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1. WO2020121913 - 光源ユニット、表示装置及びフィルム

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明 細 書

発明の名称 光源ユニット、表示装置及びフィルム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065  

実施例

0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089  

産業上の利用可能性

0090  

符号の説明

0091  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 光源ユニット、表示装置及びフィルム

技術分野

[0001]
 本発明は、光源ユニット、表示装置及びフィルムに関する。

背景技術

[0002]
 液晶ディスプレイなどの表示装置に用いる光源の一つとして、少なくとも一つの光源から入射した光を面状に拡げて射出する面光源装置が用いられている。この面光源装置は、少なくとも光源とその光源の光を面状に拡げる導光板から構成されるエッジ型や光源とその光源に対向する方向に光を照射する直下型などが挙げられる。一般的に表示装置は正面方向を0°とした場合±45°程度の角度範囲が視認範囲であり、これ以上大きな角度で出射された光は損失となる。一方、エッジ型の面光源装置は導光板から出射された光は無制御に拡散されているため、導光板から出射された光の強度が最も大きい角度は、一般的に正面方向ではなく斜め方向である。これは、光源から導光板の端部へ入射された光が、斜め方向に反射しながら導光板の中を面状に拡がるため、正面方向よりも斜め方向の光が出射され易いためである。そこで、従来では導光板の出射面側に拡散シートやプリズムシートを複数枚配することで、導光板から出射される斜め方向の光を正面方向に集光させ正面輝度を向上させていた(特許文献1、特許文献2)。直下型の面光源装置は面光源を得るために光源を複数配置し、光源間の光ムラを抑制するためレンズ等を用いて光源から出射される光を正面だけでなく斜め方向に拡げ、更に拡散シートなどを通過させることでムラを消し、拡散シートやプリズムシートを複数枚配することで正面方向に集光させ正面輝度を向上させていた。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2015-180949号公報
特許文献2 : 特開2015-87774号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかしながら、拡散シートやプリズムシートはその構造上、浅い角度で侵入する光全ては集光させることはできないため、拡散シートやプリズムシートを用いてもエッジ型の導光板や直下型の拡散シートから出射される全ての斜め方向の光を正面方向に集光させることは困難であった。
[0005]
 導光板を用いた従来の面光源を説明する模式図として、導光板の断面の一部を図4に示す。4は導光板の出射面であり、5は導光板の出射面の反対側の面であり、導光板の出射面側の媒質は一例として空気としている。導光板内部を斜め方向に反射しながら面上に拡がっている光6a、7aについて、6aは出射面4への入射角度が小さく、7aは出射面4への入射角度が大きい光である。それぞれの光が出射面4に入射すると、光6aはその反射率に応じて一部の光が反射光6bとなり導光板に戻り、残りの光6cは導光板の外側に出射される。その後、光6bは導光板の出射面の反対側の面5で反射される。この反射光のうち6dは正反射光成分であり、8は拡散反射光成分のうち正面方向の光である。次に、光7aは出射面4への入射角度が大きいため、出射面4に入射すると全反射され、その反射光7bは導光板の出射面の反対側の面5で反射される。この反射光のうち7dは正反射光成分であり、9は拡散反射光成分のうち正面方向の光である。以上のように導光板の内部の光は斜め方向に反射しながら面上に拡がりつつ、その光の一部6c、8、9が導光板から出射されることで面上の出射光を得ることができる。しかしながら、光7aよりも出射面4への入射角度が小さい光(すなわち6aのような光)は出射面4に入射した際に、導光板の外側に斜め方向に出射される光(すなわち6cのような光)が発生するため、この方法では導光板から出射する光の分布が正面方向だけでなく斜め方向にも出射されるので、正面方向の光の強さが低下することが課題である。かかる課題を解決するため、従来の方法では、拡散シートやプリズムシートを導光板の出射面側に配することで、導光板から出射された斜め方向の光の向きを正面方向に変換することで対応していた。しかしながら、拡散シートやプリズムシートはその構造上、浅い角度で侵入する光(入射角度が小さい光)全てを集光させることはできないため、拡散シートやプリズムシートを用いても導光板から出射される全ての斜め方向の光を正面方向に集光させることはできなかった。
[0006]
 本発明は前記の課題を解決せんとするものである。すなわち、従来よりもさらに集光性と正面輝度を向上させることのできる光源ユニット、表示装置及びフィルムを提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 前述の課題を解決するため、本発明は次の構成を有する。すなわち、光源とフィルムを有する光源ユニットであって、前記光源が波長450nm~650nmに発光帯域を備えており、前記フィルムが、前記光源から前記フィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光の波長450nm~650nmの平均透過率が70%以上であり、前記光源から前記フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射する光のそれぞれのP波の波長450nm~650nmの平均反射率(%)をRp20、Rp40、Rp70とした場合にRp20≦Rp40<Rp70の関係を満足し、かつRp70が30%以上であり、前記光源から前記フィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光の輝度をLa(0°)、前記フィルム面の法線に対して70°の角度で入射する光の輝度をLa(70°)、前記光源から前記フィルムに入射された後に前記フィルム面の法線に対して0°の角度で前記フィルムから出射される光の輝度をLb(0°)、前記フィルム面の法線に対して70°の角度で前記フィルムから出射される光の輝度をLb(70°)とした場合に以下の式(1)、(2)の関係を満足する光源ユニット。
Lb(0°)/La(0°)≧0.8 ・・・(1)
Lb(70°)/La(70°)<1.0 ・・・(2)

発明の効果

[0008]
 本発明によって、従来よりもさらに集光性と正面輝度を向上させることのできる光源ユニット、表示装置及びフィルムを得ることができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 従来の透明フィルムのP波とS波の反射率の角度依存性を示す模式図。
[図2] 従来の反射フィルムのP波とS波の反射率の角度依存性を示す模式図。
[図3] 本発明のフィルムのP波とS波の反射率の角度依存性を示す模式図。
[図4] 導光板を用いた従来の面光源を得る方法について説明する模式図
[図5] 本発明のフィルムを導光板の出射面側に配した場合に得られる効果について説明する模式図
[図6] 本発明の光源ユニットの正面図を示す模式図

発明を実施するための形態

[0010]
 本発明者らは、光源とフィルムを有する光源ユニットであって、前記光源が波長450nm~650nmに発光帯域を備えており、前記フィルムが、前記光源から前記フィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光の波長450nm~650nmの平均透過率が70%以上であり、前記光源から前記フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射する光のそれぞれのP波の波長450nm~650nmの平均反射率(%)をRp20、Rp40、Rp70とした場合にRp20≦Rp40<Rp70の関係を満足し、かつRp70が30%以上であり、前記光源から前記フィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光の輝度をLa(0°)、前記フィルム面の法線に対して70°の角度で入射する光の輝度をLa(70°)、前記光源から前記フィルムに入射された後に前記フィルム面の法線に対して0°の角度で前記フィルムから出射される光の輝度をLb(0°)、前記フィルム面の法線に対して70°の角度で前記フィルムから出射される光の輝度をLb(70°)とした場合に、以下の式(1)、(2)の関係を満足する光源ユニットを用いることで、エッジ型の導光板や直下型の拡散シートからの出射光を正面に集光させ正面輝度を向上させることを見出した。
Lb(0°)/La(0°)≧0.8 ・・・(1)
Lb(70°)/La(70°)<1.0 ・・・(2)。
[0011]
 以下これについて詳説する。電磁波(光)が物体に斜め方向から入射した際において、P波とは電界成分が入射面に平行な電磁波(入射面に平行に振動する直線偏光)、S波とは電界成分が入射面に垂直な電磁波(入射面に垂直に振動する直線偏光)を表す。
[0012]
 このP波とS波の反射特性について説明する。図1に従来の透明フィルムについて、図2に従来の反射フィルムについて、図3に本発明のフィルムについて、空気中から各フィルムに光が入射した際の波長550nmのP波とS波の反射率の角度依存性について示す。ここでは一例として波長550nmで示したが、任意の波長において図1~3で示した関係性を持つ。
[0013]
 従来の透明フィルムは、フレネルの式に従い、P波の反射率は入射角度増大とともに低下し、その後、反射率0%となった後、反射率が増大する傾向を示す。S波の反射率は、入射角度増大とともに増大していく。また、従来の反射フィルムは、図2に示すように、P波もS波も入射角度0度で一定の反射率を持ち(=透過率が低く)、入射角度増大とともにP波、S波両方の反射率が増大していく。一方、本発明のフィルムは、入射角度0度では、P波、S波両方の反射率が低く(=透過率が高く)、入射角度増大とともにP波、S波両方の反射率が増大する特徴を持つ。この従来の反射フィルムと本発明のフィルムとの間に見られる入射角度による反射率の差は、交互に積層した2種類の層のフィルム面に平行な方向の屈折率の差(面内屈折率差)とフィルム面に垂直な方向の屈折率の差(面直屈折率差)の設計が異なることによる。すなわち、従来の反射フィルムは、交互に積層した2種類の層の面内屈折率の差および面直屈折率差を大きくすることで光を反射する設計であったため、P波もS波も入射角度0度でも一定の反射率を持ち、入射角度増大とともにP波、S波両方の反射率が増大する。
[0014]
 一方、本発明のフィルムは交互に積層した2種類の層の面内屈折率差を小さくし、面直屈折率差を大きくすることで、正面方向の光を透過し、斜め方向の光のみ反射するため、入射角度0度では、交互に積層した2種類の層の面内屈折率差が小さいためP波、S波両方の反射率が低く(=透過率が高く)、入射角度増大とともに、交互に積層した2種類の層の面直屈折率差が大きくなるためP波、S波両方の反射率が増大する。
[0015]
 本発明のフィルムを導光板の出射面側に配した場合に得られる効果について説明する模式図として、導光板の上に本発明のフィルムを配した図5を示す。光6aは出射面4への入射角度が小さいため、従来では図4に示すように大部分6cが導光板の外側に出射されるが、本発明のフィルムは斜め方向の光に対する反射率が高いため、本発明のフィルムを導光板の出射面側に配すことによって6cを反射することで導光板に戻すことができ、このことによって、従来よりも導光板からの出射光を正面に集光させ輝度を向上させることができる。本発明のフィルムと導光板の出射面で反射された光6b、7b、10bは、導光板の出射面5で反射される。この反射光のうち6d、7d、10dは、正反射光成分であり、8、9、11は拡散反射光成分のうち正面方向の光である。本発明のフィルムは正面方向の光に対する透過率が高いため、光8、9、11をほとんど反射せず透過することができる。よって、本発明のフィルムを導光板の出射面側に用いると、導光板からの正面方向に射出される光は8、9、11となるため、従来と比較して導光板からの出射光を正面に集光し、輝度を向上させることができる。
[0016]
 なお、上記説明の導光板の構成や導光板内部の光の進行方向は本発明のフィルムの効果を説明するための一例であり、本フィルムを用いることで導光板から出射される斜め方向の光を反射して導光板に戻し、導光板から出射される正面方向の光を透過するコンセプトが一致すれば、導光板の構成や導光板内部の光の進行方向が上記説明と異なっていても導光板から出射される光を正面に集光する機能は発揮される。例えば、上記説明では導光板の出射面の反対側の面5は平らな面であるが、荒れた面であったり、凹凸形状をもっていても良い。また、本発明のフィルムは必ずしも導光板の真上に配する必要はなく、導光板と本発明のフィルムの間に拡散シートなどのシートが1枚又は複数枚配置されていても良い。
[0017]
 また、導光板だけでなく、光源とその光源に対向する方向に光を照射する直下型の面光源装置に本発明のフィルムを用いた際にも、上述した効果によって従来斜め方向に出射される光を正面方向に変換できるため、出射光を正面に集光し、輝度を向上させることができる。
[0018]
 本発明の光源ユニットは、光源とフィルムを有する光源ユニットであって、前記光源が波長450nm~650nmに発光帯域を備えている必要がある。本発明において、発光帯域とは、光源の発光スペクトルを計測し、発光スペクトルの最大強度を示す波長を光源の発光ピーク波長とし、光源の発光ピーク波長での発光強度の5%以上の強度を示す最も低波長の波長と最も長波長の波長の波長範囲をあらわす。
[0019]
 本発明の光源ユニットは、光源からフィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光の輝度をLa(0°)、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射する光の輝度をLa(70°)、光源からフィルムに入射された後に前記フィルム面の法線に対して0°の角度でフィルムから出射される光の輝度をLb(0°)、フィルム面の法線に対して70°の角度でフィルムから出射される光の輝度をLb(70°)とした場合に以下の式(1)、(2)の関係を満足する。
Lb(0°)/La(0°)≧0.8 ・・・(1)
Lb(70°)/La(70°)<1.0 ・・・(2)。
[0020]
 式(1)のLb(0°)/La(0°)は正面方向の輝度維持率(あるいは輝度の向上率)を意味し、その値が高いほど正面方向の輝度維持率(あるいは輝度向上率)が高いことを表す。Lb(0°)/La(0°)=1のときは、光源からフィルム面の法線に対して0°の角度で入射した光と同じ強度の光が出射していることを表し、Lb(0°)/La(0°)>1のときは、光源からフィルム面の法線に対して0°の角度で入射した光よりも強い光がフィルム面の法線に対して0°の角度で出射していることを表す。Lb(0°)/La(0°)は1.0を超えることが好ましく、より好ましくは1.1以上であり、更に好ましくは1.2以上である。
[0021]
 式(2)のLb(70°)/La(70°)は斜め方向の光の透過率を意味し、その値が小さいほど斜め方向の光が透過されていないことを表す。Lb(70°)/La(70°)は好ましくは0.8より小さく、更に好ましくは0.7より小さいことである。
[0022]
 また本発明の光源ユニットは、前記Lb(70°)/La(70°)の方位角ばらつきが0.3以下であることが好ましい。ここで方位角ばらつきとは、図6に示すように光源ユニットの長手方向の方位角を0°とし各方位角(0°、45°、90°、135°)で測定したLb(70°)/La(70°)の最大値と最小値の差のことを表す。一般的な集光フィルムであるプリズムシートは、集光性特性に方位角のムラがあるためそのムラを消すために複数枚積層しているが、それでも方位角のムラを完全に解消することはできない。本発明のフィルムは方位角ムラが小さいため1枚で集光効果を持たせることができる。前記Lb(70°)/La(70°)の方位角ばらつきは好ましくは0.1以下であり、さらに好ましくは0.01以下である。方位角のばらつきを小さくするためには、例えば本発明のフィルムの面内方向の屈折率ムラを小さくすることが挙げられ、フィルムの面内方向の屈折率ムラを小さくするにはフィルムの二軸延伸時にフィルム長手方向と幅方向の配向状態の差を小さくするように延伸することが挙げられる。
[0023]
 本発明の一態様としては、導光板の出射面側に前述のフィルムを配した導光板ユニット、その導光板ユニットと光源を有する光源ユニット、その光源ユニットを用いた表示装置や、複数の光源が設置された基板とその基板の出射面側に前述のフィルムを配した光源ユニット、その光源ユニットを用いた表示装置などが挙げられる。その表示装置としては液晶表示装置や有機EL(Electro-Luminescence)表示装置などが挙げられる。
[0024]
 本発明の光源ユニットの構成の例としては、反射フィルム/導光板/拡散シート/プリズムシートといった構成で導光板の横に設置した光源の光を面上に拡げて出射する光源ユニットや、複数の光源が設置された基板とその基板の出射面側に反射フィルム/拡散板/プリズムシートといった構成で光源に対向する方向に光を照射する光源ユニットが挙げられる。反射フィルムは拡散反射や鏡面反射するフィルムが挙げられ、特に拡散反射性の高いものが好ましく、白色反射フィルムが好ましい。拡散フィルムやプリズムシートは1枚のみである必要はなく、2枚以上用いる構成も取り得る。光源は白色光源や赤色、青色、緑色の単色光源やそれらの単色光源を2種類組み合わせたものが挙げられその発光帯域は450nm~650nmの範囲を備え、発光方式としてはLED(Light Emitting Diode)、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)、有機ELなどが挙げられる。本発明のフィルムはこれらの光源ユニットの構成部材間について、導光板を用いた光源ユニットであれば導光板よりも出射面側に配して使用されることが好ましく、設置位置としてはプリズムシートよりも下側に用いられることが好ましい。光源とその光源に対向する方向に光を照射する光源ユニットであれば拡散板よりも出射面側に配して使用されることが好ましい。また、エアーギャップのある状態で設置するだけでなく、粘着剤や接着剤などで他の部材と貼り合わせて配することも好ましい。
[0025]
 本発明の光源ユニットを用いた表示装置の構成の例としては、拡散シート/プリズムシート/偏光反射フィルムの順に配してなる構成を有し、本発明のフィルムが拡散シートと偏光反射フィルムの間に配してなる表示装置が挙げられる。このような構成をとることで、拡散シートによってムラ消しはされたが斜め方向の光が強い出射光を正面方向に集光することができる。さらに、偏光反射フィルムの視認側に偏光板や液晶セルを設置しても表示画面が虹色になる虹ムラの発生を抑制することができる。さらに、反射フィルム/導光板/拡散シート/プリズムシート/偏光反射フィルムをその順に配してなる構成を有し、本発明のフィルムが拡散シートと偏光反射フィルムの間に配してなる表示装置や、反射フィルム/光源/拡散シート/プリズムシート/偏光反射フィルムをその順に配してなる構成を有し、本発明のフィルムが拡散シートと偏光反射フィルムの間に配してなる表示装置なども好ましい態様として挙げられる。
[0026]
 本発明の表示装置の構成の例として赤外線センサーを備える表示装置が挙げられる。赤外線センサーを備えた表示装置は指紋や顔、目の虹彩などを赤外線で認証することによって、利用者の判別を行う認証機能を持たせることができる。その他には、赤外線センサーによって利用者の指、手、目などの動きを検知して表示装置の操作を行う機能を持たせることができる。赤外線を受光する赤外線センサーと判別を行う対象との間の表示装置部材は赤外線の平行光線透過率が高いことが好ましい。そのため、本発明のフィルムは、フィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光の波長800nm~1600nmの最大平行光線透過率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上である。赤外線センサーの発光・受光波長は800nm~1600nmの範囲が挙げられ、ピーク波長の例として850nm、905nm、940nm、950nm、1200nm、1550nmなどが挙げられる。赤外線センサーを備える表示装置に用いる光源ユニットの構成としては、反射フィルム/導光板/拡散シート/本発明のフィルムといった構成で導光板の横に設置した光源の光を面上に拡げて出射する光源ユニットや、複数の光源が設置された基板とその基板の出射面側に反射フィルム/拡散板/本発明のフィルムといった構成で光源に対向する方向に光を照射する光源ユニットが挙げられる。
[0027]
 上記構成に更にプリズムシートや偏光反射フィルムを備える構成も挙げられるが、赤外線センサーと判別を行う対象との間の表示装置部材は赤外線の平行光線透過率が高く、赤外線の散乱率(赤外線ヘイズ)が低いことが好ましい。
[0028]
 平面状の基材状の上に三角形等の形状(プリズム)を賦形したプリズムシートは、可視光だけでなく赤外線にもその集光効果を及ぼす。また、基材面から光(可視光・赤外線)を入射すると集光効果が発現するが、プリズム面から入射される光(可視光・赤外線)は拡散してしまう。また、基材面から入射した入射角度0°の光に対しては反射率が高い。そのため、赤外線センサーで検知する赤外線情報がプリズムシートを通過すると、集光、拡散、反射といった現象により赤外線情報が乱れてしまう。赤外線情報が乱れると、赤外線センサーの検知精度が落ちる問題が発生する。このような現象が起こる場合はプリズムシートを用いることは好ましくない。
[0029]
 一方、本発明のフィルムは、フィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光は可視光線透過率だけでなく、赤外線平行光線透過率も高いため赤外線情報を乱さない。よって、本発明のフィルムを赤外線センサーを備える表示装置に用いると、輝度向上と赤外線検知精度の向上の両立を達成することができる。
[0030]
 また、本発明の表示装置は、視野角制御層を有することが好ましい態様として挙げられる。視野角制御層は、表示装置中において、本発明のフィルムを配した位置よりもさらに出射面側に配置されることが好ましい。視野角制御層の例としては、液晶層であって、その液晶層中の液晶分子が液晶分子への通電に対して、斜め方向から水平方向に配向が変化又は、水平方向から斜め方向に配向が変化する特徴を持つ液晶分子であることが好ましい。このような配向特性を持つ液晶層を配した場合、視野角は、液晶層の配向が斜め方向のときは正面に制御され、液晶層の配向が水平方向のときは広角に制御される。
[0031]
 本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂Aを用いてなる層(A層)と熱可塑性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを用いてなる層(B層)とが交互に3層以上積層されてなる多層積層フィルムであることが好ましい。ここでいう熱可塑性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bの「異なる」とは、結晶性・非晶性、光学的性質、熱的性質のいずれかが異なることをいう。光学的性質が異なるとは、屈折率が0.01以上異なることをあらわし、熱的性質が異なるとは、融点あるいはガラス転移温度が1℃以上異なっていることを表す。なお、一方の樹脂が融点を有しており、もう一方の樹脂が融点を有していない場合や、一方の樹脂が結晶化温度を有しており、もう一方の樹脂が結晶化温度を有していない場合も異なる熱的性質を有することを表す。異なる性質を持つ熱可塑性樹脂を積層することで、それぞれの熱可塑性樹脂の単一の層のフィルムではなし得ない機能をフィルムに与えることができる。
[0032]
 本発明のフィルムに用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチルペンテン-1)などのポリオレフィン、シクロオレフィンとしては、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。これらの中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステルを用いることが好ましく、ポリエステルとしては芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。
[0033]
 ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも好ましくはテレフタル酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
[0034]
 また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコール、などを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
[0035]
 上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体並びにポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体の中から選択されるポリエステルを用いることが好ましい。
[0036]
 また、本発明のフィルムが前述の多層積層フィルム構成であるとき、用いられる異なる性質を有する熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のガラス転移温度の差の絶対値が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度の差の絶対値が20℃より大きい場合には多層積層フィルムを製造する際の延伸不良が発生しやすいためである。
[0037]
 本発明のフィルムが前述の多層積層フィルム構成であるとき、用いられる異なる性質を有する熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のSP値(溶解性パラメータともいう)の差の絶対値が1.0以下であることが特に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、異なる性質を有するポリマーは同一の基本骨格を供えた組み合わせからなることが好ましい。ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、たとえば、一方の熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、高精度な積層構造が実現しやすい観点から、他方の熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレートと同一の基本骨格であるエチレンテレフタレートを含むことが好ましい。異なる光学的性質を有するポリエステル樹脂が同一の基本骨格を含む樹脂であると、積層精度が高く、さらに積層界面での層間剥離が生じにくくなるものである。
[0038]
 同一の基本骨格を有し、かつ、異なる性質を具備させるには、共重合体とすることが望ましい。すなわち、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合、他方の樹脂は、エチレンテレフタレート単位と他のエステル結合を持った繰り返し単位とで構成された樹脂を用いるような態様である。他の繰り返し単位を入れる割合(共重合量ということがある)としては、異なる性質を獲得する必要性から5mol%以上が好ましく、一方、層間の密着性や、熱流動特性の差が小さいため各層の厚みの精度や厚みの均一性に優れることから90mol%以下が好ましい。さらに好ましくは10mol%以上、80mol%以下である。また、A層とB層はそれぞれ、複数種の熱可塑性樹脂がブレンド又はアロイされたものを用いられることも望ましい。複数種の熱可塑性樹脂をブレンド又はアロイとすることで、1種類の熱可塑性樹脂では得られない性能を得ることができる。
[0039]
 本発明のフィルムが前述の多層積層フィルム構成であるとき、熱可塑性樹脂A及び/又は熱可塑性樹脂Bがポリエステルであることが好ましく、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートを主たる成分とし、熱可塑性系樹脂Bがジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを含んでなり、さらに、ジカルボン酸成分として、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドのうち少なくとも何れか1つの共重合成分を含んでなるポリエステルを主たる成分とすることも好ましい。なお「熱可塑性樹脂Aの主たる成分」とは、A層を構成する樹脂全体の70重量%以上占めることを表す。また、「熱可塑性樹脂Bの主たる成分」とは、B層を構成する樹脂全体の35重量%以上占めることを表す。
[0040]
 本発明のフィルムは、フィルム面の法線に対して0°の角度で入射したときの光の波長450nm~650nmの平均透過率が70%以上であり、フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射したときのそれぞれのP波の波長450nm~650nmの平均反射率(%)をRp20、Rp40、Rp70とした場合にRp20≦Rp40<Rp70の関係を満足し、かつRp70が30%以上であることが必要である。これらの特性を満足することで、導光板の出射面側に配することで、導光板からの出射光を正面に集光し、輝度を向上させることが可能となる。Rp70は、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上であり、特に好ましくは55%以上である。
[0041]
 本発明のフィルムの構成の一例を以下に示すが、本発明のフィルムはかかる例に限定して解釈されるものではない。
[0042]
 本発明のフィルムがA層とB層が交互に積層された多層積層フィルムであって、A層とB層の面内屈折率の差が小さく、A層とB層の面直屈折率の差が大きいことが好ましい。ここで、A層とB層の面内屈折率の差としては0.03以下であることが好ましく、より好ましくは0.02以下、さらに好ましくは0.01以下である。A層とB層の面直屈折率の差としては0.03より大きいことが好ましく、より好ましくは0.06以上、さらに好ましくは0.09以上である。A層とB層がこのような面内屈折率差と面直屈折率差を持つことで、正面方向の光は反射せず透過し、斜め方向のP波の光を反射する特性を高めることができる。
[0043]
 A層とB層の面内屈折率差を小さくし面直屈折率差を大きくする方法としては、A層とB層を構成する樹脂が熱可塑性樹脂とし、一方の層(A層)を構成する熱可塑性樹脂が結晶性ポリエステルを主成分とし、もう一方の層(B層)を構成する熱可塑性樹脂が非晶性ポリエステル又はA層を構成するポリエステルよりも融点が20℃以上低い結晶性ポリエステルを主成分とし、かつA層とB層の面内屈折率の差を0.04以下、A層とB層を構成する樹脂のガラス転移温度の差を20℃以下とすることが好ましい方法として挙げられる。
[0044]
 A層とB層の面内屈折率差を小さくし面直屈折率差を大きくするためには、一方の熱可塑性樹脂はフィルム面に平行な方向に強く配向されている状態(フィルム面に平行な方向の屈折率が大きく、フィルム面に垂直な方向の屈折率が小さい)とする一方、他方の熱可塑性樹脂は等方性を維持している(フィルム面に平行な方向と垂直な方向の屈折率が同じ)とすることが重要である。A層を構成する熱可塑性樹脂が結晶性ポリエステルであることでフィルム面に平行な方向に強く配向されている状態を取ることができ、B層を構成する熱可塑性樹脂が非晶性ポリエステル又はA層よりも融点が20℃以上低い結晶性ポリエステルであることで等方性を取ることができる。
[0045]
 A層とB層の面内屈折率差を小さくし面直屈折率差を大きくするためには、A層に結晶性樹脂を用いてA層を配向結晶化させて、B層に非晶性樹脂を用いてその屈折率は等方性かつ高い屈折率であることが好ましい方法として挙げられる。一般的に、結晶性樹脂は配向・結晶化が進むにつれて、フィルム面に平行な方向(面内方向)の屈折率は大きくなり、フィルム面に垂直な方向(面直方向)の屈折率は小さくなる。また、ベンゼン環やナフタレン環のなどの芳香族を含むと、フィルム面に平行な方向(面内方向)、フィルム面に垂直な方向(面直方向)の屈折率のいずれも高くなる。したがって、多層積層フィルムとして異なる熱可塑性樹脂のフィルム面に平行な方向(面内方向)の屈折率差を小さくするためには、A層に用いる熱可塑性樹脂としては芳香族の含有量が少ない配向・結晶性樹脂を用い、B層に用いる非晶性樹脂としては芳香族の含有量の多い非晶性樹脂又は配向・結晶性樹脂よりも融点が20℃以上低い結晶性樹脂を積層することが好ましい。
[0046]
 一方、芳香族の含有量が増加するに従い、ガラス転移温度は大きくなる傾向があるため、上述の樹脂の組み合わせの場合、配向・結晶性樹脂のガラス転移温度は低く、非晶性樹脂又は配向・結晶性樹脂よりも融点が20℃以上低い結晶性樹脂のガラス転移温度は高くなる傾向がある。その場合、樹脂の選択によっては、配向・結晶化を促進するために最適なフィルムの延伸温度では非晶性樹脂又は配向・結晶性樹脂よりも融点が20℃以上低い結晶性樹脂の延伸が難しく、望む反射性能のフィルムが得られない場合がある。そこで、多層積層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度の差が20℃以下とすることで、配向させたい樹脂を十分に配向させRpを30%以上とすることが容易となる。
[0047]
 さらには、配向・結晶性の熱可塑性樹脂と非晶性樹脂又は配向・結晶性樹脂よりも融点が20℃以上低い結晶性樹脂を、配向・結晶化が促進されるフィルム延伸温度で製膜することが容易となるため、フィルム面に垂直な方向の透明性とフィルム面に対して斜め方向での優れた反射性能を両立することが容易となる。より好ましくは、A層とB層のガラス転移温度の差が15℃以上であり、さらに好ましくは5℃以下である。ガラス転移温度の差が小さくなるに従い、フィルム延伸条件の調整が容易となり、光学性能を高めることが容易となる。
[0048]
 本発明のフィルムはB層を構成する熱可塑性樹脂が、数平均分子量200以上のアルキレングリコールに由来する構造を含むことが好ましい。上述のとおり屈折率を高めるためには芳香族を多く含むことが好ましいが、さらにアルキレングリコールに由来する構造を含むことにより屈折率を維持しつつもガラス転移温度を効率的に低下させることが容易となり、結果として前記積層フィルムを構成する各層の面内平均屈折率を高くでき、かつガラス転移温度を低くすることが容易になる。
[0049]
 アルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができる。また、アルキレングリコールの分子量は200以上であることがより好ましく、300以上2000以下であることがさらに好ましい。アルキレングリコールの分子量が200未満の場合には、熱可塑性樹脂を合成する際に、揮発性の高さからアルキレングリコールが十分にポリマー中に取り込まれず、その結果、ガラス転移温度を低下させる効果が十分に得られない場合がある。また、アルキレングリコールの分子量が2000よりも大きい場合には、熱可塑性樹脂を製造する際に反応性が低下してフィルムを製造に適さない場合がある。
[0050]
 また、本発明のフィルムはB層を構成する熱可塑性樹脂が、2種類以上の芳香族ジカルボン酸と2種類以上のアルキルジオールに由来する構造を含んでおり、少なくとも数平均分子量200以上のアルキレングリコールに由来する構造を含むことが好ましい。B層がこのような構造を含むことによって、配向した結晶性樹脂であるA層の面内屈折率に匹敵する高い屈折率を非晶性で実現し、かつ結晶性の熱可塑性樹脂と共延伸可能なガラス転移温度を示す必要がある。単一のジカルボン酸やアルキレンジオールでは、この要件を全て満足することは難しい。そこで、2種類以上の芳香族ジカルボン酸と2種類以上のアルキレンジオールを含むことで、芳香族ジカルボン酸での高屈折率化を、複数のアルキレンジオールで低ガラス転移温度化を、合わせて4種類以上のジカルボン酸とジオールを含むことで、高いレベルでの非晶化を達成できるものである。
[0051]
 本発明のフィルムは、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときの波長400nm~700nmの範囲におけるP波の反射率が30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。可視光領域である400nm~700nmに渡って反射することで、白色光源を用いた際の集光・輝度向上効果が高くなる。また、本発明のフィルムは入射角度が大きくなるにつれて反射波長帯域が低波長側にシフトする性質を持つ。そのため、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときの波長400nm~700nmの範囲におけるP波の反射率が30%以上となることで、入射角度70°以上の入射角度においても光源の発光帯域である450nm~650nmの波長範囲に対して十分な反射率を持つことができる。
[0052]
 また、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときのP波の波長450nm~650nmの平均反射率Rp70と、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときのS波の波長450nm~650nmの平均反射率Rs70の比Rp70/Rs70が1以上であることが好ましく、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上である。70°の角度で入射したときのP波の反射率が高くなることで、本発明のフィルムを用いた際の集光・輝度向上効果が高くなる。また、フィルム面の法線に対して40°の角度で入射したときのP波の波長450nm~650nmの平均反射率Rp40と、フィルム面の法線に対して40°の角度で入射したときのS波の波長450nm~650nmの平均反射率Rs40の比Rp40/Rs40が1以上であることが好ましく、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上である。
[0053]
 望ましい波長範囲における反射率を調整する方法は、A層とB層の面直屈折率差、積層数、層厚み分布、製膜条件(例えば延伸倍率、延伸速度、延伸温度、熱処理温度、熱処理時間)の調整等が挙げられる。A層とB層の構成としては、A層が結晶性の熱可塑性樹脂を用いてなり、B層が非晶性の熱可塑性樹脂を主たる成分とする樹脂を用いてなることが好ましい。ここで非晶性の熱可塑性樹脂を主たる成分とする樹脂とは、非晶性の熱可塑性樹脂の重量分率が70%以上であることをいう。反射率が高くなり積層数が少なく済むことから、A層とB層の面直屈折率差は高い方が好ましく、積層数は101層以上が好ましく、より好ましくは401層以上、さらに好ましくは601層以上であり、積層装置の大型化の観点から上限としては5000層程度である。層厚み分布は隣接するA層とB層の光学厚みが下記(A)式を満たすことが好ましい。
[0054]
[数1]


[0055]
ここでλは反射波長、n はA層の面直屈折率、d はA層の厚み、n はB層の面直屈折率、d はB層の厚みである。
[0056]
 層厚みの分布はフィルム面の一方から反対側の面へ向かって一定の層厚み分布や、フィルム面の一方から反対側の面へ向かって増加または減少する層厚み分布や、フィルム面の一方からフィルム中心へ向かって層厚みが増加した後減少する層厚み分布や、フィルム面の一方からフィルム中心へ向かって層厚みが減少した後増加する層厚み分布等が好ましい。層厚み分布の変化の仕方としては、線形、等比、階差数列といった連続的に変化するものや、10層から50層程度の層がほぼ同じ層厚みを持ち、その層厚みがステップ状に変化するものが好ましい。
[0057]
 多層積層フィルムの両表層に保護層として層厚み3μm以上の層を好ましく設けることができる、保護層の厚みは好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。保護層の厚みが厚くなることで、製膜時のフローマークの抑制、他のフィルムや成形体とのラミネート工程及びラミネート工程後における多層積層フィルム中の薄膜層の変形抑制、耐押圧性などが挙げられる。多層積層フィルムの厚みは、特に限られるものではないが、例えば20μm~300μmであることが好ましい。20μm未満であると、フィルムの腰が弱くハンドリング性が悪くなることがある。また、300μmを超えると、フィルムの腰が強すぎて成形性が悪くなることがある。
[0058]
 本発明のフィルムは、フィルム面の法線に対して0°の角度で入射したときの光の波長450nm~650nmの平均透過率が70%以上であること必要である。より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。フィルム面に垂直に入射する光の透過率が高くなるほど、本発明のフィルムを用いた際の集光効果が高くなるため好ましい。フィルム面に垂直に入射する光の透過率を高くする方法として、A層とB層の面内屈折率差を小さくすることや、フィルム表面にプライマー層、ハードコート層、反射防止層を設けることが好ましい。フィルム表面の樹脂よりも屈折率の低い層を設けることでフィルム面に垂直に入射する光の透過率を高くすることができる。
[0059]
 本発明のフィルムは、フィルムの表面にプライマー層、ハードコート層、耐磨耗性層、傷防止層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、光安定化層(HALS)、熱線吸収層、印刷層、ガスバリア層、粘着層などの機能性層を有していても良い。これらの層は1層でも多層でも良く、また、1つの層に複数の機能を持たせても良い。また、多層積層フィルム中に、紫外線吸収剤、光安定化剤(HALS)、熱線吸収剤、結晶核剤、可塑剤などの添加剤を有していても良い。
[0060]
 本発明のフィルムは、位相差が2000nm以下であることが好ましい。フィルム面に垂直に入射する光の透過率を高めるためには、最終製品として2つの熱可塑性樹脂の間のフィルム面に平行な方向の屈折率差を小さくすることが必要である。フィルムの幅方向と、幅方向に直交する流れ方向とで配向状態に異方性がある際には、いずれか一方の方向の屈折率の差が小さくなるように樹脂を選択した場合、直交する方向の屈折率が大きくなってしまう。その結果、フィルム面に垂直な方向に対する透明性を達成することが難しい場合がある。そこで、配向状態の異方性に関するパラメーターである位相差を2000nm以下とすることにより、フィルム面内における配向状態の異方性を小さくすることができ、フィルム面に垂直に入射する光の透過率が70%以上とすることが容易となる。好ましくは位相差が1000nm以下であり、さらに好ましくは500nm以下である。位相差が小さくなるほどフィルムの幅方向と直交する流れ方向のいずれでも2つの熱可塑性樹脂の間のフィルム面に平行な方向の屈折率差を小さくすることが容易となり、フィルム面に垂直に入射する光の透過率を高めることが可能となる。また、液晶ディスプレイに用いた際の虹ムラを抑制することも可能である。
[0061]
 本発明のフィルムを製造する具体的な態様の例を以下に記すが、本発明のフィルムはかかる例によって限定して解釈されるものではない。本発明のフィルムが前述の多層積層フィルム構成をとる場合、3層以上の積層構造は、次のような方法で作製することができる。A層に対応する押出機AとB層に対応する押出機Bの2台から熱可塑性樹脂が供給され、それぞれの流路からのポリマーが、公知の積層装置であるマルチマニホールドタイプのフィードブロックとスクエアミキサーを用いる方法、もしくは、コームタイプのフィードブロックのみを用いることにより3層以上に積層する。
[0062]
 次いでその溶融体をT型口金等を用いてシート状に溶融押出し、その後、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸多層積層フィルムを得る方法が挙げられる。A層とB層の積層精度を高める方法としては、特開2007-307893号公報、特許第4691910号公報、特許第4816419号公報に記載されている方法が好ましい。また必要であれば、A層に用いる熱可塑性樹脂とB層に用いる熱可塑性樹脂を乾燥することも好ましい。
[0063]
 続いて、この未延伸多層積層フィルムの延伸及び熱処理を施す。延伸方法としては、公知の逐次二軸延伸法、もしくは同時二軸延伸法で二軸延伸されていることが好ましい。延伸温度は未延伸多層積層フィルムのガラス転移点温度以上~ガラス転移点温度+80℃以下の範囲にて行うことが好ましい。延伸倍率は、長手方向、幅方向それぞれ2倍~8倍の範囲が好ましく、より好ましくは3~6倍の範囲であり、長手方向と幅方向の延伸倍率差を小さくすることが好ましい。長手方向の延伸は、縦延伸機ロール間の速度変化を利用して延伸を行うことが好ましい。また、幅方向の延伸は、公知のテンター法を利用する。すなわち、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、フィルム両端のクリップ間隔を拡げることで幅方向に延伸する。また、テンターでの延伸は同時二軸延伸を行うことも好ましい。
[0064]
 同時二軸延伸を行なう場合について説明する。冷却ロール上にキャストされた未延伸フィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。長手方向の延伸は、テンターのクリップ間の距離を拡げることで、また、幅方向はクリップが走行するレールの間隔を拡げることで達成される。本発明における延伸・熱処理を施すテンタークリップは、リニアモータ方式で駆動することが好ましい。その他、パンタグラフ方式、スクリュー方式などがあるが、中でもリニアモータ方式は、個々のクリップの自由度が高いため延伸倍率を自由に変更できる点で優れている。
[0065]
 延伸後に熱処理を行うことも好ましい。熱処理温度は、延伸温度以上~A層の熱可塑性樹脂の融点-10℃以下の範囲にて行うことが好ましく、熱処理後に熱処理温度-30℃以下の範囲にて冷却工程を経ることも好ましい。また、フィルムの熱収縮率を小さくするために、熱処理工程中又は冷却工程中にフィルムを幅方向又は及び又は、長手方向に縮める(リラックス)ことも好ましい。リラックスの割合としては1%~10%の範囲が好ましく、より好ましくは1~5%の範囲である。最後に巻取り機にてフィルムを巻き取ることによって本発明のフィルムが製造される。
実施例
[0066]
 以下、本発明のフィルムを具体的な実施例をあげて説明する。なお、以下に具体的に例示した熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂を用いた場合でも下記実施例を含めた本明細書の記載を参酌すれば、同様にして本発明のフィルムを得ることができる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
 物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
[0067]
 (1)主配向軸方向
 サンプルサイズを10cm×10cmとし、フィルム幅方向中央において、サンプルを切り出した。KSシステムズ(株)製(現王子計測機器(株))の分子配向計MOA-2001を用いて、主配向軸方向を求めた。
[0068]
 (2)波長450nm~650nmの平均透過率
 日立製作所(株)製 分光光度計(U-4100 Spectrophotomater)の標準構成(固体測定システム)にて、入射角度φ=0°における波長450~1600nmの透過率を1nm刻みで測定し、450nm~650nmの平均透過率と波長800nm~1600nmの最小透過率を求めた。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分とした。
[0069]
 (3)波長800nm~1600nmの最大平行光線透過率
 日立製作所(株)製 分光光度計(U-4100 Spectrophotomater)に付属の角度可変反射ユニットとグランテーラ偏光子を取り付け、入射角度φ=0°における波長800nm~1600nmの範囲において1nm刻みで透過率を測定し、その最大値を求めた。この測定におけるサンプルに対する光の入射面は、両方の面(便宜上、両方の面をそれぞれA面、B面と呼ぶ)それぞれで行った。サンプルと積分球入口との距離は14cmであった。
[0070]
 (4)反射率
 日立製作所(株)製 分光光度計(U-4100 Spectrophotomater)に付属の角度可変反射ユニットとグランテーラ偏光子を取り付け、入射角度φ=20°、40°、70°における波長400~700nmの範囲において1nm刻みでP波とS波それぞれの反射率を測定した。得られた反射率から入射角度20°、40°、70°における波長450nm~650nmの範囲におけるP波の平均反射率としてRp20、Rp40、Rp70を求め、S波の平均反射率としてRs20、Rs40、Rs70を求め、さらに、Rp40/Rs40、Rp70/Rs70を算出した。また、20°、40°、70°の傾斜方向はフィルムの主配向軸に沿う方向とした。
[0071]
 (5)ガラス転移点温度、融点
 樹脂ペレットを電子天秤で5mg計量し、アルミパッキンで挟み込みセイコーインスツルメント社(株)ロボットDSC-RDC220示差走査熱量計を用いて、JIS-K-7122(1987年)に従い、25℃から300℃まで20℃/分で昇温して測定を行った。データ解析は同社製ディスクセッションSSC/5200を用いた。得られたDSCデータからガラス転移点温度(Tg)、融点(Tm)を求めた。
[0072]
 (6)屈折率
 70℃48時間、真空乾燥した樹脂ペレットを280℃で溶融後、プレス機を用いてプレスし、その後急冷することで、厚み500μmのシートを作成した。作成したシートをアタゴ社製 アッベ屈折率計(NAR-4T)とNaD線ランプを用いて屈折率を測定した。
[0073]
 (7)IV(固有粘度)の測定方法
 溶媒としてオルトクロロフェノールを用いて、温度100℃で20分溶解した後、温度25℃でオストワルド粘度計を用いて測定した溶液粘度から算出した。
[0074]
 (8)位相差
 王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA-21ADH)を用いた。3.5cm×3.5cmで切り出したフィルムサンプルを装置に設置し、入射角0°における波長590nmのレタデーションを測定した。
[0075]
 (9)光源の発光帯域の測定
 浜松フォトニクス製ミニ分光光度器(C10083MMD)にNA0.22の光ファイ
バーを取り付け、光源の光を計測した。得られた発光スペクトルの350nm~800nmの波長範囲について、最大強度を示す波長を光源の発光ピーク波長とし、光源の発光ピーク波長での発光強度の5%以上の強度を示す最も低波長の波長と最も長波長の波長の波長範囲を光源の発光帯域とした。
[0076]
 (10)輝度の測定
 光源ユニットには以下の2つのバックライトを用いた。
バックライト1:32インチ白色LEDエッジ型バックライト、光源の発光帯域425nm~652nm
バックライト2:43インチ白色LED直下型バックライト、光源の発光帯域418nm~658nm
 輝度の測定はトプコン製BM-7と角度可変ユニットを用いて受光角度+70°、-70°、0°の輝度を測定し、70°の輝度は+70°と-70°の平均値とした。受光角度70°に傾斜させる方位角はバックライトの長手方向とし本発明のフィルム面の法線に対して0°、70°の角度で入射する光の輝度La(0°)、La(70°)と、本発明のフィルム面の法線に対して0°、70°の角度で出射される光の輝度をLb(0°)、Lb(70°)から式(1)、式(2)を算出した。さらに、バックライトの長手方向の方位角を0°とし、右回りに45°、90°、135°それぞれの方位角で70°に傾斜させて測定した輝度Lb(70°)/La(70°)の最大値と最小値の差を算出した。
[0077]
 (フィルムに用いた樹脂)
 樹脂A:IV=0.67のポリエチレンテレフタレートの共重合体(イソフタル酸成分を酸成分全体に対して10mol%共重合したポリエチレンテレフタレート)、屈折率1.57、Tg75℃、Tm230℃
 樹脂B:IV=0.65のポリエチレンテレフタレート、屈折率1.58、Tg78℃、Tm254℃
 樹脂C:IV=0.67のポリエチレンテレフタレートの共重合体(2,6-ナフタレンジカルボン酸成分を酸成分全体に対して60mol%共重合したポリエチレンテレフタレート)に数平均分子量2000である、テレフタル酸、ブチレン基、エチルヘキシル基を有する芳香族エステルを樹脂全体に対して10重量%ブレンドしたポリエステル。屈折率1.62、Tg90℃
 樹脂D:IV=0.64のポリエチレンナフタレートの共重合体(2,6-ナフタレンジカルボン酸成分を酸成分全体に対して80mol%、イソフタル酸成分を酸成分全体に対して20mol%、分子量400のポリエチレングリコールをジオール成分全体に対して5mol%共重合したポリエチレンナフタレート)Tg85℃、Tm215℃
 樹脂E:IV=0.73のポリエチレンテレフタレートの共重合体(シクロヘキサンジメタノール成分をジオール成分全体に対して33mol%共重合したポリエチレンテレフタレート)、屈折率1.57、Tg80℃。
[0078]
 (実施例1)
 A層を構成する熱可塑性樹脂として樹脂Aを、B層を構成する熱可塑性樹脂として樹脂Cを用いた。樹脂Aおよび樹脂Cを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂A/樹脂C=1.3になるように計量しながら、特開2007-307893号公報に記載されている方法で積層を行い、入射角70°でのP波の反射波長が400nm~600nmの範囲になるように設計した493層フィードブロック(A層が247層、B層が246層)にて交互に合流させた。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸フィルムを、95℃、延伸倍率3.6倍で縦延伸を行い、フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、そのフィルム両面の処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布した。その後、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、3.7倍横延伸した後、210℃で熱処理及び5%の幅方向リラックスを実施し、100℃で冷却した後、厚み60μmの多層積層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
[0079]
 (実施例2)
 A層を構成する熱可塑性樹脂として樹脂Aを、B層を構成する熱可塑性樹脂として樹脂Cを用いた。樹脂Aおよび樹脂Cを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂A/樹脂C=1.5になるように計量しながら、特開2007-307893号公報に記載されている方法で積層を行い、入射角70°でのP波の反射波長が400nm~1000nmの範囲になるように設計した801層フィードブロック(A層が401層、B層が400層)にて交互に合流させた。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸フィルムを、95℃、延伸倍率3.6倍で縦延伸を行い、フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、そのフィルム両面の処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布した。その後、両端部をクリップで把持するテンターに導き110℃、3.7倍横延伸した後、210℃で熱処理及び5%の幅方向リラックスを実施し、100℃で冷却した後、厚み110μmの多層積層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
[0080]
 (実施例3)
 A層を構成する熱可塑性樹脂として樹脂Bを、B層を構成する熱可塑性樹脂として樹脂Dを用いた。樹脂Bおよび樹脂Dを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂B/樹脂D=1.3になるように計量しながら、特開2007-307893号公報に記載されている方法で積層を行い、入射角70°でのP波の反射波長が400nm~600nmの範囲になるように設計した493層フィードブロック(A層が247層、B層が246層)にて交互に合流させた。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸フィルムを、90℃、延伸倍率3.3倍で縦延伸を行い、フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、そのフィルム両面の処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布した。その後、両端部をクリップで把持するテンターに導き100℃、3.5倍横延伸した後、210℃で熱処理及び5%の幅方向リラックスを実施し、100℃で冷却した後、厚み60μmの多層積層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
[0081]
 (実施例4)
 A層を構成する熱可塑性樹脂として樹脂Bを、B層を構成する熱可塑性樹脂として樹脂Dを用いた。樹脂Bおよび樹脂Dを、それぞれ、押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比(積層比)が樹脂B/樹脂D=1.5になるように計量しながら、特開2007-307893号公報に記載されている方法で積層を行い、入射角70°でのP波の反射波長が400nm~1000nmの範囲になるように設計した801層フィードブロック(A層が401層、B層が400層)にて交互に合流させた。次いで、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸多層積層フィルムを得た。この未延伸フィルムを、90℃、延伸倍率3.3倍で縦延伸を行い、フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、そのフィルム両面の処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布した。その後、両端部をクリップで把持するテンターに導き100℃、3.5倍横延伸した後、210℃で熱処理及び5%の幅方向リラックスを実施し、100℃で冷却した後、厚み110μmの多層積層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
[0082]
 (実施例5)
 実施例4で作成した多層積層フィルム2枚について、厚み25μmのアクリル系光学粘着剤を用いてラミネーターで貼り合わせた。作成したフィルムの物性を表1に示す。
[0083]
 (比較例1)
 熱可塑性樹脂として樹脂Bを用いた。押出機にて280℃で溶融させ、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、Tダイに供給し、シート状に成形した後、ワイヤーで8kVの静電印可電圧をかけながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、90℃、延伸倍率3.3倍で縦延伸を行い、フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、そのフィルム両面の処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布した。その後、両端部をクリップで把持するテンターに導き100℃、3.5倍横延伸した後、210℃で熱処理及び5%の幅方向リラックスを実施し、100℃で冷却した後、厚み50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
[0084]
 (比較例2)
 B層を構成する熱可塑性樹脂として樹脂Eを用いたこと以外は、実施例4と同様の方法にて厚み110μmの多層積層フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
[0085]
 (比較例3)100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に頂角90°ピッチ50μmのプリズム層を形成したプリズムシートについて、ポリエチレンテレフタレートフィルム面側(A面)と、プリズム層面側(B面)それぞれの面から波長800nm~1600nmの最大平行光線透過率を測定した。A面、B面どちらからの面から入射しても最大透過率は0%であり、このプリズムシートを赤外線センサーを備える表示装置に用いた場合、赤外線センサーの検知精度を著しく低下させることになる。
[0086]
 (光源ユニットの輝度評価)
 (実施例6~8、比較例4~6)
 32インチの白色LEDエッジ型バックライト(バックライト1)を用いて輝度を測定した。従来のエッジ型バックライト(導光板の側面に光源を設置)の構成である(1)白色反射フィルム/導光板、(2)白色反射フィルム/導光板/拡散シート、(3)白色反射フィルム/導光板/拡散シート/プリズムシートの各構成に対して、実施例1、実施例4、実施例5、比較例1、比較例2のフィルムをそれぞれ表2に記載した位置に配した際の光源ユニット全体の正面輝度とフィルムに入射する輝度とフィルムから出射される輝度を測定した。表2にバックライト構成、フィルムを配した位置と測定した正面輝度を示す(なお、表中、正面相対輝度とは、フィルム無しの従来構成の輝度を100%としたときの正面輝度を表す)。表2に示す通り、本発明のフィルムを用いた光源ユニットは、従来のバックライト構成や従来のフィルムを用いた構成に対して正面輝度が向上していることが分かる。
[0087]
 (実施例9、比較例7)
 43インチの白色LED直下型バックライト(バックライト2)を用いて輝度を測定した。光源が従来の直下型バックライト(基板上に光源を設置し、光源位置をくり抜いた白色反射フィルムを基板上に設置)の構成である(1)白色反射フィルム/拡散板の構成に対して、実施例1、実施例4、実施例5、比較例1、比較例2のフィルムをそれぞれ表3に記載した位置に配した際の光源ユニット全体の正面輝度とフィルムに入射する輝度とフィルムから出射される輝度を測定した。表3にバックライト構成、フィルムを配した位置と測定した正面輝度を示す(なお、表中、正面相対輝度とは、フィルム無しの従来構成の輝度を100%としたときの正面輝度を表す)。
[0088]
[表1]


[0089]
[表2]


産業上の利用可能性

[0090]
 本発明は、従来よりもさらに正面輝度を向上させた光源ユニット、表示装置及びフィルムに関するものである。

符号の説明

[0091]
1:S波反射率
2:P波反射率
3:導光板
4:導光板の出射面
5:導光板の出射面の反対側
6a:導光板内部を斜め方向に反射しながら面上に拡がっている光
6b:導光板の出射面で反射された光
6c:導光板の外側に出射された光
6d:導光板の出射面の反対側で反射された光の正反射光成分
7a:導光板内部を斜め方向に反射しながら面上に拡がっている光
7b:導光板の出射面で反射された光
7d:導光板の出射面の反対側で反射された光の正反射光成分
8:導光板の出射面の反対側で反射された光の拡散反射成分のうち正面方向の光
9:導光板の出射面の反対側で反射された光の拡散反射成分のうち正面方向の光
10b:本発明のフィルムによって反射された光
10d:導光板の出射面の反対側で反射された光の正反射光成分
11:導光板の出射面の反対側で反射された光の拡散反射成分のうち正面方向の光
12:本発明のフィルム
13:光源ユニット

請求の範囲

[請求項1]
光源とフィルムを有する光源ユニットであって、
前記光源が波長450nm~650nmに発光帯域を備えており、
前記フィルムが、前記光源から前記フィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光の波長450nm~650nmの平均透過率が70%以上であり、
前記光源から前記フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射する光のそれぞれのP波の波長450nm~650nmの平均反射率(%)をRp20、Rp40、Rp70とした場合にRp20≦Rp40<Rp70の関係を満足し、かつRp70が30%以上であり、
前記光源から前記フィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光の輝度をLa(0°)、前記フィルム面の法線に対して70°の角度で入射する光の輝度をLa(70°)、前記光源から前記フィルムに入射された後に前記フィルム面の法線に対して0°の角度で前記フィルムから出射される光の輝度をLb(0°)、前記フィルム面の法線に対して70°の角度で前記フィルムから出射される光の輝度をLb(70°)とした場合に以下の式(1)、(2)の関係を満足する光源ユニット。
Lb(0°)/La(0°)≧0.8 ・・・(1)
Lb(70°)/La(70°)<1.0 ・・・(2)
[請求項2]
前記Lb(70°)/La(70°)の方位角ばらつきが0.3以下である請求項1に記載の光源ユニット。
[請求項3]
前記フィルムが、前記フィルム面の法線に対して0°の角度で入射する光の波長800nm~1600nmの最大平行光線透過率が50%以上である請求項1または2に記載の光源ユニット。
[請求項4]
導光板を有し、導光板の出射面側に前記フィルムを配してなる請求項1~3のいずれかに記載の光源ユニット。
[請求項5]
複数の光源が設置された基板とその基板の出射面側に前記フィルムを配してなる請求項1~4のいずれかに記載の光源ユニット。
[請求項6]
請求項1~5のいずれかに記載の光源ユニットを用いた表示装置。
[請求項7]
請求項1~5のいずれかに記載の光源ユニットを用いた表示装置であって、拡散シート/プリズムシート/偏光反射フィルムをその順に配してなる構成を有し、前記フィルムを拡散シートと偏光反射フィルムの間に配してなる表示装置。
[請求項8]
反射フィルム/導光板/拡散シート/プリズムシート/偏光反射フィルムをその順に配してなる構成を有する請求項7に記載の表示装置。
[請求項9]
反射フィルム/光源/拡散シート/プリズムシート/偏光反射フィルムをその順に配してなる構成を有する請求項7に記載の表示装置。
[請求項10]
赤外線センサーを備える請求項6~9のいずれかに記載の表示装置。
[請求項11]
視野角制御層を備える請求項6~9のいずれかに記載の表示装置。
[請求項12]
表示装置に用いられるフィルムであって、フィルム面の法線に対して0°の角度で入射したときの光の波長450nm~650nmの平均透過率が70%以上であり、フィルム面の法線に対して20°、40°、70°の角度で入射したときのそれぞれのP波の波長450nm~650nmの平均反射率(%)をRp20、Rp40、Rp70とした場合にRp20≦Rp40<Rp70の関係を満足し、かつRp70が30%以上であるフィルム。
[請求項13]
フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときの波長400nm~700nmの範囲におけるP波の平均反射率が30%以上である請求項12に記載のフィルム。
[請求項14]
フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときのP波の波長450nm~650nmの平均反射率Rp70と、フィルム面の法線に対して70°の角度で入射したときのS波の波長450nm~650nmの平均反射率Rs70の比Rp70/Rs70が1以上である請求項12または13に記載のフィルム。
[請求項15]
フィルム面の法線に対して40°の角度で入射したときのP波の波長450nm~650nmの平均反射率Rp40とフィルム面の法線に対して40°の角度で入射したときのS波の波長450nm~650nmの平均反射率Rs40の比Rp40/Rs40が1以上である請求項12~14のいずれかに記載のフィルム。
[請求項16]
位相差が2000nm以下である請求項12~15のいずれかに記載のフィルム。
[請求項17]
異なる複数の熱可塑性樹脂を含む層が交互に積層されている請求項12~16のいずれかに記載のフィルム。
[請求項18]
一方の層(A層)を構成する熱可塑性樹脂が結晶性ポリエステルを含み、もう一方の層(B層)を構成する熱可塑性樹脂が非晶性ポリエステル又はA層を構成するポリエステルよりも融点が20℃以上低い結晶性ポリエステルであり、かつA層とB層の面内屈折率の差が0.04以下、ガラス転移温度の差が20℃以下である請求項17に記載のフィルム。
[請求項19]
B層を構成する熱可塑性樹脂が、数平均分子量200以上のアルキレングリコールに由来する構造を含んでなる請求項18に記載のフィルム。
[請求項20]
B層を構成する熱可塑性樹脂が、2種類以上の芳香族ジカルボン酸と2種類以上のアルキルジオールに由来する構造を含んでおり、かつ、少なくとも数平均分子量200以上のアルキレングリコールに由来する構造を含んでいる請求項18または19に記載のフィルム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]