選択できないという問題がある。また,このシステムでは,奇形精子等であっても,選択されてしまうという問題がある。
[0006]
 そこで,本発明は,運動性及び形態性に優れた精子などの運動性細胞を効果的に選択することができる装置及び方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明は,基本的には,運動性細胞を選択する際に画像解析を行うことで,運動性及び形態性に優れた精子などの運動性細胞を効果的に選択できるという知見に基づく。
[0008]
 この明細書に記載される実施態様のうちの一つは運動性細胞の選択装置に関する。
 運動性細胞の選択装置1は,貯蔵部3と,第1の導入部5と,第1の保持部(細胞捕捉エリア)9と,第1の導出部11と,第1の導出制御部13と,回収部(液貯め)15と,撮影部17と,第1の制御装置19とを有する。
[0009]
 貯蔵部3は,複数の運動性細胞を貯蔵するための要素である。
 第1の導入部5は,貯蔵部3に貯蔵された運動性細胞が第1の保持部に導入される部位を意味する。
 第1の保持部9は,第1の導入部を経た運動性細胞が運動可能に保持される収容部分(細胞捕捉エリアなど)である。容器9は,単独の入れ物である必要がなく,導入部と連続した部分であってもよい。
 第1の導出部11は,第1の保持部に保持された運動性細胞が導出される導出部(細胞回収用流路など)である。
 第1の導出制御部13は,第1の保持部9と第1の導出部11の開閉状態を制御するための要素(バルブなど)である。
 回収部15は,第1の導出部と接続され,選択された運動性細胞を回収し収容するための要素(液貯めなど)である。
 撮影部17は,第1の保持部に保持された動物性細胞を撮影するための要素である。
 第1の制御装置19は,撮影部が撮影した動物性細胞を分析し,分析結果に従って,第1の導出制御部の開閉を制御するための要素である。
[0010]
 運動性細胞の選択装置1は,貯蔵部と第1の導入部の開閉状態を制御する第1の導入制御部7をさらに有してもよい。
また,運動性細胞の選択装置1は,貯蔵部3と前記第1の導入部とを運動性細胞が移動可能に接続する第1の導入路(細胞注入用流路)8をさらに有してもよい。
さらに,運動性細胞の選択装置1は,第1の導出部11と回収部15とを運動性細胞が移動可能に接続する第1の導出路とをさらに有してもよい。
[0011]
 運動性細胞の選択装置1は,複数の導入部と,複数の導入制御部と,複数の保持部と,複数の導出部と,複数の導出制御部と,複数の制御装置を有するものが好ましい。複数の導入制御部と,複数の保持部と,複数の導出部と,複数の導出制御部と,複数の制御装置は,それぞれの導入部に対応したもので,先に説明した運動性細胞の選択装置1と同様の動作を行うことができる。
[0012]
 上記の装置の好ましい例は,
 制御装置が,動物性細胞の正常細胞の形状に関するデータを記憶する正常細胞形状記憶部を有し,
 制御装置が,撮影部が撮影した動物性細胞の形状に関するデータと,正常細胞形状記憶部が記憶する動物性細胞の正常細胞の形状に関するデータとを用いて,撮影部が撮影した動物性細胞の形状に関する評価値を求めるものであり,
分析結果は,形状に関する評価値を含むものである。
[0013]
 上記の装置の好ましい例は,
 制御装置が,動物性細胞の正常細胞の運動率に関するデータを記憶する正常細胞運動率記憶部をさらに有し,
 制御装置は,撮影部が撮影した動物性細胞の運動に関するデータと,正常細胞運動率記憶部が記憶する動物性細胞の正常細胞の運動に関するデータとを用いて,撮影部が撮影した動物性細胞の運動率に関する評価値を求め,
分析結果は,運動率に関する評価値をさらに含むものである。
[0014]
 上記の装置の好ましい例は,
 制御装置が,動物性細胞の正常細胞の形状及び運動率以外の指標である特定指標に関するデータを記憶する正常細胞特定指標記憶部と,
機械学習により,特定指標に関するデータを更新するための特定指標更新部とをさらに有し,
 制御装置が,撮影部が撮影した動物性細胞の特定指標に関するデータと,正常細胞特定指標記憶部が記憶する動物性細胞の正常細胞の特定指標に関するデータとを用いて,撮影部が撮影した動物性細胞の特定指標に関する評価値を求め,
分析結果は,特定指標に関する評価値さらに含むものである。
[0015]
 上記の装置の好ましい例は,運動性細胞が,精子のものである。また,第1の導入部に1度に導入されるものは1匹の精子であることが好ましい。
[0016]
 この明細書に記載される実施態様のうちの一つは運動性及び形状に優れた運動性細胞の選択方法に関する。
[0017]
 この方法は,以下の工程を含む。
複数の運動性細胞を貯蔵する貯蔵部に貯蔵された第1の運動性細胞が,第1の導入部を経て,第1の運動性細胞を運動可能に保持できる第1の保持部に導入される。
 第1の保持部に保持された第1の動物性細胞を撮影する。
 撮影工程で撮影された第1の動物性細胞を制御装置が分析し,分析結果に従って,第1の導出制御部を開く。
 第1の導出制御部が開状態となった後に,第1の保持部に保持された第1の運動性細胞第1の導出部へと導出される。
 第1の導出部を経た第1の運動性細胞が回収部に回収される。
 制御装置が,第1の動物性細胞が運動性及び形状に優れていると判断した場合にのみに導出制御部が開き,第1の運動性細胞が回収されるので,運動性及び形状に優れた運動性細胞を効果的に回収することができる。

発明の効果

[0018]
 運動性及び形態性に優れた精子などの運動性細胞を効果的に選択することができる装置及び方法を提供できる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 図1は,運動性細胞の選択装置を説明するための概念図である。
[図2] 図2は,運動性細胞の選択装置を構成する各層を合わせた概念図である。
[図3] 図3は,導入路が存在する細胞注入用流路層,貯蔵部及びバルブが存在するバルブ層,及び導出路が存在する細胞回収用流路層の構成例を説明するための図である。
[図4] 図4は,精子が選択的に導出路へと導かれる様子を示す概念図である。
[図5] 図5は,実施例におけるシステムの全体構成を示す概念図である。
[図6] 図6は,1×2モデルの基板を有する装置の図面に替わる写真である。
[図7] 図7は,10×10モデルの基板を有する装置の図面に替わる写真である。
[図8] 図8は,バルブ層の製造例を示す図面に替わる写真である。
[図9] 図9は,実施例2における精子を判別する部位を示す。図9左は,選別部分であり,図9右は,画像により保持部に精子が存在することを示す概念図である。
[図10] 図10は,実施例2のシステムの層構成を示す概念図である。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
[0021]
 この明細書に記載される実施態様のうちの一つは運動性細胞の選択装置に関する。
 運動性細胞の例は,哺乳動物(例えば,ヒト又は非ヒト哺乳動物)の精子細胞である。運動性細胞の選択装置の例は,採取した精子から,受精に用いるための運動性及び形態性に優れた精子を選択するための装置である。以下では,精子を中心に説明するものの,運動性細胞は精子に限定されない。
[0022]
 図1は,運動性細胞の選択装置を説明するための概念図である。図1の例では,運動性細胞の選択装置は,複数の層が合わさり1つの装置を構成している。運動性細胞の選択装置は,複数の層からなるものに限定されない。もっとも運動性細胞の選択装置が複数の層からなるものは,精子の流動性を加味して流路を制御することができるので好ましい。図1は,各層を分離したものである。
[0023]
 図2は,運動性細胞の選択装置を構成する各層を合わせた概念図である。図2に示されるように,運動性細胞の選択装置を上面から見た場合に,上面の周囲に複数の貯蔵部3が存在し,中心領域に存在する細胞補足エリア(保持部がマトリックス上に存在する領域)へ向けて,貯蔵部3と保持部9とを接続する導入部5存在することが好ましい。従来の装置では,そもそも精子を判別することが難しかった。一方,この実施態様の装置は,このような構成とすることで,多くの精子が効率よく保持部9へと導かれ,目的とする精子の取りこぼしを防止できる。この態様では,多チャネル及び多バルブ構造とすることで,一度に処理可能な溶液量やスループットを向上させることができる。多チャネルとは,導入部が複数存在することを意味し,多バルブ構造とは,複数の保持部を有することを意味する。特に,保持部をマトリクス状に集約することで,多くの精子を同時に選別できることとなる。
[0024]
 運動性細胞の選択装置1は,貯蔵部3と,第1の導入部5と,第1の導入制御部7と,第1の保持部(細胞捕捉エリア)9と,第1の導出部(細胞回収用流路)11と,第1の導出制御部13と,回収部(液貯め)15と,撮影部17と,第1の制御装置19とを有する。
[0025]
 貯蔵部3は,複数の運動性細胞を貯蔵するための要素である。貯蔵部は,例えば採取した精液を収容できる容積を有していればよい。運動性細胞の選択装置に貯蔵部が1つだけ存在してもよいし,複数存在してもよい。図1の例では,カップリング層(第1層)に貯蔵部が存在している。貯蔵部は,単に精子を導入する部位であってもよい。
[0026]
 第1の導入部5は,貯蔵部3に貯蔵された運動性細胞が導入される部位を意味する。この部位は流路(細胞注入用流路など)であってもよいし,孔であってもよい。また,保持部のうち,運動性細胞が導入される部位(例えば入り口部分)であってもよい。貯蔵部3に貯蔵された運動性細胞のいずれかは,第1の導入部が開状態となると第1の導入部へと移動する。導入部は,例えば基板上に設けられた流路であってもよいし,複数の基板上の孔であってもよい。導入部などの流路は,例えば精子が移動できるように処理がなされている。このような精子が移動できる流路自体は,例えば,特許6196614号公報に記載される通り,既に知られている。例えば,運動性細胞が精子の場合,精子へダメージを与えずに,1匹の精子が移動できるように,導入部は孔であってもよく,穴の径は1μm以上20μm以下でもよいし,5μm以上10μm以下でもよい。導入部には精子が移動できるように,溶液が充填されていることが好ましい。第1の導入部5は,例えば,弁やバルブを介して,貯蔵部3と接続されていてもよい。弁により精子が1匹ずつ導入部に導入されることとなる。もっとも,弁が存在しなくても,孔の径が複数の精子を導けない場合は,貯蔵部3に1匹ずつの精子が導入されるため,特にその場合,弁は不要である。そして,貯蔵部3と第1の導入部5が開状態となると,貯蔵部3に貯蔵された精子が,第1の導入部5へ導入される。運動性細胞の選択装置は,複数(2以上,例えば2以上100以下,8以上50以下,12以上45以下)の導入部を有するものが好ましい。それぞれの導入部に対応して貯蔵部が存在してもよいし,1つの貯蔵部に対し複数の導入部が接続されていてもよい。図1の例では,導入部は,細胞注入用流路層に存在している。装置の上面から見たとき導入部は,貯蔵部に貯蔵された精子を,装置の中心部に位置する細胞捕捉エリア(保持部が存在する領域)へと導く構成となっている。これにより細胞捕捉エリアを装置の上方又は下方から撮影することができるようになっている。
[0027]
 複数の貯蔵部が存在しても,第1の導入部5は,複数の流路である必要はない。例えば,カップリング層とバルブ層との隙間が10μm以上40μm以下,又は15μm以上30μm以下となるように,カップリング層とバルブ層の間にスペーサを設け,カップリング層とバルブ層との間を精子が移動できる溶液で充填してもよい。従来のマイクロ流路を用いた導入形式では,流路に存在する凹凸や接続部分により精子が損傷する事態が生じた。このように,流路を広い海原のようなものとしても,泳動性のある精子は,貯蔵部9へと移動できることとなる。この場合,下記に説明する導入制御部は存在しなくてもよい。導入部は複数存在してもよい。
[0028]
 第1の導入制御部7は,貯蔵部と第1の導入部の開閉状態を制御するための任意の要素である。第1の導入制御部7は,第1の導入部に1つの精子を導入するように制御するものが好ましい。これは例えば,導入部の状況を撮影し,画像解析を行うことで精子の有無を判断すればよい。そして,導入部に精子がないと判断した場合に,貯蔵部と第1の導入部を開状態とすればよい。このようにすれば,各導入部に単一の精子を導出できる。例えば,貯蔵部3と導入部5との接続部分は,直径が0.5μm以上2μmの間で変化するマイクロバルブにより接続されていればよい。この孔は電圧を印可することにより,径が大きくなったり小さくなったり変化するものが好ましい。そして,導入部側には真空ポンプなどの吸引装置が接続されており,第1の導入制御部7が,導入部側を陰圧とするように制御すれば,貯蔵部に存在する精子を1個ずつ導入部へと導くことができる。このような制御は,MEMSプレート制御により達成できる。
[0029]
 第1の導入制御部7は,貯蔵部3に貯蔵された精子などの運動性細胞を吸引する吸引系であってもよい。このような吸引系は,保持部9を陰圧に制御できるものであればどのようなものであっても構わない。吸引系により,保持部9が陰圧にされると,貯蔵部3に貯蔵された精子などの運動性細胞が吸引され,導入部を経て保持部9に貯蔵されることとなる。保持部9に精子などが貯蔵された後に,吸引をやめることで,保持部9に次の精子が吸引されなくなるように制御できる。この場合,例えば,導入部は,マイクロバルブであることが好ましい。
[0030]
 第1の保持部9は,第1の導入部を経た運動性細胞が運動可能に保持される収容部分である。導入部に導出された精子は,この収容部分において捕捉される。運動性細胞の選択装置が複数の導入部を有する場合,この保持部はそれぞれの導入部に対応して存在するものが好ましい。そして,複数の保持部は,運動性細胞の選択装置のある層(細胞捕捉エリアなど)に設けられるものが好ましい。このような層を有していれば,後述する撮影部を用いて,各保持部を容易に撮影できることとなる。容器9は,単独の入れ物である必要がなく,導入部と連続した部分であってもよい。なお,保持部は,1つである必要はなく,複数の保持部が1つの装置に存在してもよく,複数の保持部が1つの装置に存在するものが好ましい。複数の保持部は,例えば,格子点上に存在してもよいし,正方格子,長方格子,面心長方格子,斜方格子,又は六方格子の格子点上に存在するか,ランダムに存在するものであってもよい。複数の保持部の中心が,長方格子,面心長方格子,斜方格子,又は六方格子の格子点上に存在する場合は,撮影画像を判別しやすくなるので好ましい。
[0031]
 第1の導出部11は,第1の保持部に保持された運動性細胞が導出される導出部(細胞回収用流路など)である。導出部も精子が流出できるものであればよい。図1及び図2の例では,導出部は,複数の層を経て第1面へとつながっている。導出部11は,保持部9の出口部分であってもよいし,孔や流路であってもよい。この点先に説明した導入部と同様であるし,同様の構成を採用できる。導出部も複数存在してもよい。
[0032]
 第1の導出制御部13は,第1の保持部9と第1の導出部11の開閉状態を制御するための要素である。第1の保持部9と第1の導出部11とは,例えば,弁やバルブといった開閉制御要素で接続されている。そして,これらの,開閉制御要素を制御することで,第1の保持部9と第1の導出部11を開状態にすることや,閉状態にすることができる。例えば,後述する制御装置が,保持部内の精子が,形状及び運動性に優れると判断した場合に,開閉制御要素が開状態となる。すると,保持部内に保持されていた精子が,導出部へと導出されることとなる。保持部内に保持されていた精子が導出部に導出される場合,対応する導入部と貯蔵部とを開く状態とし,保持部に新たな精子が収容されるようにしてもよい。例えば,機械学習や時間相関イメージ解析を,ソフトウェアを用いて実施し,保持部9内の精子の形状や運動を解析すればよい。従来の装置では,運動性が高い精子を導き出すことができても,例えば奇形精子が多いという問題があった。この態様の装置では,精子を効率的に撮影し,機械学習による判定手段を活用することによって,高い精度で奇形精子を排除し,良好な形態を有する目的精子のみを単離することができることとなる。また,機械学習などを通したソフトウェア処理により,人が画像を見ながら精子を選別する作業よりも効率的で精度よく良好な精子を選択できることとなる。時間相関イメージ解析を行うことで,運動率に優れた精子を選択できる。つまり,撮影部が撮影したある保持部に存在する精子が像を経時的に複数集めて,その精子の運動を解析することで,ある保持部に存在する精子の運動率を求めることができる。
[0033]
 図3は,導入部が存在する細胞注入用流路層,貯蔵部及びバルブが存在するバルブ層,及び導出部が存在する細胞回収用流路層の構成例を説明するための図である。例えば,導出制御部13が保持部9に存在する精子を導出部11へと導く場合は,保持部9と導出部11との接続部分(バルブ部分)の直径を精子が通過できる大きさとすることで,開状態とすればよい。
[0034]
 図4は,精子が選択的に導出部へと導かれる様子を示す概念図である。この例では,先に説明したと同様,導出部11側を陰圧とすることで,精子を導出部11側へ導くことができる。
[0035]
 回収部15は,第1の導出部と接続され,選択された運動性細胞を回収し収容するための要素(液貯めなど)である。回収部15は,選択された精子を外部に導出できるようにされていることが好ましい。図1及び図2の例では,回収部は,装置の第1層に存在し,複数の層を経た導出部と接続されたものである。この回収部に存在する精子を採取することで,運動性や形状に優れた精子を採取できることとなる。
[0036]
 撮影部17は,第1の保持部に保持された動物性細胞を撮影するための要素である。撮影部17は,後述する制御装置に対して,撮影した画像データを出力できるようにされている。撮影部17の例は,CCDカメラであり,各保持部の番地をピクセルなどの画素と関連させて撮影し,制御装置へと出力できるものである。なお,細胞回収用流路層(及び基板)を透明又は半透明とすることで,バルブ層に存在する保持部に保持される精子を細胞回収用流路層(及び基板)側から撮影できることとなる。
[0037]
 第1の制御装置19は,撮影部が撮影した動物性細胞を分析し,分析結果に従って,第1の導出制御部の開閉を制御するための要素である。制御装置の例は,コンピュータである。コンピュータは,入出力部,制御部,演算部,及び記憶部を有している。各要素は,情報の授受を行うことができるようにバスなどで接続されている。そして,記憶部には,適宜プログラムが記憶されている。情報が入出力部から入力される。すると,制御部は,記憶部に記憶されているプログラムの指令に基づき,各種データを記憶部から読み出す。そして,入力されたデータ及び記憶部から読み出されたデータを用いて,演算部に各種演算を行わせる。演算部が求めた結果は,適宜記憶部に記憶され,入出力部から出力される。制御装置は,撮影部,導入制御部,及び導出制御部と情報の授受を行うことができるように接続されている。撮影部から出力された画像データは,制御装置内の記憶部に適宜記憶され,画像解析処理などの各種演算処理がなされる。また,制御装置からの制御指令は,導入制御部,及び導出制御部へ出力され,導入制御部及び導出制御部は制御装置からの制御指令に従って各種制御を行う。
[0038]
 運動性細胞の選択装置1は,複数の導入部と,複数の導入制御部と,複数の保持部と,複数の導出部と,複数の導出制御部と,複数の制御装置を有するものが好ましい。複数の導入制御部と,複数の保持部と,複数の導出部と,複数の導出制御部と,複数の制御装置は,それぞれの導入部に対応したもので,先に説明した運動性細胞の選択装置1と同様の動作を行うことができる。
[0039]
 上記の装置の好ましい例は,
 制御装置が,動物性細胞の正常細胞の形状に関するデータを記憶する正常細胞形状記憶部を有するものである。
 そして,制御装置が,撮影部が撮影した動物性細胞の形状に関するデータと,正常細胞形状記憶部が記憶する動物性細胞の正常細胞の形状に関するデータとを用いて,撮影部が撮影した動物性細胞の形状に関する評価値を求める。そして,分析結果は,形状に関する評価値を含むものである。制御装置は,例えば導出制御部へ指令を出す。導出制御部13は,第1の保持部9と第1の導出部11の開閉状態を制御する。例えば,制御装置が,第1の保持部9と第1の導出部11を開状態とするような制御指令を導出制御部13に出力する。すると,導出制御部13は,その制御指令に従って,第1の保持部9と第1の導出部11を開状態とする。精子が各流路を移動できたことは,精子が運動性を有していることを意味するので,形状を評価することにより,形状と運動性を備えた精子を選択できることとなる。
[0040]
 上記の装置の好ましい例は, 制御装置が,動物性細胞の正常細胞の運動率に関するデータを記憶する正常細胞運動率記憶部をさらに有するものである。そして,制御装置は,撮影部が撮影した動物性細胞の運動に関するデータと,正常細胞運動率記憶部が記憶する動物性細胞の正常細胞の運動に関するデータとを用いて,撮影部が撮影した動物性細胞の運動率に関する評価値を求める。そのうえで,分析結果は,運動率に関する評価値をさらに含むものである。例えば,制御装置は,撮影部が撮影した精子画像から,精子の運動量を解析し,運動量に関する評価値(運動率)を得る。記憶部は,運動量の評価値に関する閾値を記憶する。制御部は,求めた運動量の評価値と,記憶部が記憶した運動量の評価値の閾値と比較する演算簿演算部に行わせる。そのうえで,運動量の評価値が,運動量の評価値に関する閾値を超える場合に,運動量が合格と判断する。そして,記憶部は,形状に関する評価値を記憶する。運動量と同様の処理により,上記の求めた形状に関する評価値が形状に関する評価値の閾値よりも大きい場合に,形状に関しても合格と判断する。この判断結果は,適宜記憶部に記憶される。制御装置は,記憶部に記憶された合否結果を読み出し,運動量及び形状に関して合格の場合に,第1の保持部9と第1の導出部11を開状態とするような制御指令を導出制御部13に出力すればよい。このようにして,運動量及び形状に優れた精子が選択されることとなる。
[0041]
 上記の装置の好ましい例は,制御装置が,動物性細胞の正常細胞の形状及び運動率以外の指標である特定指標に関するデータを記憶する正常細胞特定指標記憶部と,機械学習により,特定指標に関するデータを更新するための特定指標更新部とをさらに有するものである。特定指標の例は,色味である。機械学習により,精子の色と受精の成功率に関するデータや,形状,運動率と色味との組み合わせを用いた受精の成功率を解析し,受精率の高いものを選択できるようにすればよい。この場合,制御装置が,撮影部が撮影した動物性細胞の特定指標に関するデータと,正常細胞特定指標記憶部が記憶する動物性細胞の正常細胞の特定指標に関するデータとを用いて,撮影部が撮影した動物性細胞の特定指標に関する評価値を求める。そして,分析結果には,特定指標に関する評価値さらに含む。
[0042]
 なお,運動性細胞が好ましいものではない(閾値を超えない)と判断された場合,その保持部を閉状態として,新たな運動性細胞が入らないようにしてもよいし,不適合な運動性細胞が回収される回収路へと導入されてもよいし,貯蔵部に戻されてもよい。
[0043]
 この明細書に記載される実施態様のうちの一つは運動性及び形状に優れた運動性細胞の選択方法に関する。
[0044]
 この方法は,以下の工程を含む。
 複数の運動性細胞を貯蔵する貯蔵部に貯蔵された第1の運動性細胞が,第1の導入部を経て,第1の運動性細胞を運動可能に保持できる第1の保持部に導入される。
 第1の保持部に保持された第1の運動性細胞を撮影部が撮影する。
撮影部が撮影した第1の運動性細胞を制御装置が分析し,分析結果に従って,第1の導出制御部を開く。
 第1の導出制御部が開状態となった後に,第1の保持部に保持された第1の運動性細胞第1の導出部へと導出される。
 第1の導出部を経た第1の運動性細胞が回収部に回収される。
このようにして,撮影に基づいて分析された運動性細胞が回収されることとなる。特に, 制御装置が,第1の動物性細胞が運動性及び形状に優れていると判断した場合にのみに導出制御部が開き,第1の運動性細胞が回収されるので,運動性及び形状に優れた運動性細胞(例えば精子)を効果的に回収することができる。
実施例 1
[0045]
 図5は,実施例におけるシステムの全体構成を示す概念図である。この例では,精子の導入及び導出に真空ポンプを用い,画像撮影を図示しないCCDカメラで行い,各種制御をPC(コンピュータ)により行っている。
[0046]
 図6は,1×2モデルの基板を有する装置の図面に替わる写真である。このモデル的な装置を用いて,適切に精子が選択されることを確認し,動画として撮影した。
[0047]
 図7は,10×10モデルの基板を有する装置の図面に替わる写真である。このモデル的な装置を用いて,適切に精子が選択されることを確認し,動画として撮影した。
[0048]
 図8は,バルブ層の製造例を示す図面に替わる写真である。バルブ層を無アルカリガラスを用いて製造した、厚さは100μmであった。左上は上孔を示し,左下は下孔を示す。上孔の径は約7~8μmであった。一方,下孔の径は約4~5μmであった。右は断面図である。このような穴を2500個(50×50個)設けた。孔間の間隔(格子間距離)は,100μmであった(この距離は例えば10μm以上500μm以下,50μm以上200μm以下のように調整できる)。
実施例 2
[0049]
 次に,マイクロバルブを用いた精子選別装置の例を示す。
 図9は,実施例2における精子を判別する部位を示す。図9左は,選別部分であり,図9右は,画像により保持部に精子が存在することを示す概念図である。画像解析の結果,精子が存在すると判断されたセル(保持部)が丸で示されている。そして,画像解析を行うことで,セルに存在する精子が,閾値を超えるものかいなか判断される。図10は,実施例2のシステムの層構成を示す概念図である。図10の例では,下層から,高速撮影素子層,試料導入流路(貯蔵部),マイクロバルブアレイ(複数の保持部),及び精子回収流路が存在している。

産業上の利用可能性

[0050]
 本発明は,例えば精子ソーターとして用いることができるので医療機器産業において利用され得る。
 本発明は,用いることが望ましい運動性細胞を選択できるので,実験器具産業において利用され得る。

符号の説明

[0051]
 1 運動性細胞の選択装置
 3 貯蔵部
 5 導入部
 7 導入制御部
 9 保持部
 11 導出部
 13 導出制御部
 15 回収部
 17 撮影部
 19 制御装置

請求の範囲

[請求項1]
 複数の運動性細胞を貯蔵する貯蔵部と,
 前記貯蔵部と連結され,前記貯蔵部に貯蔵された運動性細胞が導入される第1の導入部と,
 第1の導入部を経た前記運動性細胞が運動可能に保持される第1の保持部と,
 第1の保持部に保持された前記運動性細胞が導出される第1の導出部と,
 第1の保持部と第1の導出部の開閉状態を制御する第1の導出制御部と,
 第1の導出部と接続された回収部と,
 第1の保持部に保持された前記運動性細胞を撮影する撮影部と,
 前記撮影部が撮影した前記運動性細胞を分析し,分析結果に従って,第1の導出制御部の開閉を制御する第1の制御装置とを有する,
 運動性細胞の選択装置であって,
 前記運動性細胞は,精子であり,第1の導入部に導入されるのは1匹の精子である,装置。
[請求項2]
 請求項1に記載の装置であって,
 前記貯蔵部と第1の導入部の開閉状態を制御する第1の導入制御部をさらに有する装置。
[請求項3]
 請求項1に記載の装置であって,
前記貯蔵部と前記第1の導入部とを前記運動性細胞が移動可能に接続する第1の導入路と,
 第1の導出部と前記回収部とを前記運動性細胞が移動可能に接続する第1の導出路とをさらに有する,装置。
[請求項4]
 請求項1に記載の装置であって,第1の保持部は,第1の導入部を経た運動性細胞が捕捉されて運動可能に保持される収容部分である装置。
[請求項5]
 請求項4に記載の装置であって,
 第1の制御装置は,前記撮影部が撮影した第1の保持部に保持された前記運動性細胞の形状及び運動性を分析する,装置。
[請求項6]
 請求項4に記載の装置であって,
 第1の制御装置は,前記撮影部が撮影した第1の保持部に保持された前記運動性細胞が形状及び運動性に優れると判断した場合,第1の導出制御部を開状態とする,装置。
[請求項7]
 請求項1に記載の装置であって,
 第1の制御装置は,
前記運動性細胞の正常細胞の形状に関するデータを記憶する正常細胞形状記憶部を有し,
 第1の制御装置は,
前記撮影部が撮影した前記運動性細胞の形状に関するデータと,前記正常細胞形状記憶部が記憶する前記運動性細胞の正常細胞の形状に関するデータとを用いて,前記撮影部が撮影した前記運動性細胞の形状に関する評価値を求めるものであり,
前記分析結果は,前記形状に関する評価値を含む,
装置。
[請求項8]
 請求項5に記載の装置であって,
 第1の制御装置は,
前記運動性細胞の正常細胞の運動率に関するデータを記憶する正常細胞運動率記憶部をさらに有し,
 第1の制御装置は,
前記撮影部が撮影した前記運動性細胞の運動に関するデータと,前記正常細胞運動率記憶部が記憶する前記運動性細胞の正常細胞の運動に関するデータとを用いて,前記撮影部が撮影した前記運動性細胞の運動率に関する評価値を求め,
前記分析結果は,前記運動率に関する評価値をさらに含む,
装置。
[請求項9]
 請求項6に記載の装置であって,
 第1の制御装置は,
特定指標に関するデータを記憶する正常細胞特定指標記憶部であって,前記特定指標に関するデータは,前記運動性細胞の正常細胞の形状以外かつ前記運動性細胞の運動以外の指標であるものと,
機械学習により,前記特定指標に関するデータを更新するための特定指標更新部とをさらに有し,
 第1の制御装置は,
前記撮影部が撮影した前記運動性細胞の前記特定指標に関するデータと,前記正常細胞特定指標記憶部が記憶する前記運動性細胞の正常細胞の特定指標に関するデータとを用いて,前記撮影部が撮影した前記運動性細胞の特定指標に関する評価値を求め,
前記分析結果は,前記特定指標に関する評価値をさらに含む,
装置。
[請求項10]
 複数の運動性細胞を貯蔵する貯蔵部に貯蔵された第1の運動性細胞が,前記貯蔵部と連結された第1の導入部を経て,第1の運動性細胞を運動可能に保持できる第1の保持部に導入される工程と,
 第1の保持部に保持された第1の運動性細胞を撮影する撮影工程と,
 前記撮影工程で撮影された第1の運動性細胞を制御装置が分析し,分析結果に従って,第1の導出制御部を開く工程と,
 第1の導出制御部が開状態となった後に,第1の保持部に保持された第1の運動性細胞が第1の導出部へと導出される工程と,
 第1の導出部を経た第1の運動性細胞が回収部に回収される工程と,
を含み,
第1運動性細胞は,精子であり,第1の導入部に導入されるのは1匹の精子である,
 運動性細胞の選択方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]