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1. WO2020195806 - レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法

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明 細 書

発明の名称 レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5A   5B   5C   5D   6A   6B   6C   6D   7A   7B   7C   8A   8B   9A   9B   10A   10B   11   12A   12B   13A   13B   13C   13D   14A   14B   14C   15A   15B   15C   15D   15E   15F   16A   16B   16C   16D   17A   17B   17C   17D   18A   18B   19   20  

明 細 書

発明の名称 : レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法

技術分野

[0001]
 本発明は、レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法に関する。

背景技術

[0002]
 金属部材同士の接合には、レーザ溶接技術が用いられることがある。レーザ溶接を用いた金属部材の接合は、レーザ光の照射により金属部材の一部を溶融させ、凝固させることでなされる。レーザ溶接を用いて金属部材を接合する場合には、抵抗溶接により接合する場合などに比べて、溶接速度が速く、熱影響が少ない、という優位性がある。また、レーザ溶接を用いて金属部材を接合する場合には、金属部材に対して非接触で溶接を行うことができ、加工効率が高く、連続溶接による剛性アップを図ることが可能である。
[0003]
 例えば、特許文献1には、クラッシュボックスの製造においてレーザ溶接を用いる技術が開示されている。特許文献1に開示の技術では、ハット形状の横断面を有するように折り曲げ加工された第1部材のフランジに対してレーザ光を照射して、当該フランジで重ね合わされた板状の第2部材との接合がなされている。ここで、特許文献1に開示のレーザ溶接においては、フランジを平面視する場合に、互いに離間し、それぞれが平面視略円形の第1溶接部を形成し、その後に隣り合う第1溶接部同士の間を結ぶ線状の第2溶接部を形成している。このように、特許文献1に開示のクラッシュボックスでは、第1溶接部同士の間に線状の第2溶接部を形成することにより、該クラッシュボックスに対して高い衝撃力が加わった場合に第1溶接部同士の間の領域を確実に座屈の起点とすることができ、安定した座屈変形を発生させることができる、とされている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許第5131810号公報

発明の概要

[0005]
 しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、接合しようとする部分(フランジ)において、第1部材と第2部材との間に隙間が空いているような場合には、良好な接合強度を確保することができない。その理由は、上記特許文献1に開示の技術では、第1部材と第2部材との間に隙間がある場合において、第1溶接部を形成した後に第2溶接部の形成を行うため、第2溶接部で部材間の隙間を充填できるだけの十分な溶融金属が供給されず、第2溶接部における部材同士を確実に接合することが困難だからである。従って、より高い接合強度で金属部材同士を接合するという観点で、上記特許文献1に開示の技術には改善の余地がある。
[0006]
 本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、金属部材同士の間に隙間があるような場合であっても、より高い接合強度で部材同士を接合可能なレーザ溶接装置およびレーザ溶接方法を提供することを目的とする。
[0007]
 本発明の一態様に係るレーザ溶接装置は、複数の金属部材をレーザ溶接により接合するレーザ溶接装置であって、レーザ光を発振するレーザ発振器と、前記レーザ光を溶接箇所に集光する集光部と、前記レーザ光のスポットを走査する走査部と、前記レーザ発振器および前記走査部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記レーザ発振器に対して前記レーザ光を発振させた状態で、前記レーザ光のスポットを所定箇所の周りを周回するように走査して金属部材を溶融させた平面視ドット状のスクリュ部を形成し、前記スクリュ部における金属部材が溶融状態の間に、前記レーザ光のスポットを前記スクリュ部から離間するように走査して金属部材を溶融させた、前記スクリュ部に連続する平面視線状の線状部を形成する。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 第1実施形態に係るレーザ溶接装置の概略構成を示す模式図である。
[図2] 溶接前の板材の配置状態を示す模式側面図である。
[図3] 第1実施形態に係るレーザ溶接装置を用いた溶接形態を示す模式平面図である。
[図4] 図3におけるIV-IV線断面を示す模式断面図である。
[図5A] 第2実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図5B] 第3実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図5C] 第4実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図5D] 第5実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図6A] 第6実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図6B] 第7実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図6C] 第8実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図6D] 第9実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図7A] 第10実施形態に係る溶接形態を示す模式斜視図である。
[図7B] 第11実施形態に係る溶接形態を示す模式斜視図である。
[図7C] 第12実施形態に係る溶接形態を示す模式斜視図である。
[図8A] 第13実施形態に係る溶接形態を示す模式斜視図である。
[図8B] 第14実施形態に係る溶接形態を示す模式斜視図である。
[図9A] 比較例1に係る溶接形態を示す模式斜視図である。
[図9B] 比較例2に係る溶接形態を示す模式斜視図である。
[図10A] 第14実施形態に係る溶接箇所およびその周辺部分の構成を示す模式断面図である。
[図10B] 比較例2に係る溶接箇所およびその周辺部分の構成を示す模式断面図である。
[図11] 本発明の第15実施形態に係る溶接形態を示す模式斜視図である。
[図12A] 第16実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図12B] 第17実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図13A] 第18実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図13B] 第19実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図13C] 第20実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図13D] 第21実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[図14A] サンプル1の溶接形態を示す模式図である。
[図14B] サンプル3の溶接形態を示す模式図である。
[図14C] サンプル4の溶接形態を示す模式図である。
[図15A] サンプル2の溶接部を示す写真である。
[図15B] 図15AのC1-C1線断面を示す断面写真である。
[図15C] 図15AのC2-C2線断面を示す断面写真である。
[図15D] サンプル1の溶接部を示す写真である。
[図15E] 図15DのE1-E1線断面を示す断面写真である。
[図15F] 図15DのE2-E2線断面を示す断面写真である。
[図16A] サンプル3の溶接部を示す写真である。
[図16B] サンプル3の溶接部の内部状態を示すCT写真である。
[図16C] サンプル4の溶接部を示す写真である。
[図16D] サンプル4の溶接部の内部状態を示すCT写真である。
[図17A] サンプル11の溶接形態を示す模式図である。
[図17B] サンプル13の溶接形態を示す模式図である。
[図17C] サンプル17の溶接形態を示す模式図である。
[図17D] サンプル21の溶接形態を示す模式図である。
[図18A] せん断引張試験方法を示す模式図である。
[図18B] 十字剥離試験方法を示す模式図である。
[図19] せん断引張試験の結果を示すグラフである。
[図20] 十字剥離試験の結果を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下では、実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
[0010]
 [第1実施形態]
 1.レーザ溶接装置1の概略構成
 第1実施形態に係るレーザ溶接装置1の概略構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るレーザ溶接装置1の概略構成を示す模式図である。
[0011]
 図1に示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置1は、レーザ発振器10と光路11と集光部12とを備える。レーザ発振器10は、当該レーザ発振器10に接続されたコントローラ(制御部)15からの指令に従ってレーザ光を発振する。なお、コントローラ15は、CPU、ROM、RAMなどから構成されたマイクロプロセッサを含み構成されている。
[0012]
 レーザ発振器10で発振されたレーザ光は、光路11を通り集光部12へと伝搬される。集光部12では、伝搬されてきたレーザ光が板材積層体500における板材(金属部材)501の表面に集光される(スポットが形成される)。ここで、集光部12は、走査部であって、コントローラ15からの指令を受けて、レーザ光のスポットを板材501の表面上で走査する。
[0013]
 なお、本実施形態では、光路11の一例として光ファイバーケーブルを用いているが、これ以外にもレーザ光を伝搬することができる種々の光路を採用することができる。ここで、本実施形態では、溶接の対象としての板材積層体500は、板材(金属部材)501と板材(金属部材)502との積層体である。
[0014]
 また、レーザ溶接装置1は、溶接ロボット13と、該溶接ロボット13の駆動に係る駆動回路部14と、を備える。溶接ロボット13は、その先端部分に集光部12が取り付けられており、駆動回路部14に接続されたコントローラ15からの指令に従って、集光部12を3次元で移動させることができる。
[0015]
 2.板材積層体500の概略構成
 板材積層体500の概略構成について、図2を用い説明する。図2は、板材積層体500を構成する板材501,502の溶接前における配置状態を示す模式側面図である。
[0016]
 板材501と板材502とは板厚方向に重ね合わされているが、溶接前のこれらの間には、図2に示すように、例えば最大で1mm程度の隙間Gが存在する。板材積層体500を構成する2枚の板材501,502のうち、レーザ光の照射側に配置される板材501の板厚は、T 501である。板厚T 501は、例えば、1mm程度である。なお、板厚T 501については、0.5mmから3.2mm程度とすることが可能である。換言すると、本実施形態に係る構成は、所謂、薄板に対して好適に適用することが可能である。
[0017]
 3.レーザ溶接装置1を用いた溶接形態
 本実施形態に係るレーザ溶接装置1を用いた溶接形態について、図3および図4を用いて説明する。図3は、レーザ溶接装置1を用いた溶接形態を示す模式平面図であり、図4は、図3におけるIV-IV線断面を示す模式断面図である。
[0018]
 図3に示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置1を用いた溶接では、コントローラ15がレーザ発振器10にレーザ光を発振する旨の指令(レーザ光照射ステップの実行指令)を出した状態で、レーザ光のスポットがレーザ光走査軌跡LN 101およびLN 102上を順に通るように集光部12に指令を出す(走査ステップを実行する)。具体的には、コントローラ15は、先ず板材積層体500の所定箇所(周回中心)Ax 101の周りを周回するレーザ光走査軌跡LN 101上をレーザ光のスポットが通るように集光部12を制御する。これにより、周回中心AX 101を含む平面視略円形の領域であるスクリュ部101における金属が溶融し・攪拌される。換言すれば、金属が溶融・攪拌された平面視略円形のスクリュ部101が形成される。
[0019]
 次に、コントローラ15は、スクリュ部101の溶融金属が凝固しない間に(溶融状態が維持されている間に)連続して、スクリュ部101の外縁部からX方向右側に離間するように延びるレーザ光走査軌跡LN 102上をレーザ光のスポットが通るように集光部12を制御する。これにより、レーザ光走査軌跡LN 102の周囲に平面視線状の領域である線状部102における金属が溶融する。換言すれば、金属が溶融された平面視線状の線状部102が形成される。この際、図4に示すように、線状部102における板材501と板材502との間の隙間Gに、スクリュ部101で攪拌された溶融金属の一部が流れ込み、隙間Gが空いていても線状部102での強固な接合がなされる。
[0020]
 なお、図4に示すように、線状部102の形成よりも前の段階で形成されるスクリュ部101においては、板材502におけるZ方向下側の面にも凹部が形成される場合がある。これは、スクリュ部101の金属が溶融状態の間に線状部102へのレーザ溶接を開始するため、スクリュ部101の溶融金属の一部が隙間Gに流れ込むためである。
[0021]
 そして、図3および図4に示すように、溶融金属が凝固することにより、互いに連続するスクリュ部101および線状部102からなる溶接部(ナゲット)100が形成される。
[0022]
 なお、スクリュ部101の直径はD 101であり、線状部102のX方向長さはL 102である。ここで、線状部102のX方向への延伸長さL 102は、板材501の板厚T 501や隙間G、スクリュ部101の直径D 101等に応じて設定されている。一例として、本実施形態では、板厚T 501が1mmであり、線状部102の延伸長さL 102が約5mmである。
[0023]
 4.効果
 本実施形態に係るレーザ溶接装置1およびこれを用いたレーザ溶接方法は、板材積層体500を構成する2枚の板材(金属部材)501,502をレーザ溶接により接合するので、抵抗溶接などを用いる場合に比べて、溶接速度が速く、熱影響が少なく、また、板材501,502に対して非接触で溶接を行うことができ、加工効率が高く、連続溶接による剛性アップを図ることが可能である。
[0024]
 次に、本実施形態に係るレーザ溶接装置1およびこれを用いたレーザ溶接方法では、レーザ光のスポットを周回させて当該部分の金属を溶融・攪拌してスクリュ部101を形成し、該スクリュ部101の金属が溶融した状態で当該スクリュ部101からX方向に離間するようにレーザ光のスポットを走査して当該部分の金属を溶融して線状部102を形成するので、溶接前に板材501と板材502との間に隙間Gが空いていても、スクリュ部101の溶融金属の一部が線状部102の隙間Gに流れ込むことになる。よって、本実施形態に係るレーザ溶接装置1を用いた溶接方法では、溶接前に板材501と板材502との間に隙間Gが空いていても、線状部の溶融金属だけでなく、スクリュ部からの溶融分を加えた溶融金属により線状部における金属部材同士の間の隙間を埋めるので、えぐれや溶け落ちの発生を抑制することができる。
[0025]
 また、本実施形態に係るレーザ溶接装置1およびこれを用いたレーザ溶接方法では、スクリュ部101を形成する際の金属部材の溶融に際して平面視略円形状にレーザ光のスポットを周回させることで(レーザ光走査軌跡LN 101上を走査させることで)、該スクリュ部101を形成しようとする部分で溶融金属が良好に(淀みを抑えながら)攪拌することができる。これにより、線状部102における板材501と板材502との間の隙間Gに対して良好な溶融金属の流れ込みを促すことが可能となる。
[0026]
 また、本実施形態に係るレーザ溶接装置1およびこれを用いたレーザ溶接方法では、スクリュ部101の溶融金属の一部を、線状部102における板材501,502間の隙間Gに誘引して、当該線状部102における隙間Gを埋めることができる。よって、板材501,502同士の間に隙間Gがあっても、高い接合強度を確保することができる。
[0027]
 以上のように、本実施形態に係るレーザ溶接装置1およびこれを用いたレーザ溶接方法では、板材501と板材502との間に隙間Gがあるような場合にあっても、高い接合強度で部材同士を接合可能である。
[0028]
 [第2実施形態]
 図5Aは、第2実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0029]
 図5Aに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部106と、スクリュ部106に連続し平面視線状に延びる線状部107と、からなる溶接部(ナゲット)105を形成する。
[0030]
 スクリュ部106においては、上記第1実施形態に係るスクリュ部101と同様に、所定箇所の周りをレーザ光のスポットを周回させることにより該部分の金属が溶融・攪拌される。そして、スクリュ部106の金属が凝固しない間に、線状部107へのレーザ光の照射を連続して行う。
[0031]
 図5Aに示すように、本実施形態に係る溶接部105の線状部107は、スクリュ部106に対する接続箇所が上記第1実施形態とは異なり、スクリュ部106における径方向の一方側端部において接線方向に伸びるように接続されている。
[0032]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、溶接部105の形態が上記第1実施形態とは異なるが、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
[0033]
 [第3実施形態]
 図5Bは、第3実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0034]
 図5Bに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部111と、スクリュ部111に連続し平面視線状に延びる線状部112と、からなる溶接部(ナゲット)110を形成する。
[0035]
 スクリュ部111においては、上記第1実施形態に係るスクリュ部101と同様に、所定箇所の周りをレーザ光のスポットを周回させることにより該部分の金属が溶融・攪拌される。そして、スクリュ部111の金属が凝固しない間に、線状部112へのレーザ光の照射を連続して行う。
[0036]
 図5Bに示すように、本実施形態に係る溶接部110では、線状部112がスクリュ部111における径方向の一方側端部に対して接続されている点において上記第2実施形態と同様であるが、線状部112が平面視曲線状(本実施形態では、一例として平面視略円弧状)をしている点で上記第2実施形態と異なっている。
[0037]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、溶接部110の形態が上記第2実施形態とは異なるが、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、溶接部110における線状部112が平面視略円弧状に形成されていることにより、線状部112でのレーザ光のスポットの軌跡を長くとることができ、線状部を平面視直線状に形成する場合に比べてより高い接合強度を確保することができる。
[0038]
 [第4実施形態]
 図5Cは、第4実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0039]
 図5Cに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接により、平面視略円形のスクリュ部116と、該スクリュ部116から当該スクリュ部116の径方向の一方側に向けて離間するように延びる平面視線状の線状部117と、スクリュ部116から径方向の他方側に向けて離間するように延びる平面視線状の線状部118と、からなる溶接部115を形成する。本実施形態では、線状部117でのレーザ溶接の開始および線状部118でのレーザ溶接の開始との両方を、スクリュ部116の溶融金属が凝固する前に行う。
[0040]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、スクリュ部116から離間するように延びる2条の線状部117,118を形成する点、で上記第1実施形態などとは異なるが、上記第1実施形態などと同様の効果を得ることができる。
[0041]
 なお、本実施形態ではスクリュ部116に対し、2条の平面視線状の線状部117,118を形成することとしたが、線状部は3条以上としても構わない。例えば、互いに120度離間するように3条の線状部を設ける形態や、互いに90度離間するように4条の線状部を設ける形態を採用することも可能である。この際、線状部は何れもその溶接の開始を、スクリュ部の溶融金属が凝固する前に行う必要がある。
[0042]
 [第5実施形態]
 図5Dは、第5実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。なお、本実施形態に係るレーザ溶接に用いるレーザ溶接装置の基本的な構成は、上記第1実施形態と基本的に同じである。
[0043]
 図5Dに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部(第1スクリュ部)121と、スクリュ部121に連続し平面視線状に延びる線状部122と、線状部122に連続し平面視略円形のスクリュ部(第2スクリュ部)123と、からなる溶接部(ナゲット)120を形成する。
[0044]
 スクリュ部121およびスクリュ部123においては、上記第1実施形態に係るスクリュ部101と同様に、所定箇所の周りをレーザ光のスポットを周回させることにより該部分の金属が溶融・攪拌される。そして、スクリュ部121の金属が凝固する前に、線状部122へのレーザ光の照射を連続して行う。
[0045]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、互いに離間した位置に2つのスクリュ部121,123を設ける点で上記第1実施形態などとは異なるが、上記第1実施形態などと同様の効果を得ることができる。
[0046]
 また、本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、2つのスクリュ部121,123と1条の線状部122とからなる溶接部120を設けることにより、より高い接合強度を確保することが可能である。
[0047]
 [第6実施形態]
 図6Aは、第6実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0048]
 図6Aに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部(第1スクリュ部)126と、スクリュ部126に連続し平面視線状に延びる線状部127と、線状部127に連続し平面視略円形のスクリュ部(第2スクリュ部)128と、からなる溶接部(ナゲット)125を形成する。
[0049]
 スクリュ部126およびスクリュ部128においては、上記第1実施形態に係るスクリュ部101と同様に、所定箇所の周りをレーザ光のスポットを周回させることにより該部分の金属が溶融・攪拌される。そして、スクリュ部126の金属が凝固する前に、線状部127へのレーザ光の照射を連続して行う。
[0050]
 図6Aに示すように、本実施形態に係る溶接部125の線状部127は、スクリュ部126およびスクリュ部128に対する接続箇所が上記第5実施形態とは異なっている。即ち、本実施形態に係る溶接部125においては、線状部127がスクリュ部126およびスクリュ部128の各々における径方向の一方側端部において接線を形成するように接続されている。
[0051]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、溶接部125の形態が上記第5実施形態とは異なるが、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
[0052]
 [第7実施形態]
 図6Bは、第7実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0053]
 図6Bに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部131と、スクリュ部131に連続し平面視線状に延びる線状部132と、線状部132に連続し平面視略円形のスクリュ部(第2スクリュ部)133と、スクリュ部133に連続し平面視線状に延びる線状部134と、線状部134に連続し平面視略円形のスクリュ部135と、スクリュ部135に連続し平面視線状の線状部136と、を含む溶接部(ナゲット)130を形成する。なお、図6Bでは、3つのスクリュ部131,133,135と3条の線状部132,134,136とだけを図示しているが、本実施形態に係るレーザ溶接では、スクリュ部および線状部がさらに連続する形態とすることもできる。
[0054]
 スクリュ部131,133,135においては、上記第1実施形態に係るスクリュ部101と同様に、所定箇所の周りをレーザ光のスポットを周回させることにより該部分の金属が溶融・攪拌される。そして、スクリュ部131の金属が凝固する前に線状部132に対するレーザ光の照射を、スクリュ部133の金属が凝固する前に線状部134に対するレーザ光の照射を、スクリュ部135の金属が凝固する前に線状部136に対するレーザ光の照射を各々連続して行う。
[0055]
 図6Bに示すように、本実施形態に係る溶接部130は、構成中のスクリュ部131,133,135の数、および線状部132,134,136の数が上記第5実施形態とは異なっている。
[0056]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、溶接部130の形態が上記第5実施形態とは異なるが、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、上記第5実施形態および上記第6実施形態よりも多くのスクリュ部131,133,135および線状部132,134,136を含む溶接部130を形成することで、溶接速度の高速化を図りながら、より高い接合強度を確保することができる。
[0057]
 [第8実施形態]
 図6Cは、第8実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0058]
 図6Cに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部(第1スクリュ部)141と、スクリュ部141に連続し平面視線状に延びる線状部142と、線状部142に連続し平面視略円形のスクリュ部(第2スクリュ部)143と、からなる溶接部(ナゲット)140を形成する。
[0059]
 スクリュ部141およびスクリュ部143においては、上記第1実施形態に係るスクリュ部101と同様に、所定箇所の周りをレーザ光のスポットを周回させることにより該部分の金属が溶融・攪拌される。そして、スクリュ部141の金属が凝固する前に線状部142へのレーザ光の照射を連続して行う。
[0060]
 図6Cに示すように、本実施形態に係る溶接部140では、線状部142がスクリュ部141およびスクリュ部143の各々における径方向の一方側端部に対して接続されている点において上記第6実施形態と同様であるが、線状部142が平面視曲線状(本実施形態では、一例として平面視円弧状)をしている点で上記第6実施形態と異なっている。
[0061]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、溶接部140の形態が上記第5実施形態などとは異なるが、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、溶接部140における線状部142が平面視円弧状に形成されていることにより、線状部142でのレーザ光のスポットの軌跡を長くとることができ、線状部を平面視直線状に形成する場合に比べてより高い接合強度を確保することができる。
[0062]
 [第9実施形態]
 図6Dは、第9実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0063]
 図6Dに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接により、平面視略円形のスクリュ部146を形成し、該スクリュ部146の金属部材が溶融状態の間にスクリュ部146から離間してゆくように平面視線状の線状部147を形成する。そして、スクリュ部146および線状部147から離間した箇所に、平面視略円形のスクリュ部149を形成し、該スクリュ部149の金属部材が溶融状態の間にスクリュ部149から離間し、且つ、スクリュ部146に近づくように平面視線状の線状部148を形成する。線状部147と線状部148とは、互いの走査軌跡先端部で互いの金属の溶融状態が維持された状態で最終的に接続されてもよいし、接続されないこととしてもよい。本実施形態では、以上のようなステップを経て2つのスクリュ部146,149と2条の線状部147,148とを備える溶接部145が形成される。
[0064]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、スクリュ部146,149および線状部147,148の形成順という点、が上記第5実施形態などとは異なるが、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
[0065]
 また、溶接部の形態を第5実施形態と同様にする際、線状部122のX方向への延伸長さを長くとるほうが、効果的に剛性を向上することができる。
[0066]
 しかしながら、第5実施形態において線状部122のX方向への延伸長さを長くしようとした場合、条件によっては線状部122における板材同士の間の隙間Gに対する溶融金属の流れ込み量が不十分となり、接合強度を確保することができない可能性がある。そのような場合に、本実施形態に係る溶接装置を用いることで、線状部147,148をそれぞれスクリュ部146,149の攪拌された溶融金属の一部を流し込んで接合することができるため、線状部147,148に十分な溶融金属を流し込むことができ、高い接合強度を確保することが可能となる。
[0067]
 [第10実施形態]
 図7Aは、第10実施形態に係る溶接方法を説明するための模式斜視図である。
[0068]
 図7Aに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接方法が溶接対象とする部材セット505は、板材(金属部材)506と板材(金属部材)507との組み合わせを以って構成されている。上記第1実施形態とは、溶接対象となる板材506,507の配置形態が異なり、板材506と板材507とは、互いの端面同士をX方向に突き合わせた状態で配置され、溶接前の状態では、これの間に、一部隙間が空いている。
[0069]
 図7Aに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部151と、スクリュ部151に連続し、Y方向に向けて平面視線状に延びる線状部152と、からなる溶接部(ナゲット)150を形成する。なお、本実施形態では、スクリュ部151と線状部152とを、板材506と板材507との突き合わせ部分に沿うように連続して形成する。
[0070]
 スクリュ部151および線状部152の各形成法については、上記第1実施形態と同じである。
[0071]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、板材506,507の配置形態が上記第1実施形態とは異なるが、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、レーザ溶接を用いた線状部152の形成の際には、スクリュ部151の溶融金属の一部が、隙間Gに流れ込み、強固な溶接を実現することができる。
[0072]
 [第11実施形態]
 図7Bは、第11実施形態に係る溶接方法を説明するための模式斜視図である。
[0073]
 図7Bに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接方法が溶接対象とする部材セット510は、板材(金属部材)511と板材(金属部材)512との組み合わせを以って構成されている。上記第1実施形態とは、溶接対象となる板材511,512の配置形態が異なり、板材512は、板材511の主面上にZ方向に立設する状態で配置されている。板材511の主面と板材512の端面との間には、一部に隙間が空いている。
[0074]
 図7Bに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部156と、該スクリュ部156に連続し、Y方向に向けて平面視線状に延びる線状部157と、該線状部157に連続し平面視略円形のスクリュ部158と、該スクリュ部158に連続し、Y方向に向けて平面視線状に延びる線状部159と、該線状部159に連続し平面視略円形のスクリュ部160と、からなる溶接部(ナゲット)155を形成する。なお、本実施形態では、スクリュ部156,158,160と線状部157,159とを、板材512のZ方向下側の端辺に沿うようにY方向に連続して形成する。
[0075]
 スクリュ部156,158,160および線状部157,159の各形成方法については、上記第5実施形態などと同じである。
[0076]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、板材511,512の配置形態および溶接部155の形態が上記第5実施形態とは異なるが、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、レーザ溶接を用いた線状部157の形成の際には、スクリュ部156の溶融金属の一部が、線状部159の形成の際には、スクリュ部158の溶融金属の一部が各々隙間に流れ込み、強固な溶接を実現することができる。
[0077]
 [第12実施形態]
 図7Cは、第12実施形態に係る溶接方法を説明するための模式斜視図である。
[0078]
 図7Cに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接方法が溶接対象とする部材セット515は、板材(金属部材)516と棒材(金属部材)517との組み合わせを以って構成されている。棒材517は、板材516の主面に対して線接触する状態で配置されている。なお、本実施形態では、円柱状の棒材517を採用するため、棒材517における板材516との接触部分の周方向両側に隙間が空いた状態となっている。
[0079]
 図7Cに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部173と、該スクリュ部173に連続し、Z方向に向けて平面視線状に延びる線状部172と、該線状部172に連続し平面視略円形のスクリュ部171と、からなる溶接部(ナゲット)170を形成する。また、本実施形態に係るレーザ溶接では、スクリュ部171に対してZ方向に離間し、平面視略円形のスクリュ部168と、該スクリュ部168に連続し、Z方向に向けて平面視線状に延びる線状部167と、該線状部167に連続し平面視略円形のスクリュ部166と、からなる溶接部(ナゲット)165を形成する。
[0080]
 溶接部165,170の形成方法については、上記第5実施形態などと同じである。
[0081]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、部材セット515の構成が上記第5実施形態とは異なるが、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、レーザ溶接を用いた線状部167,172の形成の際には、スクリュ部168,173の溶融金属の一部が、板材516と棒材517との間の隙間の一部に流れ込み、強固な溶接を実現することができる。
[0082]
 [第13実施形態]
 図8Aは、第13実施形態に係る溶接方法を説明するための模式斜視図である。
[0083]
 図8Aに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接方法が溶接対象とする部材セット520は、断面が略ハット形状に折り曲げ加工されてなるハット状部材(金属部材)521と板材(金属部材)522との組み合わせを以って構成されている。ハット状部材521は、X方向の両側部分にフランジ部521a,521bを有する。そして、ハット状部材521は、フランジ部521a,521bで板材522に重ね合わされている。なお、本実施形態では、溶接前の状態において、ハット状部材521のフランジ部521a,521bと板材522との間に部分的に隙間が空いた状態となっている。
[0084]
 図8Aに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部176と、該スクリュ部176に連続し、Y方向に向けて延びる平面視線状の線状部177と、該線状部177に連続し平面視略円形のスクリュ部178と、からなる溶接部(ナゲット)175を、各フランジ部521a,521bにおいて複数形成する。これにより、中空部520aを有するパイプ体(例えばクラッシュボックス)が形成できる。
[0085]
 溶接部175の形成方法については、上記第5実施形態などと同じである。
[0086]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、部材セット520の構成および各フランジ部521a,521bにおいて複数の溶接部175を形成する点が上記第5実施形態とは異なるが、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態においても、レーザ溶接を用いた線状部177の形成の際には、スクリュ部176の溶融金属の一部が、ハット状部材521のフランジ部521a,521bと板材522との間の隙間の一部に流れ込み、強固な溶接を実現することができる。
[0087]
 [第14実施形態]
 図8Bは、第14実施形態に係る溶接方法を説明するための模式斜視図である。
[0088]
 図8Bに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接方法が溶接対象とする部材セット525も、第13実施形態と同様に、断面が略ハット形状に折り曲げ加工されてなるハット状部材(金属部材)526と板材(金属部材)527との組み合わせを以って構成されている。ハット状部材526は、X方向の両側部分にフランジ部526a,526bを有する点も上記第13実施形態と同じである。なお、本実施形態においても、溶接前の状態では、ハット状部材526のフランジ部526a,526bと板材527との間に部分的に隙間が空いた状態となっている。
[0089]
 図8Bに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部181と、該スクリュ部181に連続し、X方向における中空部525aの側に向けて平面視線状に延びる線状部182と、からなる溶接部(ナゲット)180を、各フランジ部526a,526bにおいて複数形成する。これにより、中空部525aを有するパイプ体(例えばクラッシュボックス)が形成できる。
[0090]
 溶接部180の形成方法については、上記第1実施形態などと同じである。
[0091]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、各溶接部180の形態が上記第13実施形態とは異なるが、上記第13実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態においても、レーザ溶接を用いた線状部182の形成の際には、スクリュ部181の溶融金属の一部が、ハット状部材526のフランジ部526a,526bと板材527との間の隙間に流れ込み、強固な溶接を実現することができる。
[0092]
 さらに、本実施形態では、溶接部180の線状部182を中空部525aに向けて形成することにより、クラッシュボックスへの荷重入力時の変形量を抑えることができ、剛性の向上を図ることができる。これについて、図9A、図9B、図10A、および図10Bを用いて説明する。図9Aは、比較例1に係る溶接形態を示す模式斜視図であり、図9Bは、比較例2に係る溶接形態を示す模式斜視図である。図10Aは、本実施形態に係る溶接箇所およびその周辺部分の構成を示す模式断面図であり、図10Bは、比較例2に係る溶接箇所およびその周辺部分の構成を示す模式断面図である。
[0093]
 図9Aに示すように、比較例1に係るレーザ溶接方法が溶接対象とする部材セット900も、断面が略ハット形状に折り曲げ加工されてなるハット状部材901と板材902との組み合わせを以って構成されている。溶接前の状態では、ハット状部材901のフランジ部901a,901bと板材902との間には、隙間が略ない状態となっている。
[0094]
 比較例1に係るレーザ溶接装置では、各フランジ部901a,901bにおいてY方向に延びる溶接部905を形成し、これにより、中空部900aを有するパイプ体(クラッシュボックス)が形成される。
[0095]
 図9Aに示した比較例1に係る線状の連続溶接は、溶接部905がハット状部材901の折り曲げに係る角部の際まで溶接可能であるものの、ハット状部材901のフランジ部901a,901bと板材902との間に隙間が空いている場合には、接合を行うことができない。
[0096]
 そこで、図9Bに示すような比較例2に係るレーザ溶接を採用することが考えられる。
[0097]
 図9Bに示すように、比較例2に係るレーザ溶接方法が溶接対象とする部材セット910も、断面が略ハット形状に折り曲げ加工されてなるハット状部材911と板材912との組み合わせを以って構成されている。溶接前の状態では、ハット状部材911のフランジ部911a,911bと板材912との間には、部分的に隙間が空いた状態となっている。
[0098]
 比較例2に係るレーザ溶接装置では、各フランジ部911a,911bにおいて、互いに間隔を空けた状態で複数の溶接部(平面視略円形のスクリュ部)915を形成し、これにより、中空部910aを有するパイプ体(クラッシュボックス)が形成される。
[0099]
 図9Bに示す比較例2に係るレーザ溶接を採用する場合には、溶接前の状態でハット状部材911のフランジ部911a,911bと板材912との間に部分的に隙間が空いている場合でも、接合することができる。図10Bに示すように、比較例2に係るレーザ溶接を採用する場合には、溶接部915がハット状部材911の折り曲げに係る角部911cからX方向に少し離間した箇所に形成されている。このため、角部911cでは、板材912との間に金属が流れ込まず、隙間910bが空いたままの状態となる。
[0100]
 従って、比較例2に係るレーザ溶接方法を採用する場合には、接合により形成されたクラッシュボックスに対して荷重入力がなされた場合に、矢印A,Bのような変形が生じ、高い剛性を確保することが困難となる。
[0101]
 これに対して、溶接部915をハット状部材911の折り曲げに係る角部911cの際まで寄せることで、図10Bに示すような変形を抑制することはできる。
[0102]
 しかしながら、一つ一つの溶接部(スクリュ部)915の剥離強度が弱いため、剛性を確保するためには、溶接部915の数を増やす必要がある。このため、生産性の低下という問題を生ずると考えられる。
[0103]
 一方、図10Aに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接方法では、スクリュ部181に連続する線状部182を、ハット状部材526の折り曲げに係る角部526cの際まで延びるように形成することにより、角部526cにおいてハット状部材526のフランジ部526a,526bと板材527との間の隙間にもスクリュ部181の溶融金属の一部を流し込むことができる。即ち、ハット状部材(金属部材)526のフランジ部526a,526bと板材(金属部材)527との間に隙間が空いている場合にあっても、線状部182を形成することができ、単にスクリュ部だけからなる溶接部915を形成する比較例2に係るレーザ溶接を採用する場合に比べて、接合強度の向上を図ることができる。
[0104]
 従って、本実施形態に係るレーザ溶接方法を採用する場合には、接合により形成されたクラッシュボックスに対して荷重入力がなされた場合にも、変形が生じ難く、高い剛性を確保することができる。
[0105]
 [第15実施形態]
 図11は、第15実施形態に係る溶接方法を説明するための模式斜視図である。
[0106]
 図11に示すように、本実施形態に係るレーザ溶接方法が溶接対象とする部材セット530も、断面が略ハット形状に折り曲げ加工されてなるハット状部材(金属部材)531と板材(金属部材)532との組み合わせを以って構成されている。ハット状部材531は、X方向の両側部分にフランジ部531a,531bを有する。そして、ハット状部材531は、フランジ部531a,531bで板材532に重ね合わされている。なお、本実施形態でも、溶接前の状態において、ハット状部材531のフランジ部531a,531bと板材532との間に部分的に隙間が空いた状態となっている。
[0107]
 図11に示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円形のスクリュ部(第1スクリュ部)186と、該スクリュ部186に連続し、Y方向に向けて延びる平面視線状の線状部187と、該線状部187に連続し平面視略円形のスクリュ部(第2スクリュ部)188と、からなる溶接部(ナゲット)185を、各フランジ部531a,531bにおいて複数形成する。これにより、中空部530aを有するパイプ体(例えばクラッシュボックス)が形成できる。
[0108]
 溶接部185の形成方法については、上記第6実施形態と同じである。
[0109]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、複数の溶接部185の各々における線状部187をハット状部材531の折り曲げに係る角部の際に沿って形成する点で、上記第13実施形態とは異なる。このため、本実施形態では、上記第13実施形態がそうする効果に加えて、荷重入力がなされた場合の変形をさらに生じ難くし、さらに高い剛性を確保することができる。
[0110]
 [第16実施形態]
 図12Aは、第16実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。第16実施形態は、スクリュ部に連続して形成する線状部の態様が上記第1実施形態などと異なる。
[0111]
 図12Aに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接方法では、スクリュ部の形成に連続して(スクリュ部の溶融金属が凝固しない間に)、レーザ光のスポットを平面視螺旋状に旋回させながら(レーザ光走査軌跡LN 190上を走査して)溶接を行い、線状部190を形成する。
[0112]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、線状部190を形成する際のレーザ光走査軌跡LN 190が上記第1実施形態などとは異なるが、上記第1実施形態などと同様の効果を得ることができる。
[0113]
 さらに、本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、レーザ光のスポットを平面視螺旋状に旋回させながら線状部190を形成するので、平面視直線状に走査する場合に比べてレーザ光走査軌跡LN 190を長くとることができ、Y方向に太い線状部190を形成することで接合強度の向上を図ることができる。また、レーザ光走査軌跡LN 190を螺旋状に旋回させることにより、線状部の溶融状態を長く保つことができるため、金属部材同士の間の隙間に溶融金属を充填できる長さが長くなり、線状部を長く形成することができる。
[0114]
 [第17実施形態]
 図12Bは、第17実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。第17実施形態は、第16実施形態と同様に、スクリュ部に連続して形成する線状部の態様が上記第1実施形態などと異なる。
[0115]
 図12Bに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接方法では、スクリュ部の形成に連続して(スクリュ部の金属部材が溶融状態の間に)、レーザ光のスポットを平面ジグザグ状に走査しながら(レーザ光走査軌跡LN 195上を走査して)溶接を行い、線状部195を形成する。
[0116]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、線状部195を形成する際のレーザ光走査軌跡LN 195が上記第1実施形態などとは異なるが、上記第1実施形態などと同様の効果を得ることができる。
[0117]
 さらに、本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、レーザ光のスポットを平面視ジグザグ状に走査しながら線状部195を形成するので、上記第16実施形態と同様に、平面視直線状に走査する場合に比べてレーザ光走査軌跡LN 195を長くとることができ、Y方向に太い線状部195を形成することで接合強度の向上を図ることができる。また、金属部材同士の間の隙間に溶融金属を充填できる長さが長くなり、線状部を長く形成することができる。
[0118]
 [第18実施形態]
 図13Aは、第18実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0119]
 図13Aに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略楕円形または平面視略長円形のスクリュ部201と、スクリュ部201に連続し平面視線状に延びる線状部202と、からなる溶接部(ナゲット)200を形成する。即ち、本実施形態では、平面視ドット状の一例として、平面視略楕円形または平面視略長円形のスクリュ部201を形成する点において、平面視ドット状の一例として、平面視略円形のスクリュ部101を形成する上記第1実施形態などとは異なる。
[0120]
 スクリュ部201については、所定箇所の周りを平面視略楕円形または平面視略長円形にレーザ光のスポットを周回させることにより形成される。
[0121]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、溶接部200の形態が上記第1実施形態などとは異なるが、上記第1実施形態などと同様の効果を得ることができる。
[0122]
 [第19実施形態]
 図13Bは、第19実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0123]
 図13Bに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略角丸多角形(本実施形態では、一例として角丸四角形)のスクリュ部206と、スクリュ部206に連続し平面視線状に延びる線状部207と、からなる溶接部(ナゲット)205を形成する。
[0124]
 スクリュ部206については、所定箇所の周りを平面視略多角形にレーザ光のスポットを周回させることにより形成される。即ち、本実施形態では、平面視ドット状の一例として、平面視略多角形のスクリュ部206を形成する点において、平面視ドット状の一例として、平面視略円形のスクリュ部101を形成する上記第1実施形態などとは異なる。
[0125]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、溶接部205の形態が上記第1実施形態などとは異なるが、上記第1実施形態などと同様の効果を得ることができる。
[0126]
 [第20実施形態]
 図13Cは、第20実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0127]
 図13Cに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略半円形のスクリュ部211と、スクリュ部211に連続し平面視線状に延びる線状部212と、からなる溶接部(ナゲット)210を形成する。
[0128]
 スクリュ部211については、所定箇所の周りを平面視略半円形にレーザ光のスポットを周回させることにより形成される。即ち、本実施形態では、平面視ドット状の一例として、平面視略半円形のスクリュ部211を形成する点において、平面視ドット状の一例として、平面視略円形のスクリュ部101を形成する上記第1実施形態などとは異なる。
[0129]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、溶接部210の形態が上記第1実施形態などとは異なるが、上記第1実施形態などと同様の効果を得ることができる。
[0130]
 [第21実施形態]
 図13Dは、第21実施形態に係る溶接形態を示す模式図である。
[0131]
 図13Dに示すように、本実施形態に係るレーザ溶接装置では、レーザ溶接を行うことにより、平面視略円環形(平面視略ドーナッツ状)のスクリュ部216と、スクリュ部216に連続し平面視線状に延びる線状部217と、からなる溶接部(ナゲット)215を形成する。
[0132]
 スクリュ部216については、所定箇所の周りを平面視略円環形にレーザ光のスポットを周回させることにより形成される。即ち、本実施形態では、平面視ドット状の一例として、平面視略円環形のスクリュ部216を形成する点において、平面視ドット状の一例として、平面視略円形のスクリュ部101を形成する上記第1実施形態などとは異なる。
[0133]
 本実施形態に係るレーザ溶接装置およびこれを用いた溶接方法では、溶接部215の形態が上記第1実施形態などとは異なるが、上記第1実施形態などと同様の効果を得ることができる。
[0134]
[確認試験]
 1.溶接方法と溶接部の状態
  (1)溶接方法と溶接断面
 図14Aは、本確認試験に用いたサンプル1の溶接形態を示す模式図である。
[0135]
 ・サンプル1
 図14Aに示すように、サンプル1の溶接部220は、スクリュ部221とこれに連続する線状部222とからなる。サンプル1は、40mm×100mmで板厚1.0mmの鋼板(SPFC590)を用い、互いの間の隙間を0.5mmとして配置してレーザ溶接を実施して得られたサンプルである。サンプル1の溶接部220の形成においては、スクリュ部221の金属の溶融状態が維持されている間(溶融金属が凝固する前)に、線状部222へのレーザ光の照射を開始する。
[0136]
 ・サンプル2
 サンプル1の比較例としてのサンプル2の形成においては、用いる材料や使用機器はサンプル1と同じである。また、溶接後における溶接形態も、サンプル1と同様に、図14Aに示す形態である。サンプル2がサンプル1と異なるのは、溶接時において、スクリュ部へのレーザ光の照射を終了してから、0.5秒あけて線状部へのレーザ光の照射を開始した点である。
[0137]
 先ず、図15Bに示すように、サンプル2の溶接部におけるスクリュ部では、鋼材同士の間の隙間を充填するために溶融した金属が当該隙間に流れ込み、レーザ光を照射した側の鋼材における溶接部表面が窪んでいる。
[0138]
 また、図15Cに示すように、サンプル2の溶接部における線状部では、溶け落ちが発生し(矢印D)、接合がなされていない。
[0139]
 次に、図15Eに示すように、サンプル1の溶接部220におけるスクリュ部221では、鋼材同士の間の隙間を充填するためと、線状部222の隙間の一部を充填するために、溶融した金属が両隙間に流れ込み、溶接部220の両側の表面が窪んでいる。
[0140]
 図15Fに示すように、スクリュ部221の金属が凝固する前に、線状部222へのレーザ光の照射を実施したサンプル1では、線状部222に溶け落ちなどが発生することなく、隙間が金属で充填されることで良好な接合断面を示している。
[0141]
  (2)溶接方法と溶接部の内部状態
 図14Bは、サンプル3の溶接形態を示す模式図であり、図14Cは、サンプル4の溶接形態を示す模式図である。
[0142]
 ・サンプル3
 図14Bに示すように、参考例としてのサンプル3の形成においては、用いる材料などはサンプル1と同じである。サンプル3は、溶接部225がスクリュ部だけからなる。溶接部225の形成方法については、サンプル1のスクリュ部221の形成方法と同じである。
[0143]
 ・サンプル4
 図14Cに示すように、サンプル4における溶接部230は、スクリュ部231と、そのX方向の一方側に延びる線状部232と、X方向の他方側に延びる線状部233とが一体に形成されてなる。そして、溶接部230の形成においては、スクリュ部231へのレーザ光の照射を行った後、当該スクリュ部231の金属の溶融状態が維持されている間に、線状部232および線状部233へのレーザ光の照射を開始した。
[0144]
 図16Aおよび図16Bに示すように、サンプル3の溶接部には、表面及び内部の両方において欠陥は観察されなかった。
[0145]
 また、図16Cおよび図16Dに示すように、サンプル4の溶接部においても、表面及び内部の両方において欠陥は観察されなかった。
[0146]
  (3)レーザ溶接時における金属の溶融およびその流動
 次に、レーザ溶接によりスクリュ部と線状部とが連続してなる溶接部を形成する際の、金属の溶融およびその流動についての検証結果について説明する。
[0147]
 上記第1実施形態のように、レーザ光のスポットを周回中心周りに周回させながら溶融プールを拡径してゆきスクリュ部を形成した直後においては、溶融金属は凝固していなかった。そして、スクリュ部の溶融金属が凝固する前に線状部を形成しようとする部分にレーザ光の照射を開始する。これにより、スクリュ部の溶融金属の一部が線状部における金属部材間の隙間に流れ込んで充填されていた。
[0148]
 さらにレーザ光の走査を進めてゆくと、線状部の走査開始箇所(スクリュ部との境界部分)から徐々に溶融金属が凝固し始めた。このため、この時点からはスクリュ部の溶融金属の線状部への流れ込みが停止される。
[0149]
 なお、スクリュ部の溶融金属は、外縁部分から凝固し始め、中央部分が最後に凝固した。また、線状部の溶融金属はスクリュ部よりも早期に凝固し始めた。これは、線状部のレーザ溶接では、母材である金属部材に熱が吸収され易いためであると考えられる。
[0150]
 2.溶接方法と溶接部の強度特性
 先ず、強度特性調査に用いたサンプルについて、図17Aから図17Dを用いて説明する。
[0151]
 ・サンプル11
 サンプル11の作成においては、上記サンプル1と同様の鋼材を用いた。ただし、鋼材間の隙間をなくして(0mm)レーザ溶接を行った。
[0152]
 図17Aに示すように、サンプル11は、参考例としてのサンプルであり、溶接部235がスクリュ部だけからなり、目標スポット径を5mmとした。
[0153]
 ・サンプル12
 サンプル12も参考例として作成したサンプルであって、溶接部がスクリュ部だけからなる。用いる鋼材および溶接機器、溶接条件は上記サンプル11と同様である。ただし、サンプル12の作成に際しては、鋼材間の隙間を0.5mmとした。
[0154]
 ・サンプル13
 図17Bに示すように、サンプ13における溶接部240は、スクリュ部241と、そのX方向の一方側に延びる線状部242と、X方向の他方側に延びる線状部243とが一体に形成されてなる。なお、図17Aから図17DのそれぞれにおけるX方向は、鋼材の幅方向である。また、本サンプルの作成においては、鋼材間の隙間をなくして(0mm)レーザ溶接を行った。
[0155]
 スクリュ部241の目標スポット径は、5mmであり、線状部242,243の各長さは、4mmである。
[0156]
 ここで、本サンプルの作成においても、スクリュ部241へのレーザ光の照射を行った後、当該スクリュ部241の金属の溶融状態が維持されている間に、線状部242および線状部243へのレーザ光の照射を開始した。
[0157]
 ・サンプル14
 サンプル14も、上記サンプル13と同様の形態を有する溶接部を形成してなるサンプルであり、用いる鋼材および溶接機器、溶接条件は上記サンプル13と同様である。ただし、サンプル14の作成に際しては、鋼材間の隙間を0.5mmとした。
[0158]
 ・サンプル15
 サンプル15は、上記サンプル13と同様にスクリュ部と2つの線状部とからなる溶接部が形成されてなるサンプルであり、用いる鋼材および溶接機器、溶接条件は上記サンプル13と同様である。ただし、本サンプルでは、線状部が延びる方向を鋼材の長手方向(Y方向)とした点で、図17Bに示すサンプル13と異なる。
[0159]
 なお、本サンプルの作成においても、鋼材間の隙間をなくして(0mm)レーザ溶接を行った。
[0160]
 ・サンプル16
 サンプル16も、上記サンプル15と同様の形態を有する溶接部を形成してなるサンプルであり、用いる鋼材および溶接機器、溶接条件は上記サンプル14と同様である。ただし、サンプル16の作成に際しては、鋼材間の隙間を0.5mmとした。
[0161]
 ・サンプル17
 図17Cに示すように、サンプ17における溶接部245は、スクリュ部246と、その外縁部分からX方向の一方側に延びる線状部247と、X方向の他方側に延びる線状部248とが一体に形成されてなる。本サンプルにおいても、線状部247,248は、鋼材の幅方向であるX方向に延びている。また、本サンプルの作成においては、鋼材間の隙間をなくして(0mm)レーザ溶接を行った。
[0162]
 スクリュ部246の目標スポット径は、5mmであり、線状部247,248の各長さは、4mmである。
[0163]
 本サンプルの作成においても、スクリュ部246へのレーザ光の照射を行った後、当該スクリュ部246の金属の溶融状態が維持されている間に、線状部247および線状部248へのレーザ光の照射を開始した。
[0164]
 ・サンプル18
 サンプル18も、上記サンプル17と同様の形態を有する溶接部を形成してなるサンプルであり、用いる鋼材などは上記サンプル17と同様である。ただし、サンプル18の作成に際しては、鋼材間の隙間を0.5mmとした。
[0165]
 ・サンプル19
 サンプル19は、上記サンプル17と同様にスクリュ部と2つの線状部とからなる溶接部が形成されてなるサンプルであり、用いる鋼材などは上記サンプル17と同様である。ただし、本サンプルでは、線状部が延びる方向を鋼材の長手方向(Y方向)とした点で、図17Cに示すサンプル17と異なる。
[0166]
 なお、本サンプルの作成においても、鋼材間の隙間をなくして(0mm)レーザ溶接を行った。
[0167]
 ・サンプル20
 サンプル20も、上記サンプル19と同様の形態を有する溶接部を形成してなるサンプルであり、用いる鋼材などは上記サンプル19と同様である。ただし、サンプル20の作成に際しては、鋼材間の隙間を0.5mmとした。
[0168]
 ・サンプル21
 図17Dに示すように、サンプ21における溶接部250は、スクリュ部251と、そのX方向の一方側に延びる線状部252と、X方向の他方側に延びる線状部253と、Y方向の一方側に延びる線状部254と、Y方向の他方側に延びる線状部255と、が一体に形成されてなる。本サンプルの作成においては、鋼材間の隙間をなくして(0mm)レーザ溶接を行った。
[0169]
 スクリュ部251の目標スポット径は、5mmであり、線状部252~255の各長さは、2mmである。
[0170]
 ここで、本サンプルの作製においても、スクリュ部251へのレーザ光の照射を行った後、当該スクリュ部251の金属の溶融状態が維持されている間に、線状部252~255へのレーザ光の照射を開始した。
[0171]
 ・サンプル22
 サンプル22も、上記サンプル21と同様の形態を有する溶接部を形成してなるサンプルであり、用いる鋼材および溶接機器、溶接条件は上記サンプル21と同様である。ただし、サンプル22の作成に際しては、鋼材間の隙間を0.5mmとした。
[0172]
 次に、上記のサンプル11~22の強度試験の方法について、図18Aおよび図18Bを用いて説明する。
[0173]
 (1)せん断引張試験
 図18Aに示すように、ともに長手方向をY方向に揃えて配置し、ラップ代40mmで2枚の鋼材を重ね合わせる。そして、ラップ部分に上記のサンプル11~22の各形態で溶接部を形成した。せん断引張試験では、矢印のように引張力を作用させて引張強度を測定した。
[0174]
 図19に示すように、鋼材間の隙間をなくした状態でレーザ溶接を行ったサンプル11,13,15,17,19,21を比較すると、サンプル15がサンプル11よりも引張強度が約20%高く、サンプル21がサンプル11よりも10%程度向上していることが分かる。サンプル13,17,19については、引張強度がサンプル11と略同じである。
[0175]
 一方、鋼材間の隙間を0.5mmとした状態でレーザ溶接を行ったサンプル12,14,16,18,20,22を比較すると、サンプル14がサンプル12よりも引張強度が約30%高く、サンプル16,18,20,22についてもサンプル12よりも引張強度が約10%~20%高くなった。
[0176]
 (2)十字剥離試験
 図18Bに示すように、互いに交差する状態で2枚の鋼材を重ね合わせる。そして、鋼材同士の重ね合わされた部分に上記のサンプル11~14,17,18,21,22の各形態で溶接部を形成した。十字剥離試験では、各鋼材の長手方向の端部に設けられた孔を用いて鋼材同士を剥離して剥離強度を測定した。
[0177]
 図20に示すように、十字剥離試験で測定された剥離強度は、サンプル13,14,17,18,21,22がサンプル11,12に対して約1.8倍~2倍の高い値が測定された。そして、図20に示すように、十字剥離試験の剥離強度については、鋼材間の隙間が0mmの場合と0.5mmの場合とも、大きな差異がなかった。
[0178]
 (3)考察
 上記の2つの試験のうち特に十字剥離試験の結果より、スクリュ部と線状部とを連続的に形成してなる溶接部を形成するレーザ溶接方法においては、スクリュ部だけからなる溶接部を有するサンプル11,12に比べて高い剥離強度を実現することが分かった。ここで、スクリュ部だけからなる溶接部の場合には、溶融した脆い金属と熱影響部の境界部分に応力が作用して破断に至ることからサンプル11,12の剥離強度が低いと考えられる。これに対して、スクリュ部と線状部とを連続的に形成してなる溶接部を有するサンプル13,14,17,18,21,22では、破断箇所が上記境界部分から母材へと変位することで強度向上が図られたものと考えられる。
[0179]
 せん断引張試験と十字剥離試験の両結果を総合的に勘案するとき、サンプル15,16,21,22が強度特性に観点から特に優れていることが分かった。
[0180]
 [変形例]
 上記第1実施形態から上記第21実施形態では、レーザ光のスポットを走査するために集光部12を制御することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、溶接ロボット13の先端部分を駆動制御することでレーザ光のスポットを走査してもよいし、X-Yテーブルなどを用いてレーザ光のスポットを走査させることとしてもよい。また、上記第1実施形態から上記第20実施形態では、集光部12を制御することによりレーザ光のスポットを移動させることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、溶接に供される金属部材を移動させてレーザ光のスポットを走査することとしてもよい。
[0181]
 また、上記第1実施形態から上記第21実施形態では、溶接ロボットを使用しているが、本発明は、これに限定を受けるものではない。一定範囲の溶接であれば、集光部12の走査のみによっても所望位置への溶接が可能である。
[0182]
 また、上記第1実施形態から上記第21実施形態では、2つの金属部材同士の接合を行うこととしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、3つ以上の金属部材を接合するのにも本発明を適用すれば上記同様の効果を得ることができる。
[0183]
 また、本発明では、上記第1実施形態から上記第21実施形態を相互に組み合わせて適用することも可能である。
[0184]
 さらに、レーザ光を発振する際に、溶接に供給される金属部材に超音波振動を加えることもできる。レーザ光の発振時に超音波加振を行うことにより、金属部材の溶着性が改善され、金属が凝固する過程において組織が微細となり、材料強度を高くすることができる。
[0185]
 [まとめ]
 本発明の一態様に係るレーザ溶接装置は、複数の金属部材をレーザ溶接により接合するレーザ溶接装置であって、レーザ光を発振するレーザ発振器と、前記レーザ光を溶接箇所に集光する集光部と、前記レーザ光のスポットを走査する走査部と、前記レーザ発振器および前記走査部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記レーザ発振器に対して前記レーザ光を発振させた状態で、前記レーザ光のスポットを所定箇所の周りを周回するように走査して金属部材を溶融させた平面視ドット状のスクリュ部を形成し、前記スクリュ部における金属部材が溶融状態の間に、前記レーザ光のスポットを前記スクリュ部から離間するように走査して金属部材を溶融させた、前記スクリュ部に連続する平面視線状の線状部を形成する。
[0186]
 先ず、上記態様に係るレーザ溶接装置は、複数の金属部材をレーザ溶接により接合するので、抵抗溶接などを用いる場合に比べて、溶接速度が速く、熱影響が少なく、また、金属部材に対して非接触で溶接を行うことができ、加工効率が高く、連続溶接による剛性アップを図ることが可能である。
[0187]
 次に、上記態様に係るレーザ溶接装置では、スクリュ部の形成において、レーザ光のスポットを周回させて当該部分の金属部材を溶融・攪拌し、該スクリュ部を形成しようとする部分の金属部材が溶融した状態で線状部を形成する部分の金属を溶融させるので、仮に溶接前の状態で金属部材同士の間に隙間が空いていたとしても、スクリュ部を形成しようとする部分の溶融金属の一部が線状部を形成しようとする部分における金属部材間の隙間に流れ込むことになる。よって、上記態様に係るレーザ溶接装置では、溶接前の状態で金属部材間に隙間があった場合にも、線状部を形成しようとする部分の溶融金属だけでなく、スクリュ部から流れ込む溶融金属により線状部における金属部材同士の間の隙間を埋めるので、えぐれや溶け落ちの発生を抑制することができる。
[0188]
 従って、上記態様に係るレーザ溶接装置では、金属部材同士の間に隙間があるような場合にあっても、高い接合強度で部材同士を接合可能である。
[0189]
 上記態様に係るレーザ溶接装置において、前記線状部は、前記スクリュ部の溶融金属の一部を、線状部における複数の金属部材同士の間の隙間に充填しながら形成される、との構成を採用することもできる。
[0190]
 上記のような構成を採用する場合には、スクリュ部の溶融金属の一部を、線状部における金属部材間の隙間に誘引して、当該線状部における隙間を埋めることができる。よって、金属部材同士の間に隙間があるような場合においても、高い接合強度を確保することができる。
[0191]
 上記態様に係るレーザ溶接装置において、前記制御部は、前記スクリュ部の金属部材の溶融に際して、前記レーザ光のスポットを平面視略円形状に周回させる、との構成を採用することもできる。なお、上記における「平面視」とは、レーザ光の照射方向から見ることを意味する。以下同様である。
[0192]
 上記のような構成を採用する場合には、スクリュ部を形成しようとする部分の金属部材の溶融に際して平面視略円形状にレーザ光のスポットを周回させることで、該スクリュ部を形成しようとする部分で溶融金属が良好に(淀みを抑えながら)攪拌することができる。これにより、線状部を形成しようとする部分における金属部材間の隙間に対して良好な溶融金属の流れ込みを促すことが可能となる。
[0193]
 上記態様に係るレーザ溶接装置において、前記所定箇所を第1所定箇所と定義するとともに、前記スクリュ部を第1スクリュ部と定義し、前記第1所定箇所から所定距離離間した箇所を第2所定箇所と定義したときに、前記制御部は、前記レーザ発振器に対して前記レーザ光を発振させた状態で、前記第1スクリュ部および当該第1スクリュ部に連続する第1線状部を形成した後、前記レーザ光のスポットを前記第2所定箇所の周りを周回するように走査して金属部材を溶融させて第2スクリュ部を形成し、前記第2スクリュ部における金属部材が溶融状態の間に、前記レーザ光のスポットを前記第2スクリュ部から離間するように走査して、前記第2スクリュ部に連続する平面視線状の第2線状部を形成し、前記第1線状部と前記第2線状部とが接続される、との構成を採用することもできる。
[0194]
 上記のような構成を採用する場合には、第1スクリュ部で攪拌された溶融金属を第1線状部における金属部材間の隙間に流し込み、第2スクリュ部で攪拌された溶融金属を第2線状部における金属部材間の隙間に流し込むことができる。このため、第1スクリュ部と第2スクリュ部との間の距離が長い場合においても、当該間の金属部材同士の間の隙間に十分な量の溶融金属を充填させることができ、高い接合強度を確保することができる。
[0195]
 上記態様に係るレーザ溶接装置において、前記制御部は、前記線状部の形成に際して、前記レーザ光のスポットを前記線状部内で螺旋状またはジグザグ状に走査する、との構成を採用することもできる。
[0196]
 上記の構成を採用する場合には、線状部を形成しようとする部分でのレーザ光のスポットを平面視螺旋状または平面視ジグザグ状に走査することにより、該線状部でのレーザ光のスポットの軌跡を長くとることができ、幅広の線状部を形成することができるとともに、線状部を長く形成することができる。
[0197]
 上記態様に係るレーザ溶接装置において、前記複数の金属部材は、それぞれが板状の部材であって、前記複数の金属部材が重ね合わされた箇所から互いに離間する方向に延びる形状をなし、前記制御部は、前記複数の金属部材が離間する起点箇所に、少なくとも前記線状部の一部が位置するように、前記重ね合わされた箇所に対して前記レーザ光のスポットを走査させる、との構成を採用することもできる。
[0198]
 上記のような構成を採用する場合には、複数の金属部材が離間する起点箇所に線状部の少なくとも一部が位置するようにレーザ溶接を行うことができるので、スクリュ部で攪拌された溶融金属の一部が上記起点箇所における金属部材間の隙間に充填することが可能となる。よって、高い接合強度を確保することができ、複数の金属部材の離間部分に荷重入力がなされた場合にも変形などが生じ難く、高い剛性を確保することができる。
[0199]
 本発明の一態様に係るレーザ溶接方法は、複数の金属部材をレーザ溶接により接合するレーザ溶接方法であって、レーザ光を発振し、当該発振されたレーザ光を溶接箇所に集光するレーザ光照射ステップと、前記レーザ光のスポットを走査する走査ステップと、を備え、前記レーザ光を発振させた状態で、前記レーザ光のスポットを所定箇所の周りを周回するように走査して金属部材を溶融させた平面視ドット状のスクリュ部を形成し、前記スクリュ部における金属部材が溶融状態の間に、前記レーザ光のスポットを前記スクリュ部から離間するように走査して金属部材を溶融させた、前記スクリュ部に連続する平面視線状の線状部を形成する。
[0200]
 先ず、上記態様に係るレーザ溶接方法は、レーザ光照射ステップの実行により、複数の金属部材をレーザ溶接により接合するので、抵抗溶接などを用いる場合に比べて、溶接速度が速く、熱影響が少なく、また、金属部材に対して非接触で溶接を行うことができ、加工効率が高く、連続溶接による剛性アップを図ることが可能である。
[0201]
 次に、上記態様に係るレーザ溶接方法では、スクリュ部の形成において、レーザ光のスポットを周回させて当該部分の金属を溶融・攪拌し、該スクリュ部の金属が溶融した状態で線状部を形成する部分の金属を溶融させるので、仮に溶接前の状態で金属部材同士の間に隙間が空いていたとしても、スクリュ部を形成しようとする部分の溶融金属の一部が線状部を形成しようとする部分における金属部材間の隙間に流れ込むことになる。よって、上記態様に係るレーザ溶接方法では、溶接前の状態で金属部材間に隙間があった場合にも、線状部の溶融金属だけでなく、スクリュ部からの溶融分を加えた溶融金属により線状部における金属部材同士の間の隙間を埋めるので、えぐれや溶け落ちの発生を抑制することができる。
[0202]
 従って、上記態様に係るレーザ溶接方法では、金属部材同士の間に隙間があるような場合にあっても、高い接合強度で部材同士を接合可能である。
[0203]
 上記態様に係るレーザ溶接方法において、前記線状部は、前記スクリュ部の溶融金属の一部を、線状部における複数の金属部材同士の間の隙間に充填しながら形成される、との構成を採用することもできる。
[0204]
 上記のような構成を採用する場合には、スクリュ部の溶融金属の一部を、線状部における金属部材間の隙間に誘引して、当該線状部における隙間を埋めることができる。よって、金属部材同士の間に隙間があるような場合においても、高い接合強度を確保することができる。
[0205]
 上記態様に係るレーザ溶接方法において、前記走査ステップにおいて、前記スクリュ部の金属部材の溶融に際して、前記レーザ光のスポットを平面視略円形状に周回させる、との構成を採用することもできる。
[0206]
 上記のような構成を採用する場合には、走査ステップにおいて、スクリュ部の金属部材の溶融に際して平面視略円形状にレーザ光のスポットを周回させることで、該スクリュ部で溶融金属が良好に(淀みを抑えながら)攪拌することができる。これにより、線状部における金属部材間の隙間に対して良好な溶融金属の流れ込みを促すことが可能となる。
[0207]
 上記態様に係るレーザ溶接方法において、前記所定箇所を第1所定箇所と定義するとともに、前記スクリュ部を第1スクリュ部と定義し、前記第1所定箇所から所定距離離間した箇所を第2所定箇所と定義したときに、前記走査ステップにおいて、前記レーザ発振器に対して前記レーザ光を発振させた状態で、前記第1スクリュ部および当該第1スクリュ部に連続する第1線状部を形成した後、前記レーザ光のスポットを前記第2所定箇所の周りを周回するように走査して金属部材を溶融させて第2スクリュ部を形成し、前記第2スクリュ部における金属部材が溶融状態の間に、前記レーザ光のスポットを前記第2スクリュ部から離間するように走査して、前記第2スクリュ部に連続する平面視線状の第2線状部を形成し、前記第1線状部と前記第2線状部とを接続する、との構成を採用することもできる。
[0208]
 上記のような構成を採用する場合には、第1スクリュ部で攪拌された溶融金属を第1線状部における金属部材間の隙間に流し込み、第2スクリュ部で攪拌された溶融金属を第2線状部における金属部材間の隙間に流し込むことができる。このため、第1スクリュ部と第2スクリュ部との間の距離が長い場合においても、当該間の金属部材同士の間の隙間に十分な量の溶融金属を充填させることができ、高い接合強度を確保することができる。
[0209]
 上記態様に係るレーザ溶接方法において、前記走査ステップでは、前記線状部の形成に際して、前記レーザ光のスポットを前記線状部内で螺旋状またはジグザグ状に走査する、との構成を採用することもできる。
[0210]
 上記構成を採用する場合には、線状部を形成しようとする部分でのレーザ光のスポットを平面視螺旋状または平面視ジグザグ状に走査することにより、該線状部でのレーザ光のスポットの軌跡を長くとることができ、幅広の線状部を形成することができるとともに、線状部を長く形成することができる。
[0211]
 上記態様に係るレーザ溶接方法において、前記複数の金属部材は、それぞれが板状の部材であって、前記複数の金属部材が重ね合わされた箇所から互いに離間する方向に延びる形状をなし、前記走査ステップでは、前記複数の金属部材が離間する起点箇所に、少なくとも前記線状部の一部が位置するように、前記重ね合わされた箇所に対して前記レーザ光のスポットを走査する、との構成を採用することもできる。
[0212]
 上記構成を採用する場合には、複数の金属部材が離間する起点箇所に線状部の少なくとも一部が位置するようにレーザ溶接を行うことができるので、スクリュ部で攪拌された溶融金属の一部が上記起点箇所における金属部材間の隙間に充填することが可能となる。よって、高い接合強度を確保することができ、複数の金属部材の離間部分に荷重入力がなされた場合にも変形などが生じ難く、高い剛性を確保することができる。
[0213]
 以上のように、上記の各態様では、金属部材同士の間に隙間があるような場合にあっても、高い接合強度で部材同士を接合可能である。

請求の範囲

[請求項1]
 複数の金属部材をレーザ溶接により接合するレーザ溶接装置であって、
 レーザ光を発振するレーザ発振器と、
 前記レーザ光を溶接箇所に集光する集光部と、
 前記レーザ光のスポットを走査する走査部と、
 前記レーザ発振器および前記走査部を制御する制御部と、
を備え、
 前記制御部は、前記レーザ発振器に対して前記レーザ光を発振させた状態で、
 前記レーザ光のスポットを所定箇所の周りを周回するように走査して金属部材を溶融させた平面視ドット状のスクリュ部を形成し、
 前記スクリュ部における金属部材が溶融状態の間に、前記レーザ光のスポットを前記スクリュ部から離間するように走査して金属部材を溶融させた、前記スクリュ部に連続する平面視線状の線状部を形成する、
 レーザ溶接装置。
[請求項2]
 請求項1に記載のレーザ溶接装置において、
 前記線状部は、前記スクリュ部の溶融金属の一部を、線状部における複数の金属部材同士の間の隙間に充填しながら形成される、
 レーザ溶接装置。
[請求項3]
 請求項1または請求項2に記載のレーザ溶接装置において、
 前記制御部は、前記スクリュ部の金属部材の溶融に際して、前記レーザ光のスポットを平面視略円形状に周回させる、
 レーザ溶接装置。
[請求項4]
 請求項1から請求項3の何れかに記載のレーザ溶接装置において、
 前記所定箇所を第1所定箇所と定義するとともに、前記スクリュ部を第1スクリュ部と定義し、前記第1所定箇所から所定距離離間した箇所を第2所定箇所と定義したときに、
 前記制御部は、前記レーザ発振器に対して前記レーザ光を発振させた状態で、
 前記第1スクリュ部および当該第1スクリュ部に連続する第1線状部を形成した後、前記レーザ光のスポットを前記第2所定箇所の周りを周回するように走査して金属部材を溶融させて第2スクリュ部を形成し、
 前記第2スクリュ部における金属部材が溶融状態の間に、前記レーザ光のスポットを前記第2スクリュ部から離間するように走査して、前記第2スクリュ部に連続する平面視線状の第2線状部を形成し、
 前記第1線状部と前記第2線状部とが接続される、
 レーザ溶接装置。
[請求項5]
 請求項1から請求項4の何れかに記載のレーザ溶接装置において、
 前記制御部は、前記線状部の形成に際して、前記レーザ光のスポットを前記線状部内で螺旋状またはジグザグ状に走査する、
 レーザ溶接装置。
[請求項6]
 請求項1から請求項5の何れかに記載のレーザ溶接装置において、
 前記複数の金属部材は、それぞれが板状の部材であって、
 前記複数の金属部材が重ね合わされた箇所から互いに離間する方向に延びる形状をなし、
 前記制御部は、前記複数の金属部材が離間する起点箇所に、少なくとも前記線状部の一部が位置するように、前記重ね合わされた箇所に対して前記レーザ光のスポットを走査させる、
 レーザ溶接装置。
[請求項7]
 複数の金属部材をレーザ溶接により接合するレーザ溶接方法であって、
 レーザ光を発振し、当該発振されたレーザ光を溶接箇所に集光するレーザ光照射ステップと、
 前記レーザ光のスポットを走査する走査ステップと、
を備え、
 前記レーザ光を発振させた状態で、
 前記レーザ光のスポットを所定箇所の周りを周回するように走査して金属部材を溶融させた平面視ドット状のスクリュ部を形成し、
 前記スクリュ部における金属部材が溶融状態の間に、前記レーザ光のスポットを前記スクリュ部から離間するように走査して金属部材を溶融させた、前記スクリュ部に連続する平面視線状の線状部を形成する、
レーザ溶接方法。
[請求項8]
 請求項7に記載のレーザ溶接方法において、
 前記線状部の形成においては、前記スクリュ部の溶融金属の一部を、線状部における複数の金属部材同士の間の隙間に充填される、
 レーザ溶接方法。
[請求項9]
 請求項7または請求項8に記載のレーザ溶接方法において、
 前記走査ステップにおいて、前記スクリュ部の金属部材の溶融に際して、前記レーザ光のスポットを平面視略円形状に周回させる、
 レーザ溶接方法。
[請求項10]
 請求項7から請求項9の何れかに記載のレーザ溶接方法において、
 前記所定箇所を第1所定箇所と定義するとともに、前記スクリュ部を第1スクリュ部と定義し、前記第1所定箇所から所定距離離間した箇所を第2所定箇所と定義したときに、
 前記走査ステップにおいて、前記レーザ発振器に対して前記レーザ光を発振させた状態で、
 前記第1スクリュ部および当該第1スクリュ部に連続する第1線状部を形成した後、前記レーザ光のスポットを前記第2所定箇所の周りを周回するように走査して金属部材を溶融させて第2スクリュ部を形成し、
 前記第2スクリュ部における金属部材が溶融状態の間に、前記レーザ光のスポットを前記第2スクリュ部から離間するように走査して、前記第2スクリュ部に連続する平面視線状の第2線状部を形成し、
 前記第1線状部と前記第2線状部とを接続する、
 レーザ溶接方法。
[請求項11]
 請求項7から請求項10の何れかに記載のレーザ溶接方法において、
 前記走査ステップでは、前記線状部の形成に際して、前記レーザ光のスポットを前記線状部内で螺旋状またはジグザグ状に走査する、
 レーザ溶接方法。
[請求項12]
 請求項7から請求項11の何れかに記載のレーザ溶接方法において、
 前記複数の金属部材は、それぞれが板状の部材であって、
 前記複数の金属部材が重ね合わされた箇所から互いに離間する方向に延びる形状をなし、
 前記走査ステップでは、前記複数の金属部材が離間する起点箇所に、少なくとも前記線状部の一部が位置するように、前記重ね合わされた箇所に対して前記レーザ光のスポットを走査する、
 レーザ溶接方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 5C]

[ 図 5D]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 6C]

[ 図 6D]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 7C]

[ 図 8A]

[ 図 8B]

[ 図 9A]

[ 図 9B]

[ 図 10A]

[ 図 10B]

[ 図 11]

[ 図 12A]

[ 図 12B]

[ 図 13A]

[ 図 13B]

[ 図 13C]

[ 図 13D]

[ 図 14A]

[ 図 14B]

[ 図 14C]

[ 図 15A]

[ 図 15B]

[ 図 15C]

[ 図 15D]

[ 図 15E]

[ 図 15F]

[ 図 16A]

[ 図 16B]

[ 図 16C]

[ 図 16D]

[ 図 17A]

[ 図 17B]

[ 図 17C]

[ 図 17D]

[ 図 18A]

[ 図 18B]

[ 図 19]

[ 図 20]