処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2020184671 - 活物質、電極、二次電池、電池パック及び車両

Document

明 細 書

発明の名称 活物質、電極、二次電池、電池パック及び車両

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

非特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012  

図面の簡単な説明

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 活物質、電極、二次電池、電池パック及び車両

技術分野

[0001]
 本発明の実施形態は、活物質、電極、二次電池、電池パック及び車両に係わる。

背景技術

[0002]
 リチウムイオン電池の車載用途、定置用途への適用が進むにつれて、更なる高容量化、長寿命化、高出力化が求められている。高容量正極活物質としては、近年、空間群R3/mに属する結晶構造を有し、組成式Li(Ni,Co,Mn)O 2で表されるリチウム-ニッケル-コバルト-マンガン複合酸化物が注目されている。これらの正極活物質は、遷移金属中のNi元素含有率を高めることで高容量化が可能となる一方で、充放電に伴う容量低下に伴う短寿命化が課題となっている。容量低下については、繰り返しの充放電に伴い正極活物質表面近傍において酸素原子が電解質との反応によって脱離し、電気化学的不活性な岩塩型構造層を形成することが主要因であるといわれている。
[0003]
 そこで、寿命特性を改善するために、例えば、層状結晶構造を有するリチウム金属複合酸化物の表面に、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti及びVからなる群より選択される金属の酸化物または複合金属酸化物の層を含むリチウム正極活物質が開示されている。
[0004]
 しかしながら、正極活物質と電解質との副反応を抑制するために、厚い複合金属酸化物層を形成すると、電池のレート特性が低下する問題がある。一方で、レート特性が低下しないように複合金属酸化物層を薄くすると、正極活物質表面の被覆性が低下しやすく、副反応の抑制が不十分になる恐れがある。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国特開2001‐291518号公報
特許文献2 : 日本国特開2017‐152275号公報

非特許文献

[0006]
非特許文献1 : 中井泉、泉富士夫編著「粉末X線解析の実際」、日本分析化学会X線分析研究懇談会編、朝倉書店

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 本発明が解決しようとする課題は、高容量でかつ長寿命を有する二次電池を実現することができる活物質、この活物質を含む電極及び二次電池、この二次電池を具備する電池パック、及びこの電池パックが搭載された車両を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 実施形態に係る活物質は、一般式 Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-t-uTa tM' u) sO 2で表される。ここで、MはLi、Ca、Mg、Al、Ti、V、Cr、Zr、Mo、Hf及びWから選択される一種以上の元素であり、M’はK、P、Fe、Si、Na、Cu及びZnから選択される一種以上の元素であり、1.0≦x≦1.3、0≦a≦0.9、0≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.5、a+b+c+d=1、0.005≦s≦0.3、0.0005≦t≦0.1、0≦u≦0.3を満たす。
[0009]
 他の実施形態に係る電極は、上記実施形態に係る活物質を含む。
[0010]
 さらに他の実施形態に係る二次電池は、正極と負極と電解質とを含む。正極は、上記実施形態に係る電極である。
[0011]
 またさらに他の実施形態に係る電池パックは、上記実施形態に係る二次電池を含む。
[0012]
 ことさら他の実施形態に係る車両には、上記実施形態に係る電池パックが搭載されている。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 第1の実施形態に係る一例の電池用活物質の空間群R3/mに属する結晶構造を有する結晶構造概念図。
[図2] 第1の実施形態に係る一例の電池用活物質の空間群C2/mに属する結晶構造を有する結晶構造概念図。
[図3] 第1の実施形態に係る一例の電池用活物質の空間群Fm-3mに属する結晶構造を有する結晶構造概念図。
[図4] 第2の実施形態に係る電極の断面概念図。
[図5] 第3の実施形態に係る一例の二次電池を示す概略断面図。
[図6] 図5の二次電池のA部の拡大断面図。
[図7] 第4の実施形態に係る組電池の一例を示す概略斜視図。
[図8] 第4の実施形態に係る一例の電池パックを示す分解斜視図。
[図9] 図8の電池パックの電気回路を示すブロック図。
[図10] 第5の実施形態に係る一例の車両を概略的に示す断面図。
[図11] 第5の実施形態に係る一例の車両を概略的に示す断面図。
[図12] 元素M’を含む電池用活物質の二次粒子を概略的に示す断面図
[図13] 元素M’を含まない電池用活物質の二次粒子を概略的に示す断面図。

実施形態

[0014]
 以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
[0015]
 (第1の実施形態)
 第1の実施形態に係る電池用活物質は、一般式 Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2で表される。ここで、MはLi、Ca、Mg、Al、Ti、V、Cr、Zr、Mo、Hf及びWから選択される一種以上の元素であり、1.0≦x≦1.3、0≦a≦0.9、0≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.5、a+b+c+d=1、0.005≦s≦0.3、0.0005≦t≦0.1を満たす。なお、以降Ni、Co、Mn、M、Nb、Taを総称して遷移金属と称する場合があるが、この場合の遷移金属とはNi、Co、Mn、M、Nb、Taをすべて表すのではなく、Ni、Co、Mn、M、Nb、Taのうち少なくとも1種について述べる場合にも用いる。なお、M元素のうちLi、Ca、Mg、Alは実際には遷移金属ではないものの、後述する結晶構造において遷移金属層内または遷移金属を含むカチオン層に配置されるため、ここでは遷移金属として扱う。本実施形態に係る電池用活物質は、例えば正極に用いることができる。
[0016]
 本実施形態に係る電池用活物質は空間群R3/m、C2/m及びFm-3mのいずれか一種に属する結晶構造を有することが好ましい。ここで図1から図3を用いて空間群R3/m、C2/m、Fm-3mについて説明する。図1は空間群R3/m、図2はC2/m、図3はFm-3mに属する結晶構造を有する結晶構造概念図である。図1から図3に示すように、空間群R3/m又はC2/mに属する結晶構造は、Li10が配列したリチウム層、遷移金属11が配列した遷移金属層及び酸素12が配列した酸素層からなる層状構造を有する。このような層状構造であることにより、リチウムイオンのリチウム層内における二次元拡散が可能となり、リチウムイオンの固体内拡散抵抗を低くすることができる。
[0017]
 空間群R3/m又はC2/mに属する結晶構造においては、Ni、Co、Mnが主な構成元素である遷移金属層に、これらの元素より価数の高い遷移金属元素を添加することによって、遷移金属―酸素間の共有結合性が向上し、遷移金属層と酸素層との結合性が向上して、容量低下の原因となる電池用活物質表面からの酸素脱離を抑制できる。添加する遷移金属としては、Nb及びTaが好ましい。これは、Nb及びTaは、空間群R3/m又はC2/mに属する結晶構造内で5価の価数を有し、Ni、Co、Mnの価数である2~4価と比べて高いためである。さらに、Nb及びTaのイオン半径は、Ni、Co、Mnと比べて同等か僅かに大きく、結晶構造への適合性が高いためである。
[0018]
 空間群Fm-3mに属する結晶構造においては、カチオン13であるLiと遷移金属が不規則に配列したカチオン層と、酸素12からなる酸素層を有する。このとき、充放電過程において酸化物イオンの酸化還元反応が生じるため、高容量を実現することができる。カチオン層にNbを用いることで、結晶構造を安定化することができる。また、添加したNbの一部をイオン半径の大きいTaで置換することによって、Li拡散経路が広くなり、固体内拡散抵抗を低減できる。固体内拡散抵抗が低減されれば、充放電過程における過電圧が低くなり、電極内の電位分布が小さくなることから、二次電池の寿命特性が向上する。
[0019]
 Nb及びTaの添加量sは0.005≦s≦0.3の範囲とすることが好ましい。添加量sが0.005より小さくなると、遷移金属層におけるNb及びTaの元素量が低いため、遷移金属層と酸素層との結合性が向上されにくい。一方で、Nb及びTaの添加量sが0.3より大きくなると、Nb及びTaは充放電中に価数変化が起こりにくいため、容量が低下する。添加量sの範囲は0.01≦s≦0.1とすることがより好ましい。添加量sを0.01≦s≦0.1の範囲とすることで、Nb及びTaの置換による容量低下が少ない、つまりより高容量であり、かつ長寿命な二次電池を実現できる活物質を得ることができる。
[0020]
 Nbと比べてイオン半径の大きいTaは、添加することで結晶構造の酸素格子の歪みが生じ、充放電時の遷移金属のリチウム層へのマイグレーションを抑制して、電池用活物質表面の岩塩型構造への構造変化を軽減する効果を有する。そのため、Nb及びTaの添加量の合計を1とした場合に対するTaの添加量tは0.0005≦t≦0.1であることが好ましい。添加量tが0.0005より小さくなると、酸素格子の歪みが生じにくく、遷移金属のリチウム層へのマイグレーションを抑制することが難しくなる。添加量tが0.1より大きいと酸素格子歪みが大きくなりすぎてリチウムイオンの固体内拡散を阻害し、容量低下やレート特性の低下の要因となる。より好ましい範囲は、0.001≦t≦0.01である。添加量tを0.001≦t≦0.01の範囲とすることで、適度な酸素格子歪みが生じ、高容量でかつ、より長寿命な二次電池を実現できる活物質を提供できる。
[0021]
 充放電サイクルに伴う容量低下の原因となる電池用活物質の岩塩型への構造変化は、電池用活物質に含まれる遷移金属と電解質との副反応に起因するため、電池用活物質表面近傍で生じる。このため、Nb及びTaを電池用活物質表面に偏在させることで、充放電サイクルに伴う容量低下をより防ぐことができる。Nb及びTa電池用活物質表面に偏在させるとは、本実施形態に係る電池用活物質の表面に存在するNb及びTaが、電池用活物質の内部に存在するNb及びTaよりもそれぞれ多いことを意味する。そのため、Nb及びTaは、電池用活物質表面に偏在している場合でも、電池用活物質内部に存在してよい。
[0022]
 詳しく述べると、同じsとtの値を持つ一般式 Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2で表される電池用活物質の間では、電池用活物質全体が有するNb及びTaが同量の場合、Nb及びTaが電池用活物質表面に偏在する活物質では表面偏在があることで、活物質表面への偏在がない活物質と比較して電池用活物質内部ではNb及びTaが少なくなる。つまり、一般式Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2で比較すると、活物質の表面で測定されるsと、活物質の内部で測定されるsでは、活物質表面のsのほうが大きい(活物質の表面で測定されるs>活物質の内部で測定されるs)。そのため、Nb及びTaが電池用活物質表面に偏在する電池用活物質では、Nb及びTaが電池用活物質表面に偏在しない電池用活物質内部に比べ、電池用活物質内部でのNb及びTa添加による容量減少が生じにくい。
[0023]
 さらに、Nb及びTaが電池用活物質表面に偏在することで、Nb及びTaが電池用活物質表面に偏在しない電池用活物質よりも電池用活物質表面に存在するNb及びTaが多くなり、電池用活物質表面近傍における、遷移金属層と酸素層との結合性及び酸素格子歪みが大きくなる。そのため、電池用活物質表面近傍における、酸素原子の脱離と、遷移金属のリチウム層へのマイグレーションを伴う岩塩型への構造変化を、より低減することができ、充放電サイクルに伴う容量低下をより抑制することができる。
[0024]
 電池用活物質の表面へのNb及びTaの偏在は、より電池用活物質の表面に近い部分に偏在している方が好ましい。電池用活物質の表面から内部へ向けて徐々にNb及びTaが少なくなるよりも、表面により偏ってNb及びTaが多く存在する方が、電池用活物質表面近傍における酸素原子の脱離と、遷移金属のリチウム層へのマイグレーションを伴う岩塩型への構造変化を、さらに低減することができ、充放電サイクルに伴う容量低下をより抑制することができる。
[0025]
 電池用活物質は、例えば粒子の形態で電極に含まれている。電池用活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、あるいは、単独の一次粒子と二次粒子の混合物であり得る。一次粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、繊維状等にすることができる。電池用活物質の平均一次粒子径は、単独の一次粒子である場合は、0.5~15 μm、より好ましくは1~10 μmであり、一次粒子が凝集体を形成し、二次粒子となる場合は1μm以下、より好ましくは0.05~0.5μmである。
[0026]
 電池用活物質の表面へのNb及びTaの偏在は、一次粒子でも二次粒子でも同様に生じる。これは後述する本実施形態に係る電池用活物質の表面へNb及びTaを偏在させる際に、電池用活物質の形状が一次粒子であるか、二次粒子であるかで決まるためである。二次粒子の電池用活物質の表面にNb及びTaが偏在している場合、二次粒子に含まれる一次粒子どうしではNb及びTaの存在は偏りが生じる場合もある。この偏りとは、二次粒子としてみた際に、二次粒子の表面に近い部分に存在する一次粒子のNb及びTaは、内部に近い部分に存在する一次粒子に比べて多くなることである。
[0027]
 上述のNb及びTaの偏在については、活物質の表面とは、平均一次粒子径が3μm以上の活物質については、活物質の外表面から内側へ向かって1μm未満の領域をいう。平均一次粒子径が3μm未満の活物質については、表面とは、活物質の外表面から内側へ向かって平均一次粒子径の30%までの領域をいう。そして活物質の内部とは、平均一次粒子径が3μm以上の活物質については活物質の外表面から1μm以上内側にある領域をいう。平均一次粒子径が3μm未満の活物質については、内部とは、活物質の外表面から内側へ向かって平均一次粒子径の30%を超える領域をいう。
[0028]
 例えば、平均一次粒子径が3μm以上である一次粒子状の活物質粒子の粒子表面から粒子内部へ1μm未満の領域を表面と見なし、それより内側の領域を内部と見なす。二次粒子状の活物質の場合は、例えば、平均一次粒子径が3μm以上である場合は二次粒子全体を単体としてみたときに、その表面から内部へ1μm未満の領域を表面と見なす。つまり、二次粒子の表面付近に位置する一次粒子の粒子表面のうち、二次粒子の外側へ向いている表面から内側へ向かって1μm未満の領域を、当該二次粒子の表面と見なす。二次粒子表面の付近に位置するこれら一次粒子の残部、つまり一次粒子表面から1μm以上内側の領域および二次粒子の内側に向いている一次粒子表面側の領域を含む部分は、二次粒子の内部の一部と見なす。また、二次粒子の表面付近の一次粒子よりも内側に位置する一次粒子全体も、二次粒子の内部の一部と見なす。二次粒子に含まれている一次粒子の平均一次粒子径が3μm未満の場合は、二次粒子全体を単体としてみたときに、その表面から内部へ平均一次粒子径の30%までの領域を表面と見なす。
[0029]
 ここで、本実施形態に係る電池用活物質の製造方法の一例を以下に説明する。
[0030]
 Liを含む原料、及び遷移金属を含む原料を用いる。Liを含む原料としては、例えばLi 2CO 3、LiOH、Li 2SO 4等の塩、Li 2O、Li 2O 2等の酸化物を用いることができる。遷移金属を含む原料としては、例えば遷移金属を含む塩、酸化物等を用いることができる。
[0031]
 遷移金属を含む原料を目的の元素組成比となるように秤量し、乾式法または湿式法で混合する。乾式法には、例えばボールミルなどの混合装置を用いる。湿式法には、例えば共沈法を用いる。共沈法では遷移金属を含む塩を水に溶解させた水溶液を、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等のアルカリ水溶液中に滴下し、生じた沈殿物を濾過乾燥させて前駆体を得る。
[0032]
 得られた遷移金属を含む前駆体を、Liを含む原料と混合し、大気中または酸素雰囲気中において、600℃以上1200℃以下の温度で3時間から48時間焼成する。遷移金属を含む原料の一部は、Liを含む原料を混合する際に投入して混合し、焼成してもよい。1200℃より高い温度で焼成すると、一次粒子が大きくなり過ぎた活物質となる。活物質の一次粒子が大きすぎると、固体内拡散抵抗が大きくなり二次電池のレート性能が低下するため、好ましくない。また、一次粒子が大きいと、充放電に伴い二次粒子が解砕しやすくなり、サイクル寿命が低下する。
[0033]
 Nb及びTaを活物質表面に偏在させる場合は、Nb、Ta以外の遷移金属を含む原料を乾式法または湿式法で混合した後、Liを含む原料とNbを含む原料、Taを含む原料を混合し、焼成する。この時、焼成温度を600℃以上950℃未満とすることが好ましい。焼成温度が600℃より低温の時は、遷移金属を含む原料とLiを含む原料との反応が不十分となる恐れがある一方で、950℃以上の高温の時は、Nb及びTa元素が活物質内部に拡散し、活物質表面に偏在しにくくなる恐れがある。
[0034]
 電池用活物質が一般式 Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2の組成を有するか否かは、以下の方法で測定することができる。
[0035]
 例えば、本実施形態に係る電池用活物質を備える二次電池を、まず、放電状態にする。例えば、電池を25℃環境において0.1C電流で定格終止電圧まで放電させることで、電池を放電状態にすることができる。次に、放電状態の電池を解体し、電極を取り出す。取り出した電極を例えばメチルエチルカーボネートで洗浄する。上記のとおり洗浄した電極を水中に入れ、電極活物質合剤層を水中で失活させる。失活した電極から、遠心分離装置等を用いることで電池用活物質を抽出することができる。抽出処理は、例えば、結着剤にポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた場合には、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などで洗浄して結着剤成分を除去した後、適切な目開きのメッシュで導電剤を除去する。これらの成分が僅かに残存する場合は、大気中での加熱処理(例えば、250℃で30分など)によって除去すれば良い。
[0036]
 次に、得られた電池用活物質に対して、誘導結合プラズマ発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma:ICP)を行い、Li及び遷移金属を測定する。酸素(O)は不活性ガス溶融-赤外線吸収法によって、測定することができる。
[0037]
 電池用活物質表面における遷移金属の表面偏在性は、オージェ電子分光法によって測定することができる。このとき、二次電池を分解して得た電池用活物質に対して、Ar等の希ガスを用いたイオンエッチングとオージェ電子分光測定を繰り返すことによって、電池用活物質表面における深さ方向の遷移金属組成変化を測定できる。
[0038]
 電池用活物質の空間群の測定は次のように行う。
まず、上述の方法で得られた電池用活物質を平均粒子径が5μm程度となるまで粉砕する。もともと平均粒子径が5μmより小さい場合でも、凝集塊を粉砕するために乳鉢等で粉砕処理することが好ましい。平均粒子径は、例えばレーザー回折法によって求めることができる。
[0039]
 粉砕した試料を、ガラス試料板上に形成された深さ0.5mmのホルダー部分に充填する。ガラス試料板には、例えばRigaku社製のガラス試料板を用いる。このとき、試料が十分にホルダー部分に充填されるように留意する。また、試料の充填不足により、ひび割れ及び空隙等が起きないように注意する。次いで、外部から別のガラス板を使い、試料を充分に押し付けて平滑化する。この際、充填量の過不足により、ホルダーの基準面より凹凸が生じることのないように注意する。
[0040]
 次いで、試料が充填されたガラス板を粉末X線回折装置に設置し、Cu-Kα線を用いてX線回折パターン(X‐Ray Diffraction Pattern ;XRDパターン)を取得する。ここで取得するXRDパターンは、リートベルト解析に適用できるものでなければならない。リートベルト解析用のデータを収集するには、ステップ幅が回折ピークの最小半値幅の1/3~1/5となるようにし、最強度反射のピーク位置における強度が5000cps以上となるように適宜、測定時間またはX線強度を調整する。
[0041]
 以上のようにして得られたXRDパターンを、リートベルト法によって解析する。リートベルト法では、あらかじめ推定した結晶構造モデルから回折パターンを計算する。この計算値と実測値とを全てフィッティングすることにより、結晶構造に関するパラメータ(格子定数、原子座標、占有率等)を精密に分析することができる。これにより、試料化合物の結晶構造の特徴を調べることができる。また、構成元素の各サイト中の占有率を調べることが可能である。
[0042]
 リートベルト解析における観測強度と計算強度の一致の程度を見積もるための尺度として、フィッティングパラメータSを用いる。このSが1.8より小さくなるように解析を行う必要がある。また、各サイトの占有率を決定する際には、標準偏差σjを考慮に入れなければならない。ここで定義するフィッティングパラメータS及び標準偏差σjについては、非特許文献1「粉末X線解析の実際」日本分析化学会X線分析研究懇談会編 中井泉、泉富士夫編著(朝倉書店)に記載の数式で推定するものとする。
[0043]
 第1の実施形態に係る電池用活物質は、一般式 Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2で表される。ここで、MはLi、Ca、Mg、Al、Ti、V、Cr、Zr、Mo、Hf及びWから選択される一種以上の元素であり、1.0≦x≦1.3、 0≦a≦0.9、0≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.5、a+b+c+d=1、0.005≦s≦0.3、0.0005≦t≦0.1を満たす。このような電池用活物質であることで、高容量でかつ長寿命を有する二次電池を実現することができる。
 第1の実施形態に係る電池用活物質は、一般式 Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-t-uTa tM' u) sO 2で表される活物質を含む。上記一般式において、MはLi、Ca、Mg、Al、Ti、V、Cr、Zr、Mo、Hf及びWから選択される一種以上の元素であり、M’はK、P、Fe、Si、Na、Cu及びZnから選択される一種以上の元素であり、1.0≦x≦1.3、0≦a≦0.9、0≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.5、a+b+c+d=1、0.005≦s≦0.3、0.0005≦t≦0.1、0≦u≦0.3を満たす。
 図12は、元素M’を含む電池用活物質の二次粒子を概略的に示す断面図である。図12に示す二次粒子は、一次粒子AM1の凝集体である。図13は、元素M’を含まない電池用活物質の二次粒子を概略的に示す断面図である。図13に示す二次粒子は、一次粒子AM2の凝集体である。図12及び図13の比較から明らかなように、元素M’を含む電池用活物質の一次粒子AM1の粒子径は、元素M’を含まない電池用活物質の一次粒子AM2の粒子径よりも小さい。これは、電池用活物質製造時に、Liを含む原料及び遷移元素を含む原料に加えて、M’元素を含む原料を用いると、前駆体の焼成時に、一次粒子の成長が抑制されるためである。M’元素を含む原料としては、例えばM’元素を含む塩、M’元素を含む酸化物等を用いることができる。M’元素を含む塩の例に、M’元素を含む塩化物、M’元素を含む硫酸塩、M’元素を含む水酸化物などが含まれる。一次粒子の粒径が小さいと、一次粒子の凝集体である二次粒子において、充放電時に伴う活物質の膨張収縮による体積変化による影響が小さくなるため、二次粒子の解砕が生じにくくなる。それゆえ、M’元素を含む電池用活物質を用いると、電極及び電池の寿命性能をより高めることができる。M’元素のうち好ましい元素は、K、P、Fe及びSiから選択される一種以上の元素である。
 一方、M’元素の含有量が多すぎると、電池用活物質の放電容量が低下するおそれがある。したがって、上記添字uは、0≦u≦0.2であることが好ましく、0<u≦0.2であることがより好ましく、0.001≦u≦0.05であることがさらに好ましい。
[0044]
 (第2の実施形態)
 第2の実施形態に係る電極を、図4を用いて説明する。図4は第2の実施形態に係る電極の断面概念図である。
[0045]
 電極100は、集電体101と、集電体101の片面に形成された活物質合剤層102で構成される。集電体101とは正極集電体のことであり、活物質合剤層102とは電極層のことである。電極では集電体の両面にも活物質合剤層を備えることもできる。活物質合剤層は電池用活物質、導電剤及び結着剤を含む。
[0046]
 電池用活物質には、例えば、第1の実施形態に係る電池用活物質を用いることができる。
[0047]
 そのため、高容量でかつ長寿命な二次電池を実現することができる電極を提供することが可能となる。
[0048]
 第1の実施形態に係る活物質に加え、活物質合剤層は活物質として、例えば、硫化物または第1の実施形態に係る活物質以外の他の酸化物をさらに含んでもよい。活物質合剤層は、追加の活物質として1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。硫化物および酸化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。活物質合剤層に含まれている活物質の総量に対し、第1の実施形態に係る活物質が50質量%以上100質量%以下含まれていることが望ましい。
[0049]
 このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO 2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLi xMn 24又はLi xMnO 2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLi xNiO 2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLi xCoO 2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLi xNi 1-yCo y2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLi xMn yCo 1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLi xMn 2-yNi y4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLi xFePO 4;0<x≦1、Li xFe 1-yMn yPO 4;0<x≦1、0<y<1、Li xCoPO 4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe 2(SO 4) 3)、バナジウム酸化物(例えばV 25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Li xNi 1-y-zCo yMn z2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
[0050]
 導電剤は、電池用活物質の集電性能を高め、集電体との接触抵抗を抑える。導電剤の例は、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素質物を含む。
[0051]
 結着剤は、電池用活物質と導電剤を結着させる。結着剤の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)及びその重合体、フッ素系ゴムを含む。
[0052]
 活物質合剤層中の電池用活物質、導電剤及び結着剤は、それぞれ80質量%以上95質量%以下、1質量%以上18質量%以下及び2質量%以上17質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤は、1質量%以上の量にすることにより上述した効果を発揮することができる。導電剤は、18質量%以下の量にすることにより、例えば非水電解質を用いた場合、高温保存下での導電剤表面での非水電解質の分解を低減することができる。結着剤は、2質量%以上の量にすることにより十分な電極強度が得られる。結着剤は、17質量%以下の量にすることにより、電極中の絶縁材料である結着剤の配合量を減少させ、内部抵抗を減少できる。
[0053]
 集電体は、例えばアルミニウム箔、またはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Siからなる群より選択される1以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
[0054]
 電極は、例えば電池用活物質、導電剤及び結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体に塗布し、乾燥し、その後、プレスを施すことにより作製される。電極は、電池用活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成して活物質合剤層とし、これを集電体上に形成することにより作製されてもよい。
[0055]
 第2の実施形態に係る電極は、第1の実施形態に係る電池用活物質を含む。このような電極であることで、高容量でかつ長寿命を有する二次電池を実現することができる。
[0056]
 (第3の実施形態)
 第3の実施形態に係る二次電池を、図5を用いて説明する。図5は第3の実施形態に係る二次電池の一例の二次電池を示す概略断面図である。
[0057]
 第3の実施形態に係る二次電池は、外装材と、外装材内に収納された正極と、外装材内に正極と空間的に離間して、例えばセパレータを介在して収納された負極活物質を含む負極と、外装材内に充填された電解質とを具備する。
[0058]
 第3の実施形態に係る二次電池の一例を示した図5、図6を参照してより詳細に説明する。図5は、外装材2がラミネートフィルムからなる扁平型二次電池の断面図模式図であり、図6は図5のA部の拡大断面図である。なお、各図は説明のための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
[0059]
 扁平型二次電池は、捲回電極群1と、袋状外装材2と、負極端子6と、正極端子7とで構成されている。
[0060]
 扁平状の捲回電極群1は、2枚の樹脂層の間にアルミニウム箔を介在したラミネートフィルムからなる袋状外装材2内に収納されている。扁平状の捲回電極群1は、外側から負極3、セパレータ4、正極5、セパレータ4の順で配置されるようこれらを積層した積層物を渦巻状に捲回し、プレス成型することにより形成される。最外殻の部分の負極3は、図6に示すように負極集電体3aの内面側の片面に負極活物質合剤層3bを形成した構成を有する。その他の部分の負極3は、負極集電体3aの両面に負極活物質合剤層3bを形成して構成されている。正極5は、正極集電体5aの両面に正極活物質合剤層5bを形成して構成されている。正極活物質合剤層5b中の正極活物質は、第1の実施形態に係る正極活物質を含む。
[0061]
 捲回電極群1の外周端近傍において、負極端子6は最外殻の部分にて負極3の負極集電体3aに電気的に接続され、正極端子7は内側にある部分の正極5の正極集電体5aに電気的に接続されている。これらの負極端子6及び正極端子7は、袋状外装材2の開口部から外部に延出されている。例えば電解質は、袋状外装材2の開口部から注入されている。袋状外装材2の開口部を負極端子6及び正極端子7を挟んでヒートシールすることにより捲回電極群1及び電解質を完全密封している。
[0062]
 負極端子6の材料としては、例えばアルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Siからなる群より選択される1以上の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子6は、負極集電体3aとの接触抵抗を低減するために、負極集電体3aと同様の材料であることが好ましい。
[0063]
 正極端子7には、リチウムイオン金属に対する電位が3~4.25V(vs. Li/Li +)の範囲における電気的安定性と導電性とを備える材料を用いることができる。具体的には、アルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Siからなる群より選択される1以上の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子7は、正極集電体5aとの接触抵抗を低減するために、正極集電体5aと同様の材料であることが好ましい。
[0064]
 以下、二次電池の構成部材である外装材2、負極3、正極5、セパレータ4及び電解質について詳細に説明する。
[0065]
 1)外装材
 外装材2は、例えば、厚さ0.5mm以下のラミネートフィルムから形成される。或いは、外装材には、例えば、壁厚1.0mm以下の金属製容器が用いられ得る。金属製容器は、壁厚が0.5mm以下であることがより好ましい。
[0066]
 外装材2の形状は、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、及びボタン型から選択できる。外装材の例には、電池寸法に応じて、例えば携帯用電子機器等に積載される小型電池用外装材、二輪乃至四輪の自動車等に搭載される大型電池用外装材などが含まれる。
[0067]
 ラミネートフィルムには、樹脂層間に金属層を介在した多層フィルムが用いられ得る。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層には、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装材の形状に成形することができる。
[0068]
 金属製容器は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。合金中に鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属が含まれる場合、その量は100質量ppm以下にすることが好ましい。
[0069]
 2)負極
 負極3は、負極集電体3aと、この負極集電体3aの片面または両面に形成され、負極活物質、導電剤及び結着剤を含む負極活物質合剤層3bとを備える。
[0070]
 負極集電体には、負極活物質のリチウムの吸蔵及び放出電位において電気化学的に安定である材料が用いられ得る。負極集電体は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiからなる群より選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。負極集電体の厚さは、5μm以上20μm以下の範囲内にあることが好ましい。このような厚さを有する負極集電体は、負極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
[0071]
 負極活物質は、例えば粒子の形態で負極に含まれている。負極活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、あるいは、単独の一次粒子と二次粒子の混合物であり得る。高密度化の観点から、負極活物質合剤層は5~50体積%の割合で一次粒子を含むことが好ましい。一次粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、繊維状等にすることができる。
[0072]
 負極活物質の例は、炭素材料、黒鉛材料、リチウム合金材料、金属酸化物及び金属硫化物が挙げられるが、中でもリチウムイオンの吸蔵放出電位がリチウム電位基準で1V~3V(vs. Li/Li +)の範囲内にあるリチウムチタン酸化物、チタン酸化物、ニオブチタン酸化物、リチウムナトリウムニオブチタン酸化物 Li 2+vNa 2-wM1 xTi 6-y-zNb yM2 zO 14+δ(M1はCs, K, Sr, Ba,Caからなる群より選択される少なくとも1つを含み、M2はZr, Sn, V, Ta, Mo, W, Fe, Co, Mn, Alのからなる群より選択される少なくとも1つを含み、0≦v≦4、0<w<2、0≦x<2、0<y<6、0≦z<3、y+z<6、-0.5≦δ≦0.5)からなる群より選ばれる一種以上のチタン含有酸化物の負極活物質を選択することが好ましい。
[0073]
 リチウムチタン酸化物として、一般式Li 4+xTi 5O 12(xは-1≦x≦3)で表せるスピネル構造リチウムチタン酸化物、ラムスデライド構造リチウムチタン酸化物としてLi 2+xTi 3O 7(xは0≦x≦3)、及びLi 1+xTi 2O 4(xは0≦x≦1)、Li 1.1+xTi 1.8O 4(xは0≦x≦1)、Li 1.07+xTi 1.86O 4(xは0≦x≦1)、Li xTiO 2(xは0≦x≦1)などのリチウムチタン酸化物を例に挙げることができる。チタン酸化物として、一般式Li xTiO 2(0≦x≦1)で表される単斜晶構造(充電前構造としてTiO 2(B))、ルチル構造、アナターゼ構造のチタン酸化物(充電前構造としてTiO 2)等の例を挙げることができる。ニオブチタン酸化物は、例えば、Li aTiM bNb 2±βO 7±σ(0≦a≦5、0≦b≦0.3、0≦β≦0.3、0≦σ≦0.3、MはFe,V,Mo、Taからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるものである。これらを単独で又は混合して使用することができる。好ましくは、体積変化の極めて少ない一般式Li 4+xTi 5O 12(xは-1≦x≦3)で表せるスピネル構造リチウムチタン酸化物である。これらチタン含有酸化物を用いることで、負極集電体に銅箔に代わってアルミニウム箔を用いることができ軽量化と低コスト化を実現できる。また、バイポーラ構造の電極構造に有利となる。
[0074]
 負極活物質粒子は、その平均粒子径が1μm以下で、かつN 2吸着によるBET法での比表面積が3m 2/g~200m 2/gの範囲内にあることが好ましい。これにより、負極の電解質との親和性を高くすることができる。
[0075]
 負極の比表面積を上記範囲に規定する理由を説明する。比表面積が3m 2/g未満であるものは、粒子の凝集が目立ち、負極と電解質との親和性が低くなり、負極の界面抵抗が増加する。その結果、出力特性と充放電サイクル特性が低下する。一方、比表面積が50m 2/gを超えるものは、電解質の分布が負極に偏り、正極での電解質不足を招く可能性があるため、出力特性と充放電サイクル特性の改善を図れない。比表面積のより好ましい範囲は、5~50m 2/gである。ここで、負極の比表面積とは、負極活物質合剤層(集電体重量を除く)1g当りの表面積を意味する。なお、負極活物質合剤層とは、集電体上に担持された負極活物質、導電剤及び結着剤を含む多孔質の層である。
[0076]
 負極の多孔度(集電体を除く)は、20~50%の範囲内とすることが好ましい。これにより、負極と電解質との親和性に優れ、かつ高密度な負極を得ることができる。多孔度の更に好ましい範囲は、25~40%である。
[0077]
 導電剤としては、例えば、炭素材料を用いることができる。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛、アルミニウム粉末、TiO等を挙げることができる。より好ましくは、熱処理温度が800℃~2000℃の平均粒子径10μm以下のコークス、黒鉛、TiOの粉末、平均繊維径1μm以下の炭素繊維が好ましい。炭素材料のN 2吸着によるBET比表面積は10m 2/g以上が好ましい。
[0078]
 結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、コアシェル結着剤などが挙げられる。
[0079]
 前記負極の活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質80~95重量%、導電剤3~18重量%、結着剤2~7重量%の範囲内とすることが好ましい。負極3は、例えば負極活物質、導電剤及び結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを負極集電体3aに塗布し、乾燥し、その後、プレスを施すことにより作製される。負極3は、負極活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成して負極活物質合剤層3bとし、これを負極集電体3a上に形成することにより作製されてもよい。
[0080]
 3)正極
 正極5には、第2の実施形態に係る電極を用いることができる。そのため、詳細は第2の実施形態に係る電極について記載されているため、省略する。
[0081]
 この正極を用いることにより、高容量でかつ長寿命な二次電池を提供することが可能となる。
[0082]
 4)電解質
 電解質には、例えば第1の電解質を有機溶媒に溶解することにより調製される液状非水電解質、または液状電解質と高分子材料を複合化したゲル状非水電解質を用いることができる。また、電解質には、水系溶媒と第2の電解質とを含む電解質、およびこの電解質に高分子材料を複合化したゲル状電解質を用いることができる。
[0083]
 液状非水電解質は、第1の電解質を0.5M以上2.5M以下の濃度で有機溶媒に溶解することが好ましい。
[0084]
 第1の電解質の例は、過塩素酸リチウム(LiClO 4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF 6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF 6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF 3SO 3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF 3SO 22]等のリチウム塩、またはこれらの混合物を含む。電解質は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF 6が最も好ましい。
[0085]
 有機溶媒の例は、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネートのような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、ジオキソラン(DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)のような鎖状エーテル;またはγ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、スルホラン(SL)を含む。これらの有機溶媒は、単独または混合溶媒の形態で用いることができる。
[0086]
 高分子材料の例は、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)を含む。
[0087]
 好ましい有機溶媒は、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる群のうち、少なくとも2つ以上を混合した混合溶媒、またはγ-ブチロラクトン(GBL)を含む混合溶媒である。これらの混合溶媒を用いることにより、高温特性の優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
[0088]
 水系溶媒としては、水を含む溶液を用いることができる。ここで、水を含む溶液とは、純水であってもよく、或いは水と水以外の物質との混合溶液や混合溶媒であってもよい。
[0089]
 水系電解質は、溶質となる塩1molに対し、水溶媒量(例えば水系溶媒中の水量)が1mol以上であることが好ましい。さらに好ましい形態は、溶質となる塩1molに対する水溶媒量が3.5mol以上である。
[0090]
 第2の電解質としては、水系溶媒に溶解したときに解離してアニオンを生じさせるものを用いることができる。特に、Liイオンと上記アニオンとに解離するリチウム塩が好ましい。このようなリチウム塩としては、例えばLiNO 3、LiCl、Li 2SO 4、LiOHなどを挙げることができる。
[0091]
 また、Liイオンと上記アニオンへと解離するリチウム塩は、水系溶媒における溶解度が比較的高い。そのため、アニオンの濃度が1-10Mと高く、Liイオン拡散性が良好である電解質を得ることができる。
[0092]
 NO 3 -及び/又はCl を含む電解質は、0.1-10M程度の幅広いアニオン濃度の範囲で用いることができる。イオン伝導度と、リチウム平衡電位の両立の観点から、これらのアニオンの濃度が3-12Mと高いことが好ましい。NO 3 -またはCl を含む電解質のアニオン濃度が8-12Mであることがより好ましい。
[0093]
 LiSO 4 -及び/又はSO 4 2-を含む電解質は、0.05-2.5M程度のアニオン濃度の範囲で用いることができる。イオン伝導度の観点から、これらのアニオンの濃度が1.5-2.5Mと高いことが好ましい。
[0094]
 電解質中のOH -濃度は、10 -10M-0.1Mであることが望ましい。電解質は、NO 3 -、Cl -、LiSO 4 -、SO 4 2-、およびOH -からなる群より選択される少なくとも1種のアニオンを含むことができる。
[0095]
 水系電解質に水が含まれていることは、GC-MS(ガスクロマトグラフィー-重量分析;Gas Chromatography - Mass Spectrometry)測定により確認できる。また、水系電解質中の塩濃度および水含有量は、例えばICP(誘導結合プラズマ;Inductively Coupled Plasma)発光分析などで測定することができる。水系電解質を規定量はかり取り、含まれる塩濃度を算出することで、モル濃度(mol/L)を算出できる。また水系電解質の比重を測定することで、溶質と溶媒のモル数を算出できる。
[0096]
 5)セパレータ
 セパレータ4は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、もしくはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、または合成樹脂製不織布を用いることができる。好ましい多孔質フィルムは、ポリエチレンまたはポリプロピレンから作られ、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能であるために安全性を向上できる。
[0097]
 以上記載した本実施形態に係る二次電池は、第1の実施形態に係る活物質を正極活物質として備える正極を備えているため、高容量、かつ優れた充放電サイクル性能を有する二次電池を提供することができる。
[0098]
 (第4の実施形態)
 第4の実施形態に係る組電池および電池パックを、図7及び図8を用いて詳細に説明する。図7は第4の実施形態に係る組電池の一例を示す概略斜視図である。図8は第4の実施形態に係る一例の電池パックを示す分解斜視図である。
[0099]
 第4の実施形態に係る組電池および電池パックは、上記第3の実施形態に係る二次電池(即ち、単電池)をそれぞれ一以上有する。組電池や電池パックに複数の単電池が含まれる場合、各単電池は、電気的に直列、並列、或いは、直列と並列とを組み合わせて接続して配置される。
[0100]
 図7-図9を参照して組電池23及び電池パック200を具体的に説明する。図7に示す組電池23及び図8に示す電池パック200では、単電池21として図5に示す扁平型電池を使用している。
[0101]
 図7に示す組電池23では単電池21は、リード20(バスバー)を介して電気的に接続されている。それぞれのリード20は、例えば、1つの単電池21の負極端子6と、隣に位置する単電池21の正極端子7とを接続している。このようにして、複数の単電池21は、複数のリード20により直列に接続されている。例を図示しないが、電気的に並列に接続されている複数の単電池を含む組電池では、例えば、複数の負極端子同士がリードにより接続されるとともに複数の正極端子同士がリードにより接続されることで、複数の単電池が電気的に接続され得る。
[0102]
 複数の単電池21のうち少なくとも1つの電池の正極端子7は、外部接続用の正極側リード28に電気的に接続されている。また、単電池21のうち少なくとも1つの電池の負極端子6は、外部接続用の負極側リード30に電気的に接続されている。
[0103]
 図8に示す電池パック200では複数の単電池21は、外部に延出した負極端子6及び正極端子7が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ22で締結することにより組電池23を構成している。これらの単電池21は、図9に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
[0104]
 プリント配線基板24は、負極端子6及び正極端子7が延出する単電池21側面と対向して配置されている。プリント配線基板24には、図8及び9に示すようにサーミスタ25、保護回路26及び外部機器への通電用端子27(通電用の外部端子)が搭載されている。なお、組電池23と対向するプリント配線基板(保護回路基板)24の面には組電池23の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
[0105]
 正極側リード28は、組電池23の最下層に位置する正極端子7に接続され、その先端はプリント配線基板24の正極側コネクタ29に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード30は、組電池23の最上層に位置する負極端子6に接続され、その先端はプリント配線基板24の負極側コネクタ31に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ29、31は、プリント配線基板24に形成された配線32、33を通して保護回路26に接続されている。
[0106]
 図9は図8の電池パックの電気回路を示すブロック図である。図9を参照して説明すると、サーミスタ25は、単電池21の温度を検出するために用いられ、その検出信号は保護回路26に送信される。保護回路26は、所定の条件で保護回路26と外部機器への通電用端子27との間のプラス側配線34a及びマイナス側配線34bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ25の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単電池21の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池21もしくは単電池21全体について行われる。個々の単電池21を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池21中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図8及び図9の場合、単電池21それぞれに電圧検出のための配線35を接続し、これら配線35を通して検出信号が保護回路26に送信される。
[0107]
 正極端子7及び負極端子6が突出する側面を除く組電池23の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート36がそれぞれ配置されている。
[0108]
 組電池23は、各保護シート36及びプリント配線基板24と共に収納容器37内に収納される。すなわち、収納容器37の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート36が配置され、短辺方向に沿って配置された保護シート36の反対側の内側面にプリント配線基板24が配置される。組電池23は、保護シート36及びプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。蓋38は、収納容器37の上面に取り付けられている。
[0109]
 なお、組電池23の固定には粘着テープ22に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
[0110]
 図7-図9では単電池21を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには並列に接続しても、または直列接続と並列接続を組み合わせてもよい。組み上がった電池パックをさらに直列、並列に接続することもできる。
[0111]
 以上記載した本実施形態によれば、上記第3の実施形態における高容量かつ優れた充放電サイクル性能を有する二次電池を備えることにより、高容量かつ優れた充放電サイクル性能を有する組電池または電池パックを提供することができる。
[0112]
 また、図7に示した組電池23及び図8に示した電池パック200は複数の単電池21を備えているが、第4の実施形態に係る組電池および電池パックは1つの単電池21をそれぞれ備えるものでもよい。
[0113]
 また、電池パックの実施形態は用途により適宜変更される。本実施形態に係る電池パックは、大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に好適に用いられる。具体的には、デジタルカメラの電源としても用いることができる。
[0114]
 (第5の実施形態)
 第5の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第4の実施形態に係る電池パックを搭載している。
[0115]
 第5の実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構(例えば、リジェネレーター)を含んでいてもよい。
[0116]
 第5の実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
[0117]
 第5の実施形態に係る車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
[0118]
 次に、第5の実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
[0119]
 図10は、第5の実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図である。
[0120]
 図10に示す車両300は、車両本体301と、電池パック312とを含んでいる。電池パック312は、第4の実施形態に係る電池パックであり得る。
[0121]
 図10に示す車両300は、四輪の自動車である。車両300としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両を用いることができる。
[0122]
 この車両300は、複数の電池パック312を搭載してもよい。この場合、電池パック312は、電気的に直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
[0123]
 電池パック312は、車両本体301の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている。電池パック312の搭載位置は、特に限定されない。電池パック312は、車両本体301の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック312は、車両300の電源として用いることができる。また、この電池パック312は、車両300の動力の回生エネルギーを回収することができる。
[0124]
 次に、図11を参照しながら、第5の実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
[0125]
 図11は、第5の実施形態に係る車両の他の例を概略的に示した図である。図11に示す車両300は、電気自動車である。
[0126]
 図11に示す車両300は、車両本体301と、車両用電源302と、車両用電源302の上位制御手段である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)380と、外部端子(外部電源に接続するための端子)370と、インバータ340と、駆動モータ345とを備えている。
[0127]
 車両300は、車両用電源302を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図11に示す、車両300では、車両用電源302の搭載箇所については概略的に示している。
[0128]
 車両用電源302は、複数(例えば3つ)の電池パック312a、312b及び312cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)311と、通信バス310と、を備えている。
[0129]
 3つの電池パック312a、312b及び312cは、電気的に直列に接続されている。電池パック312aは、組電池314aと組電池監視装置(VTM:Voltage Temperature Monitoring)313aと、を備えている。電池パック312bは、組電池314bと組電池監視装置313bと、を備えている。電池パック312cは、組電池314cと組電池監視装置313cと、を備えている。電池パック312a、312b、及び312cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック312と交換することができる。
[0130]
 組電池314a~314cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る二次電池である。組電池314a~314cは、それぞれ、正極端子316及び負極端子317を通じて充放電を行う。
[0131]
 電池管理装置311は、車両用電源302の保全に関する情報を集めるために、組電池監視装置313a~313cとの間で通信を行い、車両用電源302に含まれる組電池314a~314cに含まれる単電池の電圧、及び温度などに関する情報を収集する。
[0132]
 電池管理装置311と組電池監視装置313a~313cとの間には、通信バス310が接続されている。通信バス310は、1組の通信線を複数のノード(電池管理装置と1つ以上の組電池監視装置と)で共有するように構成されている。通信バス310は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
[0133]
 組電池監視装置313a~313cは、電池管理装置311からの通信による指令に基づいて、組電池314a~314cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
[0134]
 車両用電源302は、正極端子316と負極端子317との接続を入り切りするための電磁接触器(例えば図11に示すスイッチ装置333)を有することもできる。スイッチ装置333は、組電池314a~314cへの充電が行われるときにオンするプリチャージスイッチ(図示せず)、及び電池出力が負荷へ供給されるときにオンするメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチおよびメインスイッチは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフされるリレー回路(図示せず)を備えている。
[0135]
 インバータ340は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ340の3相の出力端子は、駆動モータ345の各3相の入力端子に接続されている。インバータ340は、電池管理装置311あるいは車両全体動作を制御するための車両ECU380からの制御信号に基づいて、出力電圧を制御する。
[0136]
 駆動モータ345は、インバータ340から供給される電力により回転する。この回転は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
[0137]
 また、図示はしていないが、車両300は、回生ブレーキ機構(リジェネレーター)を備えている。回生ブレーキ機構は、車両300を制動した際に駆動モータ345を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ340に入力され、直流電流に変換される。直流電流は、車両用電源302に入力される。
[0138]
 車両用電源302の負極端子317には、接続ラインL1の一方の端子が、電池管理装置311内の電流検出部(図示せず)を介して接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ340の負極入力端子に接続されている。
[0139]
 車両用電源302の正極端子316には、接続ラインL2の一方の端子が、スイッチ装置333を介して接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ340の正極入力端子に接続されている。
[0140]
 外部端子370は、電池管理装置311に接続されている。外部端子370は、例えば、外部電源に接続することができる。
[0141]
 車両ECU380は、運転者などの操作入力に応答して他の装置とともに電池管理装置311を協調制御して、車両全体の管理を行なう。電池管理装置311と車両ECU380との間では、通信線により、車両用電源302の残容量など、車両用電源302の保全に関するデータ転送が行われる。
[0142]
 第5の実施形態に係る車両は、第4の実施形態に係る電池パックを具備している。即ち、容量の高い電池パックを備えているため、第5の実施形態に係る車両は電池容量が良好であり、且つ電池パックが寿命性能に優れているため、信頼性が高い車両を提供することができる。
[0143]
 (実施例)
 以下に実施例を説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に記載される実施例に限定されるものでない。
[0144]
 (実施例1)
(電池用活物質の合成)
 硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンを表1に示す組成比(一般式Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2に当てはめた場合の添字a,b,cで示す)となるように秤量し、水に溶解させた水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、沈殿物としてニッケル-コバルト-マンガン複合水酸化物を得た。ニッケル-コバルト-マンガン複合水酸化物と塩化ニオブ、塩化タンタル、水酸化リチウムを表1に示す組成比(添字x,s,tで示す)で混合し、850℃で12時間焼成することによって、電池用活物質を得た。
[0145]
 (評価用電極作製)
 得られた電池用活物質に導電剤としてアセチレンブラックを6重量部、PVdFバインダを3重量部加え、N-メチル-2-ピロリドン中に分散させて塗液スラリーを得た。塗液スラリーをAl箔上に塗布、乾燥した後、圧延することによって、評価用電極を2つ得た。
[0146]
 作製した2つの評価用電極のうちひとつに対して元素組成分析及び空間群測定を行った。残りひとつに対しては電気化学評価を行った。
[0147]
 (元素組成分析)
 評価用電極に対して、遠心分離を行い、電池用活物質を抽出した。こうして得た電池用活物質について、ICPと不活性ガス溶融-赤外線吸収法による元素組成分析を行った。また、Arガスを用いたイオンエッチングとオージェ電子分光測定を繰り返すことによって、電池用活物質における深さ方向の遷移金属組成変化を測定し、活物質最表面のNb及びTa元素と、最表面から1μm内部のNb及びTa元素の濃度を比較した。
[0148]
 (空間群測定)
 評価用電極から電池用活物質を抽出した電池用活物質を、平面ガラス試料板ホルダーに充填し、粉末X線回折法により空間群の測定を行った。
[0149]
 以下に、測定に使用した装置及び条件を示す。
装置:Rigaku社製 SmartLab
X線源:Cuターゲット
出力:45kV 200mA
ソーラスリット:入射及び受光共に5°
ステップ幅(2θ):0.02deg
スキャン速度:20deg/分
半導体検出器:D/teX Ultra 250
試料板ホルダー:平板ガラス試料板ホルダー(厚さ0.5mm)
測定範囲:5°≦2θ≦90°の範囲。
[0150]
 (電気化学評価)
 電気化学評価は、残りの評価用電極を作用極とし、対極と参照極に金属Liを用いた三極式セルを用いて放電容量と100サイクル後の容量維持率を測定した。これらの結果は表1にまとめた。また、実施例2~29も同様に表1にまとめた。実施例30~58については表2にまとめた。比較例1~29については表3、比較例30~42については表4にまとめた。表中の-表記は、一般式Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2として、sが0の場合等は成り立たないことがあるため、例えばsが0の場合tは存在し得ないことを示すため、-と表記した。同様に、Nb及びTaの表面偏在性についても、sが0の場合はNb及びTaが存在し得ないため、-と表記した。
[0151]
 (放電容量)
 放電容量は、1Cレートで4.3V vs.Li/Li +まで定電流充電した後4.3Vで2h定電圧充電を行い、その後、0.2Cレートで3.0Vまで放電したときの放電容量とした。
[0152]
 (100サイクル後の容量維持率)
 4.3V-3.0Vの電位範囲で1Cレートでの充放電を100サイクル繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量を100サイクル後の容量維持率として求めた。
[0153]
 (実施例2~13及び実施例22~29)
 表1に示す元素組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で電池用活物質を合成し、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0154]
 (実施例14)
 M元素としてAlを用いた。Alを含む原料として硫酸アルミニウムを用いた。
[0155]
 実施例1に記載の方法で得られたニッケル-コバルト-マンガン複合水酸化物と硫酸アルミニウム、塩化ニオブ、塩化タンタル及び水酸化リチウムを混合し、850℃で12時間焼成することによって電池用活物質を得た。
[0156]
 評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価は実施例1と同様の方法で行った。
[0157]
 (実施例15)
 M元素としてTiを用い、Tiを含む原料として酸化チタンを用いたこと以外は、実施例14と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0158]
 (実施例16)
 M元素としてVを用い、Vを含む原料として酸化バナジウムを用いたこと以外は、実施例14と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0159]
 (実施例17)
 M元素としてCrを用い、Crを含む原料として酸化クロムを用いたこと以外は、実施例14と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0160]
 (実施例18)
 M元素としてZrを用い、Zrを含む原料として酸化ジルコニウムを用いたこと以外は、実施例14と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0161]
 (実施例19)
 M元素としてMoを用い、Moを含む原料として酸化モリブデンを用いたこと以外は、実施例14と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0162]
 (実施例20)
 M元素としてHfを用い、Hfを含む原料として酸化ハフニウムを用いたこと以外は、実施例14と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0163]
 (実施例21)
 M元素としてWを用い、Wを含む原料として酸化タングステンを用いたこと以外は、実施例14と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0164]
 (実施例30)
 実施例1に記載の方法で得られたニッケル-コバルト-マンガン複合水酸化物と塩化ニオブ及び塩化タンタルを混合し、950℃で12時間焼成した。得られた焼成物に水酸化リチウムを混合し、850℃で12時間焼成することによって電池用活物質を得た。
[0165]
 評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価は実施例1と同様の方法で行った。
[0166]
 (実施例31~42及び実施例51~58)
 表2に示す元素組成としたこと以外は、実施例30と同様の方法で電池用活物質を合成し、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0167]
 (実施例43)
 M元素としてAlを用い、Alを含む原料として硫酸アルミニウムを用いた。
[0168]
 実施例1に記載の方法で得られたニッケル-コバルト-マンガン複合水酸化物と硫酸アルミニウム、塩化ニオブ及び塩化タンタルを混合し、950℃で12時間焼成した。得られた焼成物に水酸化リチウムを混合し、850℃で12時間焼成することによって電池用活物質を得た。
[0169]
 評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価は実施例1と同様の方法で行った。
[0170]
 (実施例44)
 M元素としてTiを用い、Tiを含む原料として酸化チタンを用いたこと以外は、実施例43と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0171]
 (実施例45)
 M元素としてVを用い、Vを含む原料として酸化バナジウムを用いたこと以外は、実施例43と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0172]
 (実施例46)
 M元素としてCrを用い、Crを含む原料として酸化クロムを用いたこと以外は、実施例43と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0173]
 (実施例47)
 M元素としてZrを用い、Zrを含む原料として酸化ジルコニウムを用いたこと以外は、実施例43と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0174]
 (実施例48)
 M元素としてMoを用い、Moを含む原料として酸化モリブデンを用いたこと以外は、実施例43と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0175]
 (実施例49)
 M元素としてHfを用い、Hfを含む原料として酸化ハフニウムを用いたこと以外は、実施例43と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0176]
 (実施例50)
 M元素としてWを用い、Wを含む原料として酸化タングステンを用いたこと以外は、実施例43と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0177]
 (比較例1~29)
 表3に示す元素組成としたこと以外は、比較例1~13及び22~29は実施例1と同様の方法で電池用活物質を合成し比較例14~21は実施例14と同様の方法で電池用活物質を合成した。これら電池用活物質の評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0178]
 (比較例30~42)
 表4に示す元素組成としたこと以外は、実施例30と同様の方法で電池用活物質を合成し、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[0179]
[表1]


[0180]
[表2]


[0181]
[表3]


[0182]
[表4]


[0183]
 表1~4より、元素組成をLi x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2、MはLi、Ca、Mg、Al、Ti、V、Cr、Zr、Mo、Hf及びWから選択される一種以上の元素であり、1.0≦x≦1.3、0≦a≦0.9、0≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.5、a+b+c+d=1、0.005≦s≦0.3、0.0005≦t≦0.1とすることで、高容量かつ長寿命な二次電池の提供を可能とする電池用活物質が得られることがわかる。また、電池用活物質表面に存在するNb及びTaを偏在させ、電池用活物質表面に存在するNb及びTa量を、電池用活物質内部に存在するNb及びTa量より多くすることで、さらに長寿命な二次電池の提供を可能とする電池用活物質が得られることがわかる。
 (実施例59)
 硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンを表1に示す組成比(一般式Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2に当てはめた場合の添字a,b,cで示す)となるように秤量し、水に溶解させた水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、沈殿物としてニッケル-コバルト-マンガン複合水酸化物を得た。M’元素としてKを用いた。ニッケル-コバルト-マンガン複合水酸化物と塩化ニオブ、塩化タンタル、水酸化リチウム、及びKを含む原料として塩化カリウムを表5に示す組成比(添字x,s,t,uで示す)で混合し、850℃で12時間焼成することによって、電池用活物質を得た。この電池用活物質を用いて実施例1と同様にして評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例60、61、69~80、及び90)
 表5又は表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で電池用活物質を合成し、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例62)
 M’元素としてPを用いた。Pを含む原料として五酸化二リンを用いて表5に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例63)
 M’元素としてFeを用いた。Feを含む原料として硫酸鉄を用いて表5に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例64)
 M’元素としてSiを用いた。Siを含む原料として二酸化ケイ素を用いて表5に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例65)
 M’元素としてK及びPを用いた。Kを含む原料として塩化カリウムを用いたこと、及び、Pを含む原料として五酸化二リンを用いて表5に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。合成された酸化物におけるK:Pの原子比は、3:1であった。
 (実施例66)
 M’元素としてK、P及びFeを用いた。Kを含む原料として塩化カリウムを用いたこと、Pを含む原料として五酸化二リンを用いたこと、及び、Feを含む原料として硫酸鉄を用いて表5に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。合成された酸化物におけるK:P:Feの原子比は、2:1:1であった。
 (実施例67)
 M’元素としてK、P、Fe及びSiを用いた。Kを含む原料として塩化カリウムを用いたこと、Pを含む原料として五酸化二リンを用いたこと、Feを含む原料として硫酸鉄を用いたこと、及び、Siを含む原料として二酸化ケイ素を用いて表5に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。合成された酸化物におけるK:P:Fe:Siの原子比は、2:1:1:1であった。
 (実施例68)
 M’元素としてP及びFeを用いた。Pを含む原料として五酸化二リンを用いたこと、及び、Feを含む原料として硫酸鉄を用いて表5に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。合成された酸化物におけるP:Feの原子比は、1:1であった。
 (実施例81)
 M元素としてAlを用い、Alを含む原料として硫酸アルミニウムを用いた。M’元素としてKを用い、Kを含む原料として塩化カリウムを用いた。
 実施例1に記載の方法で得られたニッケル-コバルト-マンガン複合水酸化物と硫酸アルミニウム、塩化ニオブ、塩化タンタル、塩化カリウム及び水酸化リチウムを混合し、850℃で12時間焼成することによって電池用活物質を得た。
 評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価は実施例1と同様の方法で行った。
 (実施例82)
 M元素としてTiを用い、Tiを含む原料として酸化チタンを用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例81と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例83)
 M元素としてVを用い、Vを含む原料として酸化バナジウムを用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例81と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例84)
 M元素としてCrを用い、Crを含む原料として酸化クロムを用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例81と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例85)
 M元素としてZrを用い、Zrを含む原料として酸化ジルコニウムを用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例81と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例86)
 M元素としてMoを用い、Moを含む原料として酸化モリブデンを用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例81と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例87)
 M元素としてHfを用い、Hfを含む原料として酸化ハフニウムを用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例81と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例88)
 M元素としてWを用い、Wを含む原料として酸化タングステンを用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例81と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例89)
 M’元素としてKを用いた。Kを含む原料として塩化カリウムを用いた。
 実施例1に記載の方法で得られたニッケル-コバルト-マンガン複合水酸化物と塩化ニオブ、塩化タンタル、及び塩化カリウムを混合し、950℃で12時間焼成した。得られた焼成物に水酸化リチウムを混合し、850℃で12時間焼成することによって電池用活物質を得た。
 評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価は実施例1と同様の方法で行った。
 (実施例91)
 M’元素としてNaを用いた。Naを含む原料として水酸化ナトリウムを用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例92)
 M’元素としてCuを用いた。Cuを含む原料として硫酸銅を用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
 (実施例93)
 M’元素としてZnを用いた。Znを含む原料として硫酸亜鉛を用いて表6に示す元素組成としたこと以外は、実施例59と同様の方法で、電池用活物質の合成、評価用電極作製、元素組成分析、空間群測定及び電気化学評価を行った。
[表5]


[表6]


[表7]


[表8]


 表7及び8より、元素組成をLi x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-t-uTa tM' u) sO 2、MはLi、Ca、Mg、Al、Ti、V、Cr、Zr、Mo、Hf及びWから選択される一種以上の元素であり、M’はK、P、Fe、Si、Na、Cu及びZnから選択される一種以上の元素であり、1.0≦x≦1.3、0≦a≦0.9、0≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.5、a+b+c+d=1、0.005≦s≦0.3、0.0005≦t≦0.11、0≦u≦0.3とすることで、高容量かつ長寿命な二次電池の提供を可能とする電池用活物質が得られることがわかる。また、実施例59と実施例89を比較することにより、実施例59の100サイクル後の容量維持率が実施例89に比して高いことがわかる。電池用活物質表面に存在するNb及びTaを偏在させ、電池用活物質表面に存在するNb及びTa量を、電池用活物質内部に存在するNb及びTa量より多くすることで、さらに長寿命な二次電池の提供を可能とする電池用活物質が得られる。
 実施例59,62-64、91-93を比較することにより、M’元素にKを含む実施例59の100サイクル後の容量維持率が実施例62-64及び91-93に比して高いことがわかる。
[0184]
 以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本発明はこれらに限られず、これら実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、特許請求の範囲記載の発明の要旨の範疇において様々に省略、置換え、及び変更可能である。また、本発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
 以下、当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
[1] 一般式Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-tTa t) sO 2で表される活物質。
(ただし、MはLi、Ca、Mg、Al、Ti、V、Cr、Zr、Mo、Hf及びWから選択される一種以上の元素であり、1.0≦x≦1.3、0≦a≦0.9、0≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.5、a+b+c+d=1、0.005≦s≦0.3、0.0005≦t≦0.1を満たす)
[2] 空間群R3/m、C2/m及びFm-3mのいずれか一つの空間群に属する結晶構造を有する[1]に記載の活物質。
[3] 前記一般式において、前記sの範囲が0.01≦s≦0.1である[1]又は[2]に記載の活物質。
[4] 前記一般式において、前記tの範囲が0.001≦t≦0.01である[1]ないし[3]のいずれか1項に記載の活物質。
[5] 前記活物質は粒子状であり表面に存在する前記Nb及び前記Taが、前記活物質の内部に存在する前記Nb及び前記Taよりも多い[1]ないし[4]のいずれかに記載の活物質。
[6] [1]ないし[5]の何れかに記載の活物質を含む電極。
[7] 前記電極は、前記活物質を含む活物質合剤層を備え、前記活物質合剤層は導電剤と結着剤とを含む[6]に記載の電極。
[8] [6]又は[7]のいずれか1項に記載の電極である正極と、
 負極と、
 電解質と、
 を含む二次電池。
[9] [8]に記載の二次電池を具備する電池パック。
[10] 通電用の外部端子と、
 保護回路と、
をさらに含む[9]に記載の電池パック。
[11] 複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている[9]又は[10]に記載の電池パック。
[12] [9]ないし[11]の何れか1項に記載の電池パックを搭載した車両。
[13] 前記電池パックは、前記車両の動力の回生エネルギーを回収するものである[12]に記載の車両。
[14] 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、[12]に記載の車両。

請求の範囲

[請求項1]
 一般式 Li x(Ni aCo bMn cM d) 1-s(Nb 1-t-uTa tM' u) sO 2で表される活物質。
(ただし、MはLi、Ca、Mg、Al、Ti、V、Cr、Zr、Mo、Hf及びWから選択される一種以上の元素であり、M’はK、P、Fe、Si、Na、Cu及びZnから選択される一種以上の元素であり、1.0≦x≦1.3、0≦a≦0.9、0≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.5、a+b+c+d=1、0.005≦s≦0.3、0.0005≦t≦0.1、0≦u≦0.3を満たす)
[請求項2]
 空間群R3/m、C2/m及びFm-3mのいずれか一つの空間群に属する結晶構造を有する請求項1に記載の活物質。
[請求項3]
 前記一般式において、前記sの範囲が0.01≦s≦0.1である請求項1又は2に記載の活物質。
[請求項4]
 前記一般式において、前記tの範囲が0.001≦t≦0.01である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の活物質。
[請求項5]
 前記活物質は粒子状であり表面に存在する前記Nb及び前記Taが、前記活物質の内部に存在する前記Nb及び前記Taよりも多い請求項1ないし4のいずれか1項に記載の活物質。
[請求項6]
請求項1ないし5の何れか1項に記載の活物質を含む電極。
[請求項7]
 前記電極は、前記活物質を含む活物質合剤層を備え、前記活物質合剤層は導電剤と結着剤とを含む請求項6に記載の電極。
[請求項8]
 請求項6又は7のいずれか1項に記載の電極である正極と、
 負極と、
 電解質と、
 を含む二次電池。
[請求項9]
 請求項8に記載の二次電池を具備する電池パック。
[請求項10]
 通電用の外部端子と、
 保護回路と、
をさらに含む請求項9に記載の電池パック。
[請求項11]
 複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項9又は10に記載の電池パック。
[請求項12]
 請求項9ないし11の何れか1項に記載の電池パックを搭載した車両。
[請求項13]
 前記電池パックは、前記車両の動力の回生エネルギーを回収するものである請求項12に記載の車両。
[請求項14]
 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、請求項12に記載の車両。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]