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1. WO2020121733 - 発信装置

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明 細 書

発明の名称 発信装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

非特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

符号の説明

0048  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4A   4B   5   6   7   8   9   10   11   12A   12B  

明 細 書

発明の名称 : 発信装置

技術分野

[0001]
 本発明は、発信装置に関し、例えば発信機能付きカードに関する。

背景技術

[0002]
 学生証、社員証、電車等の定期券といったIC(Integrated Circuit)カードは、持ち運びが容易であり、動作に電源を必要としない。そのため、ICカードは、入館処理や買い物などの用途で幅広く用いられている。しかし、ICカードは電源を持たない故に、ICカードの機能は、接触型または非接触型のいずれを問わず、読み込み機から電力を供給してもらい、その電力を用いてデータの読み書きをする受動的なものに留まっている。そのため、能動的な用途(例えば、車の鍵の開け閉めや、パソコンなどの端末操作、災害時の所在地発信など)に、ICカードを用いることは出来ない。結果的に、能動的な用途を利用しようとする者は、ICカードとは別に、能動的な用途に適した複数のコントローラ(車の鍵、迷子防止タグetc.)を持ち歩かねばならない。当該複数のコントローラの持ち歩きに伴って、当該複数のコントローラの紛失の心配、当該複数のコントローラを持ち歩くことの煩雑さ、当該複数のコントローラの電池切れの心配といった問題を解決できていない。
[0003]
 特許文献1には、温度差を電力に変換する熱電変換素子を内蔵したアクティブ型の無線タグが、開示されている。同文献の図2(平面図)、図3(断面図)に示されるように、無線タグは、支持体2とカバー部材の間に、熱電変換素子、蓄電部、集積回路(集積回路は制御部と記憶部を含む。)、通信部、およびアンテナ等を重ならないように、挟んだ構造を有する。支持体の下側面を受熱面とし、カバー部材の支持体とは反対面を放熱面とし、受熱面と放熱面の間に温度差を加えるとゼーベック効果により熱電変換素子に起電力を生じさせることができる。リーダ/ライタは、無線タグとの間で電波RWを送受信して、無線タグの記憶部にアクセスし、情報の読み書きを行う。熱電変換素子が生成した起電力は、この情報の読み書きの際に使うことができる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2016-146040号公報
特許文献2 : 国際公開第2017/082266号
特許文献3 : 特開2004-272719号公報
特許文献4 : 特開2015-097453号公報
特許文献5 : 特開2015-109009号公報
特許文献6 : 国際公開第2014/010321号

非特許文献

[0005]
非特許文献1 : Akihiro Kirihara, Koichi Kondo, Masahiko Ishida, Kazuki Ihara, Yuma Iwasaki, Hiroko Someya, Asuka Matsuba, Ken-ichi Uchida, Eiji Saitoh, Naoharu Yamamoto, Shigeru Kohmoto & Tomoo Murakami ”Flexible heat-flow sensing sheets based on the longitudinal spin Seebeck effect using one-dimensional spin-current conducting films”, Scientific Reports volume 6, Article number: 23114 (2016)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 特許文献1では、記憶部に記憶されている情報が、リーダ/ライタに発信される。しかし、特許文献1に記載の技術は、ボタンを押す操作つまり情報の入力操作で、発電も可能になるものではない。本発明の目的は、このような事情に鑑みてなされたものであり、情報の入力操作で発電も可能な発信装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明は、ボタン、前記ボタンに備えられた第1の熱電変換素子、制御部、発信部を備え、前記第1の熱電変換素子がユーザの熱によって発電することで前記制御部と前記発信部を動作させて前記ボタンに対応した第1の情報を発信することを特徴とする発信装置である。

発明の効果

[0008]
 本発明にかかる発信装置によれば、ボタンを押す動作つまり情報の入力操作で、発電も可能とすることができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明の第1の実施形態の発信機能付きカードの外観を示す平面図である。
[図2] 第1の実施形態の発信機能付きカード内部の構成を示すブロック図である。
[図3] 第1の実施形態の制御部とボタン、スピン熱電変換素子の関係を示す回路図である。
[図4A] 第1の実施形態の発信機能付きカードからボタン、スピン熱電素子、制御部だけを抽出した概略断面図である。
[図4B] 第1の実施形態の発信機能付きカードからボタン、スピン熱電素子、制御部だけを抽出した概略断面図である。
[図5] 第1の実施形態で用いるスピン熱電変換素子の構造を示す概略斜視図である。
[図6] 第2の実施形態の発信機能付きカードのブロック図である。
[図7] 第3の実施形態の発信機能付きカードのブロック図である。
[図8] 第4の実施形態の発信機能付きカードのブロック図である。
[図9] 第7の実施形態の発信装置を示す図である。
[図10] 別の実施形態を示す平面図である。
[図11] 別の実施形態を示す平面図である。
[図12A] 第5の実施形態の発信機能付きカードからボタン、スピン熱電素子だけを抽出した概略断面図である。
[図12B] 第5の実施形態の発信機能付きカードからボタン、スピン熱電素子だけを抽出した概略断面図である。

発明を実施するための形態

[0010]
(第1の実施形態)
 図1~図5を用いて、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の発信機能付きカード10の外観を示す平面図である。本実施形態では、ユーザが発信機能付きカード10を使って、自分の車を開錠する鍵となる数字を発信する場合を説明する。この鍵となる数字は、ここでは“1234”とする。なお、鍵となる数字は、“1234”に限定されず、“1234”以外の数字の組み合わせであってもよい。図1を参照すると、カードの右下にボタン1,2,3,4が設けられている。各ボタンの隣のボタンを押さないように、ボタンとボタンの間は適当な距離を開けると良い。図2は、発信機能付きカード10の内部の構成を示すブロック図である。図2を参照して、発信機能付きカード10は、ボタンと同じ数つまり4つのスピン熱電変換素子20(以下スピン熱電素子と略称)、制御部21、および発信部22を内蔵する。スピン熱電変換素子20は、第1の熱電変換素子に該当する。発信機能付きカード10は、発信装置の一例である。
[0011]
 制御部21は、本実施形態の発信機能付きカード10全体の動作を制御するものである。また、制御部21は、スピン熱電素子20が発生させた電力を、スイッチの役割を果たすボタン1~4を経由して制御部21の端子27に伝える。制御部21は、例えば小規模なマイクロプロセッサチップ等である。制御部21は、スピン熱電素子20が発生させた電力で動作する。制御部21は、4つある端子27のうち、どれに入力されたかで、どのボタンが押されたかを判別する。どの端子から電力を受けたかが信号になっているので、端子27は制御部21の電源端子も兼ねていることになる。発信部22は、制御部21から上記の数字に対応する信号を受信したら、その受信した信号を車の受信器(不図示)に送信する。発信部22は、例えばIR(Infra-Red)発信器を使うことができる。
[0012]
 図3は、制御部21とボタン1~4、スピン熱電素子20の関係を示す回路図を示す。図3では、スピン熱電素子20を電源として描き、ボタンをスイッチとして描いている。スピン熱電素子20は、ユーザの指から伝わる熱で発電するので、スピン熱電素子20は電源になる。後述するように、ボタンとスピン熱電素子20は隣接して配置されるので、ユーザはスピン熱電素子20に触れるとボタンも押圧することになる。そのため、ユーザがボタンを押すとスイッチをオンしたことになり、電源となったスピン熱電素子と制御部21の端子が接続する。
[0013]
 次にボタンとスピン熱電素子の構造と動作について説明する。図4A、図4Bは、本実施形態の発信機能付きカード10からボタン、スピン熱電素子20、制御部21だけを抽出した概略断面図である。ボタン1~4に該当するボタン部30と、スピン熱電素子20は、互いに隣接して配置される。ボタン部30が、タッチスイッチになる。
[0014]
 図4Aは、ユーザが指で押さない状態が示される。図4Aを参照して、樹脂製のカード基板41の表面(上面)には、浅く凹ませた凹部が形成されている。この凹部には、ボタン部30が設けられる。凹部の底面とカード表面との間に空間45が形成される。凹部の表面には、凹部の深さより背の低い絶縁体のスペーサ44がいくつか設けられる。凹部の上部に可撓性(しなり)のある樹脂膜31が張られる。樹脂膜31の内側の面(下面)に導電膜42が設けられる。スピン熱電素子20側の導電膜42の端部は厚く形成され、その端部とスピン熱電素子20の一方の電極とが接続されている。熱電変換素子の他方の電極は接地されている(不図示)。凹部の底面には、制御部21の端子25と接続する内部配線43が形成されている。
[0015]
 図4Bを参照して、ボタン部30を指46で押すと、樹脂膜31が空間45側にしなり、内側の導電膜42と凹部底面の内部配線43とが接触する。ボタン部30の幅(図4Bの紙面の左右方向の幅)を指の幅(図4Bの紙面の左右方向の幅)より小さくしておくと、ボタン部30を押せば指46はスピン熱電素子20にも接触する。これにより、指46の熱がスピン熱電素子20に伝わり、スピン熱電素子20の厚さ方向(図4Bの紙面の上下方向)に温度勾配が生じる。指46が触れたスピン熱電素子20の表面が高温側接点となり、スピン熱電素子20の裏側が低温側接点となる。後述の図5で述べる起電体(金属膜53)が吸熱側、スピン熱電素子20を搭載するカード基板41が放熱側になる。その結果、スピン熱変換素子20は、発信機能付きカード10のカード面内方向に起電力を生成する。生成した起電力は、内部配線43を介して制御部21の端子25で取り出すことができる。
[0016]
 次に、スピン熱電素子20の構造を図5に示す。図5を参照して、GGG(Gadolinium Gallium Garnet、Gd 3Ga 5O 12)等の材料で形成されたGGG基板51上に、磁性体として、Bi:YIG(Yttrium Iron Garnet)膜、(Biを添加したY 3Fe 5O 12)等の磁性絶縁体層52が形成されている。なお、Bi:YIGは、Bi置換イットリウム鉄ガーネットを呼ばれることもある。磁性絶縁体層52は、面内方向(図5のM)に磁化されている。磁性絶縁体層52上に、起電体として、Pt等の金属膜53が形成され、金属膜53の両端に電極54,55が設けられている。図4Aを参照して、スピン熱電素子20は、カード基板41の表面(上面)に形成された凹部に、図中のXY面をカード基板41の主面と平行になるように埋め込まれている。また、スピン熱電素子20は、電極54,55のどちらかが導電膜42の端部と接するように配置されている。
[0017]
 磁性絶縁体として、Bi:YIG膜以外に、ガーネットフェライト(イットリウム鉄フェライト)、スピネルフェライト等の酸化物磁性材料を用いることができる。また、磁性絶縁体として、酸化物磁性材料以外でも、磁化を有する金属を用いることもできる。さらに、磁性絶縁体は、バルクでも薄膜でもよい。起電体としては、スピン軌道相互作用が大きい材料が望ましく、Pt以外にAuやPdを用いることができる。また、これらの金属(Pt、Au、Pd)のうち2以上を有する合金等を起電体に用いることができる。さらに、逆スピンホール効果を高めるために、これらの金属(Pt、Au、Pd)または合金にFe、Cu、Irなどの不純物を添加してもよい。
[0018]
 このようにして形成されたスピン熱電素子20に、指46の熱による温度勾配∇Tが加わると、Bi:YIG膜(磁性絶縁体層52)はスピンゼーベック効果によって温度勾配の方向にスピン流を生成する。Bi:YIG膜(磁性絶縁体層52)により生成されたスピン流は、磁性絶縁体層52に接合された金属膜53に流れ込み、逆スピンホール効果によって、スピン流方向(∇Tの方向と同じ)とBi:YIG膜の磁化方向とに直交する方向(金属膜53のXY面内方向)に電流が生成される。生成された電流は金属膜53に起電力(図5中のE)を生起させ、この起電力を、金属膜53の両端に設けられた電極54,55で、電位差として取り出すことができる。
[0019]
 ボタン1~4は、図2に示したようにそれぞれ制御部21の別々の端子と配線で接続されており、制御部21はどの端子への入力かで数字の1~4を識別する。制御部21は、ボタン1,2,3、4からの電圧をそれぞれ数字の“1”,“2”,“3”,“4”、と対応させ、制御部21は数字の1,2,3,4に該当する信号を発生する。この信号が第1の情報に対応する。この信号は、発信部22(例えばIR(Infra-Red)発信器)を経て電波として車に搭載した受信器(不図示)に、制御部21から発信される。ユーザがボタン1→ボタン2→ボタン3→ボタン4の順に押すと、受信器は、開錠の鍵となる1234という数字を受信したと判断して、車を開錠させるよう指示する信号を、車の制御部に出力する。制御部21は、ボタンが押される度に数字の1,2,3,4に該当する信号を発信しても良い。また、制御部21は、数字の1,2,3,4に該当する信号を制御部21に記憶部(不図示)を持っておき、その記憶部に記憶させてからまとめて発信してもよい。
[0020]
 このようにして、本実施形態では、ボタンを押す操作つまり情報の入力操作で、発電も可能とすることができる。本実施形態では、ボタンに熱電変換素子を組み込むことで、リモコン機能を持ったICカードを提供することができる。また制御部、発信部は、組み込んだ熱電変換素子により供給される電力によって動作するので、外部電源が不要になる。
[0021]
 本実施形態は、スピン熱電素子を用いており、圧電素子で駆動させた場合と比べ以下の点で優れている。スピン熱電素子は、曲げに強いため、財布の中にしまうなどの運用に耐えられる。また、スピン熱電素子は、駆動部をカード内に持たず、かつ当該スピン熱電素子の一部が傷ついても動作するため、長寿命である。無線スイッチを搭載したカードを運用するにあたり、特に重要になるのが、持ち運び可能であること、様々な環境下での電源供給と、マニュアルでの給電機能の有無である。これまでに、太陽光や圧電によって電源を供給する無線スイッチは、報告されている。しかし、これらの器具は、曲げに弱いため、ICカードの主たる持ち運び方法である「財布、カードケースに入れる」という運用に適さない。
[0022]
 (第2の実施形態)
 第1の実施形態ではカードに設ける熱電変換素子は、ボタンに備わった第1の熱電変換素子つまりスピン熱電素子20だけである。このスピン熱電素子20は、複数個で用いることが多く、一つ一つの素子が占有できる実装面積は限りがある。しかも、カードを薄く保つには、ボタンが他の回路と重ならないようにした方が良い。この点からも、個々の素子の面積には制約がある。そのため、起電力をそれほど大きくできない可能性がある。本実施形態では、第1の実施形態のスピン熱電素子とは別に、それより面積の大きい第2の熱電変換素子を設け、この第2の熱電変換素子による起電力を第1の熱電変換素子による起電力に加えて嵩上げする。第2の熱電変換素子は、第1の熱電変換素子と同じくスピン熱電変換素子を用いると、製造が簡単である。
[0023]
 図6は、本実施形態の発信機能付きカードのブロック図である。図2のブロック図と異なるのは、第2のスピン熱電変換素子60(以下第2のスピン熱電素子と略称)、第2のスピン熱電素子60と接続した蓄電部61が追加され、蓄電部61が制御部21、発信部22と接続された点である。蓄電部61は、薄型の電池を用いる。
[0024]
 第2のスピン熱電素子60は、ボタン1~4に備わったスピン熱電素子20よりも大面積を有するため、発生できる起電力も大きい。第2のスピン熱電素子60により生成された電力は、蓄電部61に蓄えられる。ユーザは、カードを手に持つ時には、通常はボタンだけ触れることはなく、カードの他の箇所も触れる。第2のスピン熱電素子60をできるだけ大きな面積で形成しておけば、ほぼ確実に指が第2のスピン熱電素子60に触れる。これにより、指が触れて熱が伝わった第2のスピン熱電素子60のおもて面と裏面との間に温度差が生じ、それによって生じる起電力を第1の熱電変換素子による起電力に追加する。具体的には、蓄電部61の出力を制御部21の電源端子及び発信部22の電源端子と接続して、第2の熱電変換素子60で発電した電力で制御部21および発信部22を動作させる。
[0025]
 なお、第2のスピン熱電素子60に代えて、太陽電池をカード表面に形成しておくといったことでも良い。
[0026]
 (第3の実施形態)
 第2の実施形態では、個々のボタンにあるスピン熱電素子の起電力を補うために、面積の大きな第2のスピン熱電素子60を設けた。本実施形態ではさらに、カード10のスピン熱電素子60の上に、摩擦係数の高い材料(ステンレスなど)を塗布して熱生成膜を形成する。熱生成膜をユーザが指で擦ってマニュアルで発電することでより温度差が大きくなるようにする。
[0027]
 図7は、本実施形態を説明するためのブロック図である。図7では、図6のスピン熱電素子60上の大部分に、直接または薄い絶縁膜(不図示)を挟んで熱生成膜80を付加している。
[0028]
 このようにすれば、ボタンを押す際に供給電力が不足するのをさらに防止することができる。ユーザは、ボタンを押す前に、少しの間熱生成膜80を擦って発電してから、ボタンを押す。気温が高い等の原因でスピン熱電素子20の厚さ方向に温度差が付きにくい場合などに有効である。
[0029]
 (第4の実施形態)
 第1の実施形態では、ユーザによりボタンが押されることによって熱電変換して発生する電圧または電流が、制御部で数字に相当する信号に変換され、この変換された信号が車の受信器に発信された。しかし、発信時に、制御部で数字に相当する信号に変換された信号に別の情報を付加して、発信されるようにすることもできる。図8は、本実施形態のカードの回路ブロックを示す図である。図8では、図2のブロック図に記憶部70を追加し、制御部21と接続している。記憶部70は例えばフラッシュメモリである。記憶部70は、第1の実施形態のように、第1の熱電変換素子が発電した電力で動作する。
[0030]
 例えば、ユーザがボタン1を押すことで、数字の“1”に、記憶部70に記憶されている情報が付加されて発信されるようにすることができる。
[0031]
 さらに、例えば、ユーザがボタン1を押すことで、記憶部70にボタン1に対応して記憶されている情報だけが発信されるようにすることもできる。つまり、ボタンの数字の意味をなくし、記憶部に記憶された情報を引き出すためのキーとしてユーザが押したボタンに対応する信号を使うこともできる。記憶部に記憶された情報が第2の情報に対応する。このような場合、ボタンは必ずしも複数必要なく、一つだけでも良い。記憶部に記憶された情報の例として、第1の実施形態で述べた車を開錠する鍵となる数字が挙げられる。また、特定の社員の情報を記憶部に記憶させれば、カードを社員証として使うことができる。また名刺情報を記憶部に記憶させれば、名刺交換用に用いることができる。
[0032]
 なお、図示しないが、第2の実施形態のように、第2の熱電変換素子が発電した電力で、記憶部70を動作させることも可能である。
[0033]
 また、ユーザがボタンを押した都度に、押したボタンに対応する数字を発信部22から発信するのではなく、どのボタンを押したか記憶部70に記憶させておき、数字のボタンとは別に送信ボタン(不図示)をカード10に設けておき、送信ボタンを押すことで、押したボタンに対応する数字を発信部からまとめて発信するようにしてもよい。まとめて発信する際に、記憶部70に記憶させた情報と組み合わせて発信しても良い。
[0034]
 (第5の実施形態)
 第1の実施形態では、熱電素子とボタン部は別体であった。しかし、両者を一体化することも可能である。図12A,図12Bは、本実施形態の発信機能付きカードから、スピン熱電素子を含むボタン部140、制御部121だけを抽出した概略断面図である。本実施形態では、非特許文献1に記載されたフレキシブルな磁性体膜を用いることで、熱電素子をボタン部140に一体化している。ボタン部140がタッチスイッチになる。
[0035]
 カード基板151の上面には、凹部が形成されている。また、この凹部を覆うように、樹脂膜141、磁性体膜142および金属膜147が、積層されて、カード基板151の上面側に取り付けられている。これにより、凹部の底面と金属膜147との間に、空間145が設けられる。樹脂膜141の内側の面(下面)に、磁性体膜142および金属膜147が設けられる。凹部の底面には、制御部121の端子125に接続された内部配線143が設けられている。また、スペーサ144は、空間145の中で、内部配線143の上に取り付けられている。図12Aは、ユーザが指で押さない状態を示す。図12Aを参照して、樹脂製のカード基板151の表面(上面)には、浅く凹ませた凹部が形成されている。この凹部には、ボタン部140が設けられる。凹部の底面とカード表面との間に空間145が形成される。凹部の表面には、凹部の深さより背の低い絶縁体のスペーサ144がいくつか設けられている。凹部の上部に可撓性(しなり)のある樹脂膜141が張られる。樹脂膜141の内側の面(下面)にフレキシブルな磁性体膜142が設けられる。さらに、その磁性体膜142の内面(下面)に金属膜147が形成されている。磁性体膜142は、例えば非特許文献1に記載されたNi 0.2Zn 0.3Fe 2.5Fe 2.5などのフェライトめっき磁性膜であり、約90℃という低温で樹脂膜上に成膜できる。磁性膜142中には結晶粒界があり、膜が撓むことによって発生するストレスを、結晶粒界で緩衝する。また金属膜147は図5の素子と同様に、Pt、Au、Pdまたはこれらの金属(Pt、Au、Pd)のうち2以上を有する合金等を用いることができる。さらに、逆スピンホール効果を高めるために、これらの金属(Pt、Au、Pd)または合金に、Fe、Cu、Irなどの不純物を添加してもよい。このようにして、ボタン部に一体化したスピン熱電素子を形成することができる。
[0036]
 図12Bのように、ユーザがボタン部140を指146で押すと、樹脂膜141が空間145側にしなり、内側の金属膜147と凹部底面の内部配線143とが接触する。ユーザがボタン部を押すと、指の熱がスピン熱電素子に伝わり、スピン熱電素子の厚さ方向に温度勾配が生じる。指が触れた側のスピン熱電素子の表面が高温側接点となり、スピン熱電素子の裏側が低温側接点となる。その結果、スピン熱電素子は、発信機能付きカード10のカード面内方向に起電力を生成する。生成した起電力は、内部配線143を介して制御部121の端子125で取り出されるようにすることができる。なお、樹脂膜141を可能な限り薄くするなどして、出来るだけ樹脂膜141に温度勾配が付かないようにすることが望ましい。
[0037]
 以上述べたようにして、熱電素子をボタン部に一体化すれば、図4A,図4Bで示した構成に比べてボタンを大きくすることができ、また指の熱を十分に熱電素子に伝えることができる。
[0038]
 (第6の実施形態)
 上述の実施形態では、スピンゼーベック効果を持つ熱電変換素子を用いた。しかし、異常ネルンスト効果(ANE(Anomalous Nernst Effect))と呼ばれる別種の熱電効果も併せて用いる熱電変換素子も適用可能である(たとえば、特許文献2)。異常ネルンスト効果とは、磁化を持つ磁性体層に温度勾配∇Tを加えると、磁化の向きMと温度勾配∇Tの向きのそれぞれと直交する方向(外積方向)に起電力Eが生じる現象である。図5で述べたスピン熱電素子20の起電体として強磁性のNi系合金材料を用い、磁性体の磁化方向Mと同方向の磁化を持たせる。すると、起電体は、図5の説明で述べたスピン流―電流変換以外に、異常ネルンスト効果によって温度勾配から直接起電力を生成する。つまり、磁性体と起電体で磁化方向が同じであれば、ある温度勾配∇Tに対して同一方向に2つの起電力が生成され、より大きな電力を取り出すことができる。Ni系合金材料は、例えば、Niに5d遷移金属元素であるW、Pt、Hf、Ta、Re、Os、Ir、Auを添加したものである。Ni系合金材料は、例えば、Ni 97、Ni 97Pt のように大部分はNiである。Ni以外にCo、Fe等も用いることができる。磁性体には、上述のBi:YIG膜を用いることでよいが、これ以外に、ガーネットフェライト(イットリウム鉄フェライト)、スピネルフェライト等の酸化物磁性材料を用いることができる。
[0039]
 (第7の実施形態)
 図9は、本発明の第7の実施形態の発信装置を示す図である。図9を参照して、本実施形態の発信装置は、第1の熱電変換素子920、制御部921、および発信部922を備えている。第1の熱電変換素子920は、ボタン91~94にそれぞれ備えられている。ユーザが第1の熱電変換素子920を押すと、その熱によって発電する。発生した電力で制御部921と発信部922を動作させて、押したボタンに対応した第1の情報を発信する。
[0040]
 このようにすればボタンを押す操作つまり情報の入力操作で、発電も可能になる。
[0041]
 (別の実施形態)
 上記実施形態では、ボタンと熱電変換素子を並置したが、図10の平面図に示すように、中心に熱電変換素子120を設け、その周囲をボタン110で囲むものでもよい。またその逆に、図11の平面図に示すように、中心にボタン110を設け、その周囲を熱電変換素子120とするものでもよい。
[0042]
 また、上記実施形態では、ボタンとボタンの間の距離を離して熱が伝わりにくくしたが、隣接するボタンの間に溝を設けるか断熱材料を挿入すると距離を狭めても熱が伝わりにくくなる。
[0043]
 ボタンの数は、上記実施形態の4個に限らない。数字を入力するのであれば、テンキーとして使えるようにするとより便利である。つまり、ボタンが“0”から“9”の10個あるとより便利である。
[0044]
 上記実施形態では、IR発信器を用いたが、無線送信器でも良いことは明らかである。
[0045]
 上記実施形態では、第1、第2の熱電素子は使用者(ユーザ)の指の熱で発電しているが、使用者の足の指、舌など体の他の以外の部位でボタンに触れても発電は可能である。
[0046]
 上述の実施形態は、発信機能付きのカードであるが、カード以外の形状のものにも適用できる。例えば手で握りやすい形状、カードよりも小さい形状でもよい。
[0047]
 上述の実施形態では、車の鍵の開錠、社員証、名刺に用いる例を述べたが、これらに限らず、パソコンなどの端末操作、災害時の所在地発信など多種多様な用途に用いることができる。
 以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
 この出願は、2018年12月10日に出願された日本出願特願2018-230932を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

符号の説明

[0048]
 1,2,3,4,91,92,93,94、110  ボタン
 10  発信機能付きカード
 20  スピン熱電変換素子
 21  制御部
 22  発信部
 25  端子
 30  ボタン部
 31  樹脂膜
 41  カード基板
 42  導電膜
 43  内部配線
 44  スペーサ
 45  空間
 46  指
 51  GGG基板
 52  磁性絶縁体層
 53  金属膜
 54,55  電極
 60  第2のスピン熱電変換素子
 61  蓄電部
 70  記憶部
 80  熱生成膜
 90  発信装置
 120  熱電変換素子

請求の範囲

[請求項1]
 ボタン、前記ボタンに備えられた第1の熱電変換素子、制御部、発信部を備え、前記第1の熱電変換素子がユーザの熱によって発電することで前記制御部と前記発信部を動作させて前記ボタンに対応した第1の情報を発信することを特徴とする発信装置。
[請求項2]
 前記ボタンを複数備え、前記第1の熱電変換素子がボタン毎に備えられ、前記制御部は前記第1の熱電変換素子が発電した電力を受け、受けた電力で前記ボタンに対応した情報に変換し、前記発信部は前記制御部と接続され、前記ユーザが押したボタンに対応した信号を発信させる請求項1に記載の発信装置。
[請求項3]
 前記第1の熱電変換素子とは別の発電素子を備え、前記発電素子が発生させた電力も使って前記制御部と前記発信部を動作させる請求項1または2に記載の発信装置。
[請求項4]
 前記発電素子は、前記第1の熱電変換素子よりも面積の大きい第2の熱電変換素子である請求項3に記載の発信装置。
[請求項5]
 前記ユーザが擦って熱を生成する熱生成膜を前記第2の熱電変換素子上に備えた請求項1から3のいずれか一項に記載の発信装置。
[請求項6]
 前記ボタンと前記第1の熱電変換素子は隣接して設ける請求項1から5のいずれか一項に記載の発信装置。
[請求項7]
 記憶部を備え、前記発信部が発信するとき、前記第1の情報と、前記ボタンに対応して前記記憶部が記憶している第2の情報を発信する請求項1から6のいずれか一項に記載の発信装置。
[請求項8]
 記憶部を備え、前記記憶部が記憶している前記ボタンに対応した第2の情報を記憶した記憶部を備え、前記発信部が発信するとき、前記第2の情報だけを発信する請求項1から6のいずれか一項に記載の発信装置。
[請求項9]
 前記第1、第2の熱電変換素子はスピン熱電変換素子である請求項4から8のいずれか一項に記載の発信装置。
[請求項10]
 前記発信装置は発信機能付きカードである請求項1から9のいずれか一項に記載の発信装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12A]

[ 図 12B]