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1. WO2020121690 - エンドピンのキャップ取付構造とそれを備えた楽器

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明 細 書

発明の名称 エンドピンのキャップ取付構造とそれを備えた楽器

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

非特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044  

符号の説明

0045  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : エンドピンのキャップ取付構造とそれを備えた楽器

技術分野

[0001]
 本発明は、大型楽器に用いられるエンドピンのキャップ取付構造とそれを備えた楽器に関する。

背景技術

[0002]
 エンドピンは、コントラバスやチェロなどの弦楽器やバスクラリネットなどの木管楽器などの大型楽器に使用される。たとえば、コントラバスを例にすると、図9に示すように、エンドピン100は、床102に立てて楽器を支える金属製の棒状部材で、大型楽器の下端部(尾部)114に着脱可能に取り付けられる。エンドピン100は、楽器を床102から離して演奏しやすい位置に支える役割以外に、振動(音)を床に伝えて響きを増幅させる役割を持つ重要な部品である。このエンドピン100は、演奏者の身長(座高)や演奏スタイルなどに合わせて、長さの調節が必要であるため、伸縮できるように固定具によって固定するようになっている。
[0003]
 従来から提供されている長さ調節が可能なエンドピンの固定具には2種類があるが、そのうちの一例を図10に基づいて説明する。固定具は、エンドピン100と本体固定部材104とから構成されている。エンドピン100は、軸部108の一端が楽器本体の下端部114に収納され、他端が楽器本体を床に立てるために尖った形状をした先端部112を備えて構成されている。エンドピン100の軸部108には、環状凹部124が軸方向に等間隔に形成されていて、楽器本体の下端部114からエンドピン100が突出する長さを規定し且つ係合し得るように構成されている。
[0004]
 軸部108の先端部112には、雄ネジが形成されていて、その雄ネジに螺合される雌ネジが設けられたゴムキャップ113が螺着されている。ゴムキャップ113は、床面を保護する目的の他、床面に伝わる振動を抑えるなどにより音響効果を変化させるために設けられる。本体固定部材104は、エンドピン100の軸部108が貫通させられる貫通孔116と、エンドピン100の軸部108を所望の位置で締結される締結具118と、楽器本体の下端部114に着脱可能に固定される楽器固定部122を備えている。締結具118は、貫通孔116に対して直角方向に形成された雌ネジ126と、その雌ネジ126に螺合される雄ネジ部材128とから構成されている。この雄ネジ部材128の先端部が軸部108に形成された環状凹部124に嵌まり込むことによって、エンドピン100と本体固定部材104とが強固に固定される。
[0005]
 かかる構成のエンドピン100を用いて楽器たとえばコントラバスを演奏しているとき、コントラバスを左右に動かしたり回転させたりして、パフォーマンスをすることがある。そのようなとき、ゴムキャップ113を中心に楽器を回転させることになる。楽器を回転させると、ゴムキャップ113と床103との摩擦により、ゴムキャップ113が先端部のネジで緩み、次第にゴムキャップ113と先端部112との間に隙間ができてしまう。隙間ができると、エンドピン100の長さが変わってしまうだけでなく、噛み合っているネジ部分でガタツキが生じて不安定になることがあった。このような事態は、奏者にとって非常に演奏しづらいものとなる。なお、エンドピンのキャップに関する先行技術文献は見いださなかった。

先行技術文献

非特許文献

[0006]
非特許文献1 : https://ja.wikipedia.org/wiki/エンドピン
非特許文献2 : https://contrabass.net/blog/endpin/

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 上記した問題に鑑み、本発明の課題は、エンドピンの先端に被せられるキャップがたとえ回転したとしても、エンドピンとキャップとが浮き上がったりすることのない取付構造を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造は、楽器本体の下部に取り付けられて一端部が楽器本体の内部に収納され、他端部の先端が床面に接して該床面に振動を伝えると共に楽器本体を支持するエンドピンと、該エンドピンの他端部の先端及び先端軸部に被せられる穴を有するキャップとを備え、
 前記エンドピンの前記キャップが被せられる他端部の先端軸部に円周方向に形成された溝又は凸条と、該エンドピンの他端部先端軸部に被せられる前記キャップの穴に入れられた筒状体に設けられた前記溝又は凸条と係脱可能に係合させられる係合ユニットとを備えたことにある。
[0009]
 かかるエンドピンのキャップ取付構造において、前記係合ユニットは、前記筒状体の一端に内周面に突き出す係合凸部又は内周溝を設けると共に軸方向に複数のスリットを設けたことにある。
[0010]
 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造は、楽器本体の下部に取り付けられて一端部が楽器本体の内部に収納され、他端部の先端が床面に接して該床面に振動を伝えると共に楽器本体を支持するエンドピンと、該エンドピンの他端部の先端及び先端軸部に被せられる穴を有するキャップとを備え、
 前記エンドピンの前記キャップが被せられる他端部の先端軸部に円周方向に形成された溝と、該エンドピンの他端部先端軸部に被せられる前記キャップの穴に入れられた筒状体に設けられた内周溝と、前記溝と内周溝とに係脱可能に係合させられるリングスプリング又はC字状リングとを備えた係合ユニットとを備えたことにある。
[0011]
 更に、本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造は、楽器本体の下部に取り付けられて一端部が楽器本体の内部に収納され、他端部の先端が床面に接して該床面に振動を伝えると共に楽器本体を支持するエンドピンと、該エンドピンの他端部の先端及び先端軸部に被せられる穴を有するキャップとを備え、
 前記キャップの穴に入れられた筒状体に備えた磁着板と、前記エンドピンの先端軸部に設けられた拡径部に配設された永久磁石とから構成される係合ユニットを備え、前記エンドピンの先端軸部が筒状体に隙間なく挿入し得るように構成したことにある。
[0012]
 かかるエンドピンのキャップ取付構造において、前記係合ユニットは、前記筒状体に備えた磁着板が永久磁石とされ、前記拡径部に配設された永久磁石が永久磁石又は磁着板とされたことにある。
[0013]
 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造は、楽器本体の下部に取り付けられて一端部が楽器本体の内部に収納され、他端部の先端が床面に接して該床面に振動を伝えると共に楽器本体を支持するエンドピンと、該エンドピンの他端部の先端及び先端軸部に被せられる穴を有するキャップとを備え、
 前記エンドピンの先端軸部に、該先端軸部の軸心を横切る方向にボールと圧縮コイルスプリングと雌ネジが配設され、前記キャップの穴に入れられた筒状体の内周面に形成された溝とからなる係合ユニットを備えたことにある。
[0014]
 本発明に係る楽器は、上記エンドピンのキャップ取付構造を用いて構成される。

発明の効果

[0015]
 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造は、キャップが被せられるエンドピンの他端部に円周方向の溝又は凸条が形成され、一方、キャップには溝又は凸条と係合させられる係合ユニットによって係合させられるため、両者は円周方向に動くことができても、軸方向に動くことはできない。したがって、エンドピンの軸を中心に回転することができたとしても、軸方向に移動することができないため、エンドピンの長さが変化することはない。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] (a)は本発明に係るエンドピンの先端部を示す図、(b)はキャップの断面図、(c)はエンドピンの先端部にキャップを被せた断面図である。
[図2] 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造の他の実施例を示す図であり、(a)は要部拡大説明図、(b)はキャップの拡大平面図である。
[図3] 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造の他の実施例を示す図であり、(a)は本実施例に用いられるエンドピンの先端部を示す図、(b)はキャップに圧入する筒状体の断面図、(c)は筒状体の平面図、(d)はエンドピンの先端に筒状体が圧入されたキャップを被せた断面図である。
[図4] 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造の他の実施例を示す図であり、(a)は本実施例に係るエンドピンの先端部を示す図、(b)はキャップの断面図、(c)はエンドピンの先端部にキャップを被せた断面図である。
[図5] 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造の他の実施例を示す図であり、(a)は本実施例に係るキャップの断面図、(b)はエンドピンの先端部にキャップを被せた断面図である。
[図6] 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造の他の実施例を示す図であり、(a)は本実施例に係るエンドピンの先端部を示す図、(b)はキャップの断面図である。
[図7] 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造の他の実施例を示す図であり、(a)は本実施例に係るエンドピンの先端部を示す図、(b)はキャップの要部断面図、(c)は他の実施例に係るキャップの要部断面図、(d)は更に他の実施例に係るキャップの要部断面図である。
[図8] 本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造の更に他の実施例を示す図であり、(a)は本実施例に係るエンドピンの先端部を示す要部断面図、(b)はキャップの要部断面図である。
[図9] エンドピンをコントラバスに取り付けた状態を示す図である。
[図10] 従来のエンドピンの固定具とキャップ取付構造を示す要部断面図である。

発明を実施するための形態

[0017]
 本発明に係るキャップが取り付けられたエンドピンは、公知の固定具を用いて楽器本体の下部に取り付けられる。固定具の形式が従来技術として説明した図10に示すタイプの場合は、エンドピンには環状凹部が形成されているが、他の図示しないタイプの固定具の場合のエンドピンには、環状凹部がなく、ストレートを成している。本発明に係るキャップ取付構造はいずれのタイプのエンドピンに対しても適用できる。エンドピンの取付具の構造は、従来構造でも良く、また本願出願人・発明者による新規な構造の取付具(特願2018-199005号)であっても良く、限定されない。
[0018]
 次に、本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造について、種々の実施形態を説明する。
[0019]
 先ず図1(a)に示すように、エンドピン10は、一端部と他端部を備え、図示を省略した一端部が取付具を介して楽器本体に収納され、他端部12が床面14に立てられる先端16及び先端軸部17を含んで構成される。他端部12の先端16は円錐状を成し、楽器がエンドピン10を介して床面14に立てられたとき、床面14を滑らないようにされると共に、楽器からの振動が床面14に伝わりやすいように構成されている。エンドピン10の他端部12には、エンドピン10の軸径と同径の先端軸部17を備え、この先端軸部17よりも径の大きい拡径部18が設けられている。この拡径部18は、エンドピン10が取付具の孔などを介して楽器の中に入り込むのを防ぐためのものである。拡径部18は、エンドピン10の製造時に同時に削り出して一体的に形成しても良いが、エンドピン10の軸径(先端軸部17)と同一又は若干小径の孔の開いたリング部材を別途形成し、エンドピン10の先端16に焼き嵌めや圧入で所定位置に設けても良い。エンドピン10の他端部12の先端軸部17には、円周方向に溝20が形成されている。溝20は、後述するキャップ22が落下したりしないように係止するためのものである。
[0020]
 エンドピン10の他端部12の先端16及び先端軸部17には、図1(c)に示すように、キャップ22が被せられていて、このキャップ22を外すと、エンドピン10と一体的に形成された尖った形状の先端16と先端軸部17が現れる。楽器の演奏形態によっても異なるが、通常、エンドピン10にキャップ22を付けたまま楽器の演奏に使用される。キャップ22は、同図(b)に示すように、キャップ22に形成された穴の内側に金属製などからなる筒状体24を設けると共にその筒状体24に内周溝26を設け、更にその内周溝26にリングスプリング(スナップリング)28を配設する。筒状体24の内径は、エンドピン10の先端軸部17がスムーズにガタツキがない程度の大きさとされる。筒状体24の長さは、挿入されるエンドピン10の先端16及び先端軸部17の長さよりも長ければ良い。筒状体24の内周溝26の位置は、エンドピン10の先端軸部17に形成した円周方向の溝20と対向する位置に設けられる。筒状体24は円筒状であるのが好ましい。また、筒状体24には、底25を備えていても良いが、底25のない筒形状でも良い。筒状体24はキャップ22の穴に圧入されたり、筒状体24の外面とキャップ22の穴の内面に接着剤を塗布し、両者を強固に接着されても良い。
[0021]
 リングスプリング28は断面円形のバネ鋼などによって製造されていて、リングの一部が切断されたC字状を成している。したがって、筒状体24に嵌め込まれたリングスプリング28は、径方向に拡径しまた収縮し得るようにされている。したがって、同図(c)に示すように、キャップ22の筒状体24にエンドピン10の先端16及び先端軸部17を挿入すると、リングスプリング28は一旦径方向に広げられた後、溝20に嵌まり、縮径する。その結果、人為的にエンドピン10とキャップ22とを強く引っ張らないと、両者は外れない。また、キャップ22はリングスプリング28に沿ってエンドピン10に対して円周方向に回転し得る。その回転に伴ってキャップ22とエンドピン10の先端軸部17との取り付け位置が変わることはなく、キャップを含むエンドピンの軸部の長さが変わることはない。
[0022]
 以上の構成において、エンドピン10の先端16及び先端軸部17にキャップ22を被せて楽器の演奏に用いるとき、エンドピン10の接地はキャップ22を介しており、楽器からの振動や楽器の動きはキャップ22に全て伝わる。その結果、エンドピン10とキャップ22とは相対的に回転させられることがある。キャップ22はリングスプリング28の方向、すなわちエンドピン10の円周方向に動くことになるが、軸方向に動くことはない。したがって、キャップ22とエンドピン10との軸方向の距離が変わることはないので、演奏上のトラブルが生じることはない。また、キャップ22がエンドピン10から意図せずに外れることもない。
[0023]
 なお、エンドピン10の材質は、スチール、カーボン、チタン、真鍮、タングステンなどや、これらの組み合わせなどからなるのが好ましい。エンドピン10の材質は、楽器からの音の振動を伝える役割もあり、どのような材質を選ぶかにより、高さ、強さ、音色を含む音響効果に影響を及ぼすものであり、適宜選定される。エンドピン10の長さや軸径などは楽器の種類によっても異なり、限定されない。
[0024]
 また、キャップ22の材質は、ゴムや樹脂などからなるのが好ましい。キャップ22は床面14に対して滑り止めとして作用するだけでなく、振動を伝えるのを抑制する作用がある。振動の伝わり方が小さくなり過ぎると、楽器の音が小さくなりすぎて好ましくない。そこで、演奏目的に応じてキャップ22の材質を変更するのが好ましく、例えば演奏会等に対しては、硬質ゴムが用いられる。また、キャップ22の材質として、真鍮やチタンなどの金属を用いることも可能である。キャップ22の材質が金属である場合、筒状体24を用いないで、直接キャップ22の穴にリングスプリング28を配設する内周溝26を形成しても良い。また、キャップ22の材質が金属である場合、少なくとも接地部表面に滑り止めを施すのが好ましい。たとえば、キャップ22の接地部分に厚みの薄いゴムなどを張り付けて、滑り止めとするのが好ましい。なお、キャップ22の外観形状は、図示した形状に限らず如何なる形状であっても良い。
[0025]
 以上、本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造について、1実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
[0026]
 例えば上述の実施形態では断面円形のリングスプリング28を用いていたが、図2(a)(b)に示すように、断面角型で、エンドピン10の先端16及び先端軸部17が挿抜される側の角部に、傾斜面30を設けたC字状リング32で構成しても良い。C字状リング32は、キャップ22の穴に圧入された筒状体24に形成された内周溝34に収納されていて、内周溝34に収納されている側の形状は角形状をしている。したがって、エンドピン10の先端16及び先端軸部17を筒状体24のC字状リング32を介して挿抜させるとき、C字状リング32が内周溝34から抜け出ることはない。すなわち、エンドピン10の先端16及び先端軸部17を筒状体24に挿し込むとき、C字状リング32は三角錐形状を成す先端16と傾斜面30とが噛み合ってC字状リング32を押し広げてエンドピン10の先端軸部17に乗って進み、溝20に嵌まり込んで、固定される。また、キャップ22をエンドピン10から抜くとき、キャップ22をエンドピン10の軸方向に強く引っ張ると、エンドピン10の溝20の角部とC字状リング32の傾斜面30とが噛み合ってC字状リング32を押し広げてエンドピン10の先端軸部17に乗って進み抜け出る。C字状リング32は、断面が角形状をしていて断面二次モーメントが大きいため、エンドピン10の溝20に嵌まり込んでいるとき、容易に径方向に広がらないので、溝20とC字状リング32との係合が容易に解除されることはない。なお、C字状リング32の材質は、金属に限らず樹脂でも良い。
[0027]
 本例におけるC字状リング32と溝20との係合や、前述のリングスプリング28と溝20との係合は、隙間が発生する。また、C字状リング32が収納されている内周溝34との間や、リングスプリング28が収納されている内周溝26との間には隙間がある。このような隙間があると、楽器からの振動によってリングスプリング28やC字状リング32が内周溝26,34や溝20の中で振動してしまい、異音を発生する可能性がある。そこで、例えばリングスプリング28と内周溝26との間や、C字状リング32と内周溝34との間に粘着剤のような軟粘性樹脂素材などを充填するのが好ましい。軟粘性樹脂素材によりC字状リング32の振動が抑制され、異音の発生がなくなる。
[0028]
 次に、リングスプリング28やC字状リング32に代えて、これらを筒状体24と一体的に形成することも可能である。たとえば、図3(a)に示すように、エンドピン10の他端部12に設けた拡径部18の先端軸部17側の根元に周方向の溝36を設ける。一方、同図(b)及び(c)に示すように、エンドピン10の先端16及び先端軸部17に被せられる筒状体38の一端内周面に突き出すように係合凸部40を設け、更に筒状体38の一端に軸方向に複数のスリット42を設ける。筒状体38は、例えば円筒部材を切削して形成するときに、係合凸部40を同時に形成するのが好ましいが、鍛造により筒状体の端部を押しつぶして係合凸部40を形成することも可能である。この筒状体38は同図(d)に示すように、キャップ22の穴に軸方向に圧入される。かかる構成において、エンドピン10の先端16及び先端軸部17がキャップ22に圧入された筒状体38に挿入されるとき、エンドピン10の先端16の傾斜面が筒状体38の係合凸部40を径方向に押し広げ、更に押し込むと、先端軸部17に形成された溝36に係合凸部40が嵌まり込んで係合させられる。また、逆に、エンドピン10とキャップ22とを引き離す方向に引っ張ることにより、筒状体38の係合凸部40は溝36の角部に押し広げられ、係合から脱することになる。
[0029]
 筒状体38のスリット42は、係合凸部40が径方向に広がるのを許容すると共に、収縮するのを許容するためのものである。スリット42の長さが短いと、係合凸部40が径方向に十分に広がらない恐れが生じ、また、スリット42の長さが長すぎると、係合凸部40と溝36との係合が弱くなる可能性がある。適切なスリット42の長さは、筒状体38の厚み、内径又は外径との関係、スリット42の本数などで定まり、実験等によって求められるのが好ましい。なお、キャップ22がゴムや樹脂により形成されている場合、筒状体38の係合凸部40が径方向に広げられるとき、キャップ22の穴の径も同時に広げられることになる。この構成により、キャップ22は、先端軸部17の溝36に沿って円周方向に回転し得るが、軸方向に移動することはない。
[0030]
 上述の実施例はいずれもエンドピン10の先端軸部17に円周方向の溝20,36を設け、その溝20,36にリングスプリング28やC字状リング32あるいは係合凸部40などの係合ユニットを係合させるように構成していたが、その逆の構成とすることも可能である。例えば、図4(a)に示すように、エンドピン44の先端軸部46に円周方向に突出した凸条48を設ける。一方、同図(b)に示すように、キャップ22の穴に配設される筒状体50には、前記凸条48に対応する位置に内周溝52を形成すると共に、筒状体50の軸方向にスリット54を形成する。かかる構成のエンドピン44の先端軸部46に、上記筒状体50を備えたキャップ22を被せる。キャップ22の筒状体50はエンドピン44の先端軸部46に形成された凸条48に当接した後、更に押し込むと、筒状体50はスリット54によって径方向に広がり、凸条48に乗り上げて、更に押し込むと、凸条48と内周溝52とが係合させられる(同図(c)参照)。なお、スリット54の作用は前述の実施形態と同様である。この構成により、キャップ22は、筒状体50の内周溝52に沿って先端軸部46の凸条48の円周方向に回転し得るが、軸方向に移動することはない。
[0031]
 次に、図5(a)に示すように、キャップ22の穴に圧入される筒状体56の内周面に、表面の滑り性の悪い軟質ゴム又は樹脂からなる弾性部材58を筒状に設ける。筒状の弾性部材58の内径は、エンドピン10の先端軸部17の外径より若干小さめに設定される。弾性部材58の内面は平坦でも良いが、波打った形状とすることも可能である。弾性部材58の波打った形状は、周方向に波打っていても良いが、図5に示すように軸方向に波打っていても良い。弾性部材58の表面形状が波打っている場合、山径と谷径の中間値からなる内径がエンドピン10の先端軸部17の外径とほぼ同じになるように形成されるのが良い。一方、同図(b)に示すように、エンドピン10の先端軸部17の外形には、周方向に1条又は複数条の外周溝60を設けておき、このエンドピン10の先端軸部17に同図(a)に示すキャップ22の弾性部材58を被せる。複数条の外周溝60を形成する場合、外周溝60は等間隔に形成しても良いし、不等間隔に形成しても良い。キャップ22の弾性部材58に挿入されたエンドピン10の先端軸部17は弾性部材58と密着し、且つエンドピン10の先端軸部17に形成された外周溝60の中に弾性部材58が入り込む。弾性部材58の表面が軸方向に波打っている場合は、弾性部材58の山が外周溝60に入り込む。エンドピン10の先端軸部17と弾性部材58とが密着することによって、両者は容易に分離(離脱)することはない。さらに、弾性部材58の一部が外周溝60に嵌まり込むことによって、一層分離(離脱)することはなくなる。
[0032]
 また、図示を省略するが、エンドピン10の先端軸部17の外径について、拡径部18の根元の外径を若干細くし、三角錐を成す先端部に行くほど太くした、逆テーパ形状とすることも可能である。このようにすれば、弾性部材58によるエンドピン10の先端軸部17への締付力の分力は拡径部18方向に作用することになるので、楽器の演奏に伴う振動や楽器の動きによって、キャップ22が外れることはない。本例においては、エンドピン10の先端軸部17全体に、逆テーパ形状の溝を設けた構成となり、その溝に嵌め合う弾性部材58は係合ユニットとなる。
[0033]
 次に、本発明の他の実施形態として、図6(a)に示すように、エンドピン10の先端軸部17の拡径部18に隣接させて強力な永久磁石62を配設する。永久磁石62はネオジム系などの強力な磁力を有するものが好ましい。永久磁石62の外径は、拡径部18の外径と同じ寸法とするのが好ましい。一方、同図(b)に示すように、キャップ22の穴に圧入される筒状体64は、磁性体からなる磁着板66を一体的に備えるのが好ましい。筒状体64と磁着板66は、例えば鉄、ニッケル、コバルト、フェライト鋼などからなり、両者を溶接によって接合したり、あるいは鍛造加工によって一体的に形成される。筒状体64の内径は、エンドピン10の先端16の外径より若干大きい程度が好ましい。遊び(隙間)が大きいと、キャップ22に横方向の外力が作用したとき、エンドピン10の先端軸部17とキャップ22とが永久磁石62により磁着している箇所で折れ曲がり、磁着が解除されてしまう可能性がある。このため、エンドピン10の先端軸部17がキャップ22の穴に圧入された筒状体64から抜けやすくなる可能性があり、遊びが少ない方が好ましい。筒状体64の内径が大きい場合は、筒状体64の内面にコルクやゴムなどからなるシートを張り付けるのが好ましい。
[0034]
 上述の実施形態では、拡径部18側に永久磁石62を配置していたが、磁着板66を永久磁石とし、拡径部18に磁力により磁着し得る素材を配置しても良い。更に、両者を永久磁石としても良いことは言うまでもない。なお、拡径部18自体を永久磁石としたり、磁力により磁着し得る素材で構成したりすることも可能である。
[0035]
 次に、本発明の他の実施形態として、図7(a)に示すように、エンドピン10に形成された拡径部18の近傍の先端軸部17に斜面からなる周方向の溝68を設ける。一方、同図(b)に示すように、キャップ22の穴に一部が圧入された筒状体70を備える。筒状体70の入り口近傍部には、周方向に円錐状の孔が複数開けられていて、その複数の円錐状の孔にはそれぞれボール72が入れられている。円錐状の孔の最小径は、筒状体70の内周面74側とされ、孔に入れられたボール72が筒状体70の内周面74側に落下しないように構成されている。筒状体70の入り口側外周部には、スリーブ76がスライド可能に配設され、スリーブ76は圧縮コイルスプリング78によって付勢されている。圧縮コイルスプリング78により付勢されたスリーブ76が筒状体70から脱落しないように、ストップリング80によって止められている。スリーブ76の内周側には凸条が形成されていて、この凸条によってボール72を円錐状の孔に押し込むように構成されている。
[0036]
 かかる構成は周知の構造であるため概略の説明に留めるが、次のように作動させられる。先ず、スリーブ76を圧縮コイルスプリング78に抗して図面視左方向にスライドさせることにより、ボール72をスリーブ76の凸条から解除させ、周方向外側に動けるようにする。そこで、エンドピン10の先端軸部17を筒状体70の内周面74に差し込み、拡径部18が筒状体70の端面に当接したときにスリーブ76から手を離すと、圧縮コイルスプリング78により図面視右方向にスリーブ76が付勢されて、凸条がボール72を円錐状の孔の内方に押圧する。圧縮コイルスプリング78により付勢されているスリーブ76はストップリング80に当接して、停止する。ボール72の一部は円錐状の孔から飛び出し、エンドピン10の先端軸部17に形成された溝68と係合し、エンドピン10とキャップ22が離れることはない。エンドピン10の先端軸部17からキャップ22を外すときは、スリーブ76を圧縮コイルスプリング78に抗してスライドさせて、エンドピン10とキャップ22とを引き離す作動によって可能であり、かかる作動によらない限り、エンドピン10とキャップ22とが離れることはない。
[0037]
 上記実施形態において、図7(a)に示すエンドピン10を用い、キャップ側の構成を種々変更することが可能である。例えば同図(c)に示すキャップ22の穴に挿入される筒状体70の入り口近傍部には、軸心方向に向かう円錐状の孔が1又は複数箇所に開けられていて、その複数の円錐状の孔にはそれぞれボール72が入れられる。円錐状の孔の最小径は、筒状体70の内周面74側とされ、孔に入れられたボール72が筒状体70の内周面74側に落下しないように構成されている。筒状体70の入り口側外周部には、ゴム又は樹脂製のキャップ22の一部が被せられている。すなわち、キャップ22の一部が、筒状体70に形成された円錐状の孔とその中に入れられたボール72の上に被せられ、ボール72を円錐状の孔に付勢している。
[0038]
 かかる構成において、エンドピン10の先端16及び先端軸部17を筒状体70に挿入すると、ボール72に作用する付勢力に抗してボール72が径方向に押し広げられ、ボール72とエンドピン10の溝68とが係合させられる。したがって、キャップ22はエンドピン10に対して回転し得るが、軸方向に動くことはない。
[0039]
 次に、図7(c)に示す実施形態の変形例であるが、同図(d)に示すように、ボール72の付勢ユニットとしてキャップ22のゴム又は樹脂の代わりに、圧縮コイルスプリング82を用いても良い。すなわち、キャップ22の穴に圧入される筒状体70に必要に応じて肉厚部71を設け、その肉厚部71の側面から軸心方向に向かうボール72が入る程度の孔を設ける。内周面74の近傍部ではボール72が内周面74に落下しないように円錐状とされる。厚肉部71のボール72及び圧縮コイルスプリング82の入れられる孔の入口部には雌ネジが形成され、ボール72が圧縮コイルスプリング82により付勢された状態で雄ネジ84によって閉じられている。
[0040]
 かかる実施形態においても、キャップ22に圧入された筒状体70に、エンドピン10の先端16及び先端軸部17を差し込むと、ボール72が先端軸部17の溝68と係合させられる。これにより、キャップ22はエンドピン10の軸芯周りを回転し得るが、人為的な力を加えない限り軸方向に動くことはない。
[0041]
 次に、本発明の他の実施形態として、図8(a)に示すように、エンドピン10の先端軸部86の側面に軸心を横切る方向にボール72が入る程度の孔を設ける。先端軸部86の外表面近傍部ではボール72が外部に落下しないように円錐状とされる。先端軸部86の孔にはボール72及び圧縮コイルスプリング82が順に入れられるが、孔の入口部には雌ネジが形成され、ボール72が圧縮コイルスプリング82により付勢された状態で雄ネジ84によって閉じられている。一方、キャップ22は同図(b)に示すように、筒状体70の内周面に溝88が形成されている。溝88の位置は、筒状体70にエンドピン10の先端軸部86を差し込んだときに、ボール72が係合する所とされる。本例においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
[0042]
 以上、本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造について各種実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。たとえば、図1や図2で説明したリングスプリング28やC字状リング32は例えば筒状体24の軸方向2か所に設け、エンドピン10とキャップ22を2か所で係合するように構成することも可能である。
[0043]
 これら本発明に係るエンドピンのキャップ取付構造を備えた楽器は、演奏中にエンドピンとキャップとの係合が緩んで長さが変化したり、ガタツキが生じたりすることはなく、演奏のしやすい楽器が得られる。
[0044]
 その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正又は変形を加えた態様で実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。

符号の説明

[0045]
10、44:エンドピン
12:他端部
16:先端
17、46:先端軸部
20、36:溝
22:キャップ
24、38、50、56、64,70:筒状体
26、34、52:内周溝
28:リングスプリング(係合ユニット)
32:C字状リング(係合ユニット)
58:弾性部材(係合ユニット)
62:永久磁石(係合ユニット)

請求の範囲

[請求項1]
 楽器本体の下部に取り付けられて一端部が楽器本体の内部に収納され、他端部の先端が床面に接して該床面に振動を伝えると共に楽器本体を支持するエンドピンと、
 該エンドピンの他端部の先端及び先端軸部に被せられる穴を有するキャップと
を備え、
 前記エンドピンの前記キャップが被せられる他端部の先端軸部に円周方向に形成された溝又は凸条と、該エンドピンの他端部先端軸部に被せられる前記キャップの穴に入れられた筒状体に設けられた前記溝又は凸条と係脱可能に係合させられる係合ユニットと
を備えたエンドピンのキャップ取付構造。
[請求項2]
 前記係合ユニットは、前記筒状体の一端に内周面に突き出す係合凸部又は内周溝を設けると共に軸方向に複数のスリットを設けた請求項1に記載のエンドピンのキャップ取付構造。
[請求項3]
 楽器本体の下部に取り付けられて一端部が楽器本体の内部に収納され、他端部の先端が床面に接して該床面に振動を伝えると共に楽器本体を支持するエンドピンと、
 該エンドピンの他端部の先端及び先端軸部に被せられる穴を有するキャップと
を備え、
 前記エンドピンの前記キャップが被せられる他端部の先端軸部に円周方向に形成された溝と、該エンドピンの他端部先端軸部に被せられる前記キャップの穴に入れられた筒状体に設けられた内周溝と、前記溝と内周溝とに係脱可能に係合させられるリングスプリング又はC字状リングとを備えた係合ユニットと
を備えたエンドピンのキャップ取付構造。
[請求項4]
 楽器本体の下部に取り付けられて一端部が楽器本体の内部に収納され、他端部の先端が床面に接して該床面に振動を伝えると共に楽器本体を支持するエンドピンと、
 該エンドピンの他端部の先端及び先端軸部に被せられる穴を有するキャップと
を備え、
 前記キャップの穴部に入れられた筒状体に備えた磁着板と、
 前記エンドピンの先端軸部に設けられた拡径部に配設された永久磁石と、
から構成される係合ユニットを備え、
 前記エンドピンの先端軸部が筒状体に隙間なく挿入し得るように構成したエンドピンのキャップ取付構造。
[請求項5]
 前記係合ユニットは、前記筒状体に備えた磁着板が永久磁石とされ、前記拡径部に配設された永久磁石が永久磁石又は磁着板とされた請求項4に記載のエンドピンのキャップ取付構造。
[請求項6]
 楽器本体の下部に取り付けられて一端部が楽器本体の内部に収納され、他端部の先端が床面に接して該床面に振動を伝えると共に楽器本体を支持するエンドピンと、
 該エンドピンの他端部の先端及び先端軸部に被せられる穴を有するキャップと
を備え、
 前記エンドピンの先端軸部に、該先端軸部の軸心を横切る方向にボールと圧縮コイルスプリングと雌ネジが配設され、
 前記キャップの穴部に入れられた筒状体の内周面に形成された溝と
からなる係合ユニットを備えたエンドピンのキャップ取付構造。
[請求項7]
 前記請求項1から6までのいずれか1項に記載のエンドピンのキャップ取付構造を用いた楽器。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]