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1. WO2020195994 - パターン形成用組成物、キット、パターンの製造方法、パターン、および、半導体素子の製造方法

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明 細 書

発明の名称 パターン形成用組成物、キット、パターンの製造方法、パターン、および、半導体素子の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011  

発明の効果

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255  

実施例

0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

明 細 書

発明の名称 : パターン形成用組成物、キット、パターンの製造方法、パターン、および、半導体素子の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、インプリント法におけるパターン形成用組成物に関し、さらに、この組成物を応用したキット、パターンの製造方法、パターン、および、半導体素子の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 インプリント法とは、パターンが形成された金型(一般的にモールドまたはスタンパとも呼ばれる。)を押し当てることにより、可塑性材料に微細パターンを転写する技術である。インプリント法を用いることで簡易に精密な微細パターンの作製が可能なことから、近年さまざまな分野での応用が期待されている。特に、ナノオーダーレベルの微細パターンを形成するナノインプリント技術が注目されている。
[0003]
 インプリント法は、その転写方法から熱インプリント法および光インプリント法に大別される。熱インプリント法では、ガラス転移温度(以下、「Tg」ということがある。)以上に加熱した熱可塑性樹脂にモールドを押し当て、冷却後にモールドを離型することにより微細パターンを形成する。この方法では、多様な材料を選択できること等の利点があるが、プレス時に高圧を要すること、および、パターンサイズが微細になるほど、熱収縮等により寸法精度が低下しやすいこと等の問題点もある。一方、光インプリント法では、パターン形成用組成物にモールドを押し当てた状態で光硬化させた後、モールドを離型する。この方法では、高圧付加や高温加熱の必要はなく、硬化前後で寸法変動が小さいため、微細なパターンを精度よく形成できるという利点がある。
[0004]
 光インプリント法では、基板上にインプリント用のパターン形成用組成物を塗布後、石英等の光透過性素材で作製されたモールドを押し当てる。モールドを押し当てた状態で光照射によりそのパターン形成用組成物を硬化し、その後モールドを離型することで、目的のパターンが転写された硬化物が作製される。
[0005]
 インプリント用のパターン形成用組成物においては、反応速度が速い等の利点があるため、例えば、ラジカル重合性化合物が使用される(特許文献1および2)。しかしながら、このラジカル重合性化合物(代表例では、(メタ)アクリレート化合物)は、経時により変質しやすいという問題点もある。その要因の1つは、水分との反応による加水分解であることが知られており、パターン形成用組成物の経時安定性を向上させるために、水分量を調整することや(特許文献3)、パターン形成用組成物の保存用の収容容器に乾燥剤を入れるなどの工夫がなされている(特許文献4)。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特表2007-523249号公報
特許文献2 : 国際公開第2016/152597号
特許文献3 : 特開2014-146812号公報
特許文献4 : 特開2016-164961号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 しかしながら、重合性化合物の種類にかかわらず、水分の影響以外にも、モールドを繰り返し使用してインプリントを実施していると、モールドの離型性が低下しやすいという問題が見いだされた。したがって、モールドを繰り返し使用した場合であっても、モールドの離型性を充分に確保できる、経時安定性に優れたパターン形成用組成物が望まれる。
[0008]
 また、インプリント法においてパターン形成用組成物を塗布する場合に、インクジェット装置等の金属製機器が使用されることもあり、パターン形成用組成物の金属への影響(腐食など)はより小さいことが望まれる。
[0009]
 本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、モールドを繰り返し使用するインプリントに対しても経時安定性に優れ、かつ金属への影響も抑制されたパターン形成用組成物の提供を目的とする。
[0010]
 また、本発明は、上記パターン形成用組成物を含むインプリント用のキット、上記パターン形成用組成物を使用したパターンの製造方法、および、上記パターン形成用組成物から形成されたパターンの提供を目的とする。さらに、本発明は、上記パターンの製造方法を工程として含む半導体素子の製造方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 上記課題は、インプリント用のパターン形成用組成物に所定の有機ハロゲン化合物を所定範囲の量で添加することにより、解決できた。具体的には、以下の手段<1>により、好ましくは<2>以降の手段により、上記課題は解決された。
<1>
 重合性化合物と、光重合開始剤と、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択される少なくとも1つの原子を含む有機ハロゲン化合物とを含有するパターン形成用組成物であって、
 有機ハロゲン化合物が、水銀ランプの光に対し安定な化合物であり、
 有機ハロゲン化合物の含有量が、パターン形成用組成物中の全固形分に対し0.001~1.0質量%である、インプリント用のパターン形成用組成物。
<2>
 塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオンから選択される少なくとも1つのハロゲン化物イオンを含み、
 上記ハロゲン化物イオンの合計の含有量が、パターン形成用組成物の全固形分に対し0.05~1000質量ppmである、
 <1>に記載のパターン形成用組成物。
<3>
 有機ハロゲン化合物の分子量が、130~550である、
 <1>または<2>に記載のパターン形成用組成物。
<4>
 さらに、パターン形成用組成物に対し0.01~1.0質量%の割合で水分を含有する、
 <1>~<3>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物。
<5>
 有機ハロゲン化合物が、塩素原子を含む、
 <1>~<4>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物。
<6>
 上記少なくとも1つの原子が、有機ハロゲン化合物中のアルキレン基に結合している、
 <1>~<5>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物。
<7>
 上記少なくとも1つの原子が、上記アルキレン基を介して環構造またはオレフィン構造に連結している、
 <6>に記載のパターン形成用組成物。
<8>
 有機ハロゲン化合物が、環構造を有する、
 <1>~<7>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物。
<9>
 有機ハロゲン化合物として、下記式(D1)で表される化合物を含む、
 <8>に記載のパターン形成用組成物;
式(D1):
[化1]


 式(D1)において、Aは環構造を表し、L は、それぞれ独立して、環構造AとXを結ぶ単結合または2価の連結基を表し、Xは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、mは1~4の整数を表し、L は、炭素原子と環構造Aとを結ぶ単結合または2価の連結基を表し、R は、水素原子またはメチル基を表し、nは0~4の整数を表す。
<10>
 有機ハロゲン化合物が、重合性基を有する、
 <1>~<9>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物。
<11>
 重合性化合物が、有機ハロゲン化合物からハロゲン原子を除いた部分構造を含む、
 <1>~<10>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物。
<12>
 重合性化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する、
 <1>~<11>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物。
<13>
 水以外の溶剤を実質的に含まない、
 <1>~<12>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物。
<14>
 さらに、親水性基を有する離型剤を含有する、
 <1>~<13>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物。
<15>
 <1>~<14>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物と、
 インプリント用の下層膜を形成するための下層膜形成用組成物とを、組み合わせの構成物として含むキット。
<16>
 <1>~<14>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物を用いて形成したパターン。
<17>
 <1>~<14>のいずれか1つに記載のパターン形成用組成物を、基板上またはモールド上に適用し、パターン形成用組成物を、モールドと基板で挟んだ状態で光照射することを含むパターンの製造方法。
<18>
 <17>に記載の製造方法を工程として含む、半導体素子の製造方法。
<19>
 上記パターンをマスクとしてエッチングを行うことを含む、
 <18>に記載の半導体素子の製造方法。

発明の効果

[0012]
 本発明のインプリント用のパターン形成用組成物により、モールドを繰り返し使用するインプリントに対しても、より優れた経時安定性が発揮され、かつ金属への影響も抑制される。そして、本発明の上記パターン形成用組成物により、本発明のキット、パターンの製造方法、パターン、および、半導体素子の製造方法の提供が可能となる。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、本発明の代表的な実施形態について説明する。各構成要素は、便宜上、この代表的な実施形態に基づいて説明されるが、本発明は、そのような実施形態に限定されるものではない。
[0014]
 本明細書において「~」という記号を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[0015]
 本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
[0016]
 本明細書における基(原子団)の表記について、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に、置換基を有するものをも包含する意味である。例えば、単に「アルキル基」と記載した場合には、これは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)、および、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)の両方を包含する意味である。また、単に「アルキル基」と記載した場合には、これは、鎖状でも環状でもよく、鎖状の場合には、直鎖でも分岐でもよい意味である。
[0017]
 本明細書において、「光」には、紫外、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光や、電磁波だけでなく、放射線も含まれる。放射線には、例えばマイクロ波、電子線、極端紫外線(EUV)、X線が含まれる。また248nmエキシマレーザー、193nmエキシマレーザー、172nmエキシマレーザーなどのレーザー光も用いることができる。これらの光は、光学フィルターを通したモノクロ光(単一波長光)を用いてもよいし、複数の波長を含む光(複合光)でもよい。
[0018]
 本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および「メタクリレート」の両方、または、いずれかを意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および「メタクリル」の両方、または、いずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロイル」の両方、または、いずれかを意味する。
[0019]
 本明細書において、組成物中の固形分は、溶剤を除く他の成分を意味し、組成物中の全固形分の含有量あるいは濃度は、その組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率によって表される。
[0020]
 本明細書において、特に述べない限り、温度は23℃、気圧は101325Pa(1気圧)である。
[0021]
 本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として示される。この重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ-L、TSKgel Super HZM-M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000およびTSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。また、特に述べない限り、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、特に述べない限り、GPC測定における検出には、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
[0022]
 本明細書において、「インプリント」は、好ましくは、1nm~10mmのサイズのパターン転写をいい、より好ましくは、およそ10nm~100μmのサイズのパターン転写(ナノインプリント)をいう。
[0023]
 本明細書において、積層体を構成する各層の位置関係について、「上」または「下」と記載したときには、注目している複数の層のうち基準となる層の上側または下側に他の層があればよい。すなわち、基準となる層と上記他の層の間に、さらに第3の層や要素が介在していてもよく、基準となる層と上記他の層は接している必要はない。また、特に断らない限り、基材に対し層が積み重なっていく方向を「上」と称し、または、感光層がある場合には、基材から感光層へ向かう方向を「上」と称し、その反対方向を「下」と称する。なお、このような上下方向の設定は、本明細書中における便宜のためであり、実際の態様においては、本明細書における「上」方向は、鉛直上向きと異なることもありうる。
[0024]
<パターン形成用組成物>
 本発明のインプリント用のパターン形成用組成物は、重合性化合物と、光重合開始剤と、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択される少なくとも1つの原子を含む有機ハロゲン化合物とを含有し、有機ハロゲン化合物は、水銀ランプの光に対し安定な化合物であり、有機ハロゲン化合物の含有量は、パターン形成用組成物中の全固形分に対し0.001~1.0質量%である。
[0025]
 本発明では、パターン形成用組成物が、所定の有機ハロゲン化合物を所定範囲の量で含有することにより、パターン形成用組成物の経時安定性(経時液を使用した際の離型性など)が向上する。その理由は定かではないが、有機ハロゲン化合物中のハロゲン原子が有する極性や、有機ハロゲン化合物からの遊離等で存在する微量のハロゲン化物イオンが、モールドの繰り返し使用によりモールド表面に発生する活性点を不活性化させることにより、パターン形成用組成物がモールドに付着することを抑制するためと推定される。ここで、「活性点」とは、パターン形成用組成物の硬化時に照射する紫外光やパターン形成用組成物との離型によりモールド最表面に発生する極性を持った基を指す。
[0026]
 以下、本発明のパターン形成用組成物の各成分について、詳しく説明する。
[0027]
<<有機ハロゲン化合物>>
 本発明のパターン形成用組成物が含有する有機ハロゲン化合物は、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択される少なくとも1つの原子を含む有機化合物である。有機ハロゲン化合物は、イオンの状態、つまり、有機ハロゲン化合物からハロゲン化物イオンが遊離した状態で存在してもよい。ハロゲン原子は、塩素原子および臭素原子の少なくとも1つを含むことが好ましく、塩素原子を含むことがより好ましい。塩素原子および臭素原子は、有機ハロゲン化合物中において極性を持ちやすく、さらに、有機ハロゲン化合物から安定に遊離しやすいためである。これにより、有機ハロゲン化合物からハロゲン化物イオンが効率的に遊離し、パターン形成用組成物の経時安定性がより向上する。
[0028]
 上記有機ハロゲン化合物中のハロゲン原子は、アルキレン基および後述する環構造から選択される少なくとも1種に結合していることが好ましく、アルキレン基に結合していることがより好ましい。上記ハロゲン原子がアルキレン基に結合している態様の例としては、例えば、上記ハロゲン原子がアルキレン基を介して環構造に連結している態様(第1の態様)、および、上記ハロゲン原子がアルキレン基を介してオレフィン構造に連結している態様(第2の態様)が挙げられ、特に、上記第1の態様が好ましい。上記アルキレン基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましく、1~5であることがさらに好ましい。特に、アルキレン基は、メチレン基またはエチレン基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。上記ハロゲン原子の個数は、1分子あたり1~5個であることが好ましい。この数値範囲の上限は、4個以下であることがより好ましく、3個以下であることがさらに好ましい。特に好ましくは、上記ハロゲン原子の個数は、1分子あたり1または2個である。上記ハロゲン原子の個数が上記範囲内であることにより、経時安定性の向上と金属への影響抑制をより両立しやすい。
[0029]
 有機ハロゲン化合物の分子量は、100~1000であることが好ましい。この数値範囲の上限は、800以下であることがより好ましく、650以下であることがさらに好ましく、550以下であることが特に好ましく、450以下であることが一層好ましい。この数値範囲の下限は、120以上であることがより好ましく、130以上であることがさらに好ましく、140以上であることが特に好ましく、150以上であることが一層好ましい。有機ハロゲン化合物の分子量が上記範囲内であることにより、有機ハロゲン化合物中においてハロゲン原子が極性を持ちやすくなり、かつ、有機ハロゲン化合物の分散性が向上する。
[0030]
 有機ハロゲン化合物は、環構造を有することが好ましい。これにより、有機ハロゲン化合物の揮発が抑制され、安定してパターン形成用組成物中に存在しやすくなる。また、重合性化合物も環構造を有する場合に、この重合性化合物との相溶性が向上し、パターン形成用組成物の均質性も向上する。
[0031]
 有機ハロゲン化合物の環構造は、脂肪族環、芳香族環および複素環(芳香族性および非芳香族性の両方を含む)のいずれでもよく、脂肪族環または芳香族環であることがより好ましく、芳香族環であることがさらに好ましい。ここで、脂肪族環は、シクロアルカンまたはシクロアルケンであることが好ましく、シクロアルカンであることがより好ましい。芳香族環は、単環でも多環でもよく、単環または縮合環であることが好ましく、単環であることがより好ましい。また、1分子中の環の数は、特に限定されないが、5つ以下であることが好ましく、3つ以下であることがより好ましく2つ以下であることが特に好ましく、1つでもよい。環構造の具体例は、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ビフェニル構造、ジフェニルメタン構造、ジフェニルエーテル構造、または、9,9-ビスフェニルフルオレン構造等である。その中でも、環構造は、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ビフェニル構造、ジフェニルメタン構造またはジフェニルエーテル構造であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。このような環構造を採用することにより、有機ハロゲン化合物からハロゲン化物イオンがより遊離しやすくなる。
[0032]
 また、上記環構造は、置換基を有していてもよく、置換基は次の置換基Tであることが好ましい。置換基Tは、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭化水素基、ヘテロアリール基、-ORt 、-CORt 、-COORt 、-OCORt 、-NRt Rt 、-NHCORt 、-CONRt Rt 、-NHCONRt Rt 、-NHCOORt 、-SRt 、-SO Rt 、-SO ORt 、-NHSO Rt または-SO NRt Rt である。Rt およびRt は、それぞれ独立して水素原子、炭化水素基または複素環基を表す。Rt とRt が結合して環を形成してもよい。
[0033]
 置換基Tについて、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1または2がさらに好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。アルケニル基の炭素数は、2~10が好ましく、2~5がより好ましく、2または3が特に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。アルキニル基の炭素数は、2~10が好ましく、2~5がより好ましい。アルキニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。アリール基の炭素数は、6~10が好ましく、6~8がより好ましく、6または7がさらに好ましい。複素環基は、単環であってもよく、多環であってもよい。複素環基は、単環または環の数が2~4の多環が好ましく、単環または環の数が2~4の多環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~10が好ましく、3~8がより好ましく、3~5がより好ましい。
[0034]
 炭化水素基および複素環基は、さらに置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。ここでの置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。
[0035]
 有機ハロゲン化合物は、重合性基を有することも好ましい。これにより、パターン形成用組成物のメイン成分である重合性化合物との相溶性が向上する。重合性基の種類は、特に限定されないが、例えば、エチレン性不飽和結合を有する基(以下、「エチレン性不飽和結合含有基」ともいう。)およびエポキシ基等が好ましく、エチレン性不飽和結合含有基が好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、例えば、ビニル基、エチニル基、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基等が好ましく、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましく、アクリロイル基およびアクリロイルオキシ基がさらに好ましい。なお、本発明において、「有機ハロゲン化合物」が重合性基を有する場合には、その化合物は本発明における「重合性化合物」として扱わない。
[0036]
 さらに、本発明のパターン形成用組成物は、有機ハロゲン化合物として、下記式(D1)で表される化合物を含むことも好ましい。
[0037]
式(D1):
[化2]


[0038]
 式(D1)において、Aは環構造を表し、L は、それぞれ独立して、環構造AとXを結ぶ単結合または2価の連結基を表し、Xは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、mは1~4の整数を表す。また、L は、炭素原子と環構造Aとを結ぶ単結合または2価の連結基を表し、R は、水素原子またはメチル基を表し、nは0~4の整数を表す。
[0039]
 環構造Aは、上記で説明した環構造であり、特に、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ビフェニル構造、ジフェニルメタン構造、ジフェニルエーテル構造、または、ビスフェニルフルオレン等の環構造であることが好ましい。環構造Aは、前述した置換基Tを有していてもよい。
[0040]
 連結基としてのL は、直鎖または分岐の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基は、炭化水素鎖の中に、-O-、-S-、スルホニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、-NR -(R は水素原子または1価の置換基である。)を有していてもよい。具体的には、連結基としてのL は、例えば、アルキレン基(炭素数1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5がさらに好ましい。)、アルケニレン基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3がさらに好ましい。)、-O-、-S-、スルホニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、-NR -、および、それらの組み合わせに係る炭化水素基である。それらの組み合わせに係る炭化水素基は、例えば、アルキレンオキシ基(炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。)、アルキレンスルフィド基(炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。)、および、オリゴアルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。繰り返し数は2~10が好ましく、2~5がより好ましく、2または3がさらに好ましい。)等である。連結基としてのL は、上記のような酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含む構造を有することなく、炭化水素鎖のみから構成されることが好ましい。連結基としてのL は、前述した置換基Tを有していてもよい。
[0041]
 L は、単結合であるか、直鎖もしくは分岐のアルキレン基、または、直鎖もしくは分岐のアルケニレン基であることが好ましい。より好ましくは、L は、単結合であるか、直鎖もしくは分岐で炭素数1~5のアルキレン基、または、直鎖もしくは分岐で炭素数2~6のアルケニレン基である。特に、L は、単結合または直鎖もしくは分岐で炭素数1~5のアルキレン基であることが好ましく、単結合または直鎖もしくは分岐で炭素数1~3のアルキレン基であることがより好ましく、単結合、メチレン基またはエチレン基であることがさらに好ましく、メチレン基であることがとりわけ好ましい。
[0042]
 Xは、塩素原子または臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。mは、1~3であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1でもよい。mが2以上である場合には、m個のL は、それぞれ互いに独立しており、同一であっても異なっていてもよく、m個のXは、それぞれ互いに独立しており、同一であっても異なっていてもよい。
[0043]
 nが付された括弧内は、エチレン性不飽和結合含有基として(メタ)アクリロイル基を有する部分構造を表すともいえる。このエチレン性不飽和結合含有基は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含有することが好ましい。また、R は、水素原子であることが好ましい。
[0044]
 nは、0~3であることが好ましく、0~2であることがより好ましく、0または1でもよい。nが1以上である場合には、パターン形成用組成物中における重合性化合物との相溶性がより向上するという効果がある。また、m+nは、1~5であることが好ましく、1~4であることがより好ましく、2または3であることがさらに好ましい。m+nがこの範囲内であることにより化合物を適度な分子量に設計可能となり、揮発性が低く室温で安定に存在でき、かつパターン形成用組成物中に溶解した際の粘度上昇を抑えられるという効果がある。
[0045]
 L は、2価の連結基であることが好ましく、例えば、L について説明した2価の連結基と同様の連結基であることがより好ましい。つまり、連結基としてのL は、例えば、アルキレン基(炭素数1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5がさらに好ましい。)、アルケニレン基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3がさらに好ましい。)、-O-、-S-、スルホニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、-NR -、および、それらの組み合わせに係る炭化水素基である。それらの組み合わせに係る炭化水素基は、例えば、アルキレンオキシ基(炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。)、アルキレンスルフィド基(炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。)、および、オリゴアルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。繰り返し数は2~10が好ましく、2~5がより好ましく、2または3がさらに好ましい。)等である。連結基としてのL が酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含む場合には、nが付された括弧内のエチレン性不飽和結合含有基は(メタ)アクリロイルオキシ基となることが好ましい。連結基としてのL は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含む構造を有することなく、炭化水素鎖のみから構成されていてもよい。連結基としてのL は、前述した置換基Tを有していてもよい。
[0046]
 特に、L は、単結合であるか、直鎖もしくは分岐のアルキレン基、直鎖もしくは分岐のアルケニレン基、直鎖もしくは分岐のアルキレンオキシ基、または、直鎖もしくは分岐のオリゴアルキレンオキシ基であることが好ましい。連結基としてのL は、直鎖もしくは分岐で炭素数1~5のアルキレン基、直鎖もしくは分岐で炭素数2~6のアルケニレン基、直鎖もしくは分岐で炭素数1~5のアルキレンオキシ基、または、オリゴアルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1~3であり、繰り返し数は2または3である。)であることがより好ましい。その中でも、連結基としてのL は、直鎖もしくは分岐で炭素数1~3のアルキレン基、直鎖もしくは分岐で炭素数2もしくは3のアルケニレン基、直鎖もしくは分岐で炭素数1~3のアルキレンオキシ基、または、オリゴアルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1または2であり、繰り返し数は2である。)であることが好ましく、メチレン基、エチレン基またはメチレンオキシ基であることがより好ましい。
[0047]
 上記式(D1)において、n=0であることも好ましい。つまり、本発明のパターン形成用組成物は、有機ハロゲン化合物として、下記式(D2)で表される化合物を含むことも好ましい。
[0048]
式(D2):
[化3]


[0049]
 式(D2)におけるA、L 、Xおよびmは、上記式(D1)におけるA、L 、Xおよびmとそれぞれ同義である。
[0050]
 つまり、式(D2)においても、環構造Aは、脂肪族環または芳香族環であることが好ましく、芳香族環であることがより好ましい。その中でも環構造Aは、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ビフェニル構造、ジフェニルメタン構造、ジフェニルエーテル構造、または、ビスフェニルフルオレン等の環構造であることが好ましい。環構造Aは、前述した置換基Tを有していてもよい。また、L は、単結合または直鎖もしくは分岐で炭素数1~5のアルキレン基であることが好ましく、単結合または直鎖もしくは分岐で炭素数1~3のアルキレン基であることがより好ましく、単結合、メチレン基またはエチレン基であることがさらに好ましい。Xは、塩素原子または臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。mは、1~3であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1でもよい。mが2以上である場合には、m個のL は、それぞれ互いに独立しており、同一であっても異なっていてもよく、m個のXは、それぞれ互いに独立しており、同一であっても異なっていてもよい。
[0051]
 また、本発明のパターン形成用組成物は、有機ハロゲン化合物として、下記式(D3)で表される化合物を含むことも好ましい。
[0052]
式(D3):
[化4]


[0053]
 式(D3)において、R は、直鎖または分岐でm価の有機基を表し、Xは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、mは1~4の整数を表す。
[0054]
 上記有機基R は、直鎖または分岐の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基は、炭化水素鎖の中に、-O-、-S-、スルホニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、-NR -(R は水素原子または1価の置換基である。)を有していてもよい。具体的には、上記有機基R は、例えば、アルキル基(炭素数1~20が好ましく、3~18がより好ましく、5~15がさらに好ましい。)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましい。)、アルキニル基(炭素数2~12が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましい。)、アルキレン基(炭素数1~20が好ましく、3~18がより好ましく、5~15がさらに好ましい。)、アルケニレン基(炭素数2~12が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましい。)、アルキニレン基(炭素数2~12が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましい。)、-O-、-S-、スルホニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、-NR -、および、それらの組み合わせに係る炭化水素基である。それらの組み合わせに係る炭化水素基は、例えば、アルコキシ基(炭素数は1~12が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましい。)、アルケニルオキシ基(炭素数は1~12が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましい。)、アルキレンオキシ基(炭素数は1~12が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましい。)、アルキレンスルフィド基(炭素数は1~12が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましい。)、および、オリゴアルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。繰り返し数は2~10が好ましく、2~5がより好ましく、2または3がさらに好ましい。)等である。上記有機基R は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含む構造を有することなく、炭化水素鎖のみから構成されることが好ましい。また、上記有機基R は、前述した置換基Tを有していてもよい。
[0055]
 特に、上記有機基R は、直鎖もしくは分岐のアルキル基、直鎖もしくは分岐のアルケニル基、直鎖もしくは分岐のアルキニル基、直鎖もしくは分岐のアルキレン基、直鎖もしくは分岐のアルケニレン基、直鎖もしくは分岐のアルキニレン基、直鎖もしくは分岐のアルキレンオキシ基、または、直鎖もしくは分岐のオリゴアルキレンオキシ基であることが好ましい。上記有機基R は、直鎖もしくは分岐で炭素数3~18のアルキル基、直鎖もしくは分岐で炭素数3~10のアルケニル基、直鎖もしくは分岐で炭素数3~10のアルキニル基、直鎖もしくは分岐で炭素数3~18のアルキレン基、直鎖もしくは分岐で炭素数3~10のアルケニレン基、直鎖もしくは分岐で炭素数3~10のアルキニレン基、直鎖もしくは分岐で炭素数3~10のアルキレンオキシ基、または、オリゴアルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1~3であり、繰り返し数は2または3である。)であることがより好ましい。その中でも、上記有機基R は、直鎖もしくは分岐で炭素数4~15のアルキル基、直鎖もしくは分岐で炭素数4~8のアルケニル基、直鎖もしくは分岐で炭素数4~15のアルキレン基、直鎖もしくは分岐で炭素数4~8のアルケニレン基、直鎖もしくは分岐で炭素数4~8のアルキレンオキシ基、または、オリゴアルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1~3であり、繰り返し数は2である。)であることが好ましく、直鎖で炭素数4~10のアルキル基、直鎖で炭素数4~8のアルケニル基、直鎖で炭素数4~10のアルキレン基、直鎖で炭素数4~8のアルケニレン基、直鎖で炭素数4~8のアルキレンオキシ基、または、オリゴアルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1~3であり、繰り返し数は2である。)であることがさらに好ましい。
[0056]
 本発明における有機ハロゲン化合物は、水銀ランプの光(例えば、波長300~450nmの光)に対し安定である。「水銀ランプの光に対し安定である」とは、水銀ランプの光の照射に起因してイオンやラジカルを発生したりする分解を起こしにくいことをいう。本発明において、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに代表される有機溶剤に有機ハロゲン化合物を溶解させて0.1質量%溶液を調製し、その溶液を光路長1cmの石英製光学セルに入れ、至近から超高圧水銀ランプの光を60秒間照射した場合に、上記有機ハロゲン化合物の分解率は1%未満となる。分解率は、例えば吸光スペクトルの変化量などから見積もることができる。これにより、モールドを繰り返し使用する場合に、モールド表面に発生する活性点を効率よく不活性化させることができる。有機ハロゲン化合物は、少なくとも露光量1mJ/cm の光に対して安定であることが好ましく、露光量2mJ/cm 以上の光に対して安定であることがより好ましく、露光量5mJ/cm 以上の光に対して安定であることがさらに好ましい。また、有機ハロゲン化合物は、実際的には露光量10mJ/cm 以下の光に対して安定であれば充分である。
[0057]
 本発明における有機ハロゲン化合物は、元素周期表における第3周期以降の原子のうち塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)およびヨウ素原子(I)以外の原子を含まないことが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択される原子のみから構成されることがより好ましい。特に、本発明における有機ハロゲン化合物は、シロキシ基を有しないことが好ましい。有機ハロゲン化合物がシロキシ基を有しないことにより、シロキシ基がモールド表面に結合し、モールド表面の付着物が増えること、および、形成したパターンをマスクとしてドライエッチングを行う際に残渣欠陥が発生することなど、を抑制できる。
[0058]
 有機ハロゲン化合物の具体例は下記のとおりである。しかしながら、本発明において、有機ハロゲン化合物は下記に示す化合物に限定されない。
[0059]
[化5]


[0060]
[化6]


[0061]
[化7]


[0062]
 有機ハロゲン化合物(イオンの状態の有機ハロゲン化合物も含む。)の含有量は、パターン形成用組成物中の全固形分に対して0.001~1.0質量%である。この数値範囲の上限は、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.05質量%以下であることが特に好ましい。また、この数値範囲の下限は、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.008質量%以上であることがさらに好ましく、0.01質量%以上であることが特に好ましい。有機ハロゲン化合物の含有量が上記範囲内であることにより、組成物中において、極性を持ったハロゲン原子またはハロゲン化物イオンを充分に確保することができ、パターン形成用組成物の経時安定性がより向上する。さらに、有機ハロゲン化合物の含有量が上記範囲内であることにより、ハロゲン化物イオンの存在によってインプリント装置内の配管やインプリントヘッド等のインプリント用の機器および機材が腐食する等の影響もより抑制できる。
[0063]
 有機ハロゲン化合物は、1種単独で使用されてもよく、2種以上の組み合わせで使用されてもよい。2種以上の有機ハロゲン化合物が併用される場合には、それらの合計量が上記範囲内となることが好ましい。
[0064]
<<ハロゲン化物イオン>>
 本発明のパターン形成用組成物は、所定のハロゲン化物イオンを含むことが好ましい。本発明におけるハロゲン化物イオンは、塩化物イオン(Cl )、臭化物イオン(Br )およびヨウ化物イオン(I )から選択される少なくとも1つのハロゲン化物イオンを含むことが好ましい。これにより、インプリント用のパターン形成用組成物の経時安定性がより向上する。ハロゲン化物イオンは、例えば、上記有機ハロゲン化合物から遊離することで得られる。また、塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオンの合計の含有量は、組成物中の全固形分に対し0.005~1100質量ppmであることが好ましい。この数値範囲の上限は、1000質量ppm以下であることがより好ましく、500質量ppm以下であることがさらに好ましく、100質量ppm以下であることが特に好ましい。また、この数値範囲の下限は、0.05質量ppm以上であることがより好ましく、1質量ppm以上であることがさらに好ましく、10質量ppm以上であることが特に好ましい。上記ハロゲン化物イオンの合計の含有量が上記下限以上であることにより、パターン形成用組成物の経時安定性がより向上する。さらに、ハロゲン化物イオンの含有量が上記上限以下であることにより、インプリント用機器内の配管やインクジェットヘッド内の金属部品とパターン形成用組成物が接触した場合であっても、金属部品表面に形成されたバリアー層の点状欠損から腐食が陥入する孔食(ピッティングコロージョン)が生じにくくなり、金属部品の腐食がより効果的に抑制される。
[0065]
 ハロゲン化物イオンは、1種単独で使用されてもよく、2種以上の組み合わせで使用されてもよい。2種以上のハロゲン化物イオンが併用される場合には、それらの合計量が上記範囲内となることが好ましい。
[0066]
<<水分>>
 本発明のパターン形成用組成物は、水分を含むことが好ましい。組成物中に水分が存在することにより、有機ハロゲン化合物からハロゲン化物イオンがより遊離しやすい環境が形成される。水分の含有量は、パターン形成用組成物の全量に対して、0.001~1.5質量%であることが好ましい。この数値範囲の上限は、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。また、この数値範囲の下限は、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.03質量%以上であることがさらに好ましく、0.04質量%以上であることが特に好ましい。水分の含有量が上記範囲内であることにより、パターン形成用組成物の経時安定性がより向上する。さらに、水分の含有量が上記範囲内であることにより、ハロゲン化物イオンの存在によって、インプリント装置内の配管やインプリントヘッド等のインプリント用の機器および機材が腐食する等の影響もより抑制できる。水分の含有量が上記範囲内であることにより、パターン形成用組成物中に僅かに含まれる金属イオンが析出することを抑制でき、パターンをマスクとしたエッチング加工時にパターンの欠陥が誘発することを抑制できる。
[0067]
 水分量を調整する方法は、特に限定されない。例えば、水分を含む雰囲気中でパターン形成用組成物を撹拌する方法や、原料として純水をパターン形成用組成物に添加する方法などにより、水分量を調整できる。
[0068]
<<重合性化合物>>
 本発明のパターン形成用組成物は、上記のとおり、重合性基を有する重合性化合物を含む。この重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
[0069]
 重合性化合物は、重合性基が1つである単官能重合性化合物でも、重合性基が2つ以上である多官能重合性化合物でもよい。本発明のパターン形成用組成物は、多官能重合性化合物を含むことが好ましく、多官能重合性化合物と単官能重合性化合物の両方を含むことがより好ましい。多官能重合性化合物は、二官能重合性化合物および三官能重合性化合物の少なくとも1種を含むことが好ましく、二官能重合性化合物の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
[0070]
 重合性化合物が有する重合性基は、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基などのエチレン性不飽和結合含有基が挙げられる。重合性基は、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基が好ましく、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基がより好ましい。
[0071]
 本発明における重合性化合物の分子量は、2000未満であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、1000以下であることが一層好ましく、800以下であってもよい。下限値は、100以上であることが好ましい。
[0072]
 本発明における重合性化合物は、ケイ素原子を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。このような実施形態として、重合性化合物がシリコーン骨格を有する重合性化合物である場合が例示される。また、他の一実施形態として、重合性化合物がケイ素原子を含有しない重合性化合物である場合が例示される。シリコーン骨格を有する重合性化合物としては、信越化学工業社製、シリコーンアクリレートX-22-1602が例示される。
[0073]
 本発明の重合性化合物の含有量は、パターン形成用組成物全体に対し、40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、90質量%以上であることが一層好ましい。また、本発明の重合性化合物の含有量は、パターン形成用組成物全体に対し、99.9質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98質量%以下であることがさらに好ましい。
[0074]
 本発明のパターン形成用組成物は、重合性化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0075]
 重合性化合物は、有機ハロゲン化合物からハロゲン原子を除いた部分構造を含むことが好ましい。これにより、重合性化合物と有機ハロゲン化合物との相溶性がより向上する。
[0076]
 本発明のパターン形成用組成物において、重合性化合物は、経時とともに、樹脂の加水分解等によって分解することもある。本発明のパターン形成用組成物では、その使用時において重合性化合物の分解物の含有量が、パターン形成用組成物に対して500質量ppm以下であることが好ましく、200質量ppm以下であることがより好ましく、100質量ppm以下であることがさらに好ましい。この数値範囲の下限は、特に制限されないが、例えば1質量ppm以上である。重合性化合物の分解物の含有量は、例えば、重合性化合物が(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する場合には、(メタ)アクリル酸の含有量によって、見積もることができる。
[0077]
<<<多官能重合性化合物>>>
 本発明において、パターン形成用組成物が重合性化合物として多官能重合性化合物を含む場合には、多官能重合性化合物が有する重合性基の数は、2以上であり、2~7が好ましく、2~4がより好ましく、2または3がさらに好ましく、2が一層好ましい。
[0078]
 本発明において、多官能重合性化合物は、下記式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。このような多官能重合性化合物を用いることにより、インプリントにおいて密着性、離型性および経時安定性のバランスがよくなり、パターン形成用組成物が総合的により優れる傾向にある。
[0079]
[化8]


[0080]
 式中、R 21はq価の有機基であり、R 22は水素原子またはメチル基であり、qは2以上の整数である。qは2以上7以下の整数が好ましく、2以上4以下の整数がより好ましく、2または3がさらに好ましく、2が一層好ましい。
[0081]
 R 21は、2~7価の有機基であることが好ましく、2~4価の有機基であることがより好ましく、2または3価の有機基であることがさらに好ましく、2価の有機基であることが一層好ましい。R 21は直鎖、分岐および環状の少なくとも1つの構造を有する炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基の炭素数は、2~20が好ましく、2~10がより好ましい。
[0082]
 R 21が2価の有機基であるとき、R 21は下記式(1-2)で表される有機基であることが好ましい。
[0083]
[化9]


[0084]
 式中、Z およびZ はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-Alk-、または-Alk-O-であることが好ましい。Alkはアルキレン基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)を表し、本発明の効果を損ねない範囲で、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば前述した置換基T(塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を含む置換基を除く。)が挙げられる。本明細書において、化学式中のアスタリスクは結合手を表す。
[0085]
 R は、単結合または2価の連結基である。この連結基は、下記の式(9-1)~(9-10)から選ばれる連結基またはその組み合わせが好ましい。中でも、式(9-1)~(9-3)、(9-7)、および(9-8)から選ばれる連結基であることが好ましい。
[0086]
[化10]


[0087]
 R 101~R 117は任意の置換基である。中でも、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~21が好ましく、7~15がより好ましく、7~11がさらに好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)、チエニル基、フリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基(アルキル基は炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい)が好ましい。R 101とR 102、R 103とR 104、R 105とR 106、R 107とR 108、R 109とR 110、複数あるときのR 111、複数あるときのR 112、複数あるときのR 113、複数あるときのR 114、複数あるときのR 115、複数あるときのR 116、複数あるときのR 117は、互いに結合して環を形成していてもよい。
[0088]
 Arはアリーレン基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)であり、具体的には、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、フルオレンジイル基が挙げられる。
[0089]
 hCyはヘテロ環基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、2~5がさらに好ましい)であり、5員環または6員環がより好ましい。hCyを構成するヘテロ環の具体例としては、チオフェン環、フラン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、インドール環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、ピロール環、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピロリドン環、モルホリン環が挙げられ、中でも、チオフェン環、フラン環、ジベンゾフラン環が好ましい。
[0090]
 Z は単結合または連結基である。連結基としては、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子が置換してもよいアルキレン基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)が挙げられる。
[0091]
 nおよびmは100以下の自然数であり、1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。
[0092]
 pは0以上で、各環に置換可能な最大数以下の整数である。上限値は、それぞれの場合で独立に、置換可能最大数の半分以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。
[0093]
 多官能重合性化合物は、下記式(2-1)で表されることが好ましい。
[0094]
[化11]


[0095]
 式(2-1)中、R は水素原子またはメチル基である。また、R 、Z およびZ は、それぞれ、式(1-2)におけるR 、Z およびZ と同義であり、好ましい範囲も同様である。
[0096]
 本発明で用いる多官能重合性化合物を構成する原子の種類は特に定めるものでは無いが、炭素原子、酸素原子、水素原子およびフッ素原子から選択される原子のみで構成されることが好ましく、炭素原子、酸素原子および水素原子から選択される原子のみで構成されることがより好ましい。特に、フッ素原子を有することで離型性を有する多官能重合性化合物は、後述する離型剤としても機能する。
[0097]
 本発明で好ましく用いられる多官能重合性化合物としては、下記化合物が挙げられる。また、特開2014-170949号公報に記載の重合性化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に含まれる。
[0098]
[化12]


[0099]
[化13]


[0100]
[化14]


[0101]
[化15]


[0102]
 本発明で用いる多官能重合性化合物の含有量は、組成物中の重合性化合物全体に対して、30~99質量%であることが好ましく、50~95質量%であることがより好ましく、75~90質量%であることがさらに好ましく、80~90質量%であってもよい。パターン形成用組成物は、多官能重合性化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0103]
<<<単官能重合性化合物>>>
 本発明において、パターン形成用組成物が重合性化合物として単官能重合性化合物を含む場合には、単官能重合性化合物の種類は本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではない。本発明で用いる単官能重合性化合物は、環状構造を有するか、炭素数4以上の直鎖または分岐の炭化水素鎖を有することが好ましい。本発明では単官能重合性化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
[0104]
 本発明で用いる単官能重合性化合物は、25℃で液体であることが好ましい。
[0105]
 本発明において、25℃で液体である化合物とは、25℃で流動性を有する化合物であって、例えば、25℃での粘度が、1~100000mPa・sである化合物を意味する。単官能重合性化合物の25℃での粘度は、例えば、10~20000mPa・sがより好ましく、100~15000mPa・sが一層好ましい。
[0106]
 25℃で液体の化合物を用いることにより、パターン形成用組成物が溶剤を実質的に含まない構成とすることができる。ここで、溶剤を実質的に含まないとは、例えば、本発明のパターン形成用組成物に対する溶剤の含有量が5質量%以下であることをいう。溶剤の含有量は、パターン形成用組成物に対し3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
[0107]
 本発明で用いる単官能重合性化合物の25℃での粘度は、100mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましく、8mPa・s以下がさらに好ましく、6mPa・s以下が一層好ましい。単官能重合性化合物の25℃での粘度を上記上限値以下とすることで、パターン形成用組成物の粘度を低減でき、充填性が向上する傾向がある。下限値については、特に定めるものではないが、例えば、1mPa・s以上とすることができる。
[0108]
 本発明で用いる単官能重合性化合物は、単官能(メタ)アクリルモノマーであることが好ましく、単官能アクリレートであることがより好ましい。
[0109]
 本発明で用いる単官能重合性化合物を構成する原子の種類は特に定めるものでは無いが、炭素原子、酸素原子、水素原子およびフッ素原子から選択される原子のみで構成されることが好ましく、炭素原子、酸素原子および水素原子から選択される原子のみで構成されることがより好ましい。特に、フッ素原子を有することで離型性を有する単官能重合性化合物は、後述する離型剤としても機能する。
[0110]
 本発明で用いる単官能重合性化合物は、可塑構造を有することが好ましい。例えば、本発明で用いる単官能重合性化合物は、その少なくとも1種が、以下の(1)~(3)からなる群から選択される1つの基を含むことが好ましい。
(1)アルキル鎖およびアルケニル鎖の少なくとも一方と、脂環構造および芳香環構造の少なくとも一方とを含み、かつ、合計炭素数が7以上である基(以下、「(1)の基」ということがある);
(2)炭素数4以上のアルキル鎖を含む基(以下、「(2)の基」ということがある);ならびに
(3)炭素数4以上のアルケニル鎖を含む基(以下、「(3)の基」ということがある);
 このような構成とすることにより、パターン形成用組成物中に含まれる単官能重合性化合物の添加量を減らしつつ、硬化膜の弾性率を効率良く低下させることが可能になる。さらに、モールドとの界面エネルギーが低減し、離型力の低減効果(離型性の向上効果)を大きくすることができる。
[0111]
 上記(1)~(3)の基における、アルキル鎖およびアルケニル鎖は、直鎖、分岐、または環状のいずれであってもよく、それぞれ独立に、直鎖状または分岐状であることが好ましい。また、上記(1)~(3)の基は、上記アルキル鎖およびアルケニル鎖の少なくとも1種を単官能重合性化合物の末端に、すなわち、アルキル基およびアルケニル基の少なくとも1種をその末端に有することが好ましい。このような構造とすることにより、離型性をより向上させることができる。
[0112]
 アルキル鎖およびアルケニル鎖は、それぞれ独立に、鎖中にエーテル基(-O-)を含んでいてもよいが、エーテル基を含んでいない方が離型性向上の観点から好ましい。
[0113]
・(1)の基
 上記(1)の基における合計炭素数は35以下であることが好ましく。10以下であることがより好ましい。
[0114]
 環状構造としては、3~8員環の単環、またはそれらの単環が組み合わされた多環が好ましい。上記多環を構成する環の数は、2つまたは3つが好ましい。環状構造は、5員環または6員環がより好ましく、6員環がさらに好ましい。また、単環がより好ましい。(1)の基における環状構造としては、シクロヘキサン環、ベンゼン環およびナフタレン環がより好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。また、環状構造は、芳香環構造の方が好ましい。
[0115]
 (1)の基における環状構造の数は、1つであっても、2つ以上であってもよいが、1つまたは2つが好ましく、1つがより好ましい。尚、縮合環の場合は、縮合環を1つの環状構造として考える。
[0116]
・(2)の基
 上記(2)の基は、炭素数4以上のアルキル鎖を含む基であり、炭素数4以上のアルキル鎖のみからなる基(すなわち、アルキル基)であることが好ましい。アルキル鎖の炭素数は、7以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましい。アルキル鎖の炭素数の上限値については、特に限定されるものでは無いが、例えば、25以下とすることができる。なお、アルキル鎖の一部の炭素原子がケイ素原子に置き換わった化合物も単官能重合性化合物として例示できる。
[0117]
・(3)の基
 上記(3)の基は、炭素数4以上のアルケニル鎖を含む基であり、炭素数4以上のアルケニル鎖のみからなる基(すなわち、アルキレン基)であることが好ましい。アルケニル鎖の炭素数は、7以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましい。アルケニル鎖の炭素数の上限値については、特に限定されるものでは無いが、例えば、25以下とすることができる。
[0118]
 本発明で用いる単官能重合性化合物は、上記(1)~(3)の基のいずれか1つ以上と、重合性基が、直接にまたは連結基を介して結合している化合物が好ましく、上記(1)~(3)の基のいずれか1つと、重合性基が直接に結合している化合物がより好ましい。連結基としては、-O-、-C(=O)-、-CH -、-NH-またはこれらの組み合わせが例示される。
[0119]
 単官能重合性化合物の具体例は、下記のとおりである。しかしながら、本発明において、単官能重合性化合物は、下記の化合物に限定されない。
[0120]
[化16]


[0121]
[化17]


[0122]
 パターン形成用組成物中の全重合性化合物に対する単官能重合性化合物の量としては、下限値は、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、7質量%以上が一層好ましい。また、上限値は、29質量%以下が好ましく、27質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が一層好ましく、15質量%以下がより一層好ましい。全重合性化合物に対して、単官能重合性化合物の量を上記下限値以上とすることで、離型性を向上することができ、モールド離型時にパターンの欠陥やモールドの破損を抑制できる。また、上記上限値以下とすることで、パターン形成用組成物の硬化膜のTgを高くすることができ、エッチング加工耐性、特に、エッチング時のパターンのうねりを抑制できる。
[0123]
 本発明では、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記単官能重合性化合物以外の単官能重合性化合物を用いてもよく、特開2014-170949号公報に記載の重合性化合物のうち、単官能重合性化合物が例示され、これらの内容は本明細書に含まれる。
[0124]
<<重合開始剤>>
 本発明のパターン形成用組成物は、光重合開始剤を含む。さらに、光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。本発明で用いられる光ラジカル重合開始剤としては、光照射により上述の重合性化合物を重合する活性種を発生する化合物であればいずれのものでも用いることができる。
[0125]
 光ラジカル重合開始剤としては、例えば、市販されている開始剤を用いることができる。これらの例としては、例えば、特開2008-105414号公報の段落番号0091に記載のものを好ましく採用することができる。この中でもアセトフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物が硬化感度、吸収特性の観点から好ましい。市販品としては、イルガキュア(登録商標)1173、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア127、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、ルシリン(登録商標)TPO、イルガキュア819、イルガキュアOXE-01、イルガキュアOXE-02、イルガキュア651、イルガキュア754等(以上、BASF社製)、Omnirad 369、Omnirad 651(以上、IGM Resins B.V.製)、V-601(富士フイルム和光純薬社製)が挙げられる。
[0126]
 本発明は、光ラジカル重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0127]
 光ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用して用いることも好ましい。具体的には、ダロキュア1173とイルガキュア907、ダロキュア1173とルシリンTPO、ダロキュア1173とイルガキュア819、ダロキュア1173とイルガキュアOXE01、イルガキュア907とルシリンTPO、イルガキュア907とイルガキュア819との組み合わせが例示される。このような組み合わせとすることにより、露光マージンを拡げることができる。
[0128]
 本発明のパターン形成用組成物は、その0.01~10質量%が光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、より好ましくは0.1~5質量%であり、さらに好ましくは0.5~3質量%である。パターン形成用組成物は、光重合開始剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0129]
<<離型剤>>
 本発明のパターン形成用組成物は、離型剤を含んでいてもよい。
[0130]
 本発明に用いる離型剤の種類は、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではない。好ましくは、離型剤は、モールドとの界面に偏析し、モールドとの分離を促進する機能を有する添加剤である。本発明のパターン形成用組成物は、離型剤として、(a)界面活性剤、(b)末端に少なくとも1つの水酸基を有するか、または、水酸基がエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有する非重合性化合物(以下、「離型性を有する非重合性化合物」ということがある。)、および、(c)フッ素原子を有する重合性化合物の少なくとも1種を含むことが好ましい。
[0131]
 本発明においては、パターン形成用組成物に適度に水分を留めておくため、離型剤は親水性基を有することが好ましい。具体的な親水性基としては、ポリアルキレングリコール構造、ポリアルキレングリコールエーテル構造、ポリアルキレングリコールエステル構造、水酸基、アミン構造、リン酸エステル基、スルホニル基および硫酸エステル基、チオール基などが挙げられる。このような親水性基は、良好な離型性と適度な水分量を確保するという観点で、ポリアルキレングリコール構造であることがより好ましい。このような親水性基を有する化合物としては、例えば、後述する「離型性を有する非重合性化合物」が挙げられる。
[0132]
 パターン形成用組成物中の離型剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。また、離型剤を含む場合、その含有量は、全固形分に対し、合計で0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~5質量%がさらに好ましい。2種以上の離型剤が使用される場合には、それらの合計量が上記範囲に含まれることが好ましい。
[0133]
<<<(a)界面活性剤>>>
 離型剤用の界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましい。一方、界面活性剤は、フッ素原子以外のハロゲン原子(特に、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)を含む化合物(例えば、塩素原子を含むシランカップリング剤など)でないことが好ましい。
[0134]
 ノニオン性界面活性剤とは、少なくとも一つの疎水部と少なくとも一つのノニオン性親水部を有する化合物である。疎水部と親水部は、それぞれ、分子の末端にあっても、内部にあってもよい。疎水部は、炭化水素基、含フッ素基、含Si基から選択される疎水基で構成され、疎水部の炭素数は、1~25が好ましく、2~15がより好ましく、4~10がさらに好ましく、5~8が一層好ましい。ノニオン性親水部は、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、エーテル基(好ましくはポリオキシアルキレン基、環状エーテル基)、アミド基、イミド基、ウレイド基、ウレタン基、シアノ基、スルホンアミド基、ラクトン基、ラクタム基、シクロカーボネート基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を有することが好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、炭化水素系、フッ素系、Si系、またはフッ素およびSi系のいずれかのノニオン性界面活性剤であってもよいが、フッ素系またはSi系がより好ましく、フッ素系がさらに好ましい。ここで、「フッ素およびSi系界面活性剤」とは、フッ素系界面活性剤およびSi系界面活性剤の両方の要件を併せ持つものをいう。
[0135]
 フッ素系ノニオン性界面活性剤の市販品としては、住友スリーエム(株)製フロラードFC-4430、FC-4431、AGCセイミケミカル製サーフロンS-241、S-242、S-243、S-650、三菱マテリアル電子化成(株)製エフトップEF-PN31M-03、EF-PN31M-04、EF-PN31M-05、EF-PN31M-06、MF-100、OMNOVA社製Polyfox PF-636、PF-6320、PF-656、PF-6520、(株)ネオス製フタージェント250、251、222F、212M DFX-18、ダイキン工業(株)製ユニダインDS-401、DS-403、DS-406、DS-451、DSN-403N、DIC(株)製メガファックF-430、F-444、F-477、F-553、F-556、F-557、F-559、F-562、F-565、F-567、F-569、R-40、DuPont社製Capstone FS-3100、Zonyl FSO-100が挙げられる。
[0136]
 本発明のパターン形成用組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、溶剤を除く全組成物中、0.1~10質量%が好ましく、0.2~5質量%がより好ましく、0.5~5質量%がさらに好ましい。パターン形成用組成物は、界面活性剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0137]
<<<(b)離型性を有する非重合性化合物>>>
 本発明のパターン形成用組成物において、離型性を有する非重合性化合物は、末端に少なくとも1つの水酸基を有するか、または、水酸基がエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有していれば、特に制限されないが、さらに、フッ素原子およびケイ素原子を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、非重合性化合物とは、重合性基を持たない化合物をいう。また、非重合性化合物について、フッ素原子およびケイ素原子を実質的に含有しないとは、例えば、フッ素原子およびケイ素原子の合計含有率が1質量%以下であることを表し、フッ素原子およびケイ素原子を全く有していないことが好ましい。フッ素原子およびケイ素原子を有さないことにより、重合性化合物との相溶性が向上し、特に溶剤を実質的に含有しないパターン形成用組成物において、塗布均一性、インプリント時のパターン形成性、ドライエッチング後のラインエッジラフネスが良好となる。
[0138]
 離型性を有する非重合性化合物が有するポリアルキレングリコール構造としては、炭素数1~6のアルキレン基を含むポリアルキレングリコール構造が好ましく、ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造、ポリブチレングリコール構造、またはこれらの混合構造がより好ましく、ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造、またはこれらの混合構造がさらに好ましく、ポリプロピレングリコール構造が一層好ましい。
[0139]
 さらに、非重合性化合物は、末端の置換基を除き実質的にポリアルキレングリコール構造のみで構成されていてもよい。ここで実質的にとは、ポリアルキレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下であることをいい、好ましくは1質量%以下であることをいう。特に、離型性を有する非重合性化合物として、実質的にポリプロピレングリコール構造のみからなる化合物を含むことが特に好ましい。
[0140]
 ポリアルキレングリコール構造としてはアルキレングリコール構成単位を3~100個有していることが好ましく、4~50個有していることがより好ましく、5~30個有していることがさらに好ましく、6~20個有していることが一層好ましい。
[0141]
 離型性を有する非重合性化合物は、末端に少なくとも1つの水酸基を有するかまたは水酸基がエーテル化されていることが好ましい。末端に少なくとも1つの水酸基を有するかまたは水酸基がエーテル化されていれば、残りの末端は水酸基であってもよく、末端水酸基の水素原子が置換されているものであってもよい。末端水酸基の水素原子が置換されていてもよい基としてはアルキル基(すなわちポリアルキレングリコールアルキルエーテル)、アシル基(すなわちポリアルキレングリコールエステル)が好ましい。連結基を介して複数(好ましくは2または3本)のポリアルキレングリコール鎖を有している化合物も好ましく用いることができる。
[0142]
 離型性を有する非重合性化合物の好ましい具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(例えば、富士フイルム和光純薬製)、これらのモノまたはジメチルエーテル、モノまたはジブチルエーテル、モノまたはジオクチルエーテル、モノまたはジセチルエーテル、モノステアリン酸エステル、モノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、これらのトリメチルエーテルである。
[0143]
 離型性を有する非重合性化合物の重量平均分子量としては150~6000が好ましく、200~3000がより好ましく、250~2000がさらに好ましく、300~1200が一層好ましい。
[0144]
 また、本発明で用いることができる離型性を有する非重合性化合物の市販品としては、オルフィンE1010(日信化学工業社製)、Brij35(キシダ化学社製)等が例示される。
[0145]
 本発明のパターン形成用組成物が離型性を有する非重合性化合物を含有する場合、離型性を有する非重合性化合物の含有量は、全固形分中、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が一層好ましい。上記含有量は、また、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
[0146]
 パターン形成用組成物は、離型性を有する非重合性化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0147]
<<<(c)フッ素原子を有する重合性化合物>>>
 本発明における離型剤としての、フッ素原子を有する重合性化合物は、重合性基と、フッ素原子を含む官能基を有することが好ましい。
[0148]
 重合性基の種類は、特に限定されないが、例えば、エチレン性不飽和結合含有基およびエポキシ基等が好ましく、エチレン性不飽和結合含有基が好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、上記同様に例えば、ビニル基、エチニル基、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基等が好ましく、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましく、アクリロイル基およびアクリロイルオキシ基がさらに好ましい。
[0149]
 フッ素原子を含む官能基としては、フルオロアルキル基およびフルオロアルキルエーテル基から選ばれる含フッ素基が好ましい。
[0150]
 フルオロアルキル基としては、炭素数が2以上のフルオロアルキル基であることが好ましく、4以上のフルオロアルキル基であることがより好ましく、炭素数の上限値としては特に定めるものではないが、20以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。最も好ましくは炭素数4~6のフルオロアルキル基である。具体的には、フルオロアルキル基は、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ヘプタデカフルオロオクチル基であることが好ましい。さらに、フルオロアルキル基は、末端または側鎖にトリフルオロメチル基を有することも好ましい。
[0151]
 フルオロアルキルエーテル基は、例えば、パーフルオロエチレンオキシ基またはパーフルオロプロピレンオキシ基を含有することが好ましい。また、フルオロアルキルエーテル基は、フルオロアルキル基の場合と同様に、トリフルオロメチル基を末端に、または、-(CF(CF )CF O)-のようにトリフルオロメチル基を側鎖に有していることも好ましい。
[0152]
 フッ素原子を有する重合性化合物については、特開2011-124554号公報の段落0021-0043にも記載されており、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0153]
 本発明のパターン形成用組成物が、フッ素原子を有する重合性化合物を含有する場合、フッ素原子を有する重合性化合物の含有量は、全固形分中、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が一層好ましい。また、上記含有量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。パターン形成用組成物は、フッ素原子を有する重合性化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他の成分>>
 本発明のパターン形成用組成物は、上記の成分のほか、増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、ポリマー等を含んでいてもよい。パターン形成用組成物中のこれらの化合物は、それぞれ、1種のみでもよく、2種以上でもよい。これらの詳細については、特開2014-170949号公報の段落0061~0064の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0154]
 一方、本発明のパターン形成用組成物は、シランカップリング剤を含まない態様とすることもできる。これにより、シランカップリング剤がモールド表面に結合し、モールド表面の付着物が増えることを抑制できる。
[0155]
<<<溶剤>>>
 本発明のパターン形成用組成物は溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、ガンマブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが例示される。溶剤を含む場合、その含有量は、組成物の1~20質量%であることが好ましい。溶剤は1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
 また、本発明では、実質的に水以外の溶剤を含まない構成とすることもできる。溶剤を実質的に含まないとは、溶剤の含有量が5質量%以下であることをいい、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
[0156]
<<<ポリマー>>>
 本発明のパターン形成用組成物は、ポリマーを含んでいてもよい。ポリマーとは、例えば、重量平均分子量が2000以上の成分であり、2000超の成分であることが好ましい。
[0157]
 また、本発明では、実質的にポリマーを含まない構成とすることもできる。ポリマーを実質的に含まないとは、ポリマーの含有量が全固形分に対し5質量%以下であることをいい、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
[0158]
<パターン形成用組成物の特性>
 本発明のパターン形成用組成物は、25℃における粘度が、12mPa・s以下であることが好ましく、11mPa・s以下がより好ましく、10mPa・s以下がさらに好ましく、9mPa・s以下が一層好ましく、8mPa・s以下がより一層好ましい。粘度の下限値としては、特に定めるものでは無いが、例えば、5mPa・s以上とすることができる。このような範囲とすることにより、本発明のパターン形成用組成物がモールド内に入り込みやすくなり、モールド充填時間を短くできる。また、さらに、パターン形成性およびスループットを向上させることも可能になる。
[0159]
 本発明のパターン形成用組成物の大西パラメータは、4.0以下が好ましく、3.9以下がより好ましく、3.8以下がさらに好ましく、3.6以下が一層好ましく、3.5以下が特に好ましい。大西パラメータの下限値は、特に定めるものでは無いが例えば、2.8以上とすることができる。大西パラメータを4.0以下とすることにより、エッチング加工特性、特に、エッチング後のパターン断線をより効果的に抑制できる。
[0160]
<パターン形成用組成物の製造方法>
 本発明のパターン形成用組成物は、原料(上記で説明した各材料)を所定の割合となるように配合して調製される。原料を混合した後、フィルターを用いて濾過処理を行うことが好ましい。フィルターによる濾過はパターン形成用組成物の原料を混合した後に実施することが好ましい。
[0161]
 濾過は1段階のフィルターによる濾過でも効果を発揮するが、2段階以上のフィルターによる濾過の方がより好ましい。2段階以上のフィルターによる濾過とは、2つ以上のフィルターを直列に配置して濾過することをいう。本発明では、1~4段階のフィルターによる濾過が好ましく、2~4段階のフィルターによる濾過がより好ましい。
[0162]
 フィルターの材料を構成する成分(材料成分)は、樹脂を含むことが好ましい。樹脂としては特に制限されず、フィルターの材料として公知のものが使用できる。フィルターの材料を構成する成分(材料成分)の好ましい一実施形態として、中性基の少なくとも1種がグラフト化したポリマー(グラフト化したポリマー)が挙げられる。中性基は、水酸基、カルボキシ基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、水酸基であることがより好ましい。グラフト化ポリマーは、グラフト化ポリオレフィンであることが好ましく、グラフト化ポリエチレンであることがより好ましい。グラフト化ポリマーの記載は、国際公開第2016/081729号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0163]
 本発明で用いるフィルターの孔径としては100nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、12nm以下がさらに好ましく、8nm以下が一層好ましく、5nm以下であってもよい。フィルターの孔径を100nm以下とすることにより、不純物をより効果的に減らすことができる。また、フィルターの孔径の下限値は特に定めるものではないが、例えば1nm以上が好ましい。フィルターの孔径を1nm以上とすることにより、濾過時に必要以上に大きな圧力が印加されず、生産性が向上し、フィルターの破壊を効果的に抑制できる。濾過を段階的に行う場合、1段階目の濾過は、孔径が100~7nmのフィルター(好ましくは孔径が20~7nmのフィルター)を用い、2段階目の濾過は、孔径が7nm未満のフィルター(好ましくは孔径が7nm未満1nm以上のフィルター)を用いることができる。また、1段階目と2段階目、2段階目と3段階目等、直前の段階との孔径の差は、1~8nmであることが好ましい。
[0164]
<収容容器>
 本発明のパターン形成用組成物の収容容器としては従来公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器としては、原材料や組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成された多層ボトルや、6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
[0165]
<パターン製造方法>
 本発明のパターン形成用組成物は、硬化物として用いられる。より具体的には、本発明のパターン形成用組成物は、光インプリント法によるパターン状の硬化物(以下、単に「パターン」ともいう。)の製造に用いられる。
[0166]
 本発明のパターン製造方法は、本発明のパターン形成用組成物を基板上またはモールド上に適用し、パターン形成用組成物をモールドと基板で挟んだ状態で、パターン形成用組成物に光照射することを含む。基板上またはモールド上へのパターン形成用組成物を適用する方法は、特に限定されない。この適用方法について、特開2010-109092号公報(対応米国出願は、米国特許出願公開第2011/0199592号明細書)の段落0102の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。本発明では、適用方法として、スピンコート法やインクジェット法が好ましい。
[0167]
 本発明において、基板は、特に限定されない。基板について、特開2010-109092号公報(対応米国出願は、米国特許出願公開第2011/0199592号明細書)の段落0103の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。具体的には、シリコン基板、ガラス基板、サファイア基板、シリコンカーバイド(炭化ケイ素)基板、窒化ガリウム基板、金属アルミニウム基板、アモルファス酸化アルミニウム基板、多結晶酸化アルミニウム基板、GaAsP、GaP、AlGaAs、InGaN、GaN、AlGaN、ZnSe、AlGaInP、または、ZnOから構成される基板が挙げられる。なお、ガラス基板の具体的な材料例としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスが挙げられる。本発明では、基板として、シリコン基板が好ましい。
[0168]
 本発明において、モールドは、特に限定されない。モールドについて、特開2010-109092号公報(対応米国出願は、米国特許出願公開第2011/0199592号明細書)の段落0105~0109の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。本発明では、モールドとして、石英モールドが好ましい。本発明で用いるモールドのパターン(線幅)は、サイズが50nm以下であることが好ましい。
[0169]
 ついで、パターン形成用組成物を、モールドと基板で挟んだ状態で光照射する。基板またはモールドと圧接させる工程は、希ガス雰囲気下、減圧雰囲気下、または減圧した希ガス雰囲気下で好ましく行うことができる。ここで、減圧雰囲気とは大気圧(101325Pa)よりも低い圧力でみたされた空間内の状態を意味し、1000Pa以下が好ましく、100Pa以下がより好ましく、1Pa以下がさらに好ましい。希ガスを使用する場合、ヘリウムが好ましい。露光量は5mJ/cm ~1000mJ/cm の範囲にすることが望ましい。
[0170]
 ここで、本発明のパターン形成用組成物は、光照射後にさらに加熱して硬化させることが好ましい。また、下層膜形成用組成物や液膜形成用組成物を用いて、基板とパターン形成用組成物層の間に下層膜や液膜を設けてもよい。すなわち、パターン形成用組成物(ひいては、本発明のパターン)は、基板またはモールドの表面に直接に設けてもよいし、基板またはモールドの上に、一層以上の層を介して設けてもよい。下層膜および液膜については、後に詳細に説明する。
[0171]
 上記の他、パターン製造方法の詳細は、特開2010-109092号公報(対応米国出願は、米国特許出願公開第2011/0199592号明細書)の段落番号0103~0115の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0172]
 本発明のパターン製造方法は、光インプリント法(より好ましくは、光ナノインプリント法)により微細なパターンを低コスト且つ高い精度で形成することが可能である。このため、従来のフォトリソグラフィ技術を用いて形成されていたものをさらに高い精度且つ低コストで形成することができる。一例として、半導体素子の製造に用いられる。すなわち、本発明では、本発明のパターン製造方法を含む、半導体素子の製造方法も開示する。より具体的には、本発明のパターンは、エッチングレジスト(エッチングマスク)として好ましく用いられる。特に、液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる、オーバーコート層や絶縁膜などの永久膜や、半導体集積回路、記録材料、あるいはフラットパネルディスプレイなどのエッチングレジストとして適用することも可能である。特に本発明のパターン製造方法により得られたパターンは、エッチング耐性にも優れ、フッ化炭素等を用いるドライエッチングのエッチングレジストとしても好ましく用いることができる。
[0173]
<パターン>
 上述のように本発明のパターン製造方法によって形成されたパターンは、LCDなどに用いられる永久膜や、半導体加工用のエッチングレジストとして使用することができる。また、本発明のパターンを利用してLCDのガラス基板にグリッドパターンを形成し、反射や吸収が少なく、大画面サイズ(例えば55インチ、60インチ超)の偏光板を安価に製造することが可能である。例えば、特開2015-132825号公報や国際公開第2011/132649号に記載の偏光板が製造できる。なお、1インチは25.4mmである。
[0174]
 また、パターン形成用組成物は、製造後にガロン瓶やコート瓶などの容器にボトリングし、輸送、保管されるが、この場合に、劣化を防ぐ目的で、容器内を不活性な窒素、またはアルゴンなどで置換しておいてもよい。また、輸送、保管に際しては、常温でもよいが、よりパターン形成用組成物の変質を防ぐため、-20℃から0℃の範囲に温度制御してもよい。勿論、反応が進行しないレベルで遮光することが好ましい。
[0175]
 本発明のパターンは、具体的には、磁気ディスク等の記録媒体、固体撮像素子等の受光素子、LEDや有機EL等の発光素子、LCD等の光デバイス、回折格子、レリーフホログラム、光導波路、光学フィルター、マイクロレンズアレイ等の光学部品、薄膜トランジスタ、有機トランジスタ、カラーフィルター、反射防止膜、偏光板、偏光素子、光学フィルム、柱材等のフラットパネルディスプレイ用部材、ナノバイオデバイス、免疫分析チップ、デオキシリボ核酸(DNA)分離チップ、マイクロリアクター、フォトニック液晶、ブロックコポリマーの自己組織化を用いた微細パターン形成(directed self-assembly、DSA)のためのガイドパターン等の作製に好ましく用いることができる。
[0176]
 本発明のパターン製造方法によって形成されたパターンは、エッチングレジスト(リソグラフィ用マスク)としても有用である。パターンをエッチングレジストとして利用する場合には、まず、基板として例えばSiO 等の薄膜が形成されたシリコン基板(シリコンウェハ等)等を用い、基板上に本発明のパターン製造方法によって、例えば、ナノまたはマイクロオーダーの微細なパターンを形成する。本発明では特にナノオーダーの微細パターンを形成でき、さらにはサイズが、100nm以下、さらには50nm以下、特には30nm以下のパターンも形成できる点で有益である。本発明のパターン製造方法で形成するパターンのサイズの下限値については特に定めるものでは無いが、例えば、1nm以上とすることができる。パターンの形状は特に定めるものではないが、例えば、ライン、ホールおよびピラーの少なくとも1つの形状を含む形態が例示される。
[0177]
 その後、ウェットエッチングの場合にはフッ化水素等、ドライエッチングの場合にはCF 等のエッチングガスを用いてエッチングすることにより、基板上に所望のパターンを形成することができる。パターンは、特にドライエッチングに対するエッチング耐性が良好である。すなわち、本発明の製造方法で得られたパターンは、エッチング用マスクとして好ましく用いられる。また、本発明では、本発明の製造方法で得られたパターンをマスクとしてエッチングを行う半導体素子の製造方法についても開示する。
[0178]
<下層膜形成用組成物>
 上記のとおり、基板とパターン形成用組成物層の間に下層膜を設けることにより、基板とパターン形成用組成物層の密着性が向上するなどの効果が得られる。本発明において、下層膜は、パターン形成用組成物と同様の手法により、下層膜形成用組成物を基板上に適用し、その後、組成物を硬化することにより得られる。以下、下層膜形成用組成物の各成分について説明する。
[0179]
 本発明の下層膜形成用組成物は、硬化性成分を含む。硬化性成分とは、下層膜を構成する成分であり、高分子成分(例えば、分子量1000超)や低分子成分(例えば、分子量1000未満)のいずれであってもよい。具体的には、樹脂および架橋剤などが例示される。これらは、それぞれ、1種のみ用いられていてもよいし、2種以上用いられていてもよい。
[0180]
 下層膜形成用組成物における硬化性成分の合計含有量は、特に限定されないが、全固形分中では50質量%以上であることが好ましく、全固形分中で70質量%以上であることがより好ましく、全固形分中で80質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、99.9質量%以下であることが好ましい。
[0181]
 硬化性成分の下層膜形成用組成物中(溶剤を含む)での濃度は、特に限定されないが、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。上限としては、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%未満であることが一層好ましい。
[0182]
<<樹脂>>
 下層膜形成用組成物中の樹脂は、公知の樹脂を広く用いることができる。本発明で用いる樹脂は、ラジカル重合性基および極性基の少なくとも一方を有することが好ましく、ラジカル重合性基および極性基の両方を有することがより好ましい。
[0183]
 ラジカル重合性基を有することにより、強度に優れた下層膜が得られる。また、極性基を有することにより、基板との密着性が向上する。また、架橋剤を配合する場合は、硬化後に形成される架橋構造がより強固となり、得られる下層膜の強度を向上させることができる。
[0184]
 ラジカル重合性基は、エチレン性不飽和結合含有基を含むことが好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、(メタ)アクリロイル基(好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基)、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、メチルアリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、シクロヘキセニル基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がさらに好ましい。ここで定義するエチレン性不飽和結合含有基をEtと称する。
[0185]
 また、極性基は、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、リン酸基、カルボキシ基および水酸基の少なくとも1種であることが好ましく、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基およびカルボキシ基の少なくとも1種であることがより好ましく、アルコール性水酸基またはカルボキシ基であることがさらに好ましい。ここで定義する極性基を極性基Poと称する。極性基は、非イオン性の基であることが好ましい。
[0186]
 下層膜形成用組成物中の樹脂は、さらに、環状エーテル基を含んでいてもよい。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基が例示され、エポキシ基が好ましい。ここで定義する環状エーテル基を環状エーテル基Cytと称する。
[0187]
 上記樹脂は、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂が例示され、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂およびノボラック樹脂の少なくとも1種であることが好ましい。
[0188]
 上記樹脂の重量平均分子量は、4000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、8000以上であることがさらに好ましい。上限としては、1000000以下であることが好ましく、500000以下であってもよい。
[0189]
 上記樹脂は下記の式(1)~(3)の少なくとも1つの構成単位を有することが好ましい。
[0190]
[化18]


[0191]
 式中、R およびR は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。R 21およびR はそれぞれ独立に置換基である。L 、L およびL は、それぞれ独立に、単結合または連結基である。n2は0~4の整数である。n3は0~3の整数である。Q はエチレン性不飽和結合含有基または環状エーテル基である。Q はエチレン性不飽和結合含有基、環状エーテル基または極性基である。
[0192]
 R およびR は、メチル基が好ましい。
[0193]
 R 21およびR はそれぞれ独立に上記置換基Tが好ましい。
[0194]
 R 21が複数あるとき、互いに連結して環状構造を形成してもよい。本明細書において連結とは結合して連続する態様のほか、一部の原子を失って縮合(縮環)する態様も含む意味である。また特に断らない限り、連結する環状構造中に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子(アミノ基)を含んでいてもよい。形成される環状構造としては、脂肪族炭化水素環(以下に例示するものを環Cfと称する)(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等)、芳香族炭化水素環(以下に例示するものを環Crと称する)(ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等)、含窒素複素環(以下に例示するものを環Cnと称する)(例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピロリン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピぺリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等)、含酸素複素環(以下に例示するものを環Coと称する)(フラン環、ピラン環、オキシラン環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環等)、含硫黄複素環(以下に例示するものを環Csと称する)(チオフェン環、チイラン環、チエタン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロチオピラン環等)などが挙げられる。
[0195]
 R が複数あるとき、互いに連結して環状構造を形成してもよい。形成される環状構造としては、Cf、環Cr、環Cn、環Co、環Csなどが挙げられる。
[0196]
 L 、L 、L はそれぞれ独立に単結合または後述する連結基Lであることが好ましい。中でも、単結合、または連結基Lで規定されるアルキレン基もしくは(オリゴ)アルキレンオキシ基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。連結基Lは、極性基Poを置換基として有することが好ましい。また、アルキレン基が水酸基を置換基として有する態様も好ましい。本明細書において、「(オリゴ)アルキレンオキシ基」は、構成単位である「アルキレンオキシ」を1以上有する2価の連結基を意味する。構成単位中のアルキレン鎖の炭素数は、構成単位ごとに同一であっても異なっていてもよい。
[0197]
 n2は0または1であることが好ましく、0がより好ましい。n3は0または1であることが好ましく、0がより好ましい。
[0198]
 Q はエチレン性不飽和結合含有基Etが好ましい。
[0199]
 Q は、極性基が好ましく、アルコール性水酸基を有するアルキル基が好ましい。
[0200]
 上記の樹脂は、さらに、下記構成単位(11)、(21)および(31)の少なくとも1つの構成単位を含んでいてもよい。特に、本発明に含まれる樹脂は、構成単位(11)が構成単位(1)と組み合わせられることが好ましく、構成単位(21)が構成単位(2)と組み合わせられることが好ましく、構成単位(31)が構成単位(3)と組み合わせられることが好ましい。
[0201]
[化19]


[0202]
 式中、R 11およびR 22は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。R 17は置換基である。R 27は置換基である。n21は0~5の整数である。R 31は置換基であり、n31は0~3の整数である。
[0203]
 R 11およびR 22は、メチル基が好ましい。
[0204]
 R 17は極性基を含む基または環状エーテル基を含む基であることが好ましい。R 17が極性基を含む基である場合、上述の極性基Poを含む基であることが好ましく、上述の極性基Poであるか、上述の極性基Poで置換された置換基Tであることがより好ましい。R 17が環状エーテル基を含む基である場合、上述の環状エーテル基Cytを含む基であることが好ましく、上述の環状エーテル基Cytで置換された置換基Tであることがより好ましい。
[0205]
 R 27は置換基であり、R 27の少なくとも1つは、極性基であることが好ましい。上記置換基は、置換基Tが好ましい。n21は0または1が好ましく、0がより好ましい。R 27が複数あるとき、互いに連結して環状構造を形成していてもよい。形成される環状構造としては、環Cf、環Cr、環Cn、環Co、環Csの例が挙げられる。
[0206]
 R 31は置換基Tが好ましい。n31は0~3の整数であり、0または1が好ましく、0がより好ましい。R 31が複数あるとき、互いに連結して環状構造を形成してもよい。形成される環状構造としては、環Cf、環Cr、環Cn、環Co、環Csの例が挙げられる。
[0207]
 連結基Lとしては、アルキレン基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい)、アルケニレン基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3がさらに好ましい)、(オリゴ)アルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい;繰り返し数は1~50が好ましく、1~40がより好ましく、1~30がさらに好ましい)、アリーレン基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、-NR -、およびそれらの組み合わせに係る連結基が挙げられる。アルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシ基は上記置換基Tを有していてもよい。例えば、アルキレン基が水酸基を有していてもよい。
[0208]
 連結基Lの連結鎖長は、1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい。連結鎖長は連結に関与する原子団のうち最短の道程に位置する原子数を意味する。例えば、-CH -(C=O)-O-であると3となる。
[0209]
 なお、連結基Lで規定されるアルキレン基、アルケニレン基、(オリゴ)アルキレンオキシ基は、鎖状でも環状でもよく、直鎖でも分岐でもよい。
[0210]
 連結基Lを構成する原子としては、炭素原子と水素原子、必要によりヘテロ原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる少なくとも1種等)を含むものであることが好ましい。連結基中の炭素原子の数は1~24個が好ましく、1~12個がより好ましく、1~6個がさらに好ましい。水素原子は炭素原子等の数に応じて定められればよい。ヘテロ原子の数は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、それぞれ独立に、0~12個が好ましく、0~6個がより好ましく、0~3個がさらに好ましい。
[0211]
 上記樹脂の合成は常法によればよい。例えば、式(1)の構成単位を有する樹脂は、オレフィンの付加重合に係る公知の方法により適宜合成することができる。式(2)の構成単位を有する樹脂は、スチレンの付加重合に係る公知の方法により適宜合成することができる。式(3)の構成単位を有する樹脂は、フェノール樹脂の合成に係る公知の方法により適宜合成することができる。
[0212]
 上記の樹脂は1種を用いても複数のものを用いてもよい。
[0213]
 硬化性成分としての樹脂は、上述の他、国際公開第2016/152600号の段落0016~0079の記載、国際公開第2016/148095号の段落0025~0078の記載、国際公開第2016/031879号の段落0015~0077の記載、国際公開第2016/027843号の0015~0057に記載のものを用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0214]
<<架橋剤>>
 下層膜形成用組成物中の架橋剤は、架橋反応により硬化を進行させるものであれば、特に限定はない。本発明では、架橋剤は、樹脂が有する極性基との反応によって、架橋構造を形成するものが好ましい。このような架橋剤を用いることにより、樹脂がより強固に結合し、より強固な膜が得られる。
[0215]
 架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)、オキセタニル化合物(オキセタニル基を有する化合物)、アルコキシメチル化合物(アルコキシメチル基を有する化合物)、メチロール化合物(メチロール基を有する化合物)、ブロックイソシアネート化合物(ブロックイソシアネート基を有する化合物)などが挙げられ、アルコキシメチル化合物(アルコキシメチル基を有する化合物)が低温で強固な結合形成が可能であるため好ましい。
[0216]
<<他の成分>>
 本発明の下層膜形成用組成物は、上記成分に加え、他の成分を含んでいてもよい。
[0217]
 具体的には、溶剤、熱酸発生剤、アルキレングリコール化合物、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、界面活性剤等を1種または2種以上含んでいてもよい。上記成分について、特開2013-036027号公報、特開2014-090133号公報、特開2013-189537号公報に記載の各成分を用いることができる。含有量等についても、上記公報の記載を参酌できる。
[0218]
<<<溶剤>>>
 本発明では、下層膜形成用組成物は、特に、溶剤(以下、「下層膜用溶剤」ともいう。)を含むことが好ましい。溶剤は例えば、23℃で液体であって沸点が250℃以下の化合物が好ましい。下層膜形成用組成物は、下層膜用溶剤を99.0質量%以上含むことが好ましく、99.2質量%以上含むことがより好ましく、99.4質量%以上であってもよい。すなわち、下層膜形成用組成物は、全固形分濃度が1質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.6質量%以下であることがさらに好ましい。また、下限値は、0質量%超であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることがさらに好ましく、0.1質量%以上であることが一層好ましい。溶剤の割合を上記の範囲とすることで、膜形成時の膜厚を薄く保ち、エッチング加工時のパターン形成性が向上する傾向にある。
[0219]
 溶剤は、下層膜形成用組成物に、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。2種以上含む場合、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0220]
 下層膜用溶剤の沸点は、230℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましく、160℃以下であることが一層好ましく、130℃以下であることがより一層好ましい。下限値は23℃であることが実際的であるが、60℃以上であることがより実際的である。沸点を上記の範囲とすることにより、下層膜から溶剤を容易に除去でき好ましい。
[0221]
 下層膜用溶剤は、有機溶剤が好ましい。溶剤は、好ましくはエステル基、カルボニル基、水酸基およびエーテル基のいずれか1つ以上を有する溶剤である。なかでも、非プロトン性極性溶剤を用いることが好ましい。
[0222]
 下層膜用溶剤として中でも好ましい溶剤としては、アルコキシアルコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸エステル、酢酸エステル、アルコキシプロピオン酸エステル、鎖状ケトン、環状ケトン、ラクトン、およびアルキレンカーボネートが挙げられ、プロピレングリコールモノアルキルエーテルおよびラクトンが特に好ましい。
[0223]
<<<熱酸発生剤>>>
 熱酸発生剤は、加熱によって酸が発生し、酸の作用によって架橋を進行させる化合物である。上記架橋剤と併用することにより、より強度の高い下層膜を得ることができる。
熱酸発生剤としては、通常はカチオン成分とアニオン成分とが対になった有機オニウム塩化合物が用いられる。上記カチオン成分としては、例えば、有機スルホニウム、有機オキソニウム、有機アンモニウム、有機ホスホニウムや有機ヨードニウムを挙げることができる。また、上記アニオン成分としては、例えば、BF 4-、B(C 4-、SbF 6-、AsF 6-、PF 6-、CF SO 、C SO や(CF SO を挙げることができる。
[0224]
 具体的には、特開2017-224660号公報の段落0243~0256および特開2017-155091号公報の段落0016の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0225]
 熱酸発生剤の含有量は、架橋剤100質量部に対し、0.01~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましい。熱酸発生剤は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0226]
<<<重合開始剤>>>
 下層膜形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよく、熱重合開始剤および光重合開始剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。重合開始剤を含むことにより、下層膜形成用組成物に含まれる重合性基の反応が促進し、密着性が向上する傾向にある。パターン形成用組成物との架橋反応性を向上させる観点から光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が好ましく、ラジカル重合開始剤がより好ましい。また、本発明において、光重合開始剤は複数種を併用してもよい。
[0227]
 光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を任意に使用できる。例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物、トリハロメチル基を有する化合物など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。これらの詳細については、特開2016-027357号公報の段落0165~0182の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
[0228]
 アシルホスフィン化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。また、市販品であるIRGACURE-819やIRGACURE1173、IRGACURE-TPO(商品名:いずれもBASF製)を用いることができる。
[0229]
 上記下層膜形成用組成物に用いられる光重合開始剤の含有量は、配合する場合、全固形分中、例えば、0.0001~5質量%であり、好ましくは0.0005~3質量%であり、さらに好ましくは0.01~1質量%である。2種以上の光重合開始剤を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となる。
[0230]
<液膜形成用組成物>
 また、本発明において、23℃、1気圧で液体であるラジカル重合性化合物を含む液膜形成用組成物を用いて、下層膜の上に液膜を形成することも好ましい。本発明において、液膜は、パターン形成用組成物と同様の手法により、液膜形成用組成物を基板上に適用し、その後、組成物を乾燥させることにより得られる。このような液膜を形成することにより、基板とパターン形成用組成物との密着性がさらに向上し、パターン形成用組成物の基板上での濡れ性も向上するという効果がある。以下、液膜形成用組成物について説明する。
[0231]
 液膜形成用組成物の粘度は、1000mPa・s以下であることが好ましく、800mPa・s以下であることがより好ましく、500mPa・s以下であることがさらに好ましく、100mPa・s以下であることが一層好ましい。上記粘度の下限値としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、1mPa・s以上とすることができる。粘度は、下記の方法に従って測定される。
[0232]
 粘度は、東機産業(株)製のE型回転粘度計RE85L、標準コーン・ロータ(1°34’×R24)を用い、サンプルカップを23℃に温度調節して測定する。単位は、mPa・sで示す。測定に関するその他の詳細はJISZ8803:2011に準拠する。1水準につき2つの試料を作製し、それぞれ3回測定する。合計6回の算術平均値を評価値として採用する。
[0233]
<<ラジカル重合性化合物A>>
 液膜形成用組成物は、23℃、1気圧で液体であるラジカル重合性化合物(重合性化合物A)を含有する。
[0234]
 ラジカル重合性化合物Aの23℃における粘度は、1~100000mPa・sであることが好ましい。下限は、5mPa・s以上であることが好ましく、11mPa・s以上であることがより好ましい。上限は、1000mPa・s以下であることが好ましく、600mPa・s以下であることがより好ましい。
[0235]
 ラジカル重合性化合物Aは、一分子中にラジカル重合性基を1つのみ有する単官能のラジカル重合性化合物であってもよく、一分子中にラジカル重合性基を2つ以上有する多官能のラジカル重合性化合物であってもよい。単官能のラジカル重合性化合物と多官能のラジカル重合性化合物とを併用してもよい。なかでも、パターン倒れ抑制という理由から液膜形成用組成物に含まれるラジカル重合性化合物Aは多官能のラジカル重合性化合物を含むことが好ましく、一分子中にラジカル重合性基を2~5つ含むラジカル重合性化合物を含むことがより好ましく、一分子中にラジカル重合性基を2~4つ含むラジカル重合性化合物を含むことが更に好ましく、一分子中にラジカル重合性基を2つ含むラジカル重合性化合物を含むことが特に好ましい。
[0236]
 また、ラジカル重合性化合物Aは、芳香族環(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)および脂環(炭素数3~24が好ましく、3~18がより好ましく、3~6がさらに好ましい)の少なくとも一方を含むことが好ましく、芳香族環を含むことがさらに好ましい。芳香族環はベンゼン環が好ましい。また、ラジカル重合性化合物Aの分子量は100~900が好ましい。
[0237]
 ラジカル重合性化合物Aが有するラジカル重合性基は、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合含有基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
[0238]
 ラジカル重合性化合物Aは、下記式(I-1)で表される化合物であることも好ましい。
[0239]
[化20]


[0240]
 L 20は、1+q2価の連結基であり、例えば、1+q2価の、アルカン構造の基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)、アルケン構造の基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3がさらに好ましい)、アリール構造の基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)、ヘテロアリール構造の基(炭素数1~22が好ましく、1~18がより好ましく、1~10がさらに好ましい、ヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が挙げられる、5員環、6員環、7員環が好ましい)、またはこれらを組み合わせた基を含む連結基が挙げられる。アリール基を2つ組み合わせた基としてはビフェニルやジフェニルアルカン、ビフェニレン、インデンなどの構造を有する基が挙げられる。ヘテロアリール構造の基とアリール構造の基を組合せたものとしては、インドール、ベンゾイミダゾール、キノキサリン、カルバゾールなどの構造を有する基が挙げられる。
[0241]
 L 20は、アリール構造の基およびヘテロアリール構造の基から選ばれる少なくとも1種を含む連結基であることが好ましく、アリール構造の基を含む連結基であることがより好ましい。
[0242]
 R 21およびR 22はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
[0243]
 L 21およびL 22はそれぞれ独立に単結合または上記連結基Lを表し、単結合またはアルキレン基であることが好ましい。
[0244]
 L 20とL 21またはL 22は連結基Lを介してまたは介さずに結合して環を形成していてもよい。L 20、L 21およびL 22は上記置換基Tを有していてもよい。置換基Tは複数が結合して環を形成してもよい。置換基Tが複数あるときは互いに同じでも異なっていてもよい。
[0245]
 q2は0~5の整数であり、0~3の整数が好ましく、0~2の整数がより好ましく、0または1がさらに好ましく、1が特に好ましい。
[0246]
 ラジカル重合性化合物Aとしては、特開2014-090133号公報の段落0017~0024および実施例に記載の化合物、特開2015-009171号公報の段落0024~0089に記載の化合物、特開2015-070145号公報の段落0023~0037に記載の化合物、国際公開第2016/152597号の段落0012~0039に記載の化合物を用いることもできる。
[0247]
 液膜形成用組成物中におけるラジカル重合性化合物Aの含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。上限としては、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
[0248]
 液膜形成用組成物の固形分中におけるラジカル重合性化合物Aの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。上限としては、100質量%であってもよい。ラジカル重合性化合物Aは、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0249]
 また、液膜形成用組成物の固形分は実質的にラジカル重合性化合物Aのみからなることも好ましい。液膜形成用組成物の固形分は実質的にラジカル重合性化合物Aのみからなる場合とは、液膜形成用組成物の固形分中におけるラジカル重合性化合物Aの含有量が99.9質量%以上であることを意味し、99.99質量%以上であることがより好ましく、重合性化合物Aのみからなることが更に好ましい。
[0250]
<<溶剤>>
 液膜形成用組成物は溶剤(以下、「液膜用溶剤」ということがある)を含むことが好ましい。液膜用溶剤としては、上述した下層膜用溶剤の項で説明したものが挙げられ、これらを用いることができる。液膜形成用組成物は、液膜用溶剤を90質量%以上含むことが好ましく、99質量%以上含むことがより好ましく、99.99質量%以上であってもよい。
[0251]
 液膜用溶剤の沸点は、230℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましく、160℃以下であることが一層好ましく、130℃以下であることがより一層好ましい。下限値は23℃であることが実際的であるが、60℃以上であることがより実際的である。沸点を上記の範囲とすることにより、液膜から溶剤を容易に除去でき好ましい。
[0252]
<<ラジカル重合開始剤>>
 液膜形成用組成物はラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。ラジカル重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤および光ラジカル重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を任意に使用できる。例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物、トリハロメチル基を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、アセトフェノン化合物、アゾ化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。これらの詳細については、特開2016-027357号公報の段落0165~0182の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。この中でもアセトフェノン化合物、アシルホスフィン化合物、オキシム化合物が好ましい。市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-127、IRGACURE-819、IRGACURE-379、IRGACURE-369、IRGACURE-754、IRGACURE-1800、IRGACURE-651、IRGACURE-907、IRGACURE-TPO、IRGACURE-1173等(以上、BASF社製)、Omnirad 184、Omnirad TPO H、Omnirad 819、Omnirad 1173(以上、IGM Resins B.V.製)が挙げられる。
[0253]
 ラジカル重合開始剤は、含有する場合、液膜形成用組成物の固形分の0.1~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることがより好ましく、2~5質量%であることが更に好ましい。2種以上のラジカル重合開始剤を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0254]
<<その他の成分>>
 液膜形成用組成物は、上記の他、重合禁止剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、界面活性剤等を1種または2種以上含んでいてもよい。
[0255]
<キット>
 本発明のキットは、インプリント用のパターン(硬化膜)を形成するための上記パターン形成用組成物と、インプリント用の下層膜を形成するための下層膜形成用組成物との組み合わせを含む。本発明のキットを使用することにより、離型性に優れるインプリントを実施することが可能となる。下層膜形成用組成物は、特に、ラジカル重合性基を有する上記樹脂と、有機溶剤を含むことが好ましい。さらに、本発明のキットは、組み合わせの構成物として、23℃、1気圧で液体である重合性化合物を含む液膜形成用組成物を含むことが好ましい。
実施例
[0256]
 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。本実施例において、特に述べない限り、各種処理は23℃の環境の下で行った。
[0257]
<パターン形成用組成物の調製>
 各実施例および各比較例について、下記表に示す重合性化合物、光重合開始剤、増感剤、離型剤および有機ハロゲン化合物を下記表に示す配合比で混合し、さらに重合禁止剤として4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルフリーラジカル(東京化成社製)を重合性化合物に対して100~300質量ppm(0.01~0.03質量%)となるように加えることにより、組成物を調製した。また、水分含有量を調整するため、一部の組成物には、超純水(富士フイルム和光純薬株式会社製)を添加した。孔径0.02μmの高分子量ポリエチレン(UPE)製フィルター、孔径0.005μmナイロン製フィルターおよび孔径0.001μmUPE製フィルターを用いて、上記組成物のそれぞれを多段階で濾過し、インプリント用のパターン形成用組成物を調製した。なお、表中の重合性化合物、光重合開始剤、離型剤および有機ハロゲン化合物の配合比の単位は、質量部である。
[0258]
<ハロゲン化物イオン濃度の測定>
 ハロゲン化物イオン濃度の測定は、イオンクロマト法を用いて測定した。具体的には次のとおりである。実施例および比較例のそれぞれについて、1mLのパターン形成用組成物を秤量し、MIBK(メチルイソブチルケトン)6mLに溶解した。その後、MilliQ水7mLを加え、分液抽出を行った。次いで、水層を取り出し、フィルター濾過を実施し、その後、イオンクロマトグラフィーシステム(DIONEX社製IC-320)を用いて下記条件にて塩化物イオン(Cl )、臭化物イオン(Br )およびヨウ化物イオン(I )の合計の濃度を定量した。
・カラム:IonPacAS11-HC
・溶離液:KOH
・流量:1.5mL/min
・注入量:20μL
・カラム温度:35℃
[0259]
<水分含有量の測定>
 調製した各パターン形成用組成物の水分含有量は、カールフィッシャー水分測定装置を用いて測定した。
[0260]
<パターン形成用組成物の強制経時(加速劣化)処理、および、アクリル酸分解物の測定>
 実施例および比較例の各パターン形成用組成物を脱アルカリ処理ガラス瓶(容量100mL)に100mL充填し、60±2℃に設定した恒温槽内で30日間放置することにより、各パターン形成用組成物を強制的に経時させた。
[0261]
 この強制経時により発生したアクリル酸分解物は、液体クロマトグラフィー質量分析(LCC/MS)法を用いて定量した。具体的には次のとおりである。強制経時したパターン形成用組成物にメタノールを加え10質量%溶液を作製し、0.20μmPTFEフィルターを通して、下記条件にてLC/MS装置に注入した。そして、ネガイオンSIM=71の選択イオンクロマトのピーク面積からアクリル酸分解物の量を算出した。
・カラム:Mightysil RP-18GP
・溶離液:10mM酢酸アンモニウムメタノール溶液/10mM酢酸アンモニウム水溶液
・流量:0.2mL/min
・注入量:2μL
[0262]
[表1]


[0263]
[表2]


[0264]
[表3]


[0265]
[表4]


[0266]
<原料>
 各原料の仕様は、下記のとおりである。
[0267]
<<重合性化合物>>
A-1~A-7:下記構造を有する化合物。
A-8:シリコーン樹脂X-40-9225(信越化学工業社製)と2-ヒドロキシエチルアクリレートより合成したシリコーンアクリレート樹脂。重量平均分子量は2500であり、重合性基当量は250である。
[化21]


[0268]
<<光重合開始剤または増感剤>>
B-1~B-3:下記構造を有する化合物(光重合開始剤)。
B-4またはB-5:下記構造を有する化合物(増感剤)。
[化22]


[0269]
<<離型剤>>
C-1~C-6:下記構造を有する化合物。
[化23]


[0270]
<<有機ハロゲン化合物>>
D-1~D-10:下記構造を有する化合物。
[化24]


[0271]
<<溶剤>>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[0272]
<評価>
 実施例および比較例の各パターン形成用組成物の経時安定性を評価するために、まず、上記のとおり、各パターン形成用組成物に強制的な経時を付与した。次に、その経時液を使用して形成したパターンの欠陥、経時液の離型性、および、経時液が金属に及ぼす腐食性の各項目について、下記のとおり評価した。そして、これらの項目を総合的に考慮し、全ての項目においてCおよびDの評価がないパターン形成用組成物について、インプリント用機器の基材となる金属への影響が少なく、経時安定性に優れていると評価した。
[0273]
<<経時液使用時の欠陥の評価>>
 シリコンウェハ上に、特開2014-024322号公報の実施例6に示す密着層形成用組成物をスピンコートし、220℃のホットプレートを用いて1分間加熱し、厚さ5nmの密着層を形成した。上記密着層上にインクジェット装置(FUJIFILM Dimatix社製インクジェットプリンター DMP-2831)を用いて、強制経時後のパターン形成用組成物をインクジェット法により適用した。その後、ヘリウム雰囲気下で、パターン形成用組成物にインプリント用モールドを押し当てた。使用したモールドは、線幅30nm、深さ75nmおよびピッチ60nmのライン・アンド・スペースを有する石英モールドである。その後、モールド面から超高圧水銀ランプを用いて、露光量100mJ/cm の条件で露光し、モールドを離型することにより、パターン形成用組成物の硬化物からなるパターン(以下、サンプルという。)を得た。上記インクジェットによる塗布から離型までの一連の工程を、上記シリコンウェハ上で場所を変えて20回繰り返し実施した。
[0274]
 20回目にインプリントしたサンプルを欠陥検査装置(KLA2930、KLAテンコール社製)に導入し、欠陥数DD(Defect Density、単位:個/cm )を確認した。そして、欠陥数DDを下記の基準で評価した。
・A:DD<1個/cm
・B:1個/cm ≦DD<50個/cm
・C:50個/cm ≦DD<100個/cm
・D:100個/cm ≦DD
[0275]
<<経時液使用時の離型性の評価>>
 シリコンウェハ上に、特開2014-024322号公報の実施例6に示す密着層形成用組成物をスピンコートし、220℃のホットプレートを用いて1分間加熱し、厚さ5nmの密着層を形成した。上記密着層上にインクジェット装置(FUJIFILM Dimatix社製インクジェットプリンター DMP-2831)を用いて、強制経時後のパターン形成用組成物をインクジェット法により適用した。その後、ヘリウム雰囲気下で、パターン形成用組成物にインプリント用モールドを押し当てた。使用したモールドは、線幅15nm、深さ30nmおよびピッチ60nmのライン・アンド・スペースを有する石英モールドである。その後、モールド面から超高圧水銀ランプを用いて、露光量100mJ/cm の条件で露光し、モールドを離型することにより、パターン形成用組成物の硬化物からなるパターンを得た。上記インクジェットによる塗布から離型までの一連の工程を、上記シリコンウェハ上で場所を変えて20回繰り返し実施した。
[0276]
 上記パターン形成において、石英モールドを離型する際に必要な力(離型力F、単位:N)を各回で測定し、下記式により離型力の上昇率を算出した。離型力の測定は、特開2011-206977号公報の段落番号0102~0107に記載の比較例の方法に準じて行った。
 離型力の上昇率=
    [15~20回目の離型力の平均値]/[1~5回目の離型力の平均値]
・A:離型力の上昇率≦5.0%
・B:5.0%<離型力の上昇率≦10%
・C:10%<離型力の上昇率≦20%
・D:20%<離型力の上昇率
[0277]
<<金属の腐食性の評価>>
 上記インプリント用パターン形成用組成物を脱アルカリ処理ガラス瓶(容量100mL)に100mL充填し、1cm四方のステンレス片(SUS304)を入れて60±2℃に設定した恒温槽にて30日間放置した。その後、ステンレス片を取り出し、アセトンで洗浄した。洗浄後のステンレス片について、腐食の度合を光学顕微鏡にて確認し、その状態に応じて下記のとおり金属の腐食性を評価した。光学顕微鏡による観察は、1000μm四方の視野で100カ所において行った。
・A:金属の腐食が確認されなかった。
・B:金属表面の1%未満の領域に金属の腐食が確認された。
・C:金属表面の1%以上5%未満の領域に金属の腐食が確認された。
・D:金属表面の5%以上の領域に金属の腐食が確認された。
[0278]
<<評価結果>>
 各項目の評価結果は、上記表1~4のとおりである。これらの結果から、本発明のパターン形成用組成物は、所定の有機ハロゲン化合物を含有することにより、モールドを繰り返し使用するインプリントに対しても経時安定性が向上することが分かった。
[0279]
 また、各実施例に係るパターン形成用組成物を用いて、半導体回路に対応する所定のパターンを形成した。そして、このパターンをエッチングマスクとして、シリコンウェハをそれぞれドライエッチングし、そのシリコンウェハを用いて半導体素子をそれぞれ作製した。いずれの半導体素子も、性能に問題はなかった。

請求の範囲

[請求項1]
 重合性化合物と、光重合開始剤と、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選択される少なくとも1つの原子を含む有機ハロゲン化合物とを含有するパターン形成用組成物であって、
 前記有機ハロゲン化合物が、水銀ランプの光に対し安定な化合物であり、
 前記有機ハロゲン化合物の含有量が、パターン形成用組成物中の全固形分に対し0.001~1.0質量%である、インプリント用のパターン形成用組成物。
[請求項2]
 塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオンから選択される少なくとも1つのハロゲン化物イオンを含み、
 前記ハロゲン化物イオンの合計の含有量が、パターン形成用組成物の全固形分に対し0.05~1000質量ppmである、
 請求項1に記載のパターン形成用組成物。
[請求項3]
 前記有機ハロゲン化合物の分子量が、130~550である、
 請求項1または2に記載のパターン形成用組成物。
[請求項4]
 さらに、前記パターン形成用組成物に対し0.01~1.0質量%の割合で水分を含有する、
 請求項1~3のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物。
[請求項5]
 前記有機ハロゲン化合物が、塩素原子を含む、
 請求項1~4のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物。
[請求項6]
 前記少なくとも1つの原子が、前記有機ハロゲン化合物中のアルキレン基に結合している、
 請求項1~5のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物。
[請求項7]
 前記少なくとも1つの原子が、前記アルキレン基を介して環構造またはオレフィン構造に連結している、
 請求項6に記載のパターン形成用組成物。
[請求項8]
 前記有機ハロゲン化合物が、環構造を有する、
 請求項1~7のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物。
[請求項9]
 前記有機ハロゲン化合物として、下記式(D1)で表される化合物を含む、
 請求項8に記載のパターン形成用組成物;
式(D1):
[化1]


 式(D1)において、Aは環構造を表し、L は、それぞれ独立して、環構造AとXを結ぶ単結合または2価の連結基を表し、Xは、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、mは1~4の整数を表し、L は、炭素原子と環構造Aとを結ぶ単結合または2価の連結基を表し、R は、水素原子またはメチル基を表し、nは0~4の整数を表す。
[請求項10]
 前記有機ハロゲン化合物が、重合性基を有する、
 請求項1~9のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物。
[請求項11]
 前記重合性化合物が、前記有機ハロゲン化合物からハロゲン原子を除いた部分構造を含む、
 請求項1~10のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物。
[請求項12]
 前記重合性化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する、
 請求項1~11のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物。
[請求項13]
 水以外の溶剤を実質的に含まない、
 請求項1~12のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物。
[請求項14]
 さらに、親水性基を有する離型剤を含有する、
 請求項1~13のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物。
[請求項15]
 請求項1~14のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物と、
 インプリント用の下層膜を形成するための下層膜形成用組成物とを、組み合わせの構成物として含むキット。
[請求項16]
 請求項1~14のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物を用いて形成したパターン。
[請求項17]
 請求項1~14のいずれか1項に記載のパターン形成用組成物を、基板上またはモールド上に適用し、前記パターン形成用組成物を、前記モールドと前記基板で挟んだ状態で光照射することを含むパターンの製造方法。
[請求項18]
 請求項17に記載の製造方法を工程として含む、半導体素子の製造方法。
[請求項19]
 前記パターンをマスクとしてエッチングを行うことを含む、
 請求項18に記載の半導体素子の製造方法。