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1. WO2020129466 - シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法および結晶

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明 細 書

発明の名称 シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法および結晶

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035  

実施例

0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法および結晶

技術分野

[0001]
 本発明は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法および結晶に関する。

背景技術

[0002]
 シクロヘキサントリカルボン酸無水物は、塗料、接着剤、成形品、半導体の封止剤用樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化剤、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等の原料や改質剤あるいは変性剤、可塑剤や潤滑油原料、医農薬中間体、塗料用樹脂原料、トナー用樹脂等として有用であることが知られている。
[0003]
 シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶としては、特許文献1に記載がある。具体的には、水を用いた晶析によりcis,cis-1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸とtrans,trans-1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸の混合物から、trans,trans-1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸を分離することを特徴とするtrans,trans-1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸-1,2-無水物の製造方法が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2013-056856号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 ここで、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を製造する場合、原料となる溶解状態のシクロヘキサントリカルボン酸無水物を、モノカルボン酸の存在下で、冷却して、晶析させることが考えられる。そして、通常は、晶析した後、固体と液体を分離し、得られた結晶(Wet晶)を乾燥させて結晶(Dry晶)を得る。しかしながら、Wet晶は、結晶の表面に液体が残存しており、特に、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を大量生産する場合には、Wet晶の表面の液体が多いと以下の問題点がある。
 すなわち、Wet晶を加熱して乾燥させる際、表面に溶媒が多く付着していると、乾燥中に溶媒への基質の溶解が進行してしまう。そうすると、Wet晶の粉体が大きな塊となってしまう。そして、Wet晶の表面積減少に伴い乾燥効率が著しく低下し、さらに、得られる、Dry晶(乾燥品)が大きな塊状となるため取り扱い性も低下してしまう。
 上記のような不具合を回避する方法として低温での乾燥が考えられるが、低温での乾燥では乾燥速度が低下するため生産性が低下してしまう。
 よって、上記の問題を軽減するためにWet晶の含液率を低下させることは非常に重要な項目となる。
 本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、Wet晶の状態のときに、表面の液体量が少ない結晶が得られる、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法、ならびに、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 かかる状況の下、本発明者が検討を行った結果、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、20℃で液体であるモノカルボン酸0~100質量%と前記20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物100~0質量%を含む溶媒(但し、前記モノカルボン酸とモノカルボン酸無水物の合計が100質量%を超えることは無い)が存在する晶析系で晶析させることを含むシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法であって、前記晶析系は、晶析開始時において、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の晶析後の母液由来の成分を含み、前記晶析系の晶析開始時の組成が下記式(1)で表される化合物0.20質量部超1.00質量部以下に対し、前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物5.0~49.9質量部および前記溶媒50~95.0質量部の割合となるように各成分を添加することを含み、前記晶析系を冷却して晶析させることを含む、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法;
式(1)
[化1]


式(1)中、nは0~4の整数である。
<2>前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物が、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物である、<1>に記載の結晶の製造方法。
<3>前記式(1)で表される化合物において、nが1~3の整数である、<1>または<2>に記載の結晶の製造方法。
<4>前記式(1)で表される化合物が、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の結晶の製造方法。
<5>前記溶媒が、20℃で液体であるモノカルボン酸50~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物0~50質量%を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の結晶の製造方法。
<6>前記モノカルボン酸が酢酸である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の結晶の製造方法。
<7>前記晶析前に、シクロヘキサントリカルボン酸を、20℃で液体であるモノカルボン酸0~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物100~0質量%を含む溶媒(但し、前記モノカルボン酸とモノカルボン酸無水物の合計が100質量%を超えることは無い)に添加して前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物を得ることを含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の結晶の製造方法。
<8>前記晶析後、母液と、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を分離することを含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の結晶の製造方法。
<9>前記分離したシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を乾燥することを含む、<8>に記載の結晶の製造方法。
<10>前記分離したシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶であって、乾燥前の結晶の下記式で表される含液率が8.5質量%以下である、<9>に記載の結晶の製造方法:
含液率(%)=[(乾燥前の結晶の質量-乾燥後の結晶の質量)/乾燥前の結晶の質量]×100
上記乾燥は、130℃で12時間加熱したことをいう。
<11>前記結晶が、式(1)で表される化合物を0.025~0.1質量%含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載の結晶の製造方法。
<12>シクロヘキサントリカルボン酸無水物を主成分とし、下記式(1)で表される化合物を0.025~0.1質量%含む、結晶;
式(1)
[化2]


式(1)中、nは0~4の整数である。
<13>前記結晶の下記式で表される含液率が9.4質量%以下である、<12>に記載の結晶;
含液率(%)=[(乾燥前の結晶の質量-乾燥後の結晶の質量)/乾燥前の結晶の質量]×100
上記乾燥は、130℃で12時間加熱したことをいう。
<14><1>~<11>のいずれか1つに記載の製造方法で得られた結晶である、<12>または<13>に記載の結晶。

発明の効果

[0007]
 本発明により、Wet晶の状態のときに、表面の液体量が少ない結晶が得られる、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法、ならびに、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を提供可能になった。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 本発明のシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法の一例を示すスキームである。
[図2] 実施例における各成分の分析方法を示すスキームである。
[図3] 実施例における、晶析系内の初期のMeHHPA(4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物)の量とWet晶中の含液率の関係を示すグラフである。
[図4] 実施例におけるDry晶中のMeHHPAの量とWet晶中の含液率の関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
 本発明のシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、20℃で液体であるモノカルボン酸0~100質量%と前記20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物100~0質量%を含む溶媒(但し、前記モノカルボン酸とモノカルボン酸無水物の合計が100質量%を超えることは無い)が存在する晶析系で晶析させることを含むシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法であって、前記晶析系は、晶析開始時において、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の晶析後の母液由来の成分を含み、前記晶析系の晶析開始時の組成が、下記式(1)で表される化合物0.20質量部超1.00質量部以下に対し、前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物5.0~49.9質量部および前記溶媒50~95.0質量部の割合となるように各成分を添加することを含み、前記晶析系を冷却して晶析させることを含むことを特徴とする。
式(1)
[化3]


式(1)中、nは0~4の整数である。
[0010]
 このような構成とすることにより、得られるWet晶中の含液率を低くすることができる。
 ここで、Wet晶とは、晶析し、母液と分離した後、乾燥前の結晶をいい、乾燥後の結晶であるDry晶と区別される。また、本発明における結晶は、特に述べない限り、Wet晶とDry晶の両方を含む趣旨である。
 本発明の結晶の製造方法で得られる結晶は、Wet晶の状態で含液率が低い。そのため、上述した問題点を回避できる。また、得られる結晶には、一定量のMeHHPAが含まれる点で、従来とは多少異なるものとなる。
 以下、図1に示すスキームに従って、本発明の結晶の製造方法について説明する。尚、以下の工程のすべてが本発明の製造方法において、必須でないことは言うまでもない。
[0011]
<シクロヘキサントリカルボン酸無水物を得る工程(無水化工程)>
 晶析前のシクロヘキサントリカルボン酸無水物を得る方法は公知の方法を採用できる。好ましい一実施形態として、図1に示すように、シクロヘキサントリカルボン酸(H-TMA)を、20℃で液体であるモノカルボン酸(例えば、酢酸)0~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物(例えば、無水酢酸)100~0質量%を含む溶媒(但し、モノカルボン酸とモノカルボン酸無水物の合計が100質量%を超えることは無い)に添加してシクロヘキサントリカルボン酸無水物を得る形態が挙げられる。
[0012]
 シクロヘキサントリカルボン酸は、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸が好ましい。
 これらのシクロヘキサントリカルボン酸は、シス体でも、トランス体でも、混合物であってもよい。本発明では、少なくともシス体を含むことが好ましく、シクロヘキサントリカルボン酸の90質量%以上がシス体であることが好ましい。
[0013]
 溶媒は、上述の通り、20℃で液体であるモノカルボン酸0~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物100~0質量%を含むことが好ましい。溶媒は、モノカルボン酸50~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物0~50質量%を含むことが好ましく、モノカルボン酸60~90質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物10~40質量%を含むことがより好ましい。
 20℃で液体であるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸が例示され、酢酸が好ましい。
 20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物としては、上記モノカルボン酸の無水物(無水モノカルボン酸)が好ましい。特に、モノカルボン酸とモノカルボン酸の無水物を組み合わせる場合、モノカルボン酸の無水物は、併用するモノカルボン酸の無水物であることが好ましい。
 モノカルボン酸の無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸が例示され、無水酢酸が好ましい。
[0014]
 本発明では、シクロヘキサントリカルボン酸の無水化に際し、モノカルボン酸およびモノカルボン酸無水物以外の他の溶媒を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。他の溶媒を含む場合、沸点50℃以上の炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪酸系溶媒が例示される。他の溶媒を含む場合、その含有量は、モノカルボン酸およびモノカルボン酸無水物の合計に対し、1~100質量%であることが好ましい。また、本発明では、モノカルボン酸およびモノカルボン酸無水物以外の他の溶媒を実質的に含まない構成とすることもできる。実質的に含まないとは、他の溶媒が溶媒全量の1質量%未満であることをいい、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。
[0015]
 シクロヘキサントリカルボン酸の無水化には、シクロヘキサントリカルボン酸100質量部に対し、前記溶媒が合計で200~800質量部であることが好ましく、300~700質量部であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、晶析操作により得られる製品の純度と収率を共に高くすることができる。
 本発明では、シクロヘキサントリカルボン酸、モノカルボン酸、モノカルボン酸の無水物、他の溶媒について、それぞれ1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0016]
 シクロヘキサントリカルボン酸の無水化に際し、母液を添加した状態で無水化反応を進行させることが好ましい。母液の量は、後述する晶析工程の開始時において、晶析系中に含まれる量が、式(1)で表される化合物0.20質量部超1.00質量部以下に対し、シクロヘキサントリカルボン酸無水物5.0~49.9質量部および前記溶媒50~95.0質量部の割合となるように調整する限り、特に定めるものではない。
[0017]
 シクロヘキサントリカルボン酸の無水化に際し、温度は、昇温して定常状態になった後の温度(反応温度)が、80~150℃であることが好ましく、90~140℃であることがより好ましく、95~130℃であることが特に好ましい。また、シクロヘキサントリカルボン酸の無水化に際し、撹拌することが好ましい。また、定常状態になってからの反応時間が10分~4時間が好ましく、1~3時間がより好ましい。
 無水化に際し、触媒を用いてもよいし、触媒を用いなくてもよい。触媒を用いる場合、モレキュラーシーブが例示される。
[0018]
 シクロヘキサントリカルボン酸の無水化率は、90質量%以上であることが好ましく、93質量%以上であることがより好ましい。無水化率は、後述する実施例に記載の方法で測定される。
[0019]
<晶析工程>
 本発明では、シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、20℃で液体であるモノカルボン酸0~100質量%と前記20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物100~0質量%を含む溶媒(但し、前記モノカルボン酸とモノカルボン酸無水物の合計が100質量%を超えることは無い)が存在する晶析系で晶析させることを含む。
 前記晶析系は、晶析開始時において、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の晶析後の母液由来の成分を含み、前記晶析系の晶析開始時(以下、「初期状態」ということがある)の組成が、下記式(1)で表される化合物0.20質量部超1.00質量部以下に対し、前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物5.0~49.9質量部および前記溶媒50~95.0質量部の割合となるように各成分を添加することを含む。そして、前記晶析系を冷却して晶析させる。通常は、上記無水化工程後の反応液をそのまま冷却する。このような構成とすることにより、Wet結晶の含液率を低くすることができる。
 本発明における晶析系は、初期状態では、母液由来の成分、式(1)で表される化合物、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、溶媒が含まれる。ただし、式(1)で表される化合物、シクロヘキサントリカルボン酸無水物および溶媒の一部は、母液由来の成分であってもよい。本発明では、晶析開始時に、各成分が上述の割合となるように各成分が添加されていればよい。また、本発明における反応系は、触媒等の他の成分を含んでいてもよい。
[0020]
<<式(1)で表される化合物>>
 本発明では、晶析系に式(1)で表される化合物が存在する。前記化合物が存在することにより、結晶化を促進すると推測される。さらに、式(1)で表される化合物は、構造を制御していると推測される。結果として、得られるWet晶の含液率が低下すると考えられる。
式(1)
[化4]


式(1)中、nは0~4の整数である。
 式(1)で表される化合物において、nが1~4の整数であることが好ましく、1~3の整数であることがより好ましく、1または2であることがさらに好ましく、1であることが一層好ましい。
[0021]
 式(1)で表される化合物としては、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物が好ましい。
[0022]
<<シクロヘキサントリカルボン酸無水物>>
 シクロヘキサントリカルボン酸無水物は、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物が好ましい。
 これらのシクロヘキサントリカルボン酸無水物は、シス体でも、トランス体でも、混合物であってもよい。本発明では、少なくともシス体を含むことが好ましい。シクロヘキサントリカルボン酸無水物におけるシス体の割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましい。上限としては、シス体の割合が99.9質量%以下であることが好ましい。シス体比率が高い方が、収率が向上する傾向にあり好ましい。
[0023]
<<溶媒>>
 溶媒は、20℃で液体であるモノカルボン酸0~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物100~0質量%を含む。溶媒は、モノカルボン酸50~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物0~50質量%を含むことが好ましく、モノカルボン酸60~90質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物10~40質量%を含むことがより好ましい。このようにモノカルボン酸とモノカルボン酸の無水物を併用することにより、母液のリサイクル使用をより安定して行うことが可能になる。
 20℃で液体であるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸が例示され、酢酸が好ましい。
 20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物としては、上記モノカルボン酸の無水物(無水モノカルボン酸)が好ましい。特に、モノカルボン酸とモノカルボン酸の無水物を組み合わせる場合、モノカルボン酸の無水物は、併用するモノカルボン酸の無水物であることが好ましい。
 20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸が例示され、無水酢酸が好ましい。
[0024]
 本発明では、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の晶析に際し、モノカルボン酸およびモノカルボン酸無水物以外の他の溶媒を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。他の溶媒を含む場合、沸点50℃以上の炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪酸系溶媒が例示される。他の溶媒を含む場合、その含有量は、溶媒の1~100質量%であることが好ましい。また、本発明では、モノカルボン酸およびモノカルボン酸無水物以外の他の溶媒を実質的に含まない構成とすることもできる。実質的に含まないとは、他の溶媒が溶媒の1質量%未満であることをいい、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。
 本発明では、シクロヘキサントリカルボン酸無水物を得る工程で用いる溶媒と晶析工程で用いる溶媒の90質量%以上が共通することが好ましく、95質量%以上が共通することがより好ましく、99質量%以上が共通することがさらに好ましい。このような構成とすることにより、生産効率をより向上させることができる。
[0025]
<<他の成分>>
 本発明の製造方法は、晶析系に、式(1)で表される化合物、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、溶媒以外の成分を用いてもよい。具体的には、シクロヘキサントリカルボン酸、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物等が例示される。
[0026]
<<式(1)で表される化合物、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、溶媒の比率>>
 本発明では、初期状態(晶析前の状態)で晶析系中に含まれる式(1)で表される化合物の量が、0.20質量%超1.00質量%以下であることが好ましい。初期状態(晶析前の状態)で晶析系中に含まれる式(1)で表される化合物の量は、好ましくは0.25質量%以上、より好ましくは0.30質量%以上、さらに好ましくは0.34質量%以上、また、好ましくは0.80質量%以下、より好ましくは0.60質量%以下である。また、本発明では、初期状態(晶析前の状態)で晶析系中に含まれる溶媒を除く成分中の式(1)で表される化合物の量は、0.87質量%以上であることが好ましく、0.90質量%以上であることがより好ましい。上限値としては、例えば、3.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以下であることがさらに好ましい。上記式(1)で表される化合物の量とは、母液由来のものやシクロヘキサントリカルボン酸に含まれる不純物由来のものなども含めた合計量である。また、晶析系に新たに式(1)で表される化合物を追加してもよい。本発明では、晶析前の無水化工程に際し、母液を用いることが好ましく、このような形態とすると、式(1)で表される化合物を新たに添加せずとも、晶析系中に含まれる式(1)で表される化合物の量が0.20~1.00質量%となる場合もあろう。
[0027]
 本発明では、初期状態で晶析系中に含まれるシクロヘキサントリカルボン酸無水物の量が、式(1)で表される化合物0.20質量部超1.00質量部以下に対し、10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましく、また、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、系内のシクロヘキサントリカルボン酸無水物量が低すぎることによる釜効率の低下を効果的に防止し、シクロヘキサントリカルボン酸無水物量が高すぎることによる結晶性状の変化に伴う含液率の悪化を効果的に防止することができる。
 本発明では、また、初期状態で晶析系中に含まれる溶媒の量が、式(1)で表される化合物0.20質量部超1.00質量部以下に対し、40質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましく、60質量部以上であることがさらに好ましく、また、90質量部以下であることが好ましく、85質量部以下であることがより好ましく、80質量部以下であることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、Wet晶の含液率をより低下させることができる。前記溶媒は、上述のとおり、20℃で液体であるモノカルボン酸0~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物100~0質量%を含む溶媒全量を意味している。
[0028]
 なお、初期状態の晶析系中において、式(1)で表される化合物、シクロヘキサントリカルボン酸無水物および溶媒の合計は、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが一層好ましく、99質量%以上であることがより一層好ましい。
 また、本発明では、初期状態の晶析系中において、シクロヘキサントリカルボン酸が存在していてもよい。
[0029]
 式(1)で表される化合物、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、溶媒、その他の成分について、それぞれ1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
[0030]
<<晶析の反応条件>>
 晶析の際の温度は、特に限定されないが、上記無水化工程の終了時の温度が、80~150℃であることが好ましく、90~140℃であることがより好ましく、95~130℃であることが特に好ましい。また、冷却温度(晶析終点温度)としては、特に限定されるものではないが、収率向上および操作効率の観点より、-10~50℃が好ましく、0~40℃がより好ましく、10~30℃が特に好ましい。冷却速度は、純度向上および時間効率の観点より、5~30℃/時間が好ましく、7~25℃/時間がより好ましく、7~20℃/時間がさらに好ましく、10~20℃/時間が特に好ましい。
 さらに、晶析終点温度において、熟成を行うことが好ましい。熟成時間は、例えば、10分~2時間であることが好ましい。
 晶析の際の温度(無水化工程の終了時の温度)と熟成の温度の差は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。前記温度の差の上限は、特に定めるものではないが、例えば、90℃以下とすることができる。
 晶析は撹拌しながら行うことが好ましい。
[0031]
<固液分離工程>
 本発明の製造方法は、晶析後、母液と、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を分離することが好ましい。
 例えば、晶析後の反応液をろ過によって、固体成分である結晶(Wet晶)と、液体成分(母液)に分離することができる。ろ過温度は特に限定されるものではないが、-15~50℃が好ましく、-10~40℃がより好ましく、0~35℃が特に好ましい。
 固液分離工程は、例えば、遠心分離機を用い、室温(例えば、20~40℃)で、遠心加速度450Gでろ液が無くなるまで回転することにより、分離できる。また、スラリー供給時は、回転速度を落とすこともできる。その後、固体(Wet結晶)の洗浄を実施することもできる。
 分離した母液は、本発明の無水化工程において、配合する母液として好ましく用いることができる。すなわち、本発明で初期状態の晶析系に含まれる母液由来の成分は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を分離した後の母液に由来する。このように母液をリサイクルすることによって、得られるWet晶の含液率を低くできると共に、原料の節約も可能になる。
 母液は、そのまま全量をリサイクルしてもよいし、母液の一部を排出してからリサイクルしてもよい。母液の一部を排出することにより、系内の不純物濃度や式(1)で表される化合物の濃度を調整することができる。
 母液は、その60質量%以上をリサイクルすることが好ましく、65質量%以上をリサイクルすることがより好ましく、70質量%以上をリサイクルすることが一層好ましい。前記リサイクル量の上限は、100質量%であってもよいが、例えば90質量%以下、さらには80質量%以下でも十分に意義ある態様となる。
 本発明では、母液をリサイクルしつつ、新たな原料の投入を行って連続的にシクロヘキサントリカルボン酸の無水化工程および晶析工程を行うことが好ましい。すなわち、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を分離した後の母液に、新たに、シクロヘキサントリカルボン酸および溶媒等を配合して、上述の割合となるように調整し、無水化工程後に晶析させる工程を、1回または2回以上含むことが好ましい。本発明では、前記工程を1~100回繰り返すことが好ましい。複数回のリサイクルを繰り返すことにより、晶析系中の式(1)で表される化合物の量が安定し、Wet晶の含液率をより安定的に低くすることが可能になる。
[0032]
<乾燥>
 本発明の製造方法は、さらに、分離したシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を乾燥することが好ましい。乾燥することにより、溶媒を完全に除去することができる。
 乾燥温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、乾燥温度の上限は、140℃以下であることが好ましく、135℃以下であることがより好ましく、130℃であることがさらに好ましい。
 乾燥時間は、乾燥温度や結晶のサイズにもよるが、0.5~15時間であることがより好ましい。
 また減圧下で乾燥を実施してもよい。さらに、乾燥中に窒素等を供給することもできる。
 乾燥機としては、特に制限はなく、静置式(棚式)乾燥機、回転式乾燥機などを用いることができるが、乾燥効率が高く、乾燥時間も短くできるという点から、回転式乾燥機を用いることが好ましい。回転式乾燥機としては、コニカルドライヤー、エバポレーターを挙げることができる。
 乾燥は、例えば、5~100mmHgの圧力下、60~100℃に加熱して乾燥させることができる。
[0033]
<収率>
 本発明の結晶の製造方法では、収率を60mol%以上とすることができ、68mol%以上とすることもできる。収率の上限は100mol%が理想であるが、80mol%以下でも十分に実用レベルである。
[0034]
<結晶>
 本発明の結晶は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物を主成分とし、式(1)で表される化合物を0.025~0.1質量%含む結晶である。
 このような結晶は、本発明の結晶の製造方法によって、得られる。また、本発明の結晶は、本発明の結晶の製造方法以外の方法で得られた結晶であっても、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
 本発明の結晶は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物を主成分とする。ここでの主成分とは、例えば、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の割合が80.0質量%以上であることをいい、90.0質量%以上であることが好ましく、95.0質量%以上であることがより好ましく、97質量部以上であることがさらに好ましく、98.0質量%以上であることが一層好ましく、98.5質量%以上であることがより一層好ましい。前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物は、シス体でも、トランス体でも、混合物であってもよい。本発明では、少なくともシス体を含んでいてもよく、この場合、シクロヘキサントリカルボン酸無水物におけるシス体の割合は、例えば、90.00質量%以上、95.00質量%以上、98.00質量%以上、99.00質量%以上とすることができる。上限としては、シス体の割合が100質量%以下であり、99.99質量%以下であってもよい。すなわち、シス体以外のシクロヘキサントリカルボン酸無水物を少量(例えば、0質量%超0.05質量%以下の量)含んでいる態様も例示される。結晶は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
 本発明の結晶は、式(1)で表される化合物を0.030質量%以上含むことが好ましく、0.035質量%以上含むことがより好ましく、0.045質量%以上含んでいてもよい。また、本発明の結晶は、式(1)で表される化合物を0.1000質量%以下含むことが好ましく、0.095質量%以下含むことがより好ましく、0.090質量%以下含むことがさらに好ましい。本発明の結晶は、式(1)で表される化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
 本発明の結晶は、20℃における含液率が8.5質量%以下であることが好ましく、8.3質量%以下であることがより好ましく、8.0質量%以下であることがさらに好ましく、7.5質量%以下であることが一層好ましく、7.0質量%以下であることがより一層好ましい。また、含液率の下限は、0質量%が理想であるが、1.0質量%以上であっても実用レベルである。含液率は後述する実施例に記載の方法に従って測定される。本発明の結晶は、特に、本発明の製造方法で得られたものであって、反応液から分離したシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶であって、後述する乾燥前の結晶(Wet結晶)の含液率が上記範囲を満たすことが好ましい。Wet晶では、通常その表面に液体が存在しているが、この液は、通常、晶析後の母液である。
 式(1)で表される化合物の構造の好ましい範囲は、上記結晶の製造方法のところで述べた事項と同義であり、好ましい範囲も同様である。
 本発明の結晶のサイズは、体積基準平均粒子径で20μm以上であることが好ましく、体積基準平均粒子径で50μm以上であることがより好ましい。このようなサイズとすると、結晶の含液率をより効果的に低くすることができる。上限値については、特に定めるものではないが、例えば、500μm以下が実際的である。
[0035]
<用途>
 本発明のシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化剤として用いることができる。具体的には、特開2013-112643号公報の段落0024~0029の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 また、本発明のシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶は、ソルダーレジスト材料の酸変性剤として好ましく用いられる。具体的には、エポキシアクリレートなどのソルダーレジスト材料に酸基を付与するための変性剤として好ましく用いることができる。ソルダーレジスト材料は、プリント配線板や半導体パッケージ用回路基板に通常使用されるソルダーレジスト材料であればよく、限定されるものではない。例としては、アクリル-エポキシ樹脂等からなる熱硬化性・光硬化性レジスト材料等が挙げられる。ソルダーレジスト材料の詳細は、特開2014-052599号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 また、本発明のシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶は、上記の他、塗料、接着剤、成形品、半導体の封止剤用樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等の原料や改質剤あるいは変性剤、可塑剤や潤滑油原料、医農薬中間体、塗料用樹脂原料、トナー用樹脂等の用途にも有用である。
実施例
[0036]
 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
 本実施例において、MeHHPAは、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物を、H-TMAは、シクロヘキサントリカルボン酸を、H-TMAnは、シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、H-TMAn(cis体)は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物のシス体を、H-TMAn(その他)は、シクロヘキサントリカルボン酸無水物のシス体以外を示している。
[0037]
<比較例1(母液の製造)>
<<シクロヘキサントリカルボン酸無水物の製造(無水化工程)>>
 シクロヘキサントリカルボン酸(三菱ガス化学社製、製品名:H-TMA)に、酢酸(JNC社製、99%工業用酢酸)、無水酢酸(富士フイルム和光純薬社製、品番011-00271)を配合し、加熱無水化を行い、シクロヘキサントリカルボン酸無水物を得た。
 具体的には、4Lのステンレス製晶析槽へ、H-TMA(255.7g)、無水酢酸(170.5g)および酢酸(852.4g)を仕込み、撹拌を行いながら液温が100℃となるまで加熱した。液温が100℃となった時点(定常状態になった時点)を反応開始とし1時間100℃で、反応を継続した。以下、得られたシクロヘキサントリカルボン酸無水物(H-TMAn(cis体)とH-TMAn(その他)の両方を含むもの)を、H-TMAn-Sと呼ぶ。収率は、65.67%、無水化率は99.65質量%であった。
[0038]
<<晶析工程および固液分離工程>>
 上記反応液の温度を100℃から10℃/時間の速度で低下させ、20℃に到達してから1時間熟成を行って晶析させた。
 上記晶析した反応液を、遠心分離機を用い、遠心加速度450Gでろ液が出なくなるまで回転し、固体(Wet晶)と液体に分離した。
 得られた固体をシクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物の結晶(Wet晶)と認定した。結晶の収率は、65.67mol%であった。
 得られたWet結晶について、後述するとおり含液率を測定した。分離した液(母液)については、後述する実施例で用いた。
 含液率を測定したWet晶について、(130℃×12時間)の条件で乾燥して、Dry晶を得た。
[0039]
 上記反応液、すなわち晶析系の初期の各成分の量は、後述するGC(ガスクロマトグラフィー)分析およびLC(液体クロマトグラフィー)によって測定したところ、表1に示す通りであった。具体的には、分析に際し、後述の固体液体分離の方法に従って、Wet晶とWet晶以外の成分(液体)に分離した。Wet晶および液体について、それぞれ、以下の通り、分析を行った。その後、Wet晶と液体に含まれる各成分の量を合算し、各成分の量を算出した。
 Wet晶および液体の分析に際しては、図2に示すように、GC分析によって、試料中のH-TMAおよびH-TMAnの合計量、およびMeHHPAを測定した。さらに、LC分析によって、H-TMAおよびH-TMAn中のH-TMAの量を測定し、H-TMAn-S(酸無水物の合計量)の量を算出した。
 また、Dry晶についても、後述するGC(ガスクロマトグラフィー)分析およびLC(液体クロマトグラフィー)によって測定したところ、表1に示す通りであった。
[0040]
<<GC分析方法・・試料中のH-TMAおよびH-TMAnの合計純度の定量>>
 シクロへキサントリカルボン酸(H-TMA(cis体、その他)、H-TMAn-S)の合計量の純度(質量%)は、下記の条件で前処理した試料をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行い、以下の式に従って算出した。
 GC純度(質量%)=[(H-TMAのピーク面積)÷(全ピーク(溶媒除く)の面積合計)]×100
 上記面積%を質量%として表記した。
<<<ガスクロマトグラフィー用の前処理条件>>>
(エステル化条件(リン酸トリメチル法))
 下記の実施例および比較例で得られた試料(反応液に含まれるWet晶、反応液に含まれるWet晶以外の成分、または、Dry晶)0.1gを精秤し、そこへ沸騰石、トリエチルアンモニウムクロライド(和光1級)3g、リン酸トリメチル(キシダ化学1級)10mLを加え、その後、ヒーティングブロック(180℃)内で、90分間加熱、エステル化した。
 反応後、室温まで冷却し試験管にクロロホルム15mLを加えて溶解させ、全量を分液ロートに移し、純水100mLを加えた。分液ロートを10分間振とう後、約5分間静置して液を二層分離させた。上層(水相)をスポイト等で吸引排出し、再び純水100mLを加えた。分液ロートを10分間振とう後、約5分間静置して液を二層分離させた。下層のクロロホルム相を、濾紙(5B)を通して採取し、GC分析に供した。
[0041]
(エステル化条件(BF ・MeOH法)・・H-TMAのcis/trans比率の定量)
 1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸を含有する原料水溶液を試験管に0.60g採取し、三フッ化ホウ素メタノール溶媒(東京化成工業社製)を10mL加え、150℃のブロックヒーターで6分間加熱し、エステル化処理を行った。反応終了後、クロロホルムを3mL加え、水、0.5規定炭酸ナトリウム水溶液、水の順で分液処理を行い、得られたクロロホルム溶液をガスクロマトグラフィーにて分析に供した。(cis-H-TMA+cis-H-TMAn):(trans-H-TMA+cis-H-TMAn)については、面積百分率(単面法)で算出した。なお、GC分析では、H-TMAとH-TMAnが同一ピークで検出される。このため、試料中のH-TMAとH-TMAnの選択性(質量比)については、後述するLC分析で定量した。
[0042]
<<<ガスクロマトグラフィー分析条件>>>
ガスクロマトグラフィー分析条件は、以下の通りである。
使用機器:ガスクロマトグラフィー Agilent HP-6890
カラム:DB-1 (長さ30m、内径0.53mm、膜厚1.5μm)
検出器:FID(H  30mL/分、Air 300mL/分)
キャリアガス:He(コンスタントフロー;平均線速38cm/秒)
スプリット比:11
注入口温度:300℃
検出器温度:290℃
注入量:1.0μL
OVEN(オーブン)温度:160℃で20分間保持した後、10℃/分で昇温して、280℃に到達してから、15分間保持した。
[0043]
<<無水化率の測定>>
 シクロへキサントリカルボン酸(H-TMA)の無水化率は、試料を液体クロマトグラフィー(LC)により分析を行い、原料の1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸を定量し、さらに以下のとおり、無水化率(質量%)を算出した。
 無水化率(質量%)=100-試料中のシクロヘキサントリカルボン酸(H-TMA)の量(質量%)
[0044]
(液体クロマトグラフィー用の前処理条件)
 試料2gを精秤し、脱水メタノール100mLを加えて加熱し、1時間還流させてメチルエステル化反応を行い、液体クロマトグラフィー用試料として調製した。
 なお、この前処理では、試料中の反応原料である1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸はエステル化されない。
[0045]
(液体クロマトグラフィー分析条件)
 液体クロマトグラフィー分析条件は、以下の通りである。
 液体クロマトグラフィー分析装置:LC-6AD(送液ユニット)、CTO-10A(恒温槽)、SCL-10A(UV)、SPD-10AV(UV-VIS検出器)、SPD-M20A(PDA検出器)
 カラム:Shodex RSpak DE-413L
 検出器:UV(210nm)
 溶離液組成:A液=アセトニトリル、B液=0.5%リン酸水溶液
 モード:Binary gradient
 流速:1.0mL/分
 恒温槽温度:35℃
 溶離液の条件は、以下の通りである。分析時間0~15分は、A液:B液=10:90(体積比)とし、15~20分で、A液:B液=10:90(体積比)~50:50(体積比)にグラジエントをかけた。さらに、分析時間20~25分で、A液:B液=50:50(体積比)~80:20(体積比)にグラジエントをかけた。そのまま、A液:B液=80:20(体積比)で40分まで保持した後、分析時間40分~50分で、A液:B液=80:20(体積比)~10:90(体積比)にグラジエントをかけ、A液:B液=10:90にて、70分まで保持した。
[0046]
 なお、上記液体クロマトグラフィーでは、シクロヘキサントリカルボン酸を測定しており、絶対検量法により、試料中のシクロヘキサントリカルボン酸の量を定量し、シクロへキサントリカルボン酸の試料中の質量割合を求め、これを100から差し引き、無水化率とした。
 すなわち、試料100gに未反応のシクロヘキサントリカルボン酸が2g含有されている場合には、無水化率は98%である。
[0047]
H-TMAn-Sの純度はGC純度へ無水化率を乗じることで算出した。
H-TMAn-S(質量%)=H-TMAn-SのGC純度(質量%)×無水化率(質量%)÷100
[0048]
<<含液率の測定>>
 上述の乾燥操作による質量減少から含液率を求めた。
含液率(%)=[(Wet晶の質量-Dry晶の質量)/(Wet晶の質量)]×100
 ここでのWet晶の質量とは、遠心分離機を用い、遠心加速度450Gでろ液が出なくなるまで回転した後のWet晶をいう。
[0049]
<実施例1>
 上記比較例1で得られた母液のうち76質量%分に、H-TMA(255.7g)、酢酸(136.8g)、無水酢酸(129.9g)を追加し反応を実施した。反応液の各成分は、上述のGC分析によって算出した。
 比較例1と同様の条件で晶析させた。シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物の収率は、70.24mol%であった。
 比較例1と同様に、固体液体分離し、Wet晶の含液率を測定した。得られた結晶中の含液率は、8.09質量%であった。また、得られたDry晶中のMeHHPAの量は、0.045質量%であった。Dry晶中の各成分は、上述のGC分析によって算出した。
[0050]
<実施例2~6>
 比較例1にて得られた晶析母液を用いて、実施例1と同様の操作を行った結果を、表1(実施例2~6。実施例2では実施例1の晶析母液を使用した。)に示す。
[0051]
[表1]


[0052]
 実施例1~6および比較例1のデータに基づき、図3および図4のグラフを作成した。図3は、晶析系の初期状態のMeHHPAの量とシクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物の結晶(Wet晶)中の含液率の関係を示すグラフである。具体的には、横軸が、晶析系の初期(晶析反応前)のMeHHPAの量(単位:質量%)であり、縦軸が、得られたWet晶中の含液率(質量%)を示している。図4は、Dry晶中のMeHHPAの量とWet晶中の含液率の関係を示すグラフである。具体的には、横軸が、Dry晶中のMeHHPAの量(単位:質量%)であり、縦軸が、得られたWet晶中の含液率(質量%)を示している。
[0053]
 図3および図4から明らかなとおり、実施例1~6の場合、得られたシクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物の結晶(Wet晶)中の含液率が低かった。また、得られたシクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物の結晶(Dry晶)中には、0.025~0.1質量%の4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物が含まれていた。
 これに対し、比較例1の場合、得られたシクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物の結晶(Wet晶)中の含液率が高かった。また、得られたシクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物の結晶(Dry晶)中には、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物はほとんど含まれていなかった。

請求の範囲

[請求項1]
シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、20℃で液体であるモノカルボン酸0~100質量%と前記20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物100~0質量%を含む溶媒(但し、前記モノカルボン酸とモノカルボン酸無水物の合計が100質量%を超えることは無い)が存在する晶析系で晶析させることを含むシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法であって、
前記晶析系は、晶析開始時において、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の晶析後の母液由来の成分を含み、
前記晶析系の晶析開始時の組成が下記式(1)で表される化合物0.20質量部超1.00質量部以下に対し、前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物5.0~49.9質量部および前記溶媒50~95.0質量部の割合となるように各成分を添加することを含み、
前記晶析系を冷却して晶析させることを含む、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶の製造方法;
式(1)
[化1]


式(1)中、nは0~4の整数である。
[請求項2]
前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物が、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物である、請求項1に記載の結晶の製造方法。
[請求項3]
前記式(1)で表される化合物において、nが1~3の整数である、請求項1または2に記載の結晶の製造方法。
[請求項4]
前記式(1)で表される化合物が、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶の製造方法。
[請求項5]
前記溶媒が、20℃で液体であるモノカルボン酸50~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物0~50質量%を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の結晶の製造方法。
[請求項6]
前記モノカルボン酸が酢酸である、請求項1~5のいずれか1項に記載の結晶の製造方法。
[請求項7]
前記晶析前に、シクロヘキサントリカルボン酸を、20℃で液体であるモノカルボン酸0~100質量%と20℃で液体であるモノカルボン酸の無水物100~0質量%を含む溶媒(但し、前記モノカルボン酸とモノカルボン酸無水物の合計が100質量%を超えることは無い)に添加して前記シクロヘキサントリカルボン酸無水物を得ることを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の結晶の製造方法。
[請求項8]
前記晶析後、母液と、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を分離することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の結晶の製造方法。
[請求項9]
前記分離したシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶を乾燥することを含む、請求項8に記載の結晶の製造方法。
[請求項10]
前記分離したシクロヘキサントリカルボン酸無水物の結晶であって、乾燥前の結晶の下記式で表される含液率が8.5質量%以下である、請求項9に記載の結晶の製造方法:
含液率(%)=[(乾燥前の結晶の質量-乾燥後の結晶の質量)/乾燥前の結晶の質量]×100
上記乾燥は、130℃で12時間加熱したことをいう。
[請求項11]
前記結晶が、式(1)で表される化合物を0.025~0.1質量%含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の結晶の製造方法。
[請求項12]
シクロヘキサントリカルボン酸無水物を主成分とし、下記式(1)で表される化合物を0.025~0.1質量%含む、結晶;
式(1)
[化2]


式(1)中、nは0~4の整数である。
[請求項13]
前記結晶の下記式で表される含液率が9.4質量%以下である、請求項12に記載の結晶;
含液率(%)=[(乾燥前の結晶の質量-乾燥後の結晶の質量)/乾燥前の結晶の質量]×100
上記乾燥は、130℃で12時間加熱したことをいう。
[請求項14]
請求項1~11のいずれか1項に記載の製造方法で得られた結晶である、請求項12または13に記載の結晶。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]