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1. WO2020130062 - 低糖質小麦粉ミックス

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明 細 書

発明の名称 低糖質小麦粉ミックス

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

0009   0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033  

実施例

0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054  

産業上の利用可能性

0055  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 低糖質小麦粉ミックス

技術分野

[0001]
 本発明は、ケーキ類やお好み焼き等のベーカリー食品、天ぷらやから揚げ等の揚げ物食品、ホワイトソース等のソース類の製造に用いることができる低糖質小麦粉ミックスに関し、詳細には、食物繊維を含有し、低糖質且つ低カロリーでありながら、通常の小麦粉と同様にベーカリー食品、揚げ物食品及びソース類の製造に用いることができる、低糖質小麦粉ミックスに関する。

背景技術

[0002]
 小麦は、パンや麺のような主食に加工されて世界中で食されている穀物である。同様の穀物として米が挙げられるが、米が主として種子の形状を保ったまま食されるのに対し、小麦は種子を一旦粉砕して小麦粉とし、小麦粉をパンや麺、さらには揚げ物の衣材、ソース等の種々の小麦粉食品に加工して食されている点で、小麦と米は大きく異なっている。小麦粉は、原料となる小麦の種類により、性質が異なっており、パン用の小麦粉、菓子用の小麦粉、麺用の小麦粉のように、それぞれの用途に適した小麦粉が販売されている。また、異なる種類の小麦粉を混合したものや、澱粉等の副資材を混合したミックスも種々の食品用に開発されており、天ぷらやから揚げのような揚げ物食品の衣材ミックスや、お好み焼き用ミックス等も市販されている。
[0003]
 近年、糖質を制限する健康法が注目されている。糖質は、脂質及び蛋白質と並ぶ3大栄養素の1つであるが、糖質は体内に吸収された後、一部が脂質となって蓄積されて体脂肪増加の一因となり、また糖質を多量に摂取して血糖値が上昇すると、糖尿病のリスク要因となる場合がある。小麦粉は、現代の食生活に欠かせないものであるが、糖質である澱粉をおよそ80%含んでおり、小麦粉の使用を制限せざるを得ない場合がある。また近年は、健康志向の高まりを背景に、食生活に糖質制限を積極的に採り入れる動きが活発化しており、糖質を制限する療法やダイエット法等が数多く提唱されている。そうした中で、低糖質で糖質制限に適した小麦粉食品に対するニーズが高まっている。
[0004]
 低糖質を謳う小麦粉食品として、通常の小麦粉食品における糖質を、ヒトの消化酵素で消化され難い食物繊維に置き換えたものが知られており、この食物繊維としては、難消化性澱粉、難消化性デキストリン、イヌリン等が用いられている。しかしながら、小麦粉食品に食物繊維を含有させると、小麦粉食品の低糖質化が図られる一方で、小麦粉食品本来の食感、食味、風味等が低下し、食品としての美味しさが損なわれるという問題がある。この問題を解決するべく種々の提案がなされている。
[0005]
 例えば特許文献1には、食物繊維強化用組成物を6~45重量%含み、該食物繊維強化用組成物が、難消化性デキストリン等の低粘性の水溶性食物繊維7~50重量%と、ヒドロキシプロピル基を有する加工澱粉50~93重量%とからなる小麦粉食品が記載されている。また特許文献2には、イヌリンを主成分とする食用粉末及びふすま粉末を含む原料粉を、パン、ケーキ、うどん等の材料に添加することが記載されている。特許文献3には、イヌリンを主成分とする水溶性食物繊維粉末に対して、ふすま、ぬか、おからから選ばれる不溶性食物繊維を2~20倍量配合するダイエット食品が記載されている。
[0006]
 また特許文献4には、成分(i):穀粉及び/又はでんぷん、成分(ii):難消化性でんぷん、成分(iii):難消化性デキストリン及び/又は平均分子量1000以上のイヌリンを含み、成分(ii)と成分(iii)の比率が特定範囲であるスナックが記載されている。
 しかしながら、これらの技術を適用して得られる小麦粉食品は、硬く粉っぽくぼそぼそとして、食感に劣るものであった。
[0007]
 特許文献5には、バッター生地用の食品組成物として、低糖質食品原料及び麹を含むものが記載されており、該低糖質食品原料として、難消化性澱粉、難消化性デキストリン、大豆粉、豆乳粉末、おから、フスマ、セルロース、ポリデキストロース、小麦食物繊維、大豆食物繊維、難消化性グルカン、寒天、こんにゃく粉、アーモンドプードル、ナッツ粉末、小麦蛋白、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、卵蛋白が記載されている。特許文献5記載の食品組成物は、麹を含有することによって、口溶け感向上や繊維っぽさ(繊維感)のマスキング効果等のメリットが得られるが、麹の風味を好まない場合には、適用し難いものであった。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特開平10-243777号公報
特許文献2 : 特開2008-79606号公報
特許文献3 : 米国特許出願公開第2009/202674号公報
特許文献4 : 再表2017-57484号公報
特許文献5 : 特開2017-55662号公報

発明の概要

[0009]
 本発明の課題は、食物繊維を含有し低糖質且つ低カロリーでありながらも、通常の小麦粉と同様にベーカリー食品、揚げ物食品及びソース類の製造に用いることができる、低糖質小麦粉ミックスを提供することである。
[0010]
 本発明は、ミックスの全質量中、食物繊維素材を25質量%以上、グルテンを3~30質量%、地下系澱粉を1~20質量%含有し、且つ小麦粉を60質量%以下で含有することを特徴とする、低糖質小麦粉ミックスである。
 また本発明は、前記低糖質小麦粉ミックスを用いて、ベーカリー食品、揚げ物食品又はソース類を製造する方法である。

発明を実施するための形態

[0011]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、食物繊維素材を25質量%以上、グルテンを3~30質量%、地下系澱粉を1~20質量%含有し、且つ小麦粉を60質量%以下で含有する。
[0012]
 本発明で用いる食物繊維素材は、食物繊維を主として含有する食品素材である。該食物繊維とは、ヒトの消化酵素で消化されない食品成分であり、セルロースやリグニンのような植物体の構造成分をなすものと、それ以外のもの、例えばガム類や加工澱粉とがある。また、食物繊維は、水に対する溶解性の差から、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維に分類することができる。水溶性食物繊維としては、例えば、イヌリン、ペクチン、寒天、アルギン酸、アラビアガム、グアガム、ポリデキストロース、難消化性デキストリン等が挙げられ、不溶性食物繊維としては、例えば、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、難消化性澱粉、大豆食物繊維、ビートファイバー、小麦ふすま、エンドウファイバー、リンゴ食物繊維、シトラスファイバー、小麦ファイバー、オート麦ファイバー、サトウキビファイバー、ポテトファイバー等が挙げられる。
[0013]
 尚、食物繊維素材は、食物繊維以外に、消化性成分等のその他の成分を含んでいる場合がある。本発明で用いる食物繊維素材は、そのようなその他の成分を含んでいるものであっても構わない。本発明で用いる食物繊維素材は、小麦粉食品の低糖質化、低カロリー化をより確実なものとする観点から、「食物繊維含有量」が、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。「食物繊維含有量」とは、AOAC985.29をベースとした酵素-重量法(プロスキー法)によって定量される値である。「食物繊維含有量」は、プロスキー法をベースとした市販の測定キット、例えば食物繊維測定キット(和光純薬工業)等を利用して測定することができる。
[0014]
 本発明で用いる食物繊維素材は、前述の食物繊維の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有することができる。好ましくは、本発明で用いる食物繊維素材は、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含有する(すなわち、食物繊維素材として、水溶性食物繊維含有素材及び不溶性食物繊維含有素材を組み合わせて用いることが好ましい)。水溶性食物繊維単独では、得られる低糖質小麦粉ミックスから製造される小麦粉食品の食感がべたつく場合があり、不溶性食物繊維単独では、小麦粉食品の食感がざらつく場合がある。本発明においては、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維との質量比(水溶性食物繊維:不溶性食物繊維)が10:1~1:10、特に2:1~1:2であることが好ましい。
[0015]
 前記水溶性食物繊維としては、イヌリンが好ましい。イヌリンは、ショ糖のフルクトース残基に、フルクトースが1~60個程度β(2、1)結合したものであり、植物の貯蔵多糖類として機能している。イヌリンはチコリやキクイモの地下部に豊富に含まれているほか、多くの穀物や野菜にも含まれており、これらの植物から抽出して用いることができる。また近年では微生物によりイヌリンを製造する方法も見出されており、そのような微生物産生のイヌリンも用いることができる。また、イヌリンとして市販されている商品を水溶性食物繊維含有素材として用いることもでき、具体的には、フジFF(フジ日本精糖製)、ラフテリン(オラフティ製)が挙げられる。
[0016]
 前記不溶性食物繊維としては、難消化性澱粉が好ましい。澱粉は、ブドウ糖がα(1、4)結合、α(1、6)結合で多数結合した高分子であり、生物由来の澱粉は一般的には消化酵素で分解される。しかしながら、生物由来であっても、一部又は全体に特定の構造を有する澱粉や、化学的に修飾を受けた澱粉は、消化酵素に抵抗性を示すようになる。
[0017]
 難消化性澱粉は、下記RS1~RS4の4種類に分類される。
 RS1は、澱粉それ自体は消化されやすいものの、外皮等により物理的に保護されているために、消化酵素が作用できずに消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、主に全粒粉、種子、マメ類等に含まれる。
 RS2は、澱粉粒の特殊な結晶構造に起因して消化抵抗性を示す難消化性澱粉(生澱粉)であり、低水分条件で湿熱処理を行った馬鈴薯澱粉や、未熟バナナ澱粉を例示できる。また、ハイアミロース澱粉も、直鎖構造のアミロースが多く、RS2に分類される。ここでいうハイアミロース澱粉とは、澱粉中のアミロース含量が50質量%以上の澱粉である。
 RS3は、澱粉の老化により消化酵素が作用しにくい構造に変化したために消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、加熱により一旦糊化(α化)させた後、冷却して得られる老化澱粉(β化澱粉)を例示できる。
 RS4は、高度に化学修飾されたことにより消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、強い架橋処理が施された澱粉、エーテル化及び/又はエステル化された澱粉を例示できる。
[0018]
 本発明では、RS1~RS4のいずれの難消化性澱粉も用いることができる。特に好ましくは、RS2又はRS4に分類される難消化性澱粉を含有し且つ「食物繊維含有量」が60質量%以上の不溶性食物繊維含有素材を用いる。
[0019]
 前記難消化性澱粉は、天然の澱粉(未加工の澱粉)でも加工澱粉でも構わない。尤も、一般に、天然の難消化性澱粉を含有する食物繊維素材は「食物繊維含有量」が高くても30質量%未満に留まるものがほとんどであり、本発明で用いるには必ずしも好適ではない場合が多い。これに対し例えば、RS2の難消化性澱粉を含有し湿熱処理等の熱処理が施された食物繊維素材は、熱処理によって「食物繊維含有量」が高められており、本発明で用いるのに好ましい。具体的には例えば、澱粉中のアミロース含量が70質量%のハイアミロースコーンスターチは、熱処理前の未加工の状態では「食物繊維含有量」が20質量%程度に過ぎないが、湿熱処理が施されると60質量%程度になる。
 また、難消化性澱粉として市販されている商品を、不溶性食物繊維含有素材として用いることもできる。RS2の難消化性澱粉を含有する商品の例として、日食ロードスター(日本食品化工製)、ハイメイズ1043(日本エヌエスシー製)、Actistar 11700(カーギルジャパン製)が挙げられる。RS4の難消化性澱粉を含有する商品の例として、パインスターチRT(松谷化学工業製)、ファイバージムRW(松谷化学工業製)、Actistar RT 75330(カーギルジャパン製)が挙げられる。
[0020]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスにおける食物繊維素材の含有量は、該ミックスの全質量(乾燥質量、以下同様)中、25質量%以上であり、好ましくは30~60質量%、さらに好ましくは34~50質量%である。低糖質小麦粉ミックスにおける食物繊維の含有量が25質量%未満では、食物繊維量の不足により小麦粉食品の低糖質化、低カロリー化が不十分となり、期待される保健機能が得られないおそれがある。また、低糖質小麦粉ミックスにおける食物繊維の含有量が多く、特に60質量%を超えると、小麦粉食品が粉っぽくぼそぼそした食感になるおそれがある。
[0021]
 本発明で用いるグルテンは、小麦に含まれる蛋白質であるグリアジンとグルテニンとが混合した蛋白である。小麦粉に加水後混捏して生地を調製し、該生地を流水又は多量の水の中でよく揉むと、澱粉が洗い流されてグルテンが残る。また工業的には、小麦粉から澱粉を取り出した残渣から得ることができる。本発明のグルテンは上記のようにして製造したものを利用してもよく、市販のものを利用してもよい。
[0022]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスにおけるグルテンの含有量は、該ミックスの全質量中、3~30質量%であり、好ましくは5~20質量%、さらに好ましくは7~15質量%である。低糖質小麦粉ミックスにおけるグルテンの含有量が3質量%未満では、小麦粉食品が粉っぽくぼそついた食感になり、また30質量%を超えると、小麦粉食品が硬い食感になるおそれがある。
[0023]
 本発明で用いる地下系澱粉は、植物の地下部(土壌中の茎、根、塊茎、塊根)に由来する澱粉であり、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等が例示できる。地下系澱粉は、未加工(生澱粉)のまま用いてもよく、あるいはエステル化、エーテル化、酸化、架橋化、α化等の処理を1つ以上施して得られる加工澱粉でもよく、生澱粉と加工澱粉を混合したものでもよい。また、複数の地下系澱粉を組み合わせて用いてもよい。これらの地下系澱粉の中では、タピオカ澱粉、すなわちキャッサバの地下系(根茎)に由来する澱粉が好ましく、アセチル化タピオカ澱粉(タピオカ酢酸澱粉)が最も好ましい。
[0024]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスにおける地下系澱粉の含有量は、該ミックスの全質量中、1~20質量%であり、好ましくは3~15質量%、さらに好ましくは5~12質量%である。低糖質小麦粉ミックスにおける地下系澱粉の含有量が1質量%未満では、小麦粉食品の口溶け感が低下しぼそついた食感が強くなり、また揚げ物食品では衣の花咲や粉噴きが不十分になる。また20質量%を超えると、小麦粉食品がべたついた食感になるおそれがある。
[0025]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、小麦粉を60質量%以下であり、得られる小麦粉食品(特にベーカリー食品)における低糖質且つ低カロリー性と良好な食感とのバランスの観点から、好ましくは25~50質量%、さらに好ましくは30~44質量%で含有する。小麦粉としては強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉のいずれも用いることができる。強力粉や準強力粉が中心になると、小麦粉食品のボリューム感がつく傾向が高まり、中力粉が中心になると、小麦粉食品に粘弾性のある食感がつく傾向が高まり、薄力粉が中心になると、小麦粉食品の口溶け感が向上する傾向が高まる。そのため、本発明の低糖質小麦粉ミックスに用いる小麦粉は、求める小麦粉食品の特性に応じて、その種類や配合量を決定することができる。特に、本発明の低糖質小麦粉ミックスをベーカリー食品、揚げ物食品又はソース類の製造に用いる場合、強力粉と薄力粉を質量比1:2~2:1で含有させるのが好ましい。
[0026]
 また小麦粉は未処理のまま用いてもよく、熱処理を行った小麦粉を用いてもよい。ただし熱処理を行うことで、小麦粉に含まれる蛋白質が変性したり、澱粉が変質する場合がある。そのため、本発明の低糖質小麦粉ミックスに用いる小麦粉中、熱処理を行った小麦粉は、50質量%以下の量で用いることが好ましい。
[0027]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、前記必須成分(食物繊維素材、グルテン、地下系澱粉及び小麦粉)に加えてさらに、乳化剤を含有してもよい。低糖質小麦粉ミックスに乳化剤を含有させることで、小麦粉食品の口溶け感をより向上し、ぼそついた食感をより低下することができる。本発明で用いる乳化剤としては、食用に供することができるものであればいずれでもよく、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が例示できる。これらの中では、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。本発明の低糖質小麦粉ミックスにおける乳化剤の含有量は、該ミックスの全質量中、好ましくは0.1~1質量%、さらに好ましくは0.2~0.8質量%である。
[0028]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、小麦粉食品の製造に通常用いられるその他の原材料、例えば、小麦粉以外の穀粉類、その他の澱粉類(すなわち、食物繊維及び地下系澱粉のいずれにも該当しない澱粉類)、糖類、油脂類、粉乳、色素、香料、食塩、膨張剤、乾燥卵、増粘剤、卵殻カルシウム、酵素、呈味剤、香辛料等を、所望される小麦粉食品の品質等に応じて適宜含有してもよい。これらの他の原材料の含有量は、低糖質小麦粉ミックスの全質量中、好ましくは0~40質量%程度、さらに好ましくは0~30質量%程度である。
[0029]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、前述した各成分を適宜混合することによって得られる。本発明の低糖質小麦粉ミックスの形態は特に限定されないが、通常、常温常圧下で粉末、顆粒状等である。
[0030]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、ベーカリー食品の製造に用いることができる。本発明におけるベーカリー食品は、穀粉類や澱粉類を主原料とし、これに必要に応じてイーストや膨張剤(ベーキングパウダー等)、水、食塩、砂糖等の副原料を加えて得られた発酵又は非発酵生地を、焼成、蒸し、フライ等の加熱処理に供して得られる食品をいう。本発明が適用可能なベーカリー食品の例としては、パン類;ピザ類;ケーキ類;ワッフル、シュー、ビスケット、どら焼き、焼き饅頭等の和洋焼き菓子;蒸し菓子;ドーナツ等の揚げ菓子;お好み焼き、たこ焼き、チヂミ、ねぎ焼等のスナック菓子等が挙げられる。尚、ケーキ類としては、スポンジケーキ、バターケーキ、ロールケーキ、ホットケーキ、ブッセ、バームクーヘン、パウンドケーキ、チーズケーキ、スナックケーキ、マフィン、バー、クッキー、パンケーキ等が挙げられる。本発明の低糖質小麦粉ミックスは、とりわけ、膨張剤を用いて得られるベーカリー食品に好適である。
[0031]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、揚げ物食品の製造に用いることができる。本発明でいう揚げ物食品は、穀粉類や澱粉類を主原料とし、これに必要に応じて膨張剤(ベーキングパウダー等)、水、食塩、砂糖、醤油、ニンニク等の副原料を加えた粉末状又は液状の衣材を、具材表面に付着させ、焼成、フライ等の加熱処理に供して得られる食品をいう。本発明が適用可能な揚げ物食品の例としては、天ぷら、から揚げ、竜田揚げ、フリッター等が挙げられる。
[0032]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、ソース類の製造に用いることができる。本発明でいうソース類は、小麦粉や澱粉で粘性を付与した液体食品や、小麦粉と油脂でルウを製造し、これをベースとした液体食品をいう。本発明が適用可能なソース類の例としては、ホワイトソース、たれ、あん、カレールウ等が挙げられる。
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、上述のベーカリー食品、揚げ物食品及びソース類のほか、うどん等の各種麺類、すいとん、はるまきや餃子の皮のような生地食品といった様々な小麦粉食品に用いることができ、さらには、カスタードクリーム等のフィリングや、ムニエル、生姜焼き、パン粉付け食品等に使用する打ち粉等にも用いることができ、その用途に特に制限はない。
[0033]
 本発明の低糖質小麦粉ミックスは、通常の小麦粉と同様に用いることができる。従って、本発明の低糖質小麦粉ミックスを用いて、上述した各種の小麦粉食品を製造するにあたっては、本発明の低糖質小麦粉ミックスは通常の小麦粉と同様に取り扱えばよい。本発明の低糖質小麦粉ミックスは、通常の小麦粉と同様に用いて、通常の小麦粉を用いた場合と同等又はそれ以上の品質の小麦粉食品を製造することができ、しかも糖質が低減されているため、糖質を制限する食事、栄養療法、ダイエット法に最適である。
実施例
[0034]
 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[0035]
〔実施例1~19及び比較例1~8〕
 下記表1~4に示す原材料を適宜混合・攪拌して、低糖質小麦粉ミックスを製造した。使用した原料の詳細は下記の通り。
・水溶性食物繊維含有素材:商品名「フジFF」フジ日本精糖製、イヌリン含有、食物繊維含有量95%(以下の表においては「イヌリン」と略記する)
・不溶性食物繊維含有素材:商品名「パインスターチRT」松谷化学工業製、難消化性澱粉含有、食物繊維含有量75%(以下の表においては「難消化性澱粉」と略記する)
・グルテン:商品名「国産 小麦たんぱく」、富澤商店製
・地下系澱粉:タピオカ澱粉、アセチル化タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉
・地上系澱粉:コーンスターチ
・乳化剤:ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル
・小麦粉:強力粉、薄力粉
[0036]
〔試験例1〕糖質量の評価
 得られた実施例及び比較例の低糖質小麦粉ミックスの糖質量を、計算により求めた。具体的には、各原料の糖質含有量を「日本食品標準成分表2015年版 七訂」により求め、参考例の薄力小麦粉の糖質量を100としたときの実施例及び比較例の低糖質小麦粉ミックスの糖質量を百分率で表した。その結果を表1に示す。
[0037]
〔試験例2〕ベーカリー食品の評価
 各実施例及び比較例の低糖質小麦粉ミックスを用いてホットケーキを製造した。具体的には、ミックス78質量部に対して、砂糖20質量部、膨張剤2質量部を加えてよく混合した。得られた混合物100質量部に、牛乳70質量部と全卵液50質量部を加えてホイッパーで攪拌し、液状生地を得た。得られた液状生地を、170℃に熱したホットプレート上に垂らして広げ、3分間焼成した後、上下反転させて未焼成の面側を1分30秒間焼成し、ホットケーキを製造した。製造したホットケーキを10名のパネラーが食し、その際の食感(滑らかさ、柔らかさ)を下記評価基準で評価した。結果を10名の評価点の平均値として下記表1~4に示す。
[0038]
<滑らかさの評価基準>
 5点:滑らかで舌触りが非常によく、極めて良好。
 4点:滑らかで舌触りがよく、良好。
 3点:滑らかさが感じられる。
 2点:ぼそついた粉っぽさがあり、不良。
 1点 ぼそついた粉っぽさが強く、極めて不良。
<柔らかさの評価基準>
 5点:非常に柔らかく生地が溶け、極めて良好。
 4点:柔らかく生地が溶け、良好。
 3点:柔らかさが感じられる。
 2点:口溶けが悪いか、ざらざらした感触又はべたついた感触があり、不良。
 1点:口溶けが非常に悪いか、ざらざらした感触又はべたついた感触が強く、極めて不良。
[0039]
[表1]


[0040]
[表2]


[0041]
[表3]


[0042]
[表4]


[0043]
〔実施例20~21及び比較例9~10〕
 表5の配合に従って、地下系澱粉の種類を変更して低糖質小麦粉ミックスを製造した。これらのミックスについて、試験例1と同様にして糖質量を求めた。またこれらのミックスを用いて、試験例2と同様にしてホットケーキを製造し、評価した。それらの結果を表5に示す。
[0044]
[表5]


[0045]
〔実施例22~27〕
 表6の配合に従って、乳化剤を含有させて低糖質小麦粉ミックスを製造した。これらのミックスについて、試験例1と同様にして糖質量を求めた。またこれらのミックスを用いて、試験例2と同様にしてホットケーキを製造し、評価した。それらの結果を表6に示す。
[0046]
[表6]


[0047]
〔実施例28~34〕
 表7の配合に従って、小麦粉を変更して低糖質小麦粉ミックスを製造した。これらのミックスについて、試験例1と同様にして糖質量を求めた。またこれらのミックスを用いて、試験例2と同様にしてホットケーキを製造し、評価した。それらの結果を表7に示す。
[0048]
[表7]


[0049]
〔試験例3〕揚げ物食品の評価
 実施例1~3及び比較例1~3の低糖質小麦粉ミックスをそれぞれ用いて鶏から揚げを製造した。具体的には、鶏もも肉を1個20gとなるよう切り分け、下味をつけて具材とした。この具材に、低糖質小麦粉ミックスを、肉100gあたりの付着量が15gになるよう振り掛けて付着させ、次いで170℃に熱したサラダ油で3分間油ちょうしてから揚げを製造した。得られたから揚げの外観及び食感を、10名の専門パネラーにより下記評価基準で評価した。結果を10名の評価点の平均値として表8に示す。
[0050]
<外観の評価基準>
 5点:表面全体に凸凹、ざらつきが十分にあり、極めて良好。
 4点:表面全体に凸凹、ざらつきがあり、良好。
 3点:表面の50~80%程度に凸凹、ざらつきがある。
 2点:表面の凸凹、ざらつきがやや物足りず、不良。
 1点 表面の凸凹、ざらつきに乏しく、極めて不良。
<食感の評価基準>
 5点:衣のサクサク感が十分にあり、口溶けもよく、極めて良好。
 4点:衣のサクサク感があり、口溶けもよく、良好。
 3点:衣のサクサク感はあるが、ややぼそつきが感じられる。
 2点:衣のサクサク感にやや物足りず、ぼそつきが感じられ、不良。
 1点:衣のサクサク感に乏しく、ぼそつきが感じられ、極めて不良。
[0051]
[表8]


[0052]
〔試験例4〕ソース類の評価
 実施例1~3及び比較例1~3の低糖質小麦粉ミックスをそれぞれ用いてホワイトソースを製造した。具体的には、低糖質小麦粉ミックス100gとバター130gを鍋に入れ、弱火で加熱しながら木べらでかき混ぜた。ほぼ均一に混ざったところで牛乳1.3Lを加え、中火で沸騰するまで煮込んだ。塩、コショウ少々で味付けし、弱火で5分煮込んでホワイトソースを製造した。得られたソースの食感を、10名の専門パネラーにより下記評価基準で評価した。結果を10名の評価点の平均値として、表9に示す。
[0053]
<食感の評価基準>
 5点:全体に滑らかな舌触りがあり、極めて良好。
 4点:滑らかな舌触りがあり、良好。
 3点:わずかにざらつきが感じられる。
 2点:ややざらつきが感じられ、不良。
 1点:ざらつきが強く感じられ、極めて不良。
[0054]
[表9]


産業上の利用可能性

[0055]
 本発明によれば、食物繊維を含有し低糖質且つ低カロリーでありながらも、通常の小麦粉と同様にベーカリー食品、揚げ物食品及びソース類の製造に用いることができる、低糖質小麦粉ミックスを提供することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 ミックスの全質量中、食物繊維素材を25質量%以上、グルテンを3~30質量%、地下系澱粉を1~20質量%含有し、且つ小麦粉を60質量%以下で含有することを特徴とする、低糖質小麦粉ミックス。
[請求項2]
 さらに乳化剤を0.1~1質量%含有する請求項1に記載の低糖質小麦粉ミックス。
[請求項3]
 前記食物繊維素材が、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含有する、請求項1又は2に記載の低糖質小麦粉ミックス。
[請求項4]
 前記地下系澱粉がタピオカ澱粉である、請求項1~3のいずれか1項に記載の低糖質小麦粉ミックス。
[請求項5]
 前記小麦粉が、強力粉と薄力粉を1:2~2:1の質量比で含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の低糖質小麦粉ミックス。
[請求項6]
 請求項1~5のいずれか1項に記載の低糖質小麦粉ミックスを用いて、ベーカリー食品、揚げ物食品又はソース類を製造する方法。