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1. WO2020130025 - 電子デバイス及び電子デバイスの製造方法

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明 細 書

発明の名称 電子デバイス及び電子デバイスの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005   0006   0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145  

実施例

0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197  

産業上の利用可能性

0198  

符号の説明

0199  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 電子デバイス及び電子デバイスの製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、電子デバイス及び電子デバイスの製造方法に関し、特に、塗布法により陰極を形成した場合であっても、陰極と中間層との界面における通電性が良好で、反射率が高く、均一発光に優れた電子デバイス及び電子デバイスの製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、有機EL素子の開発において渇望される低価格化や量産化の達成に向け、製造にはかつて主流であった高エネルギー消費プロセスである真空蒸着法に代替して、溶液の塗布や印刷により機能性膜を成膜する湿式塗布法(以下、単に「塗布法」ともいう。)を用いるプロセスに注目が集まっている。特に、電極を塗布法で製造することが効率の面で好ましいことからその製法について検討されている。
 具体的に特許文献1では、銀粒子及び共役化合物を含む銀-共役化合物複合体を含有する溶液から塗布法によって陰極を製造することが開示されている。しかしながら、前記銀粒子の粒径は比較的大きく、このような粒径の大きな銀粒子を塗布して、電極を製造することで、陰極と有機層との界面における凹凸が大きすぎて、陰極と有機層との界面における通電性が悪く、均一発光に不利であった。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2012-238576号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、塗布法により陰極を形成した場合であっても、陰極と中間層との界面における通電性が良好で、反射率が高く、均一発光に優れた電子デバイス及び電子デバイスの製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、前記中間層と前記陰極との界面に沿った実際の長さを特定範囲とすることで、前記界面における通電性が良好で反射率が高く、均一発光に優れた電子デバイス及び電子デバイスの製造方法を提供することができることを見いだし本発明に至った。
 すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
[0006]
 1.少なくとも陽極、中間層及び陰極を備えた電子デバイスであって、
 前記陰極が、銀粒子及び分散剤を含有し、
 電子顕微鏡観察して得られる前記陰極及び前記中間層の断面画像において、前記中間層と前記陰極との界面における距離20nm以上の間隔を有する任意の2点について直線を引いたとき、当該任意の2点間の直線の距離の範囲内における前記界面上の前記2点間の当該界面に沿った実際の長さが、前記任意の2点間の直線距離に対して105~200%の範囲内である電子デバイス。
[0007]
 2.前記陰極の前記中間層と反対側の表面の算術平均粗さSaが、3.0nm以下である第1項に記載の電子デバイス。
[0008]
 3.有機エレクトロルミネッセンス素子である第1項又は第2項に記載の電子デバイス。
[0009]
 4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子デバイスを製造する電子デバイスの製造方法であって、
 前記銀粒子及び前記分散剤を含有する陰極用塗布液を塗布して前記陰極を形成する工程を有し、
 前記陰極用塗布液中における前記銀粒子のアスペクト比が、1.0~5.0の範囲内である電子デバイスの製造方法。
[0010]
 5.前記陰極を形成する工程が、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法又はインクジェット法のいずれかにより前記陰極用塗布液を塗布する第4項に記載の電子デバイスの製造方法。

発明の効果

[0011]
 本発明の上記手段により、塗布法により陰極を形成した場合であっても、陰極と中間層との界面における通電性が良好で、反射率が高く、均一発光に優れた電子デバイス及び電子デバイスの製造方法を提供することができる。
 本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
 本発明では、中間層と陰極との界面に沿った実際の長さを前記のような特定範囲とすることにより、中間層と陰極との接触面積が上昇し、これにより導電性が向上し、注入電圧の低下、ひいては電子デバイスの性能の向上につながると推察される。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 本発明に係る陰極と中間層との界面を示す断面図
[図2] 本発明に係る有機EL素子の層構成の一例を示す断面図
[図3] 本発明に係るバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図

発明を実施するための形態

[0013]
 本発明の電子デバイスは、少なくとも陽極、中間層及び陰極を備えた電子デバイスであって、前記陰極が、銀粒子及び分散剤を含有し、電子顕微鏡観察して得られる前記陰極及び前記中間層の断面画像において、前記中間層と前記陰極との界面における距離20nm以上の間隔を有する任意の2点について直線を引いたとき、当該任意の2点間の直線の距離の範囲内における前記界面上の前記2点間の当該界面に沿った実際の長さが、前記任意の2点間の直線距離に対して105~200%の範囲内である。
 この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
[0014]
 本発明の実施態様としては、前記陰極の前記中間層と反対側の表面の算術平均粗さSaが、3.0nm以下であることが、陰極の中間層と反対側の表面が平坦となり、その結果、陰極の通電性が良好となる点で好ましい。
[0015]
 本発明の電子デバイスの製造方法は、前記銀粒子及び前記分散剤を含有する陰極用塗布液を塗布して前記陰極を形成する工程を有し、前記陰極用塗布液中における前記銀粒子のアスペクト比が、1.0~5.0の範囲内である。これにより、前記中間層と前記陰極との界面に沿った実際の長さを、前記任意の2点間の直線距離に対して105~200%の範囲内にすることができるので、前記界面における通電性が良好で反射率が高く、均一発光に優れた電子デバイスとすることができる。
 また、前記陰極を形成する工程が、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法又はインクジェット法のいずれかにより前記陰極用塗布液を塗布することが、膜厚を適切にコントロールでき、また塗布における容易性と精度の観点から好ましい。
[0016]
 以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[0017]
[本発明の電子デバイスの概要]
 本発明の電子デバイスは、少なくとも陽極、中間層及び陰極を備えた電子デバイスであって、前記陰極が、銀粒子及び分散剤を含有し、電子顕微鏡観察して得られる前記陰極及び前記中間層の断面画像において、前記中間層と前記陰極との界面における距離20nm以上の間隔を有する任意の2点について直線を引いたとき、当該任意の2点間の直線の距離の範囲内における前記界面上の前記2点間の当該界面に沿った実際の長さが、前記任意の2点間の直線距離に対して105~200%の範囲内である。
[0018]
 本発明において、「前記任意の2点間の直線の距離」とは、例えば電子デバイスが、図1に示すような有機エレクトロルミネッセンス素子である場合には、電子顕微鏡観察して得られる陰極(17)及び第2の有機機能層(中間層)(15)の断面画像において、第2の有機機能層(15)と陰極(17)との界面(K1)における距離20nm以上の間隔を有する任意の2点(図1では、点A及び点B)を直線で引いたときの仮想上の直線距離(M)をいう。
 また、「前記界面上の前記2点間の当該界面に沿った実際の長さ」とは、前記断面画像において、前記任意の2点間の直線を複数カ所において引いたとき、それぞれの2点間の直線距離(M)の範囲内において、界面上の2点間の実際の凹凸の長さ(N)を測定し、測定した各長さ(N)の平均の長さをいう。すなわち、前記直線距離(M)は、選択する2点によって、当該直線距離の範囲内における実際の界面の長さが異なってくるため、数カ所測定して、それらの平均値を採用するものとする。
[0019]
 また、前記界面における任意の2点間の直線距離に対する前記実際の長さの割合を105~200%の範囲内とするための手段としては、後述するように、銀粒子及び分散剤を含有する陰極用塗布液中における銀粒子の平均アスペクト比、陰極用塗布液中における銀粒子の平均粒径及び粒径のばらつき(具体的には(D 90-D 10)/D 50の値)を特定範囲に調整することや、陰極用塗布液の塗布方法を上述した各塗布法を用いることが挙げられる。
[0020]
[電子デバイス]
 本発明の電子デバイスとしては、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子を有する太陽電池、有機薄膜トランジスター及びタッチパネルセンサー等が挙げられる。中でも、本発明の電子デバイスは、有機EL素子であることが好ましい。
 以下、有機EL素子及有機光電変換素子を有する太陽電池について順に説明する。
[0021]
[有機EL素子]
 図2は、本発明の有機EL素子の層構成の一例を示す断面図である。
[0022]
 本発明の有機EL素子(EL)は、好ましくは可撓性を有する基板(10)上にガスバリアー層(11)を形成してガスバリアー性を有する基板として用いることが好ましい。
 本発明の有機EL素子(EL)は、前記基板上に陽極(12)が形成され、その上に正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層等の第1の有機機能層(有機層ともいう。)(13)、発光層(14)及び正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層などの第2の有機機能層(有機層ともいう。)(15)が、この順に積層形成されていることが好ましい。そして、前記第1の有機機能層(13)、発光層(14)及び第2の有機機能層(15)で有機機能層ユニット(16)が構成されている。さらに、前記第2の有機機能層(15)の上層として陰極(17)が形成され、第1の有機層(13)、第2の有機機能層(15)、陽極(12)及び陰極(17)を、封止用接着層(18)を介して封止基板(19)で封止されている。
 なお、本発明に係る有機EL素子において、陽極(12)及び陰極(17)の間に配置された有機機能層ユニット(16)が本発明に係る中間層に相当する。
[0023]
 以下、本発明の有機EL素子の各要素について、その詳細を説明する。
 〔1〕基板
 有機EL素子(EL)に適用可能な基板(10)としては、特に制限はなく、例えば、ガラス、プラスチック等の種類を挙げることができる。さらには、基板がフレキシブル性を有していることが好ましい。本発明でいうフレキシブル性とは、直径5mmのABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂)製の棒に10回巻きつけと開放を繰り返した後、目視確認にて基板に割れや欠け等の損傷がない特性をいう。
[0024]
 本発明において、最表面(光放射面側)に配置される基板(10)は、透明基板であることが好ましく、「透明」とは、可視光領域における平均光線透過率が50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
[0025]
 すなわち、本発明においては、基板(10)側から光Lを取り出す構成では、基板(10)は透明材料であることが必要であり、好ましく用いられる透明なフレキシブル基板(10)としては、ガラス、石英、樹脂基板を挙げることができ、さらに好ましくは、フレキシブル性と安全性の観点から樹脂基板である。
[0026]
 本発明に適用可能な樹脂基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(略称:TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(略称:CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート(略称:PC)、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(略称:PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)及びアペル(商品名、三井化学社製)等のシクロオレフィン等を挙げることができる。
[0027]
 これら樹脂基板のうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエステルフィルムである、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等の透明樹脂フィルムが可撓性の樹脂基板として好ましく用いられる。
[0028]
 ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。中でも透明性、機械的強度、寸法安定性等の点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4-シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
 透明樹脂フィルムとしては、二軸配向ポリエステルフィルムであることが特に好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸された一軸延伸ポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。
[0029]
 透明基板として透明樹脂フィルムを用いる場合、取り扱いを容易にするために、透明性を損なわない範囲内で、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機微粒子や、架橋高分子微粒子、シュウ酸カルシウム等の有機微粒子を含有することが好ましい。また、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、染料、顔料及び紫外線吸収剤等を含有することも好ましい。
[0030]
 樹脂基板の厚さとしては、10~500μmの範囲内にある薄膜の樹脂基板であることが好ましいが、より好ましくは30~400μmの範囲内であり、特に好ましくは、50~300μmの範囲内である。厚さが10μm以上であれば、有機EL素子を安定して保持することができ、厚さが500μm以下であれば、薄型の有機EL素子を提供することができる。
[0031]
 また、本発明に係る基板(10)上には、ガスバリアー層(11)を設けることができる。ガスバリアー層としては、気体や水分等の遮断効果を有していれば、特に制限はなく、従来公知のガスバリアー層を適宜選択して適用することができる。
[0032]
 ガスバリアー層は、無機材料被膜だけでなく、有機材料との複合材料からなる被膜又はこれらの被膜を積層したハイブリッド被膜であってもよい。ガスバリアー層の性能としては、JIS(日本工業規格)-K7129(2008年)に準拠した水蒸気透過度(環境条件:25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が約0.01g/(m 2・24h)以下、JIS-K7126(2006年)に準拠した酸素透過度が約0.01mL/(m 2・24h・atm)以下、抵抗率が1×10 12Ω・cm以上、光線透過率は可視光領域で約80%以上であるような、ガスバリアー性を有する光透過性を有する絶縁膜であることが好ましい。
[0033]
 ガスバリアー層の形成材料としては、有機EL素子の劣化を招く、例えば水や酸素等のガスの有機EL素子への浸入を抑制できる材料であれば、任意の材料を用いることができる。
[0034]
 例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン等の無機材料からなる被膜で構成することができ、好ましくは、窒化ケイ素や酸化ケイ素等のケイ素化合物を主原料とする構成である。
[0035]
 ガスバリアー層の形成方法としては、従来公知の成膜方法を適宜選択して用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法(特開2004-68143号公報参照)、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、レーザーCVD法、熱CVD法、ALD(原子層堆積)法、また、ポリシラザン等を用いた湿式塗布法を適用することもできる。
[0036]
 〔2〕陰極
 本発明に係る陰極は、単層の形態又は複数の層が積層された形態をとりうる。また、本発明に係る陰極は塗布法により形成される。
[0037]
 前記陰極は、後述する有機層と反対側の表面(図1及び図2に示すように、陰極(17)の第2の有機機能層(15)と反対側である封止用基板(19)側の面(S1))の算術平均粗さSaが、3.0nm以下であることが好ましく、下限値は0.1nm以上であることが好ましい。
[0038]
 本発明において、算術平均粗さSaは、JIS B0601で定義されている二次元の算術平均粗さRaを三次元に拡張した概念であり、すなわち、3次元粗さパラメーターである。算術平均粗さSaは、原子間力顕微鏡(AFM)法によって得ることができる。具体的には、この算術平均粗さSaは、原子間力顕微鏡において、測定モードをタッピングモード(DFM)とし、カンチレバーの走査周波数を1.20Hzとし、走査範囲を500nm×500nmとし、かつカットオフ値を99.98nmとすることによって、算出することができる。
[0039]
 前記算術平均粗さSaを3.0nm以下とするための手段としては、例えば、後述するように、銀粒子及び分散剤を含有する陰極用塗布液中における銀粒子の平均アスペクト比、陰極用塗布液中における銀粒子の平均粒径及び粒度分布((D 90-D 10)/D 50の値)を特定範囲に調整することや、陰極用塗布液の塗布方法として下記方法を用いることが挙げられる。
 前記塗布方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法又はインクジェット法が挙げられる。
[0040]
 また、本発明に係る陰極を塗布法により形成する際に用いられる陰極用塗布液は、銀粒子及び分散剤を含有する。
[0041]
 (銀粒子)
 前記陰極用塗布液中における前記銀粒子の平均アスペクト比は、1.0~5.0の範囲内であることが、前記界面における通電性が良好で反射率が高く、均一発光に優れた有機EL素子とすることができる点で好ましく、1.0~1.5の範囲内であることがより好ましい。
[0042]
 前記銀粒子の平均アスペクト比の測定方法としては、まず、前記陰極用塗布液を乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて電子顕微鏡写真において銀粒子を観察し、長径(球状に近い場合は最大径)、短径(球状に近い場合は最小径)をそれぞれ測定し、n=20の平均値を求めて個数平均長径及び個数平均短径とする。そして、上記方法で求めた個数平均長径及び個数平均短径を用いて、下記式により平均アスペクト比を算出することができる。
 式:平均アスペクト比=(個数平均長径)/(個数平均短径)
[0043]
 また、前記陰極用塗布液中における前記銀粒子の平均粒径が4~100nmの範囲内であり、かつ、体積基準粒度分布によるD 10、D 50及びD 90において、(D 90-D 10)/D 50の値が、1.50~3.00の範囲内であることが、陰極の通電性がより良好となる点で好ましい。より好ましくは、前記平均粒径が8~50nmの範囲内でかつ、(D 90-D 10)/D 50の値が、2.00~2.50の範囲内である。
[0044]
 前記銀粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径(D 50)であり、当該メジアン径は種々の方法で測定することができるが、本発明では、SEMにより粒子径の測定を行い、画像処理ソフトImageJを用いて体積換算でメジアン径(D 50)を算出した。
 また、前記(D 90-D 10/D 50)の値も上記方法で算出することができる。
 なお、前記(D 90-D 10/D 50)の値は、例えば、陰極用塗布液の調製時において加熱時間と撹拌時間で制御することができる。また、前記銀粒子の平均粒径は、例えば、陰極用塗布液の調製時における分散剤の量で制御することができる。
[0045]
 また、前記陰極は、銀粒子以外の金属粒子をさらに含有してもよく、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金を電極物質とするものが好適に用いられる。
[0046]
 銀粒子以外の金属粒子としては、金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、及び銅等などの微粒子で、特に、粒径が1μm以下の粒子をいう。中でも、金、白金、及び銅が好ましい。
[0047]
 前記銀粒子以外の金属粒子のアスペクト比は、1~5の範囲が好ましく、1~3の範囲がより好ましい。アスペクト比が1に近く真球に近い方が、金属粒子からなる膜の密度が高くなり有機層との接触面積も高くなり、密着性や折り曲げ耐性が良くなる。
[0048]
 (分散剤)
 本発明に係る分散剤は、沸点が300℃以上の不揮発性の有機物であることが好ましい。
 前記不揮発性の有機物は、銀粒子の分散液中で、銀粒子の分散安定性を高め、又、有機EL素子中では有機機能層と銀粒子から形成されてなる陰極の密着性を向上させるため添加される。
[0049]
 不揮発性の有機物としては、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-マレイン酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール類、ゼラチン、セルロース類、増粘多糖類、アミンと脂肪族を有するポリマー(例えば、ポリエチレンイミン)などを用いることができる。
[0050]
 また、特開平11-80647号公報の明細書段落〔0020〕~〔0037〕に記載の高分子量顔料分散剤、特開2018-81246号公報の明細書段落〔0030〕~〔0039〕に記載のラジカル重合性モノマー、及び特開2008-117656号公報の明細書段落〔0027〕及び〔0028〕記載の重合体又は界面活性剤等の材料なども用いることができる。
[0051]
 銀粒子及び不揮発性の有機物を含有する分散液を調製する際には、水及び有機溶媒を下記所定の量を用いることが好ましい。
[0052]
 陰極の塗布溶媒は水であることが、下層への溶媒の拡散による溶解等の影響を抑制する観点から好ましいが、有機溶媒等を少量添加すると、有機機能層に対する分散液の濡れ広がり性が良くなり、有機機能層と銀粒子及び不揮発性の有機物から形成される電極の密着性がより向上するため、好ましい。
[0053]
 すなわち、本発明に係る陰極は、1mm 3当たり20~300μgの範囲内の水を含有することや、1mm 3当たり4~100μgの範囲内の有機溶媒を含有することが好ましく、当該含有量の範囲になるように、水及び有機溶媒を分散液の調製に用いることが好ましい。水と有機溶媒の混合比率は、水:有機溶媒が質量比で4:6~95:5の範囲であることが好ましく、6:4~95:5の範囲であることがより好ましい。
 陰極における水分やアルコールの量は、ガスクロマトグラフ質量分析計や昇温熱脱離分析装置などで測定することができる。また、具体的な装置として、電子科学社製の昇温熱脱離分析装置により測定を行うことができる。
[0054]
 有機溶媒としては、沸点が50~250℃の範囲の有機溶媒を用いることが好ましい。
[0055]
 中でもアルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチルプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、メトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、1-エトキシ-2-プロパノール、2-n-ブトキシエタノール、メチルプロピレンジグリコール、2-(2-n-ブトキシエトキシ)エタノールなどを用いることができる。
[0056]
 前記陰極用塗布液を調製するときの分散方法としては、前記銀粒子、前記不揮発性の有機物及び溶媒を混合して、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
[0057]
 前記陰極用塗布液の塗布方法には制限はないが、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法又はインクジェット法のいずれかであることが膜厚を適切にコントロールできるため好ましい。中でも、インクジェット印刷法であることが塗布における容易性と精度の観点から、好ましい。
[0058]
 銀粒子及び不揮発性の有機物を含む分散液の塗布後の乾燥方法としては、特に制限はないが、赤外線乾燥や送風乾燥、温風乾燥で初期乾燥を行うことが好ましく、その後、恒温槽、ホットプレートなどで焼成することが好ましい。このように乾燥することで、銀粒子から形成されてなる電極の有機機能層側の界面から厚さ方向に10nmの範囲部位の不揮発性の有機物の濃度を適切にコントロールすることができる。
[0059]
 陰極全体としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましく、厚さは通常10nm~5μm、好ましくは50nm~200nmの範囲で選ばれる。
[0060]
 〔3〕陽極
 本発明に係る陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.5V以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウム・スズ酸化物(ITO)、SnO 2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In 23-ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
[0061]
 陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、又はパターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
[0062]
 又は、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。
 陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10nm~1μmの範囲、好ましくは10~200nmの範囲で選ばれる。
[0063]
 〔4〕有機機能層
 以下の構成説明では、便宜上、一つの発光層(14)による構成のみを示し、積層したタンデム構成についての記載は省略する。
[0064]
 以下に、有機EL素子の構成の代表例を示す。陽極と陰極を除く層が有機機能層(単に、有機層ともいう。)である。
[0065]
 (i)陽極/有機機能層ユニット〔第1の有機機能層(正孔注入輸送層)/発光層/第2の有機機能層〕/陰極
 (ii)陽極/有機機能層ユニット〔第1の有機機能層(正孔注入輸送層)/発光層/第2の有機機能層(正孔阻止層/電子注入輸送層)〕/陰極
 (iii)陽極/有機機能層ユニット〔第1の有機機能層(正孔注入輸送層/電子阻止層)/発光層/第2の有機機能層(正孔阻止層/電子注入輸送層)〕/陰極
 (iv)陽極/有機機能層ユニット〔第1の有機機能層(正孔注入層/正孔輸送層)/発光層/第2の有機機能層(電子輸送層/電子注入層)〕/陰極
 (v)陽極/有機機能層ユニット〔第1の有機機能層(正孔注入層/正孔輸送層)/発光層/第2の有機機能層(正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層)〕/陰極
 (vi)陽極/有機機能層ユニット〔第1の有機機能層(正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層)/発光層/第2の有機機能層(正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層)〕/陰極
 更に、複数の発光層を構成する場合には、発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。中間層は、電荷発生層であってもよく、マルチフォトンユニット構成であってもよい。
[0066]
 本発明に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013-157634号公報、特開2013-168552号公報、特開2013-177361号公報、特開2013-187211号公報、特開2013-191644号公報、特開2013-191804号公報、特開2013-225678号公報、特開2013-235994号公報、特開2013-243234号公報、特開2013-243236号公報、特開2013-242366号公報、特開2013-243371号公報、特開2013-245179号公報、特開2014-003249号公報、特開2014-003299号公報、特開2014-013910号公報、特開2014-017493号公報、特開2014-017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
[0067]
 また、タンデム型の有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、特開2006-228712号公報、特開2006-24791号公報、特開2006-49393号公報、特開2006-49394号公報、特開2006-49396号公報、特開2011-96679号公報、特開2005-340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010-192719号公報、特開2009-076929号公報、特開2008-078414号公報、特開2007-059848号公報、特開2003-272860号公報、特開2003-045676号公報、国際公開第2005/009087号、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
[0068]
 更に、有機EL素子を構成する各層について説明する。
[0069]
 (発光層)
 有機EL素子(EL)を構成する発光層は、発光材料としてリン光発光化合物、又は蛍光性化合物を用いることができるが、本発明においては、特に、発光材料としてリン光発光化合物が含有されている構成が好ましい。
[0070]
 この発光層は、電極又は電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接する層との界面であってもよい。
[0071]
 このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
[0072]
 発光層の厚さの総和は、1~100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1~30nmの範囲内がさらに好ましい。なお、発光層の厚さの総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
[0073]
 以上のような発光層は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)及びインクジェット法等の公知の方法により形成することができる。
[0074]
 また発光層は、複数の発光材料を混合してもよく、リン光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)とを同一発光層中に混合して用いてもよい。発光層の構成としては、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)及び発光材料(発光ドーパント化合物ともいう。)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
[0075]
 〈ホスト化合物〉
 発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらにリン光量子収率が0.01未満であることが好ましい。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
[0076]
 ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種のホスト化合物を用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機電界発光素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
[0077]
 発光層に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
[0078]
 本発明に適用可能なホスト化合物としては、例えば、特開2001-257076号公報、同2001-357977号公報、同2002-8860号公報、同2002-43056号公報、同2002-105445号公報、同2002-352957号公報、同2002-231453号公報、同2002-234888号公報、同2002-260861号公報、同2002-305083号公報、米国特許出願公開第2005/0112407号明細書、米国特許出願公開第2009/0030202号明細書、国際公開第2001/039234号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2012/023947号、特開2007-254297号公報、欧州特許第2034538号明細書等に記載されている化合物を挙げることができる。
[0079]
 〈発光材料〉
 本発明で用いることのできる発光材料としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料又はリン光発光ドーパントともいう。)及び蛍光発光性化合物(蛍光性化合物又は蛍光発光材料ともいう。)が挙げられるが、特に、リン光発光性化合物を用いることが、高い発光効率を得ることができる観点から好ましい。
[0080]
 〈リン光発光性化合物〉
 リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
[0081]
 上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は、種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて、上記リン光量子収率として0.01以上が達成されればよい。
[0082]
 リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8~10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、白金化合物(白金錯体系化合物)又は希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
[0083]
 本発明においては、少なくとも一つの発光層が、二種以上のリン光発光性化合物が含有されていてもよく、発光層におけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層の厚さ方向で変化している態様であってもよい。
[0084]
 本発明に使用できる公知のリン光発光性化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
[0085]
 Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.78, 1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許出願公開第2006/835469号明細書、米国特許出願公開第2006/0202194号明細書、米国特許出願公開第2007/0087321号明細書、米国特許出願公開第2005/0244673号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
[0086]
 また、Inorg.Chem.40,1704(2001)、Chem.Mater.16,2480(2004)、Adv.Mater.16,2003(2004)、Angew.Chem.lnt.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.86,153505(2005)、Chem.Lett.34,592(2005)、Chem.Commun.2906(2005)、Inorg.Chem.42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2009/000673号、米国特許第7332232号明細書、米国特許出願公開第2009/0039776号、米国特許第6687266号明細書、米国特許出願公開第2006/0008670号明細書、米国特許出願公開第2008/0015355号明細書、米国特許 第7396598号明細書、米国特許出願公開第2003/0138657号明細書、米国特許第7090928号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
[0087]
 また、Angew.Chem.lnt.Ed.47,1(2008)、Chem.Mater.18,5119(2006)、Inorg.Chem.46,4308(2007)、Organometallics 23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.74,1361(1999)、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2006/082742号、米国特許出願公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許出願公開第2006/103874号明細書等に記載の化合物も挙げることができる。
[0088]
 さらには、国際公開第2005/076380号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/073149号、特開2009-114086号公報、特開2003-81988号公報、特開2002-363552号公報等に記載の化合物も挙げることができる。
[0089]
 本発明においては、好ましいリン光発光性化合物としてはIrを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属-炭素結合、金属-窒素結合、金属-酸素結合、金属-硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含む錯体が好ましい。
[0090]
 上記説明したリン光発光性化合物(リン光発光性金属錯体ともいう)は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579~2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685~1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704~1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055~3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695~709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載されている参考文献等に開示されている方法を適用することにより合成することができる。
[0091]
 〈蛍光発光性化合物〉
 蛍光発光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
[0092]
 (その他有機機能層)
 次いで、有機機能層ユニットを構成する各層について、電荷注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び阻止層の順に説明する。
[0093]
 〈電荷注入層〉
 電荷注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、電極と発光層の間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)にその詳細が記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
[0094]
 電荷注入層としては、一般には、正孔注入層であれば、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、電子注入層であれば陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させることができるが、本発明においては、陽極に隣接して電荷注入層を配置させる。また、中間電極で用いられる場合は、隣接する電子注入層及び正孔注入層の少なくとも一方が、本発明の要件を満たしていれば良い。
[0095]
 正孔注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、透明電極である陽極に隣接して配置される層であり、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載されている。
[0096]
 正孔注入層は、特開平9-45479号公報、同9-260062号公報、同8-288069号公報等にもその詳細が記載されており、それらの化合物を正孔注入層に用いることができる。
[0097]
 また、特表2003-519432号公報や特開2006-135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
[0098]
 電子注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、陰極と発光層との間に設けられる層のことであり、陰極が透明電極で構成されている場合には、当該透明電極に隣接して設けられ、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載されている。
[0099]
 電子注入層は、特開平6-325871号公報、同9-17574号公報、同10-74586号公報等にもその詳細が記載されており、これらに記載されている材料を、電子注入層に好ましく用いることができる。電子注入層はごく薄い膜であることが望ましく、構成材料にもよるが、その層厚は1nm~10μmの範囲が好ましい。
[0100]
 〈正孔輸送層〉
 正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層及び電子阻止層も正孔輸送層の機能を有する。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
[0101]
 正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。
[0102]
 正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物を用いることができ、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
[0103]
 正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法及びLB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmの範囲である。この正孔輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよい。
[0104]
 また、正孔輸送層の材料に不純物をドープすることにより、p性を高くすることもできる。その例としては、特開平4-297076号公報、特開2000-196140号公報、同2001-102175号公報及びJ.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
[0105]
 このように、正孔輸送層のp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
[0106]
 〈電子輸送層〉
 電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料から構成され、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は、単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
[0107]
 単層構造の電子輸送層及び積層構造の電子輸送層において、発光層に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層に伝達する機能を有していれば良い。このような材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した高分子材料又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
[0108]
 また、8-キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウム(略称:Alq 3)、トリス(5,7-ジクロロ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7-ジブロモ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、ビス(8-キノリノール)亜鉛(略称:Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
[0109]
 電子輸送層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法及びLB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができる。電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmの範囲内である。電子輸送層は上記材料の一種又は二種以上からなる単一構造であってもよい。
[0110]
 〈阻止層〉
 阻止層としては、正孔阻止層及び電子阻止層が挙げられ、上記説明した有機機能層ユニット3の各構成層の他に、必要に応じて設けられる層である。例えば、特開平11-204258号公報、同11-204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層等を挙げることができる。
[0111]
 正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
[0112]
 一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ、電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に適用する正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3~100nmの範囲であり、さらに好ましくは5~30nmの範囲である。
[0113]
 本発明に係る有機機能層の形成方法としては、特に制限はなく、従来公知の、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう。)等による形成方法を用いることができる。
[0114]
 湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、ディスペンサー法、インクジェット印刷法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア-ブロジェット法)等があるが、均質な薄膜が得られやすく、かつ高生産性の点から、ディスペンサー法、ダイコート法、インクジェット印刷法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。中でも、インクジェット印刷法であることが、塗布における容易性と精度の観点から、好ましい。
[0115]
 例えば、本発明に適用可能なインクジェットヘッドは、例えば、特開2012-140017号公報、特開2013-010227号公報、特開2014-058171号公報、特開2014-097644号公報、特開2015-142979号公報、特開2015-142980号公報、特開2016-002675号公報、特開2016-002682号公報、特開2016-107401号公報、特開2017-109476号公報、特開2017-177626号公報等に記載されている構成からなるインクジェットヘッド及び印刷法を適宜選択して適用することができる。
[0116]
 湿式法に用いる塗布液は、有機機能層を形成する材料が液媒体に均一に溶解される溶液でも、材料が固形分として液媒体に分散される分散液でも良い。分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
[0117]
 液媒体としては、特に制限はなく、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、ジクロロヘキサノン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n-プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族系溶媒、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族系溶媒、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、1-ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、水又はこれらの混合液媒体等が挙げられる。
[0118]
 これらの液媒体の沸点としては、迅速に液媒体を乾燥させる観点から乾燥処理の温度未満の沸点が好ましく、具体的には60~200℃の範囲内が好ましく、さらに好ましくは、80~180℃の範囲内である。
[0119]
 塗布液は、塗布範囲を制御する目的や、塗布後の表面張力勾配に伴う液流動(例えば、コーヒーリングと呼ばれる現象を引き起こす液流動)を抑制する目的に応じて、界面活性剤を含有することができる。
[0120]
 界面活性剤としては、溶媒に含まれる水分の影響、レベリング性、基板f1への濡れ性等の観点から、例えばアニオン性又はノニオン性の界面活性剤等が挙げられる。具体的には、含フッ素系活性剤等、国際公開第08/146681号、特開平2-41308号公報等に挙げられた界面活性剤を用いることができる。
[0121]
 塗布膜の粘度についても、膜厚と同様に、有機機能層として必要とされる機能と有機材料の溶解度又は分散性により、適宜選択することが可能で、具体的には例えば0.3~100mPa・sの範囲内で選択することができる。
[0122]
 塗布膜の膜厚は、有機機能層として必要とされる機能と有機材料の溶解度又は分散性により適宜選択することが可能で、具体的には例えば1~90μmの範囲内で選択することができる。
[0123]
 また、成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50~450℃、真空度1×10 -6~1×10 -2Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、支持基板温度-50~300℃、厚さ0.1nm~5μm、好ましくは5~200nmの範囲内で適宜選ぶことが望ましい。
[0124]
 有機機能層の形成は、1回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際は作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
[0125]
 〔5〕封止部材
 有機EL素子を封止するのに用いられる封止手段としては、例えば、フレキシブル封止部材と、陰極及び透明基板とを封止用接着剤で接着する方法を挙げることができる。
[0126]
 封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また透明性及び電気絶縁性は特に限定されない。
[0127]
 具体的には、フレキシブル性を備えた薄膜ガラス板、ポリマー板、フィルム、金属フィルム(金属箔)等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属フィルムとしては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金が挙げられる。
[0128]
 本発明においては、封止部材としては、有機EL素子を薄膜化することできる観点から、ポリマーフィルム及び金属フィルムを好ましく使用することができる。さらに、ポリマーフィルムは、JIS K 7129-1992に準拠した方法で測定された温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10 -3g/m 2・24h以下であることが好ましく、さらには、JIS K 7126-1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10 -3ml/m 2・24h・atm(1atmは、1.01325×10 5Paである)以下であって、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10 -3g/m 2・24h以下であることが好ましい。これらは、前述の水分や酸素に対して高い遮蔽能を有するガスバリアー層を設けることで達成することができる。
[0129]
 有機EL素子と封止材の接着に用いる接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2-シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(2液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
[0130]
 なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止基板への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
[0131]
 封止部材と有機EL素子の表示領域(発光領域)との間隙には、気相及び液相では窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコーンオイルのような不活性液体を注入することもできる。また、封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙を真空とすることや、間隙に吸湿性化合物を封入することもできる。
[0132]
 また、有機EL素子における発光機能層ユニットを完全に覆い、かつ有機EL素子における陽極と、陰極の端子部分を露出させる状態で、透明基板上に封止膜を設けることもできる。
[0133]
[有機光電変換素子を有する太陽電池]
 図3は、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなるシングル構成(バルクヘテロジャンクション層が1層の構成)の太陽電池の一例を示す断面図である。
[0134]
 図3において、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子(200)は、基板(201)の一方面上に、陽極(202)、正孔輸送層(207)、バルクヘテロジャンクション層の光電変換部(204)、電子輸送層(又はバッファー層ともいう。208)及び陰極(203)が順次積層されている。
 なお、本発明に係る有機光電変換素子(200)において、陽極(202)と陰極(203)の間に配置された正孔輸送層(207)、バルクヘテロジャンクション層の光電変換部(204)、電子輸送層(208)が本発明に係る中間層に相当する。
[0135]
 基板(201)は、順次積層された陽極(202)、光電変換部(204)及び陰極(203)を保持する部材である。本実施形態では、基板(201)側から光電変換される光が入射するので、基板(201)は、この光電変換される光を透過させることが可能な、すなわち、この光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板(201)は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が用いられる。この基板(201)は、必須ではなく、例えば、光電変換部(204)の両面に陽極(202)及び陰極(203)を形成することでバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子(200)が構成されてもよい。
[0136]
 光電変換部(204)は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプター)として機能する。ここで、電子供与体及び電子受容体は、"光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体"であり、電極のように単に電子を供与又は受容するものではなく、光反応によって、電子を供与又は受容するものである。
[0137]
 図3において、基板(201)を介して陽極(202)から入射された光は、光電変換部(204)のバルクヘテロジャンクション層における電子受容体又は電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。発生した電荷は、内部電界、例えば、陽極(202)と陰極(203)の仕事関数が異なる場合では陽極(202)と陰極(203)との電位差によって、電子は電子受容体間を通り、また正孔は電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ光電流が検出される。例えば、陽極(202)の仕事関数が陰極(203)の仕事関数よりも大きい場合では、電子は陽極(202)へ、正孔は陰極(203)へ輸送される。なお、仕事関数の大小が逆転すれば、電子と正孔はこれとは逆方向に輸送される。また、陽極(202)と陰極(203)との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
[0138]
 なお、図3には記載していないが、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層、又は平滑化層等の他の層を有していてもよい。
[0139]
 また、さらなる太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、このような光電変換素子を積層した、タンデム型の構成(バルクヘテロジャンクション層を複数有する構成)であってもよい。
[0140]
 上記のような層に用いることができる材料については、例えば、特開2015-149483号公報の段落0045~0113に記載のn型半導体材料、及びp型半導体材料が挙げられる。
[0141]
 有機光電変換素子を構成する電極については、前記した有機EL素子で用いられる陽極と陰極を同様に用いることが好ましい。すなわち、陰極(203)は、銀粒子及び分散剤を含有し、かつ、電子顕微鏡観察して得られる陰極(203)及び中間層(具体的には、電子輸送層(208))の断面画像において、中間層(208)と陰極(203)との界面(K2)に沿って実際の長さが前記したような特定範囲内(105~200%)とされている。その他の詳細な説明は、上述した有機EL素子で用いられる陰極と同様のためここでは省略する。なお、図3において符号(S2)は、陰極(203)の中間層と反対側の表面を示す。
 また、有機光電変換素子は、バルクヘテロジャンクション層で生成した正電荷と負電荷とが、それぞれp型有機半導体材料、及びn型有機半導体材料を経由して、それぞれ陽極及び陰極から取り出され、電池として機能するものである。それぞれの電極には、電極を通過するキャリアに適した特性が求められる。
[0142]
 有機光電変換素子は、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、バルクヘテロジャンクション層と陽極との中間には正孔輸送層・電子ブロック層を有していることが好ましい。
[0143]
 これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層としては、ヘレウス社製Clevios等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、WO2006/019270号等に記載のシアン化合物等を用いることができる。
[0144]
 有機光電変換素子は、バルクヘテロジャンクション層と陰極との中間には電子輸送層・正孔ブロック層・バッファー層を形成することで、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
[0145]
 有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していてよい。光学機能層としては、例えば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度バルクヘテロジャンクション層に入射させることができるような光拡散層等を設けてもよい。
実施例
[0146]
 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[0147]
(1)実施例1
[陰極用塗布液101の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名):表中、BYK190と表記、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、60℃で6時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて合計50gとし、銀粒子が分散された金属微粒子分散液101を得た。
 得られた金属微粒子分散液101、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液101を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0148]
[陰極用塗布液102の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、60℃で3時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて合計50gとし、金属微粒子分散液102を得た。
 得られた金属微粒子分散液102、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液102を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0149]
[陰極用塗布液103の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、60℃で2.5時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて合計50gとし、金属微粒子分散液103を得た。
 得られた金属微粒子分散液103、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液103を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0150]
[陰極用塗布液104の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、60℃で2時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて、合計50gとし、金属微粒子分散液104を得た。
 得られた金属微粒子分散液104、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液104を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0151]
[陰極用塗布液105の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調整したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、60℃で1時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて、合計50gとし金属微粒子分散液105を得た。
 得られた金属微粒子分散液105、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液105を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0152]
[陰極用塗布液106の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、90℃で1時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて、合計50gとし金属微粒子分散液106を得た。
 得られた金属微粒子分散液106、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液106を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0153]
[有機EL素子101の作製]
 (基材の準備)
 まず、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製)の陽極を形成する側の全面に、特開2004-68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリアー層を層厚500nmとなるように形成した。これにより、酸素透過度0.001mL/(m 2・24h・atm)以下、水蒸気透過度0.001g/(m 2・24h)以下のガスバリアー性を有する可撓性の基板を作製した。
[0154]
 (陽極の形成)
 上記基材上に厚さ120nmのITO(インジウム・スズ酸化物)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、陽極を形成した。なお、パターンは発光領域の面積が5cm×5cmになるようなパターンとした。
[0155]
 (正孔注入層の形成)
 陽極を形成した基材をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。そして、陽極を形成した基材上に、特許第4509787号公報の実施例16と同様に調製したポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)の分散液をイソプロピルアルコールで希釈した2質量%溶液をインクジェットプリント法にて塗布、80℃で5分乾燥し、層厚40nmの正孔注入層を形成した。
[0156]
 (正孔輸送層の形成)
 次に、正孔注入層を形成した基材を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、下記組成の正孔輸送層形成用塗布液を用いて、インクジェットプリント法にて塗布、150℃で30分乾燥し、層厚30nmの正孔輸送層を形成した。
 〈正孔輸送層形成用塗布液〉
 正孔輸送材料 HT-3(重量平均分子量Mw=80000)  10質量部
 パラ(p)-キシレン                  3000質量部
[0157]
 (発光層の形成)
 次に、正孔輸送層を形成した基材を、下記組成の発光層形成用塗布液を用い、インクジェットプリント法にて塗布し、130℃で30分間乾燥し、層厚50nmの発光層を形成した。
 〈発光層形成用塗布液〉
 ホスト化合物 H-4                     9質量部
 金属錯体CD-2                       1質量部
 蛍光材料F-1                      0.1質量部
 酢酸ノルマルブチル                   2000質量部
[0158]
 (電子輸送層の形成)
 次に、ブロック層を形成した基材を、下記組成の電子輸送層形成用塗布液を用い、インクジェットプリント法にて塗布し、80℃で30分間乾燥し、層厚30nmの電子輸送層を形成した。
 〈電子輸送層形成用塗布液〉
 ET-1                           6質量部
 2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール    2000質量部
[0159]
 (電子注入層の形成)
 続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付けた。また、モリブデン製抵抗加熱ボートにフッ化ナトリウム及びフッ化カリウムを入れたものを真空蒸着装置に取り付け、真空槽を4×10 -5Paまで減圧した。その後、ボートに通電して加熱し、フッ化ナトリウムを0.02nm/秒で前記電子輸送層上に蒸着し、膜厚1nmの薄膜を形成した。同様に、フッ化カリウムを0.02nm/秒でフッ化ナトリウム薄膜上に蒸着し、層厚1.5nmの電子注入層を形成した。
[0160]
 なお、用いた化合物を下記に示す。
[0161]
[化1]


[0162]
 (陰極の形成)
 電子注入層まで成膜した基板に、ディスペンサーを用いて、上記陰極用塗布液101を塗布し、陰極を形成した。なお、事前に乾燥後の膜厚が200nmになるように、液量と塗布速度を調節した。塗布後、120℃の恒温槽で30分間乾燥させた。
 上記膜厚の測定は、別途用意したガラス基板上に、塗布液を塗布し、一部を剥離し、剥離した部分と膜が残った部分の段差を、ブルカー社製触針式プロファイリングシステムDektakを用いて測定した。
[0163]
 (封止層の形成)
 ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製)の全面に、特開2004-68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリアー層を層厚500nmとなるように形成した。
[0164]
 これにより、酸素透過度0.001mL/(m 2・24h・atm)以下、水蒸気透過度0.001g/(m 2・24h)以下のガスバリアー性を有する可撓性のガスバリアーフィルムを作製した。ガスバリアーフィルムの片面に、封止樹脂層として熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ25μmで形成した。そして、この封止樹脂層を設けたガスバリアーフィルムを、前記作製した素子に重ね合わせた。このとき、陽極及び陰極の取出し部の端部が外に出るように、ガスバリアーフィルムの封止樹脂層形成面を、有機EL素子の封止面側に連続的に重ね合わせた。
[0165]
 次に、ガスバリアーフィルムを貼り合せた試料を減圧装置内に配置し、90℃で0.1MPaの減圧条件下で押圧をかけて5分間保持した。続いて、試料を大気圧環境に戻し、さらに90℃で30分間加熱して接着剤を硬化させた。
[0166]
 上記封止工程は、大気圧下、含水率1ppm以下の窒素雰囲気下で、JIS B 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が-80℃以下、酸素濃度0.8体積ppm以下の大気圧で行った。
 以上の工程により、有機EL素子101を作製した。
[0167]
[有機EL素子102~106の作製]
 前記有機EL素子101の作製の陰極の形成において、陰極用塗布液101に代えて下記表Iに示す陰極用塗布液をそれぞれ用いた以外は、前記有機EL素子101の作製と同様にして各有機EL素子102~106を得た。
[0168]
<銀粒子の平均粒径の測定>
 前記得られた各陰極用塗布液中の銀粒子の平均粒径(体積基準のメジアン径(D 50))は、陰極用塗布液を乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて電子顕微鏡写真において銀粒子を観察し、画像処理ソフトImageJを用いて体積換算で算出し、下記表に示した。
[0169]
<界面における任意の2点間の直線距離に対する実際の長さの割合>
 前記得られた各有機EL素子の分析において、断面TEMから2値化したデータを用いて、任意の2点間の直線を5カ所において引いたとき、それぞれの2点間の直線距離Mの範囲内において、界面上の2点間の実際の凹凸の長さNを測定し、測定した各長さNの平均の長さを求めた。そして、2点間の直線距離Mに対する実際の長さNの割合(%)を算出し、下記表Iに示した。
[0170]
[評価]
<注入電圧及び電力効率>
 前記得られた有機EL素子に、ADC社製 直流電圧・電流源/モニタ6234を用いて、30A/m 2の電流を流し、その時の電圧を測定した。また、コニカミノルタ社製分光放射輝度計CS-2000を用いて輝度を測定した。以下の式に基づき、電力効率を算出した。
 (輝度)×円周率÷(電流密度×電圧) (lm/W)
 なお、有機EL素子101の注入電圧及び電力効率を100として相対値を表Iに示した。
[0171]
<反射率>
 日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計(U4100)を用いて、発光位置を基準とし、その発光光が初めて照射される電極界面の反射率とした。反射率は、430~650nmの波長での平均値とし、測定波長間隔は2nmおきとした。有機EL素子101の反射率を100として相対値を下記表Iに示した。
[0172]
[表1]


[0173]
(2)実施例2
[陰極用塗布液201の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、60℃で9時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて、合計50gとし金属微粒子分散液201を得た。
 得られた金属微粒子分散液201、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液201を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0174]
[陰極用塗布液202の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、70℃で2時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて、合計50gとし金属微粒子分散液202を得た。
 得られた金属微粒子分散液202、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液202を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0175]
[陰極用塗布液203の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、80℃で1時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて、合計50gとし金属微粒子分散液203を得た。
 得られた金属微粒子分散液203、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液203を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0176]
[有機EL素子201~203の作製]
 前記有機EL素子101の作製の陰極の形成において、陰極用塗布液101に代えて下記表IIに示す陰極用塗布液をそれぞれ用いた以外は、前記有機EL素子101の作製と同様にして各有機EL素子201~203を得た。
[0177]
<粒径のばらつき>
 前記得られた陰極用塗布液(102、201~203)中の銀粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて電子顕微鏡写真において銀粒子を観察し、画像処理ソフトImageJを用いて体積換算で(D 90-D 10/D 50)の値を求め、下記表IIに示した。
[0178]
[評価]
 実施例1と同様にして、「銀粒子の平均粒径の測定」、「界面における任意の2点間の直線距離に対する実際の長さの割合」を測定し、「注入電圧及び電力効率」及び「反射率」の評価を行った。なお、注入電圧、電力効率及び反射率は有機EL素子201の注入電圧、電力効率及び反射率を100として相対値を示した。
[0179]
[表2]


[0180]
(3)実施例3
[陰極用塗布液301の調製]
 前記金属微粒子分散液101、10gに、純水3.4gを加えよく撹拌し、金属微粒子塗布液301を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水のみとなっている。
[0181]
[陰極用塗布液302の調製]
 前記金属微粒子分散液101、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 0.6gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液302を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.95に対して2-プロパノール0.05となっている。
[0182]
[陰極用塗布液303の調製]
 前記金属微粒子分散液101、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 7.5gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液303を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.6に対して2-プロパノール0.4となっている。
[0183]
[陰極用塗布液304の調製]
 前記金属微粒子分散液101、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 17gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液304を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.4に対して2-プロパノール0.6となっている。
[0184]
[有機EL素子301~304の作製]
 前記有機EL素子101の作製の陰極の形成において、陰極用塗布液101に代えて下記表IIIに示す陰極用塗布液をそれぞれ用いた以外は、前記有機EL素子101の作製と同様にして各有機EL素子301~304を得た。
[0185]
[評価]
 実施例1と同様にして、「銀粒子の平均粒径の測定」、「界面における任意の2点間の直線距離に対する実際の長さの割合」を測定し、「注入電圧及び電力効率」及び「反射率」の評価を行った。なお、注入電圧、電力効率及び反射率は有機EL素子301の注入電圧、電力効率及び反射率を100として相対値を示した。
[0186]
[表3]


[0187]
(4)実施例4
[陰極用塗布液401の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、80℃で1時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて、合計50gとし金属微粒子分散液401を得た。
 得られた金属微粒子分散液401、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液401を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0188]
[有機EL素子401の作製]
 前記有機EL素子101の作製の陰極の形成において、陰極用塗布液101に代えて陰極用塗布液401を用いた以外は、前記有機EL素子101の作製と同様にして有機EL素子401を得た。
[0189]
<銀粒子のアスペクト比>
 前記得られた陰極用塗布液(102、105、401)を乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて電子顕微鏡写真において銀粒子を観察し、長径(球状に近い場合は最大径)、短径(球状に近い場合は最小径)をそれぞれ測定し、n=20の平均値を求めて個数平均長径及び個数平均短径とする。そして、上記方法で求めた個数平均長径及び個数平均短径を用いて、下記式により平均アスペクト比を算出した。
 式:平均アスペクト比=(個数平均長径)/(個数平均短径
[0190]
[評価]
 実施例1と同様にして、「銀粒子の平均粒径の測定」、「界面における任意の2点間の直線距離に対する実際の長さの割合」を測定し、「注入電圧及び電力効率」及び「反射率」の評価を行った。なお、注入電圧、電力効率及び反射率は有機EL素子401の注入電圧、電力効率及び反射率を100として相対値を示した。
[0191]
[表4]


[0192]
(5)実施例5
[陰極用塗布液501の調製]
 1000mM硝酸銀水溶液100mLをビーカーにとった。別のビーカーに分散剤として不揮発性有機物(ディスパービック190(商品名)、ビックケミー社製、40%水溶液)を0.3gとり、そこに純水を100g加えた。
 硝酸銀水溶液が入ったビーカーに、別ビーカーで調製したディスパービック190水溶液を27g加えた。十分に撹拌したのちトリエタノールアミンを15g加え、80℃で1時間撹拌した。その後、遠心分離精製を3回行った。得られた銀粒子に、純水を加えて、合計50gとし金属微粒子分散液501を得た。
 得られた金属微粒子分散液501、10gに、純水1.1g、2-プロパノール 2.3gを加えよく撹拌し、陰極用塗布液501を得た。この塗布液中の溶媒の比率は水0.8に対して2-プロパノール0.2となっている。
[0193]
[有機EL素子501の作製]
 前記有機EL素子101の作製の陰極の形成において、陰極用塗布液101に代えて陰極用塗布液501を用いた以外は、前記有機EL素子101の作製と同様にして有機EL素子501を得た。
[0194]
<算術平均粗さSa>
 上記作製した有機EL素子(101、102、501)について、陰極の有機層(電子注入層)と反対側の表面の算術平均粗さSaを原子間力顕微鏡(AFM)法によって算出した。具体的には、原子間力顕微鏡において、測定モードをタッピングモード(DFM)とし、カンチレバーの走査周波数を1.20Hzとし、走査範囲を500nm×500nmとし、かつカットオフ値を99.98nmとすることによって算出し、その結果を下記表Vに示した。
[0195]
[評価]
 実施例1と同様にして、「銀粒子の平均粒径の測定」、「界面における任意の2点間の直線距離に対する実際の長さの割合」を測定し、「注入電圧及び電力効率」及び「反射率」の評価を行った。なお、注入電圧、電力効率及び反射率は有機EL素子101の注入電圧、電力効率及び反射率を100として相対値を示した。
[0196]
[表5]


[0197]
 以上の結果より、本発明の有機EL素子は、比較例の有機EL素子に比べて、電力効率及び注入電圧の点で優れ、かつ、反射率にも優れていることが分かる。

産業上の利用可能性

[0198]
 本発明は、塗布法により陰極を形成した場合であっても、陰極と中間層との界面における通電性が良好で、反射率が高く、均一発光に優れた電子デバイス及び電子デバイスの製造方法に利用することができる。

符号の説明

[0199]
 EL 有機EL素子
 10 基板
 11 ガスバリアー層
 12 陽極
 13 第1の有機機能層
 14 発光層
 15 第2の有機機能層
 16 有機機能層ユニット
 17 陰極
 18 封止用接着層
 19 封止基板
 K1、K2 界面
 S1、S2 陰極の中間層と反対側の表面
 h 発光点
 L 発光光
 M 直線距離
 N 界面上の2点間の実際の凹凸の長さ
 200 バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子
 201 基板
 202 陽極
 203 陰極
 204 光電変換部(バルクヘテロジャンクション層)
 207 正孔輸送層
 208 電子輸送層

請求の範囲

[請求項1]
 少なくとも陽極、中間層及び陰極を備えた電子デバイスであって、
 前記陰極が、銀粒子及び分散剤を含有し、
 電子顕微鏡観察して得られる前記陰極及び前記中間層の断面画像において、前記中間層と前記陰極との界面における距離20nm以上の間隔を有する任意の2点について直線を引いたとき、当該任意の2点間の直線の距離の範囲内における前記界面上の前記2点間の当該界面に沿った実際の長さが、前記任意の2点間の直線距離に対して105~200%の範囲内である電子デバイス。
[請求項2]
 前記陰極の前記中間層と反対側の表面の算術平均粗さSaが、3.0nm以下である請求項1に記載の電子デバイス。
[請求項3]
 有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項1又は請求項2に記載の電子デバイス。
[請求項4]
 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子デバイスを製造する電子デバイスの製造方法であって、
 前記銀粒子及び前記分散剤を含有する陰極用塗布液を塗布して前記陰極を形成する工程を有し、
 前記陰極用塗布液中における前記銀粒子のアスペクト比が、1.0~5.0の範囲内である電子デバイスの製造方法。
[請求項5]
 前記陰極を形成する工程が、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法又はインクジェット法のいずれかにより前記陰極用塗布液を塗布する請求項4に記載の電子デバイスの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]