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1. WO2020129416 - 旋盤

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明 細 書

発明の名称 旋盤

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077  

符号の説明

0078  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 旋盤

技術分野

[0001]
 本発明は、ワークを解放可能に把持する把持部が設けられた主軸を備える旋盤に関する。

背景技術

[0002]
 旋盤として、正面主軸に把持されているワークに正面加工を行って正面加工後のワークを背面主軸に渡して背面加工を行うNC(Numerical Control;数値制御)旋盤が知られている。正面主軸と背面主軸は、コレット等、ワークを把持する把持部を前部に有している。特許文献1に示されるように、主軸の支持部は、前側軸受及び後側軸受を介して主軸を回転可能に支持している。前側軸受と後側軸受との間には、主軸を回転させるビルトインモーターが配置されている。コレットを開閉させるためのチャッキング機構は、後側軸受よりも後側に配置されている。ここで、チャッキング機構は、主軸の外側において主軸中心線方向へ移動可能なシフター、及び、前方へ突出してシフターの外周面に接触している先端を有して主軸中心線から先端までの距離が変わる向きに傾動可能な爪部材を含んでいる。シフターは、主軸中心線を中心として主軸の周りを一周する形状である。シフターには、複数の爪部材が接触している。シフターと爪部材は、主軸中心線を中心として回転する。ここで、主軸中心線を中心としたシフターの外側に爪部材の先端が存在するため、前述のチャッキング機構を外爪式のチャッキング機構と呼ぶことにする。
[0003]
 シフターは、後側へ駆動されると、爪部材の先端を主軸中心線から遠ざける向きに爪部材を傾動させ、スリーブ部材を介してコレットを閉状態にする。これにより、ワークがコレットに把持される。また、シフターが前側へ駆動されると、コレット開き用ばねからの力により爪部材の先端が主軸中心線に近付く向きに爪部材が傾動し、コレットが開状態になる。これにより、ワークがコレットから解放される。
 上述したように、シフターと爪部材は、主軸中心線を中心として回転する。シフターが駆動された時に爪部材の先端が遠心力により主軸中心線から遠ざかる動きを防ぐため、爪部材は傾動中心よりも後側が延びた形状とされている。シフターは、爪部材の先端近傍から前方へ延びた形状とされている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2018-149643号公報(特に図2)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 主軸中心線方向へ移動する主軸台と刃物台等の構造物との干渉を避ける等の理由により、支持部に支持されている主軸の前部を長くすることがある。しかし、後側軸受よりも後側にある上述のチャッキング機構をビルトインモーターが存在する前側軸受と後側軸受の間に対して単純に移すことはできない。これは、上述のチャッキング機構が主軸中心線方向において長く、前側軸受と後側軸受の間においてチャッキング機構とビルトインモーターの間に中間軸受が無ければ支持部が主軸を高速回転可能に支えることができないためである。従って、前側軸受と後側軸受の間に上述のチャッキング機構とビルトインモーターの両方を配置する場合、主軸台の構造が複雑になるうえ、主軸の前側が長くなりすぎてしまう。
 尚、上述のような問題は、種々の旋盤に存在する。
[0006]
 本発明は、主軸を主軸中心線方向において短縮化させることが可能な旋盤を開示するものである。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明の旋盤は、ワークを把持する閉状態と前記ワークを解放する開状態とを有する把持部が前部に設けられ、主軸中心線を中心として回転可能な主軸と、
 前側軸受及び後側軸受を介して前記主軸を回転可能に支持する支持部と、
 前記前側軸受と前記後側軸受との間に配置されて前記主軸を回転させるビルトインモーターと、
 前記把持部を開閉させる開閉装置と、を備え、
 前記開閉装置は、
  前記主軸の外側において前記前側軸受と前記後側軸受との間に配置された傾動可能な爪部材であって、前記把持部が開状態になる第一の姿勢と前記把持部が閉状態になる第二の姿勢とで前記主軸中心線からの距離が変わる可動端部を有する爪部材と、
  前記爪部材の外側において前記主軸中心線の方向へ移動可能であり、前記爪部材を第一の姿勢にさせる第一の位置と、前記爪部材を前記第二の姿勢にさせる第二の位置と、に配置されるシフターと、を有する、態様を有する。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、主軸を主軸中心線方向において短縮化させる旋盤を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 旋盤の構成例を模式的に示す図である。
[図2] サブ主軸台の例を模式的に示す縦断面図である。
[図3] チャッキング機構及びその周辺の例を示す斜視図である。
[図4] チャッキング機構及びその周辺の例を示す縦断面図である。
[図5] 爪部材の例を示す斜視図である。
[図6] 爪ホルダーの例を示す斜視図である。
[図7] シフターの例を示す斜視図である。
[図8] シフターの駆動部の例を模式的に示す図である。
[図9] 把持部が開状態である時のチャッキング機構の例を示す縦断面図である。
[図10] 把持部を閉じる第二の位置にシフターが到着した時点のチャッキング機構の例を示す縦断面図である。
[図11] シフターが第二の位置にある状態でシフターレバーの挿入部を外向き溝の両側面から離隔させた例を示す縦断面図である。
[図12] 把持部を開く第一の位置にシフターが到着した時点のチャッキング機構の例を示す縦断面図である。
[図13] 外爪式のチャッキング機構のシフターにローラーを設けた例において把持部が閉状態である場合の例を示す縦断面図である。
[図14] 外爪式のチャッキング機構のシフターにローラーを設けた例において把持部が開状態である場合の例を示す縦断面図である。
[図15] 内爪式のチャッキング機構の爪部材にローラーを設けた例において把持部が閉状態である場合の例を示す縦断面図である。
[図16] 内爪式のチャッキング機構の爪部材にローラーを設けた例において把持部が開状態である場合の例を示す縦断面図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
[0011]
(1)本発明に含まれる技術の概要:
 まず、図1~16に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
[0012]
[態様1]
 本技術の一態様に係る旋盤1は、主軸(例えば背面主軸52)、支持部53、ビルトインモーター55、及び、開閉装置6を備えている。前記主軸(52)は、ワークW0を把持する閉状態ST2と前記ワークW0を解放する開状態ST1とを有する把持部60が前部に設けられ、主軸中心線AX0を中心として回転可能である。前記支持部53は、前側軸受B1及び後側軸受B2を介して前記主軸(52)を回転可能に支持する。前記ビルトインモーター55は、前記前側軸受B1と前記後側軸受B2との間に配置されて前記主軸(52)を回転させる。前記開閉装置6は、爪部材20、及び、シフター10を有し、前記把持部60を開閉させる。前記爪部材20は、前記主軸(52)の外側において前記前側軸受B1と前記後側軸受B2との間に配置され、傾動可能である。当該爪部材20は、前記把持部60が開状態ST1になる第一の姿勢PO1と前記把持部60が閉状態ST2になる第二の姿勢PO2とで前記主軸中心線AX0からの距離が変わる可動端部21を有している。前記シフター10は、前記爪部材20の外側において前記主軸中心線AX0の方向(例えばZ軸方向)へ移動可能であり、前記爪部材20を第一の姿勢PO1にさせる第一の位置LO1と、前記爪部材20を前記第二の姿勢PO2にさせる第二の位置LO2と、に配置される。
[0013]
 比較のため、図13,14を参照して、後側軸受よりも後方に配置される外爪式のチャッキング機構を簡単に説明する。図13,14に示す背面主軸用のチャッキング機構6bは、背面主軸52の外側においてZ軸方向へ移動可能なシフター10、及び、前方へ突出してシフター10の外周部に接触して主軸中心線AX0から可動端部21までの距離が変わる向きに傾動可能な爪部材20を含んでいる。シフター10は、主軸中心線AX0を中心として背面主軸52の周りを一周する形状である。シフター10には、複数の爪部材20が接触している。シフター10と爪部材20は、主軸中心線AX0を中心として回転する。図14に示すようにシフター10が前側へ駆動された時に爪部材20の可動端部21が遠心力により主軸中心線AX0から遠ざかる動きを防ぐため、爪部材20は、傾動中心よりも後側が延びた形状であって重量を持たせた延出部22cを有している。また、シフター10は、爪部材20の前端近傍から前方へ延びた形状とされている。
[0014]
 以上より、外爪式のチャッキング機構は、主軸中心線方向において長く、ビルトインモーターが存在する前側軸受と後側軸受の間に対して単純に移すことはできない。前側軸受と後側軸受の間にチャッキング機構とビルトインモーターを並べた主軸を高速回転可能に支えるためには中間軸受が必要となるが、中間軸受を用いる場合、主軸台の構造が複雑になるうえ、主軸の前側が長くなりすぎてしまう。また、チャッキング機構が後側軸受よりも後方に配置されることは、主軸の高速回転には不利となる。
[0015]
 一方、上記態様1のチャッキング機構6aでは、主軸(52)の外側にある爪部材20の外側において主軸中心線AX0の方向へ移動可能にシフター10が配置されている。これにより、本態様のチャッキング機構6aは、外爪式のチャッキング機構と比べて主軸中心線方向において短くて済み、中間軸受が無くてもビルトインモーター55が存在する前側軸受B1と後側軸受B2との間に配置することができる。主軸台(51)と刃物台30等の構造物との干渉を避ける等の理由により主軸(52)の前部を長くする必要がある場合、主軸(52)の長くした前側のスペースにチャッキング機構6aを配置することができ、主軸(52)の後側を短くすることができる。従って、本態様は、主軸を主軸中心線方向において短縮化させる旋盤を提供することができる。
[0016]
 ここで、主軸には、正面主軸とも呼ばれるメイン主軸、及び、背面主軸とも呼ばれるサブ主軸が含まれる。
 把持部には、コレットや爪等と呼ばれる種々の把持手段でワークを把持するものが含まれる。
 ワークの概念には、製品も含まれるものとする。
 尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
[0017]
[態様2]
 本旋盤1は、前記ワークW0を把持するメイン主軸(例えば正面主軸42)を設けたメイン主軸台(例えば正面主軸台41)、前記メイン主軸(42)に把持されているワークW0を加工する刃物台30、及び、前記メイン主軸(42)に対向して該メイン主軸(42)から前記ワークW0を受け取るサブ主軸(例えば背面主軸52)を前記主軸として設けたサブ主軸台(例えば背面主軸台51)を備えていてもよい。主軸中心線方向へ移動するサブ主軸台(51)は、特に、メイン主軸(42)に把持されているワークW0を加工する刃物台30との干渉を避ける必要がある。サブ主軸台(51)と刃物台30等の構造物との干渉を避ける等の理由によりサブ主軸(52)の前部を長くする必要がある場合、サブ主軸(52)の長くした前側のスペースにチャッキング機構6aを配置することができ、サブ主軸(52)の後側を短くすることができる。このように、本態様は、サブ主軸を主軸中心線方向において短縮化させる旋盤を提供することができる。
[0018]
[態様3]
 ここで、前記主軸中心線AX0の方向において前記爪部材20及び前記シフター10が前記ビルトインモーター55よりも前側にあってもよい。ビルトインモーター55は主軸中心線AX0を中心とした径が比較的大きい一方、チャッキング機構6aは径を比較的小さくすることができる。このことから、刃物台30等の構造物との干渉を避ける等の理由により主軸(52)の長くした前側のスペースにチャッキング機構6aを入れ易い。また、主軸(52)の前部にある把持部60からチャッキング機構6aまでの距離が短くなるので、把持部60の開閉装置6の構造を簡素化させることができる。従って、本態様は、主軸を主軸中心線方向において短縮化させる好適な旋盤を提供することができる。
[0019]
[態様4]
 また、本技術の別の態様に係る旋盤1は、主軸(例えば背面主軸52)、及び、開閉装置6を備えている。前記主軸(52)は、ワークW0を把持する閉状態ST2と前記ワークW0を解放する開状態ST1とを有する把持部60が設けられ、主軸中心線AX0を中心として回転可能である。前記開閉装置6は、爪部材20、及び、シフター10を有し、前記把持部60を開閉させる。前記爪部材20は、主軸(52)の外側において傾動可能であり、前記把持部60が開状態ST1になる第一の姿勢PO1と前記把持部60が閉状態ST2になる第二の姿勢PO2とを有する。前記シフター10は、前記主軸(52)の外側において前記主軸中心線AX0の方向(例えばZ軸方向)へ移動可能であり、前記爪部材20を第一の姿勢PO1にさせる第一の位置LO1と、前記爪部材20を前記第二の姿勢PO2にさせる第二の位置LO2と、に配置される。前記シフター10には、該シフター10と前記爪部材20とが接触する位置に前記主軸中心線AX0の方向へ転動可能なローラー15が取り付けられている。
[0020]
 上記態様4では、シフター10に取り付けられたローラー15が爪部材20に接触しているので、把持部60の開閉時にローラー15が主軸中心線方向へ転動する。これにより、シフター10と爪部材20との摩擦が低減され、シフター10の駆動源の負荷の軽減に繋がる。また、ローラー15と爪部材20の摩耗が少なくて済む。さらに、主軸(52)の周りを一周しているシフター全体を主軸(52)から抜き出して新品を主軸(52)の周りに取り付ける作業には手間が掛かるが、本態様は、ローラー15の交換が必要になってもシフター全体を交換しなくてもよいので、交換作業の手間が少なくて済む。尚、ローラーを爪部材に取り付ける場合は、ローラーとシフターとが接触することから、徐々にではあるがローラーとシフターが摩耗し、シフター全体の交換が必要となる。ローラーをシフターに取り付けることにより、シフターと爪部材との接触部分がローラーに限定され、シフター全体の交換が不要となる。従って、本態様は、チャッキング機構のメンテナンスを容易にさせる旋盤を提供することができる。
[0021]
[態様5]
 前記シフター10は、前記ローラー15の転動の中心軸AX3に沿った軸部材(例えばローラーピン16)が取り外し可能に取り付けられた保持部14を有していてもよい。前記ローラー15は、前記軸部材(16)を前記中心軸AX3の方向へ通す挿通穴15aを有し、該挿通穴15aを通った前記軸部材(16)を中心として転動可能でもよい。本態様は、シフター10の保持部14から軸部材(16)を取り外すとシフター10からローラー15を外すことができ、ローラー15の挿通穴15aを通った軸部材(16)をシフター10の保持部14に取り付けるとローラー15の交換が完了する。従って、本態様は、チャッキング機構のメンテナンスを容易にさせる好適な旋盤を提供することができる。 
[0022]
[態様6]
 さらに、本技術の別の態様に係る旋盤1は、主軸(例えば背面主軸52)、及び、開閉装置6を備えている。前記主軸(52)は、ワークW0を把持する閉状態ST2と前記ワークW0を解放する開状態ST1とを有する把持部60が設けられ、主軸中心線AX0を中心として回転可能である。前記開閉装置6は、爪部材20、シフター10、及び、駆動部DR1を有し、前記把持部60を開閉させる。前記爪部材20は、前記主軸(52)の外側において前記主軸中心線AX0を中心として回転し、傾動可能であり、前記把持部60が開状態ST1になる第一の姿勢PO1と前記把持部60が閉状態ST2になる第二の姿勢PO2とを有する。前記シフター10は、前記主軸(52)の外側において前記主軸中心線AX0を中心として回転する。当該シフター10は、前記主軸中心線AX0の方向(例えばZ軸方向)へ移動可能であり、前記爪部材20を第一の姿勢PO1にさせる第一の位置LO1と、前記爪部材20を前記第二の姿勢PO2にさせる第二の位置LO2と、に配置される。前記駆動部DR1は、前記シフター10を前記主軸中心線AX0の方向へ移動させるシフターレバー68を有している。前記シフター10の外面11には、前記主軸中心線AX0を中心として一周して前記シフターレバー68の挿入部68aが入っている外向き溝12が設けられている。前記シフターレバー68の挿入部68aには、前記外向き溝12の側面12a,12bに接触可能なシフター軸受B3が設けられている。前記爪部材20と前記シフター10の内、一方の部材に対して他方の部材に接触する位置に前記主軸中心線AX0の方向へ転動可能なローラー15が設けられ、前記他方の部材に対して前記把持部60が開状態ST1である時に前記ローラー15が入る溝25が設けられている。
[0023]
 上記態様6では、把持部60が開状態ST1になると、爪部材20と前記シフター10の内、一方の部材にあるローラー15が他方の部材にある溝25に入る。これにより、把持部60が開状態ST1であっても、シフター軸受B3がシフター10の外向き溝12の側面12a,12bから離隔している状態を維持することができる。従って、本態様は、シフター軸受の寿命を延ばすことが可能な旋盤を提供することができる。
[0024]
[態様7]
 さらに、本技術の別の態様に係る旋盤1は、以下の態様も有する。
 ワークW0を把持する閉状態ST2と前記ワークW0を解放する開状態ST1とを有する把持部60が設けられ、主軸中心線AX0を中心として回転可能な主軸(例えば背面主軸52)と、
 前記把持部60を開閉させる開閉装置6と、を備え、
 前記開閉装置6は、
  前記主軸(52)の外側において前記主軸中心線AX0を中心として回転する傾動可能な爪部材20であって、前記把持部60が開状態ST1になる第一の姿勢PO1と前記把持部60が閉状態ST2になる第二の姿勢PO2とを有する爪部材20と、
  前記主軸(52)の外側において前記主軸中心線AX0を中心として回転し、前記主軸中心線AX0の方向(例えばZ軸方向)へ移動可能であり、前記爪部材20を第一の姿勢PO1にさせる第一の位置LO1と、前記爪部材20を前記第二の姿勢PO2にさせる第二の位置LO2と、に配置されるシフター10と、
  該シフター10を前記主軸中心線AX0の方向へ移動させるシフターレバー68を有する駆動部DR1と、を有し、
 前記シフター10の外面11には、前記主軸中心線AX0を中心として一周して前記シフターレバー68の挿入部68aが入っている外向き溝12が設けられ、
 前記シフターレバー68の挿入部68aには、前記外向き溝12の側面12a,12bに接触可能なシフター軸受B3が設けられ、
 前記駆動部DR1は、前記シフター10を前記主軸中心線AX0の方向へ移動させた後に前記シフター軸受B3を前記外向き溝12の側面12a,12bから離隔させるように前記シフターレバー68を駆動する、旋盤1。
[0025]
 上記態様7では、駆動部DR1により駆動されるシフターレバー68がシフター10を主軸中心線AX0の方向へ移動させた後にシフター軸受B3がシフター10の外向き溝12の側面12a,12bから離隔する。これにより、シフター軸受B3がシフター10の外向き溝12の側面12a,12bから離隔している状態を維持することができる。従って、本態様は、シフター軸受の寿命を延ばすことが可能な旋盤を提供することができる。
[0026]
(2)旋盤の構成の具体例:
 図1は、旋盤の例として正面主軸42が移動する主軸移動型のNC(数値制御)旋盤1の構成を模式的に例示している。図1は、本技術を説明するために簡略化した一例を示しているに過ぎず、本技術を限定するものではない。尚、各部の位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右方向を上下方向又は前後方向に変更したり、上下方向を左右方向や前後方向に変更したり、前後方向を左右方向や上下方向に変更したり、回転方向を逆方向に変更したり等することも、本技術に含まれる。また、方向や位置等の同一は、厳密な一致に限定されず、誤差により厳密な一致からずれることを含む。
[0027]
 図1に示す旋盤1は、基台2の上に、正面主軸42を設けた正面主軸台41、ガイドブッシュ35、背面主軸52を設けた背面主軸台51、くし形刃物台31、背面加工用刃物台32、タレット刃物台33、等を有している。尚、正面主軸42はメイン主軸の例であり、正面主軸台41はメイン主軸台の例であり、背面主軸52はサブ主軸の例であり、背面主軸台51はサブ主軸台の例である。また、くし形刃物台31と背面加工用刃物台32とタレット刃物台33を刃物台30と総称する。図1には便宜上、主軸台41,51やガイドブッシュ35や刃物台30等の動作を数値制御するNC装置(数値制御装置)80も示しているが、NC装置80は図1に示す位置にあるとは限らない。
[0028]
 図1において、正面主軸42を含めて正面主軸台41はZ軸方向へ移動可能であり、背面主軸52を含めて背面主軸台51はZ軸方向及びX軸方向へ移動可能であり、くし形刃物台31はX軸方向及びY軸方向へ移動可能であり、背面加工用刃物台32はY軸方向へ移動可能であり、タレット刃物台33はX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向へ移動可能である。ここで、Z軸方向は主軸中心線方向の例であり、Z軸方向とX軸方向とは互いに直交し、Z軸方向とY軸方向とは互いに直交し、X軸方向とY軸方向とは互いに直交している。尚、Z軸方向とX軸方向とは互いに交差していれば直交していなくてもよく、Z軸方向とY軸方向とは互いに交差していれば直交していなくてもよく、X軸方向とY軸方向とは互いに交差していれば直交していなくてもよい。むろん、主軸台41,51や刃物台30の移動方向は、図1に示す方向に限定されない。
[0029]
 基台2は、ベッドやテーブル等とも呼ばれ、前述の各部41,35,51,30等を直接又は間接的に支持する土台部分を構成する。図1には、基台2が支持台36を介してガイドブッシュ35を支持していることが示されている。
[0030]
 正面主軸42は、コレット等の把持部を有し、Z軸方向へ挿入された円柱状(棒状)のワークW1を把持部で解放可能に把持する。NC装置80は、ビルトインモーター等の駆動部を介して、ワークW1の長手方向に沿う主軸中心線AX1を中心として正面主軸42を回転させる。これにより、正面主軸42は、主軸中心線AX1を中心としてワークW1を回転させる。
 正面主軸42の前方に配置されたガイドブッシュ35は、正面主軸42を貫通した長手状のワークW1をZ軸方向へ摺動可能に支持し、正面主軸42と同期して主軸中心線AX1を中心として回転駆動される。尚、ガイドブッシュの無い旋盤にも、本技術を適用可能である。
[0031]
 背面主軸52は、正面主軸42に対向して正面主軸42から正面加工後のワークW0を受け取る。背面主軸52は、コレット等の把持部60を有し、主軸中心線AX1,AX0同士が合わせられた状態でZ軸方向へ挿入された正面加工後のワークW0を把持部60で解放可能に把持する。NC装置80は、図2に示すビルトインモーター55等の駆動部を介して、主軸中心線AX0を中心として背面主軸52を回転させる。これにより、背面主軸52は、主軸中心線AX0を中心としてワークW0を回転させる。背面主軸52は、正面主軸と対向する意味で対向主軸と呼ばれることがある。以下、正面主軸42の主軸中心線AX1と背面主軸52の主軸中心線AX0の両方を含める場合は単に主軸中心線AX0と記載し、正面主軸42に把持されるワークW1と背面主軸52に把持されるワークW0の両方を含める場合は単にワークW0と記載する。
[0032]
 刃物台30には、ワークW0を加工するための複数の工具T1が取り付けられている。くし形刃物台31とタレット刃物台33は、ガイドブッシュ35に支持されているワークW1に対して各種工具T1により正面加工を行うことが可能である。複数の工具T1には、両主軸42,52に把持されているワークW0を突っ切るための突っ切りバイトが含まれている。突っ切りバイトにより分離された正面加工後のワークW0に対して、背面加工用刃物台32とタレット刃物台33は背面加工を行うことが可能である。
[0033]
 NC装置80は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、時計回路、インターフェイス(I/F)、等を有し、図示しない操作パネルや外部コンピューターから各種情報の入力を受け付けてNCプログラムを実行する。これにより、NC装置80は、主軸台41,51や刃物台30の移動、及び、主軸42,52やガイドブッシュ35の回転を制御する。オペレーターは、操作パネルや外部コンピューターを用いてNC装置80のRAMにNCプログラムを書き換え可能に記憶させることが可能である。
[0034]
 図2は、背面主軸台51における主軸中心線AX0に沿った縦断面を模式的に例示し、隠れた位置にあるアクチュエーター69も模式的に示している。図2において、主軸中心線AX0から上側はコレット61が閉状態ST2で排出部材70が図2の右方へ後退している様子を示し、主軸中心線AX0から下側はコレット61が開状態ST1で排出部材70が図2の左方へ前進している様子を示している。尚、説明の都合上、製品としてのワークW0が排出部材70により排出される方向(図2の左方)を前方D1とし、排出部材70が退避する方向(図2の右方)を後方D2とし、主軸中心線AX0から離れる方向を外方向とし、主軸中心線AX0に近付く方向を内方向とする。ここで、前側、後側、外側、及び、内側は、位置関係を表す用語である。前側や後側で表される位置関係は厳密なZ軸方向からずれた位置関係でもよいし、外側や内側で表される位置関係は主軸中心線AX0と厳密に直交する方向からずれた位置関係でもよい。図3は、背面主軸52の外側に配置されたチャッキング機構6aの外観を模式的に例示している。図4は、背面主軸52の外側に配置されたチャッキング機構6aの縦断面を模式的に例示している。図5は、チャッキング機構6aに含まれる爪部材20の外観を例示している。図6は、爪部材20を傾動可能に保持する爪ホルダー26の外観を例示している。図7は、チャッキング機構6aに含まれるシフター10の外観を例示している。図8は、シフター10の駆動部DR1を模式的に例示している。図9~12は、チャッキング機構6a及びその周辺の動作を縦断面図により例示している。
 尚、分かり易く示すため、図2,4に示す断面図にはハッチングを省略した箇所がある。
[0035]
 背面主軸台51には、正面加工後のワークW0の把持部60を有する背面主軸52、この背面主軸52の支持部53、背面主軸52を回転させるビルトインモーター55、把持部60の開閉装置6、及び、製品としてのワークW0の排出部材70が設けられている。支持部53は、背面主軸台51に一体化された部位でもよいし、背面主軸台51に設けられる別部材でもよい。図2に示す支持部53は前側軸受B1が設けられた前側部分と後側軸受B2が設けられた後側部分とに分かれており、前側部分は背面主軸台51に一体化され、後側部分は背面主軸台51に設けられた別部材である。むろん、前側部分は別部材でもよいし、後側部分は背面主軸台51に一体化されてもよい。排出部材70は、交換部品であり、製品としてのワークW0を図2の右方へ通過させる製品通過パイプ等に変えられることがある。
[0036]
 背面主軸52は、Z軸方向へ排出部材70を通すための貫通穴52aを有し、背面主軸台51の支持部53に対して転がり軸受B1,B2を介して回転可能に支持され、モーター55の駆動により主軸中心線AX0を中心として回転する。貫通穴52aには、チャックスリーブ63と押しスリーブ65がZ軸方向へ挿入されている。これらのスリーブ63,65は、主軸中心線AX1に沿って貫通した穴を有し、排出部材70がZ軸方向へ挿入されている。スリーブ63,65は、排出部材70の周りで背面主軸52とともに主軸中心線AX1を中心として回転する。
[0037]
 背面主軸52の前部には、ワークW0を把持するための把持部60としてコレット61とキャップ部材62が設けられている。コレット61の外周面には、後側となるほど細くなるテーパー部61aが形成されている。このテーパー部61aには、複数の箇所(例えば3箇所)にすりわりが形成されている。キャップ部材62は、背面主軸52の前端部に取り付けられてコレット61を保持している。コレット61のテーパー部61aがチャックスリーブ63の逆テーパー部63aに押されると、コレット61はワークW0を把持する。逆テーパー部63aがテーパー部61aを押す力が緩められると、コレット61はワークW0を解放する。このように、把持部60は、ワークW0を把持する閉状態ST2とワークW0を解放する開状態ST1とを有し、背面主軸52とともに回転する。コレット61から解放されたワークW0は、排出部材70の前進により図2の左方へ排出される。 
[0038]
 前側軸受B1は、チャッキング機構6aよりも前側に配置されている。後側軸受B2は、ビルトインモーター55よりも後側に配置されている。図2に示す軸受B1,B2はボールベアリングであるが、軸受B1,B2にローラーベアリング等を用いてもよい。軸受B1,B2の内輪は、背面主軸52の外周部に取り付けられている。軸受B1,B2の外輪は、支持部53に取り付けられている。
[0039]
 図1で示したように、背面主軸台51からガイドブッシュ35の支持台36に向かう方向には、くし形刃物台31や背面加工用刃物台32やタレット刃物台33といった構造物がある。図2に示す背面主軸台51の本体部51aは、基台2に対してX軸方向及びZ軸方向へ移動可能に支持される構造があり、刃物台30等の構造物と干渉しない位置までしかガイドブッシュ35に近付くことができない。背面主軸52の前部をガイドブッシュ35に近付けるため、背面主軸52の前部を長くし、刃物台30等の構造物と干渉しない範囲で背面主軸台51に背面主軸52の前部を回転可能に支持する比較的細長い延長部51bを設けている。
[0040]
 前側軸受B1と後側軸受B2との間には、チャッキング機構6aよりも後側において、背面主軸52を回転させるビルトインモーター55が配置されている。このビルトインモーター55は、支持部53側のステーター56と背面主軸52側のローター57を有し、NC装置80の制御に従ったタイミングで背面主軸52を回転駆動する。背面主軸を回転させる駆動部としてはベルトを介して外部のモーターの回転駆動力を背面主軸52に伝えることも考えられるが、ベルトの伸び縮みにより背面主軸の回転がモーターの回転に追従しきれなかったり、ベルトが摩耗したり、破断したりすることがある。背面主軸52を駆動させる駆動部にビルトインモーター55を使用することにより、摩耗や破断の可能性があるベルトが不要となり、背面主軸52の回転の追従性が向上する。
[0041]
 把持部60の開閉装置6は、チャックスリーブ63、コレット開き用のばね64、押しスリーブ65、爪部材20とシフター10を含むチャッキング機構6a、及び、シフターレバー68とコレット開閉用アクチュエーター69を含む駆動部DR1を有している。尚、本技術の上記態様6,7において、シフター10は一方の部材の例であり、爪部材20は他方の部材の例である。
[0042]
 チャックスリーブ63は、前端部の内周面に逆テーパー部63aを有し、主軸中心線AX0を中心としたコレット61の外側に配置されている。逆テーパー部63aは、コレット61のテーパー部61aに沿って前側となるほど主軸中心線AX0から離れている。チャックスリーブ63は、Z軸方向へスライド可能であり、前側へ移動するとコレット61のテーパー部61aを内側へ締め付け(閉状態ST2)、後側へ移動するとコレット61のテーパー部61aの締め付けを緩める(開状態ST1)。ばね64は、例えばコイルばねを利用し、前端部がコレット61に掛止され、後端部がチャックスリーブ63の内周面に掛止されて、チャックスリーブ63に後方への力を加えている。押しスリーブ65の前端部は、チャックスリーブ63の後端部に突き当たっている。図4に示すように、押しスリーブ65の後端面65bは、爪部材20の接触部22bに突き当たっている。押しスリーブ65は、Z軸方向へスライド可能であり、爪部材20から前側へ移動させる駆動力が加わると前側へ移動し、爪部材20からの駆動力が解除されるとばね64から後側へ移動させる力が加わることにより後側へ移動する。
[0043]
 チャッキング機構6aは、背面主軸52の外側において前側軸受B1と後側軸受B2との間に配置されている。本具体例のチャッキング機構6aは、主軸中心線AX0を中心としたシフター10の内側に爪部材20が存在する内爪式である特徴を有する。チャッキング機構6aは、Z軸方向においてビルトインモーター55よりも前側にある。
[0044]
 チャッキング機構6aに含まれる爪部材20は、主軸中心線AX0を中心とした背面主軸52の外側において前側軸受B1と後側軸受B2との間に配置され、主軸中心線AX0を中心として回転する。図4に示すように、チャッキング機構6aは、主軸中心線AX0を挟む2箇所に爪部材20を有している。爪部材20の前端部は主軸中心線AX0からの距離が実質的に変わらない基端部22であり、爪部材20の後端部は主軸中心線AX0からの距離が変わる可動端部21である。主軸中心線AX0を中心とした爪部材20の外側の面には、図5に示すように、基端部22と可動端部21との間において主軸中心線AX0の方へ凹んだ凹部20aが形成されている。シフター10は、凹部20aにおいて爪部材20の外側に配置されている。
[0045]
 爪部材20の基端部22は、図3,4に示す爪ピン23を傾動の中心軸の方向へ通す挿通穴22a、及び、押しスリーブ65の後端面65bが突き当たる接触部22bを有している。爪部材20は、挿通穴22aを通った爪ピン23を中心として傾動可能である。接触部22bは、挿通穴22aよりも主軸中心線AX0に近い位置にあり、押しスリーブ65の後端面65bにより後方へ押されたり押しスリーブ65の後端面65bを前方へ押し返したりする。
[0046]
 爪部材20の可動端部21は、爪部材20の傾動に応じて主軸中心線AX0からの距離が変わる。図2において主軸中心線AX0よりも下側に示すように接触部22bが押しスリーブ65により後方へ押されてコレット61が開状態ST1になると、爪部材20は、可動端部21が主軸中心線AX0から比較的遠い位置にある第一の姿勢PO1となる。図2において主軸中心線AX0よりも上側に示すように接触部22bが押しスリーブ65を前方へ押すと、爪部材20は可動端部21が主軸中心線AX0から比較的近い位置にある第二の姿勢PO2となり、コレット61が閉状態ST2となる。すなわち、爪部材20は、可動端部21が主軸中心線AX0から比較的離れてコレット61が開状態ST1になる第一の姿勢PO1と、可動端部21が主軸中心線AX0に比較的近付いてコレット61が閉状態ST2になる第二の姿勢PO2と、を有している。
[0047]
 爪部材20の凹部20aにおいて可動端部21の近傍には、可動端部21が主軸中心線AX0から比較的遠くて(爪部材20が第一の姿勢PO1)コレット61が開状態ST1である時にシフター10のローラー15が入る溝25が設けられている。溝25の向きは、主軸中心線AX0と直交する方向である。シフター10のローラー15は、溝25から可動端部21にかけて主軸中心線AX0を中心とした爪部材20の外側面に接触する。主軸中心線AX0を中心として可動端部21の外側面が凹部20aの外側面よりも外側にあり、且つ、爪部材20が基端部22の挿通穴22aを中心として傾動可能であることにより、ローラー15が爪部材20に接触する位置が溝25から可動端部21に変わると可動端部21が主軸中心線AX0に近付いてコレット61が閉状態ST2になる。
[0048]
 爪部材20を傾動可能に支持するため、チャッキング機構6aは、図6に示すような爪ホルダー26を背面主軸52の外側に有している。爪ホルダー26は、前部に太径部26aを有し、この太径部から後端に至る範囲に細径部26bを有している。爪ホルダー26は、太径部26aから細径部26bにかけて背面主軸52をZ軸方向へ通す貫通穴26cを有している。細径部26bには、各爪部材20の位置に合わせたスリット26dが形成されている。主軸中心線AX0を中心とした細径部26bの外側にはシフター10がZ軸方向へスライド可能に配置され、細径部26bの外周面26eはシフター10の案内面となる。太径部26aには、爪部材20の傾動の中心軸に沿った爪ピン23が取り外し可能に取り付けられる保持部27が設けられている。保持部27は、爪部材20の基端部22が入る隙間27aにより二つに分けられている。太径部26aには、各保持部27に隣接する位置に凹部27bが形成されている。各保持部27は、隙間27aと凹部27bとに挟まれた位置にある。各保持部27には、凹部27bから隙間27aに繋がり爪ピン23を通すことが可能な挿通穴27cが形成されている。
[0049]
 以上より、爪部材20の基端部22を隙間27aに配置して両保持部27の挿通穴27cと基端部22の挿通穴22aに爪ピン23を通し、この爪ピン23の両端部にストップリング24(図3参照)を取り付けると、爪ホルダー26に爪部材20が傾動可能に取り付けられる。爪部材20が取り付けられた爪ホルダー26は、主軸中心線AX0を中心として回転する。
[0050]
 チャッキング機構6aに含まれるシフター10は、主軸中心線AX0を中心とした爪部材20の凹部20aと爪ホルダー26の細径部26bの外側においてZ軸方向へ移動可能であり、主軸中心線AX0を中心として回転する。シフター10は、Z軸方向において前側軸受B1と後側軸受B2との間にある爪部材20の範囲内でZ軸方向へスライドし、爪部材20を第一の姿勢PO1にさせる第一の位置LO1と、爪部材20を第二の姿勢PO2にさせる第二の位置LO2と、に配置される。Z軸方向においてシフター10全体が爪部材20と重なっているので、本具体例の内爪式のチャッキング機構6aは、外爪式のチャッキング機構と比べてZ軸方向において短くて済み、図13,14に示すように重量を持たせた延出部22cが無いので軽量である。
[0051]
 シフター10は、爪ホルダー26をZ軸方向へ通す貫通穴10aを有している。シフター10の外面11には、主軸中心線AX0を中心として一周してシフターレバー68の挿入部68a(図8参照)が入っている外向き溝12が設けられている。図3,8に示すように、外向き溝12は、Z軸方向において相対する前側面12a及び後側面12bを有するとともに、前側面12aと後側面12bとの間に底面12cを有している。図9~12に示すシフター軸受B3の内輪の固定部を受け入れるため、底面12cは、主軸中心線AX0の方へ一段下がった凹部12dを有している。
[0052]
 シフター10の後部には、図2~4に示すように、シフター10と爪部材20とが接触する位置にZ軸方向へ転動可能なローラー15が取り付けられている。各ローラー15は、ローラーピン16(軸部材の例)を転動の中心軸AX3の方向へ通す挿通穴15aを有し、該挿通穴15aを通ったローラーピン16を中心として転動可能である。シフター10において外向き溝12よりも後側には、中心軸AX3に沿ったローラーピン16が取り外し可能に取り付けられた保持部14が設けられている。図3,7に示すように、保持部14は、ローラー15が入る隙間14aにより二つに分けられている。シフター10の後部には、各保持部14に隣接する位置に凹部14bが形成されている。各保持部14は、隙間14aと凹部14bとに挟まれた位置にある。各保持部14には、凹部14bから隙間14aに繋がりローラーピン16を通すことが可能な挿通穴14cが形成されている。 
[0053]
 以上より、ローラー15を隙間14aに配置して両保持部14の挿通穴14cとローラー15の挿通穴15aにローラーピン16を通し、このローラーピン16の両端部にストップリング17を取り付けると、シフター10にローラー15が中心軸AX3を中心として転動可能に取り付けられる。また、ローラーピン16の両端部からストップリング17を取り外して挿通穴14c,15aからローラーピン16を抜き出すと、シフター10からローラー15を取り外すことができる。
[0054]
 シフター10の駆動部DR1は、図2,8に示すように、シフター軸受B3が設けられたシフターレバー68、及び、アクチュエーター69を含んでいる。
 図9~12に示すように、駆動部DR1は、主軸中心線AX0を挟む2箇所にシフターレバー68を有している。両シフターレバー68は、先端68cの近傍において、互いに対向する面に挿入部68aを有している。各挿入部68aは、シフター10の外向き溝12に入っている。各シフターレバー68は、基端68bがアクチュエーター69により駆動されると支点68dを中心として少し回転して先端68cが概ねZ軸方向へ移動する。これにより、シフターレバー68は、シフター10をZ軸方向へ移動させる。シフター10は主軸中心線AX0を中心として回転する一方、シフターレバー68は主軸中心線AX0を中心とした回転をしない。そこで、シフターレバー68の挿入部68aには、図9~12に示すように、外向き溝12の側面12a,12bに接触可能なシフター軸受B3が設けられている。シフター軸受B3は主軸中心線AX0と交差する回転軸AX4を中心として外輪が回転可能であり、この外輪が外向き溝12の側面12a,12bに接触可能である。シフターレバー68は、シフター軸受B3の外輪が前側面12aと後側面12bの両方から離隔するように配置可能である。すなわち、シフター軸受B3の外輪は、外向き溝12の側面12a,12bに接触する時には前側面12aと後側面12bの一方にのみ接触する。
[0055]
 アクチュエーター69は、シリンダー69a、及び、このシリンダー69aから突出して先端がシフターレバー68の基端68bに対して回転動作可能に接続されたピストン69bを有し、NC装置80の制御に従ってシフターレバー68を駆動する。本具体例のアクチュエーター69は電動シリンダーを有する電動アクチュエーターであるものとするが、シリンダー69aには、エアーシリンダー、油圧シリンダー、等を用いることも可能である。
[0056]
 尚、シフター軸受には、主軸中心線を中心として回転可能な内輪を外向き溝に入れてシフターに接触させた転がり軸受もある。この転がり軸受を同軸型のシフター軸受と呼ぶことにする。同軸型のシフター軸受は、主軸中心線を中心としてシフターの外側に配置されるため、径が大きくなる。本具体例のシフター軸受B3は、主軸中心線AX0と交差する回転軸AX4を中心として外輪が回転可能である。このようなシフター軸受B3を対向配置型のシフター軸受と呼ぶことにする。対向配置型のシフター軸受B3は、同軸型のシフター軸受と比べて小さくなり、安価で済む。ただ、小型のシフター軸受B3がシフター10の外向き溝12の側面12a,12bに接触し続けていると、主軸中心線AX0を中心として背面主軸52が回転する時にシフター軸受B3が背面主軸52よりも速く回転し、発熱等により消耗し易くなる。
[0057]
 そこで、駆動部DR1がシフター10をZ軸方向へ移動させた後にシフター軸受B3を外向き溝12の側面12a,12bから離隔させるようにしている。このようにシフターレバー68を駆動する駆動部DR1は、例えば、NC装置80の制御に従ったアクチュエーター69の動作により実現可能である。この場合の駆動部DR1は、NC装置80を含む。以下、図2,8~12を参照して、駆動部DR1の動作例を説明する。
[0058]
 まず、図9に示すように、シフター10が前側の第一の位置LO1にあり、可動端部21が主軸中心線AX0から比較的遠くて爪部材20が第一の姿勢PO1であり、コレット61が開状態ST1であり(図2参照)、シフター軸受B3がシフター10の外向き溝12の両側面12a,12b(図8参照)から離隔しているとする。ワークW0を把持するためにコレット61を締め付ける場合、NC装置80は、まず、シフターレバー68の挿入部68aを後方へ移動させるようにシフターレバー68を駆動させる。この時、シリンダー69aから出ているピストン69bが前方へ移動し、シフターレバー68の先端68cが後方へ移動する。すると、シフター軸受B3の外輪が外向き溝12の後側面12bに接触し、図10に示すように、シフターレバー68の移動によりシフター10が後側の第二の位置LO2まで移動する。この結果、シフター10のローラー15が溝25から可動端部21まで中心軸AX3を中心として転動し、可動端部21が主軸中心線AX0に近付いて爪部材20が第二の姿勢PO2になり、爪部材20の接触部22bが押しスリーブ65を介してチャックスリーブ63を前方へ押す(図2参照)。チャックスリーブ63が前方へ移動すると、逆テーパー部63aがテーパー部61aを主軸中心線AX0の方へ押すため、コレット61が締め付けられて閉状態ST2となる。
[0059]
 その後、NC装置80は、シフター軸受B3が外向き溝12の前側面12aに接触しない範囲で後側面12bから離隔するようにアクチュエーター69にシフターレバー68を駆動させる。この時、シリンダー69aから出ているピストン69bがごく僅かに後方へ移動し、シフターレバー68の先端68cがごく僅かに前方へ移動する。すると、図11に示すように、シフター10は第二の位置LO2にとどまっていてシフター軸受B3が外向き溝12の両側面12a,12bから離隔した状態となる。従って、シフター10が主軸中心線AX0を中心として高速回転してもシフター軸受B3は高速回転しない。
[0060]
 また、ワークW0を解放するためにコレット61を開く場合、NC装置80は、まず、シフターレバー68の挿入部68aを前方へ移動させるようにシフターレバー68を駆動させる。この時、シリンダー69aから出ているピストン69bが後方へ移動し、シフターレバー68の先端68cが前方へ移動する。すると、シフター軸受B3の外輪が外向き溝12の前側面12aに接触し、図12に示すように、シフターレバー68の移動によりシフター10が前側の第一の位置LO1まで移動する。この結果、シフター10のローラー15が可動端部21から溝25まで中心軸AX3を中心として転動し、コレット開き用ばね64がチャックスリーブ63を介して押しスリーブ65を後方へ押し(図2参照)、可動端部21が主軸中心線AX0から遠ざかって爪部材20が第一の姿勢PO1になる。チャックスリーブ63が後方へ移動すると、逆テーパー部63aがテーパー部61aを主軸中心線AX0の方へ押す力が弱まり、コレット61が緩められて開状態ST1となる。 
[0061]
 その後、NC装置80は、シフター軸受B3が外向き溝12の後側面12bに接触しない範囲で前側面12aから離隔するようにアクチュエーター69にシフターレバー68を駆動させる。この時、シリンダー69aから出ているピストン69bがごく僅かに前方へ移動し、シフターレバー68の先端68cがごく僅かに後方へ移動する。すると、図9に示すように、シフター10は第一の位置LO1にとどまっていてシフター軸受B3が外向き溝12の両側面12a,12bから離隔した状態となる。従って、シフター10が主軸中心線AX0を中心として高速回転してもシフター軸受B3は高速回転しない。
[0062]
 以上説明したように、対向配置型のシフター軸受B3が外向き溝12において前側面12a又は後側面12bに接触するのは、コレット61の状態を開状態ST1と閉状態ST2とで切り替える時だけである。同軸型のシフター軸受の場合は主軸中心線を中心としたシフターの回転に合わせて回転するので、本具体例のシフター軸受B3は、同軸型のシフター軸受と比べて回転が少なくて済む。これにより、シフター軸受B3の発熱、ひいては消耗が抑制される。従って、本具体例の旋盤は、小型で安価なシフター軸受を用いながらシフター軸受の寿命を延ばすことが可能となる。
[0063]
(3)上述した具体例の作用及び効果:
 図1で示したように背面主軸台51の前方には刃物台30といった構造物があり、図2に示す背面主軸台51の本体部51aは刃物台30等の構造物と干渉しない位置までしかガイドブッシュ35に近付くことができない。単純に背面主軸52の前部を長くして背面主軸台51の比較的細長い延長部51bで支持する場合、Z軸方向において延長部51bの内側のスペースが増える。ただ、図13,14に示すような外爪式のチャッキング機構6bは、Z軸方向において長いため、チャッキング機構6bとビルトインモーターの間に中間軸受が無ければ背面主軸52を高速回転させることができないので前側軸受B1と後側軸受B2の間に入れることができない。中間軸受を用いる場合、背面主軸52を高速回転させることができるものの、背面主軸台51の構造が複雑になるうえ、背面主軸52の前側が長くなりすぎてしまう。また、チャッキング機構6bが後側軸受B2よりも後方に配置されることは、背面主軸52の高速回転には不利となる。
[0064]
 一方、図2~4,9~12に示すチャッキング機構6aでは、背面主軸52の外側にある爪部材20の外側においてZ軸方向へ移動可能にシフター10が配置されている。これにより、本具体例の内爪式のチャッキング機構6aは、外爪式のチャッキング機構6bと比べてZ軸方向において短くて済み、中間軸受が無くてもビルトインモーター55が存在する前側軸受B1と後側軸受B2との間に配置して背面主軸52を高速回転させることができる。背面主軸52の前部を長くする必要がある場合、背面主軸52の長くした前側のスペースにチャッキング機構6aを配置することができ、背面主軸52の後側を短くすることができる。また、チャッキング機構6aの径はビルトインモーター55の径よりも小さくて済むので、刃物台30等の構造物の干渉を避けるために背面主軸台51の長くした前側のスペースにチャッキング機構6aを入れ易い。
 以上より、本具体例は、背面主軸52をZ軸方向において短縮化させることができる。さらに、背面主軸52の前部にあるコレット61からチャッキング機構6aまでの距離が短くなるので、本具体例は、コレット61の開閉装置6の構造を簡素化させることができる。
[0065]
 さらに、シフター10と爪部材20とが接触する位置にZ軸方向へ転動可能なローラー15がシフター10に取り付けられているので、コレット61の開閉時にローラー15がZ軸方向へ転動する。これにより、シフター10と爪部材20との摩擦が低減され、アクチュエーター69の負荷の軽減に繋がる。また、互いに接触しているローラー15及び爪部材20は徐々に摩耗するものの、ローラー15と爪部材20の摩耗は少なくて済む。さらに、背面主軸52の周りを一周しているシフター全体を背面主軸52から抜き出して新品を背面主軸52の周りに取り付ける作業には手間が掛かるが、本具体例は、ローラー15の交換が必要になってもシフター全体を交換しなくてもよいので、交換作業の手間が少なくて済む。加えて、シフター10の保持部14からローラーピン16を取り外すとシフター10からローラー15を主軸中心線AX0と交差する径方向の外側へ取り出すことができる。その後、ローラー15の挿通穴15aを通ったローラーピン16をシフター10の保持部14に取り付けるとローラー15の交換が完了するので、ローラー15の交換が容易である。爪部材20は、背面主軸52の周りを一周している訳ではないので、交換が容易である。従って、本具体例は、チャッキング機構のメンテナンスを容易にさせることができる。
[0066]
 ここで、対向配置型のシフター軸受B3を用いる場合、シフター軸受B3の消耗を抑制するために、シフター10をZ軸方向へ移動させた後にシフター軸受B3を外向き溝12の側面12a,12bから離隔させる必要がある。図11で示したようにが後側の第二の位置LO2にあるシフター10のローラー15が爪部材20の可動端部21を主軸中心線AX0の方へ押している時には、コレット61がワークW0を把持する閉状態ST2であるので、可動端部21からローラー15に強い力が加わっている。このため、シフター軸受B3が外向き溝12の側面12a,12bから離隔していても、シフター10はZ軸方向へ移動しない。しかし、図9で示したように前側の第一の位置LO1にあるシフター10のローラー15が爪部材20の溝25に入っている時には、コレット61がワークW0を解放する開状態ST1である。この時、爪部材20からローラー15にはコレット開き用ばね64からの弱い力しか加わらないので、溝25が無ければシフター10がZ軸方向へ移動し、シフター軸受B3が外向き溝12の側面12a,12bに接触する可能性がある。本具体例のシフター10のローラー15はコレット61が開状態ST1である時に爪部材20の溝25に入るので、シフター軸受B3がシフター10の外向き溝12の側面12a,12bから離隔している状態が維持される。従って、本具体例は、シフター軸受の寿命を延ばすことができる。
[0067]
(4)変形例:
 本発明は、種々の変形例が考えられる。
 例えば、本技術を適用可能な旋盤は、主軸移動型旋盤に限定されず、メイン主軸が移動しない主軸固定型旋盤等でもよい。
 本技術を適用可能な主軸は、サブ主軸に限定されず、メイン主軸でもよい。
 チャッキング機構の爪部材の数は、2個に限定されず、3個以上でもよい。
[0068]
 本技術の上記態様1~5においては、シフター軸受は主軸中心線を中心とした同軸型のシフター軸受でもよく、爪部材20に溝25が無くてもよい。
 本技術の上記態様1~3においては、シフター10にローラー15が無くてもよい。
 本技術の上記態様1~3,6,7においては、シフターと爪部材とが接触する位置にZ軸方向へ転動可能なローラーが爪部材に取り付けられてもよい。
 本技術の上記態様4~7におけるチャッキング機構は、後側軸受B2よりも後方に配置されてもよいし、外爪式のチャッキング機構でもよい。
[0069]
 図13,14は、本技術の上記態様4~7に含まれる例として、図示しない後側軸受B2よりも後方に配置された外爪式のチャッキング機構6b及びその周辺の縦断面を示している。ここで、図13は、シフター10が後側の第二の位置LO2であって爪部材20が第二の姿勢PO2であることを示し、図示されていないコレット61は閉状態ST2となっている。図14は、シフター10が前側の第一の位置LO1であって爪部材20が第一の姿勢PO1であることを示し、図示されていないコレット61は開状態ST1となっている。
[0070]
 図13,14に示すシフター10は、主軸中心線AX0を中心として背面主軸52の周りを一周する形状であり、複数の爪部材20に接触している。シフター10には、シフター軸受B3が入っている外向き溝よりも後側において、爪部材20に接触する位置にZ軸方向へ転動可能なローラー15が取り外し可能に取り付けられている。爪部材20は、前方へ突出している可動端部21、及び、爪ピン23よりも後側が延びた形状の延出部22cを有し、主軸中心線AX0から可動端部21までの距離が変わる向きに傾動可能である。爪部材20には、コレット61が開状態ST1である時にローラー15が入る溝25が可動端部21の近傍に形成されている。
[0071]
 閉状態ST2のコレット61を開く場合、図13に示す状態からシフター軸受B3が前方へ移動するようにシフターレバー68が駆動され、シフター軸受B3に押されたシフター10が前方へ移動する。すると、シフター10のローラー15が可動端部21に向かって溝25まで中心軸AX3を中心として転動し、コレット開き用ばね64がチャックスリーブ63を介して押しスリーブ65を後方へ押す(図2参照)。押しスリーブ65が後方へ押されると、可動端部21が主軸中心線AX0に近付いて爪部材20が第一の姿勢PO1になる。チャックスリーブ63が後方へ移動すると、コレット61が緩められて開状態ST1となる。この状態が図14に示されている。
[0072]
 ここで、シフター軸受B3がシフター10の外向き溝の両側面から離隔するようにシフターレバー68が駆動されても、シフター10のローラー15が爪部材20の溝25に入っているので、シフター軸受B3がシフター10の外向き溝の両側面から離隔している状態が維持される。従って、シフター10が主軸中心線AX0を中心として高速回転してもシフター軸受B3は高速回転せず、シフター軸受B3の寿命が延びる。
[0073]
 図15,16は、本技術の上記態様1~3,6,7に含まれる例として、図示しない軸受B1,B2の間に配置された内爪式のチャッキング機構6c及びその周辺の縦断面を示している。ここで、図15は、シフター10が後側の第二の位置LO2であって爪部材20が第二の姿勢PO2であることを示し、図示されていないコレット61は閉状態ST2となっている。図16は、シフター10が前側の第一の位置LO1であって爪部材20が第一の姿勢PO1であることを示し、図示されていないコレット61は開状態ST1となっている。尚、本技術の上記態様6,7において、爪部材20は一方の部材の例であり、シフター10は他方の部材の例である。
[0074]
 図15,16に示す各爪部材20には、可動端部21の近傍において、シフター10に接触する位置にZ軸方向へ転動可能なローラー15が取り外し可能に取り付けられている。シフター10には、シフター軸受B3が入っている外向き溝よりも後側において、コレット61が開状態ST1である時にローラー15が入る溝25が形成されている。
[0075]
 閉状態ST2のコレット61を開く場合、図15に示す状態からシフター軸受B3が前方へ移動するようにシフターレバー68が駆動され、シフター軸受B3に押されたシフター10が前方へ移動する。すると、爪部材20のローラー15がシフター10の後端に向かって溝25まで中心軸AX3を中心として転動し、コレット開き用ばね64がチャックスリーブ63を介して押しスリーブ65を後方へ押す(図2参照)。押しスリーブ65が後方へ押されると、可動端部21が主軸中心線AX0から遠ざかって爪部材20が第一の姿勢PO1になる。チャックスリーブ63が後方へ移動すると、コレット61が緩められて開状態ST1となる。この状態が図16に示されている。
[0076]
 ここで、シフター軸受B3がシフター10の外向き溝の両側面から離隔するようにシフターレバー68が駆動されても、爪部材20のローラー15がシフター10の溝25に入っているので、シフター軸受B3がシフター10の外向き溝の両側面から離隔している状態が維持される。従って、シフター10が主軸中心線AX0を中心として高速回転してもシフター軸受B3は高速回転せず、シフター軸受B3の寿命が延びる。
[0077]
(5)結び:
 以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、主軸を主軸中心線方向において短縮化させたり、チャッキング機構のメンテナンスを容易にさせたり、シフター軸受の寿命を延ばしたりすることが可能な旋盤等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
 また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。

符号の説明

[0078]
1…旋盤、6…開閉装置、6a,6b,6c…チャッキング機構、
10…シフター、10a…貫通穴、11…外面、12…外向き溝、
12a…前側面、12b…後側面、14…保持部、14a…隙間、
14b…凹部、14c…挿通穴、15…ローラー、15a…挿通穴、
16…ローラーピン(軸部材の例)、20…爪部材、20a…凹部、
21…可動端部、22…基端部、23…爪ピン、25…溝、
26…爪ホルダー、27…保持部、30…刃物台、35…ガイドブッシュ、
36…支持台、41…正面主軸台(メイン主軸台の例)、
42…正面主軸(メイン主軸の例)、
51…背面主軸台(サブ主軸台の例)、51a…本体部、51b…延長部、
52…背面主軸(サブ主軸の例)、52a…貫通穴、53…支持部、
55…ビルトインモーター、56…ステーター、57…ローター、
60…把持部、61…コレット、62…キャップ部材、
63…チャックスリーブ、64…ばね、65…押しスリーブ、
68…シフターレバー、68a…挿入部、69…アクチュエーター、
80…NC装置、AX0,AX1…主軸中心線、AX3…転動の中心軸、
AX4…回転軸、B1…前側軸受、B2…後側軸受、B3…シフター軸受、
D1…前方、D2…後方、DR1…駆動部、LO1…第一の位置、
LO2…第二の位置、PO1…第一の姿勢、PO2…第二の姿勢、
ST1…開状態、ST2…閉状態、W0,W1…ワーク。

請求の範囲

[請求項1]
 ワークを把持する閉状態と前記ワークを解放する開状態とを有する把持部が前部に設けられ、主軸中心線を中心として回転可能な主軸と、
 前側軸受及び後側軸受を介して前記主軸を回転可能に支持する支持部と、
 前記前側軸受と前記後側軸受との間に配置されて前記主軸を回転させるビルトインモーターと、
 前記把持部を開閉させる開閉装置と、を備え、
 前記開閉装置は、
  前記主軸の外側において前記前側軸受と前記後側軸受との間に配置された傾動可能な爪部材であって、前記把持部が開状態になる第一の姿勢と前記把持部が閉状態になる第二の姿勢とで前記主軸中心線からの距離が変わる可動端部を有する爪部材と、
  前記爪部材の外側において前記主軸中心線の方向へ移動可能であり、前記爪部材を第一の姿勢にさせる第一の位置と、前記爪部材を前記第二の姿勢にさせる第二の位置と、に配置されるシフターと、を有する、旋盤。
[請求項2]
 本旋盤は、
  前記ワークを把持するメイン主軸を設けたメイン主軸台と、
  前記メイン主軸に把持されているワークを加工する刃物台と、
  前記メイン主軸に対向して該メイン主軸から前記ワークを受け取るサブ主軸を前記主軸として設けたサブ主軸台と、を備える、請求項1に記載の旋盤。
[請求項3]
 前記主軸中心線の方向において前記爪部材及び前記シフターが前記ビルトインモーターよりも前側にある、請求項1又は請求項2に記載の旋盤。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]