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1. WO2020122005 - 弾性波装置

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明 細 書

発明の名称 弾性波装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065  

符号の説明

0066  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 弾性波装置

技術分野

[0001]
 本発明は、弾性波装置に関する。より詳細には、本発明は、誘電体膜及び低音速膜を備える弾性波装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、IDT電極を覆うように誘電体膜が積層されている弾性波装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[0003]
 特許文献1に記載の弾性波装置は、高音速部材としての高音速支持基板を有する。高音速支持基板上に、音速が相対的に低い低音速膜が積層されている。また、低音速膜上に圧電膜が積層されている。この圧電膜の上面にIDT電極が積層されている。さらに、IDT電極を覆うように誘電体膜が積層されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開2017/043427号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1に記載の弾性波装置では、弾性波エネルギーが圧電膜(圧電体層)に集中するだけでなく、誘電体膜にも集中するため、弾性波エネルギーのロスが大きくなる場合があった。
[0006]
 本発明の目的は、弾性波エネルギーのロスを低減することができる弾性波装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明の一態様に係る弾性波装置は、圧電体層と、IDT電極と、高音速部材と、低音速膜と、誘電体膜と、を備える。前記IDT電極は、前記圧電体層上に形成されている。前記高音速部材は、前記圧電体層を挟んで前記IDT電極とは反対側に位置している。前記高音速部材では、前記圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である。前記低音速膜は、前記高音速部材と前記圧電体層との間に設けられている。前記低音速膜では、前記圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速である。前記誘電体膜は、前記IDT電極を覆うように前記圧電体層上に形成されている。前記誘電体膜のヤング率が前記低音速膜のヤング率よりも大きい。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、弾性波エネルギーのロスを低減することができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態に係る弾性波装置の断面図である。
[図2] 図2は、同上の弾性波装置のQ特性を示す図である。
[図3] 図3は、本発明の一実施形態の変形例1に係る弾性波装置の断面図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、実施形態に係る弾性波装置について、図面を参照して説明する。下記の実施形態等において参照する図1及び図3は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
[0011]
 (実施形態)
 (1)弾性波装置の全体構成
 まず、実施形態に係る弾性波装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。
[0012]
 実施形態に係る弾性波装置1は、図1に示すように、高音速部材2と、低音速膜3と、圧電体層4と、IDT(Interdigital Transducer)電極5と、誘電体膜6と、を備えている。高音速部材2、低音速膜3、圧電体層4、IDT電極5、及び誘電体膜6は、第1方向D1においてこの順番で積層されている。
[0013]
 (2)弾性波装置の各構成要素
 次に、実施形態に係る弾性波装置1の各構成要素について、図1を参照して説明する。
[0014]
 (2.1)高音速部材
 高音速部材2は、図1に示すように、圧電体層4を挟んでIDT電極5とは反対側に位置している。高音速部材2は、低音速膜3、圧電体層4、IDT電極5、及び誘電体膜6を支持している高音速支持基板21である。高音速支持基板21では、圧電体層4を伝搬する弾性波の音速よりも、高音速支持基板21を伝搬するバルク波の音速が高速である。
[0015]
 高音速支持基板21(高音速部材2)の平面視の形状(高音速支持基板21を第1方向D1から見たときの外周形状)は、長方形状であるが、長方形状に限らず、例えば正方形状であってもよい。高音速支持基板21の材料は、例えばシリコンである。高音速支持基板21の厚さは、例えば120μmである。なお、高音速支持基板21の材料は、シリコンに限らず、シリコンカーバイド、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サファイア、リチウムタンタレート(LiTaO )、リチウムニオベイト(LiNbO )、若しくは水晶等の圧電体、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、若しくはフォルステライト等の各種セラミック、若しくは、マグネシア、ダイヤモンド、又は、上記各材料を主成分とする材料、又は、上記各材料の混合物を主成分とする材料であってもよい。
[0016]
 (2.2)低音速膜
 低音速膜3は、図1に示すように、高音速部材2と圧電体層4との間に設けられている。低音速膜3では、圧電体層4を伝搬するバルク波の音速よりも、低音速膜3を伝搬するバルク波の音速が低速である。低音速膜3が高音速部材2と圧電体層4との間に設けられていることにより、弾性波の音速が低下する。弾性波は本質的に低音速な媒質にエネルギーが集中する。したがって、圧電体層4内及び弾性波が励振されているIDT電極5内への弾性波エネルギーの閉じ込め効果を高めることができる。その結果、低音速膜3が設けられていない場合に比べて、損失を低減し、Q値を高めることができる。
[0017]
 低音速膜3の材料は、例えば酸化ケイ素である。低音速膜3の厚さは、IDT電極5の電極指周期で定まる弾性波の波長をλとすると、例えば、2.0λ以下である。なお、低音速膜3の材料は、酸化ケイ素に限らず、ガラス、酸窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化ケイ素にフッ素、炭素、若しくはホウ素を加えた化合物、又は、上記各材料を主成分とする材料であってもよい。
[0018]
 低音速膜3の材料が酸化ケイ素の場合、低音速膜3を含んでいない場合と比べて、周波数温度特性を改善することができる。リチウムタンタレートの弾性定数は負の温度特性を有し、酸化ケイ素の弾性定数は正の温度特性を有する。したがって、弾性波装置1では、TCF(Temperature Coefficient of Frequency)の絶対値を小さくすることができる。
[0019]
 なお、低音速膜3と圧電体層4との間に密着層が設けられていてもよい。これにより、低音速膜3と圧電体層4との間で剥離が生じるのを抑制することができる。密着層の材料は、例えば、樹脂(エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等)、金属等である。また、密着層に限らず、低音速膜3と圧電体層4との間、又は低音速膜3下に誘電体膜が設けられていてもよい。
[0020]
 (2.3)圧電体層
 圧電体層4は、低音速膜3上に形成されている。ここでいう「低音速膜3上に形成されている」とは、低音速膜3上に直接的に形成されている場合と、低音速膜3上に間接的に形成されている場合と、を含む。圧電体層4の材料は、例えばリチウムタンタレートである。なお、圧電体層4の材料は、リチウムタンタレートに限らず、リチウムニオベイト、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、又は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であってもよい。
[0021]
 圧電体層4の厚さ(膜厚)は、IDT電極5の電極指周期で定まる弾性波の波長をλとすると、3.5λ以下である。圧電体層4の厚さが3.5λ以下である場合、Q値が高くなる。また、圧電体層4の厚さを2.5λ以下とすることで、周波数温度特性が良くなる。さらに、圧電体層4の厚さを1.5λ以下とすることで、音速の調整が容易になる。
[0022]
 (2.4)IDT電極
 IDT電極5は、圧電体層4上に形成されている。ここでいう「圧電体層4上に形成されている」とは、圧電体層4上に直接的に形成されている場合と、圧電体層4上に間接的に形成されている場合と、を含む。
[0023]
 IDT電極5は、複数の電極指と、2つのバスバーと、を含む。複数の電極指は、第1方向D1と交差(直交)する第2方向D2に並んで配置されている。2つのバスバーは、第2方向D2を長手方向とする長尺状に形成されており、複数の電極指と電気的に接続されている。より詳細には、複数の電極指は、複数の第1電極指と、複数の第2電極指と、を有する。複数の第1電極指は、2つのバスバーのうちの第1バスバーと電気的に接続されている。複数の第2電極指は、2つのバスバーのうちの第2バスバーと電気的に接続されている。
[0024]
 IDT電極5の材料は、例えばアルミニウム(Al)である。なお、IDT電極5の材料は、アルミニウムに限らず、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、又は、これらの金属のいずれかを主体とする合金等であってもよい。また、IDT電極5は、これらの金属又は合金からなる複数の金属膜を積層した構造を有していてもよい。
[0025]
 本実施形態では、圧電体層4とIDT電極5との間に密着層が設けられている。密着層の材料は、例えばチタンである。これにより、圧電体層4とIDT電極5との間で剥離が生じるのを抑制することができる。なお、密着層の材料は、チタンに限らず、樹脂(エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等)、又は、チタン以外の金属等であってもよい。
[0026]
 (2.5)誘電体膜
 誘電体膜6は、IDT電極5を覆うように圧電体層4上に形成されている。ここでいう「圧電体層4上に形成されている」とは、圧電体層4上に直接的に形成されている場合と、圧電体層4上に間接的に形成されている場合と、を含む。本実施形態では、誘電体膜6は、IDT電極5を保護する保護膜であり、IDT電極5の形状に沿って一定の厚さ(膜厚)で形成されている。誘電体膜6は、電気絶縁性を有している。誘電体膜6の材料は、例えば酸化ケイ素である。つまり、本実施形態では、誘電体膜6の材料と低音速膜3の材料とが同一である。なお、誘電体膜6の材料は、酸化ケイ素に限らず、例えば窒化ケイ素であってもよいし、酸化ケイ素及び窒化ケイ素以外の適宜の絶縁性材料であってもよい。
[0027]
 (3)弾性波装置の特性
 次に、実施形態に係る弾性波装置1の特性について、図2を参照して説明する。
[0028]
 図2は、実施形態に係る弾性波装置1における周波数とQ値との関係を示すグラフである。図2では、横軸が周波数を示し、縦軸がQ値を示している。また、図2では、誘電体膜6のヤング率が低音速膜3のヤング率よりも大きい場合の特性を実線a1で示し、誘電体膜6のヤング率と低音速膜3のヤング率とが同程度の場合の特性を破線b1で示している。さらに、図2では、誘電体膜6のヤング率が低音速膜3のヤング率よりも小さい場合の特性を一点鎖線c1で示している。
[0029]
 図2から、誘電体膜6のヤング率が低音速膜3のヤング率よりも小さい場合(一点鎖線c1)のQ値が最も悪く、誘電体膜6のヤング率が低音速膜3のヤング率よりも大きい場合(実線a1)のQ値が最もよいことが分かる。つまり、誘電体膜6のヤング率を低音速膜3のヤング率よりも大きくすることで、弾性波装置1のQ値を改善することができる。
[0030]
 実施形態に係る弾性波装置1のように、IDT電極5を覆う誘電体膜6を備えている場合には、上述したように、誘電体膜6のヤング率によってQ値が変動する。このような弾性波装置1では、弾性波エネルギーが圧電体層4に集中するだけでなく、誘電体膜6にも集中する。そして、誘電体膜6の粘性損失が弾性波エネルギーのロスに大きく寄与する。したがって、弾性波エネルギーのロスを小さくするためには、誘電体膜6の粘性損失をできるだけ小さくすることが好ましい。ここで、ヤング率が大きくなるほど粘性損失が小さくなるため、弾性波エネルギーのロスを小さくするためには、誘電体膜6のヤング率をできるだけ大きくすることが好ましい。
[0031]
 一方、低音速膜3は、上述したように、圧電体層4を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速となる膜であり、圧電体層4よりも音速を小さくする必要がある。そのため、低音速膜3のヤング率は、圧電体層4のヤング率よりも小さくすることが好ましい。
[0032]
 したがって、この場合には、誘電体膜6のヤング率は、低音速膜3のヤング率よりも大きくすることで、弾性波エネルギーのロスを低減(改善)することができる。
[0033]
 (4)成膜条件
 以下、実施形態に係る弾性波装置1の低音速膜3及び誘電体膜6の成膜条件について説明する。
[0034]
 実施形態に係る弾性波装置1では、例えば、スパッタリングによって低音速膜3及び誘電体膜6を成膜する。この場合において、スパッタ装置のチャンバー内の真空度を変えることにより、低音速膜3及び誘電体膜6のヤング率を制御することができる。例えば、低音速膜3を成膜する場合には、チャンバー内の真空度を0.5Pa以上で、かつ1.0Pa以下にすることにより、誘電体膜6に比べてヤング率の小さい低音速膜3を成膜することができる。また、誘電体膜6を成膜する場合には、チャンバー内の真空度を0.04Pa以上で、かつ0.1Pa以下にすることにより、低音速膜3に比べてヤング率の大きい誘電体膜6を成膜することができる。すなわち、真空度を大きく(チャンバー内の残留気体の到達圧力を小さく)することにより成膜中の不純物が減り、原子の純度・緻密度の高い膜が得られるため、ヤング率が大きくなり且つ粘性損失の小さい膜となる。つまり、実施形態に係る弾性波装置1では、チャンバー内の真空度を調節することにより、誘電体膜6のヤング率を低音速膜3のヤング率よりも大きくすることができる。
[0035]
 (5)効果
 以上説明したように、実施形態に係る弾性波装置1は、圧電体層4と、IDT電極5と、高音速部材2と、低音速膜3と、誘電体膜6と、を備えている。IDT電極5は、圧電体層4上に形成されている。高音速部材2は、圧電体層4を挟んでIDT電極5とは反対側に位置している。高音速部材2では、圧電体層4を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である。低音速膜3は、高音速部材2と圧電体層4との間に設けられている。低音速膜3では、圧電体層4を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速である。誘電体膜6は、IDT電極5を覆うように圧電体層4上に形成されている。この弾性波装置1では、誘電体膜6のヤング率が低音速膜3のヤング率よりも大きい。
[0036]
 IDT電極5を誘電体膜6で覆う構造では、弾性波エネルギーが圧電体層4に集中するだけでなく、誘電体膜6にも集中する。そのため、誘電体膜6のヤング率をできるだけ大きくすることで、誘電体膜6の粘性損失を小さくすることができ、これにより弾性波エネルギーのロスを低減することができる。このとき、低音速膜3のヤング率は小さい方が更にロスを低減することができる。従って、誘電体膜6のヤング率が、低音速膜3のヤング率よりも大きい場合に、ロスをより低減できる。
[0037]
 実施形態に係る弾性波装置1では、誘電体膜6の材料が酸化ケイ素である。これにより、誘電体膜6の材料が酸化ケイ素でない場合と比べて、周波数温度特性を改善することができる。
[0038]
 実施形態に係る弾性波装置1では、低音速膜3の材料が酸化ケイ素である。これにより、低音速膜3の材料が酸化ケイ素でない場合と比べて、周波数温度特性を改善することができる。
[0039]
 実施形態に係る弾性波装置1では、誘電体膜6の材料と低音速膜3の材料とが同一である。これにより、誘電体膜6の材料と低音速膜3の材料とが異なる場合と比べて、誘電体膜6のヤング率の調整がしやすいという利点がある。
[0040]
 実施形態に係る弾性波装置1では、高音速部材2は、圧電体層4を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速支持基板21である。これにより、弾性波装置1のQ値を高めることができる。
[0041]
 (6)変形例
 上述の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
[0042]
 (6.1)変形例1
 実施形態に係る弾性波装置1は、高音速支持基板21、低音速膜3及び圧電体層4を有する3層構造であるのに対して、変形例1に係る弾性波装置1Aは4層構造であり、この点で両者は相違している。以下、4層構造の弾性波装置1Aの構成について、図3を参照して説明する。なお、変形例1に係る弾性波装置1Aにおいて、実施形態に係る弾性波装置1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
[0043]
 変形例1に係る弾性波装置1Aは、図3に示すように、高音速部材2Aと、低音速膜3と、圧電体層4と、IDT電極5と、誘電体膜6と、を備えている。高音速部材2Aは、支持基板22と、高音速膜23と、を含む。つまり、弾性波装置1Aは、支持基板22を更に備えている。高音速膜23は、支持基板22上に形成されている。ここでいう「支持基板22上に形成されている」とは、支持基板22上に直接的に形成されている場合と、支持基板22上に間接的に形成されている場合と、を含む。高音速膜23では、圧電体層4を伝搬する弾性波の音速よりも、高音速膜23を伝搬するバルク波の音速が高速である。なお、弾性波装置1Aは、高音速膜23、低音速膜3、圧電体層4及び誘電体膜6以外に、密着層、誘電体膜等を有していてもよい。
[0044]
 支持基板22の材料は、例えばシリコンである。なお、支持基板22の材料は、シリコンに限らず、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、若しくは水晶等の圧電体、アルミナ、マグネシア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、若しくはフォルステライト等の各種セラミック、ガラス等の誘電体、窒化ガリウム等の半導体、樹脂等であってもよい。
[0045]
 高音速膜23は、支持基板22上に形成されている。高音速膜23は、弾性波を圧電体層4及び低音速膜3が積層されている部分に閉じ込め、高音速膜23より下の構造に漏れないように機能する。高音速膜23の厚さに関しては、弾性波を圧電体層4及び低音速膜3に閉じ込める機能の観点で厚いほど望ましい。
[0046]
 高音速膜23の厚みが十分に厚い場合、フィルタや共振子の特性を得るために利用する特定のモードの弾性波エネルギーは圧電体層4及び低音速膜3の全体に分布し、高音速膜23の低音速膜3側の一部にも分布するが、支持基板22には分布しないことになる。高音速膜23により弾性波を閉じ込めるメカニズムは非漏洩なSH波であるラブ波型の表面波の場合と同様のメカニズムであり、例えば、文献「弾性表面波デバイスシミュレーション技術入門」、橋本研也、リアライズ社、p.26-28に記載されている。上記メカニズムは、音響多層膜によるブラッグ反射器を用いて弾性波を閉じ込めるメカニズムとは異なる。
[0047]
 高音速膜23の材料は、例えば、ダイヤモンドライクカーボン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、水晶、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、マグネシア、及びダイヤモンドからなる群から選択される少なくとも1種の材料である。
[0048]
 変形例1に係る弾性波装置1Aによれば、上述の実施形態に係る弾性波装置1と同様に、誘電体膜6のヤング率を低音速膜3のヤング率よりも大きくすることで、誘電体膜6の粘性損失を小さくすることができ、これにより弾性波エネルギーのロスを低減することができる。また、変形例1に係る弾性波装置1Aによれば、Q値を高めることもできる。
[0049]
 (6.2)その他の変形例
 以下、その他の変形例を列挙する。
[0050]
 実施形態及び変形例1では、誘電体膜6の材料と低音速膜3の材料とが同一であるが、誘電体膜6のヤング率が低音速膜3のヤング率よりも大きくなっていれば、誘電体膜6の材料と低音速膜3の材料とが異なっていてもよい。ただし、誘電体膜6の材料と低音速膜3の材料とが同一であれば、例えば圧力、温度等を変えるだけで誘電体膜6のヤング率を調整することができ、ヤング率の調整がしやすいという利点がある。
[0051]
 実施形態及び変形例1では、誘電体膜6がIDT電極5の形状に沿って形成されており、圧電体層4の全面に亘って誘電体膜6の厚み(膜厚)が一定である。これに対して、誘電体膜6の厚みは一定でなくてもよく、例えば、圧電体層4におけるIDT電極5側の主面からの誘電体膜6の厚さが一定となるように誘電体膜6が形成されてもよい。
[0052]
 実施形態では、チャンバー内の真空度を変えることにより低音速膜3及び誘電体膜6のヤング率を制御している。これに対して、例えば、チャンバー内の温度を変えることにより低音速膜3及び誘電体膜6のヤング率を制御してもよいし、チャンバー内の真空度及び温度の両方を変えることにより低音速膜3及び誘電体膜6のヤング率を制御してもよい。さらに、チャンバー内の真空度及び温度以外の条件で低音速膜3及び誘電体膜6のヤング率を制御してもよい。
[0053]
 (まとめ)
 以上説明した実施形態等から以下の態様が開示されている。
[0054]
 第1の態様に係る弾性波装置(1;1A)は、圧電体層(4)と、IDT電極(5)と、高音速部材(2;2A)と、低音速膜(3)と、誘電体膜(6)と、を備える。IDT電極(5)は、圧電体層(4)上に形成されている。高音速部材(2;2A)は、圧電体層(4)を挟んでIDT電極(5)とは反対側に位置している。高音速部材(2;2A)では、圧電体層(4)を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である。低音速膜(3)は、高音速部材(2;2A)と圧電体層(4)との間に設けられている。低音速膜(3)では、圧電体層(4)を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速である。誘電体膜(6)は、IDT電極(5)を覆うように圧電体層(4)上に形成されている。弾性波装置(1;1A)では、誘電体膜(6)のヤング率が低音速膜(3)のヤング率よりも大きい。
[0055]
 この態様によれば、誘電体膜(6)のヤング率が低音速膜(3)のヤング率以下である場合と比べて、弾性波エネルギーのロスを低減することができる。
[0056]
 第2の態様に係る弾性波装置(1;1A)では、第1の態様において、誘電体膜(6)の材料が酸化ケイ素である。
[0057]
 この態様によれば、誘電体膜(6)の材料が酸化ケイ素でない場合と比べて、周波数温度特性を改善することができる。
[0058]
 第3の態様に係る弾性波装置(1;1A)では、第1又は2の態様において、低音速膜(3)の材料が酸化ケイ素である。
[0059]
 この態様によれば、低音速膜(3)の材料が酸化ケイ素でない場合と比べて、周波数温度特性を改善することができる。
[0060]
 第4の態様に係る弾性波装置(1;1A)では、第1の態様において、誘電体膜(6)の材料と低音速膜(3)の材料とが同一である。
[0061]
 この態様によれば、誘電体膜(6)の材料と低音速膜(3)の材料とが異なる場合と比べて、誘電体膜(6)のヤング率の調整がしやすいという利点がある。
[0062]
 第5の態様に係る弾性波装置(1)では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、高音速部材(2)は、圧電体層(4)を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速支持基板(21)である。
[0063]
 この態様によれば、弾性波装置(1)のQ値を高めることができる。
[0064]
 第6の態様に係る弾性波装置(1A)は、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、支持基板(22)を更に備える。高音速部材(2A)は、支持基板(22)上に形成されており、圧電体層(4)を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速膜(23)を含む。
[0065]
 この態様によれば、弾性波装置(1A)のQ値を高めることができる。

符号の説明

[0066]
1,1A 弾性波装置
2,2A 高音速部材
3 低音速膜
4 圧電体層
5 IDT電極
6 誘電体膜
21 高音速支持基板
22 支持基板
23 高音速膜

請求の範囲

[請求項1]
 圧電体層と、
 前記圧電体層上に形成されているIDT電極と、
 前記圧電体層を挟んで前記IDT電極とは反対側に位置しており、前記圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速部材と、
 前記高音速部材と前記圧電体層との間に設けられており、前記圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速である低音速膜と、
 前記IDT電極を覆うように前記圧電体層上に形成されている誘電体膜と、を備え、
 前記誘電体膜のヤング率が前記低音速膜のヤング率よりも大きい、
 弾性波装置。
[請求項2]
 前記誘電体膜の材料が酸化ケイ素である、
 請求項1に記載の弾性波装置。
[請求項3]
 前記低音速膜の材料が酸化ケイ素である、
 請求項1又は2に記載の弾性波装置。
[請求項4]
 前記誘電体膜の材料と前記低音速膜の材料とが同一である、
 請求項1に記載の弾性波装置。
[請求項5]
 前記高音速部材は、前記圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速支持基板である、 
請求項1~4のいずれか1項に記載の弾性波装置。
[請求項6]
 支持基板を更に備え、
 前記高音速部材は、前記支持基板上に形成されており、前記圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速膜を含む、
 請求項1~4のいずれか1項に記載の弾性波装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]