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1. WO2020188866 - 圧電デバイス

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明 細 書

発明の名称 圧電デバイス

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044  

実施例

0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

符号の説明

0087  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26  

明 細 書

発明の名称 : 圧電デバイス

技術分野

[0001]
本発明は、圧電デバイスに関する。

背景技術

[0002]
特許文献1~4には、指紋等の生体情報を検知するために用いられる圧電デバイスが開示されている。
[0003]
特許文献1には、圧電セラミック要素のアレイと、一組の電子機器とを備えるバイオメトリック感知装置が開示されている。特許文献1に記載のバイオメトリック感知装置において、上記電子機器及び要素は、指の指紋の少なくとも1つの2次元画像をエンコードする第1の組のデータを得るための第1のモードで動作可能であり、かつ上記指内に埋め込まれた組織内に位置する1つ以上の皮下組織構造の少なくとも1つの3次元表現をエンコードする第2の組のデータを得るための第2のモードで動作可能である。特許文献1には、上記要素が1-3コンポジットから構成されることが記載されており、図1Bには、柱状の要素の間が充填材料で埋められた1-3コンポジットの構造が示されている。
[0004]
特許文献2には、指紋等の生体測定データ又は情報を取得するための圧電デバイスとして、感知要素のアレイを備える感知デバイスが開示されている。特許文献2に記載の感知デバイスにおいて、上記感知要素は、音響インピディオグラフィ原理に基づいて動作する。特許文献2の図6及び図7Aには、特許文献1と同様に、柱状の圧電セラミック要素の間が充填材料で埋められた1-3コンポジットの構造が示されている。特許文献2には、指紋の隆起(山)によって要素に与えられる負荷と指紋のくぼみ(谷)によって要素に与えられる負荷との違いを利用して、指紋を画像化することが記載されている。
[0005]
特許文献3及び4にも、音響インピディオグラフィ原理に基づく感知デバイスが開示されており、ポリマー等のマトリクス材料の中に圧電ピラーが埋め込まれた1-3コンポジットの構造が記載されている。特許文献3及び4には、ピラーが縦モードで振動すると剪断波が発生し、これらの剪断波がエネルギーの実質的な損失を生じさせることにより、ピラーの振動を減衰させていることが記載されている。特許文献3及び4では、マトリクス材料内の剪断波の発生及び伝搬を考慮した結果、近傍のピラーが剪断波を反射して、剪断波が発生したピラーに返すようにピラーを配列させており、具体的には、ピラー間の距離が剪断波の1/4波長である場合に剪断波の反射効果が最適化されることが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 米国特許出願公開第2014/0219521号明細書(特表2016-513983号公報)
特許文献2 : 米国特許出願公開第2010/0237992号明細書(特表2012-521597号公報)
特許文献3 : 米国特許出願公開第2009/0279747号明細書(特表2011-524036号公報)
特許文献4 : 米国特許出願公開第2009/0279751号明細書(米国特許第8,335,356号明細書)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
特許文献1及び2では、1-3コンポジットの構造について説明されているものの、どのような構造であれば特性が向上するかについては記載も示唆もされていない。一方、特許文献3及び4では、マトリクス材料内に伝わる剪断波の波長とピラー間の距離との関係に着目したものではあるが、実用的であるとは言い難かった。
[0008]
本発明者は、1-3コンポジットの構造が特性に与える影響を検討した結果、圧電ピラーの隙間に充填される樹脂部の厚み縦方向の共振周波数も特性に影響することが判明した。しかし、従来の技術では、樹脂部の厚み縦方向の共振周波数については設計時に考慮されていないため、樹脂部の振動によって圧電ピラーの振動が阻害されるという問題が生じていた。また、従来の技術では、上記問題を回避する設計指針が示されていなかった。
[0009]
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、樹脂部の振動に起因する圧電ピラーの振動特性の悪化を低減できる圧電デバイスを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
本発明の圧電デバイスは、圧電セラミックで構成される柱状の圧電ピラーを複数本含み、上記複数本の圧電ピラーは、その高さ方向が平行となるように行方向及び列方向に沿って2次元アレイ状に配置された圧電アレイと、上記複数本の圧電ピラーの隙間に充填された樹脂部と、上記列方向に延びる第1電極線を複数本含み、上記複数本の第1電極線は、上記圧電アレイの上記列方向に沿って並んで配置され、上記圧電ピラーの第1端部に接続された第1電極と、上記行方向に延びる第2電極線を複数本含み、上記複数本の第2電極線は、上記圧電アレイの上記行方向に沿って並んで配置され、上記圧電ピラーの第2端部に接続された第2電極と、を備える圧電デバイスであって、上記圧電ピラー及び上記樹脂部は、いずれも厚み縦振動モードで共振振動し、上記圧電ピラーの共振周波数に対して上記樹脂部の共振周波数が15%以上高い。

発明の効果

[0011]
本発明によれば、樹脂部の振動に起因する圧電ピラーの振動特性の悪化を低減できる圧電デバイスを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 図1は、本発明の圧電デバイスの一例を模式的に示す斜視図である。
[図2] 図2は、図1に示す圧電デバイスの分解斜視図である。
[図3] 図3(a)は、圧電ピラーの厚み縦振動モードの説明図である。図3(b)は、圧電ピラーの共振時の変位図である。
[図4] 図4(a)は、樹脂部の厚み縦振動モードの説明図である。図4(b)は、樹脂部の共振時の変位図である。
[図5] 図5(a)、図5(b)、図5(c)及び図5(d)は、図1に示す圧電デバイスの各断面図である。
[図6] 図6は、圧電ピラーの変位の周波数依存性を示すグラフである。
[図7] 図7は、圧電ピラーの共振周波数と樹脂部の共振周波数との差の影響を示すグラフである。
[図8] 図8は、圧電ピラーの1本のサイズに対する共振抵抗の変化率の関係を示すグラフである。
[図9] 図9は、超音波による指紋の検知原理を模式的に示す説明図である。
[図10] 図10は、実施例1の圧電デバイスの代表例を模式的に示す平面図である。
[図11] 図11は、圧電ピラーのサイズを変化させたときのFEM解析結果を示すグラフである。
[図12] 図12は、圧電ピラーのサイズと圧電ピラーの変位とのFEM解析結果を示すグラフである。
[図13] 図13は、実施例2の圧電デバイスの代表例を模式的に示す断面図である。
[図14] 図14は、樹脂部の厚みを変化させたときのFEM解析結果を示すグラフである。
[図15] 図15(a)、図15(b)及び図15(c)は、実施例3の圧電デバイスの代表例を模式的に示す平面図である。図15(d)は、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅と同等である圧電デバイスを模式的に示す平面図である。
[図16] 図16は、樹脂部を覆う電極の幅を変化させたときのFEM解析結果を示すグラフである。
[図17] 図17は、実施例3の圧電デバイスの変形例を模式的に示す平面図である。
[図18] 図18は、実施例4の圧電デバイスの代表例を模式的に示す断面図である。
[図19] 図19は、実施例5の圧電デバイスの代表例を模式的に示す断面図である。
[図20] 図20は、樹脂部にずれる電極線のカバー率が75%である場合のインピーダンス波形の実測値を示すグラフである。
[図21] 図21は、樹脂部にずれる電極線のカバー率を変化させたときのFEM解析結果を示すグラフである。
[図22] 図22は、樹脂部にずれる電極線のカバー率が80%である場合の樹脂部の共振時の変位図である。
[図23] 図23は、樹脂部にずれる電極線のカバー率と樹脂部の共振の変位との関係を示すグラフである。
[図24] 図24(a)は、細かい番手で研削した際の写真である。図24(b)は、粗い番手で研削した際の写真である。
[図25] 図25(a)は、圧電ピラーの周囲が2μm凹んだモデルを示す斜視図である。図25(b)は、図25(a)に示すモデルの断面図である。
[図26] 図26は、図25(a)及び図25(b)に示すモデルのFEM解析結果を示すグラフである。変位モニター部分は樹脂部である。

発明を実施するための形態

[0013]
以下、本発明の圧電デバイスについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
[0014]
図1は、本発明の圧電デバイスの一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す圧電デバイスの分解斜視図である。
図1に示す圧電デバイス1は、図2に示すように、圧電アレイ10と、樹脂部20と、第1電極30と、第2電極40とを備える。
[0015]
圧電アレイ10は、図2に示すように、柱状の圧電ピラー11を複数本含む。複数本の圧電ピラー11は、その高さ方向(厚み方向)が平行となるように行方向及び列方向に沿って2次元アレイ状に配置されている。圧電アレイ10の行方向及び列方向と直交する方向を圧電アレイ10の厚み方向としたとき、圧電アレイ10の厚み方向は、圧電ピラー11の高さ方向と平行である。また、圧電アレイ10の行方向及び列方向は、互いに直交することが望ましい。
[0016]
圧電ピラー11は、高さ方向に分極処理が行われている。分極方向は、高さ方向であれば上方向でも下方向でも構わないが、すべての圧電ピラー11で同じ方向にしておく必要がある。
[0017]
圧電ピラー11は、圧電セラミックで構成される。圧電セラミックは、上下方向の圧電定数d33が高い方が望ましく、例えば、ソフト材が使用される。
[0018]
圧電アレイ10のピッチは、連邦捜査局(FBI)が採用している指紋の解像度500dpiを参考にしており、例えば、50.8μmのピッチで圧電ピラー11が配列される。圧電ピラー11のピッチは、行方向及び列方向で同じであることが望ましい。
[0019]
指紋等の生体情報を検知するために充分な面積を確保する観点から、圧電アレイ10は、例えば、120行×120列=14,400本の圧電ピラー11で構成される。
[0020]
圧電ピラー11の形状は、四角柱であることが望ましいが、円柱であってもよい。圧電ピラー11の形状が四角柱である場合、圧電アレイ10の厚み方向から見た圧電ピラー11の平面形状は、正方形であることが望ましい。
[0021]
圧電ピラー11の高さ(厚み)は、後述する厚み縦振動の共振周波数に関わる。医療で使用される超音波エコーの周波数は2.5MHz以上3.5MHz以下であることが一般的だが、指紋や微小な血管等の生体情報を検知するためには、より平面方向の分解能が要求される。その場合、およそ20MHzの周波数が適当であるため、厚み縦振動の共振周波数を20MHz付近に合わせようとすると、圧電ピラー11の高さは70μmに設定される。
[0022]
樹脂部20は、圧電アレイ10を構成する複数本の圧電ピラー11の隙間に充填されている。言い換えると、樹脂部20には、複数本の圧電ピラー11が埋め込まれている。圧電アレイ10及び樹脂部20により1-3コンポジットが構成される。
[0023]
樹脂部20には、圧電ピラー11を独立に振動させつつ、それぞれの圧電ピラー11の配列を保持する役割がある。
[0024]
図1及び図2では、樹脂部20の厚みは、圧電ピラー11の高さと同一である。しかし、樹脂部20の厚み方向の共振を高周波に配置することを考えると、圧電ピラー11の高さよりも樹脂部20の厚みが小さいことが望ましい。
[0025]
第1電極30は、駆動用の電極(Tx用電極)である。第1電極30は、図2に示すように、列方向に延びる第1電極線31を複数本含む。複数本の第1電極線31は、圧電アレイ10の列方向に沿って並んで配置され、圧電ピラー11の第1端部11aに接続されている。図1及び図2では、第1電極線31は圧電ピラー11の上端に接続され、圧電アレイ10の列方向の同一直線状のすべての圧電ピラー11に接続されている。例えば、圧電アレイ10が120行×120列=14,400本の圧電ピラー11で構成される場合、第1電極30は120列の第1電極線31で構成され、すべての圧電ピラー11の上端をカバーする。
[0026]
第2電極40は、受信用の電極(Rx用電極)である。第2電極40は、図2に示すように、行方向に延びる第2電極線41を複数本含む。複数本の第2電極線41は、圧電アレイ10の行方向に沿って並んで配置され、圧電ピラー11の第2端部11bに接続されている。図1及び図2では、第2電極線41は圧電ピラー11の下端に接続され、圧電アレイ10の行方向の同一直線状のすべての圧電ピラー11に接続されている。例えば、圧電アレイ10が120行×120列=14,400本の圧電ピラー11で構成される場合、第2電極40は120行の第2電極線41で構成され、すべての圧電ピラー11の下端をカバーする。
[0027]
ここで、超音波を出力させるときの駆動方法と超音波の受信方法について説明する。例えば、図1に示す圧電デバイス1を構成する圧電アレイ10の中央の圧電ピラー11を駆動させる場合、第1電極30の中央の第1電極線31に駆動用の電圧(例えば、20MHz、10Vppなど)を掛け、第2電極40の中央の第2電極線41をグランド(GND)にすれば、中央の圧電ピラー11が振動する。その他の電極線は浮き電極である。一方、中央の圧電ピラー11で超音波を受信する場合には、第1電極30の中央の第1電極線31をGNDにして、第2電極40の中央の第2電極線41の電圧を取り出せば、超音波を検知することができる。
[0028]
図1に示す圧電デバイス1では、圧電ピラー11及び樹脂部20は、いずれも厚み縦振動モードで共振振動する。
[0029]
図3(a)は、圧電ピラーの厚み縦振動モードの説明図である。
図3(a)に示すように、圧電ピラー11の厚み縦振動モードとは、1-3コンポジットの厚み方向、すなわち、圧電アレイ10及び樹脂部20の厚み方向に圧電ピラー11が振動するモードであり、圧電ピラー11の上端と下端が逆位相(上端が上に変位したときに下端は下に変位する)で振動するモードである。
[0030]
図3(b)は、圧電ピラーの共振時の変位図である。
図3(b)に示すコンター図は、図1及び図2に示すモデルをFEM(有限要素法、Finite Element Method)で解析した変位図である。図3(b)では、中央の圧電ピラーを圧電ピラーの厚み縦振動の共振点で振動させており、変位量の大小が色分けされている。図3(b)に示すように、中央の圧電ピラーだけを振動させた場合であっても、周囲の圧電ピラーの共振周波数も中央の圧電ピラーの周波数と同じであるため、周囲の圧電ピラーも影響を受けて振動している。なお、厚み縦振動には厚みが影響し、厚みが大きくなると波長が長くなるため、厚み縦振動の共振周波数は低くなる。
[0031]
同様に、図4(a)は、樹脂部の厚み縦振動モードの説明図である。図4(b)は、樹脂部の共振時の変位図である。
[0032]
樹脂部20の厚みは圧電ピラー11の高さとほぼ同じであるため、樹脂部20の厚み縦振動の共振周波数は、圧電ピラー11の共振の近辺であることが多い。また、厚み縦振動には、厚みの他に、音速(ヤング率、密度)や振動面積の広さも影響する。一般に、圧電ピラー11のサイズの方が樹脂部20のサイズに比べて大きいため、樹脂部20の共振周波数は圧電ピラー11の共振周波数よりも高周波にある。
[0033]
しかし、樹脂部の共振周波数が圧電ピラーの共振周波数に近づくと、圧電ピラーの振動が阻害されてしまう。
[0034]
図5(a)、図5(b)、図5(c)及び図5(d)は、図1に示す圧電デバイスの各断面図である。図5(a)はA-A線断面図、図5(b)はB-B線断面図、図5(c)及び図5(d)はC-C線断面図を示している。
[0035]
図5(a)に示すように、樹脂部20の領域で第1電極30がない部分では全体の厚みが小さいため、より高周波に共振がある。これに対し、図5(b)及び図5(c)に示すように、第1電極30がある部分では周波数が低くなるため、樹脂部20の共振周波数は圧電ピラー11の共振周波数に近くなる。さらに、図5(d)に示すように、第1電極30のパターンがずれてしまうと、樹脂部20が第1電極30及び第2電極40の両方で挟まれることにより、樹脂部20の共振周波数が圧電ピラー11の共振周波数により近くなり、特性が悪化する原因になる。
[0036]
本発明の圧電デバイスでは、圧電ピラーの共振周波数に対して樹脂部の共振周波数が15%以上高いことを特徴としている。これにより、樹脂部の振動に起因する圧電ピラーの振動特性の悪化を軽減できる。
[0037]
圧電ピラーを圧電ピラーの共振周波数で駆動する場合、圧電ピラーの共振周波数と樹脂部の共振周波数が近いと、圧電ピラーの振動の位相と樹脂部の振動の位相とが異なるため、振動が打ち消し合う形となってしまう。さらに、樹脂部の共振周波数と近いところで圧電ピラーが駆動することになるため、樹脂部の振幅が大きくなり、振動を打ち消し合う力が大きくなる。
[0038]
図6は、圧電ピラーの変位の周波数依存性を示すグラフである。
図6には、圧電ピラーを共振周波数付近で駆動させたときの変位が示されている。共振周波数から高周波側に7.5%のところに、ピークに対して1/2の変位となる周波数がある。当然、樹脂部の共振が7.5%より近づくと、圧電ピラーの振動に大きく影響を与えると考えられる。一方、樹脂部の共振が15%以上離れると、圧電ピラーの振動自体が1/4以下になるため、圧電ピラーの振動に対する影響が小さくなると予想できる。
[0039]
図7は、圧電ピラーの共振周波数と樹脂部の共振周波数との差の影響を示すグラフである。図7には、圧電アレイのピッチに対して圧電ピラーの1本のサイズが60%又は80%であり、圧電アレイの厚み方向から見た平面形状が正方形である圧電ピラーのインピーダンス波形の実験値が示されている。なお、圧電ピラーの1本のサイズとは、圧電ピラーの上端から下端までの平均を意味する。
[0040]
図7に示すインピーダンス波形では、インピーダンスが一番小さい周波数(図7中、A1又はA2で示す点)が共振点であり、その点のインピーダンスを共振抵抗と言う。一般的に、共振抵抗が小さいほど良い振動子と見なされる。図7に示すインピーダンス波形では、途中に凹んだ点(図7中、B1又はB2で示す点)がある。これは樹脂部の共振による影響であり、この点を樹脂部の共振周波数と見なすことができる。圧電ピラーの1本のサイズが60%である場合は点B2で示す周波数11%付近、80%である場合は点B1で示す周波数19%付近に樹脂部の共振周波数がある。また、圧電ピラーの1本のサイズが60%である場合の共振抵抗が点A2で示す116Ωであるのに対して、80%である場合の共振抵抗は点A1で示す31Ωであるため、1/4程度小さくなっている。
[0041]
図8は、圧電ピラーの1本のサイズに対する共振抵抗の変化率の関係を示すグラフである。図8には、FEMによる計算値が示されている。
圧電ピラーの1本のサイズを60%から80%に変更する場合、圧電ピラーの1本のサイズは面積で2倍近く大きくなるため、図8に示すように原理的には共振抵抗が1/2になるはずである。これに対し、図7に示すように共振抵抗が1/4程度小さくなるのは、樹脂部の振動の影響が小さくなったからに他ならないと考えられる。
[0042]
本発明の圧電デバイスにおいて、樹脂部の共振周波数は、圧電ピラーの共振周波数に対して200%以下であることが望ましい。樹脂部の共振周波数が圧電ピラーの共振周波数に対して200%を超えることは、樹脂部のヤング率が高くなること、もしくは樹脂部の領域が小さいことを意味するため、圧電ピラー間の樹脂が実質的に硬いことを意味する。つまり、圧電ピラー同士の独立性が悪くなるため、解像度が悪くなる。また、圧電ピラー間の樹脂が硬いということは、圧電ピラーの振動を阻害し、振幅が小さくなる弊害がある。
[0043]
本発明の圧電デバイスは、例えば、指紋や微小な血管等の生体情報を検知するために用いることができる。そのため、指紋センサ等の生体認証に用いることができる。
[0044]
図9は、超音波による指紋の検知原理を模式的に示す説明図である。
図9では、下から順に、指紋センサ51、第1機能性フィルム52、有機EL(OLED)ディスプレイ53、第2機能性フィルム54、カバーガラス55及び指紋56が配置されている。指紋56は、山の部分と谷の部分を備えており、指紋56の山がカバーガラス55の表面に接触しており、指紋56の谷はカバーガラス55の表面に接触していない。指紋センサ51として、例えば、図1及び図2に示す圧電デバイス1が用いられる。指紋センサ51の圧電ピラー11を振動させることで、指紋56が存在する方向へ超音波を発生させることができる。超音波を発生した圧電ピラー11の直上に指紋56の山が存在する場合、超音波が指の中に進入していき、反射はあまり起こらない。一方、超音波を発生した圧電ピラー11の直上に指紋56の谷が存在する場合、カバーガラス55と指紋56との間に空気層が存在する。ガラスと空気の音響インピーダンスは大きく異なる(ガラス:13.2×10 kg/m ・s、空気:428kg/m ・s)ため、すべての超音波が反射して圧電ピラー11に戻ってくる。圧電ピラー11は戻ってきた超音波により振動し、電気信号を出力する。これにより、指紋を検知することができる。
実施例
[0045]
以下、本発明の圧電デバイスをより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。また、異なる実施例で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能である。
[0046]
(実施例1)
実施例1の圧電デバイスでは、圧電ピラーの共振周波数に対して樹脂部の共振周波数が15%以上高く、圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、圧電アレイの1ドットの面積に対して圧電ピラーの1本の面積が49%以上である。
[0047]
例えば、圧電アレイの厚み方向から見た圧電ピラーの平面形状が正方形又は円形である場合、圧電ピラーの共振周波数に対して樹脂部の共振周波数が15%以上高く、厚み方向から平面視したとき、圧電アレイのピッチに対して圧電ピラーの1本のサイズが70%以上である。
[0048]
図10は、実施例1の圧電デバイスの代表例を模式的に示す平面図である。
図10には、圧電ピラー11のサイズをD 、圧電アレイ10のピッチをD 、圧電ピラー11の面積をS 、圧電アレイ10の1ドットの面積をS で示している。
ここで、圧電ピラー11のサイズ及び面積は、圧電ピラー11の上端から下端までの平均を意味する。同様に、圧電アレイ10のピッチ及び1ドットの面積は、圧電アレイ10の上端から下端までの平均を意味する。
[0049]
図11は、圧電ピラーのサイズを変化させたときのFEM解析結果を示すグラフである。変位モニター部分は樹脂部であり、具体的には、樹脂部に電極が覆われた部分の変位である。
図11中、低周波(左側)のピークは圧電ピラーの共振によるもの、高周波(右側)のピークは樹脂部の共振によるものである。図11より、圧電ピラーのサイズが大きくなると樹脂部の共振は高周波に移動し、ピークの変位も小さくなることが分かる。
[0050]
実施例1において、圧電ピラーの1本のサイズは、圧電アレイのピッチに対して70%以上である限り特に限定されないが、樹脂部が小さくなると圧電ピラー間の距離が近くなるため、全体的に硬くなり、圧電ピラーの変位が小さくなる。
[0051]
図12は、圧電ピラーのサイズと圧電ピラーの変位とのFEM解析結果を示すグラフである。
図12では、圧電ピラーのサイズが70%以上であれば樹脂部の共振の影響がない状態であるが、圧電ピラーのサイズが84%を超えると柔らかい樹脂部が小さくなるため、変位がむしろ小さくなる。
[0052]
図12の結果より、圧電ピラーの1本のサイズは、圧電アレイのピッチに対して84%以下であることが望ましい。同様に、圧電ピラーの1本の面積は、圧電アレイの1ドットの面積に対して71%以下であることが望ましい。
[0053]
実施例1の圧電デバイスは、以下に示す少なくとも1つの構成を有してもよい。
・圧電ピラーの高さよりも樹脂部の厚みが小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅よりも小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の厚みが圧電ピラーを覆う電極線の厚みよりも小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部にずれる電極線のカバー率が30%以下である。
・圧電ピラーの第1端部及び第2端部の少なくとも一方において、圧電ピラーの周囲の凹みの長さが圧電ピラーの周囲の長さに対して50%以下である。
[0054]
(実施例2)
実施例2の圧電デバイスでは、圧電ピラーの共振周波数に対して樹脂部の共振周波数が15%以上高く、圧電ピラーの高さよりも樹脂部の厚みが小さい。
[0055]
図13は、実施例2の圧電デバイスの代表例を模式的に示す断面図である。
図13では、圧電ピラー11の高さよりも樹脂部20の厚みが小さく、圧電ピラー11の上下面に対して小さくなっている。圧電ピラー11の高さよりも樹脂部20の厚みが小さい限り、圧電ピラー11の上面のみに対して小さくてもよく、下面のみに対して小さくてもよい。
[0056]
通常、圧電デバイスは、研削もしくは研磨によって所望の厚みに加工される。このとき、セラミックは硬いため削れやすく、樹脂は柔らかいため削れにくい。さらに、砥石などで加圧しながら削ると、樹脂は柔らかいため容易に縮むが、セラミックは硬いため縮むことができない。したがって、セラミックが先に削れていく。その結果、圧電ピラーの高さに比べて樹脂部の厚みの方が大きくなりやすい。しかし、樹脂部の厚みが大きいと、樹脂部の共振が低周波にシフトするため、圧電ピラーの振動に悪影響を与える。そこで、機械的に研削もしくは研磨をした後、O プラズマなどによるアッシングで樹脂部を焼き飛ばし、圧電ピラーよりも薄くすることにより、樹脂部の共振が高周波にシフトし、ピラーの振動特性を改善することができる。
[0057]
図14は、樹脂部の厚みを変化させたときのFEM解析結果を示すグラフである。変位モニター部分は樹脂部である。図14には、70μmである圧電ピラーの高さに対して樹脂部の厚みが同等であるもの、上下面それぞれ2μm薄くしたもの、及び、上下面それぞれ2μm厚くしたものについてのFEM解析結果が示されている。図14より、樹脂部の厚みが大きいと樹脂部の共振が圧電ピラーの共振に近くなることが分かる。
[0058]
実施例2の圧電デバイスは、以下に示す少なくとも1つの構成を有してもよい。
・圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、圧電アレイの1ドットの面積に対して圧電ピラーの1本の面積が49%以上である。
・厚み方向から平面視したとき、圧電アレイのピッチに対して圧電ピラーの1本のサイズが70%以上である。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅よりも小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の厚みが圧電ピラーを覆う電極線の厚みよりも小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部にずれる電極線のカバー率が30%以下である。
・圧電ピラーの第1端部及び第2端部の少なくとも一方において、圧電ピラーの周囲の凹みの長さが圧電ピラーの周囲の長さに対して50%以下である。
[0059]
(実施例3)
実施例3の圧電デバイスでは、圧電ピラーの共振周波数に対して樹脂部の共振周波数が15%以上高く、第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅よりも小さい。
[0060]
実施例3の圧電デバイスでは、第1電極及び第2電極のいずれか一方において、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅よりも小さくてもよいし、第1電極及び第2電極の両方において、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅よりも小さくてもよい。
[0061]
図15(a)、図15(b)及び図15(c)は、実施例3の圧電デバイスの代表例を模式的に示す平面図である。図15(d)は、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅と同等である圧電デバイスを模式的に示す平面図である。
図15(a)では、樹脂部20を覆う第1電極線31は、圧電アレイの厚み方向に貫通する開口32を有する。図15(b)では、樹脂部20を覆う第1電極線31は、一辺に切り欠き33を有する。図15(c)では、樹脂部20を覆う第1電極線31は、二辺に切り欠き33を有する。
[0062]
図16は、樹脂部を覆う電極の幅を変化させたときのFEM解析結果を示すグラフである。変位モニター部分は樹脂部である。電極a、電極b、電極c及び電極dの平面形状は、それぞれ図15(a)、図15(b)、図15(c)及び図15(d)に対応している。また、電極a、電極b及び電極cは、電極dに比べて樹脂部を覆う電極線の幅の和が圧電ピラーを覆う電極線の幅の2/3になっている。図16より、電極a、電極b及び電極cでは、電極dに比べて樹脂部の共振が高周波に移動していることが分かる。また、電極aのように、樹脂部を覆う電極線が開口を有すると、樹脂部の共振の変位が小さくなることが分かる。
[0063]
図17は、実施例3の圧電デバイスの変形例を模式的に示す平面図である。
図17に示すように、樹脂部20を覆う第1電極線31が横に逃げるようなパターンであってもよい。
[0064]
実施例3の圧電デバイスは、以下に示す少なくとも1つの構成を有してもよい。
・圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、圧電アレイの1ドットの面積に対して圧電ピラーの1本の面積が49%以上である。
・厚み方向から平面視したとき、圧電アレイのピッチに対して圧電ピラーの1本のサイズが70%以上である。
・圧電ピラーの高さよりも樹脂部の厚みが小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の厚みが圧電ピラーを覆う電極線の厚みよりも小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部にずれる電極線のカバー率が30%以下である。
・圧電ピラーの第1端部及び第2端部の少なくとも一方において、圧電ピラーの周囲の凹みの長さが圧電ピラーの周囲の長さに対して50%以下である。
[0065]
(実施例4)
実施例4の圧電デバイスでは、圧電ピラーの共振周波数に対して樹脂部の共振周波数が15%以上高く、第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の厚みが圧電ピラーを覆う電極線の厚みよりも小さい。
[0066]
実施例4の圧電デバイスでは、第1電極及び第2電極のいずれか一方において、樹脂部を覆う電極線の厚みが圧電ピラーを覆う電極線の厚みよりも小さくてもよいし、第1電極及び第2電極の両方において、樹脂部を覆う電極線の厚みが圧電ピラーを覆う電極線の厚みよりも小さくてもよい。
[0067]
図18は、実施例4の圧電デバイスの代表例を模式的に示す断面図である。
図18では、樹脂部20を覆う第1電極線31の厚みが圧電ピラー11を覆う第1電極線31の厚みよりも小さい。
[0068]
実施例4の圧電デバイスにおいても、実施例3の圧電デバイスと同様に、樹脂部の共振周波数を高周波化することができる。
[0069]
実施例4の圧電デバイスは、以下に示す少なくとも1つの構成を有してもよい。
・圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、圧電アレイの1ドットの面積に対して圧電ピラーの1本の面積が49%以上である。
・厚み方向から平面視したとき、圧電アレイのピッチに対して圧電ピラーの1本のサイズが70%以上である。
・圧電ピラーの高さよりも樹脂部の厚みが小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅よりも小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部にずれる電極線のカバー率が30%以下である。
・圧電ピラーの第1端部及び第2端部の少なくとも一方において、圧電ピラーの周囲の凹みの長さが圧電ピラーの周囲の長さに対して50%以下である。
[0070]
(実施例5)
実施例5の圧電デバイスでは、圧電ピラーの共振周波数に対して樹脂部の共振周波数が15%以上高く、第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部にずれる電極線のカバー率が30%以下である。樹脂部にずれる電極線のカバー率は、0%であってもよい。
[0071]
実施例5の圧電デバイスでは、第1電極及び第2電極のいずれか一方において、樹脂部にずれる電極線のカバー率が30%以下であってもよいし、第1電極及び第2電極の両方において、樹脂部にずれる電極線のカバー率が30%以下であってもよい。
[0072]
図19は、実施例5の圧電デバイスの代表例を模式的に示す断面図である。
図19では、第1電極線31が樹脂部20にずれており、第1電極線31の一部が樹脂部20を覆っている。樹脂部20にずれる第1電極線31のカバー率とは、樹脂部20の幅W 20に対する、樹脂部20を覆う第1電極線31の幅W 31の割合を意味する。樹脂部20にずれる第2電極線41のカバー率も同様に、樹脂部20の幅W 20に対する、樹脂部20を覆う第2電極線41の幅W 41(図示せず)の割合を意味する。
[0073]
図5(d)において説明したように、樹脂部20の上下面とも第1電極線31及び第2電極線41で覆われると、樹脂部20の共振が低周波化し、かつ、振幅が大きくなる。
[0074]
図20は、樹脂部にずれる電極線のカバー率が75%である場合のインピーダンス波形の実測値を示すグラフである。
図20より、樹脂部にずれる電極線のカバー率が75%であると、樹脂部の共振が多数発生していることが分かる。
[0075]
図21は、樹脂部にずれる電極線のカバー率を変化させたときのFEM解析結果を示すグラフである。変位モニター部分は樹脂部である。図22は、樹脂部にずれる電極線のカバー率が80%である場合の樹脂部の共振時の変位図である。
図21及び図22より、樹脂部にずれる電極線のカバー率が50%よりも大きくなると、樹脂部の共振が多数発生していることが分かる。
[0076]
図23は、樹脂部にずれる電極線のカバー率と樹脂部の共振の変位との関係を示すグラフである。
図21及び図23より、樹脂部にずれる電極線のカバー率を30%以下にすることにより、樹脂部の共振の発生が抑えられることが分かる。
[0077]
実施例5の圧電デバイスは、以下に示す少なくとも1つの構成を有してもよい。
・圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、圧電アレイの1ドットの面積に対して圧電ピラーの1本の面積が49%以上である。
・厚み方向から平面視したとき、圧電アレイのピッチに対して圧電ピラーの1本のサイズが70%以上である。
・圧電ピラーの高さよりも樹脂部の厚みが小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅よりも小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の厚みが圧電ピラーを覆う電極線の厚みよりも小さい。
・圧電ピラーの第1端部及び第2端部の少なくとも一方において、圧電ピラーの周囲の凹みの長さが圧電ピラーの周囲の長さに対して50%以下である。
[0078]
(実施例6)
実施例6の圧電デバイスでは、圧電ピラーの共振周波数に対して樹脂部の共振周波数が15%以上高く、圧電ピラーの第1端部及び第2端部の少なくとも一方において、圧電ピラーの周囲の凹みの長さが圧電ピラーの周囲の長さに対して50%以下である。圧電ピラーの周囲の凹みの長さは圧電ピラーの周囲の長さに対して0%であってもよい。
[0079]
実施例6の圧電デバイスでは、圧電ピラーの第1端部及び第2端部のいずれか一方において、圧電ピラーの周囲の凹みの長さが圧電ピラーの周囲の長さに対して50%以下であってもよいし、圧電ピラーの第1端部及び第2端部の両方において、圧電ピラーの周囲の凹みの長さが圧電ピラーの周囲の長さに対して50%以下であってもよい。
[0080]
第1電極及び第2電極のパターンは、通常、リソグラフィによる蒸着リフトオフにより形成される。微細な電極を形成しようとすると、1-3コンポジットを構成する圧電アレイ及び樹脂部の表面粗さを細かくする必要がある。この際、細かい番手で削ると、樹脂とセラミックとの界面付近のセラミックが脱粒を起こし、圧電ピラーの周囲に深さ数μm程度の凹みが形成されてしまう。これは、番手が細かいと効率良く削れないため、圧力をかけながら研削する必要があり、その圧力で周辺部のセラミックの脱粒を起こしてしまうためである。なお、脱粒とは、圧電ピラーを構成するセラミックのグレイン(粒径数μm)が剥がれることを意味する。
[0081]
図24(a)は、細かい番手で研削した際の写真である。セラミックや樹脂の表面は傷の少ない良好な状態であるが、白線で示した箇所において周辺部のセラミックの脱粒が起きている。一方、図24(b)は、粗い番手で研削した際の写真である。研削による傷が目立つが、白線で示すように周辺部のセラミックの脱粒はほとんど起きていない。
[0082]
このようなセラミックの脱粒によって圧電ピラーの周囲が凹むと、樹脂部の共振が低周波化して振幅が大きくなるため、圧電ピラーの共振の阻害要因となる。
[0083]
図25(a)は、圧電ピラーの周囲が2μm凹んだモデルを示す斜視図である。図25(b)は、図25(a)に示すモデルの断面図である。
[0084]
図26は、図25(a)及び図25(b)に示すモデルのFEM解析結果を示すグラフである。変位モニター部分は樹脂部である。
図26より、圧電ピラーの周囲が凹んでいないモデルに対して、圧電ピラーの周囲が2μm凹んだモデルでは、樹脂部の共振が低周波化し、振幅が大きくなっていることが分かる。
[0085]
実施例6の圧電デバイスは、以下に示す少なくとも1つの構成を有してもよい。
・圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、圧電アレイの1ドットの面積に対して圧電ピラーの1本の面積が49%以上である。
・厚み方向から平面視したとき、圧電アレイのピッチに対して圧電ピラーの1本のサイズが70%以上である。
・圧電ピラーの高さよりも樹脂部の厚みが小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の幅が圧電ピラーを覆う電極線の幅よりも小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部を覆う電極線の厚みが圧電ピラーを覆う電極線の厚みよりも小さい。
・第1電極及び第2電極の少なくとも一方において、樹脂部にずれる電極線のカバー率が30%以下である。
[0086]
その他、本発明の圧電デバイスは、上記実施例に限定されるものではなく、圧電デバイスの構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。

符号の説明

[0087]
1 圧電デバイス
10 圧電アレイ
11 圧電ピラー
11a 圧電ピラーの第1端部
11b 圧電ピラーの第2端部
20 樹脂部
30 第1電極
31 第1電極線
32 開口
33 切り欠き
40 第2電極
41 第2電極線
51 指紋センサ
52 第1機能性フィルム
53 有機EL(OLED)ディスプレイ
54 第2機能性フィルム
55 カバーガラス
56 指紋
 圧電アレイのピッチ
 圧電ピラーのサイズ
 圧電アレイの1ドットの面積
 圧電ピラーの面積
20 樹脂部の幅
31 樹脂部を覆う第1電極線の幅

請求の範囲

[請求項1]
圧電セラミックで構成される柱状の圧電ピラーを複数本含み、前記複数本の圧電ピラーは、その高さ方向が平行となるように行方向及び列方向に沿って2次元アレイ状に配置された圧電アレイと、
前記複数本の圧電ピラーの隙間に充填された樹脂部と、
前記列方向に延びる第1電極線を複数本含み、前記複数本の第1電極線は、前記圧電アレイの前記列方向に沿って並んで配置され、前記圧電ピラーの第1端部に接続された第1電極と、
前記行方向に延びる第2電極線を複数本含み、前記複数本の第2電極線は、前記圧電アレイの前記行方向に沿って並んで配置され、前記圧電ピラーの第2端部に接続された第2電極と、を備える圧電デバイスであって、
前記圧電ピラー及び前記樹脂部は、いずれも厚み縦振動モードで共振振動し、
前記圧電ピラーの共振周波数に対して前記樹脂部の共振周波数が15%以上高い、圧電デバイス。
[請求項2]
前記圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、前記圧電アレイの1ドットの面積に対して前記圧電ピラーの1本の面積が49%以上である、請求項1に記載の圧電デバイス。
[請求項3]
前記圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、前記圧電アレイの1ドットの面積に対して前記圧電ピラーの1本の面積が71%以下である、請求項2に記載の圧電デバイス。
[請求項4]
前記圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、前記圧電アレイのピッチに対して前記圧電ピラーの1本のサイズが70%以上である、請求項1に記載の圧電デバイス。
[請求項5]
前記圧電アレイの厚み方向から平面視したとき、前記圧電アレイのピッチに対して前記圧電ピラーの1本のサイズが84%以下である、請求項4に記載の圧電デバイス。
[請求項6]
前記圧電ピラーの高さよりも前記樹脂部の厚みが小さい、請求項1~5のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
[請求項7]
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方において、前記樹脂部を覆う電極線の幅が前記圧電ピラーを覆う電極線の幅よりも小さい、請求項1~6のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
[請求項8]
前記樹脂部を覆う電極線は、前記圧電アレイの厚み方向に貫通する開口を有する、請求項7に記載の圧電デバイス。
[請求項9]
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方において、前記樹脂部を覆う電極線の厚みが、前記圧電ピラーを覆う電極線の厚みよりも小さい、請求項1~8のいずれか1項に記載の圧電デバイス。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]