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1. WO2020129366 - 健康リスク情報管理装置、健康リスク情報管理方法、およびプログラム

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明 細 書

発明の名称 健康リスク情報管理装置、健康リスク情報管理方法、およびプログラム 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

符号の説明

0048  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 健康リスク情報管理装置、健康リスク情報管理方法、およびプログラム

関連出願の相互参照

[0001]
 本出願は、2018年12月21日に出願された日本出願番号2018-239868号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。

技術分野

[0002]
 本発明は、健康リスク情報管理装置、健康リスク情報管理方法、およびプログラムに関する。

背景技術

[0003]
 近年、iPS細胞を利用した再生医療への期待が高まっている。一方、例えば特許文献1に記載されているように、ゲノム情報や、血圧などの生体情報、運動量などの行動情報に基づいて、将来の健康リスクを推定する技術が知られている。このような将来の健康リスクに応じて、将来の再生医療による治療に備えられる仕組みが実現されることが望まれる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2017-097895号公報

発明の概要

[0005]
 iPS細胞の作製には高額の費用がかかるため、利用者に対しては、将来の健康リスクに関する精確な情報に基づいた提案(何歳ぐらいまでにどのようなiPS細胞を作っておくとよいか、それによりどのぐらいの確率でリスクを低減できるか等)を行えるようにすることが望ましい。
 そこで本発明の目的は、幹細胞を活用し、将来の健康リスクを精確に予測すると共に、将来の健康リスクへの備えにつなげる仕組みを実現することである。
[0006]
 本発明に係る健康リスク情報管理装置は、利用者の予想健康リスクに関する情報を取得する予想健康リスク情報取得部と、
 前記予想健康リスクの情報に基づいて、前記利用者の細胞に由来する培養細胞を作製するか否かを判断する培養細胞作製判定部と、を備えたものである。
[0007]
 本発明に係る健康リスク情報管理方法は、利用者の予想健康リスクに関する情報を取得する工程と、
 前記予想健康リスクの情報に基づいて、前記利用者の細胞に由来する培養細胞を作製するか否かを判断する工程と、を含むものである。
[0008]
 本発明に係るプログラムは、コンピュータを、
 利用者の予想健康リスクに関する情報を取得する予想健康リスク情報取得部と、
 前記予想健康リスクの情報に基づいて、前記利用者の細胞に由来する培養細胞を作製するか否かを判断する培養細胞作製判定部と、して機能させるものである。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、幹細胞を活用し、将来の健康リスクを精確に予測すると共に、将来の健康リスクへの備えにつなげる仕組みを実現することができる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本発明の実施の形態による、健康リスク情報管理装置10の構成を示すブロック図。
[図2] 本発明の実施の形態による、健康リスク情報管理装置10の制御装置11によって実現される機能モジュールを示すブロック図。
[図3] 本発明の実施の形態による、健康リスク情報管理装置10による、利用者の健康リスク情報に基づく、体細胞作製の提案処理のフローチャート。
[図4] 本発明の実施の形態による、iPS細胞を介して作製した体細胞を用いた健康リスクの実証実験と、実証実験の結果に基づくiPS細胞のバンキングの提案処理のフローチャート。
[図5] 本発明の実施の形態による、HLAホモ接合体のドナー検索処理のフローチャート。

発明を実施するための形態

[0011]
 次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
 図1は、本発明の実施の形態による健康リスク情報管理装置10の構成を示すブロック図である。図1に示すように、健康リスク情報管理装置10は、制御装置11と、外部記憶装置12を備えている。
[0012]
 制御装置11は、ハードウェアとして、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース等を備えている。制御装置11は、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。外部記憶装置12は、ハードディスクドライブ等である。外部記憶装置12には、顧客情報データベース121が実装されている。
[0013]
 健康リスク情報管理装置10は、1台のコンピュータで構成される必要はなく、通信ネットワーク上に分散する複数のコンピュータや外部記憶装置から構成されてもよい。また、図1に示すように、健康リスク情報管理装置10は、細胞作製管理システム20、利用者端末30と通信回線Nを介して接続されている。
[0014]
 図2は、健康リスク情報管理装置10の制御装置11によって実現される機能モジュールを示すブロック図である。機能モジュールには、予想健康リスク情報取得部101、体細胞種類決定部102、推奨検査内容決定部103、体細胞作製指示部104、検査結果提供部105、細胞作製要否確認部106、健康リスク対応情報提供部107、ドナー候補抽出部108、レシピエント情報取得部109、HLA適合判定部110、適合性情報提供部111、適合者数算出部112、ドナー細胞作製管理部113、培養細胞作製判定部114が含まれる。
[0015]
 顧客情報データベース121には、健康リスク情報管理装置10に自身の健康リスク情報やiPS細胞のバンキングの情報を登録している利用者の情報が登録されている。具体的には、例えば、ユーザID(利用者識別情報)、氏名、性別や生年月日、連絡先(利用者端末30のメールアドレス、電話番号等)などの他、遺伝子検査や健康リスクに関する情報(疾患の可能性のある病気、病気が発症する確率、発症が予想される時期、HLA型等)、保管されているiPS細胞や体細胞に関する情報(識別番号、体細胞の種類、保管されている数、作製時期等)などが含まれる。
[0016]
 細胞作製管理システム20は、利用者の体細胞(例えば、自己細胞、自家移植のための細胞)に由来するiPS細胞の作製を管理する。細胞作製管理システム20は、iPS細胞を作成可能な専用装置であることが好ましいが、これに限られず、iPS細胞を作製可能な医療機関、研究機関及びその他の作製機関におけるiPS細胞の作製を管理するシステムも含む。iPS細胞を作成可能な専用装置とは、iPS細胞の誘導、培養、保存、記録の他、体細胞の単離(血液中からの末梢血単核球の単離や皮膚片から繊維芽細胞の単離など)、単離した細胞の拡大培養、のうちの少なくとも1つ以上、好ましくは2以上を、閉鎖された空間で人手を介することなく行うことのできる装置である。また、細胞作製の元になる利用者の体細胞の単離(血液中からの末梢血単核球の単離、皮膚片からの繊維芽細胞の単離など)、また単離した細胞の拡大培養なども行えることが望ましい。細胞作製管理システム20は、健康リスク情報管理装置10と同じ施設に設置されていてもよいし、異なる施設に設置されていてもよい。
[0017]
 細胞作製管理システム20は、健康リスク情報管理装置10などからの指示に基づき、利用者から採取された体細胞に誘導因子を導入して、iPS細胞を作製するとともに、作製されたiPS細胞の品質試験(分化誘導能検査、遺伝子変異検査、及び真菌・細菌・ウイルス検査等)を実施して、規格適合済iPS細胞を作製する。このようにして作製されたiPS細胞は、適切に温度管理された状態で保管される。なお、細胞作製管理システム20は、iPS細胞の作製の他、iPS細胞から特定の体細胞を作製することもできる。例えば、細胞作製管理システム20は、利用者の皮膚組織からiPS細胞を作製し、さらに、作製したiPS細胞から各種の体細胞を作製することができる。体細胞には例えば神経系細胞、心筋、肝細胞、β-細胞、血液細胞、血小板、皮膚細胞、間葉系細胞などが含まれる。また、細胞作製管理システム20において、iPS細胞から作製された体細胞を用いた健康リスクの実証実験の実施を管理するようにしてもよい。また、細胞作製管理システム20は、健康リスク情報管理装置10からの指示に基づき、ドナー候補者のiPS細胞から作製した体細胞と、レシピエントの血液由来の免疫細胞との適合性の検証実験を行うようにしてもよい。
[0018]
 利用者端末30は、健康リスク情報管理装置10に情報を登録している利用者の所持する端末である。利用者端末30は、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)など、通信ネットワークを介して健康リスク情報管理装置10とデータの授受が可能なあらゆる端末装置を利用することができる。利用者端末30は、プロセッサ、キーボードやマウス、各種操作ボタンやタッチパネルなどの入力装置、液晶ディスプレイなどの表示装置、通信ネットワークに接続するための通信インタフェース、ディスクドライブまたは半導体メモリ(ROM、RAMなど)などの記憶資源を備えている。
[0019]
(体細胞作製の提案処理)
 次に、健康リスク情報管理装置10による利用者の健康リスク情報に基づく、体細胞作製の提案処理について図3のフローチャートを用いて説明する。
[0020]
 まず、健康リスク情報管理装置10は、まず、利用者の予想健康リスクに関する情報を取得する(S101)。予想健康リスクに関する情報は、例えば遺伝子検査の結果に基づいて推定される情報である。遺伝子検査には、全エクソームシーケンス(WES)、全ゲノムシーケンス(WGS)、SNPアレイなど、ゲノム情報を利用するものと、遺伝子発現情報、マイクロRNAの発現情報、HLAのタイプ等を決める検査やシーケンス等を利用するものが含まれる。予想健康リスクは、利用者(検査対象者)やその家族が将来発症する可能性のある病気と発症の確率についての情報を含む。予想健康リスクの情報は、遺伝子検査を行う機関などのシステムから通信回線を介して取得するようにしてもよいし、健康リスク情報管理装置10を操作する技術者や管理者が、利用者の検査データを参照して入力するようにしてもよい。
[0021]
 次に健康リスク情報管理装置10は、取得した利用者の予想健康リスクを実証するために、利用者の細胞に由来する培養細胞から作製すべき体細胞の種類を決定する(S102)。ここで、培養細胞は具体的にはiPS細胞であるが、他の幹細胞、多能性幹細胞、体性幹細胞であってもよい。例えば、アルツハイマー病発症のリスクが高いと予想される利用者の場合には神経細胞、リウマチ発症のリスクが高いと予想される場合には軟骨組織の細胞、心筋梗塞を発症するリスクが高いと予想される場合には心筋細胞が作製すべき体細胞として決定される。また、健康リスクは具体的な病名に限られず、例えば、皮膚のUV耐性が弱く、紫外線にあたると肌が乾燥しやすいなどの情報も含まれる。この場合には、皮膚細胞が作製すべき体細胞として決定される。
[0022]
 さらに健康リスク情報管理装置10は、利用者の予想健康リスクを実証するために、作製された体細胞を用いて行うべき検査の内容を決定する(S103)。例えば、アルツハイマー病発症のリスクが高い場合には、作製した神経細胞を過酸化水素などに晒して酸化ストレスに対する脆弱性を確認する実験などを行う。また、リウマチ発症のリスクが高い場合には、作製した軟骨組織の細胞を用いてリウマチの症状が現れるかどうかを確かめる実験を行う。また、心筋梗塞を発症するリスクが高いと予想される場合には、作製した心筋細胞を用いて実際に心筋梗塞が発症するかどうかを検証する実験を行う。また、皮膚のUV耐性が弱い場合には、作製した皮膚細胞にUVを照射して反応を確認したり、乾燥試験を行って乾燥への弱さを確認したりする。その他にも、ALS(筋萎縮性側索硬化症)やパーキンソン病、皮膚疾患、神経疾患、眼疾患、心疾患、肝疾患、腎疾患、血液疾患などのリスクが高い場合の実証にも有効である。また、発症リスクの実証だけでなく、それらの病気に適用される既存の薬への応答性(アレルギー反応や過敏性など)、アレルギーの有無、毒性などを検証し、どの薬の組み合わせが一番有効かを検証するようにしてもよい。このように、実際に作製した体細胞を用いて、病気や症状の出やすさ、有効な治療法や予防法を検証する。また、移植後のGVHD(移植片対宿主病)のリスクについても検証してもよい。
[0023]
 次に、健康リスク情報管理装置10は、利用者の利用者端末30に対し、予想健康リスクを検証する試験を行うために作製すべき体細胞の情報を送信するとともに(S104)、体細胞の作製と試験の実施を希望するか否かの回答を受け付ける(S105)。
[0024]
 健康リスク情報管理装置10は、体細胞の作製と試験の実施を希望する旨の回答を受信すると(S106:YES)、細胞作製管理システム20に、体細胞の作製指示を送信する(S107)。
[0025]
(iPS細胞を介して作製した体細胞を用いた健康リスクの実証実験と、実証実験の結果に基づくiPS細胞のバンキングの提案処理)
 次に、iPS細胞を介して作製した体細胞を用いた健康リスクの実証実験と、実証実験の結果に基づくiPS細胞のバンキングの提案処理について図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4に示すS201~S205の各ステップは、細胞作製管理システム20によって自動的に実施される。また、細胞作製管理システム20によって作業フローが自動的に作成され、細胞作製管理システム20から提示される作業指示に基づいて作業者が実施するようにしてもよい。
[0026]
 細胞作製管理システム20においては、まず利用者のiPS細胞が作製され(S201)、その後、iPS細胞を介して、健康リスクの実証実験を行うための体細胞が作製される(S202)。作製されたiPS細胞と体細胞はタグ(識別番号)を付けて管理される。iPS細胞と体細胞のタグの情報は健康リスク情報管理装置10にも供給され、顧客情報データベース121に登録される(S203)。
[0027]
 さらに、細胞作製管理システム20において作製された体細胞を用いて、病態再現モデルの実験が実施される(S204)。具体的には、ステップS103で決定した内容に沿って、リスクがあると予想されている病気がどの程度の確率で発症するかを検証する実験を行う。また、病気の発症までの期間を予測する。また、作製した体細胞を用いて、病態の改善に効果のある薬や薬の組み合わせのスクリーニングを行う(S205)。具体的には、どの様な薬が有効か、どの様な薬の組み合わせが有効か、薬の毒性やアレルギー性はどうかなどの検証を行う。病態再現モデルによる実験結果(発症の確率、発症までの予想期間)と、薬のスクリーニングの結果の情報は、顧客情報データベース121に登録される。
[0028]
 健康リスク情報管理装置10は、病態再現モデルによる実験結果に基づいて、将来実際に病気が発症した場合に備えて、あらかじめiPS細胞、またはiPS細胞から作製する体細胞を推奨する作製時期と、当該体細胞の作製による健康リスク解消の効果(確率)を算出する(S206)。
[0029]
 健康リスク情報管理装置10は、利用者の利用者端末30に対し、体細胞を用いて行った実証実験の結果(発症の確率、発症までの予想期間)を送信する(S207)。また、検査の結果とともに、将来病気が発症した場合に備えて作製して保存しておくべき体細胞の情報と、推奨する作製時期と、当該体細胞の作製による効果を数値化した情報のうちの、少なくとも1つも提供する(S208)。さらに、健康リスク情報管理装置10は、病気の発症までの予想期間に基づいて、必要な治療費用と、発生までの期間に応じた治療費用の支払いのプラン(積み立てのプランも含む)の情報のうちの少なくとも1つを提供する。
[0030]
 次に、HLAホモ接合体のドナー検索処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、ドナーからの体細胞の提供を希望する者(以下、レシピエント)の依頼に応じて、健康リスク情報管理装置10でデータを管理している利用者の中から、HLA型が適合するドナーを検索する。レシピエントは、健康リスク情報管理装置10でデータを管理している利用者であってもよいし、未登録の者であってもよい。また、HLA型が適合するドナーの検索は、他のデータベースを用いて行ってもよい。
[0031]
(HLAホモ接合体のドナー検索処理)
 まず、健康リスク情報管理装置10は、顧客情報データベース121に登録されている利用者の中から、HLAホモ接合体の利用者を抽出する(S301)。抽出した利用者は、ドナー候補者となる。なお、顧客情報データベース121に登録されている利用者以外にも、遺伝子検査会社の管理するデータや出生前診断のデータ、骨髄バンクで管理するデータ,HLAタイピングデーターベース等を利用し、それらにHLAの情報が記録されている利用者の中からドナー候補者を抽出してもよい。
[0032]
 次に、健康リスク情報管理装置10は、レシピエントのHLA型の情報を取得し(S302)、抽出したドナー候補者の中から、レシピエントとHLA型が適合するドナー候補者を抽出する(S303)。なお、ドナー候補者の抽出は、HLAホモ接合体であるか否かに関わらず、レシピエントとHLA型が類似している者を抽出するようにしてもよい。
[0033]
 健康リスク情報管理装置10は、HLA型が適合するドナー候補者の情報をレシピエントに提供してもよい(S304)。具体的には、レシピエントの所持する利用者端末30にメールで送信してもよいし、報告書としてプリントアウトするようにしてもよい。
[0034]
 ドナー候補者が決定すると、検査機関等において、ドナー候補者のiPS細胞から作製した体細胞と、レシピエントの血液由来の免疫細胞とを試験管内で混合することにより、適合性の検証実験が行われる(S305)。適合性の検証実験は、健康リスク情報管理装置10からの指示に基づき、細胞作製管理システム20が実施するようにしてもよい。または、健康リスク情報管理装置10から提示される作業指示に基づいて作業者が実施するようにしてもよい。適合性実験の結果は、健康リスク情報管理装置10を介してレシピエントに提供されてもよい(S306)。また、適合性実験の結果と共に、ドナーの健康リスクに関する情報(どれぐらいの確率でどのような病気を発症する可能性があるか)も提供するようにしてもよい。
[0035]
 なお、健康リスク情報管理装置10は、多くのレシピエントからの依頼によるドナー検索処理によって得られたデータに基づいて、HLAホモ接合体の利用者(ドナー候補者)毎に、HLA型が適合するとの結果が得られたレシピエントの数を算出するようにしてもよい。さらに、各ドナー候補者について、HLA型が適合するレシピエントの数に基づいて、当該ドナー候補者のiPS細胞がどのぐらい必要かを算定し、算定結果を細胞作製管理システム20に提供するようにしてもよい。細胞作製管理システム20では、算定結果に基づいて、各ドナー候補者のiPS細胞の作製や拡大培養を行うことができる。
[0036]
(培養細胞作製の判定)
 健康リスク情報管理装置10は、取得した利用者の予想健康リスクに関する情報に基づいて、利用者の細胞(体細胞、幹細胞、間葉系幹細胞、血液細胞、上皮細胞等を含む)に由来する培養細胞を作製するか否かを判断する機能も有する。上記の実施の形態と同様に、培養細胞は具体的にはiPS細胞であるが、他の幹細胞、多能性幹細胞、体性幹細胞であってもよい。これにより、利用者の将来の健康リスクの可能性の高さや深刻度などに応じて、iPS細胞を作製して保存しておくべきか否かを的確に判断することができる。iPS細胞を準備しておくことが有効と判断される例としては、例えば、実際に疾患が発症した際にiPS細胞を利用して有効な治療が行える場合などがあげられる。また、血縁関係者間で遺伝する傾向の強い疾患の場合、親や兄弟などの血縁関係者にそれらの疾患のリスクがある場合には、血縁関係者である他の者についてもiPS細胞のストックが有効であるとの判定結果を出すようにしてもよい。なお、細胞の作製には、細胞の初期化、リプログラミング、細胞の運命転換、細胞の形質転換も含むようにしてもよい。
[0037]
 また、健康リスク情報管理装置10は、利用者のHLA型の情報に基づいて、利用者の体細胞に由来する細胞を作製するか否かを判断する機能も有する。具体的には、HLAホモ接合体の利用者については、ドナーとなる可能性があるため、iPS細胞の作成と保存が有効であると判断するようにしてもよい。
[0038]
 以上のように、遺伝子検査などに基づく予想健康リスクやHLA型の情報に基づいて、iPS細胞の作製と保存を勧めるべき利用者か否かを判定することにより、効率よく適切なアドバイスを行うことができる。特にiPS細胞の作製と保存は高額な費用がかかるため、精確な情報に基づくアドバイスが重要となる。また、本当に必要な人のiPS細胞の作製を優先できるため、細胞作製管理システム20などの資源も有効に利用することができる。
[0039]
 以上のように、本実施形態によれば、ゲノム情報などに基づく利用者の予想健康リスクを実証するために、利用者の体細胞に由来するiPS細胞から作製すべき体細胞の種類を決定し、作製された体細胞を用いて予想健康リスクを実証するための検査を行う仕組みを提供することができる。これにより、iPS細胞を活用し、将来の健康リスクを精確に予測することができる。
[0040]
 また、利用者に、検査に必要な体細胞の情報を提供した上で、利用者からiPS細胞や、iPS細胞に由来する体細胞の作製と検査の希望の有無を受け付け、希望する旨の回答を受け付けた場合には、細胞作製管理システム20に体細胞の作製を指示する仕組みを実現した。これにより、利用者の希望に合わせて効率よくiPS細胞の作製と検査の実施を管理することができる。
[0041]
 また、体細胞を用いた検査の結果に基づいて、当該利用者が将来の病気の発生に備えて作製して保存しておくべき体細胞の情報や、推奨する作製時期、当該体細胞の作製による効果を数値化した情報を提供するようにした。これにより、利用者は将来の健康リスクへの適切な備えを行う際の判断材料を得ることができる。具体的には、自身のiPS細胞を将来に備えて作製し、保管しておくか否かの判断基準となる。
[0042]
 また、作製した体細胞を用いて、予想健康リスクの改善に効果的な薬や薬の組み合わせを検証し、利用者に情報を提供するようにしたので、iPS細胞から作製した体細胞を有効に利用することができる。
[0043]
 また、HLAホモ接合体の利用者をドナー候補者として抽出し、ドナー候補者の中から、ドナーからの体細胞の提供を希望するレシピエントとHLA型が適合するドナー候補者を抽出する仕組みを実現した。これにより、レシピエントとHLA型が適合するドナーを効率よく探すことができる。また、レシピエントの血液由来の免疫細胞と、レシピエントとHLA型が適合したドナー候補者のiPS細胞由来の体細胞を用いて適合性を検証し、検証結果を提供する仕組みを実現したので、事前に免疫拒絶反応の検証も行った上でドナーからの体細胞の提供を受けることができる。なお、ドナー候補者の抽出は、HLAホモ接合体であるか否かに関わらず、レシピエントとHLA型が類似している者を抽出するようにしてもよい。例えば、1つの例としては、HLAは15種類程度存在し、一般にそのうちの4種類が適合していれば弱い免疫抑制剤の利用で対応でき、6種類が適合していれば免疫抑制剤は必要ないと考えられている。したがって、何種類のHLAが適合するかの情報に基づいて、ドナー候補者を抽出するようにしてもよい。なお、HLA型が類似しているか否かの判断基準はこれに限られない。
[0044]
 また、利用者のHLA型に基づいて、細胞作製管理システム20において保存されているiPS細胞の中からHLA型が一致または類似するものを抽出するようにしてもよい。また、選ばれたHLAの型由来の細胞がGVHDを抑える効果を発揮するかどうかの検証に使用されてもよい。
[0045]
 また、HLAホモ接合体の利用者(ドナー候補者)については、それぞれHLA型が適合するレシピエント数を管理するようにしてもよい。さらに、HLA型が適合するレシピエントの数に基づいて、各ドナー候補者の細胞に由来する培養細胞がどのぐらい必要かを算定し、算定結果に基づいて各ドナー候補者のiPS細胞を作製するようにしてもよい。これにより、レシピエントがHLA型が適合するドナーからの体細胞の提供を受けられるように、計画的にiPS細胞と体細胞の作製を行うことができる。
[0046]
 なお、本発明の健康リスク情報管理装置10による健康リスクやHLA適合性などの各種の予測処理については、いずれも、深層学習やAI(人工知能)を利用することにより、予測精度を向上させる事ができる。
[0047]
 なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。

符号の説明

[0048]
10…健康リスク情報管理装置
11…制御装置
12…外部記憶装置
20…細胞作製管理システム
30…利用者端末
101…予想健康リスク情報取得部
102…体細胞種類決定部
103…推奨検査内容決定部
104…体細胞作製指示部
105…検査結果提供部
106…細胞作製要否確認部
107…健康リスク対応情報提供部
108…ドナー候補抽出部
109…レシピエント情報取得部
110…HLA適合判定部
111…適合性情報提供部
112…適合者数算出部
113…ドナー細胞作製管理部
114…培養細胞作製判定部
121…顧客情報データベース

請求の範囲

[請求項1]
 利用者の予想健康リスクに関する情報を取得する予想健康リスク情報取得部と、
 前記予想健康リスクの情報に基づいて、前記利用者の細胞に由来する培養細胞を作製するか否かを判断する培養細胞作製判定部と、を備えた健康リスク情報管理装置。
[請求項2]
 前記予想健康リスク情報取得部は、利用者の遺伝子検査の情報に基づく、予想健康リスクに関する情報を取得する、請求項1に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項3]
 前記予想健康リスクの情報に基づいて、前記利用者の細胞に由来する培養細胞から作製すべき体細胞の種類を決定する体細胞種類決定部を備えた請求項1または2に健康リスク情報管理装置。
[請求項4]
 前記予想健康リスクの情報に基づいて、前記利用者の細胞に由来する培養細胞から作製された体細胞を用いて行うべき検査の内容を決定する推奨検査内容決定部を備えた請求項3に記載の健康リスク管理装置。
[請求項5]
 細胞の作製を管理するシステムに、体細胞の作製指示を送信する体細胞作製指示部と、
 作製された体細胞を用いて実施された前記検査の結果を、前記利用者に提供する検査結果提供部と、を備えた請求項4に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項6]
 前記作製すべき体細胞情報を前記利用者に提供し、体細胞の作製を希望するか否かの回答を受け付ける細胞作製要否確認部を備え、
 前記体細胞作製指示部は、
 体細胞の作製を希望する旨の回答を受け付けた場合には、前記体細胞の作製を管理するシステムに、当該体細胞の作製指示を送信する、請求項5に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項7]
 前記細胞作製要否確認部は、
 前記培養細胞の作製を希望するか否かの回答を受け付ける、請求項6に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項8]
 前記検査の結果に基づいて、前記利用者の予想健康リスクに対する予防策、および予想健康リスクが発生した場合の対応策に関する情報を提供する健康リスク対応情報提供部を備えた、請求項5に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項9]
 前記健康リスク対応情報提供部は、
 前記作製された体細胞を用いてスクリーニングした、前記予想健康リスクの改善に効果的な薬剤の情報、または薬剤の毒性と薬剤に対する応答性の情報の少なくとも一方を提供する、請求項8に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項10]
 前記健康リスク対応情報提供部は、
 前記検査の結果に基づいて、前記利用者の細胞に由来する培養細胞から作製しておくべき体細胞の種類の情報を提供する、請求項8に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項11]
 前記健康リスク対応情報提供部は、
 前記検査の結果に基づいて、当該利用者が将来に備えて作製して保存しておくべき体細胞の情報と、推奨する作製時期と、当該体細胞の作製による効果を数値化した情報を提供する、請求項8に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項12]
 前記健康リスク対応情報提供部は、
 前記検査の結果に基づいて、当該利用者が作製して保存しておくべき前記培養細胞に関する情報を提供する、請求項8に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項13]
 前記健康リスク対応情報提供部は、
 前記検査の結果に基づいて、前記健康リスクの発生までの期間を予測し、必要な治療費用と、発生までの期間に応じた支払いのプランの情報を提供する、請求項8に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項14]
 利用者のHLA型の情報に基づいて、HLAホモ接合体の利用者をドナー候補者として抽出するドナー候補抽出部を備え、
 前記培養細胞作製判定部は、
 利用者がHLAホモ接合体であるか否かに基づいて、当該利用者の細胞に由来する培養細胞を作製するか否かを判断する請求項1に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項15]
 HLA型が適合するドナーからの体細胞の提供を希望するレシピエントのHLA型の情報を取得するレシピエント情報取得部と、
 前記抽出されたHLAホモ接合体のドナー候補者の中から、前記レシピエントとHLA型が適合するドナー候補者を抽出するHLA適合判定部と、を備えた請求項14に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項16]
 前記レシピエントの血液由来の免疫細胞と、前記レシピエントとHLA型が適合したドナー候補者のiPS細胞またはiPS細胞由来の体細胞を用いて行われた適合性の検証結果を、前記レシピエントに提供する、適合性情報提供部を備えた請求項15に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項17]
 各々のドナー候補者について、HLA型が適合するレシピエントの数を算出する、適合者数算出部を備えた、請求項14記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項18]
 各々のドナー候補者について、HLA型が適合するレシピエントの数に基づいて、当該ドナー候補者の細胞に由来する培養細胞がどのぐらい必要かを算定する、ドナー細胞作製管理部を備えた請求項14に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項19]
 前記HLA適合判定部は、
 利用者のHLA型の情報に基づいて、保存されている培養細胞の中からHLA型が適合するものを抽出する、請求項15に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項20]
 前記HLA適合判定部は、
 複数種類のHLAのうち、所定数の種類のHLAが適合する場合には、HLA型が適合すると判定する請求項15に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項21]
 前記細胞に由来する培養細胞は幹細胞である、請求項1から20のいずれか1項に記載の健康リスク情報管理装置。
[請求項22]
 利用者の予想健康リスクに関する情報を取得する工程と、
 前記予想健康リスクの情報に基づいて、前記利用者の細胞に由来する培養細胞を作製するか否かを判断する工程と、を含む健康リスク情報管理方法。
[請求項23]
 コンピュータを、
 利用者の予想健康リスクに関する情報を取得する予想健康リスク情報取得部と、
 前記予想健康リスクの情報に基づいて、前記利用者の細胞に由来する培養細胞を作製するか否かを判断する培養細胞作製判定部と、して機能させるプログラム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]