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1. WO2020129513 - 電気化学式水素ポンプ

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明 細 書

発明の名称 電気化学式水素ポンプ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173  

産業上の利用可能性

0174  

符号の説明

0175  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

図面

1A   1B   2A   2B   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 電気化学式水素ポンプ

技術分野

[0001]
 本開示は電気化学式水素ポンプに関する。

背景技術

[0002]
 近年、地球温暖化などの環境問題、石油資源の枯渇などのエネルギー問題から、化石燃料に代わるクリーンな代替エネルギー源として、水素が注目されている。水素は燃焼しても基本的に水しか放出せず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されずかつ窒素酸化物などもほとんど排出されないので、クリーンエネルギーとして期待されている。また、水素を燃料として高効率に利用する装置として、例えば、燃料電池があり、自動車用電源向け、家庭用自家発電向けに開発および普及が進んでいる。
[0003]
 来るべき水素社会では、水素を製造することに加えて、水素を高密度で貯蔵し、小容量かつ低コストで輸送または利用することが可能な技術開発が求められている。特に、分散型のエネルギー源となる燃料電池の普及促進には、水素供給インフラを整備する必要がある。また、水素を安定的に供給するために、高純度の水素を製造、精製、高密度貯蔵する様々な検討が行われている。
[0004]
 例えば、特許文献1では、水素精製および水素昇圧が行われる電気化学式水素ポンプにおいて、繊維径が異なる二種のチタン金属繊維でそれぞれ構成されている第一の給電体部および第二の給電体部を備えるアノード給電体が開示されている。これにより、電解質膜の損傷の低減がされるとともに、エネルギー効率が向上する。
[0005]
 また、特許文献2では、チタン粉末焼結体で構成される給電体のベース部にプレス加工を施すことで、ベース部の表層部の空隙率がベース部の空隙率よりも低いアノード給電体が開示されている。これにより、表層部の緻密化および平滑化を向上させることができるので、電解質膜の損傷が低減される。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2001-342587号公報
特許文献2 : 特開2012-180553号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 本開示の一態様(aspect)は、一例として、アノードガス拡散層について、金属製のアノードガス拡散層よりもコストを低減し得る電気化学式水素ポンプを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 上記課題を解決するため、本開示の一態様の電気化学式水素ポンプは、電解質膜と、前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード電極と、前記電解質膜の他方の主面上に設けられたカソード電極と、前記アノード電極上に設けられたアノードセパレーターと、を備え、前記アノード電極は、前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード触媒層と、前記アノード触媒層上に設けられたアノードガス拡散層とを備え、アノードガス拡散層は、粉末成形体であるカーボン多孔体シートを備える。

発明の効果

[0009]
 本開示の一態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層について、金属製のアノードガス拡散層よりもコストを低減し得るという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1A] 図1Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
[図1B] 図1Bは、図1Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。
[図2A] 図2Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
[図2B] 図2Bは、図2Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。
[図3] 図3は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプにおけるカーボン多孔体シートの一例を示す図である。
[図4] 図4は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプにおけるカーボン多孔体シートのラマン分光法による分析結果の一例を示す図である。
[図5] 図5は、第1実施形態の第2実施例の電気化学式水素ポンプにおけるカーボン多孔体シートの一例を示す図である。
[図6] 図6は、第1実施形態の第3実施例の電気化学式水素ポンプにおけるカーボン多孔体シートの気孔率の測定値の一例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 特許文献1および特許文献2ともに、金属製のガス拡散層を使用しているが、金属製の場合、酸性環境下での耐腐食性を確保するため、貴金属による表面メッキが必要になり、これが、コスト上昇の要因になる。そこで、発明者らは、酸性環境下で耐腐食性があり、かつ低コストの炭素系のガス拡散層の使用を検討したが、高いカソード圧の影響でアノードガス拡散層がアノードセパレーターの流路に座屈してしまうという課題を発見した。
[0012]
 そこで、発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記座屈が発生する可能性を低減すべく、アノード電極に、粉末成形体であるカーボン多孔体シートを設けることを見出し、以下の本開示の一態様に想到した。また、発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記座屈が発生する可能性を低減すべく、アノード電極に、アモルファスカーボンを含むカーボン多孔体シートを設けることを見出し、以下の本開示の一態様に想到した。
[0013]
 すなわち、本開示の第1態様の電気化学式水素ポンプは、電解質膜と、電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード電極と、電解質膜の他方の主面上に設けられたカソード電極と、アノード電極上に設けられたアノードセパレーターと、を備え、アノード電極は、電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード触媒層と、アノード触媒層上に設けられたアノードガス拡散層とを備え、アノードガス拡散層は、粉末成形体であるカーボン多孔体シートを備える。
[0014]
 かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層について、金属製のアノードガス拡散層よりもコストを低減しながら、アノードセパレーターへ座屈する可能性を低減し得る。
[0015]
 具体的には、本態様の電気化学式水素ポンプは、カーボン多孔体シートを粉末成形体で構成することで、例えば、カーボン多孔体シートをカーボン繊維で構成する場合に比べて剛性を上げることができる。
[0016]
 また、本開示の第2態様の電気化学式水素ポンプは、電解質膜と、電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード電極と、電解質膜の他方の主面上に設けられたカソード電極と、アノード電極上に設けられたアノードセパレーターと、を備え、アノード電極は、電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード触媒層と、アノード触媒層上に設けられたアノードガス拡散層とを備え、アノードガス拡散層は、アノードセパレーター側の第1表面層がアモルファスカーボンを含むカーボン多孔体シートを備え、カーボン多孔体シートは、ラマン分光分析によりD/G>1.0である。
[0017]
 かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層について、金属製のアノードガス拡散層よりもコストを低減しながら、アノードセパレーターへ座屈する可能性を低減し得る。
[0018]
 具体的には、アモルファスカーボンを含むカーボン多孔体シートには、従来の金属多孔体で確認された鋭利な部分が比較的少ない。よって、本態様の電気化学式水素ポンプは、このようなカーボン多孔体シートが電解質膜に押圧されても、従来の金属多孔体に比べて、電解質膜に損傷を与える可能性を低減することができる。
[0019]
 また、一般的に、カーボン結合がアモルファス構造であるアモルファスカーボンは、カーボン結合が結晶構造であるカーボンに比べて剛性が高い。よって、本態様の電気化学式水素ポンプは、カーボン多孔体シートが、ラマン分光分析によりD/G>1.0であるように、アモルファスカーボンを含むことで、アノードガス拡散層の剛性が適切に確保される。
[0020]
 本開示の第3態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様または第2態様の電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、少なくともアノードセパレーター側の第1表面層の厚み方向のヤング率が、2.5GPa以上であってもよい。
[0021]
 かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、カーボン多孔体シートへの厚み方向に対する圧縮強度が、所望の値(例えば、20MPa)において、アノードセパレーター側の第1表面層の厚み方向のヤング率が2.5GPa未満である場合に比べて、電気化学式水素ポンプの水素昇圧運転時に発生するカソード電極およびアノード電極間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層が変形することが抑制される。例えば、本態様の電気化学式水素ポンプは、上記の差圧によって、アノードセパレーターに設けられた流路でアノードガス拡散層が座屈する可能性を低減することができる。
[0022]
 本開示の第4態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様または第2態様の電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、少なくともアノードセパレーター側の第1表面層の厚み方向のヤング率が、7.8GPa以上であってもよい。
[0023]
 かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、カーボン多孔体シートへの厚み方向に対する圧縮強度が、所望の値(例えば、40MPa)において、アノードセパレーター側の第1表面層の厚み方向のヤング率が7.8GPa未満である場合に比べて、電気化学式水素ポンプの水素昇圧運転時に発生するカソード電極およびアノード電極間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層が変形することが抑制される。例えば、本態様の電気化学式水素ポンプは、上記の差圧によって、アノードセパレーターに設けられた流路でアノードガス拡散層が座屈する可能性を低減することができる。
[0024]
 本開示の第5態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様または第2態様の電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、少なくともアノードセパレーター側の第1表面層の曲げ強度が、10MPa以上であってもよい。
[0025]
 かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、カーボン多孔体シートへの厚み方向に対する圧縮強度が、所望の値(例えば、20MPa)において、アノードセパレーター側の第1表面層の曲げ強度が10MPa未満である場合に比べて、電気化学式水素ポンプの水素昇圧運転時に発生するカソード電極およびアノード電極間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層が変形することが抑制される。例えば、本態様の電気化学式水素ポンプは、上記の差圧によって、アノードセパレーターに設けられた流路でアノードガス拡散層が座屈する可能性を低減することができる。
[0026]
 本開示の第6態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様または第2態様の電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、少なくともアノードセパレーター側の第1表面層の曲げ強度が、20MPa以上であってもよい。
[0027]
 かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、カーボン多孔体シートへの厚み方向に対する圧縮強度が、所望の値(例えば、40MPa)において、アノードセパレーター側の第1表面層の曲げ強度が20MPa未満である場合に比べて、電気化学式水素ポンプの水素昇圧運転時に発生するカソード電極およびアノード電極間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層が変形することが抑制される。例えば、本態様の電気化学式水素ポンプは、上記の差圧によって、アノードセパレーターに設けられた流路でアノードガス拡散層が座屈する可能性を低減することができる。
[0028]
 本開示の第7態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様、第2態様、第3態様および第5態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、少なくともアノードセパレーター側の第1表面層の気孔率が、45%以下であってもよい。また、本開示の第8態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様、第2態様、第4態様および第6態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、少なくともアノードセパレーター側の第1表面層の気孔率が、39%以下であってもよい。
[0029]
 本開示の第9態様の電気化学式水素ポンプは、第7態様の電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、アノード触媒層側の第2表面層の気孔率が、45%以下であってもよい。また、本開示の第10態様の電気化学式水素ポンプは、第8態様の電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、アノード触媒層側の第2表面層の気孔率が、39%以下であってもよい。
[0030]
 本開示の第11態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第10態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、アノードセパレーター側の第1表面層の剛性が、この第1表面層よりも内側の層の剛性よりも高くてもよい。また、本開示の第12態様の電気化学式水素ポンプは、第11態様の電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、アノード触媒層側の第2表面層の剛性が、この第2表面層よりも内側の層の剛性よりも高くてもよい。
[0031]
 以上の構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、電気化学式水素ポンプの水素昇圧運転時に発生するカソード電極およびアノード電極間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層が変形することが抑制される。例えば、本態様の電気化学式水素ポンプは、上記の差圧によって、アノードセパレーターに設けられた流路でアノードガス拡散層が座屈する可能性を低減することができる。
[0032]
 本開示の第13態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第12態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、アノードセパレーター側の第1表面層の気孔率が、この第1表面層よりも内側の層の気孔率よりも低くてもよい。また、本開示の第14態様の電気化学式水素ポンプは、第13態様の電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートは、アノード触媒層側の第2表面層の気孔率が、この第2表面層よりも内側の層の気孔率よりも低くてもよい。
[0033]
 ここで、カーボン多孔体シートが、例えば、カーボン粒子を素材とする焼結体である場合、カーボン多孔体シートの気孔率が低い程、カーボン多孔体シートを構成するカーボン粒子同士のネッキング(粒子間の結合)が増加する。すると、カーボン多孔体シートの剛性を向上させることができる。これにより、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードセパレーター側の第1表面層の剛性を向上させることができる。また、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノード触媒層側の第2表面層の剛性を向上させることもできる。その結果、電気化学式水素ポンプの水素昇圧運転時に発生するカソード電極およびアノード電極間の差圧によって、アノードガス拡散層が変形することが抑制される。例えば、本態様の電気化学式水素ポンプは、上記の差圧によって、アノードセパレーターに設けられた流路でアノードガス拡散層が座屈する可能性を低減することができる。
[0034]
 本開示の第15態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第14態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シートのピーク気孔径が、電解質膜の膜厚よりも小さくてもよい。
[0035]
 仮に、カーボン多孔体シートのピーク気孔径が電解質膜の膜厚以上である場合、電気化学式水素ポンプの水素昇圧運転時に発生するカソード電極およびアノード電極間の差圧によって、電解質膜がカーボン多孔体シートの気孔内に落ち込むことに起因して電解質膜が破断する可能性がある。しかし、本態様の電気化学式水素ポンプは、カーボン多孔体シートのピーク気孔径を電解質膜の膜厚よりも小さくすることで、このような可能性を低減することができる。
[0036]
 本開示の第16態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第15態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、カーボン多孔体シート全体の気孔率が20%以上であってもよい。
[0037]
 仮に、カーボン多孔体シート全体の気孔率が20%未満である場合、アノードガス拡散層のアノード触媒層へのガス拡散性を適切に確保できない恐れがある。しかし、本態様の電気化学式水素ポンプは、カーボン多孔体シート全体の気孔率を20%以上にすることで、アノードガス拡散層において外部と通じた気孔(連通孔)が形成されやすくなるので、アノードガス拡散層のアノード触媒層へのガス拡散性が確保される。これにより、アノードセパレーターからのアノードガスを、アノードガス拡散層を通じてアノード触媒層に適切に供給することができる。
[0038]
 ところで、電気化学式水素ポンプのアノード電極およびカソード電極間に電流が流れるとき、プロトンがアノード電極からカソード電極に水を同伴しながら電解質膜を移動する。このとき、アノード電極からカソード電極に移動した水(電気浸透水)は、電気化学式水素ポンプの動作温度が所定温度以上の場合、水蒸気として存在するが、カソード電極の水素ガス圧が高圧になる程、液体の水として存在する割合が増加する。そして、カソード電極に液体の水が存在する場合、かかる水の一部は、カソード電極およびアノード電極間の差圧によってアノード電極に押し戻される。このとき、アノード電極に押し戻される水の量は、カソード電極の水素ガス圧が高圧になる程、増加する。すると、カソード電極の水素ガス圧が上昇するに連れて、アノード電極に押し戻された水によってアノード電極のフラディングが発生しやすくなる。そして、このようなフラディングが発生することにより、アノード電極でガス拡散性が阻害される場合、電気化学式水素ポンプの拡散抵抗が増加することで、電気化学式水素ポンプの水素昇圧動作の効率が低下する恐れがある。
[0039]
 そこで、本開示の第17態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第16態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、アノードガス拡散層は、アノード触媒層側の第2表面層が撥水性であってもよい。
[0040]
 かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層のアノード触媒層側の第2表面層を撥水性にすることで、アノード電極に押し戻された水をアノードガスの流れによって速やかに外部に排出することができる。よって、フラディングの発生が抑制され、その結果、アノード電極でガス拡散性を適切に維持することができる。
[0041]
 一般に、電解質膜は、高温および高加湿の条件(例えば、約60℃程度)で、プロトン伝導率が上がり、電気化学式水素ポンプの水素昇圧動作の効率が向上する。また、上記のとおり、電気化学式水素ポンプのアノード電極とカソード電極との間に電流が流れるとき、プロトンがアノード電極からカソード電極に水を同伴しながら電解質膜を移動する。そして、アノード電極からカソード電極に移動した電気浸透水の一部は、カソード電極から高圧の水素ガスとともに外部へ排出される。
[0042]
 ここで、アノード電極とカソード電極との間を流れる電流密度が大きくなると、電気浸透水の量が増加するとともに、カソード電極外に排出される電気浸透水の量が増加する。この場合、電気化学式水素ポンプの電解質膜が乾燥しやすくなるので、電気化学式水素ポンプの水素昇圧動作の効率が低下する恐れがある。
[0043]
 そこで、本開示の第18態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第17態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、アノードガス拡散層は、アノードセパレーター側の第1表面層が親水性であってもよい。
[0044]
 かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、アノードガス拡散層のアノードセパレーター側の第1表面層を親水性にすることで、この第1表面層に保水機能を付与することができる。よって、アノードガス拡散層を通じてアノードガス中の水分を電解質膜に供給しやすくなるので、電気化学式水素ポンプの電解質膜が乾燥する可能性を低減することができる。
[0045]
 以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、および、構成要素の配置位置および接続形態などは、あくまで一例であり、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、上記の各態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
[0046]
 (第1実施形態)
 [装置構成]
 図1Aおよび図2Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。図1Bは、図1Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。図2Bは、図2Aの電気化学式水素ポンプのB部の拡大図である。
[0047]
 なお、図1Aには、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、カソードガス導出マニホールド50の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。また、図2Aには、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、アノードガス導入マニホールド27の中心と、アノードガス導出マニホールド30の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。
[0048]
 図1Aおよび図2Aに示す例では、電気化学式水素ポンプ100は、少なくとも一つの水素ポンプユニット100Aを備える。
[0049]
 なお、電気化学式水素ポンプ100には、複数の水素ポンプユニット100Aが積層されている。例えば、図1Aおよび図2Aでは、3段の水素ポンプユニット100Aが積層されているが、水素ポンプユニット100Aの個数はこれに限定されない。つまり、水素ポンプユニット100Aの個数は、電気化学式水素ポンプ100が昇圧する水素量などの運転条件をもとに適宜の数に設定することができる。
[0050]
 水素ポンプユニット100Aは、電解質膜11と、アノード電極ANと、カソード電極CAと、カソードセパレーター16と、アノードセパレーター17と、絶縁体21と、を備える。そして、水素ポンプユニット100Aにおいて、電解質膜11、アノード触媒層13、カソード触媒層12、アノードガス拡散層15、カソードガス拡散層14、アノードセパレーター17およびカソードセパレーター16が積層されている。
[0051]
 アノード電極ANは、電解質膜11の一方の主面上に設けられている。アノード電極ANは、アノード触媒層13と、アノードガス拡散層15とを含む電極である。なお、平面視において、アノード触媒層13の周囲を囲むように環状のシール部材43が設けられ、アノード触媒層13が、シール部材43で適切にシールされている。
[0052]
 カソード電極CAは、電解質膜11の他方の主面上に設けられている。カソード電極CAは、カソード触媒層12と、カソードガス拡散層14とを含む電極である。なお、平面視において、カソード触媒層12の周囲を囲むように環状のシール部材42が設けられ、カソード触媒層12が、シール部材42で適切にシールされている。
[0053]
 以上により、電解質膜11は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12のそれぞれと接触するようにして、アノード電極ANとカソード電極CAとによって挟持されている。なお、カソード電極CA、電解質膜11およびアノード電極ANの積層体を膜-電極接合体(以下、MEA:Membrane Electrode Assembly)という。
[0054]
 電解質膜11は、プロトン伝導性を備える。電解質膜11は、プロトン伝導性を備えていれば、どのような構成であってもよい。例えば、電解質膜11として、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を挙げることができるが、これらに限定されない。具体的には、例えば、電解質膜11として、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などを用いることができる。
[0055]
 アノード触媒層13は、電解質膜11の一方の主面上に設けられている。アノード触媒層13は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
[0056]
 カソード触媒層12は、電解質膜11の他方の主面上に設けられている。カソード触媒層12は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
[0057]
 カソード触媒層12およびアノード触媒層13の触媒担体としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛などのカーボン粒子、導電性の酸化物粒子などが挙げられるが、これらに限定されない。
[0058]
 なお、カソード触媒層12およびアノード触媒層13では、触媒金属の微粒子が、触媒担体に高分散に担持されている。また、これらのカソード触媒層12およびアノード触媒層13中には、電極反応場を大きくするために、水素イオン伝導性のイオノマー成分を加えることが一般的である。
[0059]
 カソードガス拡散層14は、カソード触媒層12上に設けられている。また、カソードガス拡散層14は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。さらに、カソードガス拡散層14は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形に適切に追従するような弾性を備える方が望ましい。なお、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス拡散層14として、カーボン繊維で構成した部材が用いられている。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトなどの多孔性のカーボン繊維シートでもよい。なお、カソードガス拡散層14の基材として、カーボン繊維シートを用いなくもよい。例えば、カソードガス拡散層14の基材として、チタン、チタン合金、ステンレススチールなどを素材とする金属繊維の焼結体、これらを素材とする金属粒子の焼結体などを用いてもよい。
[0060]
 アノードガス拡散層15は、アノード触媒層13上に設けられている。また、アノードガス拡散層15は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。さらに、アノードガス拡散層15は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形を抑制可能な高剛性であることが望ましい。
[0061]
 ここで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、アノードガス拡散層15は、粉末成形体であるカーボン多孔体シートを備える。この粉末成形体は、例えば、カーボン粒子を素材とする焼結体(カーボン粉末焼結体)のシートで構成されていてもよい。
[0062]
 具体的には、例えば、図3に示すように、アノードガス拡散層15は、アノードセパレーター17側の第1表面層15Bがアモルファスカーボンを含むカーボン多孔体シート15Sを備えてもよい。カーボン多孔体シート15Sとして、上記のとおり、カーボン粒子を素材とする焼結体のシートを用いることができる。この場合、カーボン多孔体シート15Sのカーボン粒子は、カーボン結合がアモルファス構造であるアモルファスカーボンで構成される。このようなアモルファスカーボンは、剛性が高い。つまり、カーボン多孔体シート15S中のアモルファスカーボンの比率が高い程、カーボン多孔体シート15Sの剛性が高い。よって、カーボン多孔体シート15Sは、アノードセパレーター17側の第1表面層15Bの剛性が、この第1表面層15Bよりも内側の層15Aの剛性よりも高い。
[0063]
 このように、カーボン多孔体シート15Sは、第1表面層15Bの一方の主面が、アノードセパレーター17の主面と接触するとともに、第1表面層15Bの他方の主面が、内側の層15Aの一方の主面と接触するように構成された積層体である。そして、内側の層15Aの他方の主面がアノード触媒層13と接触している。
[0064]
 なお、アモルファスカーボンとして、例えば、グラッシーカーボン(ガラス状炭素)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などを挙げることができる。
[0065]
 また、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カーボン多孔体シート15Sの全体の厚みTに対して、アノードセパレーター17の主面と接触する剛性が高い層の厚みtは、0<t/T≦1の関係性をもって設定される。つまり、両者の厚みの関係がt/T=1の場合、カーボン多孔体シート15Sの全体がアモルファスカーボンを含む層で構成される。
[0066]
 アノードセパレーター17は、アノード電極AN上に設けられた部材である。カソードセパレーター16は、カソード電極CA上に設けられた部材である。そして、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17のそれぞれの中央部には、凹部が設けられている。これらの凹部のそれぞれに、カソードガス拡散層14およびアノードガス拡散層15がそれぞれ収容されている。
[0067]
 このようにして、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17で上記のMEAを挟むことにより、水素ポンプユニット100Aが形成されている。
[0068]
 カソードガス拡散層14と接触するカソードセパレーター16の主面には、平面視において、例えば、複数のU字状の折り返す部分と複数の直線部分とを含むサーペンタイン状のカソードガス流路32が設けられている。そして、カソードガス流路32の直線部分は、図1Aの紙面に垂直な方向に延伸している。ただし、このようなカソードガス流路32は、例示であって、本例に限定されない。例えば、カソードガス流路は、複数の直線状の流路により構成されていてもよい。
[0069]
 アノードガス拡散層15と接触するアノードセパレーター17の主面には、平面視において、例えば、複数のU字状の折り返す部分と複数の直線部分とを含むサーペンタイン状のアノードガス流路33が設けられている。そして、アノードガス流路33の直線部分は、図2Aの紙面に垂直な方向に延伸している。ただし、このようなアノードガス流路33は、例示であって、本例に限定されない。例えば、アノードガス流路は、複数の直線状の流路により構成されていてもよい。
[0070]
 また、導電性のカソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間には、MEAの周囲を囲むように設けられた環状かつ平板状の絶縁体21が挟み込まれている。これにより、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の短絡が防止されている。
[0071]
 ここで、電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット100Aにおける、積層方向の両端上に設けられた第1端板および第2端板と、水素ポンプユニット100A、第1端板および第2端板を積層方向に締結する締結器25と、を備える。
[0072]
 なお、図1Aおよび図2Aに示す例では、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aがそれぞれ、上記の第1端板および第2端板のそれぞれに対応する。つまり、アノード端板24Aは、水素ポンプユニット100Aの各部材が積層された積層方向において、一方の端に位置するアノードセパレーター17上に設けられた端板である。また、カソード端板24Cは、水素ポンプユニット100Aの各部材が積層された積層方向において、他方の端に位置するカソードセパレーター16上に設けられた端板である。
[0073]
 締結器25は、水素ポンプユニット100A、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aを積層方向に締結することができれば、どのような構成であってもよい。
[0074]
 例えば、締結器25として、ボルトおよび皿ばね付きナットなどを挙げることができる。
[0075]
 このとき、締結器25のボルトは、アノード端板24Aおよびカソード端板24Cのみを貫通するように構成してもよいが、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、かかるボルトは、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材、カソード給電板22C、カソード絶縁板23C、アノード給電板22A、アノード絶縁板23A、アノード端板24Aおよびカソード端板24Cを貫通している。そして、上記の積層方向において他方の端に位置するカソードセパレーター16の端面、および、上記の積層方向において一方の端に位置するアノードセパレーター17の端面をそれぞれ、カソード給電板22Cとカソード絶縁板23Cおよびアノード給電板22Aとアノード絶縁板23Aのそれぞれを介して、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aのそれぞれで挟むようにして、締結器25により水素ポンプユニット100Aに所望の締結圧が付与されている。
[0076]
 以上により、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、3段の水素ポンプユニット100Aが、上記の積層方向において、締結器25の締結圧により積層状態で適切に保持されるとともに、電気化学式水素ポンプ100の各部材を締結器25のボルトが貫通しているので、これらの各部材の面内方向における移動を適切に抑えることができる。
[0077]
 ここで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス拡散層14から流出するカソードガスが流れるカソードガス流路32が連通されている。以下、図面を参照しながら、カソードガス流路32のそれぞれが連通する構成について説明する。
[0078]
 まず、図1Aに示すように、カソードガス導出マニホールド50は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびカソード端板24Cに設けられた貫通孔、および、アノード端板24Aに設けられた非貫通孔の連なりによって構成されている。また、カソード端板24Cには、カソードガス導出経路26が設けられている。カソードガス導出経路26は、カソード電極CAから排出される水素(H )が流通する配管で構成されていてもよい。そして、カソードガス導出経路26は、上記のカソードガス導出マニホールド50と連通している。
[0079]
 さらに、カソードガス導出マニホールド50は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス流路32の一方の端部と、カソードガス通過経路34のそれぞれを介して連通している。これにより、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス流路32およびカソードガス通過経路34を通過した水素が、カソードガス導出マニホールド50で合流される。そして、合流された水素がカソードガス導出経路26に導かれる。
[0080]
 このようにして、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス流路32は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス通過経路34およびカソードガス導出マニホールド50を介して連通している。
[0081]
 カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間、カソードセパレーター16およびカソード給電板22Cの間、アノードセパレーター17およびアノード給電板22Aの間には、平面視において、カソードガス導出マニホールド50を囲むように、Oリングなどの環状のシール部材40が設けられ、カソードガス導出マニホールド50が、このシール部材40で適切にシールされている。
[0082]
 図2Aに示す如く、アノード端板24Aには、アノードガス導入経路29が設けられている。アノードガス導入経路29は、アノード電極ANに供給されるアノードガスが流通する配管で構成されていてもよい。なお、このようなアノードガスとして、例えば、水蒸気を含む水素含有ガスなどを挙げることができる。そして、アノードガス導入経路29は、筒状のアノードガス導入マニホールド27に連通している。なお、アノードガス導入マニホールド27は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびアノード端板24Aに設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。
[0083]
 また、アノードガス導入マニホールド27は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33の一方の端部と、第1アノードガス通過経路35のそれぞれを介して連通している。これにより、アノードガス導入経路29からアノードガス導入マニホールド27に供給されたアノードガスは、水素ポンプユニット100Aのそれぞれの第1アノードガス通過経路35を通じて、水素ポンプユニット100Aのそれぞれに分配される。そして、分配されたアノードガスがアノードガス流路33を通過する間に、アノードガス拡散層15からアノード触媒層13にアノードガスが供給される。
[0084]
 また、図2Aに示す如く、アノード端板24Aには、アノードガス導出経路31が設けられている。アノードガス導出経路31は、アノード電極ANから排出されるアノードガスが流通する配管で構成されていてもよい。そして、アノードガス導出経路31は、筒状のアノードガス導出マニホールド30に連通している。なお、アノードガス導出マニホールド30は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびアノード端板24Aに設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。
[0085]
 また、アノードガス導出マニホールド30が、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33の他方の端部と、第2アノードガス通過経路36のそれぞれを介して連通している。これにより、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33を通過したアノードガスが、第2アノードガス通過経路36のそれぞれを通じてアノードガス導出マニホールド30に供給され、ここで合流される。そして、合流されたアノードガスが、アノードガス導出経路31に導かれる。
[0086]
 カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間、カソードセパレーター16およびカソード給電板22Cの間、アノードセパレーター17およびアノード給電板22Aの間には、平面視において、アノードガス導入マニホールド27およびアノードガス導出マニホールド30を囲むようにOリングなどの環状のシール部材40が設けられ、アノードガス導入マニホールド27およびアノードガス導出マニホールド30が、シール部材40で適切にシールされている。
[0087]
 図1Aおよび図2Aに示すように、電気化学式水素ポンプ100は、電圧印加器102を備える。
[0088]
 電圧印加器102は、アノード触媒層13とカソード触媒層12との間に電圧を印加する装置である。具体的には、電圧印加器102の高電位が、アノード触媒層13に印加され、電圧印加器102の低電位が、カソード触媒層12に印加されている。電圧印加器102は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に電圧を印加できれば、どのような構成であってもよい。例えば、電圧印加器102は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に印加する電圧を調整する装置であってもよい。このとき、電圧印加器102は、バッテリ、太陽電池、燃料電池などの直流電源と接続されているときは、DC/DCコンバータを備え、商用電源などの交流電源と接続されているときは、AC/DCコンバータを備える。
[0089]
 また、電圧印加器102は、例えば、水素ポンプユニット100Aに供給する電力が所定の設定値となるように、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に印加される電圧、アノード触媒層13およびカソード触媒層12間に流れる電流が調整される電力型電源であってもよい。
[0090]
 なお、図1Aおよび図2Aに示す例では、電圧印加器102の低電位側の端子が、カソード給電板22Cに接続され、電圧印加器102の高電位側の端子が、アノード給電板22Aに接続されている。カソード給電板22Cは、上記の積層方向において他方の端に位置するカソードセパレーター16と電気的に接触しており、アノード給電板22Aは、上記の積層方向において一方の端に位置するアノードセパレーター17と電気的に接触している。
[0091]
 図示を省略するが、上記の電気化学式水素ポンプ100を備える水素供給システムを構築することもできる。この場合、水素供給システムの水素供給動作において必要となる機器は適宜、設けられる。
[0092]
 例えば、水素供給システムには、アノードガス導出経路31を通じてアノード電極ANから排出される高加湿状態の水素含有のアノードガスと、アノードガス導入経路29を通して外部の水素供給源から供給される低加湿状態の水素含有のアノードガスとが混合された混合ガスの露点を調整する露点調整器(例えば、加湿器)が設けられていてもよい。このとき、外部の水素供給源の水素含有のアノードガスは、例えば、水電解装置で生成されてもよい。
[0093]
 また、水素供給システムには、例えば、電気化学式水素ポンプ100の温度を検出する温度検出器、電気化学式水素ポンプ100のカソード電極CAから排出された水素を一時的に貯蔵する水素貯蔵器、水素貯蔵器内の水素ガス圧を検出する圧力検出器などが設けられていてもよい。
[0094]
 なお、上記の電気化学式水素ポンプ100の構成、および、水素供給システムにおける図示しない様々な機器は例示であって、本例に限定されない。
[0095]
 例えば、アノードガス導出マニホールド30およびアノードガス導出経路31を設けずに、アノードガス導入マニホールド27を通してアノード電極ANに供給するアノードガス中の水素を全てカソード電極CAで昇圧するデッドエンド構造が採用されてもよい。
[0096]
 [動作]
 以下、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作の一例について、図面を参照しながら説明する。
[0097]
 以下の動作は、例えば、図示しない制御器の演算回路が、制御器の記憶回路から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。また、以下では、電気化学式水素ポンプ100のアノード電極ANに、アノードガスとして、水蒸気を含む水素含有ガスが供給される場合について説明する。
[0098]
 まず、電気化学式水素ポンプ100のアノード電極ANに低圧の水素含有ガスが供給されるとともに、電圧印加器102の電圧が電気化学式水素ポンプ100に給電される。
[0099]
 すると、アノード電極ANのアノード触媒層13において、酸化反応で水素分子が水素イオン(プロトン)と電子とに分離する(式(1))。プロトンは電解質膜11内を伝導してカソード触媒層12に移動する。電子は電圧印加器102を通じてカソード触媒層12に移動する。
[0100]
 そして、カソード触媒層12において、還元反応で水素分子が再び生成される(式(2))。なお、プロトンが電解質膜11中を伝導する際に、所定水量の水が、電気浸透水としてアノード電極ANからカソード電極CAにプロトンと同伴して移動することが知られている。
[0101]
 このとき、図示しない流量調整器を用いて、水素導出経路の圧損を増加させることにより、カソード電極CAで生成された水素(H )を昇圧することができる。なお、水素導出経路として、例えば、図2Aのカソードガス導出経路26を挙げることができる。また、流量調整器として、例えば、水素導出経路に設けられた背圧弁、調整弁などを挙げることができる。
[0102]
   アノード電極:H (低圧)→2H +2e    ・・・(1)
   カソード電極:2H +2e →H (高圧)   ・・・(2)
 このようにして、電気化学式水素ポンプ100では、電圧印加器102で電圧を印加することで、アノード電極ANに供給される水素含有ガス中の水素がカソード電極CAにおいて昇圧される。これにより、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作が行われ、カソード電極CAで昇圧された水素は、例えば、図示しない水素貯蔵器に一時的に貯蔵される。また、水素貯蔵器で貯蔵された水素は、適時に、水素需要体に供給される。なお、水素需要体として、例えば、水素を用いて発電する燃料電池などを挙げることができる。
[0103]
 [ラマン分光分析]
 以下、電気化学式水素ポンプ100におけるカーボン多孔体シート15Sのラマン分光法による分析結果の一例について、図面を参照しながら説明する。
[0104]
 <ラマン分光分析装置の仕様>
 カーボン多孔体シート15Sのレーザーラマン分光分析は、以下の仕様のラマン分光分析装置HR-800-UV(HORIBA JOBIN YVON 社製)で行われた。
・測定波数範囲:400~2100cm -1
・光源/波長:Arレーザー/514nm
・レーザーパワー:50mW(レーザー出口付近での強度)
・レーザースポット径:約1μmφ
・回折格子:600gr/mm
・検出器:CCD
 <分析結果>
 図4は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプにおけるカーボン多孔体シートのラマン分光法による分析結果の一例を示す図である。図4のラマンスペクトルの横軸には、エネルギーに比例する単位として波数(波長の逆数)(cm -1)が取られ、縦軸には、散乱光の強度が取られている。
[0105]
 図4のラマンスペクトルは、ガウス分布で分離すると、同図に示すように、ラマンピークが約1600cm -1付近のスペクトル(Gバンド)と、ラマンピークが約1350cm -1付近のスペクトル(D1バンド)と、ラマンピークが約1500cm -1付近のスペクトル(D2バンド)と、ラマンピークが約1200cm -1付近のスペクトル(D3バンド)と、が含まれていることがわかった。
[0106]
 ここで、Gバンドは、結晶状態のカーボンに由来するスペクトルであると考えられる。また、D1バンド、D2バンドおよびD3バンド(以下、Dバンド)は、アモルファス状態のカーボンに由来すると考えられる。つまり、DバンドとGバンドとの間における散乱光強度の積分値(以下、積分強度)の比(D(=D1+D2+D3)/G)が大きいほど、カーボン多孔体シート15Sに含まれるアモルファス状態のカーボン量が多いと考えられる。
[0107]
 そこで、各バンドの積分強度を測定すると、Gバンドでは、1671であり、D1バンドでは、2870であり、D2バンドでは、853であり、D3バンドでは、708であった。
[0108]
 これにより、DバンドとGバンドとの間における積分強度の比(D/G)は、2.651であることがわかる。また、Dバンドのうちの特徴的なラマンピーク(約1350cm -1付近)に対応するD1バンドと、Gバンドとの間における積分強度の比(D1/G)は、1.717であることもわかる。
[0109]
 このように、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カーボン多孔体シート15Sは、ラマン分光分析により、DバンドとGバンドとの間における積分強度の比(D/G)が「1」を超える程度に(D/G>1)、結晶性が低いことが明らかとなった。
[0110]
 以上のとおり、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層15について、金属製のアノードガス拡散層よりもコストを低減しながら、アノードセパレーター17へ座屈する可能性を低減し得る。
[0111]
 具体的には、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シート15Sを粉末成形体で構成することで、例えば、カーボン多孔体シートをカーボン繊維で構成する場合に比べて剛性を上げることができる。
[0112]
 また、アモルファスカーボンを含むカーボン多孔体シート15Sは、従来の金属多孔体で確認された鋭利な部分が比較的少ない。よって、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、このようなカーボン多孔体シート15Sが電解質膜11に押圧されても、従来の金属多孔体に比べて、電解質膜11に損傷を与える可能性を低減することができる。
[0113]
 また、一般的に、カーボン結合がアモルファス構造であるアモルファスカーボンは、カーボン結合が結晶構造であるカーボンに比べて剛性が高い。よって、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シート15Sが、ラマン分光分析によりD/G>1.0であるように、アモルファスカーボンを含むことで、アノードガス拡散層15の剛性が適切に確保される。
[0114]
 また、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シート15Sのアノードセパレーター17側の第1表面層15Bの剛性が、この第1表面層15Bよりも内側の層15Aの剛性よりも高い。このため、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧運転時に発生するカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層15が変形することが抑制される。例えば、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記の差圧によって、アノードセパレーター17に設けられたアノードガス流路33でアノードガス拡散層15が座屈する可能性を低減することができる。
[0115]
 (第1実施例)
 第1実施例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカーボン多孔体シート15Sの構成以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
[0116]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、カーボン多孔体シート15Sは、アノードセパレーター17側の第1表面層15Bの気孔率が、この第1表面層15Bよりも内側の層15Aの気孔率よりも低い。
[0117]
 なお、上記の気孔率は、例えば、水銀ポロシメータ(商品名:オートポアIII9410、株式会社島津製作所製)で評価可能である。この装置は、細孔への水銀の圧入を利用して、数nm~500μm程度の気孔径を有する気孔の容積を測定することができる。そして、第1表面層15Bおよび内側の層15Aのそれぞれの気孔の容積と固体部分とから、これらの気孔率を知ることができる。
[0118]
 ここで、カーボン多孔体シート15Sが、例えば、カーボン粒子を素材とする焼結体である場合、カーボン多孔体シート15Sの気孔率が低い程、カーボン多孔体シート15Sを構成するカーボン粒子同士のネッキング(粒子間の結合)が増加する。すると、カーボン多孔体シート15Sの剛性を向上させることができる。これにより、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シート15Sのアノードセパレーター17側の第1表面層15Bの剛性を向上させることができる。その結果、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧運転時に発生するカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧によって、アノードガス拡散層15が変形することが抑制される。例えば、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の差圧によって、アノードセパレーター17に設けられたアノードガス流路33でアノードガス拡散層15が座屈する可能性を低減することができる。
[0119]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
[0120]
 (第2実施例)
 第2実施例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカーボン多孔体シート15Sの構成以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
[0121]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、図5に示すように、カーボン多孔体シート15Sの第1表面層15Bよりも内側の層15Aが、カーボン多孔体シート15Sの厚み方向の中間に位置する中間層であってもよい。よって、この中間層の剛性は、アノードセパレーター17側の第1表面層15Bの剛性よりも低い。この場合、中間層は、例えば、カーボン結合が結晶構造であるカーボンで構成されていてもよい。また、カーボン多孔体シート15Sが、例えば、カーボン粒子を素材とする焼結体である場合、中間層の気孔率が、第1表面層15Bの気孔率よりも高くてもよい。
[0122]
 また、本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、図5に示すように、カーボン多孔体シート15Sは、アノード触媒層13側の第2表面層15Cの剛性が、第2表面層15Cよりも内側の層15A(中間層)の剛性よりも高い。この場合、カーボン多孔体シート15Sは、アノード触媒層13側の第2表面層15Cの気孔率が、第2表面層15Cよりも内側の層15A(中間層)の気孔率よりも低くてもよい。
[0123]
 以上の気孔率は、例えば、水銀ポロシメータ(商品名:オートポアIII9410、株式会社島津製作所製)で評価可能である。
[0124]
 ここで、カーボン多孔体シート15Sが、例えば、カーボン粒子を素材とする焼結体である場合、カーボン多孔体シート15Sの気孔率が低い程、カーボン多孔体シート15Sを構成するカーボン粒子同士のネッキング(粒子間の結合)が増加する。すると、カーボン多孔体シート15Sの剛性を向上させることができる。これにより、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、アノードセパレーター17側の第1表面層15Bおよびアノード触媒層13側の第2表面層15Cの剛性を向上させることができる。その結果、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧運転時に発生するカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧によって、アノードガス拡散層15が変形することが抑制される。例えば、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の差圧によって、アノードセパレーター17に設けられたアノードガス流路33でアノードガス拡散層15が座屈する可能性を低減することができる。
[0125]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態または第1実施形態の第1実施例の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
[0126]
 (第3実施例)
 図6は、第1実施形態の第3実施例の電気化学式水素ポンプにおけるカーボン多孔体シートの気孔率の測定値の一例を示す図である。
[0127]
 まず、図6(a)では、厚みが約250μmのカーボン多孔体シートの気孔率を、例えば、水銀ポロシメータ(商品名:オートポアIII9410、株式会社島津製作所製)で測定したところ、この気孔率は、約29%であった。
[0128]
 次に、図6(a)のカーボン多孔体シートの一方の主面を、図6(b)に示すように、約50μm程度、厚み方向に研磨した(片面研磨)。そして、図6(b)では、厚みが約200μmのカーボン多孔体シートの気孔率を、例えば、水銀ポロシメータ(商品名:オートポアIII9410、株式会社島津製作所製)で測定したところ、この気孔率は、約32%であった。
[0129]
 次に、図6(b)のカーボン多孔体シートの他方の主面を、図6(c)に示すように、約50μm程度、厚み方向にさらに研磨した(両面研磨)。そして、図6(c)では、厚みが約150μmのカーボン多孔体シートの気孔率を、例えば、水銀ポロシメータ(商品名:オートポアIII9410、株式会社島津製作所製)で測定したところ、この気孔率は、約34%であった。
[0130]
 以上のカーボン多孔体シートの気孔率の測定結果から、図6(a)のカーボン多孔体シートには、気孔率が大きい中間層と気孔率が小さい表面層とが混在することがわかる。つまり、図6(a)のカーボン多孔体シートは、第2実施例(図5)に示す如く、第1表面層15B、内側の層15A(中間層)および第2表面層15Cを備えるカーボン多孔体シート15Sであってもよい。
[0131]
 なお、このカーボン多孔体シートが、例えば、カーボン粒子を素材とする焼結体である場合、気孔率が大きい中間層は、カーボン粒子が低密度の領域に相当する。気孔率が小さい表面層は、カーボン粒子が高密度の領域に相当する。
[0132]
 なお、気孔率の大小が中間層と表面層とで異なるカーボン多孔体シートは、例えば、所望の温度および所望の圧力で焼結された圧紛体であってもよいが、これに限定されない。このようなカーボン多孔体シートは、表面層のカーボン粒子の粒子径を、中間層のカーボン粒子の粒子径よりも小さくすることで形成することもできる。
[0133]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果は、第2実施例の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果と同様であるので説明を省略する。
[0134]
 また、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第2実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
[0135]
 (第4実施例)
 第4実施例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカーボン多孔体シート15Sの構成以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
[0136]
 まず、カーボン多孔体シート15Sへの厚み方向に対する圧縮強度が16MPaまたは60MPaである場合において、カーボン多孔体シート15Sの気孔率、曲げ強度および厚み方向のヤング率を測定したところ、以下の値が得られた。
[0137]
 上記の気孔率の測定は、水銀ポロシメータ(商品名:オートポアIII9410、株式会社島津製作所製)で行った。また、上記の曲げ強度およびヤング率の測定はそれぞれ、JIS規格 R1601「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」およびJIS規格 R1602「ファインセラミックスの弾性率試験方法」に記載の3点曲げ試験によって行った。なお、ヤング率の測定は、曲げ試験での応力―ひずみ曲線の直線領域で算出した。
[0138]
 <圧縮強度が16MPaの場合>
・気孔率:47%
・曲げ強度:8MPa
・ヤング率:1.5GPa
 <圧縮強度が60MPaの場合>
・気孔率:33%
・曲げ強度:30MPa
・ヤング率:13GPa
 ここで、カーボン多孔体シート15Sへの厚み方向に対する圧縮強度と、カーボン多孔体シート15Sの曲げ強度およびヤング率とは、直線的な傾向が強い正の相関関係があると考えられる。また、カーボン多孔体シート15Sへの厚み方向に対する圧縮強度と、カーボン多孔体シート15Sの気孔率とは、直線的な傾向が強い負の相関関係があると考えられる。
[0139]
 そこで、カーボン多孔体シート15Sへの厚み方向に対する圧縮強度が所望の値(例えば、20MPa)の場合における、カーボン多孔体シート15Sの破損を抑制するために必要な気孔率の上限値、曲げ強度の下限値および厚み方向のヤング率の下限値を、上記の測定データの直線近似から算出すると、それぞれ45%、10MPaおよび2.5GPaであることがわかる。
[0140]
 つまり、本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、カーボン多孔体シート15Sは、少なくともアノードセパレーター17側の第1表面層15Bの厚み方向のヤング率が、2.5GPa以上であってもよい。また、カーボン多孔体シート15Sは、少なくともアノードセパレーター17側の第1表面層15Bの曲げ強度が、10MPa以上であってもよい。これらの場合、カーボン多孔体シート15Sは、少なくともアノードセパレーター17側の第1表面層15Bの気孔率が、45%以下である。なお、このとき、カーボン多孔体シート15Sは、少なくともアノード触媒層13側の第2表面層15Cの気孔率が、45%以下であってもよい。
[0141]
 以上により、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シート15Sへの厚み方向に対する圧縮強度が、所望の値(例えば、20MPa)において、アノードセパレーター17側の第1表面層15Bの厚み方向のヤング率が2.5GPa未満である場合に比べて、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧運転時に発生するカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層15が変形することが抑制される。また、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、アノードセパレーター17側の第1表面層15Bの曲げ強度が10MPa未満である場合に比べて、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧運転時に発生するカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層15が変形することが抑制される。例えば、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の差圧によって、アノードセパレーター17に設けられたアノードガス流路33でアノードガス拡散層15が座屈する可能性を低減することができる。
[0142]
 なお、カーボン多孔体シート15Sへの厚み方向に対する圧縮強度が約20MPa程度であると、このようなカーボン多孔体シート15Sを備える電気化学式水素ポンプ100は、様々な用途に利用することができる。例えば、電気化学式水素ポンプ100は、トラックなどで輸送する小型の水素容器に、約15MPa程度で水素を充填する際に使用することができる。また、電気化学式水素ポンプ100は、トラックまたはユニック車などで輸送する、複数本の水素容器がまとめて固定された水素カードルに、約15MPa程度または約20MPa程度で水素を充填する際にも使用することができる。
[0143]
 また、カーボン多孔体シート15Sへの厚み方向に対する圧縮強度が所望の値(例えば、40MPa)の場合における、カーボン多孔体シート15Sの破損を抑制するために必要な気孔率の上限値、曲げ強度の下限値および厚み方向のヤング率の下限値を、上記の測定データの直線近似から算出すると、それぞれ39%、20MPaおよび7.8GPaであることがわかる。
[0144]
 つまり、本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、カーボン多孔体シート15Sは、少なくともアノードセパレーター17側の第1表面層15Bの厚み方向のヤング率が、7.8GPa以上であってもよい。また、カーボン多孔体シート15Sは、少なくともアノードセパレーター17側の第1表面層15Bの曲げ強度が、20MPa以上であってもよい。これらの場合、カーボン多孔体シート15Sは、少なくともアノードセパレーター17側の第1表面層15Bの気孔率が、39%以下である。なお、このとき、カーボン多孔体シート15Sは、少なくともアノード触媒層13側の第2表面層15Cの気孔率が、39%以下であってもよい。
[0145]
 以上により、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シート15Sへの厚み方向に対する圧縮強度が、所望の値(例えば、40MPa)において、アノードセパレーター17側の第1表面層15Bの厚み方向のヤング率が7.8GPa未満である場合に比べて、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧運転時に発生するカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層15が変形することが抑制される。また、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、アノードセパレーター17側の第1表面層15Bの曲げ強度が20MPa未満である場合に比べて、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧運転時に発生するカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧(高圧)によって、アノードガス拡散層15が変形することが抑制される。例えば、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の差圧によって、アノードセパレーター17に設けられたアノードガス流路33でアノードガス拡散層15が座屈する可能性を低減することができる。
[0146]
 なお、カーボン多孔体シート15Sへの厚み方向に対する圧縮強度が約40MPa程度であると、このようなカーボン多孔体シート15Sを備える電気化学式水素ポンプ100は、様々な用途に利用することができる。例えば、電気化学式水素ポンプ100は、フォークリフトまたは燃料電池車用の水素供給設備において、水素圧縮機として使用することができる。具体的には、電気化学式水素ポンプ100は、例えば、約15MPa程度で水素が充填された水素容器から、約40MPa程度の高圧水素を水素蓄圧器に供給する際に使用することができる。
[0147]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第3実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
[0148]
 (第5実施例)
 第5実施例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカーボン多孔体シート15Sの構成以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
[0149]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、カーボン多孔体シート15Sのピーク気孔径が、電解質膜11の膜厚よりも小さい。電解質膜11の膜厚は、例えば、約20μm~約50μm程度であるが、これに限定されない。
[0150]
 なお、上記のピーク気孔径は、例えば、水銀ポロシメータ(商品名:オートポアIII9410、株式会社島津製作所製)で評価可能である。この装置は、細孔への水銀の圧入を利用して、数nm~500μm程度の気孔径の分布を測定することができる。そして、この気孔径分布からピーク気孔径を知ることができる。
[0151]
 仮に、カーボン多孔体シート15Sのピーク気孔径が電解質膜11の膜厚以上である場合、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧運転時に発生するカソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧によって、電解質膜11がカーボン多孔体シート15Sの気孔内に落ち込むことに起因して電解質膜11が破断する可能性がある。しかし、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シート15Sのピーク気孔径を電解質膜11の膜厚よりも小さくすることで、このような可能性を低減することができる。
[0152]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第4実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
[0153]
 (第6実施例)
 第6実施例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカーボン多孔体シート15Sの構成以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
[0154]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100では、カーボン多孔体シート15Sの全体の気孔率が20%以上である。
[0155]
 なお、上記の気孔率は、例えば、水銀ポロシメータ(商品名:オートポアIII9410、株式会社島津製作所製)で評価可能である。この装置は、細孔への水銀の圧入を利用して、数nm~500μm程度の気孔径を有する気孔の容積を測定することができる。そして、カーボン多孔体シート15Sの全体の気孔の容積と固体部分とから、この気孔率を知ることができる。
[0156]
 仮に、カーボン多孔体シート15Sの全体の気孔率が20%未満である場合、アノードガス拡散層15のアノード触媒層13へのガス拡散性を適切に確保できない恐れがある。しかし、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、カーボン多孔体シート15Sの全体の気孔率を20%以上にすることで、アノードガス拡散層15において外部と通じた気孔(連通孔)が形成されやすくなるので、アノードガス拡散層15のアノード触媒層13へのガス拡散性が確保される。これにより、アノードセパレーター17からのアノードガスを、アノードガス拡散層15を通じてアノード触媒層13に適切に供給することができる。
[0157]
 本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第5実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
[0158]
 (第2実施形態)
 第2実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層15のアノード触媒層13側の第2表面層15Cが撥水性であること以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
[0159]
 電気化学式水素ポンプ100のアノード電極ANおよびカソード電極CA間に電流が流れるとき、プロトンがアノード電極ANからカソード電極CAに水を同伴しながら電解質膜11を移動する。このとき、アノード電極ANからカソード電極CAに移動した水(電気浸透水)は、電気化学式水素ポンプ100の動作温度が所定温度以上の場合、水蒸気として存在するが、カソード電極CAの水素ガス圧が高圧になる程、液体の水として存在する割合が増加する。そして、カソード電極CAに液体の水が存在する場合、かかる水の一部は、カソード電極CAおよびアノード電極AN間の差圧によってアノード電極ANに押し戻される。このとき、アノード電極ANに押し戻される水の量は、カソード電極CAの水素ガス圧が高圧になる程、増加する。すると、カソード電極CAの水素ガス圧が上昇するに連れて、アノード電極ANに押し戻された水によってアノード電極ANのフラディングが発生しやすくなる。そして、このようなフラディングが発生することにより、アノード電極ANでガス拡散性が阻害される場合、電気化学式水素ポンプ100の拡散抵抗が増加することで、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作の効率が低下する恐れがある。
[0160]
 そこで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層15のアノード触媒層13側の第2表面層15Cを撥水性にすることで、アノード電極ANに押し戻された水をアノードガスの流れによって速やかに外部に排出するように構成されている。よって、フラディングの発生が抑制され、その結果、アノード電極ANでガス拡散性を適切に維持することができる。
[0161]
 なお、アノードガス拡散層15が、カーボン粒子を素材とする焼結体である場合、この焼結体に、フッ素系樹脂などの撥水性樹脂を含む材料を塗布することで、アノードガス拡散層15のアノード触媒層13側の第2表面層15Cのカーボン粒子に撥水性を発現させてもよい。また、上記の焼結体に、このような撥水性樹脂を含む材料を含浸させることで、アノードガス拡散層15のアノード触媒層13側の第2表面層15Cのカーボン粒子に撥水性を発現させてもよい。
[0162]
 撥水性樹脂を含む材料として、例えば、PTFEの微粉末を溶媒に分散させた溶液などを挙げることができる。また、撥水性樹脂を含む材料の塗布方法として、例えば、スプレー塗布法などを挙げることができる。
[0163]
 ただし、以上の撥水性の第2表面層15Cの形成方法および構成は例示であって、本例に限定されない。
[0164]
 本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第6実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
[0165]
 (第3実施形態)
 第3実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層15のアノードセパレーター17側の第1表面層15Bが親水性である以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
[0166]
 一般に、電解質膜11は、高温および高加湿の条件(例えば、約60℃程度)で、プロトン伝導率が上がり、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作の効率が向上する。また、上記のとおり、電気化学式水素ポンプ100のアノード電極ANとカソード電極CAとの間に電流が流れるとき、プロトンがアノード電極ANからカソード電極CAに水を同伴しながら電解質膜11を移動する。そして、アノード電極ANからカソード電極CAに移動した電気浸透水の一部は、カソード電極CAから高圧の水素ガスとともに外部へ排出される。
[0167]
 ここで、アノード電極ANとカソード電極CAとの間を流れる電流密度が大きくなると、電気浸透水の量が増加するとともに、カソード電極CA外に排出される電気浸透水の量が増加する。この場合、電気化学式水素ポンプ100の電解質膜11が乾燥しやすくなるので、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作の効率が低下する恐れがある。
[0168]
 そこで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層15のアノードセパレーター17側の第1表面層15Bを親水性にすることで、この第1表面層15Bに保水機能を付与するように構成されている。よって、アノードガス拡散層15を通じてアノードガス中の水分を電解質膜11に供給しやすくなるので、電気化学式水素ポンプ100の電解質膜11が乾燥する可能性を低減することができる。
[0169]
 なお、アノードガス拡散層15が、カーボン粒子を素材とする焼結体である場合、このカーボン粒子に、例えば、薬剤、電解酸化、オゾン、酸素プラズマなどの処理を行い、例えば、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基など含酸素官能基を設けることで、かかるカーボン粒子に親水性を発現させることができる。
[0170]
 ただし、以上の親水性の第1表面層15Bの形成方法および構成は例示であって、本例に限定されない。
[0171]
 本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第6実施例および第2実施形態のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
[0172]
 なお、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第6実施例、第2実施形態および第3実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。例えば、電気化学式水素ポンプ100は、アノードガス拡散層15のアノード触媒層13側の第2表面層15Cを撥水性にするとともに、アノードガス拡散層15のアノードセパレーター17側の第1表面層15Bを親水性にしてもよい。
[0173]
 上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更することができる。

産業上の利用可能性

[0174]
 本開示の一態様は、アノードガス拡散層について、金属製のアノードガス拡散層よりもコストを低減し得る電気化学式水素ポンプに利用することができる。

符号の説明

[0175]
11      :電解質膜
12      :カソード触媒層
13      :アノード触媒層
14      :カソードガス拡散層
15      :アノードガス拡散層
15A     :内側の層
15B     :第1表面層
15C     :第2表面層
15S     :カーボン多孔体シート
16      :カソードセパレーター
17      :アノードセパレーター
21      :絶縁体
22A     :アノード給電板
22C     :カソード給電板
23A     :アノード絶縁板
23C     :カソード絶縁板
24A     :アノード端板
24C     :カソード端板
25      :締結器
26      :カソードガス導出経路
27      :アノードガス導入マニホールド
29      :アノードガス導入経路
30      :アノードガス導出マニホールド
31      :アノードガス導出経路
32      :カソードガス流路
33      :アノードガス流路
34      :カソードガス通過経路
35      :第1アノードガス通過経路
36      :第2アノードガス通過経路
40      :シール部材
42      :シール部材
43      :シール部材
50      :カソードガス導出マニホールド
100     :電気化学式水素ポンプ
100A    :水素ポンプユニット
102     :電圧印加器
AN      :アノード電極
CA      :カソード電極

請求の範囲

[請求項1]
 電解質膜と、
 前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード電極と、
 前記電解質膜の他方の主面上に設けられたカソード電極と、
 前記アノード電極上に設けられたアノードセパレーターと、
 を備え、
 前記アノード電極は、前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード触媒層と、前記アノード触媒層上に設けられたアノードガス拡散層とを備え、
 前記アノードガス拡散層は、粉末成形体であるカーボン多孔体シートを備える、電気化学式水素ポンプ。
[請求項2]
 電解質膜と、
 前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード電極と、
 前記電解質膜の他方の主面上に設けられたカソード電極と、
 前記アノード電極上に設けられたアノードセパレーターと、
 を備え、
 前記アノード電極は、前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード触媒層と、前記アノード触媒層上に設けられたアノードガス拡散層とを備え、
 前記アノードガス拡散層は、アノードセパレーター側の第1表面層がアモルファスカーボンを含むカーボン多孔体シートを備え、
 前記カーボン多孔体シートは、ラマン分光分析によりD/G>1.0である、電気化学式水素ポンプ。
[請求項3]
 前記カーボン多孔体シートは、少なくとも前記アノードセパレーター側の第1表面層の厚み方向のヤング率が、2.5GPa以上である、請求項1または2に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項4]
 前記カーボン多孔体シートは、少なくとも前記アノードセパレーター側の第1表面層の厚み方向のヤング率が、7.8GPa以上である、請求項1または2に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項5]
 前記カーボン多孔体シートは、少なくとも前記アノードセパレーター側の第1表面層の曲げ強度が、10MPa以上である、請求項1または2に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項6]
 前記カーボン多孔体シートは、少なくとも前記アノードセパレーター側の第1表面層の曲げ強度が、20MPa以上である、請求項1または2に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項7]
 前記カーボン多孔体シートは、少なくとも前記アノードセパレーター側の第1表面層の気孔率が、45%以下である、請求項1、2、3および5のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項8]
 前記カーボン多孔体シートは、少なくとも前記アノードセパレーター側の第1表面層の気孔率が、39%以下である、請求項1、2、4および6のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項9]
 前記カーボン多孔体シートは、前記アノード触媒層側の第2表面層の気孔率が、45%以下である、請求項7に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項10]
 前記カーボン多孔体シートは、前記アノード触媒層側の第2表面層の気孔率が、39%以下である、請求項8に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項11]
 前記カーボン多孔体シートは、前記アノードセパレーター側の第1表面層の剛性が、前記第1表面層よりも内側の層の剛性よりも高い請求項1から10のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項12]
 前記カーボン多孔体シートは、前記アノード触媒層側の第2表面層の剛性が、前記第2表面層よりも内側の層の剛性よりも高い請求項11に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項13]
 前記カーボン多孔体シートは、前記アノードセパレーター側の第1表面層の気孔率が、前記第1表面層よりも内側の層の気孔率よりも低い請求項1から12のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項14]
 前記カーボン多孔体シートは、前記アノード触媒層側の第2表面層の気孔率が、前記第2表面層よりも内側の層の気孔率よりも低い請求項13に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項15]
 前記カーボン多孔体シートのピーク気孔径が、前記電解質膜の膜厚よりも小さい請求項1から14のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項16]
 前記カーボン多孔体シート全体の気孔率が20%以上である請求項1から15のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項17]
 前記アノードガス拡散層は、前記アノード触媒層側の第2表面層が撥水性である請求項1から16のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
[請求項18]
 前記アノードガス拡散層は、前記アノードセパレーター側の第1表面層が親水性である請求項1から17のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]