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1. WO2020195385 - マイクロミラーデバイスおよびマイクロミラーデバイスの駆動方法

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明 細 書

発明の名称 マイクロミラーデバイスおよびマイクロミラーデバイスの駆動方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131  

実施例

0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28  

明 細 書

発明の名称 : マイクロミラーデバイスおよびマイクロミラーデバイスの駆動方法

技術分野

[0001]
 本開示は、マイクロミラーデバイスおよびマイクロミラーデバイスの駆動方法に関する。

背景技術

[0002]
 シリコン(Si)の微細加工技術を用いて作製される微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems:MEMS)デバイスの1つとしてマイクロミラーデバイス(マイクロスキャナともいう。)が知られている。このマイクロミラーデバイスは小型かつ低消費電力であることから、レーザーを使ったヘッドアップディスプレイ、網膜ディスプレイなどへの応用が期待されている。
[0003]
 画像表示のための光スキャン方式としては、これまで一般的であったラスタスキャン方式に対し、水平軸および垂直軸の両軸ともに正弦的な駆動を行い、リサージュ波形を描くことによって画面を網羅するリサージュスキャン方式が注目されている。リサージュスキャン方式は、レーザードライバのアルゴリズムは複雑であるが、ミラーを小型化でき、かつ駆動消費電力を抑えながら広い画角を実現することができる。
[0004]
 マイクロミラーの駆動方式は様々であるが、圧電体の変形を利用した圧電駆動方式は、他の方式に比べて発生するトルクが高く、高スキャン角が得られるとして有望視されている。
[0005]
 特許第6092713号公報および国際公開第2016/052547号には、ミラー部がトーションバーを介して1対の半環状圧電アクチュエータと接続され、トーションバーを軸としてミラー部を回転振動可能とした圧電方式のミラーデバイスが開示されている。特許第6092713号公報および国際公開第2016/052547号では、ミラー部を振動させる際に半環状圧電アクチュエータに発生する応力分布に対応して圧電膜を分割配置し、分割配置されたそれぞれの圧電膜にそれぞれ適切な極性の駆動信号を与えることで、効率的にミラーを駆動する方法が開示されている。
[0006]
 しかしながら、特許第6092713号公報および国際公開第2016/052547号に開示されているミラーデバイスは、1軸方向にしかスキャンできないため、1チップでは画像を表示することができない。特許第6092713号公報および国際公開第2016/052547号に開示されているミラーデバイスを用いて2軸スキャン(2次元スキャン)を実現するには他の1軸方向への変位を実現するための別のデバイスと組み合わせる必要となり、システムが大型化してしまうという問題がある。
[0007]
 他方、特許第5151065号公報、特許第4984117号公報および特開2018-041085号公報には、マイクロミラーデバイスとして2次元スキャンが可能な圧電駆動方式の光スキャナが提案されている。
[0008]
 特許第5151065号公報には、ミラー部が第1軸に沿った第1の接続部を介して可動枠に接続されており、可動枠が可動枠を囲む固定枠に圧電アクチュエータを介して接続された構成の光スキャナが開示されている。可動枠と圧電アクチュエータは第1軸に直交する第2軸に沿った第2の接続部で接続されており、さらに圧電アクチュエータは第1軸に沿った第3の接続部で固定枠に接続されている。ミラー部を挟んで軸上に配置される2つの第3の接続部の各々に1対の可動部が接続され、計4つの可動部により、ミラー部を可動枠ごと2軸周りに振動させることで、光の2次元スキャン動作を実現している。
[0009]
 特許第4984117号公報には、ミラー部と、ミラー部を囲むように配置され、第1軸に沿って延びる第1トーションバーを介してミラー部と接続された第1のアクチュエータ部と、第1のアクチュエータ部の外側に配置され、第1トーションバーの軸上で第1アクチュエータに接続された内部可動枠と、内部可動枠を囲むように配置され、第2トーションバーを介して内部可動枠と接続された第2アクチュエータ部とを備えた光スキャナが開示されている。第1アクチュエータがミラー部に第1軸周りのトルクを与え、第2アクチュエータがミラー部に第2軸周りのトルクを与えることで、光の2次元スキャン動作を実現している。
[0010]
 特開2018-41085号公報では、ミラー部が第1のトーションバーを介してミラー部を囲む第1のフレーム装置(可動枠)と接続されており、第1のフレーム装置が第2のトーションバーで第1のフレーム装置を囲むアクチュエータ構造体に接続されている。さらにアクチュエータ構造体が第3のトーションバーでアクチュエータ構造体を囲む第2のフレーム装置に接続された構成が開示されている。アクチュエータ構造体には第1軸および第2軸に対称な4つの可動部が備えられており、この4つの可動部によりミラー部が2つの軸中心に回動されて光の2次元スキャン動作を実現している。

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0011]
 特許第5151065号公報、特許第4984117号公報および特開2018-041085号公報によれば、1チップで2次元スキャンが可能である。特許第5151065号公報、特許第4984117号公報および特開2018-041085号公報の光スキャナはいずれもミラー部と接続された可動枠を備えている。この可動枠を備えることにより、その内側の振動エネルギーを外側に漏らさないようにする、もしくは、外側の振動エネルギーを内側に漏らさないようにする、振動絶縁の効果が得られる。すなわち、可動枠を備えることによって、スキャン時の2つの軸間のクロストークを低減できるというメリットがある。しかしながら、可動枠自体は駆動力を発生できないため、エネルギー効率が悪いという問題がある。その結果、圧電アクチュエータを用いた場合の低消費電力というメリットを十分に享受できていない。
[0012]
 高精細な画像を表示する実用的なシステムを実現するためには、1チップで2次元スキャンが可能であることに加え、両スキャン軸ともに高い駆動周波数と広いスキャン角度を両立する必要がある。そのためには、より効率的に動力をミラーに伝えるアクチュエータ構造が必須となる。既述の通り、特許第5151065号公報、特許第4984117号公報および特開2018-041085号公報の構成では、効率化が十分ではなかった。
[0013]
 本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであって、2次元スキャンが可能であり、かつ駆動効率のよいマイクロミラーデバイスおよびマイクロミラーデバイスの駆動方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0014]
 上記の課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1>
 入射光を反射する反射面を有するミラー部と、
 ミラー部の外側に設けられた第1アクチュエータと、
 第1アクチュエータの外側に設けられた第2アクチュエータと、
 ミラー部と第1アクチュエータとを接続し、ミラー部を第1軸上で回動可能に支持する第1接続部と、
 第1アクチュエータと第2アクチュエータとを接続し、第1アクチュエータを第1軸と交差する第2軸上で回動可能に支持する第2接続部と、
 第2アクチュエータの外周に設けられた固定部に第2アクチュエータを回動可能に接続する第3接続部とを備え、
 第1アクチュエータおよび第2アクチュエータが、ミラー部に第1軸周りの回転トルクを作用させ、かつ、ミラー部および第1アクチュエータに第2軸周りの回転トルクを作用させることにより、ミラー部を第1軸および第2軸周りに2次元回転駆動するマイクロミラーデバイスであり、
 第1アクチュエータおよび第2アクチュエータの各々が、振動板上に下部電極、圧電膜および上部電極が積層された圧電素子を備えた圧電アクチュエータであり、
 各々の圧電素子は、各々の上部電極が、ミラー部に第1軸の周りに傾き変位を生じさせる第1共振モードで駆動させた場合の最大変位状態において、圧電膜の面内方向に生じる主応力のうち、絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する第1応力反転領域、およびミラー部に第2軸周りに傾き変位を生じさせる第2共振モードで駆動させた場合に圧電膜の面内方向に生じる主応力にうち、絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する第2応力反転領域で分離された複数の個別電極部からなり、複数の個別電極部の各々により規定される複数の圧電部を含むマイクロミラーデバイス。
<2>
 第3接続部が、第2軸上で第2アクチュエータの外周に接続された<1>に記載のマイクロミラーデバイス。
<3>
 第1アクチュエータが、半環状の一対の第1可動部を含み、
 第2アクチュエータが、半環状の一対の第2可動部を含み、
 第1接続部が、ミラー部と一対の第1可動部各々の一端、およびミラー部と一対の第1可動部各々の他端の各々を第1軸上で接続し、
 第2接続部が、一対の第1可動部の一方と一対の第2可動部各々の一端、および一対の第1可動部の他方と一対の第2可動部各々の他端の各々を第2軸上で接続する<1>または<2>に記載のマイクロミラーデバイス。
<4>
 第1アクチュエータが、半環状の一対の第1可動部を含み、
 第1接続部が、ミラー部と一対の第1可動部各々の一端、およびミラー部と一対の第1可動部各々の他端の各々を第1軸上で接続し、
 第2アクチュエータが、板状の一対の第2可動部と、板状の一対の第3可動部とを含み、
 第2接続部が、一対の第1可動部の一方と一対の第2可動部各々の一端、および一対の第1可動部の他方と第3可動部各々の一端の各々を第2軸上で接続する<1>または<2>に記載のマイクロミラーデバイス。
<5>
 第1アクチュエータおよび第2アクチュエータの圧電素子に駆動信号を入力するための駆動回路を備えた<1>から<4>のいずれかに記載のマイクロミラーデバイス。
<6>
 駆動回路は、ミラー部を第1軸周りに傾き振動する第1共振モードで駆動し、かつ、ミラー部および第1アクチュエータを第2軸周りに傾き振動する第2共振モードで駆動する駆動信号を第1アクチュエータおよび第2アクチュエータ各々の圧電素子に入力する<5>に記載のマイクロミラーデバイス。
<7>
 駆動回路は、各々の圧電素子の複数の圧電部の各々に対して、第1共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形と、絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形とが互いに逆位相の関係にある第1駆動信号と、第2共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形と、絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形とが、互いに逆位相の関係にある第2駆動信号とを重畳した駆動信号を入力する<6>に記載のマイクロミラーデバイス。
<8>
 駆動回路は、駆動信号として、複数の圧電部の各々に対して、各々の配置に応じて、下記式(1)で表される駆動信号Vxyを印加する、
Vxy=α sin(2πf t+β π)+α sin(2πf t+β π) (1)
ここで、xyは複数の圧電部の各々を特定する符号であり、V 、V 、α 、α 、β 、β 、f 、f 、tは、各々の圧電部毎で設定される値であって、
:第1駆動信号の基本電圧振幅値
:第2駆動信号の基本電圧振幅値
α :第1駆動信号用の電圧振幅補正係数
α :第2駆動信号用の電圧振幅補正係数
β :第1駆動信号用の位相補正係数
β :第2駆動信号用の位相補正係数
:第1駆動信号の周波数
:第2駆動信号の周波数
t :時間
である、<6>または<7>に記載のマイクロミラーデバイス。
<9>
 駆動回路は、第1共振モードで駆動した際の絶対値が最大の主応力成分の絶対値が大きい領域に位置する圧電部ほど補正係数α の値を大きくし、第2共振モードで駆動した際の絶対値が最大の主応力成分の絶対値が大きい領域に位置する圧電部ほど補正係数α の値を大きくした駆動信号Vxyを印加する<8>に記載のマイクロミラーデバイス。
<10>
 第1共振モードが、ミラー部と第1アクチュエータとが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードである<6>から<9>のいずれかに記載のマイクロミラーデバイス。
<11>
 第2共振モードが、ミラー部および第1アクチュエータと第2アクチュエータとが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードである<6>から<10>のいずれかに記載のマイクロミラーデバイス。
<12>
 <1>から<6>のいずれかに記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法であって、
 第1アクチュエータおよび第2アクチュエータの各々の圧電素子に駆動信号を印加して、ミラー部を第1軸周りに傾き振動する第1共振モードを励起し、かつ、ミラー部および第1アクチュエータを第2軸周りに傾き振動する第2共振モードを励起するマイクロミラーデバイスの駆動方法。
<13>
 各々の圧電素子の複数の圧電部の各々に対して、駆動信号として、第1共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形と、絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形とが、互いに逆位相の関係にある第1駆動信号と、第2共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形と、絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形とが、互いに逆位相の関係にある第2駆動信号とを重畳した駆動信号を印加する<12>に記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。
<14>
 駆動信号として、複数の圧電部の各々に対して、各々の配置に応じて、下記式(1)で表される駆動信号Vxyを印加する、
Vxy=α sin(2πf t+β π)+α sin(2πf t+β π) (1)
ここで、xyは複数の圧電部の各々を特定する符号であり、V 、V 、α 、α 、β 、β 、f 、f 、tは、各々の圧電部毎で設定される値であって、
:第1駆動信号の基本電圧振幅値
:第2駆動信号の基本電圧振幅値
α :第1駆動信号用の電圧振幅補正係数
α :第2駆動信号用の電圧振幅補正係数
β :第1駆動信号用の位相補正係数
β :第2駆動信号用の位相補正係数
:第1駆動信号の周波数
:第2駆動信号の周波数
t :時間
である、<12>または<13>に記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。
<15>
 駆動信号Vxyにおいて、第1共振モードで駆動した際の絶対値が最大の主応力成分の絶対値が大きい領域に位置する圧電部ほど補正係数α の値を大きくし、第2共振モードで駆動した際の絶対値が最大の主応力成分の絶対値が大きい領域に位置する圧電部ほど補正係数α の値を大きくする<14>に記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。
<16>
 第1共振モードとして、ミラー部と第1アクチュエータとが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードを励起させる<12>から<15>のいずれかに記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。
<17>
 第2共振モードとして、第1アクチュエータおよびミラー部と第2アクチュエータとが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードを励起させる<12>から<16>のいずれかに記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。

発明の効果

[0015]
 本開示によれば、2次元スキャンが可能であり、かつ駆動効率のよいマイクロミラーデバイスおよびマイクロミラーデバイスの駆動方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 第1実施形態のマイクロミラーデバイスの斜視図である。
[図2] 第1実施形態のマイクロミラーデバイスをミラー部の反射面側から見た平面図であり、圧電膜の形成領域を示す図である。
[図3] 第1実施形態のマイクロミラーデバイスをミラー部の反射面側から見た平面図であり、上部電極の個別電極部配置を示す図である。
[図4] 図3のA-B線端面図である。
[図5] 第1実施形態のマイクロミラーデバイスにおける、第1軸周りのミラー部傾き振動を伴う第1共振モード時の形状変位を模式的に示した図である。
[図6] 図5に示す第1共振モード時の形状変位によって第1アクチュエータおよび第2アクチュエータに生じる面内応力分布を示す図である。
[図7] 第1実施形態のマイクロミラーデバイスにおける、第2軸周りのミラー部傾き振動を伴う第2共振モード時の形状変位を模式的に示した図である。
[図8] 図7に示す第2共振モード時の形状変位によって第1アクチュエータおよび第2アクチュエータに生じる面内応力分布を示す図である。
[図9] 第1軸周りの駆動時の電圧印加について説明するための図である。
[図10] 第1軸周りの駆動時の印加駆動信号(電圧波形)を示す図である。
[図11] 第2軸周りの駆動時の電圧印加について説明するための図である。
[図12] 第2軸周りの駆動時の印加駆動信号(電圧波形)を示す図である。
[図13] 第2実施形態のマイクロミラーデバイスをミラー部の反射面側から見た平面図であり、圧電膜の形成領域を示す図である。
[図14] 第2実施形態のマイクロミラーデバイスをミラー部の反射面側から見た平面図であり、上部電極の個別電極部配置を示す図である。
[図15] 第2実施形態のマイクロミラーデバイスにおける、第1軸周りのミラー部傾き振動を伴う第1共振モード時の形状変位を模式的に示した図である。
[図16] 図15に示す第1共振モード時の形状変位によって第1アクチュエータおよび第2アクチュエータに生じる面内応力分布を示す図である。
[図17] 第2実施形態のマイクロミラーデバイスにおける、第2軸周りのミラー部傾き振動を伴う第2共振モード時の形状変位を模式的に示した図である。
[図18] 図17に示す第2共振モード時の形状変位によって第1アクチュエータおよび第2アクチュエータに生じる面内応力分布を示す図である。
[図19] 第1軸周りの駆動時の駆動方法について説明するための図である。
[図20] 第2軸周りの駆動時の駆動方法について説明するための図である。
[図21] マイクロミラーデバイスの設計変更例を示す図である。
[図22] 実施例1のマイクロミラーデバイスの各部位の寸法を規定する図である。
[図23] 参考例1のマイクロミラーデバイスの上部電極における個別電極部の配置を示す図である。
[図24] 参考例1のマイクロミラーデバイスの第1軸周りの駆動時の駆動方法について説明するための図である。
[図25] 参考例1のマイクロミラーデバイスの第2軸周りの駆動時の駆動方法について説明するための図である。
[図26] 参考例2のマイクロミラーデバイスの上部電極における個別電極部の配置を示す図である。
[図27] 参考例2のマイクロミラーデバイスの第1軸周りの駆動時の駆動方法について説明するための図である。
[図28] 参考例2のマイクロミラーデバイスの第2軸周りの駆動時の駆動方法について説明するための図である。

発明を実施するための形態

[0017]
 以下、図面を参照して本開示の具体的な実施の態様について説明する。
[0018]
 [第1実施形態]
 図1は第1実施形態に係るマイクロミラーデバイスの斜視図である。図2および図3はミラー部の反射面側から見た平面図であり、図2は圧電膜形成領域を示し、図3は上部電極形成領域を示す図である。また、図4は、図3のA-B線端面図である。図1~図3に示すように、本実施形態のマイクロミラーデバイス1は、ミラー部12と、ミラー部12の外側に設けられた第1アクチュエータ14と、第1アクチュエータ14の外側に設けられた第2アクチュエータ16と、固定部20と、第1接続部21と、第2接続部22と、第3接続部23とを備えている。マイクロミラーデバイスのサイズとしては、例えば、長さおよび幅寸法が1mm~10mm程度が一般的であるが、これよりも小さい構造でも大きい構造でもよく、特に制限されるものではない。また、可動部の厚みについても、5μm~0.2mm程度が一般的であるが、作製できる範囲であればよく、特に制限されるものではない。
[0019]
 ミラー部12は、入射光を反射する反射面12aを有する。反射面12aは、ミラー部12の一面に設けられた、例えば、Au(金)およびAl(アルミニウム)等の金属薄膜から構成される。反射面12aを形成するためのミラーコーティングに用いる材料および膜厚は特に限定されず、公知のミラー材料すなわち高反射率材料を用いて様々な設計が可能である。
[0020]
 図1および図2においては、略円形の反射面12aを有し、反射面12aと相似形の平面視形状のミラー部12を例示しているが、ミラー部12の平面視形状と、反射面12aの形状は一致していてもよいし、異なっていてもよい。ミラー部12および反射面12aの形状は、特に限定されない。例示した円形に限らず、楕円形、正方形、長方形および多角形など、様々な形状があり得る。
[0021]
 第1接続部21は、ミラー部12と第1アクチュエータ14とを接続し、ミラー部12を第1軸a1周りで回動可能に支持する。第1接続部21は、ミラー部12を挟んで対称にミラー部12の外周から第1軸a1に沿って外側に延設された1対の棒状部材である。第1接続部21を構成する1対の棒状部材のそれぞれの一端がミラー部12の外周に接続され、それぞれの他端が第1アクチュエータ14に接続されている。
[0022]
 第2接続部22は、第1アクチュエータ14と第2アクチュエータ16とを、第1軸a1と交差する第2軸a2上で接続し、第1アクチュエータ14を第2軸a2周りで回動可能に支持する。第2接続部22は、第1アクチュエータ14を挟んで対称に、第1アクチュエータ14の外周から第2軸a2に沿って外側に延設された1対の棒状部材である。第2接続部22を構成する1対の棒状部材のそれぞれの一端が第1アクチュエータ14の外周に接続され、それぞれの他端が第2アクチュエータ16に接続されている。
[0023]
 第3接続部23は、第2アクチュエータ16と固定部20とを接続し、第2アクチュエータ16を回動可能に支持する。第3接続部23は、第2アクチュエータ16を挟んで対称に、第2アクチュエータ16の外周から第2軸a2に沿って外側に延設された1対の棒状部材である。第3接続部23を構成する1対の棒状部材のそれぞれの一端が第2アクチュエータの外周に接続され、それぞれの他端が固定部20に接続されている。
[0024]
 上記構成により、第3接続部23と第2接続部22は同一の軸上に設けられている。ここで、第1軸a1と第2軸a2とはミラー部12の略中心で交わっている。
[0025]
 なお、第3接続部は第1軸a1に沿って設けられて、第2アクチュエータ16と固定部20とを第1軸上で接続する態様であってもよい。但し、第2接続部22と第3接続部23とが同じ第2軸a2上に設けられていることにより、共振時の非線形性を抑制できるため、より好ましい。この場合、共振時の非線形性を抑制できるので、光2次元走査の制御が容易になると共に、スキャンの画角(すなわち、スキャン角度)を十分に大きくすることが可能となる。スキャン角度としては、例えば、水平軸40°以上、垂直軸30°以上が望まれる。
[0026]
 固定部20は、第3接続部23を介して第2アクチュエータ16を支持する。第2アクチュータ16は第2接続部22を介して第1アクチュエータ14を支持しており、さらに第1アクチュエータ14は第1接続部21を介してミラー部12を支持しているので、固定部20は、第2アクチュエータ16を介して第1アクチュエータ14およびミラー部12を間接的に支持する部材として機能する。また、固定部20には、図示しない配線および電子回路などが備えられる。
[0027]
 固定部20は、本例においては、第2アクチュエータ16を囲む枠部材である。固定部20は、第3接続部23を介して第2アクチュエータ16を支持可能な構成であれば、枠部材に限らず、第3接続部23のうちの一方と接続する第1の固定部と他方と接続する第2の固定部の2つの部材から構成されていてもよい。
[0028]
 詳細は後述するが、第1アクチュエータ14は、ミラー部12の外側に配置され、ミラー部12に第1軸周りの回転トルクを生じさせることが可能であれば、その形状は問わない。本実施形態において、第1アクチュエータ14はミラー部12を囲んで配置された環状の部材である。
[0029]
 同様に、第2アクチュエータ16は、第1アクチュエータ14に外周に配置され、ミラー部12および第1アクチュエータ14に第2軸周りの回転トルクを生じさせることが可能であれば、その形状は問わない。本実施形態においては、第2アクチュエータ16は第1アクチュエータ14を囲んで配置された環状の部材である。
[0030]
 ここで、外側とは、相対的な意味で用いられており、デバイス内の任意の位置からみてミラー部の中心から離れる側を外側と定義し、同様に、任意の位置からみてミラー部の中心に向かう側を内側と定義する。
 また、環状とは、内側の領域を途切れなく囲む形状であればよく、内周および外周の形状は円形でなくてもよく、矩形状あるいは多角形状など、どのような形状であってもよい。本例では、第1および第2アクチュエータは環状としているが、アクチュエータの形状は環状に限るものではない。
[0031]
 第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16は、それぞれ圧電素子を備えた圧電アクチュエータである。
 第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16は、ミラー部12に第1軸a1周りの回転トルクを作用させ、かつ、ミラー部12および第1アクチュエータ14に第2軸a2周りの回転トルクを作用させる。これにより、ミラー部12を第1軸a1および第2軸a2周りに2次元回転駆動する。ミラー部12に第1軸a1周りの回転トルクを作用させる駆動力は、第1アクチュエータ14のみで生じさせることも可能であるが、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16の両者によって生じさせてもよい。また、ミラー部12および第1アクチュエータ14に第2軸a2周りの回転トルクを作用させる駆動力は、第2アクチュエータ16のみで生じさせてもよいし、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16の両者によって生じさせてもよい。
[0032]
 本マイクロミラーデバイス1は、ミラー部12を2次元回転駆動させることにより、ミラー部12の反射面12aへの入射光を反射させて2次元走査(2次元スキャン)させることができる。
[0033]
 以下において、説明の便宜上、ミラー部12の静止時における反射面12aの法線方向をz軸方向とし、第1軸a1と平行な方向をy軸方向、第2軸a2と平行な方向をx軸方向とする。
[0034]
 第1アクチュエータ14は、x-y面内においてミラー部12を囲む環状の薄板部材である。本例において、第1アクチュエータ14は、半環状の一対の第1可動部14A、14Bを含んでいる。また、図2に示すように、第1接続部21はミラー部12と一対の第1可動部14A、14B各々の一端14Aa、14Ba、およびミラー部12と一対の第1可動部14A、14B各々の他端14Ab、14Bbの各々を第1軸a1上で接続している。すなわち、一対の第1可動部14A、14Bは第1軸a1上で接続されて全体として環状をなすように配置されている。
[0035]
 第2アクチュエータ16は、x-y面内において第1アクチュエータ14を囲む環状の薄板部材である。本例において、第2アクチュエータ16は、半環状の一対の第2可動部16A、16Bを含んでいる。また、図2に示すように、第2接続部22は、一対の第1可動部14A、14Bの一方(ここでは、第1可動部14A)と一対の第2可動部16A、16B各々の一端16Aa、16Ba、および一対の第1可動部14A、14Bの他方(ここでは、第1可動部14B)と一対の第2可動部16A、16B各々の他端16Ab、16Bbの各々を第2軸a2上で接続している。すなわち、一対の第2可動部16A、16Bは、第2軸a2上で接続されて全体として環状をなすように配置されている。
[0036]
 本例のマイクロミラーデバイス1において、ミラー部12、第1アクチュエータ14、第2アクチュエータ16、固定部20および第1~第3接続部21~23は、第1軸a1および第2軸a2に線対称の構造で配置されている。かかる対称構造によって、中央のミラー部12に対して効率良く回転トルクを作用させることができる。
[0037]
 マイクロミラーデバイス1は、例えば、シリコン基板から半導体製造技術を利用して加工することにより、ミラー部12、第1アクチュエータ14、第2アクチュエータ16、固定部20および第1~第3の接続部21~23等の要素が一体的に構成された構造物として作製することができる。
[0038]
 なお、ミラー部12、第1アクチュエータ14、第2アクチュエータ16および第1~第3の接続部21~23の厚さは、固定部20の厚さ(z方向の厚さ)と比較して薄く形成されている。これにより、第1アクチュエータ14、第2アクチュエータ16、第1~第3の接続部21~23が変形(例えば、曲げ変形および捻れ変形など)し易い構造となっている。
[0039]
 第1アクチュエータ14において、一対の第1可動部14A、14Bには、それぞれ圧電素子34A、34Bが備えられている。また、第2アクチュエータ16において、一対の第2可動部16A、16Bには、それぞれ圧電素子36A、36Bが備えられている。第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16においては、圧電素子34A、34B、36A、36Bへの所定の電圧印加による圧電膜の変形によって可動部が屈曲変位して駆動力を生じる。
[0040]
 マイクロミラーデバイス1は、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16により、ミラー部12が、第1軸a1周りに傾き振動する第1共振モードで駆動され、かつ、ミラー部12および第1アクチュエータ14が、第2軸a2周りに傾き振動する第2位共振モードで駆動される。マイクロミラーデバイス1は、第1共振モードによる駆動と、第2共振モードによる駆動とを組み合わせることで、ミラー部12を第1軸および第2軸周りに傾き振動させて光の2次元スキャンを行うことができる。
[0041]
 圧電素子34A、34B、36A、36Bは、可動部基材である振動板30上に、下部電極31、圧電膜32および上部電極33が順に積層された積層構造を有する(図4参照。)。図2において、濃色ハッチング部は圧電膜32を示す。すなわち、図2は、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16における圧電膜32の形成領域を示している。また、図3において、濃色ハッチング部は圧電膜32、淡色ハッチング部は上部電極33を示している。すなわち、図3は、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16における上部電極33の形成領域を示している。ここで、上部電極および下部電極の「上部」および「下部」は、天地を意味するものではなく、圧電膜を挟む一対の電極のうち、振動板側に設けられている電極を下部電極、圧電膜を挟んで下部電極と対向して配置される電極を上部電極と称しているに過ぎない。
[0042]
 なお、本実施形態においては、圧電素子34A、34B、36A、36Bは、各可動部14A、14B、16A、16Bの表面のほぼ全域に亘って備えられているが、各可動部において、一部にのみ備えられていてもよい。
[0043]
 第1アクチュエータ14の第1可動部14Aにおける圧電素子34Aの上部電極33は、6個の個別電極部i7、i8、i9、i10、i11、i12からなる。各個別電極部i7~i12は互いに分離して形成されている。同様に、第1アクチュエータ14の可動部14Bにおける圧電素子34Bの上部電極33は、6個の個別電極部i1、i2、i3、i4、i5、i6からなる。各個別電極部i1~i6は互いに分離して形成されている。
[0044]
 第2アクチュエータ16の可動部16Aにおける圧電素子36Aの上部電極33は、4個の個別電極部o1、o2、o7、o8からなる。各個別電極部o1、o2、o7、o8は互いに分離して形成されている。同様に、第2アクチュエータ16の可動部16Bにおける圧電素子36Bの上部電極33は、4個の個別電極部o3、o4、o5、o6からなる。各上部個別電極部o3~o6は互いに分離して形成されている。
[0045]
 個別電極部i1~i12、o1~o8は、ミラー部12に第1軸a1の周りに傾き振動を生じさせる第1共振モードで駆動させた場合に圧電膜の面内方向に生じる絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する第1応力反転領域s1、およびミラー部に第2軸周りに傾き変位を生じさせる第2共振モードで駆動させた場合に圧電膜の面内方向に生じる絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する第2応力反転領域s2で分離されている。上部電極が複数の個別電極部に分離して形成されることによって、各々の個別電極部で規定される圧電部毎に、独立して電圧の制御が可能となっている。個別電極部と、対向する下部電極と、個別電極部と下部電極との間に挟まれた圧電膜により圧電部が構成される。各個別電極部i1~i12、o1~o8および下部電極31は各々図示しない電極パッドおよび配線を介して駆動回路に接続される。各主応力および応力反転領域については後述する。
[0046]
 なお、本実施形態においては、圧電膜32および下部電極31は、複数の圧電部に共通の膜として形成されているが、圧電膜32、あるいは圧電膜32と下部電極31も、上部電極33の個別電極部毎に分離されていてもよい。
[0047]
 本開示のマイクロミラーデバイスは、質量増加につながる可動枠、すなわち圧電膜を備えず駆動に寄与しない枠を持たない構造であるため、第2軸の回転における慣性モーメントを小さくすることができ、共振周波数を高くできる。例えば、水平軸40kHz以上、垂直軸10kHz以上の駆動周波数を実現することができる。したがって、第1軸および第2軸ともに高速な駆動が可能である。すなわち、水平軸および垂直軸の両軸共に正弦的な駆動を行うリサージュスキャンに好適である。また、第1および第2アクチュエータが共に圧電素子を備えた圧電アクチュエータであり、外付けの駆動機構を要しないので、素子体積を小さく抑えることができる。圧電素子を備えず駆動に寄与しない可動枠を備えていないので、駆動効率が高く、消費電力を抑制することができる。
[0048]
 図5は、第1共振モードでミラー部12が第1軸a1周りに傾き振動する様子を模式的に示す図であり、ミラー部12が第1軸a1を中心として、x軸方向の一端x1が+z方向に、x軸方向の他端x2が-z方向に傾き変位した状態を示している。図5において、色の濃淡は変位量を示している。
[0049]
 第1共振モードでミラー部12が第1軸a1周りに傾き振動して図5のように傾き変位した状態にある時、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16は撓み変形する。そして、図6に示すように、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16の圧電膜には引張方向の応力(以下において、引張応力という。)σtがかかる引張応力領域t1と、圧縮方向の応力(以下において、圧縮応力という。)σcがかかる圧縮応力領域c1とが生じる。図6においては、引張応力がかかる部分を薄い灰色、圧縮応力がかかる部分を黒色で示している。なお、色密度が高い領域ほど応力が大きいことを示す。なお、圧電膜の各位置に生じる応力は振動に応じて時間変化する。図6は第1共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に圧電膜に生じる面内応力の状態を示している。
[0050]
 各部分が「圧縮応力」であるか「引張応力」であるかは、互いに直交する三つの主応力ベクトルの中から圧電膜の膜厚方向に略直交する平面内の二つの主応力を選び出し、そのうち絶対値が大きい方の方向(すなわち、絶対値が最大の主応力成分の方向)で定められる。膜厚方向をz軸に取った場合において、膜厚方向の略直交する平面内の二つの主応力とは、x-y平面内に生じる応力である。応力方向の表記方法としては、外に向かう方向のベクトルを引張方向、内に向かう方向のベクトルを圧縮方向と定義する。
[0051]
 このように定義する理由は、概して圧電MEMSデバイスではアクチュエータ部の寸法が平面的であり、膜厚方向の応力がほぼ0とみなせるためである。「寸法が平面的」とは、平面方向の寸法に比べて高さが十分小さいことを意味する。上述した「x-y平面」の面方向が「圧電膜の膜厚方向に直交する面内方向」に相当する。応力は、部材が引っ張られる方向に力が加わる引張応力σtが正、圧縮させる方向に力が加わる圧縮応力σcが負として定義される。すなわち、絶対値が最大の主応力成分が正の領域とは引張応力が主である領域を意味し、絶対値が最大の主応力成分が負の領域とは圧縮応力が主である領域を意味する。また、「絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する応力反転領域」とは、引張応力領域と圧縮応力領域との境界を含む領域であって、引張応力から圧縮応力、もしくは圧縮応力から引張応力に変化する領域を意味する。
[0052]
 図6に示すように、第1アクチュエータ14の一方の可動部14Aの一端14Aaを含む領域および他端14Abを含む領域がそれぞれ引張応力領域t1であり、2つの引張応力領域t1の間の第2軸a2と交差する中央領域は圧縮応力領域c1である。第1アクチュエータ14の他方の可動部14Bの一端14Baを含む領域および他端14Bbを含む領域がそれぞれ圧縮応力領域c1であり、2つの圧縮応力領域c1の間の第2軸a2と交差する中央領域は引張応力領域t1である。第1共振モードでは、第1アクチュエータ14における応力分布は第2軸a2を中心に線対称となっている。
[0053]
 また、第2アクチュエータ16の一方の可動部16Aおよび他方の可動部16Bにおいては、第1軸a1を挟んで紙面右側が引張応力領域t1であり、紙面左側が圧縮応力領域c1である。第1共振モードでは、第2アクチュエータ16における応力分布は第2軸a2を中心に線対称となっている。
[0054]
 圧縮応力領域c1と引張応力領域t1との境界には応力の方向が徐々に変化していく、すなわち、絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する領域である第1の応力反転領域が存在する。図6に示す応力反転線r1は、第1の応力反転領域の中心に位置する。
[0055]
 図7は、第2共振モードでミラー部12および第1アクチュエータ14が第2軸a2周りに傾き振動する様子を模式的に示す図であり、ミラー部12および第1アクチュエータ14が第2軸a2を中心として、第1アクチュエータ14のy軸方向の一端y1が+z方向に、y軸方向の他端y2が-z方向に傾き変位した状態を示している。図5と同様に図7において、色の濃淡は変位量を示している。
[0056]
 第2共振モードでミラー部12および第1アクチュエータ14が第2軸a2周りに傾き振動して図7の傾き変位した状態にある時、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16は撓み変形する。そして、図8に示すように、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16の圧電膜には引張応力がかかる引張応力領域t2と圧縮応力がかかる圧縮応力領域c2とが生じる。図8においては、図6と同様に、引張応力が生じる部分を薄い灰色、圧縮応力が生じる部分を黒色で示している。なお、色密度が高い領域ほど応力が大きいことを示す。なお、圧電膜の各位置に生じる応力は振動に応じて時間変化する。図8は第2共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に圧電膜に生じる面内応力の状態を示している。
[0057]
 図8に示すように、第1アクチュエータ14の一方の可動部14Aおよび他方の可動部14Bの隣接する各々の一端14Aaおよび14Baを含む領域が引張応力領域t2、他端14Abおよび14Bbを含む領域が圧縮応力領域c2である。また、一方の可動部14Aおよび他方の可動部14Bの各々端部間の部分が第2軸a2を境に紙面上側が圧縮応力領域c2、紙面下側が引張応力領域t2である。第2共振モードでは、第1アクチュエータ14における応力分布は第1軸a1を中心に線対称となっている。
[0058]
 また、第2アクチュエータ16の一方の可動部16Aの一端16Aaを含むy方向に延びる領域および他端16Abを含むy方向に延びる領域が引張応力領域t2であり、2つの引張応力領域t2の間の第1軸a1と交差する中央領域は圧縮応力領域c2である。第2アクチュエータ16の他方の可動部16Bの一端16Baを含むy方向に延びる領域および他端16Bbを含むy方向に延びる領域が圧縮応力領域c2であり、2つの圧縮応力領域c2の間の第1軸a1と交差する中央領域は引張応力領域t2である。第2共振モードでは、第2アクチュエータ16における応力分布は第1軸a1を中心に線対称となっている。
[0059]
 圧縮応力領域c2と引張応力領域t2との境界には応力の方向が徐々に変化していく、すなわち、絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する領域である第2応力反転領域が存在する。図8に示す応力反転線r2は、第2の応力反転領域の中心に位置する。
[0060]
 上部電極の個別電極部は、図6および図8に示す応力分布に関し、応力方向が異なる圧電膜の領域t1、t2、c1、c2の区分けに対応するように形成されている。個別電極部間は、応力反転線r1を含む第1応力反転領域s1および応力反転線r2を含む第2応力反転領域s2で分離されている(図3参照。)。
[0061]
 共振モード振動による動作時(共振駆動時)の応力分布については、公知の有限要素法のソフトウエアを用い、デバイス寸法、材料のヤング率、およびデバイス形状等のパラメータを与え、モード解析法を使って解析することができる。デバイスの設計に際しては、共振モードによる駆動時の圧電膜内の応力分布を解析し、その解析結果を基に、応力分布における圧縮応力領域、引張応力領域の区分に対応させて、上部電極を個別電極部に区分けする。各個別電極部によって各圧電部が規定される。
[0062]
 第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16において、発生応力方向が異なる部分に対応させて圧電部を配置することにより、それぞれに適切な駆動信号を入力させることができるので、効率良く圧電力を変位に変換できる。
[0063]
 各圧電部には、第1共振モードおよび第2共振モードで駆動させるための駆動用の電力が駆動回路から供給される。第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16に供給する駆動信号として、共振を励起する周波数の交流信号またはパルス波形信号を用いることができる。具体的な駆動信号について、駆動方法と共に以下に説明する。
[0064]
 駆動回路は、圧電素子の前記複数の圧電部の各々に対して、第1共振モードを駆動する第1駆動信号と、第2共振モードを駆動する第2駆動信号とを重畳した駆動信号を入力する。
[0065]
 第1駆動信号は、互いに逆位相の駆動電圧波形を含み、そのうちの一方の位相の駆動電圧波形を、第1共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に与え、他方の位相の駆動電圧波形を、上記瞬間に絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に与える信号である。
[0066]
 第2駆動信号は、互いに逆位相の駆動電圧波形を含み、そのうちの一方の位相の駆動電圧波形を、第2共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に与え、他方の位相の駆動電圧波形を、絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に与える信号である。
[0067]
 従って、駆動回路は、第1駆動信号として、第1共振モードで駆動した際の駆動振幅が最大となる瞬間における絶対値が最大の主応力成分の方向が同じ(すなわち、符号が同じ)である領域に位置する圧電部には同位相の駆動信号波形を印加する。すなわち、圧縮応力領域に位置する圧電部同士には同位相の駆動信号波形が、引張応力領域に位置する圧電部同士には同位相の駆動信号波形が印加される。そして、駆動回路は、第1駆動信号として、第1共振モードで駆動した際の駆動振幅が最大となる瞬間における絶対値が最大の主応力成分の方向が異なる(すなわち、符号が異なる)領域に位置する圧電部間には、逆位相の駆動信号波形を印加する。すなわち、圧縮応力領域と引張応力領域とでは逆位相の駆動信号波形が印加される。なお、同位相の駆動信号波形における振幅は圧電部同士で同一でもよいし、圧電部間で異なっていてもよい。
[0068]
 また、同時に、駆動回路は、第2駆動信号として、第2共振モードで駆動した際の駆動振幅が最大となる瞬間における絶対値が最大の主応力成分の方向が同じである領域に位置する圧電部には同位相の駆動信号波形を印加する。すなわち、圧縮応力領域に位置する圧電部同士には同位相の駆動信号波形が、引張応力領域に位置する圧電部同士には同位相の駆動信号波形が印加される。そして、駆動回路は、第2駆動信号として、第2共振モードで駆動した際の駆動振幅が最大となる瞬間における絶対値が最大の主応力成分の方向が異なる領域に位置する圧力部間には、逆位相の駆動信号波形を印加する。すなわち、圧縮応力領域と引張応力領域とでは逆位相の駆動信号波形が印加される。なお、同位相の駆動信号における振幅は圧電部同士で同一でもよいし、圧電部間で異なっていてもよい。
[0069]
 各圧電部のそれぞれに、第1共振モード用の第1駆動信号および第2共振モード用の第2駆動信号が重畳された駆動信号を印加することにより、第1共振モードおよび第2共振モードを同時に励起することができる。上記駆動信号を各圧電部に与え、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16を駆動させた場合、各振動の瞬間においてそれぞれの圧電膜に生じる主応力のうち絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部には正の電圧、絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部には負の電圧をそれぞれ印加することになる。歪の正負に応じた正負の電圧を印加することによって、非常に効率良く圧電力を変位に変換できる。従って、消費電力を大幅に抑制することが可能となる。
[0070]
 駆動方法の一例について、具体的に図9~図12を参照して説明する。図9は、第1共振モードを励起する際に同位相の駆動信号が入力される圧電部グループを示す図であり、図10はそれぞれの圧電部グループに入力される駆動信号の一例を示す。図11は、第2共振モードを励起する際に同位相の駆動信号が入力される圧電部グループを示す図であり、図12はそれぞれの圧電部グループに入力される駆動信号を示す。
[0071]
 図9において、第1共振モードを励起する際に、同位相の駆動信号が入力される第1グループの圧電部の個別電極部を右下がり斜線で示す。また、第1グループと逆位相の駆動信号が入力される第2グループの圧電部の個別電極部を右上がり斜線で示す。
[0072]
 第1グループの個別電極部i1、i2、i5、i6、i9、i10、およびo5、o6、o7、o8は、図6の圧縮応力領域c1に対応し、これらに図10に示す同位相の第1共振モード用の第1駆動信号V aが入力される。そして、第2グループの個別電極部i3、i4、i7、i8、i11、i12、およびo1、o2、o3、o4は、図6の引張応力領域t1に対応し、これらには同位相の第1共振モード用の第1駆動信号V bが入力される。図10に示すように、第1グループの圧電部に印加される駆動信号V aと第2グループの圧電部に印加される駆動信号V bとは同一の第1周波数f であって、互いに逆位相(位相差180°)の信号である。このような駆動信号を印加することにより、第1アクチュエータ14を第1軸a1周りに傾けるような歪が発生し、ミラー部12に第1軸a1周りの回転トルクが与えられる。
[0073]
 第1駆動信号V a、V bはそれぞれ次のように表される。
 V a=α sin(2πf t+π)
 V b=α sin2πf
 上記の式中、α は電圧振幅、tは時間である。なお、式においてオフセット電圧は考慮していない。V は第1駆動信号の基本電圧振幅値、α は第1駆動信号用の電圧振幅補正係数である。なお、各個別電極部に与えられる電圧振幅は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、圧電部毎でα の値は異なっていてもよい。各々の個別電極部に生じる応力の大きさに応じて電圧振幅が設定されていてもよい。例えば、個別電極部に生じる応力の大きさが大きいほど電圧振幅を大きくする、などである。
[0074]
 第1駆動信号V aおよびV bをまとめて一般化して示すと、
 V =α sin(2πf t+β π)と表すことができる。
 ここで、β は第1駆動信号用の位相補正係数であり、第1の位相のV aの場合は1、第1の位相の逆位相である第2の位相のV bの場合は0である。
[0075]
 図11において、第2共振モードを励起する際に、同位相の駆動信号が入力される第3グループの圧電部の個別電極部を右下がり斜線で示す。また、第3グループと逆位相の駆動信号が入力される第4グループの圧電部の個別電極部を右上がり斜線で示す。
[0076]
 第3グループの個別電極部i2、i3、i6、i7、i10、i11、およびo1、o3、o6、o8は、図8の圧縮応力領域c2に対応し、これらに図12に示す同位相の第2共振モード用の第2駆動信号V aが入力される。そして、第4グループの個別電極部i1、i4、i5、i8、i9、i12、およびo2、o4、o5、o7は、図8の引張応力領域t2に対応し、これらに同位相の第2共振モード用の第2駆動信号V bが入力される。図12に示すように、第2駆動信号V aとV bとは同一の第2周波数f であって、互いに逆位相(位相差180°)の信号である。このような駆動信号を印加することにより、第1アクチュエータ14を第2軸a2周りに傾けるような歪みが発生し、結果としてミラー部12に第2軸a2周りの回転トルクが与えられる。
[0077]
 第2駆動信号V a、V aはそれぞれ次のように表される。
 V a=α sin(2πf t+π)
 V b=α sin2πf
 上記の式中、α は電圧振幅、tは時間である。なお、式においてオフセット電圧は考慮していない。V は第2駆動信号の基本電圧振幅値、α は第2駆動信号用の電圧振幅補正係数である。なお、各個別電極部に与えられる電圧振幅は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、圧電部毎でα の値は異なっていてもよい。各々の個別電極部に生じる応力の大きさに応じて電圧振幅が設定されていてもよい。例えば、個別電極部に生じる応力の大きさが大きいほど電圧振幅を大きくする、などである。
[0078]
 第2駆動信号V aおよびV bをまとめて一般化して示すと、
 V =α sin(2πf t+β π)と表すことができる。
 ここで、β は第2駆動信号の位相補正係数であり、第1の位相のV aの場合は1、第1の位相の逆位相である第2の位相のV bの場合は0である。
[0079]
 圧電部毎に第1共振モード用の第1駆動信号および第2共振モード用の第2駆動信号が重畳された駆動信号が印加される。例えば、個別電極部i1にはV a+V b、個別電極部i2にはV a+V a、個別電極部i3にはV b+V a、個別電極部i4にはV b+V bが印加される。各圧電部に印加する組み合わせを表1に示す。
[表1]



[0080]
 なお、各圧電部xyに印加される駆動信号は、下記一般式(1)で表すことができる。
Vxy=α sin(2πf t+β π)+α sin(2πf t+β π) (1)
ここで、xyはどのアクチュエータのどの箇所の個別電極部であるかを特定する符号である。図3に示す個別電極部の配置の場合、x=i、oであり、x=iの場合、y=1~12、x=oの場合、y=1~8である。
[0081]
 式(1)において、第1項は第1軸周りに傾き振動させるための第1駆動信号であり、第2項は第2軸周りに傾き振動させるための第2駆動信号である。
 上記表1に示した例では、α 、α を一定としているが、α 、α を個別電極ごとに異ならせて、個別電極部に生じる応力の大きさが大きいほど電圧振幅を大きくすることにより、駆動効率をさらに高め、さらに消費電力を低減することが可能である。
[0082]
 以上のように、第1共振モードおよび第2共振モードでマイクロミラーデバイスを駆動する際に第1アクチュエータおよび第2アクチュエータの各々の圧電膜に生じる主応力のうち絶対値が最大の主応力成分の方向に応じた駆動信号を各圧電部に印加するように制御することで、非常に効率良く駆動することが可能となる。駆動回路は、各圧電部に上記駆動信号を入力するように構成される。
[0083]
 本実施形態においては、各圧電素子に含まれる複数の圧電部は、下部電極が共通電極となっている。したがって、下部電極を接地して、上部電極に所定の駆動信号(駆動電圧波形)を入力している。しかし、下部電極も個別電極である場合には、下部電極および上部電極間に駆動信号が印加できれば、下部電極、上部電極のどちらを接地電極として用いてもよい。
[0084]
 共振モードとしては、ミラー部12の軸周りの回転(傾き振動)を伴うもの以外に、垂直方向のピストン運動、平面内のねじれ運動などを伴うモードが存在する。しかしながら、本実施形態のマイクロミラーデバイス1では、傾き振動を伴う共振モードを用いてミラー部12を駆動する。
[0085]
 なお、第1軸周りにミラー部12を傾き振動する第1共振モードとしては、ミラー部12と第1アクチュエータ14とが逆位相で振動する共振モードは同位相で振動する共振モードと比較して共振振動のQ値が高く、さらに共振周波数が高いため、高速でスキャンすることに、より適している。例えば、後述の実施例1のマイクロミラーデバイスでは、第1軸周りの同位相の共振モードの共振周波数は35kHzであり、Q値は700であった。これに対し、第1軸周りの逆位相の共振モードの共振周波数は60kHzであり、Q値は1900であった。第1軸周りについては、ミラー部12と第1アクチュエータ14とが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードで駆動することが、高いQ値が得られるため好ましい。
 しかしながら、上記モードに限るものではなく。何次モードの共振モードを用いるかは、適宜設定すればよい。
[0086]
 また、第2軸周りに第1アクチュエータ14とミラー部12とを一体的に傾き振動させる第2共振モードとしては、第1アクチュエータ14と第2アクチュエータ16とが逆位相で振動する共振モードは同位相で振動する共振モードと比較して共振振動のQ値が高く、さらに共振周波数が高いため、高速でスキャンすることに適している。例えば、後述の実施例1の構成では、第2軸周りの同位相の共振モードの共振周波数は4.7kHzであり、Q値は250であった。これに対し、第2軸周りの逆位相の共振モードの共振周波数は11kHzであり、Q値は940であった。従って、第2軸周りについても、第1アクチュエータ14と第2アクチュエータ16とが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードで駆動することが、高いQ値が得られるため好ましい。
 しかしながら、上記モードに限るものではなく。何次モードの共振モードを用いるかは、適宜設定すればよい。
[0087]
 なお、どの次数の共振モードを用いるかによって、駆動時に第1アクチュエータおよび第2アクチュエータにおける応力分布は異なるため、駆動時に用いる共振モードを定めた上で、その共振モードでの応力分布に基づいて、個別電極部を配置する必要がある。本例においては、第1軸周りについては、ミラー部12と第1アクチュエータ14とが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードを第1共振モードとし、第2軸周りについては、第1アクチュエータ14と第2アクチュエータ16とが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードを第2共振モードとしている。
[0088]
 第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16に備えられる圧電素子について説明する。既述の通り、圧電素子は下部電極31、圧電膜32および上部電極33の積層体構造を有する。
[0089]
 下部電極および上部電極の厚みには特に制限なく、例えば200nm程度である。圧電膜の厚みは10μm以下であれば特に制限なく、通常1μm以上であり、例えば、1~5μmである。下部電極、上部電極および圧電膜の成膜方法は、特に限定されないが、気相成長法であることが好ましく、特にはスパッタ法によって成膜することが好ましい。
[0090]
 下部電極の主成分は、特に制限はなく、Au、Pt、Ir、IrO 、RuO 、LaNiO 、およびSrRuO 等の金属または金属酸化物、並びに、これらの組合せが挙げられる。
[0091]
 上部電極の主成分は、特に制限なく、下部電極で例示した材料、Al、Ti、Ta、Cr、およびCu等の一般的に半導体プロセスで用いられている電極材料、並びにこれらの組合せが挙げられる。
[0092]
 圧電膜としては、下記式で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物(P)を含むものが挙げられる。
 一般式ABO      (P)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
B:Bサイトの元素であり、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Sb、Cr、Mo、W、Mn、Sc、Co、Cu、In、Sn、Ga、Zn、Cd、Fe、およびNiからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素。
O:酸素元素。
Aサイト元素とBサイト元素と酸素元素のモル比は1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
[0093]
 上記一般式で表されるペロブスカイト型酸化物としては、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ジルコニウム酸鉛、チタン酸鉛ランタン、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、ニッケルニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、亜鉛ニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛等の鉛含有化合物、およびこれらの混晶系;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、ビスマスフェライト等の非鉛含有化合物、およびこれらの混晶系が挙げられる。
[0094]
 また、本実施形態の圧電膜は、下記式で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物(PX)を含むことが好ましい。
 A (Zr 、Ti 、M b-x-y   (PX)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。Mは、V、Nb、Ta、およびSbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。
0<x<b、0<y<b、0≦b-x-y、a:b:c=1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
[0095]
 上述の一般式(P)および(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電膜は、高い圧電歪定数(d 31定数)を有するため、かかる圧電膜を備えた圧電アクチュエータは、変位特性の優れたものとなる。なお、一般式(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物の方が一般式(P)で表されるものよりも圧電定数が高くなる。
[0096]
 また、一般式(P)および(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電膜を備えた圧電アクチュエータは、駆動電圧範囲において、リニアリティの優れた電圧―変位特性を有している。これらの圧電材料は、本開示を実施する上で良好な圧電特性を示すものである。
[0097]
 [第2実施形態]
 図13および図14は第2実施形態に係るマイクロミラーデバイス2をミラー部の反射面側から見た平面図であり、図13は濃色ハッチング部によって圧電膜形成領域を示し、図14は淡色ハッチング部によって上部電極形成領域を示す図である。第1の実施形態のマイクロミラーデバイス1と同等の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
[0098]
 本実施形態のマイクロミラーデバイス2は、第1の実施形態のマイクロミラーデバイス1と第2アクチュエータの形状が異なる。第1の実施形態において、第2アクチュエータ16は、第1アクチュエータ14を囲んで配置された環状の部材であったが、本実施形態の第2アクチュエータ50は、第1軸a1を中心として線対称に、第1アクチュエータ14の外側に配置された第2可動部52A、52Bおよび第3可動部53A、53Bを備えている。
[0099]
 図13および図14に示すように、第2アクチュエータ50は、板状の一対の第2可動部52A、52Bおよび板状の一対の第3可動部53A、53Bを含む。そして、第2接続部22は一対の第1可動部14A、14Bの一方14Aと一対の第3可動部53A、53Bの一端53Aa、53Baを第2軸a2上で接続し、一対の第1可動部14A、14Bの他方14Bと一対の第2可動部52A、52Bの一端52Aa、52Baを第2軸a2上で接続する。本実施形態において、第2可動部52A、52B、および第3可動部53A、53Bは第2軸a2上で固定された片持ち梁として機能する。
[0100]
 第2アクチュエータ50の第2可動部52A、52Bおよび第3可動部53A、53Bの各々には圧電素子62A、62B、63A、63Bが備えられており、圧電アクチュエータとして機能する。圧電アクチュエータの構成は、第1実施形態の場合と同様であり、可動部基材である振動板30上に、下部電極31、圧電膜32および上部電極33が順に積層された積層構造を有する。
[0101]
 図14に示すように、第1アクチュエータ14の第1可動部14Aおよび第1可動部14Bにおける個別電極部i1~i12の配置は第1実施形態の場合と同様である。
[0102]
 一方、図14に示すように、第2アクチュエータ50の第2可動部52Aにおける圧電素子62Aの上部電極33は2個の個別電極部o1、o2からなる。同様に、第2アクチュエータ50の第2可動部52Bにおける圧電素子62Bの上部電極33は、2個の個別電極部o3、o4からなる。
 第2アクチュエータ50の第3可動部53Aにおける圧電素子63Aの上部電極33は2個の個別電極部o7、o8からなる。同様に、第2アクチュエータ50の第3可動部53Bにおける圧電素子63Bの上部電極33は、2個の個別電極部o5、o6からなる。
[0103]
 個別電極部i1~i12、o1~o8は、ミラー部12に第1軸a1の周りに傾き振動を生じさせる第1共振モードで駆動させた場合に圧電膜の面内方向に生じる主応力のうち絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する第1応力反転領域s1、およびミラー部に第2軸a2周りに傾き変位を生じさせる第2共振モードで駆動させた場合に圧電膜の面内方向に生じる主応力のうち絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する第2応力反転領域s2で分離されている。
[0104]
 図15は、第1共振モードでミラー部12が第1軸a1周りに傾き振動する様子を模式的に示す図であり、ミラー部12が第1軸a1を中心として、x軸方向の一端x1が+z方向に、x軸方向の他端x2が-z方向に傾き変位した状態を示している。図15において、色の濃淡は変位量を示している。
[0105]
 第1共振モードでミラー部12が第1軸a1周りに傾き振動して図15のように傾き変位した状態にある時、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ50は撓み変形する。そして、図16に示すように、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ50の圧電膜には引張応力がかかる引張応力領域t1と圧縮応力がかかる圧縮応力領域c1とが生じる。図16においては、引張応力がかかる部分を薄い灰色、圧縮応力がかかる部分を黒色で示している。なお、色密度が高い領域ほど応力が大きいことを示す。なお、図16は第1共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に圧電膜に生じる面内応力の状態を示している。
[0106]
 図16に示すように、第1アクチュエータ14の第1可動部14Aにおいて、第1軸a1を挟んで第2可動部14Bと隣接する一端14Aaを含む領域および他端14Abを含む領域が引張応力領域t1であり、2つの引張応力領域t1の間の第2軸a2を含む中央領域は圧縮応力領域c1である。第1アクチュエータ14の第2可動部14Bにおいて、第1軸a1を挟んで第1可動部14Aと隣接する一端14Baを含む領域および他端14Bbを含む領域が圧縮応力領域c1であり、2つの圧縮応力領域c1の間の第2軸a2を含む中央領域は引張応力領域t1である。第1共振モードでは、第1アクチュエータ14における応力分布は第2軸a2を中心に線対称となっている。
[0107]
 また、第2アクチュエータ50の一方の第2可動部52Aおよび他方の第2可動部52Bにおいては、第2軸a2上で接続される一端52Aaおよび52Baを含む領域が引張応力領域t1であり、他端52Abを含む領域および52Bbを含む領域が圧縮応力領域c1である。第2アクチュエータ50の一方の第3可動部53Aおよび他方の第3可動部53Bにおいては、第2軸a2上で接続される一端53Aaおよび53Baを含む領域が圧縮応力領域c1であり、他端53Abを含む領域および53Bbを含む領域が引張応力領域t1である。第1共振モードでは、第2アクチュエータ50における応力分布は第2軸a2を中心に線対称となっている。
[0108]
 圧縮応力領域c1と引張応力領域t1との境界には応力の方向が徐々に変化していく、すなわち、絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する領域である第1応力反転領域が存在する。図16に示す応力反転線r1は、第1応力反転領域の中心に位置する。
[0109]
 図17は、第2共振モードでミラー部12および第1アクチュエータ50が第2軸a2周りに傾き振動する様子を模式的に示す図であり、ミラー部12および第1アクチュエータ14が第2軸a2を中心として、第1アクチュエータ14のy軸方向の一端y1が+z方向に、y軸方向の他端y2が-z方向に傾き変位した状態を示している。図15と同様に図17において、色の濃淡は変位量を示している。
[0110]
 第2共振モードでミラー部12および第1アクチュエータ14が第2軸a2周りに傾き振動して図17の傾き変位した状態にある時、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ50は撓み変形する。そして、図18に示すように、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ50の圧電膜には引張応力がかかる引張応力領域t2と圧縮応力がかかる圧縮応力領域c2とが生じる。図18においては、図16と同様に、引張応力が生じる部分を薄い灰色、圧縮応力が生じる部分を黒色で示している。なお、色密度が高い領域ほど応力が大きいことを示す。なお、図18は第2共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に圧電膜に生じる面内応力の状態を示している。
[0111]
 図18に示すように、第1アクチュエータ14の第1可動部14Aおよび第1可動部14Bの一方の第1接続部で接続される各々の一端14Aaおよび14Baを含む領域が圧縮応力領域c2、他方の第1接続部で接続される各々の他端14Abおよび14Bbを含む領域が引張応力領域t2である。また、第1可動部14Aおよび第1可動部14Bの各々の端部領域間の部分が第2軸a2を境に紙面上側が引張応力領域t2、紙面下側が圧縮応力領域c2である。第2共振モードでは、第1アクチュエータ14における応力分布は第1軸a1を中心に線対称となっている。
[0112]
 また、第2アクチュエータ50の第2可動部52Aは圧縮応力領域c2、第2可動部52Bは引張応力領域t2であり、第3可動部53Aは圧縮応力領域c2、第3可動部53Bは引張応力領域t2である。第2共振モードでは、第2アクチュエータ50における応力分布も第1軸a1を中心に線対称となっている。
[0113]
 圧縮応力領域c2と引張応力領域t2との境界には応力の方向が徐々に変化していく、すなわち、絶対値が最大の主応力成分が正から負に変化する領域である第2の変化領域が存在する。図18において、応力反転線r2は第2の変化領域の中心に位置する。
[0114]
 上部電極の個別電極部は、図16および図18に示す応力分布に対応して、応力方向が異なる圧電膜の領域t1、c1、t2、c2の区分けに対応するように形成されている。個別電極部間は、応力反転線r1を含む第1応力反転領域s1、および、応力反転線r2を含む第2応力反転領域s2で分離されている(図14参照。)。
[0115]
 このように、アクチュエータの形状が異なると共振モード振動による動作時の応力分布は異なるが、それぞれの応力分布に応じて個別電極部を形成すればよい。第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16において、発生応力方向が異なる部分に対応させて圧電部を配置することにより、それぞれに適切な駆動信号を入力させることができるので、効率良く圧電力を変位に変換できる。
[0116]
 本実施形態の構成においても、駆動時には、上記のように分割された圧電部の配置形態において、ミラー部を第1軸周りに傾き振動させる第1共振モード時に生じる応力が同じ応力方向の領域に対応する圧電部には同位相の駆動電圧を印加する。すなわち、圧縮応力領域に位置する圧電部同士には同位相の駆動電圧を、引張応力領域に位置する圧電部同士には同位相の駆動電圧を印加する。そして、異なる応力方向の領域に対応する圧力部間では、異なる駆動信号を印加する。
[0117]
 これによって、絶対値が最大の主応力成分が正の領域に対して正の電圧、絶対値が最大の主応力成分が負の領域に対して負の電圧を印加することにより、非常に効率良く圧電力を変位に変換できる。すなわち、消費電力を大幅に抑制することが可能となる。
[0118]
 駆動方法の一例について、具体的に図19~図20を参照して説明する。図19は、第1共振モードを励起する際に同位相の駆動信号が入力される圧電部グループを示す図であり、図20は、第2共振モードを励起する際に同位相の駆動信号が入力される圧電部グループを示す図である。なお、駆動信号は図10、12に示した第1実施形態の場合と同様である。
[0119]
 図19において、第1共振モードを励起する際に、同位相の駆動信号が入力される第1グループの圧電部の個別電極部を右下がり斜線で示す。また、第1グループと逆位相の駆動信号が入力される第2グループの圧電部の個別電極部を右上がり斜線で示す。
[0120]
 第1グループの個別電極部i1、i2、i5、i6、i9、i10、およびo1、o4、o6、o7は、図16の圧縮応力領域c1に対応し、これらに図10に示す同位相の第1共振モード用の第1駆動信号V aが入力される。そして、第2グループの個別電極部i3、i4、i7、i8、i11、i12、およびo2、o3、o5、o8は、図16の引張応力領域t1に対応し、これらに同位相の第1共振モード用の第1駆動信号V bが入力される。図10に示すように、第1グループの圧電部に印加される駆動信号V aと第2グループの圧電部に印加される駆動信号V bとは同一の第1周波数f であって、互いに逆位相(位相差180°)の信号である。このような駆動信号を印加することにより、第1アクチュエータ14を第1軸a1周りに傾けるような歪が発生し、結果としてミラー部12に第1軸a1周りの回転トルクが与えられる。
[0121]
 図20において、第2共振モードを励起する際に、同位相の駆動信号が入力される第3グループの圧電部の個別電極部を右下がり斜線で示す。また、第3グループと逆位相の駆動信号が入力される第4グループの圧電部の個別電極部を右上がり斜線で示す。
[0122]
 第3グループの個別電極部i1、i4、i5、i8、i9、i12、およびo1、o2、o7、o8は、図18の圧縮応力領域c2に対応し、これらに図12に示す同位相の第2共振モード用の第2駆動信号V aが入力される。そして、第4グループの個別電極部i2、i3、i6、i7、i10、i11、およびo3、o4、o5、o6は、図18の引張応力領域t2に対応し、これらに同位相の第2共振モード用駆動信号V bが入力される。図12に示すように、駆動信号V aとV bとは同一の第2周波数f であって、互いに逆位相(位相差180°)の信号である。このような駆動信号を印加することにより、第1アクチュエータ14を第2軸a2周りに傾けるような歪みが発生し、結果としてミラー部に第2軸a2周りの回転トルクが与えられる。
[0123]
 各圧電部に印加する組み合わせを表2に示す。
[表2]



[0124]
 なお、本実施形態のマイクロミラーデバイス2においても、各圧電部xyに印加する駆動信号は一般式(1)で表すことができる。この場合にもα1、α2は圧電部毎で異なっていてもよい。個別電極部に生じる応力の大きさが大きいほど電圧振幅を大きくすることにより、駆動効率をさらに高め、さらに消費電力を低減することが可能である。
[0125]
 [設計変更例]
 なお、本開示のマイクロミラーデバイスにおいて、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータ並びに第1~第3接続部の形状は、第1および第2の実施形態のものに限定されない。既述の通り、第1アクチュエータは、ミラー部を第1軸周りに傾き振動可能な形状および配置であればよく、第2アクチュエータは、ミラー部および第1アクチュエータを一体的に第2軸周りに傾き振動可能な形状および配置であればよい。
[0126]
 例えば、図21に設計変更例のマイクロミラーデバイスの平面模式図を示す。図21において、ハッチング領域は圧電膜を備えた領域を示す。第1アクチュエータ114は、2つの半環状の第1可動部114Aおよび114Bを備え、第1の接続部121は、第1可動部114Aおよび第1可動部114Bとの接続部で二股に別れした部分を有している。
 第2アクチュエータ150は、第1軸a1を中心として線対称に、第1アクチュエータ114の外側に配置された第2可動部152A、152B、および第3可動部153A、153Bを備える。
[0127]
 図21に示すように、第2アクチュエータ150は、L字状の一対の第2可動部152A、152BおよびL字状の一対の第3可動部153A、153Bを含む。そして、第2接続部122は一対の第1可動部の一方114Aと一対の第2可動部152A、152Bの一端152Aa、152Baを第2軸a2上で接続し、1対の第1可動部の他方114Bと一対の第3可動部153A、153Bの一端153Aa、153Baを第2軸a2上で接続する。
[0128]
 第2アクチュエータ150の第2可動部152A、152Bおよび第3可動部153A、153Bは、第2接続部122に接続する一端を含みy方向の延びる部分と、そのy方向の他端からx方向の延びる部分とからなるL字状である。y方向に延びる部分はx方向に延びる部分と比較して細く、この領域には、圧電素子を備えられていない。x方向に延びる部分はy方向に延びる部分と比較して幅広く、この領域にのみ圧電素子162A、162B、163A、163Bが備えられている。
[0129]
 また、固定部120と第2アクチュエータ50とを接続する第3接続部123は、第2軸a2を挟んで並列配置された1対の棒状部材が、第2アクチュエータを挟んで2組対向して配置されている。
[0130]
 なお、各圧電素子の上部電極は、上記各実施形態の場合と同様に、ミラー部に第1軸の周りに傾き変位を生じさせる第1共振モードで駆動させた場合の最大変位状態において、圧電膜の面内方向に生じる主応力のうち絶対値が最大の主応力成分が正から負へと変化する第1変化領域、およびミラー部に第2軸周りに傾き変位を生じさせる第2共振モードで駆動させた場合に圧電膜の面内方向に生じる主応力のうち絶対値が最大の主応力成分が正から負へと変化する第2変化領域で分離された、図示していない複数の個別電極部から構成されていればよい。
[0131]
 このように、本開示においては、ミラー部の外側に設けられた第1アクチュエータと、第1アクチュエータの外側に設けられた第2アクチュエータとの形状は特に限定されるものではない。ミラー部、第1アクチュエータ、第2アクチュエータおよびそれらの接続部の構成に応じて、第1共振モードおよび第2共振モードの駆動時に生じる主応力のうち絶対値が最大の主応力成分の方向に対応した個別電極部を備えれば、高い変換効率の駆動信号を入力することが可能となり、消費電力を効果的に抑制することができる。
実施例
[0132]
 以下、本開示の実施例のマイクロミラーデバイスについて説明する。
[0133]
「実施例1」
 以下の手順により図1~4に示した構成のマイクロミラーデバイスを実施例1として作製した。
[0134]
-製造方法-
 (工程1)Siハンドル層350μm、シリコン酸化物(SiO )ボックス層1μm、Siデバイス層100μmの積層構造を持つSOI(Silicon On Insulator)基板上に、スパッタ法で基板温度350℃にてTi層を30nm、Ir層を150nm形成した。Ti層およびIr層の積層構造が図4の下部電極31に相当する。
[0135]
 (工程2)上記で得られた、Ti/Ir下部電極が積層形成された基板上に、高周波(RF:radio frequency)スパッタ装置を用いて圧電膜を3μm成膜した。圧電膜用のスパッタ成膜のターゲット材料としてはPb 1.3((Zr 0.52Ti 0.48) 0.88Nb 0.12)O 3の組成のものを用いた。成膜圧力は2.2mTorr、成膜温度は450℃とした。得られた圧電膜は、Nbが原子組成比で12%添加されたNbドープPZT薄膜であった。
[0136]
 (工程3)上記で得られた圧電膜が形成された基板上に、リフトオフ法によってPt/Tiの積層構造による複数の個別電極部を含む上部電極をパターン形成した。
[0137]
 (工程4)その後、誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)ドライエッチングにより、圧電膜および下部電極をパターンエッチングした。
[0138]
 (工程5)さらに、テトラエトキシシランを原料とした化学気相堆積法(TEOS-CVD:tetraethoxysilane-chemical vapor deposition)法により、SiO からなる絶縁層を全面に成膜した後、ICPドライエッチングによって絶縁層をパターニングした。
[0139]
 (工程6)リフトオフ法によって、Au/Tiの積層構造をパターン形成し、ミラー部の反射面、電極パッドおよび配線層を形成した。
[0140]
 (工程7)シリコンのドライエッチプロセスによってデバイス層をパターンエッチングし、アクチュエータ、ミラー部および固定部材の形状を加工した。
[0141]
 (工程8)次に、基板の裏面からハンドル層を深堀反応性イオンエッチングした。基本的には、固定部材となる部分を残してハンドル層を除去した。
[0142]
 (工程9)最後に、裏面からボックス層をドライエッチングにより除去することにより、図1~図4で説明したマイクロミラーデバイス1を作製した。
[0143]
 上記作製工程においては、ミラー部の反射面を工程6で形成したが、電極パッドおよび配線層の材料とは異なる反射材料を用いて反射面を形成してもよく、その場合は、たとえば工程6に続いて、反射面をリフトオフ法などで形成してもよい。
[0144]
 なお、本開示の実施に際しては、本実施例1の構成および製造方法に限定されず、基板の材料、電極材料、圧電材料、膜厚、成膜条件などは、目的に応じて適宜選択することができる。
[0145]
 本実施例のマイクロミラーデバイスにおける各種寸法を図22に示すように規定した。第1アクチュエータ14のx軸方向(第2軸方向)長さをX1、y軸方向(第1軸方向)長さをY1、x軸方向の幅をW1_x、y軸方向の幅をW1_yとする。第2アクチュエータ16のx軸方向長さをX2、y軸方向長さをY2、x軸方向の幅をW2_xとy軸方向の幅をW2_yとする。第2接続部22のx軸方向の長さをWc2_x、y軸方向の幅をWc2_yとする。
[0146]
 実施例1における、各種寸法は次の通りとした。
 ミラー形状:直径1.1mmの円形、
 第1アクチュエータ寸法:X1=2.67mm、Y1=3.77mm、W1_x=0.6mm、W1_y=0.25mm
 第2アクチュエータ寸法:X2=5.17mm、Y2=5.17mm、W2_x=0.45mm、W2_y=0.6mm
 第2接続部:Wc2_x=0.8mm、Wc2_y=0.238mm
 デバイス層の厚みtd=0.1mmとした。
[0147]
 ミラー部12、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16、並びに第1接続部21、第2接続部22、および第3接続部23の厚みはデバイス層の厚みと等しい。
[0148]
 そして、本構成のマイクロミラーデバイスにおいて、第1共振モードの周波数が約60kHz、第2共振モードの周波数が約10kHzとなるように第1接続部21および第3接続部23の寸法は設定した。
[0149]
 共振モード振動による動作時(共振駆動時)の応力分布については、公知の有限要素法のソフトウエアを用い、上記のデバイス寸法、材料のヤング率、デバイス形状等のパラメータを与え、モード解析法を使って解析した。第1共振モードおよび第2共振モードそれぞれの場合の応力分布を求め(図6、8参照)、この応力分布に応じて上部電極を個別電極部に区分けした。ここでは、図3に示した電極分布配置とした。
[0150]
[実施例1-1]
 上記実施例1のマイクロミラーデバイスの各圧電部に対して、第1共振モードに一致した周波数の第1駆動信号に、第2共振モードに一致した周波数の第2駆動信号を重畳させた駆動信号を印加した。
式(1)で表される電圧Vxyを印加した。
Vxy=α sin(2πf t+β π)+α sin(2πf t+β π) (1)
ここで、xyは複数の圧電部の各々を特定する符号であり、V 、V 、α 、α 、β 、β 、f 、f 、tは、各々の圧電部毎で設定される値であって、
:第1駆動信号の基本電圧振幅値
:第2駆動信号の基本電圧振幅値
α :第1駆動信号用の電圧振幅補正係数
α :第2駆動信号用の電圧振幅補正係数
β :第1駆動信号用の位相補正係数
β :第2駆動信号用の位相補正係数
:第1駆動信号の周波数
:第2駆動信号の周波数
t :時間
である。
[0151]
 各圧電部(各個別電極部)に印加する電圧の補正係数は表3に示す通りとした。
[表3]



[0152]
 本実施例1-1では補正係数α 、α はすべて共通の1とした。すなわち、第1駆動信号の電圧振幅はすべての圧電部で共通とし、第2駆動信号の電圧振幅はすべての圧電部で共通とした。
[0153]
[実施例1-2]
 上記実施例1のマイクロミラーデバイスの各圧電部に対して、上記(1)式において、各圧電部に印加する電圧の補正係数を表4に示す通りとした。表4に示すように、本実施例1-2では補正係数α 、α を圧電部の位置毎で変化させた。
[表4]



[0154]
 表5は、第1共振モードおよび第2共振モードのそれぞれの駆動時においてミラー部が最大変位した場合に、第1および第2アクチュエータに生じる絶対値が最大の主応力成分について、各個別電極部に対応する領域毎の規格化した平均面内応力を示す。本実施例1-2においては、表5に示す各個別電極部領域に生じる平均面内応力の大きさに応じて、各個別電極部における補正係数α 、β およびα 、β を定めた(表4参照)。
[表5]



[0155]
[参考例1]
 参考例1のマイクロミラーデバイス101の正面図を図23に示す。参考例1のマイクロミラーデバイス101は、上部電極の個別電極部の配置のみ実施例1と異なる。実施例1と同じ構成要素には同一の符号を付している。参考例1のマイクロミラーデバイスは、実施例1と同様の作製手順で作製した。参考例1において、第1アクチュエータ14は第1軸周りの傾き振動の駆動のみ、第2アクチュエータ16は、第2軸周りの傾き振動の駆動のみをそれぞれ担当するように構成した。第1アクチュエータ14の1対の第1可動部14A、14Bは計6個の個別電極部i1~i6を備えている。個別電極部i1~i6は、図6に示した、第1共振モードにおいて、第1アクチュエータに生じる主応力のうち、絶対値が最大の主応力成分の正負に応じて設けられ、第1応力反転領域s1のみで分離されている。第2アクチュエータ16において、1対の第2可動部16A、16Bは計6個の個別電極部o1~o6を備えている。個別電極部o1~o6は、図8に示した、第2共振モードおいて、第2アクチュエータ16に生じる主応力のうち、絶対値が最大の主応力成分の正負に応じて設けられ、第2応力反転領域s2のみで分離されている。
[0156]
 図24に、第1共振モードを励起する際に、第1アクチュエータ14において、同位相で駆動される個別電極部を同一の斜線で示す。図24において、右上がり斜線で示した個別電極部i2、i4、i6は、図6の引張応力領域t1に対応する。図24において、右下がり斜線で示した個別電極部i1、i3、i5は、図6の圧縮応力領域c1に対応する。引張応力領域t1に対応する個別電極部と、圧縮応力領域c1に対応する個別電極部とで逆位相の第1共振モード用の第1駆動信号を印加する。
 第1共振モードを励起するために用いるのは第1アクチュエータ14のみであり、第2アクチュエータ16は用いない。
[0157]
 一方、図25に、第2共振モードを励起する際に、第2アクチュエータ16において、同位相で駆動される個別電極部を同一斜線で示す。図25において、右上がり斜線で示した個別電極部o2、o4、o6は、図8の引張応力領域t2に対応する。図25において、右下がり斜線で示した個別電極部o1、o3、o5は、図8の圧縮応力領域c2に対応する。引張応力領域t2に対応する個別電極部と、圧縮応力領域c2に対応する個別電極部とで逆位相の第2共振モード用の第2駆動信号を印加する。
 第2共振モードを励起するために用いるのは第2アクチュエータ16のみであり、第1アクチュエータ14は用いない。
[0158]
 すなわち、参考例1においては、第1アクチュエータの圧電素子の上部電極に対しては、第1駆動信号のみ、第2アクチュエータの圧電素子の上部電極に対しては、第2駆動信号のみを入力した。本例において、式(1)の各パラメータを表6に示すように設定した。これによって、第1および第2共振モードを励起し、ミラー部12を第1軸a1周りに回転運動させると同時に、第1アクチュエータ14とミラー部12をほぼ一体として第2軸a2周りに回転運動させた。
[表6]



[0159]
 実施例1-1、1-2および参考例1のマイクロミラーデバイスについて、第1共振モードおよび第2共振モードで駆動させ、第1軸a1周りに45°スキャンさせるために必要な駆動電圧振幅、第2軸a2周りに30°スキャンさせるために必要な第1駆動信号の基本電圧振幅値V 、第2駆動信号の基本電圧振幅値V 、および消費電力を調べた。結果を表7に示す。光学スキャン角度は、レーザーをマイクロミラーデバイスのミラー部の反射面に垂直入射し、スキャンラインの長さを、定規などを用いて測定し、幾何学的関係からスキャンの全角度を求める方法により測定した。
[0160]
[表7]



[0161]
 消費電力は以下の手法に基づいて算出することができる。
 駆動電圧波形Vは、V=V off+V sinωtで表わされる正弦波である。この駆動電圧波形を印加した駆動中における各上部電極に流れる電流を電流測定回路で測定する。具体的には、測定したい電極に対して直列に既知の抵抗を接続し、その抵抗の両端の電圧を測定することで各電極に流れる電流を測定する。このとき測定される電流波形I=I off+I sin(ωt+φ)と、駆動電圧波形Vとから、消費電力W=V off×I off+1/2×I cosφを算出する。なお、第1項はリーク電流による消費電力であるが、品質の良い圧電膜であればI off>1μA以下であるため、無視できるほど小さい。従って、ほぼ第2項を計算することで消費電力を見積もることができる。この手法に基づいて、各圧電部における消費電力を算出して、すべての圧電部について積算することで消費電力を算出した。
[0162]
 表7に示すように、本実施例1-1および実施例1-2は参考例1と比較して、電圧振幅を大幅に小さくすることができ、結果として消費電力を抑制することができることが明らかである。特に、実施例1-2のように、絶対値が最大の主応力成分の大きさに応じて圧電部へ印加する電圧振幅を変化させることで、より顕著に消費電力を抑制することができた。
[0163]
[実施例2]
 実施例2として、図13、14を用いて説明した第2実施形態のマイクロミラーデバイスを作製した。作製手順は上記実施例1と同様とした。第2アクチュエータが、2つの部材から構成されている点で実施例1のデバイスと異なるが、同様に有限要素法のソフトウエアを用いてモード解析によって、第1共振モードおよび第2共振モードそれぞれの場合の応力分布を求め(図16、18参照)、上部電極を個別電極部に区分けした。ここでは、図14に示した電極分布配置とした。
[0164]
 実施例2のマイクロミラーデバイスの各圧電部に対して、実施例1の場合と同様に、式(1)で表される駆動信号を印加した。各圧電部に印加する駆動信号における補正係数は表8に示す通りとした。
[表8]



[0165]
 本実施例2では補正係数α 、α はすべて共通の1とした。すなわち、第1駆動信号の電圧振幅はすべての圧電部で共通とし、第2駆動信号の電圧振幅はすべての圧電部で共通とした。
[0166]
[参考例2]
 参考例2のマイクロミラーデバイス102の正面図を図26に示す。参考例2のマイクロミラーデバイス102は、上部電極の個別電極部の配置のみ実施例2と異なる。実施例2と同じ構成要素には同一の符号を付している。参考例2のマイクロミラーデバイスは、実施例2と同様の作製手順で作製した。参考例2においては、第1アクチュエータは第1軸周りの傾き振動の駆動のみ、第2アクチュエータは、第2軸周りの傾き振動の駆動のみをそれぞれ担当するように構成した。第1アクチュエータ14の1対の第1可動部14A、14Bは、計6個の個別電極部i1~i6を備えている。個別電極部i1~i6は、図16に示した、第1共振モードにおいて、第1アクチュエータに生じる主応力のうち、絶対値が最大の主応力成分の符号の正負に応じて設けられており、第1応力反転領域s1のみで分離されている。第2アクチュエータ50の1対の第2可動部および1対の第3可動部は各々の可動部に1個ずつ、計4個の個別電極部o1~o4を備えている。個別電極部o1~o4は、図18に示した、第2共振モードおいて、第2アクチュエータに生じる主応力のうち、絶対値が最大の主応力成分の符号の正負に応じて設けられており、第2応力反転領域s2のみ分離されている。
[0167]
 図27に、第1共振モードを励起する際に、第1アクチュエータ14において、同位相で駆動される個別電極部を同一の斜線で示す。図27において、右上がり斜線で示した個別電極部i2、i4、i6は、図16の引張応力領域t1に対応する。図27において、右下がり斜線で示した個別電極部i1、i3、i5は、図16の圧縮応力領域c1に対応する。引張応力領域t1に対応する個別電極部と、圧縮応力領域c1に対応する個別電極部とで逆位相の第1共振モード用の第1駆動信号を印加する。
 第1共振モードを励起するために用いるのは第1アクチュエータ14のみであり、第2アクチュエータ50は用いない。
[0168]
 一方、図28に、第2共振モードを励起する際に、第2アクチュエータ50において、同位相で駆動される個別電極部を同一斜線で示す。図28において、右上がり斜線で示した個別電極部o2、o3は、図18の引張応力領域t2に対応する。図28において、右下がり斜線で示した個別電極部o1、o4は、図18の圧縮応力領域c2に対応する。引張応力領域t2に対応する個別電極部と、圧縮応力領域c2に対応する個別電極部とで逆位相の第2共振モード用の第2駆動信号を印加する。
 第2共振モードを励起するために用いるのは第2アクチュエータ50のみであり、第1アクチュエータ14は用いない。
[0169]
 すなわち、参考例2においては、第1アクチュエータ14の圧電素子の上部電極に対しては、第1駆動信号のみ、第2アクチュエータ16の圧電素子の上部電極に対しては、第2駆動信号のみを入力した。本例において、式(1)の各パラメータを表9に示すように設定した。これによって、第1および第2共振モードを励起し、ミラー部12を第1軸a1周りに回転運動させると同時に、第1アクチュエータ14とミラー部12をほぼ一体として第2軸a2周りに回転運動させた。
[0170]
[表9]



[0171]
 実施例2および参考例2のマイクロミラーデバイスについて、実施例1および参考例1の場合と同様に第1共振モードおよび第2共振モードで駆動させ、第1軸a1周りに45°スキャンさせるために必要な駆動電圧振幅、第2軸a2周りに30°スキャンさせるために必要な第1駆動信号の基本電圧振幅値V 、第2駆動信号の基本電圧振幅値V 、および消費電力を調べた。結果を表10に示す。
[表10]



[0172]
 表10に示すように、本実施例2は参考例2と比較して、電圧振幅を大幅に小さくすることができ、結果として消費電力を抑制することができることが明らかである。
[0173]
 2019年3月28日に出願された日本出願特願2019-063659号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 入射光を反射する反射面を有するミラー部と、
 前記ミラー部の外側に設けられた第1アクチュエータと、
 前記第1アクチュエータの外側に設けられた第2アクチュエータと、
 前記ミラー部と前記第1アクチュエータとを接続し、前記ミラー部を第1軸上で回動可能に支持する第1接続部と、
 前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとを接続し、前記第1アクチュエータを前記第1軸と交差する第2軸上で回動可能に支持する第2接続部と、
 前記第2アクチュエータの外周に設けられた固定部に前記第2アクチュエータを回動可能に接続する第3接続部とを備え、
 前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータが、前記ミラー部に前記第1軸周りの回転トルクを作用させ、かつ、前記ミラー部および第1アクチュエータに前記第2軸周りの回転トルクを作用させることにより、前記ミラー部を前記第1軸および前記第2軸周りに2次元回転駆動するマイクロミラーデバイスであり、
 前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの各々が、振動板上に下部電極、圧電膜および上部電極が積層された圧電素子を備えた圧電アクチュエータであり、
 前記各々の圧電素子は、各々の前記上部電極が、前記ミラー部に前記第1軸の周りに傾き変位を生じさせる第1共振モードで駆動させた場合の最大変位状態において、前記圧電膜の面内方向に生じる主応力のうち、絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する第1応力反転領域、および前記ミラー部に前記第2軸周りに傾き変位を生じさせる第2共振モードで駆動させた場合に前記圧電膜の面内方向に生じる主応力のうち、絶対値が最大の主応力成分の正負が反転する第2応力反転領域で分離された複数の個別電極部からなり、前記複数の個別電極部の各々により規定される複数の圧電部を含むマイクロミラーデバイス。
[請求項2]
 前記第3接続部が、前記第2軸上で前記第2アクチュエータの外周に接続された請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項3]
 前記第1アクチュエータが、半環状の一対の第1可動部を含み、
 前記第2アクチュエータが、半環状の一対の第2可動部を含み、
 前記第1接続部が、前記ミラー部と前記一対の第1可動部各々の一端、および前記ミラー部と前記一対の第1可動部各々の他端の各々を前記第1軸上で接続し、
 前記第2接続部が、前記一対の第1可動部の一方と前記一対の第2可動部各々の一端、および前記一対の第1可動部の他方と前記一対の第2可動部各々の他端の各々を前記第2軸上で接続する請求項1または2に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項4]
 前記第1アクチュエータが、半環状の一対の第1可動部を含み、
 前記第1接続部が、前記ミラー部と前記一対の第1可動部各々の一端、および前記ミラー部と前記一対の第1可動部各々の他端の各々を前記第1軸上で接続し、
 前記第2アクチュエータが、板状の一対の第2可動部と、板状の一対の第3可動部とを含み、
 前記第2接続部が、前記一対の第1可動部の一方と前記一対の第2可動部各々の一端、および前記一対の第1可動部の他方と前記第3可動部各々の一端の各々を前記第2軸上で接続する請求項1または2に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項5]
 前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの前記圧電素子に駆動信号を入力するための駆動回路を備えた請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項6]
 前記駆動回路は、前記ミラー部を前記第1軸周りに傾き振動する第1共振モードで駆動し、かつ、前記ミラー部および前記第1アクチュエータを前記第2軸周りに傾き振動する第2共振モードで駆動する駆動信号を前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータ各々の前記圧電素子に入力する請求項5に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項7]
 前記駆動回路は、前記各々の圧電素子の前記複数の圧電部の各々に対して、前記第1共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に前記絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形と、前記絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形とが、互いに逆位相の関係にある第1駆動信号と、前記第2共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に前記絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形と、前記絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形とが、互いに逆位相の関係にある第2駆動信号とを重畳した駆動信号を入力する請求項6に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項8]
 前記駆動回路は、前記駆動信号として、前記複数の圧電部の各々に対して、各々の配置に応じて、下記式(1)で表される駆動信号Vxyを印加する、
Vxy=α sin(2πf t+β π)+α sin(2πf t+β π) (1)
ここで、xyは複数の圧電部の各々を特定する符号であり、V 、V 、α 、α 、β 、β 、f 、f 、tは、各々の圧電部毎で設定される値であって、
:第1駆動信号の基本電圧振幅値
:第2駆動信号の基本電圧振幅値
α :第1駆動信号用の電圧振幅補正係数
α :第2駆動信号用の電圧振幅補正係数
β :第1駆動信号用の位相補正係数
β :第2駆動信号用の位相補正係数
:第1駆動信号の周波数
:第2駆動信号の周波数
t :時間
である、請求項6または7に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項9]
 前記駆動回路は、前記第1共振モードで駆動した際の前記絶対値が最大の主応力成分の絶対値が大きい領域に位置する圧電部ほど補正係数α の値を大きくし、前記第2共振モードで駆動した際の前記絶対値が最大の主応力成分の絶対値が大きい領域に位置する圧電部ほど補正係数α の値を大きくした前記駆動信号Vxyを印加する請求項8に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項10]
 前記第1共振モードが、前記ミラー部と前記第1アクチュエータとが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードである請求項6から9のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項11]
 前記第2共振モードが、前記ミラー部および前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードである請求項6から10のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
[請求項12]
 請求項1から6のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法であって、
 前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの各々の前記圧電素子に駆動信号を印加して、前記ミラー部を前記第1軸周りに傾き振動する第1共振モードを励起し、かつ、前記ミラー部および前記第1アクチュエータを前記第2軸周りに傾き振動する第2共振モードを励起するマイクロミラーデバイスの駆動方法。
[請求項13]
 前記各々の圧電素子の前記複数の圧電部の各々に対して、前記駆動信号として、前記第1共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に前記絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形と、前記絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形とが、互いに逆位相の関係にある第1駆動信号と、前記第2共振モードで駆動した際の振動振幅が最大となる瞬間に前記絶対値が最大の主応力成分が正となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形と、前記絶対値が最大の主応力成分が負となる領域に位置する圧電部に印加する駆動電圧波形とが、互いに逆位相の関係にある第2駆動信号とを重畳した駆動信号を印加する請求項12に記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。
[請求項14]
 前記駆動信号として、前記複数の圧電部の各々に対して、各々の配置に応じて、下記式(1)で表される駆動信号Vxyを印加する、
Vxy=α sin(2πf t+β π)+α sin(2πf t+β π) (1)
ここで、xyは複数の圧電部の各々を特定する符号であり、V 、V 、α 、α 、β 、β 、f 、f 、tは、各々の圧電部毎で設定される値であって、
:第1駆動信号の基本電圧振幅値
:第2駆動信号の基本電圧振幅値
α :第1駆動信号用の電圧振幅補正係数
α :第2駆動信号用の電圧振幅補正係数
β :第1駆動信号用の位相補正係数
β :第2駆動信号用の位相補正係数
:第1駆動信号の周波数
:第2駆動信号の周波数
t :時間
である、請求項12または13に記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。
[請求項15]
 前記駆動信号Vxyにおいて、前記第1共振モードで駆動した際の前記絶対値が最大の主応力成分の絶対値が大きい領域に位置する圧電部ほど補正係数α の値を大きくし、前記第2共振モードで駆動した際の前記絶対値が最大の主応力成分の絶対値が大きい領域に位置する圧電部ほど補正係数α の値を大きくする請求項14に記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。
[請求項16]
 前記第1共振モードとして、前記ミラー部と前記第1アクチュエータとが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードを励起させる請求項12から15のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。
[請求項17]
 前記第2共振モードとして、前記第1アクチュエータおよび前記ミラー部と前記第2アクチュエータとが互いに逆位相で傾き振動する共振モードのうち最も低次モードを励起させる請求項12から16のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスの駆動方法。

図面

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[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

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