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1. WO2020121859 - 光検出装置

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明 細 書

発明の名称 光検出装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128  

符号の説明

0129  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 光検出装置

技術分野

[0001]
 本発明は、光検出装置に関する。

背景技術

[0002]
 温度に対して安定した光検出を行うために、アバランシェフォトダイオードに印加するバイアス電圧を制御する構成が知られている(たとえば、特許文献1)。特許文献1では、温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧に応じた電圧を、アバランシェフォトダイオードにバイアス電圧として印加する。以下、本明細書では、「アバランシェフォトダイオード」を「APD」と称する。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開平07-27607号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 光検出装置では、APDにおいて温度に対して安定して所望のゲインを得ることが求められている。しかし、APDのゲインは、APDに印加するバイアス電圧の変化に応じて変化する。一定のバイアス電圧がAPDに印加されていたとしても、環境温度が変化すればAPDのゲインは変化する。したがって、APDのゲインを一定にするには、環境温度に応じてAPDに印加するバイアス電圧を変化させることを要する。
[0005]
 APDのブレークダウン電圧とAPDに印加するバイアス電圧との差分電圧が一定に制御された場合、環境温度が変化してもAPDのゲインの変化は少ない。そこで、温度に対して安定した光検出を行うために、温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧に応じた電圧をAPDにバイアス電圧として印加する構成が考えられる。この構成では、環境温度の変化に応じて、APDのブレークダウン電圧と共に温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧も変化する。したがって、APDのブレークダウン電圧とAPDに印加するバイアス電圧との差分電圧が一定に制御され得る。
[0006]
 しかしながら、上記構成において、温度補償用ダイオードの付近の温度が局所的に高くなると、APDのブレークダウン電圧よりも温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧の方が大きく変化する。この場合、APDに印加されるバイアス電圧は温度補償用ダイオードに印加するブレークダウン電圧に応じた電圧であるため、かえってAPDのゲインの温度に対する安定性が損なわれるおそれがある。仮に、温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧がAPDのブレークダウン電圧よりも高くなれば、APDがブレークダウン状態となる。この場合、光検出装置が破損するおそれがある。
[0007]
 本発明の一つの態様は、局所的な温度変化に対する耐性が向上された光検出装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明の一つの態様に係る光検出装置は、光検出部を備える。光検出部は、少なくとも1つのAPDと、複数の温度補償用ダイオードと、少なくとも1つのAPDと複数の温度補償用ダイオードとを電気的に並列に接続する端子とを有する。複数の温度補償用ダイオードは、少なくとも1つのAPDのゲインの温度補償を行う。光検出部は、光検出領域と、第一及び第二温度検出領域とを有する。光検出領域には、少なくとも1つのAPDが設けられる。第一及び第二温度検出領域は、光検出領域の周囲に位置する。第一温度検出領域には、複数の温度補償用ダイオードのうち少なくとも1つが設けられている。第二温度検出領域には、複数の温度補償用ダイオードのうち上記少なくとも1つの残りが設けられている。光検出領域は、第一温度検出領域と第二温度検出領域とに挟まれている。
[0009]
 上記一つの態様では、端子に対してAPDと複数の温度補償用ダイオードとが電気的に並列に接続されている。この構成において、複数の温度補償用ダイオードのいずれか一つがブレークダウン状態とされると、ブレークダウン状態となった温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧に応じた電圧がAPDにバイアス電圧として印加される。複数の温度補償用オードが設けられている第一温度検出領域と第二温度検出領域とは、光検出領域を挟んで位置している。このため、第一温度検出領域の付近において温度が局所的に高くなったとしても、第二温度検出領域に設けられた温度補償用ダイオードが正常に動作し得る。すなわち、当該光検出装置は、局所的な温度変化に対する耐性が向上されている。
[0010]
 上記一つの態様では、複数の温度補償用ダイオードは、互いに同一のブレークダウン電圧を有する第一及び第二温度補償用ダイオードを含んでもよい。第一温度補償用ダイオードは、第一温度検出領域に設けられてもよい。第二温度補償用ダイオードは、第二温度検出領域に設けられてもよい。この場合、第一温度検出領域の付近において温度が局所的に高く第一温度補償用ダイオードが正常に機能しなくとも、第二温度検出領域に設けられた第二温度補償用ダイオードが正常に動作し得る。したがって、局所的に温度が変化しても、APDに安定したバイアス電圧が印加され得る。このため、APDにおいて所望のゲインが安定して得られる。
[0011]
 上記一つの態様では、複数の温度補償用ダイオードは、第一及び第二温度補償用ダイオードと異なるブレークダウン電圧を有する第三及び第四温度補償用ダイオードを含んでもよい。第三及び第四温度補償用ダイオードは、互いに同一のブレークダウン電圧を有してもよい。第三温度補償用ダイオードは、第一温度検出領域に設けられてもよい。第四温度補償用ダイオードは、第二温度検出領域に設けられてもよい。この場合、第三及び第四温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧と第一及び第二温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧との間で、APDにバイアス電圧として印加する電圧を切り替えることができる。このため、APDにおいて、第一温度検出領域の付近において温度が局所的に高く第一又は第三温度補償用ダイオードが正常に機能しなくとも、第二温度検出領域に設けられた第二又は第四温度補償用ダイオードが正常に動作し得る。したがって、局所的に温度が変化しても、APDに安定した所望のバイアス電圧が印加され得る。このため、APDにおいて状況に応じた所望のゲインが安定して得られる。
[0012]
 上記一つの態様では、光検出部は、少なくとも1つのAPDとして、複数のAPDを有してもよい。光検出領域には、複数のAPDが設けられていてもよい。この場合、APDが設けられている光検出領域の周囲において温度差が生じやすい。当該光検出装置では、第一温度検出領域と第二温度検出領域とは、光検出領域を挟んで位置しているため、局所的な温度変化に対する耐性が向上されている。

発明の効果

[0013]
 本発明の一つの態様は、局所的な温度変化に対する耐性が向上された光検出装置を提供できる。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 図1は、本実施形態に係る光検出装置のブロック図である。
[図2] 図2は、光検出装置の概略構成図である。
[図3] 図3は、光検出部の概略断面図である。
[図4] 図4は、半導体基板の概略平面図である。
[図5] 図5は、APDに印加するバイアス電圧と当該バイアス電圧が印加されたAPDのゲインとの関係を示すデータのグラフである。
[図6] 図6は、回帰直線の傾き及び切片の温度依存性を示すグラフである。
[図7] 図7は、半導体基板の製造方法を示すフローチャートである。
[図8] 図8は、本実施形態の変形例における半導体基板の概略平面図である。
[図9] 図9は、本実施形態の変形例における半導体基板の概略平面図である。
[図10] 図10は、本実施形態の変形例における半導体基板の概略平面図である。
[図11] 図11は、本実施形態の変形例における半導体基板の概略平面図である。
[図12] 図12は、本実施形態の変形例における半導体基板の概略平面図である。

発明を実施するための形態

[0015]
 以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有している要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[0016]
 まず、図1を参照して、本実施形態に係る光検出装置の概要を説明する。図1は、光検出装置のブロック図である。光検出装置1は、図1に示されているように、検出動作部2と回路部3と電源部4とを備えている。
[0017]
 検出動作部2は、受光部10と、温度補償部15とを有している。受光部10は、少なくとも1つのAPDを有している。本実施形態では、受光部10のAPDは、リニアモードで動作するアバランシェフォトダイオードである。温度補償部15は、受光部10のAPDにおけるゲインの温度補償を行う。温度補償部15は、受光部10のAPDに印加するバイアス電圧を制御する。温度補償部15は、APDのゲインの温度補償を行う複数の温度補償用ダイオードを有している。
[0018]
 回路部3は、検出動作部2の受光部10及び温度補償部15に電圧を印加する。回路部3は、受光部10のAPD及び温度補償部15の温度補償用ダイオードの各電極に電気的に接続されている。本実施形態では、回路部3は、温度補償部15に含まれる温度補償用ダイオードがブレークダウン状態となる電圧を受光部10のAPDに印加する。
[0019]
 電源部4は、検出動作部2を動作させる起電力を発生する。電源部4は、回路部3を介して、検出動作部2における受光部10のAPD及び温度補償部15の温度補償用ダイオードに電位を印加する。電源部4は、温度補償部15に含まれる温度補償用ダイオードをブレークダウン状態とする。
[0020]
 温度補償部15の温度補償用ダイオードのいずれか一つにブレークダウン電圧が印加されることで、当該ブレークダウン電圧に応じた電圧が受光部10のAPDにバイアス電圧として印加される。これらの温度補償用ダイオードとAPDとは、ゲインとバイアス電圧との関係について同等の温度特性を有している。この場合、環境温度が変化すると、温度補償用ダイオードに印加されるブレークダウン電圧が変化する。温度補償用ダイオードに印加されるブレークダウン電圧の当該変化によって、上記APDに印加されるバイアス電圧も上記APDのゲインが維持されるように環境温度に応じて変化する。すなわち、温度補償部15によって、受光部10のAPDにおけるゲインの温度補償が行われる。
[0021]
 次に、図2を参照して、光検出装置1の物理的な構成の一例についてより詳細に説明する。光検出装置1は、光検出部20と、起電力発生部31と、電流制限部32と、バイアス電圧安定化部33と、設定部40と、を備えている。図2は、光検出装置の概略構成図である。光検出部20は、上述した受光部10と温度補償部15とを有している。起電力発生部31は、光検出部20を動作させる起電力を発生する。電流制限部32は、光検出部20に流れる電流を制限する。バイアス電圧安定化部33は、電流制限部32により制限される上限値以上の電流出力を可能とする。設定部40は、光検出部20の動作を制御する。光検出部20の一部は、検出動作部2に含まれる。光検出部20の一部とバイアス電圧安定化部33と設定部40とは、回路部3に含まれる。起電力発生部31と電流制限部32とは、電源部4に含まれる。
[0022]
 光検出部20は、図2に示されているように、受光部10及び温度補償部15に加えて、温度補償部15と受光部10とを電気的に接続する配線部21と、複数の端子22,23,24,25と、を有している。たとえば、端子22が第一端子であり、複数の端子25が複数の第二端子である。本明細書において、「電気的に接続する」及び「電気的に接続される」は、スイッチ等によって一時的に経路が切断される構成も含む。受光部10及び温度補償部15は、検出動作部2に含まれる。配線部21及び複数の端子22,23,24,25は、回路部3に含まれる。
[0023]
 温度補償部15の複数の温度補償用ダイオードは、同一の環境温度において、ブレークダウン状態となる電圧の違いによって分けられる複数のグループからなる。本実施形態では、温度補償部15の複数の温度補償用ダイオードは、2つのグループ16,17からなる。各グループ16、17には、少なくとも1つの温度補償用ダイオードが含まれる。同一グループの温度補償用ダイオードは、同一の環境温度において、同一の電圧でブレークダウン状態となる。「同一の電圧」とは、同一の電圧でブレークダウン状態となることを意図して作製されていることを意味する。このため、上記意図を前提とした製造誤差の範囲も含まれる。以下、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bがブレークダウン状態となる際に当該温度補償用ダイオードに印加される電圧、及び、APD11がブレークダウン状態となる際に当該APDに印加される電圧を「ブレークダウン電圧」という。以降の説明において、ブレークダウン電圧を比較する場合は、同一の環境温度におけるブレークダウン電圧を比較したものとする。
[0024]
 本実施形態では、図2に示されているように、温度補償部15は、複数の温度補償用ダイオードとして、4つの温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bを含む。温度補償用ダイオード16a,16bは、グループ16に含まれており、温度補償用ダイオード17a,17bは、グループ17に含まれている。本実施形態では、図2に示されているように、受光部10は、複数のAPD11を含む。複数のAPD11及び複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bは、検出動作部2に含まれる。たとえば、温度補償用ダイオード16aは第一温度補償用ダイオードであり、温度補償用ダイオード16bは第二温度補償用ダイオードである。たとえば、温度補償用ダイオード17aは第三温度補償用ダイオードであり、温度補償用ダイオード17bは第四温度補償用ダイオードである。
[0025]
 複数のAPD11は、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。温度補償用ダイオード16a,16bは、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。温度補償用ダイオード17a,17bは、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。グループ16の温度補償用ダイオード16a,16bとグループ17の温度補償用ダイオード17a,17bとは、互いに異なるブレークダウン電圧を有している。温度補償用ダイオード16a及び温度補償用ダイオード16bは、温度補償用ダイオード17a及び温度補償用ダイオード17bよりも高い電圧でブレークダウン電圧を有している。各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧は、複数のAPD11のいずれのブレークダウン電圧よりも低い。
[0026]
 各APD11は、一対の電極19a,19bを有している。各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bは、一対の電極29a,29bを有している。複数のAPD11の電極19aは、互いに接続されている。複数のAPD11の電極19bは、互いに接続されている。複数のAPD11の電極19bと複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの電極29aとは、互いに接続されている。
[0027]
 温度補償用ダイオード16aの電極29bと温度補償用ダイオード16bの電極29bとは、互いに接続されている。温度補償用ダイオード17aの電極29bと温度補償用ダイオード17bの電極29bとは、互いに接続されている。すなわち、同一のグループに含まれる温度補償用ダイオードの電極29bは、互いに接続されている。
[0028]
 配線部21は、端子22及び端子23の双方に対して、各APD11の電極19aと各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの電極29aとを並列に接続する。配線部21は、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧に応じた電圧を各APD11にバイアス電圧として印加する。
[0029]
 端子22は、各APD11の電極19aと各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの電極29aと電源部4の電流制限部32とに電気的に接続される。すなわち、端子22は、各APD11の電極19aと各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの電極29aとを電気的に並列に接続する。端子23は、各APD11の電極19aと各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの電極29aとバイアス電圧安定化部33とに電気的に接続される。端子24は、各APD11の電極19bと不図示の信号読出回路とに電気的に接続される。複数の端子25は、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの電極29bと設定部40とに電気的に接続される。各端子25は、互いに異なる温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの電極29bに接続される。本実施形態では、電極19aはAPD11のアノードであり、電極19bはAPD11のカソードである。電極29aは各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのアノードであり、電極29bは各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのカソードである。
[0030]
 起電力発生部31及び電流制限部32は、電源部4として、光検出部20に対して電圧を印加する。起電力発生部31と電流制限部32とは、端子22に電気的に接続される。本実施形態では、起電力発生部31の正極がグラウンド36に接続され、起電力発生部31の負極が電流制限部32を介して端子22に接続されている。
[0031]
 バイアス電圧安定化部33は、APD11から出力される検出信号の上限値を増加させる。バイアス電圧安定化部33は、光検出部20及び起電力発生部31に対して電流制限部32と並列に接続されている。バイアス電圧安定化部33は、たとえば、コンデンサである。本実施形態では、コンデンサの一方の電極が起電力発生部31の負極に接続され、他方の電極が端子23に接続されている。光の入射によってAPD11から出力されたパルス信号を検出する場合には、電流制限部32によって制限される電流値以上の強度の出力が当該コンデンサの容量に応じて得られる。
[0032]
 設定部40は、APD11に設定するゲインに応じて、温度補償部15を設定する。設定部40は、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのグループ16,17のうち動作させるグループを選択する。換言すれば、設定部40は、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのグループ16,17からバイアス電圧の制御に用いる温度補償用ダイオードのグループを設定する。設定部40は、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの通電状態を制御することで、動作させる温度補償用ダイオードを設定する。
[0033]
 設定部40は、少なくとも1つのスイッチ41を有している。少なくとも1つのスイッチ41は、対応する端子25に接続されている。本実施形態では、設定部40は、2つのスイッチ41を有している。一方のスイッチ41は、対応する端子25を通して、グループ16の温度補償用ダイオード16a,16bに電気的に接続されている。他方のスイッチ41は、対応する端子25を通して、グループ17の温度補償用ダイオード17a,17bに電気的に接続されている。スイッチ41は、対応する温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bが通電可能な状態と通電不可能な状態とを切り替える。設定部40は、スイッチ41のオンオフを制御する。本実施形態の変形例として、設定部40は、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのそれぞれに対応する4つのスイッチ41を有していてもよい。
[0034]
 本実施形態では、光検出部20は、2つの端子25を有している。グループ16の温度補償用ダイオード16a,16bは、同一の1つの端子25に接続されている。グループ17の温度補償用ダイオード17a,17bは、同一の1つの端子25に接続されている。温度補償用ダイオード16a,16bに接続された端子25は、スイッチ41を介してグラウンド47に接続されている。温度補償用ダイオード17a,17bに接続された端子25は、スイッチ41を介してグラウンド48に接続されている。本実施形態の変形例として、温度補償用ダイオード16a,16bに接続された端子25は、直接、グラウンドに接続されていてもよい。
[0035]
 次に、図3を参照して、光検出装置1における光検出部20の構造について詳細に説明する。図3は、光検出部の概略断面図である。図3では、受光部10として、1つのAPD11のみが示されている。図3では、温度補償部15として、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのうち1つのみが示されている。本実施形態では、光検出部20は、図3に示されているように、半導体基板50を備える光学部材である。半導体基板50は、互いに対向する主面50a,50bを有している。APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bは、主面50aに直交する方向から見て、互いに離間して半導体基板50に形成されている。APD11は、主面50a側に光入射面51aを有している。温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bは、遮光されたAPDである。
[0036]
 半導体基板50は、半導体領域51及び半導体層52,53,54,55を含む。APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bは、それぞれ、半導体領域51及び半導体層52,53,55を含む。
[0037]
 半導体領域51及び半導体層53,54,55は第一導電型であり、半導体層52は第二導電型である。半導体の不純物は、たとえば拡散法又はイオン注入法によって添加される。本実施形態では、第一導電型はP型であり、第二導電型はN型である。半導体基板50がSiをベースとする場合、P型不純物としてはBなどの13族元素が用いられ、N型不純物としてはN、P又はAsなどの15族元素が用いられる。
[0038]
 半導体領域51は、半導体基板50の主面50a側に位置している。半導体領域51は、主面50aの一部を構成している。半導体領域51は、たとえばP 型である。
[0039]
 半導体層52は、主面50aの一部を構成している。半導体層52は、主面50aに直交する方向から見て、半導体領域51に接し、半導体領域51に囲まれている。半導体層52は、たとえばN 型である。本実施形態では、半導体層52は、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのそれぞれにおいてカソードを構成する。
[0040]
 半導体層53は、半導体領域51と半導体層52との間に位置している。換言すれば、半導体層53は、主面50a側で半導体層52に接し、主面50b側で半導体領域51に接している。半導体層53は、半導体領域51よりも不純物濃度が高い。半導体層53は、たとえばP型である。本実施形態では、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53の不純物濃度は、APD11の半導体層53の不純物濃度よりも高い。半導体層53は、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのそれぞれにおいてアバランシェ領域を構成する。グループ17の温度補償用ダイオード17a,17bの半導体層53の不純物濃度は、グループ16の温度補償用ダイオード16a,16bの半導体層53の不純物濃度よりも高い。
[0041]
 半導体層54は、主面50aの一部を構成している。半導体層54は、主面50aに直交する方向から見て、半導体領域51に接し、半導体領域51に囲まれている。本実施形態では、半導体層54は、半導体領域51及び半導体層53よりも不純物濃度が高い。半導体層54は、たとえばP 型である。半導体層54は、図示されていない部分で半導体層55に接続されている。半導体層54は、光検出装置1のアノードを構成する。半導体層54は、たとえば、APD11、及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのアノードを構成する。
[0042]
 半導体層55は、半導体領域51よりも半導体基板50の主面50b側に位置している。半導体層55は、主面50bの全面を構成している。半導体層55は、主面50a側で半導体領域51に接している。本実施形態では、半導体層55は、半導体領域51及び半導体層53よりも不純物濃度が高い。半導体層55は、たとえばP 型である。半導体層55は、光検出装置1のアノードを構成する。半導体層55は、たとえば、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのアノードを構成する。
[0043]
 光検出装置1は、半導体基板50の主面50a上に設けられた、絶縁膜61と、電極62,63,64と、パッシベーション膜66と、反射防止膜67とをさらに備える。絶縁膜61は、半導体基板50の主面50a上に積層されている。絶縁膜61は、たとえばシリコン酸化膜である。電極62,63,64は、それぞれ絶縁膜61上に配置されている。パッシベーション膜66は、絶縁膜61及び電極62,63,64上に積層されている。反射防止膜67は、半導体基板50の主面50a上に積層されている。
[0044]
 電極62は、絶縁膜61を貫通して、APD11の半導体層52に接続されている。電極62の一部は、パッシベーション膜66から露出しており、APD11の端子24を構成する。電極62は、端子24においてAPD11からの信号を出力する。
[0045]
 電極63は、絶縁膜61を貫通して、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層52に接続されている。電極63の一部は、パッシベーション膜66から露出しており、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの端子25を構成する。
[0046]
 電極64は、絶縁膜61を貫通して、半導体層54に接続されている。すなわち、電極64は、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bに対して接続されている。換言すれば、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bは、電極64に対して互いに並列に接続されている。電極64の一部は、パッシベーション膜66から露出しており、たとえば、端子22を構成する。
[0047]
 本実施形態では、端子24は、APD11のカソード用のパッド電極である。端子25は、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのカソード用のパッド電極である。端子22は、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのアノード用のパッド電極である。
[0048]
 端子22には、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bが互いに並列に接続されている。APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bに逆方向バイアスをかける場合には、カソード用のパッド電極に正電圧が印加され、アノード用のパッド電極には負電圧が印加される。
[0049]
 反射防止膜67は、APD11の半導体層52上に積層されている。反射防止膜67の一部は、パッシベーション膜66から露出している。このため、APD11の半導体層52には、反射防止膜67を透過した光が入射し得る。各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層52は、絶縁膜61で覆われており遮光されている。
[0050]
 次に、図4を参照して、受光部10のAPD11と温度補償部15の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bとの位置関係について説明する。図4は、半導体基板50の概略平面図である。図4に示されているように、光検出部20は、受光部10が設けられた光検出領域71と、温度補償部15が設けられた複数の温度検出領域72,73とを有している。温度検出領域72,73は、光検出領域71の周囲に位置する。光検出領域71は、温度検出領域72と温度検出領域73とに挟まれている。換言すれば、光検出領域71は、温度検出領域72と温度検出領域73との間に位置している。たとえば、温度検出領域72は第一温度検出領域であり、温度検出領域73は第二温度検出領域である。
[0051]
 光検出領域71には、少なくとも1つのAPD11が設けられている。本実施形態では、受光部10は、複数のAPD11として、5つの正方形のAPD11を含む。APD11は、4つ以下のAPDを含んでいてもよいし、6つ以上のAPDを含んでいてもよい。本実施形態では、光検出領域71には、複数のAPD11が一列に配列されている。当該列の一端にはAPD11aが位置しており、他端にはAPD11bが位置している。
[0052]
 温度検出領域72には、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのうち少なくとも1つが設けられている。温度検出領域73には、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのうち温度検出領域72に設けられたものの残りが設けられている。本実施形態では、温度検出領域72には、温度補償用ダイオード16a,17aが設けられている。温度検出領域73には、温度補償用ダイオード16b,17bが設けられている。すなわち、各温度検出領域72,73には、異なるグループ16,17の温度補償用ダイオードが設けられている。本実施形態の変形例として、温度補償部15の複数の温度補償用ダイオードは、互いにブレークダウン電圧が異なる3つ以上のグループからなり、当該3つ以上の異なるグループの温度補償用ダイオードが各温度検出領域72,73に設けられてもよい。
[0053]
 本実施形態では、温度検出領域72,73は、複数のAPD11の配列方向に沿って位置している。温度検出領域72は、複数のAPD11のうちAPD11aに最も近い。温度検出領域73は、複数のAPD11のうちAPD11bに最も近い。温度補償用ダイオード16a,17aは、主面50aに直交する方向から見て、複数のAPD11の配列方向と交差する方向に並んでいる。温度補償用ダイオード16b,17bは、主面50aに直交する方向から見て、複数のAPD11の配列方向と交差する方向に並んでいる。
[0054]
 次に、温度補償部15についてさらに詳細に説明する。温度補償部15の各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bとAPD11とは、ゲインとバイアス電圧との関係について同等の温度特性を有している。光検出装置1では、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧に応じた電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。
[0055]
 温度補償部15は、APD11のブレークダウン電圧とAPD11に印加するバイアス電圧との差分電圧が一定となるように当該バイアス電圧を制御する。この差分電圧は、以下のように決定されている。
[0056]
 APDに印加するバイアス電圧を“V ”とし、当該バイアス電圧が印加されたAPDのゲインを“M”とした場合、以下の関係式が成り立つ。
[数1]


[0057]
 “a”及び“b”は、定数である。式(1)から分かるように、“(1/M)×(dM/dV )”を目的変数とし“M”を説明変数とした場合に、APDにおけるバイアス電圧とゲインとの関係を示すデータについて、傾きが“a”であり、切片が“b”である回帰直線が成り立つ。図5及び図6に示されているように、傾き“a”と切片“b”とは温度依存性が極めて低い。図5は、APDに印加するバイアス電圧と当該バイアス電圧が印加されたAPDのゲインとの関係を示すデータのグラフである。図5では、横軸はAPDのゲインを示し、縦軸は“(1/M)×(dM/dV )”の値を示している。複数の線は、それぞれ異なる環境温度のデータを示している。具体的には、図5は、100℃、80℃、60℃、40℃、20℃、0℃、-20℃、-40℃の8種の環境温度におけるデータを示している。図6は、取得された回帰直線の傾き“a”及び切片“b”の温度依存性を示すグラフである。図6では、横軸が環境温度を示し、縦軸が“a”及び“b”の値を示している。実線は“a”のデータを示し、破線は“b”のデータを示している。
[0058]
 APDに印加するバイアス電圧を“V ”とし、当該バイアス電圧が印加されたAPDのゲインを“M”とし、APDのブレークダウン電圧を“V br”とした場合、以下の関係式が成り立つ。
[数2]


[0059]
 ここで、式(1)及び式(2)における“a”は、互いに同一の物理量を示している。式(1)及び式(2)における“b”は、互いに同一の物理量を示している。
[0060]
 したがって、式(1)から取得された“a”及び“b”を式(2)の“a”及び“b”に代入すれば、所望のゲインに対する“(V br-V )”の値が一意に求まる。“(V br-V )”は、APDのブレークダウン電圧からAPDに印加するバイアス電圧を減算した減算値である。すなわち、“(V br-V )”は、上述した差分電圧である。
[0061]
 上記差分電圧を“ΔV”とした場合、式(2)は式(3)のように表される。
[数3]


[0062]
 したがって、式(3)におけるAPDのゲイン“M”を所望のゲイン“M ”とした式(4)を用いることで、所望のゲインに対応する“ΔV”が容易に演算される。
[数4]


[0063]
 具体的には、APDに印加するバイアス電圧と当該バイアス電圧が印加されたAPDのゲインとの関係を示すデータを任意の温度において取得する。取得されたデータおいて“(1/M)×(dM/dV )”を目的変数とし“M”を説明変数とした回帰直線の傾きを式(4)の“a”に、及び回帰直線の切片を式(4)の“b”に、APD11に設定する所望のゲインを式(4)の“M ”に代入する。これによって、“ΔV”が演算される。温度補償部15は、上記差分電圧が演算された“ΔV”となるように、APD11に印加するバイアス電圧を制御する。ここで、取得されるバイアス電圧とゲインとの関係を示すデータは、APD11と同一の材料及び構造を有するAPDであれば、APD11と同一個体のAPDのデータでなくともよい。
[0064]
 本実施形態では、上記差分電圧は、APD11のブレークダウン電圧からブレークダウン状態となった温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧に応じた電圧を減算した減算値である。温度補償部15では、ブレークダウン状態となった温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧に応じた電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。
[0065]
 本実施形態では、APD11とグループ16の温度補償用ダイオード16a,16bとグループ17の温度補償用ダイオード17a,17bとは、互いに異なるブレークダウン電圧を有している。各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53の不純物濃度とAPD11の半導体層53の不純物濃度とが調整されることで、APD11のブレークダウン電圧と温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧との差分電圧が調整されている。本実施形態の変形例として、回路構成によって、上記差分電圧が調整されてもよい。端子25に外部電圧を印加することで、上記差分電圧が調整されてもよい。これらの変形例の場合、APD11のブレークダウン電圧と温度補償用ダイオード16a,16b又は温度補償用ダイオード17a,17bのブレークダウン電圧とは同じでもよい。これらの複数の手法が組み合わされて、上記差分電圧が調整されてもよい。
[0066]
 本実施形態では、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53の不純物濃度は、APD11の半導体層53の不純物濃度よりも高い。この結果、APD11のブレークダウン電圧の方が、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧よりも“ΔV”だけ高い。グループ16の温度補償用ダイオード16a,16bとグループ17の温度補償用ダイオード17a,17bとは、それぞれ異なるゲインを取得するものとして設計されている。式(4)によって温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのグループ16,17ごとに“ΔV”が演算され、演算された各々の“ΔV”に応じて各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53の不純物濃度が設計されている。温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのグループ16,17のそれぞれについて“ΔV”を演算する際に、“a”には同一の値が代入される。同様に、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのグループ16,17のそれぞれについて“ΔV”を演算する際に、“b”には同一の値が代入される。
[0067]
 光検出装置1では、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧が印加されることで、当該ブレークダウン電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。本実施形態では、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧のうち1つのブレークダウン電圧が、APD11にバイアス電圧として印加される。温度補償用ダイオード16a,16bと温度補償用ダイオード17a,17bとのいずれのブレークダウン電圧がAPD11にバイアス電圧として印加されるかは、設定部40によって制御される。
[0068]
 次に、本実施形態における光検出装置の動作について説明する。
[0069]
 本実施形態では、端子22はP 型の半導体層54に接続されており、半導体層54はP 型の半導体層55に接続されている。したがって、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのアノードは、端子22に対して互いに並列に接続されている。この結果、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのアノードには、電源部4よってマイナスの電位が印加される。
[0070]
 回路部3は、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのいずれか一つをブレークダウン状態とする。設定部40は、スイッチ41によって、複数のグループ16,17のうち動作させるグループを選択する。設定部40は、スイッチ41のオンオフを切り替えることで、APD11にバイアス電圧としてブレークダウン電圧を印加する温度補償用ダイオードのグループを選択する。設定部40は、APD11に設定するゲインを式(4)の“M ”に代入することで演算される“ΔV”が差分電圧となるように、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのグループ16,17からバイアス電圧の制御に用いるグループを選択する。
[0071]
 選択されたグループの温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧は、当該温度補償用ダイオードに対応する端子25に印加される電位と、端子22に印加される電位との電位差である。したがって、APD11のアノードには、選択されたグループの温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧に応じた電位が印加される。この結果、APD11には、選択されたグループの温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧に応じた電圧がバイアス電圧として印加される。
[0072]
 本実施形態では、設定部40は、グループ17の温度補償用ダイオード17a,17bを動作させる場合には、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bを全て通電可能な状態とする。すなわち、設定部40は、複数の端子25に接続されたスイッチ41の全てをオンとする。この場合、通電可能な状態にある温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bにおいて、グループ17の温度補償用ダイオード17a,17bが最も小さいブレークダウン電圧を有しているため、グループ17の温度補償用ダイオード17a,17bが動作する。すなわち、温度補償用ダイオード17a,17bのブレークダウン電圧が、APD11にバイアス電圧として印加される。
[0073]
 設定部40は、グループ16の温度補償用ダイオード16a,16bを動作させる場合には、グループ16の温度補償用ダイオード16a,16bを通電可能な状態とし、グループ17の温度補償用ダイオード17a,17bを通電不可能な状態とする。本実施形態では、設定部40は、グループ16に対応する端子25に接続されたスイッチ41をオンとし、グループ17に対応する端子25に接続されたスイッチ41をオフとする。この場合、グループ16の温度補償用ダイオード16a,16bのブレークダウン電圧が、APD11にバイアス電圧として印加される。
[0074]
 以上の動作によれば、設定部40によって、APD11のゲインが選択される。本実施形態では、設定部40は、グループ17の温度補償用ダイオード17a,17bが通電可能な状態であるか否かにかかわらず、グループ16の温度補償用ダイオード16a,16bを通電可能な状態とする。以下では、一例として、設定部40が動作させる温度補償用ダイオードのグループとして、グループ17を選択した場合について説明する。
[0075]
 本実施形態では、起電力発生部31と電流制限部32との組み合わせが端子22に接続されることによって、端子22に選択されたグループ17の温度補償用ダイオード17a,17bのブレークダウン電圧が印加される。本実施形態では、起電力発生部31の出力電圧は、APD11の動作電圧以上である。換言すれば、起電力発生部31の出力電圧は、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧の温度変動の上限以上である。たとえば、起電力発生部31の出力電圧は、300V以上である。電流制限部32は、たとえばカレントミラー回路又は抵抗などで構成される。
[0076]
 選択されたグループ17の温度補償用ダイオード17a,17bとAPD11とのブレークダウン電圧差に応じて、APD11のゲインは任意に設定され得る。APD11のゲインがS/N比の高い最適増倍率Moptに設定されれば、検出精度の向上を図られる。
[0077]
 本実施形態では、APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのアノードは、半導体層55で一体に構成されている。たとえば、25℃の環境温度下において、端子25に印加される電位が0Vであり、かつ、選択されたグループ17の温度補償用ダイオード17a,17bのブレークダウン電圧が130Vである場合、APD11のアノードには-130Vの電位が印加される。したがって、APD11のブレークダウン電圧が25℃の環境温度下において150Vである場合、APD11はアノードとカソードとの電位差がブレークダウン電圧よりも20V低い状態で動作する。
[0078]
 上述したように、APD11と各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bとは、ゲインとバイアス電圧との関係について同等の温度特性を有している。このため、APD11は、選択されたグループ17の温度補償用ダイオード17a,17bがブレークダウン状態となっている限り、25℃の環境温度下においてブレークダウン電圧よりも20V低いバイアス電圧が印加された場合のゲインを維持して動作する。換言すれば、光検出装置1では、選択されたグループ17の温度補償用ダイオード17a,17bをブレークダウン状態とする電圧が当該温度補償用ダイオード17a,17bに印加されることで、APD11のゲインについて温度補償が実現される。
[0079]
 次に、上述した実施形態及び変形例における光検出装置の作用効果について説明する。従来、互いに同等の温度特性を有するAPDと温度補償用ダイオードとを備えた光検出装置を製造する場合、ゲインとバイアス電圧との関係について所望の温度特性を有するAPDを選定し組み合せるための検査が必要であった。このため、コスト削減は、困難であった。この点、光検出装置1では、同一の半導体基板50にAPD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bがそれぞれ形成されている。この場合、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bとAPD11とがそれぞれ異なる半導体基板に形成される場合よりも容易に高い精度で、ゲインとバイアス電圧とについて広い温度範囲で温度特性がそれぞれ同等の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17b及びAPD11が形成される。したがって、製造コストが抑えられながら、APD11のゲインに対する温度補償が実現され得る。
[0080]
 半導体基板50は、第一導電型の半導体領域51を含んでいる。APD11及び各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bは、それぞれ、半導体層52と半導体層53とを含んでいる。半導体基板50では、半導体層52は、第二導電型である。半導体層53は、半導体領域51よりも不純物濃度が高い第一導電型である。半導体層53は、半導体領域51と半導体層52との間に位置している。このように、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bは、APD11と同様の構成である。このため、ゲインとバイアス電圧とに関する温度特性がAPD11に酷似した複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bを容易に形成できる。
[0081]
 半導体基板50では、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53における不純物濃度は、APD11の半導体層53における不純物濃度より高い。この場合、光検出装置1では、たとえば、APD11のブレークダウン電圧の方が各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧よりも大きくなる。この結果、リニアモードで動作するAPD11のゲインに対する温度補償が実現される。なお、半導体基板50のAPD11をガイガーモードで動作させる場合、半導体基板50は、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53における不純物濃度がAPD11の半導体層53における不純物濃度より低くなるように構成される。この場合、光検出装置1において、たとえば、APD11のブレークダウン電圧の方が各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧よりも小さくなる。
[0082]
 光検出装置1では、“(1/M)×(dM/dV )”を目的変数とし“M”を説明変数とした回帰直線の傾きを式(4)の“a”に、切片を式(4)の“b”に代入することで所望のゲインが得られる上記差分電圧が決定されている。このため、環境温度を厳密に考慮することなく、極めて容易に所望のゲインが得られる。
[0083]
 温度補償部15は、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bを有している。温度補償部15は、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのいずれか一つに印加されるブレークダウン電圧に応じた電圧をAPD11にバイアス電圧として印加する。たとえば、温度補償用ダイオード17aがブレークダウン状態とされる場合、差分電圧は、APD11のブレークダウン電圧から温度補償用ダイオード17aのブレークダウン電圧に応じた電圧を減算した減算値である。このため、所望のゲインが得られる“ΔV”を導出し、上記減算値が“ΔV”となるように、APD11及び温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの不純物濃度が設計され得る。
[0084]
 光検出装置1は、設定部40と配線部21とを備えている。設定部40は、APD11に設定するゲインに応じて、温度補償部15を設定する。配線部21は、温度補償部15とAPD11とを電気的に接続する。複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bは、互いに異なるブレークダウン電圧を有している。配線部21は、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧に応じた電圧をAPD11にバイアス電圧として印加する。設定部40は、APD11に設定するゲインを式(4)の“M ”に代入することで演算される“ΔV”が差分電圧となるように、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bからバイアス電圧の制御に用いる温度補償用ダイオードを設定する。このため、設定部40によって、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bからバイアス電圧の制御に用いる温度補償用ダイオードが設定される。したがって、環境温度を厳密に考慮することなく、状況に応じた所望のゲインを極めて容易に得ることができる。換言すれば、所望のゲインを容易に切り替えることができると共に温度に安定して所望のゲインが得られる。
[0085]
 回路部3は、端子22に対してAPD11と各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bとを電気的に並列に接続する。この構成において、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのいずれか一つがブレークダウン状態とされると、ブレークダウン状態となった温度補償用ダイオードのブレークダウン電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。この結果、APD11のブレークダウン電圧とAPD11に印加するバイアス電圧との差分電圧が設定され、APD11は当該差分電圧に応じたゲインを有している。したがって、ブレークダウン状態とする温度補償用ダイオードに応じて、APD11において状況に応じた所望のゲインが温度に対して安定して得られる。
[0086]
 回路部3は、少なくとも1つのスイッチ41を有している。スイッチ41は、対応する温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bに電気的に接続されている。スイッチ41は、対応する温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bが通電可能な状態と通電不可能な状態とを切り替える。温度補償用ダイオード16a,16bは、温度補償用ダイオード17a,17bよりも高いブレークダウン電圧を有している。スイッチ41は、温度補償用ダイオード17a,17bに電気的に接続されている。この場合、温度補償用ダイオード17a,17bがスイッチ41によって通電可能な状態にされると、温度補償用ダイオード16a,16bが通電可能な状態であったとしても、温度補償用ダイオード17a,17bが優先してブレークダウン状態となる。このように、容易な制御でAPD11において状況に応じた所望のゲインを切り替えることができる。
[0087]
 少なくとも1つのスイッチ41は、対応する端子25に接続されている。各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの電極29aとAPD11との間には高電圧が印加される。このため、電極29aとAPD11との間にスイッチ41を配置するよりも、端子25を介して電極29bと電気的にスイッチ41を接続した方が容易な制御を実現できる。
[0088]
 回路部3は、温度補償用ダイオード17a,17bが通電可能な状態であるか否かに関わらず、温度補償用ダイオード16a,16bを通電可能な状態とする。この場合、温度補償用ダイオード17a,17bの全てが損傷したとしても、温度補償用ダイオード16a,16bがブレークダウン状態となる。このため、大きな電流がAPD11に流れることが防止され、光検出装置1の故障が防止される。
[0089]
 複数の温度補償用オード16a,16b,17a,17bが設けられている温度検出領域72と温度検出領域73とは、光検出領域71を挟んで位置している。このため、温度検出領域72の付近において温度が局所的に高くなったとしても、温度検出領域73に設けられた温度補償用ダイオード16b,17bが正常に動作し得る。すなわち、当該光検出装置1は、局所的な温度変化に対する耐性が向上されている。
[0090]
 温度補償部15は、複数の温度補償用ダイオードとして、互いに同一のブレークダウン電圧を有する温度補償用ダイオード16a,16bを含んでいる。温度補償用ダイオード16aは、温度検出領域72に設けられている。温度補償用ダイオード16bは、温度検出領域73に設けられている。このため、温度検出領域72の付近において温度が局所的に高く温度補償用ダイオード16aが正常に機能しなくとも、温度検出領域73に設けられた温度補償用ダイオード16bが正常に動作し得る。したがって、局所的に温度が変化しても、APD11に安定したバイアス電圧が印加され得る。このため、APD11において所望のゲインが安定して得られる。
[0091]
 温度補償部15は、複数の温度補償用ダイオードとして、温度補償用ダイオード16a,16bと異なるブレークダウン電圧を有する温度補償用ダイオード17a,17bを含んでいる。温度補償用ダイオード17a,17bは、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。温度補償用ダイオード17aは、温度検出領域72に設けられている。温度補償用ダイオード17bは、温度検出領域73に設けられている。この場合、温度補償用ダイオード17a,17bのブレークダウン電圧と温度補償用ダイオード16a,16bのブレークダウン電圧との間で、APD11にバイアス電圧として印加する電圧を切り替えることができる。このため、APD11において、温度検出領域72の付近において温度が局所的に高く温度補償用ダイオード16a,17aが正常に機能しなくとも、温度検出領域73に設けられた温度補償用ダイオード16b,17bが正常に動作し得る。したがって、局所的に温度が変化しても、APD11に安定した所望のバイアス電圧が印加され得る。このため、APD11において状況に応じた所望のゲインが安定して得られる。
[0092]
 光検出部20は、少なくとも1つのAPD11として、複数のAPD11を有している。光検出領域71には、複数のAPD11が設けられている。この場合、APD11が設けられている光検出領域71の周囲において温度差が生じやすい。当該光検出装置1では、温度検出領域72と温度検出領域73とは、光検出領域71を挟んで位置しているため、局所的な温度変化に対する耐性が向上されている。
[0093]
 次に、図7を参照して、光検出装置の製造方法の一例について説明する。図7は、光検出装置1のうち半導体基板50の製造方法を示すフローチャートである。
[0094]
 まず、半導体ウエハを準備する(工程S1)。半導体ウエハは、半導体基板50として加工される前の基板であり、互いに対向する主面50a,50bを有している。半導体ウエハは、半導体領域51に対応する第一導電型の半導体領域を含む。当該半導体領域は、半導体ウエハの主面50a側に設けられ、主面50aの全面を構成する。たとえば、半導体ウエハの半導体領域は、P 型である。本実施形態では、半導体ウエハには、主面50b側から不純物を添加することによって、半導体ウエハの半導体領域よりも不純物濃度が高い第一導電型の半導体層55が形成されている。たとえば、半導体層55は、P 型である。
[0095]
 続いて、APD11のブレークダウン電圧とAPD11に印加するバイアス電圧との差分電圧を決定する。決定方法は、以下の通りである。
[0096]
 まず、APDに印加するバイアス電圧と当該APDのゲインとの相関を示すデータにおける“(1/M)×(dM/dV )”を目的変数とし“M”を説明変数とした回帰直線の傾き及び切片を取得する(工程S2)。ここで、“V ”はAPDに印加するバイアス電圧であり、“M”は当該バイアス電圧が印加されたAPDのゲインである。工程S2で用いられる上記データは、APD11と同一の材料及び構造からなる別個体である。
[0097]
 次に、工程S2における取得結果と式(4)とを用いて、所望のゲインが得られる上記差分電圧を決定する(工程S3)。上記差分電圧は、取得された上記傾きを式(4)の“a”に、取得された上記切片を式(4)の“b”に、APD11に設定する所望のゲインを式(4)の“M ”に、代入することで演算された“ΔV”に相当する。本実施形態では、APD11に設定するゲインとして互いに異なる複数の値を決定し、これらの値について複数の上記差分電圧を決定する。互いに異なる複数の値を式(4)の“M ”にそれぞれ代入することで演算された複数の“ΔV”が、複数の値のそれぞれに対応する上記差分電圧として決定される。
[0098]
 続いて、第一のイオン注入工程(工程S4)として、イオン注入法により、主面50a側に不純物イオンを注入して不純物を添加することで、第二導電型の半導体層52及び第一導電型の半導体層53,54を形成する。たとえば、半導体層52はN 型であり、半導体層53はP型であり、半導体層54はP 型である。本実施形態では、半導体層52は、一回のイオン注入処理で、互いに離間した異なる箇所に第二導電型の不純物イオンを注入することによって形成される。半導体層53は、半導体層52が形成された後に、第一導電型の不純物イオンを注入することで形成される。半導体層53は、半導体層52が形成される前に、第一導電型の不純物イオンを注入することで形成されてもよい。
[0099]
 半導体層52,53は、主面50aに直交する方向から見て、互いに重なる位置に形成される。半導体層53は、主面50a側から見て半導体層52よりも深い位置に第一導電型の不純物を注入することで形成される。半導体層52,53は、1つの半導体基板50となる領域内において、主面50aと直交する方向から見て互いに離間した複数の箇所に形成される。当該複数の箇所は、APD11を配置する箇所と各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bを配置する箇所とを含む。第一のイオン注入工程では、半導体層52の不純物濃度が同等となるように、第二導電型の不純物が各箇所に添加される。同様に、半導体層53の不純物濃度が同等となるように、第一導電型の不純物が各箇所に添加される。
[0100]
 続いて、第二のイオン注入工程(工程S5)として、イオン注入方法により、上述した複数の箇所のうち一部の箇所の半導体層53のみにさらに不純物を添加する。本実施形態では、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bを配置する箇所のみにおいて、半導体層53にさらに第一導電型の不純物が注入される。このため、光検出装置1では、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53における不純物濃度は、APD11の半導体層53における不純物濃度より高い。この場合、光検出装置1は、APD11のブレークダウン電圧が各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧よりも大きくなるように構成される。
[0101]
 工程S4及び工程S5において各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53に注入される第一導電型の不純物が注入される量は、工程S3で決定された差分電圧に応じる。本実施形態では、温度補償用ダイオード17a,17bの半導体層53に注入される第一導電型の不純物の量は、温度補償用ダイオード16a,16bの半導体層53に注入される第一導電型の不純物の量よりも多い。これにより、温度補償用ダイオード16a,16bのブレークダウン電圧が温度補償用ダイオード17a,17bのブレークダウン電圧よりも大きくなるように構成される。
[0102]
 第二のイオン注入工程では、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bを配置する箇所ではなく、APD11を配置する箇所のみにおいて、半導体層53にさらに第一導電型の不純物が注入されてもよい。この場合、光検出装置1では、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53における不純物濃度は、APD11の半導体層53における不純物濃度より低い。この場合の光検出装置1では、APD11のブレークダウン電圧は、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧よりも小さくなるように構成される。
[0103]
 以上の工程によって、光検出装置1の半導体基板50が形成される。工程S2及び工程S3は、工程S1の前に実行されてもよいし、工程S4の後に実行されてもよい。本実施形態では、既に半導体層55が形成された状態から半導体層52,53,54を形成した。しかし、半導体層52,53,54が形成された後に、半導体層55が形成されてもよい。
[0104]
 上記製造方法では、異なる複数の箇所にイオンを注入することで各箇所に半導体層52と半導体層53とが形成される。その後、さらに一部の箇所の半導体層53にイオンが注入される。このため、ゲインとバイアス電圧とに関する温度特性が同等でありながら、それぞれ所望のブレークダウン電圧に設定された、複数の温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17b及びAPD11が容易に製造され得る。この場合、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bのブレークダウン電圧とAPD11のブレークダウン電圧との差分電圧に応じて、APD11のゲインが任意に設定され得る。このため、各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bとAPD11とがそれぞれ所望のブレークダウン電圧に設定されれば、検出精度の向上が図られる。たとえば、上記差分電圧に応じて、APD11のゲインがS/N比の高い最適増倍率Moptに設定されれば、検出精度の向上が図られる。このように、上記製造方法では、製造コストが抑制されながら、APD11のゲインに対する温度補償が実現され、検出精度の向上が図られる。
[0105]
 上記差分電圧の決定方法では、“(1/M)×(dM/dV )”を目的変数とし“M”を説明変数とした回帰直線の傾き及び切片が取得される。取得された傾きを式(4)の“a”に、取得された切片を式(4)の“b”に代入することで所望のゲインが得られる上記差分電圧が決定される。このため、環境温度を厳密に考慮することなく、極めて容易に、所望のゲインが得られる上記差分電圧が決定される。
[0106]
 上記決定方法では、APD11に設定するゲインとして互いに異なる複数の値を式(4)の“M ”にそれぞれ代入することで演算された複数の“ΔV”が、上記複数の値のそれぞれに対応する差分電圧として決定される。このため、環境温度を厳密に考慮することなく、極めて容易に、複数の値のそれぞれに対応する複数の上記差分電圧が決定される。
[0107]
 以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
[0108]
 本実施形態では、いわゆるリーチスルー型のAPD11がリニアモードで動作する構成を説明した。光検出装置1は、リバース型のAPD11がリニアモードで動作する構成であってもよい。光検出装置1は、リーチスルー型のAPD11がガイガーモードで動作する構成であってもよい。光検出装置1は、リバース型のAPD11がガイガーモードで動作する構成であってもよい。APD11がガイガーモードで動作する構成では、APD11にクエンチング抵抗が接続されると共に、温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bの半導体層53の不純物濃度がAPD11の半導体層53の不純物濃度よりも低くなるように半導体基板50が構成される。
[0109]
 本実施形態では、起電力発生部31、電流制限部32、バイアス電圧安定化部33、及び設定部40を有する光検出装置1を説明した。しかし、本実施形態にかかる光検出装置は、起電力発生部31、電流制限部32、バイアス電圧安定化部33、及び設定部40の少なくとも1つが含まれない構成を有していてもよい。この場合、光検出装置に接続された外部装置が、起電力発生部31、電流制限部32、バイアス電圧安定化部33、又は設定部40として機能してもよい。光検出装置1は、不図示の信号読出回路を含んでいてもよい。
[0110]
 本実施形態では、スイッチ41が光検出部20の端子25に接続され、このスイッチ41が設定部40によって制御される構成を説明した。しかし、スイッチ41は、光検出部20の内部に配置されてもよい。
[0111]
 本実施形態では、端子22,23,24,25は、パッド電極として説明された。しかし、端子22,23,24,25は、半導体基板50内の半導体によって構成されたものであってもよい。
[0112]
 各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bとAPD11との電気的な接続を切り替えるスイッチ41が配線部21に配置され、配線部21内のスイッチ41のオンオフが設定部40によって制御されてもよい。この場合も、設定部40によって、APD11に対して印加されるバイアス電圧が制御される。APD11と各温度補償用ダイオード16a,16b,17a,17bとの間には高電圧が印加されるため、配線部21に配置されたスイッチを制御する場合よりも、端子25に接続されたスイッチ41を制御する方が容易である。
[0113]
 温度補償部15には、互いに同一のブレークダウン電圧を有する複数の温度補償用ダイオードが含まれていてもよい。この構成によれば、温度補償用ダイオードの一部が損傷したり、温度補償用ダイオードの一部が配置されている付近で局所的な温度変化が起こったとしても、光検出装置1の正常な動作を実現できる。
[0114]
 次に、図8から図12を参照して、本実施形態の変形例に係る光検出装置について説明する。図8は、本実施形態の変形例における半導体基板70Aの概略平面図である。図9は、本実施形態の変形例における半導体基板70Bの概略平面図である。図10は、本実施形態の変形例における半導体基板70Cの概略平面図である。図11は、本実施形態の変形例における半導体基板70Dの概略平面図である。図12は、本実施形態の変形例における半導体基板70Eの概略平面図である。半導体基板70A,70B,70C,70D,70Eは、それぞれ、上述した実施形態の半導体基板50に対応する。これらの変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じである。これらの変形例は、温度補償部15における複数の温度補償用ダイオード及び受光部10に含まれるAPD11の位置関係に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
[0115]
 図8に示された変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じである。本変形例は、温度補償部15における温度補償用ダイオード及び受光部10に含まれるAPD11の数に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
[0116]
 図8に示されている変形例では、受光部10は、4つのAPD11を有している。温度補償部15は、温度補償用ダイオード81a,81bを含む。温度補償用ダイオード81a,81bは、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。すなわち、本変形例では、温度補償部15の複数の温度補償用ダイオードは、同一のブレークダウン電圧を有する1つのグループのみからなる。温度補償用ダイオード81aは第一温度補償用ダイオードであり、温度補償用ダイオード81bは第二温度補償用ダイオードである。
[0117]
 図8に示されているように、温度検出領域72,73に、複数の温度補償用ダイオード81a,81bが設けられている。温度検出領域72には、温度補償用ダイオード81aが設けられている。温度検出領域73には、温度補償用ダイオード81bが設けられている。本変形例では、温度補償用ダイオード81a,81bは、複数のAPD11の配列方向に並んでいる。
[0118]
 図9に示された変形例は、概ね、図8に示された変形例と類似又は同じである。本変形例は、温度補償部15における温度補償用ダイオードの数及び位置と受光部10に含まれるAPD11の形状とに関して、図8に示された変形例と相違する。以下、図8に示された変形例との相違点を主として説明する。
[0119]
 図9に示されている変形例では、光検出部20は、受光部10が設けられた光検出領域71と、温度補償部15が設けられた複数の温度検出領域92,93,94,95とを有している。温度検出領域92,93,94,95は、光検出領域71の周囲に位置する。温度検出領域92,93,94,95は、光検出領域71の四方に位置する。光検出領域71は、温度検出領域92と温度検出領域94とに挟まれている。換言すれば、光検出領域71は、温度検出領域92と温度検出領域94との間に位置している。光検出領域71は、温度検出領域93と温度検出領域95とに挟まれている。換言すれば、光検出領域71は、温度検出領域93と温度検出領域95との間に位置している。
[0120]
 図9に示された変形例では、受光部10は、4つのAPD11を有している。4つのAPD11は、光検出領域71に設けられている。本実施形態では、光検出領域71には、4つのAPD11が一列に配列されている。当該列の一端にはAPD11aが位置しており、他端にはAPD11bが位置している。4つのAPD11の各々は、主面50aに直交する方向から見て、4つのAPD11の配列方向と交差する方向に延在した形状を有している。各APD11は、主面50aに直交する方向から見て、上記配列方向を短辺とする矩形状を呈している。本実施形態では、温度検出領域92,95は、複数のAPD11のうちAPD11aに最も近い。温度検出領域93,94は、複数のAPD11のうちAPD11bに最も近い。
[0121]
 図9に示されているように、温度補償部15は、温度補償用ダイオード82a,82b,82c,82dを含む。温度補償用ダイオード82a,82b,82c,82dは、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。温度検出領域92,93,94,95の各々には、温度補償用ダイオード82a,82b,82c,82dが設けられている。本実施形態では、温度検出領域92には、温度補償用ダイオード82aが設けられている。温度検出領域93には、温度補償用ダイオード82bが設けられている。温度検出領域94には、温度補償用ダイオード82cが設けられている。温度検出領域95には、温度補償用ダイオード82dが設けられている。
[0122]
 図10に示された本変形例は、概ね、図9に示された変形例と類似又は同じである。本変形例は、受光部10に含まれるAPD11の数及び形状に関して、図9に示された変形例と相違する。以下、図9に示された変形例との相違点を主として説明する。
[0123]
 図10に示された変形例では、受光部10は、1つの正方形のAPD11を有している。この1つの正方形のAPD11が、光検出領域71に設けられている。温度検出領域92,93,94,95は、それぞれ、正方形のAPD11の四隅に近接して配置されている。すなわち、温度補償用ダイオード82a,82b,82c,82dは、それぞれ、正方形のAPD11の四隅に近接して配置されている。図10に示された変形例におけるAPD11の各辺は、図9に示された変形例におけるAPD11の短辺よりも長い。図10に示された変形例におけるAPD11の各辺は、温度補償用ダイオード82a,82b,82c,82dの各辺の10倍以上である。1つのAPD11は、光検出領域71に設けられている。
[0124]
 図11された変形例は、概ね、図9及び図10に示された変形例と類似又は同じである。本変形例は、受光部10に含まれるAPD11の数及び形状に関して、図9及び図10に示された変形例と相違する。以下、図9及び図10に示された変形例との相違点を主として説明する。
[0125]
 図11に示された変形例では、受光部10は、主面50aに直交する方向から見て、行列状に配列された複数のAPD11を有している。本変形例では、受光部10は、4行4列に配列された16個のAPD11を有している。これらの16個のAPD11が、光検出領域71に配列されている。温度検出領域92,93,94,95は、それぞれ、行列状に配列されたAPD11のうち四隅に位置するAPD11に近接して配置されている。すなわち、温度補償用ダイオード82a,82b,82c,82dは、それぞれ、行列状に配列されたAPD11のうち四隅に位置するAPD11に近接して配置されている。
[0126]
 図12に示された変形例は、概ね、図11に示された変形例と類似又は同じである。本変形例は、各温度検出領域92,93,94,95に含まれる温度補償用ダイオードの数及び位置に関して、図11に示された変形例と相違する。以下、図11に示された変形例との相違点を主として説明する。
[0127]
 図12に示された変形例では、図4に示された実施形態と同様に、複数の温度検出領域の各々に、互いにブレークダウン電圧の異なる複数の温度補償用ダイオードが設けられている。本変形例では、各温度検出領域92,93,94,95に、4つの温度補償用ダイオードが設けられている。当該4つの温度補償用ダイオードは、互いに異なるブレークダウン電圧を有する。すなわち、本変形例では、温度補償部15の複数の温度補償用ダイオードは、互いにブレークダウン電圧が異なる4つのグループからなる。各温度検出領域92,93,94,95において、4つの温度補償用ダイオードは2行2列の行列状に配列されている。
[0128]
 本変形例では、温度検出領域92には、互いに異なるブレークダウン電圧を有する温度補償用ダイオード82a,83a,84a,85aが設けられている。温度検出領域93には、互いに異なるブレークダウン電圧を有する温度補償用ダイオード82b,83b,84b,85bが設けられている。温度検出領域94には、互いに異なるブレークダウン電圧を有する温度補償用ダイオード82c,83c,84c,85cが設けられている。温度検出領域95には、互いに異なるブレークダウン電圧を有する温度補償用ダイオード82d,83d,84d,85dが設けられている。図9に示された変形例において説明したように、温度補償用ダイオード82a,82b,82c,82dは、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。同様に、温度補償用ダイオード83a,83b,83c,83dは、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。温度補償用ダイオード84a,84b,84c,84dは、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。温度補償用ダイオード85a,85b,85c,85dは、互いに同一のブレークダウン電圧を有している。

符号の説明

[0129]
 1…光検出装置、11,11a,11b…APD、15…温度補償部、16a,16b,17a,17b,81a,81b,82a,82b,82c,82d,83a,84a,85a,83b,84b,85b,83c,84c,85c,83d,84d,85d…温度補償用ダイオード、20…光検出部、22…端子、40…設定部、71…光検出領域、72,73,92,93,94,95…温度検出領域。

請求の範囲

[請求項1]
 光検出装置であって、
 少なくとも1つのアバランシェフォトダイオードと、前記少なくとも1つのアバランシェフォトダイオードのゲインの温度補償を行う複数の温度補償用ダイオードと、前記少なくとも1つのアバランシェフォトダイオードと前記複数の温度補償用ダイオードとを電気的に並列に接続する端子と、を有する光検出部を備え、
 前記光検出部は、前記少なくとも1つのアバランシェフォトダイオードが設けられた光検出領域と、前記光検出領域の周囲に位置すると共に前記複数の温度補償用ダイオードのうち少なくとも1つが設けられた第一温度検出領域と、前記光検出領域の周囲に位置すると共に前記複数の温度補償用ダイオードのうち前記少なくとも1つの残りが設けられた第二温度検出領域と、を有し、
 前記光検出領域は、前記第一温度検出領域と前記第二温度検出領域とに挟まれている。
[請求項2]
 請求項1に記載の光検出装置であって、
 前記複数の温度補償用ダイオードは、互いに同一のブレークダウン電圧を有する第一及び第二温度補償用ダイオードを含み、
 前記第一温度補償用ダイオードは、前記第一温度検出領域に設けられ、
 前記第二温度補償用ダイオードは、前記第二温度検出領域に設けられている。
[請求項3]
 請求項2に記載の光検出装置であって、
 前記複数の温度補償用ダイオードは、前記第一及び前記第二温度補償用ダイオードと異なるブレークダウン電圧を有する第三及び第四温度補償用ダイオードを含み、
 前記第三及び第四温度補償用ダイオードは、互いに同一のブレークダウン電圧を有し、
 前記第三温度補償用ダイオードは、前記第一温度検出領域に設けられ、
前記第四温度補償用ダイオードは、前記第二温度検出領域に設けられる。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか一項に記載の光検出装置であって、
 前記光検出部は、前記少なくとも1つのアバランシェフォトダイオードとして、複数のアバランシェフォトダイオードを有し、
 前記光検出領域には、前記複数のアバランシェフォトダイオードが設けられている。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]