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1. WO2020129528 - ガラス物品の製造方法

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明 細 書

発明の名称 ガラス物品の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065  

符号の説明

0066  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : ガラス物品の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、板ガラスその他のガラス物品を製造する方法に関する。

背景技術

[0002]
 周知のように、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、板ガラスが使用される。板ガラスを製造する方法としては、ダウンドロー法やフロート法等の各種成形法が用いられる。
[0003]
 例えば板ガラスは、溶解工程、清澄工程、均質化工程、成形工程等の各工程を経て板状とされる。特許文献1には、上記の各工程を実行する製造装置として、溶解槽と、清澄槽と、攪拌槽と、成形装置と、これらの構成要素を相互に接続するガラス供給管とを備えたものが開示される。清澄槽やガラス供給管は、融点が高く耐食性に優れる白金材料(白金又は白金合金)により構成される。また、清澄槽は、溶融ガラスから発生するガスを排出するベント部(通気管)を備える。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2014-028734号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 清澄槽の構造によっては、溶融ガラスが滞留し、溶融ガラスから発生したガスがベント部から排出されずに、当該清澄槽内に溜る場合がある。清澄槽内にガス溜りが形成されると、当該清澄槽を構成する白金材料の酸化が進行し、白金酸化物が溶融ガラスに混入する。その結果、製造される板ガラスにブツ等の異常が発生し、品質の低下や製品不良となる。
[0006]
 ガス溜りの発生原因について、図8を参照しながら説明する。清澄槽Cは、管状部Caと、管状部Caの上流側端部に設けられるフランジ部F1とを備える。管状部Caは、その内面に頂部Cbと底部Ccとを有する。フランジ部F1は、円板状に構成され、円形の開口部O1を有する。開口部O1の直径は、管状部Caの内径よりも小さく設定されている。開口部O1は、その下端部が管状部Caの底部Ccと一致するようにフランジ部F1を貫通している。開口部O1よりも上方の部分では、フランジ部F1の壁部が、管状部Caの端部を閉塞している。清澄槽Cの内部には、溶融ガラスGMが充満している。すなわち、溶融ガラスGMの液面は、管状部Caの頂部Cbに接触している。
[0007]
 清澄槽Cの上流側端部には、移送管P1が接続されている。移送管P1は、その下流側端部に、フランジ部F2と、円形の開口部O2とを有する。移送管P1は、フランジ部F2を清澄槽Cのフランジ部F1に接触させ、開口部O2を清澄槽Cの開口部O1に重ね合わせた状態で、清澄槽Cに接続されている。
[0008]
 上記の構成では、清澄槽Cの上流側端部における頂部Cbとフランジ部F1の壁部との間の領域で溶融ガラスGMが滞留しやすい。この溶融ガラスGMが滞留する領域に、溶融ガラスGMから発生したガスが浮上して到達すると、ガスが停滞することでガス溜りGAが発生し得る。
[0009]
 本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、清澄槽の内部におけるガス溜りの発生を防止することを技術的課題とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明は上記の課題を解決するためのものであり、溶解槽でガラス原料を加熱溶融して溶融ガラスを生成する工程と、前記溶解槽の流出口から流出した前記溶融ガラスを移送管で移送する工程と、前記移送管から移送された前記溶融ガラスを清澄槽の管状部に充満させた状態で、前記溶融ガラスに清澄処理を施す工程と、を備えるガラス物品の製造方法であって、前記移送管は、前記溶解槽に接続される上流側端部と、前記管状部に接続される下流側端部とを備え、前記移送管は、前記下流側端部における内面の頂部が前記管状部の内面の頂部と一致するように前記管状部に接続されることを特徴とする。
[0011]
 かかる構成によれば、移送管の内面の頂部を清澄槽が有する管状部の内面の頂部に一致させることで、移送管から清澄槽に流入する溶融ガラスは、移送管の内面の頂部及び管状部の内面の頂部に沿って滞留することなく流動できる。したがって、溶融ガラスから発生するガスは、浮上した後で溶融ガラスの流動に伴って、清澄槽内を移動できる。このため、ガス溜りの発生を防止できる。
[0012]
 前記移送管は、前記上流側端部における内面の頂部が前記流出口の内面の頂部と一致すると共に、前記上流側端部における内面の底部が前記流出口の内面の底部と一致するように前記溶解槽に接続されてもよい。これにより、溶融ガラスを滞留させることなく溶解槽から移送管へと流動させることができる。
[0013]
 前記移送管は、前記下流側端部における内面の底部が前記管状部の内面の底部と一致するように前記管状部に接続されてもよい。ここで、移送管の内径よりも清澄槽の管状部の内径が大きい場合、管状部の内面の底部が下流側端部における内面の底部と一致しないので、管状部の内面の底部周辺で溶融ガラスが滞留しやすい。例えば、移送管の内径と管状部の内径を略等しくすること等により、管状部の内面の底部を下流側端部における内面の底部と一致させれば、管状部の内面の底部周辺で溶融ガラスが滞留するのを防止できる。
[0014]
 前記移送管は、前記下流側端部に向かうにつれて内径が漸次増加する拡径部を備え得る。移送管は、これにより、移送管の内径よりも清澄槽の管状部の内径が大きい場合であっても、下流側端部における内面の底部と管状部の内面の底部とを一致させることができ、管状部の内面の底部周辺で溶融ガラスが滞留するのを防止できる。また、流出口の直径と清澄槽の管状部の内径とが異なる既存の設備において、移送管を変更するだけで、清澄槽の内部におけるガス溜りの発生の防止が可能となる。
[0015]
 前記移送管は、直管状に構成されており、前記移送管は、前記下流側端部における内面の底部が前記管状部の内面の底部よりも高くなるように前記管状部に接続されてもよい。ここで、移送管の外面は耐火物で支持されるが、前述のように移送管が拡径部を備えると、移送管と耐火物とで熱膨張量が異なることから、耐火物と移送管との間に隙間が生じやすい。このため、移送管が変形や破損により、移送管を使用可能な期間(寿命)が短くなるおそれがある。直管状に構成された移送管を採用すれば、移送管の外面を容易に支持することができ、移送管を使用可能な期間を維持することができる。また、移送管の製造コストの増大も抑制できる。さらに、流出口の直径と清澄槽の管状部の内径とが異なる既存の設備において、移送管を変更するだけで、清澄槽の内部におけるガス溜りの発生の防止が可能となる。
[0016]
 本方法は、前記移送管と前記管状部とを分離させた状態で加熱する工程を備え得る。移送管と清澄槽の管状部とを分離させた状態で加熱することで、事前に移送管及び清澄槽の管状部を膨張させることができる。移送管及び清澄槽の管状部を膨張させた後に接続することで、清澄処理の実施中における清澄槽の管状部及び移送管の膨張を防止し、熱応力による変形を防止できる。

発明の効果

[0017]
 本発明によれば、清澄槽の内部におけるガス溜りの発生を防止できる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 第一実施形態に係るガラス物品の製造装置を示す側面図である。
[図2] 溶解槽、清澄槽及び移送管の断面図である。
[図3] 清澄槽の上流側端部と移送管の下流側端部とを示す図である。
[図4] ガラス物品の製造方法に係るフローチャートである。
[図5] 予熱工程における移送管と清澄槽を示す断面図である。
[図6] 第二実施形態に係る溶解槽、清澄槽及び移送管の断面図である。
[図7] 第三実施形態に係る清澄槽及び移送管の断面図である。
[図8] ガス溜りの発生原理を説明する断面図である。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図1乃至図5は、本発明に係るガラス物品の製造方法及び製造装置の第一実施形態を示す。
[0020]
 図1に示すように、本実施形態に係るガラス物品の製造装置は、上流側から順に、溶解槽1と、清澄槽2と、均質化槽(攪拌槽)3と、ポット4と、成形体5と、これらの各構成要素1~5を連結するガラス供給路6a~6dとを備える。この他、製造装置は、成形体5により成形された板ガラスGR(ガラス物品)を徐冷する徐冷炉(図示せず)及び徐冷後に板ガラスGRを切断する切断装置(図示せず)を備える。
[0021]
 溶解槽1は、投入されたガラス原料を加熱溶融して溶融ガラスGMを得る溶解工程を行うための容器である。溶解槽1は、ガラス供給路6aによって清澄槽2に接続されている。図2に示すように、溶解槽1は、溶融ガラスGMをガラス供給路6aに供給する流出口1aを有する。流出口1aは、壁部1bを貫通する円形の孔である。
[0022]
 清澄槽2は、溶融ガラスGMを移送しながら清澄剤等の作用により脱泡する清澄工程(清澄処理)を行う。清澄槽2は、ガラス供給路6bによって均質化槽3に接続されている。清澄槽2は、白金材料(白金又は白金合金)により管状に構成される。図2に示すように、清澄槽2は、管状部7と、当該管状部7の両端部に設けられるフランジ部8a,8bとを備える。
[0023]
 なお、図2において、溶融ガラスGMの流れる方向を符号Fで示す。以下、各構成要素の位置を説明する場合に、溶融ガラスGMの流れる方向Fに基づいて、「上流側」、「下流側」の語を用いる。
[0024]
 管状部7は、円管状にされるが、この構成に限定されない。管状部7の内径は、100mm以上300mm以下とされることが望ましい。管状部7の肉厚は、0.3mm以上3mm以下とされることが望ましい。管状部7の長さは、300mm以上10000mm以下とされることが望ましい。これらの寸法は、上記の範囲に限定されず、溶融ガラスGMの種別、温度、製造装置の規模等に応じて適宜設定される。
[0025]
 清澄槽2は、溶融ガラスGM中に発生するガスを排出するためのベント部7aを管状部7の頂部に備える。また、清澄槽2は、溶融ガラスGMが流れる方向を変更するための仕切り板(邪魔板)を管状部7の内部に備えてもよい。
[0026]
 図1及び図2に示すように、溶解槽1における溶融ガラスGMの液面GSは、管状部7における内面の頂部(頂点)7bよりも上方位置又はこの頂部7bと同じ位置に設定される。その高低差Hは、0mm以上200mm以下とされるが、この範囲に限定されるものではない。この設定により、管状部7の内部空間は全て、溶解槽1から流入した溶融ガラスGMが充満する。すなわち、管状部7の内部では、当該管状部7の上部内面と溶融ガラスGMとが離間することなく、当該内面全てに溶融ガラスGMが接触する(図2参照)。このように、管状部7の内面全てに溶融ガラスGMが接触することで、管状部7に気相空間が形成されず、管状部7の内面の酸化を防止できる。なお、各ガラス供給路6a~6dを構成する全ての移送管の位置についても、溶融ガラスGMの液面GSよりも下方に設定される。
[0027]
 清澄槽2のフランジ部8a,8bは、円形に構成されるが、この形状に限定されない。フランジ部8a,8bの上部には、電極を支持するための板状の突起部を形成してもよい。フランジ部8a,8bは、電源装置(図示せず)に接続される。清澄槽2は、各フランジ部8a,8bを介して管状部7に電流を流すことで生じる抵抗加熱(ジュール熱)によって、当該管状部7の内部を流れる溶融ガラスGMを加熱する。
[0028]
 清澄槽2のフランジ部8a,8bは、管状部7の上流側端部2aに設けられる第一フランジ部8aと、清澄槽2(管状部7)の下流側端部2bに設けられる第二フランジ部8bとを含む。第一フランジ部8aは、管状部7に溶融ガラスGMを流入させる第一開口部9aを有する。第二フランジ部8bは、管状部7から溶融ガラスGMを流出させる第二開口部9bを有する。第一開口部9a及び第二開口部9bは、円形状に構成される。各開口部9a,9bの直径は、管状部7の内径よりも小さく設定される。
[0029]
 図2及び図3に示すように、第一開口部9aは、管状部7の上部に対応して形成される。すなわち、第一開口部9aにおいて最も上方に位置する部分(以下「上端部」という。他の開口部においても同じ)9aUは、管状部7の内面における頂部7bに一致している。同様に、第二開口部9bは、管状部7の上部に対応して形成される。第二開口部9bの上端部9bUは、管状部7の内面における頂部7bに一致している。
[0030]
 溶解槽1と清澄槽2とを接続するガラス供給路6aは、白金材料(白金又は白金合金)により構成される移送管からなる。移送管10は、管状部11と、移送管10の両端部10a,10bに設けられるフランジ部12a,12bとを有する。各フランジ部12a,12bは、移送管10の上流側端部10aに形成される第一フランジ部12aと、下流側端部10bに形成される第二フランジ部12bとを含む。
[0031]
 移送管10の管状部11の内径は、100mm以上300mm以下とされることが望ましい。管状部11の肉厚は、0.3mm以上3mm以下とされることが望ましい。これらの寸法は、上記の範囲に限定されず、溶融ガラスGMの種別、温度、製造装置の規模等に応じて適宜設定される。本実施形態において、管状部11の内径Dは、清澄槽2に係る管状部7の内径よりも小さく設定されている。管状部11は、溶解槽1から清澄槽2に向かって上方に傾斜する。管状部11の水平方向に対する傾斜角度は、例えば3°以上30°以下に設定される。
[0032]
 移送管10の第一フランジ部12aは、溶解槽1の壁部1bに接触し、第二フランジ部12bは、清澄槽2の第一フランジ部8aに対向して接触する。各フランジ部12a,12bは、開口部13a,13bを有する。各開口部13a,13bは、上下方向に長い楕円状に構成されている。各開口部13a,13bにおける長軸の長さDLは、管状部11の内径Dと略等しい。ここで、「略等しい」とは、長軸の長さDLが管状部11の内径Dの90%以上110%以下であることを意味する。
[0033]
 第一フランジ部12aの開口部13aは、溶解槽1の流出口1aに重ねられる。開口部13aの開口面積は、流出口1aの開口面積よりも小さく設定される。第一フランジ部12aに係る開口部13aの長軸の長さDLは、流出口1aの直径と略等しい。ここで、「略等しい」とは、長軸の長さDLが流出口1aの直径の90%以上110%以下であることを意味する。
[0034]
 図2に示すように、移送管10の上流側端部10aにおける内面の頂部11aは、溶解槽1に係る流出口1aの内面の頂部と一致している。すなわち、移送管10の開口部13aの上端部13aUは、流出口1aの上端部1aUと一致している。移送管10の上流側端部10aにおける内面の底部11bは、流出口1aの底部と一致している。すなわち、移送管10の開口部13aの下端部13aDは、流出口1aの下端部1aDと一致している。
[0035]
 第二フランジ部12bの開口部13bは、清澄槽2に係る第一フランジ部8aの第一開口部9aに重ねられる。この開口部13bの開口面積は、清澄槽2の第一開口部9aの開口面積よりも小さく設定される。開口部13bにおける長軸の長さDLは、清澄槽2の第一開口部9aの直径と略等しい。すなわち、長軸の長さDLは、第一開口部9aの直径の90%以上110%以下とされる。
[0036]
 移送管10の下流側端部10bにおける内面の頂部11aは、清澄槽2の内面の頂部7bと一致している。すなわち、移送管10の下流側端部10bにおける開口部13bの上端部13bUは、清澄槽2の第一開口部9aの上端部9aUと一致している。また、移送管10の開口部13bの下端部13bDは、清澄槽2の第一開口部9aの下端部9aDと一致している。
[0037]
 清澄槽2と均質化槽3とを接続するガラス供給路6bは、白金材料(白金又は白金合金)により構成される移送管からなる。移送管14は直管状に構成されており、清澄槽2の下流側端部2bに接続される。図2に示すように、移送管14は、管状部15と、当該移送管14の両端部14a,14bに設けられる、フランジ部16a,16b及び開口部17a,17bとを有する。
[0038]
 移送管14の管状部15の内径は、100mm以上300mm以下とされることが望ましい。管状部15の肉厚は、0.3mm以上3mm以下とされることが望ましい。これらの寸法は、上記の範囲に限定されず、溶融ガラスGMの種別、温度、製造装置の規模等に応じて適宜設定される。本実施形態において、管状部15の内径は、清澄槽2に係る管状部7の内径よりも小さく設定されている。
[0039]
 各フランジ部16a,16bは、円板状に構成される。各開口部17a,17bは、円形状に構成される。開口部17a,17bの開口面積は、清澄槽2の第二フランジ部8bにおける第二開口部9bの開口面積と略等しい。この構成により、移送管14の上流側端部14aにおける開口部17aの全周は、清澄槽2の第二開口部9bの全周と一致するように配置される。
[0040]
 各移送管10,14の各フランジ部12a,12b,16a,16bは、電源装置(図示せず)に接続される。各ガラス供給路6a,6bでは、清澄槽2と同様に、各フランジ部12a,12b,16a,16bを介して各管状部11,15に電流を流すことで生じる抵抗加熱(ジュール熱)によって、当該移送管10,14の内部を流れる溶融ガラスGMを加熱する(他のガラス供給路6c,6dにおいて同じ)。
[0041]
 均質化槽3は、清澄処理が施された溶融ガラスGMを攪拌し、均一化する工程(均質化工程)を行うための白金材料製の容器である。均質化槽3は、攪拌翼を有するスターラ3aを備える。均質化槽3は、ガラス供給路6cによってポット4に接続されている。このガラス供給路6cは、上記のガラス供給路6a、6bと同様に、白金材料(白金又は白金合金)により構成される移送管からなる。
[0042]
 ポット4は、溶融ガラスGMを成形に適した状態に調整する状態調整工程を行うための容器である。ポット4は、溶融ガラスGMの粘度調整及び流量調整のための容積部として例示される。ポット4は、ガラス供給路6dによって成形体5に接続されている。このガラス供給路6dは、上記のガラス供給路6a~6cと同様に、白金材料(白金又は白金合金)により構成される移送管からなる。
[0043]
 成形体5は、溶融ガラスGMを所望の形状に成形する。本実施形態では、成形体5は、オーバーフローダウンドロー法によって溶融ガラスGMを板状に成形する。詳細には、成形体5は、断面形状(図1の紙面と直交する断面形状)が略楔形状を成しており、この成形体5の上部には、オーバーフロー溝(図示せず)が形成されている。
[0044]
 成形体5は、溶融ガラスGMをオーバーフロー溝から溢れ出させて、成形体5の両側の側壁面(紙面の表裏面側に位置する側面)に沿って流下させる。成形体5は、流下させた溶融ガラスGMを側壁面の下頂部で融合させる。これにより、帯状の板ガラスGRが成形される。なお、成形体5は、スロットダウンドロー法などの他のダウンドロー法を実行するものであってもよい。また、成形体5に代えてフロート法を利用する成形装置を配備してもよい。
[0045]
 このようにして得られた板ガラスGRは、例えば、厚みが0.01~10mmであって、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ、有機EL照明、太陽電池などの基板や保護カバーに利用される。本発明に係るガラス物品は、板ガラスGRに限定されず、ガラス管その他の各種形状を有するものを含む。例えば、ガラス管を形成する場合には、成形体5に代えてダンナー法を利用する成形装置が配備される。
[0046]
 板ガラスGRの材料としては、ケイ酸塩ガラス、シリカガラスが用いられ、好ましくはホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、化学強化ガラスが用いられ、最も好ましくは無アルカリガラスが用いられる。ここで、無アルカリガラスとは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分の重量比が3000ppm以下のガラスのことである。本発明におけるアルカリ成分の重量比は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、最も好ましくは300ppm以下である。
[0047]
 以下、上記構成の製造装置によってガラス物品(板ガラスGR)を製造する方法について説明する。図4に示すように、本方法は、予熱工程S1、組立工程S2、溶解工程S3、溶融ガラス供給工程S4、成形工程S5、徐冷工程S6、及び切断工程S7を主に備える。
[0048]
 予熱工程S1では、製造装置の各構成要素1~5,6a~6dを個別に分離した状態で、これらを昇温する。一例として、移送管10と清澄槽2とを分離した状態を図5に示す。なお、予熱工程S1では、溶解槽1の流出口1aは、閉塞部材によって塞がれる。予熱工程S1により、各構成要素1~5,6a~6dは所定の温度に加熱される。この加熱により、各構成要素1~5,6a~6dのうち、白金材料製の部分が膨張する。例えば、清澄槽2の管状部7及び移送管10の管状部11は、図5において二点鎖線で示すように、その長手方向に膨張する。
[0049]
 組立工程S2では、分離させている各構成要素1~5、6a~6dを相互に連結し、製造装置が組み立てられる。例えば、溶解槽1の流出口1aに、移送管10の上流側端部10aが接続される。具体的には、移送管10の第一フランジ部12aを溶解槽1の壁部1bに接触させるとともに、開口部13aを流出口1aに重ね合わせる。
[0050]
 次に、移送管10の下流側端部10bを清澄槽2の上流側端部2aに接続する。すなわち、移送管10の第二フランジ部12bと、清澄槽2の第一フランジ部8aとを対向させ、相互に接触させる。このとき、清澄槽2の第一開口部9aの上端部9aUが移送管10の開口部13bにおける上端部13bUと一致するように、各フランジ部8a,12bを重ね合わせる。
[0051]
 その後、清澄槽2に移送管14を接続する。すなわち、移送管14のフランジ部16aと、清澄槽2の第二フランジ部8bとを対向させ、相互に接触させる。このとき、移送管14における開口部17aが、清澄槽2における第二開口部9bと一致するように、各フランジ部8b,16aを重ね合わせる。
[0052]
 さらに、均質化槽3、ポット4、成形体5、及びガラス供給路6c,6dを接続することで、製造装置が組み立てられる。
[0053]
 溶解工程S3では、溶解槽1内に供給されたガラス原料が加熱され、溶融ガラスGMが生成される。なお、製造装置の立ち上げ期間を短縮するため、組立工程S2以前に溶解槽1内で予め溶融ガラスGMを生成してもよい。
[0054]
 溶融ガラス供給工程S4では、溶解槽1の溶融ガラスGMを、各ガラス供給路6a~6dを介して、清澄槽2、均質化槽3、ポット4、そして成形体5へと順次移送する。溶融ガラス供給工程S4では、溶融ガラスGMが清澄槽2の管状部7内を流通する際、ガラス原料に配合された清澄剤の作用により溶融ガラスGMからガス(泡)が発生する。このガスは、清澄槽2のベント部7aから外部に排出される(清澄工程)。また、均質化槽3において、溶融ガラスGMは、攪拌されて均質化される(均質化工程)。溶融ガラスGMがポット4、ガラス供給路6dを通過する際には、その状態(例えば粘度や流量)が調整される(状態調整工程)。
[0055]
 成形工程S5では、溶融ガラス供給工程S4を経て溶融ガラスGMが成形体5に供給される。成形体5は、溶融ガラスGMをオーバーフロー溝から溢れ出させ、その側壁面に沿って流下させる。成形体5は、流下させた溶融ガラスGMを下頂部で融合させることで、帯状の板ガラスGRを成形する。
[0056]
 その後、帯状の板ガラスGRは、徐冷工程S6で徐冷炉によって冷却され、切断工程S7で切断装置によって切断される。これにより、帯状の板ガラスGRから所定寸法の板ガラス(ガラス物品)が切り出される。或いは、切断工程S7で板ガラスGRの幅方向の両端を除去した後に、帯状の板ガラスGRをロール状に巻き取り、ガラス物品としてのガラスロールを得てもよい(巻取工程)。
[0057]
 以上説明した本実施形態に係るガラス物品の製造方法によれば、移送管10と清澄槽2とが接続されている状態において、移送管10の下流側端部10bにおける内面の頂部11a(開口部13bの上端部13bU)を清澄槽2の上流側端部2aにおける内面の頂部7b(第一開口部9aの上端部9aU)と一致させることで、移送管10から清澄槽2に流入する溶融ガラスGMは、移送管10の頂部11a及び清澄槽2の頂部7bに沿って滞留することなく流動できる。したがって、溶融ガラスGMから発生するガスは、当該溶融ガラスGMの流動に伴って、ガス溜りを発生させることなく清澄槽2内を移動し、ベント部7aから確実に排出される。また、清澄槽2の底部7c周辺で溶融ガラスGMからガスが発生しても、ガスが浮上することから、上述の溶融ガラスGMの流動に伴って清澄槽2内を移動し、ベント部7aから確実に排出される。
[0058]
 ここで、第一実施形態に係る製造装置では、清澄槽2の底部7c周辺で溶融ガラスGMが滞留しやすく、特に清澄槽2の上流側端部2aにおける底部7c周辺で溶融ガラスGMが滞留しやすい。この場合、滞留する溶融ガラスGMが変質するおそれがある。これを防止する観点から、後述の第二実施形態又は第三実施形態を採用するのが好ましい。
[0059]
 図6は、第二実施形態に係る製造装置の一部を示す。本実施形態に係る製造装置において、移送管10の管状部11は、直管状の第一管状部11Aと、テーパ状の第二管状部11Bとを備える。第一管状部11Aは、移送管10の上流側端部10a側に形成されており、溶解槽1に接続される。第二管状部11Bは、移送管10の下流側端部10b側に形成されており、清澄槽2に接続される。
[0060]
 第二管状部11Bは、移送管10の中途部から下流側端部10bに向かうにつれて内径が漸次増加する拡径部により構成される。この構成により、移送管10の下流側端部10bの開口部13bは、円形に構成される。
[0061]
 移送管10の下流側端部10bにおける第二管状部11Bの内径は、清澄槽2の管状部7の内径と略等しい。すなわち、移送管10の下流側端部10bに係る開口部13bの直径は、清澄槽2に係る管状部7の内径の90%以上110%以下とされる。また、清澄槽2の第一フランジ部8aに形成される第一開口部9aの直径は、管状部7の内径と略等しい。この構成により、移送管10の第二管状部11Bの開口部13bにおける底部13bDは、清澄槽2の上流側端部2aの第一開口部9aにおける底部9aDと一致する。これにより、移送管10から清澄槽2に流入する溶融ガラスGMは、移送管10の頂部11a及び清澄槽2の頂部7bに沿って滞留することなく流動するのみならず、移送管10の底部11b及び清澄槽2の底部7cに沿って滞留することなく流動する。
[0062]
 図7は、第三実施形態に係る製造装置の一部を示す。上記の第二実施形態では、移送管10の第二管状部11Bは、拡径部として構成されていたが、本実施形態に係る移送管10の第二管状部11Bは、内径が一定の直管状に構成される。
[0063]
 移送管10(第二管状部11B)の下流側端部10bの開口部13bは、第一実施形態と同様に、上下方向に長い楕円形に構成される。第三実施形態では、第一実施形態と異なり、開口部13bにおける長軸の長さDLが、清澄槽2の管状部7の内径と略等しい。このため、本実施形態においても、移送管10の第二管状部11Bの開口部13bにおける底部13bDは、清澄槽2の上流側端部2aの第一開口部9aにおける底部9aDと一致する。したがって、移送管10から清澄槽2に流入する溶融ガラスGMは、移送管10の頂部11a及び清澄槽2の頂部7bに沿って滞留することなく流動するのみならず、移送管10の底部11b及び清澄槽2の底部7cに沿って滞留することなく流動する。
[0064]
 なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
[0065]
 上記の第二実施形態では、移送管10の中途部から下流側端部10bまでの範囲に拡径部(第二管状部11B)を設けた例を示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、移送管10の上流側端部10aから下流側端部10bの全長に亘って管状部11を拡径部として構成してもよい。

符号の説明

[0066]
 1      溶解槽
 1a     流出口
 1aU    流出口の上端部(頂部)
 2      清澄槽
 7      管状部
 7b     管状部の内面の頂部
10      移送管
10a     上流側端部
10b     下流側端部
11a     移送管の内面の頂部
11B     第二管状部(拡径部)
 GM     溶融ガラス
 GR     板ガラス(ガラス物品)
 S1     予熱工程
 S3     溶解工程
 S4     溶融ガラス供給工程

請求の範囲

[請求項1]
 溶解槽でガラス原料を加熱溶融して溶融ガラスを生成する工程と、前記溶解槽の流出口から流出した前記溶融ガラスを移送管で移送する工程と、前記移送管から移送された前記溶融ガラスを清澄槽の管状部に充満させた状態で、前記溶融ガラスに清澄処理を施す工程と、を備えるガラス物品の製造方法であって、
 前記移送管は、前記溶解槽に接続される上流側端部と、前記管状部に接続される下流側端部とを備え、
 前記移送管は、前記下流側端部における内面の頂部が前記管状部の内面の頂部と一致するように前記管状部に接続されることを特徴とするガラス物品の製造方法。
[請求項2]
 前記移送管は、前記上流側端部における内面の頂部が前記流出口の内面の頂部と一致すると共に、前記上流側端部における内面の底部が前記流出口の内面の底部と一致するように前記溶解槽に接続される請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
[請求項3]
 前記移送管は、前記下流側端部における内面の底部が前記管状部の内面の底部と一致するように前記管状部に接続される請求項1又は2に記載のガラス物品の製造方法。
[請求項4]
 前記移送管は、前記下流側端部に向かうにつれて内径が漸次増加する拡径部を備える請求項3に記載のガラス物品の製造方法。
[請求項5]
 前記移送管は、直管状に構成されており、
 前記移送管は、前記下流側端部における内面の底部が前記管状部の内面の底部よりも高くなるように前記管状部に接続される請求項1又は2に記載のガラス物品の製造方法。
[請求項6]
 前記移送管と前記管状部とを分離させた状態で加熱する工程を備える請求項1から5のいずれか一項に記載のガラス物品の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]