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1. WO2020129457 - マリンホースの流体漏れ検知システム

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明 細 書

発明の名称 マリンホースの流体漏れ検知システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032  

符号の説明

0033  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : マリンホースの流体漏れ検知システム

技術分野

[0001]
 本発明は、マリンホースの流体漏れ検知システムに関し、さらに詳しくは、マリンホースの構造を実質的に変えることなく、マリンホースの流体漏れをより確実に検知できるマリンホースの流体漏れ検知システムに関するものである。

背景技術

[0002]
 海上のタンカーと陸上施設等との間を連結して原油等の流体を海上輸送するマリンホースでは、流路の外周側に積層された補強層の間に流体滞留層を備える構造が知られている。流路から漏出した流体は、一時的に流体滞留層に貯留されて外部への漏出が防止される。このような流体漏れの異常を検知するために、流体滞留層に流入した流体により作動する漏れ検知手段が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
[0003]
 特許文献1で提案されている検知手段では、流体滞留層に流体が流入することで流体滞留層の空気圧が上昇し、これに伴い、流体滞留層に配置された螺旋状の可撓性チューブが収縮変形する。この収縮変形が、連通管を介して可撓性チューブに接続された空気圧センサによって検知される。しかしながら、このように流体滞留層の空気圧の変化を利用する構造では、流体滞留層に流体が流入しても空気圧の変化が小さい場合は流体漏れを検知することが難しい。また、流体滞留層に螺旋状の可撓性チューブや連通管などを設けるためにマリンホースの構造が変化するという問題もある。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 日本国特開2007-177847号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 本発明の目的は、マリンホースの構造を実質的に変えることなく、マリンホースの流体漏れをより確実に検知できるマリンホースの流体漏れ検知システムを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記目的を達成するため本発明のマリンホースの流体漏れ検知システムは、流路の外周側に積層された内周側補強層および外周側補強層と、前記内周側補強層と前記外周側補強層との間に介在する流体滞留層と、前記流体滞留層の外周側に積層された浮力層とを備えたマリンホースの前記流路を流れる流体の漏れを検知するマリンホースの流体漏れ検知システムにおいて、前記マリンホースの長手方向所定位置で前記流体滞留層内に設置されるパッシブ型のICタグと、前記マリンホースの外側に配置される電波発信器および電波受信器とを有し、前記電波発信器から発信した電波に応じて前記ICタグから発信された電波を前記電波受信器により受信する構成にして、前記電波受信器が受信する前記ICタグから発信された電波の強弱に基づいて、前記流体の漏れの有無が判断されることを特徴とする。

発明の効果

[0007]
 本発明によれば、流路を流れる流体が流体滞留層に流入すると、流体滞留層内に設置されたパッシブ型のICタグは、流入した流体に囲まれる、または、浸かることになる。そのため、ICタグの電波受信機能や電波発信機構がダメージを受ける。これに伴い、マリンホースの外側に配置される電波発信器から送信した電波に応じてICタグから電波が発信されなくなる、或いは、発信される電波が弱くなる。それ故、電波受信器が受信するICタグから発信された電波の強弱を指標にすることで、流路からの流体の漏れの有無をより確実に判断することが可能になる。マリンホースには、流体滞留層内にパッシブ型のICタグを設置するだけでよく、パッシブ型のICタグは非常に小さいため、マリンホースの構造が実質的に変わることはない。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 図1は本発明のマリンホースの流体漏れ検知システムが設置されるマリンホースを例示する説明図である。
[図2] 図2はマリンホースの一部を拡大した縦断面視で、流体漏れ検知システムを例示する説明図である。
[図3] 図3は図2のICタグの周辺を拡大して例示する説明図であり、図3(A)は平面図、図3(B)は断面図である。
[図4] 図4は図2のA-A断面図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、本発明のマリンホースの流体漏れ検知システム(以下、検知システムという)を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
[0010]
 図1に示すように、マリンホース1はその長手方向両端に、別のマリンホース1を連結するための連結端部2を備えている。連結端部2は、マリンホース1の長手方向に延在するニップル2bと、ニップル2bの長手方向一端に接合されたフランジ2aとを有している。一般的には、8本以上10本以下の範囲程度のマリンホース1が連結されて使用される。
[0011]
 マリンホース1の両端のニップル2bの間には、図2に例示するように、流路1aの外周側でマリンホース1の内周側から外周側に向かって、内面ゴム層3、内周側補強層4、本体ワイヤ層5、流体滞留層7、外周側補強層6、浮力層8、外皮層9が順に積層されている。内面ゴム層3の内周側が流体Lの流路1aになる。流体Lとしては、原油、ガソリン、LPG等を例示できる。
[0012]
 浮力層8は、スポンジゴムや発泡ポリウレタン等のマリンホース1を海上に浮上させる浮力を発揮する材料で構成されている。したがって、このマリンホース1は、いわゆるフローティングタイプである。外皮層9は、ゴム等の非透水性材料で構成されていて、かつ、その表面には視認性に優れたライン模様等が付される。
[0013]
 内面ゴム層3は流体Lの種類によって適切な材質が選択され、流体Lが原油等の場合は、耐油性に優れたニトリルゴム等で構成される。内周側補強層4、外周側補強層6はそれぞれ、補強コードをゴムで被覆した複数の補強コード層を積層して構成されている。本体ワイヤ層5は、内周側補強層4の外周ゴムに金属ワイヤが所定間隔をあけて螺旋状に巻付けられて構成されている。内周側補強層4、本体ワイヤ層5、外周側補強層6は、それぞれの一端部のニップルワイヤ4a、5a、6aと、ニップル2bの外周面に突設された固定リング2c等により、ニップル2bに固定されている。内周側補強層4と外周側補強層6との間に介在する流体滞留層7は、流路1aから漏出した流体Lを貯留する空間になっている。
[0014]
 この検知システムは、パッシブ型のICタグ10と、電波発信器14aおよび電波受信器14bとを有している。ICタグ10は、マリンホース1の長手方向所定位置で流体滞留層7内に設置される。ICタグ10は、マリンホース1を製造する工程(成形工程)で、流体滞留層7内に配置されて、加硫接着等によって流体滞留層7内に固定される。電波発信器14aおよび電波受信器14bは、マリンホース1とは分離してマリンホース1の外側に配置される。この実施形態では、電波発信器14aと電波受信器14bとが一体化された検知機14が用いられているが、それぞれを分離独立した構成にすることもできる。検知機14はポータブルタイプにすると、漏れ検知作業がより容易になる。
[0015]
 図3に例示するようにICタグ10は、ICチップ11とアンテナ部12とを有して、ケース13に収容されている。ICタグ10(ケース13)のサイズは非常に小さく、例えば、縦寸法および横寸法がそれぞれ50mm以下(外径相当で50mm以下)、厚みが10mm以下である。縦寸法および横寸法がそれぞれ30mm以下(外径相当で30mm以下)、厚みが5mm以下のICタグ10(ケース13)がより好ましい。
[0016]
 ケース13は、ICタグ10を外力から保護するためにある程度、剛性を有している。また、ケース13は後述する電波W1、W2の通過を遮断しないように、例えば、ABS樹脂、PVC樹脂、PP樹脂等の樹脂により形成されている。この実施形態では、流体Lが浸透する浸透性材料13aによってケース13が覆われている。浸透性材料13aとしては、例えば、原油が浸透する樹脂繊維、天然繊維等が使用される。ケース13を浸透性材料13aによって形成してもよい。
[0017]
 電波発信器14aから電波W1が発信されると、この電波W1に応じてICタグ10から電波W2が発信され、この電波W2が電波受信器14bによって受信される構成になっている。即ち、ICタグ10と検知機14とが、RFID(Radio Frequency IDentification)システムを構成している。交信する電波W1、W2の周波数や出力は適宜、設定されるが、パッシブ型のICタグ10を使用する場合は高い出力に設定することは困難なので、ICタグ10と検知機14との間の電波W1、W2の交信距離は例えば数十cm以上数m以下の範囲程度になる。
[0018]
 この実施形態では、ICチップ11には、そのICタグ10のマリンホース1での設置位置(長手方向位置または、長手方向位置および周方向位置)を特定する位置特定情報が記憶されている。そして、発信する電波W2によって、その位置特定情報を電波受信器14bに送信する。1Cチップ11には、その他の情報を記憶させておき、電波W2によって送信することもできる。例えば、そのマリンホース1の仕様情報、製造情報、そのICタグ10のマリンホース1への設置時期などの情報をICチップ11に記憶させておき、送信することもできる。
[0019]
 ICタグ10を設置するマリンホース1の長手方向所定位置としては、ニップル2bが延在している範囲にすることが好ましい。この範囲では、ニップル2bが存在することで、ICタグ10はマリンホース1の曲げ変形やねじり変形の影響を実質的に受けることがなく、ICタグ10を長期に渡って外力から保護するには有利になる。
[0020]
 ICタグ10は、マリンホース1の長手方向端部のニップル2bが延在している範囲だけに設置することも、この範囲の他に、マリンホース1の長手方向中央部等にICタグ10を設置することもできる。即ち、ICタグ10は、少なくとも、マリンホース1の長手方向端部のニップル2bが延在している範囲に設置されることが好ましい。
[0021]
 水中では電波W1、W2が大幅に減衰するため、ICタグ10が水中に存在していると、気中の検知機14との間での電波W1、W2の交信が困難になる。ICタグ10は、マリンホース1の使用時に水上に位置するように、流体滞留層7内に設置することができるが、マリンホース1が捩じれたりすることで、ICタグ10が水中に位置した状態になることがある。そこで、マリンホース1の使用時に水上に位置するICタグ10が常に存在するようにするため、図4に例示するように、ICタグ10は、マリンホース1の長手方向所定位置でマリンホース1の周方向に間隔をあけて複数設置されることが望ましい。例えば、マリンホース1の1か所の長手方向所定位置で、周方向に等間隔で3個以上6個以下のICタグ10が設置される。
[0022]
 以下、この検知システムを用いて流路1aから流体Lの漏れが生じているか否かを判断する手順の一例を説明する。
[0023]
 作業者は、検知機14を搭載した作業船によって、流体Lの漏れ検知のために定期的に、或いは、必要な時期にマリンホース1に近づく。そして、検知機14を作動させて、電波送信器14aからマリンホース1の水上に位置する適宜の範囲(ICタグ10が埋設されている範囲)に向かって電波W1を発信する。流体Lが流体滞留層7内に流入していない場合は、ICタグ10は正常に機能して、発信された電波W1を利用してICタグ10に電力を生じさせる。ICタグ10はこの電力によって電波W2を発信し、この電波W2を電波受信器14bが受信する。電波受信器14bでは、受信した電波W2の強さが例えば数値で表示される。
[0024]
 一方、内面ゴム層3や内周側補強層4等が破損して、流体Lが流路1aから流体滞留層7に流入して、ICタグ10(ケース13)が流体Lに囲まれている、または、浸っている場合は、流体LによってICタグ10自体が壊れる、或いは、流体Lが電波W1、W2を遮断する。そのため、ICタグ10の電波受信機能、或いは、電波発信機能がダメージを受ける。これに伴い、電波発信器14aから発信した電波W1に応じてICタグ10から電波W2が発信されなくなる、或いは、発信される電波W2が弱くなる(出力が小さく)。これにより、電波受信器14bが受信する電波W2が無くなる(電波W2を受信できなくなる)、或いは、受信する電波W2が弱くなる。
[0025]
 したがって、流体Lが流路1aから漏出していない正常状態で、電波受信器14bがICタグ10から受信する電波W2の出力値の強さを予め把握しておくことで、ICタグ10が発信する電波W2の正常状態に対する強弱(出力の大小)を把握できる。そして、電波受信器14bが受信する電波W2の強さの正常状態と見なせる基準値Cを設定しておく。電波受信器14bが受信する電波W2の強さが、基準値C未満の場合は、流体Lが流体滞留層7内に流入していると判断され、基準値C以上の場合は、流体Lが流体滞留層7内に流入していないと判断される。即ち、電波受信器14bが受信する電波W2の強さが基準値C未満であれば流路1aから流体Lが漏出していて、基準値C以上であれば流路1aから流体Lが漏出していないと判断できる。この基準値Cは、事前テストの結果等に基づいて適切な値に設定される。
[0026]
 作業者は、電波受信器14bに表示された電波W2の強さの数値等と、基準値Cとを比較することで、流路1aからの流体Lの漏出の有無を即座に判断することができる。電波受信器14bにより受信された電波W2の強さと基準値Cとを比較する演算部を検知機14に設けることもできる。このような演算部を有する検知システムにすることで、流路1aからの流体Lの漏出の有無を自動的に判断することができる。
[0027]
 上述したように本発明の検知システムでは、電波受信器14bが受信するICタグ10から発信された電波W2の強弱に基づいて、流路1aからの流体Lの漏れの有無をより確実に判断することが可能になる。マリンホース1には、流体滞留層7内にICタグ10を設置するだけでよく、パッシブ型のICタグ10は非常に小さいため、マリンホース1の構造は実質的に変化しない。そのため、マリンホース1の性能に影響することがなく、マリンホース1の様々な品質認証に影響することもない。
[0028]
 流体Lが流路1aから漏出していない場合であっても、それぞれのICタグ10が外力によって損傷する等の原因によって、検知機14とそれぞれのICタグ10との間で正常な電波W1、W2の交信が不能になる場合も想定される。そこで、複数のICタグ10を設置して、電波受信器14bが受信する電波W2の強さが基準値C以上になるICタグ10の数の割合が基準割合R以上の場合は、流体Lが流体滞留層7内に流入していないと判断され、この割合が基準割合R未満の場合は、流体Lが流体滞留層7内に流入していると判断されるようにするとよい。このように判断することで、流路1aからの流体Lの漏れの有無の判断の誤りを防止するには有利になる。この基準割合Rは、事前テストの結果等に基づいて適切な割合に設定される。
[0029]
 この実施形態では、流体滞留層7に流入した流体Lは、ICタグ10を覆っている浸透性材料13aに浸透するので、ICタグ10は、より確実に流体Lに囲まれる。それ故、流体Lの漏出量が少量であっても電波W1、W2の交信が不能になるので、流路1aから流体Lの漏れが生じていることをより確実に把握するには有利になる。
[0030]
 この実施形態では、ICタグ10から発信される電波W2によって、そのICタグのマリンホース1での設置位置を特定する位置特定情報が送信される。そのため、電波受信器14bにより受信した電波W2(位置特定情報)を分析することで、より確実に流体Lの漏れが生じている位置を特定し易くなる。
[0031]
 同一仕様のICタグ10や、同一製造ロットのICタグ10を用いると、何等かの原因ですべてのICタグ10が正常に機能しなくなくリスクがあり、これに起因して、流体Lの漏れの有無の判断に誤りが生じる。そこで、このリスクを回避するため、仕様の異なるICタグ10、または、製造ロットが異なるICタグ10を混在させて流体滞留層7内に設置することもできる。
[0032]
 尚、流体滞留層7内に流入した流体Lを検知するためにニップル2bの外周面に設置される公知のオイルポッドと、上述した検知システムとを併用することもできる。

符号の説明

[0033]
1 マリンホース
1a 流路
2 連結端部
2a フランジ
2b ニップル
2c 固定リング
3 内面ゴム層
4 内周側補強層
4a ニップルワイヤ
5 本体ワイヤ層
5a ニップルワイヤ
6 外周側補強層
6a ニップルワイヤ
7 流体滞留層
8 浮力層
9 外皮層
10 ICタグ
11 ICチップ
12 アンテナ部
13 ケース
13a 浸透性材料
14 検知機
14a 電波送信器
14b 電波受信器

請求の範囲

[請求項1]
 流路の外周側に積層された内周側補強層および外周側補強層と、前記内周側補強層と前記外周側補強層との間に介在する流体滞留層と、前記流体滞留層の外周側に積層された浮力層とを備えたマリンホースの前記流路を流れる流体の漏れを検知するマリンホースの流体漏れ検知システムにおいて、前記マリンホースの長手方向所定位置で前記流体滞留層内に設置されるパッシブ型のICタグと、前記マリンホースの外側に配置される電波発信器および電波受信器とを有し、前記電波発信器から発信した電波に応じて前記ICタグから発信された電波を前記電波受信器により受信する構成にして、前記電波受信器が受信する前記ICタグから発信された電波の強弱に基づいて、前記流体の漏れの有無が判断されることを特徴とするマリンホースの流体漏れ検知システム。
[請求項2]
 前記ICタグが、前記流体が浸透する浸透性材料で覆われている請求項1に記載のマリンホースの流体漏れ検知システム。
[請求項3]
 前記ICタグが、少なくとも、前記マリンホースの長手方向端部のニップルが延在している範囲に設置される請求項1または2に記載のマリンホースの流体漏れ検知システム。
[請求項4]
 前記ICタグが、前記マリンホースの長手方向所定位置で前記マリンホースの周方向に間隔をあけて複数設置される請求項1~3のいずれかに記載のマリンホースの流体漏れ検知システム。
[請求項5]
 前記ICタグに、そのICタグの前記マリンホースでの設置位置を特定する位置特定情報が記憶されていて、前記位置特定情報をそのICタグから発信される電波によって電波受信器に送信する構成にした請求項1~4のいずれかに記載のマリンホースの流体漏れ検知システム。
[請求項6]
 前記ICタグとして、仕様の異なるICタグ、または、製造ロットが異なるICタグが混在して設置される請求項1~5のいずれかに記載のマリンホースの流体漏れ検知システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]