処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2020121632 - 抗菌性成形体およびその使用

Document

明 細 書

発明の名称 抗菌性成形体およびその使用

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011  

発明の効果

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066  

実施例

0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076  

産業上の利用可能性

0077  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 抗菌性成形体およびその使用

技術分野

[0001]
 本発明は、抗菌性成形体およびその使用に関する。

背景技術

[0002]
 抗菌性物品は、消費者意識の高まりから多く市場に出回っている。抗菌性物品は、抗菌剤を含むコーティングを施したものや、銀ナノ粒子を包埋させたものであることが多いが、前者は抗菌活性が経時的に消失することがあり、また、後者はその抗菌活性が高すぎたりして生体への安全性から使用環境に制限がある。
[0003]
 近年、表面にナノオーダーの表面凹凸構造を形成し、物理的な穿刺によって抗菌性を発現するといった技術について特許出願・論文投稿がなされている。たとえば、特許文献1および2には、樹脂組成物の表面に複数のナノサイズの突起を形成して、当該表面に抗菌性を付与する方法が記載されている。これらの文献に記載の方法によれば、おそらくは当該突起に接触した細菌が、突起に突き刺さって死滅することにより、抗菌性が発揮されると考えられる。このメカニズムであれば、昨今問題となっている多剤耐性菌に対しても高い抗菌効果が期待できる。
[0004]
 具体的には、特許文献1には、上記突起間の間隔を細菌の大きさに比べて十分に小さくして細胞と接触しやすくし、かつ、上記突起をアスペクト比が大きく細菌が突き刺さり得る針状の形状にすることにより、抗菌性能を発揮された、抗菌性物品が記載されている。なお、特許文献1には、上記抗菌性物品の表面における純水の静的接触角が30°以下であると、当該表面が親水性となり、細菌が微小突起に突き刺さりやすくなることから、抗菌性が向上すると記載されている。特許文献1によれば、上記抗菌性物品は、所望の凹凸形状を有する原板を液体状の樹脂組成物の表面に押圧しながら、当該液体状の樹脂組成物を硬化させる方法で、作製することができる。
[0005]
 また、特許文献2には、複数の凸部を有する合成高分子膜であって、当該合成高分子膜の法線方向から見たとき、当該複数の凸部の2次元的な大きさが20nm超500nm未満の範囲にある、合成高分子膜が記載されている。なお、特許文献2には、上記合成高分子膜の表面のヘキサデカンへの接触角が51°以下であると殺菌性が良好であるが、水の接触角(親水性)は殺菌作用に直接には関係していないと記載されている。特許文献2によれば、上記合成高分子膜は、陽極酸化ポーラスアルミナ層を型として紫外線硬化樹脂の表面に押圧しながら、当該紫外線硬化樹脂を硬化させる方法で、作製することができる。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2016-093939号公報
特許文献2 : 特開2016-120478号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 特許文献1~特許文献2に記載のように樹脂組成物の成形体の表面に複数のナノサイズの突起を形成してなる樹脂成形体は、抗菌剤を成形体の表面に付与してなる樹脂成形体と比較して、抗菌剤の剥離および脱落などによる抗菌性の低下が生じにくいことから、より長い期間にわたって抗菌性能を維持できると期待される。しかし、特許文献1および特許文献2に記載の方法は、硬化型の樹脂にしか抗菌性を有する突起を形成できないため、適用可能な材料に制限があり、かつ、抗菌性を付与することができる成形体の形状はフィルム状にほぼ限定されていた。
[0008]
 また、ナノオーダーの表面凹凸構造の形成には、現状エッチングやナノインプリントといった高度な技術が求められるが故、製造コストが高くなること、一度に処理する面積が限定されること、また医療用の機器・材料等のような複雑な形状を有する表面への凹凸構造の形成は非常に難しいこと、などの問題があった。
[0009]
 本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、材料および成形体の形状の選択可能性を広げることができる、抗菌性成形体、およびその使用を提供すること、また、安価かつ大量生産が可能な抗菌性成形体およびその製造方法を提供する事をその目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 上記課題を解決するための本発明の一態様に関する抗菌性成形体は、プラスチックの成形体を含み、上記プラスチックの成形体は、その最表層に対してブラスト処理を施すことにより、微細な凹凸構造が付与されている。
[0011]
 また、上記課題を解決するための本発明の別の態様に関する抗菌性成形体の製造方法は、プラスチックを含む成形体を用意する工程と、前記プラスチックの成形体の表面にブラスト処理を施す工程と、を有する。

発明の効果

[0012]
 本発明により、安価かつ大量生産が可能な、表面に抗菌性を付与された殺菌性成形体、およびその製造方法が提供される。

発明を実施するための形態

[0013]
 本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、プラスチックの成形体の表面をブラスト処理することによって、当該表面に抗菌性を付与する方法を開発した。当該方法によれば、幅広い種類の樹脂を含む樹脂組成物の成形体に抗菌性を付与することができる。また、当該方法によれば、所望の形状を有する成形体を作製した後に、当該成形体の表面をブラスト処理すればよいため、様々な形状を有する成形体へ適用可能である。
[0014]
 [抗菌性成形体]
 上記本発明の一の実施形態は、プラスチックの成形体を含む抗菌性成形体であって、上記プラスチックの成形体は、その最表層に対するブラスト処理により抗菌性を付与された、抗菌性成形体に関する。
[0015]
 上記抗菌性成形体は、上記抗菌性を付与された領域を表面に有するプラスチックの成形体を含めばよく、その全体が上記プラスチックの成形体からなるものであってもよいし、上記プラスチックの成形体と上記抗菌性を付与された領域を表面に有さない他のプラスチックの成形体との複合体であってもよいし、上記プラスチックの成形体と金属またはセラミックスとの複合体であってもよい。なお、「抗菌性成形体」は、上記プラスチックの成形体が抗菌性を付与された成形体であり、抗菌性成形体そのものが抗菌用途に用いられるものであってもよいし、抗菌性成形体が有する本来の用途に加えて、抗菌性が付与された成形体であってもよい。
[0016]
 上記プラスチックの成形体は、プラスチックが所定の形状あるいは不定の形状に成形されて、形状を付与されてなる成形体であればよい。上記プラスチックの成形体の形状は特に限定されず、上記抗菌性成形体の用途などに応じて任意に選択することができる。たとえば、上記成形体は、フィルム状、シート状、チューブ状、リング状、バルク状(たとえば、立方体、直方体、円柱状、および球状など)、板状、袋状、繊維状、網目状、ならびにこれらを加工してなる3次元立体構造などの所定の形状を有するか、または無定形の形状を有することができる。
[0017]
 たとえば、フィルム状またはシート状であるとき、上記プラスチックの成形体の厚みは、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、3μm以上800μm以下であることがより好ましく、5μm以上500μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上300μm以下であることが特に好ましい。
[0018]
 本発明は、プラスチックの成形体の表面に上記粗領域を形成することにより、射出成形等により大量生産が可能であり、設計の自由度が高く様々な形状に加工でき、柔軟であり様々な形状に張り付け付与でき、さらには金属と比較し抗菌性成形体を軽量化できるという利点がある。
[0019]
 上記抗菌性を付与された領域は、上記プラスチックの成形体の表面のうち少なくとも一部であればよいが、上記プラスチックの成形体の表面の全体が上記抗菌性を付与された領域であってもよい。また、上記抗菌性を付与された領域は、多面体などの複数の表面を有する上記プラスチックの成形体の、上記複数の表面のうち全ての表面に形成されていてもよいし、少なくとも1つの表面(当該表面の全体、または当該表面に含まれる一部の領域)に形成されていてもよい。あるいは、上記抗菌性を付与された領域は、ボール状体などの1つの表面を有する上記プラスチックの成形体の、上記1つの表面の全体または当該1つの表面に含まれる一部の領域に形成されていてもよい。
[0020]
 上記抗菌性を付与された領域は、抗菌性成形体の、細菌が接触可能な表面に形成されている。細菌が接触可能な表面とは、抗菌性成形体の使用時、待機時および保管時などに、外部の細菌が接触する可能性があるような、抗菌性成形体の表面を意味する。たとえば、上記抗菌性を付与された領域は、抗菌性成形体を使用する際に使用者が接触する部位に形成されていてもよい。また、使用時に水流や気流があたる部位などのような、細菌との接触の機会が多いことが予測できる部位や、食品、医薬品または生体などと接触する部分などが予測できる部位があるときは、少なくとも当該部分に上記抗菌性を付与された領域が形成されていてもよい。上記プラスチックの成形体が袋状および管状などの形状を有するときは、その内表面に上記抗菌性を付与された領域が形成されていてもよい。また、シール処理や蓋などにより、非使用時には上記抗菌性を付与された領域が外部に露出していなくてもよい。
[0021]
 上記プラスチックの成形体は、ブラスト処理より形成された凹凸構造をその表面に有し、これにより抗菌性を付与されている。上記凹凸構造の大きさは、抗菌性を発揮すべき対象となる細菌への抗菌性を有する大きさであればよく、ナノメートルオーダーであることが好ましい。
[0022]
 上記抗菌性を付与された領域は、多種多様な細菌に対する抗菌性を有する。たとえば、上記領域は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、乳酸菌、および緑膿菌のうち少なくともいずれかに対する抗菌性を有し、好ましくは、大腸菌、黄色ブドウ球菌、および緑膿菌のうち少なくともいずれかに対する抗菌性を有し、少なくとも大腸菌および黄色ブドウ球菌に対する抗菌性を有することが好ましく、少なくとも大腸菌に対する抗菌性を有することがより好ましい。
[0023]
 なお、本明細書において、抗菌とは、その媒体に存在する細菌を死滅させること、および細菌を不活化して増殖を抑制させることの両方を意図している。また、本明細書において、抗菌性を有するとは、細菌を接種し、接種直後および接種から24時間後に、JIS Z 2801(2012年)に記載の方法に準じて生菌数を測定して求められる、Δlog菌数(ブラスト処理しないサンプルの24時間後の生菌数の対数値-ブラスト処理した評価用サンプルの24時間後の生菌数の対数値)が2.0以上であることを意味する。
[0024]
 上記プラスチックの成形体は、樹脂を含む組成物(樹脂組成物)を成形してなる成形体であればよい。上記樹脂組成物は、たとえばその全質量に対して20質量%以上の上記樹脂を含む。上記樹脂組成物は、上記抗菌性成形体の用途などに応じてその特性を調整するための添加剤を任意に含有してもよい。上記添加剤の例には、公知のフィラー(充填剤)、滑剤、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止材、抗酸化剤、着色剤(染料、顔料)などが含まれる。これらの添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で最適な組み合わせを選択して用いればよい。また、用途や所望によっては、他の添加剤として有機物質(他の重合体でもよい)および金属ナノ粒子などの無機物質を用いてもよい。
[0025]
 上記樹脂の種類は、上記抗菌性成形体の用途などに応じて任意に選択することができる。上記樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。また、上記樹脂は、結晶性の樹脂であってもよいし、非結晶性の樹脂であってもよい。また、上記樹脂は、合成ゴムおよび天然ゴムなどのゴムであってもよい。なお、本発明者らの知見によれば、樹脂を構成する繰り返し単位に芳香環を有さない非芳香族系の樹脂を有する樹脂組成物の成形体は、樹脂を構成する繰り返し単位に芳香環を含む芳香族系の樹脂を含む樹脂組成物の成形体よりも、抗菌性を付与されやすい。ただし、芳香族系の樹脂を含む樹脂組成物の成形体であっても、ブラスト処理条件などを適切に調整すれば、十分に抗菌性を付与することは可能である。
[0026]
 上記非芳香族系の樹脂の例には、ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)などを含む。)、ポリプロピレン、その他のポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、非芳香族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66およびナイロン12などを含む。)、非芳香族ポリイミド、ポリアセタール(POM)、ポリウレタン、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル系重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、およびポリグリコール酸(PGA)などが含まれる。
[0027]
 上記芳香族系の樹脂の例には、ポリスチレン(PS)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、およびポリブチレンナフタレート(PBN)などを含む。)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、半芳香族ポリアミド(ナイロン6Tおよびナイロン9Tなどを含む。)、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリイミド、全芳香族ポリイミド、ポリスチレン(PS)、アクリルニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェノール系樹脂、エポキシ樹脂などが含まれる。
[0028]
 上記合成ゴムの例には、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、およびその他の熱可塑性エラストマー(SEBS、SBS、およびSEPSなどを含む)などが含まれる。
[0029]
 これらの樹脂のうち、ポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル系重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、およびポリグリコール酸(PGA)が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリフェニレンスルフィドがより好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、およびポリエチレンテレフタレートがさらに好ましく、ポリエチレンが特に好ましく、LLDPEが特に好ましい。
[0030]
 上記抗菌性成形体は、包装、建築物の設備、家電、電子機器およびその周辺機器、自動車用部品、各種コーティング、医療器具、農業用品、文房具ならびに身体装具などを含む、広汎な用途に使用可能である。なお、上記抗菌性成形体の使用の態様には、上記抗菌性成形体がこれらの用途に使用される物品であることや、上記抗菌性成形体をこれらの物品の一部として組み入れることなどが含まれる。
[0031]
 たとえば、上記包装用途に使用するとき、上記抗菌性物品は、他の物品の包装に用いるフィルムやシートなどの外表面または内表面に上記抗菌表面を形成して、包装される物品への細菌の侵入を予防し、上記包装される物品の保存性を高めることもできる。
[0032]
 上記建築物の設備の例には、トイレおよび便座シート、洗面化粧台、上下水の配管、足拭きマット、内装材、ならびに扉などの把手、手すりおよびスイッチなどの日常的に人の手が触れる物品などが含まれる。
[0033]
 上記家電の例には、炊飯器、電子レンジ、冷蔵庫、アイロン、ヘアードライヤー、エアコンおよび空気清浄機などが含まれる。
[0034]
 上記電子機器およびその周辺機器の例には、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ、医療用電子機器、POSシステム、プリンター、テレビ、マウスおよびキーボードなどが含まれる。
[0035]
 上記自動車用部品の例には、ハンドル、シート、シフトレバーおよび各種配管が含まれる。
[0036]
 上記包装の例には、医薬品および食品などの包装が含まれる。
[0037]
 上記コーティングの例には、工場、手術室、保存庫および輸送用コンテナなどの、壁面、床面および天井へのコーティングなどが含まれる。
[0038]
 上記医療器具の例には、鉗子、シリンジ、ステント、人工血管、カテーテル、創傷被覆材、再生医療用足場材、癒着防止材、およびペースメーカーなどが含まれる。
[0039]
 上記農業用品の例には、農業ハウス用の展張フィルムなどが含まれる。
[0040]
 上記身体装具の例には、上着および下着などを含む衣類、帽子、靴、手袋、おむつ、ならびにナプキンおよびその収納袋などが含まれる。
[0041]
 また、上記抗菌性成形体は、建築物の設備、身体装具、食器、飲料および食料品などに接触させて、これらに含まれる細菌を殺菌または不活化するために使用することができる。
[0042]
 [抗菌性成形体の製造方法]
 上記抗菌性成形体は、プラスチックを含む成形体の表面を機械的に加工することにより、微細な凹凸構造を上記表面に付与することによって製造することができる。
[0043]
 具体的には、まず、表面に抗菌性を付与すべき樹脂組成物の成形体を用意する。上記樹脂組成物の種類および上記成形体の形状は、上述したとおりである。
[0044]
 上記機械的な加工は、上記成形体の表面のうち、抗菌性を付与すべき領域に対して施す。
[0045]
 上記プラスチックの成形体の表面に付与された凹凸構造は、たとえば、ブラスト処理、ならびにサンドペーパーおよびグラインダなどによる研磨などによってプラスチックを含む成形体の表面を研削することにより形成することができる。これらの機械的な加工の一例として、ブラスト処理の例を以下に示す。
[0046]
 ブラスト処理は、圧縮流体により付勢された研磨材を上記プラスチックを含む成形体の表面に衝突させる公知の方法で行えばよい。このとき、上記抗菌表面が形成されるように、上記樹脂組成物の物性等に応じてブラスト処理の条件を変化させればよい。
[0047]
 上記圧縮流体は、大気などの気体であってもよいし、水などの液体であってもよいし、気体と液体との混合流体であってもよい。
[0048]
 上記圧縮流体の噴射圧力(加工圧力)は、たとえば0.01MPa以上5MPa以下の範囲で選択すればよい。上記加工圧力は、0.03MPa以上2MPa以下とすることが好ましく、0.05MPa以上0.5MPa以下とすることがより好ましい。
[0049]
 上記研磨材は、植物(種子片など)、金属(鋼およびステンレスなど)、セラミックス(アランダム、カーボランダムおよびジルコンなど)、ならびにダイヤモンドおよびガラスなどその他の無機材料を含む、公知の材料からなる砥粒から選択すればよい。
[0050]
 本実施形態において、上記研磨材は、上記砥粒および弾性体を含む粒子であることが好ましい。上記弾性体は、上記プラスチックを含む成形体の表面に上記研磨材が衝突したときの衝撃を吸収して、上述した形状の抗菌表面を形成しやすくする。たとえば、上記研磨材は、母材となる弾性体粒子の内部または表面に上記砥粒が分散されている粒子や、母材となる樹脂粒子の表面に上記砥粒が付着または接着されている粒子とすることができる。研磨材は、一般に粒径が20~4,000メッシュ、好ましくは100~2,000メッシュのものが用いられる。
[0051]
 上記母材としての弾性体は、弾性を有する一方で反発弾性率が比較的小さいものであることが好ましく、各種ゴム、熱可塑性エラストマーおよびゲルとすることができる。
[0052]
 上記ゴムは、天然ゴムであってもよいし、合成ゴムであってもよい。上記合成ゴムの例には、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シリコンゴム、エピクロルヒドリンゴムおよびブチルゴムなどが含まれる。
[0053]
 上記熱可塑性エラストマーの例には、スチレンブロックコポリマー、塩素化ポリエチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコン系エラストマー、エステルハロゲン系ポリマーアロイ、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、およびエステルハロゲン系ポリマーアロイなどが含まれる。
[0054]
 上記ゲルの例には、水とゼラチンとの混合物などが含まれる。
[0055]
 上記研磨材は、不二製作所株式会社製、シリウスメディアSIG080-7であることが好ましい。
[0056]
 上記研磨材の噴射量は、たとえば0.1kg/min以上10kg/min以下の範囲で選択すればよい。上記噴射量は、0.3kg/min以上9kg/min以下とすることが好ましく、0.5kg/min以上8kg/min以下とすることがより好ましい。
[0057]
 上記研磨材の噴射の角度は、研磨材がより垂直に近い方向から上記プラスチックを含む成形体の表面に衝突するように調整することが好ましい。上記噴射の角度は、上記プラスチックを含む成形体の表面に対して20度以上160度以下とすることができ、25度以上165度以下とすることが好ましく、30度以上150度以下とすることがより好ましい。
[0058]
 上記研磨材の噴射の距離は、たとえば噴射ノズルから被ブラスト材までの距離10mm以上700mm以下とすることができ、20mm以上600mm以下とすることが好ましく、30mm以上500mm以下とすることがより好ましい。
[0059]
 ブラスト処理の加工時間は、たとえば0.1sec/cm 以上20sec/cm 以下の範囲で選択すればよい。上記加工時間は、0.5sec/cm 以上15sec/cm 以下とすることが好ましく、0.1sec/cm 以上10sec/cm 以下とすることがより好ましい。
[0060]
 本実施形態において、ブラスト処理時に、上記プラスチックを含む成形体の表面(被処理表面)を冷却することが好ましい。上記研磨材の衝突により上記プラスチックを含む成形体が発熱すると、ブラスト処理した表面が変形して、所望の形状が得られないことがある。これに対し、ブラスト処理と同時に冷却を行うことで、所望の形状の抗菌表面を得られやすくすることができる。特に、プラスチックを含む成形体が熱可塑性樹脂を含むときは、上記発熱による変形が生じやすいため、冷却を行うことにより抗菌性を有する表面が得られるという効果が顕著である。
[0061]
 上記冷却の方法は特に限定されず、水または冷媒を成形体表面に接触させることによる冷却であってもよいし、ドライアイスなどを用いた周辺の空気の冷却であってもよいし、およびフィルムのような厚みの小さな成形体に対して連続してブラスト処理するときは熱交換器により裏面から冷却してもよい。
[0062]
 上記ブラスト処理は、通常のブラスト装置を使用して行うことができる。具体的には、不二製作所製サンドブラスト装置「ニューマ・ブラスター」SG型重力式、FD型直圧式、及びSC型微粉研磨材式を用いることができる。
[0063]
 これらのブラスト処理の条件は、樹脂組成物の種類および各種物性などに応じて、上述した形状の抗菌性を付与された領域が形成される条件に調整すればよい。
[0064]
 [抗菌方法]
 上記抗菌性成形体は、各種抗菌方法に使用することができる。
[0065]
 具体的には、上記抗菌性成形体を、細菌を含む液体、固体または気体に接触させることにより、接触した液体中、固体表面または気体中に含まれる細菌を死滅させ、上記液体、固体または気体を抗菌することができる。
[0066]
 上記接触は、公知の方法で行えばよい。たとえば、液体との接触は、流動または静止する当該液体への上記抗菌性成形体の浸漬、当該液体の上記抗菌性成形体への噴射または噴霧、および、当該液体の上記抗菌性成形体への塗布または滴下などの方法により行うことができる。また、固体との接触は、静止またはスライドする当該固体の表面への、静止またはスライドする上記抗菌性成形体の当接または押しつけなどの方法により行うことができる。また、気体との接触は、流動または静止する当該気体を含む雰囲気内への上記抗菌性成形体の静置、および、当該気体の上記抗菌性成形体への噴射などの方法により行うことができる。
実施例
[0067]
 以下、本発明の具体的な実施例を比較例とともに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0068]
 1.樹脂組成物の成形体の表面処理
 3種類の基材フィルムを用意し、それぞれの基材フィルムの表面を以下の条件でブラスト処理して、評価用サンプルを作製した。なお、それぞれの基材フィルムについて、表面処理を施さなかった比較用サンプルも用意した。
[0069]
 不二製作所株式会社製のブラスト装置であるFDDSR-4またはSGF-4を用い、上記基材フィルムの表面をブラスト処理した。基材フィルムに対し、0.28MPa、噴射量を6kg/min、ノズル角度を70~90度、ノズルとブラスト対象物との間の距離を150mmとして、樹脂からなる母材中に砥粒が分散してなる研磨材(不二製作所株式会社製、SIG080-7)を、ノズル径が6mmのノズルから噴射した。上記研磨材の噴射は、水を付与して基材フィルムを冷却しながら行った。ブラスト処理による加工時間は0.13sec/cm の範囲で変更した。ブラスト処理後、基材フィルムを洗浄および乾燥して、微細凹凸を有するフィルムを得た。
[0070]
 使用した基材フィルムは、以下の通りである。いずれの基材フィルムも、50mm×50mm角形の形状を有していた。
 ポリエチレン(LLDPE): 三井化学東セロ株式会社製、TUS-TCS#60、厚さ53μm
 ポリプロピレン(CPP):東レフィルム加工株式会社製、トレファン ZK93FM、厚さ60μm
 ポリフッ化ビニリデン(PVDF): 株式会社クレハ製、厚さ16μm
[0071]
 2.抗菌性評価
 JIS Z 2801(2012年)に記載の方法に準じて、上記評価用サンプルおよび比較用サンプルの大腸菌に対する抗菌性を評価した。具体的には、以下の大腸菌を接種し、以下の条件で24時間培養した。
 (菌種)
  Escherichia coli, NBRC No. 3972
 (培養条件)
  温度: 35℃±1℃
 (生菌数の測定)
  使用培地: 標準寒天培地
[0072]
 接種直後および接種から24時間後に、JIS Z 2801(2012年)に記載の方法に準じて生菌数を測定し、Δlog菌数(比較用サンプルの24時間後の生菌数の対数値-評価用サンプルの24時間後の生菌数の対数値)を求めた。
[0073]
 表1に、それぞれの評価用サンプルについてのΔlog菌数および抗菌性の評価結果を示す。非常に高い抗菌性が認められるもの(Δlog菌数が5.0以上)を「◎」、高い抗菌性が認められるもの(Δlog菌数が4.5以上)を「○」、十分な抗菌性が認められるもの(Δlog菌数が1.0以上)を「△」とする。
[0074]
[表1]


[0075]
 表1に示されるように、ブラスト処理により、基材フィルムの表面に抗菌性が付与されたことが確認された。特に、LLDPEは抗菌性を付与されやすかった。
[0076]
 本出願は、2018年12月14日出願の日本国出願番号2018-233980号に基づく優先権を主張する出願であり、当該出願の特許請求の範囲および明細書に記載された内容は本出願に援用される。

産業上の利用可能性

[0077]
 本発明の抗菌性成形体は、各種殺菌・抗菌用途に使用することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 プラスチックの成形体を含み、
 前記プラスチックの成形体は、その最表層に対してブラスト処理を施すことにより、微細な凹凸構造が付与された、抗菌性成形体。
[請求項2]
 前記ブラスト処理は、被処理表面を冷却しながら、圧縮流体により付勢された研磨材を前記被処理表面に衝突させて微細な凹凸構造を付与するものである、請求項1に記載の抗菌性成形体。
[請求項3]
 前記研磨材は、砥粒および弾性体を含むものである、請求項2に記載の抗菌性成形体。
[請求項4]
 前記プラスチックの成形体が、ポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、非芳香族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66およびナイロン12などを含む。)、非芳香族ポリイミド、ポリアセタール(POM)、ポリウレタン、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル系重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、およびポリグリコール酸(PGA)からなる群から選択される少なくとも1種のプラスチックを含むものである請求項1~3のいずれか1項に記載の抗菌性成形体。
[請求項5]
 前記プラスチックの成形体が、ポリエチレン、およびポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種のプラスチックを含むものである、請求項4に記載の抗菌性成形体。
[請求項6]
 前記プラスチックの成形体の形状は、フィルム状、シート状、チューブ状、またはその他の3次元立体構造である、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗菌性成形体。
[請求項7]
 包装、建築物の設備、家電、電子機器もしくはその周辺機器、自動車用部品、各種コーティング、医療器具、農業用品、文房具または身体装具である、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗菌性成形体。
[請求項8]
 鉗子、シリンジ、ステント、人工血管、カテーテル、創傷被覆材、再生医療用足場材、癒着防止材、またはペースメーカーである、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗菌性成形体。
[請求項9]
 プラスチックを含む成形体を用意する工程と、
 前記プラスチックを含む成形体の表面にブラスト処理を施す工程と、を有する、
 抗菌性成形体の製造方法。
[請求項10]
 前記ブラスト処理を施す工程は、
 前記プラスチックを含む成形体を冷却しながら、圧縮流体により付勢された研磨材を前記プラスチックを含む成形体の表面に衝突させる工程である、
 請求項9に記載の抗菌性成形体の製造方法。
[請求項11]
 前記ブラスト処理は、砥粒および弾性体を含む研磨材を用いる、請求項9または10に記載の抗菌性成形体の製造方法。