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1. WO2020121410 - エポキシ樹脂Bステージフィルム、エポキシ樹脂硬化フィルム、及びエポキシ樹脂硬化フィルムの製造方法

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明 細 書

発明の名称 エポキシ樹脂Bステージフィルム、エポキシ樹脂硬化フィルム、及びエポキシ樹脂硬化フィルムの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0003  

課題を解決するための手段

0004   0005   0006   0007   0008  

発明の効果

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

実施例

0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : エポキシ樹脂Bステージフィルム、エポキシ樹脂硬化フィルム、及びエポキシ樹脂硬化フィルムの製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、エポキシ樹脂Bステージフィルム、エポキシ樹脂硬化フィルム、及びエポキシ樹脂硬化フィルムの製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年、電子機器の小型化及び高性能化によるエネルギー密度の増加に伴い、単位体積当たりの発熱量が増加傾向にあることから、電子機器を構成する絶縁材料には高い熱伝導性が求められている。また、絶縁材料には、絶縁耐圧の高さ及び成形の容易さの観点から、広くエポキシ樹脂が用いられている。エポキシ樹脂の熱伝導性を高める方法として、熱伝導率が高く且つ絶縁性のフィラーを樹脂に添加する方法が一般に用いられている。熱伝導率が高く且つ絶縁性のフィラーとしては、アルミナ粒子等がある。
 液晶性エポキシ樹脂とアルミナ粒子を組み合わせることで、液晶性エポキシ樹脂がアルミナ表面で高次構造を形成し、その高次構造がアルミナを繋ぐように熱伝導パスを形成し、熱伝導性を高められることが、国際公開2013/065758号に記載されている。
 さらに、電気絶縁性でかつ優れた熱伝導性を有する絶縁組成物として、メソゲン基を有するモノマーを含む樹脂組成物を重合させた液晶性樹脂を必須成分として含む絶縁組成物が、特開平11-323162号公報に開示されている。特開平11-323162号公報には、絶縁組成物に酸化アルミニウム等の熱伝導率に優れる無機セラミックを含有させてもよい旨の記載がある。

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0003]
 しかしながら、絶縁性のフィラーを充填させる方法では、薄膜を形成することができない場合がある。薄膜であっても熱伝導性に優れる材料の開発が望まれている。
 上記状況に鑑み、本発明の課題は、熱伝導性に優れるエポキシ樹脂硬化フィルムを形成可能なエポキシ樹脂Bステージフィルム、熱伝導性に優れるエポキシ樹脂硬化フィルム、及びエポキシ樹脂硬化フィルムの製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0004]
 上記課題を解決するための具体的な手段は以下の通りである。
  <1> 液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物を半硬化させたものであり、
 平均厚みが8μm未満であり、
 硬化することで、前記硬化物に含まれる液晶構造が、フィルムの膜厚方向に分子が配向した液晶構造となるエポキシ樹脂Bステージフィルム。
  <2> 前記液晶性エポキシモノマーが、下記一般式(I)で表されるモノマーを含む<1>に記載のエポキシ樹脂Bステージフィルム。
[0005]
[化1]


[0006]
〔一般式(I)中、R ~R はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。〕
  <3> 前記液晶性エポキシモノマーが、前記一般式(I)で表されるモノマーとハイドロキノン及びビフェノールからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物を含む<2>に記載のエポキシ樹脂Bステージフィルム。
  <4> 前記硬化剤が、アミン硬化剤を含む<1>~<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂Bステージフィルム。
  <5> フィルムの膜厚方向に分子が配向した液晶構造を含み、平均厚みが8μm未満のエポキシ樹脂硬化フィルム。
  <6> 前記液晶構造が、ネマチック構造又はスメクチック構造である<5>に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
  <7> 液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物である<5>又は<6>に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
  <8> 前記液晶性エポキシモノマーが、下記一般式(I)で表されるモノマーを含む<7>に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
[0007]
[化2]


[0008]
〔一般式(I)中、R ~R はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。〕
  <9> 前記液晶性エポキシモノマーが、前記一般式(I)で表されるモノマーとハイドロキノン及びビフェノールからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物を含む<8>に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
  <10> 前記硬化剤が、アミン硬化剤を含む<7>~<9>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
  <11> <1>~<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂Bステージフィルムの硬化物である<5>又は<6>に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
  <12> 液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物を用いて150℃以下で平均厚みが8μm未満のフィルムを形成する工程と、
 200℃以下の硬化温度で前記フィルムを硬化する工程と、
を有するエポキシ樹脂硬化フィルムの製造方法。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、熱伝導性に優れるエポキシ樹脂硬化フィルムを形成可能なエポキシ樹脂Bステージフィルム、熱伝導性に優れるエポキシ樹脂硬化フィルム、及びエポキシ樹脂硬化フィルムの製造方法を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
 本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
 本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
 本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
 本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
 本開示において「膜」との語には、当該膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
 本開示において、平均厚みは、対象物の無作為に選んだ5点の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる値とする。厚みは、マイクロメーター等を用いて測定することができる。
[0011]
<エポキシ樹脂Bステージフィルム>
 本開示のエポキシ樹脂Bステージフィルム(以下、単に「Bステージフィルム」と称することがある。)は、液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物を半硬化させたものであり、平均厚みが8μm未満であり、硬化することで、前記硬化物に含まれる液晶構造が、フィルムの膜厚方向に分子が配向した液晶構造となるフィルムである。
 Bステージフィルムが上記構成であることで、Bステージフィルムの硬化物は、熱伝導性が向上するものと考えられる。Bステージフィルムは、さらにその他の成分を含んでいてもよい。
 本開示において、「Aステージ」及び「Bステージ」については、JIS K6900:1994の規定を参照するものとする。Bステージフィルム中には未反応の液晶性エポキシモノマー及び硬化剤が残存しているため、Bステージフィルムを加熱することにより硬化することができる。
 本開示において、エポキシ樹脂組成物を「半硬化させる」とは、エポキシ樹脂組成物を加熱してBステージまで反応を進行させることをいう。
[0012]
 Bステージフィルムの平均厚みは8μm未満であり、7μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
[0013]
 以下、エポキシ樹脂Bステージフィルムの元となるエポキシ樹脂組成物の成分について詳細に説明する。
 本開示で用いられるエポキシ樹脂組成物は、液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、を含有し、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
[0014]
(液晶性エポキシモノマー)
 エポキシ樹脂組成物は、液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーを含有する。このような液晶性エポキシモノマーとしては、例えば、メソゲン構造(ビフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ターフェニル基、ターフェニル類縁基、アントラセン基、これらがアゾメチン基又はエステル基で接続された基等)を有するモノマーが挙げられる。メソゲン構造を有する液晶性エポキシモノマーが硬化剤と反応して硬化物(樹脂マトリックスと称することがある。)を形成すると、樹脂マトリックス中にメソゲン構造に由来する高次構造(周期構造ともいう)が形成される。
[0015]
 本開示でいう高次構造(周期構造)とは、樹脂マトリックス中に分子が配向している状態を意味し、例えば、樹脂マトリックス中に結晶構造又は液晶構造が存在する状態を意味する。このような結晶構造又は液晶構造は、例えば、直交ニコル下での偏光顕微鏡による観察又はX線散乱により、その存在を直接確認することができる。また、結晶構造又は液晶構造が存在すると樹脂の貯蔵弾性率の温度に対する変化が小さくなるので、この貯蔵弾性率の温度に対する変化を測定することにより、結晶構造又は液晶構造の存在を間接的に確認できる。
[0016]
 メソゲン構造に由来する規則性の高い高次構造には、ネマチック構造、スメクチック構造等がある。ネマチック構造は分子長軸が一様な方向を向いており、配向秩序のみを持つ液晶構造である。これに対し、スメクチック構造は配向秩序に加えて一次元の位置の秩序を持ち、一定周期の層構造を有する液晶構造である。また、スメクチック構造の同一の周期構造内部では、層構造の周期の方向が一様である。液晶構造は、ネマチック構造又はスメクチック構造であることが好ましい。
 なお、樹脂マトリックス全体に対する液晶構造の割合は、例えば、偏光顕微鏡で観察することにより、簡易的に測定することができる。具体的には、硬化物を偏光顕微鏡(例えば、株式会社ニコン製、製品名:「OPTIPHOT2-POL」)で観察して液晶構造の面積を測定し、偏光顕微鏡で観察した視野全体の面積に対する百分率を求めることにより、樹脂マトリックス全体に対する液晶構造の割合を簡易的に測定することができる。
[0017]
 液晶構造の形成の観点から、液晶性エポキシモノマーは、下記一般式(I)で表されるモノマーを含むことが好ましい。下記一般式(I)で表されるモノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[0018]
[化3]


[0019]
 一般式(I)中、R ~R はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。R ~R はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。また、R ~R のうちの2個~4個が水素原子であることが好ましく、3個又は4個が水素原子であることがより好ましく、4個すべてが水素原子であることがさらに好ましい。R ~R のいずれかが炭素数1~3のアルキル基である場合、R 及びR の少なくとも一方が炭素数1~3のアルキル基であることが好ましい。
[0020]
 なお、一般式(I)で表されるモノマーの例は、例えば、特開2011-74366号公報に記載されている。具体的に、一般式(I)で表されるモノマーとしては、例えば、4-{4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンゾエート及び4-{4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3-メチルベンゾエートが挙げられる。
[0021]
 その他の液晶性エポキシモノマーとしては、例えば、ビフェニル型エポキシモノマー及び一般式(I)で表されるモノマー以外の3環型エポキシモノマーが挙げられる。
[0022]
 ビフェニル型エポキシモノマーとしては、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル、エピクロルヒドリンとα-ヒドロキシフェニル-ω-ヒドロポリ(ビフェニルジメチレン-ヒドロキシフェニレン)とを反応させて得られるエポキシモノマー等が挙げられる。ビフェニル型エポキシ樹脂としては、「YX4000」、「YL6121H」(以上、三菱ケミカル株式会社製)、「NC-3000」、「NC-3100」(以上、日本化薬株式会社製)等の製品名により市販されているものが挙げられる。
[0023]
 3環型エポキシモノマーとしては、ターフェニル骨格を有するエポキシモノマー、1-(3-メチル-4-オキシラニルメトキシフェニル)-4-(4-オキシラニルメトキシフェニル)-1-シクロヘキセン、1-(3-メチル-4-オキシラニルメトキシフェニル)-4-(4-オキシラニルメトキシフェニル)-ベンゼン等が挙げられる。
[0024]
 液晶性エポキシモノマーとしては、4-{4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンゾエート又は1-(3-メチル-4-オキシラニルメトキシフェニル)-4-(4-オキシラニルメトキシフェニル)-1-シクロヘキセンが好ましい。
[0025]
 液晶性エポキシモノマーの少なくとも一部は、後述のプレポリマー化剤と反応して得られたプレポリマーの状態であってもよい。プレポリマー化剤は液晶性エポキシモノマーのエポキシ基と反応しうる官能基を有し、液晶性エポキシモノマーを多量体化してプレポリマー化することのできる化合物である。
 一般式(I)で表されるモノマーを含め、分子構造中にメソゲン構造を有する液晶性エポキシモノマーは一般的に結晶化し易く、溶剤への溶解度はその他のエポキシモノマーと比べると低いものが多い。液晶性エポキシモノマーの少なくとも一部を重合させてプレポリマーとすることで、結晶化が抑制され、エポキシ樹脂組成物の成形性が向上する傾向がある。
[0026]
 プレポリマー化剤としては、後述の硬化剤と同じものであっても別のものであってもよい。具体的には、プレポリマー化剤としては、一つのベンゼン環に二個の水酸基を置換基として有する2価フェノール化合物、又は、二つのベンゼン環に二個の水酸基を置換基として有するビフェノール化合物であることが好ましく、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、これらの誘導体、3,3’-ビフェノール、4,4’-ビフェノール等のビフェノール、これらの誘導体などが挙げられる。誘導体としては、ベンゼン環に炭素数1~8のアルキル基等が置換した化合物が挙げられる。これらのプレポリマー化剤の中でも、ハイドロキノン、3,3’-ビフェノール及び4,4’-ビフェノールからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが成形物の熱伝導性を向上させる観点から好ましく、4,4’-ビフェノールを用いることがより好ましい。4,4’-ビフェノールは2つの水酸基が点対称の位置関係となるように置換されている構造であるため、液晶性エポキシモノマーと反応させて得られるプレポリマーは直線構造となりやすい。このため、分子のスタッキング性が高く、高次構造を形成し易いと考えられる。
 これらのプレポリマー化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[0027]
 本開示においては、液晶性エポキシモノマーが、一般式(I)で表されるモノマーとハイドロキノン及びビフェノールからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物をプレポリマーとして含むことが好ましく、一般式(I)で表されるモノマーとハイドロキノン、3,3’-ビフェノール及び4,4’-ビフェノールからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物をプレポリマーとして含むことがより好ましく、一般式(I)で表されるモノマーと4,4’-ビフェノールとの反応生成物をプレポリマーとして含むことがさらに好ましい。
[0028]
 プレポリマーは、エポキシ基及び水酸基の当量比(エポキシ基/水酸基)が100/5~100/35となるように、液晶性エポキシモノマーとプレポリマー化剤とを配合して反応させたものであることが好ましく、この当量比は100/15~100/30であることがより好ましく、100/15~100/25であることがさらに好ましい。
[0029]
 液晶性エポキシモノマーとプレポリマー化剤とを反応させてプレポリマーを合成する方法は、特に制限されない。具体的には、例えば、液晶性エポキシモノマーとプレポリマー化剤と必要に応じて用いる反応触媒とを溶剤中に溶解し、加熱しながら撹拌することで、プレポリマーを合成することができる。
 あるいは、液晶性エポキシモノマーとプレポリマー化剤と必要に応じて用いる反応触媒とを、溶剤を用いずに混合し、加熱しながら撹拌することで、プレポリマーを合成することができる。
[0030]
 溶剤は、液晶性エポキシモノマーとプレポリマー化剤とを溶解でき、かつ両化合物が反応するのに必要な温度にまで加温できる溶剤であれば、特に制限されない。具体的には、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N-メチルピロリドン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
[0031]
 溶剤の量は、液晶性エポキシモノマーとプレポリマー化剤と必要に応じて用いる反応触媒とを反応温度において溶解できる量であれば特に制限されない。反応前の原料の種類、溶剤の種類等によって溶解性が異なるものの、例えば、仕込み固形分濃度が20質量%~60質量%となる量であれば、反応後の溶液の粘度が好ましい範囲となる傾向にある。
[0032]
 反応触媒の種類は特に限定されず、反応速度、反応温度、貯蔵安定性等の観点から適切なものを選択できる。具体的には、イミダゾール化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。反応触媒は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[0033]
 反応触媒の量は特に制限されない。反応速度及び貯蔵安定性の観点からは、液晶性エポキシモノマーとプレポリマー化剤との合計質量100質量部に対し、0.1質量部~1.5質量部であることが好ましく、0.2質量部~1質量部であることがより好ましい。
[0034]
 液晶性エポキシモノマーを用いてプレポリマーを合成する場合、液晶性エポキシモノマーのすべてが反応してプレポリマーの状態になっていても、液晶性エポキシモノマーの一部が反応せずにモノマーの状態でプレポリマー中に残存していてもよい。
[0035]
 プレポリマーの合成は、少量スケールであればフラスコ、大量スケールであれば合成釜等の反応容器を使用して行うことができる。具体的な合成方法は、例えば以下の通りである。
 まず、液晶性エポキシモノマーを反応容器に投入し、必要に応じて溶剤を入れ、オイルバス又は熱媒により反応温度まで加温し、液晶性エポキシモノマーを溶解する。そこにプレポリマー化剤を投入し、次いで必要に応じて反応触媒を投入し、反応を開始させる。次いで、必要に応じて減圧下で溶剤を留去することで、プレポリマーが得られる。
[0036]
 反応温度は、液晶性エポキシモノマーのエポキシ基と、プレポリマー化剤のエポキシ基と反応しうる官能基との反応が進行する温度であれば特に制限されず、例えば100℃~180℃の範囲であることが好ましく、100℃~150℃の範囲であることがより好ましい。反応温度を100℃以上とすることで、反応が完結するまでの時間をより短くできる傾向にある。一方、反応温度を180℃以下とすることで、ゲル化する可能性を低減できる傾向にある。
[0037]
 液晶性エポキシモノマーの含有率は、成形性の観点から、エポキシ樹脂組成物の全固形分中、5体積%~80体積%であることが好ましく、10体積%~70体積%であることがより好ましく、20体積%~60体積%であることがさらに好ましく、30体積%~50体積%であることが特に好ましい。
[0038]
 尚、本開示において、全固形分に対する液晶性エポキシモノマーの体積基準の含有率は、次式により求めた値とする。
 液晶性エポキシモノマーの全固形分に対する含有率(体積%)=[(Bw/Bd)/{(Aw/Ad)+(Bw/Bd)+(Cw/Cd)+(Dw/Dd)}]×100
 ここで、各変数は以下の通りである。
 Aw:必要に応じて用いられるフィラーの質量組成比(質量%)
Bw:液晶性エポキシモノマーの質量組成比(質量%)
 Cw:硬化剤の質量組成比(質量%)
 Dw:その他の任意成分(溶剤を除く)の質量組成比(質量%)
 Ad:必要に応じて用いられるフィラーの比重
 Bd:液晶性エポキシモノマーの比重
 Cd:硬化剤の比重
 Dd:その他の任意成分(溶剤を除く)の比重
[0039]
 エポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシモノマー以外のその他のエポキシモノマーをさらに含有していてもよい。その他のエポキシモノマーとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、レゾルシノールノボラック等のフェノール化合物のグリシジルエーテル;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール化合物のグリシジルエーテル;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸化合物のグリシジルエステル;アニリン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したもの等のグリシジル型(メチルグリシジル型も含む)エポキシモノマー;分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシモノマー;ビス(4-ヒドロキシ)チオエーテルのエポキシ化物;パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレンパラキシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂等のグリシジルエーテル;スチルベン型エポキシモノマー;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシモノマーなど(但し、これらのうち液晶性エポキシモノマーを除く)が挙げられる。その他のエポキシモノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[0040]
 その他のエポキシモノマーの含有量は特に制限されず、質量基準において、液晶性エポキシモノマーを1とした場合に、0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましい。
[0041]
(硬化剤)
 エポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤は、液晶性エポキシモノマーと硬化反応が可能な化合物であれば特に制限されるものではない。硬化剤の具体例としては、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[0042]
 エポキシ樹脂組成物の硬化物の透明性の観点から、硬化剤としては、アミン硬化剤又はフェノール硬化剤が好ましく、アミン硬化剤がより好ましい。
[0043]
 アミン硬化剤として具体的には、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメトキシビフェニル、4,4’-ジアミノフェニルベンゾエート、1,5-ジアミノナフタレン、1,3-ジアミノナフタレン、1,4-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレン、1,3-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノベンゼン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、トリメチレン-ビス-4-アミノベンゾアート等が挙げられる。
[0044]
 硬化剤としてフェノール硬化剤を用いる場合は、必要に応じて硬化促進剤を併用してもよい。硬化促進剤を併用することで、エポキシ樹脂組成物をさらに充分に硬化させることができる。硬化促進剤の種類は特に制限されず、通常使用される硬化促進剤から選択してよい。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、及びボレート塩化合物が挙げられる。
[0045]
 エポキシ樹脂組成物における硬化剤の含有量は、配合する硬化剤の種類及び液晶性エポキシモノマーの物性を考慮して適宜設定することができる。
 具体的には、液晶性エポキシモノマーにおけるエポキシ基の1当量に対して硬化剤の官能基の当量数が0.005当量~5当量であることが好ましく、0.01当量~3当量であることがより好ましく、0.5当量~1.5当量であることがさらに好ましい。硬化剤の官能基の当量数がエポキシ基の1当量に対して0.005当量以上であると、液晶性エポキシモノマーの硬化速度をより向上することができる傾向にある。また、硬化剤の官能基の当量数がエポキシ基の1当量に対して5当量以下であると、硬化反応をより適切に制御することができる傾向にある。
[0046]
 なお、本開示中での化学当量は、例えば、硬化剤としてフェノール硬化剤を使用した際は、エポキシ基の1当量に対するフェノール硬化剤の水酸基の当量数を表し、硬化剤としてアミン硬化剤を使用した際は、エポキシ基の1当量に対するアミン硬化剤の活性水素の当量数を表す。
[0047]
(フィラー)
 エポキシ樹脂組成物は、フィラーを含有してもよい。フィラーとしては、熱伝導性と絶縁性の観点から、セラミック粒子を用いることができる。セラミック粒子としては、アルミナ粒子、シリカ粒子、酸化マグネシウム粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子等が挙げられる。フィラーは、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子及び酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、アルミナ粒子を含むことがより好ましい。アルミナ粒子は、結晶性が高いアルミナ粒子を含むことが好ましく、α-アルミナ粒子を含むことがより好ましい。
 また、フィラーがアルミナ粒子を含む場合、熱伝導性の観点から、エポキシ樹脂組成物の硬化物中において、アルミナ粒子の表面に対して垂直方向にスメクチック構造の周期構造を形成していることが好ましい。
[0048]
 フィラーの体積平均粒子径は、熱伝導性の観点から、0.01μm~1μmであることが好ましく、透明性の観点から、0.01μm~0.1μmであることがより好ましい。
[0049]
 ここで、フィラーの体積平均粒子径は、レーザー回折法を用いて測定される。レーザー回折法による測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製、LS230)を用いて行うことができる。エポキシ樹脂組成物、Bステージフィルム又はエポキシ樹脂硬化フィルム中のフィラーの体積平均粒子径は、エポキシ樹脂組成物、Bステージフィルム又はエポキシ樹脂硬化フィルムからフィラーを抽出した後、レーザー回折散乱粒度分布測定装置を用いて測定される。
[0050]
 具体的には、有機溶剤、硝酸、王水等を用いて、エポキシ樹脂組成物、Bステージフィルム又はエポキシ樹脂硬化フィルム中からフィラーを抽出し、得られたフィラーを分散媒中に超音波分散機等で充分に分散して分散液を調製する。この分散液についてレーザー回折散乱粒度分布測定装置によって体積累積分布曲線を測定する。小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径(D50)を体積平均粒子径として求めることで、エポキシ樹脂組成物、Bステージフィルム又はエポキシ樹脂硬化フィルムに含有されるフィラーの体積平均粒子径が測定される。
[0051]
 エポキシ樹脂組成物の薄膜化を容易にする観点から、フィラーの含有率は、エポキシ樹脂組成物の全固形分中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0.1質量%以下であることが極めて好ましい。エポキシ樹脂組成物は、フィラーを含有しなくともよい。
[0052]
(その他の成分)
 エポキシ樹脂組成物は、さらに、カップリング剤、分散剤、エラストマー、離型剤、溶剤等を含有してもよい。
 溶剤としては、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、キシレン、クレゾール、クロロベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、スチレン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、トルエン、ノルマルヘキサン、1-ブタノール、2-ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等の一般的に各種化学製品の製造技術で利用されている有機溶剤を使用することができる。
[0053]
(エポキシ樹脂Bステージフィルムの製造方法)
 本開示のBステージフィルムは、例えば、上述のエポキシ樹脂組成物を8μm未満の平均厚みに成形して、半硬化させることによって製造することができる。エポキシ樹脂組成物を平均厚み8μm未満に成形する方法としては、バーコート法、スピンコート法等が挙げられる。均一成形の観点からはスピンコート法が好ましい。スピンコートのスピンの速度に制限はなく、50回転/分~5000回転/分が好ましく、100回転/分~3000回転/分がより好ましく、500回転/分~2500回転/分がさらに好ましい。
 スピンコートを行う際の温度に制限はないが、エポキシ樹脂組成物の硬化が進行しすぎることのないように、150℃以下が好ましく、100℃以下がさらに好ましい。
[0054]
 エポキシ樹脂組成物を8μm未満の平均厚みに成形して得られた成形体を半硬化する方法は特に限定されるものではない。成形体を加熱することで半硬化させてもよい。成形体の加熱装置としては、高温槽、ホットプレート等が挙げられる。
 また、スピンコート法を用いる場合、スピンコートの際の温度及びスピンコートの時間を調整して成形体を半硬化させてもよい。
[0055]
 本開示のBステージフィルムは、ガラス基板、アルミナ基板等の水との濡れ性のよい(親水性ともいう)酸化物基板上に上述のエポキシ樹脂組成物を8μm未満の平均厚みに成形して得られたものであってもよい。水との濡れ性のよい酸化物基板上に形成されたBステージフィルムは、硬化することで、硬化物に含まれる液晶構造が、フィルムの膜厚方向に分子が配向した液晶構造となりやすい。
[0056]
(エポキシ樹脂Bステージフィルムの用途等)
 本開示のBステージフィルムは、分子の配向性が高く、硬化物としたときの熱伝導性に優れる。したがって、本開示のエポキシ樹脂Bステージフィルムは、各種の電気機器及び電子機器に搭載される発熱性電子部品の放熱材料等に好適に用いることができる。
[0057]
<エポキシ樹脂硬化フィルム及びその製造方法>
 本開示のエポキシ樹脂硬化フィルムは、フィルムの膜厚方向に分子が配向した液晶構造を含み、平均厚みが8μm未満のものである。エポキシ樹脂硬化フィルムに含まれる液晶構造はフィルムの膜厚方向に分子が配向した液晶構造であることから、本開示のエポキシ樹脂硬化フィルムは熱伝導性に優れる。
 液晶構造が、フィルムの膜厚方向に分子が配向しているものであるか否かは、偏光顕微鏡のコノスコープ観察によって調べることができる。具体的には、偏光顕微鏡(例えば、株式会社ニコン製、製品名:「OPTIPHOT2-POL」)を用いて直交ニコル下にエポキシ樹脂硬化フィルムを配置した状態で、オルソスコープ観察で暗視野になり、コノスコープ観察でマルタ十字が観察できれば、フィルムの膜厚方向に分子が配向していることを示す。
[0058]
 本開示のエポキシ樹脂硬化フィルムは、平均厚みが8μm未満である。エポキシ樹脂硬化フィルムの平均厚みを8μm未満とすることで、フィルムの膜厚方向に分子が配向し易く、膜厚方向の熱伝導性に優れる。また、エポキシ樹脂硬化フィルムの平均厚みを8μm未満とすることで、分子の配向乱れなどの欠陥が入る確率が低くなるため、熱伝導性が安定して高くなる傾向がある。
[0059]
 本開示のエポキシ樹脂硬化フィルムは、本開示のエポキシ樹脂Bステージフィルム又は上述のエポキシ樹脂組成物を硬化することにより得られる硬化物であってもよい。
 本開示のエポキシ樹脂硬化フィルムは、液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物を用いて150℃以下で平均厚みが8μm未満のフィルムを形成する工程(以下、フィルム形成工程と称することがある。)と、200℃以下の硬化温度で前記フィルムを硬化する工程(以下、硬化工程と称することがある。)と、を有する本開示のエポキシ樹脂硬化フィルムの製造方法を経て得られたものであってもよい。
 フィルム形成工程では、エポキシ樹脂組成物を用いてバーコート法、スピンコート法等によりフィルムを形成することができる。フィルム形成工程で形成されたフィルムはBステージフィルムであってもよいし、フィルムに含まれる液晶性エポキシモノマーの硬化が進行していない状態のAステージフィルムであってもよい。
[0060]
 フィルムの膜厚方向に分子を配向した液晶構造を形成するために、ガラス基板、アルミナ基板等の水との濡れ性のよい(親水性ともいう)酸化物基板上にフィルムを形成し、それらの基板上で硬化することが好ましい。
[0061]
 硬化工程における硬化温度は、エポキシ樹脂組成物の成分に応じて設定することができ、例えば、200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましい。硬化時間は特に制限はなく、例えば、1時間~5時間が好ましく、2時間~4時間がより好ましい。エポキシ樹脂硬化フィルムをさらに熱処理(以下、「後硬化」ともいう)することも好ましい。後硬化により、架橋密度がさらに向上する傾向がある。このように熱処理は2回以上実施してもよい。
[0062]
 熱処理に用いる加熱装置は特に制限はなく、一般的に用いられる加熱装置を用いることができる。また、後硬化の温度は特に制限はなく、例えば、60℃~100℃が好ましく、80℃~100℃がより好ましい。また、後硬化の時間は特に制限はなく、例えば、10分間~600分間が好ましく、60分間~300分間がより好ましい。
実施例
[0063]
 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[0064]
(実施例1)
 液晶性エポキシモノマー(4-{4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンゾエート、一般式(I)で表されるモノマー、以下、「樹脂1」ともいう)と4,4’-ビフェノールとを予め反応させたプレポリマー(以下、「樹脂2」ともいう)と、硬化剤(3,3’-ジアミノジフェニルスルホン)と、を加えてエポキシ樹脂組成物を調製した。液晶性エポキシモノマーの含有率は、エポキシ樹脂組成物の全固形分中、約35体積%であった。
 なお、樹脂2の合成工程は、後述する。
[0065]
 液晶性エポキシモノマー及び硬化剤の配合量は、液晶性エポキシモノマーのエポキシ基の当量数に対する硬化剤の活性水素の当量数の比(エポキシ基:活性水素)が、1:1となるように調整した。
 調製したエポキシ樹脂組成物を、90℃で2000回転/分でガラス基板上にスピンコートした。150℃で4時間硬化させることによりエポキシ樹脂組成物を硬化した後、ガラス基板をフッ化水素酸でエッチングすることにより、エポキシ樹脂硬化フィルムを得た。
 得られたエポキシ樹脂硬化フィルムの熱拡散率をBethel社製の熱拡散率測定装置TA3を用いて測定し、測定結果にアルキメデス法により測定した密度と、DSC法により測定した比熱とを乗じることにより、エポキシ樹脂硬化フィルムの厚み方向の熱伝導率を求めた。エポキシ樹脂硬化フィルム中の液晶構造の有無、及び配向方向を、株式会社ニコン製、製品名:「OPTIPHOT2-POL」を用いて調べた。エポキシ樹脂硬化フィルムの平均厚みをマイクロメータを用いて調べた。得られた結果を表1に示す。
[0066]
<樹脂2の合成>
 500mLの三口フラスコに、樹脂1を50g量り取り、そこに溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを80g添加した。三口フラスコに冷却管及び窒素導入管を設置し、溶剤に漬かるように撹拌羽を取り付けた。この三口フラスコを120℃のオイルバスに浸漬し、撹拌を開始した。樹脂1が溶解し、透明な溶液になったことを確認した後、4,4’-ビフェノールを、エポキシ基及び水酸基の当量比(エポキシ基/水酸基)が100/25となるように添加し、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを0.5g添加し、120℃のオイルバス温度で加熱を継続した。3時間加熱を継続した後に、反応溶液からプロピレングリコールモノメチルエーテルを減圧留去し、残渣を室温(25℃)まで冷却することにより、樹脂1の一部が4,4’-ビフェノールと反応して多量体(プレポリマー)を形成した状態の液晶性エポキシモノマー(樹脂2)を得た。
[0067]
(実施例2)
 実施例1において、4,4’-ビフェノールの替わりに、ハイドロキノンを用いて、プレポリマー(以下、「樹脂3」ともいう)を合成したこと以外は実施例1と同様にした。液晶性エポキシモノマーの含有率は、エポキシ樹脂組成物の全固形分中、約35体積%であった。
[0068]
(実施例3)
 実施例1において、樹脂1の代わりに、液晶性エポキシモノマー(1-(3-メチル-4-オキシラニルメトキシフェニル)-4-(4-オキシラニルメトキシフェニル)-1-シクロヘキセン)(以下、「樹脂4」ともいう)を用いてプレポリマー(以下、「樹脂5」ともいう)を合成したこと以外は実施例1と同様にした。液晶性エポキシモノマーの含有率は、エポキシ樹脂組成物の全固形分中、約35体積%であった。
[0069]
(実施例4)
 実施例2において、樹脂1の代わりに、樹脂4を用いてプレポリマー(以下、「樹脂6」ともいう)を合成したこと以外は実施例2と同様にした。液晶性エポキシモノマーの含有率は、エポキシ樹脂組成物の全固形分中、約35体積%であった。
[0070]
(実施例5)
 実施例1において、さらに溶剤(テトラヒドロフラン)を、樹脂2の100部に対して100部加えてエポキシ樹脂組成物を調製したこと以外は実施例1と同様にした。
[0071]
(実施例6)
 実施例2において、さらに溶剤(テトラヒドロフラン)を、樹脂3の100部に対して100部加えてエポキシ樹脂組成物を調製したこと以外は実施例2と同様にした。
[0072]
(実施例7)
 実施例3において、さらに溶剤(テトラヒドロフラン)を、樹脂5の100部に対して100部加えてエポキシ樹脂組成物を調製したこと以外は実施例3と同様にした。
[0073]
(実施例8)
 実施例4において、さらに溶剤(テトラヒドロフラン)を、樹脂6の100部に対して100部加えてエポキシ樹脂組成物を調製したこと以外は実施例4と同様にした。
[0074]
(比較例1)
 実施例1において、樹脂2の代わりに、非液晶性エポキシモノマー(三菱ケミカル株式会社製:jER828、一般式(I)とは異なる)(以下、「樹脂7」ともいう)に代えたこと以外は実施例1と同様にした。
[0075]
(比較例2)
 実施例1において、スピンコートの速度を200回転/分にしたこと以外は実施例1と同様にした。
[0076]
(比較例3)
 実施例1において、ガラス基板の代わりに離型フィルム(デュポン社製、メリネックスS(商品名))上にスピンコートして、硬化した後に物理的に剥離させてエポキシ樹脂硬化フィルムを得たこと以外は実施例1と同様にした。
[0077]
[表1]


[0078]
 表1中のプレポリマー化剤の欄の「-」は、プレポリマー化していないことを表す。
 表1中の溶剤の欄の「-」は、溶剤を使用していないことを表す。
[0079]
 表1に示されるように、比較例1は、非液晶性エポキシ樹脂を用いているために、液晶構造を形成しておらず、熱伝導率が低いと考えられる。比較例2は膜厚が厚いために熱伝導率が低いと考えられる。比較例3は分子が水平に配向しているために、膜厚方向の熱伝導率が低いと考えられる。
 それに対し、実施例1~8は、垂直方向(フィルムの膜厚方向)に分子が配向した液晶構造を形成しており、膜厚が薄いため、熱伝導率が高いと考えられる。
[0080]
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物を半硬化させたものであり、
 平均厚みが8μm未満であり、
 硬化することで、前記硬化物に含まれる液晶構造が、フィルムの膜厚方向に分子が配向した液晶構造となるエポキシ樹脂Bステージフィルム。
[請求項2]
 前記液晶性エポキシモノマーが、下記一般式(I)で表されるモノマーを含む請求項1に記載のエポキシ樹脂Bステージフィルム。
[化1]



〔一般式(I)中、R ~R はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。〕
[請求項3]
 前記液晶性エポキシモノマーが、前記一般式(I)で表されるモノマーとハイドロキノン及びビフェノールからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物を含む請求項2に記載のエポキシ樹脂Bステージフィルム。
[請求項4]
 前記硬化剤が、アミン硬化剤を含む請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂Bステージフィルム。
[請求項5]
 フィルムの膜厚方向に分子が配向した液晶構造を含み、平均厚みが8μm未満のエポキシ樹脂硬化フィルム。
[請求項6]
 前記液晶構造が、ネマチック構造又はスメクチック構造である請求項5に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
[請求項7]
 液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物である請求項5又は請求項6に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
[請求項8]
 前記液晶性エポキシモノマーが、下記一般式(I)で表されるモノマーを含む請求項7に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
[化2]



〔一般式(I)中、R ~R はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。〕
[請求項9]
 前記液晶性エポキシモノマーが、前記一般式(I)で表されるモノマーとハイドロキノン及びビフェノールからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物を含む請求項8に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
[請求項10]
 前記硬化剤が、アミン硬化剤を含む請求項7~請求項9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
[請求項11]
 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂Bステージフィルムの硬化物である請求項5又は請求項6に記載のエポキシ樹脂硬化フィルム。
[請求項12]
 液晶構造を含む硬化物を形成可能な液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、を含有するエポキシ樹脂組成物を用いて150℃以下で平均厚みが8μm未満のフィルムを形成する工程と、
 200℃以下の硬化温度で前記フィルムを硬化する工程と、
を有するエポキシ樹脂硬化フィルムの製造方法。