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1. WO2020129873 - 積層体、組成物、及び、積層体形成用キット

Document

明 細 書

発明の名称 積層体、組成物、及び、積層体形成用キット

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162  

実施例

0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203  

符号の説明

0204  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 積層体、組成物、及び、積層体形成用キット

技術分野

[0001]
 本発明は、積層体、組成物、及び、積層体形成用キットに関する。

背景技術

[0002]
 近年、有機半導体を用いた半導体デバイスなど、パターニングされた有機層を利用したデバイスが広く用いられている。
 例えば有機半導体を用いたデバイスは、従来のシリコンなどの無機半導体を用いたデバイスと比べて簡便なプロセスにより製造される、分子構造を変化させることで容易に材料特性を変化させられる、などの特性を有している。また、材料のバリエーションが豊富であり、無機半導体では成し得なかったような機能や素子を実現することが可能になると考えられている。有機半導体は、例えば、有機太陽電池、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、有機光ディテクター、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子等の電子機器に適用される可能性がある。
 このような有機半導体等の有機層のパターニングを、有機層と、感光層等の層と、を含む積層体を用いて行うことが知られている。
[0003]
 例えば、特許文献1には、有機半導体膜上に、水溶性樹脂を含む水溶性樹脂層と感光性樹脂を含む感光性樹脂層とをこの順に含み、かつ、水溶性樹脂層と感光性樹脂層が隣接しており、水溶性樹脂は、重量平均分子量300,000以上のポリビニルピロリドン及び重量平均分子量15,000以上のポリビニルアルコールの少なくとも1種であり、感光性樹脂は、重量平均分子量が30,000以上である、積層体が記載されている。
 また、特許文献2には、有機半導体層を形成する工程と、上記有機半導体層をマスク層から保護する保護層を上記有機半導体層に積層して形成する工程と、所定のパターンを有する上記マスク層を上記保護層に積層して形成する工程と、上記マスク層をマスクとするエッチングによって上記保護層、更には上記有機半導体層を同一形状にパターニングする工程とを有する、有機半導体層のパターニング方法において、上記マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性無機化合物によって上記保護層を形成することを特徴とする、有機半導体層のパターニング方法が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2016/175220号
特許文献2 : 特開2006-041317号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 このように、有機半導体等の有機層のパターニングを行う場合、ポリビニルアルコール等を含む保護層を形成することにより、有機層を、パターニングに用いられる薬液(例えば、感光層の現像に用いる現像液)等によるダメージから保護することが行われている。
 上記保護層は、パターニングされた有機層上から、剥離液を用いて除去される場合がある。しかし、このような除去において、保護層に含まれる成分(例えば、ポリビニルアルコール等の樹脂成分)の一部が、除去されずに残渣として残ってしまう場合があることがわかった。
[0006]
 本発明は、保護層の除去において、残渣の発生が抑制される積層体、上記積層体に含まれる保護層又は感光層の形成に用いられる組成物、及び、上記積層体の形成に用いられる積層体形成用キットを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明の代表的な実施態様を以下に示す。
<1> 基材、有機層、保護層及び感光層をこの順に含み、
 上記保護層がポリビニルアルコールを含み、
 上記ポリビニルアルコールのけん化度が50モル%以上85モル%以下であり、
 上記感光層は現像液を用いた現像に供せられ、
 上記保護層は剥離液を用いた除去に供せられる、
 積層体。
<2> 上記ポリビニルアルコールの含有量が、上記保護層の全質量に対して、50質量%以上である、<1>に記載の積層体。
<3> 上記ポリビニルアルコールのけん化度が60モル%以上80モル%以下である、<1>又は<2>に記載の積層体。
<4> 上記ポリビニルアルコールのけん化度が65モル%以上75モル%以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の積層体。
<5> 上記感光層が光酸発生剤を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の積層体。
<6> 上記現像がネガ型である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の積層体。
<7> 上記現像液の全質量に対する有機溶剤の含有量が、90~100質量%である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の積層体。
<8> 上記剥離液の全質量に対する水の含有量が、90~100質量%である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の積層体。
<9> 上記感光層が、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位を有する樹脂を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の積層体。
<10> 上記繰返し単位が、側鎖に環状エーテルエステル構造を含む繰返し単位である、<9>に記載の積層体。
<11> 上記繰返し単位が、下記式(1)で表される繰返し単位である、<9>に記載の積層体;
[化1]


 式(1)中、R 8は水素原子又はアルキル基を表し、L 1はカルボニル基又はフェニレン基を表し、R 1~R 7はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
<12> けん化度が50モル%以上85モル%以下であるポリビニルアルコールを含む、<1>~<11>のいずれか1つに記載の積層体に含まれる上記保護層の形成に用いられる組成物。
<13> <1>~<11>のいずれか一つに記載の積層体に含まれる上記感光層の形成に用いられる組成物。
<14> 下記A及びBを含む、積層体形成用キット;
 A:けん化度が50モル%以上85モル%以下のポリビニルアルコールを含む、<1>~<11>のいずれか1つに記載の積層体に含まれる上記保護層の形成に用いられる組成物;
 B:<1>~<11>のいずれか一つに記載の積層体に含まれる上記感光層の形成に用いられる組成物。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、保護層の除去において、残渣の発生が抑制される積層体、上記積層体に含まれる保護層又は感光層の形成に用いられる組成物、及び、上記積層体の形成に用いられる積層体形成用キットが提供される。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明の好ましい実施形態に係る積層体の加工過程を模式的に示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
 本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
 本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
 本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線又は放射線が挙げられる。
 本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
 本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
 本明細書において、特段の記載がない限り、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリエチレンオキサイド(PEO)換算値である。
 本明細書において、特段の記載がない限り、(メタ)アクリル樹脂等の非水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPC法により測定したポリスチレン換算値である。
 本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
 本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
 本明細書において、「上」「下」と記載したときには、その構造の上側又は下側であればよい。すなわち、他の構造を介在していてもよく、接している必要はない。なお、特に断らない限り、有機層からみた感光層側の方向を「上」、有機層からみた基材側の方向を「下」と称する。
 本明細書において、特段の記載がない限り、組成物は、組成物に含まれる各成分として、その成分に該当する2種以上の化合物を含んでもよい。また、特段の記載がない限り、組成物における各成分の含有量とは、その成分に該当する全ての化合物の合計含有量を意味する。
 本明細書において、特段の記載がない限り、構造式中の波線部又は*(アスタリスク)は他の構造との結合部位を表す。
 本発明における沸点測定時の気圧は、特に述べない限り、101325Pa(1気圧)とする。本発明における温度は、特に述べない限り、23℃とする。
 本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
[0011]
(積層体)
 本発明の積層体は、
 基材、有機層、保護層及び感光層をこの順に含み、
 上記保護層がポリビニルアルコールを含み、
 上記ポリビニルアルコールのけん化度が50モル%以上85モル%以下であり、
 上記感光層は現像液を用いた現像に供せられ、
 上記保護層は剥離液を用いた除去に供せられる。
[0012]
 本発明の積層体によれば、保護層の除去において、残渣の発生が抑制される。上記効果が得られる理由としては、下記のように推測される。
[0013]
 本発明者の検討により、保護層としてポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう。)を含む層を用いた場合、上記保護層に含まれる成分の一部が、残渣として有機層(有機半導体膜)上に残る場合があることがわかった。
 また本発明者は、鋭意検討した結果、上記残渣の発生を抑制するためには、けん化度が50~85モル%という特定の範囲であるPVAを用いることが有効であることを見出した。
 上記効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推測される。
 保護層に含まれるPVAのけん化度が85モル%以下であることにより、保護層と有機層との相互作用(水素結合など)が少なくなる、PVA同士の相互作用(水素結合など)が少なくなる、けん化度が低いためPVAの結晶度が低く、剥離液又は剥離液に含まれる成分(例えば、水)の浸入パスが形成されやすい、等の理由により、剥離液による保護層の除去性が向上し、残渣の発生が抑制されると考えられる。
 また、保護層に含まれるPVAのけん化度が50モル%以上であることにより、剥離液に対する溶解性、分散性等が向上するため、剥離液を用いた保護層の除去における残渣の発生が抑制されると考えられる。
 更に、本発明によれば、PVAのけん化度が85モル%以下であることにより、保護層への光酸発生剤から発生する酸の染み込みが抑制されやすいと考えられる。そのため、感光層の現像時においても、感光層のアンダーカット等の発生が抑制され、感光層のパターン形状が良好となりやすいと考えられる。
[0014]
 ここで、特許文献1においては、ポリビニルアルコールのけん化度を特定の値とすることについては記載も示唆もなく、一切の検討がなされていない。
 また、特許文献2においては、PVAを含む層を最終的に製造されるデバイスにおいて保護層として残す態様が記載されている。このような態様においては、PVAを含む層の強度を増加させる必要があるため、PVAとしてけん化度が85モル%を超えるもの(例えば、けん化度が98モル%以上のものなど)を使用することが通常である。すなわち、特許文献2には、本発明において用いられるけん化度が85モル%以下であるPVAを用いることについては記載も示唆もなく、また、けん化度が85モル%以下であるPVAを用いることに対する動機づけと成り得るものもない。
[0015]
 本発明の積層体は、積層体に含まれる有機層のパターニングに用いることができる。
 図1は、本発明の好ましい実施形態に係る積層体の加工過程を模式的に示す概略断面図である。本発明の一実施形態においては、図1(a)に示した例のように、基材4の上に有機層3(例えば、有機半導体層)が配設されている。更に、有機層3を保護する保護層2が接する形でその表面に配設されている。有機層3と保護層2の間には他の層が設けられていてもよいが、本発明の効果がより得られやすい観点からは、有機層3と保護層2とが直接接している態様が、好ましい態様の一例として挙げられる。また、この保護層の上に感光層1が配置されている。感光層1と保護層2とは直接接していてもよいし、感光層1と保護層2との間に他の層が設けられていてもよい。
 図1(b)には、感光層1の一部を露光現像した状態の一例が示されている。例えば、所定のマスク等を用いる等の方法により感光層1を部分的に露光し、露光後に有機溶剤等の現像液を用いて現像することにより、除去部5における感光層1が除去され、露光現像後の感光層1aが形成される。このとき、保護層2は現像液により除去されにくいため残存し、有機層3は残存した上記保護層2によって現像液によるダメージから保護される。
 図1(c)には、保護層2と有機層3の一部を除去した状態の一例が示されている。例えば、ドライエッチング処理等により、現像後の感光層(レジスト)1aのない除去部5における保護層2と有機層3とを除去することにより、保護層2及び有機層3に除去部5aが形成される。このようにして、除去部5aにおいて有機層3を取り除くことができる。すなわち、有機層3のパターニングを行うことができる。
 図1(d)には、上記パターニング後に、感光層1a及び保護層2を除去した状態の一例が示されている。例えば、上記図1(c)に示した状態の積層体における感光層1a及び保護層2を水を含む剥離液で洗浄する等により、加工後の有機層3a上の感光層1a及び保護層2が除去される。
 以上のとおり、本発明の好ましい実施形態によれば、有機層3に所望のパターンを形成し、かつレジストとなる感光層1と保護膜となる保護層2を除去することができる。これらの工程の詳細は後述する。
[0016]
<基材>
 本発明の積層体は基材を含む。
 基材としては、例えば、シリコン、石英、セラミック、ガラス、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどの種々の材料により形成された基材が挙げられ、用途に応じていかなる基材を選択してもよい。例えば、フレキシブルな素子に用いる場合にはフレキシブルな材料により形成された基材を用いることができる。また、基材は複数の材料により形成された複合基材や、複数の材料が積層された積層基材であってもよい。
 また、基材の形状も特に限定されず、用途に応じて選択すればよく、例えば、板状の基材(以下「基板」ともいう。)が挙げられる。基板の厚さ等についても、特に限定されない。
[0017]
<有機層>
 本発明における積層体は、有機層を含む。
 有機層としては、有機半導体層、樹脂層等が挙げられる。
 本発明に係る積層体において、有機層は基材よりも上に含まれていればよく、基材と有機層とが接していてもよいし、有機層と基材との間に別の層が更に含まれていてもよい。
[0018]
〔有機半導体層〕
 有機半導体層は、半導体の特性を示す有機材料(「有機半導体化合物」ともいう。)を含む層である。
[0019]
-有機半導体化合物-
 有機半導体化合物には、無機材料からなる半導体の場合と同様に、正孔をキャリアとして伝導するp型有機半導体化合物と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体化合物がある。
 有機半導体層中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。用途にもよるが、一般に移動度は高い方がよく、10 -7cm /Vs以上であることが好ましく、10 -6cm /Vs以上であることがより好ましく、10 -5cm /Vs以上であることが更に好ましい。移動度μは電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
[0020]
 有機半導体層に使用し得るp型有機半導体化合物としては、ホール(正孔)輸送性を示す材料であれば有機半導体材料のうちいかなる材料を用いてもよいが、好ましくはp型π共役高分子化合物(例えば、置換又は無置換のポリチオフェン(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製)など)、ポリセレノフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリアニリンなど)、縮合多環化合物(例えば、置換又は無置換のアントラセン、テトラセン、ペンタセン、アントラジチオフェン、ヘキサベンゾコロネンなど)、トリアリールアミン化合物(例えば、m-MTDATA(4,4’,4’’-Tris[(3- methylphenyl)phenylamino] triphenylamine)、2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl) amino] triphenylamine)、NPD(N,N’-Di[(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl]-1,1’-biphenyl)-4,4’- diamine)、TPD(N,N’-Diphenyl-N,N’-di(m-tolyl)benzidine、mCP(1,3-bis(9-carbazolyl)benzene)、CBP(4,4’-bis(9-carbazolyl)-2,2’-biphenyl)など)、ヘテロ5員環化合物(例えば、置換又は無置換のオリゴチオフェン、TTF(Tetrathiafulvalene)など)、フタロシアニン化合物(置換又は無置換の各種中心金属のフタロシアニン、ナフタロシアニン、アントラシアニン、テトラピラジノポルフィラジン)、ポルフィリン化合物(置換又は無置換の各種中心金属のポルフィリン)、カーボンナノチューブ、半導体ポリマーを修飾したカーボンナノチューブ、グラフェンのいずれかであり、より好ましくはp型π共役高分子化合物、縮合多環化合物、トリアリールアミン化合物、ヘテロ5員環化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物のいずれかであり、更に好ましくは、p型π共役高分子化合物である。
[0021]
 有機半導体層に使用し得るn型半導体化合物としては、電子輸送性を含むものであれば有機半導体材料のうち、いかなるものでもよいが、好ましくはフラーレン化合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、ナフタレンテトラカルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物、TCNQ化合物(テトラシアノキノジメタン化合物)、n型π共役高分子化合物であり、より好ましくはフラーレン化合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、ナフタレンテトラカルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物、n型π共役高分子化合物であり、特に好ましくはフラーレン化合物、n型π共役高分子化合物である。本発明において、フラーレン化合物とは、置換又は無置換のフラーレンを指し、フラーレンとしてはC 60、C 70、C 76、C 78、C 80、C 82、C 84、C 86、C 88、C 90、C 96、C 116、C 180、C 240、C 540フラーレンなどのいずれでもよいが、好ましくは置換又は無置換のC 60、C 70、C 86フラーレンであり、特に好ましくはPCBM([6,6]-フェニル-C 61-酪酸メチルエステル、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製など)及びその類縁体(C 60部分をC 70、C 86等に置換したもの、置換基のベンゼン環を他の芳香環又はヘテロ環に置換したもの、メチルエステルをn-ブチルエステル、i-ブチルエステル等に置換したもの)である。電子欠乏性フタロシアニン類とは、電子求引基が4つ以上結合した各種中心金属のフタロシアニン(F 16MPc、FPc-S8など、ここで、Mは中心金属を、Pcはフタロシアニンを、S8は(n-octylsulfonyl基)を表す)、ナフタロシアニン、アントラシアニン、置換又は無置換のテトラピラジノポルフィラジンなどである。ナフタレンテトラカルボニル化合物としてはいかなるものでもよいが、好ましくはナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ナフタレンビスイミド化合物(NTCDI)、ペリノン顔料(Pigment Orange 43、Pigment Red 194など)である。ペリレンテトラカルボニル化合物としてはいかなるものでもよいが、好ましくはペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、ペリレンビスイミド化合物(PTCDI)、ベンゾイミダゾール縮環体(PV)である。TCNQ化合物とは、置換又は無置換のTCNQ及び、TCNQのベンゼン環部分を別の芳香環やヘテロ環に置き換えたものであり、例えば、TCNQ、TCNAQ(テトラシアノキノジメタン)、TCN3T(2,2’-((2E,2’’E)-3’,4’-Alkyl substituted-5H,5’’H- [2,2’:5’,2’’-terthiophene]-5,5’’-diylidene)dimalononitrile derivatives)などである。更にグラフェンも挙げられる。n型有機半導体化合物の特に好ましい例を以下に構造式で示す。
[0022]
 なお、式中のRとしては、いかなるものでも構わないが、水素原子、置換又は無置換で分岐又は直鎖のアルキル基(好ましくは炭素数1~18、より好ましくは1~12、更に好ましくは1~8のもの)、置換又は無置換のアリール基(好ましくは炭素数6~30、より好ましくは6~20、更に好ましくは6~14のもの)のいずれかであることが好ましい。構造式中のMeはメチル基であり、Mは金属元素である。
[0023]
[化2]


[化3]


 有機半導体層に含まれる有機半導体化合物は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。
 有機半導体層の全質量に対する有機半導体化合物の含有量は、1~100質量%であることが好ましく、10~100質量%であることがより好ましい。
[0024]
-バインダー樹脂-
 有機半導体層は、バインダー樹脂を更に含んでもよい。
 バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等の絶縁性ポリマー、及びこれらの共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン等の導電性ポリマーなどを挙げることができる。
 有機半導体層は、バインダー樹脂を、1種のみ含有してもよく、2種以上を含有してもよい。有機半導体層の機械的強度を考慮すると、ガラス転移温度の高いバインダー樹脂が好ましく、電荷移動度を考慮すると、極性基を有しない構造の光伝導性ポリマー又は導電性ポリマーよりなるバインダー樹脂が好ましい。
 有機半導体層がバインダー樹脂を含む場合、バインダー樹脂の含有量は、有機半導体層の全質量に対し、0.1~30質量%であることが好ましい。
[0025]
-膜厚-
 有機半導体層の膜厚は、特に制限されず、最終的に製造されるデバイスの種類などにより異なるが、好ましくは5nm~50μm、より好ましくは10nm~5μm、更に好ましくは20nm~500nmである。
[0026]
-有機半導体層形成用組成物-
 有機半導体層は、例えば、溶剤と、有機半導体化合物と、を含有する有機半導体層形成用組成物を用いて形成される。
 形成方法の一例としては、有機半導体層形成用組成物を、基材上に層状に適用し、乾燥して製膜する方法が挙げられる。適用方法としては、例えば、後述する保護層における保護層形成用組成物の適用方法についての記載を参酌できる。
[0027]
 有機半導体層形成用組成物に含まれる溶剤としては、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1-メチルナフタレン等の炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤;メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1-メチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド等の極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
 有機半導体層形成用組成物の全質量に対する有機半導体化合物の含有量は、0.1~80質量%であることが好ましく、0.1~30質量%であることがより好ましい。上記有機半導体の含有量は、形成したい有機半導体層の厚さ等に応じて、適宜設定すればよい。
[0028]
 また、有機半導体層形成用組成物は、上述のバインダー樹脂を更に含んでもよい。
 バインダー樹脂は、有機半導体層形成用組成物に含まれる溶剤に溶解していてもよいし、分散していてもよい。
 また、有機半導体層形成用組成物がバインダー樹脂を含む場合、バインダー樹脂の含有量は、有機半導体層形成用組成物の全固形分に対し、0.1~30質量%であることが好ましい。
[0029]
 有機半導体層形成用組成物は、上記有機半導体化合物以外の他の半導体材料を含んでもよいし、他の添加剤を更に含んでもよい。上記他の半導体材料、又は、上記他の添加剤を含有する有機半導体層形成用組成物を用いることにより、他の半導体材料、又は、他の添加剤を含むブレンド膜を形成することが可能である。
 例えば、光電変換層を作製する場合等に、他の半導体材料を更に含む有機半導体層形成用組成物を用いること等ができる。
 また、製膜の際、基材を加熱又は冷却してもよく、基材の温度を変化させることで有機半導体層の膜質や膜中での分子のパッキングを制御することが可能である。基材の温度としては特に制限はないが、好ましくは-200℃~400℃、より好ましくは-100℃~300℃、更に好ましくは0℃~200℃である。
 形成された有機半導体層は、後処理により特性を調整することができる。例えば、形成された有機半導体層に対し、加熱処理、蒸気化した溶剤への暴露処理等を行うことにより、膜のモルホロジーや膜中での分子のパッキングを変化させ、所望の特性を得ることなども考えられる。また、形成された有機半導体層を、酸化性又は還元性のガス又は溶剤等の物質に曝す、あるいはこれらを混合することで酸化あるいは還元反応を起こすことにより、膜中でのキャリア密度を調整することができる。
[0030]
〔樹脂層〕
 樹脂層は、上記有機半導体層以外の有機層であって、樹脂を含む層である。
 樹脂層に含まれる樹脂としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、などが挙げられる。
 これらの中でも、本発明の効果が得られやすい観点からは、(メタ)アクリル樹脂が好ましく挙げられる。
 また、樹脂層に含まれる樹脂は、非水溶性の樹脂であることが好ましく、25℃における100gの水に対する溶解量が0.1g以下である樹脂がより好ましく、上記溶解量が0.01g以下である樹脂が更に好ましい。
[0031]
 樹脂層は、樹脂以外に、着色剤、分散剤、屈折率調整剤、等の公知の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤の種類及び含有量は、公知の技術を参考に用途に応じて適宜設計すればよい。
 樹脂層の用途としては、カラーフィルター等の着色層、屈折率調整層等の高屈折率層又は低屈折率層、配線の絶縁層等が挙げられる。
[0032]
-膜厚-
 樹脂層の膜厚は、特に制限されず、最終的に製造されるデバイスの種類又は有機層自体の種類などにより異なるが、好ましくは5nm~50μm、より好ましくは10nm~5μm、更に好ましくは20nm~500nmである。
[0033]
-樹脂層形成用組成物-
 樹脂層は、例えば、樹脂と溶剤とを含む樹脂層形成用組成物を用いて形成される。形成方法の一例としては、樹脂層形成用組成物を、基材上に層状に適用し、乾燥して製膜する方法が挙げられる。適用方法としては、例えば、後述する保護層における保護層形成用組成物の適用方法についての記載を参酌できる。
 また樹脂層は、樹脂の原料を含む樹脂層形成用組成物を用いて形成されてもよい。例えば、樹脂の原料として、樹脂の前駆体である樹脂を含む樹脂層形成用組成物、又は、樹脂におけるモノマー単位を構成する重合性化合物(重合性基を有する化合物)、及び、必要に応じて重合開始剤等を含む樹脂層形成用組成物を、基材上に層状に適用し、乾燥及び硬化の少なくとも一方を行い製膜する方法が挙げられる。適用方法としては、例えば、後述する保護層における保護層形成用組成物の適用方法についての記載を参酌できる。硬化方法としては、樹脂の前駆体の種類、重合開始剤の種類等に応じて、加熱、露光等の公知の方法を用いればよい。
[0034]
<保護層>
 本発明の積層体は保護層を含み、上記保護層はポリビニルアルコールを含み、上記ポリビニルアルコールのけん化度が50モル%以上85モル%以下であり、上記保護層は剥離液を用いた除去に供せられる。
 以下、保護層に含まれる、けん化度が50モル%以上85モル%以下であるポリビニルアルコールを、「特定ポリビニルアルコール」ともいう。
[0035]
〔特定ポリビニルアルコール〕
 特定ポリビニルアルコールのけん化度は、50モル%以上85モル%以下であり、60モル%以上80モル%以下であることが好ましく、65モル%以上75モル%以下であることがより好ましい。
 本発明において、ポリビニルアルコールのけん化度は、特開2006-028233号公報の段落0020~0023に記載の方法により測定される。
[0036]
 保護層に含まれる特定ポリビニルアルコールの重量平均分子量(Mw)は、5,000~100,000であることが好ましく、8,000~50,000であることがより好ましく、10,000~30,000であることが更に好ましく、12,000~25,000が特に好ましい。
[0037]
 特定ポリビニルアルコールの含有量は、保護層の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。上記含有量の上限は特に限定されず、100質量%以下であってもよい。
[0038]
〔他の水溶性樹脂〕
 保護層は、特定ポリビニルアルコール以外の他の水溶性樹脂を含んでもよい。
 本明細書において、水溶性樹脂とは、23℃における水100gに対する溶解量が1g以上である樹脂をいい、5g以上である樹脂が好ましく、10g以上である樹脂がより好ましく、30g以上である樹脂が更に好ましい。上記溶解量について、上限はないが、例えば100g以下とすることができる。また、本明細書において、非水溶性樹脂とは、23℃における水100gに対する溶解量が1g未満である樹脂をいう。
[0039]
 また、本発明においては、水溶性樹脂として、アルコール溶解性の樹脂を用いることもできる。アルコール溶解性の樹脂としては、ポリビニルアセタールを挙げることができる。溶剤として利用できるアルコールとして、通常用いられるものを選定すればよいが、例えば、イソプロピルアルコールが挙げられる。アルコール溶解性樹脂とは、23℃におけるアルコール(例えば)100gに対する溶解度が1g以上である樹脂をいい、10g以上である樹脂が好ましく、20g以上であることがより好ましい。上限はないが、30g以下であることが実際的である。なお、特に断らない限り、本発明においては、アルコール溶解性樹脂を水溶性樹脂に含めて定義することとする。
[0040]
 他の水溶性樹脂は、親水性基を含む樹脂が好ましく、親水性基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミド基、イミド基などが例示される。
[0041]
 他の水溶性樹脂としては、具体的には、ポリビニルピロリドン(PVP)、水溶性多糖類(水溶性のセルロース(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、プルラン又はプルラン誘導体、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、キトサン、シクロデキストリン)、ポリエチレンオキシド、ポリエチルオキサゾリン等を挙げることができる。また、これらの中から、2種以上を選択して使用してもよく、共重合体として使用してもよい。
 本発明における保護層は、他の水溶性樹脂として、特定ポリビニルアルコール以外のポリビニルアルコール(けん化度が85モル%を超えるか、又は、50モル%未満であるポリビニルアルコール、以下、「他のポリビニルアルコール」ともいう。)を含有してもよいが、保護層の除去における残渣の発生を抑制する観点から、他のポリビニルアルコールの含有量が、保護層の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%(含有しない)ことが最も好ましい。
[0042]
 他の水溶性樹脂については、国際公開第2016/175220号に記載の水溶性樹脂を用いることもできる。
[0043]
 他の水溶性樹脂の重量平均分子量は、ポリビニルピロリドンである場合は、50,000~400,000が好ましく、他のポリビニルアルコールである場合は、15,000~100,000であることが好ましく、他の樹脂である場合は、10,000~300,000の範囲内であることが好ましい。
 また、本発明で用いる他の水溶性樹脂の分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.0~5.0が好ましく、2.0~4.0がより好ましい。
[0044]
 本発明において用いられる保護層が他の水溶性樹脂を含む場合、他の水溶性樹脂の含有量は、保護層の全質量に対して、0.1~50質量%であることが好ましく、0.1~40質量%であることがより好ましく、0.1~20質量%であることが更に好ましい。
[0045]
〔アセチレン基を含む界面活性剤〕
 残渣の発生を抑制するという観点から、保護層は、アセチレン基を含む界面活性剤を含むことが好ましい。
 アセチレン基を含む界面活性剤における、分子内のアセチレン基の数は、特に制限されないが、1~10個が好ましく、1~5個がより好ましく、1~3個が更に好ましく、1~2個が一層好ましい。
[0046]
 アセチレン基を含む界面活性剤の分子量は比較的小さいことが好ましく、2,000以下であることが好ましく、1,500以下であることがより好ましく、1,000以下であることが更に好ましい。下限値は特にないが、200以上であることが好ましい。
[0047]
-式(9)で表される化合物-
 アセチレン基を含む界面活性剤は下記式(9)で表される化合物であることが好ましい。
[化4]


 式中、R 91及びR 92は、それぞれ独立に、炭素数3~15のアルキル基、炭素数6~15の芳香族炭化水素基、又は、炭素数4~15の芳香族複素環基である。芳香族複素環基の炭素数は、1~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~4が更に好ましい。芳香族複素環は5員環又は6員環が好ましい。芳香族複素環が含むヘテロ原子は窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。
 R 91及びR 92は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよく、置換基としては下記置換基Tが挙げられる。
[0048]
 置換基Tとしては、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~21が好ましく、7~15がより好ましく、7~11が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6が更に好ましい)、アルキニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、ヒドロキシ基、アミノ基(炭素数0~24が好ましく、0~12がより好ましく、0~6が更に好ましい)、チオール基、カルボキシ基、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アルコキシル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アシル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アシルオキシ基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリーロイル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)、アリーロイルオキシ基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)、カルバモイル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、スルファモイル基(炭素数0~12が好ましく、0~6がより好ましく、0~3が更に好ましい)、スルホ基、アルキルスルホニル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アリールスルホニル基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、ヘテロ環基(炭素数1~12が好ましく、1~8がより好ましく、2~5が更に好ましい、5員環又は6員環を含むことが好ましい)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、オキソ基(=O)、イミノ基(=NR )、アルキリデン基(=C(R )などが挙げられる。R は水素原子又はアルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)であり、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基が好ましい。各置換基に含まれるアルキル部位、アルケニル部位、及びアルキニル部位は鎖状でも環状でもよく、直鎖でも分岐でもよい。上記置換基Tが置換基を取りうる基である場合には更に置換基Tを有してもよい。例えば、アルキル基はハロゲン化アルキル基となってもよいし、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、アミノアルキル基やカルボキシアルキル基になっていてもよい。置換基がカルボキシ基やアミノ基などの塩を形成しうる基の場合、その基が塩を形成していてもよい。
[0049]
-式(91)で表される化合物-
 式(9)で表される化合物としては、下記式(91)で表される化合物であることが好ましい。
[化5]


[0050]
 R 93~R 96は、それぞれ独立に、炭素数1~24の炭化水素基であり、n9は1~6の整数であり、m9はn9の2倍の整数であり、n10は1~6の整数であり、m10はn10の2倍の整数であり、l9及びl10は、それぞれ独立に、0以上12以下の数である。
 R 93~R 96は炭化水素基であるが、なかでもアルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アルキニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)であることが好ましい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基は直鎖状でも環状でもよく、直鎖でも分岐でもよい。R 93~R 96は本発明の効果を奏する範囲で置換基Tを有していてもよい。また、R 93~R 96は互いに結合して、又は下記連結基Lを介して環を形成していてもよい。置換基Tは、複数あるときは互いに結合して、あるいは下記連結基Lを介して又は介さずに式中の炭化水素基と結合して環を形成していてもよい。
 R 93及びR 94はアルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)であることが好ましい。なかでもメチル基が好ましい。
 R 95及びR 96はアルキル基(炭素数1~12が好ましく、2~6がより好ましく、3~6が更に好ましい)であることが好ましい。なかでも、-(C n1198 m11)-R 97が好ましい。R 95、R 96はとくにイソブチル基であることが好ましい。
 n11は1~6の整数であり、1~3の整数が好ましい。m11はn11の2倍の数である。
 R 97及びR 98は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)であることが好ましい。
 n9は1~6の整数であり、1~3の整数が好ましい。m9はn9の2倍の整数である。
 n10は1~6の整数であり、1~3の整数が好ましい。m10はn10の2倍の整数である。
 l9及びl10は、それぞれ独立に、0~12の数である。ただし、l9+l10は0~12の数であることが好ましく、0~8の数であることがより好ましく、0~6の数が更に好ましく、0を超え6未満の数が一層好ましく、0を超え3以下の数がより一層好ましい。なお、l9、l10については、式(91)の化合物がその数において異なる化合物の混合物となる場合があり、そのときはl9及びl10の数、あるいはl9+l10が、小数点以下が含まれた数であってもよい。
[0051]
 連結基Lとしては、アルキレン基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が更に好ましい)、アルケニレン基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アルキニレン基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、(オリゴ)アルキレンオキシ基(1つの繰返し単位中のアルキレン基の炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい;繰り返し数は1~50が好ましく、1~40がより好ましく、1~30が更に好ましい)、アリーレン基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、-NR -、及びそれらの組み合わせにかかる連結基が挙げられる。アルキレン基は下記置換基Tを有していてもよい。例えば、アルキレン基がヒドロキシ基を有していてもよい。連結基Lに含まれる原子数は水素原子を除いて1~50が好ましく、1~40がより好ましく、1~30が更に好ましい。連結原子数は連結に関与する原子団のうち最短の道程に位置する原子数を意味する。例えば、-CH -(C=O)-O-だと、連結に関与する原子は6個であり、水素原子を除いても4個である。一方連結に関与する最短の原子は-C-C-O-であり、3つとなる。この連結原子数として、1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が更に好ましい。なお、上記アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、(オリゴ)アルキレンオキシ基は、鎖状でも環状でもよく、直鎖でも分岐でもよい。連結基が-NR -などの塩を形成しうる基の場合、その基が塩を形成していてもよい。
[0052]
-式(92)で表される化合物-
 式(91)で表される化合物は、下記式(92)で表される化合物であることが好ましい。
[化6]


 R 93、R 94、R 97~R 100は、それぞれ独立に、炭素数1~24の炭化水素基であり、l11及びl12は、それぞれ独立に、0以上12以下の数である。
 R 93、R 94、R 97~R 100はなかでもアルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アルキニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)であることが好ましい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基は鎖状でも環状でもよく、直鎖でも分岐でもよい。R 93、R 94、R 97~R 100は本発明の効果を奏する範囲で置換基Tを有していてもよい。また、R 93、R 94、R 97~R 100は互いに結合して、又は連結基Lを介して環を形成していてもよい。置換基Tは、複数あるときは互いに結合して、あるいは連結基Lを介して又は介さずに式中の炭化水素基と結合して環を形成していてもよい。
 R 93、R 94、R 97~R 100は、それぞれ独立に、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)であることが好ましい。なかでもメチル基が好ましい。
 l11+l12は0~12の数であることが好ましく、0~8の数であることがより好ましく、0~6の数が更に好ましく、0を超え6未満の数が一層好ましく、0を超え5以下の数がより一層好ましく、0を超え4以下の数が更に一層好ましく、0を超え3以下の数であってもよく、0を超え1以下の数であってもよい。なお、l11、l12は、式(92)の化合物がその数において異なる化合物の混合物となる場合があり、そのときはl11及びl12の数、あるいはl11+l12が、小数点以下が含まれた数であってもよい。
[0053]
 アセチレン基を含む界面活性剤としては、サーフィノール(Surfynol)104シリーズ(商品名、日信化学工業株式会社)、アセチレノール(Acetyrenol)E00、同E40、同E13T、同60(いずれも商品名、川研ファインケム社製)が挙げられ、中でも、サーフィノール104シリーズ、アセチレノールE00、同E40、同E13Tが好ましく、アセチレノールE40、同E13Tがより好ましい。なお、サーフィノール104シリーズとアセチレノールE00とは同一構造の界面活性剤である。
[0054]
〔他の界面活性剤〕
 保護層は、後述する保護層形成用組成物の塗布性を向上させる等の目的のため、上記アセチレン基を含む界面活性剤以外の、他の界面活性剤を含んでいてもよい。
 他の界面活性剤としては、表面張力を低下させるものであれば、ノニオン系、アニオン系、両性フッ素系など、どのようなものでもかまわない。
 他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート等のモノグリセリドアルキルエステル類等、フッ素あるいはケイ素を含むオリゴマー等のノニオン系界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等の、アニオン系界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の、両性界面活性剤が使用可能である。
[0055]
 保護層がアセチレン基を含む界面活性剤と、他の界面活性剤と、を含む場合、アセチレン基を含む界面活性剤と他の界面活性剤との総量で、界面活性剤の添加量は、保護層の全質量に対し、好ましくは0.05~20質量%、より好ましくは0.07~15質量%、更に好ましくは0.1~10質量%の割合で含まれる量である。これらの界面活性剤は、1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となる。
 また、本発明では他の界面活性剤を実質的に含まない構成とすることもできる。実質的に含まないとは、他の界面活性剤の含有量が、アセチレン基を含む界面活性剤の含有量の5質量%以下であることをいい、3質量%以下が好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
[0056]
 保護層は、界面活性剤として、アセチレン基を含む界面活性剤と、他の界面活性剤と、の両方を含んでもよいし、いずれか一方のみを含んでもよい。
 保護層において、界面活性剤の含有量は、保護層の全質量に対し、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。また、上限値は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。界面活性剤は、1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となることが好ましい。
[0057]
 界面活性剤の、23℃における、0.1質量%水溶液の表面張力は45mN/m以下であることが好ましく、40mN/m以下であることがより好ましく、35mN/m以下であることが更に好ましい。下限としては、5mN/m以上であることが好ましく、10mN/m以上であることがより好ましく、15mN/m以上であることが更に好ましい。界面活性剤の表面張力は選択される界面活性剤の種類により適宜選択されればよい。
[0058]
〔防腐剤、防カビ剤(防腐剤等)〕
 保護層が防腐剤又は防カビ剤を含有することも好ましい態様である。
 防腐剤、防カビ剤(以下、防腐剤等)としては、抗菌又は防カビ作用を含む添加剤は水溶性又は水分散性有機化合物から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。防腐剤等抗菌又は防カビ作用を含む添加剤としては有機系の抗菌剤又は防カビ剤、無機系の抗菌剤又は防カビ剤、天然系の抗菌剤又は防カビ剤等を挙げることができる。例えば抗菌又は防カビ剤は(株)東レリサーチセンター発刊の「抗菌・防カビ技術」に記載されているものを用いることができる。
 本発明において、保護層に防腐剤等を配合することにより、長期室温保管後の溶液内部の菌増殖による、塗布欠陥増加を抑止するという効果がより効果的に発揮される。
[0059]
 防腐剤等としては、フェノールエーテル系化合物、イミダゾール系化合物、スルホン系化合物、N・ハロアルキルチオ化合物、アニリド系化合物、ピロール系化合物、第四級アンモニウム塩、アルシン系化合物、ピリジン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、イソチアゾリン系化合物などが挙げられる。具体的には、例えば2(4チオシアノメチル)ベンズイミダゾール、1,2ベンゾチアゾロン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、N-フルオロジクロロメチルチオ-フタルイミド、2,3,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、N-トリクロロメチルチオ-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシイミド、8-キノリン酸銅、ビス(トリブチル錫)オキシド、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、2-ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、10,10'-オキシビスフェノキシアルシン、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォン)ピリジン、ビス(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、N,N-ジメチル-N'-(フルオロジクロロメチルチオ)-N’-フェニルスルファミド、ポリ-(ヘキサメチレンビグアニド)ハイドロクロライド、ジチオ-2-2'-ビス、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、ヘキサヒドロ-1,3-トリス-(2-ヒドロキシエチル)-S-トリアジン、p-クロロ-m-キシレノール、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、メチルフェノール等が挙げられる。
[0060]
 天然系抗菌・防カビ剤としては、カニやエビの甲殻等に含まれるキチンを加水分解して得られる塩基性多糖類のキトサンがある。アミノ酸の両側に金属を複合させたアミノメタルから成る日鉱の「商品名ホロンキラービースセラ」が好ましい。
[0061]
 保護層における防腐剤等の含有量は、保護層の全質量に対し、0.005~5質量%であることが好ましく、0.01~3質量%であることがより好ましく、0.05~2質量%であることが更に好ましく、0.1~1質量%であることが一層好ましい。防腐剤等とは1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となる。
 防腐剤等の抗菌効果の評価は、JIS Z 2801(抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果)に準拠して行うことができる。また、防カビ効果の評価は、JIS Z 2911(カビ抵抗性試験)に準拠して行うことができる。
[0062]
〔遮光剤〕
 保護層は遮光剤を含むことが好ましい。遮光剤を配合することにより、有機層などへの光によるダメージ等の影響がより抑制される。
 遮光剤としては、例えば公知の着色剤等を用いることができ、有機又は無機の顔料又は染料が挙げられ、無機顔料が好ましく挙げられ、中でもカーボンブラック、酸化チタン、窒化チタン等がより好ましく挙げられる。
 遮光剤の含有量は、保護層の全質量に対し、好ましくは1~50質量%、より好ましくは3~40質量%、更に好ましくは5~25質量%である。遮光剤は、1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となる。
[0063]
〔厚さ〕
 保護層の厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることが更に好ましく、2.0μm以上が一層好ましい。保護層の厚さの上限値としては、10μm以下が好ましく、5.0μm以下がより好ましく、3.0μm以下が更に好ましい。
[0064]
〔剥離液〕
 本発明における保護層は、剥離液を用いた除去に供せられる。
 剥離液を用いた保護層の除去方法については後述する。
 剥離液としては、水、水と水溶性溶剤との混合物、水溶性溶剤等が挙げられ、水又は水と水溶性溶剤との混合物であることが好ましい。
 上記剥離液の全質量に対する水の含有量は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることが好ましい。また、上記剥離液は水のみからなる剥離液であってもよい。
 本明細書において、水、水と水溶性溶剤との混合物、及び、水溶性溶剤をあわせて、水系溶剤と呼ぶことがある。
 水溶性溶剤としては、23℃における水への溶解度が1g以上の有機溶剤が好ましく、上記溶解度が10g以上の有機溶剤がより好ましく、上記溶解度が30g以上の有機溶剤が更に好ましい。
 水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶剤;アセトン等のケトン系溶剤;ホルムアミド等のアミド系溶剤、等が挙げられる。
 また、剥離液は、保護層の除去性を向上するため、界面活性剤を含有してもよい。
 界面活性剤としては公知の化合物を用いることができるが、ノニオン系界面活性剤が好ましく挙げられる。
[0065]
〔保護層形成用組成物〕
 本発明の保護層形成用組成物は、特定ポリビニルアルコールを含む、本発明の積層体に含まれる保護層の形成に用いられる組成物である。
 本発明の積層体において、保護層は、例えば、保護層形成用組成物を有機層の上に適用し、乾燥させることよって形成することができる。
 保護層形成用組成物の適用方法としては、塗布が好ましい。適用方法の例としては、スリットコート法、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、ラングミュア-ブロジェット(Langmuir-Blodgett)(LB)法などを挙げることができる。キャスト法、スピンコート法、及びインクジェット法を用いることが更に好ましい。このようなプロセスにより、表面が平滑で大面積の保護層を低コストで生産することが可能となる。
 また、保護層形成用組成物は、あらかじめ仮支持体上に上記付与方法等によって付与して形成した塗膜を、適用対象(例えば、有機層)上に転写する方法により形成することもできる。
 転写方法に関しては、特開2006-023696号公報の段落0023、0036~0051、特開2006-047592号公報の段落0096~0108等の記載を参酌することができる。
[0066]
 保護層形成用組成物は、上述の保護層に含まれる成分(例えば、特定ポリビニルアルコール、他の水溶性樹脂、アセチレン基を含む界面活性剤、他の界面活性剤、防腐剤、遮光剤等)、及び、溶剤を含むことが好ましい。
 保護層形成用組成物に含まれる成分の含有量は、上述した各成分の保護層の全質量に対する含有量を、保護層形成用組成物の固形分量に対する含有量に読み替えたものとすることが好ましい。
[0067]
 保護層形成用組成物に含まれる溶剤としては、上述の水系溶剤が挙げられ、水又は水と水溶性溶剤との混合物が好ましく、水がより好ましい。
 水系溶剤が混合溶剤である場合は、23℃における水への溶解度が1g以上の有機溶剤と水との混合溶剤であることが好ましい。有機溶剤の23℃における水への溶解度は10g以上がより好ましく、30g以上が更に好ましい。
[0068]
 保護層形成用組成物の固形分濃度は、保護層形成用組成物の適用時により均一に近い厚さで適用しやすい観点からは、0.5~30質量%であることが好ましく、1.0~20質量%であることがより好ましく、2.0~14質量%であることが更に好ましい。
[0069]
<感光層>
 本発明の積層体は感光層を含む。
 本発明において、感光層は現像液を用いた現像に供せられる層である。
 上記現像は、ネガ型現像であることが好ましい。
 感光層としては、本技術分野で使用される公知の感光層(例えば、フォトレジスト層)を適宜利用することができる。
 本発明の積層体において、感光層は、ネガ型感光層であっても、ポジ型感光層であってもよい。
[0070]
 感光層は、その露光部が有機溶剤を含む現像液に対して難溶であることが好ましい。難溶とは、露光部が現像液に溶けにくいことをいう。
 露光部における感光層の現像液に対する溶解速度は、未露光部における感光層の現像液に対する溶解速度よりも小さくなる(難溶となる)ことが好ましい。
 具体的には、波長365nm(i線)、波長248nm(KrF線)及び波長193nm(ArF線)の少なくとも1つの波長の光を50mJ/cm 以上の照射量で露光することによって極性が変化し、sp値(溶解度パラメータ)が19.0(MPa) 1/2未満の溶剤に対して難溶となることが好ましく、18.5(MPa) 1/2以下の溶剤に対して難溶となることがより好ましく、18.0(MPa) 1/2以下の溶剤に対して難溶となることが更に好ましい。
 本発明において、溶解度パラメーター(sp値)は、沖津法によって求められる値〔単位:(MPa) 1/2〕である。沖津法は、従来周知のsp値の算出方法の一つであり、例えば、日本接着学会誌Vol.29、No.6(1993年)249~259頁に詳述されている方法である。
 更に、波長365nm(i線)、波長248nm(KrF線)及び波長193nm(ArF線)の少なくとも1つの波長の光を50~250mJ/cm の照射量で露光することによって、上記のとおり極性が変化することがより好ましい。
[0071]
 感光層は、i線の照射に対して感光能を有することが好ましい。
 感光能とは、活性光線及び放射線の少なくとも一方の照射(i線の照射に対して感光能を有する場合は、i線の照射)により、有機溶剤(好ましくは、酢酸ブチル)に対する溶解速度が変化することをいう。
[0072]
 感光層としては、酸の作用により現像液に対する溶解速度が変化する樹脂(以下、「特定樹脂」ともいう。)を含む感光層が挙げられる。
 特定樹脂における溶解速度の変化は、溶解速度の低下であることが好ましい。
 特定樹脂の、溶解速度が変化する前の、sp値が18.0(MPa) 1/2以下の有機溶剤への溶解速度は、40nm/秒以上であることがより好ましい。
 特定樹脂の、溶解速度が変化した後の、sp値が18.0(MPa) 1/2以下の有機溶剤への溶解速度は、1nm/秒未満であることがより好ましい。
 特定樹脂は、また、溶解速度が変化する前には、sp値(溶解度パラメータ)が18.0(MPa) 1/2以下の有機溶剤に可溶であり、かつ、溶解速度が変化した後には、sp値が18.0(MPa) 1/2以下の有機溶剤に難溶である樹脂であることが好ましい。
 ここで、「sp値(溶解度パラメータ)が18.0(MPa) 1/2以下の有機溶剤に可溶」とは、化合物(樹脂)の溶液を基材上に塗布し、100℃で1分間加熱することによって形成される化合物(樹脂)の塗膜(厚さ1μm)の、23℃における現像液に対して浸漬した際の溶解速度が、20nm/秒以上であることをいい、「sp値が18.0(MPa) 1/2以下の有機溶剤に難溶」とは、化合物(樹脂)の溶液を基材上に塗布し、100℃で1分間加熱することによって形成される化合物(樹脂)の塗膜(厚さ1μm)の、23℃における現像液に対する溶解速度が、10nm/秒未満であることをいう。
[0073]
 感光層としては、例えば、特定樹脂及び光酸発生剤を含む感光層、重合性化合物及び光重合開始剤等を含む感光層等が挙げられる。
 また、感光層は、高い保存安定性と微細なパターン形成性を両立する観点からは、化学増幅型感光層であることが好ましい。
 以下、特定樹脂及び光酸発生剤を含む感光層の例について説明する。
[0074]
〔特定樹脂〕
 本発明における感光層は、特定樹脂を含むことが好ましい。
 特定樹脂は、アクリル系重合体であることが好ましい。
 「アクリル系重合体」は、付加重合型の樹脂であり、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する繰返し単位を含む重合体であり、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する繰返し単位以外の繰返し単位、例えば、スチレン類に由来する繰返し単位やビニル化合物に由来する繰返し単位等を含んでいてもよい。アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する繰返し単位を、重合体における全繰返し単位に対し、50モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上含むことがより好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する繰返し単位のみからなる重合体であることが特に好ましい。
[0075]
 特定樹脂としては、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位を有する樹脂が好ましく挙げられる
 上記酸基が酸分解性基により保護された構造としては、カルボキシ基が酸分解性基により保護された構造、フェノール性ヒドロキシ基が酸分解性基により保護された構造等が挙げられる。
 また、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位としては、(メタ)アクリル酸に由来するモノマー単位におけるカルボキシ基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位、p-ヒドロキシスチレン、α-メチル-p-ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類に由来するモノマー単位におけるフェノール性ヒドロキシ基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位等が挙げられる。
[0076]
 酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位としては、アセタール構造を含む繰返し単位等が挙げられ、側鎖に環状エーテルエステル構造を含む繰返し単位が好ましい。環状エーテルエステル構造としては、環状エーテル構造における酸素原子とエステル結合における酸素原子とが同一の炭素原子に結合し、アセタール構造を形成していることが好ましい。
[0077]
 また、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位としては、下記式(1)で表される繰返し単位が好ましい。
 以下、「式(1)で表される繰返し単位」等を、「繰返し単位(1)」等ともいう。
[化7]


 式(1)中、R は水素原子又はアルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)を表し、L はカルボニル基又はフェニレン基を表し、R ~R はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
 式(1)中、R は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
 式(1)中、L は、カルボニル基又はフェニレン基を表し、カルボニル基であることが好ましい。
 式(1)中、R ~R はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。R ~R におけるアルキル基は、R と同義であり、好ましい態様も同様である。また、R ~R のうち、1つ以上が水素原子であることが好ましく、R ~R の全てが水素原子であることがより好ましい。
[0078]
 繰返し単位(1)としては、下記式(1-1)で表される繰返し単位、又は、下記式(1-2)で表される繰返し単位が好ましい。
[化8]


[0079]
 繰返し単位(1)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、(メタ)アクリル酸を酸触媒の存在下でジヒドロフラン化合物と反応させることにより合成することができる。あるいは、前駆体モノマーと重合した後に、カルボキシ基又はフェノール性ヒドロキシ基をジヒドロフラン化合物と反応させることによっても形成することができる。
[0080]
 また、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位としては、下記式(2)で表される繰返し単位も好ましく挙げられる。
[化9]


 式(2)中、Aは、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。酸の作用により脱離する基としては、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルコキシアルキル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリールオキシアルキル基(総炭素数7~40が好ましく、7~30がより好ましく、7~20が更に好ましい)、アルコキシカルボニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリールオキシカルボニル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)が好ましい。Aは更に置換基を有していてもよく、置換基として上記置換基Tの例が挙げられる。
 式(2)中、R 10は置換基を表し、置換基Tの例が挙げられる。R は式(1)におけるR と同義の基を表す。
 式(2)中、nxは、0~3の整数を表す。
[0081]
 酸の作用によって脱離する基としては、特開2008-197480号公報の段落番号0039~0049に記載の化合物のうち、酸によって脱離する基を含む繰返し単位も好ましく、また、特開2012-159830号公報(特許第5191567号)の段落番号0052~0056に記載の化合物も好ましく、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0082]
 繰返し単位(2)の具体的な例を以下に示すが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
[化10]


[化11]


[0083]
 特定樹脂に含まれる、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位(好ましくは、繰返し単位(1)又は繰返し単位(2))の含有量は、5~80モル%が好ましく、10~70モル%がより好ましく、10~60モル%が更に好ましい。アクリル系重合体は、繰返し単位(1)又は繰返し単位(2)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0084]
 特定樹脂は、架橋性基を含む繰返し単位を含有してもよい。架橋性基の詳細については、特開2011-209692号公報の段落番号0032~0046の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 特定樹脂は、架橋性基を含む繰返し単位(繰返し単位(3))を含む態様も好ましいが、架橋性基を含む繰返し単位(3)を実質的に含まない構成とすることが好ましい。このような構成とすることにより、パターニング後に、感光層をより効果的に除去することが可能になる。ここで、実質的に含まないとは、例えば、特定樹脂の全繰返し単位の3モル%以下をいい、好ましくは1モル%以下をいう。
[0085]
 特定樹脂は、その他の繰返し単位(繰返し単位(4))を含有してもよい。繰返し単位(4)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、特開2004-264623号公報の段落番号0021~0024に記載の化合物を挙げることができる。繰返し単位(4)の好ましい例としては、ヒドロキシ基含有不飽和カルボン酸エステル、脂環構造含有不飽和カルボン酸エステル、スチレン、及び、N置換マレイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する繰返し単位が挙げられる。これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカン-8-イル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカン-8-イルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-メチルシクロヘキシルのよう脂環構造含有の(メタ)アクリル酸エステル類、又は、スチレンのような疎水性のモノマーが好ましい。
 繰返し単位(4)は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特定樹脂を構成する全モノマー単位中、繰返し単位(4)を含有させる場合における繰返し単位(4)を形成するモノマー単位の含有率は、1~60モル%が好ましく、5~50モル%がより好ましく、5~40モル%が更に好ましい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0086]
 特定樹脂の合成法については様々な方法が知られているが、一例を挙げると、少なくとも繰返し単位(1)、繰返し単位(2)等を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。
 特定樹脂としては、不飽和多価カルボン酸無水物類を共重合させた前駆共重合体中の酸無水物基に、2,3-ジヒドロフランを、酸触媒の不存在下、室温(25℃)~100℃程度の温度で付加させることにより得られる共重合体も好ましい。
 以下の樹脂も特定樹脂の好ましい例として挙げられる。
BzMA/THFMA/t-BuMA(モル比:20~60:35~65:5~30)
BzMA/THFAA/t-BuMA(モル比:20~60:35~65:5~30)
BzMA/THPMA/t-BuMA(モル比:20~60:35~65:5~30)
BzMA/PEES/t-BuMA(モル比:20~60:35~65:5~30)
 BzMAは、ベンジルメタクリレートであり、THFMAは、テトラヒドロフラン-2-イル メタクリレートであり、t-BuMAは、t-ブチルメタクリレートであり、THFAAは、テトラヒドロフラン-2-イル アクリレートであり、THPMAは、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル メタクリレートであり、PEESは、p-エトキシエトキシスチレンである。
[0087]
 また、ポジ型現像に用いられる特定樹脂としては、特開2013-011678号公報に記載のものが例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0088]
 現像時のパターン形成性を良好とする観点から、特定樹脂の含有量は、感光層の全質量に対し、20~99質量%であることが好ましく、40~99質量%であることがより好ましく、70~99質量%であることが更に好ましい。特定樹脂は1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
 また、特定樹脂の含有量は、感光層に含まれる樹脂成分の全質量に対し、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
[0089]
 特定樹脂の重量平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、20,000以上がより好ましく、35,000以上が更に好ましい。上限値としては、特に定めるものでは無いが、100,000以下であることが好ましく、70,000以下としてもよく、50,000以下としてもよい。
 また、特定樹脂に含まれる重量平均分子量1,000以下の成分の量が、特定樹脂の全質量に対し、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
 特定樹脂の分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.0~4.0が好ましく、1.1~2.5がより好ましい。
[0090]
〔光酸発生剤〕
 感光層は、光酸発生剤を含むことが好ましい。光酸発生剤は、波長365nmにおいて100mJ/cm の露光量で感光層が露光されると80モル%以上分解する光酸発生剤であることが好ましい。
 光酸発生剤の分解度は、以下の方法によって求めることができる。下記感光層形成用組成物の詳細については後述する。
 感光層形成用組成物を用い、シリコンウェハ基板上に感光層を製膜し、100℃で1分間加熱し、加熱後に上記感光層を波長365nmの光を用いて100mJ/cm の露光量で露光する。加熱後の感光層の厚さは700nmとする。その後、上記感光層が形成された上記シリコンウェハ基板を、メタノール/テトラヒドロフラン(THF)=50/50(質量比)溶液に超音波を当てながら10分浸漬させる。上記浸漬後に、上記溶液に抽出された抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)を用いて分析することで光酸発生剤の分解率を以下の式より算出する。
 分解率(%)=分解物量(mol)/露光前の感光層に含まれる光酸発生剤量(mol)×100
 光酸発生剤としては、波長365nmにおいて、100mJ/cm の露光量で感光層を露光したときに、85モル%以上分解するものであることが好ましい。
[0091]
 光酸発生剤は、オキシムスルホネート基を含む化合物(以下、単に「オキシムスルホネート化合物」ともいう)であることが好ましい。
 オキシムスルホネート化合物は、オキシムスルホネート基を有していれば特に制限はないが、下記式(OS-1)、後述する式(OS-103)、式(OS-104)、又は、式(OS-105)で表されるオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
[化12]


 式(OS-1)中、X は、アルキル基、アルコキシル基、又は、ハロゲン原子を表す。X が複数存在する場合は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記X におけるアルキル基及びアルコキシル基は、置換基を有していてもよい。上記X におけるアルキル基としては、炭素数1~4の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。上記X におけるアルコキシル基としては、炭素数1~4の直鎖状又は分岐状アルコキシル基が好ましい。上記X におけるハロゲン原子としては、塩素原子又はフッ素原子が好ましい。
 式(OS-1)中、m3は、0~3の整数を表し、0又は1が好ましい。m3が2又は3であるとき、複数のX は同一でも異なっていてもよい。
 式(OS-1)中、R 34は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルコキシル基、Wで置換されていてもよいフェニル基、Wで置換されていてもよいナフチル基又はWで置換されていてもよいアントラニル基であることが好ましい。Wは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルコキシル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のハロゲン化アリール基を表す。
[0092]
 式(OS-1)中、m3が3であり、X がメチル基であり、X の置換位置がオルト位であり、R 34が炭素数1~10の直鎖状アルキル基、7,7-ジメチル-2-オキソノルボルニルメチル基、又は、p-トリル基である化合物が特に好ましい。
[0093]
 式(OS-1)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、特開2011-209692号公報の段落番号0064~0068、特開2015-194674号公報の段落番号0158~0167に記載された以下の化合物が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[化13]


 式(OS-103)~式(OS-105)中、R s1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、複数存在する場合のあるR s2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、複数存在する場合のあるR s6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XsはO又はSを表し、nsは1又は2を表し、msは0~6の整数を表す。
 式(OS-103)~式(OS-105)中、R s1で表されるアルキル基(炭素数1~30が好ましい)、アリール基(炭素数6~30が好ましい)又はヘテロアリール基(炭素数4~30が好ましい)は、置換基Tを有していてもよい。
[0094]
 式(OS-103)~式(OS-105)中、R s2は、水素原子、アルキル基(炭素数1~12が好ましい)又はアリール基(炭素数6~30が好ましい)であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。化合物中に2以上存在する場合のあるR s2のうち、1つ又は2つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることが好ましく、1つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることがより好ましく、1つがアルキル基であり、かつ残りが水素原子であることが特に好ましい。R s2で表されるアルキル基又はアリール基は、置換基Tを有していてもよい。
 式(OS-103)、式(OS-104)、又は、式(OS-105)中、XsはO又はSを表し、Oであることが好ましい。上記式(OS-103)~(OS-105)において、Xsを環員として含む環は、5員環又は6員環である。
[0095]
 式(OS-103)~式(OS-105)中、nsは1又は2を表し、XsがOである場合、nsは1であることが好ましく、また、XsがSである場合、nsは2であることが好ましい。
 式(OS-103)~式(OS-105)中、R s6で表されるアルキル基(炭素数1~30が好ましい)及びアルキルオキシ基(炭素数1~30が好ましい)は、置換基を有していてもよい。
 式(OS-103)~式(OS-105)中、msは0~6の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
[0096]
 また、上記式(OS-103)で表される化合物は、下記式(OS-106)、式(OS-110)又は式(OS-111)で表される化合物であることが特に好ましく、上記式(OS-104)で表される化合物は、下記式(OS-107)で表される化合物であることが特に好ましく、上記式(OS-105)で表される化合物は、下記式(OS-108)又は式(OS-109)で表される化合物であることが特に好ましい。
[化14]


 式(OS-106)~式(OS-111)中、R t1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R t7は、水素原子又は臭素原子を表し、R t8は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、R t9は水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、R t2は水素原子又はメチル基を表す。
 式(OS-106)~式(OS-111)中、R t7は、水素原子又は臭素原子を表し、水素原子であることが好ましい。
 式(OS-106)~式(OS-111)中、R t8は、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、炭素数1~8のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基であることが好ましく、炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
 式(OS-106)~式(OS-111)中、R t9は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、水素原子であることが好ましい。
 R t2は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
 また、上記オキシムスルホネート化合物において、オキシムの立体構造(E,Z)については、いずれか一方であっても、混合物であってもよい。
 上記式(OS-103)~式(OS-105)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、特開2011-209692号公報の段落番号0088~0095、特開2015-194674号公報の段落番号0168~0194に記載の化合物が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0097]
 オキシムスルホネート基を少なくとも1つを含むオキシムスルホネート化合物の好適な他の態様としては、下記式(OS-101)、式(OS-102)で表される化合物が挙げられる。
[化15]


 式(OS-101)又は式(OS-102)中、R u9は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、シアノ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。R u9がシアノ基又はアリール基である態様がより好ましく、R u9がシアノ基、フェニル基又はナフチル基である態様が更に好ましい。
 式(OS-101)又は式(OS-102)中、R u2aは、アルキル基又はアリール基を表す。
 式(OS-101)又は式(OS-102)中、Xuは、-O-、-S-、-NH-、-NR u5-、-CH -、-CR u6H-又はCR u6u7-を表し、R u5~R u7はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。
 式(OS-101)又は式(OS-102)中、R u1~R u4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミド基、スルホ基、シアノ基又はアリール基を表す。R u1~R u4のうちの2つがそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。このとき、環が縮環してベンゼン環ともに縮合環を形成していてもよい。R u1~R u4としては、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基が好ましく、また、R u1~R u4のうちの少なくとも2つが互いに結合してアリール基を形成する態様も好ましい。中でも、R u1~R u4がいずれも水素原子である態様が好ましい。上記した置換基は、いずれも、更に置換基を有していてもよい。
 上記式(OS-101)で表される化合物は、式(OS-102)で表される化合物であることがより好ましい。
 また、上記オキシムスルホネート化合物において、オキシムやベンゾチアゾール環の立体構造(E,Z等)についてはそれぞれ、いずれか一方であっても、混合物であってもよい。
 式(OS-101)で表される化合物の具体例としては、特開2011-209692号公報の段落番号0102~0106、特開2015-194674号公報の段落番号0195~0207に記載の化合物が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 上記化合物の中でも、b-9、b-16、b-31、b-33が好ましい。
 市販品としては、WPAG-336(富士フイルム和光純薬(株)製)、WPAG-443(富士フイルム和光純薬(株)製)、MBZ-101(みどり化学(株)製)等を挙げることができる。
[0098]
 活性光線に感応する光酸発生剤として1,2-キノンジアジド化合物を含まないものが好ましい。その理由は、1,2-キノンジアジド化合物は、逐次型光化学反応によりカルボキシ基を生成するが、その量子収率は1以下であり、オキシムスルホネート化合物に比べて感度が低いためである。
 これに対して、オキシムスルホネート化合物は、活性光線に感応して生成する酸が保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られると推測される。
 また、オキシムスルホネート化合物は、広がりのあるπ共役系を有しているため、長波長側にまで吸収を有しており、遠紫外線(DUV)、ArF線、KrF線、i線のみならず、g線においても非常に高い感度を示す。
 感光層における酸分解性基としてテトラヒドロフラニル基を用いることにより、アセタール又はケタールに比べ同等又はそれ以上の酸分解性を得ることができる。これにより、より短時間のポストベークで確実に酸分解性基を消費することができる。更に、光酸発生剤であるオキシムスルホネート化合物を組み合わせて用いることで、スルホン酸発生速度が上がるため、酸の生成が促進され、樹脂の酸分解性基の分解が促進される。また、オキシムスルホネート化合物が分解することで得られる酸は、分子の小さいスルホン酸であることから、硬化膜中での拡散性も高く、より高感度化することができる。
 光酸発生剤は、感光層の全質量に対して、0.1~20質量%使用することが好ましく、0.5~18質量%使用することがより好ましく、0.5~10質量%使用することが更に好ましく、0.5~3質量%使用することが一層好ましく、0.5~1.2質量%使用することがより一層好ましい。
 光酸発生剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0099]
〔塩基性化合物〕
 感光層は、後述する感光層形成用組成物の液保存安定性の観点から、塩基性化合物を含むことが好ましい。
 塩基性化合物としては、公知の化学増幅レジストで用いられるものの中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
 脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン、ジ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
 芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
 複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2-フェニルピリジン、4-フェニルピリジン、N-メチル-4-フェニルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4-メチルイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8-オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア、ピペラジン、モルホリン、4-メチルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、1,8-ジアザビシクロ[5.3.0]-7-ウンデセンなどが挙げられる。
 第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
 カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテート、テトラ-n-ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
 感光層が、塩基性化合物を含む場合、塩基性化合物の含有量は、特定樹脂100質量部に対して、0.001~1質量部であることが好ましく、0.002~0.5質量部であることがより好ましい。
 塩基性化合物は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが好ましく、2種を併用することがより好ましく、複素環式アミンを2種併用することが更に好ましい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0100]
〔界面活性剤〕
 感光層は、後述する感光層形成用組成物の塗布性を向上する観点から、界面活性剤を含むことが好ましい。
 界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
 ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、フッ素系、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
 界面活性剤として、フッ素系界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
 これらのフッ素系界面活性剤、又は、シリコーン系界面活性剤として、例えば、特開昭62-036663号、特開昭61-226746号、特開昭61-226745号、特開昭62-170950号、特開昭63-034540号、特開平7-230165号、特開平8-062834号、特開平9-054432号、特開平9-005988号、特開2001-330953号の各公報に記載の界面活性剤を挙げることができ、市販の界面活性剤を用いることもできる。
 使用できる市販の界面活性剤として、例えば、エフトップEF301、EF303(以上、新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(以上、住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(以上、DIC(株)製)、サーフロンS-382、SC101、102、103、104、105、106(以上、AGCセイミケミカル(株)製)、PF-6320等のPolyFoxシリーズ(OMNOVA社製)などのフッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を挙げることができる。また、ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製)も、シリコーン系界面活性剤として用いることができる。
[0101]
 また、界面活性剤として、下記式(41)で表される繰返し単位A及び繰返し単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
[化16]


 式(41)中、R 41及びR 43はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R 42は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R 44は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、L は炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p4及びq4は重合比を表す質量百分率であり、p4は10質量%以上80質量%以下の数値を表し、q4は20質量%以上90質量%以下の数値を表し、r4は1以上18以下の整数を表し、n4は1以上10以下の整数を表す。
 式(41)中、L は、下記式(42)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(42)におけるR 45は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。
 -CH -CH(R 45)-   (42)
 上記共重合体の重量平均分子量は、1,500以上5,000以下であることがより好ましい。
 感光層が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の添加量は、特定樹脂100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0.01~10質量部であることがより好ましく、0.01~1質量部であることが更に好ましい。
 界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0102]
〔その他の成分〕
 感光層には、更に、必要に応じて、酸化防止剤、可塑剤、熱ラジカル発生剤、熱酸発生剤、酸増殖剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を、それぞれ、1種又は2種以上加えることができる。これらの詳細は、特開2011-209692号公報の段落番号0143~0148の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
[0103]
 また、感光層として、重合性化合物及び光重合開始剤等を含む感光層を用いる態様も挙げられる。
 このような感光層としては、上記光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤(A)と、上記重合性化合物としてラジカル重合性化合物(B)と、を含む、特開2015-087610号公報に記載のレジスト膜が好適に用いられる。上記感光層は、増感色素(C)、バインダーポリマー(D)等の、特開2015-087610号公報に記載の他の化合物を更に含んでもよい。上記文献における上記レジスト膜についての記載は本明細書に組み込まれる。
 以下、このような感光層に含まれる各成分について説明する。
[0104]
〔光ラジカル重合開始剤(A)〕
 光ラジカル開始剤(A)は、後述するラジカル重合性化合物(B)における重合反応(架橋反応)を開始させる能力を有していれば特に限定されず、公知の重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感色素(例えば、後述する増感色素(C))と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。
 また、光ラジカル重合開始剤(A)は、約300nm~800nm(好ましくは330nm~500nm)の範囲内に少なくとも約50のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
[0105]
 光ラジカル重合開始剤(A)としては、公知の化合物を用いることができ、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、トリハロメチル基を有するものなど)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。
 これらの化合物としては、例えば、特開2015-087610号公報の段落0045~0049に記載の化合物等が好適に用いられる。
[0106]
 光ラジカル重合開始剤(A)として、より好ましくはオキシム系化合物が挙げられる。オキシム系開始剤の具体例としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物を用いることができる。
[0107]
 光ラジカル重合開始剤(A)として好適に用いられる、オキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。
[0108]
 オキシムエステル化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)p p.1653-1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202-232の各文献に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報、特表2004-534797号公報、特開2006-342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
 市販品ではIrgacure OXE 01(BASF社製)、Irgacure OXE 02(BASF社製)、N-1919も好適に用いられる。
[0109]
 また上記記載以外のオキシムエステル化合物として、カルバゾール環のN位にオキシムが連結した特表2009-519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号明細書に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010-015025号公報及び米国特許出願公開第2009-292039号明細書に記載の化合物、国際公開第2009-131189号に記載のケトオキシム系化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許第7556910号明細書に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009-221114号公報に記載の化合物、などを用いてもよい。
[0110]
 好ましくは更に、特開2007-231000号公報、及び、特開2007-322744号公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010-032985号公報、特開2010-185072号公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
 また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009-242469号公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
[0111]
 特に好ましくは、特開2007-269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009-191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
 その他の光ラジカル重合開始剤(A)として、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリ-p-トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート等を用いることもできる。
[0112]
 化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
[0113]
 光ラジカル重合開始剤(A)は、イオン性でもノニオン系であってもよいが、露光感度の観点及び保護膜との混合を避けるために、ノニオン系光ラジカル開始剤であることが好ましい。
 ノニオン系光ラジカル開始剤としては、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3-アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
[0114]
 更に好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α-アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物がより好ましく、オキシム化合物を用いるのが更に好ましい。
 また、オキシム化合物、α-アミノケトン化合物、チタノセン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、ケトン化合物及びオニウム塩化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましく、オキシム化合物、α-アミノケトン化合物、チタノセン化合物、フォスフィンオキサイド化合物及びケトン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物がより好ましい。
[0115]
 感光層中の光ラジカル重合開始剤(A)の含有量は、感光層の全質量に対し0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上20質量%以下が更に好ましく、1質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
 光ラジカル重合開始剤(A)は、1種類のみ単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。光ラジカル重合開始剤(A)を2種類以上併用する場合は、その合計量が上記範囲であることが好ましい。
[0116]
〔ラジカル重合性化合物(B)〕
 感光層におけるラジカル重合性化合物(B)は、以下で説明するラジカル重合性化合物の中から任意に選択することができる。
 ラジカル重合性化合物(B)はラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性基とは、活性光線若しくは放射線の照射、又は、ラジカルの作用により、重合することが可能な基であり、エチレン性不飽和基であることが好ましい。
[0117]
 ラジカル重合性基は、例えば、付加重合反応し得る官能基であることが好ましい。付加重合反応し得る官能基としては、エチレン性不飽和結合基が挙げられる。エチレン性不飽和結合基としては、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。すなわち、本発明で用いるラジカル重合性化合物(B)は、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、アクリレート化合物であることが更に好ましい。
[0118]
 ラジカル重合性化合物(B)は、例えば、モノマーやプレポリマー、すなわち、2量体、3量体及びオリゴマー、ポリマー、又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマー及び/又はオリゴマーが好ましく、モノマーがより好ましい。
 モノマーは、典型的には、低分子化合物であり、分子量2,000以下が好ましく、1,500以下がより好ましく、分子量900以下が更に好ましい。なお、分子量の下限は、通常、100以上である。
 オリゴマーは、典型的には、比較的低い分子量の重合体であり、10個から100個のモノマーが結合した重合体であることが好ましい。重量平均分子量は、2,000~20,000が好ましく、2,000~15,000がより好ましく、2,000~10,000が更に好ましい。
 ポリマーは、高い分子量の重合体であり、重量平均分子量が20,000以上であることが好ましい。
[0119]
 ラジカル重合性化合物(B)は、保護膜との混合を避けるために、実質的に水に不溶であることが好ましい。実質的に水に不溶とは、ラジカル重合性化合物(B)のみを酢酸ブチル等の溶剤に溶解し、固形分濃度3.5質量%とした組成物をシリコンウエハ上に塗布して得られる塗膜(膜厚100nm)を形成した際、QCM(水晶発振子マイクロバランス)センサー等を用いて測定した室温(25℃)におけるイオン交換水に対して、上記塗膜を1000秒間浸漬させた際の平均の溶解速度(膜厚の減少速度)が、1nm/s以下、好ましくは0.1nm/s以下であることを示す。
 本発明で用いるラジカル重合性化合物(B)は、25℃における水に対する溶解度が1g/水100g未満であることが好ましく、溶解度が0.1g/水100g未満であることがより好ましい。このような構成とすることにより、保護膜に水溶性樹脂を用いた場合も、保護膜にラジカル重合性化合物(B)が浸透しにくくなり、本発明の効果がより効果的に発揮される。
[0120]
 感光性樹脂組成物中のラジカル重合性化合物(B)の重合性基当量(mmol/g)は、0.1~7.0が好ましく、1.0~6.0がより好ましく、2.0~5.0が更に好ましい。ラジカル重合性化合物(B)の重合性基当量が上記範囲内であれば、硬化時の硬化収縮による感光層の亀裂の発生が抑制され、かつ、硬化性も十分となりやすいなお、重合性基当量(mmol/g)は、感光性樹脂組成物の全固形分質量当たりに含まれる重合性基の(mmol)数を表す。
[0121]
 ラジカル重合性化合物(B)がモノマー又はオリゴマーである場合の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。
 また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
 また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
 また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
[0122]
 多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
[0123]
 メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス-〔p-(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
 その他、ラジカル重合性化合物(B)としては、特開2015-087610号公報に記載のエステル化合物、又は、アミド系モノマーも好適に用いられる。
 また、ラジカル重合性化合物(B)としては、特開2015-087610号公報に記載のウレタン系付加重合性モノマーも好適に用いられる。
[0124]
 また、ラジカル重合性化合物(B)としては、特開2015-087610号公報に記載の少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。
 その他、ラジカル重合性化合物(B)としては、特開2015-087610号公報に記載のラジカル重合性ポリマー等も好適に用いられる。
[0125]
〔増感色素(C)〕
 感光層は、光ラジカル重合開始剤(A)の分解を促進させるために、増感色素(C)を含むことができる。
 増感色素(C)は、活性光線又は放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素(C)は、光ラジカル重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより光ラジカル重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカルを生成する。
 好ましい増感色素(C)の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域のいずれかに吸収極大波長を有する化合物を挙げることができる。
[0126]
 多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン,3,7-ジメトキシアントラセン、9,10-ジプロピルオキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、キサントン類(例えば、キサントン、チオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、ローダシアニン類、オキソノール類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アクリドン類(例えば、アクリドン、10-ブチル-2-クロロアクリドン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリリウム類(例えば、スクアリリウム)、スチリル類、ベーススチリル類(例えば、2-[2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]ベンゾオキサゾール)、クマリン類(例えば、7-ジエチルアミノ4-メチルクマリン、7-ヒドロキシ4-メチルクマリン、2,3,6,7-テトラヒドロ-9-メチル-1H,5H,11H-[1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン)。
[0127]
 これら増感色素(C)の中でも、多核芳香族類、アクリドン類、スチリル類、ベーススチリル類、クマリン類が好ましく、多核芳香族類がより好ましい。多核芳香族類の中でもアントラセン誘導体が最も好ましい。
 増感色素(C)の市販品としては、例えばアントラキュアー UVS-1331(川崎化成工業(株)製)を用いることができる。
[0128]
 増感色素(C)の配合量は、増感色素(C)と光ラジカル重合開始剤(A)の質量比率(増感色素(C)/光ラジカル重合開始剤(A))が0.1/1.0~10/1.0が好ましく、0.2/1.0~5.0/1.0がより好ましい。増感色素(C)は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲となる。
[0129]
〔バインダーポリマー(D)〕
 本発明に用いられる感光層は、感度と現像性とドライエッチングへの耐性をバランスよく向上させる等の目的で、バインダーポリマー(D)を添加してもよい。
 このようなバインダーポリマー(D)としては、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂(好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂)、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、ノボラック樹脂などが用いられる。
[0130]
 本発明において、「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アリルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体を重合成分として有する共重合体のことをいう。例えば、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジルとメタクリル酸メチルとの共重合体等が挙げられる。
 「ポリウレタン樹脂」とは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物とヒドロキシ基を2つ以上有する化合物の縮合反応により生成されるポリマーのことをいう。
[0131]
 「ポリビニルブチラール樹脂」とは、ポリ酢酸ビニルを一部又は全て鹸化して得られるポリビニルアルコールとブチルアルデヒドを酸性条件下で反応(アセタール化反応)させて合成されるポリマーのことをいい、更に、残存したヒドロキシ基と酸基等有する化合物を反応させる方法等により酸基等を導入したポリマーも含まれる。
[0132]
 「ノボラック樹脂」とは、フェノール類(フェノールやクレゾールなど)とアルデヒド類(ホルムアルデヒドなど)の縮合反応によって生成されるポリマーのことをいう。更に、残存したヒドロキシ基に対して別の化合物を反応させる方法等により置換基を導入したポリマーも含まれる。
 ノボラック樹脂の好適な一例としては、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m-クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p-クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m-/p-混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m-,p-,又はm-/p-混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂が挙げられる。重量平均分子量が500~20,000、数平均分子量が200~10,000のノボラック樹脂が好ましい。また、ノボラック樹脂中のヒドロキシ基に対して別の化合物とを反応させて置換基を導入した化合物も好ましく使用できる。
[0133]
 バインダーポリマー(D)は、重量平均分子量5,000以上が好ましく、10,000~300,000がより好ましい。また、数平均分子量は、1,000以上が好ましく、2,000~250,000がより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1~10が好ましい。
[0134]
 バインダーポリマー(D)の含有量は、良好な感度の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、5~95質量%が好ましく、10~90質量%がより好ましく、20~80質量%が更に好ましい。
 バインダーポリマーは、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
 バインダーポリマー(D)の形態としては、ランダム型、ブロック型、グラフト型、スター型のいずれの形態でもよい。バインダーポリマー(D)は、例えば、各構造に対応する不飽和モノマーのラジカル、カチオン、又はアニオン重合により合成することができる。また各構造の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いて重合した後に、高分子反応を行うことにより目的とする樹脂を得ることも可能である。
[0135]
〔その他の成分〕
 重合性化合物及び光重合開始剤等を含む感光層は、その他の成分を更に含んでもよい。
 その他の成分としては、界面活性剤、重合禁止剤等が挙げられ、特開2015-087610号公報に記載のその他の成分が好適に用いられる。
[0136]
〔厚さ〕
 本発明における感光層の厚さ(膜厚)は、解像力向上の観点から、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.75μm以上が更に好ましく、0.8μm以上が特に好ましい。感光層の厚さの上限値としては、10μm以下が好ましく、5.0μm以下がより好ましく、2.0μm以下が更に好ましい。
 感光層と保護層との厚さの合計は、0.2μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、2.0μm以上であることが更に好ましい。上限値としては、20.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましく、5.0μm以下であることが更に好ましい。
[0137]
〔現像液〕
 本発明における感光層は、現像液を用いた現像に供せられる。
 現像液としては、有機溶剤を含む現像液が好ましい。
 現像液の全質量に対する有機溶剤の含有量は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましい。また、現像液は有機溶剤のみからなる現像液であってもよい。
 現像液を用いた感光層の現像方法については後述する。
[0138]
-有機溶剤-
 現像液に含まれる有機溶剤のsp値は、19MPa 1/2未満であることが好ましく、18MPa 1/2以下であることがより好ましい。
 現像液に含まれる有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤等の極性溶剤、及び炭化水素系溶剤が挙げられる。
 ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
 エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。
 アミド系溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等を使用することができる。
 炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
 上記有機溶剤は、1種のみでも、2種以上用いてもよい。また、上記以外の有機溶剤と混合して使用してもよい。但し、現像液の全質量に対する水の含有量が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水を含有しないことがより好ましい。ここでの実質的とは、例えば、現像液の全質量に対する水の含有量が3質量%以下であり、より好ましくは測定限界以下であることをいう。
 すなわち、有機現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
 特に、有機現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤及びアミド系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含むことが好ましい。
 また、有機現像液は、必要に応じて塩基性化合物を適当量含有していてもよい。塩基性化合物の例としては、上記の塩基性化合物の項で述べたものを挙げることができる。
 有機現像液の蒸気圧は、23℃において、5kPa以下であることが好ましく、3kPa以下がより好ましく、2kPa以下が更に好ましい。有機現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基材上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が改善する。
 5kPa以下の蒸気圧を有する溶剤の具体的な例としては、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
 特に好ましい範囲である2kPa以下の蒸気圧を有する溶剤の具体的な例としては、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
[0139]
-界面活性剤-
 現像液は、界面活性剤を含有してもよい。
 界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、上記の保護層の項で述べた界面活性剤が好ましく用いられる。
 現像液に界面活性剤を配合する場合、その配合量は現像液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、好ましくは0.005~2質量%であり、より好ましくは0.01~0.5質量%である。
[0140]
〔感光層形成用組成物〕
 本発明の感光層形成用組成物は、本発明の積層体に含まれる感光層の形成に用いられる組成物である。
 本発明の積層体において、感光層は、例えば、感光層形成用組成物を保護層の上に適用し、乾燥させることによって形成することができる。適用方法としては、例えば、後述する保護層における保護層形成用組成物の適用方法についての記載を参酌できる。
[0141]
 感光層形成用組成物は、上述の感光層に含まれる成分(例えば、特定樹脂、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤、及び、その他の成分、又は、光ラジカル重合開始剤(A)、ラジカル重合性化合物(B)、増感色素(C)、バインダーポリマー(D)、及び、その他の成分等)と、溶剤と、を含むことが好ましい。これらの感光層に含まれる成分は、溶剤に溶解又は分散していることが好ましく、溶解していることがより好ましい。
 感光層形成用組成物に含まれる成分の含有量は、上述した各成分の感光層の全質量に対する含有量を、感光層形成用組成物の固形分量に対する含有量に読み替えたものとすることが好ましい。
[0142]
-有機溶剤-
 感光層形成用組成物に使用される有機溶剤としては、公知の有機溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。
 有機溶剤としては、例えば、
 (1)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
 (2)エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類;
 (3)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
 (4)プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
 (5)プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
 (6)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
 (7)ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
 (8)ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
 (9)ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
 (10)ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル等のジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
 (11)ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
 (12)乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n-ブチル、乳酸イソブチル、乳酸n-アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類;
 (13)酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n-アミル、酢酸イソアミル、酢酸n-ヘキシル、酢酸2-エチルヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、酪酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;
 (14)ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸エチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
 (15)メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;
 (16)N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;
 (17)γ-ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。
 また、これらの有機溶剤に更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の有機溶剤を添加することもできる。
 上記した有機溶剤のうち、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、又は、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類が好ましく、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。
 感光層形成用組成物が、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有量は、特定樹脂100質量部当たり、1~3,000質量部であることが好ましく、5~2,000質量部であることがより好ましく、10~1,500質量部であることが更に好ましい。
 これら有機溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
 2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0143]
(積層体形成用キット)
 本発明の積層体形成用キットは、下記A及びBを含む。
 A:けん化度が50モル%以上85モル%以下のポリビニルアルコールを含む、本発明の積層体に含まれる上記保護層の形成に用いられる組成物;
 B:本発明の積層体に含まれる上記感光層の形成に用いられる組成物。
 ここで、Aは上述の保護層形成用組成物と、Bは上述の感光層形成用組成物とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
 また、本発明の積層体形成用キットは、上述の、有機半導体層形成用組成物又は樹脂層形成用組成物を更に含んでもよい。
[0144]
(有機層のパターニング方法)
 本発明において好適に採用できるパターニング方法として下記の形態を挙げることができる。
 本実施形態の有機層のパターニング方法は、
(1)有機層の上に、保護層を製膜する工程、
(2)保護層の有機層と反対側の上に、感光層を製膜する工程、
(3)感光層を露光する工程、
(4)有機溶剤を含む現像液を用いて感光層を現像しマスクパターンを作製する工程、
(5)非マスク部の保護層及び有機層を除去する工程、
(6)保護層を剥離液を用いて除去する工程、
を含む。
[0145]
<(1)有機層の上に、保護層を製膜する工程>
 本実施形態の有機層のパターニング方法は、有機層の上に保護層を製膜する工程を含む。通常は、基材の上に有機層を製膜した後に、本工程を行う。この場合、保護層は、有機層の基材側の面と反対側の面に製膜する。保護層は、有機層と直接接するように製膜されることが好ましいが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の層が間に設けられてもよい。他の層としては、フッ素系の下塗り層等が挙げられる。また、保護層は1層のみ設けられてもよいし、2層以上設けられてもよい。保護層は、上述のとおり、好ましくは、保護層形成用組成物を用いて形成される。
 形成方法の詳細は、上述の本発明の積層体における保護層形成用組成物の適用方法を参照できる。
[0146]
<(2)保護層の有機層と反対側の上に、感光層を製膜する工程>
 上記(1)の工程後、保護層の有機層側の面と反対側の上(好ましくは表面上)に、感光層を製膜する。
 感光層は、上述のとおり、好ましくは、感光層形成用組成物を用いて形成される。
 形成方法の詳細は、上述の本発明の積層体における感光層形成用組成物の適用方法を参照できる。
[0147]
<(3)感光層を露光する工程>
 (2)の工程で感光層を製膜後、上記感光層を露光する。具体的には、例えば、感光層の少なくとも一部に活性光線を照射(露光)する。
 上記露光は所定のパターンとなるように行うことが好ましい。また、露光はフォトマスクを介して行ってもよいし、所定のパターンを直接描画してもよい。
 露光時の活性光線の波長としては、好ましくは180nm以上450nm以下の波長、より好ましくは365nm(i線)、248nm(KrF線)又は193nm(ArF線)の波長を有する活性光線を使用することができる。
[0148]
 活性光線の光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、レーザ発生装置、発光ダイオード(LED)光源などを用いることができる。
 光源として水銀灯を用いる場合には、g線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長を有する活性光線を好ましく使用することができる。本発明においては、i線を用いることがその効果が好適に発揮されるため好ましい。
 光源としてレーザ発生装置を用いる場合には、固体(YAG)レーザでは343nm、355nmの波長を有する活性光線が好適に用いられ、エキシマレーザでは、193nm(ArF線)、248nm(KrF線)、351nm(Xe線)の波長を有する活性光線が好適に用いられ、更に半導体レーザでは375nm、405nmの波長を有する活性光線が好適に用いられる。この中でも、安定性、コスト等の点から355nm、又は、405nmの波長を有する活性光線がより好ましい。レーザは、1回あるいは複数回に分けて、感光層に照射することができる。
[0149]
 露光量は、40~120mJが好ましく、60~100mJがより好ましい。
 レーザの1パルス当たりのエネルギー密度は、0.1mJ/cm 以上10,000mJ/cm 以下であることが好ましい。塗膜を十分に硬化させるには、0.3mJ/cm 以上がより好ましく、0.5mJ/cm 以上が更に好ましい。アブレーション現象による感光層等の分解を抑制する観点からは、露光量を1,000mJ/cm 以下とすることが好ましく、100mJ/cm 以下がより好ましい。
 また、パルス幅は、0.1ナノ秒(以下、「ns」と称する)以上30,000ns以下であることが好ましい。アブレーション現象により色塗膜を分解させないようにするには、0.5ns以上がより好ましく、1ns以上が一層好ましい。スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、1,000ns以下がより好ましく、50ns以下が更に好ましい。
[0150]
 光源としてレーザ発生装置を用いる場合、レーザの周波数は、1Hz以上50,000Hz以下が好ましく、10Hz以上1,000Hz以下がより好ましい。
 更に、露光処理時間を短くするには、レーザの周波数は、10Hz以上がより好ましく、100Hz以上が更に好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、10,000Hz以下がより好ましく、1,000Hz以下が更に好ましい。
 レーザは、水銀灯と比べると焦点を絞ることが容易であり、また、露光工程でのパターン形成においてフォトマスクの使用を省略することができるという点でも好ましい。
[0151]
 露光装置としては、特に制限はないが、市販されているものとしては、Callisto((株)ブイ・テクノロジー製)、AEGIS((株)ブイ・テクノロジー製)、DF2200G(大日本スクリーン製造(株)製)などを使用することが可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
 また、必要に応じて、長波長カットフィルタ、短波長カットフィルタ、バンドパスフィルタのような分光フィルタを通して、照射光量を調整することもできる。
 また、上記露光の後、必要に応じて露光後加熱工程(PEB)を行ってもよい。
[0152]
<(4)有機溶剤を含む現像液を用いて感光層を現像しマスクパターンを作製する工程>
 (3)の工程で感光層をフォトマスクを介して露光後、現像液を用いて感光層を現像する。
 現像はネガ型が好ましい。
 現像液の詳細は、上述の感光層の説明において記載した通りである。
 現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基材を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基材表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基材表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基材上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
 上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液を感光層に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は、好ましくは2mL/秒/mm 以下、より好ましくは1.5mL/秒/mm 以下、更に好ましくは1mL/秒/mm 以下である。吐出圧の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/秒/mm 以上が好ましい。吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
 このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液が感光層に与える圧力が小さくなり、感光層上のレジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
 なお、現像液の吐出圧(mL/秒/mm )は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
 現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法などを挙げることができる。
 また、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、他の有機溶剤に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
[0153]
<(5)非マスク部の保護層及び有機層を除去する工程>
 感光層を現像してマスクパターンを作製した後、エッチング処理にて少なくとも非マスク部の上記保護層及び上記有機層を除去する。非マスク部とは、感光層を現像して形成されたマスクパターンによりマスクされていない領域(感光層が現像により取り除かれた領域)をいう。
 上記エッチング処理は複数の段階に分けて行われてもよい。例えば、上記保護層及び上記有機層は、一度のエッチング処理により除去されてもよいし、保護層の少なくとも一部がエッチング処理により除去された後に、有機層(及び、必要に応じて保護層の残部)がエッチング処理により除去されてもよい。
 また、上記エッチング処理はドライエッチング処理であってもウェットエッチング処理であってもよく、エッチングを複数回に分けてドライエッチング処理とウェットエッチング処理とを行う態様であってもよい。例えば、保護層の除去はドライエッチングによるものであってもウェットエッチングによるものであってもよい。
 上記保護層及び上記有機層を除去する方法としては、例えば、上記保護層及び上記有機層を一度のドライエッチング処理により除去する方法A、上記保護層の少なくとも一部をウェットエッチング処理により除去し、その後に上記有機層(及び、必要に応じて上記保護層の残部)をドライエッチングにより除去する方法B等の方法が挙げられる。
 上記方法Aにおけるドライエッチング処理、上記方法Bにおけるウェットエッチング処理及びドライエッチング処理等は、公知のエッチング処理方法に従い行うことが可能である。
 以下、上記方法Aの一態様の詳細について説明する。上記方法Bの具体例としては、特開2014-098889号公報の記載等を参酌することができる
[0154]
 上記方法Aにおいて、具体的には、レジストパターンをエッチングマスク(マスクパターン)として、ドライエッチングを行うことにより、非マスク部の保護層及び有機層を除去することができる。ドライエッチングの代表的な例としては、特開昭59-126506号公報、特開昭59-046628号公報、特開昭58-009108号公報、特開昭58-002809号公報、特開昭57-148706号公報、特開昭61-041102号公報に記載の方法がある。
[0155]
 ドライエッチングとしては、形成される有機層のパターンの断面をより矩形に近く形成する観点や有機層へのダメージをより低減する観点から、以下の形態で行なうのが好ましい。
 フッ素系ガスと酸素ガス(O )との混合ガスを用い、有機層が露出しない領域(深さ)までエッチングを行なう第1段階のエッチングと、この第1段階のエッチングの後に、窒素ガス(N )と酸素ガス(O )との混合ガスを用い、好ましくは有機層が露出する領域(深さ)付近までエッチングを行う第2段階のエッチングと、有機層が露出した後に行うオーバーエッチングとを含む形態が好ましい。以下、ドライエッチングの具体的手法、並びに第1段階のエッチング、第2段階のエッチング、及びオーバーエッチングについて説明する。
[0156]
 ドライエッチングにおけるエッチング条件は、下記手法により、エッチング時間を算出しながら行うことが好ましい。
 (A)第1段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/分)と、第2段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/分)とをそれぞれ算出する。
 (B)第1段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間と、第2段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間とをそれぞれ算出する。
 (C)上記(B)で算出したエッチング時間に従って第1段階のエッチングを実施する。
 (D)上記(B)で算出したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施する。あるいはエンドポイント検出でエッチング時間を決定し、決定したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施してもよい。
 (E)上記(C)、(D)の合計時間に対してオーバーエッチング時間を算出し、オーバーエッチングを実施する。
[0157]
 上記第1段階のエッチングにおいて用いる混合ガスとしては、被エッチング膜である有機材料を矩形に加工する観点から、フッ素系ガス及び酸素ガス(O )を含むことが好ましい。また、第1段階のエッチングにおいては、積層体が有機層が露出しない領域までエッチングされる。そのため、この段階では有機層はダメージを受けていないか、ダメージは非常に軽微であると考えられる。
[0158]
 また、上記第2段階のエッチング及び上記オーバーエッチングにおいては、有機層のダメージ回避の観点から、窒素ガス及び酸素ガスの混合ガスを用いてエッチング処理を行うことが好ましい。
[0159]
 第1段階のエッチングにおけるエッチング量と、第2段階のエッチングにおけるエッチング量との比率は、第1段階のエッチングにおける有機層のパターンの断面における矩形性に優れるように決定することが重要である。
 なお、全エッチング量(第1段階のエッチングにおけるエッチング量と第2段階のエッチングにおけるエッチング量との総和)中における、第2段階のエッチングにおけるエッチング量の比率は、0%より大きく50%以下であることが好ましく、10~20%がより好ましい。エッチング量とは、被エッチング膜の残存する膜厚とエッチング前の膜厚との差から算出される量のことをいう。
[0160]
 また、エッチングは、オーバーエッチング処理を含むことが好ましい。オーバーエッチング処理は、オーバーエッチング比率を設定して行なうことが好ましい。
 オーバーエッチング比率は任意に設定できるが、フォトレジストのエッチング耐性と被エッチングパターン(有機層)の矩形性維持の点で、エッチング工程におけるエッチング処理時間全体の30%以下であることが好ましく、5~25%であることがより好ましく、10~15%であることが特に好ましい。
[0161]
<(6)保護層を剥離液を用いて除去する工程、>
 エッチング後、剥離液(例えば、水)を用いて保護層を除去する。
 剥離液の詳細は、上述の保護層の説明において記載した通りである。
 保護層を剥離液で除去する方法としては、例えば、スプレー式又はシャワー式の噴射ノズルからレジストパターンに剥離液を噴射して、保護層を除去する方法を挙げることができる。剥離液としては、純水を好ましく用いることができる。また、噴射ノズルとしては、その噴射範囲内に基材全体が包含される噴射ノズルや、可動式の噴射ノズルであってその可動範囲が基材全体を包含する噴射ノズルを挙げることができる。また別の態様として、機械的に保護層を剥離した後に、有機層上に残存する保護層の残渣を溶解除去する態様が挙げられる。
 噴射ノズルが可動式の場合、保護層を除去する工程中に基材中心部から基材端部までを2回以上移動して剥離液を噴射することで、より効果的にレジストパターンを除去することができる。
 保護層を除去した後、乾燥等の工程を行うことも好ましい。乾燥温度としては、80~120℃とすることが好ましい。
[0162]
(用途)
 本発明の積層体は、有機半導体を利用した電子デバイスの製造に用いることができる。ここで、電子デバイスとは、半導体を含有し、かつ2つ以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、化学物質などにより制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場などを発生させるデバイスである。
 例としては、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子などが挙げられる。
 有機光電変換素子は光センサ用途、エネルギー変換用途(太陽電池)のいずれにも用いることができる。
 これらの中で、用途として好ましくは有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子、有機電界発光素子であり、より好ましくは有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子であり、特に好ましくは有機電界効果トランジスタである。
実施例
[0163]
 以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。なお、特に断りのない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
[0164]
 ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC測定によるポリエーテルオキサイド換算値として算出した。装置としてHLC-8220(東ソー(株)製)を使用し、カラムとしてSuperMultiporePW-N(東ソー(株)製)を使用した。
 (メタ)アクリル樹脂等の非水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC測定によるポリスチレン換算値として算出した。装置としてHLC-8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cm)を用いた。
[0165]
(PVA(ポリビニルアルコール)の合成)
 下記に記載の合成方法により、PVAを合成した。得られたPVAのけん化度及び重量平均分子量(Mw)については、後述の表1~表4に記載した。
[0166]
<合成例1:PVA-1の合成>
 撹拌機、及び、還流冷却管を備えた反応器に酢酸ビニル:800質量部、メタノール:200質量部及び重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.1質量部を仕込み、系の温度を60℃に保って6時間反応させた。得られた重合溶液を塔内に多孔板を多段数有する脱モノマー塔に供給して塔下部よりメタノール蒸気を吹き込んで重合溶液と接触させ、未反応の酢酸ビニルモノマーを除去した。このポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液4.4質量部と水5.6質量部を添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-1を得た。
[0167]
<合成例2:PVA-2の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液3.0質量部と水7.0質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-2を得た。
[0168]
<合成例3:PVA-3の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液2.5質量部と水7.5質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-3を得た。
[0169]
<合成例4:PVA-4の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液2.2質量部と水7.8質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-4を得た。
[0170]
<合成例5:PVA-5の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液1.8質量部と水8.2質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-5を得た。
[0171]
<合成例6:PVA-6の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液1.5質量部と水8.5質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-6を得た。
[0172]
<合成例7:PVA-7の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液1.2質量部と水8.8質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-7を得た。
[0173]
<合成例8:PVA-8の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液1.1質量部と水8.9質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-8を得た。
[0174]
<合成例9:PVA-9の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液1.0質量部と水9.0質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-9を得た。
[0175]
<合成例10:PVA-10の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液0.7質量部と水9.3質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-10を得た。
[0176]
<合成例11:PVA-11の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液0.6質量部と水9.4質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-11を得た。
[0177]
<合成例12:PVA-12の合成>
 撹拌機、還流冷却管、連続添加装置及び連続排出装置を備えた反応器に酢酸ビニル:700質量部、メタノール:300質量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.5質量部を連続的に導入するとともに、系の温度を60℃に保って同量のポリ酢酸ビニル-メタノール溶液を連続的に排出しながら連続反応させた。平均滞留時間が5時間のときの反応器出口での重合収率は85質量%であった。得られた重合溶液を上記PVA-6の合成と同様の方法で脱モノマー、けん化、中和、固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-12を得た。
[0178]
<合成例13:PVA-13の合成>
 撹拌機、還流冷却管を備えた反応器に酢酸ビニル:800質量部、メタノール:200質量部及び重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.07質量部を仕込み、系の温度を60℃に保って6時間反応させた。得られた重合溶液を塔内に多孔板を多段数有する脱モノマー塔に供給して塔下部よりメタノール蒸気を吹き込んで重合溶液と接触させ、未反応の酢酸ビニルモノマーを除去した。得られた重合溶液を上記PVA-6の合成と同様の方法で脱モノマー、けん化、中和、固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-13を得た。
[0179]
<合成例14:PVA-14の合成>
 撹拌機、還流冷却管を備えた反応器に酢酸ビニル:800質量部、メタノール:200質量部及び重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.04質量部を仕込み、系の温度を60℃に保って6時間反応させた。得られた重合溶液を塔内に多孔板を多段数有する脱モノマー塔に供給して塔下部よりメタノール蒸気を吹き込んで重合溶液と接触させ、未反応の酢酸ビニルモノマーを除去した。得られた重合溶液を上記PVA-6の合成と同様の方法で脱モノマー、けん化、中和、固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-14を得た。
[0180]
<合成例15:PVA-15の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液:500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液5.0質量部と水5.0質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-15を得た。
[0181]
<合成例16:PVA-16の合成>
 上記PVA-1の合成と同様の方法で重合、脱モノマーして得られたポリ酢酸ビニル-メタノール溶液:500質量部に対して5質量%水酸化ナトリウム-メタノール溶液0.4質量部と水9.6質量部とを添加した後、よく撹拌して40℃に保ってけん化反応を行った。得られたゲルを粉砕したスラリーにクエン酸水溶液を添加して系をpH9に中和した。中和したスラリーを固液分離し、固体成分を乾燥してPVA-16を得た。
[0182]
(特定樹脂の合成)
 下記に記載の合成方法により、特定樹脂を合成した。
[0183]
<特定樹脂A-1(Mw=45,000)の合成>
 窒素導入管及び冷却管を取り付けた三口フラスコにPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、32.62g)を入れ、86℃に昇温した。ここに、BzMA(ベンジルメタクリレート、16.65g)、THFMA(テトラヒドロフラン-2-イル メタクリレート、21.08g)、t-BuMA(t-ブチルメタクリレート、5.76g)、及びV-601(0.4663g、富士フイルム和光純薬(株)製)をPGMEA(32.62g)に溶解したものを2時間かけて滴下した。その後、反応液を2時間撹拌し、反応を終了させた。反応液をヘプタン中に再沈することで生じた白色粉体をろ過により回収することで、特定樹脂A-1を得た。重量平均分子量(Mw)は45,000であった。
[0184]
<特定樹脂A-2(Mw=45,000)の合成>
 窒素導入管及び冷却管を取り付けた三口フラスコにPGMEA(32.62g)を入れ、86℃に昇温した。ここに、BzMA(16.65g)、THFAA(テトラヒドロフラン-2-イル アクリレート、19.19g)、t-BuMA(5.76g)、及びV-601(0.4663g、モノマーに対して0.75mol%)をPGMEA(32.62g)に溶解したものを2時間かけて滴下した。その後、反応液を2時間撹拌し、反応を終了させた。反応液をヘプタン中に再沈することで生じた白色粉体をろ過により回収することで、特定樹脂A-2を得た。重量平均分子量(Mw)は45,000であった。
 Mwが1,000以下の成分の量は、3質量%であった。
[0185]
(その他の成分)
 表1~表4に記載の保護層形成用組成物、又は、感光層形成用組成物の成分のうち、上述した以外の成分の詳細は下記の通りである。
[0186]
<保護層形成用組成物>
・添加剤 C-1:ポリビニルピロリドン K15(東京化成工業(株)製)
・添加剤 C-2:HECダイセルSP200(ヒドロキシエチルセルロース、ダイセルファインケム(株)製)
・界面活性剤 EOO:アセチレノールE00、川研ファインケミカル(株)製、下記式(EOO)により表される化合物
・溶剤 水:純水
[化17]


[0187]
<感光層形成用組成物>
・樹脂(上述のバインダーポリマー(D)) A-3:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 (比率(モル比) 70/30 重量平均分子量15,000)
・感光剤(光酸発生剤) P-1:下記式(OS-107)において、R 11=トリル基、R 18=メチル基である化合物を採用した。
・感光剤(光酸発生剤) P-2:トリフェニルスルホニウムノナフルオロプロピルスルホネート
・感光剤(光ラジカル重合開始剤(A)) P-3:IRGACURE OXE 01(BASF社製)
・クエンチャー(塩基性化合物) Y:下記式(Y1)で示されるチオ尿素誘導体。
・クエンチャー(重合禁止剤) Z:p-メトキシフェノール
・界面活性剤 PF-6320:OMNOVA社製、PF-6320
・架橋剤(ラジカル重合性化合物(B)) B:A-TMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学工業(株)製)
・溶剤 PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[化18]


[0188]
(実施例及び比較例)
 各実施例及び比較例において、保護層形成用組成物の調製、感光層形成用組成物の調製、有機半導体層の形成、保護層の形成、及び、感光層の形成を行い、積層体を製造した。
[0189]
<保護層形成用組成物の調製>
 表1~表4に示す成分を、表1~表4に示す割合(質量部)で混合し、均一な溶液とした後、Entegris社製Savana PPカートリッジフィルター(0.1μm相当)を用いてろ過し、水溶性樹脂組成物を調製した。
 表1~表4中、けん化度の単位は「モル%」である。
 表1~表4中、「-」の記載は該当する成分を含有していないことを示している。
[0190]
<感光層形成用組成物の調製>
 表1~表4に示す成分を、表1~表4に示す割合(質量部)で混合し、均一な溶液とした後、Entegris社製Savana PPカートリッジフィルター(0.1μm相当)を用いてろ過して感光層形成用組成物を調製した。
[0191]
<有機層の作製>
 5cm角のガラス基板上に、以下の組成からなる有機半導体層形成用組成物又は樹脂層形成用組成物をスピンコートし、表1~表4の「有機層」の「ベーク条件」の欄に記載の温度で10分間乾燥させることで有機層を形成した。膜厚は150nmであった。
 実施例25においては、上記ガラス基板ではなくシリコンウェハ((株)SUMCO製6インチシリコンウェハ、1インチは2.54cm)を基板として使用した。
 表1~表4中、有機層の種類の欄に「P3HT/PCBM」と記載された例においては、下記組成の有機半導体層形成用組成物を用いた。また、「サイクロマーP(ACA)Z200M」と記載された例においては、下記組成の樹脂層形成用組成物を用いた。
〔有機半導体層形成用組成物の組成〕
・P3HT(ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製):10質量%
・PCBM([6,6]-フェニル-C 61-酪酸メチルエステル、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製):10質量%
・クロロホルム(富士フイルム和光純薬(株)製):80質量%
〔樹脂層形成用組成物の組成〕
・サイクロマーP(ACA)Z200M(ダイセル・オルネクス(株)製):50質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテル:50質量%
[0192]
<保護層の形成>
 上記有機層の表面に、保護層形成用組成物をスピンコートし、表1~表4の「保護層」の「ベーク条件」の欄に記載の温度で1分間乾燥して、表1~表4に示す厚さ(膜厚(μm))の保護層を形成した。
[0193]
<中間層の形成>
 実施例23においては、保護層の形成後、パリレン(ポリパラキシリレン)を表3に記載の厚さにてCVD(chemical vapor deposition)により蒸着した。その他の例においては中間層の形成を行わなかった。
[0194]
<感光層の形成>
 形成された保護層の表面(実施例23においては、中間層の表面)に、感光層形成用組成物をスピンコートし、表1~表4の「感光層」の「ベーク条件」の欄に記載の温度で1分間乾燥して、表1~表4に示す厚さ(膜厚(μm))の感光層を形成した。
[0195]
<残渣強度の評価>
 各実施例又は比較例において、製造された積層体における感光層に対し、i線の平行露光機を用い、所定のマスクを介して、i線を、露光量80mJとなるように露光した。
 その後、表1~表4に記載の温度、60秒の条件でポストベーク(PEB)し、表1~表4に記載の現像液で80秒の現像を行うことにより、1cm角の正方形のホール開口部を得た。上記ホール開口部においては、保護層がむき出しになっていた。
 上記ホール開口部を有する積層体の感光層側の表面に、表1~表4のいずれかに記載の剥離液:200mLを付与し、60秒間保持した。上記剥離液は、上記ホール開口部においてむき出しとなった保護層にも接するようにした。15秒経過後、スピン乾燥を実施した。また、比較例3においては、上記剥離液を用いた剥離を行わなかった。
 上記スピン乾燥後の上記ホール開口部における、保護層が上記剥離液により除去された有機層の表面を、TOF-SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry、ION-TOF社製TOF.SIMS5)にて評価し、C のシグナル強度を、保護層形成後、感光層形成前のシグナル強度比と比較して評価値を算出した。上記C のシグナルは、PVA由来のシグナルであると推定される。
 評価値は下記式により算出し、表1~表4の「残渣」の欄に記載した。評価値が小さいほど、残渣の発生が抑制されているといえる。
 評価値(%)=(上記スピン乾燥後のC のシグナル強度)/(保護層形成後、感光層形成前における保護層表面のC のシグナル強度)×100
[0196]
 表1~表4に記載の現像液の詳細は下記の通りである。
・nBA:酢酸n-ブチル
・0.38%TMAHaq:テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.38質量%水溶液
[0197]
<発光の評価>
 実施例1~実施例25及び比較例1~比較例3においては、有機電界発光素子のモデルを作製し、発光の有無を評価した。
 洗浄したITO(酸化インジウムすず)基板(30mm×30mm)を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを10nm蒸着し、この上に、NPD((N,N’-ジ-α-ナフチル-N,N’-ジフェニル)-ベンジジン)を40nm蒸着し、NPD層を形成した。NPD層上の全面に、上記有機半導体層形成用組成物を塗布し、表1~表4の「有機層」の「ベーク条件」の欄に記載の温度で10分間乾燥させることで有機層を形成した。膜厚は150nmであった。
 上記有機層の表面に、保護層形成用組成物をスピンコートし、表1~表4の「保護層」の「ベーク条件」の欄に記載の温度で1分間乾燥して、表1~表4に示す厚さ(膜厚(μm))の保護層を形成した。
 実施例23においては、保護層の形成後、パリレン(ポリパラキシリレン)を表3に記載の厚さにてCVDにより蒸着した。その他の例においては中間層の形成を行わなかった。
 形成された保護層の表面(実施例23においては、中間層の表面)に、感光層形成用組成物をスピンコートし、100℃表1~表4の「感光層」の「ベーク条件」の欄に記載の温度で1分間乾燥して、表1~表4に示す厚さ(膜厚(μm))の感光層を形成した。
 上記感光層に対し、i線の平行露光機を用い、所定のマスクを介して、i線を、露光量80mJとなるように露光した。その後、表1~表4に記載の温度、60秒の条件でポストベーク(PEB)し、表1~表4に記載の現像液で80秒の現像を行うことにより、20μm角の正方形状に感光層が残されたパターンを形成した。上記正方形に含まれない部分においては、保護層がむき出しになっていた。
 上記正方形状の感光層を含む積層体に対し、ドライエッチングを行い、感光層が存在しない領域の保護層及び有機層を除去した。
 その後、表1~表4のいずれかに記載の剥離液:200mLを付与し、60秒間保持することにより感光層及び保護層を除去し、NPD層上に20μm角の正方形状に有機層が残された積層体を作製した。また、比較例3においては、感光層及び保護層の除去を行わなかった。
 上記有機層の表面(比較例3においては、保護層の表面)に、BAlq(ビス-(2-メチル-8-キノリノレート)-4-(フェニルフェノレート)アルミニウム)を40nmの厚さで蒸着し、電子輸送層を形成した。上記電子輸送層の上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、有機電界発光素子を作製した。
 東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧(3V)を得られた素子の電極間(ITO基板-蒸着した上記アルミニウム間)に印加し、下記評価基準に従い、発光の有無を確認した。評価結果は表1~表4の「発光」の欄に記載した。なお、実施例26においては発光の評価を行わなかったため、表4中に「-」と記載した。
〔評価基準〕
OK:発光が認められた
NG:発光が認められなかった
[0198]
<パターン形状の評価>
 各実施例又は比較例において、残渣強度の評価と同様の方法により製造された積層体における感光層に対し、i線の平行露光機を用い、線幅10μmの1:1ラインアンドスペースパターンのバイナリーマスクを介して、i線を、露光量80mJとなるように露光した。
 その後110℃で60秒間加熱した後、酢酸ブチルで15秒間現像し、スピン乾燥して線幅10μmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを得た。走査型電子顕微鏡を用いて上記レジストパターンの断面観察を行い、下記評価基準に従って感光層のパターン形状を評価した。
〔評価基準〕
OK:パターンのテーパー角が80℃~100℃である。
NG:パターンのテーパー角が上記「OK」に記載した範囲外である。
[0199]
[表1]


[0200]
[表2]


[0201]
[表3]


[0202]
[表4]


[0203]
 表1~表4に示した結果から、各実施例に係る本発明の積層体を用いた場合には、比較例に係る積層体を用いた場合と比較して、保護層除去時における残渣の発生が抑制されることがわかる。
 比較例1に係る積層体は、けん化度が87モル%であるPVAのみを保護層に含むため、保護層の除去時の残渣の発生が抑制されないことがわかる。
 比較例2に係る積層体は、けん化度が49モル%であるPVAのみを保護層に含むため、保護層の除去時の残渣の発生が抑制されないことがわかる。
 比較例3においては、保護層が剥離液を用いた除去に供せられていない。従って保護層の除去後の残渣の評価は不可能である。また、このような態様においては、得られるデバイス中にも保護層が除去されず残るため、例えば上述の発光の評価に用いた有機電界発光素子の形成には使用できないことがわかる。

符号の説明

[0204]
1 感光層
1a 露光現像後の感光層
2 保護層
3 有機層
3a 加工後の有機層
4 基材
5 除去部
5a エッチング後の除去部

請求の範囲

[請求項1]
 基材、有機層、保護層及び感光層をこの順に含み、
 前記保護層がポリビニルアルコールを含み、
 前記ポリビニルアルコールのけん化度が50モル%以上85モル%以下であり、
 前記感光層は現像液を用いた現像に供せられ、
 前記保護層は剥離液を用いた除去に供せられる、
 積層体。
[請求項2]
 前記ポリビニルアルコールの含有量が、前記保護層の全質量に対して、50質量%以上である、請求項1に記載の積層体。
[請求項3]
 前記ポリビニルアルコールのけん化度が60モル%以上80モル%以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
[請求項4]
 前記ポリビニルアルコールのけん化度が65モル%以上75モル%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
[請求項5]
 前記感光層が光酸発生剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
[請求項6]
 前記現像がネガ型である、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
[請求項7]
 前記現像液の全質量に対する有機溶剤の含有量が、90~100質量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
[請求項8]
 前記剥離液の全質量に対する水の含有量が、90~100質量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
[請求項9]
 前記感光層が、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位を有する樹脂を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
[請求項10]
 前記繰返し単位が、側鎖に環状エーテルエステル構造を含む繰返し単位である、請求項9に記載の積層体。
[請求項11]
 前記繰返し単位が、下記式(1)で表される繰返し単位である、請求項9に記載の積層体;
[化1]


 式(1)中、R 8は水素原子又はアルキル基を表し、L 1はカルボニル基又はフェニレン基を表し、R 1~R 7はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
[請求項12]
 けん化度が50モル%以上85モル%以下であるポリビニルアルコールを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の積層体に含まれる前記保護層の形成に用いられる組成物。
[請求項13]
 請求項1~11のいずれか一項に記載の積層体に含まれる前記感光層の形成に用いられる組成物。
[請求項14]
 下記A及びBを含む、積層体形成用キット;
 A:けん化度が50モル%以上85モル%以下のポリビニルアルコールを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の積層体に含まれる前記保護層の形成に用いられる組成物;
 B:請求項1~11のいずれか一項に記載の積層体に含まれる前記感光層の形成に用いられる組成物。

図面

[ 図 1]